(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】異常なLATの差の自動識別
(51)【国際特許分類】
A61B 5/33 20210101AFI20240422BHJP
A61B 5/25 20210101ALI20240422BHJP
A61B 5/343 20210101ALI20240422BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
A61B5/33
A61B5/25
A61B5/343
A61M25/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019153497
(22)【出願日】2019-08-26
【審査請求日】2022-06-24
(32)【優先日】2018-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ナタン・シャロン・カッツ
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・コーエン
(72)【発明者】
【氏名】リオール・ザール
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンセント・アレクサンドル・ロジェ
【審査官】佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0311833(US,A1)
【文献】特表2017-532140(JP,A)
【文献】Journal of interventional cardiac electrophysiology,2007年,Vol. 17, No. 1,第1-9頁,10.1007/S10840-006-9059-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/25
A61B 5/318-5/367
A61M25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
心臓の室に挿入されるように構成されたカテーテルであって、前記室内の複数の位置において心筋組織に接触するように、かつ前記組織を通って進行する伝導波に応答する電気信号を受信するように、構成された1つ又は2つ以上の電極を含む、カテーテルと、
ディスプレイと、
プロセッサであって、前記カテーテルから前記電気信号を受信し、前記ディスプレイに、前記電気信号
を解析して、前記複数の位置における前記伝導波の局所的な発生時刻の
視覚的指標を含む前記室のマップをレンダリングするように、かつ前記局所的な発生時刻
を解析して、前記
複数の位置間の前記伝導波の速度を計算し、前記マップ上に、前記速度が事前設定された閾値未満である前記室の1つ又は2つ以上の区域をマークするように、構成されたプロセッサと、を備える、装置。
【請求項2】
前記プロセッサが、前記複数の位置間のそれぞれの位置における補間された局所的な発生時刻を計算するように、かつ前記マップ上に、前記それぞれの位置で、前記補間された局所的な発生時刻の
視覚的指標をマークするように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記プロセッサが、前記マップ上に、前記1つ又は2つ以上の区域における前記補間された局所的な発生時刻の前記
視覚的指標をマークしないように構成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記プロセッサが、前記室
の表面を隣接する
領域に分割するように構成され、各
領域が、前記複数の位置のそれぞれの1つを取り囲み、前記1つ又は2つ以上の区域が、2つの隣接する
領域間の境界に位置付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記プロセッサが、前記室の表面をボクセルの組として形成すること、及び前記複数の位置の各所与の位置に
対応する各局所的な原点ボクセルに対して、
すぐ近傍のボクセルを決定し、別のすぐ近傍のボクセルを反復的にかつ同時に追加することによって、前記室を前記
領域に分割するように構成され
ている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記プロセッサが、前記境界
の上の領域における前記伝導波の前記速度を、前記2つの隣接する
領域の前記それぞれの位置までの前記
境界の上の領域の距離の合計を求めること、及び前記合計を前記それぞれの位置における前記局所的な発生時刻間の時間差で除することによって、計算するように構成されている、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記電気信号が、心電図(ECG)信号を含み、前記局所的な発生時刻が、前記ECG信号から導出される局所興奮到達時間(LAT)に対応する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記プロセッサが、前記LATの値と一対一対応で、それぞれの色を有するカラースケールからの色を、前記マップに組み込むように構成されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記プロセッサが、前記1つ又は2つ以上の区域を、前記カラースケールの色とは異なる色で着色するように構成されている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記事前設定された閾値が、0.01mm/ms~1mm/msである、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記事前設定された閾値が、0.1mm/msである、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記カテーテルが、前記複数の位置を示す信号を前記プロセッサに提供するように構成された位置センサを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記位置センサが、1つ又は2つ以上のコイルを含み、前記コイルは、前記コイルを横切る磁場に応答して、前記信号を提供する、請求項12に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる2018年8月27日出願の米国特許仮出願第62/723,218号の利益を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、電気生理学的電位に関し、具体的には、異常な電気生理学的電位を有する組織の識別に関する。
【背景技術】
【0003】
心臓調査のための標準的な方法は、拍動心臓の室の局所興奮到達時間(local activation times、LAT)のマップを作成することを含む。洞調律で動作する「正常な」心臓は、異なる室に対して明確に定義されたLATマップを作成する。これらのマップからの偏差により、医師がマップを検査して、室の考えられる問題のある領域を識別することが可能となる。しかしながら、このような識別は、LATマップ自体からすぐ明らかにならない場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態は、装置であって、心臓の室に挿入されるように構成されたカテーテルであって、室内の複数の位置において心筋組織に接触するように、かつ組織を通って進行する伝導波に応答する電気信号を受信するように、構成された1つ又は2つ以上の電極を有する、カテーテルから構成される装置を提供する。
【0005】
装置はまた、ディスプレイと、カテーテルから電気信号を受信するように、かつディスプレイに、電気信号に応答可能に、複数の位置における伝導波の局所的な発生時刻の指標を含む室のマップをレンダリングするように、構成されたプロセッサと、を有する。プロセッサはまた、局所的な発生時刻に応答可能に、位置間の伝導波の速度を計算し、マップ上に、速度が事前設定された閾値未満である、室の1つ又は2つ以上の区域をマークする。
【0006】
開示の実施形態では、プロセッサは、複数の位置間のそれぞれの位置における補間された局所的な発生時刻を計算するように、かつマップ上に、それぞれの位置で、補間された局所的な発生時刻の指標をマークするように構成される。通常、プロセッサは、マップ上に、1つ又は2つ以上の区域における補間された局所的な発生時刻の指標をマークしないように構成される。
【0007】
更なる開示された実施形態では、プロセッサは、室を隣接する表面に分割するように構成され、各表面は、複数の位置のそれぞれの1つを取り囲み、1つ又は2つ以上の区域は、2つの隣接する表面間の境界に位置付けられる。
【0008】
プロセッサは、室の表面をボクセルの組として形成すること、及び複数の位置の各所与の位置に対して、すぐ近傍のボクセルを前のボクセルに反復的にかつ同時に追加することによって、室を隣接する表面に分割するように構成されてもよく、前のボクセルは、所与の隣接する表面を形成するように、所与の位置に対応する局所的な原点ボクセルを最初に含む。
【0009】
プロセッサはまた、境界上の領域における伝導波の速度を、2つの隣接する表面のそれぞれの位置までの領域の距離の合計を求めること、及び合計をそれぞれの位置における局所的な発生時刻間の時間差で除することによって、計算するように構成されてもよい。
【0010】
なお更に開示される実施形態では、電気信号は、心電図(electrocardiograph、ECG)信号を含み、局所的な発生時刻は、ECG信号から導出される局所興奮到達時間(LAT)に対応する。通常、プロセッサは、LATの値と一対一対応で、それぞれの色を有するカラースケールからの色を、マップに組み込むように構成される。プロセッサは、1つ又は2つ以上の区域を、カラースケールの色とは異なる色で着色するように構成されてもよい。
【0011】
代替実施形態では、事前設定された閾値は、0.01mm/ms~1mm/msである。
【0012】
更なる代替実施形態では、事前設定された閾値は、0.1mm/msである。
【0013】
なお更なる実施形態では、カテーテルは、複数の位置を示す信号をプロセッサに提供するように構成された位置センサを含む。通常、位置センサは、1つ又は2つ以上のコイルを含み、コイルは、コイルを横切る磁界に応答して、信号を提供する。
【0014】
本発明の別の実施形態は、方法であって、
心臓の室にカテーテルを挿入することであって、カテーテルが、室内の複数の位置において心筋組織に接触するように、かつ組織を通って進行する伝導波に応答する電気信号を受信するように、構成された1つ又は2つ以上の電極を有する、挿入することと、
ディスプレイを提供することと、
カテーテルから電気信号を受信することと、
ディスプレイに、電気信号に応答可能に、複数の位置における伝導波の局所的な発生時刻の指標を含む室のマップをレンダリングすることと、
局所的な発生時刻に応答可能に、位置間の伝導波の速度を計算することと、マップ上に、速度が事前設定された閾値未満である、室の1つ又は2つ以上の区域をマークすることと、を含む、方法を提供する。
【0015】
以下の本開示の実施形態の詳細な説明を図面と併読することで、本開示のより完全な理解が得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態による、装置を用いた侵襲性医療手技の概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、装置で用いられるプローブの遠位端の概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態による、装置の動作中に実行される工程のフロー図である。
【
図4A】本発明の一実施形態による、フロー図の工程のうちのいくつかを例示する。
【
図4B】本発明の一実施形態による、フロー図の工程のうちのいくつかを例示する。
【
図5】本発明の一実施形態による、フロー図の工程のうちのいくつかを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
概論
通常、心臓の室の局所興奮到達時間(LAT)マップを作成する際に、室の表面上の多数の点がサンプリングされ、これらの点の各々のLAT値が、サンプリングされたデータから計算される。サンプリングされた点の中間の、表面上の点のLAT値は、通常、サンプリングされた点からの補間によって求められる。LAT値は、通常、異なる色として室の3Dマップに組み込まれ、サンプリングされ補間されたLAT値を含む有色マップは、次いで、解析のために医師に提示され得る。
【0018】
しかしながら、有色マップ自体は、特に異常領域の場合には、上述の補間が誤った結果を与え、このため任意の異常なLAT値が隠されることがあるため、室の異常領域の指標を必ずしも提供しない。例えば、有色マップの検査は、室を通って進行する伝導波の低下した速度の指標を全く与えないことがあり、そのような低下した速度は異常な領域を示している。
【0019】
本発明の実施形態は、サンプリングされたデータの更なる解析を使用して、伝導波の速度を推定することによって異常領域を示す方法を提供する。この指標は、「規則正しい」LAT着色マップ上に提供され、このため伝導波速度を示す異なるマップの作成又は視認が不要である。
【0020】
最初に、調査される室にプローブを挿入し、このプローブを使用して、解析された位置データ信号を取得して室表面の三次元(three-dimensional、3D)位置を得る。このプローブ上又は別のプローブ上の1つ又は2つ以上の電極もまた、表面上の選択された位置において、タイミングデータ信号、通常は心電図(ECG)信号を取得するために使用される。ECG信号は、選択された位置においてLAT値を計算するために解析されてもよく、マップ内に色として組み込まれるLAT値を有する3Dの室位置のマップが生成されてもよい。
【0021】
マップを生成することに加えて、選択された位置及びそれらのそれぞれのLAT値を解析して、選択された位置の間の表面の領域における伝導波の速度を計算する。領域のうちの1つの部分の速度が事前設定された閾値未満であると、視覚的指標が領域のその部分のマップ上に配置される。
【0022】
(発明を実施するための形態)
本発明の一実施形態により、
図1は、装置12を使用した侵襲性医療手技の概略図であり、
図2は、その装置で使用されるカテーテル20の遠位端22の概略図である。カテーテル20はまた、本明細書ではプローブ20とも呼ばれる。この手技は、医療専門家14によって行われ、これ以降の説明において、この手技は、ヒト患者18の心臓16の室15の三次元(3D)表面17の電極電位(electropotential、EP)調査を含むことが前提とされている。
【0023】
調査を行うには、専門家14は、プローブ20を、患者の管腔内に予め配置されたシース21に挿入する。シース21は、プローブの遠位端22が患者の心臓に進入するように配置される。遠位端22は、遠位端の位置及び向きの追跡を可能とする位置センサ24を備える。遠位端22はまた、後述されるように、表面17から電極電位を取得するために使用される1つ又は2つ以上の電極30も備える。明確さ及び簡潔さのために、以下の説明は、1つの電極30のみが存在することが前提とされている。
【0024】
装置12は、装置の操作コンソール48内に位置するシステムプロセッサ46により制御される。コンソール48は、プロセッサと通信するために専門家14によって使用される制御装置49を備える。プロセッサ46用のソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子形態でプロセッサにダウンロードすることができる。代替的に又は追加的に、ソフトウェアは、光学、磁気、又は電子記憶媒体などの非一時的有形媒体上で提供され得る。
【0025】
電極30によって取得されたEP信号から導出される電位(3D)データは、ディスプレイ62上に形成される患者18の心臓の三次元(3D)表現60上に提示される。EP信号は、心臓の心筋組織を通って進行する伝導波に応答して生成される。
【0026】
本発明の実施形態では、3D表現は、カラースケール64を使用して提示され、ここで異なる色は、EPデータから導出されるパラメータのそれぞれ異なる値が一対一の原則で割り当てられる。本明細書で使用されるパラメータは、表面17の領域の局所興奮到達時間(LAT)であり、LATは、伝導波の局所的な発生時刻に対応する。一実施形態では、LATは、通常、心臓16の冠状静脈洞内に配置されたプローブから導出される基準参照信号に対して測定して、およそ-150msの低い値からおよそ90msの高い値まで変化する。この場合、カラースケール64は、低いLAT値のための赤色、高いLAT値のための紫色、及び中間のLAT値のためのオレンジ色、黄色、緑色、青色の陰影などの事前設定された色として事前設定される。
【0027】
システムプロセッサ46は、通常、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)、次いでアナログ-デジタル(analog-to-digital、A/D)信号変換集積回路47として構成されている、リアルタイムノイズ低減回路45を備える。このプロセッサは、信号をA/D回路47から別のプロセッサに伝えることができ、かつ/又は、本明細書において開示されている少なくとも1つのアルゴリズムを実行するようにプログラムすることができ、このアルゴリズムは、本明細書において以下に記載されている工程を含み、プロセッサ46と通信するメモリ72に記憶される。このプロセッサは、アルゴリズムを実行するために、回路45及び回路47、並びに以下でより詳細に記載されているモジュールの機能を使用する。
【0028】
装置12を操作するために、プロセッサ46のアルゴリズムは、この装置を操作するためのプロセッサにより使用されるある数のモジュールを有するモジュールバンク50と通信する。したがって、バンク50は、電極30からの信号を取得及び解析する心電計(ECG)モジュール56と、位置センサ24からの信号を受信及び解析し、かつ信号解析を使用して遠位端22の位置及び向きを生成する、追跡モジュール58とを備える。一部の実施形態では、センサ24は、コイルを横切る磁界に応答して、センサの信号を提供するコイルを1つ又は2つ以上、備える。これらの実施形態では、追跡モジュール58は、センサ24から信号を受信及び解析することに加えて、センサ24を横切る磁界を放射する放射器32、34及び36を制御ことも行う。放射器は心臓16に近接して配置されており、心臓に近接する領域内に交番磁界を放射するように構成されている。Biosense Webster(33 Technology Drive,Irvine,CA 92618 USA)によって製造されているCarto(登録商標)システムは、このような磁気追跡システムを使用する。
【0029】
図3は、装置12の動作中にプロセッサ46及び専門家14によって実行されるアルゴリズムの工程のフロー図であり、
図4A、
図4B、及び
図5は、本発明の実施形態による工程のいくつかを例示する。このフロー図は、室15の3D表面17をマッピングし、また表面から信号を取得する工程を説明している。いくつかの実施形態では、これら2つの機能は、簡潔さのために別個のプローブによって実行されるが、以下の説明では、プローブ20は、これらの機能の両方を実行することが前提となっている。異なるプローブが異なる機能に使用される場合の実施形態の実施もまた、本発明の範囲内であると考えられる。
【0030】
最初の工程100では、患者18の心臓の室15の表面17の3Dマップが作成される。作成は、通常、遠位端22を室内に挿入し、室内で遠位端を移動させることによって実行される。遠位端が移動すると、追跡モジュール58は、位置センサ24から連続的なデータ位置信号を取得し、モジュールは、プロセッサ46と共に、信号の各々を解析して、遠位端のそれぞれの3D位置を作成する。
【0031】
プロセッサ46は、効果的に点群である3D位置の組を解析して、点群を包囲するメッシュを作成し、メッシュから、プロセッサが室の表面17をボクセルの組として生成する。包囲メッシュ及び点群の対応する表面を生成するための方法は、当該技術分野において周知である。
【0032】
信号取得工程102では、遠位端22の電極30は、表面17の異なる点に接触され、各点において、接触される点の位置Pは、センサ24から取得される信号から導出される。
【0033】
同時に、接触されている点で生成された信号は、ECGモジュール56によって電極30から取得され、これもまた信号を記録する。任意の所与の点「a」について、取得された信号は、電圧時間規則的な対の組、{(Vt、t)}aであり、Vtは、時間tでの電極電位である。いくつかの実施形態では、{(Vt、t)}aは、ディスプレイ62上の電圧対時間グラフとして専門家14に提示されてもよい。
【0034】
ECGモジュール56及びプロセッサ46は、記録された信号、{(Vt、t)}の各々を解析して、電極30によって接触された点の各々についてのそれぞれの局所興奮到達時間(LAT)を導出する。解析は、等式(1)によって表される。
LATa=f[{(Vt,t)}a] (1)
式中、aは、表面17上の点の識別子であり、fは、{(Vt、t)}に適用されてLATaにおける局所興奮到達時間を導出する点aを表す。
【0035】
上記のように、LATaの値は、通常、心臓16の冠状静脈洞内に挿入された参照プローブによって提供されるものなどの、所定の参照時間信号に対して測定される時間である。
【0036】
したがって、所与の点aについて、工程102は、規則的な対(位置、局所興奮到達時間)、(Pa、LATa)を求める。
【0037】
心臓16の拍動により、工程100においてマッピングされた表面は静止表面ではなく、その結果、電極30によって接触され、工程102において導出される点の位置は、通常、工程100において生成された表面と一致しない場合がある。投影工程104は、この点に対処する。
【0038】
投影工程104では、プロセッサ46は、工程102において求められた位置の各々を、工程100において導出されたボクセル表面17上に投影する。
図4Aは、投影の概略図であり、3D表面17に近接した3つの点a、b、cの位置P
a、P
b、P
cを例として示している。投影部は、表面のそれぞれのボクセルV
a、V
b、V
cである。工程104では、プロセッサは、工程102において決定された全ての点を投影することによって求められるボクセルの組を記憶する。投影部から導出されるボクセルは、本明細書では局所的な原点ボクセルと呼ばれる。
【0039】
局所的な原点ボクセルは、投影される位置のそれぞれのLAT値を使用して、スケール64に従って着色される。表面17上の中間ボクセルのLAT値、すなわち、局所的な原点ボクセルではないボクセルは、通常、補間によって決定され、中間ボクセルもまた、スケール64に従って着色される。一実施形態では、中間ボクセルの補間は、局所的な原点ボクセルまでの距離に従って重み付けされた、最も近い局所的な原点ボクセルのLAT値の平均を求める。
【0040】
伝播工程106では、プロセッサ46は、3D表面17内のそれぞれの領域、すなわち、各局所的な原点ボクセルの周囲のボクセルのそれぞれの組を定義する。各領域を定義するために、プロセッサは、領域内のボクセルの各々に対して共通識別子Vidを定義し、ここで、idは、領域の数値識別子であり、また領域の局所的な原点ボクセルの数値識別子である。以下に説明されるように、プロセッサはまた、その局所的な原点ボクセルからの領域内のボクセルの各々について、3D表面17の上で距離Dを測定する。したがって、所与の領域内の各ボクセルには、本明細書では(Vid、D)と書かれる規則的な対(ボクセル識別子、局所的な原点ボクセルまでの距離)が関連付けられている。領域の各局所的な原点ボクセルの規則的な対は、(Vid、0)である。
【0041】
局所的な原点ボクセルの各々について規則的な対、(V1、0)、(V2、0)、(V3、0)、...を定義した後、プロセッサは、表面17の他のボクセルを割り当て、プロセッサに局所的な原点ボクセルから非局所的な原点ボクセルを区別することを可能にする、一時的な規則的な対を有するようにする。一例として、以下の説明では、全ての非局所的な原点ボクセルは、規則的な対(0、0)を割り当てられ、すなわち、非局所的な原点ボクセルの識別子は、値0を割り当てられる。しかしながら、局所的な原点ボクセルからの非局所的な原点ボクセルを区別する他の方法は、本発明の範囲内に含まれることが前提である。
【0042】
表面17の全てのボクセルが上述のように規則的な対を割り当てられると、プロセッサは、局所的な原点ボクセルの各々の識別子を「伝播」することに進む。伝播を実施するために、識別子Vgを有する所与の局所的な原点ボクセルについて、プロセッサは、すぐ近傍のボクセルを決定し、規則的な対の第1の条件、つまりボクセルの識別子が0であるかどうかをチェックする。
【0043】
0である場合、プロセッサは、識別子Vgをボクセルに割り当て、また、ボクセルの規則的な対の第2の条件に割り当てられる、局所的な原点ボクセルまでの距離Dを計算する。
【0044】
ボクセルの識別子が0でない場合、プロセッサは、別のすぐ近傍のボクセルに対してチェックを実行し、全てのすぐ近傍のボクセルがチェックされるまで続行する。
【0045】
プロセッサは、各場合において、ボクセル識別子が0であるかどうかをチェックする際に、チェックされたすぐ近傍のボクセルの近傍の更なる非局所的な原点ボクセルに進む。識別子0を有する各ボクセルについて、プロセッサは、識別子Vgをボクセルに割り当てる。プロセッサはまた、既に存在する識別子Vgを有するボクセルの距離と比較される、2つのボクセル間の距離を追加することによって、3D表面17の上で局所的な原点ボクセルまでの距離Dを計算する。任意の特定のボクセルに割り当てられた距離は、全ての中間の近傍のボクセル間の累積距離に等しいことが理解されるであろう。
【0046】
上記のプロセスは、ボクセルの隣接する領域が局所的な原点ボクセルの周囲で成長するように、繰り返す。成長領域のボクセルの各々は、局所的な原点ボクセルのものと共通の識別子Vgと、局所的な原点ボクセルから3D表面17の上で計算された距離に等しい距離Dと、を有する。
【0047】
プロセッサ46は、全ての局所的な原点ボクセルに同時に上記のプロセスを適用し、そのため工程106によって実施されるプロセスの間に、各領域が局所的な原点ボクセルに由来する、複数の成長領域が存在するようになる。プロセッサが識別子0を有する近傍のボクセルをそれ以上求めない場合、及び近傍のボクセルのうちの少なくとも1つが局所的な原点ボクセルのものと異なる識別子を有する場合、各領域は成長を終了することが理解されるであろう。
【0048】
条件108は、表面17の全てのボクセルが識別子及び局所的な原点ボクセルまでの距離を割り当てられたかどうかをチェックする。条件が否定を返す場合、プロセッサは、伝播工程106を続行する。
【0049】
条件が肯定を返す場合、制御装置は、後述の距離計算工程110を続行する。工程106について上述したプロセスが完了すると、表面17は、接触している、すなわち領域間に隙間を有さない隣接する領域の組に分割されることが理解されるであろう。各領域は、領域の局所的な原点ボクセルの識別子に対応する、共通ボクセル識別子を有する隣接するボクセルの組を含む。所与の領域の各ボクセルはまた、上述のように、3D表面17の上で測定された、所与の領域の局所的な原点ボクセルまでの距離と関連付けられる。
【0050】
図4Bは、一例として、表面17上の局所的な原点ボクセルV
a、V
b、V
cとそれぞれ関連付けられている3つの領域150、154、158を示す、工程106の終わりを概略的に示す。各領域は、少なくとも1つの他の領域によって境界付けられ、図示される例では、各領域は、2つの領域によって境界付けられる。したがって、領域150及び154の間に境界160があり、領域154及び158の間に境界164があり、領域158及び150の間に境界168がある。
【0051】
図4Bでは、領域境界160、164、及び168は、明瞭さのために実線として示されている。しかしながら実際には、局所的な原点ボクセルの周囲の領域の境界は、ディスプレイ62上に提示された表面17の表現上に見えないことが理解されるであろう。更に、工程106において生成された領域境界が境界ボクセルのLAT値と関連付けられていないため、通常、境界ボクセルの補間された色(工程104において求められるような)と境界ボクセルの位置との間には関係がないことが理解されるであろう。
【0052】
領域境界は、n個のボクセルの組を含み、nは、正の整数であり、各境界ボクセルは、局所的な原点ボクセルの識別子と同じ識別子を有する。加えて、各境界ボクセルは、局所的な原点ボクセルとは異なる識別子を有する少なくとも1つの最近傍ボクセルを有する。したがって、領域150の局所的な原点ボクセルVaが識別子Aを有し、領域154の局所的な原点ボクセルVbが識別子Bを有する場合、境界160における領域150内のn個の境界ボクセルの各々は、識別子Aを有し、これらの境界ボクセルの各々は、識別子Bを有する最近傍を有する。境界160における領域154内には対応するボクセルの組があり、これらのボクセルの各々は、識別子Bと、識別子Aとの最近傍と、を有する。
【0053】
条件108が肯定を返すと、プロセッサは、各境界の全てのn個のボクセルの位置を記録する。
【0054】
距離計算工程110では、プロセッサは、近傍の局所的な原点ボクセル間の3D表面17の上で測定された距離を計算するために、境界ボクセルに関連付けられているパラメータを解析する。境界160において、領域150のn個の境界ボクセルは、それぞれ規則的な対、(A、DVa1)、(A、DVa2)、(A、DVa3)、...、(A、DVan)を有し、ここで、DVanは、境界160のn番目の境界ボクセルの局所的な原点ボクセルVaまでの距離である。境界160のn個の境界ボクセルの各々は、識別子Bを有する少なくとも1つの最近傍ボクセルを有する。したがって、それぞれの規則的な対、(B、DVb1)、(B、DVb2)、(B、DVb3)、...、(B、DVbn)を有する、領域154内のn個の境界ボクセルの組があり、ここで、DVbnは、境界160のn番目の境界ボクセルの局所的な原点ボクセルVbまでの距離である。
【0055】
境界160に対して、プロセッサ46は、隣り合う境界ボクセルの対を選択する。所与の対の1つのボクセルは、領域150内にあり、他のボクセルは、領域154内にある。各対は、パラメータ(A、DVak)、(B、DVbk)を有し、ここで、kは1~nの整数である。パラメータ(A、DVak)、(B、DVbk)を有するボクセルの境界対を介して、局所的な原点ボクセルVaから局所的な原点ボクセルVbまでの距離は、以下の式で与えられる。
Dabk=Dvak+Dvbk (2)
【0056】
工程110は、プロセッサが、等式(2)を使用して、工程106において生成された全ての境界について、それぞれの境界ボクセル対を介して、近傍の局所的な原点ボクセル間の全ての距離を計算したときに終了する。2つの一般的な近傍領域p、qについて、この距離は、本明細書では一般的にDpqと呼ばれる。
【0057】
タイミング工程112では、プロセッサは、隣り合う局所的な原点ボクセル間の局所興奮到達時間の差を計算する。差を計算するために、プロセッサは、最初に、心臓16の中央周期長(cycle length、CL)、すなわち、連続する心腔興奮間の平均時間を推定する。プロセッサは、上記で言及した冠状静脈洞参照プローブから導出された時間の解析、又は身体表面電極からの時間の解析などの、任意の便利な手段によって、CLを推定してもよい。
【0058】
LAT値の環状性質を考慮するために、プロセッサは、以下の等式に従って、隣り合う局所的な原点ボクセル間のLATの差を計算する。
ΔLATpq=min(|LATp-LATq|,[CL-|LATp-LATq|]) (3)
式中、LATp、LATqは、近傍の領域p、qのそれぞれの局所的な原点ボクセルのLATであり、
ΔLATpqは、LATの差である。
【0059】
工程112では、プロセッサは、表面上の隣り合う領域p、qの全ての対に対して、ΔLATpqの値を計算する。
【0060】
工程110において決定されるように、全ての境界ボクセル対について、比較工程114では、プロセッサは、
【0061】
【数1】
の比を計算する。この比率は、考慮される境界ボクセル対を介して、領域p、qの局所的な原点ボクセル間を移動するときの伝導波の速度に対応することが理解されるであろう。
【0062】
次いで、プロセッサは、計算された速度が事前設定された閾値速度、Vthreshold未満であるかどうかをチェックし、すなわち、プロセッサは、式(4)が有効であるかどうかをチェックする。Vthresholdの通常の値は、およそ0.1mm/msであり、Vthresholdの通常の範囲は、およそ0.01mm/ms~およそ1mm/msである。
【0063】
【0064】
式(4)の比較が正を返す場合、すなわち、計算された速度が事前設定された閾値速度未満である場合、色区別工程116において、プロセッサは、スケール64の色とは異なる区別色を考慮して境界ボクセルの対を着色する。例えば、茶色がカラースケール64にない場合、プロセッサは、式(4)が正である境界ボクセルの対を茶色で着色してもよい。
【0065】
図5は、式(4)の比較が正を返す場合を示している。
図5は、
図4Bと概ね同様であるが、
図4Bとは対照的に、境界線160、164、168は、実線で示されていない。しかしながら、境界線は依然として存在する。
【0066】
図5では、式(4)が正を返す場合、線180は、境界160内に、境界ボクセルの対を含むことが前提となっている。したがって、工程116から、線180のボクセルの対は、スケール64の色とは異なる区別色で着色される。
【0067】
線180に対するものなどの異なる色の領域の提示は、心臓を通る伝導波の進行方向を決定する際に、専門家14を支援する。線は、領域150から領域154へと進行し得る波に対する遮断を効果的に示している。したがって、考えられる波の経路である破線の矢印184ではなく、伝導波は、おそらく実線の矢印188の経路と同様の経路に沿って進行する。
【0068】
図3のフロー図に戻ると、式(4)の比較が負を返す場合、すなわち、計算された速度が事前設定された閾値速度以上である場合、標準色工程118では、プロセッサは、スケール64に従って境界ボクセルの対を着色して、すなわち、補間されたLAT値を使用することによって、スケールから対応する色を選択する。
【0069】
本明細書で任意の数値や数値の範囲について使用する「およそ」という用語は、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書で述べるその意図された目的に沿って機能することを可能とする、適当な寸法の許容誤差を示すものである。より具体的には、「およそ」は、挙げられた値の±10%の値の範囲を指していてもよく、例えば、「およそ90%」は、81%~99%の値の範囲を指していてもよい。
【0070】
工程116における区別色の適用は、境界ボクセルの組が事前設定された閾値未満の速度を有することを示す1つの方法に過ぎず、ボクセル上に破線を重ね合わせることなどの他の区別方法が、本発明の範囲に含まれるものと想定されることが理解されるであろう。
【0071】
したがって、上記に述べた実施形態は、例として引用したものであり、また本発明は、上文に具体的に示し説明したものに限定されないことが理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、本明細書で上記された様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の説明を一読すると当業者が想起すると思われる、先行技術に開示されていないそれらの変形及び改変を含む。
【0072】
〔実施の態様〕
(1) 装置であって、
心臓の室に挿入されるように構成されたカテーテルであって、前記室内の複数の位置において心筋組織に接触するように、かつ前記組織を通って進行する伝導波に応答する電気信号を受信するように、構成された1つ又は2つ以上の電極を含む、カテーテルと、
ディスプレイと、
プロセッサであって、前記カテーテルから前記電気信号を受信し、前記ディスプレイに、前記電気信号に応答可能に、前記複数の位置における前記伝導波の局所的な発生時刻の指標を含む前記室のマップをレンダリングするように、かつ前記局所的な発生時刻に応答可能に、前記位置間の前記伝導波の速度を計算し、前記マップ上に、前記速度が事前設定された閾値未満である前記室の1つ又は2つ以上の区域をマークするように、構成されたプロセッサと、を備える、装置。
(2) 前記プロセッサが、前記複数の位置間のそれぞれの位置における補間された局所的な発生時刻を計算するように、かつ前記マップ上に、前記それぞれの位置で、前記補間された局所的な発生時刻の指標をマークするように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記プロセッサが、前記マップ上に、前記1つ又は2つ以上の区域における前記補間された局所的な発生時刻の前記指標をマークしないように構成されている、実施態様2に記載の装置。
(4) 前記プロセッサが、前記室を隣接する表面に分割するように構成され、各表面が、前記複数の位置のそれぞれの1つを取り囲み、前記1つ又は2つ以上の区域が、2つの隣接する表面間の境界に位置付けられている、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記プロセッサが、前記室の表面をボクセルの組として形成すること、及び前記複数の位置の各所与の位置に対して、すぐ近傍のボクセルを前のボクセルに反復的にかつ同時に追加することによって、前記室を前記隣接する表面に分割するように構成され、前記前のボクセルが、所与の隣接する表面を形成するように、前記所与の位置に対応する局所的な原点ボクセルを最初に含む、実施態様4に記載の装置。
【0073】
(6) 前記プロセッサが、前記境界上の領域における前記伝導波の前記速度を、前記2つの隣接する表面の前記それぞれの位置までの前記領域の距離の合計を求めること、及び前記合計を前記それぞれの位置における前記局所的な発生時刻間の時間差で除することによって、計算するように構成されている、実施態様4に記載の装置。
(7) 前記電気信号が、心電図(ECG)信号を含み、前記局所的な発生時刻が、前記ECG信号から導出される局所興奮到達時間(LAT)に対応する、実施態様1に記載の装置。
(8) 前記プロセッサが、前記LATの値と一対一対応で、それぞれの色を有するカラースケールからの色を、前記マップに組み込むように構成されている、実施態様7に記載の装置。
(9) 前記プロセッサが、前記1つ又は2つ以上の区域を、前記カラースケールの色とは異なる色で着色するように構成されている、実施態様8に記載の装置。
(10) 前記事前設定された閾値が、0.01mm/ms~1mm/msである、実施態様1に記載の装置。
【0074】
(11) 前記事前設定された閾値が、0.1mm/msである、実施態様1に記載の装置。
(12) 前記カテーテルが、前記複数の位置を示す信号を前記プロセッサに提供するように構成された位置センサを含む、実施態様1に記載の装置。
(13) 前記位置センサが、1つ又は2つ以上のコイルを含み、前記コイルは、前記コイルを横切る磁場に応答して、前記信号を提供する、実施態様12に記載の装置。
(14) 方法であって、
心臓の室にカテーテルを挿入することであって、前記カテーテルが、前記室内の複数の位置において心筋組織に接触するように、かつ前記組織を通って進行する伝導波に応答する電気信号を受信するように構成された1つ又は2つ以上の電極を含む、挿入することと、
ディスプレイを提供することと、
前記カテーテルから前記電気信号を受信することと、
前記ディスプレイに、前記電気信号に応答可能に、前記複数の位置における前記伝導波の局所的な発生時刻の指標を含む前記室のマップをレンダリングすることと、
前記局所的な発生時刻に応答可能に、前記位置間の前記伝導波の速度を計算することと、
前記マップ上に、前記速度が事前設定された閾値未満である、前記室の1つ又は2つ以上の区域をマークすることと、を含む、方法。
(15) 前記複数の位置間のそれぞれの位置における補間された局所的な発生時刻を計算することと、前記マップ上に、前記それぞれの位置で、前記補間された局所的な発生時刻の指標をマークすることと、を含む、実施態様14に記載の方法。
【0075】
(16) 前記マップ上に、前記1つ又は2つ以上の区域における前記補間された局所的な発生時刻の前記指標をマークしないことを含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記室を隣接する表面に分割することを含み、各表面が、前記複数の位置のそれぞれの1つを取り囲み、前記1つ又は2つ以上の区域が、2つの隣接する表面間の境界に位置付けられている、実施態様14に記載の方法。
(18) 前記室の表面をボクセルの組として形成することと、前記複数の位置の各所与の位置に対して、すぐ近傍のボクセルを前のボクセルに反復的にかつ同時に追加することと、を含み、前記前のボクセルが、所与の隣接する表面を形成するように、前記所与の位置に対応する局所的な原点ボクセルを最初に含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記境界上の領域における前記伝導波の前記速度を、前記2つの隣接する表面の前記それぞれの位置までの前記領域の距離の合計を求めること、及び前記合計を前記それぞれの位置における前記局所的な発生時刻間の時間差で除することによって、計算することを含む、実施態様17に記載の方法。
(20) 前記電気信号が、心電図(ECG)信号を含み、前記局所的な発生時刻が、前記ECG信号から導出される局所興奮到達時間(LAT)に対応する、実施態様14に記載の方法。
【0076】
(21) 前記LATの値と一対一対応で、それぞれの色を有するカラースケールからの色を、前記マップに組み込むことを含む、実施態様20に記載の方法。
(22) 前記1つ又は2つ以上の区域を、前記カラースケールの色とは異なる色で着色することを含む、実施態様21に記載の方法。
(23) 前記事前設定された閾値が、0.01mm/ms~1mm/msである、実施態様14に記載の方法。
(24) 前記事前設定された閾値が、0.1mm/msである、実施態様14に記載の方法。
(25) 前記カテーテルが、前記複数の位置を示す信号を提供するように構成された位置センサを含む、実施態様14に記載の方法。
【0077】
(26) 前記位置センサが、1つ又は2つ以上のコイルを含み、前記コイルは、前記コイルを横切る磁場に応答して、前記信号を提供する、実施態様25に記載の方法。