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  • 特許-カラオケ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】カラオケ装置
(51)【国際特許分類】
   G10K 15/04 20060101AFI20240422BHJP
【FI】
G10K15/04 302D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020159718
(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2022053100
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2023-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】390004710
【氏名又は名称】株式会社第一興商
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187562
【弁理士】
【氏名又は名称】沼田 義成
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 紀久
【審査官】冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-276547(JP,A)
【文献】特開平11-052965(JP,A)
【文献】特開2010-044733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の嗜好と推定される第1の情報及び利用者以外の嗜好と推定される第2の情報を、当該利用者に対してカラオケ演奏する楽曲を推奨するために取得する取得部と、
前記第1の情報に基づいて推奨すべき第1の楽曲を判定して、所定の第1の曲数の前記第1の楽曲を推奨する第1のレコメンド部と、
前記第2の情報に基づいて推奨すべき第2の楽曲を判定して、所定の第2の曲数の前記第2の楽曲を推奨する第2のレコメンド部と、
一の利用者に対する推奨に対応して過去に楽曲がカラオケ演奏された所定演奏回数において、前記第1のレコメンド部による推奨に対応した第1の演奏回数と、前記第2のレコメンド部による推奨に対応した第2の演奏回数とに基づいて、前記第1の曲数と前記第2の曲数との比率を決定する決定部と、を有することを特徴とするカラオケ装置。
【請求項2】
前記第2のレコメンド部は、一の第2の楽曲が前記第1の楽曲と同一である場合、前記第2の情報に基づいて前記一の第2の楽曲と異なる他の第2の楽曲を推奨することを特徴とする請求項1に記載のカラオケ装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記第1の情報として利用者の歌唱履歴情報を取得し、前記第2の情報として全国的な歌唱度数情報を取得することを特徴とする請求項1又は2に記載のカラオケ装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記第1の情報として利用者の歌唱履歴情報を取得し、前記第2の情報として当該利用者と嗜好が近似する他の利用者の歌唱履歴情報を取得することを特徴とする請求項1又は2に記載のカラオケ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラオケ装置の利用者に対してカラオケ歌唱する楽曲を推奨する技術、いわゆるレコメンド技術が多く知られている。レコメンド技術によって楽曲を推奨することにより、利用者が楽曲を検索操作する手間を軽減することができる。例えば、レコメンド技術には、直近の所定期間の全国的な歌唱度数ランキングに基づいて人気の高い楽曲を推奨するものがある。このようなレコメンド技術は、新しい楽曲のカラオケ歌唱に挑戦することを楽しむ利用者に適している。そのため、カラオケ装置には、レコメンド技術を備えたものがある。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のカラオケシステムは、利用者が歌唱した楽曲の中から演奏頻度の上位所定数ないし所定順位の楽曲を、利用者に適宜のタイミングで推薦する。すなわち、特許文献1に記載のレコメンド技術は、利用者の歌唱履歴に基づいて楽曲を推奨する。このようなレコメンド技術は、自分の得意な楽曲(いわゆる持ち歌)や定番の楽曲を歌唱することが多い利用者に適している。
【0004】
また、特許文献2に記載の推奨楽曲選出方法は、歌唱頻度順に整理された利用者別順位リストを作成し、利用者の順位リストと他者の順位リストにおける所定順位以上の曲目同士を比較し、所定数以上の曲目の一致度がある他者の順位リストを対象に、所定割合以上の順位リスト間に共通する楽曲があれば抽出し、推奨楽曲リストを作成して適宜に提示させる。すなわち、特許文献2に記載のレコメンド技術は、嗜好が近似する他の利用者の歌唱履歴に基づいて楽曲を推奨する。このようなレコメンド技術は、自分に合った新しい楽曲が見つかれば歌唱してみようと考える利用者に適している。
【0005】
特許文献3に記載の通信カラオケシステムは、ホスト装置及びカラオケ演奏端末を備えている。ホスト装置は、各楽曲について当該楽曲の次に演奏された楽曲群リストが対応づけられ、各リスト上の各楽曲の演奏頻度が統一的に集計された演奏順序集計情報ファイルを有する。カラオケ演奏端末は、各楽曲の伴奏音楽を演奏するたび演奏順序集計情報ファイルを参照し、当該楽曲に対応する楽曲群リストに基づき演奏頻度の高い順に所定数の楽曲を抽出し、これら楽曲を次の演奏候補として推薦すべく曲名や選曲番号とともにディスプレイ装置で表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-276547号公報
【文献】特開2006-337405号公報
【文献】特開平11-052965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、様々な種類のレコメンド技術があるところ、利用者によって適したレコメンド技術は異なるので、カラオケ装置は、利用者に適さないレコメンド技術を備えている場合もある。そこで、カラオケ装置に複数のレコメンド技術を備えて、何れかのレコメンド技術による楽曲の推奨を実行するように、利用者に選択させることがある。しかしながら、本来、レコメンド技術は利用者の楽曲検索操作を省くためにあるところ、利用者の選択操作を増やすことは賢明ではない。このように、従来のカラオケ装置では、利用者毎に適したレコメンド技術で効率よく楽曲を推奨することができない。
【0008】
本発明の目的は、利用者毎に適したレコメンド技術で効率よく楽曲を推奨することができるカラオケ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のカラオケ装置は、利用者の嗜好と推定される第1の情報及び利用者以外の嗜好と推定される第2の情報を、当該利用者に対してカラオケ演奏する楽曲を推奨するために取得する取得部と、前記第1の情報に基づいて推奨すべき第1の楽曲を判定して、所定の第1の曲数の前記第1の楽曲を推奨する第1のレコメンド部と、前記第2の情報に基づいて推奨すべき第2の楽曲を判定して、所定の第2の曲数の前記第2の楽曲を推奨する第2のレコメンド部と、一の利用者に対する推奨に対応して過去に楽曲がカラオケ演奏された所定演奏回数において、前記第1のレコメンド部による推奨に対応した第1の演奏回数と、前記第2のレコメンド部による推奨に対応した第2の演奏回数とに基づいて、前記第1の曲数と前記第2の曲数との比率を決定する決定部と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、利用者毎に適したレコメンド技術で効率よく楽曲を推奨することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態のカラオケ装置を備えたカラオケシステムを示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態のカラオケ装置の楽曲推奨動作を示すフローチャートである。
図3】本発明の第2の実施形態のカラオケ装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態のカラオケ装置1について説明する。
【0013】
[カラオケシステム]
図1は、第1の実施形態のカラオケ装置1を備えたカラオケシステム100の構成を示すブロック図である。図1に示すように、カラオケシステム100は、カラオケ装置1と、サーバ装置2と、モニタ等の表示装置3と、スピーカ4と、マイクロフォン5と、リモコン装置6とを備えている。なお、図1では1つのカラオケ装置1を図示しているが、カラオケシステム100は、1つのサーバ装置2に対して複数のカラオケ装置1を備えていてよい。
【0014】
例えば、カラオケ装置1、表示装置3、スピーカ4、マイクロフォン5及びリモコン装置6は、カラオケルーム等の設置場所に設置され、サーバ装置2は、当該設置場所以外に設置される。カラオケ装置1は、サーバ装置2と所定のネットワーク(図示せず)を介して通信可能に接続されている。カラオケ装置1は、有線又は無線により表示装置3、スピーカ4、マイクロフォン5及びリモコン装置6と接続されている。
【0015】
表示装置3は、カラオケ装置1からの映像信号等に基づいて、カラオケ演奏に合わせて背景映像と共に歌詞テロップを表示する。スピーカ4は、カラオケ装置1からの放音信号に基づいて、楽曲の演奏音と共に利用者の歌唱音声を放音する。マイクロフォン5は、利用者の歌唱音声を音声信号に変換してカラオケ装置1に入力する。
【0016】
[サーバ装置]
サーバ装置2は、カラオケ装置1の各利用者の利用者識別情報(利用者ID)を記憶して各利用者を識別している。サーバ装置2は、利用者がカラオケ歌唱した楽曲の楽曲識別情報(楽曲ID)を利用者IDと共にカラオケ装置1から受信する。サーバ装置2は、所定期間(例えば、直近1年間)の間にカラオケ演奏された楽曲の楽曲IDをその演奏回数及び利用者IDと対応付けて当該利用者の歌唱履歴情報(利用者の嗜好と推定される第1の情報)として記憶する。換言すれば、サーバ装置2は、利用者毎に、カラオケ歌唱した楽曲の楽曲ID及び演奏回数を歌唱履歴情報として記憶している。
【0017】
また、サーバ装置2は、カラオケシステム100における全てのカラオケ装置1から各利用者の歌唱履歴情報を取得して統計することで全国的な歌唱度数情報(利用者以外の嗜好と推定される第2の情報)を求めて記憶する。全国的な歌唱度数情報は、カラオケシステム100全体において所定期間(例えば、直近1年間)の間に何れかのカラオケ装置1でカラオケ演奏された楽曲の楽曲IDとその演奏回数と対応付けたものである。
【0018】
[リモコン装置]
リモコン装置6は、タッチパネルを主体に構成されている。リモコン装置6は、タッチパネルによってログイン操作や選曲(予約)操作を受け付けている。リモコン装置6とカラオケ装置1は無線通信を介してペアリングされることで、リモコン装置6とカラオケ装置1の間で各種情報が相互に送受信される。
【0019】
リモコン装置6は、利用者のログイン操作に応じて入力された利用者ID等をカラオケ装置1へ送信する。リモコン装置6は、楽曲の検索や推奨楽曲の選択による選曲(予約)を受け付けていて、利用者の選曲(予約)操作に応じて選曲(予約)された楽曲の楽曲IDを予約楽曲情報としてカラオケ装置1へ送信する。
【0020】
[カラオケ装置]
カラオケ装置1は、選曲(予約)された楽曲のカラオケ演奏を行う機能に加えて、複数のレコメンド手段によって利用者に推奨楽曲を提供可能に構成されている。第1の実施形態のカラオケ装置1は、例えば、各利用者の歌唱履歴情報に基づく第1のレコメンド手段や、全国的な歌唱度数情報に基づく第2のレコメンド手段を提供する。
【0021】
カラオケ装置1は、制御部10と、記憶部11と、通信部12とを備えている。制御部10は、CPU(Central Processing Unit)等を有して構成され、カラオケ装置1を統括制御する。記憶部11は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disc Drive)等の記憶媒体を有して構成される。通信部12は、所定のネットワーク(図示せず)を介して通信を行うインタフェースであり、サーバ装置2と通信可能に接続される。
【0022】
記憶部11は、カラオケ装置1の各部及び各機能を制御するためのプログラムやデータを記憶する。例えば、記憶部11は、カラオケ装置1がカラオケ演奏可能な各楽曲について、楽曲ID、曲名、歌手名、ジャンル等の基本情報を記憶している。また、記憶部11は、楽曲ID毎に、楽曲データ等のカラオケ歌唱に関する各種データを記憶している。
【0023】
制御部10は、記憶部11に記憶されたプログラムやデータに基づいて演算処理を実行することにより、カラオケ装置1の各部及び各機能を制御する。例えば、本実施形態の制御部10は、記憶部11に記憶されたプログラムを実行することにより、ログイン処理部15、取得部16、第1のレコメンド部17、第2のレコメンド部18及び決定部19として動作する。
【0024】
ログイン処理部15は、利用者のログイン操作時にリモコン装置6から利用者IDを受信して、利用者IDを記憶部11に記憶することで利用者IDに対応する利用者のログイン処理を行う。なお、カラオケ装置1が利用者IDを入力する機能を有していてもよい。
【0025】
取得部16は、利用者に対してカラオケ演奏する楽曲を推奨するために、利用者の嗜好と推定される第1の情報、例えば、利用者の歌唱履歴情報をサーバ装置2から受信して取得し、利用者以外の嗜好と推定される第2の情報、例えば、全国的な歌唱度数情報をサーバ装置2から受信して取得する。取得部16が取得する利用者の歌唱履歴情報又は全国的な歌唱度数情報は、所定期間にカラオケ演奏された全ての楽曲であってもよいし、演奏回数が多い順に所定数の楽曲であってもよいし、演奏回数が所定回数以上の楽曲であってもよい。なお、取得部16が取得する利用者の歌唱履歴情報又は全国的な歌唱度数情報は、カラオケ装置1が利用者に推奨する全推奨曲数(例えば、20曲)に基づいて設定されるとよい。
【0026】
第1のレコメンド部17は、第1のレコメンド手段を提供するものであり、利用者の嗜好と推定される第1の情報、例えば、利用者の歌唱履歴情報に基づいて、利用者へ推奨すべき第1の楽曲を判定して、所定の第1の曲数の第1の楽曲を推奨楽曲とする。
【0027】
第2のレコメンド部18は、第2のレコメンド手段を提供するものであり、利用者以外の嗜好と推定される第2の情報、例えば、全国的な歌唱度数情報に基づいて、利用者へ推奨すべき第2の楽曲を判定して、所定の第2の曲数の第2の楽曲を推奨楽曲とする。
【0028】
また、第2のレコメンド部18は、判定した一の第2の楽曲が第1のレコメンド部17で判定された第1の楽曲と同一である場合、当該一の第2の楽曲を第2のレコメンド部18による推奨から除外する。第1の楽曲と同一の第2の楽曲を推奨楽曲から除外した場合、利用者に推奨する楽曲の曲数は、除外した分だけ全推奨曲数よりも少なくてもよい。あるいは、第2のレコメンド部18は、除外した分を埋めるために、更に第2の情報に基づいて当該一の第2の楽曲と異なる他の第2の楽曲を判定して推奨楽曲としてもよい。
【0029】
決定部19は、利用者に対する推奨に対応して過去に楽曲がカラオケ演奏された直近の所定演奏回数において、第1のレコメンド部17による推奨に対応した第1の演奏回数と、第2のレコメンド部18による推奨に対応した第2の演奏回数とに基づいて、当該利用者に推奨すべき第1の曲数と第2の曲数との比率を決定する。第1の曲数と第2の曲数との比率は、利用者に推奨する全推奨曲数(例えば、20曲)における比率である。
【0030】
[カラオケ装置の演奏動作]
次に、利用者がカラオケ歌唱を行うときのカラオケ装置1の基本的な演奏動作について説明する。
【0031】
先ず、利用者がリモコン装置6を操作して利用者IDを入力すると、カラオケ装置1では、ログイン処理部15がリモコン装置6から利用者IDを受信してログイン処理を行い、以降の動作は、ログインしている利用者IDに対応する利用者の動作とみなされる。
【0032】
利用者がリモコン装置6を操作して楽曲を予約すると、カラオケ装置1は、リモコン装置6から受信した予約楽曲情報を利用者IDと対応付けて記憶部11の予約管理テーブルに登録する。記憶部11には、楽曲ID毎に楽曲データ等のカラオケ歌唱に関する各種データが記憶されている。カラオケ装置1は、予約管理テーブルから登録順に予約楽曲情報を読み出し、この予約楽曲情報の楽曲IDに対応する楽曲データ等を記憶部11から読み出す。楽曲データには、カラオケ楽曲の伴奏音の元になる伴奏データ、歌唱の採点基準となるリファレンスデータ、表示装置3に表示される歌詞テロップの元になる歌詞データが含まれている。
【0033】
カラオケ装置1がカラオケ演奏を開始すると、伴奏データの再生に同期して、歌詞データ及び背景映像データに基づいて歌詞テロップと背景映像が表示装置3に表示される。また、カラオケ装置1ではカラオケ演奏の伴奏音信号とマイクロフォン5から入力された歌唱音声信号がミキサによって適切な比率でミキシングされて、このミキシング信号がアンプによって増幅されてスピーカ4から放音される。このように、歌唱者がカラオケ演奏に合わせて歌唱すると、スピーカ4から伴奏音と共に歌唱音声が放音される。歌唱音声はリファレンスデータに基づいて採点される。カラオケ装置1は、その歌唱採点を利用者ID及び楽曲IDに対応付けて記憶部11に記憶する。
【0034】
また、カラオケ装置1は、少しでもカラオケ演奏が開始された場合、あるいは所定時間カラオケ演奏が開始された場合に、カラオケ演奏を行った楽曲の履歴を保存するために、その楽曲の楽曲IDを利用者IDと共にサーバ装置2へ送信する。
【0035】
第1の実施形態のカラオケ装置1では、何れかのレコメンド手段で推奨された楽曲が選曲(予約)されて、その推奨楽曲のカラオケ演奏を行うことがある。カラオケ装置1は、例えば、各利用者の歌唱履歴情報に基づく第1のレコメンド手段を第1の実績情報で識別し、全国的な歌唱度数情報に基づく第2のレコメンド手段を第2の実績情報で識別する。何れかのレコメンド手段によって推奨された楽曲のカラオケ演奏を行った場合、カラオケ装置1は、推奨楽曲の演奏実績情報として、そのレコメンド手段を識別する実績情報を利用者ID毎に記憶部11に記憶する。演奏実績情報は、直近の所定演奏回数の実績情報をカラオケ演奏が行われた順に記憶している。また、カラオケ装置1は、推奨楽曲のカラオケ演奏を行った場合、演奏実績情報を保存するために、ID及び利用者IDと共に実績情報をサーバ装置2へ送信してもよい。
【0036】
[カラオケ装置の楽曲推奨動作]
次に、カラオケ装置1の複数のレコメンド手段による楽曲推奨動作について図2を参照して説明する。図2は、カラオケ装置1の楽曲推奨動作を示すフローチャートである。
【0037】
先ず、上記と同様に、利用者がリモコン装置6を操作して利用者IDを入力すると、カラオケ装置1では、ログイン処理部15がリモコン装置6から利用者IDを受信してログイン処理を行う(ステップS1)。
【0038】
取得部16は、ログインした利用者に対してカラオケ演奏する楽曲を推奨するために、当該利用者の利用者IDをサーバ装置2へ送信して、当該利用者の嗜好と推定される第1の情報及び利用者以外の嗜好と推定される第2の情報をサーバ装置2から受信して取得する(ステップS2)。取得部16は、例えば、第1の情報として利用者の歌唱履歴情報を取得し、第2の情報として全国的な歌唱度数情報を取得する。また、取得部16は、利用者のログイン直後に、第1の情報及び第2の情報をサーバ装置2から取得し、あるいは、カラオケ装置1がサーバ装置2から受信して記憶部11に記憶した第1の情報及び第2の情報を記憶部11から取得してもよい。なお、取得部16は、ログイン後、所定時間を経過する度に、第1の情報及び第2の情報をサーバ装置2から所得し直してもよい。
【0039】
決定部19は、所定のタイミングで、ログイン中の利用者に推奨する第1の曲数と第2の曲数との比率を決定するために、先ず、利用者IDに関連付けて記憶部11に記憶された演奏実績情報、すなわち、直近の所定演奏回数の実績情報を取得する。ここで、所定のタイミングとは、利用者に対してカラオケ演奏する楽曲を推奨するのに適したタイミングであり、例えば、ログイン直後でもよく、カラオケ演奏の予約が無いまま所定時間が経過したタイミングでもよく、リモコン装置6の操作等によって利用者から楽曲の推奨のリクエストがあったタイミングでもよい。例えば、カラオケ演奏の予約があった場合(ステップS3:NO)、カラオケ装置1は、楽曲推奨動作を終了してよい。一方、カラオケ演奏の予約が無く(ステップS3:YES)、且つ所定時間が経過した場合(ステップS4:YES)、決定部19は、第1の曲数及び第2の曲数の比率の決定を行う(ステップS5)。
【0040】
このとき、決定部19は、取得した所定演奏回数の実績情報のうち、第1の実績情報の数を第1のレコメンド部17による推奨に対応した第1の演奏回数として計数し、第2の実績情報の数を第2のレコメンド部18による推奨に対応した第2の演奏回数として計数する。更に、決定部19は、第1の演奏回数及び第2の演奏回数に基づいて、当該利用者に推奨すべき第1の曲数と第2の曲数との比率を決定する。
【0041】
例えば、演奏実績情報の所定演奏回数が10回に設定されている場合に、所定の利用者の演奏実績情報が、古い順に「第2の実績情報、第1の実績情報、第2の実績情報、第2の実績情報、第2の実績情報、第1の実績情報、第2の実績情報、第2の実績情報、第1の実績情報、第2の実績情報」であったとする。この場合、利用者は、全国的な歌唱度数情報に基づいて推奨された楽曲でカラオケ歌唱することが多く、たまに利用者の歌唱履歴情報に基づいて推奨された楽曲でカラオケ歌唱することがあると推定できる。換言すれば、利用者は、どちらかと言えば、新しい楽曲のカラオケ歌唱に挑戦する利用者であると推定できる。
【0042】
この場合、決定部19は、利用者の第1の演奏回数を3回と計数し、第2の演奏回数を7回と計数する。また、決定部19は、利用者に推奨する第1の曲数と第2の曲数との比率を3:7に決定する。利用者に推奨する全推奨曲数が20曲に設定されている場合、第1の曲数は6曲となり、第2の曲数は14曲となる。
【0043】
次に、第1のレコメンド部17は、第1の曲数として6曲の第1の楽曲を推奨楽曲とすると共に、第2のレコメンド部18は、第2の曲数として14曲の第2の楽曲を推奨楽曲とする。
【0044】
具体的には、第1のレコメンド部17は、取得部16が取得した利用者の嗜好と推定される第1の情報、例えば、利用者の歌唱履歴情報から、演奏回数の多い順に上位6曲(1位から6位まで)の第1の楽曲を抽出する(ステップS6)。また、第2のレコメンド部18は、取得部16が取得した利用者以外の嗜好と推定される第2の情報、例えば、全国的な歌唱度数情報から、演奏回数の多い順に上位14曲(1位から14位まで)の第2の楽曲を抽出する(ステップS7)。カラオケ装置1は、第1のレコメンド部17が推奨した第1の楽曲及び第2のレコメンド部18が推奨した第2の楽曲を、表示装置3やリモコン装置6に表示させることで利用者に推奨する(ステップS8)。
【0045】
このとき、表示装置3又はリモコン装置6は、上位6曲の第1の楽曲を演奏回数の多い順に表示し、続いて、上位14曲の第2の楽曲を演奏回数の多い順に表示するとよい。若しくは、表示装置3又はリモコン装置6は、上位14曲の第2の楽曲を演奏回数の多い順に表示し、続いて、上位6曲の第1の楽曲を演奏回数の多い順に表示してもよい。あるいは、表示装置3又はリモコン装置6は、第1の楽曲及び第2の楽曲をランダムに表示してもよい。また、推奨楽曲の表示順のタイプは、利用者が任意に選択可能にしてもよい。
【0046】
そして、カラオケ装置1は、利用者がログアウトしていなければ(ステップS9:NO)、楽曲推奨動作を繰り返し、一方、利用者がログアウトしていれば(ステップS9:YES)、楽曲推奨動作を終了する。
【0047】
ところで、利用者が好んで歌唱している楽曲の中に、全国的にも歌唱度数の高い人気楽曲があった場合には、利用者の歌唱履歴情報に基づくランキング及び全国的な歌唱度数情報に基づくランキングの両方で、同じ楽曲が上位にランクインすることがある。この場合、第2のレコメンド部18が判定した一の第2の楽曲が第1のレコメンド部17で判定された第1の楽曲と同一となるが、第2のレコメンド部18は、当該一の第2の楽曲を推奨か楽曲から除外する。なお、第1のレコメンド部17は、一の第2の楽曲と同一の第1の楽曲をそのまま推奨楽曲とする。また、第2のレコメンド部18は、例えば、除外した分を埋めるために、第2の情報に基づいて当該一の第2の楽曲と異なる他の第2の楽曲を判定して推奨楽曲する。
【0048】
例えば、第1のレコメンド部17が利用者の歌唱履歴情報に基づいて推奨する6曲のうち、一の第1の楽曲が、利用者の歌唱履歴情報の演奏回数のランキングにおいて2位であったとする。また、第2のレコメンド部18が全国的な歌唱度数情報に基づいて推奨する14曲のうち、一の第2の楽曲が、全国的な歌唱度数情報の演奏回数のランキングにおいて10位であったとする。ここで、一の第1の楽曲と一の第2の楽曲とが同一であったとする。この場合、第1のレコメンド部17は、一の第1の楽曲について推奨楽曲の認定を維持する。また、第2のレコメンド部18は、一の第2の楽曲を推奨楽曲から除外するので、除外した分の代わりに、全国的な歌唱度数情報の演奏回数のランキングにおいて15位の第2の楽曲を繰り上げて推奨楽曲として認定する。
【0049】
その後、利用者が、表示装置3やリモコン装置6に表示された20曲の推奨楽曲の中から、第1のレコメンド部17により推奨された第1の楽曲を選曲(予約)すると、カラオケ装置1は、上記の演奏動作に記載したように、当該第1の楽曲をカラオケ演奏する。カラオケ装置1は、推奨楽曲の演奏実績情報として、第1のレコメンド手段を識別する第1の実績情報を利用者IDに関連付けて記憶部11に記憶する。このとき、記憶部11に記憶された推奨楽曲の演奏実績情報は、古い順に「第1の実績情報、第2の実績情報、第2の実績情報、第2の実績情報、第1の実績情報、第2の実績情報、第2の実績情報、第1の実績情報、第2の実績情報、第1の実績情報」に更新される。
【0050】
従って、次の楽曲推奨動作において決定部19が利用者に推奨する第1の曲数と第2の曲数との比率を決定する場合、決定部19は、利用者の第1の演奏回数を前回から1増加した4回と計数し、第2の演奏回数を前回から1減少した6回と計数する。そのため、決定部19は、利用者に推奨する第1の曲数と第2の曲数との比率を4:6に決定する。利用者に推奨する全推奨曲数が20曲に設定されている場合、第1の曲数は8曲となり、第2の曲数は12曲となる。第1のレコメンド部17は、第1の曲数として8曲の第1の楽曲を推奨楽曲として推奨すると共に、第2のレコメンド部18は、第2の曲数として12曲の第2の楽曲を推奨楽曲として推奨する。
【0051】
上記したように、本発明の第1の実施形態のカラオケ装置1は、利用者の嗜好と推定される第1の情報及び利用者以外の嗜好と推定される第2の情報を、当該利用者に対してカラオケ演奏する楽曲を推奨するために取得する取得部16と、第1の情報に基づいて推奨すべき第1の楽曲を判定して、所定の第1の曲数の第1の楽曲を推奨する第1のレコメンド部17と、第2の情報に基づいて推奨すべき第2の楽曲を判定して、所定の第2の曲数の第2の楽曲を推奨する第2のレコメンド部18と、一の利用者に対する推奨に対応して過去に楽曲がカラオケ演奏された所定演奏回数において、第1のレコメンド部17による推奨に対応した第1の演奏回数と、第2のレコメンド部18による推奨に対応した第2の演奏回数とに基づいて、第1の曲数と第2の曲数との比率を決定する決定部19と、を有する。
【0052】
例えば、取得部16は、第1の情報として利用者の歌唱履歴情報を取得し、第2の情報として全国的な歌唱度数情報を取得する。
【0053】
これにより、全推奨曲数を変更することなく、各利用者の演奏実績情報に基づいて、自分の得意な楽曲や定番の楽曲をカラオケ歌唱する傾向がある利用者に適した推奨楽曲と、自分の嗜好に拘らず新しい楽曲のカラオケ歌唱に挑戦する傾向がある利用者に適した推奨楽曲との比率を、各利用者に合わせて決定することができる。そのため、利用者毎に適したレコメンド技術で推奨される楽曲をより多く提示できると共に、推奨楽曲が一のレコメンド技術に偏ることなく、他のレコメンド技術で推奨される楽曲を提示することもできるので、効率よく楽曲を推奨することができる。
【0054】
また、上記したように、第1の実施形態において、第2のレコメンド部18は、一の第2の楽曲が第1の楽曲と同一である場合、第2の情報に基づいて一の第2の楽曲と異なる他の第2の楽曲を推奨する。
【0055】
これにより、第1のレコメンド部17及び第2のレコメンド部18が一の楽曲を重複して推奨する場合には、利用者の嗜好を優先して楽曲を推奨することができる。例えば、全国的な歌唱度数情報に基づいて推奨された楽曲であっても、利用者の歌唱履歴情報に基づいて推奨された楽曲と同一であれば、得意な楽曲や定番の楽曲を歌唱する利用者に適した楽曲と見做すことになる。また、利用者以外の嗜好に合う推奨をやり直すので、新しい楽曲のカラオケ歌唱に挑戦する利用者に適した他の楽曲を推奨することができ、複数のレコメンド手段による様々なタイプの楽曲の推奨を維持することができる。
【0056】
なお、上記の第1の実施形態では、カラオケ装置1は、第1のレコメンド部17によって、第1の情報である利用者の歌唱履歴情報から、演奏回数の多い順に第1の楽曲を抽出して推奨する例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、他の実施形態では、カラオケ装置1の第1のレコメンド部17は、第1の情報である利用者の歌唱履歴情報から、歌唱採点の平均点の高い順に第1の楽曲を抽出して推奨してもよい。
【0057】
この場合、カラオケ装置1は、利用者がカラオケ歌唱した楽曲の楽曲ID及び利用者IDをサーバ装置2へ送信するときに、このカラオケ歌唱時の歌唱採点も送信する。サーバ装置2は、カラオケ装置1から受信した楽曲の楽曲IDを演奏回数及び利用者IDと対応付けて、利用者の歌唱履歴情報(第1の情報)として記憶するとき、カラオケ装置1から受信した歌唱採点も対応付けて歌唱履歴情報に記憶する。なお、サーバ装置2は、楽曲毎に歌唱採点を平均化してその平均点を歌唱採点情報として記憶するとよい。これにより、取得部16は、歌唱採点情報を含む歌唱履歴情報(第1の情報)をサーバ装置2から取得することができる。
【0058】
また、上記の第1の実施形態では、カラオケ装置1は、第2のレコメンド部18によって、第2の情報である全国的な歌唱度数情報から、演奏回数の多い順に第2の楽曲を抽出して推奨する例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、他の実施形態では、カラオケ装置1の第2のレコメンド部18は、第2の情報である全国的な歌唱度数情報から、カラオケ演奏中の楽曲の次に演奏された頻度の高い順に第2の楽曲を抽出して推奨してもよい。
【0059】
この場合、サーバ装置2は、各利用者がカラオケ歌唱した楽曲の楽曲IDを受信して各利用者の歌唱履歴情報を作成する際に、各利用者がカラオケ歌唱した楽曲の演奏順序を各利用者の歌唱履歴情報に含める。サーバ装置2は、全国の各利用者の歌唱履歴情報に基づいて全国的な歌唱度数情報を作成するとき、各歌唱履歴情報の楽曲の演奏順序を参照することで、各楽曲(現楽曲)の次に演奏されたことのある楽曲(次楽曲)を把握することができる。そこで、サーバ装置2は、各楽曲について1つ以上の次楽曲を検出し、各楽曲に対して次楽曲として演奏された頻度(回数)を次楽曲毎に割り出す。そして、サーバ装置2は、各楽曲に次楽曲の楽曲ID及び演奏頻度を対応付けて、全国的な歌唱度数情報(第2の情報)として記憶する。
【0060】
また、サーバ装置2は、カラオケ装置1から一の楽曲の楽曲IDと共に、第2の情報の問い合わせを受信すると、この問い合わせに応答して、当該一の楽曲に対応する次楽曲の楽曲ID及び演奏頻度を全国的な歌唱度数情報(第2の情報)としてカラオケ装置1へ送信する。これにより、取得部16は、カラオケ装置1が演奏中の楽曲の楽曲IDをサーバ装置2に送信すると、その楽曲に対応する次楽曲の楽曲ID及び演奏頻度を含む全国的な歌唱度数情報(第2の情報)をサーバ装置2から取得することができる。
【0061】
[変形例]
なお、上記の第1の実施形態では、カラオケ装置1は、利用者以外の嗜好と推定される第2の情報として、全国的な歌唱度数情報を利用する例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、変形例として、カラオケ装置1は、楽曲を推奨すべき一の利用者以外の嗜好と推定される第2の情報として、一の利用者と嗜好が近似する他の利用者の歌唱履歴情報を利用してもよい。
【0062】
この場合、サーバ装置2は、全国の利用者の歌唱履歴情報を記憶してるので、一の利用者について第2の情報を取得する場合には、一の利用者以外の歌唱履歴情報から、利用者と嗜好が近似する他の利用者の歌唱履歴情報を取得する。例えば、サーバ装置2は、各利用者の歌唱履歴情報に基づいて、歌唱頻度順に歌唱履歴情報を整理した順位リストを利用者毎に作成する。そして、サーバ装置2は、一の利用者の順位リストと他の利用者の順位リストとを比較して、所定順位以上の楽曲のうち、所定数以上の楽曲が一致する場合、当該他の利用者は、当該一の利用者と嗜好が近似すると判定し、当該他の利用者の歌唱履歴情報を第2の情報として取得する。
【0063】
取得部16は、上記した楽曲推奨動作において、利用者以外の嗜好と推定される第2の情報として、利用者と嗜好が近似する他の利用者の歌唱履歴情報をサーバ装置2から受信して取得する。
【0064】
第2のレコメンド部18は、上記した楽曲推奨動作において、利用者以外の嗜好と推定される第2の情報として、利用者と嗜好が近似する他の利用者の歌唱履歴情報に基づいて、利用者へ推奨すべき第2の楽曲を判定して、所定の第2の曲数の第2の楽曲を推奨楽曲とする。この場合、第2のレコメンド部18は、一の第2の楽曲が第1の楽曲と同一である場合、第2の情報に基づいて当該一の第2の楽曲と異なる他の第2の楽曲を推奨することが望ましい。
【0065】
これにより、一の利用者と嗜好が近似する他の利用者の歌唱履歴情報を利用することにより、一の利用者の歌唱履歴のない楽曲の中から、一の利用者の嗜好に近い楽曲を推奨することができる。従って、全推奨曲数を変更することなく、利用者の演奏実績情報に基づいて、自分の得意な楽曲や定番の楽曲をカラオケ歌唱する傾向がある利用者に適した推奨楽曲と、自分の嗜好に近い新しい楽曲のカラオケ歌唱に挑戦する傾向がある利用者に適した推奨楽曲との比率を、利用者に合わせて決定することができる。
【0066】
[第2の実施形態]
以下、本発明の第2の実施形態のカラオケ装置1について説明する。図3は、第2の実施形態のカラオケ装置1の構成を示すブロック図である。第2の実施形態の説明において、第1の実施形態と同一の構成要素には第1の実施形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0067】
第2の実施形態のカラオケ装置1は、利用者に楽曲を推奨するために、利用者の嗜好と推定される第1の情報として利用者の歌唱履歴情報を利用し、利用者以外の嗜好と推定される第2の情報として当該利用者と嗜好が近似する他の利用者の歌唱履歴情報を利用し、利用者以外の嗜好と推定される第3の情報として全国的な歌唱度数情報を利用する。カラオケ装置1は、利用者の歌唱履歴情報に基づく第1のレコメンド手段と、利用者と嗜好が近似する他の利用者の歌唱履歴情報に基づく第2のレコメンド手段と、全国的な歌唱度数情報に基づく第3のレコメンド手段とを提供可能に構成される。
【0068】
図3に示すように、第2の実施形態のカラオケ装置1では、制御部10は、記憶部11に記憶されたプログラムを実行することにより、ログイン処理部15、取得部16、第1のレコメンド部17、第2のレコメンド部18及び決定部19に加えて、第3のレコメンド部20として動作する。
【0069】
第2の実施形態の第1のレコメンド部17は、上記した第1の実施形態と同様に、第1の情報として利用者の歌唱履歴情報に基づいて第1の曲数の第1の楽曲を推奨する。第2の実施形態の第2のレコメンド部18は、上記した変形例と同様に、第2の情報として利用者と嗜好が近似する他の利用者の歌唱履歴情報に基づいて第2の曲数の第2の楽曲を推奨する。
【0070】
また、第3のレコメンド部20は、第3のレコメンド手段を提供するものであり、上記した第1の実施形態の第2のレコメンド部18と同様にして、利用者以外の嗜好と推定される第3の情報として全国的な歌唱度数情報に基づいて利用者へ推奨すべき第3の楽曲を判定し、所定の第3の曲数の第3の楽曲を推奨楽曲とする。
【0071】
第2の実施形態のカラオケ装置1は、例えば、各利用者の歌唱履歴情報に基づく第1のレコメンド手段を第1の実績情報で識別し、利用者と嗜好が近似する他の利用者の歌唱履歴情報に基づく第2のレコメンド手段を第2の実績情報で識別し、全国的な歌唱度数情報に基づく第3のレコメンド手段を第3の実績情報で識別する。何れかのレコメンド手段によって提供された推奨楽曲のカラオケ演奏を行った場合、カラオケ装置1は、推奨楽曲の演奏実績情報として、そのレコメンド手段を識別する実績情報を利用者ID毎に記憶部11に記憶する。演奏実績情報は、直近の所定演奏回数の実績情報をカラオケ演奏が行われた順に記憶している。
【0072】
取得部16は、利用者に楽曲を推奨するために、第1の情報として利用者の歌唱履歴情報を、第2の情報として利用者と嗜好が近似する他の利用者の歌唱履歴情報を、第3の情報として全国的な歌唱度数情報を、それぞれサーバ装置2から受信して取得する。
【0073】
決定部19は、利用者に対する推奨に対応して過去に楽曲がカラオケ演奏された直近の所定演奏回数において、第1のレコメンド部17による推奨に対応した第1の演奏回数と、第2のレコメンド部18による推奨に対応した第2の演奏回数と、第3のレコメンド部20による推奨に対応した第3の演奏回数とに基づいて、利用者に推奨すべき第1の曲数と第2の曲数と第3の曲数との比率を決定する。第1の曲数と第2の曲数と第3の曲数との比率は、利用者に推奨する全推奨曲数(例えば、20曲)における比率である。
【0074】
第2の実施形態のカラオケ装置1の複数のレコメンド手段による楽曲推奨動作は、第1の実施形態と同様に行われる一方、第3の実績情報で識別される第3のレコメンド手段を追加している点で相違する。
【0075】
この楽曲推奨動作において、決定部19が第1の曲数と第2の曲数と第3の曲数との比率を決定する場合に、例えば、記憶部11に記憶されている利用者の演奏実績情報が、古い順に「第2の実績情報、第1の実績情報、第3の実績情報、第3の実績情報、第2の実績情報、第1の実績情報、第2の実績情報、第2の実績情報、第1の実績情報、第2の実績情報」であったとする。
【0076】
この場合、決定部19は、利用者の第1の演奏回数を3回と計数し、第2の演奏回数を5回と計数し、第3の演奏回数を2回と計数する。また、決定部19は、利用者に推奨する第1の曲数と第2の曲数と第3の曲数との比率を3:5:2に決定する。利用者に推奨する全推奨曲数が20曲に設定されている場合、第1の曲数は6曲となり、第2の曲数は10曲となり、第3の曲数は4曲となる。
【0077】
また、第1のレコメンド部17は、取得部16が取得した第1の情報として利用者の歌唱履歴情報から、演奏回数順に上位6曲の第1の楽曲を抽出して、それらの曲名等の基本情報を表示装置3やリモコン装置6に表示させることで第1の楽曲を推奨する。第2のレコメンド部18は、取得部16が取得した第2の情報として利用者と嗜好が近似する他の利用者の歌唱履歴情報から、演奏回数順に上位10曲の第2の楽曲を抽出して、それらの曲名等の基本情報を表示装置3やリモコン装置6に表示させることで第2の楽曲を推奨する。第3のレコメンド部20は、取得部16が取得した第3の情報として全国的な歌唱度数情報から、演奏回数順に上位4曲の第3の楽曲を抽出して、それらの曲名等の基本情報を表示装置3やリモコン装置6に表示させることで第3の楽曲を推奨する。
【0078】
第2の実施形態のカラオケ装置1によれば、全推奨曲数を変更することなく、各利用者の演奏実績情報に基づいて、自分の得意な楽曲や定番の楽曲をカラオケ歌唱する傾向がある利用者に適した推奨楽曲と、自分の嗜好に近い新しい楽曲のカラオケ歌唱に挑戦する傾向がある利用者に適した推奨楽曲と、自分の嗜好に拘らず新しい楽曲のカラオケ歌唱に挑戦する傾向がある利用者に適した推奨楽曲との比率を、各利用者に合わせて決定することができる。そのため、利用者毎に適したレコメンド技術で推奨される楽曲をより多く提示できると共に、推奨楽曲が一のレコメンド技術に偏ることなく、他のレコメンド技術で推奨される楽曲を提示することもできるので、効率よく楽曲を推奨することができる。
【0079】
上記した実施形態では、サーバ装置2に各種情報を記憶してカラオケ装置1がサーバ装置2から各種情報を取得することにより楽曲推奨を実行する例を説明したが、本発明はこの例に限定されず、カラオケ装置1は、記憶部11に各種情報を記憶して記憶部11から各種情報を取得することにより楽曲推奨を実行するように構成されてもよい。
【0080】
また、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うカラオケ置もまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0081】
1 カラオケ装置
2 サーバ装置
3 表示装置
6 リモコン装置
10 制御部
11 記憶部
15 ログイン処理部
16 取得部
17 第1のレコメンド部
18 第2のレコメンド部
19 決定部
図1
図2
図3