(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】マスク
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20240422BHJP
A62B 18/02 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A62B18/02 C
A41D13/11 H
(21)【出願番号】P 2020103120
(22)【出願日】2020-06-15
【審査請求日】2023-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000162940
【氏名又は名称】興研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】田口 誠司
(72)【発明者】
【氏名】石川 真吾
【審査官】山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-009098(JP,A)
【文献】特開2004-329951(JP,A)
【文献】実開平07-007657(JP,U)
【文献】登録実用新案第3105617(JP,U)
【文献】登録実用新案第3117120(JP,U)
【文献】欧州特許第03456388(EP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/11
A62B 18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性シート材料からなり、装着時に少なくとも鼻部と口部を覆うフィルタ部と、
弾性を有する材質で形成されて、前記フィルタ部に接合され、装着時に顔面の少なくとも鼻部周辺及び口部周辺に接触する略環状の接顔体と、
頭部又は耳部のいずれかに掛け回して前記フィルタ部及び前記接顔体を前記顔面に装着する掛け紐と、を備え、
前記接顔体には
、上方から下方に突出する突片形状を呈する突出片部が設けられ、該突出片部の少なくとも一部が立体形状を呈するように折り曲げられて、前記顔面への装着時に前記顔面の少なくとも鼻部周辺に当接すると共に前記フィルタ部を押圧し、該フィルタ部を前記顔面の凹凸に適合した立体的な形状に形成させる突起部が設けられたことを特徴とするマスク。
【請求項2】
前記突出片部には、前記突出の幅方向を狭める方向に切り欠き部が形成され、
前記突出片部は、前記切り欠き部を基準に折り曲げられて前記突起部を形成するように構成された
ことを特徴とする請求項
1に記載のマスク。
【請求項3】
前記フィルタ部、及び/又は、前記接顔体には、帯状に形成され、前記顔面への装着時の鼻部に接触する位置に前記顔面の略水平方向に沿って配設され、前記帯状を略V字状に屈曲されて前記フィルタ部、及び/又は、前記接顔体を前記鼻部の形状に沿って屈曲させた状態を維持するノーズクリップが設けられ、
前記突起部は、前記鼻
部の位置の両側に一対設けられ、
該ノーズクリップは、両端部のそれぞれが一対の前記突起部のそれぞれの配設位置の上側に位置するように構成されたことを特徴とする請求項1乃至
2の何れか一つに記載のマスク。
【請求項4】
前記掛け紐の上側と、前記フィルタ部、及び/又は、前記接顔体と、の接合位置は、上下方向の位置が、前記ノーズクリップの配設位置に略等しいことを特徴とする請求項
3に記載のマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば防塵マスクや医療用マスク等、各種の用途に用いることに好適なマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種のマスクは、外部の有害物質やウイルスが装着者の鼻や口から吸入されることを防いだり、装着者の呼気に含まれる飛沫等が外部に飛散するのを防ぐ必要がある。このため、各種のマスクは、周縁部や周縁部近傍が装着者の口や鼻の周辺に極力隙間なく密着することが望ましい。そして、従来、各種のマスクを装着者の口や鼻の周辺に密着させる発明として、特許文献1~3が知られている。
【0003】
特許文献1には、カップ状のフィルタ部の内側に環を形成する環状部材が設けられ、環状部材の上部に切り欠きを設けることでできたタブ状の部分をマスク装着者の顔面方向に折り返す構成のマスクが記載されている。
【0004】
特許文献2には、所定形状のマスク本体の上縁部に沿って塑性変形能を有するノーズピースを設けると共に、そのノーズピースの近傍に、柔軟且つ反発性を有するシート状呼気遮断材をマスク本体に接合し、呼気遮断材の自由端部分を内側に折り返してその反発性により顔面にフィットさせる構成のマスクが記載されている。
【0005】
特許文献3には、プリーツを有するフィルター部とフィルター部に圧着される接顔布とを含む本体部と、本体部に取り付けられ、着用者の顔面下部を覆うように本体部を保持するための保持部とを備えるマスクが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-160499号公報
【文献】特開2015-181751号公報
【文献】特開2016-216835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した特許文献1に記載されたマスクは、フィルタ部上方に設けられた帯状のフラップをマスク装着者の顔面とは逆方向(外側方向)に折り返し、フラップを装着者の鼻部や顔面上方に当接させる構成である。また、引用文献2に記載されたマスクは、マスク本体の上部に接合配設された、帯状のノーズピースを装着者の顔面方向(内側方向)に折り返して装着者の鼻部や顔面上方に当接させる構成である。
【0008】
そして、特許文献1におけるフラップは薄い部材であり端面の面積が小さいので、フラップと装着者の顔面との接触面積が極めて狭小である。さらに、装着者の顔の頬部と鼻部の隆起の違いにより、特許文献1のフラップは装着者の頬部では端面が線接触し、鼻部では折り曲げた面が面接触することになり、線接触部分と面接触部分の境界で、顔面とマスクの間に隙間が発生しやすくなる。
【0009】
また、特許文献2に記載されたマスクは、ノーズピースの長さが短く、ノーズピース全体の面積も狭小である。そして、使用時はノーズピースの約10mmの長さの帯状の面が装着者の顔面に当接するのみであり、しかも使用状態のノーズピースの端部は固定されていない自由端であって位置が動きやすく、それゆえ、ノーズピースを装着者の鼻部に強力に押圧させることは難しい。そのため、特許文献1や特許文献2に記載のマスクは、装着者の顔面、特に鼻部や鼻部近傍に接触する部分において、マスクを装着者の顔面に強く押圧させて密着させることができないので、鼻部や鼻部近傍の接圧や接触状態が不安定になりやすい。そのため、特許文献1や特許文献2に記載されたマスクは、マスクと装着者の顔面との間に隙間ができやすいという問題がある。
【0010】
また、引用文献3は、装着者の顔に密着させるための接顔布が存在するが、この接顔布は平面形状であり、装着時に装着者の顔の凹凸、特に大きな隆起のある装着者の鼻部分にフィットしづらいため、装着者の鼻部分をはじめとする顔面の凹凸の大きい部分においてマスクと装着者の顔面との間に隙間ができやすいという問題がある。
【0011】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、装着者の顔面への良好な密着性を確保できるマスクを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる課題を達成するために、本発明が特徴とするのは、通通気性シート材料からなり、装着時に少なくとも鼻部と口部を覆うフィルタ部と、弾性を有する材質で形成されて、前記フィルタ部に接合され、装着時に顔面の少なくとも鼻部周辺及び口部周辺に接触する略環状の接顔体と、頭部又は耳部のいずれかに掛け回して前記フィルタ部及び前記接顔体を前記顔面に装着する掛け紐と、を備え、前記接顔体には、上方から下方に突出する突片形状を呈する突出片部が設けられ、該突出片部の少なくとも一部が立体形状を呈するように折り曲げられて、前記顔面への装着時に前記顔面の少なくとも鼻部周辺に当接すると共に前記フィルタ部を押圧し、該フィルタ部を前記顔面の凹凸に適合した立体的な形状に形成させる突起部が設けられたことである。
【0014】
本発明の好ましい実施形態の一つにおいて、前記突出片部には、前記突出の幅方向を狭める方向に切り欠き部が形成され、前記突出片部は、前記切り欠き部を基準に折り曲げられて前記突起部を形成するように構成されたことである。
【0015】
本発明の好ましい実施形態の一つにおいて、前記フィルタ部、及び/又は、前記接顔体には、帯状に形成され、前記顔面への装着時の鼻部に接触する位置に前記顔面の略水平方向に沿って配設され、前記帯状を略V字状に屈曲されて前記フィルタ部、及び/又は、前記接顔体を前記鼻部の形状に沿って屈曲させた状態を維持するノーズクリップが設けられ、前記突起部は、前記鼻部の位置の両側に一対設けられ、該ノーズクリップは、両端部のそれぞれが一対の前記突起部のそれぞれの配設位置の上側に位置するように構成されたことである。
【0016】
本発明の好ましい実施形態の一つにおいて、前記掛け紐の上側と、前記フィルタ部、及び/又は、前記接顔体と、の接合位置は、上下方向の位置が、前記ノーズクリップの配設位置に略等しいことである。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るマスクでは、弾性を有する接顔体の少なくとも一部には、顔面への装着時に顔面の少なくとも鼻部周辺に当接すると共にフィルタ部を押圧し、フィルタ部を顔面の凹凸に適合した立体的な形状に形成させる突起部が設けられたことにより、装着者がマスクを装着した際に接顔体が弾性変形してフィルタ部が顔面の凹凸に沿った立体的な形状となった状態を形成し維持できる。また、突起部が顔面の少なくとも鼻部周辺に当接し弾性変形することにより、マスクの鼻部周辺には立体的な形状の突起部が装着者の鼻部の大きな面積にわたって密着した状態となり、凹凸の大きい鼻部周辺とマスクとの間に隙間ができることを抑止できる。これにより、装着者の顔面への良好な密着性を確保することができる。
【0019】
また、本発明に係るマスクは、上方から下方に突出する突片形状を呈する突出片部が設けられ、突出片部の少なくとも一部が立体形状を呈するように折り曲げられて突起部が形成されていることにより、板状の部材からなる突出片部で立体形状の突起部を形成できる。そのため、汎用的な板状の生地や素材から突起部を形成できる。また、不使用時に突起部を板状にしてマスクを嵩張らない状態とすることも可能となる。これにより、装着者の顔面への良好な密着性を確保できるマスクを、汎用的な生地や素材を用いて容易に製造することが可能となり、不使用時に嵩張らない状態とすることも可能となる。
【0020】
また、本発明に係るマスクは、突出片部は、突出の幅方向を狭める方向に形成された切り欠き部を基準に折り曲げられて突起部を形成することにより、突出片部の折り曲げ位置の決定と折り曲げが容易になり、マスクの使用形状の形成を容易にし、マスクの使用の利便性を高めることができる。
【0021】
また、本発明に係るマスクは、フィルタ部、及び/又は、接顔体を鼻部の形状に沿って屈曲させた状態を維持するノーズクリップが設けられたことにより、ノーズクリップをV字状に折り曲げることで、マスクの、装着者の鼻部分に対応する部分周辺を鼻部分の凹凸に沿った形状に形成して形状を維持することが容易になる。そして、フィルタ部や接顔体と装着者の鼻部周辺との密着性が一層良好になる。また、突起部は、鼻の位置の両側に一対設けられ、ノーズクリップは、両端部のそれぞれが一対の突起部のそれぞれの配設位置の上側に位置するように構成されたことにより、ノーズクリップをV字状に折り曲げるだけで突起部を装着者の鼻部に押圧させた状態を簡単に形成して維持させることができる。そのため、ノーズクリップを折り曲げるという簡単な手順のみで、突起部を装着者の鼻部周辺に押圧させて弾性変形させ、突起部を装着者の鼻部に密着させた状態を維持できる。そして、突起部と装着者の鼻部周辺との密着性が一層良好になる。これにより、簡素な装着手順で、装着者の顔面への良好な密着性が確保されるマスクを提供できる。
【0022】
また、本発明に係るマスクは、掛け紐の上側と、フィルタ部、及び/又は、接顔体と、の接合位置は、上下方向の位置が、ノーズクリップの配設位置に略等しいことにより、掛け紐の上側の左右方向への引張り力がノーズクリップの顔面方向への押圧力となって作用し、突起部と装着者の鼻部周辺との密着性が一層良好になる。これにより、装着者の顔面への良好な密着性を確保することができる。
【0023】
また、本発明に係るマスクは、接顔体の下側には、接顔体よりも下方に伸延した伸延部が形成され、掛け紐の下側は、伸延部にてフィルタ部に接合されることにより、掛け紐の下側の左右方向への引張り力が接顔体の顔面方向への押圧力となって作用し、突起部と装着者の鼻部及び口部周辺との密着性が一層良好になる。これにより、装着者の顔面への良好な密着性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第1実施形態のマスクを示す背面図である。
【
図5】同実施形態のマスクを装着したときのフィルタ部及び接顔体の状態を示す概略断面図である。
【
図6】同実施形態のマスクを装着者が装着した状態を示す側面図である。
【
図7】本発明の接顔体のバリエーションの一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態のマスクについて
図1乃至
図7を用いて説明する。
【0026】
図1及び
図2に示す、本実施形態のマスク1は、主として花粉症やほこり等の粒子の吸入抑止や、装着者の呼気に含まれる飛沫の飛散の抑制などの目的に用いられる、いわゆるプリーツ型の不織布マスクである。ただし、本実施形態のマスク1は、プリーツのない不織布マスクに用いられてもよいし、風邪予防用、医療用など、さまざまな目的に用いられるマスク1であってもよい。
【0027】
図1及び
図2に示すように、本実施形態のマスク1は、フィルタ部2と、装着者の顔面に当接する接顔体3と、装着者の左右の耳部にそれぞれ掛止される左右一対の掛け紐4と、を備える。
【0028】
フィルタ部2は、通気性シート材料であり、たとえば不織布のような、通気性を有すると共に、花粉やほこり等の粒子、あるいは装着者の呼気に含まれる飛沫等の粒子の通過を抑止できる材質で形成されている。フィルタ部2は、
図2に示すように全体として正面視略矩形に形成されているが、上方の左右方向中央部周辺には上側に向けて略弧状に突出した突出部6が形成されている。突出部6を設けたことにより、マスク1の装着者の鼻部に対応する部分が、なるべく隆起の少ない位置で鼻部に接触するようにして、隙間の発生を抑止すると共に、マスク1の上側が装着者の目にかかることを抑止して、良好な装着状態を確保できる。
【0029】
フィルタ部2は、たとえば
図2に示す正面視の状態において、左右方向長さが約155mm、両側部の上下方向長さが約110mm、突出部6の上下方向長さが約10mmに形成される。ただし、使用時に装着者の顔面に密着して良好な装着状態や防塵機能や飛沫防止機能を奏する大きさであれば、この寸法に限定されず、どのような大きさであってもよい。
【0030】
フィルタ部2は、
図2に示すように、左右方向に延びる複数のひだ(プリーツ)が設けられている。具体的には、フィルタ部2の上下方向中央部より上側には、上側に向けて山折りされた2条の上側ひだ5aが形成され、上下方向中央部より下側には、下側に向けて山折りされた2条の下側ひだ5bが形成されている。この上側ひだ5a、下側ひだ5bの折り目の深さは、たとえば約7mmに形成されている。ただし、上側ひだ5a、下側ひだ5bの折り目の深さや条数や左右方向の長さや折り目の上下方向は、装着時に装着者の顔面に沿った立体形状を形成できて違和感のない装着状態を奏させるものであればどのようなものでもよい。
【0031】
フィルタ部2は、
図4に示すように例えば4層に積層されて、外側から内側にかけて、水分を吸着するとともに、繊維径が太くて大きな粉塵をろ過し外観の見栄えを良くするためのプレフィルタ2a、繊維径が細くて細かい粉塵をろ過するメインフィルタ2b,2c、主として装着者の呼気の水分を吸水する吸水フィルタ2dの順で積層されている。なお、フィルタ部2が3層構造の場合には、メインフィルタ2b,2cがメインフィルタ2bのみの1層構造となる。なお、フィルタ部2の材質は、軟質で折り曲げ可能であって、装着者の吸気の取り入れ及び呼気の排出が可能であり、吸気及び呼気をろ過して、外部の花粉やすることができるフィルタ部として機能するものであれば、特に限定されない。
【0032】
接顔体3は、
図1に示すように弾性変形可能な平坦な板材から打抜き加工により形成されている。接顔体3は、例えば発泡ポリエチレンシートや発泡ポリビニルアルコールシート等の非通気性の発泡樹脂材に不織布やパルプを貼り付けたものが使用される。
【0033】
接顔体3は、
図2に示すように、外周部の形状が、左右方向両端が略垂直、上下方向下方が略水平、上下方向上方が上に凸の山形である、正面視略五角形に形成されている。接顔体3は、たとえば
図2に示す正面視の状態において、左右方向長さが約150mm、両側部の上下方向長さが約80mm、上方の山形部分の上下方向長さが約30mmに形成される。ただし、使用時に装着者の顔面に密着して良好な装着状態や防塵機能や飛沫防止機能を奏する大きさであれば、この寸法に限定されず、どのような大きさであってもよい。
【0034】
接顔体3は、正面視略中央部に、開口形成されて略環状に形成された環状部7を備えている。具体的には、この環状部7は、左右方向両側側に開口形成された側部環状部7a,7a、左右方向中央部に開口形成された中央環状部7bと、それぞれの側部環状部7aと中央環状部7bとを繋げる形で開口形成された連続部7cとを備えている。
【0035】
側部環状部7a,7aは、たとえば上下方向大きさが約40mm、左右方向大きさが約20mmの、装着時に装着者の頬部分の隆起が内部に収容される略扇形の形状に形成され、中央環状部7bは、たとえば上下方向大きさが約60mm、下部の左右方向大きさが約50mmの、装着時に装着者の鼻部及び口部の隆起が内部に収容される略三角形の形状に形成されている。
【0036】
側部環状部7a,7aの下端は、中央環状部7bの下端(後述する掛止部23)よりも約10mm下方に位置するように形成され、装着者の口元の動きによるマスク1のずれが生じにくくなっている。ただし、それぞれの機能を適切に奏することができれば、側部環状部7a,7a、左右方向中央部に開口形成された中央環状部7b等の寸法は上記に限定されず、どのような大きさであってもよい。
【0037】
環状部7は、その周縁部7dがフィルタ部2の周縁部に溶着や接着等の固定手段を介して接合されている。すなわち、接顔体3は、環状部7の周縁部7dだけがフィルタ部2の周縁部に接合され、その他の部分は、接合されておらず、重ね合わせているだけであるので、フィルタ部2に対して離間することができる。
【0038】
接顔体3の環状部7には、上側に一対の「突出片部」及び「突起部」としての上片部8,8が突設され、下側に一対の下片部9,9が突設されている。
【0039】
上片部8は、帯状に形成されて下方に突設されている。本実施形態では、上片部8の左右方向中央側の上下方向の長さはたとえば約35mm、下端部の左右方向長さはたとえば約30mmであり、鼻部との接触面積が大きくなり、摩擦力が増加して装着時にマスクをずれにくくできる長さに形成されている。また、それぞれの上片部8の左右方向の外側には上下方向の縦スリット8aが切り欠き形成されている。この縦スリット8aはたとえば約10mmの長さであり、上片部8によって突起部8dを形成する際の折り曲げ部分に対応して設けられている。
【0040】
上片部8の上下方向略中央部には、左右方向に沿ってそれぞれ一対の「切り欠き部」としての第一横スリット8b,8b、及び一対の「切り欠き部」としての第二横スリット8c,8cがそれぞれ切り欠き形成されている。この第一横スリット8b,8b及び第二横スリット8c,8cはたとえば約10mmの長さであり、上片部8の折り曲げによる突起部8d(後述)の形成を容易にする機能を奏する。なお、縦スリット8a、第一横スリット8b、第二横スリット8cの寸法は、それぞれの機能を奏するものであれば上記のものに限定されない。
【0041】
接顔体3の中央環状部7bの下端部は、装着者の顎部を掛止する掛止部23を形成している。掛止部23の両側に設けられた一対の下片部9,9は略帯状に形成されて上方に突設されている。下片部9,9の上下方向大きさはたとえば約20mm、左右方向大きさはたとえば約12mmであり、装着者が装着した際に口元部の両側に密着する。下片部9,9の上端部は上片部8,8の下端部の近傍に対向している。
【0042】
接顔体3の下端よりも下方には、フィルタ部2の下側が下方に伸延された伸延部10が形成されている。この伸延部10は、上下方向大きさがたとえば約10mmに形成されている。伸延部10は、装着時に装着者の顔面下方に密着し、良好なフィット感と、外部の花粉やほこり等の粒子の内部への流入や、装着者の呼気に含まれる飛沫等の粒子の外部への漏出を防止する機能を奏する。なお、伸延部10の寸法は、その機能を適切に奏するものであれば上記の寸法に限定されない。
【0043】
マスク1の上方の「略水平方向」としての左右方向の中央部には、フィルタ部2と接顔体3とに挟まれて、帯状のノーズクリップ11が配設されている。このノーズクリップ11は、例えば延伸ポリエチレンのように剛性が高く、折り曲げられた状態で形状を維持できる材質からなる。
【0044】
ノーズクリップ11は、長手方向の長さがたとえば約50mm以下、好適には約40mmの長さに形成されている。ノーズクリップ11は、接顔体3の左右方向略中央であって、接顔体の両側部の上端を結んだ仮想水平線と上方の山形部分の頂部である接顔体3の上端部との中間部、具体的には、接顔体3の上端部からたとえば約15mmの位置に、左右対称に、長手方向がマスク1の左右方向に沿うように配設されている。ノーズクリップ11は、装着時に装着者の鼻部の形状に沿って折り曲げられてフィルタ部2と接顔体3とを装着者の鼻部に密着させるようになっている。なお、ノーズクリップ11の寸法は、その機能を適切に奏するものであれば上記の寸法に限定されない。
【0045】
フィルタ部2の両側部には、左右一対の掛け紐4が接合されている。掛け紐4は、それぞれ弾性的に伸縮可能なゴム紐により平たく形成されており、マスク1を装着者の顔面にフィットさせて装着できる長さ、たとえば200mmの長さに形成される。ただし、掛け紐4の長さは前述の長さより長くても短くてもよい。なお、左右一対の掛け紐4は、不織布や織布、プラスチックフィルム等の公知の弾性材料によって形成されていてもよい。
【0046】
それぞれの掛け紐4は、上側の一端4aが、ノーズクリップ11の上下方向高さとほぼ同じ位置にてフィルタ部2に接合され、下側の他端4bが、伸延部10の端部に接合されている。なお、掛け紐4の一端4aの配設位置は、装着時にノーズクリップ11に顔面方向への適切な押圧力を加えられる位置であれば、ノーズクリップ11の上下方向高さに対して多少ずれた位置であってもよい。
【0047】
次に、本実施形態のマスク1の使用方法及び作用について説明する。
【0048】
マスク1は、上側ひだ5a及び下側ひだ5bが折り畳まれることによって平坦な状態にある。これにより、マスク1は、梱包したときに嵩張らないので、輸送、保管が極めて容易になる。
【0049】
そして、マスク1を装着者の顔面に装着する際には、それぞれの上片部8,8を第一横スリット8b,8b、第二横スリット8c,8cのある位置で外側に(フィルタ部2側に)折り曲げる。そして、折り曲げたのち、これにより、一対の上片部8,8は、側面視略三角形の一対の突起部8d,8dとして形成される。このとき、突起部8d,8dはノーズクリップ11の両端部近傍に形成されている。
【0050】
この状態で、マスク1の接顔体3側を装着者の顔面に当てがい、ノーズクリップ11を鼻部の隆起部に沿って、左右方向略中央部を隆起の頂点とした略V字形状に屈曲させる。これにより、
図5に模式的に示すように、マスク1のノーズクリップ11の配設箇所およびその周辺は、装着者の鼻部及びその周辺に位置決めされる。特に、ノーズクリップ11の両端部近傍に形成された一対の突起部8d,8dは、ノーズクリップの形状変形によって装着者の鼻部方向に押圧されて弾性変形し、
図6に模式的に示すように、装着者の鼻部の両側に密着した状態で固定される。
【0051】
ここで、突起部8d,8dは、
図3の仮想線で示すように側面視略三角形の立体的な形状となっている。そのため、平板状の上片部8のままの状態に比べて弾性力が大きくなっている。突起部8d,8dを装着者の鼻部に押し当てた際の突起部8d,8dの弾発力は、上片部8をそのまま装着者の鼻部に押し当てた場合よりも大きい。そのため、突起部8d,8dは装着者の鼻部の隆起部分の形状に沿って弾性変形して装着者の鼻部にフィットし、マスク1と装着者の鼻部との間に隙間が発生することを、高い確実性を持って抑止できる。
【0052】
また、
図5に模式的に示すように、突起部8d,8dは外側に突出していることで鼻部周辺のフィルタ部2を外側に押し広げられ、装着者の鼻部や口部周辺とフィルタ部2との間に空間が形成される。
【0053】
この状態で、左右一対の掛け紐4を装着者の耳部に掛け回す。次いで、装着者がマスク1の両側部をそれぞれ手で持って左右方向に広げ、また、上端部や下端部を持って上下方向に広げ、形を整える。
【0054】
すると、掛け紐4の弾力によってマスク1が装着者の顔方向に押圧され、
図6に模式的に示すように、マスク1が装着者の顔にフィットした状態で装着される。
【0055】
具体的には、マスク1の接顔体3における中央環状部7bの内部に装着者の鼻部と口部とが配置された状態となり、側部環状部7a,7aの内部に装着者の頬部が配置された状態となる。そして、一対の突起部8d,8dの間に鼻部の両側が挟まれて固定された状態となる。また、下片部9,9は弾性変形し、装着者の口元近傍の立体形状に沿った形状となって装着者の口元近傍に固定される。
【0056】
さらに、掛け紐4の張力は、掛け紐4の一端4a,4aの間に位置するノーズクリップ11を装着者の顔方向に押圧する力として作用するので、
図6に模式的に示すように、ノーズクリップ11周辺のフィルタ部2や接顔体3を装着者の顔面にフィットさせた状態で強固に固定する。これにより、マスク1の使用時に、装着者の鼻部周辺の位置決めを維持できる。さらに、掛け紐4の張力がノーズクリップ11を装着者の顔面方向に押圧する力として作用することで、突起部8d,8dを弾性変形させて装着者の鼻部にフィットさせ、突起部8d,8dを装着者の鼻部の両側に密着した状態で一層強固に固定する。これにより、マスク1の使用時に、マスク1と装着者の鼻部近傍に隙間ができることによる、外部の花粉やほこり等の粒子の内部への流入や、装着者の呼気に含まれる飛沫等の粒子の外部への漏出が起こることを防止できる。
【0057】
なお、
図5に模式的に示すように、突起部8d,8dが装着者の鼻部の両側に密着させた状態で、突起部8d,8dが装着者の鼻部周辺のフィルタ部2を外側に押圧する。そして、装着者の鼻部及び口部とフィルタ部2との間に空間を形成することにより、装着状態で装着者が呼吸をした際に装着者の鼻部や口部にフィルタ部2が張りつく事態を抑止できる。これにより、装着者が息苦しさを感じる事態が抑止される。
【0058】
また、掛け紐4の張力は、掛け紐4の他端4b,4bの間に位置するフィルタ部2の伸延部10を装着者の顔方向に押圧する力として作用するので、
図6に模式的に示すように、伸延部10を含むマスク1の下端側のフィルタ部2を装着者の顔面にフィットさせた状態で強固に固定する。これにより、マスク1の使用時における、マスク1の下方と装着者の顎部近傍に隙間ができることによる、外部の花粉やほこり等の粒子の内部への流入や、装着者の呼気に含まれる飛沫等の粒子の外部への漏出が起こることを防止できる。
【0059】
さらに、この状態で、マスク1のフィルタ部2の上側ひだ5aや下側ひだ5bが広がり、フィルタ部2は、装着者の顔の凹凸形状に沿った状態となる。これにより、装着者は、良好なフィット感のもとでマスク1を使用し、外部の花粉やほこり等の粒子の内部への流入や、装着者の呼気に含まれる飛沫等の粒子の外部への漏出を防止できる。
【0060】
さらに、使用後は、装着者は掛け紐4を耳から外し、突起部8d,8dの第一横スリット8b,8b、第二横スリット8c,8cの位置の折り曲げを開いて平板状の上片部8,8の状態に戻し、また、ノーズクリップ11を略V字状から平板状の形状に戻し、上部ひだ9aや下部ひだ9aを折り畳んだ状態に戻す。これにより、マスク1は嵩張らずに収容したり保管したりできる平板形状に戻すことができる。
【0061】
以上、本実施形態においては、弾性を有する接顔体3の少なくとも一部には、顔面への装着時に顔面の少なくとも鼻部周辺に当接すると共にフィルタ部2を押圧し、フィルタ部2を顔面の凹凸に適合した立体的な形状に形成させる突起部8d,8dが設けられたことにより、装着者がマスク1を装着した際に接顔体3が弾性変形してフィルタ部2が顔面の凹凸に沿った立体的な形状となった状態を形成し維持できる。また、突起部8d,8dが顔面の少なくとも鼻部周辺に当接し弾性変形することにより、マスク1の鼻部周辺には立体的な形状の突起部8d,8dが装着者の鼻部の大きな面積にわたって密着した状態となり、凹凸の大きい鼻部周辺とマスク1との間に隙間ができることを抑止できる。これにより、装着者の顔面への良好な密着性を確保することができる。
【0062】
また、本実施形態においては、上方から下方に突出する突片形状を呈する上片部8,8が設けられ、上片部8,8の少なくとも一部が立体形状を呈するように折り曲げられて突起部8d,8dが形成されていることにより、板状の部材からなる上片部8,8で立体形状の突起部8d,8dを形成できる。そのため、汎用的な板状の生地や素材から突起部8d,8dを形成できる。また、不使用時に突起部8d,8dを板状の上片部8,8にしてマスク1を嵩張らない状態とすることも可能となる。これにより、装着者の顔面への良好な密着性を確保できるマスク1を、汎用的な生地や素材を用いて容易に製造することが可能となり、不使用時に嵩張らない状態とすることも可能となる。また、上片部8,8を折り曲げて突起部8d,8dとすることで、突起部8d,8dが鼻部周辺のフィルタ部2を外側に押し広げ、鼻部周辺や口部周辺とフィルタ部2との間に空間が形成される。これにより、装着者が呼吸をするときの通気抵抗が少なくなり、装着者の息苦しさを低減させることができる。
【0063】
また、本実施形態においては、上片部8,8は、突出の幅方向を狭める方向に形成された第一横スリット8b,8b及び第二横スリット8c,8cを基準に折り曲げられて突起部8d,8dを形成することにより、上片部8,8の折り曲げ位置の決定と折り曲げが容易になり、マスク1の使用形状の形成を容易にし、マスク1の使用の利便性を高めることができる。
【0064】
また、本実施形態においては、フィルタ部2、及び/又は、接顔体3を鼻部の形状に沿って屈曲させた状態を維持するノーズクリップ11が設けられたことにより、ノーズクリップ11をV字状に折り曲げることで、マスク1の、装着者の鼻部分に対応する部分周辺を鼻部分の凹凸に沿った形状に形成して形状を維持することが容易になる。そして、フィルタ部2や接顔体3と装着者の鼻部周辺との密着性が一層良好になる。また、突起部8d,8dは、鼻の位置の両側に一対設けられ、ノーズクリップ11は、両端部のそれぞれが一対の突起部8d,8dのそれぞれの配設位置の上側に位置するように構成されたことにより、ノーズクリップ11をV字状に折り曲げるだけで突起部8d,8dを装着者の鼻部に押圧させた状態を簡単に形成して維持させることができる。そのため、ノーズクリップを折り曲げるという簡単な手順のみで、突起部8d,8dを装着者の鼻部周辺に押圧させて弾性変形させ、突起部8d,8dを装着者の鼻部に密着させた状態を維持することができる。そして、突起部8d,8dと装着者の鼻部周辺との密着性が一層良好になる。これにより、簡素な装着手順で、装着者の顔面への良好な密着性が確保されるマスク1を提供できる
また、本実施形態においては、掛け紐4の上側の一端4aと、フィルタ部2、及び/又は、接顔体3と、の接合位置は、上下方向の位置が、ノーズクリップ11の配設位置に略等しいことにより、掛け紐4の上側の一端4a左右方向への引張り力がノーズクリップ11の顔面方向への押圧力となって作用し、突起部8d,8dと装着者の鼻部周辺との密着性が一層良好になる。これにより、装着者の顔面への良好な密着性を確保することができる。
【0065】
また、本実施形態においては、接顔体3の下側には、接顔体3よりも下方に伸延した伸延部10が形成され、掛け紐4の下側である他端4bは、伸延部10にてフィルタ部2に接合されることにより、掛け紐4の下側である他端4bの左右方向への引張り力が接顔体3の顔面方向への押圧力となって作用し、突起部8d,8dと装着者の鼻部及び口部周辺との密着性が一層良好になる。これにより、装着者の顔面への良好な密着性を確保することができる。
【0066】
なお、本実施形態においては、上片部8の全部が突起部8dを形成する構成としたが、これに限定されず、上片部8の一部、たとえば上片部8の上端部側のみ、下端部側のみ、内側のみなどが折り曲げられて突起部8dを形成するものでもよい。また、突起部8dは、一対の上片部8,8の双方が突起部8d,8dとして形成される必要はなく、一対の上片部8,8のうちの一方のみが突起部8dとして形成されるように構成してもよい。
【0067】
さらに、本実施形態の突起部8dの突起形状は側面視略三角形としたが、これに限定されず、側面視略V字状、略U字状、略W字状、略コの字状など、どのような形状でもあってもよい。また、本実施形態では、上片部8を第一横スリット8b,8b、第二横スリット8c,8cのある位置で折り曲げることで突起部8dが形成されたが、これに限定されず、上片部8の一部がフィルタ部2の他の部分や、接顔体3に設けられた固定部(図示せず)に固定されることで突起部8dが形成される構成であってもよい。さらにまた、突起部8dは、上片部8を折り曲げて形成するものに限定されず、予め突起状に形成されていてもよい。
【0068】
また、本実施形態の突起部8d,8dは、上片部8,8を上述の場合とは逆方向に折り畳むことで形成することもできる。たとえば、上片部8,8を第一横スリット8b,8b、第二横スリット8c,8cのある位置で内側に(折り目が装着時の装着者の顔面側に来るように)折り曲げる。そして、折り曲げたのち、端部(折り曲げる前に下端部だった部分を、フィルタ部2の上部ひだ9aの折り目部分に挿入して、折り曲げた形状を固定する。これにより、一対の上片部8,8は、側面視略V字形の一対の突起部8d,8dとして形成される。このように、上片部8,8の端部を上部ひだ9aや下部ひだ9aの折り目部分に挿入して固定すると、突起部8d,8dの外側方向への押圧によるフィルタ部2の外側への膨出の大きさを小さくすることができる。
【0069】
さらにまた、本実施形態の突起部8dに替えて、あるいは本実施形態の突起部8dと共に、下片部9の一方又は双方、あるいは、接顔体3の上片部8や下片部9以外のいかなる部分に、装着時の顔面との密着性を高める目的の突起部(図示せず)が設けられていてもよい。
【0070】
また、下片部9の一部または全部を折り曲げたり折り返したりして下片部9の一部又は全部を装着者の顔面に当接させ、下片部9を、強い接圧と高い密着性をもって装着者の顔面に当接させ、顎部や顎部近傍のマスク1の密着性や気密性を高めることもできる。この場合、下片部9を装着者の顔面方向(内側方向)に折り返してもよいし、フィルタ部の方向(外側方向)に折り返してもよいし、本実施形態の上片部8と同様に下片部9を複数回折るなどの加工を施して突起部(図示せず)を形成し、この突起部を装着者の顔面に当接させる構成としてもよい。この場合の突起部(図示せず)の側面視形状は略V字型、略三角形、略U字型、略コの字型等、どのようなものでもよい。さらに、本実施形態の上片部8の縦スリット8a、第一横スリット8b,8b、第二横スリット8c,8cと同様に、折り曲げやすくするための構成を下片部9に設けてもよい。
【0071】
また、本実施形態においては、上片部8の一部に、突起部8dを形成する際に折り曲げやすくするための一対の第一横スリット8b,8b、一対の第二横スリット8c,8cが設けられたが、折り曲げやすくするための構成として、第一横スリット8b,8b、第二横スリット8c,8c以外のいかなる構成が設けられていてもよい。たとえば、第一横スリット8b,8b、第二横スリット8c,8cの一方又は双方に替えてヒンジ部や孔部が形成されていてもよいし、予め折り目がつけられていてもよい。また第一横スリット8b,8b、一対の第二横スリット8c,8cは、それぞれ一対に限らず、1つだけでもよいし、3つ以上設けられていてもよい。さらには、上片部8を折り曲げるための構成として、第一横スリット8b,8b、及び、第二横スリット8c,8cのうちの一方だけが設けられていてもよい。
【0072】
また、本実施形態においては、上片部8に縦スリット8aが設けられて側部環状部7aよりも上側まで折り曲げて突起部88dを形成できる構成としたが、この縦スリット8aが存在しないものを折り曲げて突起部88dを形成する構成であってもよい。
【0073】
また、本実施形態においては、「突出片部」としての上片部8が側部環状部7aよりも下方まで突出している構成としたが、「突出片部」は外見上他の構成よりも突出している必要はなく、折り曲げる等の加工をすることで「突起部」を形成できる構成であれば、どのような態様のものであってもよい。たとえば、
図7の接顔体3の概念図に示すように、環状部7の一部を構成しつつ、外見上の端部は隣接する構成の端部の延長線上に存在するが、縦スリット8aよりも内側部分を第一横スリット8b,8b、及び、第二横スリット8c,8cに沿って折り曲げることで突起部(
図7に図示せず)を形成できるように構成された片部8eが「突出片部」であってもよい。
【0074】
また、本実施形態では、一対の掛け紐4を装着者の左右の耳部にそれぞれ掛止するようにしたが、これに限らず装着者の頭部に掛け回す上下各一条の紐であってもよい。
【0075】
また、本実施形態では、フィルタ部2の上下方向に上側ひだ5aと下側ひだ5bをそれぞれ二条ずつ形成した例について説明したが、これに限定することなく、上側ひだ5aと下側ひだ5bをそれぞれ一条ずつ形成してもよく、またフィルタ部2の中央付近において幅広に1組だけ山折り、谷折りがされているものでもよい。さらに、フィルタ部2の上側に上側ひだ5aのみが形成された構成や、フィルタ部2の下側に下側ひだ5bのみが形成された構成であってもよい。さらにまた、上側ひだ5aと下側ひだ5bが両方とも上側に突出したひだであったり、両方とも下側に突出したひだであったりしてもよい。また、複数条の上側ひだ5aが上側に突出したひだと下側に突出したひだが混在して構成であったり、複数条の下側ひだ5bが上側に突出したひだと下側に突出したひだが混在して構成であったりしてもよい。
【0076】
また、本実施形態では、フィルタ部2を略矩形、接顔体3を略五角形に形成した例について説明したが、これに限定することなく、その他の多角形に形成したものでもよい。
【0077】
そして、本実施形態に限定されることなく、フィルタ部2を縦方向に広げると、接顔体3が上下に追随するように弾性変形するとともに、接顔体3の左右が弾性変形して顔面の形状に沿って密着するように構成されているものであれば、如何なる構成のものであってもよい。
【0078】
上記実施形態は本発明の例示であり、本発明が上記実施の形態のみに限定されるものではないことは、いうまでもない。
【符号の説明】
【0079】
1…マスク
2…フィルタ部
3…接顔体
4…掛け紐
4a…一端
4b…他端
7…側辺部
7a…直線側辺部
7b…傾斜側辺部
8…上片部(突出片部、突起部)
8b・・・第一横スリット(切り欠き部)
8c・・・第二横スリット(切り欠き部)
8d・・・突起部
8e・・・片部(突出片部)
10・・・伸延部
11・・・ノーズクリップ