(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】ノイズフィルタ
(51)【国際特許分類】
H01F 27/26 20060101AFI20240422BHJP
H03H 7/09 20060101ALI20240422BHJP
H01F 17/06 20060101ALI20240422BHJP
H05K 7/06 20060101ALI20240422BHJP
H01F 37/00 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
H01F27/26 130Q
H03H7/09 A
H01F17/06 D
H01F17/06 K
H05K7/06 C
H01F37/00 N
(21)【出願番号】P 2020124449
(22)【出願日】2020-07-21
【審査請求日】2023-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000242231
【氏名又は名称】北川工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】岡田 侑也
【審査官】馬場 慎
(56)【参考文献】
【文献】実開平3-83911(JP,U)
【文献】特開平6-29127(JP,A)
【文献】実開平5-61972(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/26
H03H 7/09
H01F 17/06
H05K 7/06
H01F 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔を有する、非分割型の磁性体コアと、
バスバーに接続可能な第1接続部及び第2接続部を両端に有し、前記貫通孔の内部に配置された導電性の連結端子と、
前記貫通孔の内部に配置された前記連結端子を保持する保持部と、
を備え、
前記連結端子は、前記第1接続部を前記貫通孔の内部から一方の開口部側に向け、かつ前記第2接続部を前記貫通孔の内部から他方の開口部側に向けた状態で、前記保持部により前記磁性体コアに保持されているノイズフィルタ。
【請求項2】
前記磁性体コアを収容し、非導電性樹脂からなるケースを備え、
前記ケースは、筒形状の貫通部を有し、前記貫通部により前記貫通孔を貫通した状態で前記磁性体コアを収容しており、
前記連結端子は、前記貫通部の内部に配置されている請求項1に記載のノイズフィルタ。
【請求項3】
前記保持部は、前記貫通孔の内部に配置される収容部を有し、前記収容部により前記連結端子を収容することで、前記貫通孔の内部に配置された前記連結端子を保持している請求項1又は2に記載のノイズフィルタ。
【請求項4】
前記保持部は、前記貫通孔の内部に配置されており、当該保持部を前記磁性体コアに係止させる係止部を有する請求項1~3のいずれか一項に記載のノイズフィルタ。
【請求項5】
前記磁性体コアを収容し、非導電性樹脂からなるケースを備え、
前記保持部は、前記貫通孔の内部に配置されており、かつ前記ケースに一体で形成されている請求項2又は3に記載のノイズフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスバーから輻射されるノイズを抑制するノイズフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、導電性のバスバーから輻射されるノイズを対策するノイズフィルタが記載されている。ノイズフィルタは、貫通孔を有する磁性体コアを備えており、バスバーを磁性体コアの貫通孔に貫通させて使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
装置内でのバスバーの取り回しを考慮して、屈曲形状のバスバーを使用する場合がある。屈曲形状のバスバーは、磁性体コアの貫通孔に挿入させようとしても、バスバーにおける屈曲する部位が貫通孔の開口縁部に干渉し、貫通孔を貫通させることができない場合がある。このような場合、例えば、磁性体コアの貫通孔の内径寸法を大きくした構成や、磁性体コアを分割構造とした構成を採用することにより、屈曲形状のバスバーを磁性体コアの貫通孔に貫通させることが考えられる。しかし、貫通孔の内径寸法を大きくするほど、磁性体コアのインピーダンスを低下させるため、ノイズフィルタのノイズ低減効果が低くなる。また、磁性体コアを分割構造とした場合、磁性体コアの透磁率が低下するため、ノイズフィルタのノイズ低減効果が低くなる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みたものであり、装置内でのバスバー形状の自由度を高めつつ、ノイズ低減効果を低下させないノイズフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明に係るノイズフィルタは、貫通孔を有する、非分割型の磁性体コアと、バスバーに接続可能な第1接続部及び第2接続部を両端に有し、貫通孔の内部に配置された導電性の連結端子と、貫通孔の内部に配置された連結端子を保持する保持部と、を備え、連結端子は、第1接続部を貫通孔の内部から一方の開口部側に向け、かつ第2接続部を貫通孔の内部から他方の開口部側に向けた状態で、保持部により磁性体コアに保持されている。
【0007】
上記構成では、一体で形成された磁性体コアの貫通孔には、バスバーと接続可能な第1接続部及び第2接続部を両端に有する導電性の連結端子が配置されている。連結端子は、貫通孔の延びる方向において、第1接続部を貫通孔の内部から一方の開口部側に向け、かつ第2接続部を貫通孔の内部から他方の開口部側に向けた状態で、保持部により貫通孔内に保持されている。これにより、1組のバスバーのうち、一方のバスバーを、貫通孔の一方の開口部側から第1接続部に接続し、他方のバスバーを、貫通孔の他方の開口部側から第2接続部に接続することで、両バスバーを連結させることができる。そのため、非分割型の磁性体コアを用いる場合でも、バスバーの屈曲形状に関わらず、一方のバスバーを流れる信号を磁性体コアの貫通孔を通過させて他方のバスバーに流すことができる。その結果、装置内でのバスバーの形状の自由度を高めつつ、ノイズフィルタにおけるノイズ低減効果を低下させないようにすることができる。
【0008】
本発明は、磁性体コアを収容し、非導電性樹脂からなるケースを備え、ケースは、筒形状の貫通部を有し、貫通部により貫通孔を貫通した状態で磁性体コアを収容しており、連結端子は、貫通部の内部に配置されていてもよい。
【0009】
本発明では、保持部は、貫通孔の内部に配置された収容部を有し、収容部により連結端子を収容することで連結端子が保持されていてもよい。これにより、連結端子と磁性体コアとの絶縁性を保った状態で、連結端子を貫通孔内で保持することができるため、バスバー間での信号の伝達を適正に行いつつ、ノイズフィルタのノイズ低減効果を低下させないようにすることができる。
【0010】
本発明では、保持部は、貫通孔の内部に配置されており、当該保持部を磁性体コアに係止させる係止部を有していてもよい。これにより、磁性体コアに対する保持部の固定力を高めることにより、連結端子を磁性体コアの貫通孔に確実に位置決めすることができるため、例えば、バスバーを介して外力が連結端子に加えられた場合でも、連結端子が磁性体コアの貫通孔から外に引き出されてしまうのを抑制し、ノイズフィルタのノイズ低減効果が低下するのを抑制することができる。
【0011】
本発明では、磁性体コアを収容し、非導電性樹脂からなるケースを備え、保持部は、貫通孔の内部に配置されており、かつケースに一体で形成されていてもよい。これにより、ケースを備えるノイズフィルタにおいて、本発明の効果を奏しつつ、部品点数の増加を抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、装置内でのバスバー形状の自由度を高めつつ、ノイズフィルタのノイズ低減効果を低下させないノイズフィルタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図6】第1方向に平行な面でのノイズフィルタの断面図。
【
図12】第2実施形態に係る、ノイズフィルタの斜視図。
【
図13】第1方向に平行な面でのノイズフィルタの断面図。
【
図14】第2方向に平行な面でのノイズフィルタの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、ノイズフィルタの実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、必要に応じて図中に併記した各方向を利用して説明を行う。具体的には、磁性体コアの貫通孔が延びる方向を第1方向とし、この第1方向に直交する方向を、おのおの第2方向、第3方向とする。ただし、これらの各方向は、ノイズフィルタを構成する各部の相対的な位置関係を簡潔に説明するために規定した方向にすぎない。実際にノイズフィルタを利用するに当たって、ノイズフィルタがどのような方向に向けられるかは任意であり、例えば、図中に示す第3方向が重力との関係で鉛直方向とは一致しない状態でノイズフィルタが使用されてもよい。
【0015】
図1及び
図2に示すノイズフィルタ10は、バスバー101,102,103,104に接続され、バスバー101~104からのノイズの輻射を抑制する装置である。具体的には、ノイズフィルタ10は、1組のバスバー101,102を連結し、不図示の回路からバスバー101に流れる信号を、磁性体コア20の貫通孔を通過させつつ、バスバー102に中継する。ノイズフィルタ10は、1組のバスバー103,104を連結し、不図示の回路からバスバー103に流れる信号を、磁性体コア20の貫通孔を通過させつつバスバー104に中継する。
【0016】
本実施形態では、バスバー101~104は、平板片を屈曲させることにより、取付座部、延設部、及び挿入部が形成されている。取付座部101a,102a,103a,104aは、バスバー101~104を、装置に固定するための端子固定用ボルトが貫通する貫通穴が形成される部位である。本実施形態では、取付座部101a~104aは、第1方向D1と第2方向D2とで規定される平面に平行な面を有している。延設部101b,102b,103b,104bは、各バスバー101~104において、取付座部101a~104aと、挿入部101c~104cとを繋ぐ部位である。本実施形態では、延設部101b~104bは、取付座部101a~104a及び挿入部101c~104cに対して所定方向に屈曲した部位である。挿入部101c,102c,103c,104cは、ノイズフィルタ10の後述する連結端子に接続される部位である。
【0017】
ノイズフィルタ10は、上述した磁性体コア20に加えて、連結端子40,50と、保持部60とを備えている。
図3は、第1方向D1に沿った面での磁性体コア20の断面図である。磁性体コア20は、非分割型であり、端面21,22を有する環形状である。磁性体コア20には、貫通孔23が形成されている。貫通孔23は、磁性体コア20の一方の端面21に形成された開口部24から、他方の端面22に形成された開口部25まで延びた貫通穴である。磁性体コア20は、軟磁性材料であるソフトフェライト、又は微細な金属を主成分とするナノ結晶軟磁性材料等を用いることができる。ナノ結晶軟磁性材料として、例えば、ファインメット(登録商標)を用いることができる。
【0018】
次に、保持部60の構成を説明する。
図4,
図5,
図6に示すように、保持部60は、連結端子40,50を、磁性体コア20の貫通孔23の内部で保持する部材である。保持部60は、連結端子40,50を収容する収容部61と、係止部65とを有している。
【0019】
収容部61は、連結端子40,50を第2方向D2に並んだ状態で収容する容器である。具体的には、収容部61の内部には、連結端子40を収容する収容空間611と、連結端子50を収容する収容空間612とが形成されている。
図6に示すように、収容空間611は、収容部61内において、第1方向D1の一方の端部に形成された開口部613から、他方の端部に形成された開口部615まで延びている。
図6に示すように、収容空間612は、収容部61内において、第1方向D1の一方の端部に形成された開口部614から、他方の端部に形成された開口部616まで延びている。
【0020】
本実施形態では、収容部61は、容器本体62と、第1蓋部63と、第2蓋部64とにより構成された分割構造である。
図7は、第2方向D2に平行な面での容器本体62の断面図である。
図8は、第2方向D2に平行な面での第1蓋部63の断面図である。
図9は、第2方向D2に平行な面での第2蓋部64の断面図である。
【0021】
容器本体62は、矩形状の壁である間仕切り壁部621と、間仕切り壁部621における第3方向D3の両端に設けられた側壁部622,623とを有している。具体的には、側壁部622,623は、間仕切り壁部621の第3方向D3の両端から、第2方向D2に延設しており、第2方向D2及び第3方向D3で規定される平面での断面が略H状となっている。そのため、
図7に示すように、容器本体62は、間仕切り壁部621の第3方向D3での一方の面を底面621aとする第1凹部66が形成されており、間仕切り壁部621の第3方向D3での他方の面を底面621bとする第2凹部67が形成されている。間仕切り壁部621の底面621aには、第2方向D2に出る保持突部625が設けられており、底面621bには、第2方向D2に出る保持突部626が設けられている。容器本体62は、非導電性であり、例えば、ポリアミド樹脂等により形成されている。
【0022】
図8に示すように、第1蓋部63は、矩形状の基部631と、基部631における第3方向D3の両端から延設する側壁部632,633とを有している。基部631における、容器本体62に向かい合う裏面には、第2方向D2に出る保持突部635が設けられている。第1蓋部63は、非導電性であり、例えば、ポリアミド樹脂等により形成されている。
図5,
図6に示すように、第1蓋部63における第1方向D1の端には、基部631及び側壁部632,633から外側に出るフランジ634が形成されている。
【0023】
図9に示すように、第2蓋部64は、矩形状の基部641と、基部641における第3方向D3の両端から延設する側壁部642,643とを有している。基部641における、容器本体62に向かい合う面である裏面には、第2方向D2に出る保持突部645が設けられている。
図5,
図6に示すように、第2蓋部64における第1方向D1の端には、基部641及び側壁部642,643から外側に出るフランジ644が形成されている。第2蓋部64は、非導電性であり、例えば、ポリアミド樹脂等により形成されている。
【0024】
係止部65は、第1,第2蓋部63,64の第1方向D1の端それぞれに形成されている(
図4,
図5)。具体的には、係止部65は、第1,第2蓋部63,64において、フランジ634,644が形成されている第1方向D1の端と反対側の端に形成されている。本実施形態では、係止部65は、基部631,641の縁を第1方向D1で切り欠くことにより形成され、第2方向D2に弾性を有する爪形状である。
【0025】
次に、連結端子40,50の構成を説明する。連結端子40,50は、各バスバーの挿入部101c~104cが挿入されることにより、バスバー101~104を連結可能な端子である。連結端子40は、バスバー101,102の各挿入部101c,102cが挿入され、連結端子50は、バスバー103,104の各挿入部103c,104cが挿入される。連結端子40,50は、銅などの導電性部材により形成されており、特に、リン青銅等の弾性を有する材料が好ましい。
【0026】
図5,
図10に示すように、連結端子40は、第1接続部41と、第2接続部42と、被保持部43とを有している。被保持部43は、第1接続部41と第2接続部42との間に位置し、第1方向D1で開口する直方体形状の部位である。
図10に示すように、被保持部43は、第2方向D2に向く平行な面である保持面43a,43bを有している。保持面43a,43bのうち、保持面43aには保持穴48が形成されており、保持面43bには保持穴49が形成されている。なお、
図10では、保持穴48,49を破線により図示している。収容部61を組み付ける際、保持穴48は、第1蓋部63の保持突部635が挿入し、保持穴49には、容器本体62の保持突部625が挿入する。
【0027】
第1接続部41は、被保持部43における第1方向D1での一方の縁から延設し、バスバーを両面で把持する弾性片44,45により構成されている。弾性片44,45は、薄板形状であり、バスバーを把持する方向(即ち、第2方向D2)において、弾性を有している。弾性片44は保持面43aの一方の縁から延設し、弾性片45は、保持面43bの一方の縁から延設しており、弾性片45と弾性片46とが対になり、バスバーを両面で把持する。本実施形態では、第1接続部41として、3対の弾性片44,45が第3方向D3に並んで被保持部43から延設している。
【0028】
第2接続部42は、被保持部43における第1方向D1での他方の縁から延設し、バスバーを両面で把持する弾性片46,47により構成されている。弾性片46,47は、薄板形状であり、バスバーを把持する方向(即ち、第2方向D2)において、弾性を有している。弾性片46は保持面43aの他方の縁から延設しており、弾性片47は保持面43bの他方の縁から延設しており、弾性片46と弾性片47とが対になり、バスバーを両面で把持する。本実施形態では、第2接続部42として、3対の弾性片46,47が第3方向D3に並んで被保持部43に設けられている。
【0029】
図5,
図11に示すように、連結端子50は、第1接続部51と、第2接続部52と、被保持部53とを有している。本実施形態では、連結端子50は、連結端子40と同じ形状である。即ち、被保持部53は、第1接続部51と第2接続部52との間に位置し、第1方向D1で開口する直方体形状の部位である。
図11に示すように、被保持部53は、第2方向D2に向く平行な面である保持面53a,53bを有している。保持面53a,53bのうち、保持面53aには保持穴58が形成され、保持面53bには保持穴59が形成されている。なお、
図11では、保持穴58,59を破線により図示している。収容部61を組付ける際、保持穴58は、第2蓋部64の保持突部645が挿入し、保持穴59には、容器本体62の保持突部625が挿入する。
【0030】
第1接続部51は、被保持部53における第1方向D1での一方の縁から延設し、バスバーを両面で把持する弾性片54,55により構成されている。弾性片54,55は、薄板形状であり、バスバーを把持する方向(即ち、第2方向D2)において、弾性を有している。弾性片54は、保持面53aの一方の縁から延設し、弾性片55は、保持面53bの一方の縁から延設しており、弾性片55と弾性片56とが対になり、バスバーを両面で把持する。本実施形態では、第1接続部51として、3対の弾性片54,55が第3方向D3に並んで被保持部53から延設している。
【0031】
第2接続部52は、被保持部53における第1方向D1での他方の縁から延設し、バスバーを両面で把持する弾性片56,57により構成されている。弾性片56,57は、薄板形状であり、バスバーを把持する方向(即ち、第2方向D2)において、弾性を有している。弾性片56は保持面53aの他方の縁から延設しており、弾性片57は保持面53bの他方の縁から延設しており、弾性片56と弾性片57とが対になり、バスバーを両面で把持する。本実施形態では、第2接続部52として、3対の弾性片56,57が第3方向D3に並んで被保持部53から延設している。
【0032】
次に、
図5,
図6を用いて、ノイズフィルタ10の組付けの手順を説明する。
まず、容器本体62の第1凹部66内に連結端子40を収容した状態で、容器本体62の第1凹部66の開口部側に第1蓋部63を嵌め合わせる。これにより、第1凹部66の内側と、第1蓋部63の裏面とにより、連結端子40が収容される収容空間611が形成される。このとき、連結端子40は、被保持部43の保持穴49に、容器本体62の保持突部625が挿入され、被保持部43の保持穴48に第1蓋部63の保持突部635が挿入される。これにより、連結端子40は、第1方向D1において、第1接続部41が、開口部613側に向き,かつ第2接続部42が開口部615側に向いた状態で、収容部61の収容空間611に保持される。また、連結端子40は、第2方向D2に出る保持突部625,635により第1方向D1での動きが規制された状態で収容空間611に保持される。
【0033】
収容部61では、容器本体62の第2凹部67内に連結端子50を収容した状態で、容器本体62の第2凹部67の開口部側に第2蓋部64を嵌め合わせる。これにより、第2凹部67の内側と、第2蓋部64の裏面とにより、連結端子50が収容される収容空間612が形成される。このとき、連結端子50は、被保持部53の保持穴59に、容器本体62の保持突部626が挿入され、被保持部53の保持穴58に第2蓋部64の保持突部645が挿入される。これにより、連結端子50は、第1方向D1において、第1接続部51が開口部614側を向き、かつ第2接続部52が開口部616側を向いた状態で、収容部61内の収容空間612に保持される。また、連結端子50は、第2方向D2に出る保持突部626,645により第1方向D1での動きが規制された状態で収容空間612に保持される。
【0034】
そして、磁性体コア20の貫通孔23に、収容部61を係止部65が形成された側から挿入する。このとき、貫通孔23を通過した係止部65は、貫通孔23の開口部24の縁部に係止する。即ち、係止部65により、収容部61が磁性体コア20の貫通孔23内に確実に保持される。また、収容部61のフランジ634,644が磁性体コア20の開口部25の縁部に突き当たることにより、収容部61の挿入が規制される。
【0035】
次に、ノイズフィルタ10によりバスバーを連結させる手順を説明する。
バスバー101の挿入部101cを、収容部61の開口部613から、第1接続部41の弾性片44,45の間に挿入し、バスバー102の挿入部102cを、収容部61の開口部615から、第2接続部42の弾性片46,47の間に挿入する。これにより、バスバー101とバスバー102とは、磁性体コア20の貫通孔23内に配置された連結端子40により連結される。
【0036】
バスバー103の挿入部103cを、収容部61の開口部614から、第1接続部51の弾性片54,55の間に挿入し、バスバー104の挿入部102cを、収容部61の開口部616から、第2接続部52の弾性片56,57の間に挿入する。これにより、バスバー103とバスバー104とは、磁性体コア20の貫通孔23内に配置された連結端子50により連結される。
【0037】
ここで、バスバー101~104の挿入部101c~104cは、弾性片である第1,第2接続部41,42により把持されるため、連結端子40,50との間の電気的な接点を保ったまま挿入部101c~104cの面に平行な方向に移動させることができる。同様に、バスバー101~104は弾性片44~47,54~57により把持される方向(即ち、第2方向D2)においても、弾性片の変位に伴い若干移動させることができる。これにより、第1接続部41,51により把持される側のバスバー101,103と、第2接続部42,52により把持されるバスバー102,104との間で、若干の位置ずれが生じている場合でも、このずれを吸収した状態で、バスバー間を連結させることができる。
【0038】
以上説明した本実施形態では、以下の効果を奏することができる。
ノイズフィルタ10は、第1接続部41,51を磁性体コア20の貫通孔23の内部から一方の開口部に向け、第2接続部42,52を貫通孔23の内部から他方の開口部に向けた状態で、連結端子40,50を貫通孔23内に保持する保持部60を備えている。これにより、2つのバスバーのうち、一方のバスバーを、磁性体コア20の貫通孔23の一方の開口部から露出する第1接続部41により接続し、他方のバスバーを、貫通孔23の他方の開口部から露出する第2接続部42により接続することで、両バスバーを電気的に連結させることができる。そのため、バスバーの屈曲形状に関わらず、一方のバスバーを流れる信号を磁性体コア20の貫通孔23を通過させて他方のバスバーに流すことができる。その結果、装置内でのバスバーの形状の自由度を高めつつ、ノイズフィルタ10のノイズ低減効果を低下させないようにすることができる。
【0039】
ノイズフィルタ10の保持部60は、貫通孔23の内部に配置された収容部61を有し、収容部61により連結端子40,50を収容することで連結端子40,50が磁性体コア20に保持されている。これにより、連結端子40,50と磁性体コア20との絶縁性を保った状態で、連結端子を貫通孔内で保持することができるため、バスバー間での信号の伝達を適正に行いつつ、ノイズフィルタ10のノイズ低減効果を低下させないようにすることができる。
【0040】
保持部60は、貫通孔23の内部に配置されており、当該保持部60を磁性体コア20に係止させる係止部65を有している。これにより、磁性体コアに対する保持部60の固定力を高めることで、連結端子40,50を磁性体コア20に確実に位置決めすることができるため、例えば、バスバーを介して外力が連結端子40,50に加えられた場合でも、連結端子40,50が磁性体コア20の貫通孔23の外に引き出されてしまうのを抑制し、ノイズフィルタ10のノイズ低減効果が低下するのを抑制することができる。
【0041】
(第1実施形態の変形例)
・上述した第1実施形態では、連結端子40,50は、被保持部43,53に形成された保持穴を有し、収容部61は、保持穴に挿入する保持突部を有していた。これに代えて、連結端子40,50は、被保持部43,53に保持突部を有し、収容部61は、保持穴を有していてもよい。
【0042】
・上述した第1実施形態では、保持部60は、係止部65を備えていた。これに代えて、保持部60は、係止部65を備えていなくともよい。また、保持部60は、2つの係止部65を備えることに代えて、1つの係止部65を備える構成であってもよい。
【0043】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態と異なる構成を主に説明を行う。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同一の箇所には同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0044】
本実施形態では、
図12に示すように、ノイズフィルタ10は、磁性体コア20を収容するケース70を備えている。また、連結端子を保持する保持部は、ケース70に一体で形成されている。
図13は、本実施形態に係るノイズフィルタ10における第1方向D1に平行な面での断面図であり、
図14は、本実施形態に係るノイズフィルタ10における第2方向D2に平行な面での断面図である。
【0045】
図13,
図14に示すように、ケース70は、ケース本体71と、蓋部72とを備えている。ケース70は、非導電性樹脂により形成されており、例えば、ポリアミド樹脂を材料に用いることができる。ケース本体71は、外側筒部711と、貫通筒部712と、底面713と、間仕切り壁714とを有している。外側筒部711は、底面713の一方の面から第1方向D1に延びる筒形状の部位である。外側筒部711における、底面713と反対側の端は開口している。貫通筒部712は、外側筒部711の内部において、底面713の一方の面から、外側筒部711の延びる向きと同じ向きに延びる筒形状の部位である。具体的には、貫通筒部712の外径寸法は、外側筒部711の外径寸法よりも小さい。これにより、外側筒部711の内周面と、貫通筒部712の外周面との間には、磁性体コア20が収容される収容空間715が形成されている。
【0046】
図14に示すように、間仕切り壁714は、貫通筒部712の内部を間仕切るように延びる板状の部位である。これにより、貫通筒部712の内側には、間仕切り壁714により区切られた2つの端子収容空間が形成されている。
【0047】
蓋部72は、中央に開口部を有する環状の部材である。蓋部72は、ケース本体71における底面713と反対側の端において、外側筒部711と貫通筒部712との間に形成された収容空間715の開口部を覆うように、ケース本体71に取り付けられている。
【0048】
ケース70には、保持部160が一体で形成されている。本実施形態では、保持部160は、貫通筒部712の内部において間仕切り壁714により区切られた2つの端子収容空間のそれぞれに設けられている。具体的には、保持部160は、延設片161と、係止片162とを有している。延設片161は、貫通筒部712の内周面から内向きに延びる片状の部位である。係止片162は、延設片161から、第1方向D1に延びており、先端がかぎ爪状の部位である。具体的には、係止片162は、延設片161において、その先端よりも第3方向D3で所定寸法だけ戻った位置から延びている。上記構成の保持部160では、係止片162の先端と、延設片161の先端との間で、連結端子40,50の被保持部43,53を挟持可能となっている。
【0049】
上記構成のケース70では、磁性体コア20は、貫通筒部712により貫通孔23を貫通された状態で、ケース70内の収容空間715に収容される。貫通筒部712の内部において間仕切り壁714により区画された2つの端子収容空間のそれぞれには、連結端子40,50が保持部160に保持された状態で収容される。本実施形態においても、連結端子40,50は、接続部41,42,51,52を第1方向D1のそれぞれに向けた状態で、保持部160により磁性体コア20に保持される。本実施形態では、貫通筒部712は、貫通部の一例である。
【0050】
以上説明した本実施形態では、ノイズフィルタ10は、磁性体コア20を収容し、非導電性樹脂からなるケース70を備え、ケース70は、筒形状の貫通筒部712を有し、貫通筒部712により磁性体コア20の貫通孔23を貫通した状態で磁性体コア20を収容している。各連結端子40,50は、貫通筒部712の内部に配置されている。これにより、ケース70を備えるノイズフィルタ10においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0051】
保持部160は、磁性体コア20の貫通孔23の内部に配置されており、かつケース70に一体で形成されている。これにより、ケース70を備えるノイズフィルタにおいても、第1実施形態と同様の効果を奏しつつ、部品点数の増加を抑制することができる。
【0052】
(第2実施形態の変形例)
・上述した第2実施形態では、ケース70に一体で形成される保持部160は、延設片161と、係止片162とを有していた。これに代えて、ケース70における貫通筒部712の内周面に、連結端子40,50の被保持部に設けられた保持穴に挿入される保持突部が保持部160として形成されていてもよい。この場合、貫通筒部712の内部に配置される連結端子40,50は、被保持部に形成された保持穴に保持部材が有する保持突部が挿入した状態で保持される。
【0053】
保持部160は、磁性体コア20の貫通孔23の内部において、連結端子40,50を保持した。これに代えて、保持部160は、ケース70に一体で形成され、貫通孔23の外部から連結端子40,50を保持する構成であってもよい。
【0054】
(その他の実施形態)
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
・上述した各実施形態では、磁性体コア20の貫通孔23には、保持部60により2つの連結端子40,50が保持されていた。これに代えて、磁性体コア20の貫通孔23には、保持部60により1つの連結端子が保持されていてもよい。
【0055】
・上述した各実施形態では、連結端子40,50の第1,第2接続部41,42,51,52は、バスバーの両面を把持する一対の弾性片により構成されていた。第1,第2接続部41,42,51,52は、バスバーの挿入部を保持することができればよく、上述した1対の弾性片に限定されない。例えば、第1,第2接続部41,42,51,52は、バスバーの挿入部が挿入されることで、バスバーの挿入部を保持する挿入溝により構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0056】
10…ノイズフィルタ、20…磁性体コア、40,50…連結端子、41…第1接続部、42…第2接続部、60…保持部、101,102,103,104…バスバー、613,614,615,616…開口部