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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20240422BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021136545
(22)【出願日】2021-08-24
(65)【公開番号】P2023031065
(43)【公開日】2023-03-08
【審査請求日】2022-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】近藤 美穂
(72)【発明者】
【氏名】林 孝政
(72)【発明者】
【氏名】石黒 隆行
【審査官】手塚 毅
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-058029(JP,A)
【文献】特開2004-121810(JP,A)
【文献】特開2003-181115(JP,A)
【文献】特開2019-200316(JP,A)
【文献】特開2012-245273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方から視認可能な装飾体に対し、前後方向と交差する第1方向の一方側に配置された発光手段から光を照射する演出を行う遊技機であって、
前記発光手段は、前記装飾体に対する斜め前方位置に配置されて、前記装飾体に向けて光を出射するように斜め後方に向けられ、
前記装飾体には、前後方向にずれかつ前記第1方向で隣り合うように配置され、前記発光手段からの光を前方に反射するように前後方向に対して傾斜している複数の反射部が備えられ
前記発光手段の発光面は、前方に向うに従って前記反射部に近づくように傾斜している遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、装飾体を備える遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の遊技機では、装飾体に反射部を備え、その反射部に反射する光によって装飾部の演出を行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-32004号公報(段落[0027])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した従来の遊技機では、装飾体による演出の趣向性の向上が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の遊技機は、前方から視認可能な装飾体に対し、前後方向と交差する第1方向の一方側に配置された発光手段から光を照射する演出を行う遊技機であって、前記発光手段は、前記装飾体に対する斜め前方位置に配置されて、前記装飾体に向けて光を出射するように斜め後方に向けられ、前記装飾体には、前後方向にずれかつ前記第1方向で隣り合うように配置され、前記発光手段からの光を前方に反射するように前後方向に対して傾斜している複数の反射部が備えられ、前記発光手段の発光面は、前方に向うに従って前記反射部に近づくように傾斜している遊技機である。
【発明の効果】
【0006】
本開示に係る遊技機によれば、複数の第1反射部がそれぞれ光を受光できるので、装飾体の演出の趣向性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る遊技機の正面図
図2】遊技盤の正面図
図3】機構枠の正面図
図4】機構枠の斜視図
図5】駆動機構の正面図
図6】合体状態の装飾体の断面図
図7】上側装飾部を下側からみたときの断面図
図8】下側装飾部を上側からみたときの断面図
図9】上側装飾部の拡大断面図
図10】上側装飾部の拡大正面図
図11】反射部の拡大断面図
図12】第2実施形態に係る可動役物装置の(A)正面図、(B)断面図
図13】変形例に係る上側装飾部の拡大正面図
図14】変形例に係る上側装飾部の拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1図11を参照して、本開示の一実施形態を説明する。図1に示すように、本実施形態に係る遊技機10はパチンコ遊技機であって、前面が前面枠10Zにて覆われ、前面枠10Zに形成されたガラス窓10Wを通して遊技盤11の遊技領域R1が視認可能となっている。なお、以下の説明において、特記しない限り「右」及び「左」とは、遊技機10を前側から見た場合の「右」及び「左」を指すものとする。
【0009】
前面枠10Zのうちガラス窓10Wの下方には、上皿26及び下皿27が上下2段にして設けられ、下皿27の右側には操作ハンドル28が設けられている。操作ハンドル28を回動操作すると、上皿26に収容された遊技球が遊技領域R1に向けて弾き出される。
【0010】
図2に示すように、遊技領域R1は、遊技盤11の前面から突出するガイドレール12にて包囲されている。遊技領域R1の中央には、表示窓11Hが貫通形成され、その表示窓11Hを通して表示装置13の表示画面13Gが前方に臨んでいる。また、表示窓11Hには、前方から進入規制枠23が嵌め込まれている。進入規制枠23は、遊技盤11の前面から突出し、遊技領域R1を流下する遊技球が表示窓11Hの内側に進入することを規制している。
【0011】
遊技領域R1のうち進入規制枠23の下方における左右方向の中央には、センター始動口14Aが設けられ、そのセンター始動口14Aの左斜め下には大入賞口15が設けられている。センター始動口14Aはポケット構造をなし、その上面の開口部に遊技球が入球すると、センター始動口14Aに起因する特別図柄当否判定が行われ、その特別図柄当否判定の結果が表示画面13Gに表示される。大入賞口15は右側に開放し、その大入賞口15の右側には大入賞口15に遊技球を案内するためのスライド扉15Tが設けられている。スライド扉15Tは、前後方向に進退可能に構成され、通常は遊技盤11の前面より後方に配置されている。そして、前述した特別図柄当否判定が当たりになると、スライド扉15Tが前方にスライドし、上方から流下してきた遊技球を受け止めて大入賞口15へと案内する。
【0012】
遊技領域R1のうち進入規制枠23の右側には、始動ゲート18が設けられ、その始動ゲート18の下方にはサイド始動口14Bが設けられている。始動ゲート18は遊技球が通過可能な門形構造をなしている。遊技球が始動ゲート18を通過すると、普通図柄当否判定が行われ、その普通図柄当否判定の結果が図示しない普通図柄表示部に表示される。サイド始動口14Bは、左側に開放し、その左側にスライド扉15Tと同様の構成をなすスライド扉14Tが設けられている。そして、普通図柄当否判定が当たりになると、スライド扉14Tが前方にスライドし、上方から流下してきた遊技球を受け止めてサイド始動口14Bへと案内する。
【0013】
遊技領域R1の右下には、サイド大入賞口16が設けられている。サイド大入賞口16は、遊技球が転動する転動面16M上に開口し、通常は、転動面16Mの一部を構成するスライド扉16Tにて閉塞されている。そして、サイド始動口14Bに起因する特別図柄当否判定で当たりになると、スライド扉16Tを後退させてサイド入賞口16を開放し、サイド大入賞口16への遊技球の入球が可能となる。
【0014】
遊技領域R1のうちセンター始動口14Aの左側と右側には、一般入賞口20がそれぞれ設けられている。センター始動口14A、サイド始動口14B、センター大入賞口15、サイド大入賞口16、一般入賞口20の何れかに遊技球が入球すると、各入賞口に対応して設定された賞球が上皿26に払い出される。一方、これらの何れにも入賞しなかった遊技球は、遊技領域R1の下端に配置されたアウト口17に取り込まれる。
【0015】
遊技盤11の後側には、図3及び図4に示す機構枠30が設けられている。機構枠30は、遊技盤11と略平行に配置される枠状の主盤30Aと、主盤30Aの外縁部から前方に突出する包囲壁30Bとを有する。また、主盤30Aの後側には、上述した表示装置30が重ねて固定されている。
【0016】
機構枠30には、可動役物装置40が取り付けられている。可動役物装置40は、1対のサイドベース41と、装飾体40Sとを有する。
【0017】
1対のサイドベース41は、機構枠30の左辺部と右辺部にそれぞれ前側から重ねられている。また、それらサイドベース41の前面には、前後方向に扁平な直方体状のスペーサ51がそれぞれ固定され、それらスペーサ51の互いの対向面にサイドランプ52が組付けられている(図4には、一方のサイドランプ52のみが示されている)。
【0018】
図4に示すように、サイドランプ52は、上下方向に長い帯状をなし、スペーサ51のうち機構枠30の主盤30Aに形成された開口30Kと対応する部分に配置されている。詳細には、サイドランプ52は、図9に示すように、複数の発光素子53Aを片面に搭載した発光基板53を備え、複数の発光素子53Aの発光面が機構枠30の開口30K側を向くように発光基板53が前後方向に対して僅かに(例えば、5度)傾斜している。また、サイドランプ52には、発光基板53を覆うカバー54が設けられ、カバー54の発光素子53Aと対向する部分に凸レンズ54Lが形成されている。
【0019】
図4に示すように、1対のスペーサ51同士の下端部の間には、スペーサ55が差し渡され、そのスペーサ55の内側を向く側面に下部ランプ56が組付けられている。下部ランプ56は、横方向に延びる帯状をなして機構枠30の開口30Kと対応する部分に設けられている。図8に示すように、下部ランプ56はサイドランプ52と同様の構成をなし、複数の発光素子57Aを搭載した発光基板と、その発光素子57Aに対応する部分に凸レンズ58Lを有するカバー58とを有する。なお、本実施形態では、サイドランプ52は、発光素子53Aが複数列(本実施形態では、2列)設けられて千鳥格子状に配置されているのに対し(図6参照)、下部ランプ56は、発光素子57Aが横一列のみの配置となっている(図8参照)。
【0020】
図5に示すように、1対のサイドベース41同士の間には、装飾部40Sに差し渡されている。装飾部40Sは、上側装飾部60と下側装飾部70で構成され、駆動機構40Kにより上下に駆動されて、互いに接近、離間する。
【0021】
駆動機構40Kは、図5に示すように、1対のサイドベース41に組付けられ、各サイドベース41の上下方向の中間部に組付けられたモータ40M(図4参照)と、モータ40Mにより駆動されるギヤ42と、ギヤ42に噛合するピニオン43とを有する。また、駆動機構40Kは、ピニオン43を挟んで上側と下側とに1対のシャフト44と、スライダ45をそれぞれ備えている。スライダ45は、横方向に延びて両端部にシャフト44が挿通する本体部45Aと、その本体部45Aの両端部から上下方向に延びてピニオン43に噛合する1対のラック45Bとからなり、上側のスライダ45と下側のスライダ45とがピニオン43から動力を受けて互いに近接、離間する。そして、この上側のスライダ45の本体部45Aに上側装飾部60が固定され、下側のスライダ45の本体部45Aに下側装飾部70が固定されている。
【0022】
上側装飾部60と下側装飾部70は、通常、図3に示すように、機構枠30の上辺部上と下辺部上にそれぞれ配置され、上下方向で最も離れた分離状態となっている。所定の演出条件が成立して駆動機構40Kが駆動されると、上側装飾部60及び下側装飾部70が互いに近接して図4に示すように上下方向で最も接近した合体状態となる。なお、上側装飾部60及び下側装飾部70は、分離状態では表示装置13の表示画面13Gの上側及び下側にずれて配置され(図2参照)、合体状態では表示画面13Gに前側から重なる。
【0023】
ここで、上側装飾部60及び下側装飾部70は、例えば、獣の牙を模した形状をなし、合体状態になると、上側の牙と下側の牙とががっちり噛み合った状態なる。以下、上側装飾部60及び下側装飾部70について詳説する。
【0024】
上側装飾部60は、図4及び図5に示すように、複数の山脈部61を横並びに備える。山脈部61は、断面三角形状をなして上下方向に延びると共に、下端部に向かって尖った形状となっている。詳細には、山脈部61は、図9及び図10に示すように、右下がりに傾斜する斜面62Rと、左下がりに傾斜する斜面62Lとを有し、これら斜面62L,62Rが左右に膨らむように湾曲している。また、山脈部61には、斜面62Rと斜面62Lとが交差する角部が連続して稜線62Tが形成されてる。稜線62Tは、前方から見て左右に膨らむように湾曲すると共に、上下方向の中間部が最も前方に位置するように膨らむように湾曲している(図6参照)。さらに、斜面62L,62Rのうち稜線62Tと反対側の外縁部が前方からみて左右に膨らむように湾曲している。
【0025】
図5に示すように、上側装飾部60は、偶数個(例えば、8個)の山脈部61を有し、上側装飾部60の右半分に位置する複数の山脈部61と、左半分に位置する複数の山脈部61とが左右対称に配置されている。以下、上側装飾部60の右半分に設けられた複数の山脈部61を「複数の第1山脈部61R」といい、上側装飾部60の左半分に設けられた複数の山脈部61を「複数の第2山脈部61L」と適宜、呼ぶこととする。複数の山脈部61は、上下方向の中間部までが隣り合う山脈部61に連絡し、中間部より下側では山脈部61同士の間に三角形状の隙間が形成されている。
【0026】
下側装飾部70は、山脈部61と同様の構成をなして上端部に向かって尖った複数の山脈部71を横並びに備える。下側装飾部70は、奇数個(例えば、7個)の山脈部71を有し、中央に位置する山脈部71の稜線72Tを境にして複数の山脈部71が左右対称に配置されている。そして、合体状態で上側装飾部60の山脈部61同士の間の隙間に各山脈部71が位置されるようになっている。以下、下側装飾部70の右半分に設けられた複数の山脈部71を「複数の第1山脈部71R」といい、下側装飾部70の左半分に設けられた複数の山脈部71を「複数の第2山脈部71L」と適宜、呼ぶこととする。なお、下側装飾部70の中央に位置する山脈部71については、斜面72Rが第1山脈部71Rに属し、斜面72Lが第2山脈部71Lに属するものとする。
【0027】
本実施形態では、上述の如く、1対のサイドランプ52と下部ランプ56は機構枠30の開口30Kに向かって光を照射するので、図4に示すように、合体状態の上側装飾部60及び下側装飾部70がこれら1対のサイドランプ52及び下部ランプ56によって照らされることになる。ここで、本実施形態の上側装飾部60及び下側装飾部70は、金属調に装飾されている。これにより、上側装飾部60及び下側装飾部70の全体が光を反射して光って見える光演出が行われる。
【0028】
なお、本実施形態では、1対のサイドランプ52及び下部ランプ56の発光素子53Aは、無色の光を出光するものであってもよいし、赤、緑、青等の有色の光を出光するものであってもよいし、無色と有色の光を切り替えて出光するものであってもよい。出光色を変更可能とすることで、発光態様の種類が増え、演出の趣向性を高めることができる。また、1対のサイドランプ52及び下部ランプ56は、両方が同時に出光する構成であってもよいし、何れか一方のみが出光する構成であってもよい。このように出光する部分を異ならせることでも、発光態様を増やして演出の趣向性を高めることが可能となる。
【0029】
ここで、光演出の際、上側装飾部60及び下側装飾部70の右半分の複数の第1山脈部61R,71Rは、図7及び図8に示すように、右側のサイドランプ52(以下、適宜、「右サイドランプ52」という。)から光を照射される。これら複数の第1山脈部61R,71Rのうち、右サイドランプ52側に傾斜して、複数の斜面62L,72Lより右ライドランプ52から光を受光し易い複数の斜面62R,72Rを、「第1反射部63R,73R」と呼ぶこととする。また、上側装飾部60及び下側装飾部70の左半分の複数の第2山脈部61L,71Lは、左側のサイドランプ52(以下、適宜、「左サイドランプ52」という。)から光を照射される。これら複数の第2山脈部61L,71Lのうち、左サイドランプ52側に傾斜して、複数の斜面62R,72Rより左ライドランプ52から光を受光し易い複数の斜面62L,72Lを、適宜、「第2反射部63L,73L」と呼ぶこととする。
【0030】
本実施形態の上側装飾部60では、複数の第1反射部63Rと複数の第2反射部63Lが各サイドランプ52から光を受光できるように複数の山脈部61が前後方向でズレて配置されている。具体的には、図9の上側装飾部60の複数の第1山脈部61Rの断面図に示すように、右サイドランプ52に近い側から遠い側に向かって第1山脈部61Rが前後方向の厚みが厚く形成されると共に、前方にズレて配置されている。これにより、右サイドランプ52に近い側の第1反射部63Rに比べて遠い側の第1反射部63Rが前方にズレて配置される。また、最も右サイドランプ52に近い第1山脈部61Rが、それ以外の複数の第1山脈部61Rに比べて前後方向で一段後方に下がった位置に配置され、複数の第1反射部63Rに光が当たり易くなっている。
【0031】
図7に示すように、上側装飾部60の複数の第2山脈部61Lについても、複数の第1山脈部61Rと同様の構成をなっていて、左サイドランプ52に近い側の第2反射部63Lに比べて遠い側の第2反射部63Lが前方にズレて配置される。これらにより、上側装飾部60は、外側から中央に向かって山脈部61が徐々に前方にずれて配置された構成となっている。
【0032】
一方、下側装飾部70は、図8に示すように、複数の山脈部71の前後方向の位置がほぼ同じ位置で且つ同じ厚みで形成されている。これにより、図6に示すように、上側装飾部60及び下側装飾部70が合体状態になったときに、上側装飾部60が下側装飾部70に比べて前方に位置した状態となる。
【0033】
なお、上記実施形態に限らず、下側装飾部70についても、上側装飾部60と同様に、サイドランプ52に近い側から遠い側に向かって山脈部71を前後方向の厚みを厚く形成すると共に前方にズラして配置してもよい。
【0034】
さらに、本実施形態では、上側装飾部60及び下側装飾部70の第1反射部63R,73R及び第2反射部63L,73Lに複数の細長反射面80が形成されている。以下、上側装飾部60の複数の第1山脈部61Rの第1反射部63Rを例に説明する。
【0035】
図9及び図10に示すように、細長反射面80は、第1反射部63Rの長手方向に延びると共に、第1反射部63Rに間隔を開けずに横並びに配置されている。また、複数の細長反射面80は、第1反射部63Rの尖った形状に合わせて下端部に向かって徐々に幅が狭くなっていき、複数の細長反射面80の下端部が第1反射部63Rの下端部に纏まっている。さらに、複数の細長反射面80は、幅方向が凹状に湾曲し且つ右サイドランプ52側に傾斜するように配置され、複数の細長反射面80の何れも右斜め上方を向いている。
【0036】
より詳細には、図11に示すように、細長反射面80は、その幅方向で非対称な形状をなしている。細長反射面80は、第1反射部63Rのうち右サイドランプ52から遠い側(図11における左側)の一端部から右サイドランプ52側に近い側(図11における右側)の他端部寄りまでは比較的、曲率半径が大きい円弧状をなす一方、他端部寄り位置から他端部にかけては前者に比べて曲率半径が小さい円弧状になっていて、一端部に比べて他端部が急峻に立ち上がっている。これにより、細長反射面80は、隣り合う細長反射面80との境界部80Aが角が立つような形状となっている。また、細長反射面80は、その深さが非常に浅く、幅が狭くなるほど深さも浅くなっている。具体的には、幅に対する深さは、1/5以下(本実施形態では、1/10)になっていて、長手方向で略一定となっている。
【0037】
本実施形態の遊技機10の構成に関する説明は以上である。次に、この遊技機10の作用効果について説明する。本実施形態の遊技機10では、所定の演出条件が成立すると、装飾体40Sが分離状態から合体状態に変化する。合体状態になると、上側装飾部60の複数の山脈部61の間に下側装飾部70の複数の山脈部71が配置されて、上述したように、獣の上側の牙と下側の牙とががっちり噛み合った状態となる。
【0038】
合体状態になると、上側装飾部60と下側装飾部70とがこれらの側方に配置される1対のサイドランプ52によって照らされる光演出が実行される。ここで、本実施形態では、上側装飾部60の複数の山脈部61が両端から中央側に向かって徐々に前方にズレて配置されている。これにより、本実施形態では、上側装飾部60の複数の第1反射部63R及び複数の第2反射部63Lがそれぞれ光を受光できるので、装飾体40Sの演出の趣向性が向上する。また、図6に示すように、上側装飾部60が下側装飾部70に比べて前方に位置することで、装飾体40Sをより立体的にみせることができ、この点についても趣向性を向上させることが可能となる。
【0039】
本実施形態では、上側装飾部60及び下側装飾部70の複数の第1反射部63R,73Rと複数の第2反射部63L,73Lに凹状に湾曲した複数の細長反射面80が形成されているので、今までにない光の反射による演出を行うことができ、趣向性が向上する。また、複数の細長反射面80は、第1反射部63Rの尖った形状に合わせて下端部に向かって徐々に幅が狭くなっていき、複数の細長反射面80の下端部が第1反射部63Rの下端部に纏まっているので、山脈部61,71の細くなった先端部まで光らせることができる。しかも、複数の細長反射面80の幅に対する深さが1/5以下になっているので、細長反射面80の全体が受光し易くなっている。さらに、複数の細長反射面80は、幅方向の同じ側(詳細には、サイドランプ52に近い側)の一端部がそれ以外の部分より曲率半径が小さくなっているので、細長反射面80同士の境界部80Aを際立ち、山脈部61,71がより立体的に見える。
【0040】
しかも、本実施形態では、上側装飾部60及び下側装飾部70に設けられた複数の第1反射部63R,73Rと複数の第2反射部63L,73Lとが左右対称に配置されているので、装飾体40Sの趣向性が向上する。
【0041】
[第2実施形態]
図12には、第2実施形態に係る可動役物装置40Vが示されている。本実施形態の可動役物装置40Vは、装飾体90の構成が第1実施形態の装飾体40Sの構成とは異なる。具体的には、装飾体90は、複数の帯板91を横並びに備えている。図12(B)に示すように、複数の帯板91のうち右側の複数の第1帯板91Rは、スライド本体45Aに対して右サイドランプ52側に傾斜して第1反射部92Rが右側方を向いた状態に固定される一方、左側の複数の第2帯板91Lは、スライド本体45Aに対して左サイドランプ52側に傾斜して第2反射部92Lが左側方を向いている。そして、複数の第1帯板91R同士がそれぞれ前後方向でズラして配置され、本実施形態では、右サイドランプ52から最も近い第1帯板91Rが最も後方に配置され、右サイドランプ52に2番目近い第1帯板91Rが最も前方に配置され、右サイドランプ52から最も遠い第1帯板91Rがそれらの中間位置に配置されている。複数の第2帯板91Lについても同様の構成となっている。このような構成においても、複数の第1反射部92Rが右サイドランプ52からそれぞれ光を受光できると共に、複数の第2反射部92Lが左サイドランプ52からそれぞれ光を受光できるので、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0042】
[他の実施形態]
(1)上記第1実施形態では、上側装飾部60及び下側装飾部70の複数の山脈部61,71のうち何れか一方の斜面62L,62R,72L,72Rに細長反射面80が形成されていたが、下側装飾部70の中央の山脈部71のように、山脈部61,71の両方の斜面62L,62R,72L,72Rに細長反射面80を形成してもよい。
【0043】
(2)上記第1実施形態では、図10に示すように、複数の細長反射面80が第1反射部63Rの尖った形状に合わせて下端部に向かって徐々に幅が狭くなっていき、第1反射部63Rの下端部に纏まっていたが、図13に示すように、複数の細長反射面80の幅が変化せずに延びる構成であってよい。
【0044】
(3)また、複数の細長反射面80は、第1及び第2の反射部63L,63R,73L,73Rの長手方向に延びていたが、長手方向と交差する方向に延びる構成であってもよい。
【0045】
(4)上記第1実施形態では、図11に示すように、細長反射面80が比較的平坦で浅い凹状をなしていたが、例えば、図14に示すように、細長反射面80が比較的深いV字状に屈曲したような凹状をなしていてもよい。
【0046】
(5)上記第1実施形態では、第1山脈部61Rの第1反射部63Rと第2山脈部61Lの第2反射部63Lとが左右対称になっていたが、左右非対称であってもよい。
【0047】
<付記>
以下、上述した実施形態から抽出される発明群について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下では、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0048】
(第1の発明群)
第1の発明群は、「装飾部を備えた従来の遊技機で(例えば、特開2020-32004号公報(段落[0027]参照))、装飾部に反射部を備え、その反射部に反射する光によって装飾部の演出の趣向性を向上させるためのもの」であり、以下の構成と作用・効果を有する。
【0049】
[特徴A1]
細長く延びる反射面である複数の細長反射面が間隔を開けずに横並びに配置された多面反射部を有する装飾部を備え、
前記複数の細長反射面は、それぞれの断面が凹状に湾曲している遊技機。
【0050】
特徴A1によれば、複数の細長反射面のそれぞれの断面が凹状に湾曲しているので、今までにない光の反射による演出を行うことができ、趣向性が向上する。
【0051】
[特徴A2]
前記複数の細長反射面の幅方向の湾曲の曲率半径は、それらの幅方向の少なくとも一端部が全体に比べて小さくなっている特徴A1に記載の遊技機。
【0052】
特徴A2によれば、複数の細長反射面の輪郭部分を際立たせることができ、趣向性が向上する。
【0053】
[特徴A3]
前記複数の細長反射面の幅方向の湾曲の曲率半径は、それらの幅方向の同じ側の一端部が、前記一端部以外の全体に比べて小さくなっている特徴A1又は特徴A2に記載の遊技機。
【0054】
特徴A3によれば、各細長反射面の幅方向の両側の輪郭部分を際立たせることができ、趣向性が向上する。
【0055】
[特徴A4]
前記凹状の各前記細長反射面の幅に対する深さが、1/5以下になっている特徴A1から特徴A3の何れか1に記載の遊技機。
【0056】
特徴A4の構成のように、凹状の各細長反射面の幅に対する深さは、1/5以下が好ましく、1/10がより好ましい。即ち、各細長反射面は、平坦に近い浅い凹状が好ましい。これにより、細長反射面の幅方向の両側の輪郭部分の反射光を際立たせて、趣向性が高くなる。
【0057】
[特徴A5]
前記複数の細長反射面は、長手方向の一端に向かって幅が徐々に狭くなり、前記複数の細長反射面の一端が、共通する1点に纏まっている特徴A1から特徴A4の何れか1に記載の遊技機。
【0058】
特徴A5によれば、複数の細長反射面の長手方向の一端まで光を反射させることができ、趣向性が高くなる。
【0059】
[特徴A6]
前記多面反射部の全体が、前記複数の細長反射面の横並び方向で外側に膨らむように湾曲している特徴A1から特徴A5の何れか1に記載の遊技機。
【0060】
特徴A6によれば、多面反射部の趣向性が高くなる。
[特徴A7]
前記多面反射部の全体が、前記複数の細長反射面の長手方向で外側に膨らむように湾曲している特徴A1から特徴A6の何れか1に記載の遊技機。
【0061】
特徴A7によれば、多面反射部の趣向性が高くなる。
【0062】
[特徴A8]
前記多面反射部に含まれる前記複数の全ての細長反射面が、前後方向に対して同じ側の側方を向くように傾斜している特徴A1から特徴A7の何れか1に記載の遊技機。
【0063】
特徴A8によれば、複数の細長反射面に光が当たり易い。
【0064】
[特徴A9]
前記複数の多面反射部に向けて光を照射する発光手段が、前記装飾部の側方に配置されている特徴A8に記載の遊技機。
【0065】
特徴A9によれば、発光手段によって光の反射による演出の趣向性を向上させることができる。
【0066】
[特徴A10]
前記複数の細長反射面の幅方向の湾曲の曲率半径は、前記発光手段に近い側の一端部が、前記一端部以外の全体に比べて小さくなっている特徴A9に記載の遊技機。
【0067】
特徴A10によれば、複数の細長反射面の輪郭部分をより際立たせることができる。
【0068】
[特徴A11]
前記装飾部には、断面略三角形をなして前記細長反射面と同じ方向に延びる複数の山脈部が横並びに設けられ、
前記複数の山脈部における同じ側を向く複数の斜面が、前記多面反射部になっている特徴A8から特徴A10の何れか1に記載の遊技機。
【0069】
多面反射部を装飾部にどのように設けてもよいが、例えば、特徴A11のように、複数の山脈部における同じ側を向く複数の斜面を多面反射部としてもよい。
【0070】
[特徴A12]
各前記山脈部のうち前記多面反射部となった斜面の反対側の斜面は、1つの連続した反射面になっている特徴A11に記載の遊技機。
【0071】
特徴A12によれば、1つの山脈部の多面反射と反対側の斜面とで光の反射態様を異ならせることができ、趣向性が高くなる。
【0072】
[特徴A13]
前後方向に傾斜した反射部を有する装飾部を備え、
前記反射部に、細長く延びる複数の細長反射面を間隔を開けずに横並びに配置した遊技機。
【0073】
特徴A13によれば、複数の細長反射面が設けられているので、今までにない光の反射による演出を行うことができ、趣向性が向上する。
【0074】
(第2の発明群)
第2の発明群は、上記第1の発明群と同様の目的であって、第1の発明群とは異なる下記構成を有する。
【0075】
[特徴B1]
前方から視認可能な装飾体に対し、前後方向と交差する第1方向の一方側に配置された第1発光手段から光を照射する演出を行う遊技機であって、
前記装飾体には、前方から見て前記第1方向に並びかつ前後方向に対して前記第1発光手段側に傾斜している複数の第1反射部が設けられ、
前記複数の第1反射部は、それぞれ前記第1発光手段からの光を受光できるように前後方向にずれた配置になっている遊技機。
【0076】
特徴B1によれば、複数の第1反射部がそれぞれ光を受光できるので、装飾体の演出の趣向性が向上する。
【0077】
[特徴B2]
前記複数の第1反射部は、前記第1発光手段から離れるに従って前方にずれた配置になっている特徴B1に記載の遊技機。
【0078】
特徴B2によれば、複数の第1反射部が第1発光手段から離れるに従って前方にずれているので、趣向性が向上する。
【0079】
[特徴B3]
前記装飾体には、前記第1方向に並ぶ複数の第1山脈部が備えられ、それら複数の第1山脈部の一方側の斜面が前記複数の第1反射部になっている特徴B2に記載の遊技機。
【0080】
特徴B3によれば、装飾体が複数の第1山脈部を備え、その複数の反射部のうちの一方側の斜面が第1反射部になっているので、装飾体の趣向性が向上する。
【0081】
[特徴B4]
前記装飾体に設けられ、前記複数の第1山脈部及び複数の第1反射部に対して前記第1方向で左右対称な複数の第2山脈部及び複数の第2反射部と、
前記第1発光手段に対して前記第1方向で左右対称に配置され、前記複数の第2山脈部に光を照射する第2発光手段と、が備えられている特徴B3に記載の遊技機。
【0082】
特徴B4によれば、装飾体が左右対称な複数の第1山脈部と複数の第2山脈部とを有し、複数の第1山脈部の第1反射部と、複数の第2山脈部のうち第1反射部と反対側の斜面である第2反射部とが第1発光手段及び第2発光手段にて光を照射されるので、装飾体の趣向性が向上する。
【0083】
[特徴B5]
各前記第1反射部は、前記前後方向と前記第1方向とに交差する第2方向に延びている特徴B1から特徴B4の何れか1に記載の遊技機。
【0084】
特徴B5によれば、各第1反射部がそれぞれ第2方向に延びているので、装飾体の趣向性が向上する。
【0085】
[特徴B6]
各前記第1反射部は、前記第2方向に細長く延びる複数の細長面を間隔を開けずに横並びに配置して備え、各前記細長面は、幅方向で凹状に湾曲している特徴B5に記載の遊技機。
【0086】
特徴B6によれば、複数の細長面のそれぞれの断面が凹状に湾曲しているので、今までにない光の反射による演出を行うことができ、趣向性が向上する。
【0087】
[特徴B7]
前記複数の細長面は、長手方向の一端に向かって幅が徐々に狭くなり、
前記複数の細長面が一端が、共通する1点に纏まっている特徴B6に記載の遊技機。
【0088】
特徴B7によれば、複数の細長面の長手方向の一端まで光を反射させることができ、趣向性が向上する。
【0089】
[特徴B8]
各前記第1反射部の全体が、前記複数の細長面の横並び方向で外側に膨らむように湾曲している特徴B6又は特徴B7に記載の遊技機。
【0090】
特徴B8によれば、各第1反射部の趣向性が高くなる。
【0091】
[特徴B9]
各前記第1反射部の全体が、前記複数の細長面の長手方向で外側に膨らむように湾曲している特徴B6から特徴B8の何れか1に記載の遊技機。
【0092】
特徴B9によれば、各第1反射部の趣向性が高くなる。
【0093】
[特徴B10]
前記装飾体に対し、前記第1方向の他方側に配置された第2発光手段と、
前記装飾体に設けられ、前方から見て前記第1方向に並びかつ前後方向に対して前記第2発光手段側に傾斜している複数の第2反射部と、を備え、
前記複数の第2反射部は、それぞれ前記第2発光手段からの光を受光できるように前後方向にずれた配置になっている特徴B1から特徴B3の何れか1に記載の遊技機。
【0094】
特徴B10によれば、複数の第1反射部に加えて、複数の第2反射部が設けられ、それら複数の第2反射部が第2発光手段からそれぞれ光を受光できるので、装飾体の演出の趣向性が向上する。
【0095】
[特徴B11]
前記複数の第2反射部は、前記第2発光手段から離れるに従って前方にずれた配置になっている特徴B10に記載の遊技機。
【0096】
特徴B11によれば、装飾体の趣向性が高まる。
【0097】
[特徴B12]
前記第1発光手段及び前記第2発光手段の発光体の発光面は、前方に向かうに従って前記第1反射部及び前記第2反射部に近づくように傾斜している特徴B4又は特徴B10に記載の遊技機。
【0098】
特徴B12によれば、複数の第1反射部及び複数の第2反射部にそれぞれ光が当たり易い。
【0099】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0100】
10 遊技機
40 可動役物装置
40S,90 装飾体
52 サイドランプ
60 上側装飾部
70 下側装飾部
61,71 山脈部
62L,62R,72L,72R 斜面
63R,73R 第1反射部
63L,73L 第2反射部
80 細長反射面
80A 境界部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14