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特許7475750高分子フィルム用コーティング剤組成物及びそれを用いた改質フィルム、並びに高分子フィルム用コーティング剤組成物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】高分子フィルム用コーティング剤組成物及びそれを用いた改質フィルム、並びに高分子フィルム用コーティング剤組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 1/00 20060101AFI20240422BHJP
【FI】
C09D1/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023181560
(22)【出願日】2023-10-23
【審査請求日】2023-10-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000210654
【氏名又は名称】竹本油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横井 淳平
(72)【発明者】
【氏名】藤井 淳介
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-189326(JP,A)
【文献】特開2017-112861(JP,A)
【文献】特開2012-214338(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110023427(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機粒子と界面活性剤とを含有する高分子フィルム用コーティング剤組成物であって、
前記無機粒子が下記のアルミナ粒子(A)、下記のアルミナ粒子(B)、及び任意にさらに下記のアルミナ粒子(C)を含み、
前記アルミナ粒子(A)、前記アルミナ粒子(B)、及び前記アルミナ粒子(C)の含有割合の合計を100質量部とした場合、前記アルミナ粒子(C)の含有量は0~10質量部であることを特徴とする高分子フィルム用コーティング剤組成物。
アルミナ粒子(A):一次粒子径が5nm以上11nm未満であるアルミナ粒子
アルミナ粒子(B):一次粒子径が14nm以上40nm以下であるアルミナ粒子
アルミナ粒子(C):一次粒子径が11nm以上14nm未満であるアルミナ粒子
【請求項2】
前記アルミナ粒子(C)の含有量は0質量部である、請求項1に記載の高分子フィルム用コーティング剤組成物。
【請求項3】
前記アルミナ粒子(A)と前記アルミナ粒子(B)の含有割合の合計を100質量部とした場合に、前記アルミナ粒子(A)を20~90質量部及び、前記アルミナ粒子(B)を10~80質量部の割合で含む、請求項1に記載の高分子フィルム用コーティング剤組成物。
【請求項4】
前記無機粒子の含有量を100質量%とした場合に、前記アルミナ粒子(A)の含有割合と前記アルミナ粒子(B)の含有割合との合計が60質量%以上である、請求項1に記載の高分子フィルム用コーティング剤組成物。
【請求項5】
前記無機粒子の吸油量が70ml/100g以上である、請求項1に記載の高分子フィルム用コーティング剤組成物。
【請求項6】
合成樹脂フィルムからなるベースフィルム部と、前記ベースフィルム部の表面の少なくとも一部に請求項1~5のいずれか一項に記載の高分子フィルム用コーティング剤組成物を含む被膜部とを備えることを特徴とする、改質フィルム。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載の高分子フィルム用コーティング剤組成物の製造方法であって、
前記アルミナ粒子(A)及び前記アルミナ粒子(B)を含む前記無機粒子と前記界面活性剤とを混合する工程を有し、
前記アルミナ粒子(A)と前記アルミナ粒子(B)とは別個の供給源から供給されることを特徴とする製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子フィルム用コーティング剤組成物及びそれを用いた改質フィルム、並びに高分子フィルム用コーティング剤組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農業用ハウスに用いるフィルムとして、ポリエチレン等の樹脂製の透明な高分子フィルムが広く使用されている。しかし、一般的に高分子フィルムの表面は疎水性であるため、農業用ハウスに用いた場合に温度や湿度の変化によりその表面に微細な水滴が付着し、結露や曇りを生じやすい。その結果、太陽光線の透過率が低下し、作物の発育不良を招くことがある。さらに、フィルムに付着した水滴が農業用ハウス内の植物上に落下することにより、植物の病害等の原因となることもある。また、高分子フィルムを農業用ハウスに用いる場合、ハウス内では空気が循環しにくく、作物からの蒸発散や土壌表面からの水分蒸発があるため、室外に比べて高湿環境になりやすい。このような高湿環境下では、使用期間の経過と共にフィルムに塗布された組成物が水滴とともに流し去られやすい。そのため、農業用ハウスに用いるフィルムには、透明性に加えて、長期間にわたり優れた流滴性が維持されることが求められている。
【0003】
高分子フィルムの透明性や流滴性を向上させるために、基材である高分子フィルム上に透明性や流滴性を付与する組成物を塗布することが広く行われている。このような組成物として、例えば特許文献1には、(A)粒径頻度曲線として表わしたときに二山が表われ、かつ、平均粒子径同士の比が40~2の範囲にある、平均粒子径の異なる二種類の無機質コロイドゾル、(B)界面活性剤、および(C)液状分散媒の三成分を含有してなる防曇剤組成物が開示されている。しかし、特許文献1の防曇剤組成物では、高湿環境下における透明性は検討されていない。
【0004】
また、特許文献2には、カチオンアルミナゾルを固形分換算で20~100質量%及びカチオンシリカゾルを固形分換算で0~80質量%(固形分換算で合計100質量%)の割合で含有して成る無機カチオンコロイドゾルを固形分換算で100質量部に対し、ポリエーテル変性シリコーンを10~50質量部、炭素数8~22の脂肪族アルコール、炭素数8~22の脂肪酸、アルキル基の炭素数8~22のアルキルフェノール及び炭素数8~22のモノアルキルアミンから選ばれる少なくとも一つからなる出発化合物1モル当たりエチレンオキシドが3~100モルの割合で付加している化合物、出発化合物1モル当たりエチレンオキシドとプロピレンオキシドが合計で3~100モルの割合でランダム状に付加している化合物、及び出発化合物1モル当たりエチレンオキシドとプロピレンオキシドが合計で3~100モルの割合でブロック状に付加している化合物から選ばれる少なくとも一つからなるポリオキシアルキレン誘導体を2~30質量部及び数平均分子量1000~9800のエチレンオキシド-プロピレンオキシドブロック重合ポリマーを45~75質量部の割合で含有して成ることを特徴とする熱可塑性高分子フィルムコーティング用組成物が開示されている。しかし、特許文献2の熱可塑性高分子フィルムコーティング用組成物では、流滴性の評価は1日後および30日後で行われており、1年程度もの長期間にわたり流滴性が持続されるかについては検討されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭60-69181号公報
【文献】特開2018-127546公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本開示は、高分子フィルム上に優れた透明性及び流滴性を有する被膜部を形成できる高分子フィルム用コーティング剤組成物及びそれを用いた改質フィルム、並びに高分子フィルム用コーティング剤組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採る。
[1]無機粒子と界面活性剤とを含有する高分子フィルム用コーティング剤組成物であって、前記無機粒子が下記のアルミナ粒子(A)及び下記のアルミナ粒子(B)を含むことを特徴とする高分子フィルム用コーティング剤組成物。
アルミナ粒子(A):一次粒子径が5nm以上11nm未満であるアルミナ粒子
アルミナ粒子(B):一次粒子径が14nm以上40nm以下であるアルミナ粒子
[2]前記アルミナ粒子(A)と前記アルミナ粒子(B)の含有割合の合計を100質量部とした場合に、前記アルミナ粒子(A)を20~90質量部及び、前記アルミナ粒子(B)を10~80質量部の割合で含む、[1]の高分子フィルム用コーティング剤組成物。
[3]前記無機粒子の含有量を100質量%とした場合に、前記アルミナ粒子(A)の含有割合と前記アルミナ粒子(B)の含有割合との合計が60質量%以上である、[1]の高分子フィルム用コーティング剤組成物。
[4]前記無機粒子の吸油量が70ml/100g以上である、[1]の高分子フィルム用コーティング剤組成物。
[5]前記界面活性剤がノニオン性界面活性剤である、[1]の高分子フィルム用コーティング剤組成物。
[6]合成樹脂フィルムからなるベースフィルム部と、前記ベースフィルム部の表面の少なくとも一部に[1]~[5]のいずれかの高分子フィルム用コーティング剤組成物を含む被膜部とを備えることを特徴とする、改質フィルム。
[7][1]~[5]のいずれかの高分子フィルム用コーティング剤組成物の製造方法であって、
前記アルミナ粒子(A)及び前記アルミナ粒子(B)を含む前記無機粒子と前記界面活性剤とを混合する工程を有し、
前記アルミナ粒子(A)と前記アルミナ粒子(B)とは別個の供給源から供給されることを特徴とする製造方法。
【0008】
なお、本明細書において「○○~△△」で示した数値範囲はその上限及び下限を含む範囲を表す。つまり、「○○~△△」は「○○以上、△△以下」を意味する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高分子フィルム上に優れた透明性及び流滴性を有する被膜部を形成できる高分子フィルム用コーティング剤組成物及びそれを用いた改質フィルム、並びに高分子フィルム用コーティング剤組成物の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
≪高分子フィルム用コーティング剤組成物≫
本発明の高分子フィルム用コーティング剤組成物(以下、「コーティング剤組成物」ともいう)は、後述する無機粒子と界面活性剤とを含有する。無機粒子は、下記のアルミナ粒子(A)及びアルミナ粒子(B)を含む。なお、無機粒子は、本発明の効果を阻害しない範囲内でアルミナ粒子(A)及びアルミナ粒子(B)以外の無機粒子を含有してもよい。これにより、コーティング剤組成物は高分子フィルムに優れた透明性および流滴性(初期流滴性,中期流滴性,長期流滴性)を付与することができる。
アルミナ粒子(A):一次粒子径が5nm以上11nm未満であるアルミナ粒子
アルミナ粒子(B):一次粒子径が14nm以上40nm以下であるアルミナ粒子
【0011】
<無機粒子>
無機粒子は、コーティング剤組成物中に分散できるものであればよく、従来公知のものを使用可能である。無機粒子としては、例えば、シリカ(酸化珪素)粒子、アルミナ(酸化アルミニウム)粒子、ジルコニア粒子、セリア粒子、二酸化チタン粒子、炭酸カルシウム粒子、カオリン粒子、結晶性のガラスフィラー、カオリン粒子、タルク粒子、シリカ-アルミナ複合酸化物粒子、硫酸バリウム粒子を挙げることができる。無機粒子の形状は球状、不定形状、針状、板状など、特に限定されるものではない。無機粒子は、1種又は2種以上を用いることができる。
【0012】
<アルミナ粒子>
アルミナ粒子としては特に制限されず、従来公知のアルミナ粒子から適宜選択して用いることができる。アルミナ粒子を構成するアルミナとしては、アルミナ水和物、α-アルミナ、γ-アルミナ、θ-アルミナ、δ-アルミナなどが挙げられる。アルミナ粒子は天然のものでも、合成されたものでもよい。また、市販品から適宜選択されたものであっても、熱処理、粉砕処理等によって所望のアルミナ粒子として調製されたものであってもよい。
【0013】
<アルミナ粒子(A)>
無機粒子に含まれるアルミナ粒子(A)は、一次粒子径が5nm以上11nm未満であるアルミナ粒子である。一次粒子径が小さいアルミナ粒子(A)をコーティング剤組成物に含む目的は、透明性を付与するためである。一次粒子径が小さいアルミナ粒子は光を散乱しにくい。そのため、アルミナ粒子(A)を含むコーティング剤組成物を用いることにより透過率が上がり、フィルムの透明性が高くなる。なお、本発明における無機粒子の粒子径の分布は、電子顕微鏡写真により20個の無機粒子の粒子径を測定して求めたものである。
【0014】
<アルミナ粒子(B)>
無機粒子に含まれるアルミナ粒子(B)は、一次粒子径が14nm以上40nm以下であるアルミナ粒子である。一次粒子径が大きいアルミナ粒子(B)をコーティング剤組成物に含む目的は、流滴性を向上させるためである。一次粒子径が大きいアルミナ粒子(B)を用いることにより、細孔容積が大きくなる。そのため、後述する界面活性剤が、アルミナ粒子(B)の間により多く入り込むことができる。すなわち、一次粒子径が大きいアルミナ粒子(B)を用いることにより吸油量が高くなる。したがって、使用期間の経過に伴い水滴とともに界面活性剤が僅かずつ流れ出るとしても、アルミナ粒子(B)を含む無機粒子は界面活性剤を長期間保持することができる。そのため、アルミナ粒子(B)を含むコーティング剤組成物を用いることにより、長期間にわたって流滴性を維持することができる。
【0015】
<無機粒子の吸油量>
本発明における吸油量とは、無機粒子によって吸収される界面活性剤の量を、JIS K 5101-13-1:2004に準拠して測定して求めたものである。優れた長期流滴性を付与する観点から、無機粒子の吸油量は、70ml/100g以上であることが好ましく、80ml/100g以上であることがより好ましい。
【0016】
<コーティング剤組成物の配合割合>
コーティング剤組成物におけるアルミナ粒子(A)とアルミナ粒子(B)の配合割合には、特に限定はないが、アルミナ粒子(A)とアルミナ粒子(B)の含有割合の合計を100質量部とした場合に、アルミナ粒子(A)を20~90質量部、およびアルミナ粒子(B)を10~80質量部の割合で含むことが好ましい。さらに、アルミナ粒子(A)を40~90質量部、およびアルミナ粒子(B)を10~60質量部の割合で含むことがより好ましい。
【0017】
上述したように、透明性の観点からは、一次粒子径が小さいアルミナ粒子は光を散乱しにくいため、コーティング剤組成物に含むことにより、コーティング剤組成物を塗布したフィルムの透明性が高くなる。一方、一次粒子径が大きいアルミナ粒子は光を散乱しやすいため、コーティング剤組成物に含むことにより、コーティング剤組成物を塗布したフィルムが白っぽくなってしまう。長期流滴性の観点からは、無機粒子の吸油量が高いほど界面活性剤を長期間保持することができ、長期流滴性が良くなるところ、一次粒子径が小さいアルミナ粒子は細孔容積が小さいため吸油量が低い。一方、一次粒子径が大きいアルミナ粒子は細孔容積が大きいため吸油量が高い。したがって、優れた透明性、長期流滴性を両立させるために、上記のコーティング剤組成物の配合割合とすることが好ましい。
【0018】
また、アルミナ粒子(A)の一次粒子径とアルミナ粒子(B)の一次粒子径との間の一次粒子径を有するアルミナ粒子を、下記のアルミナ粒子(C)とする。
アルミナ粒子(C):一次粒子径が11nm以上14nm未満であるアルミナ粒子
アルミナ粒子(A)、アルミナ粒子(B)、及びアルミナ粒子(C)の含有割合の合計を100質量部とした場合、アルミナ粒子(C)の含有量は0~10質量部であることが好ましい。アルミナ粒子(C)の含有割合が少ないほど、粒径の異なる2種のアルミナ粒子(A)および(B)による作用効果が得られやすくなるからである。
【0019】
<界面活性剤>
界面活性剤としては、特に制限はなく、従来公知のものが使用可能である。ノニオン性界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも、無機粒子の分散性の観点からノニオン性界面活性剤が好ましい。これらの界面活性剤は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用して使用してもよい。界面活性剤は、無機粒子100質量部に対し、5~200質量部であることが好ましく、5~100質量部がより好ましい。
【0020】
<ノニオン性界面活性剤>
ノニオン性界面活性剤としては、特に制限はなく、従来公知のノニオン性界面活性剤を適宜選択して採用することができる。例えば、ポリエーテル変性シリコーン、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル等が挙げられる。その他、(1)有機酸、有機アルコール、有機アミン及び/又は有機アミドに炭素数2~4のアルキレンオキシドを付加した化合物、例えば、ポリオキシエチレンジラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンオレイン酸ジエステル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルメチルエーテル、ポリオキシプロピレンラウリルエーテルメチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシブチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンノニルエーテル、ポリオキシプロピレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオクチルエーテル、2-ヘキシルヘキサノールのエチレンオキシド付加物、ポリオキシエチレン2-エチル-1-ヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンイソノニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、二級ドデシルアルコールにエチレンオキシドを付加した化合物、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシアルキレンテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンラウロアミドエーテル、ポリオキシアルキレントリスチレン化フェニルエーテル等のエーテル型ノニオン性界面活性剤、(2)ポリオキシアルキレンソルビタントリオレート、ポリオキシアルキレンヤシ油、ポリオキシアルキレンヒマシ油、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油トリオクタノアート、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油のマレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、又はオレイン酸エステル等のポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル型ノニオン性界面活性剤、(3)ステアリン酸ジエタノールアミド、ジエタノールアミンモノラウロアミド等のアルキルアミド型ノニオン性界面活性剤、(4)ポリオキシエチレンジエタノールアミンモノオレイルアミド、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレン牛脂アミン等のポリオキシアルキレン脂肪酸アミド型ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。これらのノニオン性界面活性剤は、1種類を単独で使用してもよいし、又は2種類以上を適宜組み合わせて使用してもよい。これらのノニオン性界面活性剤のなかでも、ポリエーテルがより好ましい。
【0021】
<アニオン界面活性剤>
アニオン界面活性剤としては、特に制限はなく、従来公知のアニオン界面活性剤を適宜選択して採用することができる。例えば(1)ラウリルリン酸エステル塩、セチルリン酸エステル塩、オクチルリン酸エステル塩、オレイルリン酸エステル塩、ステアリルリン酸エステル塩等の脂肪族アルコールのリン酸エステル塩、(2)ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸エステル塩等の脂肪族アルコールにエチレンオキシド及びプロピレンオキシドから選ばれる少なくとも一種のアルキレンオキシドを付加したもののリン酸エステル塩、(3)ラウリルスルホン酸塩、ミリスチルスルホン酸塩、セチルスルホン酸塩、オレイルスルホン酸塩、ステアリルスルホン酸塩、テトラデカンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、二級アルキルスルホン酸(C13~15)塩等の脂肪族スルホン酸塩又は芳香族スルホン酸塩、(4)ラウリル硫酸エステル塩、オレイル硫酸エステル塩、ステアリル硫酸エステル塩等の脂肪族アルコールの硫酸エステル塩、(5)ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン)ラウリルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸エステル塩等の脂肪族アルコールにエチレンオキシド及びプロピレンオキシドから選ばれる少なくとも一種のアルキレンオキシドを付加したものの硫酸エステル塩、(6)ひまし油脂肪酸硫酸エステル塩、ごま油脂肪酸硫酸エステル塩、トール油脂肪酸硫酸エステル塩、大豆油脂肪酸硫酸エステル塩、なたね油脂肪酸硫酸エステル塩、パーム油脂肪酸硫酸エステル塩、豚脂脂肪酸硫酸エステル塩、牛脂脂肪酸硫酸エステル塩、鯨油脂肪酸硫酸エステル塩等の脂肪酸の硫酸エステル塩、(7)ひまし油の硫酸エステル塩、ごま油の硫酸エステル塩、トール油の硫酸エステル塩、大豆油の硫酸エステル塩、菜種油の硫酸エステル塩、パーム油の硫酸エステル塩、豚脂の硫酸エステル塩、牛脂の硫酸エステル塩、鯨油の硫酸エステル塩等の油脂の硫酸エステル塩、(8)ラウリン酸塩、オレイン酸塩、ステアリン酸塩等の脂肪酸塩、(9)ジオクチルスルホコハク酸塩等の脂肪族アルコールのスルホコハク酸エステル塩等が挙げられる。これらのアニオン界面活性剤は、1種類を単独で使用してもよいし、又は2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0022】
<カチオン界面活性剤>
カチオン界面活性剤としては、特に制限はなく、従来公知のカチオン界面活性剤を適宜選択して採用することができる。例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、1,2-ジメチルイミダゾール、トリエタノールアミン等が挙げられる。これらのカチオン界面活性剤は、1種類を単独で使用してもよいし、又は2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0023】
<両性界面活性剤>
両性界面活性剤としては、特に制限はなく、従来公知の両面界面活性剤を適宜選択して採用することができる。例えば、ベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0024】
<その他の添加物>
コーティング剤組成物には、その他にも従来公知の添加物を目的に応じて添加することができる。そのような添加物としては、例えば、バインダー、着色剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、防黴剤、抗菌剤、防汚剤、紫外線吸収剤、防腐剤、滑剤等が挙げられる。
【0025】
≪改質フィルム≫
本発明の改質フィルムは、合成樹脂フィルムからなるベースフィルム部と、ベースフィルム部の表面の少なくとも一部にコーティング剤組成物を含む被膜部とを備える。改質フィルムの被膜部は、ベースフィルム部の1面側のみに形成されていてもよいし、両面側に形成されていてもよい。
【0026】
<ベースフィルム部>
ベースフィルム部は、合成樹脂フィルムからなるものであれば特に限定されない。ベースフィルム部は熱可塑性樹脂フィルム及び熱硬化性樹脂フィルムのいずれでもよいが、本発明においては熱可塑性樹脂フィルムが好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、環状オレフィン樹脂、アクリル樹脂、芳香族ビニル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。また、ベースフィルム部は単層でも多層でもよい。
【0027】
オレフィン系樹脂としては、エチレン又は炭素原子数が3以上のα-オレフィンの単独重合体、エチレン・α-オレフィン共重合体、2種以上のα-オレフィンの共重合体等が挙げられる。尚、α-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン等が挙げられる。上記オレフィン系樹脂は、好ましくは、エチレン・1-ブテン共重合体、エチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、又はエチレン・プロピレン共重合体である。ポリオレフィン系樹脂は、二つ以上のポリオレフィン系樹脂を混合して用いることもできる。
【0028】
ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。塩化ビニル系樹脂としては、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・エチレン共重合体、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
【0029】
ベースフィルム部には、その他にも従来公知の樹脂用添加剤を目的に応じて添加することができる。そのような添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐候剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、滑剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、防霧剤、保温剤、着色剤等が挙げられる。
【0030】
改質フィルムに用いるベースフィルム部は、コロナ放電処理、大気圧プラズマ処理、火炎処理等により表面処理されているか、あるいは、アンダーコート層が形成された表面を備えてもよい。ベースフィルム部の厚さは、特に限定されない。
【0031】
ベースフィルム部にコーティング剤組成物を含む被膜部を設ける方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、グラビアコート法、スプレーコート法、浸漬コート法、ロールコート法、ドクターブレードコート法、ワイヤーバーコート法、エアナイフコート法等を採用することができる。ベースフィルム部へのコーティング剤組成物の塗布量及び塗膜の厚さは、特に限定されないが、塗膜乾燥後の被膜として0.05~3.0g/mが好ましく、0.1~2.0g/mがより好ましい。
【0032】
改質フィルムは、ベースフィルム部にコーティング剤組成物を塗布した後、必要に応じて、形成された塗膜を乾燥してもよい。乾燥を行う場合、自然乾燥、冷風乾燥、熱風乾燥、赤外線乾燥、又はこれらを組み合わせて塗膜を乾燥することができる。
【0033】
本発明の改質フィルムの用途に特に制限はないが、農業用ハウスに用いることが特に好ましい。改質フィルムの被膜部の表面を傾斜させつつ地面に向けた状態で展張することにより、被膜部表面に付着した水滴を改質フィルムに沿って下方に流すことができるからである。
【0034】
≪コーティング剤組成物の製造方法≫
コーティング剤組成物の製造方法は、アルミナ粒子(A)及びアルミナ粒子(B)を含む無機粒子と界面活性剤とを混合する工程を有し、アルミナ粒子(A)とアルミナ粒子(B)とは別個の供給源から供給されるものであれば、特に限定されない。例えば、液体溶媒にアルミナ粒子(A)を混合攪拌してアルミナ粒子(A)を液体溶媒に分散させ、次いでアルミナ粒子(B)を加えて混合攪拌してアルミナ粒子(B)を液体溶媒に分散させ、さらに界面活性剤を加えて混合攪拌することにより製造される。あるいは、液体溶媒に界面活性剤を加えて混合攪拌し、さらに、アルミナ粒子(A)及びアルミナ粒子(B)を添加して混合攪拌することにより製造してもよい。または、アルミナ粒子(A)、無機粒子(B)、界面活性剤、および他の原料成分を一括で混合してもよい。
【0035】
本発明の高分子フィルムコーティング剤組成物は、合成樹脂フィルムへの塗布に好適であるが、金属又は無機化合物からなる基材、又は、該基材の表面に形成された層を備える複合基材に対して被膜部を形成した場合にも、透明性及び流滴性に優れた被膜部を備える物品を形成することができる。
【実施例
【0036】
以下、本開示の構成及び効果をより具体的とする実施例および比較例を挙げるが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、「部」及び「%」は質量基準である。表1は、各実施例および各比較例に用いるコーティング剤組成物の原料成分および無機粒子の吸油量を示す。
【0037】
≪コーティング剤組成物の原料≫
コーティング剤組成物の製造に用いた原料は以下の通りである。
【0038】
<アルミナ粒子(A)>
A-1:一次粒子径5nm以上11nm未満の板状アルミナゾル
A-2:一次粒子径5nm以上11nm未満の羽毛状アルミナゾル
【0039】
<アルミナ粒子(B)>
B-1:一次粒子径14nm以上30nm以下の板状アルミナゾル
B-2:一次粒子径14nm以上30nm以下のブロック状アルミナゾル
【0040】
<その他>
C-1:一次粒子径10nm以上20nm以下のアルミナ変性シリカゾル
C-2:一次粒子径40nm以上60nm以下のアルミナ変性シリカゾル
C-3:一次粒子径10nm以上20nm以下のシリカゾル
C-4:一次粒子径40nm以上60nm以下のシリカゾル
C-5:一次粒子径11nm以上14nm未満の板状アルミナゾル
【0041】
<界面活性剤>
D-1:主鎖/側鎖=50/50(質量比)、エチレンオキシド/プロピレンオキシド=100/0(モル比)、25℃動粘度が600mm/sのポリエーテル変性シリコーン
D-2:ステアリルアルコールのエチレンオキシド20モル付加体
D-3:ステアリン酸のエチレンオキシド12モル付加体
D-4:ノニルフェノールエチレンオキシド10モル付加体
D-5:オレイン酸のエチレンオキシド9モルプロピレンオキシド9モルランダム付加体
D-6:ラウリルアルコールのエチレンオキシド9モルプロピレンオキシド9モルブロック付加体
【0042】
≪コーティング剤組成物の作製および吸油量の測定≫
上記の原料を用いてコーティング剤組成物を作製した。その後、得られたコーティング剤組成物の無機粒子の吸油量を測定した。
【0043】
<コーティング剤組成物X-1>
水6790部に対して、アルミナ粒子(A)(A-1:固形分15%)500部と、アルミナ粒子(B)(B-1:固形分15%)167部を加えて30分以上攪拌混合し、完全に水に分散させた。さらに界面活性剤(D-1)50部を加えて30分以上攪拌混合し、純分濃度2%のコーティング剤組成物(X-1)を調製した。
【0044】
<コーティング剤組成物X-2~X-11およびx-1~x-10>
コーティング剤組成物X-1と同様にして、下記表1に示す組成のコーティング剤組成物(X-2)~(X-11)および(x-1)~(x-10)を調製した。
【0045】
<無機粒子の吸油量測定>
次いで、得られた各コーティング剤組成物X-1~X-11およびx-1~x-10を40℃で真空乾燥したのち、得られた乾固物からクロロホルムを用いて界面活性剤を抽出することで無機粒子を得た。無機粒子を乳鉢で粉砕し、JIS K 5101-13-1:2004に準ずる方法で、無機粒子100gあたりの吸油量を測定した。その結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
≪ベースフィルムの作製≫
続いて、コーティング剤組成物を塗布するベースフィルムを作製した。
【0048】
<作製例1>
エチレン・1-ブテン共重合体(エチレン単位量:95%、密度:0.920g/cm、MFR:2.1g/10分)を、直径75mmでリップ間隙3mmのダイを取り付けたインフレーション成形(樹脂押出温度:200℃、BUR=1.8)に供し、厚さ150μmのオレフィン樹脂フィルムを得た。次いで、このオレフィン重合体フィルムの表面にコロナ放電処理を施し、表面処理オレフィン樹脂フィルム(以下、「ベースフィルム(F-1)」という)を得た。コロナ放電処理面のぬれ張力を、JIS K 6768に準ずる方法により測定したところ、44mN/mであった。
【0049】
<作製例2>
エチレン・1-ブテン共重合体に代えて、エチレン・1-ヘキセン共重合体(エチレン単位量:96%、密度:0.930g/cm、MFR:1.0g/10分)を用いた以外は、作製例1と同様の操作を行い、表面処理オレフィン樹脂フィルム(以下、「ベースフィルム(F-2)」という)を得た。コロナ放電処理面のぬれ張力は40mN/mであった。
【0050】
<作製例3>
エチレン・1-ブテン共重合体に代えて、エチレン・酢酸ビニル共重合体(エチレン単位量:93%、MFR:1.5g/10分)を用いた以外は、作製例1と同様の操作を行い、表面処理オレフィン樹脂フィルム(以下、「ベースフィルム(F-3)」という)を得た。コロナ放電処理面のぬれ張力は42mN/mであった。
【0051】
<作製例4>
エチレン・1-ブテン共重合体に代えて、ポリエチレン(密度:0.927g/cm、MFR:4.0g/10分)を用いた以外は、作製例1と同様の操作を行い、表面処理オレフィン樹脂フィルム(以下、「ベースフィルム(F-4)」という)を得た。コロナ放電処理面のぬれ張力は44mN/mであった。
【0052】
<作製例5>
エチレン・1-ブテン共重合体に代えて、エチレン・プロピレン共重合体(エチレン単位量:4%、密度:0.90g/cm、MFR:8.0g/10分)を用いた以外は、作製例1と同様の操作を行い、表面処理オレフィン樹脂フィルム(以下、「ベースフィルム(F-5)」という)を得た。コロナ放電処理面のぬれ張力は43mN/mであった。
【0053】
≪改質フィルムの作製および評価≫
上記のコーティング剤組成物およびベースフィルムを用いて改質フィルムを作製した。その後、得られた改質フィルムの被膜面に対して、下記方法により透明性および流滴性を評価した。
【0054】
<実施例1-1>
コーティング剤組成物(X-1)を、ベースフィルム(F-1)のコロナ放電処理面に、絶乾塗布量が0.3g/mとなるように浸漬法により塗布し、温風乾燥機にて70℃で乾燥し、ベースフィルム(F-1)のコロナ放電処理面側に、コーティング剤組成物(X-1)を含む被膜部を備える改質フィルム(M-1)を得た。次いで、改質フィルム(M-1)に対して、下記(1),(2)の評価を行った。その結果を下記表2に示す。
【0055】
<実施例1-2~実施例1-11および比較例1-1~1-10>
実施例1-1と同様にして、下記表2に示すコーティング剤組成物およびベースフィルムを用いて、改質フィルムM-2~M-11およびm-1~m-10を得た。次いで、得られた各改質フィルムに対して、下記(1),(2)の評価を行った。その結果を下記表2に示す。
【0056】
(1)透明性
フィルムを20℃で相対湿度65%の条件下に24時間調湿した。その後、ヘイズメーター(日本電色工業社製の商品名(NDH-5000))を用いて、JIS K 7136:2000に準拠した方法によりヘイズ値を測定した。以下の基準でフィルムの透明性を評価した。
◎:12%未満(透明性が非常に優れる)
〇:12%以上~14%未満(透明性が優れる)
×:14%以上(透明性が劣る)
【0057】
(2)流滴性
水平に対して15度の傾斜面を有するテストハウスに改質フィルムを1m張り、それぞれ1日後(初期流滴性)、1か月後(中期流滴性)、1年後(長期流滴性)の水滴付着状況を目視で観察し、以下の基準で評価した。
◎:水滴の付着面積が10%未満(流滴性に非常に優れる)
〇:水滴の付着面積が10%以上~30%未満(流滴性に優れる)
×:水滴の付着面積が30%以上(流滴性に劣る)
【0058】
【表2】
【0059】
実施例1-1~1-11のコーティング剤組成物は、アルミナ粒子(A)及びアルミナ粒子(B)を含むため、優れた透明性、初期流滴性、中期流滴性、および長期流滴性を有していた。一方、比較例1-1~1-10は、アルミナ粒子(A)とアルミナ粒子(B)のいずれかを含まない、あるいは両方を含まないため、透明性、初期流滴性、中期流滴性、長期流滴性のいずか1つ以上が劣っていた。
【要約】
【課題】
高分子フィルム上に優れた透明性及び流滴性を有する被膜部を形成できる高分子フィルム用コーティング剤組成物及びそれを用いた改質フィルム、並びに高分子フィルム用コーティング剤組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】
無機粒子と界面活性剤とを含有する高分子フィルム用コーティング剤組成物であって、
無機粒子が下記のアルミナ粒子(A)及び下記のアルミナ粒子(B)を含むことを特徴とする高分子フィルム用コーティング剤組成物。
アルミナ粒子(A):一次粒子径が5nm以上11nm未満であるアルミナ粒子
アルミナ粒子(B):一次粒子径が14nm以上40nm以下であるアルミナ粒子
【選択図】なし