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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】工具ホルダモジュール
(51)【国際特許分類】
   B23B 29/24 20060101AFI20240422BHJP
   B23B 25/06 20060101ALI20240422BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20240422BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20240422BHJP
   B23Q 17/09 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
B23B29/24 Z
B23B25/06
B23Q11/00 F
B23Q17/00 G
B23Q17/09 B
【請求項の数】 6
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020117800
(22)【出願日】2020-07-08
(65)【公開番号】P2021035717
(43)【公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-03-07
(31)【優先権主張番号】102019000011289
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】518006189
【氏名又は名称】エンメ.ティー.ソシエタ、ア、レスポンサビリタ、リミタータ
【氏名又は名称原語表記】M.T. S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】ジャンルカ、マルケッティ
(72)【発明者】
【氏名】パオロ、レオナルディ
(72)【発明者】
【氏名】バレンティーノ、タルディーニ
(72)【発明者】
【氏名】オレフ、ロジンスキー
(72)【発明者】
【氏名】ルイージ、デ、シモーネ
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-040202(JP,A)
【文献】特許第7355284(JP,B1)
【文献】特許第7361801(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 29/24-29/34
B23B 25/06
B23Q 11/00
B23Q 17/00
B23Q 17/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
数値制御旋盤の工具ホルダタレット(2)に装着可能な工具ホルダモジュール(1)であって、
-前記工具ホルダタレット(2)に脱着自在に取付可能な支持体(3)であって、前記工具ホルダモジュール(1)に結合可能であるとともに前記工具ホルダモジュール(1)により駆動可能な工具を支持するための支持体(3)と、
-前記支持体(3)に回転可能に支持されるとともに前記工具ホルダタレット(2)の動力取出装置に接続可能な駆動シャフト(4)であって、前記工具を駆動するための駆動シャフト(4)と、
-前記支持体(3)に脱着自在に取付可能なスマートデバイス(5)であって、前記工具ホルダモジュール(1)に関するデータを検出するとともにクラウドコンピューティングシステム(6)と通信するためのスマートデバイス(5)と、を備え、
前記スマートデバイス(5)は、前記クラウドコンピューティングシステム(6)に直接接続され、セルラー通信ネットワーク(7)により前記クラウドコンピューティングシステム(6)と通信するSIMカード(S)を備え、
前記スマートデバイス(5)は、
前記工具ホルダモジュール(1)に含まれる回転可能な要素の回転速度に関する前記工具ホルダモジュール(1)のデータ、特に前記駆動シャフト(4)の回転速度に関する前記工具ホルダモジュール(1)のデータを検出するように構成された回転センサ(8)と、
前記工具ホルダモジュール(1)の動作温度に関する前記工具ホルダモジュール(1)のデータを検出するように構成された温度センサ(9)と、
前記工具ホルダモジュール(1)の加速度に関する前記工具ホルダモジュール(1)のデータを検出するための加速度センサ(10)と、
GPSアンテナ(12)が設けられたGPSモジュール(11)であって、前記工具ホルダモジュール(1)の地理的位置に関する前記工具ホルダモジュール(1)のデータを検出するためのGPSモジュール(11)と、
LTEアンテナ(14)が設けられたLTEモデム(13)であって、前記セルラー通信ネットワーク(7)に接続するためのLTEモデム(13)と、
のうちの少なくとも1つを更に備える、
ことを特徴とする工具ホルダモジュール(1)。
【請求項2】
前記スマートデバイス(5)は、前記スマートデバイス(5)の動作ロジックを含むソフトウェアが内部に存在するマイクロコントローラ(15)を備え、
前記マイクロコントローラ(15)は、存在する場合、前記回転センサ(8)、前記温度センサ(9)、前記加速度センサ(10)、前記GPSモジュール(11)、前記GPSアンテナ(12)、前記LTEモデム(13)、前記LTEアンテナ(14)、前記SIMカード(S)と通信するように構成されている、
請求項1に記載の工具ホルダモジュール(1)。
【請求項3】
前記スマートデバイス(5)は、前記マイクロコントローラ(15)、並びに、存在する場合、前記回転センサ(8)、前記温度センサ(9)、および前記加速度センサ(10)に給電するための無線充電式バッテリ(16)を備える、
請求項2に記載の工具ホルダモジュール(1)。
【請求項4】
前記スマートデバイス(5)は、
-前記スマートデバイス(5)、前記マイクロコントローラ(15)、前記バッテリ(16)、並びに、存在する場合、前記回転センサ(8)、前記温度センサ(9)、前記加速度センサ(10)、前記GPSモジュール(11)、前記GPSアンテナ(12)、前記LTEモデム(13)、および前記LTEアンテナ(14)の電気回路を収容するための収容体(17)と、
-前記収容体(17)に脱着自在に取付可能なカバー(18)と、
-前記収容体(17)が前記カバー(18)により閉鎖されているときに、前記収容体(17)と前記カバー(18)との間に介在されて前記収容体(17)をシールするためのガスケット(19)と、を更に備える、
請求項3に記載の工具ホルダモジュール(1)。
【請求項5】
前記収容体(17)は、金属または耐熱プラスチックで作製され、前記カバー(18)は、電磁波を透過する材料で作製されている、
請求項4に記載の工具ホルダモジュール(1)。
【請求項6】
前記スマートデバイス(5)は、低電力広域LPWAタイプ、またはNB-IoTタイプ、またはLTE-Mタイプ、または同様のセルラー通信プロトコルによって、前記セルラー通信ネットワーク(7)と通信するように構成されている、
請求項1から5のいずれか一項に記載の工具ホルダモジュール(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、数値制御旋盤の工具ホルダタレットに装着可能であるとともにこの工具ホルダタレットにより駆動可能である工具ホルダモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
数値制御旋盤の工具ホルダタレットに装着可能な工具ホルダモジュールであって、工具ホルダタレットに脱着自在に取付可能な支持体であって、工具ホルダモジュールに結合可能である工具を支持するための支持体と、支持体に回転可能に支持されるとともに工具ホルダタレットの動力取出装置(パワーテークオフ)に接続可能な駆動シャフトであって、工具を駆動するための駆動シャフトと、工具ホルダモジュールに取り付けられたデータ取得収集デバイスであって、例えば駆動シャフトの回転速度、工具ホルダモジュールが受ける加速度、工具ホルダモジュール内の湿度等の工具ホルダモジュールの動作に関するデータを取得し、これらのデータをデータ取得収集デバイスに含まれるローカルメモリに保存するためのデータ取得収集デバイスと、を備える工具ホルダモジュールが知られている。ローカルメモリに保存されたデータは、オペレータによりデータ取得収集デバイスのローカルメモリに物理的に接続され得る例えばSSD(ソリッドステートディスク)タイプの持ち運び可能な記憶デバイスに、オペレータによってダウンロードされる、または、NFC(近距離無線通信)アンテナおよびクラウドと通信するための対応するモバイルアプリケーション(「アプリ」)が設けられたスマートフォンまたはタブレットを使用するオペレータによりクラウドに送信される、または、工具ホルダタレットに直接設置された、またはその付近に設置された送受信機にブルートゥースにより送信され、そこからクラウドに送信される。
【0003】
上述の工具ホルダモジュールの欠点は、デバイスのローカルメモリに日々保存されたデータにアクセスするために、オペレータが工具ホルダモジュールにアプローチして相互作用することにより介入しなければならない場合がある、または、工具ホルダタレットにアンテナおよびブルートゥースゲートウェイを設けることにより工具ホルダタレットのハードウェアと、工具ホルダモジュールからのデータを調べたり処理したりするために工具ホルダタレットのソフトウェアとの両方をアップデートしなければならない場合があるという点にある。
【0004】
後者の場合、ブルートゥースを介して工具ホルダモジュールを工具ホルダタレットに連結する必要があるとともに、工具ホルダモジュールをある工具ホルダタレットから別の工具ホルダタレットに移動させる度に、または工具ホルダモジュールの倉庫から取り出す度に、この連結を繰り返す必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、数値制御旋盤の工具ホルダタレットに装着可能であるとともにこの工具ホルダタレットにより駆動可能である工具ホルダモジュールを改良することである。
【0006】
本発明の更なる目的は、上述の欠点がなく、簡単かつ安価に製造される工具ホルダモジュールを提供することである。
【0007】
これらの目的およびその他の目的は、以下に記載される1つ以上の請求項に開示されるような工具ホルダモジュールにより達成される。
【0008】
本発明は、非限定的な例としてその実施形態を図解する添付図面を参照することにより、より良く理解され実施され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明による工具ホルダモジュールの斜視図である。
図2図2は、工具ホルダタレットに装着された工具ホルダモジュールの斜視図である。
図3図3は、本発明による工具ホルダモジュールに含まれるスマートデバイスを構成する部品、およびこのスマートデバイスが通信するように構成された要素を概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1図2および図3を参照すると、図示しない数値制御旋盤の工具ホルダタレット2に装着可能な工具ホルダモジュール1が示されている。
【0011】
工具ホルダモジュール1は、工具ホルダタレット2に脱着自在に取付可能な支持体3であって、工具ホルダモジュール1に結合可能であるとともに工具ホルダモジュール1により駆動され得る図示しない工具を支持するための支持体3を備えている。工具は、例えば、フライス工具、立て削り用工具、切削工具、ブローチ工具等であり得る。
【0012】
工具ホルダモジュール1は、支持体3により回転可能であるとともに工具ホルダタレット2の図示しない動力取出装置に接続可能な駆動シャフト4であって、工具ホルダモジュール1に結合された工具を回転等により駆動するための駆動シャフト4を備えている。
【0013】
また、工具ホルダモジュール1は、支持体3に脱着自在に取付可能なスマートデバイス5であって、工具ホルダモジュール1に関するデータを検出し、かつクラウドコンピューティングシステム6と通信するためのスマートデバイス5を備えている。
【0014】
図3に主要構成部品が概略的に開示されたスマートデバイス5は、クラウドコンピューティングシステム6に直接接続され、セルラー電気通信ネットワーク7によりクラウドコンピューティングシステム6と通信するSIM(加入者識別モジュール)カードSを備えている。
【0015】
本文脈において、SIMカードは、セルラーデバイスに挿入されて、IMSI(国際モバイル加入者識別情報)を安全に保存することを可能にするスマートカードを意味している。IMSIは、GSMまたはUMTSネットワークの全ての携帯電話ユーザに関連付けられた、携帯電話ユーザの国際識別情報を構成する一意の番号である。SIMカードは、携帯電話事業者が加入者に音声およびデータサービスへの接続を提供しつつその制御を保証するように使用される。
【0016】
また、本文脈において、セルラー電気通信ネットワークは、それぞれが異なる電気通信局に施設された「セル」と呼ばれる非大規模の領域に分割された区域の全てのポイントでの電気通信を可能にするネットワークとして定義される。本例において、「セルラー無線可動電気通信ネットワーク」(またはより簡潔に「セルラー無線可動ネットワーク」)について、「無線セル」について、および「基地無線局」について、より具体的に述べる。セルラー無線可動ネットワークは、セルラー無線携帯電話を作製するために使用される。
【0017】
また、スマートデバイス5は、工具ホルダモジュール1に含まれる回転可能な要素の回転速度に関する工具ホルダモジュール1のデータ、特に駆動シャフト4の回転速度に関する工具ホルダモジュール1のデータを検出するように構成された回転センサ8と、工具ホルダモジュール1の動作温度に関する工具ホルダモジュール1のデータを検出するように構成された温度センサ9と、工具ホルダモジュール1の加速度に関する工具ホルダモジュール1のデータを検出するための加速度センサ10と、GPSアンテナ12が設けられたGPS(全地球測位システム)11モジュールであって、工具ホルダモジュール1の地理的位置に関する工具ホルダモジュール1のデータを検出するためのGPS11モジュールと、LTEアンテナ14が設けられたLTEモデム(ロングタームエヴォリューション)13であって、セルラー通信ネットワーク7に接続するためのLTEモデム13と、のうちの少なくとも1つを備えている。
【0018】
図示しない本発明の一実施形態において、上記のセンサに代えて、またはこれらに加えて、他のセンサ、例えば湿度センサ、振動センサ等が存在してもよい。
【0019】
特に、回転センサ8は、ホール効果タイプ、可変磁気抵抗センサ(VRS)タイプ等であり得るとともに、グリース、オイル、または冷却材の滴(水-油エマルジョン)の存在を原因とする困難な環境下で動作することができなくてはならない。
【0020】
スマートデバイス5は、スマートデバイス5の動作ロジックを含むプログラム(「ファームウェア」)が内部に設けられたマイクロコントローラ15を更に備えている。マイクロコントローラ15は、存在する場合、回転センサ8、温度センサ9、加速度センサ10、GPSモジュール11、GPSアンテナ12、LTE13モデム、LTE14アンテナ、およびSIMカードSと通信するように構成されている。
【0021】
また、スマートデバイス5は、マイクロコントローラ15、並びに、存在する場合、回転センサ8、温度センサ9、および加速度センサ10に給電するための無線充電式バッテリ16を備えている。
【0022】
スマートデバイス5は、スマートデバイス5、マイクロコントローラ15、バッテリ16、並びに、存在する場合、回転センサ8、温度センサ9、加速度センサ10、GPSモジュール11、GPSアンテナ12、LTEモデム13、およびLTEアンテナ14の図示しない電気回路を収容するための収容体17が設けられている。
【0023】
また、スマートデバイス5は、収容体17に脱着自在に取付可能な少なくとも1つのカバー18と、収容体17がカバー18により閉鎖されているときに、収容体17とカバー18との間に介在されて収容体17をシールするためのガスケット19と、を備えている。特に、収容体17は、金属、またはテフロン等の耐熱プラスチックで作製され、カバー18は、無線信号の送信/受信を促進するために、電磁波を透過する材料、例えばプラスチック、ガラス、セラミック等で作製されている。
【0024】
最後に、スマートデバイス5は、LPWA(低電力広域)タイプ、またはNB-IoT(狭帯域インターネットオブシングス)タイプ、またはLTE-M、または同様のタイプのセルラー通信プロトコルによって、セルラー通信ネットワーク7と通信するように構成されている。
【0025】
前述のクラウドコンピューティングシステム6は、セルラー通信ネットワーク7に接続されたブローカーサーバ20であって、セルラー電気通信ネットワーク7によりクラウドコンピューティングシステム6に送信される工具ホルダモジュール1に関するデータを収集し分類するためのブローカーサーバ20と、ブローカーサーバ20と通信するクラウドコンピューティング管理サーバ21であって、ブローカーサーバ20により受信した工具ホルダモジュール1に関するデータを整理するためのクラウドコンピューティング管理サーバ21と、クラウドコンピューティング管理サーバ21と通信するデータベース22であって、クラウドコンピューティング管理サーバ21から受信した工具ホルダモジュール1に関するデータを保存するためのデータベース22と、データベース22と通信するウェブサーバ23であって、データベース22に保存された工具ホルダモジュール1に関するデータをビデオ画面において収集して整理し、かつクラウドコンピューティングシステム6のユーザによりデータベース22を照会するために使用できるウェブブラウザ24へのウェブインターフェースとして機能するためのウェブサーバ23と、を少なくとも備えている。
【0026】
特に、ビデオ画面では、例えば、工具ホルダモジュール1の最初の使用日、総使用時間、設定された動作速度間隔に関する使用時間、設定された動作温度間隔に関する使用時間、落下または衝突記録、想定される過熱状態の記録、地理的位置、(例えば、工具ホルダモジュール1のタイプ、または工具ホルダモジュール1の使用タイプに基づいて)推奨される保守タスクまたは必須の保守タスクを実行するための残り時間、交換までの残り時間等を示す表示がなされ得る。
【0027】
図1の工具ホルダモジュールの動作モードを以下に開示する。
【0028】
スマートデバイス5は、バッテリ16の持続時間を可能な限り延長するようにバッテリ16のエネルギー消費が最小とされるディープスリープモードと、以下に開示される1つ以上のタスクを実行するようにスマートデバイス5が数ミリ秒間アクティブとなるウェイクアップモードとにおいて動作するように構成されている。
【0029】
特に、スマートデバイス5は、以下の場合に、ディープスリープモードからウェイクアップモードに自動的に切り替わるように構成されている。
-第1の設定時間間隔が経過した場合、または
-この第1の時間間隔の間に、例えば工具ホルダモジュール1が倉庫から取り外されて工具ホルダタレット2に装着されたことを理由として、加速度センサ10が加速度を検出した場合。
【0030】
最初のケースの場合、すなわち、第1の時間間隔が経過したときにディープスリープモードからウェイクアップモードに自動的に移行する場合、ウェイクアップモードにおいてスマートデバイス5はアクティブになり、クラウドコンピューティングシステム6によりウェブブラウザ24を介して入力されたクエリがあったかどうか、カウンタ(例えば、開始サイクルカウンタ、総使用時間カウンタ、設定された動作速度間隔に関する使用時間のカウンタ、設定された動作温度間隔に関する使用時間のカウンタ、落下または衝突カウンタ、過熱状態カウンタ等)のデータであって、速度センサ8により、温度センサ9により、および加速度センサ10により検出されたデータが変更されたかどうか、およびファームウェアの更新が要求されたかどうかをチェックする。クエリがあった場合、スマートデバイス5は、工具ホルダモジュール1の地理的位置の更新が要求されたかどうかをチェックする。そして、肯定的な場合、スマートデバイス5は、マイクロコントローラ15を介して、GPSモジュール11およびGPSアンテナ12をアクティブにして、工具ホルダモジュール1の地理的位置を検出し、相対的な地理的位置データを保存し、その後、GPSモジュール11およびGPSアンテナ12を非アクティブにする。続いて、スマートデバイス5は、工具ホルダモジュール1の検出された地理的位置データ、更新されたカウンタデータ(変更されている場合)、バッテリ16の現在のステータスを、SIMカードSによりセルラー通信ネットワーク7を介してクラウドコンピューティングシステム6に送信し、ファームウェアの更新が要求されている場合、それを実行する。その後、スマートデバイス5は、ウェイクアップモードからディープスリープモードに再び移行する。第1の時間間隔の間に、スマートデバイス5にクエリがなく、カウンタデータが変更されず、ファームウェア更新が要求されなかった場合、スマートデバイス5は、データをクラウドコンピューティングシステム6に送信することなく、ディープスリープモードに戻る。
【0031】
逆に、2番目のケースの場合、すなわち、この第1の時間間隔の間に、例えば工具ホルダモジュール1が倉庫から取り外されて工具ホルダタレット2に装着されたことを理由として、加速度センサ10が加速度を検出したときにディープスリープモードからウェイクアップモードに自動的に移行する場合、スマートデバイス5は、アクティブになり、まず、ウェイクアップ間隔を、第1の時間間隔から、第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔に短縮する。この時点で、マイクロプロセッサ15は、速度センサ8が速度データを検出しているかどうか、すなわち、工具ホルダモジュール1が動作しているかどうかをチェックする。回答が否定的である場合、すなわち、速度センサ8が速度データを検出していない場合、上述のように、第1の時間間隔が経過したときに、ディープスリープモードとウェイクアップモードとの間の移行が生じる。
【0032】
回答が肯定的である場合、すなわち、速度センサ8が速度データを検出している場合、ウェイクアップ間隔は、第2の時間間隔から、第2の時間間隔よりも短い第3の時間間隔に更に短縮され、マイクロプロセッサ15は、速度センサ8により検出された速度データを保存して、対応する速度カウンタを増加させる。速度センサ8が速度データを検出するまで、マイクロプロセッサ15は、第3の時間間隔毎に、速度センサ8により検出された速度データを保存して対応する速度カウンタを増加させ、温度センサ9により検出された温度データを読み取って対応する温度カウンタを増加させ、そして加速度センサ10により検出された加速度データを読み取って工具ホルダモジュール1が衝撃を受けたかどうかをチェックする。回答が肯定的である場合、すなわち、加速度センサ10が衝撃とみなされるような加速度データを検出した場合、マイクロプロセッサ15は、この加速度データやその事象の日時を記録し、落下または衝突カウンタを増加させる。
【0033】
速度センサ8が、第3の時間間隔の間に速度データを検出しない場合、ウェイクアップ間隔は、第3の時間間隔から第2の時間間隔に増加される。続いて、速度センサ8が、第2の時間間隔の間に速度データを検出しない場合、ウェイクアップ間隔は、第2の時間間隔から第1の時間間隔等に増加される。
【0034】
第1の時間間隔が経過して初めて、種々のカウンタのデータは、変更がなされた場合に伝達され、要求された場合に地理的位置が送信され、要求された場合にファームウェアの更新が実行され、バッテリ16のステータスが送信されるが、逆に、第2の時間間隔および第3の時間間隔が経過したとき、検出された速度、温度、加速度等のデータが検出されて保存され、対応するカウンタが増加することに留意されたい。
【0035】
本発明による工具ホルダモジュール1が、工具ホルダモジュール1とクラウドコンピューティングシステム6との間でデータ/クエリを伝達するために任意のオペレータの関与をいかに要求するかに留意されたい。
【0036】
また、本発明による工具ホルダモジュール1が、工具ホルダタレット2の製造業者に、工具ホルダモジュール1からのデータを照会したり処理したりするために工具ホルダタレット2のハードウェアおよびソフトウェアの両方を更新することを要求しないことに留意されたい。
【0037】
また、工具ホルダモジュール1が、工具ホルダモジュール1とクラウドコンピューティングシステム6との間でのデータの伝達/クエリの実行のために、既存の装置、例えば、セルラー通信ネットワーク7のアンテナやサーバをいかに使用するかに留意されたい。
【0038】
また、低電力広域LPWAタイプ、またはNB-IoTタイプ、またはLTE-Mタイプ等のセルラー通信プロトコルの使用により、いかにデータ伝達コストが減少し、バッテリ16の耐久性が向上するかに留意されたい。
【0039】
また、工具ホルダモジュール1の地理的位置が検出可能であることにより、とりわけ、工具ホルダモジュール1を非常に大規模な生産工場に迅速に配置でき、配送の問題が解決され、アラームを発信している工具ホルダモジュール1を即座に配置でき、どの工具ホルダモジュール1や何台の工具ホルダモジュール1が生産工場に設置されているかを知ること等ができる。
【0040】
また、本発明による工具ホルダモジュール1のデータ送信/受信の時間モードの間隔、すなわち不連続モードにより、バッテリ16の耐久性をいかに延長できるかに留意されたい。
【0041】
また、工具ホルダモジュール1により、ウェブブラウザ24を介して簡単にアクセス可能であるとともにウェブサーバ23により整理される、工具ホルダモジュール1の実際の使用状態に関する最終フィードバックに基づいて、いかに工具ホルダモジュール1の製造業者が製品を継続的に改善できるかに留意されたい。
【0042】
また、工具ホルダモジュール1の実際の使用状態に関する最終フィードバックにより、いかに工具ホルダモジュール1の製造業者が工具ホルダモジュール1の保証期間を、例えば、あまり使用されない場合には保証期間を延長し、不適切な使用の場合には保証期間を短縮または取り消すことで調整できるかに留意されたい。
【0043】
このように考案された本発明は、多くの修正および変形が可能であり、それらの全ては本発明の概念の範囲内にある。さらに、すべての詳細は技術的に同等の要素に置換することができる。
図1
図2
図3