(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】未硬化複合材シートに孔を形成するための方法及びシステム、並びに、複合材構造体形成するための方法
(51)【国際特許分類】
B29C 70/82 20060101AFI20240422BHJP
B26F 1/24 20060101ALI20240422BHJP
B26D 7/10 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
B29C70/82
B26F1/24
B26D7/10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019155120
(22)【出願日】2019-08-28
【審査請求日】2022-08-24
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】クオン, ケニー ティー.
(72)【発明者】
【氏名】バサラ, マイケル ジェー.
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-321242(JP,A)
【文献】米国特許第04132519(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/82
B26F 1/24
B26D 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
未硬化複合材シート(130)内に孔を形成するための方法(500)であって、
前記未硬化複合材シート(130)に金属ピンマット(110)の複数のピン(112)で穿孔することと、
前記複数のピン(112)の各々を取り囲む前記未硬化複合材シート(130)の一部を加熱するため、
電気エネルギー源(150)を用いて前記複数のピン(112)を
抵抗加熱することと、
を含む方法(500)。
【請求項2】
前記未硬化複合材シート(130)を穿孔するステップは、
前記金属ピンマット(110)と圧力バッカー(140)との間に前記未硬化複合材シート(130)を配置することと、
前記未硬化複合材シート(130)に前記金属ピンマット(110)の前記複数のピン(112)で穿孔するため、前記金属ピンマット(110)と前記圧力バッカー(140)との間に圧縮力を加えることと、
を含む、請求項1に記載の方法(500)。
【請求項3】
前記圧縮力を加えるステップは、前記複数のピン(112)が前記未硬化複合材シート(130)の厚み全体を貫通して穿孔するまで、前記金属ピンマット(110)と前記圧力バッカー(140)との間に前記圧縮力を加えることを含む、請求項2に記載の方法(500)。
【請求項4】
前記圧縮力を加え
るステップは、前記複数のピン(112)が前記未硬化複合材シート(130)の厚み全体を貫通して穿孔し、前記複数のピン(112)が前記圧力バッカー(140)を穿孔するまで、前記金属ピンマット(110)と前記圧力バッカー(140)との間に前記圧縮力を加えることを含む、請求項2に記載の方法(500)。
【請求項5】
前記複数のピン(112)を
抵抗加熱するステップは、前記未硬化複合材シート(130)の樹脂の粘度を下げるため、前記未硬化複合材シート(130)を穿孔す
るステップの前に、前記未硬化複合材シート(130)を穿孔する前記ステップの間に、或いは、前記未硬化複合材シート(130)を穿孔する前記ステップの前と前記ステップの間の双方で、前記複数のピン(112)を加熱することを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法(500)。
【請求項6】
前記未硬化複合材シート(130)を穿孔するステップは、前記未硬化複合材シート(130)の穿孔の間に、前記未硬化複合材シート(130)の繊維強化プリプレグプライの繊維の位置を徐々にずらすことを含む、請求項5に記載の方法(500)。
【請求項7】
前記未硬化複合材シート(130)を穿孔する前記ステップはさらに、前記未硬化複合材シート(130)の穿孔を継続する間に、前記繊維の位置をずらすことを停止することを含む、請求項6に記載の方法(500)。
【請求項8】
前記複数のピン(112)を
抵抗加熱す
るステップは、前記複数のピン(112)の各々を取り囲む前記未硬化複合材シート(130)の外周部分(132A)を部分的に硬化することを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法(500)。
【請求項9】
前記未硬化複合材シート(130)の外周部分(132A)を部分的に硬化す
るステップは、前記未硬化複合材シート(130)と前記金属ピンマット(110)との分離後の前記孔の形状
を維持するため、
十分に前記外周部分(132A)を硬化することを含む、請求項8に記載の方法(500)。
【請求項10】
前記未硬化複合材シート(130)の前記外周部分(132A)の間の前記未硬化複合材シート(130)の残存部分(132B)は、前記未硬化複合材シート(130)と前記金属ピンマット(110)との前記分離後、前記未硬化複合材シート(130)の全体的な可撓性を維持するため、十分に未硬化なままである、請求項9に記載の方法(500)。
【請求項11】
前記未硬化複合材シート(130)の全体的な可撓性を維持するため、十分に未硬化なままである前記未硬化複合材シート(130)の残存部分(132B)から、
断熱材(120)を用いて前記金属ピンマット(110)の熱を分離することをさらに含む、請求項10に記載の方法(500)。
【請求項12】
結果として得られる複合材シートの全体形状を整えるため、前記未硬化複合材シート(130)の前記外周部分(132A)の間の前記未硬化複合材シート(130)の残存部分(132B)を十分に硬化することをさらに含む、請求項9から11のいずれか一項に記載の方法(500)。
【請求項13】
未硬化複合材シート(130)内に孔を形成するためのシステム(100)であって、
前記未硬化複合材シート(130)を穿孔するための複数のピン(112)を備える金属ピンマット(110)と、
前記金属ピンマット(110)に前記未硬化複合材シート(130)を押圧するための圧力アプリケータ(160)と、
前記複数のピン(112)を抵抗加熱するため、前記金属ピンマット(110)に連結された電気エネルギー源(150)と、
を備えるシステム(100)。
【請求項14】
前記複数のピン(112)は、ベース部分(113)から細くなった端部(114)までテーパー処理されている、請求項13に記載のシステム(100)。
【請求項15】
前記圧力アプリケータ(160)は、前記金属ピンマット(110)に前記未硬化複合材シート(130)を押圧するように構成された圧力ローラーを含む、請求項13又は14に記載のシステム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本願は、複合材構造体に穿孔を形成するための方法及びシステムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 防音パネル(acoustic panels)用の複合材シートを穿孔する工程は、摩耗穿孔(例えば、硬い粒子の衝突)、機械的穿孔、及びプラスチックピンマットを含む。摩耗穿孔は、大幅なサイクル時間を要し、複雑な工具を必要とし、及び/又は大量の清掃処理が要求される。機械的穿孔は、大幅なサイクル時間を要し、ドリルビット交換費用を繰り返し発生させ、及び/又は繊維の切断を引き起こしうる。穿孔のサイクル時間は、数百万もの穿孔を有する大きな防音パネルでは膨大になりうる。
【0003】
[0003] プラスチックピンマットは再利用不可で、1回の使用ごとに輪郭に合わせて形成され、サイズに合わせて調整される。また、穿孔された孔の形状を維持するため、プラスチックピンマット及び穿孔済み複合材シートは一般的に真空バギングされ、プラスチックピンマットから分離する前に穿孔済み複合材シートを部分硬化するように、オートクレーブ処理を受ける。プラスチックピンマットは一般的に、穿孔済み複合材シートから分離することが難しい。加えて、プラスチックピンは時おり孔の中で破損し、その後の処理で除去又は穿孔することが必要になる。分離後、穿孔済み複合材シート上の火山様突起形成物(volcano formations)はやすりがけされ、その後洗浄される。
【0004】
[0004] そのため当業者は、穿孔済み複合材構造体を形成するための方法及びシステムの分野において、研究開発を継続している。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 一実施形態では、未硬化複合材シート内に孔を形成する方法がある。この方法は、未硬化複合材シートを金属ピンマットの複数のピンで穿孔すること、及び、各ピンを取り囲む未硬化複合材シートの部分を加熱するため、複数のピンを加熱することを含む。
【0006】
[0006] 一態様では、未硬化複合材シートを穿孔するステップは、金属ピンマットと圧力バッカーとの間に未硬化複合材シートを配置すること、及び、未硬化複合材シートを金属ピンマットの複数のピンで穿孔するため、金属ピンマットと圧力バッカーとの間に圧縮力を加えることを含む。
【0007】
[0007] 別の態様では、圧縮力を加えるステップは、複数のピンが未硬化複合材シートの厚み全体を貫通して穿孔するまで、金属ピンマットと圧力バッカーとの間に圧縮力を加えることを含む。
【0008】
[0008] 別の態様では、圧縮力を加えるステップは、複数のピンが未硬化複合材シートの厚み全体を貫通して穿孔し、複数のピンが圧力バッカーを穿孔するまで、金属ピンマットと圧力バッカーとの間に圧縮力を加えることを含む。
【0009】
[0009] 別の態様では、複数のピンを加熱するステップは、電気エネルギー源で複数のピンを抵抗加熱することを含む。
【0010】
[0010] 別の態様では、複数のピンを加熱するステップは、未硬化複合材シートの樹脂の粘度を下げるため、未硬化複合材シートを穿孔する前に、未硬化複合材シートを穿孔する間に、或いは、未硬化複合材シートを穿孔する前と穿孔している間の双方で、前記複数のピンを加熱することを含む。
【0011】
[0011] 別の態様では、未硬化複合材シートを穿孔するステップは、未硬化複合材シートを穿孔している間に、未硬化複合材シートの繊維強化プリプレグプライの繊維の位置を徐々にずらすことを含む。
【0012】
[0012] 別の態様では、未硬化複合材シートを穿孔するステップはさらに、未硬化複合材シートの穿孔を継続する間に、繊維を移動することを停止することを含む。
【0013】
[0013] 別の態様では、複数のピンを加熱するステップは、各ピンを取り囲む未硬化複合材シートの外周部分を部分的に硬化することを含む。
【0014】
[0014] 別の態様では、未硬化複合材シートの外周部分を部分的に硬化するステップは、未硬化複合材シートと金属ピンマットとの分離後の孔の形状を十分に維持するため、外周部分を硬化することを含む。
【0015】
[0015] 別の態様では、未硬化複合材シートの外周部分の間の未硬化複合材シートの残存部分は、未硬化複合材シートと金属ピンマットとの分離後、未硬化複合材シートの全体的な可撓性を維持するため、十分に未硬化なままである。
【0016】
[0016] 別の態様では、未硬化複合材シート内に孔を形成するための方法は、未硬化複合材シートの全体的な可撓性を維持するため、十分に未硬化なままである未硬化複合材シートの残存部分から、金属ピンマットの熱を分離することをさらに含む。
【0017】
[0017] 別の態様では、未硬化複合材シート内に孔を形成するための方法は、結果として得られる複合材シートの全体形状を整えるため、未硬化複合材シートの外周部分の間の未硬化複合材シートの残存部分を十分に硬化することをさらに含む。
【0018】
[0018] 別の実施形態では、未硬化複合材シート内に孔を形成するシステムがある。このシステムは、金属ピンマット、圧力アプリケータ、及び電気エネルギー源を含む。金属ピンマットは、未硬化複合材シートを穿孔するための複数のピンを含む。圧力アプリケータは、金属ピンマットに未硬化複合材シートを押圧するためのものである。電気エネルギー源は、複数のピンを抵抗加熱するため、金属ピンマットに連結されている。
【0019】
[0019] 一態様では、金属ピンマットの全体形状は起伏がある。
【0020】
[0020] 別の態様では、複数のピンがベース部分から細くなった端部までテーパー処理されている。
【0021】
[0021] 別の態様では、ベース部分は一定の直径部分を含む。
【0022】
[0022] 別の態様では、圧力アプリケータは、金属ピンマットに未硬化複合材シートに押圧するように構成された圧縮ローラーを含む。
【0023】
[0023] 別の態様では、未硬化複合材シート内に孔を形成するためのシステムは、金属ピンマットと圧力アプリケータとの間に配置されている圧力バッカーをさらに含み、圧力バッカーは、金属ピンマットに向かい合った未硬化複合材シートの表面を支持するように構成されている。
【0024】
[0024] 別の態様では、圧力バッカーは、ラバー及び高密度の発泡体のうちの少なくとも1つから形成されている。
【0025】
[0025] 別の態様では、未硬化複合材シート内に孔を形成するためのシステムは、隣接するピン間の金属ピンマット上に断熱材(thermal isolator)をさらに含み、断熱材は、未硬化複合材シートの部分から金属ピンマットの熱を分離するように構成されている。
【0026】
[0026] なお別の実施形態では、コア材料と穿孔済み複合材シートとを含む複合材構造体を形成するための方法がある。本方法は、未硬化複合材シートを金属ピンマットの複数のピンで穿孔して、未硬化の穿孔済み複合材シートを生み出すことと、各ピンを取り囲む未硬化の穿孔済み複合材シートの少なくとも外周部分を部分的に硬化することと、部分的に硬化した穿孔済み複合材シートと金属ピンマットとを分離することと、部分的に硬化した穿孔済み複合材シートとコア材料とを結合することと、を含む。
【0027】
[0027] 一態様では、部分的に硬化した穿孔済み複合材シートとコア材料とを結合するステップは、部分的に硬化した穿孔済み複合材シートとコア材料とを共硬化することを含む。
【0028】
[0028] 穿孔済み複合材構造体を形成するための、開示されている方法及びシステムの他の実施形態は、以下の詳細な説明、添付の図面及び付随する特許請求の範囲により、明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】未硬化複合材シート内に孔を形成するための方法を実行するための例示的なシステムの概略斜視図である。
【
図2】未硬化複合材シートの穿孔後の、
図1のシステムの概略断面図である。
【
図3】未硬化複合材シート内に孔を形成するための方法を実行するための別の例示的なシステムの概略斜視図である。
【
図4】未硬化複合材シートの穿孔後の、
図3のシステムの概略断面図である。
【
図5】未硬化複合材シート内に孔を形成するための方法を実行するための別の例示的なシステムの概略斜視図である。
【
図6】未硬化複合材シートの穿孔後の、
図5のシステムの概略断面図である。
【
図7】未硬化複合材シート内に孔を形成するための方法を実行するための別の例示的なシステムの概略斜視図である。
【
図8】未硬化複合材シートの穿孔後の、
図7のシステムの概略断面図である。
【
図9】未硬化複合材シート内に孔を形成するための例示的な方法を示すフロー図である。
【
図10】コア材料と穿孔済み複合材シートを備える複合材構造体を形成するための例示的な方法を示すフロー図である。
【
図11】硬化され、分離された穿孔済み複合材シートの平面図である。
【
図12】航空機の製造及び保守方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[0042]
図1は、未硬化複合材シート内に孔を形成するための方法を実行するための例示的なシステム100の概略斜視図である。
図2は、未硬化複合材シートの穿孔後の
図1のシステム100の概略断面図である。
【0031】
[0043]
図1及び
図2に示したように、システム100は、金属ピンマット110、圧力アプリケータ160、及び電気エネルギー源150を含む。システム100は、未硬化複合材シート130などの複合材シートと共に使用されうる。システム100は、金属ピンマット110に向かい合った未硬化複合材シート130の表面を支持するように構成された圧力バッカー140をさらに含む。
【0032】
[0044] 金属ピンマット110は、ベース111及び複数のピン112を含む。ベース111は、第1の大きな面111Aと第2の大きな面112Aを有する。第1の大きな面111Aは一般的に平坦であるが、第1の大きな面111Aの他の構成が可能である。複数のピン112は、金属ピンマット110の第2の大きな面111Aから延在する。金属ピンマット110の複数のピン112は、好ましくは、金属ピンマット110の第2の大きな面111Bから一般的に垂直に延在する。第2の大きな面111Bから一般的に垂直に延在することによって、未硬化複合材シートの信頼度の高い穿孔が容易になり、複数のピン112のその後の除去が容易になりうる。図示したように、複数のピン112は、好ましくは円形の断面を有するが、複数のピン112の断面形状は変化しうる。複数のピン112は、未硬化複合材シート130に形成される穿孔の望ましい配置に対応するため、様々な構成で配置可能である。
【0033】
[0045] 金属ピンマット110は、金属又は合金などの任意の金属材料から形成されうる。例えば、金属ピンマット110は、鉄ベースの金属又は合金、アルミニウムベースの金属又は合金、或いは銅ベースの金属又は合金、或いはチタンベースの金属又は合金のうちの少なくとも1つから形成されうる。好ましくは、金属ピンマット110は、高抵抗金属材料から形成される。金属ピンマット110を金属材料から形成することによって、金属ピンマット110は、抵抗加熱に有用な導電性と抵抗性、未硬化複合材シート130の穿孔に有用な強度と剛性、並びに、追加の未硬化複合材シート130を引き続き穿孔する際に、金属ピンマット110の再利用するための十分な耐久性を提供しうる。
【0034】
[0046] 複数のピン112は、好ましくは、ベース部分113から細くなった端部114までテーパー処理されており、ベース部分113は、好ましくは、一定の直径部分115を含む。一態様では、金属ピンマット110の複数のピン112のベース部分113から細くなった端部114までのテーパー処理により、複数のピン112が繊維強化プリプレグプライへ貫通する間に、未硬化複合材シート130の繊維強化プリプレグプライの繊維の位置を徐々にずらすことが容易になる。複数のピン112のベース部分113の一定の直径部分115により、未硬化複合材シート130に結果として形成される穿孔の直径を、信頼度の高い及び/又は一定のものにすることが容易になる。
【0035】
[0047] 一態様では、圧力アプリケータ160は、金属ピンマット110に未硬化複合材シート130を押圧するように構成されている。圧力アプリケータ160は、金属ピンマット110に未硬化複合材シート130を押圧する機能を実行することができる任意の構造を含む。一実施例では、圧力アプリケータ160は、金属ピンマット110に未硬化複合材シート130を押圧するための圧力ローラーを含む。
【0036】
[0048] 一態様では、電気エネルギー源150は、金属ピンマット110に連結されているか、連結されるように構成されている。電気エネルギー源150は、金属ピンマット110を抵抗加熱するための任意の電気エネルギー源を含む。電気エネルギー源150は、電気エネルギー源150を金属ピンマット110に接続する正負の端子によるなど、任意の適切な方法で金属ピンマット110に連結される。
【0037】
[0049] 既に述べたように、システム100は、金属ピンマット110と圧力アプリケータ160との間に配置された圧力バッカー140をさらに含むことができる。図示したように、圧力バッカー140は、金属ピンマット110に面する第1の大きな面140A、圧力アプリケータ160に面する第2の大きな面140B、並びに、第1の大きな面140Aと第2の大きな面140Bとの間の材料の厚み140Cを有する。好ましくは、第1の大きな面140Aと第2の大きな面140Cは実質的に平坦である。
【0038】
[0050] 一態様では、圧力バッカー140の第1の大きな面140Aと第2の大きな面140Bは、一般的に金属ピンマット110の長さと幅に対応する長さと幅を有する。別の態様では、複数の圧力バッカーが金属ピンマット110と圧力アプリケータ160との間に配置されてよく、複数の圧力バッカー140の長さと幅の和は、一般的に金属ピンマット110の長さと幅に対応する。
【0039】
[0051] 一態様では、圧力バッカー140の材料140Cは、圧力バッカー140が貫通するように複数のピン112に対して十分に柔らかいが、複数のピン112が未硬化複合材シート130に貫通する際に火山様突起の形成を防止するように十分に硬い材料である。例えば、圧力バッカー140は、ラバー及び高密度の発泡体のうちの少なくとも1つから形成されうる。材料140Cの厚みは変化しうるが、複数のピン112による材料140Cの部分的な貫通を可能にする十分な厚みが好ましい。
【0040】
[0052]
図3及び
図4は、未硬化複合材シート内に孔を形成するための方法を実行するための別の例示的なシステム200を示しており、システム200は、未硬化複合材シート130の一部から金属ピンマット110の熱を分離するように構成された断熱材120を含むことによって、
図1及び
図2のシステム100とは区別される。
【0041】
[0053] 図示したように、断熱材120は、金属ピンマット110のベース111の第2の大きな面111Aの上に配置され、複数のピン112の隣接するピンの間に配置される。断熱材120は、金属ピンマット110ベース111から隣接する未硬化複合材シート130の選択された部分までの熱の移動を防止又は低減する、任意の材料又は構造を含みうる。一実施例では、断熱材120は、金属ピンマット110のベース111の第2の大きな面111B上のセラミックベース被覆又はポリイミド膜である。
【0042】
[0054]
図5及び
図6は、未硬化複合材シート内に孔を形成するための方法を実行するための別の例示的なシステム300を示しており、システム300は、起伏のある金属ピンマット110を含むことによって、
図1及び
図2のシステム100とは区別される。起伏のある金属ピンマット110を提供することによって、未硬化複合材シート130は、部分的に硬化した複合材シート130bの全体形状を整えるために部分的に硬化され、金属ピンマット110の起伏のある形状に対応してもよい。
【0043】
[0055]
図7及び
図8は、未硬化複合材シート内に孔を形成するための方法を実行するための別の例示的なシステム400を示しており、システム400は、起伏のある金属ピンマット110を含むことによって、
図3及び
図4のシステム200とは区別され、また、起伏のある金属ピンマット110を含むことによってシステム300とは区別される。断熱材120と起伏のある金属ピンマット110を提供することによって、部分的に硬化した複合材シート130bの選択された部分は、金属ピンマット110からの分離後も、部分的に硬化した複合材シート130bの全体的な可撓性を維持するため、未硬化な或いは十分に未硬化なままでありうるが、その後の処理中に複合材シート130が所望の起伏のある形状に再度曲げられても、孔の形状は維持されうる。
【0044】
[0056]
図9は、未硬化複合材シート内に孔を形成するための例示的な方法500を示すフロー図である。方法500は、ブロック502で、金属ピンマット110の複数のピン112で未硬化複合材シート130を穿孔すること、及び、ブロック504で、各ピンを取り囲む未硬化複合材シート130の一部を加熱するため、複数のピン112を加熱することを含む。
図9に示したように、方法500はさらに、ブロック506で、未硬化複合材シート130の残存部分から金属ピンマットの熱を分離することを含み、また、方法500はさらに、ブロック508で、未硬化複合材シート130の外周部分の間で未硬化複合材シート130の残存部分を硬化して、部分的に硬化した複合材シート130bを生成することを含みうる。
【0045】
[0057] 一態様では、未硬化複合材シート130を穿孔するステップ502は、金属ピンマット110と圧力バッカー140との間に未硬化複合材シート130を配置するステップ502Aと、金属ピンマット110と圧力バッカー140との間に圧縮力を加え、金属ピンマット110の複数のピン112によって未硬化複合材シート130を穿孔し、穿孔済み未硬化複合材シート130aを生成するステップ502Bと、を含む。
【0046】
[0058] 一態様では、圧縮力を加えるステップ502Bは、複数のピン112が未硬化複合材シート130の厚み全体を貫通して穿孔するまで、金属ピンマット110と圧力バッカー140との間に圧縮力を加えることを含む。複数のピン112で未硬化複合材シート130の厚み全体を穿孔することによって、孔は未硬化複合材シート130を貫通して形成されうる。
【0047】
[0059] 一態様では、圧縮力を加えるステップ502Bは、複数のピン112が未硬化複合材シート130の厚み全体を貫通して穿孔し、複数のピン112が圧力バッカー140を穿孔するまで、金属ピンマット110と圧力バッカー140との間に圧縮力を加えることを含む。圧力バッカー140を穿孔することによって、圧力バッカー140は、金属ピンマット110に向かい合った未硬化複合材シート130の表面を支持することができる。
【0048】
[0060] 一態様では、複数のピン112を加熱するステップ504は、電気エネルギー源150によって複数のピン112を抵抗加熱することを含む。電気エネルギー源150によって複数のピン112を抵抗加熱することによって、複数のピン112は効率的な方法で一様に加熱されうる。
【0049】
[0061] 一態様では、複数のピン112を加熱するステップ504は、未硬化複合材シート130の樹脂の粘度を下げるため、未硬化複合材シート130の穿孔の前に、未硬化複合材シート130の穿孔502の間に、或いは、未硬化複合材シート130の穿孔502の前と穿孔502の間の双方で、複数のピン112を加熱することを含む。未硬化複合材シート130の樹脂の粘度を下げることによって、複数のピン112はより容易に未硬化複合材シート130を穿孔することができる。
【0050】
[0062] 一態様では、未硬化複合材シート130を穿孔するステップ502は、未硬化複合材シート130の穿孔502の間に、未硬化複合材シート130の繊維強化プリプレグプライの繊維の位置を徐々にずらすことを含む。未硬化複合材シート130の繊維強化プリプレグプライの繊維の位置を徐々にずらすことによって、未硬化複合材シート130の穿孔502の間で、繊維の完全性は維持されうる。未硬化複合材シート130の繊維強化プリプレグプライの繊維の位置を徐々にずらすことは、例えば、金属ピンマット110の複数のピン112をベース部分113から細くなった端部114までテーパー処理することによって実現可能である。
【0051】
[0063] 一態様では、未硬化複合材シート130を穿孔するステップ502はさらに、未硬化複合材シート130の穿孔502を継続する間に、繊維の位置をずらすことを停止することを含む。未硬化複合材シート130の穿孔502を継続する間に、繊維の位置をずらすことを停止することにより、未硬化複合材シート130に結果として形成される穿孔の直径を、信頼度の高い及び/又は一定のものにすることが実現されうる。未硬化複合材シート130の穿孔502を継続する間に繊維の位置をずらすことを停止することは、複数のピン112のベース部分113の一定の直径部分115によって実現可能である。
【0052】
[0064] 一態様では、複数のピン112を加熱するステップ504は、複数のピン112の各々を取り囲む未硬化複合材シート130の外周部分を部分的に硬化することを含む。例えば、未硬化複合材シート130の外周部分の部分的な硬化は、部分的に硬化した複合材シート130と金属ピンマット110との分離後の孔の形状を維持するため、外周部分を十分に硬化することを含む。
【0053】
[0065] 一態様では、未硬化複合材シート130の外周部分の間の未硬化複合材シート130の残存部分は、部分的に硬化した複合材シート130bと金属ピンマット110との分離後、未硬化複合材シート130の全体的な可撓性を維持するため、十分に未硬化なままである。
【0054】
[0066] 一態様では、方法は、部分的に硬化した複合材シート130bの全体的な可撓性を維持するため、十分に未硬化なままである未硬化複合材シート130の残存部分から、金属ピンマット110の熱を分離することをさらに含む。
【0055】
[0067] 一態様では、方法は、硬化した複合材シート130cの全体形状を整えるため、部分的に硬化した複合材シート130bの外周部分の間の部分的に硬化した複合材シート130bの残存部分を十分に硬化することをさらに含む。
【0056】
[0068] 未硬化複合材シート内に孔を形成する方法のこれらの態様は、以下のように
図1から
図8を参照して、さらに詳細に説明される。
【0057】
[0069]
図1は、未硬化複合材シート内に孔を形成するための方法を実行するための例示的なシステム100の概略斜視図である。
図2は、未硬化複合材シートの穿孔後の
図1のシステム100の概略断面図である。
【0058】
[0070] 穿孔の前に、複合材シートは未硬化複合材シート130である。未硬化複合材シート130は次に、金属ピンマット110の複数のピン112で穿孔され、複数のピン112の各々を取り囲む未硬化複合材シート130の一部を加熱するため、複数のピン112は加熱される。複数のピン112は電気エネルギー源150によって抵抗加熱されてよく、或いは、金属ピンマット110全体は電気エネルギー源150によって抵抗加熱されてよい。複数のピン112、或いは複数のピン112と金属ピンマット110の双方は、抵抗加熱を可能にするため、金属材料から形成されてよい。
【0059】
[0071]
図1及び
図2に示したように、システム100は、金属ピンマット110、圧力アプリケータ160、及び電気エネルギー源150を含む。システム100はさらに、例えば圧力バッカー140を含みうる。システム100は、未硬化複合材シート130と共に使用されうる。一態様では、未硬化複合材シート130は、グラファイト繊維強化プリプレグプライなどの繊維強化プリプレグプライを含む。繊維強化プリプレグプライは、熱可塑性樹脂又は熱硬化樹脂などの樹脂を含む。
【0060】
[0072]
図1及び
図2に示したように、未硬化複合材シート130は金属ピンマット110の複数のピン112で穿孔され、各ピンを取り囲む未硬化複合材シート130の一部を加熱するため、複数のピン112は加熱される。加熱が十分な場合には、複数のピン112は、各ピンを取り囲む未硬化複合材シート130の外周部分132Aを部分的に硬化し、また、未硬化複合材シート130の外周部分132aの間の未硬化複合材シート130の残存部分132Bを部分的に硬化する。
【0061】
[0073] 複数のピン112が未硬化複合材シート130の繊維強化プリプレグプライの貫通するときには、金属ピンマット110の複数のピン112のベース部分113から細くなった端部114までのテーパー処理により、未硬化複合材シート130の繊維強化プリプレグプライの繊維の位置を徐々にずらすことが容易になる。したがって、繊維強化プリプレグプライの繊維への損傷は防ぐことができる。
【0062】
[0074] 未硬化複合材シート130の繊維強化プリプレグプライの繊維の位置を徐々にずらした後、複数のピン112のベース部分113の一定の直径部分115により、未硬化複合材シート130に結果として形成される穿孔の直径を、信頼度の高い及び/又は一定のものにすることが容易になる。したがって、複数のピン112のベース部分113の一定の直径部分115によって、結果として形成される穿孔の直径は、未硬化複合材シート130に貫通する複数のピン112の深さに依存しない。
【0063】
[0075]
図1及び
図2に示したように、未硬化複合材シート130は、圧力アプリケータ160によって金属ピンマット110に対して押圧されうる。一実施例では、圧力アプリケータ160は、金属ピンマット110に対して未硬化複合材シート130を押圧するように構成された圧力ローラーを含む。しかしながら、圧力アプリケータ160は、金属ピンマット110に対して未硬化複合材シート130を押圧する機能を実行することができる任意の構造を含む。
【0064】
[0076] 複数のピン112が貫通する十分に柔らかい材料から形成された圧力バッカー140を配置することによって、複数のピン112は圧力バッカー140を貫通することが可能で、圧力バッカー140は、金属ピンマット110に向かい合った、特に孔の出口の外周部分132aの周辺で、未硬化複合材シート130の表面に接触し、支持することができ、これによって、裏面が十分に支持されていないときに典型的に生じうる火山様形状の出口孔(volcano-shaped exit holes)を回避することができる。有利には、火山様形状の出口孔を回避することによって、出口孔を平坦にするために一般的に実行される、その後のやすりがけを回避することができる。
【0065】
[0077] 一態様では、未硬化複合材シート130の穿孔は、金属ピンマット110と圧力バッカー140との間に未硬化複合材シート130を配置すること、及び、金属ピンマット110と圧力バッカー140との間に圧縮力を加えて、金属ピンマット110の複数のピン112で未硬化複合材シート130を穿孔すること、によって実行される。図示したように、圧縮力は、
図1に示したような圧力アプリケータ160、或いは、金属ピンマット110が静止した状態に保持されている間に圧力バッカー140への真空によって加えられる。しかしながら、圧縮力は、任意の種類の圧力アプリケータ160によって加えられてよく、また、圧縮力は、圧力バッカー140が静止した状態に保持されている間に金属ピンマット110に加えられてよく、圧縮力は、金属ピンマット110と圧力バッカー140の双方に加えられてよい。
【0066】
[0078]
図1及び
図3に示したように、金属ピンマット110は、金属ピンマット110に連結された電気エネルギー源150によって抵抗加熱することができる。金属ピンマット110を抵抗加熱することによって、未硬化複合材シートは加熱され、未硬化複合材シート130の穿孔を促進する。加熱が十分な場合には、未硬化複合材シート130は部分的に硬化される。
【0067】
[0079]
図2を参照すると、圧縮力は好ましくは、複数のピン112が未硬化複合材シート130の厚み全体を貫通して穿孔するまで、金属ピンマット110と圧力バッカー140との間に加えられる。一態様では、圧縮力は、複数のピン112が未硬化複合材シート130の厚み全体を貫通して穿孔し、複数のピン112が圧力バッカー140を穿孔するまで、金属ピンマット110と圧力バッカー140との間に加えられる。
【0068】
[0080] さらに別の態様では、圧力バッカー140は、真空バッグの破裂を防止する。これに関して、オートクレーブ処理中などは、真空バッグ(図示せず)は、金属ピンマット110、未硬化複合材シート130、及び圧力バッカー140を包み込むのに利用されないことがある。複数のピン112が圧力バッカー140を貫通することによって、複数のピン112による真空バッグの破裂の防止が可能になる。
【0069】
[0081] 代替的な態様では、圧力バッカー140は除外されてよく、ローラーなどの圧力アプリケータ160は、金属ピンマット110に対して未硬化複合材シート130を直接押圧してもよい。
【0070】
[0082] 各ピン112を取り囲む未硬化複合材シート130の一部を加熱することは、未硬化複合材シート130の樹脂の粘度を下げ、樹脂の貫通と未硬化複合材シート130の樹脂の分離を促進する機能を有する。この場合、複数のピン112は、未硬化複合材シート130の穿孔前に、未硬化複合材シート130の穿孔中に、或いは未硬化複合材シート130の穿孔前及び穿孔中の双方で加熱され、樹脂の粘度を低下させて、一定の直径部分115が未硬化複合材シート130を貫通するまで、樹脂の貫通と、複数のピン112が未硬化複合材シート130を通過するのに十分な繊維の分離を促進する。繊維を破壊するのではなく、穿孔の周囲での繊維の分離を促進することによって、穿孔済み領域の強度が維持されうる。
【0071】
[0083] 各ピン112を取り囲む未硬化複合材シート130の一部を加熱することは、各ピン112を取り囲む未硬化複合材シート130の外周部分132Aを部分的に硬化する機能も有しうる。この場合、複数のピン112は、未硬化複合材シート130の穿孔中に、未硬化複合材シート130の穿孔後に、或いは未硬化複合材シート130の穿孔中及び穿孔後の双方で、加熱され、各ピン112を取り囲む未硬化複合材シート130の外周部分132Aを部分的に硬化する。一態様では、外周部分132Aは、金属ピンマット110からの分離後に孔の形状を維持するため、十分に硬化される。
【0072】
[0084] 図示したように、外周部分132Aと未硬化複合材シート130との間の未硬化複合材シート130の残存部分132Bはまた、部分的に硬化された複合材シート130bの全体形状を整えるために、部分的に硬化されてもよい。一態様では、未硬化複合材シート130は、部分的に硬化された複合材シート130bの全体形状を整えるために、部分的に硬化されてもよい。
【0073】
[0085]
図3は、未硬化複合材シート130内に孔を形成する方法を実行するための別の例示的なシステム200の概略斜視図で、システム200は断熱材120を含むことによってシステム100とは区別される。
図4は、未硬化複合材シート130の穿孔後の
図3のシステム200の概略断面図である。
【0074】
[0086]
図3及び
図4に示したように、システム200は、複数のピン112を含む金属ピンマット110、断熱材120、未硬化複合材シート130、圧力バッカー140、金属ピンマットに連結された電気エネルギー源150、及び圧力アプリケータ160を含む。
【0075】
[0087] 穿孔の前に、複合材シートは未硬化複合材シート130である。未硬化複合材シート130は次に、金属ピンマット110の複数のピン112で穿孔され、各々のピンを取り囲む未硬化複合材シートの一部を加熱するため、複数のピンは加熱される。複数のピン112は電気エネルギー源150によって抵抗加熱されてよく、或いは、金属ピンマット110全体は電気エネルギー源150によって抵抗加熱されてよい。複数のピン112、或いは複数のピン112と金属ピンマット110の双方は、抵抗加熱を可能にするため、金属材料から形成されてよい。
【0076】
[0088] 一態様では、未硬化複合材シート130の穿孔は、金属ピンマット110と圧力バッカー140との間に未硬化複合材シート130を配置すること、及び、金属ピンマット110と圧力バッカー140との間に圧縮力を加えて、金属ピンマット110の複数のピン112で未硬化複合材シート130を穿孔すること、によって実行される。図示したように、圧縮力は、
図3に示したローラーのような圧力アプリケータ160によって、金属ピンマット110が静止した状態に保持されている間に圧力バッカー140に加えられる。しかしながら、圧縮力は、任意の種類の圧力アプリケータ160によって加えられてよく、また、圧縮力は、圧力バッカー140が静止した状態に保持されている間に金属ピンマット110に加えられてよく、圧縮力は、金属ピンマット110と圧力バッカー140の双方に加えられてよい。
【0077】
[0089]
図4を参照すると、圧縮力は好ましくは、複数のピン112が未硬化複合材シート130の厚み全体を貫通して穿孔するまで、金属ピンマット110と圧力バッカー140との間に加えられる。一態様では、圧縮力は、複数のピン112が未硬化複合材シート130の厚み全体を貫通して穿孔し、複数のピン112が圧力バッカー140を穿孔するまで、金属ピンマット110と圧力バッカー140との間に加えられる。
【0078】
[0090] 各ピン112を取り囲む未硬化複合材シート130の一部を加熱することは、未硬化複合材シート130の樹脂の粘度を下げ、樹脂の貫通と未硬化複合材シート130の樹脂の分離を促進する機能を有する。この場合、複数のピン112は、未硬化複合材シート130の穿孔前に、未硬化複合材シート130の穿孔中に、或いは未硬化複合材シート130の穿孔前及び穿孔中の双方で加熱され、樹脂の粘度を低下させて、一定の直径部分115が未硬化複合材シート130を貫通するまで、樹脂の貫通と、複数のピン112が未硬化複合材シート130を通過するのに十分な繊維の分離を促進する。繊維を破壊するのではなく、穿孔の周囲での繊維の分離を促進することによって、穿孔領域の強度が維持されうる。
【0079】
[0091] 各ピン112を取り囲む未硬化複合材シート130の一部を加熱することは、各ピン112を取り囲む未硬化複合材シート130の外周部分132Aを部分的に硬化する機能も有しうる。この場合、複数のピン112は、未硬化複合材シート130の穿孔中に、未硬化複合材シート130の穿孔後に、或いは未硬化複合材シート130の穿孔中及び穿孔後の双方で、加熱され、各ピン112を取り囲む未硬化複合材シート130の外周部分132Aを部分的に硬化する。一態様では、外周部分132Aは、未硬化複合材シート130と金属ピンマット110の分離後に、孔の形状を維持するため、十分に硬化される。
【0080】
[0092] 図示したように、断熱材120が金属ピンマット110のベースに提供される。断熱材120は、未硬化複合材シート130の外周部分132Aの間で、未硬化複合材シート130の残存部分132Bの硬化を防止又は抑制する。したがって、外周部分132Aの間の残存部分132Bは、未硬化複合材シート130と金属ピンマット110との分離後の未硬化複合材シート130の全体的な可撓性を維持するため、未硬化又は十分に未硬化なままである。未硬化複合材シート130の全体的な可撓性を維持することによって、未硬化複合材シートとコア材料との結合中など、その後の処理中に、未硬化複合材シートは所望の形状に形成されうる。
【0081】
[0093]
図5は、未硬化複合材シート130内に孔を形成するための方法を実行するための別の例示的なシステム300の概略斜視図で、システム300は起伏のある金属ピンマット110を含む。
図6は、未硬化複合材シート130の穿孔後の
図5のシステム300の概略断面図である。
【0082】
[0094]
図1及び
図2のように、システム300は、複数のピン112を含む金属ピンマット110、未硬化複合材シート130、圧力バッカー140、金属ピンマット110に連結された電気エネルギー源150、及び圧力アプリケータ160を含み、システム100とシステム300の違いは、金属ピンマット110に起伏があることである。
【0083】
[0095] この場合、各ピン112を取り囲む未硬化複合材シート130の一部を加熱することは、未硬化複合材シート130と金属ピンマット110の分離後に、孔の形状を維持するため、各ピン112を取り囲む未硬化複合材シート130の外周部分132Aを部分的に硬化する機能を有する。追加的に、未硬化複合材シート130の外周部分132Aの間の未硬化複合材シート130の残存部分132Bはまた、未硬化複合材シート130の全体形状を整えるために部分的に硬化され、金属ピンマット110の起伏のある形状に対応してもよい。
【0084】
[0096]
図7は、未硬化複合材シート130内に孔を形成するための方法を実行するためのさらに別の例示的なシステム400の概略斜視図で、システム400は断熱材120及び起伏のある金属ピンマット110を含む。
図8は、未硬化複合材シート130の穿孔後の
図7のシステム400の概略断面図である。
【0085】
[0097]
図7及び
図8に示したように、システム400は、複数のピン112を含む金属ピンマット110、断熱材120、未硬化複合材シート130、圧力バッカー140、金属ピンマット110に連結された電気エネルギー源150、及び圧力アプリケータ160を含み、システム200とシステム400の違いは、金属ピンマット110に起伏があることであり、システム300とシステム400の違いは、断熱材120が付加されていることである。
【0086】
[0098] この場合、各ピン112を取り囲む未硬化複合材シート130の一部を加熱することは、未硬化複合材シート130と金属ピンマット110の分離後に、孔の形状を維持するため、各ピン112を取り囲む未硬化複合材シート130の外周部分132Aを部分的に硬化する機能を有する。
【0087】
[0099] 追加的に、断熱材120が金属ピンマット110のベースに提供される。断熱材120は、未硬化複合材シート130の外周部分132Aの間で、未硬化複合材シート130の残存部分132Bの硬化を防止又は抑制する。したがって、外周部分132Aの間の残存部分132Bは、未硬化複合材シート130と金属ピンマット110との分離後の未硬化複合材シート130の全体的な可撓性を維持するため、未硬化又は十分に未硬化なままである。未硬化複合材シート130の全体的な可撓性を維持することによって、未硬化複合材シートとコア材料との結合中など、その後の処理中に、未硬化複合材シートは所望の形状に形成されうる。一方、起伏のある金属ピンマット110を用いて孔を形成することによって、その後の処理中に、所望の起伏のある形状に合わせて再度曲げられたときに、孔の形状は維持されうる。
【0088】
[0100]
図10は、コア材料と穿孔済み複合材シート130aを備える未硬化複合材構造体を形成するための例示的な方法600を示すフロー図である。
【0089】
[0101] 方法600は、ブロック602で、未硬化複合材シート130を金属ピンマット110の複数のピン112で穿孔することと、ブロック604で、各ピンを取り囲む穿孔済み未硬化複合材シート130aの少なくとも外周部分132Aを部分的に硬化することと、ブロック606で、部分的に硬化された複合材シート130bと金属ピンマット110とを分離することと、ブロック608で、分離された穿孔済み複合材シート130dと硬化材料とを結合することを含む。
【0090】
[0102] 一態様では、未硬化複合材シート130を金属ピンマット110の複数のピン112で穿孔するステップ602は、金属ピンマット110と圧力バッカー140との間に未硬化複合材シート130を配置することを含む。金属ピンマット110は、平坦か起伏があってもよい。
【0091】
[0103] 一態様では、未硬化複合材シートを金属ピンマットの複数のピンで穿孔するステップ602は、金属ピンマット110と圧力バッカー140との間で未硬化複合材シート130を押圧することを含む。
【0092】
[0104] 一態様では、各ピンを取り囲む穿孔済み未硬化複合材シート130aの外周部分132Aを部分的に硬化するステップ604は、各ピンを取り囲む未硬化複合材シート130の一部を加熱するため、複数のピン112を加熱することと、圧力を加えて未硬化複合材シート130を穿孔することを含む。加熱は、未硬化複合材シート130の樹脂の粘度を下げ、穿孔中の未硬化複合材シート130の繊維の分離を促進するように機能し、及び/又は、未硬化複合材シート130の外周部分132Aを部分的に硬化するように機能する。
【0093】
[0105] 一態様では、ピンを取り囲む穿孔済み未硬化複合材シート130aの外周部分132Aを部分的に硬化するステップ604は、未硬化複合材シート130の外周部分132Aを加熱することを含み、一方、未硬化複合材シート130の全体的な可撓性を維持するため、残存部分132Bが未硬化である、或いは不十分な硬化状態にあるように、外周部分132aの間の残存部分132Bは未加熱又は不十分な加熱状態にとどまっている。分画硬化(differential curing)は、金属ピンマット110のベース部分が未加熱又は不十分な加熱状態に留まっている間に、複数のピン112を加熱することによって可能になりうる。或いは、別々の加熱は、複数のピン112と金属ピンマット110のベース部分の双方を加熱し、金属ピンマット110のベース部分の上に断熱材を提供することによって可能になりうる。
【0094】
[0106] 代替的に、未硬化複合材シート130の外周部分132Aと、外周部分132Aを部分的に硬化するための外周部分132aの間の残存部分132B、並びに、部分的に硬化された複合材シート130bの全体形状を整えるための外周部分132aの間の残存部分132B、を加熱することである。例えば、未硬化複合材シート130の全体は、部分的に硬化された複合材シート130bの全体形状を整えるために部分的に硬化されてもよい。未硬化複合材シート130の外周部分132Aと、外周部分132aの間の残存部分132Bを加熱するため、或いは、未硬化複合材シート130全体を加熱するため、これは、複数のピン112と金属ピンマット110のベース部分の双方を加熱することによって可能になりうる。代替的に又は追加的に、外部源からの熱は、部未硬化複合材シート130の全体形状を整えるため、未硬化複合材シート130の全体を部分的に硬化するように未硬化複合材シート130全体を加熱するように加えられる。
【0095】
[0107] 一態様では、部分的に硬化された複合材シート130bと金属ピンマット110の分離は、加熱されたときの複数のピン112の熱膨張によって促進される。複数のピン112は加熱されると、熱膨張により拡張する。複数のピン112は冷めると元のサイズまで収縮するが、孔は加熱されている間に部分的に硬化しため、複数のピン112と部分的に硬化した孔との間には小さな間隙があり、これにより、部分的に硬化した複合材シート130bと金属ピンマット110との分離は容易になる。
【0096】
[0108] 一態様では、分離された穿孔済み複合材シート130dとコア材料との結合には、コアを穿孔済みシートに安定させるため、分離された穿孔済み複合材シート130dとコア材料の共硬化が含まれる。一態様では、コア材料に対して、分離された穿孔済み複合材シート103dのレイアップを促進するため、分離された穿孔済み複合材シート130dは、前述のように維持された全体的な可撓性を有しうる。
【0097】
[0109] 一態様では、分離された穿孔済み複合材シート130dとコア材料とを結合するステップは、別の複合材シート130(例えば、未穿孔複合材シート)をコア材料の反対側の面に結合して、サンドイッチ構造を形成することを含みうる。コアへの2つの複合材シートの結合は、同時に実行されても、別々のステップで実行されてもよい。
【0098】
[0110] コア材料は、例えば、連続気泡又は多孔質構造を有する材料である。コアの材料は、例えば、複合材、金属、又はポリマーであってよい。
【0099】
[0111] 複合材シートの一方又は双方とコア材料との共硬化には、オートクレーブサイクルの適用が含まれることがあり、また、共硬化される構造体の真空バギングが含まれることがある。代替的に又は付加的に、複合材シートとコア材料との間の圧力は、機械的な加圧によって印加されうる。
【0100】
[0112] 一態様では、方法はさらに、複合材シートとコア材料との結合前、結合中、及び又は結合後の機械的な操作などの付加的なステップを含む。
【0101】
[0113] 一態様では、方法はさらに、別のコア材料と別の穿孔済み複合材シートとを備える別の複合材構造体を形成するため、方法を繰り返す間に、同一の金属ピンマット110を再利用することを含みうる。
【0102】
[0114] 一態様では、方法は、コア材料と音響フェースシートを備える防音パネルを製造する。音響フェースシートの穿孔は、音に関連する圧力波をコア内の連続気泡へ導くことによって、ノイズを抑制するように形成された小さな貫通孔で、波のエネルギーは摩擦(熱への変換)、圧力低下、及び波の反射による打消しによって消費される。航空機のエンジンナセル構成要素(エンジン吸入口、スラストリバーサカウル、及びブロッカードアなど)及びエンジンダクトフローサーフェスに使用される典型的な構造は、薄いフェースシートの間にコア材料を備えるサンドウィッチ式の層構造を含み、一方は穿孔されており、サンドウィッチ式構造は起伏のある形状を有する。
【0103】
[0115] 上述の方法はさらに、金属ピンマット110の製造を含みうる。金属ピンマット110は、任意の好適な処理により作成されうる。一態様では、金属ピンマット110は、付加製造(3D印刷)処理によって作られる。付加製造は、ベース部分113から細くなった端部114までテーパー処理され、ベース部分113が一定の直径部分115を含む複数のピン112の形成に特に適しており、また、付加製造は、ベース部分113から細くなった端部114までテーパー処理され、ベース部分113が一定の直径部分115を含む複数のピンを有する金属ピンマット110の起伏のある形状の形成に特に適している。
【0104】
[0116] 本開示の例は、
図12に示している航空機の製造及び保守方法700と
図13に示している航空機702に照らして、説明されうる。航空機の製造及び保守方法700は、製造前段階において、航空機702の仕様及び設計704と、材料の調達706とを含みうる。製造段階では、航空機702の構成要素/サブアセンブリの製造708と、システムインテグレーション710とが行われる。その後、航空機702は、認可及び納品712を経て運航714に供されうる。顧客により運航される期間に、航空機702には、改造、再構成、改修等も含み得る、定期的な整備及び保守716が予定される。
【0105】
[0117] 方法700の各処理は、システムインテグレータ、第三者、及び/またはオペレータ(例えば顧客)によって実行または実施されうる。本明細書の適用上、システムインテグレータは、任意の数の航空機製造業者及び主要システムの下請業者を含むがこれらに限定されず、第三者は、任意の数のベンダー、下請業者及び供給業者を含むがこれらに限定されず、且つ、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関等でありうる。
【0106】
[0118] 本開示の穿孔済み複合材構造体を形成するための方法及びシステムは、航空機702の仕様及び設計704、材料の調達706、構成要素/サブアセンブリの製造708、システムインテグレーション710、認可及び納品712、航空機の運航714への配置、及び定期的な整備及び保守716を含む、航空機の製造及び保守方法700の一又は複数の任意の段階において、用いられうる。
【0107】
[0119]
図13に示すように、例示的な方法700によって製造された航空機702は、複数のシステム720及び内装722を備えた機体718を含みうる。複数のシステム720の実施例には、推進システム724、電気システム726、油圧システム728及び環境システム730のうちの一又は複数が含まれうる。任意の数の他のシステムが含まれることもある。本開示の穿孔済み複合材構造体を形成するための方法及びシステムは、航空機702のシステムのいずれかに採用されうる。
【0108】
[0120] 本開示は、以下に列挙している例示的かつ非限定的な例を更に含み、これらの例は、特許請求されることも、されないこともある。
例1. 未硬化複合材シート130内に孔を形成するための方法500であって、
前記未硬化複合材シート(130)に金属ピンマット110の複数のピン112で穿孔することと、
前記複数のピン112の各々を取り囲む前記未硬化複合材シート130の一部を加熱するため、前記複数のピン112を加熱することと、
を含む方法500。
例2. 前記未硬化複合材シート130を穿孔するステップは、
前記金属ピンマット110と圧力バッカー140との間に前記未硬化複合材シート130を配置することと、
前記未硬化複合材シート130を前記金属ピンマット110の前記複数のピン112で穿孔するため、前記金属ピンマット110と前記圧力バッカー140との間に圧縮力を加えることと、
を含む、例1に記載の方法500。
例3. 前記圧縮力を加えるステップは、前記複数のピン112が前記未硬化複合材シート130の厚み全体を貫通して穿孔するまで、前記金属ピンマット110と前記圧力バッカー140との間に前記圧縮力を加えることを含む、例2に記載の方法500。
例4. 前記圧縮力を加える前記ステップは、前記複数のピン112が前記未硬化複合材シート130の厚み全体を貫通して穿孔し、前記複数のピン112が前記圧力バッカー140を穿孔するまで、前記金属ピンマット110と前記圧力バッカー140との間に前記圧縮力を加えることを含む、例2に記載の方法500。
例5. 複数のピン112を加熱するステップは、電気エネルギー源150によって前記複数のピン112を抵抗加熱することを含む、例1から4のいずれか一例に記載の方法500。
例6. 前記複数のピン112を加熱する前記ステップは、前記未硬化複合材シート130の樹脂の粘度を下げるため、前記未硬化複合材シート130を穿孔する前記ステップの前に、前記未硬化複合材シート130を穿孔する前記ステップの間に、或いは、前記未硬化複合材シート130を穿孔する前記ステップの前と前記ステップの間の双方で、前記複数のピン112を加熱することを含む、例1から5のいずれか一例に記載の方法500。
例7. 前記未硬化複合材シート130を穿孔するステップは、前記未硬化複合材シート130を穿孔している間に、前記未硬化複合材シート130の繊維強化プリプレグプライの繊維の位置を徐々にずらすことを含む、例6に記載の方法500。
例8. 前記未硬化複合材シート130を穿孔する前記ステップはさらに、前記未硬化複合材シート130の穿孔を継続する間に、前記繊維の位置をずらすことを停止することを含む、例7に記載の方法500。
例9. 前記複数のピン112を加熱する前記ステップは、前記複数のピン112の各々を取り囲む前記未硬化複合材シート130の外周部分132Aを部分的に硬化することを含む、例1から8のいずれか一例に記載の方法500。
例10. 前記未硬化複合材シート130の外周部分132Aを部分的に硬化する前記ステップは、前記未硬化複合材シート130と前記金属ピンマット110との分離後の前記孔の形状を維持するため、外周部分132Aを十分に硬化することを含む、例9に記載の方法500。
例11. 前記未硬化複合材シート130の前記外周部分132Aの間の前記未硬化複合材シート130の残存部分132Bは、前記未硬化複合材シート130と前記金属ピンマット110との前記分離後、前記未硬化複合材シート130の全体的な可撓性を維持するため、十分に未硬化なままである、例10に記載の方法500。
例12. 前記未硬化複合材シート130の全体的な可撓性を維持するため、十分に未硬化なままである前記未硬化複合材シート130の残存部分132Bから、前記金属ピンマット110の熱を分離することをさらに含む、例11に記載の方法500。
例13. 結果として得られる複合材シートの全体形状を整えるため、前記未硬化複合材シート130の前記外周部分132Aの間の前記未硬化複合材シート130の残存部分132Bを十分に硬化することをさらに含む、例10から12のいずれか一例に記載の方法500。
例14. 未硬化複合材シート130内に孔を形成するためのシステム100であって、
前記未硬化複合材シート130を穿孔するための複数のピン112を備える金属ピンマット110と、
前記金属ピンマット110に前記未硬化複合材シート130を押圧するための圧力アプリケータ160と、
前記複数のピン112を抵抗加熱するため、前記金属ピンマット110に連結された電気エネルギー源150と、
を備えるシステム100。
例15. 前記金属ピンマット110の全体形状は起伏がある、例14に記載のシステム100。
例16. 前記複数のピン112は、ベース部分113から細くなった端部114までテーパー処理されている、例14又は15に記載のシステム100。
例17. 前記ベース部分113は、一定の直径部分115を含む、例16に記載のシステム100。
例18. 前記圧力アプリケータ160は、前記金属ピンマット110に前記未硬化複合材シート130を押圧するように構成された圧力ローラーを含む、例14から17のいずれか一例に記載のシステム100。
例19. 前記金属ピンマット110と前記圧力アプリケータ160との間に配置された圧力バッカー140をさらに備え、前記圧力バッカー140は、金属ピンマット110に向かい合った前記未硬化複合材シート130の表面を支持するように構成されている、例14から18のいずれか一例に記載のシステム100。
例20. 前記圧力バッカー140は、ラバー及び高密度の発泡体のうちの少なくとも1つから形成されている、例19に記載のシステム100。
例21. 隣接する前記複数のピン112の間の前記金属ピンマット110上に断熱材120をさらに備え、前記断熱材120は、未硬化複合材シート130の一部から前記金属ピンマット110の熱を分離するように構成されている、例14から20のいずれか一例に記載のシステム100。
例22. コア材料と穿孔済み複合材シート130を備える複合材構造体を形成するための方法600であって、
金属ピンマット110の複数のピン112で未硬化複合材シート130を穿孔して、未硬化の穿孔済み複合材シート130dを生み出すことと、
前記複数のピン112の各々を取り囲む前記未硬化の穿孔済み複合材シート130dの少なくとも外周部分132Aを部分的に硬化して、部分的に硬化した穿孔済み複合材シートを生み出すことと、
前記部分的に硬化した穿孔済み複合材シートと前記金属ピンマット110とを分離することと、
前記部分的に硬化した穿孔済み複合材シートと前記コア材料とを結合することとを含む、方法600。
例23. 前記部分的に硬化した穿孔済み複合材シートと前記コア材料とを結合する前記ステップは、前記部分的に硬化した穿孔済み複合材シートと前記コア材料とを共硬化することを含む、例22に記載の方法600。
【0109】
[0121] 穿孔済み複合材構造体を形成するための開示された方法及びシステムの様々な実施形態が示されているが、当業者は、本明細書を読むことで、修正例を想起しうる。本願は、このような修正例を含み、特許請求の範囲によってのみ限定される。