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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】位置情報提供システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 27/00 20060101AFI20240422BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20240422BHJP
   G08B 23/00 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
G08B27/00 A
G08B17/00 F
G08B23/00 510D
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019179195
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021056762
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000111074
【氏名又は名称】ニッタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】工藤 彰久
(72)【発明者】
【氏名】丸田 聡史
(72)【発明者】
【氏名】大槻 恭裕
(72)【発明者】
【氏名】茶志川 孝和
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-036304(JP,A)
【文献】特開2015-225426(JP,A)
【文献】特開2019-046073(JP,A)
【文献】特開平08-305985(JP,A)
【文献】特開2009-116667(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0197855(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
G08B17/00
23/00-31/00
G16Z99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象の建造物の所定箇所に設置された感知器からの検出信号を受信可能な受信機により送信された異常発生場所の情報を含む異常情報に基づいて、前記異常発生場所を判定する異常監視装置と、
無線通信手段、縦と横の比が1:1以外である画像表示部および姿勢判定手段を有し、前記無線通信手段により自己の識別情報および自己の位置を特定するための情報を送信可能な携帯端末と、
前記異常監視装置より取得した異常情報および前記携帯端末により送信された情報に基づいて当該携帯端末の現在位置および異常発生場所が示されたマップ画像を携帯端末の画像表示部に表示させるためのマップ情報を当該携帯端末に送信可能なサーバと、
を備えた位置情報提供システムであって、
前記サーバは、前記監視対象の建造物の階層構造図データと前記携帯端末の現在位置および/または異常発生場所を含むフロアマップデータを対応する携帯端末へ送信可能であり、
前記携帯端末は、前記サーバより受信した前記建造物の階層構造図データと前記フロアマップデータとに基づいて、当該携帯端末の現在位置および/または異常発生場所が示された建造物の階層構造図と当該携帯端末の現在位置および/または異常発生場所が示されたフロアマップとを、前記画像表示部に同時に表示する際に、前記画像表示部が縦向きの姿勢である場合には、前記画像表示部に、前記建造物の階層構造図と前記フロアマップを縦に並べた状態で表示し、前記画像表示部が横向きの姿勢である場合には、前記画像表示部に、前記建造物の階層構造図と前記フロアマップを横に並べた状態で表示する
ことを特徴とする位置情報提供システム。
【請求項2】
前記携帯端末は、前記建造物の階層構造図を断面図または3次元図として表示することを特徴とする請求項1に記載の位置情報提供システム。
【請求項3】
前記マップ情報には前記建造物の外部へ避難可能な階であることを示す情報が含まれており、
前記携帯端末は、前記建造物の階層構造図において、前記建造物の外部へ避難可能な階を表示することを特徴とする請求項1または2に記載の位置情報提供システム。
【請求項4】
前記携帯端末は、前記建造物の外部へ避難可能な階が複数階ある場合には、前記建造物の階層構造図において、前記建造物の外部へ避難可能な階を少なくとも1つまたは2つ以上表示することを特徴とする請求項3に記載の位置情報提供システム。
【請求項5】
前記携帯端末は、前記建造物の階層構造図において、異常発生階および前記携帯端末が存在する階とそれ以外の階とを識別可能に表示することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の位置情報提供システム。
【請求項6】
監視対象の建造物の所定箇所に設置された感知器からの検出信号を受信可能な受信機により送信された異常発生場所の情報を含む異常情報に基づいて、前記異常発生場所を判定する異常監視装置と、
無線通信手段および画像表示部を有し前記無線通信手段により自己の識別情報および自己の位置を特定するための情報を送信可能な携帯端末と、
前記異常監視装置より取得した異常情報および前記携帯端末により送信された情報に基づいて当該携帯端末の現在位置および異常発生場所が示されたマップ画像を携帯端末の画像表示部に表示させるためのマップ情報を当該携帯端末に送信可能なサーバと、
を備えた位置情報提供システムであって、
前記サーバは、前記監視対象の建造物の階層構造図データと前記携帯端末の現在位置および/または異常発生場所を含むフロアマップデータを対応する携帯端末へ送信可能であり、
前記携帯端末は、前記サーバより受信した前記建造物の階層構造図データと前記フロアマップデータとに基づいて、当該携帯端末の現在位置および/または異常発生場所が示された建造物の階層構造図と当該携帯端末の現在位置および/または異常発生場所が示されたフロアマップとを、前記画像表示部に同時に表示する際に、前記建造物の階層構造図において、異常発生階の表示から前記建造物の外部へ避難可能な階の表示に切り替えて前記携帯端末が存在する階および前記建造物の外部へ避難可能な階を表示することを特徴とする位置情報提供システム。
【請求項7】
前記携帯端末は、前記建造物の階層構造図において、前記携帯端末が存在する階および前記建造物の外部へ避難可能な階とそれ以外の階とを識別可能に表示することを特徴とする請求項6に記載の位置情報提供システム。
【請求項8】
前記携帯端末は、前記建造物の階層構造図において、異常発生階および前記携帯端末が存在する階および前記建造物の外部へ避難可能な階を表示することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の位置情報提供システム。
【請求項9】
前記携帯端末は、前記建造物の階層構造図において、異常発生階および前記携帯端末が存在する階および前記建造物の外部へ避難可能な階とそれ以外の階とを識別可能に表示することを特徴とする請求項8に記載の位置情報提供システム。
【請求項10】
監視対象の建造物の所定箇所に設置された感知器からの検出信号を受信可能な受信機により送信された異常発生場所の情報を含む異常情報に基づいて、前記異常発生場所を判定する異常監視装置と、
無線通信手段および画像表示部を有し前記無線通信手段により自己の識別情報および自己の位置を特定するための情報を送信可能な携帯端末と、
前記異常監視装置より取得した異常情報および前記携帯端末により送信された情報に基づいて当該携帯端末の現在位置および異常発生場所が示されたマップ画像を携帯端末の画像表示部に表示させるためのマップ情報を当該携帯端末に送信可能なサーバと、
を備えた位置情報提供システムであって、
前記サーバは、前記監視対象の建造物の階層構造図データと前記携帯端末の現在位置および/または異常発生場所を含むフロアマップデータを対応する携帯端末へ送信可能であり、
前記携帯端末は、前記サーバより受信した前記建造物の階層構造図データと前記フロアマップデータとに基づいて、当該携帯端末の現在位置および/または異常発生場所が示された建造物の階層構造図と当該携帯端末の現在位置および/または異常発生場所が示されたフロアマップとを、前記画像表示部に同時に表示する際に、異常発生階および前記携帯端末が存在する階および前記建造物の外部へ避難可能な階のうち、各々の階同士が所定階数以上離れている場合には、前記建造物の階層構造図において、該当する階の間の階を省略して表示することを特徴とする位置情報提供システム。
【請求項11】
監視対象の建造物の所定箇所に設置された感知器からの検出信号を受信可能な受信機により送信された異常発生場所の情報を含む異常情報に基づいて、前記異常発生場所を判定する異常監視装置と、
無線通信手段および画像表示部を有し前記無線通信手段により自己の識別情報および自己の位置を特定するための情報を送信可能な携帯端末と、
前記異常監視装置より取得した異常情報および前記携帯端末により送信された情報に基づいて当該携帯端末の現在位置および異常発生場所が示されたマップ画像を携帯端末の画像表示部に表示させるためのマップ情報を当該携帯端末に送信可能なサーバと、
を備えた位置情報提供システムであって、
前記サーバは、前記監視対象の建造物の階層構造図データと前記携帯端末の現在位置および/または異常発生場所を含むフロアマップデータを対応する携帯端末へ送信可能であり、
前記携帯端末は、前記サーバより受信した前記建造物の階層構造図データと前記フロアマップデータとに基づいて、当該携帯端末の現在位置および/または異常発生場所が示された建造物の階層構造図と当該携帯端末の現在位置および/または異常発生場所が示されたフロアマップとを、前記画像表示部に同時に表示する際に、当該携帯端末が存在する階が異常発生階よりも下の階である場合には、前記建造物の階層構造図において、前記異常発生階が一番上に来るように画像を表示することを特徴とする位置情報提供システム。
【請求項12】
前記携帯端末は、当該携帯端末が存在する階と異常発生階とが1階である場合、または異常発生階が地下階である場合には、前記建造物の階層構造図において、少なくとも1階および地下階を表示することを特徴とする請求項1~11のいずれか位置情報提供システム。
【請求項13】
前記携帯端末は、当該携帯端末が存在する階と異常発生階とが1階である場合には、前記建造物の階層構造図において、2階を表示しないことを特徴とする請求項12に記載の位置情報提供システム。
【請求項14】
前記携帯端末は、当該携帯端末が存在する階と異常発生階とが地下階である場合には、前記建造物の階層構造図において、少なくともすべての地下階を表示することを特徴とする請求項12に記載の位置情報提供システム。
【請求項15】
前記携帯端末は、前記建造物の階層構造図において、地上階および地下階を表示する場合には、地上階と地下階とを視覚的に識別可能に表示することを特徴とする請求項1~14のいずれかに記載の位置情報提供システム。
【請求項16】
前記携帯端末に対してプッシュ通知を実行可能なプッシュ通知システムを備え、
前記サーバは、前記異常監視装置より異常発生情報を受信すると、前記プッシュ通知システムに対して携帯端末へのプッシュ通知の実行を要求可能であり、
前記プッシュ通知システムは、前記サーバからの要求に応じて前記携帯端末に対して異常の発生および異常発生場所の情報を伝えるプッシュ通知を実行することを特徴とする請求項1~15のいずれかに記載の位置情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル等の施設内における携帯端末の位置を表示するための情報を提供する位置情報提供システムに関し、特に火災等の異常が検出された場合に異常発生場所を携帯端末の位置と共に表示するための情報を提供する位置情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物内を移動するユーザが円滑に移動できるように支援するために、ユーザが保有するディスプレイへ建物内の地図を提示するナビゲーションシステムに関する発明として例えば特許文献1に記載されている発明がある。
また、消防隊の隊員が建物内での位置や火災発生場所を把握して所定の活動を適切に行えるように支援するために、消防隊員が保有する携帯端末へ位置情報を提供する消防活動支援システムに関する発明として例えば特許文献2に記載されている発明がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-033122号公報
【文献】特開2015-225426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているナビゲーションシステムは、建物内の各フロアの地図およびユーザ位置をディスプレイに表示することができるため、建物内を移動する際には便利であるが、建物内で火災が発生した場合に火災の発生はもちろんのこと火災発生場所をユーザに認知させることができないという課題がある。
一方、特許文献2に記載されている支援システムは、消防隊員が建物内での位置や火災発生場所を把握することはできるものの、建物内にいる一般ユーザには、火災の発生や火災発生場所を認知させることができないという課題がある。
【0005】
また、特許文献2に記載されている支援システムは、消防隊員が保有する携帯端末が建築物の地図情報を記憶する記憶部と、端末位置情報を記憶部から読み出した地図情報と整合するように座標変換する座標変換部とを備える構成であるため、ハードとソフトの両面で携帯端末の負担が大きいという課題がある。
本発明の目的は、建物内で火災等の異常が発生した場合に、異常の発生場所と自身の存在位置を迅速に把握することが可能な位置情報提供システムを提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、消防隊員、一般登録ユーザのいかんにかかわらず、保有する携帯端末により、建物内の各フロアの地図や建物の構造および火災等の異常の発生と火災発生場所を把握することが可能な位置情報提供システムを提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、携帯端末の負担を大きくすることなく、携帯端末ユーザが直感的かつ一目で容易に異常事態を把握できるように、建物内での自己位置や火災等の異常の発生場所を表示させることが可能な位置情報提供システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は、
監視対象の建造物の所定箇所に設置された感知器からの検出信号を受信可能な受信機により送信された異常発生場所の情報を含む異常情報に基づいて、前記異常発生場所を判定する異常監視装置と、
無線通信手段および画像表示部を有し前記無線通信手段により自己の識別情報および自己の位置を特定するための情報を送信可能な携帯端末と、
前記異常監視装置より取得した異常情報および前記携帯端末により送信された情報に基づいて当該携帯端末の現在位置および異常発生場所が示されたマップ画像を携帯端末の画像表示部に表示させるためのマップ情報を当該携帯端末に送信可能なサーバと、
を備えた位置情報提供システムであって、
前記サーバは、前記監視対象の建造物の階層構造図データと前記携帯端末の現在位置および/または異常発生場所を含むフロアマップデータを対応する携帯端末へ送信可能であり、
前記携帯端末は、前記サーバより受信した前記建造物の階層構造図データと前記フロアマップデータとに基づいて、当該携帯端末の現在位置および/または異常発生場所が示された建造物の階層構造図と当該携帯端末の現在位置および/または異常発生場所が示されたフロアマップとを、前記画像表示部に同時に表示するように構成したものである。
【0008】
上記のような構成を有する位置情報提供システムによれば、携帯端末の現在位置や異常発生場所が示された建造物の階層構造図と当該携帯端末の現在位置や異常発生場所が示されたフロアマップとが、携帯端末の画像表示部に同時に表示されるため、建物内で火災等の異常が発生した場合に、異常の発生階と自身の存在階を迅速に把握することができる。また、携帯端末を消防隊員が保有する携帯端末に限定していないため、消防隊員、一般ユーザのいかんにかかわらず、保有する携帯端末により、建物内の各フロアの地図や建物の構造および火災等の異常の発生と異常発生場所を把握することができる。さらに、携帯端末の位置情報を地図情報と整合するように、携帯端末側で座標変換する必要がないため、携帯端末の負担を減らすことができる。
【0009】
ここで、望ましくは、前記画像表示部は、縦と横の比が1:1以外であり、
前記携帯端末は、姿勢判定手段を備え、
前記画像表示部が縦向きの姿勢である場合には、前記画像表示部に、前記建造物の階層構造図と前記フロアマップを縦に並べた状態で表示し、
前記画像表示部が横向きの姿勢である場合には、前記画像表示部に、前記建造物の階層構造図と前記フロアマップを横に並べた状態で表示するように構成する。
かかる構成によれば、1つの画面上に同時に表示される建造物の階層構造図とフロアマップを比較的大きな画像として表示することができる。
【0010】
また、望ましくは、前記携帯端末は、前記建造物の階層構造図を断面図または3次元図として表示するように構成する。
かかる構成によれば、異常の発生階と自身の存在階の空間的な位置関係を、直感的に把握することができる。
ここで、前記マップ情報には前記建造物の外部へ避難可能な階であることを示す情報が含まれており、前記携帯端末は、前記建造物の階層構造図において、前記建造物の外部へ避難可能な階を表示する。
あるいは、前記携帯端末は、前記建造物の外部へ避難可能な階が複数階ある場合には、前記建造物の階層構造図において、前記建造物の外部へ避難可能な階を少なくとも1つまたは2つ以上表示するように構成しても良い。
【0011】
また、望ましくは、前記携帯端末は、前記建造物の階層構造図において、異常発生階および前記携帯端末が存在する階とそれ以外の階とを識別可能に表示するように構成する。
かかる構成によれば、異常の発生階と自身の存在階を迅速かつ正確に把握することができる。
また、望ましくは、前記携帯端末は、前記建造物の階層構造図において、異常発生階の表示から前記建造物の外部へ避難可能な階の表示に切り替えて前記携帯端末が存在する階および前記建造物の外部へ避難可能な階を表示するように構成する。
さらに、前記携帯端末は、前記建造物の階層構造図において、前記携帯端末が存在する階および前記建造物の外部へ避難可能な階とそれ以外の階とを識別可能に表示する。
かかる構成によれば、自身の存在階および建造物の外部へ避難可能な階を迅速かつ正確に把握することができる。
【0012】
さらに、望ましくは、前記携帯端末は、異常発生階および前記携帯端末が存在する階および建造物の外部へ避難可能な階のうち、各々の階同士が所定階数以上離れている場合には、前記建造物の階層構造図において、該当する階の間の階を省略して表示するように構成する。
かかる構成によれば、異常の発生階と自身の存在階および建造物の外部へ避難可能な階を1つの画面上に同時に表示させる際に、画像が必要以上に小さくならないようにすることが可能となる。
【0013】
また、望ましくは、前記携帯端末は、当該携帯端末が存在する階が異常発生階よりも下の階である場合には、前記建造物の階層構造図において、前記異常発生階が一番上に来るように画像を表示するように構成する。
かかる構成によれば、異常の発生階が一番上に来るように階層構造図が表示されることで、階下へ避難するように誘導することができる。
【0014】
また、望ましくは、前記携帯端末は、当該携帯端末が存在する階と異常発生階とが1階である場合、または異常発生階が地下階である場合には、前記建造物の階層構造図において、少なくとも1階および地下階を表示するように構成する。
かかる構成によれば、建造物の外(地上など)へ緊急避難する際やその避難誘導をする際に把握しておく必要がある異常発生階および異常発生階に関連性の強い地下階を迅速にしかも容易かつ正確に表示することができる。
【0015】
また、望ましくは、前記携帯端末は、当該携帯端末が存在する階と異常発生階とが1階である場合には、前記建造物の階層構造図において、2階を表示しないように構成する。
かかる構成によれば、建造物の外(地上など)へ緊急避難する際やその避難誘導をする際に把握しておく必要がある異常発生階および異常発生階に関連性の強い地下階を迅速にしかも容易かつ正確に表示することができる。
【0016】
ここで、前記携帯端末は、当該携帯端末が存在する階と異常発生階とが地下階である場合には、前記建造物の階層構造図において、少なくともすべての地下階を表示するようにしても良い。これにより、地下で異常が発生したことおよび地下階の構造を的確に表示することができる。
また、望ましくは、前記携帯端末は、前記建造物の階層構造図において、地上階および地下階を表示する場合には、地上階と地下階とを視覚的に識別可能に表示するように構成する。
かかる構成によれば、地下階と地上階の境界を迅速かつ正確に認識させることができる。
【0017】
また、望ましくは、前記携帯端末に対してプッシュ通知を実行可能なプッシュ通知システムを備え、
前記サーバは、前記異常監視装置より異常発生情報を受信すると、前記プッシュ通知システムに対して携帯端末へのプッシュ通知の実行を要求可能であり、
前記プッシュ通知システムは、前記サーバからの要求に応じて前記携帯端末に対して異常の発生および異常発生場所の情報を伝えるプッシュ通知を実行するように構成する。
【0018】
上記のような構成によれば、位置情報用のサーバから携帯端末へ所定の時間間隔で定期的にマップ情報が送信される場合にも、火災等の異常が発生するとプッシュ通知システムから直ちに携帯端末へ異常の発生を知らせるプッシュ通知が実行されるため、携帯端末保有者は異常の発生を速やかに知ることができる。しかも、携帯端末へ異常の発生を知らせるプッシュ通知を行うシステムとして、既存のプッシュ通知システムや地図情報配信システム(位置情報システム)を利用することができ、位置情報システムを構成するサーバ等のプログラムを大幅に改変したり新たなシステムを追加したりすることなく、携帯端末によって異常の発生および異常発生場所を速やかに伝達して表示させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る位置情報提供システムおよび携帯端末によれば、対応する位置情報・防 災アプリケーション・プログラムをインストールした消防隊員、一般登録ユーザが保有する携帯端末により、建物内の各フロアの地図や建物の構造および火災等の異常の発生と異常発生場所を認知させることができる。また、携帯端末の負担を大きくすることなく、携帯端末ユーザが直感的かつ一目で容易に異常事態を把握できるように、建物内での自己位置や火災等の異常の発生場所を表示させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る位置情報提供システムの一実施形態を示すブロック図である。
図2】実施形態の位置情報提供システムを構成する位置情報サーバと携帯端末との間および各サーバ間における通信シーケンスの一例を示す図である。
図3】携帯端末におけるディスプレイへの地図情報の表示例を示す図である。
図4】携帯端末のディスプレイに表示される画像の他の例を示す図である。
図5】携帯端末のディスプレイに表示される画像の他の例を示す図である。
図6】携帯端末のディスプレイに表示される画像の他の例を示す図である。
図7】携帯端末のディスプレイに表示される画像の他の例を示す図である。
図8】携帯端末のディスプレイに表示される画像の他の例を示す図である。
図9】携帯端末のディスプレイに表示される画像の他の例を示す図である。
図10】携帯端末のディスプレイに表示される画像の他の例を示す図である。
図11】携帯端末のディスプレイに表示される画像の他の例を示す図である。
図12】携帯端末のディスプレイに表示される画像の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明を適用した位置情報提供システムの実施形態について説明する。図1は、本実施形態の位置情報提供システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
本実施形態の位置情報提供システムは、図1に示すように、建物内部の所定エリア内の複数の箇所に配設されているビーコン(発信器)10からの信号(電波)を受信可能な携帯端末20と、携帯電話基地局30及びインターネット等の通信ネットワークNを介して携帯端末20との間でデータ通信を行う位置情報サーバ40と、建物内部の所定エリア内の複数の箇所に配設されている火災感知器50からの火災検出信号を受信可能な火災受信機60と、ゲートウェイ(中継器)70及び通信ネットワークNを介して火災受信機60との間でデータ通信を行う防災管理サーバ80と、通信ネットワークNを介して携帯端末20へメッセージを直接送信可能なプッシュ通知システム90などから構成されている。
なお、通信ネットワークNは、セキュアな回線によるネットワークでも良いし、一部が独立した回線によるネットワークを使用しても良い。
【0022】
プッシュ通知システム90は、API(アプリケーションプログラミングインターフェース)機能、プッシュ通知を送信する機能、送信するメッセージや送信時間を管理する管理機能などを備えたサーバ(プッシュ通知実行サーバ)91と、プログラム等を記憶した記憶装置92などにより構成することができる。また、プッシュ通知システム90には、既存のシステムを利用することができる。その場合、プッシュ通知システム90は、後に説明する火災発生の通知の他、他のシステムからの要求に応じて、例えば地震速報などの情報を、携帯端末がアプリを起動していない状態であっても通知することができる。
なお、上記位置情報サーバ40とプッシュ通知実行サーバ91は1つの支援サーバとして構成しても良い。防災管理サーバ80も同様に、位置情報サーバ40やプッシュ通知実行サーバ91と共通の支援サーバとして構成しても良い。
【0023】
携帯端末20へ無線信号(機器IDや設備情報などの固有情報)を発信するビーコン10の通信方式としては、例えばBluetooth(登録商標)通信やIEEE 802.11規格に従ったWiFi等の無線LAN、赤外線通信、可視光通信など公知の通信方式を利用することができる。ビーコン10を配置する間隔は特に限定されないが、以下の説明では、隣接するそれぞれのビーコン10の通信範囲が建物内の空間を網羅できるように配置されているものとする。
【0024】
具体的には、もともと建物内には所定の間隔をおいて火災感知器50やスプリンクラーヘッドが設置されているので、それらの機器に内蔵もしくは付加する形態で取り付けたビーコン10、あるいは、それらの機器の近傍に設置する形態で取り付けたビーコン10を利用することができる。
ビーコン10は、電源に関する情報(内蔵電池情報又は外部電源情報)と自己の識別情報とを無線信号に乗せて定期的に周囲に発信する発信部を備える。ビーコン10が無線で発信する信号(ビーコン信号)には、少なくとも当該ビーコン10の識別情報(発信器の機器ID)が含まれていれば良く、さらに、設置されているエリアに関する情報が含まれても良い。したがって、電源に関する情報は含まれていなくても良い。
【0025】
携帯端末20は、ビーコン10からの信号を受信する受信機能と、無線通信機能とを備えるスマートフォン等の機器であり、CPUなどからなる制御部と、半導体メモリなどからなる記憶部と、通信モジュールなどからなる通信部と、操作部および表示部とを備える。本実施例では、このうち、操作部および表示部は、タッチパネル式ディスプレイにより構成される。また、携帯端末20は、ジャイロセンサや加速度センサ等のセンサおよび該センサからの信号に基づいて姿勢を判定する姿勢判定手段を備える。
なお、後述する携帯端末のディスプレイに階層構造図とフロアマップの縦並び表示や横並び表示を、携帯端末の姿勢に応じて表示切替え可能としない場合や高層ビルに関する階層構造図面の表示では縦並び表示が好適で横並び表示が不要な場合には、上記の姿勢判定手段は必須要件ではない。
【0026】
また、携帯端末20のメモリには、定期的にビーコン10から無線で発信されるビーコン信号を受信して当該ビーコン信号に含まれる識別情報(機器ID)等を抽出するとともに、当該ビーコン信号の受信電波強度を検出し、識別情報等と受信電波強度とを含むビーコン情報および自携帯端末固有の識別情報(端末ID)を位置情報サーバ40へ送信する処理と、位置情報サーバ40から送信されたフロアマップ情報に基づくフロアマップ画像を画面に表示する処理とを実行するアプリケーション・プログラム(位置情報表示アプリ)が格納されている。
【0027】
また、携帯端末20は、複数のビーコン10(通信範囲が互いに重なるビーコン10)から発信されるビーコン信号を受信した場合には、それぞれのビーコン情報を位置情報サーバ40へ送信する。したがって、ビーコン信号の受信器が、自己の位置情報を取得する測位手段となる。
測位手段は、ビーコン信号の受信器に限定されず、GPS(全地球測位システム)の電波を受信可能なGPS受信器であっても良い。なお、GPS受信情報を用いて自己の位置情報を取得する場合、GPS受信情報は緯度経度情報であるので、携帯端末のディスプレイに端末位置を表示させる際に緯度経度情報を携帯端末における表示上の座標系の座標値に変換する必要がある。本実施形態においては、かかる座標変換処理を携帯端末側でなく、位置情報サーバ40側において行う。これにより、携帯端末のソフト的な負担を軽減することができる。
【0028】
火災感知器50は、例えば、熱、煙、炎、COガスなどの火災に伴う異常現象の発生を検出すると、火災検出信号を、感知器回線51を介して火災受信機60に送信する。なお、感知器回線51の途中には、中継器が設けられていることもある。火災感知器50は、火災検出信号に自己の設置アドレスを付加するタイプの感知器であっても良いし、火災検出信号に自身の設置アドレスを付加しないタイプの感知器であっても良い。
【0029】
火災受信機60は、火災感知器50からの火災検出信号を受信した場合に、表示部に火災報知表示を行うとともに、地区ベル鳴動や防排煙連動などの制御を行う。さらに、火災受信機60は、火災の発生場所情報や発生時刻情報などを含む火災情報を、ゲートウェイ70及び通信ネットワークNを介して防災管理サーバ80へ送信する。
なお、火災受信機60は、火災検出信号に火災感知器50の設置アドレスが付加されている場合には、当該設置アドレスに基づいて火災の発生場所を特定する。一方、火災検出信号に火災感知器50の設置アドレスが付加されていない場合には、当該火災検出信号を伝送した感知器回線51(警戒区域)に基づいて火災の発生場所を特定する。
【0030】
位置情報サーバ40は、CPUなどからなる制御部と、CPUが実行するプログラムを格納した記憶部と通信部などを有する。また、位置情報サーバ40は、当該位置情報サーバ40が管理する建物の各フロアの地図情報(フロアマップ)と、携帯端末固有の識別情報(端末ID)と、携帯保有者(携帯端末保有者)の権限や資格等の属性に関する情報(携帯保有者属性情報)または携帯保有者種別情報と紐づけした表示範囲指定テーブルとを記憶するデータベース41を備えている。
上記のように、位置情報サーバ40側に地図情報を記憶しておくことにより、携帯端末20のメモリに予め地図情報を記憶しておく必要がなくなり、携帯端末のハード的な負担を軽減することができる。また、更新も容易である。なお、各フロアの地図情報(フロアマップ情報)には、各フロアに設置されているビーコン10の機器ID及び設置位置情報などが含まれる。
【0031】
また、位置情報サーバは、対象の建造物の地図情報の他に、建造物の敷地エリアの地図情報や、対象建造物周囲の他の建造物等のフロアなどの地図情報を保有しており、対象の建造物から外部へ避難可能な階の情報(マップ情報・フロア情報)を記憶している。例としては、1Fや2F、あるいは2棟の高層ビル間を高層階において連絡可能とする連絡通路が連設されている場合や、建造物の地下階から地下街へ通ずる通路などが該当する。これにより、後述する携帯端末における階層構造図の表示において、水平避難で建造物の外側の敷地又は他の建造物へ避難可能な階が表示可能となる。
【0032】
位置情報サーバ40は、携帯端末20からビーコン10の機器IDおよび端末IDを受信すると、受信したビーコンの機器IDとデータベース41に記憶されている情報に基づいて当該携帯端末20の現在位置を算出する。そして、データベース41から当該携帯端末20が位置しているフロアのマップ情報を読み出し、読み出したフロアマップに当該携帯端末20の現在位置を示すマーク(アイコン)を付記してフロア表示情報を生成し、生成したフロア表示情報を、端末IDを送信してきた携帯端末20に対して送信する処理を実行する。これにより、当該携帯端末20には、当該携帯端末20の現在位置を示すフロアマップ画像が表示される。
【0033】
次に、図2を用いて、上記実施形態の位置情報提供システムにおける位置情報サーバ40と携帯端末20との間および各サーバ40、80とプッシュ通知システム90との間の通信シーケンスの概略について説明する。
火災のない通常の状況においては、所定エリア内で携帯端末20が汎用地図アプリを起動すると、携帯端末20は、近傍のビーコン10から機器IDを受信し、受信した機器IDおよび自身の端末IDを位置情報サーバ40へ送信する(#1)。
【0034】
すると、位置情報サーバ40は、受信したビーコン機器IDからIDを送信してきた携帯端末20の位置を把握して、データベース41からマップ情報を読み出し、マップ上の端末の位置にアイコン等を付記した地図データを作成して当該携帯端末20へ送信する(#2)。携帯端末20は、定期的(例えば1分おき)にビーコン機器IDを位置情報サーバ40へ送信し、位置情報サーバ40はそれに応じて上記地図データの送信を定期的に実行する。所定エリア内に汎用地図アプリを起動した複数の携帯端末20が存在する場合には、位置情報サーバ40は上記地図データの送信を、エリア内のすべての携帯端末20に対して実行する。なお、位置情報サーバ40は、携帯端末20からのIDを受信しなくても、所定エリア内の携帯端末へマップ情報を定期的(例えば1分おき)に送信するように構成しても良い。
【0035】
火災が発生して、火災受信機60がそれを検知すると防災管理サーバ80へ火災発生および発生場所を含む火災情報を送信する(#3)。すると、防災管理サーバ80は、位置情報サーバ40へ火災発生および発生場所の情報を送信する(#4)。
すると、位置情報サーバ40は、既に把握しているエリア内の携帯端末20の端末IDに基づいて、データベース41内のテーブルを参照して携帯保有者の属性または種別を判断し、火災の発生を通知すべき携帯端末を選別して、プッシュ通知システム90に対して選別した携帯端末への火災発生のプッシュ通知要求を行う(#5)。
【0036】
要求を受けたプッシュ通知システム90は、直ちに(例えば1秒以内に)選別携帯端末へ火災の発生を知らせるプッシュ通知を行う(#6)。すると、プッシュ通知を受けた携帯端末20は、スピーカを鳴動させるとともに火災の発生を知らせるメッセージを表示部に表示する(#7)。これにより、携帯保有者は、火災の発生を速やかに知ることができる。なお、バイブレーション機能で携帯端末を振動させても良い。これらは端末に搭載されている機能で、端末の仕様に依存する。
その後、位置情報サーバ40は、定期送信タイミングになると、携帯端末20の現在位置を示すアイコンおよび火災発生場所に火災を示すアイコン等を付記した地図データ(フロアマップデータ)および建物の階層構造図データを作成して当該携帯端末20へ送信する(#8)。これにより、携帯保有者は、自己の位置および火災の発生場所を知ることができる。なお、建物の階層構造図データは、広義の地図データに含まれる。
【0037】
なお、位置情報サーバ40は、定期送信タイミングで各データを送信する以外にも、サーバの操作部による送信指示入力または携帯端末操作による指示入力を受ける等手動によって送信しても良い。また、上記のプッシュ通知と同時に表示画面が各種地図情報を画面表示するように遷移しても良い。
また、位置情報サーバ40が火災発生場所に火災を示すアイコン等を付記した地図データを作成する際においては、携帯端末20から送られてくる発信器の機器IDおよび端末IDに基づいて、データベース41内の表示範囲指定テーブルを参照して携帯保有者の属性または種別に応じて表示する設備の情報を読み出し、当該携帯端末の表示データを生成して送信するようにしてもよい。
【0038】
ここで、表示範囲指定テーブルは、建物の各フロアに設けられている設備等のアイテムをフロアマップ上に表示するか否かに関する情報であり、例えばホテルや居住区、オフィス、病院、商業施設(店舗)などの施設ごとに、利用者(訪問者)やスタッフ、管理者(責任者)のような属性の異なる携帯保有者の保有する携帯端末に表示するフロアマップ上に表示する設備(通路やエレベータのような共用部など)の範囲が、平時と有事に分けて登録されている。
したがって、本実施形態の位置情報提供システムによれば、携帯保有者の属性(権限、資格等)によって異なる地図情報を表示させることができる。なお、消火用機器(消火器・消火栓に関する情報)や一時避難を含む避難に関する情報を属性により表示しても良い。
なお、上記において、表示の手法について説明したが、通知についても属性によって異なる通知が可能である。
【0039】
次に、位置情報サーバ40より地図データ(フロアマップデータ)および建物の階層構造図データを受信した携帯端末20におけるディスプレイへの情報の表示の仕方について説明する。
図3は、地図データ(フロアマップデータ)および建物の階層構造図データを1つの画面DSに同時に表示するようにしたものであり、携帯端末20の保有者がディスプレイを縦にした姿勢で端末を保持している場合には、図3(A)に示すように、階層構造図とフロアマップが縦方向に並んで表示される。
一方、携帯端末20の保有者がディスプレイを横にした姿勢で端末を保持している場合には、図3(B)に示すように、階層構造図とフロアマップが横方向に並んで表示される。なお、図3(A)では、階層構造図を画面DSの上半分に表示しフロアマップを画面DSの下半分に表示しているが、逆であっても良い。また、図3(B)では、階層構造図を画面DSの右側に表示しフロアマップを画面DSの左側に表示しているが、逆であっても良い。
【0040】
さらに、火災が発生した階と自身が存在する階とが異なる場合には、図3(A)または(B)に示すように、先ずフロアマップとして火災が発生した階(図では1階)が表示される。そして、携帯端末20の保有者がディスプレイ上の階層構造図において自身が存在する階(図では1階)を触れると、表示されるフロアマップが、火災発生階から自身が居る階に切り替わるように構成されている。なお、火災が発生した階と自身が存在する階とが同じである場合には、図4に示すように、フロアマップとして火災のマークと自己のマークが付された火災発生階(図では2階)のマップが表示される。
また、図3(A)または(B)において、フロアマップの画像を触れると、当該フロアマップが拡大されて画面全体に表示されるとともに、フロアマップの一部を触れると、当該部位が拡大されて表示されるように構成されている。
【0041】
図5図8には、位置情報サーバ40より地図データ(フロアマップデータ)および建物の階層構造図データを受信した携帯端末20におけるディスプレイへの情報表示の他の例が示されている。このうち図5は、建物の構造を、壁を省略して内部を透視した3次元図として表示するようにしたものである。
なお、図5に示されるように、建造物は、通常各階に二方向へ避難可能な非常階段等の避難口(非常出口)が設けられるが、本実施形態の説明においては、説明上、省略して各階一カ所のみ避難口を表示している図もある(図6等)。
図5の表示画面DSにおいても、火災のマークまたは自己(もしくは携帯端末)のマークが付されたフロア画像部を触れると、例えば図3(A)の下側に示すような当該フロアの詳細なマップが表示されるように構成されている。
【0042】
また、図5(B)の1Fおよび4Fにおける点線部および矢印で示されるように、1Fと4Fが建造物の外部へ避難可能(退避可能)な階であることを示す図が表示されるようにしても良い。このように表示すると携帯端末の保有者は、直感的に自身が居る階および出火階(異常発生階)および建物外部へ避難可能な階を一目で直感的に把握することができ、最適な避難経路・方法を確認することができる。
なお、サーバが異常発生情報を把握した場合には、異常発生した旨および異常発生階の情報を文字情報のみで携帯端末に送信し、携帯端末は、自機が存在する階(携帯端末保有者が居る階)と避難可能階を表示するようにしても良い。
さらに、図6(A)に示すように、火災が発生した階と自身が居る階を強調表示したり、図6(B)に示すように、火災が発生した階と自身が居る階以外はブラックアウト表示したりするようにしても良い。図3図4の表示においても同様である。また、拡大表示する際に、3D画像上の各階層図に平面図のように詳細なマップを表示しても良い。
【0043】
また、本発明のシステムが適用された建造物が高層ビル等であって、自機端末の存在階が例えば5Fで出火階が例えば30Fのように、かけ離れている場合には、図7(A)に示すように、中間階の表示を省略するようにしても良い。自機端末の存在階が例えば30Fで出火階が例えば5Fのように、かけ離れている場合も同様である。
また、本発明のシステムが適用された建造物が高層ビル等であって、自機端末の存在階と出火階がかけ離れていたり、自機端末の存在階が比較的高く当該階(例えば6F)と避難階1階部分を、1つの画面上に同時に表示できないような場合には、図7(B)に示すように、スクロールバーSBを表示させて他の階を表示可能に構成しても良い。この場合、スクロールバーを下方へ操作して避難口のマークが表示されている階(例えば1階)を表示させて避難ルートを確認したり、スクロールバーを上方へ操作して出火階を表示させて確認したりすることができる。この時、省略している旨が分かるように、例えば図7(A)に示されているのと同様な二重波線(省略波線)等を表示すると良い。
【0044】
なお、図5(B)のように、建物外部へ避難可能な階を表示しても良く、この場合は、出火階、携帯端末の存在階および避難可能階を抽出し、これらの階以外の階については上記と同様に省略して、防災情報および避難に重要となる階の表示のみを携帯画面に表示することにより、一目で、危険な階に通ずる避難経路を回避して最適な避難経路・方法を確認することができる。
自機端末の存在階が出火階よりも下の階である場合、スクロール表示に際しては、出火階でスクロールを強制的に停止して、出火階よりも上の階の表示を行わないようにしても良い。スクロールバーの表示をしない場合も同様に、自機端末の存在階が出火階よりも下の階である場合には、図8(A)~(C)に示されているように出火階よりも上の階の表示を行わないようにする。
【0045】
また、自機端末の存在階もしくは出火階が地下階である場合には、図9(A),(B)に示すように、1階部分を表示するとともに、1階(1F)と地下1階(B1)との間に境界線BLを表示したり、地下階画像の背景色を地上階画像の背景色よりも暗い色で表示したりして、地下であることを直感的に把握できるように表示すると良い。
さらに、上述の1階(1F)のように建物(建造物)の外部へ避難可能な階を識別表示または強調表示しても良い。この場合、建物外部へ避難可能な階としては、1Fや2Fがあり、また、ツインタワーの高層階での連絡通路を有する建造物の場合には、それらの連絡階が識別可能に表示される。そして、これらの避難可能な階を自機端末の存在階もしくは出火階と同様に表示しても良いし、異なる表示(強調表示含む)をしても良い。
【0046】
さらに、出火階及び自機端末の存在階が1階である場合には、図10(A)に示すように、少なくとも1階及び地下階を表示する。2階部分の表示は任意であり、2階を表示してもよいし、図10(B)に示すように、2階を表示しないようにしても良い。さらに、図10(B)に示すように、避難可能な階および避難方向や避難経路を表示するようにしても良い。
また、出火階が地下階である場合には、図11(A)に示すように、全ての地下階を表示する。また、出火階が地下階(例えばB3)であり自機端末の存在階が1階である場合には、図11(B)に示すように、全ての地下階を表示する。そして、この場合、自機端末は表示しなくても良いし、図12(A)に示すように2階を表示しても、図12(B)に示すように2階を表示しないようにしても良い。
建物外部へ避難可能であることを示すマップ情報を加えて(重ねて)表示しても良い。
【0047】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記実施形態では、監視対象の建造物が高層階である場合に、一部の階のみを建物の階層構造図(断面図)に表示するようにしているが、建物全体(全階)の階層構造図(断面図)に表示するようにしても良い。その場合、階層構造図の一部を触れると、当該部位が拡大表示されるようにすると良い。
また、上記実施形態では、異常監視装置の例として火災監視装置を使用した場合を説明したが、異常は火災に限定されず有害ガスの洩れなどによる異常の発生を感知した場合に適用しても良い。
【符号の説明】
【0048】
10 ビーコン(発信器)
20 携帯端末
40 位置情報サーバ(サーバ)
41 データベース(携帯保有者・施設情報記憶手段)
50 火災感知器
60 火災受信機(受信機)
80 防災管理サーバ(異常監視装置)
81 データベース(設備・機器情報記憶手段)
90 プッシュ通知システム
91 プッシュ通知実行サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12