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特許7475822ドアランチャンネルの止水構造及びドアランチャンネル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】ドアランチャンネルの止水構造及びドアランチャンネル
(51)【国際特許分類】
   B60J 10/76 20160101AFI20240422BHJP
   B60J 10/27 20160101ALI20240422BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
B60J10/76
B60J10/27
B60J5/04 M
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019126743
(22)【出願日】2019-07-08
(65)【公開番号】P2021011199
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000219705
【氏名又は名称】東海興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 海平
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雅崇
(72)【発明者】
【氏名】別所 英一
(72)【発明者】
【氏名】宇井 伸文
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-106674(JP,A)
【文献】特開2010-023650(JP,A)
【文献】特開2007-038975(JP,A)
【文献】特開2008-239105(JP,A)
【文献】特開2015-003603(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0174491(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 10/00 - 10/90
B60R 13/06
B60J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドア窓開口部の上方側を形成するドアサッシュと、前記ドアサッシュから下方に延出して前記ドア窓開口部を前後方向に分割する分割サッシュと、前記ドアサッシュの凹部から前記分割サッシュの凹部に連続して取り付けられると共に、昇降によりドア窓開口を開閉する窓パネルを収容するドアランチャンネルと、を備えるドアランチャンネルの止水構造であって、
前記ドアランチャンネルは、前記ドアサッシュの車外壁に沿って配置される車外部と、前記ドアサッシュの底壁に沿って配置される基部と、前記ドアサッシュの車内壁に沿って配置される車内部とを備え、
前記ドアサッシュの底壁に係合孔が設けられると共に、当該係合孔に挿入される突起部が前記ドアランチャンネルの基部の前記底壁側の面に設けられ、
前記ドアランチャンネルは、前記基部の上面に、前記突起部よりも車内側の位置で突出するリップ部を備え、
前記分割サッシュの上端部は、鋭角なR状に折り曲げられているR状折曲部を有する取付部によって前記ドアサッシュの前記底壁に固定されており、
前記ドアランチャンネルは、前記ドアサッシュから前記分割サッシュに沿ってく字状に屈曲するく字状屈曲部を有すると共に、前記分割サッシュ側の基部から前記取付部のR状折曲部に向かって突出して当接し、前記ドアサッシュと前記R状折曲部と前記く字状屈曲部との間にできる三角形の隙間を埋める係合部を有し
前記ドアランチャンネルにおいて、前記係合部の上面は、前記ドアサッシュ側の基部の上面と連続しており、
前記係合部の上面における車外側端にも、リップ部が設けられ、
前記係合部の上面のリップ部は、前記基部の上面の前記リップ部と連続するように形成され、前記ドアサッシュの前記底壁との間をシールする
ことを特徴とするドアランチャンネルの止水構造。
【請求項2】
車両のドア窓開口部の上方側を形成するドアサッシュと、前記ドアサッシュから下方に延出して前記ドア窓開口部を前後方向に分割する分割サッシュと、前記ドアサッシュの凹部から前記分割サッシュの凹部に連続して取り付けられると共に、昇降によりドア窓開口を開閉する窓パネルを収容するドアランチャンネルと、を備えるドアランチャンネルの止水構造であって、
前記ドアランチャンネルは、前記ドアサッシュの車外壁に沿って配置される車外部と、前記ドアサッシュの底壁に沿って配置される基部と、前記ドアサッシュの車内壁に沿って配置される車内部とを備え、
前記ドアサッシュの底壁に係合孔が設けられると共に、当該係合孔に挿入される突起部が前記ドアランチャンネルの基部の前記底壁側の面に設けられ、
前記ドアランチャンネルは、前記基部の上面に、前記突起部よりも車内側の位置で突出するリップ部を備え、
前記分割サッシュの上端部は、鋭角なR状に折り曲げられているR状折曲部を有する取付部によって前記ドアサッシュの前記底壁に固定されており、
前記ドアランチャンネルは、前記ドアサッシュから前記分割サッシュに沿ってく字状に屈曲するく字状屈曲部を有すると共に、前記分割サッシュ側の基部から前記取付部のR状折曲部に向かって突出して当接し、前記ドアサッシュと前記R状折曲部と前記く字状屈曲部との間にできる三角形の隙間を埋める係合部を有し
前記係合部は、ドア厚み方向に拡大し、前記分割サッシュと当接する拡大部を備え、
前記ドアランチャンネルにおいて、前記係合部の上面は、前記ドアサッシュ側の基部の上面と連続しており、
前記係合部の上面における車外側端及び前記拡大部の上端にも、リップ部が設けられ、
前記係合部の上面のリップ部及び前記拡大部の上端のリップ部は、前記基部の上面の前記リップ部と連続するように形成され、前記ドアサッシュの前記底壁との間をシールする
ことを特徴とするドアランチャンネルの止水構造。
【請求項3】
車両のドア窓開口部の上方側を形成するドアサッシュと、前記ドアサッシュから下方に延出して前記ドア窓開口部を前後方向に分割する分割サッシュと、前記ドアサッシュの凹部から前記分割サッシュの凹部に連続して取り付けられると共に、昇降によりドア窓開口を開閉する窓パネルを収容するドアランチャンネルと、を備えるドアランチャンネルの止水構造であって、
前記ドアランチャンネルは、前記ドアサッシュの車外壁に沿って配置される車外部と、前記ドアサッシュの底壁に沿って配置される基部と、前記ドアサッシュの車内壁に沿って配置される車内部とを備え、
前記ドアサッシュの底壁に係合孔が設けられると共に、当該係合孔に挿入される突起部が前記ドアランチャンネルの基部の前記底壁側の面に設けられ、
前記ドアランチャンネルは、前記基部の上面に、前記突起部よりも車内側の位置で突出するリップ部を備え、
前記分割サッシュの上端部は、鋭角なR状に折り曲げられているR状折曲部を有する取付部によって前記ドアサッシュの前記底壁に固定されており、
前記ドアランチャンネルは、前記ドアサッシュから前記分割サッシュに沿ってく字状に屈曲するく字状屈曲部を有すると共に、前記分割サッシュ側の基部から前記取付部のR状折曲部に向かって突出して当接し、前記ドアサッシュと前記R状折曲部と前記く字状屈曲部との間にできる三角形の隙間を埋める係合部を有し
前記ドアランチャンネルにおいて、前記係合部の上面は、前記ドアサッシュ側の基部の上面と連続しており、
前記係合部の上面における車外側端にも、リップ部が設けられるとともに、前記係合部のうち前記R状折曲部との当接面にも、リップ部が設けられ、
前記係合部の上面のリップ部は、前記基部の上面の前記リップ部と連続するように形成され、前記ドアサッシュの前記底壁との間をシールするとともに、前記当接面のリップ部は、前記係合部の上面のリップ部と連続するように形成され、前記R状折曲部との間をシールする
ことを特徴とするドアランチャンネルの止水構造。
【請求項4】
車両のドア窓開口部の上方側を形成するドアサッシュと、前記ドアサッシュから下方に延出して前記ドア窓開口部を前後方向に分割する分割サッシュとを備え、前記分割サッシュの上端部は、鋭角なR状に折り曲げられているR状折曲部を有する取付部によって前記ドアサッシュの底壁に固定されているドアにおいて、前記ドアサッシュの凹部と前記分割サッシュの凹部とに連続して取り付けられると共に、昇降によりドア窓開口を開閉する窓パネルを収容するドアランチャンネルであって
記ドアサッシュの車外壁に沿って配置される車外部と、前記ドアサッシュの前記底壁に沿って配置される基部と、前記ドアサッシュの車内壁に沿って配置される車内部と、前記ドアサッシュから前記分割サッシュに沿ってく字状に屈曲するく字状屈曲部と、前記分割サッシュ側の基部から前記取付部のR状折曲部に向かって突出して当接し、前記ドアサッシュと前記R状折曲部と前記く字状屈曲部との間にできる三角形の隙間を埋める係合部と、を備え、
前記基部の前記底壁側の面には、前記底壁に設けられる係合孔に挿入される突起部設けられ、
前記基部の上面には、前突起部よりも車内側の位置で突出するリップ部が設けられ、
前記係合部の上面は、前記ドアサッシュ側の基部の上面と連続しており、
前記係合部の上面における車外側端にも、リップ部が設けられ、
前記係合部の上面のリップ部は、前記基部の上面の前記リップ部と連続するように形成され、前記ドアサッシュの前記底壁との間をシールする
ことを特徴とするドアランチャンネル。
【請求項5】
車両のドア窓開口部の上方側を形成するドアサッシュと、前記ドアサッシュから下方に延出して前記ドア窓開口部を前後方向に分割する分割サッシュとを備え、前記分割サッシュの上端部は、鋭角なR状に折り曲げられているR状折曲部を有する取付部によって前記ドアサッシュの底壁に固定されているドアにおいて、前記ドアサッシュの凹部と前記分割サッシュの凹部とに連続して取り付けられると共に、昇降によりドア窓開口を開閉する窓パネルを収容するドアランチャンネルであって
記ドアサッシュの車外壁に沿って配置される車外部と、前記ドアサッシュの前記底壁に沿って配置される基部と、前記ドアサッシュの車内壁に沿って配置される車内部と、前記ドアサッシュから前記分割サッシュに沿ってく字状に屈曲するく字状屈曲部と、前記分割サッシュ側の基部から前記取付部のR状折曲部に向かって突出して当接し、前記ドアサッシュと前記R状折曲部と前記く字状屈曲部との間にできる三角形の隙間を埋める係合部と、を備え、
前記基部の前記底壁側の面には、前記底壁に設けられる係合孔に挿入される突起部設けられ、
前記基部の上面には、前突起部よりも車内側の位置で突出するリップ部が設けられ、
記係合部は、ドア厚み方向に拡大し、前記分割サッシュと当接する拡大部を備え、
前記係合部の上面は、前記ドアサッシュ側の基部の上面と連続しており、
前記係合部の上面における車外側端及び前記拡大部の上端にも、リップ部が設けられ、
前記係合部の上面のリップ部及び前記拡大部の上端のリップ部は、前記基部の上面の前記リップ部と連続するように形成され、前記ドアサッシュの前記底壁との間をシールする
ことを特徴とするドアランチャンネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドア窓開口部を形成するドアサッシュの凹部に取り付けられると共に、昇降によりドア窓開口部を開閉する窓パネルを収容するドアランチャンネルの止水構造及びドアランチャンネルに関する。
【背景技術】
【0002】
車両(自動車)のドア窓開口部は、昇降する窓パネルによって開閉される。このドア窓開口部を形成するドアサッシュの凹部は、ドア窓開口部側に凹内が向かう状態に形成されている。この凹部に取り付けられたゴムや樹脂等の弾性材料によるドアランチャンネルに、窓パネルが上昇して嵌合し、この嵌合によりドア窓開口部を防水状に閉塞する。窓パネルが下降時には、ドアランチャンネルから窓パネルが抜け、ドア窓開口部が開く状態となる。
【0003】
このような構造の例として、特許文献1に記載のガラスランチャンネル(ドアランチャンネル)組立体が開示されている。即ち、ドアサッシュの上枠と、車両前側のドア窓開口部を三角に仕切る仕切り枠とのコーナー部分において、ドアランチャンネルの基底部に上側に向かった突出部が設けられている。また、基底部の上側に位置するドアサッシュの底壁に係合孔が設けられている。このドアサッシュの底壁の係合孔に、ドアランチャンネルの基底部の突出部を下方側から差し込んで、ドアランチャンネルの位置ズレを防止することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許4761482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の構造では、ドアサッシュの底壁の上面に水が溜まった場合、底壁の係合孔と、これに差し込まれた突出部との隙間に上記の水が侵入する。この侵入した水が、突出部が立設するランチャンネルの基底部(基部)の上面を伝って車室内に流れてしまう恐れがあった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、車両のドア窓開口部を形成するドアサッシュの凹部に取り付けられるドアランチャンネルの基部上面を伝って水が車室内に流れることを防止できるドアランチャンネルの止水構造及びドアランチャンネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明は、車両のドア窓開口部を形成するドアサッシュの凹部に取り付けられると共に、昇降によりドア窓開口を開閉する窓パネルを収容するドアランチャンネルの止水構造において、前記ドアランチャンネルは、前記凹部の車外壁に沿って延びる車外部と、前記凹部の底壁に沿って延びる基部と、前記凹部の車内壁に沿って延びる車内部とを備え、前記凹部の底壁に係合孔が設けられると共に、当該係合孔に挿入される突起部が前記ドアランチャンネルの基部の上面に設けられ、前記基部の上面には、前記底壁の前記係合孔よりも車内側の位置で突出するリップ部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、車両のドア窓開口部を形成するドアサッシュの凹部に取り付けられるドアランチャンネルの基部上面を伝って水が車室内に流れることを防止するドアランチャンネルの止水構造及びドアランチャンネルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態によるドアランチャンネルの止水構造(止水構造)の位置を示す車両の側面図である。
図2図1において窓ガラスが全閉の場合に、破線枠内の止水構造を車幅方向に切断した際の断面図である。
図3図2に示す破線枠内の拡大図である。
図4図1に示す破線枠内の止水構造におけるドアランチャンネルの外観構成を示す斜視図である。
図5】止水構造におけるドアサッシュ内のドアランチャンネルと分割サッシュとの外観構成において逆三角形状の隙間を示す斜視図である。
図6】止水構造におけるドアサッシュ内のドアランチャンネルと分割サッシュとの外観構成を示す斜視図である。
図7】止水構造における分割サッシュの取付部と、ドアランチャンネルの係合部の先端側との間の小さな三角形の隙間を示す側面図である。
図8】止水構造におけるドアランチャンネルの基部に接合された係合部の先端側の拡大部と、分割サッシュの取付部との当接状態を示す斜視図である。
図9】本実施形態の変形例によるドアランチャンネルの止水構造の斜視図である。
図10】止水構造におけるドアランチャンネルの係合部のリップ部が、分割サッシュの取付部との当接面よりも下方側へ延在する状態を示す斜視図である。
図11】止水構造におけるドアランチャンネルの係合部のリップ部が、分割サッシュの取付部との当接面よりも下方側の分割サッシュ凹部内へ延在する状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態の構成>
本発明の実施形態について、図1図11を参照して詳細に説明する。説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、各図中において、矢印で示す「前後」は車両の前後方向、「左右」は車両の幅方向、「上下」は鉛直上下方向をそれぞれ示している。
【0011】
図1は本発明の実施形態によるドアランチャンネルの止水構造(止水構造ともいう)の位置を示す車両の側面図である。図1に示す車両10の前側のドア窓開口部11において、破線枠12で囲む部分が止水構造となっている。
【0012】
ドア窓開口部11は、昇降する窓ガラス(窓パネル)13によって開閉され、当該ドア窓開口部11を形成するドアサッシュ14の前方側に、縦方向に分割サッシュ15が連結されている。この分割サッシュ15によって、ドア窓開口部11が、ドア16の幅方向(図1では車両前後方向)に分割されている。
【0013】
図2は、図1において窓ガラス13が全閉の場合に、II-II線で切断した止水構造を車幅方向に切断した際の断面図である。図2において、ドアサッシュ14は、車外壁14aと、底壁14bと、車内壁14cとを備えて構成されている。車外壁14aは、車外側で縦方向に延びる形状を成す。底壁14bは、車外壁14aの上部から下がった後に、ドア厚み方向(車幅方向)に水平に延びる形状を成し、上下に貫通する係合孔14b1が形成されている。車内壁14cは、底壁14bから車内側に膨らんで車外側に戻る湾曲形状を成し、この湾曲形状により、ドアサッシュ14の内側に車外壁14a、底壁14b及び車内壁14cで囲まれた凹部14dが形成されている。
【0014】
但し、車外壁14aは縦方向に延在する上部が、底壁14bから上方に延在する上部を、逆U字形状に包括して結合している。また、ドアサッシュ14の凹部14dは、ドア窓開口部11(図1)における窓ガラス13が昇降する開口側に向かって形成されている。
【0015】
凹部14dには、ゴムや樹脂等の弾性材料によるドアランチャンネル20が嵌合される。ドアランチャンネル20は、車外側に延在する車外部20aと、車内側に延在する車内部20cと、車外部20aの上端と車内部20cの上端とを、ドア厚み方向(車幅方向)に水平に繋ぐ基部20bと、基部20bの上面に突出して設けられた突起部20dとを備える。
【0016】
基部20bは、ドアサッシュ14の底壁14bの下面に沿って当接しており、基部20bの突起部20dが、底壁14bの係合孔14b1に挿入されている。この係合孔14b1に挿入される突起部20dは、窓ガラス13が上昇した際に上昇力でドアランチャンネル20が、ずり上がらないように設けられている。
【0017】
基部20bは、破線枠18内を拡大した図3に示すように、当該基部20bの上面に、係合孔14b1よりも車内側の位置で突出するリップ部20eを備える。更に説明すると、リップ部20eは、基部20bの上面の、係合孔14b1よりも車内側の端に壁状(図4参照)に突出して形成されている。
【0018】
但し、図3ではリップ部20eを分かり易くするため突出状に記載しているが、実際には、ドアサッシュ14の底壁14bでリップ部20eが上から押圧されて平坦状に変形している。
【0019】
突出したリップ部20eは、図4に示すドアランチャンネル20の基部20bの上面に、ドアランチャンネル20の長手方向に沿って形成されている。図4図1に示す破線枠12で囲んだ止水構造におけるドアランチャンネル20の外観構成を示す斜視図である。つまり、基部20bの上面に、突起部20dを車内側から囲む状態でリップ部20eを形成してある。この形成によって、車外側から見ると、突起部20dの車内側にリップ部20eが壁として立ちはだかるので、このリップ部20eで車外側からの水等の流体を堰き止め可能(止水可能)となっている。
【0020】
このような構成のドアランチャンネル20は、図2に示したように、ドアサッシュ14の凹部14dに挿入されるが、車外部20a、基部20b及び車内部20cの3つの壁で囲まれた内部に、窓ガラス13が挿入されるようになっている。なお、窓ガラス13の上端面は、基部20bの下面から下に突出する凸部20gに当接し、上昇力によって凸部20gを潰れる形状に変形して密着するようになっている。この密着によって、より高い防水性を得る様になっている。
【0021】
ドアサッシュ14は、図1に示すように、ドア窓開口部11の概略上側半分に渡って設けられている。このため、ドアサッシュ14の凹部14dのドアランチャンネル20に、窓ガラス13が上昇して嵌合することで、車内に水が浸入しない防水性が得られる。
【0022】
上述した本実施形態の特徴構成は、ドアランチャンネル20の基部20bの上面に、突起部20dが挿入された底壁14bの係合孔14b1よりも車内側の位置で突出するリップ部20eを備えるようにした。
【0023】
この構成によって、次のような効果が得られる。即ち、ドアサッシュ14の底壁14bの上面に水が溜まった場合等に、底壁14bの係合孔14b1と、これに差し込まれた突起部20dとの隙間から水が浸入したとする。この際に、底壁14bの下側に配置された基部20bの上面における車内側に位置するリップ部20eで、水を止水できる。このため、水が車内に流れることを防止できる。
【0024】
図5図1に示す破線枠12で囲んだ止水構造におけるドアサッシュ14内のドアランチャンネル20と分割サッシュ15との外観構成において逆三角形状の隙間を示す斜視図である。
【0025】
図5に示すように、車両前後方向に延在するドアサッシュ14が、縦方向に延在する分割サッシュ15に連結している。この連結付近の個所において、前後方向に延在するドアランチャンネル20がR状に曲がって縦方向に向きを変え、縦方向の分割サッシュ15内で延在する。但し、図5ではドアサッシュ14の一部を省略している。
【0026】
分割サッシュ15は、この長手方向に沿って延びる凹部15aを備え、凹部15aから上方に延出し、この延出した上部が、車両前方側に鋭角に折り曲げられた鍵状の取付部15bを備える。取付部15bは、ドアサッシュ14に連結されている。
【0027】
ドアサッシュ14の凹部に挿入されたドアランチャンネル20は、ドアサッシュ14から分割サッシュ15に沿って屈曲している。この屈曲したドアランチャンネル20のR部分と、分割サッシュ15の取付部15bとの間に、逆三角形状の隙間23ができる。そこで、本実施形態では、図6に示すように、その隙間23を埋める逆三角形状の係合部20hを、ドアランチャンネル20のR部分の前方側に設けた。また、係合部20hの上面には、基部20bの上面に壁状に突出するリップ部20eを連続して設けた。
【0028】
このように、係合部20hを設けることにより、上記逆三角形状の隙間23が埋まって、弾力性を有するドアランチャンネル20が分割サッシュ15に当接するので、ドアランチャンネル20が下方側にずれ下がることを防止できる。更に、上記隙間を係合部20hで塞ぐことができると共に、係合部20hの上面に設けたリップ部20eでシールできるので、確実に車内側への水の侵入を防止できる。
【0029】
また、図6に示すように、係合部20hの上面に設けたリップ部20eは、当該上面の車外側の縁部分である車外側端に壁状に連続して設けてある。
【0030】
ここで、図7に示すように、分割サッシュ15の取付部15bと当接する係合部20hの先端側(車両前方側)には、その取付部15bが車両前方側に鍵状にR形状を有して曲がっている。このため、そのR形状部分と係合部20hの先端側との間に、小さな三角形の隙間24が発生してしまう。この場合、基部20bの上面(図6参照)の水が、係合部20hの上面を伝って隙間24に流れ、車内側に侵入する恐れがある。
【0031】
しかし、上述したように、係合部20hの上面の車外側端に至るまでリップ部20eを壁状に連続して設けたので、基部20bの上面の水は、係合部20hの上面車外測端のリップ部20eから係合部20hの車外へ流れる。このため、係合部20hの上面を水が伝わり上記隙間24に流れることが無いので、隙間24から車内側に水が侵入することを防止できる。
【0032】
図8に示すように、ドアランチャンネル20の基部20bに接合された係合部20hは、先端側(車両前側)に拡大部20i(図4参照)を備える。拡大部20iは、ドア厚み方向に拡がって、分割サッシュ15の取付部15bとの当接面積が拡大するように形成されている。この拡大部20iの上端には、係合部20hのリップ部20eが連続して壁状に延びて設けられている。
【0033】
このように、広面積で剛性が高くなった拡大部20iの車両前面が、分割サッシュ15の取付部15bに当接して強い力で押圧する。この拡大部20iの後端は、係合部20hを介してドアランチャンネル20の基部20bで支持されている。このため、係合部20hが、車両の後方側と前方側との相反方向の強い押圧力で支えられるので、窓ガラス13が下がる力等で車幅方向に倒れることを防止できる。また、図6に示した拡大部20iの基部が拡大してドアランチャンネル20に固定されている。この拡大部20iの固定と、上記相反方向の強い押圧力により、ドアランチャンネル20のずれ下がりを、より強固に防止できる。
【0034】
また、リップ部20eが、剛性の高い拡大部20iまでリップ部20eが壁状に連続しているので、リップ部20eの上に配置されるドアサッシュ14の底壁14bに、リップ部20eの端部までを確実に当接できる。このため、車内側へのシール性を高めることができる。
【0035】
<実施形態の変形例>
図9は本実施形態の変形例によるドアランチャンネルの止水構造の斜視図である。
図9に示す変形例のドアランチャンネル20の係合部20hには、拡大部20iが存在しない。また、係合部20hの上面の車外側端に設けられているリップ部20eが、係合部20hにおける分割サッシュ15の取付部15b(図7参照)と当接する当接面20h1まで壁状に連続して延びている。
【0036】
このように、係合部20hの当接面20h1までリップ部20eを設けたので、分割サッシュ15と係合部20hとの当接部分を直接シールできる。このシールによって、車内側への水の侵入を防止できる。
【0037】
この他、図10に示すように、係合部20hの上面の車外側端に設けられているリップ部20eは、取付部15bとの当接面20h1よりも更に下方側まで壁状に連続して延びている。
【0038】
図11に示すように、取付部15bは、分割サッシュ15のドアランチャンネル20を収容する凹部(第2の凹部)15aから上方に延出されて設けられている。分割サッシュ15は、取付部15bを介してドアサッシュ14に取り付けられる。この際、ドアランチャンネル20の係合部20hに設けられたリップ部20eは、係合部20hにおける取付部15bとの当接面20h1(図10参照)よりも下方側へ壁状に延在し、更に凹部15aの内部の所定位置まで延びる形状となっている。
【0039】
この構成によれば、リップ部20eにより車外側を伝って落下した水を、凹部15aまで確実に導けるため、より確実に水の車内側への侵入を防止できる。凹部15aに落下した水は、ドア16内の窓ガラス13の外側を通って地面まで落下する。
【0040】
以上、本実施形態に係る車両構造について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0041】
10 車両
11 ドア窓開口部
13 窓ガラス(窓パネル)
14 ドアサッシュ
14a 車外壁
14b 底壁
14b1 係合孔
14c 車内壁
14d 凹部
15 分割サッシュ
15a 凹部
15b 取付部
16 ドア
20 ドアランチャンネル
20a 車外部
20b 基部
20c 車内部
20d 突起部
20e リップ部
20g 凸部
20h 係合部
20i 拡大部
23 逆三角形状の隙間
24 三角形の隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11