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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】粒子線アーク治療
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20240422BHJP
【FI】
A61N5/10 H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018547456
(86)(22)【出願日】2017-03-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-03-22
(86)【国際出願番号】 US2017021837
(87)【国際公開番号】W WO2017156419
(87)【国際公開日】2017-09-14
【審査請求日】2020-03-03
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-02
(31)【優先権主張番号】62/337,097
(32)【優先日】2016-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/306,413
(32)【優先日】2016-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/306,403
(32)【優先日】2016-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/410,674
(32)【優先日】2016-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596047609
【氏名又は名称】ウィリアム・ボーモント・ホスピタル
【氏名又は名称原語表記】WILLIAM BEAUMONT HOSPITAL
【住所又は居所原語表記】3601 WEST THIRTEEN MILE ROAD, ROYAL OAK, MICHIGAN 48072,UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ディン シュアンフェン
(72)【発明者】
【氏名】リ シャオチャン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ディ
【合議体】
【審判長】内藤 真徳
【審判官】後藤 泰輔
【審判官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-97683(JP,A)
【文献】特表2013-516278(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0051824(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的に荷電粒子ビームを送達するシステムであって、
軌道を形成するガントリと、
治療ステーション上に位置する複数のアイソセンタを有する部分の所望の標的に対して連続的な前記荷電粒子ビームを衝撃角で放射する出力器であって、前記ガントリの軌道に沿って移動可能に設けられ、前記荷電粒子ビームを複数の制御点から送達する前記出力器と、
前記出力器に対してビームラインを介して1つ以上の前記荷電粒子ビームを送達する粒子線加速器であって、荷電粒子を加速し、前記ビームラインを介して前記荷電粒子ビームを抽出する前に荷電粒子を明確に画定された荷電粒子ビームに配列する前記粒子線加速器と、
治療計画に基づいて前記複数の制御点のうちの複数の初期制御点を特定し、各初期制御点で前記出力器から送達される第1群の複数の荷電粒子ビームのエネルギーの大きさであるエネルギー層を特定するデータ処理ハードウェアと、を有し、
前記衝撃角は、前記治療ステーションと平行に前記アイソセンタを通って延在する平面と前記出力器から前記所望の標的に送達される前記荷電粒子ビームとの間の角度であり、
前記出力器は、前記ガントリに沿って設けられた前記複数の初期制御点のうちの第1の制御点から前記第1群の複数の荷電粒子ビームを前記衝撃角前記所望の標的の深さ部分まで送達するように構成されており、
前記第1群の複数の荷電粒子ビームの各々のビームエネルギーは、第1のモニタユニット(MU)に関連付けられ且つ前記所望の標的の深さに対応する第1のエネルギー層を有するものであり
記データ処理ハードウェアは、前記治療計画に基づいて前記複数の初期制御点の数を増加させるために、前記複数の初期制御点のうちの少なくとも1つの前記第1の制御点をなくして第1の新たな制御点及び第2の新たな制御点に分割するように構成され、
前記第1の新たな制御点及び前記第2の新たな制御点の前記出力器から前記所望の標的の深さ部分まで送達される第2群の複数の荷電粒子ビームの第2のエネルギー層は、前記第1の制御点に関連する前記第1のモニタユニット(MU)と、前記第1の新たな制御点及び前記第2の新たな制御点のそれぞれに関連するモニタユニット(MU)の合計の第2のモニタユニット(MU)とが互いに等しくなるように、前記第1の新たな制御点及び前記第2の新たな制御点における前記第2のエネルギー層の総数が前記第1のエネルギー層の総数と同数に設定されているか、又は前記第2のモニタユニットのうちの前記第1の新たな制御点及び前記第2の新たな制御点のそれぞれに関連する前記第2のエネルギー層のモニタユニット(MU)が前記第1のモニタユニット(MU)の分数に設定されていることを特徴とする、システム。
【請求項2】
標的に荷電粒子ビームを送達するシステムであって、
軌道を形成するガントリと、
治療ステーション上に位置する複数のアイソセンタを有する部分の所望の標的に対して連続的な前記荷電粒子ビームを衝撃角で放射する出力器であって、前記ガントリの軌道に沿って移動可能に設けられ、前記荷電粒子ビームを複数の制御点から送達する前記出力器と、
前記出力器に対してビームラインを介して1つ以上の前記荷電粒子ビームを送達する粒子線加速器であって、荷電粒子を加速し、前記ビームラインを介して前記荷電粒子ビームを抽出する前に荷電粒子を明確に画定された荷電粒子ビームに配列する前記粒子線加速器と、
治療計画に基づいて前記複数の制御点のうちの複数の初期制御点を特定し、各初期制御点で前記出力器から送達される第1群の複数の荷電粒子ビームのエネルギーの大きさであるエネルギー層を特定するデータ処理ハードウェアと、を有し、
前記衝撃角は、前記治療ステーションと平行に前記アイソセンタを通って延在する平面と前記出力器から前記所望の標的に送達される前記荷電粒子ビームとの間の角度であり、
前記出力器は、前記ガントリに沿って設けられた前記複数の初期制御点のうちの第1の制御点から前記第1群の複数の荷電粒子ビームを前記衝撃角前記所望の標的の深さ部分まで送達するように構成されており、
前記第1群の複数の荷電粒子ビームの各々のビームエネルギーは、第1のモニタユニット(MU)に関連付けられ且つ前記所望の標的の深さに対応する第1のエネルギー層を有するものであり
記データ処理ハードウェアは、前記治療計画に基づいて前記複数の初期制御点の数を増加させるために、前記複数の初期制御点のうちの少なくとも1つの前記第1の制御点を第1の新たな制御点とし、この第1の新たな制御点に対して隣接する1つ又は複数の第2の新たな制御点を追加するように構成され、
前記第1の新たな制御点及び前記第2の新たな制御点の前記出力器から前記所望の標的の深さ部分まで送達される第2群の複数の荷電粒子ビームの第2のエネルギー層は、前記第1の制御点に関連する前記第1のモニタユニット(MU)と、前記第1の新たな制御点及び前記第2の新たな制御点のそれぞれに関連するモニタユニット(MU)の合計の第2のモニタユニット(MU)とが互いに等しくなるように、前記第1の新たな制御点及び前記第2の新たな制御点における前記第2のエネルギー層の総数が前記第1のエネルギー層の総数と同数に設定されていることを特徴とする、システム。
【請求項3】
前記第1の新たな制御点及び前記第2の新たな制御点における各々の前記第2のエネルギー層の数は、前記第1群の複数の荷電粒子ビームの前記第1のエネルギー層の総数よりも少なくなるように設定されている、請求項に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の新たな制御点及び前記第2の新たな制御点における各々の前記第2のエネルギー層の数は、前記第1のモニタユニット(MU)と前記第2のモニタユニット(MU)とが互いに等しくなるように、前記第1群の複数の荷電粒子ビームの前記第1のエネルギー層の総数よりも少なくなるように設定されている、請求項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概ね連続的に荷電粒子アーク光線療法を提供するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
荷電粒子線治療は、励起状態の陽子、炭素イオン、又は他の荷電粒子ビームを使用する。現在、粒子線治療の最も一般的なタイプの1つが陽子線治療である。陽子ビーム治療とも呼ばれる陽子線治療は、陽子ビームを用いて病変組織を照射する医療処置である。ガン治療のための、例えばX線やガンマ線などの従来の光子照射治療と比較した陽子線治療の利点の1つは、患者に対する積分線量の低減である。積分線量とは、放射線治療中に患者が経験した総エネルギー量を意味することだと言える。陽子線治療は、標的組織上に好ましい線量を集束させる一方で、組織及び構造への損傷を最小化するのに役立つ。
【0003】
陽子線治療は、優れた腫瘍被覆率を提供し、従来の放射線治療と比較して、患者の身体に低い積分線量を提供することができる。従来の受動散乱法陽子線治療と比較して、スポットスキャニング陽子線治療技術は、3次元プリント技術と同様に標的をスポット毎及びレイヤー毎にスキャンすることにより優れた標的被覆率を提供することができる。しかし、現在のスポットスキャニング陽子線治療のビーム送達技術は、性能が制限されていることがあり、限られた陽子線を1つの治療区画のみへ送達することができる(すなわち、通常は1つの治療区画は1~4治療領域のみからなる)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
標的に対して粒子ビームを送達する方法が開示されている。実施形態においては、粒子ビームが複数の制御点にある出力器から送達されており、当該方法は、ほぼ連続的な粒子ビームを複数の制御点を中心に送達するステップを含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】実施形態による例示的なシステムの概略図である。
図2A図1のシステムを運用するためのオペレーションの例示的な構成である。
図2B図1のシステムを運用するためのオペレーションの例示的な構成である。
図3A図1のシステムを運用するためのオペレーションの例示的な構成を示す。
図3B図1のシステムを運用するためのオペレーションの例示的な構成を示す。
図3C図1のシステムを運用するためのオペレーションの例示的な構成を示す。
図3D図1のシステムを運用するためのオペレーションの例示的な構成を示す。
図4A-4D】図4A図4Dは、例示的な制御点再サンプリング技術の概略図である。
図5A-5C】図5A図5Cは、例示的なエネルギー層の再構成及び再分配技術の概略図である。
図6A-6C】図6A図6Cは、例示的なエネルギー層の再構成及び再分配技術の概略図である。
図7A-7C】図7A図7Cは、例示的なエネルギー層の再構成及び再分配技術の概略図である。
図8A】制御点間で使用され得る例示的なスポット送達シーケンス再編成及び補間技術の概略図である。
図8B】制御点間で使用され得る例示的なスポット送達シーケンス再編成及び補間技術の概略図である。
図9】本明細書に記載された任意のシステム又は方法を実行するコンピューティングデバイスの例の概略図である。
図10】ユーザに提示するためのプラン選択を示すグラフィカルユーザインターフェースの例である。
【0006】
なお、図面における同様の参照符号は同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書は、粒子ビームをほぼ連続的な方法で送達するための粒子線のスポットスキャニング治療の実施形態及び方法を説明する。実施形態において、粒子ビームは、ガントリ、治療台、又は他の構成のうち1つ又は両方と共に、ほぼ連続的な方法で送達され、それによって粒子ビームの衝撃角が変更される。本明細書での説明を通して、陽子線という用語が粒子線の例として使用されている。本発明は陽子線に限定されるべきではなく、本発明者らは、当該原理は全ての粒子に適用可能であると認識しており、用語は本開示の文脈において広く互換性があると認識していることが理解されるであろう。
【0008】
本発明者らは、従来のスポットスキャニング陽子線治療(例えば、強度変調陽子線治療(IMTP)など)に関連する非効率性を認識した。すなわち、従来技術は、効果的に連続的陽子線送達を最大化することができない。例えば、恐らく他の要因の中でも、そのような従来のシステムは、所望の標的(以下に定義する)に対する衝撃角(以下に定義する)を変化させるときに陽子線送達を効果的に停止することができる。(陽子線機械は、通常、初めに衝撃角を調節し、次いで陽子ビームを送達し、それによって治療効率を制限する)。さらに、陽子線送達の停止及び開始は、一部のシステムが送達と非送達とを切り替える際に振動を生じることがあるために、陽子線送達システムの校正に影響を与える可能性がある。
【0009】
ここで図面を参照すると、図1は、1つ以上のアーク軌道又は治療台とガントリとの非アイソセントリック動作を同時に使用して、患者にほぼ連続的な陽子線治療を送達するための陽子線送達システム100の実施形態を示している。図示されているように、システム100は、ビームライン106を介して1つ以上の陽子ビーム104を出力器120に送達する粒子線加速器102を含む。粒子線加速器102は、荷電粒子を加速し、ビームライン106を介して陽子ビーム104を抽出する前に荷電粒子を明確に画定されたビームに配列する。粒子加速器の例としては、衝突器、サイクロトロン、シンクロトロン、レーザ陽子線加速器などが含まれる。
【0010】
いくつかの実施形態においては、加速器102を中央に配置し、複数の出力器120に選択的に接続できるように加速器102を出力器120から離して遠位に配置してもよい。
【0011】
引き続き図1を参照すると、ビーム104は、治療ステーション110上に位置するアイソセンタ、すなわち連続的に移動する複数のアイソセンタ116を有する体部114の所望の標的に向いた出力器120である。ビームは、現在のアイソセンタ116に対する衝撃角(IA)で所望の標的に向けられているが、これについては以下でさらに詳細に説明する。開示を容易にするために、体部114は本明細書では腫瘍として呼ばれ、治療ステーション110は治療台又はテーブルとして称されるが、他の標的及び治療ステーションも企図され、開示は例示のものに限定されるべきではないことを理解されたい。
【0012】
本発明で使用される衝撃角とは、体部114がビーム104を受ける角度であり、体部114のアイソセンタ116(治療ステーション110に平行)を通って延在する平面とビーム104との間の角度として示されている。開示を容易にするために、衝撃角IAの各変化は、(i)体部114に対する複数の制御点124(図に示す)の中でのガントリ122の周りの出力器120の調整、(ii)治療ステーション110などの移動を介した、出力器120に対する複数の制御点124での体部114の調整、(iii)出力器120及び体部114のそれぞれ互いに向けて独立した、又は並行した移動、若しくは(iv)他の適切な方法による動き、のうち1つ又は両方の動作の結果によるものである。
【0013】
一実施形態では、磁石(図示せず)を出力器120の中、又は周りに、及び/若しくは、ビームライン104に沿って設けることができ、磁石はビーム104を選択的に調整するための調整可能な電流を有している。一実施形態では、選択的に調整可能な陽子エネルギーを提供するために、ビームライン内のディグレーダ又はエネルギー選択システム(例えば、ウェッジなど)が設けられてよく、例えば、適切な治療に基づいて異なるエネルギーがより望ましいことがある。陽子エネルギーを減衰させるために(例えばガントリノズル内で)レンジシフタ(ボーラスと呼ばれることもある)(図示せず)を使用することもできる。陽子線多葉コリメーションシステムを使用して、送達中及びガントリや治療台などの回転中に陽子線スポットの横方向の半影を鋭くすることができる。そのような減衰及び選択は、陽子ビームのエネルギーを変更し、所望の治療深度を達成するために利用されてもよい。本発明の目的のために、体部114内部の異なる深さは、エネルギー層として称される。3次元形状の腫瘍114を効果的に治療するために、本明細書に記載のシステム110では複数のエネルギー層を使用することができる。
【0014】
いくつかの実施例では、ビーム104を縮小又は拡張するためにレンジシフタが使用され得る。セッション中、レンジシフタは、ガントリの回転中にアイソセンタ116に対して連続的に移動することができる。レンジシフタを使用してレンジシフタと患者の皮膚との間の空隙を最適化し、陽子ビーム104が所定のサイズを有し、腫瘍114に一般に関連付けられた指定位置116へ到達することを確実にすることができる。
【0015】
いくつかの構成では、システム100は、例えばイメージングシステムなどの構成システムと連携して配備されてもよい。実施形態では、構成システムは、コーンビームコンピュータ断層撮影(CBCT)、蛍光透視装置、定位的イメージングシステム、表面マッチングカメラシステム、又は陽子ビーム送達中に患者を監視することができる他の同様の装置であってもよい。
【0016】
一実施形態において、システム100は、セッション中に、そして衝撃角(IA)の1つ又は両方に対するあらゆる変化を通じて、つまり、そのような衝撃角が、(i)出力器120のガントリGに沿った移動、(ii)治療台の動き、又は(iii)それらの組み合わせを介した制御点変化を通じて変化されたか否かを通じてほぼ連続的な陽子ビーム104を送達する。開示を容易にするために、本発明の残りの部分は、ガントリGに沿った制御点124を中心として出力器120の移動によって衝撃角が変更される実施形態を開示するが、IAが他の方法で変更されてもよく、本発明の範囲が実施形態に限定されるものではないことが同様に考慮される。
【0017】
以下でより詳細に説明されるように、システム100は、1つ以上の制御点に向けられ得る1つの、いくつかの、又はすべてのビームのエネルギー層の数を最小化するように一般に構成され得る。実施形態では、このような最小化を達成するために、システム100は、(i)セッションからより低く重み付けされたエネルギー層をフィルタリングすることと、(ii)より低く重み付けされた陽子線スポットをフィルタリングすることと、(iii)残りのエネルギー層及び/又は陽子線スポットを2つ以上の連続した制御点の間に再配置し、それによって、同じロバストな計画品質を維持し、ほぼ連続的なステップアンドシュート方式陽子線アーク送達をもたらすようにフォーマットされることを行うことができる。
【0018】
次に、セッションについて説明する。一実施形態において、出力器120は、多くの衝撃角IAにおいて、したがって、多くの制御点124で患者112の腫瘍114の所望の位置に向けてビーム104を放射する。一例として、出力器120は、陽子ビーム104が様々な衝撃角IAにおいて、かつ多数の関連する制御点124においてターゲット114に到達するのを容易にする方法で軌道122の周りを移動する。例えば、システム100は、癌治療セッションに応じて最適化されたセッションを提供するように構成されてもよい。
【0019】
実施形態において、システム100は、セッションアルゴリズム及びプラットフォーム(すなわち、データ処理ハードウェア130上で実行する)を設けており、出力器120を介して患者112に最適化されたセッションを送達する。一実装形態では、システム100は、(a)制御点(例えば、1~6のエネルギー層)ごとに最適化されたエネルギー層の数を決定すること、(b)制御点の最適数(及び/又は衝撃角IA)を決定すること、そして(c)スポットビームの重み付け及び各制御点124(及び/又は撮像角度)での位置決めをすることを介して1つ以上のセッションを最大化する。換言すると、システム100は、制御点124(及び/又は衝撃角)の数及び位置を最適化するセッションを提供し、腫瘍114の周りの所望の位置に到達する各ビームの重み及び位置を特定する。
【0020】
一実施形態では、システム100は、ステップアンドシュートスポット走査モード、連続的アーク送達モード、又は他の送達モードなどの1つ以上のほぼ連続的な走査モードを含むことができるが、これらに限定されない。ステップアンドシュートスポット走査モードでは、システム100は、様々なエネルギー層を選択することによって(例えば、上記のようなディグレーダの使用及び磁石の調整によって)ビーム104のエネルギー層を切替えて、撮像角度(IA)が調整されている間(例えば、ガントリが制御点124の間を回転している間)に、ビーム104を、様々な衝撃角(IA)の中からターゲット114の周りの所望の位置に向ける。
【0021】
実施形態において、システム100は、各制御点124(及び/又は衝撃角(IA))で1つ以上のビーム104を送達し、いくつかの実施形態では、各陽子ビーム104をエネルギー層に関連付けることができる。一実施態様では、各エネルギー層は異なったものでもよく、他の実施形態では、エネルギー層の一部又は全部は共通であってもよい。
【0022】
いくつかの実施例では、ステップアンドシュート方式は、衝撃角IAを調整しながら1つ以上のエネルギー層を切替えることによって時間節約ができる。換言すると、システム100は、IA調整中に1つ又は1つ以上のエネルギー層の間で1つ以上のビーム104を変更することができ、それによって全体のセッション時間が短縮される。例えば、毎秒3度のガントリ回転速度を考慮すると、1秒間で3度離してガントリを次の制御点へ向け回転することができ、システム100は、ビーム104が向けられる1つ以上のエネルギー層を変更することができる。
【0023】
先に説明したように、いくつかの例では、各制御点において、ビーム104は、1~6のエネルギー層を含むことができる。例示的なセッションでは、各制御点124は、1つのエネルギー層を有するビーム104を含むことができる。別のセッションでは、1つ以上の制御点124について1つ以上のエネルギー層に達することが望ましい場合があり、この場合、システム100は、このような制御点124でのガントリ回転を行わずにエネルギー層を変更する。その結果、システム100は、それぞれが異なるエネルギー層を有する複数のビーム104を提供することができる。どちらのシナリオも、複数の衝撃角IA及び/又は制御点124からの完全又は部分的な腫瘍114(3次元)被覆となり、それによって、1つ以上のアーク軌道を介して完全でロバストな腫瘍被覆線量を送達するシステムを提供する。
【0024】
連続的アーク送達モードでは、各静止制御点124で陽子ビーム104を送達する代わりに、システム100は、衝撃角IAすなわち制御点124を変更しながら陽子ビーム104を連続的に送達する。したがって、連続的アーク送達モードにおいて、ステップアンドシュートの例として上述した離散制御点124すなわち衝撃角IAを利用する代わりに、システム100は、各制御点124すなわち衝撃角IAが、本明細書においては制御点サンプリング周波数(CPSF)と称する角度範囲内(例えば、-0.5度<α<0.5度)又は位置範囲内(例えば、-1mm<x<+1mmの治療台の位置)にあると判断する。したがって、より高い制御点のサンプリング周波数は、より小さな角度、すなわち隣接する制御点間での位置の広がりを示すことが理解されよう。その結果、異なる制御点を介したステップアンドシュートモードによるこのような離散した照射送達は、そのような制御点範囲での(例えば、-10度から20度の部分アーク及び/又は10cmから+20cm治療台移動)連続的照射送達に近いものなることになる。
【0025】
実施形態において、また以下の実施例で説明されるように、前述のステップアンドシュート送達と比較した体部114上で確認された線量差を効果的に最小化するために、制御点サンプリング周波数(CPSF)が導入され得る。例えば、連続セッションの所望の制御点サンプリング周波数は、各有効な制御点(例えば、0~4度)の間の4度が実質的に線量測定的に2度で送達されるステップアンドシュートセッションに等しいことを示唆することができる。
【0026】
一実施形態では、陽子ビーム104を1度で静的に送達すること(ステップアンドシュートモード)と、陽子ビームを0.5度から1.5度まで動的に送達すること(連続的アーク送達モード)との間には、線量差はほとんどない。しかし、後者の連続的送達の場合には、1度のCPSFを有するガントリ回転中に陽子ビーム104を連続的に送達すると、追加の時間が節約され、ガントリ慣性、停止及び始動中の振動、又は他の機械的問題を回避することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、システム100は、最適化された制御点124の数を決定し、制御点124を再サンプリングして、所望の制御点サンプリング周波数CPSFを達成するように構成されてもよい。さらに、システム100は、エネルギー層が重み付けされ、低モニタユニット(MU)を有するものが除去されるように、各制御点124に関連するエネルギー層をフィルタリングするように構成されてもよい。いくつかの実装形態では、システム100は、事前に、又は事後にエネルギー層をフィルタリングする代わりに、エネルギー層を近くの制御点124に編成及び割り当てするように構成されてもよい。
【0028】
計算及び最適化の速度を向上させるために、システム100は、コンピュータ断層撮影(CT)セット又は患者体部におけるエネルギー蓄積の単位によって定義され得るプログレッシブ線量グリッドサンプリング法を採用してもよい。例えば、1立方センチメータサイズの立方体は、1mm×1mm×1mmのサイズを有する1000個の線量グリッド、又は10mm×10mm×10mmのサイズを有する1個の線量グリッドからなる。このようなプログレッシブ線量グリッドサンプリング法の実施は、粗い線量グリッドサイズを利用し、次いで最適化中に線量グリッドサイズを漸進的に減少させることができる。
【0029】
システム100は、データ処理ハードウェア130と通信するメモリハードウェア132を含む。メモリハードウェア132は、データ処理ハードウェア130上で実行されると、データ処理ハードウェア132に、図2に関連して説明された方法、図3A~3Cに関連して説明された方法、又は図3Dに関連して説明した方法などのオペレーションを実行させる命令を格納する。
【0030】
図2は、オペレーティングシステム100の方法200のオペレーションの例示的な配列を説明している。ブロック210では、システム100は、ガントリ開口部122及び/又はテーブル110の回転、又は治療台/テーブルの並進移動(すなわち、初期位置x1と停止位置xs)に関連する陽子線アーク範囲(すなわち初期角度αi及び停止角度αs)を予め画定する。いくつかの実施例では、ユーザが陽子線アーク範囲を画定する。例えば、システム100は、ビーム104を照射する陽子線出力器120の初期角度αi又は制御点124(すなわち、ガントリ位置)の位置を設定する。いくつかの実施例では、システム100は、初期角度αiを10度に、初期停止角度αsを60度として設定する。いくつかの実施例では、ガントリが360度で回転可能である場合、初期角度αiは0度に設定され、初期停止角度αsは360度に設定される。初期角度αi及び停止角度αsの他の値も同様に可能である。いくつかの実施形態では、テーブル/治療台110は並進運動が可能であるので、システム100はまた、テーブル/治療台110の陽子線出力器120に対するテーブル/治療台の初期角度及び位置を設定する。この場合、制御点124は、例えば、1センチメートル毎、2センチメートル毎、又はその他、1度毎、2度毎でのテーブルの並進移動及び回転移動としても画定される。したがって、いくつかの実施形態では、システム100は、出力器120の初期角度αi及び/又はテーブル/治療台110の初期角度を画定し、陽子線出力器120及びテーブル/治療台110の一方又は両方が回転することになる。その結果、システム100は、出力器120とテーブル/治療台110の一方又は両方の互いに向けた回転を考慮して陽子線アーク範囲を生成する。
【0031】
ブロック220において、システム100は、図4Aに示すように粗い制御点サンプリング周波数CPSFを決定する。換言すると、システム100は、ガントリ位置又は制御点124の数を特定する。図4Aに示すように、システム100は、ガントリの360自由度内の8つの制御点124を特定する。粗い制御点の他の数もまた使用され得る。
【0032】
再度図2を参照すると、ブロック230において、システム100は、患者112の最適化治療計画を決定する。最適化治療計画は、ビーム104によって使用されるビーム線量計画を決定して、体部114を照射し、周辺組織を保護する。いくつかの例では、システム100は、患者112の組織構造を考慮し、ビームエネルギー(すなわち、エネルギー層)、ビームスポット位置、及び各ビーム104内で患者112に送達されるべき陽子線の数を決定する。さらに、システム100は、患者112における線量分布を最適化(例えば、日々の治療設定及び陽子線範囲の不確実性を考慮することによるロバスト最適化、陽子ビームの放射線生物学的効果を考慮することによる生物学的効果比(RBE)の最適化)して、このことがロバストな線量分布、又は生物学的に効果的な線量を体部114に与えることを可能とし、これらの不確実性の下で健康な組織及び器官を救うことができる。いくつかの実施態様では、システム100は、例えば、体部114への潜在的な変化の影響を決定し、治療計画をそれに応じて調整するが、これは、治療計画適応と呼ぶことができる。いくつかの変更には、患者の体重増減、腫瘍の大きさの変化量、又はその他の考察が含まれる。ロバスト最適化を使用することにより、システム100は、健康な組織を保護しながら、最適なロバストターゲット被覆を提供することが可能となる。
【0033】
ブロック240において、システム100は、初めに、制御点124のサンプリング周波数(例えば、ブロック240で制御点の数を反復的に増加させて)、各制御点124に関連するエネルギー層(複数可)及び陽子線スポットを任意で最適化(A)し、陽子ビーム104を送達するための送達効率を向上させ、最適な治療計画をもたらすことになる。換言すると、システム100は、治療のための最適化されたエネルギー層やスポット位置、及びビーム104の重み付けを選択するランダムな反復プロセスを使用する。
【0034】
任意の制御点に続いて、ブロック240にて説明されるエネルギー層の最適化及びスポット送達シーケンスの最適化、又は(A)に関する任意の最適化をスキップする代わりに、システム100は、
(i)制御点124を再サンプリングし、図2Aに示すように、制御点124の間でエネルギー層を再構成し、再分配する。例えば、シーケンスの最適化を利用して、システム100は、初めに制御点再サンプリング及びエネルギー層再分配機構(上述のような)を介して制御点サンプリング周波数CPSFを増加させ、次いで、エネルギー層フィルタリング機構及びスポット数低減機構の一方又は両方を使用して、エネルギー層の数及び計画ごとのスポット数の数を低減するか、又はその逆を行う。
若しくは、(ii)施術者が予め定義された制御点サンプリング周波数(CPSF)を特定できるようにし、所望のCPSFに基づいて、図2Bに示すように、エネルギー層を予め定義し、分類を行う。例えば、施術者が制御点当たり2度(すなわち、360度回転軸上に180制御点を有する)の前立腺陽子線アーク計画を定義する場合、妥当な計算時間及びコンピュータリソースでアーク計画を最適化するために、システム100は、制御点ゾーンを事前に定義する(例えば、前立腺の例では、8つのゾーンを定義し、各ゾーンには20の制御点が含まれる)。そのような例においては、各ゾーンは、エネルギー層の範囲(例えば、250MeV~70MeV)及び各制御点を含み、次いで、例えば、250MeVから210MeVの範囲の制御点#1、210MeVから160MeVの範囲の制御点#2のような予め定められたサブ定義範囲に割り当てられる。これは、均等に分散されることも、不均等に分散されることもできる。次に、このような事前定義されたゾーン及び制御点に基づいて最適な計画品質を見つける最適化プロセスが続く。
【0035】
一実装形態では、ブロック250において、システム100は、患者112のための最適化計画を生成する。上述したように、決定された計画は、特定の患者112に適応するように調整されてもよく、患者112の変数(例えば、患者の日々の治療設定、陽子線範囲の不確定性、腫瘍の動き、体重、腫瘍のサイズ114、他の患者に関連する測定値など)に基づいて調整可能であってよい。一実施形態では、システム100は、異なる計画パラメータ、計画品質、送達効率、臨床医が定義した変数などを代替的に説明し得る1つ以上の代替的計画を生成し識別するように追加的にプログラムされたプロセッサを含む。一実施形態では、ユーザは、1つ以上のプランから1つを選択することができる。一実施形態では、数百の計画を含むデータベースが設けられてよく、計画は、各計画の目的値、各個別目的関数、又は様々な機械(固定ガントリ、フルガントリ、シンクロトロン又はサイクロトロンマシン)の送達時間やパラメータ(エネルギー層番号、スポット番号又はMU)に基づいたものであり得る。例示的なグラフィカルユーザインターフェースが図9に示されており、臨床医が選択することができる多数のそのような計画を示している。
【0036】
図3A及び図3Bは、システム100を操作する方法300について、図2よりもさらに詳細な例示的な操作の構成を示している。ブロック310において、図2のブロック210と同様に、システム100は、陽子線アーク範囲(すなわち、ガントリ及び/又は治療台110(図4A参照)の回転内の出力120の初期角度αi及び停止角度αs)を定義する。例えば、システム100は、ビーム104を照射する出力器120の初期制御点124(すなわち、ガントリ位置)として初期角度αiを設定する。いくつかの実装形態では、システム100はまた、テーブル110のテーブル初期角度を設定する。したがって、いくつかの実施形態では、システム100は、出力120からのビーム104が所望の衝撃角IAで腫瘍114に達することができるように、出力120の初期角度αi及び/又はテーブル110のテーブル初期角度を定める。オペレーティングシステムは、治療台/テーブル及びガントリの動きを伴うマルチアイソセンター粒子ビーム治療、又は非共平面性マルチアイソセンター粒子ビームを送達することができる。
【0037】
ブロック320では、図2のブロック220と同様に、システム100は、図4Aに示すように、特定された初期角度αiと特定された初期停止角度αsとの間の粗い制御点サンプリングを決定する。換言すると、システム100は、特定された初期角度αiと特定された初期停止角度αsとの間のガントリ及び/又は治療台位置のセット又は制御点124の位置を特定する。図4に示すように、システム100は、ガントリの360度内の8つの制御点124を特定する。この例では、初期角度αiは0度であり、初期停止角度αsは360度である。初期角度αiと初期停止角度αsとの間の他の数のサンプリング制御点124も同様に可能である。
【0038】
図3A及び3Bに戻って参照すると、ブロック330、330Aにおいて、システム100は、患者112のための最適化治療計画を決定し、その計画は特定された(ブロック320で特定された)制御点124でビーム104によって使用されるビーム線量計画を決定し、図2のブロック230に関して上述した最適化治療計画と同様に腫瘍114を照射する。いくつかの実施例では、データ処理ハードウェア130は、データ処理ハードウェア130と通信しているメモリハードウェアに格納された情報に基づいて最適化治療計画を実行する。最適化には、ロバスト最適化、4次元又は5次元(時間及び形状変化又は周波数次元)ロバスト最適化、適応最適化、生体放射線効果(RBE)最適化などの1つ以上の最適化技術又は最適化方法が含まれ得るが、これらに限定されない。最適化治療計画は、ビーム、スポット位置、及び特定された(ブロック320で識別される)制御点124で出力器120から発信される各ビーム104内に送達されるべき陽子線の数に関連付けられたエネルギー層を特定することを含む。さらに、システム100は、患者112の組織構造を考慮することによって、特定された制御点124での患者112の最適化治療計画を決定する。さらに、システム100は、(例えば、日々の治療設定及び陽子線範囲の不確定性を考慮することによって)患者112の線量分布を最適化し、腫瘍へのロバスト線量分布を可能にするとともに、これらの不確実性の下で健康な組織及び器官を保護する。いくつかの実施形態では、システム100は、例えば、腫瘍114への潜在的変化の影響を決定し、それに応じて治療計画を調整するが、これは治療計画適応と呼ぶことができる。いくつかの変更には、患者の体重増減、腫瘍の大きさの変化、又は他の考慮点が含まれ得る。ロバスト最適化を使用することにより、システム100は、健康な組織を保護しながら、最適なロバストターゲット被覆を提供することが可能となる。
【0039】
ブロック340において、システム100は、ブロック342,342Aでのエネルギーフィルタリング方法と、ブロック344での制御点再サンプリング、エネルギー層再分配方法、及びスポット送達シーケンスの再分配との間で任意でランダムに選択する。オプションであるブロック342Aにおいて、システム100はビーム104のエネルギー層をフィルタリングする。換言すると、システム100は、治療計画に関連する1つのビーム又は全ビームに関連付けられた低く重み付けされたエネルギー層を除去する。システム100は、エネルギー層又はスポット番号の一方又は両方のカットオフMU重み付け閾値を定義し、エネルギー層又はスポット数がカットオフ閾値を満たさない場合、本方法の後のステップではさらに考慮されることはない。例えば、システム100は、全ての制御点124に関連するMU重み付けエネルギー層の最低10%を特定し、すべての制御点124に関連する特定された最低10%のエネルギー層を除去する。他のカットオフ率が同様に使用されてもよい。他の実施例では、エネルギー層のMU重み付け閾値は、各制御点で出力されるビーム104に関連付けられ得る。
【0040】
前述したように、ブロック340において、システム100は、(i)ブロック342Aでのエネルギーフィルタリング方法と、ブロック344での制御点再サンプリング、エネルギー層再分配、及びスポット送達シーケンス再構成方法との間で(図3A~3Cにて示すように)ランダムに選択することと、(ii)施術者が所定の制御点サンプリング周波数(CPSF)を特定することを可能にし、所望のCPSFに基づいて、(図3Dに示されるように)エネルギー層を予め定義し、特定の治療に基づいて分類を実行することがどちらもできる。
【0041】
システム100が、ブロック344において、制御点再サンプリング、エネルギー層再分配及びスポット送達シーケンス方法を選択する場合、システム100は、治療計画のビーム104に関連するエネルギー層又はスポットの一方又は両方をフィルタリングする。
【0042】
一実施形態では、システム100は、制御点124を再サンプリングし、又は、図4B及び4Cに示すように、より具体的に制御点の数を増加させる。図4Bは、システム100が制御点124を第1及び第2の制御点124(1a及び1b)に分割するために使用する方法を示しており、一方で図4Cは、制御点124を追加する(例えば、制御点2を追加する)ためにシステム100によって使用される方法を示している。特定の分割方法が開示されているが、他の分割方法を採用することもでき、本発明はそれに限定されるべきではない。
【0043】
図4Bは、第1の制御点1,124の各々が第1の制御点1,124の位置とは異なる、例えば、第1の制御点1,124の両側のような、第1の制御点1,124に隣接するように2つの新しい制御点1a、1b、124に分割された実施形態を示している。いくつかの例では、第1の制御点1,124は、2つを超える制御点124、例えば3つ以上に分割されてもよい。さらに、図5A~5Cを参照すると、制御点124に関連するエネルギー層(複数可)(EL)が再分配され、再構成されている。例えば、第1の制御点1,124はビーム104を照射することができ、各ビームはエネルギー層EL1~ELnからのエネルギー層ELを有する。各エネルギー層EL1~ELnは、患者112にロバストな陽子線治療セラピーを行い、癌性でない器官を保護すると共に頑強な腫瘍被覆を確保するように最適化される。いくつかの例では、エネルギー層EL1~ELnは、昇順/降順に配列されており、第1のビーム104に関連する第1のエネルギー層EL1が、異なるビーム104に関連する最後のエネルギー層ELnよりも少ないエネルギーを有している。換言すると、最後のエネルギー層ELn(最高エネルギー層)を有する異なるビーム104は、腫瘍114内の最も遠い距離に到達する。第1の制御点1,124は、第1の新たな制御点1a、124と第2の新たな制御点1b、124との間に分割される。図示されているように、システム100は、第1の制御点1,124のエネルギー層EL1~ELnを、第1及び第2の新たな制御点1a、1b,124の各々に第1の制御点1,124のエネルギー層EL1~ELnを連続的に与えることによって分割する。したがって、第1の制御点1,124の全てのエネルギー層EL1~ELnが、一旦、第1及び第2の新しい制御点1a、1b,124の間で分割されると、第1の新しい制御点1a、124は下の式により計算されたエネルギー層NEL(1a)の数を有する。
EL(1a)=(N+1)/2(Nが奇数の場合)…式(1A)
EL(1a)=N/2 (Nが偶数の場合)…式(1B)
ここで、Nは、分割前の制御点1,124のエネルギー層ELの総数である。さらに、第2の新たな制御点1b,124は、下の式により計算されたエネルギー層NEL(1b)の数を有する。
EL(1b)=(N-1)/2(Nが奇数の場合)…式(2A)
EL(1b)=N/2 (Nが偶数の場合)…式(2B)
【0044】
いくつかの実施形態では、特定のエネルギー層iについての第1の制御点ビーム1,124でのビームに関連するMU値は、下の式によって決定される。

ここでは、iはエネルギー層ELであり、Nはエネルギー層の総数である。
【0045】
第1の制御点1,124を分割した後、第1及び第2の新たな制御点124のそれぞれは、Nが偶数である場合、下の式に基づいて計算されるビームエネルギーを有する。

第1及び第2の新たな制御点124に対するビームエネルギーは、Nが奇数の場合、下の式に基づいて計算され得る。


ここで、Nはエネルギー層の総数である。
【0046】
一実施態様では、システム100は、上記のようなエネルギー層のフィルタリングに加えて、又はそれとは分離した、スポット数(重み付け)機構を採用する。スポット数すなわち重み付け低減機構は、特定の閾値以下であると連続的に指定されたMUスポット又はラインをフィルタリング又は他の方法で除去するために利用され得る。当該フィルタリングは、同時的に、又はランダムに、最適化中に起こり得ることを理解されたい。例示的な実施形態では、この閾値は、エネルギー層フィルタリングと組合せて、又はエネルギー層フィルタリングとは独立して、エネルギー層フィルタリング後の下の10%として決定されてもよい。
【0047】
一実装形態では、システム100は、エネルギー層の数及び関連する切替え時間を低減するために、エネルギー層の再結合を行うように設計されてもよい。例えば、数ある中でもシステム100は、隣接する衝撃角(IA)が(i)閾値レベルを下回るエネルギー差を有し、(ii)比較可能なMU重み付けを有する場合、エネルギー層を第1のビーム衝撃角(IA)から同じエネルギーレベルに調整する。例えば、第1の衝撃角(IA)が0度のときは115MeVと10MU、隣接する衝撃角(IA)が1度のときは110MeVと5MUを考慮する。この場合、110MeVのエネルギー層は、115MeVに調整することができ、その結果として、陽子ビームの送達中にシステムは1つのエネルギー層の切り替え時間を短縮した。
【0048】
図6A図6Cは、制御点1,124に関連するエネルギー層124を分割する別の例を示しており、これは各エネルギー層(EL)について含むことができ、エネルギー層ELに関連するMUを、第1及び第2の新しい制御点1a、1b,124のそれぞれに関する閾値MU(例えば、元の制御点1、124に関連するMUの分数)に基づいて、第1の新たな制御点1a、124と第2の新たな制御点1b、124との間に分割する。例えば、第1の制御点124のエネルギー層EL1~ELnは、第1のMU値を有する。MU値は、第1の新しい制御点1a、124と第2の新しい制御点1b、124との間で分割されることができ、第1及び第2の新たな制御点1a、1b、124の各々は、エネルギーレベルEL1~ELnに関連するMU値の分数fa、fbに関連付けられる。分数fa、fbの合計は、1に等しい(fa+fb=1)。換言すると、第1の新たな制御点1a,124は、エネルギー層EL1~ELnの第1の分数faを有することができ、第2の新たな制御点1bは、エネルギー層EL1~ELnの第2の分数fbを有することができる。例えば、エネルギーレベルEL1~ELnは、120MUのMU値を有することができる。エネルギーレベルEL1~ELnを第1の新たなエネルギーレベル1a、124と第2の新たなエネルギーレベル1b、124とに分割した後、EL1~ELnのエネルギーレベルEL1~ELnは、エネルギー層EL1~ELnのMUのMU値の半分である第1の分数faを有することができ、一方で、第2の新たな制御点1b、124は、エネルギーレベルEL1~ELnのMUのMU値の残りの半分を有するエネルギー層を有する。このように、第1及び第2の新たな制御点1a、1b、124のエネルギー層の総数は2倍になるが、しかし、第1及び第2の新たな制御点1a、1b、124の合計MUは、古い制御点1,124に関連するMUに等しい。したがって、エネルギーレベルEL1~ELnが120MUの総MUを有する場合、第1の制御点1a、124は60MUのMUを有し、第2の制御点1b、124は60MUのMUを有する。エネルギーレベルEL1~ELnが120MUのMUを有する場合、第1の制御点1a、124は40MU(faは1/3)のMUを有し、第2の制御点1b、124は80MU(faは2/3)のMUを有する。別の実施形態では、システムは、再分配などのエネルギー分割と、各エネルギー機構のMU重み付けの分割を用いることとの両方の組み合わせを使用することができる。
【0049】
ここで再び図4C及び7A~7Cを参照すると、いくつかの実施態様では、元の第1の制御点に加えて第2の制御点が追加され、第1の制御点1,124は同じ位置に留まり、第2の制御点2,124は第1の制御点1,124に隣接する位置となる。いくつかの例では、複数の制御点124が第1の制御点1,124に追加され、例えば、3つ以上の制御点が追加され得る。ここで図4Cを参照すると、第1の制御点1,124に加えて第2の制御点2,124が追加されている。図7A~7Cは、エネルギー層EL1~ELnの再編成及び再分配プロセスを示す。図7Aは、エネルギー層EL1~ELnを含む元の第1の制御点1,124を示す。この場合、システム100は、第1の制御点1,124から1つおきのエネルギー層EL1~ELnを連続的に取る第2の制御点2,124を追加し、結果として、図6Bに示す第1の新たな制御点1,124、及び図7Cに示す第2の制御点2,124が得られる。その結果、新たな第1の制御点1,124(図7)は、図7Aに示す元の制御点よりも少ないエネルギー層EL1~ELnを有する。さらに、第1の新たな制御点は、式1に基づいて計算された数のエネルギー層を有し、一方で第2の新しい制御点2,124は、式2に基づいて計算された数のエネルギー層を有する。
【0050】
いくつかの実施形態では、特定のエネルギー層iへの第1の制御点ビーム1,124に関連するMUは、上式3によって決定され得る。さらに、新たな第1の制御点1a、124及び追加された制御点2,124は、Nが偶数である場合、下の式によって決定されるビームエネルギーを有する。

Nが奇数の場合:


ここで、Nはエネルギー層の総数である。
【0051】
図4B、4C、5A~5C、6A~6C、及び7A~7Cで説明したように、第1の制御点124のエネルギー層EL1~ELnが分割され(図4B、5A~5Cを参照)、又は低減され(図4C及び7A~7Cを参照)、若しくは関連するMU値が連続的な方法で分割され(図4B、6A~6Cを参照)、より詳細には各エネルギー層ELが新たな連続点の1つに分割される。しかし、第1の制御点1,124に関連するエネルギー層ELは、限定されるものではないが、制御点の各エネルギー層ELに関連するMU、制御点毎のMUの合計値、各制御点124に関連するエネルギー層ELの総数、又はその他の任意の方法などのように他の方法で分割されることができる。
【0052】
エネルギー層ELを再構成及び再分配する任意の方法を使用することができることが強調されており、エネルギー層の数は維持されることができず、すなわち1つ以上の追加のエネルギー層が再サンプリング機構としてブロック362に追加されることがある。同様に、いくつかの実施例では、制御点内の各エネルギーレベルは、同じ制御点内の別のエネルギーレベルとは異なるように分割されてもよい。いくつかの実施例では、エネルギー層は、高エネルギー層が制御点1に移動し、低エネルギー層が制御点2に移動する分類プロセスを経ることになる。
【0053】
図8A及び8Bは、スポット送達シーケンスを強化し、それによって第1の制御点(例えば、ガントリ角度40°を有する)の再構成及び再分配を行うための方法の例示的な実施形態を示す。図8A及び図8Bの各々に示すように、1つ以上の制御点124は、2つ以上の制御点(例えば、39°及び40°のガントリ角度、又はx=10cm及び10.5cmの治療台位置)に分割されることができ、それぞれが、分割が生じた制御点の位置、すなわちガントリ角度とは異なる位置又はガントリ角度を有する、生成された制御点124に分割される。一実装形態では、例えば、分割された制御点は、第1の制御点124の両側などのように、第1の制御点124に隣接して配置され得る。別の例では、第1の制御点124は、2つ以上の制御点124、例えば3つ以上に分割され得る。図5A図5Cに示すようなエネルギー層の再分配及び再構成に加えて、各制御点124は、複数のエネルギー層を含むことができ、各エネルギー層はスポットの層を含み、各スポットは(ビームアイビューから参照されるように)X、Y方向での位置を有する。
【0054】
シーケンスの再構成及び再分配の事例を以下に説明する。一実施形態では、制御点124はビーム104を照射することができ、照射ビームの少なくとも1つはエネルギー層(複数可)ELを有する。記載された実施例では、各エネルギー層EL1~ELnは、患者112にロバストな陽子線治療セラピーを送達するように、(例えば、ロバストな腫瘍被覆を確実とし、癌性でない器官を保護することなどができるように)好適な形態に最適化された1つ以上のスポットに向けられてもよい。制御点分割は、図8Aに示すようなライン走査シーケンス粒子線治療機械、及び図8Bに示すような螺旋走査シーケンス粒子線治療機械を含む様々な環境で使用され得ることを理解されたい。図8A及び8Bの各々に示すように、第1の制御点124に関連して図示された特定のエネルギー層のスポットは、機械送達シーケンスに基づいて第1及び第2の新たな制御点に分割される。したがって、分割された制御点から送達される放射線量は、第1及び第2の制御点によって送達される合計の放射線量とほぼ等しい。第1及び第2の制御点の位置又はガントリ角度は、連続アーク送達を介して送達された陽子ビームが、第1及び第2の制御点が抽出された静的制御点の位置で送達された陽子ビームとほぼ等しくなるように、第1及び第2の制御点に対して非常に近くなる。したがって、説明された2つ以上のサブ制御点に分割されたプライマリ制御点からの再分配及び再構成の結果は、連続的かつ動的な粒子線アーク治療のためのエネルギー及びスポット送達シーケンスの補間である。明確化のために、制御点分割は、エネルギー層、スポット、又はエネルギー層とスポット送達シーケンスの再構成及び再分配との組み合わせを含み得る。そして、より明確化するために、前述の再構成技術及び再分配技術は、計画を最適化するための治療計画システムの一方又は両方において、(例えば、ガントリ、ビームライン、サイクロトロンなどによって)ハードウェア内に組込まれることができ、いずれのケースも効率的かつ効果的な粒子線アーク療法を提供する。
【0055】
一実装形態では、ブロック342A及び344は、例えば、1回以上ブロック344を実施してから1回以上ブロック342Aを実施する、又は1回以上ブロック342Aを実施してから1回以上ブロック344を実施するなど、ランダムに実施することができる。2つのブロック342A及び344は相互交換可能であり、それらの互換性は治療計画に影響しない。しかし、2つのブロック342A及び344の互換性は、治療計画を決定するための計算時間/速度に影響を及ぼし得る。例えば、システム100が最初にブロック342Aを実行すると、システム100は、計画中の低加重エネルギー層をフィルタリング又は除去し、このことでシステム100がブロック346で制御点124を最初に再サンプリングする場合に比べてエネルギー層及びスポットは少なくなる。より多くのエネルギー層とスポットは、計算と最適化に時間を要する。したがって、システム100がブロック342Aの前にブロック344を実行すると、システム100が344より前にブロック342Aを実行する場合よりも、システム100を計画するのがより長くなる可能性がある。例えば、それぞれが50のエネルギー層と1500のスポットを有する8つの制御点があると仮定すると、システム100が最初にブロック342Aを実行すると、その結果は40のエネルギー層と1200のスポットを有する8つの制御点124を維持し、元の計画よりも少ないエネルギー層とスポットを有することになる。次いで、システム100はブロック344を実行し、制御点124を再サンプリングし、ここでは各制御点は、フィルタ処理前の元の制御点よりも少ないエネルギー層を有する。しかし、システム100がフィルタリング(ブロック342A)の前に制御点124を再サンプリング(ブロック344)した場合、システム100はより多数のエネルギー層及びスポットについて計算を実行しなければならず、処理計画の最適化を決定するための時間を増加させる。
【0056】
代替的なシステムでは、図3Aのブロック340は、ユーザによって特定された予め定義された治療計画によって不要とされ、置き換えられてもよい(図3Dを参照)。例えば、施術者は予め定義された制御点サンプリング周波数(CPSF)を特定することができ、システム100は所望のCPSFに基づいて、この情報を処理してエネルギー層を予め定義し、制御点の分類を実行して計画を特定する。
【0057】
ブロック350において(ブロック330と同様に)、システム100は、患者112のための最適化された治療計画(例えば、ロバスト最適化又はブロック330に関して説明される他のタイプの最適化)を決定する。最適化計画は、ビーム104が腫瘍114を照射するためのビーム線量計画を決定する。この最適化計画は、ブロック342Aのフィルタリングされたエネルギー層、又はブロック344のランダム制御点の再サンプリング及びエネルギー層の再構成及び再分配に基づいている。したがって、ブロック330におけるロバスト最適化は、ブロック350のロバスト最適化とは異なっており、それは、それぞれが異なるエネルギー層を有する制御点124のサンプルに基づいているからであり、例えば、ブロック330における最適化は、特定されたエネルギー層を有する制御点124上で実施され、一方、ブロック350におけるロバストな最適化は、フィルタリングされたエネルギー層、又は再サンプリングされ再構成されたエネルギー層、又はフィルタリングされたスポットを有する制御点124上で実施される。
【0058】
図示したように、いくつかの実施形態では、ブロック360において、システム100は、現行の計画品質が許容できるかどうかを判断する。計画品質が許容できるかどうかを判断するために、いくつかの方法が使用されてもよい。例えば、システム100は、現行の計画が目標被覆率に達したか、又は目標値に達したかどうかを判断することができる。例えば、システム100は、アーク回転内に特定数の制御点124を含む良好な品質計画を考慮することができる。したがって、計画が制御点124の数の閾値に達したときに、許容可能な計画品質が特定され得る。他の実施例では、計画がユーザの定めた特定の陽子ビーム送達時間に達すると、良好な計画品質であると特定され得る。
【0059】
いくつかの実装形態では、計画に関連する1つ以上の要因に基づいて計画品質に目標値を割り当てることができ、目標値が特定された閾値の目標値以上であれば計画は品質計画として特定され得る。例えば、システム100は、治療計画に関連する目標値が増加したかを特定でき、例えば、以前の目標値から10%増加し、この増加が許容可能かどうかを判断できる。
【0060】
いくつかの実施例では、以前の目標値は、1つ以上の個々の目標値の平均値である。一実施態様では、目標値は、癌治療計画を完了するための時間の測定値であり得る。目標値は、他の値であってもよい。目標値が閾値分(例えば10%)増加していない場合、システム100は次いで、目標値が閾値分増加するまでブロック340~356を繰り返す。例えば、目標値は、癌治療計画を完了するための時間の測定値であり得る。目標値は、他の値であってもよい。目標値が閾値分(例えば10%)増加していない場合、システム100は、目標値が閾値分増加するまで、ブロック340~360を繰り返す。目標値は、下の式に示す最適化関数及びコスト値とも呼ばれる目的関数に基づいて決定され得る。

コスト値(F)=wTarget*FTarget+wRisk1*FRisk1+wRisk2*FRisk2... …式(8)

ここで、Wtargetは標的(すなわち、腫瘍)、ペナルティ値、又は重要因子に関連する重み値であり、Ftargetは、現在値に対してシステム100が到達しようとしている目標との差、コストレット、又はインジケータである。WRisk1は、腫瘍に隣接する組織又は器官に関連する重み値であり、FRisk1は、特定の器官に送達される現行の線量と、システム100がこの特定の器官を保護するための目標との間の差である。
【0061】
いくつかの例では、Ftargetは以下のように示すことができる。Ftarget=(Dtarget-D0)2ここで、Dtargetは、ターゲットへの処方線量の目標であり、D0はターゲットに対する現行の線量である。現行値と目標との差が大きいほど、コスト値は高くなり、これは、最適化された治療計画に到達するために、システムが治療計画をさらに最適化する必要があるということを意味する。
【0062】
ステップアンドシュートモードでは、システム100は、ガントリ又は治療台の回転又は並進運動の時間、すなわちテーブル110に対する出力器120の回転がエネルギー層切替え時間よりも大きいかどうかを判断し、システム100は、制御点124ごとに少なくとも1つのエネルギー層、例えば(制御点124ごとに1~6のエネルギー層)を保持する。例えば、ガントリが2つの連続する制御点124の間を移動するのに3秒間かかり、エネルギー層切替え時間は3秒未満である場合、システム100は制御点124ごとに少なくとも1つのエネルギー層を保持する。連続送達モードの実施形態では、システム100は、所望のアークサンプリング周波数又は予め定めた設定のプロセスに到達するまで、制御点再サンプリングを任意で維持してもよい(例えば、図2のブロック240を参照)。
【0063】
前述のように、より高い制御点サンプリング周波数は、隣接する制御点間での小さな角度差を示す。この状況では、ガントリ/治療台回転と同時のビーム104送達は、静的制御点角度でのビーム104送達に非常に近似している。所望のアークサンプリング周波数は、アーク内に十分な制御点があり、静的ステップアンドシュート送達モードと連続送達モードとの間に線量差がほとんどないことを意味する。所望のアークサンプリング周波数に達することは、十分なサンプリング制御点を得るために、静的ステップアンドシュート送達と連続陽子ビームアーク送達との間の線量差が最小であることを意味する。
【0064】
システム100では、ランダム制御点再サンプリング、エネルギー層、スポット送達シーケンスの再構成と再分配、及びエネルギー層のフィルタリング及びスポット数の低減に基づいた反復最適化手法を利用する。ランダム反復最適化プロセスの間、各ステップは、目標値を有する計画を生成するように配列され得る。そして、一旦、目標値が所定の閾値を超えると、システム100は前のステップを却下し、ランダムプロセスを再開する。いくつかの実施形態では、最適化プロセスは、放射線生物学(RBE)最適化、物理的線量最適化などを含むが、これらに限定されない。例えば、図3Bに示すように、システム100がブロック342Aでエネルギー層をフィルタリングし、又は制御点124を再サンプリングし、そしてブロック344,350Aでエネルギー層を再構成して再分配した後、目標値が以前の計画の10%よりも高い場合、現行のフィルタリング又は再サンプリングされた新たな制御点は却下され、システム100は、以前の計画に基づいて新たにランダム探索手順を開始する。目標値が以前の計画よりも低い場合、システム100は、新たにフィルタリングされた、又は再サンプリングされた制御点124を受入れ、現行の計画に基づいてランダム探索を継続する。
【0065】
ブロック370において、システム100の一実施態様は、例えば、特定の時間、腫瘍被覆率、又は他の測定可能な変数など、治療計画がユーザの好みに基づいてユーザが定めた品質に達したかどうかを判断することができる。システム100が、治療計画がユーザの定めた品質に達していないと判断した場合、システム100は、ブロック342Aでのエネルギー層のフィルタリング又はブロック344での制御点の再サンプリングとエネルギー層の再分配との間のランダムな方法を選択することによって、上記のブロック340を繰り返す。システム100は、到達した治療計画がユーザの定めた計画品質にしたがっているとシステム100が判断するまでこのプロセスを繰り返す。一旦、システム100が到達した治療計画がユーザの定めた計画品質にしたがっていると判断すると、システム100は、計画にしたがって腫瘍114の治療を開始することができる。システム100は、治療計画がユーザの定めた品質に達していない限り、ブロック342A及び344をランダムに繰り返し、許容できない計画及び線量計算時間を生じさせることなく、元の粗いサンプリング制御点(図4Aに示す)を、限度を有する制御点へと増加、又は分割して、所望の制御点124のサンプリング周波数を有するステップアンドシュート又は連続送達アークプランとする。したがって、システム100は、連続的アーク送達のための十分なサンプリング制御点又はサンプリング速度を形成することを目指す。これにより、計算時間が大幅に短縮されることになる。例えば、システム100は、各制御点124で、少なくとも1つのエネルギー層(例えば、別々のビームとして出力される1~6のエネルギー層)を有するビーム104を送達することができ、システム100は、ブロック342A及び344を実行した後、SPArcが患者を中心に2度ごとの制御点で360度全回転することを決定する。換言すると、システム100は、2度ごとに、又はガントリ/治療台の回転中に連続的にビーム104を患者112に送達し、最も効率的な治療計画を提供する。
【0066】
図3Bを参照すると、いくつかの実装形態では、システム100は、図3Aの治療計画に対して追加の任意の改善を行う。ブロック380において、システム100は、ブロック370で以前に到達した治療計画に対してランダムなエネルギー層再サンプリングを実行する。例えば、システム100はランダムな制御点124(すなわち、既存の制御点124)において治療計画に追加のエネルギー層をランダムに追加する。システム100は、治療計画をさらに最適化するために、さらに10%のエネルギー層を追加することができる。
【0067】
ブロック342Bにおいて、システム100は、ブロック342Aで実行されたエネルギー層フィルタリングと同様のエネルギー層フィルタリングを行う。その後、システム100は、ブロック330及び350で参照される最適化と同様の最適化ステップをブロック382で実行することができる。ブロック384において、システム100は、治療計画品質が以前の計画品質と比較して改善されたかどうかを判断することを試みる。システム100が、治療計画品質が改善されたと判断した場合、システム100は、システム100が治療計画品質をこれ以上改善できないと判断するまで治療計画品質をさらに改善できると判断し、ブロック342B~384を実行する。システム100が、治療計画品質を改善できないと判断すると、システム100は、それが患者112の所望の治療計画であると判断する。
【0068】
いくつかの例では、所望の治療計画は、ユーザが予め定義したファクタに基づくことができる。図3Cを参照すると、ブロック390において、システム100は、ユーザの好み1つに基づいて、連続的ビーム送達を伴う最適化され、且つ効率的な癌治療計画を送達する。例えば、一部の臨床医は、最高の計画品質を好むので、目標値が最も低い計画を選択する。一部の臨床医はより速い送達計画を好むので、計画品質を妥協する一方で、送達時間が最短である計画を選択する。或いは、臨床医の一部は、良好な計画品質と中程度の送達時間の両方を備えた適度な計画を選択する。
【0069】
従来の陽子線システムは、エネルギー選択法を介して各エネルギー層を1つずつ抽出する。しかし、システム100は、同時に複数のエネルギー層を抽出することができる陽子線システムを含む。この場合、システム100は、制御点124に複数のエネルギー層を有する陽子ビーム104を、ステップアンドシュートで、又は連続的に、追加のエネルギー層の切り替え時間を費やすことなく送達する。エネルギー再分配機構344において、システム100は、図2~6に記載の方法を使用して、新たな制御点124にエネルギー層を再分配する。
【0070】
図9は、本明細書で説明されるシステム及び方法を実施するために使用され得る例示的なコンピューティングデバイス800の概略図である。コンピューティングデバイス800は、ラップトップ、デスクトップ、ワークステーション、パーソナルデジタルアシスタント、サーバ、ブレードサーバ、メインフレーム、及び他の適切なコンピュータなどの様々な形態のデジタルコンピュータを表すことが意図されている。ここに示された構成要素、それらの接続及び関係、及びそれらの機能は、例示的なものに過ぎず、本明細書にて説明され、且つ/又は請求される本発明の実施形態を限定するものではない。
【0071】
治療計画及び送達機構は、コンピュータ処理ベースの最適ビーム角度(ステップアンドシュート)と、最適アーク軌道(連続アーク)探索ソフトウェアプラットフォームと、総合的な治療計画品質及び送達効率を向上させる送達フレームワークとを含む。最適ビーム角度及び軌道探索アルゴリズムは、治療可能比をさらに増加させるために、治療線量最適化のための全立体角探索空間を利用する。最適なアーク軌道は、スポット位置、スポット重み付け、及びビーム角度の大域的最適化に基づいて生成及び選択される。最も効率的なアーク軌道が治療送達のために選択されている。
【0072】
コンピューティングデバイス800は、プロセッサ130,810、メモリ820、記憶装置132,830、メモリ820及び高速拡張ポート850に接続する高速インターフェース/コントローラ840、及び低速バス870及び記憶装置830に接続する低速インターフェース/コントローラ860を含む。構成要素810,820,830,840,850、及び860の各々は、様々なバスを使用して相互接続され、共通のマザーボード上に、又は他の好適な方法で取付けられてもよい。プロセッサ810は、メモリ820又は記憶装置830に記憶された命令を含むコンピューティングデバイス800内で実行するための命令を処理することができ、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)のためのグラフィカル情報を、高速インターフェース840に結合されているディスプレイ880などの外部入力/出力デバイス上に表示する。他の実施形態では、複数のメモリ及びメモリの種類と共に、複数のプロセッサ及び/又は複数のバスが適切に使用され得る。また、複数のコンピューティングデバイス800を接続することができ、各デバイスが必要な動作の一部を(例えば、サーババンク、ブレードサーバのグループ、又はマルチプロセッサシステムとして)提供する。
【0073】
メモリ820は、コンピューティングデバイス800内に非一時的に情報を格納する。メモリ820は、コンピュータ可読媒体、揮発性メモリユニット(複数可)、又は不揮発性メモリユニット(複数可)であってもよい。非一時的メモリ820は、プログラム(例えば、命令のシーケンス)、又はデータ(例えば、プログラム状態情報)をコンピューティングデバイス800による使用のために一時ベース又は恒久ベースで格納するために使用される物理的デバイスであってもよい。不揮発性メモリの例としては、フラッシュメモリ、及び読み出し専用メモリ(ROM)/プログラム可能読み出し専用メモリ(PROM)/消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EPROM)/(例えば、典型的にはブートプログラムのようなファームウェアのために使用される)電子消去可能プログラマブル読み出し専用メモリEEPROM)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。揮発性メモリの例としては、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、相変化メモリ(PCM)ならびにディスク又はテープが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0074】
記憶装置830は、コンピューティングデバイス800用に大容量ストレージを提供することができる。いくつかの実装形態では、記憶装置830はコンピュータ可読媒体である。様々な異なる実装形態では、記憶装置830は、フロッピーディスク装置、ハードディスク装置、光ディスク装置、又はテープ装置、フラッシュメモリ又は他の同様のソリッドステートメモリ装置、若しくはストレージエリアネットワーク又は他の構成内の装置を含む装置の配列であってもよい。追加の実施形態では、コンピュータプログラム製品は情報担体において実質的に具現化される。コンピュータプログラム製品は、実行されると、上述したような1つ以上の方法を実行する命令を含む。情報担体は、メモリ820、記憶装置830、又はプロセッサ810上のメモリなどといったコンピュータ可読媒体又は機械可読媒体である。
【0075】
高速コントローラ840は、コンピューティングデバイス800の帯域幅集中型オペレーションを管理し、低速コントローラ860は、低帯域幅集約型オペレーションを管理する。そのような任務の配分は、例示的なものに過ぎない。いくつかの実施形態では、高速コントローラ840は、メモリ820、(例えば、グラフィックプロセッサ又はアクセラレータを介して)ディスプレイ880、及び様々な拡張カード(図示せず)を受容する高速拡張ポート850に接続されている。いくつかの実施形態では、低速コントローラ860は、記憶装置830及び低速拡張ポート870に接続されている。様々な通信ポート(例えば、USB、ブルートゥース(登録商標)、イーサネット(登録商標)、無線イーサネット(登録商標))を含むことができる低速拡張ポート870は、キーボード、ポインティングデバイス、スキャナ、又は、例えばネットワークアダプタを介したスイッチやルータなどのネットワークデバイスなどの1つ以上の入力/出力デバイスに接続されてもよい。
【0076】
コンピューティングデバイス800は、図示するように、いくつかの異なる形態で実装され得る。例えば、1台の標準サーバ800a又はそのようなサーバ800aのグループとして数倍のものとして、若しくは、1台のラップトップコンピュータ800bとして、若しくは、ラックサーバシステム800cの一部として実装されてもよい。
【0077】
本明細書に記載のシステム及び技術の様々な実施形態は、デジタル電子回路、集積回路、特別設計のASIC(特定用途向け集積回路)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア及び/又はそれらの組合せとして実現されることができる。これらの様々な実装形態は、少なくとも1つの入力装置、及び少なくとも1つの出力装置において記憶装置に接続され、記憶装置からデータと命令を受信し、記憶装置へデータと命令を送信する専用又は汎用であり得る少なくとも1つのプログラム可能なプロセッサを含む、プログラマブルシステム上で実行可能及び/又は解釈可能な1つ以上のコンピュータプログラムでの実装を含むことができる。
【0078】
これらの(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション又はコードとしても知られている)コンピュータプログラムは、このプログラム可能なプロセッサ用の機械命令を含み、高度な手続き型及び/又はオブジェクト指向プログラミング言語で、ならびに/若しくはアセンブリ/機械言語で実装されることができる。本明細書で使用する場合、用語「機械可読媒体」及び「コンピュータ可読媒体」とは、プログラマブルプロセッサに機械命令及び/又はデータを提供するために使用される任意のコンピュータプログラム製品、装置及び/又はデバイス(例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、プログラマブル論理デバイス(PLD))を意味し、機械可読信号として機械命令を受取る機械可読媒体を含む。「機械可読信号」という用語は、機械命令及び/又はデータをプログラマブルプロセッサに提供するために使用される任意の信号を意味する。
【0079】
本明細書に記載された主題の実施形態及び機能的オペレーションは、デジタル電子回路、又は本明細書に開示された構造及びそれらの構造的等価物を含む、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、又はハードウェア、若しくはそれらのうち1つ又は複数の組合せにおいて実行されることができる。さらに、本明細書に記載された主題は、1つ以上のコンピュータプログラム製品、すなわちデータ処理装置によって実行される、又はデータ処理装置のオペレーションを制御するためのコンピュータ可読媒体上に符号化されたコンピュータプログラム命令の1つ以上のモジュールとして実装され得る。コンピュータ可読媒体は、機械可読記憶装置、機械可読記憶基板、メモリ装置、機械可読伝播信号に影響する構成物、又はそれらのうちの1つ以上の組み合わせであってもよい。用語「データ処理装置」、「コンピューティングデバイス」及び「コンピューティングプロセッサ」は、例えば、プログラム可能なプロセッサ、コンピュータ、又は複数のプロセッサ又はコンピュータを含む、データを処理するためのすべての装置、デバイス及び機械を包含する。装置は、ハードウェアに加えて、問題のコンピュータプログラムの実行環境を生成するコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、又はそれらのうち1つ以上の組み合わせを構成するコードを含むことができる。伝搬された信号は、人工的に生成された信号であり、例えば、適切な受信装置への送信のために情報を符号化するために生成された機械生成の電気信号、光信号、又は電磁信号である。
【0080】
コンピュータプログラム(アプリケーション、プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、又はコードとしても知られる)は、コンパイラ型又はインタプリタ型言語を含む何れの形態のプログラミング言語で記述することもでき、また、スタンドアロンプログラムとしても、又はモジュール、コンポーネント、サブルーチン、若しくはコンピューティング環境での使用に適したその他のユニットを含む何れの形態でも実装できる。コンピュータプログラムは、必ずしもファイルシステム内のファイルに対応するとは限らない。プログラムは、他のプログラム又はデータ(例えば、マークアップ言語文書に格納された1つ以上のスクリプト)を保持するファイルの一部に、問題のプログラム専用の単一ファイル、又は複数の組織化されたファイル(例えば、1つ以上のモジュール、サブプログラム、又はコードの一部を格納するファイル)として格納されることができる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、又は1つのサイトに位置するか、又は複数のサイトに分散され、通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように配置することができる。
【0081】
本明細書で説明するプロセス及び論理フローは、入力データを操作して出力を生成することによって機能を実行する1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラム可能なプロセッサによって実行されることができる。プロセス及び論理フローはまた、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)又は(「放射線硬化」又は「radーhard」として知られる)空間の高放射線環境に耐えうるように特別に設計されたASICなどの専用論理回路によっても実行されることができ、また装置はまた専用論理回路として実装されることができる。
【0082】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサには、例えば、汎用及び専用の両方のマイクロプロセッサ、並びにあらゆる種類のデジタルコンピュータの何れかの1つ以上のプロセッサが含まれる。一般に、プロセッサは、読み出し専用メモリ又はランダムアクセスメモリ又はその両方から命令及びデータを受信する。コンピュータの必須要素は、命令を実行するプロセッサと、命令及びデータを格納するための1つ以上のメモリデバイスである。一般に、コンピュータはまた、例えば、磁気ディスク、磁気光ディスク、又は光ディスクなどの1つ以上の大容量記憶装置を含み、大容量記憶装置に動作可能に接続され、そこからデータを受信するか、そこへデータを送信するか、又はその両方を行う。しかし、コンピュータは必ずしもそのような装置を有する必要はない。さらに、コンピュータは、別のデバイス、例えば、ほんの数例を挙げると、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、モバイルオーディオプレーヤ、全地球測位システム(GPS)受信機などに埋め込まれ得る。コンピュータプログラム命令及びデータを格納するのに適したコンピュータ可読媒体には、例えば、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイス、例えば、内部ハードディスク又はリムーバブルディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、ならびにCD ROM及びDVD-ROMディスクを含むすべての形態の不揮発性メモリ、メディア及びメモリデバイスが含まれる。プロセッサ及びメモリは、専用論理回路によって補完され、又は専用論理回路に組み込むことができる。
【0083】
本発明の1つ又は複数の態様は、コンピューティングシステムであって、例えばデータサーバとしてのバックエンド構成要素を含むか、又は、例えばアプリケーションサーバなどのミドルウェア構成要素を含むか、又は、例えばグラフィカルユーザインターフェースを有するクライアントコンピュータなどのフロントエンド構成要素を含むコンピューティングシステムか、若しくは、ウェブブラウザであって、そこを通じてユーザが本明細書に記載された主題の実施形態、又はそのようなバックエンド、ミドルウェア、又はフロントエンド構成要素のうち1つ以上の組合せと相互対話できるウェブブラウザにおいて実現されることができる。システムの構成要素は、任意の形式又は媒体のデジタルデータ通信、例えば、通信ネットワークによって相互接続されてもよい。通信ネットワークの例としては、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)及びワイドエリアネットワーク(「WAN」)、インターネットワーク(例えば、インターネット)並びにピアツーピアネットワーク(例えば、アドホックピア-ピアツーピアネットワーク)が挙げられる。
【0084】
コンピューティングシステムは、クライアント及びサーバを含むことができる。クライアントとサーバは、一般に、互いに遠隔であり、通常は通信ネットワークを介して相互対話する。クライアントとサーバとの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行され、互いにクライアント-サーバの関係を有するコンピュータプログラムによって生じる。いくつかの実装では、サーバは、データ(例えば、HTMLページ)を(例えば、クライアントデバイスと対話するユーザにデータを表示し、ユーザからユーザ入力を受信する目的で)クライアントデバイスに送信する。クライアントデバイスで生成されたデータ(例えば、ユーザー対話の結果)は、サーバのクライアントデバイスから受信することができる。
【0085】
本明細書には多くの詳細が含まれているが、これらは開示の範囲、又は請求され得る内容の範囲を限定するものではなく、むしろ開示の特定の実施形態に特有である機能の説明として解釈されるべきである。別個の実施形態の文脈において本明細書で説明される特定の機能はまた、単一の実施形態において組み合わせて実施することもできる。逆に、単一の実施形態の文脈で説明された様々な機能は、複数の実施形態において個別に、又は任意の好適な副組み合わせで実施することもできる。さらに、機能は、特定の組み合わせで作用するものとして上述されており、当初はそのように主張されているものであっても、いくつかの場合には、主張された組み合わせからの1つ以上の機能をその組み合わせから切り出すことができ、主張された組合せは副組み合せや、又は副組み合せの変更案に向けられ得る。
【0086】
同様に、オペレーションは、特定の順序で図面に示されているが、これは、望ましい結果を達成するために、このようなオペレーションが示された順序又は順番どおりに、又は図示されたすべてのオペレーションが実行されることを必要とするものとして理解されるべきではない。特定の状況では、マルチタスク及び並列処理が有利であり得る。さらに、上述の実施形態における様々なシステム構成要素の分離は、そのような分離がすべての実施形態において必要とするものとして理解されるべきではなく、記述されたプログラム構成要素及びシステムは、一般に、単一のソフトウェア製品の中に一体化されるか、又は複数のソフトウェア製品の中に抱き合わせられることができる。
【0087】
多数の実装形態が説明されてきた。それにもかかわらず、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更が行われ得ることが理解されるであろう。したがって、他の実施形態は以下の特許請求の範囲の範疇にある。例えば、特許請求の範囲に列挙された動作は、異なる順序で実行され、依然として望ましい結果を達成することができる。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A-4D】
図5A-5C】
図6A-6C】
図7A-7C】
図8A
図8B
図9
図10