(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】バイオサーファクタント及びカルボキシベタインポリマーを含む組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/60 20060101AFI20240422BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20240422BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20240422BHJP
A61Q 1/10 20060101ALI20240422BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20240422BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
A61K8/60
A61K8/81
A61Q19/10
A61Q1/10
A61Q1/14
A61Q5/12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019117471
(22)【出願日】2019-06-25
【審査請求日】2022-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】加賀 裕章
(72)【発明者】
【氏名】織田 政紀
(72)【発明者】
【氏名】シルビー・バン
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-515637(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0016525(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
C07H 1/00-99/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/KOSMET(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)糖脂質から選択される、少なくとも1種のバイオサーファクタントと、
(b)
カルボキシベタインモノマーと非イオン性不飽和モノマーとのコポリマー、及びカルボキシベタインモノマーのホモポリマーから選択される、少なくとも1種のカルボキシベタインポリマ
ー
を含む組成物。
【請求項2】
(a)バイオサーファクタントが、ラムノリピド及びソホロリピドから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(b)カルボキシベタインポリマーが、下記一般式(2):
【化1】
(式中、
R
3は、重合性不飽和基を示し、
y及びzは、1~5の整数を表し、
R
4及びR
5は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、又は1~5個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状のアルキル基を表し、
R
6及びR
7は、同一であっても異なっていてもよく、1~5個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状のアルキル基を表す)
により表されるモノマーに由来する少なくとも1つの単位を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
一般式(2)において、
R
3が、アクリレート基又はメタクリレート基を示し、
y及びzが、1~3の整数を表し、
R
4及びR
5が、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、メチル基又はエチル基を表し、
R
6及びR
7が、同一であっても異なっていてもよく、メチル基又はエチル基を表す、
請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
(b)カルボキシベタインポリマーが、カルボキシベタインモノマーと(メタ)アクリル酸アルキルとのコポリマー、及びカルボキシベタインモノマーのホモポリマーから選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
組成物中の(a)バイオサーファクタントの量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上15質量%以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
組成物中の(b)カルボキシベタインポリマーの量が、組成物の総質量に対して、0.001質量%以上5質量%以下である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下で含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
(a)バイオサーファクタント以外に、イオン性界面活性剤を、組成物の総量に対して、5質量%以下で含み、又は(a)バイオサーファクタント以外に、イオン性界面活性剤を含まない、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
水を、組成物の総質量に対して、60質量%以上の量で更に含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
ケラチン物質のためのクレンジング組成物又はコンディショナーである、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
ケラチン物質をコンディショニングする、ケアする又はクレンジングするための非治療的美容方法であって、
(a)糖脂質から選択される、少なくとも1種のバイオサーファクタントと、
(b)
カルボキシベタインモノマーと非イオン性不飽和モノマーとのコポリマー、及びカルボキシベタインモノマーのホモポリマーから選択される、少なくとも1種のカルボキシベタインポリマ
ーと
を含む組成物を、ケラチン物質上に適用することを含む、非治療的美容方法。
【請求項13】
(a)糖脂質から選択される、少なくとも1種のバイオサーファクタントと、
(b)
カルボキシベタインモノマーと非イオン性不飽和モノマーとのコポリマー、及びカルボキシベタインモノマーのホモポリマーから選択される、少なくとも1種のカルボキシベタインポリマ
ーと
の組合せの、
ケラチン物質をコンディショニングする、ケアする又はクレンジングするための、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種のバイオサーファクタント及び少なくとも1種のカルボキシベタインポリマーを含む組成物、好ましくはそれらを含む化粧用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオサーファクタントが、固有な生物活性、例えば、抗炎症効果、抗アレルギー効果、抗菌効果等を有することは公知である。例えば、ソホロリピド及びラムノリピドが、抗炎症効果を有し、皮膚等のケラチン物質上で潜在的に使用されることは公知である。
【0003】
バイオサーファクタントは、いくつかの固有な生物活性を有するものの、それらがリーブオンタイプの化粧料中で使用される場合であっても、それが、例えば水又は汗によってケラチン物質から容易に洗い落とされるという課題が存在する。
【0004】
したがって、皮膚、頭皮及び毛髪等のケラチン物質上に、水又は汗によってケラチン物資から容易に除去されない、バイオサーファクタントの安定な堆積物をもたらすことができる組成物を提供する必要性が存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】D. Haferburg、R. Hommel、R. Claus及びH. P. Kleber、Adv Biochem.Eng./Biotechnol.(1986) 33、53~90頁
【文献】F. Wagner、H. Bock及びA. Kretschmar、Fermentation(R. M. Lafferty編)(1981)、181~192頁、Springer Verlag、Vienna
【文献】M. Schmidt、Ph.D.論文(1990)、Technical University of Braunschweig
【文献】Schulzら(1991)Z. Naturforsch 46C 197~203頁
【文献】A. P. Tulloch、J. F. T. Spencer及びP. A. J. Gorin, Can.J Chem(1962)40 1326頁
【文献】U. Gobbert、S. Lang及びF. Wagner、Biotechnology Letters(1984)6(4)、225頁
【文献】Ishigamiら(1987)J. Jpn Oil Chem Soc 36 847~851頁
【文献】Passeriら(1991)Z. Naturforsch 46C 204~209頁
【文献】Frautz、Lang及びWagner(1986)Biotech Letts 8 757~762頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ケラチン物質等の基材上に、水又は汗によって容易に洗い落とされない安定な堆積物をもたらすことができる組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記の目的は、
(a)少なくとも1種のバイオサーファクタントと、
(b)少なくとも1種のカルボキシベタインポリマーと
を含む組成物によって達成することができる。
【0008】
(a)バイオサーファクタントは、ラムノリピド及びソホロリピドから選択することができる。
【0009】
(b)カルボキシベタインポリマーは、下記一般式(2):
【0010】
【0011】
(式中、
R3は、重合性不飽和基、例えばアクリレート、メタクリレート、アクリルアミド又はメタクリルアミド基を示し、
y及びzは、1~5の整数を表し、
R4及びR5は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、又は1~5個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状のアルキル基を表し、
R6及びR7は、同一であっても異なっていてもよく、1~5個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状のアルキル基を表す)
により表されるモノマーに由来する少なくとも1つの単位を含むことができる。
【0012】
一般式(2)において、
R3が、アクリレート基又はメタクリレート基を示し、
y及びzが、1~3の整数、特に1又は2を表し、
R4及びR5が、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、メチル基又はエチル基、特に水素原子を表し、
R6及びR7が、同一であっても異なっていてもよく、メチル基又はエチル基、特にメチル基を表すことである
ことが好ましい。
【0013】
(b)カルボキシベタインポリマーは、カルボキシベタインモノマーと(メタ)アクリル酸アルキルとのコポリマー;カルボキシベタインモノマーのホモポリマー;カルボキシベタインモノマーと(メタ)アクリル酸アルキル第四級アンモニウム塩と(メタ)アクリル酸ポリオキシアルキレンとのコポリマー;及びカルボキシベタインモノマーと(メタ)アクリル酸アルキル第四級アンモニウム塩と(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルとのコポリマーから選択することができる。
【0014】
組成物中の(a)バイオサーファクタントの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更により好ましくは1質量%以上であってよく、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7.5質量%以下、更により好ましくは5質量%以下であってよい。
【0015】
組成物中の(b)カルボキシベタインポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上であってよく、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更により好ましくは1質量%以下であってよい。
【0016】
組成物は、(a)バイオサーファクタント以外に、イオン性界面活性剤、例えばアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性界面活性剤を、組成物の総量に対して、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更により好ましくは0.5質量%以下、優先的には0.1質量%以下、特に0.01質量%以下の量で含んでよく、又は(a)バイオサーファクタント以外に、イオン性界面活性剤、例えばアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性界面活性剤を含まなくてもよい。
【0017】
組成物は、水を、組成物の総質量に対して、60質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上の量で更に含んでよい。
【0018】
組成物は、皮膚、頭皮、唇及び毛髪等のケラチン物質のためのクレンジング組成物又はコンディショナーでありうる。
【0019】
本発明はまた、皮膚、頭皮、唇及び毛髪等のケラチン物質をコンディショニングする、ケアする又はクレンジングするための、非治療的美容方法であって、
(a)少なくとも1種のバイオサーファクタントと、
(b)少なくとも1種のカルボキシベタインポリマーと
を含む組成物を、ケラチン物質上に適用することを含む、非治療的美容方法にも関する。
【0020】
本発明はまた、
(a)少なくとも1種のバイオサーファクタントと、
(b)少なくとも1種のカルボキシベタインポリマーと
の組合せの、
皮膚、頭皮、唇及び毛髪等のケラチン物質をコンディショニングする、ケアする又はクレンジングするための、使用にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
鋭意検討の結果、発明者らは、(a)少なくとも1種のバイオサーファクタントと、(b)少なくとも1種のカルボキシベタインポリマーとを含む組成物が、改善された耐水性を有する疎水性基材上に非常に安定な堆積物をもたらすことができることを発見し、それから本発明を完成させた。
【0022】
そのため、本発明による組成物は、
(a)少なくとも1種のバイオサーファクタントと、
(b)少なくとも1種のカルボキシベタインポリマーと
を含む組成物である。
【0023】
本発明による組成物は、改善された耐水性を有する疎水性基材上に、非常に安定な堆積物をもたらすことができる。したがって、本発明による組成物は、堆積物が、皮膚、頭皮、唇及び毛髪等のケラチン物質上に長期間にわたり留まることを可能にする。したがって、バイオサーファクタントが、ケラチン物質上に、抗炎症効果、抗アレルギー効果、抗菌効果等の有益な生物活性を付与することができるので、本発明による組成物は、ケラチン物質のための化粧用組成物として、特にクレンジング組成物又はコンディショナーとして、非常に安定である。
【0024】
以下に、本発明による組成物、方法及び使用を、より詳細に説明する。
【0025】
[組成物]
本発明による組成物は、
(a)少なくとも1種のバイオサーファクタントと、
(b)少なくとも1種のカルボキシベタインポリマーと
を含む。
【0026】
本発明による組成物の形態は、それが水ベースでありさえすれば、特に限定されない。組成物は、水性ゲル、水性溶液、ゲル、ローション、セラム、懸濁液、分散体、流体、ミルク、ペースト、クリーム、エマルション(O/W又はW/O型)等の多様な形態を取ることができる。本発明による組成物が水性溶液又はゲルの形態にあることが好ましい。
【0027】
本発明による組成物は、化粧用組成物として好ましくは使用されうる。そのため、本発明による組成物は、ケラチン物質への適用が意図されてよい。ケラチン物質は、本明細書では、ケラチンを主要構成要素として含有する材料を意味し、その例には、皮膚、頭皮、爪、唇、毛髪、まつ毛、眉毛等が挙げられる。そのため、本発明による組成物が、ケラチン物質のための美容方法に用いられることが好ましい。
【0028】
本発明による組成物が、皮膚、頭皮、唇又は毛髪等のケラチン物質のためのクレンジング組成物又はコンディショナーであることが好ましい。例えば、組成物は、メイクアップリムーバー、特にメイクアップをケラチン物質から除去するためのメイクアップリムーバー、及び皮膚、頭皮、唇又は毛髪のケア製品であることができる。
【0029】
組成物中の成分を、以下に、より詳細に説明する。
【0030】
(バイオサーファクタント)
本発明による組成物は、少なくとも1種の(a)バイオサーファクタントを含む。2種以上の(a)バイオサーファクタントが使用される場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0031】
用語「バイオサーファクタント(生物系界面活性剤)」は、本明細書では、界面活性剤として機能することができ、且つ真菌及び細菌等の微生物によって生成されうる、任意の物質を意味する。バイオサーファクタントは、天然の界面活性剤のタイプである。
【0032】
一実施形態では、(a)バイオサーファクタントは、糖脂質から選択することができる。
【0033】
糖脂質のバイオサーファクタントは、好適には、ラムノリピド、グルコリピド、トレハロリピド、及びこれらの混合物から選択することができる。それぞれを、今、以下に、より詳細に説明する。
【0034】
- ラムノリピド
これらのバイオサーファクタントには、ラムノース部分が挙げられ、一般式(I):
【0035】
【0036】
(式中、
aは、1又は2であり、
bは、1又は2であり、
nは、4~10、好ましくは6であり、
R1は、H又はカチオン、好ましくはH、又は一価の可溶性カチオンであり、
R2は、H又は
【0037】
【0038】
の基、好ましくはHであり、
mは、4~10であり、
mの値とnの値とは、各出現において同一である必要はない)
により表すことができる。
【0039】
ラムノリピドは、細菌発酵によって生成することができる。これは、細菌発酵の生成物が、再生可能な原料に一般に由来することができ且つ使用後に生分解性でありうることにおいて、生来的に有利である。式(I)の界面活性剤の別の利点は、それらが酵素製造の副生成物として生成されうることである。
【0040】
ラムノリピドは、シュードモナス(Pseudomonas)属の細菌によって生成することができる。細菌発酵は、典型的には、基材として、糖若しくはグリセロール若しくはアルカン、又はこれらの混合物を利用する。
【0041】
適当な発酵方法は、D. Haferburg、R. Hommel、R. Claus及びH. P. KleberによりAdv Biochem.Eng./Biotechnol.(1986) 33、53~90頁において、並びにF. Wagner、H. Bock及びA. KretschmarによりFermentation(R. M. Lafferty編)(1981)、181~192頁、Springer Verlag、Viennaにおいて概説されている。
【0042】
ラムノリピドの任意の試料は、一般式(I)内の多様な個々の化合物を一般に含有することになる。個々の化合物の割合は、微生物の種、及び発酵のために利用される特定の株、発酵に供給される基材材料、及び他の発酵条件によって決定される。
【0043】
細菌発酵は、そこでR1が水素又は可溶性カチオンである化合物を、一般に生成する。そのような化合物は、溶液のpHに応じて、水性溶液中、塩形態と酸形態との間の転換を受けることができる。通常の可溶性カチオンは、アルカリ金属、アンモニウム及びアルカノールアミンである。
【0044】
ラムノリピドとして、例えば、EVONIK社から名称RHEANCE Oneで販売されているものを使用することができる。
【0045】
- グルコリピド
本発明による糖脂質のバイオサーファクタントの第2の部類は、グルコリピドを含み、これは、グルコース部分を含み、且つ一般式(II):
【0046】
【0047】
(式中、
R1は、H又はカチオンであり、
pは、1~4であり、
qは、4~10、好ましくは6である)
により表すことができる。
【0048】
グルコリピドは、細菌アルカリゲネス(Alcaligenes)属の種MM1によって生成することができる。適当な発酵方法は、M. Schmidtにより、そのPh.D.論文(1990)、Technical University of Braunschweigにおいて、及びSchulzら(1991)Z. Naturforsch 46C 197~203頁によって概説されている。グルコリピドは、発酵ブロスから、溶媒抽出を介して、エチルエーテル、又はジクロロメタン:メタノール又はクロロホルム:メタノールのいずれかの混合物を使用して回収される。
【0049】
- ソホロリピド
本発明による糖脂質のバイオサーファクタントの第3の部類は、ソホロリピドを含み、これは、ソホロース部分を含み、且つ一般式(III):
【0050】
【0051】
(式中、
R3及びR4は、独立に、H又はアセチル基であり、
R5は、飽和又は不飽和の、ヒドロキシル化された又は非ヒドロキシル化の、1~9個の炭素原子を有する炭化水素基であり、好ましくはメチル基であり、
R6は、飽和又は不飽和の、ヒドロキシル化された又は非ヒドロキシル化の、1~19個の炭素原子を有する炭化水素基であり、
但し、R5基及びR6基中の総炭素原子数は20を超えず、好ましくは14~18である)
により表すことができる。
【0052】
ソホロリピドは、開鎖遊離酸形態として(式中、R7はHであり、R8はOHである)、又はそのラクトン形態として[式中、ラクトン環は、R7とR8との間で形成され、これは、一般式(IV):
【0053】
【0054】
(式中、
R3、R4及びR6は、上に定義した通りであり、
但し、R3及びR4のうちの少なくとも1つは、アセチル基である)
により示される通りである]、本発明の洗剤組成物中に組み込まれる。
【0055】
ソホロリピドは、酵母細胞、例えばトルロプシス・アピコラ(Torulopsis apicola)及びトルロプシス・ボンビコラ(Torulopsis bombicola)によって生成することができる。発酵方法は、典型的には、基材として糖及びアルカンを利用する。適当な発酵方法は、A. P. Tulloch、J. F. T. Spencer及びP. A. J. Gorin, Can.J Chem(1962)40 1326頁、並びにU. Gobbert、S. Lang及びF. Wagner、Biotechnology Letters(1984)6(4)、225頁において概説されている。得られた生成物は、多種の開鎖ソホロリピドとソホロリピドラクトンとの混合物であり、これは、混合物として利用されてもよく、又は必要とされる形態が単離されてもよい。糖脂質のバイオサーファクタントがソホロリピドを含むとき、ソホロリピドの、追加の界面活性剤に対する質量比は、好ましくは4:1~3:2の範囲であり、より好ましくは4:1である。
【0056】
ソホロリピドとして、例えば、GIVAUDAN社から名称SOPHOLIANCE Sで販売されているものを使用することができる。
【0057】
- トレハロリピド
本発明による糖脂質のバイオサーファクタントの第4の部類は、トレハロリピドを含み、これは、トレハロース部分を含み、且つ一般式(V):
【0058】
【0059】
(式中、
R9、R10及びR11は、独立に、飽和又は不飽和の、ヒドロキシル化された又は非ヒドロキシル化の、5~13個の炭素原子の炭化水素である)
により表すことができる。
【0060】
トレハロリピドは、海洋の細菌アルトバクター(Arthrobacter)属の種 Ek 1又は淡水の細菌ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)を使用する細菌発酵によって生成することができる。適当な発酵方法は、Ishigamiら(1987)J. Jpn Oil Chem Soc 36 847~851頁、Schultzら(1991)Z. Naturforsch 46C 197~203頁、及びPasseriら(1991)Z. Naturforsch 46C 204~209頁によって提供されている。
【0061】
- セロビオースリピド
本発明による糖脂質のバイオサーファクタントの第5の部類は、セロビオースリピドを含み、これは、セロビオース部分を含み、且つ一般式(VI):
【0062】
【0063】
(式中、
R1は、H又はカチオンであり、
R12は、飽和又は不飽和の、ヒドロキシル化された又は非ヒドロキシル化の、9~15個の炭素原子、好ましくは13個の炭素原子を有する炭化水素であり、
R13は、H又はアセチル基であり、R14は、飽和又は不飽和の、ヒドロキシル化された又は非ヒドロキシル化の、4~16個の炭素原子を有する炭化水素である)
により表すことができる。
【0064】
セロビオースリピドは、ウスチラゴ(Ustilago)属の真菌細胞によって生成することができる。適当な発酵方法は、Frautz、Lang及びWagner(1986)Biotech Letts 8 757~762頁によって提供されている。
【0065】
(b)バイオサーファクタントがラムノリピド及びソホロリピドから選択されることが好ましい場合がある。
【0066】
別の実施形態では、(b)バイオサーファクタントは、サーファクチン及びその塩から選択することができる。
【0067】
サーファクチンは、枯草菌(Bacillus subtilis)IMA 1213、IAM 1069、IAM 1259、IAM 1260、IFO 3035及びATCC 21332等のバチルス(Bacillus)属の微生物によって生成される天然の界面活性剤である。
【0068】
サーファクチンの塩として、サーファクチンを形成する、カルボン酸基、又は1種若しくは複数のアミノ酸の基の、金属塩(例えば、ナトリウム、カリウム及びリチウム等のアルカリ金属の塩、又はカルシウム及びマグネシウム等のアルカリ土類金属の塩)、及び有機アンモニウム塩(例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、リジン及びアルギニンの塩)を挙げることができる。
【0069】
本発明による組成物中の(a)バイオサーファクタントの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更により好ましくは1質量%以上であってよい。
【0070】
本発明による組成物中の(a)バイオサーファクタントの量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7.5質量%以下、更により好ましくは5質量%以下であってよい。
【0071】
(カルボキシベタインポリマー)
本発明による組成物は、(b)少なくとも1種のカルボキシベタインポリマーを含む。単一のタイプのカルボキシベタインポリマーを使用してもよいが、2種以上の異なるタイプのカルボキシベタインポリマーを組み合わせて使用することもできる。
【0072】
用語「カルボキシベタインポリマー」は、本明細書では、少なくとも1種のカルボキシベタイン基を、好ましくはその側鎖において含むポリマーを意味する。「カルボキシベタイン基」は、本明細書では、第四級アンモニウムカチオンの正電荷カチオン性部分、及びカルボキシレートの負電荷アニオン性部分を含む基であって、ここで、水素原子が第四級アンモニウムカチオン中の正電荷窒素に結合しておらず、第四級アンモニウムカチオンがカルボキシレートに隣接していない基を意味する。
【0073】
ポリマー中のカルボキシベタイン基は、下記一般式(1):
【0074】
【0075】
(式中、
R1及びR2は、同一であっても異なっていてもよく、1~5個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状のアルキル基を表し、
xは、1~5の整数を表し、
*は、ポリマーの残基部分への結合点を示す)
により表すことができる。
【0076】
カルボキシベタインポリマーは、少なくとも1つのカルボキシベタイン基を含むモノマーに由来する少なくとも1つの単位を含んでよい。カルボキシベタインポリマーにおいて、単一のタイプのカルボキシベタインモノマーを使用してもよいが、2種以上の異なるタイプのカルボキシベタインモノマーを組み合わせて使用することもできる。
【0077】
カルボキシベタインモノマーは特に限定されないが、下記一般式(2):
【0078】
【0079】
(式中、
R3は、重合性不飽和基、例えばアクリレート、メタクリレート、アクリルアミド又はメタクリルアミド基を示し、
y及びzは、1~5の整数を表し、
R4及びR5は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、又は1~5個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状のアルキル基を表し、
R6及びR7は、同一であっても異なっていてもよく、1~5個の炭素原子を含む、直鎖状又は分枝状のアルキル基を表す)
により表すことができる。
【0080】
好ましくは、一般式(2)において、
R3は、アクリレート基又はメタクリレート基を示し、
y及びzは、1~3の整数、特に1又は2を表し、
R4及びR5は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、メチル基又はエチル基、特に水素原子を表し、
R6及びR7は、同一であっても異なっていてもよく、メチル基又はエチル基、特にメチル基を表す。
【0081】
(a)バイオサーファクタントと(b)カルボキシベタインポリマーとの組合せが、カルボキシベタインポリマーの代わりに、他のホスホベタインポリマー及びスルホベタインポリマー等のベタインポリマーを含む組合せと比べて、皮膚等のケラチン物質に、改善された生物活性の効率をもたらすことができることが好ましい。発明者らは任意の特定の理論に束縛されることを望まないが、(b)カルボキシベタインが、(a)バイオサーファクタントと一緒になると、他のホスホベタインポリマー及びスルホベタインポリマーのベタインポリマーよりも高い生物活性、例えば高い皮膚又は頭皮ケア効果をもたらしうると考えられる。
【0082】
加えて、(b)カルボキシベタインポリマーがその構造中にカルボキシレート基を保持するので、それは、ホスホベタインポリマー及びスルホベタインポリマーよりも高いpH応答性を呈する。したがって、(b)カルボキシベタインポリマーを含む本発明による組成物の一定の性質が、組成物のpHを調節することによって、(b)カルボキシベタインポリマーの、より高いpH応答性に起因して変更されうることを期待することができる。
【0083】
カルボキシベタインポリマーは、カルボキシベタインモノマー以外の別のモノマーに由来する別のモノマー単位を更に含んでよい。
【0084】
カルボキシベタインポリマー中に含まれうる他のモノマーは特に限定されないが、例えば、非イオン性不飽和モノマー、アニオン性不飽和モノマー、カチオン性不飽和モノマー及び両性不飽和モノマー、並びにこれらの組合せが挙げられる。
【0085】
非イオン性不飽和モノマーには、スチレンモノマー、例えばスチレン及びヒドロキシスチレン、アクリレートモノマー、例えば(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル、(メタ)アクリル酸ポリオキシアルキレン、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル、及びイタコン酸メチル、イタコン酸エチル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N-ビニルピロリドン及びN-ビニルカプロラクタムが挙げられる。単一のタイプの別のモノマー、又は2種以上の異なるタイプの他のモノマーを組み合わせて使用することができる。
【0086】
前記(メタ)アクリル酸アルキルには、C1~C18アルキル基を含むもの、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸オレイル及び(メタ)アクリル酸イソボルニルが挙げられる。前記(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルには、C1~C6アルキル基を含むもの、例えば(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル及び(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピルが挙げられる。前記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルには、C1~C6アルキル基を含むもの、例えば(メタ)アクリル酸エトキシエチル及び(メタ)アクリル酸メトキシエチルが挙げられる。前記(メタ)アクリル酸ポリオキシアルキレンには、C1~C4ポリオキシアルキレン基を含むもの、例えばモノ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール及びモノ(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールが挙げられる。
【0087】
アニオン性不飽和モノマーには、不飽和モノカルボン酸、例えば(メタ)アクリル酸及びクロトン酸、不飽和二カルボン酸、例えばイタコン酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、及びシトラコン酸、不飽和二カルボン酸のモノアルキルエステル、例えばマレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル及びイタコン酸モノアルキルエステル、不飽和モノマーを含有するスルホン酸基、及び不飽和モノマーを含有するリン酸基、並びにこれらの組合せが挙げられる。
【0088】
カチオン性不飽和モノマーには、1~3つのアミノ基を含有する不飽和モノマー及び第四級アンモニウム含有不飽和モノマーが挙げられる。
【0089】
前記1~3つのアミノ基を含有する不飽和モノマーには、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキル、例えば(メタ)アクリル酸アミノエチル、メタクリル酸t-ブチルアミノエチル及び(メタ)アクリル酸メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキル、例えば(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル及び(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド及びジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、アミノ基含有芳香族ビニルモノマー、例えばN,N-ジメチルアミノスチレンが挙げられる。
【0090】
前記第四級アンモニウム含有不飽和モノマーには、例えば、(メタ)アクリル酸アルキル第四級アンモニウム塩、例えば、C1~C6アルキル基を有するもの、例えば(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロリド、及び(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、及び(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルモルホリノアンモニウムクロリド、及びアルキル(メタ)アクリロイルアミド第四級アンモニウム塩、例えば(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロリド、及び(メタ)アクリロイルアミノエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリドが挙げられる。第四級アンモニウム含有不飽和モノマーの塩のタイプは特に限定されず、塩化物塩、フッ化物塩、臭化物塩及びヨウ化物塩が挙げられる。
【0091】
両性不飽和モノマーには、例えば、(メタ)アクリル酸のアミン誘導体、例えば(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、及び(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、並びに(メタ)アクリルアミド誘導体、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、及びジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
【0092】
好ましくは、カルボキシベタインモノマー以外のモノマーは、(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸ポリオキシアルキレン、(メタ)アクリル酸アルキル第四級アンモニウム塩、及びこれらの混合物から選択される。
【0093】
本発明の好ましい一実施形態では、(b)カルボキシベタインポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキル第四級アンモニウム塩に由来する少なくとも1つの単位を含む。
【0094】
本発明の好ましい一実施形態では、(b)カルボキシベタインポリマーは、以下から選択される:
- 一般式(2)のカルボキシベタインモノマーと、(メタ)アクリル酸アルキルとのコポリマー、例えば三菱ケミカル株式会社により名称YUKAFORMER R205、YUKAFORMER 301、YUKAFORMER SM及びYUKAFORMER 104Dで販売されているメタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン-メタクリル酸アルキルコポリマー、
- 一般式(2)のカルボキシベタインモノマーのホモポリマー、例えばGOO CHEMICAL社により名称Plascize L-410で販売されているポリメタクリロイルエチルベタイン(INCI名:ポリクオタニウム-50)、
- 一般式(2)のカルボキシベタインモノマーと(メタ)アクリル酸アルキル第四級アンモニウム塩とのコポリマー、例えば(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、及び(メタ)アクリル酸ポリオキシアルキレン、例えばモノ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、特に、GOO CHEMICAL社により名称Plascize L-440で販売されている、メタクリロイルエチルベタインとメタクリロイルエチルトリメチルアンモニウムクロリドとメトキシポリエチレングリコールメタクリレートのコポリマー(INCI名:ポリクオタニウム-49)、並びに
- 一般式(2)のカルボキシベタインモノマーと、(メタ)アクリル酸アルキル第四級アンモニウム塩とのコポリマー、例えば(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、及び(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、例えばC1~C6アルキル基を含む(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、特に、GOO CHEMICAL社により名称Plascize L-450で販売されている、メタクリロイルエチルベタインとメタクリロイルエチルトリメチルアンモニウムクロリドとメタクリル酸2-ヒドロキシエチルとのコポリマー(INCI名:ポリクオタニウム-48)。
【0095】
本発明による組成物中の(b)カルボキシベタインポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上であってよい。
【0096】
本発明による組成物中の(b)カルボキシベタインポリマーの量は、組成物の総質量に対して、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更により好ましくは1質量%以下であってよい。
【0097】
(脂肪アルコール)
本発明による組成物は、少なくとも1種の脂肪アルコールを更に含んでよい。単一のタイプの脂肪アルコールが含まれてもよいが、2種以上の異なるタイプの脂肪アルコールを組み合わせて含ませることもできる。
【0098】
用語「脂肪アルコール」は、本明細書では、特に1つ又は複数の(特に、1~4個の)ヒドロキシル基で任意選択で置換されている、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、任意のC8~C30脂肪アルコールを意味する。それらが不飽和である場合、それらの化合物は、1~3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を含むことができる。
【0099】
C8~C30脂肪アルコールの中で、例えば、C12~C22脂肪アルコールが使用される。これらの中で、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、リノレイルアルコール、ウンデシレニルアルコール、パルミトレイルアルコール、リノレニルアルコール、ミリスチルアルコール、アラキドニルアルコール及びエルシルアルコール、並びにこれらの混合物を挙げることができる。一実施形態では、セチルアルコール、ステアリルアルコール、又はこれらの混合物(例えばセテアリルアルコール)、並びにミリスチルアルコールを、脂肪アルコールとして使用することができる。
【0100】
本発明による組成物中の脂肪アルコールの量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってよく、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってよい。
【0101】
(非イオン性界面活性剤)
本発明による組成物は、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を更に含んでよい。単一のタイプの非イオン性界面活性剤が含まれてもよいが、2種以上の異なるタイプの非イオン性界面活性剤を組み合わせて含ませることもできる。
【0102】
非イオン性界面活性剤として、以下を挙げることができる:
- ポリエトキシ化脂肪アルコール又はポリグリセロール化脂肪アルコール、例えばラウリルアルコールのエチレンオキシド付加物、特に9~50個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名ではラウレス-9からラウレス-50);ベヘニルアルコールのエチレンオキシド付加物、特に9~50個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名ではベヘネス-9からベヘネス-50);セチルアルコールのエチレンオキシド付加物、特に10~30個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名ではセテス-10からセテス-30);ステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物、特に2~20個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名ではステアレス-2からステアレス-20);オレイルアルコールのエチレンオキシド付加物、特に10~30個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名ではオレス-10からオレス-30、例えばオレス-20);並びにこれらの混合物、
- 糖とC8~C24脂肪酸とのエステル、並びにこれらのオキシアルキレン化誘導体、例えばC8~C24脂肪酸のポリエトキシ化ソルビトールエステル、特に、Croda社により名称「TWEEN(登録商標) 80」で販売されている製品等のポリソルベート80;糖とC8~C24脂肪アルコールとのエーテル、例えばSEPPIC社により名称「ORAMIX CG 110」で販売されている製品等のカプリリル/カプリルグルコシド、
- 脂肪酸、特にC8~C24、好ましくはC16~C22脂肪酸と、ポリオール、特にグリセロール又はソルビトールとのエステル、例えばGoldschmidt社により名称Tegin M(登録商標)で販売されているステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、イソステアリン酸ポリグリセリル、モノステアリン酸ポリグリセリル、テトライソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸ポリエチレングリコール、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-10、モノオレイン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリル、例えばHills社による製品Imwitor 312(登録商標)、(ジ)ラウリン酸ジエチレングリコール、ペンタオレイン酸デカグリセリル、ペンタジイソステアリン酸デカグリセリル、カプリン酸/カプリル酸グリセリル、(イソ)ステアリン酸ポリグリセリル-2及び(ポリ)リシノレイン酸ポリグリセリル-2、
- オキシアルキレン化アルコール、特に1~15個のオキシエチレン単位及び/又はオキシプロピレン単位を含むことができるオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化アルコール、特にエトキシ化C8~C24脂肪アルコール、好ましくはC12~C18脂肪アルコール、例えば、2個のオキシエチレン単位でエトキシル化されたステアリルアルコール(CTFA名:ステアレス-2、例えばUniqema社により販売されているBrij 72)、又はオキシエチレン化オレイルアルコール。
【0103】
本発明による組成物中の非イオン性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってよく、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下であってよい。
【0104】
(ポリオール)
本発明による組成物は、少なくとも1種のポリオールを更に含んでよい。単一のタイプのポリオールが含まれてもよいが、2種以上の異なるタイプのポリオールを組み合わせて含ませることもできる。
【0105】
用語「ポリオール」は、本明細書では、2つ以上のヒドロキシ基を有するアルコールを意味する。ポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシ基、好ましくは2~5つのヒドロキシ基を含むC2~C12ポリオール、好ましくはC2~C9ポリオールであってよい。特に、ポリオールは、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3-プロパンジオール及び1,5-ペンタンジオールからなる群から選択することができる。
【0106】
本発明による組成物中のポリオールの量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上であってよく、30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下であってよい。
【0107】
(増粘剤)
本発明による組成物は、少なくとも1種の増粘剤を更に含んでよい。2種以上の増粘剤を組み合わせて使用することができる。そのため、単一のタイプの増粘剤、又は異なるタイプの増粘剤の組合せを使用することができる。
【0108】
本発明による組成物の粘度は特に限定されない。粘度は、25℃にて、好ましくはコーン-プレート形状の粘度計又はレオメータを用いて測定することができる。好ましくは、本発明による組成物の粘度は、例えば、25℃及び1s-1にて、1~3000Pa.s、好ましくは1~2000Pa.sの範囲であることができる。
【0109】
増粘剤は、以下のうちの少なくとも1種から選ぶことができる:
- 会合性増粘剤、
- 架橋アクリル酸ホモポリマー、
- (メタ)アクリル酸と(C1~C6)アクリル酸アルキルとの架橋コポリマー、
- エチレン性不飽和エステルモノマー及びエチレン性不飽和アミドモノマーのうちの少なくとも1種を含む非イオン性ホモポリマー及びコポリマー、
- アクリル酸アンモニウムホモポリマー、及びアクリル酸アンモニウムとアクリルアミドとのコポリマー、
- ポリビニルピロリドン、
- ポリビニルアルコール、
- 変性又は非変性カルボキシビニルポリマー、例えばGoodrich社により名称Carbopol(登録商標)で販売されている製品(CTFA名:カルボマー)、
- ポリアクリルアミド、
- 多糖、及び
- 無機増粘剤、例えば親水性ヒュームドシリカ、親水性クレイ、
- 並びにこれらの混合物。
【0110】
本明細書で使用する場合、「会合性増粘剤」という表現は、親水性単位と疎水性単位との両方を含む、例えば、少なくとも1つのC8~C30脂肪鎖と少なくとも1つの親水性単位とを含む、両親媒性増粘剤を意味する。
【0111】
本発明による組成物中の増粘剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってよく、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下であってよい。
【0112】
(pH調節剤)
本発明による組成物のpHは、例えば、化粧料中で通常使用される酸性化剤又は塩基性化剤を使用して、所望の値へと調節することができる。
【0113】
本発明による組成物のpHは、9.0%以下、より好ましくは8.5以下、更により好ましくは8.0以下であってよく、5.0以上、より好ましくは5.5以上、更により好ましくは6.0以上であってよい。
【0114】
酸性化剤の中で、一例として、無機又は有機酸、例えば塩酸、オルトリン酸、硫酸、カルボン酸、例えば酢酸、酒石酸、クエン酸及び乳酸、並びにスルホン酸を挙げることができる。
【0115】
塩基性化剤の中で、一例として、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム;第四級水酸化アンモニウム及び水酸化グアニジニウム;アルカリ金属シリケート、例えばメタケイ酸ナトリウム;アミノ酸、好ましくは塩基性アミノ酸、例えばアルギニン、リジン、オルニチン、シトルリン及びヒスチジン;炭酸塩及び重炭酸塩、特に、第一級アミン、第二級アミン又は第三級アミンの炭酸塩及び重炭酸塩、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩及び重炭酸塩、又はアンモニウムの炭酸塩及び重炭酸塩、;並びに下記式:
【0116】
【0117】
(式中、
Wは、ヒドロキシル基又はC1~C6アルキル基で任意選択で置換されているC1~C6アルキレン残基であり、
Rx、Ry、Rz及びRtは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はC1~C6アルキル、C1~C6ヒドロキシアルキル若しくはC1~C6アミノアルキル基を表す)
の化合物を挙げることができる。特に、1,3-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノ-2-プロパノール、スペルミン及びスペルミジンを挙げることができる。
【0118】
酸性化剤又は塩基性化剤は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~10質量%、好ましくは0.01質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~3質量%の範囲の量で使用することができる。
【0119】
(水)
本発明による組成物は、好ましくは、水を含む。
【0120】
本発明による組成物中の水の量は、組成物の総質量に対して、60質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上であってよい。
【0121】
(任意選択の添加剤)
本発明による組成物はまた、例えば、アニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性ポリマー、油、疎水性有機溶媒、親水性有機溶媒、例えばエタノール、ガム、樹脂、分散剤、抗酸化剤、例えばヒドロキシアセトフェノン、成膜剤、緩衝剤、例えばリン酸カリウム及びリン酸二カリウム、保存剤、例えばサリチル酸、フェノキシエタノール及びクロルフェネシン、香料、中和剤、消毒薬、UV遮蔽剤、化粧用活性剤、例えばビタミン、保湿剤、エモリエント又はコラーゲン保護剤、並びにこれらの混合物から選ばれる、化粧料の分野で通常使用される何らかの任意選択の添加剤を含んでよい。
【0122】
本発明の好ましい一実施形態では、組成物は、
(a)ラムノリピド及びソホロリピドから選択される少なくとも1種のバイオサーファクタントと、
(b)少なくとも1種のカルボキシベタインモノマー、並びに(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸ポリオキシアルキレン、(メタ)アクリル酸アルキル第四級アンモニウム塩、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種のモノマーから構成されるものから選択される少なくとも1種のカルボキシベタインポリマーと
を含む。
【0123】
本発明の別の好ましい実施形態では、組成物は、(a)バイオサーファクタント以外に、イオン性界面活性剤、例えばアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤を、組成物の総量に対して、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更により好ましくは0.5質量%以下、優先的には0.1質量%以下、特に0.01質量%以下の量で含む。
【0124】
本発明の別の好ましい実施形態では、組成物は、(a)バイオサーファクタント以外に、イオン性界面活性剤、例えばアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤又は両性界面活性剤を含まない。
【0125】
本発明による組成物は、上記の必須成分と任意選択の成分とを従来の方法で混合することによって調製することができる。上記成分のうちの少なくとも1種が室温にて固体である事例では、該成分は、それが溶解されるまで加熱されうる。
【0126】
例えば、本発明による組成物は、
(a)少なくとも1種のバイオサーファクタントと、
(b)少なくとも1種のカルボキシベタインポリマーと
を混合する工程を含む方法によって調製することができる。
【0127】
任意選択の成分のうちのいずれかを混合する工程、及び成分が溶解するまで組成物を加熱する工程を更に含むことが可能である。
【0128】
[方法及び使用]
本発明はまた、
(a)少なくとも1種のバイオサーファクタントと、
(b)少なくとも1種のカルボキシベタインポリマーと
を含む組成物を、ケラチン物質上に適用することを含む、非治療的方法又はプロセス、好ましくは美容方法又はプロセス、より好ましくは皮膚、頭皮、唇及び毛髪等のケラチン物質をコンディショニングする、ケアする又はクレンジングするための美容方法又はプロセスにも関する。
【0129】
本発明はまた、
(a)少なくとも1種のバイオサーファクタントと、
(b)少なくとも1種のカルボキシベタインポリマーと
の組合せの、皮膚、頭皮、唇及び毛髪等のケラチン物質をコンディショニングする、ケアする又はクレンジングするための使用にも関する。
【0130】
ケラチン物質は、皮膚、頭皮、毛髪、唇、爪、まつ毛及び眉毛から選択することができる。
【0131】
本発明による方法及び使用において使用される組成物には、本発明による組成物について上に説明された任意選択の成分のいずれかが挙げられる。
【0132】
発明者らはいかなる特定の理論にも束縛されることを望まないが、(b)カルボキシベタインが、(a)バイオサーファクタントがその特定のイオン電荷に起因してケラチン物質等の疎水性基材上に留まることを支持できることが考えられる。これは、(b)カルボキシベタインが、ケラチン物質等の疎水性基材上の、(a)バイオサーファクタントの耐水性を強化できることが考えられることを意味する。
【0133】
したがって、本発明はまた、(b)カルボキシベタインポリマーの、ケラチン物質、特に皮膚、頭皮、唇及び毛髪等の疎水性基材上の、(a)バイオサーファクタントの堆積物の耐水性を強化するための使用にも関しうる。この使用は、(a)バイオサーファクタントから付与される生物活性に起因して、改善された美容効果をケラチン物質上にもたらすことができる。
【実施例】
【0134】
本発明を、実施例によってより詳細に説明するが、これは本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0135】
[ローション組成物]
実施例1及び2(Exs.1及び2)並びに比較例1~3(Comp.Exs.1~3)によるローション組成物を調製した。配合をTable 1(表1)に示す。Table 1(表1)に示す成分の量の数値は、全て、活性原料の「質量%」に基づく。ソホロリピドはGIVAUDAN社から得(商品名: SOPHOLIANCE S)、ラムノリピドはEVONIK社から得(商品名: RHEANCE One)、メタクリロイルエチルベタイン/アクリレートコポリマーは三菱ケミカル株式会社から得た(商品名: YUKAFORMER R205)。
【0136】
最初に、ソホロリピド又はラムノリピド(存在する場合)、水、水酸化カリウム、リン酸カリウム及びリン酸二カリウムを、周囲環境(1atm、25℃)下で混合して均質混合物を調製し、次いでエタノール及びメタクリロイルエチルベタイン/アクリレートコポリマー(存在する場合)を該混合物と、それが均等になるまで混合して、これらの組成物を調製した。
【0137】
[評価]
(堆積物の安定性)
実施例1及び2並びに比較例1~3による組成物のそれぞれによる堆積物の安定性を、以下の通り評価した。組成物のそれぞれの試料100μLを、PMMA基材の1cm2領域上に適用し、次いで40℃にて乾燥させた。試料を適用したところの水1μLとPMMA領域との接触角を、光学的接触角測定及び輪郭解析システムのDATA Physics Instruments GmbH社製OCA-15 plusを用いて、水を一旦該領域上に置いた3分後、及び水1mLで該領域を1~3回洗浄した後に測定した。水滴の接触角の右辺及び左辺をソフトウエアによって得、平均を算出した。接触角が小さいほど、PMMA表面上に残っている生物系界面活性剤の堆積物の量が多いことを表す。
【0138】
平均の評価結果を以下のTable 1(表1)にまとめる。Table 1(表1)中の「DL」は、角度が小さすぎて測定できないことを意味する検出限界を表す。
【0139】
【0140】
Table 1(表1)からわかるように、本発明の(a)バイオサーファクタントの成分と(b)カルボキシベタインポリマーの成分との特定の組合せを含む、実施例1及び2による組成物で処理したPMMA基材は、それを水で3回洗浄した後でさえ、検出不能な、小さい、水との接触角を呈した。他方、バイオサーファクタント、カルボキシベタインポリマー、又はその両方を欠く、比較例1~3のそれぞれによる組成物は、堆積物の劣った安定性を示した。
【0141】
したがって、本発明の特定の組合せが、改善された耐水性を有する基材上に、非常に安定な堆積物をもたらすことができると言うことができる。
【0142】
[ゲル組成物]
実施例3(Ex.3)及び比較例4(Comp.Ex.4)によるゲル組成物を調製した。配合をTable 2(表2)に示す。Table 2(表2)に示す成分の量の数値は、全て、活性原料の「質量%」に基づく。
【0143】
これらの組成物を、最初に、85℃にて、ソホロリピド、水、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ステアリン酸グリセリル、グリセリン及びアルギニンを均一に混合して均質混合物を調製することによって調製した。加えて、85℃にてカルボマーとアルギニンと水とを混合して別の均質混合物を調製し、これらの混合物を合わせた。得られた混合物を室温(25℃)に冷却し、次いで該混合物へ、ペンチレングリコール、フェノキシエタノール、クロルフェネシン、エタノール(実施例3)及びメタクリロイルエチルベタイン/アクリレートコポリマー(実施例3)を添加した。混合物を、それが均一になるまで混合した。使用したアルギニンの総量は0.5質量%であった。
【0144】
[評価]
(官能評価)
実施例3及び比較例4のそれぞれによる組成物の堆積物の感触を、6人の官能パネル専門家によって試験した。組成物約3gを手の上に適用し、水で濯ぎ落し、次いで触感を評価した。触感を、下記評価基準によりスコアリングした:
4: 強い堆積物の感触
3: 中程度の堆積物の感触
2: 弱い堆積物の感触
1: 堆積物の感触なし
【0145】
評価の平均スコアを以下のTable 2(表2)にまとめる。
【0146】
【0147】
Table 2(表2)からわかるように、本発明の(a)バイオサーファクタントの成分と(b)カルボキシベタインポリマーの成分との特定の組合せを含む実施例3による組成物は、より高い触感スコアを呈し、これは、専門家が水で自分たちの手を洗浄した後でさえ、専門家が、より多量の堆積物が自分たちの手に残っていると感じたことを意味する。他方、カルボキシベタインポリマーを欠く比較例4による組成物は、より低いスコアを示した。
【0148】
したがって、本発明の特定の組合せが、改善された耐水性を有する基材上に、非常に安定な堆積物をもたらすことができると言うことができる。これは、本発明による組成物が、堆積物がケラチン物質上に長期にわたって留まることを可能にすることを意味する。したがって、本発明による組成物は、バイオサーファクタントがケラチン物質上に有益な生物活性を付与することができるので、ケラチン物質のための化粧用組成物として、特にクレンジング組成物又はコンディショナーとして、非常に好適であると結論づけることができる。