(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】複合材部品製造用の拡張現実システム
(51)【国際特許分類】
G06T 19/00 20110101AFI20240422BHJP
G01B 11/24 20060101ALI20240422BHJP
B64F 5/10 20170101ALI20240422BHJP
【FI】
G06T19/00 600
G01B11/24 A
B64F5/10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019191722
(22)【出願日】2019-10-21
【審査請求日】2022-10-12
(32)【優先日】2018-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ラフリン, ブライアン デール
(72)【発明者】
【氏名】スケルトン, メリッサ マーガレット
【審査官】中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/084142(WO,A1)
【文献】特表2015-515655(JP,A)
【文献】米国特許第08902254(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 19/00
G01B 11/24
B64F 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツール(306)上のレイアップ位置(304)に関するタスク情報(302)を可視化するための方法であって、
スキャンデータ(314)を生成するために、前記ツール(306)に対する種々の視点(312)において、作業人員(204)が装着している携帯用コンピュータ装置(214)を使用して、ツール(306)をスキャンすることと、
前記携帯用コンピュータ装置(214)によって生成された前記スキャンデータ(314)から、コンピュータシステム(218)によって、点群(318)を作成することと、
前記コンピュータシステム(218)によって、前記点群(318)を使用して、前記ツール(306)の結合マップ(316)を作成することと、
前記ツール(306)の前記結合マップ(316)を使用して、複数の前記携帯用コンピュータ装置(214)のうちの1つの携帯用コンピュータ装置(238)の、前記ツール(306)に対する自己位置推定を行うことと、
前記ツール(306)の前記結合マップ(316)と複合材プライ(308)のプライモデル(324)とを使用して自己位置推定が行われた前記携帯用コンピュータ装置(238)内の、ディスプレイ装置(328)を通じて見ることができるライブビュー(326)上に、前記ツール(306)上の前記レイアップ位置(304)に関する前記タスク情報(302)を、前記携帯用コンピュータ装置(238)によって表示することであって、表示されたタスク情報(302)が前記ツール(306)の前記ライブビュー(326)を拡張する、前記タスク情報(302)を表示することと、を含む方法。
【請求項2】
前記ツール(306)上の前記レイアップ位置(304)のライブビュー(326)上に表示された前記タスク情報(302)内のガイドを使用して、複合材プライを配置することをさらに含み、前記ガイドが前記ツール(306)上に任意の数の複合材プライ(308)を配置することを補助する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ツール(306)上の前記レイアップ位置(304)に関する前記タスク情報(302)を表示することが、
前記複合材プライ(308)の前記プライモデル(324)中の前記レイアップ位置(304)を特定することと、
前記プライモデル(324)及び前記結合マップ(316)を使用して、任意の数の前記複合材プライ(308)用の任意の数のガイド(330)に関する前記ライブビュー(326)上のレイアップ位置(304)を決定することと、
自己位置推定されている前記携帯用コンピュータ装置(238)内の前記ディスプレイ装置(328)を通じて見ることができる前記ツール(306)の前記ライブビュー(326)上の前記レイアップ位置(304)において、前記任意の数の前記複合材プライ(308)用の前記任意の数のガイド(330)を、前記携帯用コンピュータ装置(238)によって表示することであって、前記任意の数のガイド(330)が、前記ツール(306)上に前記任意の数の前記複合材プライ(308)を設置することを補助する、前記任意の数のガイド(330)を表示することと、
を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
自己位置推定が行われた前記携帯用コンピュータ装置(238)内の前記ディスプレイ装置(328)を通じて見ることができる前記ツール(306)の前記ライブビュー(326)上の前記レイアップ位置(304)において、任意の数の複合材プライ(308)用の前記任意の数のさらなるガイドを、前記携帯用コンピュータ装置(238)によって表示することであって、前記任意の数のさらなるガイドが、前記ツール(306)上の任意の数の複合材プライ(308)の前記任意の数の先行する配置を示している、前記任意の数のさらなるガイドを表示すること
をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ツール(306)上の前記レイアップ位置(304)に関するタスク情報(302)を表示することが、
前記任意の数の前記複合材プライ(308)の配置に関するプライ数、命令、画像、または映像のうちの少なくとも1つを表示することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記点群(318)を使用して、前記ツール(306)の前記結合マップ(316)を作成することが、
複数のマップ(320)を形成するため、複数の前記点群(318)中の各点群からマップを作成することと、
前記ツール(306)の前記結合マップ(234)を形成するため、前記複数のマップ(320)を結合することと
を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記結合マップ(316)を形成するために前記複数のマップ(320)を結合することが、
前記複数のマップ(320)中の共通基準点を特定することと、
前記共通基準点を使用して前記複数のマップ(320)を結合することであって、異なる視点(312)から生成されたスキャンデータ(314)から作成された前記複数のマップ(320)によって前記結合マップ(316)の正確性が向上されている、前記複数のマップ(320)を結合することとを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ツール(306)の前記結合マップ(316)を使用して、複数の前記携帯用コンピュータ装置(214)内の1つの携帯用コンピュータ装置(238)の、前記ツール(306)に対する自己位置推定を行うことが、
前記結合マップ(316)及び、自己位置推定とマッピングの同時実行プロセス(240)を使用して、複数の前記携帯用コンピュータ装置(214)内の1つの前記携帯用コンピュータ装置(238)の、前記ツール(306)に対する自己位置推定を行うことを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
レイアップ位置(304)に関するタスク情報(302)が、複合材部品(310)の製造または前記複合材部品(310)のリワークのうちの少なくとも1つに関して、複合材プライをレイアップするためのガイドであり、前記ツール(306)が
、マンドレル、金型、複合材ツール(306)を含む群から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記携帯用コンピュータ装置(214)が、スマートグラス(120、122、406、408)、携帯電話(118)、タブレットコンピュータ(116)、またはヘッドマウントディスプレイのうちの少なくとも1つから選択され、前記携帯用コンピュータ装置(214)が
、レーザースキャナー、構造化光三次元スキャナー、または赤外線スキャナーのうちの少なくとも1つを使用して前記ツール(306)をスキャンする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ツール(306)上のレイアップ位置(304)を可視化するための拡張現実システムであって、
スキャンデータ(314)を生成するため、前記ツール(306)に対する種々の視点(312)において、作業人員(204)が装着している携帯用コンピュータ装置(214)を使用して、スキャンデータ(314)を受信することと、
前記携帯用コンピュータ装置(214)によって生成された前記スキャンデータ(314)を使用して、前記ツール(306)の複数のマップ(320)を作成することと、
前記ツール(306)の結合マップ(316)を形成するために前記複数のマップ(320)を結合することと、
プライモデル(324)内の前記レイアップ位置(304)に関するタスク情報(302)を特定することと、
前記ツール(306)上の前記レイアップ位置(304)の前記タスク情報(302)を、複数の前記携帯用コンピュータ装置(214)の中の1つの携帯用コンピュータ装置(238)に送信することとを行うように動作するコンピュータシステム(218)を備え、
前記携帯用コンピュータ装置(238)が、前記ツール(306)の前記結合マップ(316)及び複合材プライ(308)のプライモデル(324)を使用して自己位置推定が行われた前記携帯用コンピュータ装置(
238)内の、ディスプレイ装置(328)を通じて見ることができるライブビュー(326)上に、前記ツール(306)の前記レイアップ位置(304)に関する前記タスク情報(302)を表示する、拡張現実システム。
【請求項12】
拡張現実システムであって、前記携帯用コンピュータ装置(238)をさらに備え、前記携帯用コンピュータ装置(238)が、前記複合材プライ(308)の前記プライモデル(324)中の前記レイアップ位置(304)を特定することと、前記プライモデル(324)及び前記結合マップ(316)を使用して、任意の数の前記複合材プライ(308)用の任意の数のガイド(330)に関する、前記ライブビュー(326)上の位置を決定することと、自己位置推定が行われた前記携帯用コンピュータ装置(238)内の前記ディスプレイ装置(328)を通じて見ることができる前記ツール(306)の前記ライブビュー(326)上の前記位置において、前記任意の数の前記複合材プライ用の前記任意の数のガイド(330)を表示することであって、前記任意の数のガイド(330)が、前記ツール(306)上に前記任意の数の複合材プライ(308)を配置するためのガイドである、前記任意の数のガイド(330)を表示することと、
前記任意の数の前記複合材プライ(308)を配置するための、プライ数、命令、画像、または映像のうちの少なくとも1つを表示する、
請求項11に記載の拡張現実システム。
【請求項13】
前記スキャンデータ(314)が点群(318)を含み、前記結合マップ(316)を作成する際、前記コンピュータシステム(218)が、
複数のマップ(320)を形成するため、複数の前記点群(318)中の各点群からマップを作成することと、
前記結合マップ(316)を形成するため、前記複数のマップ(320)を結合することと
を行うように動作する、請求項11または12に記載の拡張現実システム。
【請求項14】
前記結合マップ(316)を形成するために前記複数のマップ(320)を結合する際に、前記コンピュータシステム(218)が、前記複数のマップ(320)中の共通基準点を特定することと、
前記共通基準点を使用して前記複数のマップ(320)を結合することであって、種々の視点(312)から生成されたスキャンデータ(314)から作成された前記複数のマップ(320)によって前記結合マップ(316)の正確性が向上されている、前記複数のマップ(320)を結合することと
を行うように動作する、請求項11から13のいずれか一項に記載の拡張現実システム。
【請求項15】
複数の前記携帯用コンピュータ装置(214)内の1つの携帯用コンピュータ装置(238)が、前記結合マップ(316)、及び自己位置推定とマッピングの同時実行プロセス(240)を使用して、前記ツール(306)に対する自己位置推定を行う、請求項11から14のいずれか一項に記載の拡張現実システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して複合材部品の製造に関し、具体的には、拡張現実システムを使用した複合材部品を製造するための方法、機器、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
複合材部品は、ツール上に複合材料のプライをレイアップすることによって製造される。プライは、配置されるのに先立って、樹脂にプレ含浸され得る。これらのタイプのプライは、プリプレグと呼ばれる。プライがツール上にレイアップされた後、層が硬化され、複合材部品が形成される。
【0003】
プライをその複合材料用に指定された正しい位置、順序、及び配向でレイアップすることは、所望の水準のできばえを手に入れるために重要である。今日では、プライが作業人員によって配置される際、プライは、プライ配置用のガイドを表示するためのオーバーヘッドレーザートラッカー(OLT)を使用して、ツール上に配置される。このオーバーヘッドレーザートラッカーによって、ツール上にプライを配置する際の正確性が向上する。
【0004】
オーバーヘッドレーザートラッカーは、レイアップ領域の上方に取り付けられたレーザープロジェクター、コンピュータコントローラ、及び一組の再帰反射式の位置合わせ用ピンまたは基準マーカーを備える。位置合わせ用ピンまたは基準マーカーは、ツール上に置かれており、三次元空間上でツールの位置を定めるための基準点として使用される。レーザープロジェクターは、プライの配置を特定する外形を、ツール上に表示する。
【0005】
このタイプのシステムは効果的であるが、専用のスペースを必要とする。例えば、レーザープロジェクターは、プライをレイアップするのに使われるツールの上方に、固定スペースを必要とする。さらに、オーバーヘッドレーザートラッカーをツールの上方に設置することが必要になる。加えて、オーバーヘッドレーザートラッカーは、購入費用が高価であり、較正及び他の整備もまた必要とする。
【0006】
したがって、上記の問題点のうちの少なくともいくつかと、起こり得る他の問題点を考慮に入れた、方法及び装置を手に入れることが望ましいであろう。例えば、ツール上にプライを配置するためのガイドを提供することに伴う技術的な問題を克服する、方法及び機器を得ることが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0007】
本開示の一実施形態は、ツール上のレイアップ位置に関するタスク情報を可視化する方法を提供する。スキャンデータを生成するため、ツールに対する種々の視点において、作業人員が装備する携帯用コンピュータ装置を使用して、ツールがスキャンされる。携帯用コンピュータ装置によって生成されたスキャンデータから、コンピュータシステムによって点群が作成される。点群を使用して、コンピュータシステムによってツールの結合マップが作成される。ツールの結合マップを使用して、複数の携帯用コンピュータ装置のうちの1つの、ツールに対する自己位置推定が行われる(is localized)。ツールの結合マップ及び複合材プライのプライモデルを使用して自己位置推定が行われた携帯用コンピュータ装置内の、ディスプレイ装置を通じて見ることができるライブビュー上に、ツール上のレイアップ位置に関するタスク情報が表示される。表示されたタスク情報によって、ツールのライブビューが拡張される。
【0008】
本開示の別の実施形態は、タスク位置のライブビューを拡張するための方法を提供する。携帯用コンピュータ装置の、ある対象物に対する自己位置推定が行われた。可視化されたタスク位置が、対象物のモデル及び対象物の結合マップを使用して、タスクを実施するための対象物のライブビュー上に表示される。結合マップは、対象物に対する種々の視点において、携帯用コンピュータ装置によって対象物をスキャンすることによって、生成される。
【0009】
さらなる別の実施形態は、ツール上のレイアップ位置を可視化するための拡張現実システムを提供する。拡張現実システムは、スキャンデータを生成するため、ツールに対する種々の視点において作業人員が装備する携帯用コンピュータ装置からスキャンデータを受信するように動作する、コンピュータシステムを備える。コンピュータシステムは、携帯用コンピュータ装置によって生成されたスキャンデータを使用して、ツールの複数のマップを作成し、ツールの結合マップを形成するためにこの複数のマップを結合するように動作する。コンピュータシステムは、プライモデル中のレイアップ位置に関するタスク情報を特定するように動作する。コンピュータシステムは、ツール上のレイアップ位置のタスク情報を、複数の携帯用コンピュータ装置のうちの1つに対して送信するように動作する。携帯用コンピュータ装置は、ツールの結合マップ及び複合材プライのプライモデルを使用して自己位置推定が行われている携帯用コンピュータ装置内の、ディスプレイ装置を通じて見られるライブビュー上に、ツール上にレイアップを配置するためのタスク情報を表示する。
【0010】
さらなる別の実施形態は、タスク位置のライブビューを拡張するための拡張現実システムを提供する。仮想現実システムは、携帯用コンピュータ装置を備える。携帯用コンピュータ装置は、対象物に対する自己位置推定が行われており、対象物のモデルと対象物の結合マップを使用して、タスクを実施するために、対象物のライブビュー上に、可視化されたタスク位置を表示する。結合マップは、対象物に対する種々の視点において、携帯用コンピュータ装置によって対象物をスキャンすることによって生成される。
【0011】
これらの特徴及び機能は、本開示の様々な実施形態で単独で実現可能であるか、または、以下の説明及び図面を参照してさらなる詳細を理解し得るさらに別の実施形態において、組み合わされてよい。
【0012】
例示的な実施形態の特性と考えられる新規の特徴は、添付の特許請求の範囲に明記されている。しかしながら、例示的な実施形態並びに好ましい使用モード、さらなる目的及びそれらの特性は、添付図面を参照しながら、本開示の例示的な実施形態についての以下の詳細な説明を読むことにより、最もよく理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】例示的な実施形態が実装され得る、データ処理システムのネットワークの図解である。
【
図2】例示的な実施形態による、拡張現実環境のブロック図である。
【
図3】例示的な実施形態による、ツール上のレイアップ位置に複合材プライを配置するためのタスク情報の可視化に使用される、拡張現実システムのブロック図である。
【
図4】例示的な実施形態による、ツールに作業を実施している作業人員の図である。
【
図5】例示的な一実施形態による、携帯用コンピュータ装置上のタスク位置のライブビューを拡張するためのプロセスのフロー図である。
【
図6】例示的な一実施形態による、スキャンデータを処理するためのプロセスのフロー図である。
【
図7】例示的な一実施形態による、結合マップを作成するためのプロセスのフロー図である。
【
図8】例示的な一実施形態による、結合マップを作成するためのプロセスのフロー図である。
【
図9】例示的な一実施形態による、ツール上のレイアップ位置に関するタスク情報を可視化するためのプロセスのフロー図である。
【
図10】例示的な一実施形態による、可視化されたタスク情報を表示するためのプロセスのフロー図である。
【
図11】例示的な一実施形態による、データ処理システムのブロック図である。
【
図12】例示的な一実施形態による、携帯用コンピュータ装置のブロック図である。
【
図13】例示的な一実施形態による、航空機の製造及び保守方法のブロック図である。
【
図14】例示的な一実施形態が実装され得る航空機のブロック図である。
【
図15】例示的な一実施形態による、製品管理システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
例示的な実施形態は、1つ以上の種々の検討事項を認識し考慮に入れている。例えば、例示的な実施形態は、タスク位置を表示するために、オーバーヘッドレーザートラッカーの代わりに携帯用コンピュータ装置が使用されることを、認識し考慮に入れている。しかし、例示的な実施形態は、携帯用コンピュータ装置を使用すると、携帯用コンピュータがそれ自体によってツールに対する自己位置推定を行う必要があることを、認識し考慮に入れている。例示的な実施形態は、携帯用コンピュータ装置の、ツールに対する位置及び配向を特定すること、並びにツールのビューをツールのモデルに一致させることが、オーバーヘッドレーザートラッカーの場合にはない難題をもたらすことを、認識し考慮に入れている。例示的な実施形態は、携帯用コンピュータ装置からマップを生成することで、所望のレベルの正確性を得られない可能性があることを、認識し考慮に入れている。
【0015】
例示的な実施形態は、技術的解決方法が、種々の視点における複数の携帯用コンピュータ装置によるツールのスキャンの使用を伴い得ることを、認識し考慮に入れている。このように、例示的な実施形態は、対象物に対してタスクを実施するための情報を可視化するための方法、機器及びシステムを提供する。例示的な実施例は、タスク位置を可視化するための方法、機器、及びシステムを提供する。タスク位置の可視化は、タスク位置を特定することに加えて、タスク位置において作業を実施するために使用される情報を表示することを含む。
【0016】
例示的な一実施例では、方法は、タスク位置のライブビューを拡張する。携帯用コンピュータ装置の、対象物に対する自己位置推定が行われた。可視化されたタスク位置が、対象物のモデル及び対象物の結合マップを使用して、タスクを実施するための対象物のライブビュー上に表示される。結合マップは、対象物に対する種々の視点において、携帯用コンピュータ装置によって対象物をスキャンすることによって、生成される。
【0017】
別の例示的な実施例では、方法は、ツール上のレイアップ位置に関する、可視化されたタスク情報を提供する。スキャンデータを生成するため、ツールに対する種々の視点において、作業人員が装備する携帯用コンピュータ装置を使用して、ツールがスキャンされる。携帯用コンピュータ装置によって生成されたスキャンデータから、コンピュータシステムによって点群が作成される。点群を使用して、コンピュータシステムによってツールの結合マップが作成される。ツールの結合マップを使用して、複数の携帯用コンピュータ装置のうちの1つの、ツールに対する自己位置推定が行われる。ツールの結合マップ及び複合材プライのプライモデルを使用して自己位置推定が行われた携帯用コンピュータ装置内の、ディスプレイ装置を通じて見ることができるライブビュー上に、ツール上のレイアップ位置に関するタスク情報が表示される。表示されたタスク情報によって、ツールのライブビューが拡張される。
【0018】
ここで図面、具体的には
図1を参照すると、例示的な実施形態が実装され得るデータ処理システムのネットワークの図解の例が示される。ネットワークデータ処理システム100は、例示的な実施形態が実装され得るコンピュータのネットワークである。ネットワークデータ処理システム100はネットワーク102を含む。ネットワーク102は、ネットワークデータ処理システム100内で互いに接続された、様々な装置とコンピュータとの間に通信リンクを提供するのに使用される媒体である。ネットワーク102は、有線、無線通信リンク、または光ファイバケーブルなどの接続を含み得る。
【0019】
図示した実施例では、サーバコンピュータ104とサーバコンピュータ106は、記憶ユニット108と共にネットワーク102に接続されている。加えて、クライアント装置110が、ネットワーク102に接続されている。示されているとおり、クライアント装置110は、クライアンコンピュータ112及びクライアントコンピュータ114を含む。クライアント装置110は、例えば、コンピュータ、ワークステーション、またはネットワークコンピュータであり得る。図示した実施例では、サーバコンピュータ104は、ブートファイル、オペレーティングシステム画像、及びアプリケーションといった情報を、クライアント装置110に提供する。さらに、クライアント装置110は、タブレットコンピュータ116、携帯電話118、スマートグラス120、及びスマートグラス122といった、他のタイプのクライアント装置もまた含み得る。例示的な実施例では、サーバコンピュータ104、サーバコンピュータ106、記憶ユニット108、及びクライアント装置110は、ネットワーク102に接続しているネットワーク装置である。ネットワーク102は、これらのネットワーク装置に関する通信媒体である。クライアント装置110の一部または全部が、モノのインターネット(IoT)を形成していてよく、IoTにおいては、これらの物理的装置が、ネットワーク102に接続されていることができ、ネットワーク102を通じて互いに情報交換することができる。
【0020】
この実施例では、クライアント装置110は、サーバコンピュータ104とサーバコンピュータ106に対するクライアントである。ネットワークデータ処理システム100は、さらなるサーバコンピュータ、クライアントコンピュータ、及び図示していない他の装置を含んでいてよい。クライアント装置110は、有線、光ファイバ、または無線接続を利用して、ネットワーク102に接続している。
【0021】
ネットワークデータ処理システム100にあるプログラムコードは、コンピュータで記録可能な記憶媒体上に記憶されていることができ、使用の際に、データ処理システムまたは他の装置にダウンロードされ得る。例えば、プログラムコードは、サーバコンピュータ104のコンピュータで記録可能な記憶媒体上に記憶されていることができ、クライアント装置110で使用するため、ネットワーク102を通じてクライアント装置110にダウンロードされ得る。
【0022】
図示した実施例では、ネットワークデータ処理システム100は、ネットワーク102を含むインターネットであり、相互通信のための一式のプロトコルであるTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)を使用する、ネットワーク及びゲートウェイの世界規模の集合体を表わしている。インターネットの中心部には、データとメッセージを送信する何千台もの商用、政府機関、教育機関、及びその他のコンピュータシステムからなる、主要なノードまたはホストコンピュータ間の高速データ通信ラインのバックボーンがある。言うまでもなく、ネットワークデータ処理システム100はまた、任意の数の異なるタイプのネットワークを使用して実装されてもよい。例えば、ネットワーク102は、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、またはワイドエリアネットワーク(WAN)のうちの、少なくとも1つからなっていることができる。
図1は実施例として意図されたもので、種々の例示的な実施形態を構造的に限定することを意図しているわけではない。
【0023】
本明細書で使用される場合、アイテムに関連して使用される際の「任意の数の」は1つ以上のアイテムを意味する。例えば、「任意の数の異なるタイプのネットワーク」とは、1つ以上の異なるタイプのネットワークである。
【0024】
さらに、列挙されたアイテムと共に使用される「~のうちの少なくとも1つ(at least one of)」という表現は、列挙されたアイテムのうちの1つ以上の種々の組み合わせが使用され得ること、及び、列挙された各アイテムのうちの1つだけが必要とされてもよいことを、意味している。言い換えると、「~のうちの少なくとも1つ」とは、アイテムの任意の組み合わせ、及び任意の数のアイテムが、列挙された中から使用され得るが、列挙されたアイテムのすべてが必要なわけではない、ということを意味する。アイテムとは、特定の対象物、物品、またはカテゴリであり得る。
【0025】
例えば、限定するものではないが、「アイテムA、アイテムB、及びアイテムCのうちの少なくとも1つ」は、「アイテムA」、「アイテムAとアイテムB」、または「アイテムC」を含んでいてよい。この例はまた、「アイテムAとアイテムBとアイテムC」、または「アイテムBとアイテムC」を含んでいてもよい。もちろん、これらのアイテムのいずれかの組み合わせも存在し得る。ある例示的な実施例では、「~のうちの少なくとも1つ」は、限定しないが例として、「2個のアイテムAと1個のアイテムBと10個のアイテムC」、「4個のアイテムBと7個のアイテムC」、または他の適切な組み合わせであり得る。
【0026】
この例示的な実施例では、作業人員124がスマートグラス120を操作しており、作業人員126がスマートグラス122を操作している。この実施例では、作業人員124及び作業人員126は、複合材構造物の製造プロセスの一部として、ツール上に複合材プライの層を配置している。複合材構造物は、例えば、航空機用の複合材部品であり得る。
【0027】
この例示的な実施例では、複合材プライ130は、既にツール128上に積まれている。示されるように、作業人員124及び作業人員126は、ツール128上にもう1つの複合材プライを配置する準備をしている。
【0028】
この例示的な実施例では、新たな複合材プライの配置の可視化は、作業人員124によって操作されるスマートグラス120と、作業人員126によって操作されるスマートグラス122を使用して実施され得る。
【0029】
示されるように、スマートグラス120及びスマートグラス122は、ツール128をスキャンするように動作する。この例示的な実施例では、スキャンは、スマートグラス120によって自己位置推定とマッピングの同時実行(SLAM)プロセス132を使用して、及びスマートグラス122によって自己位置推定とマッピングの同時実行(SLAM)プロセス134を使用して、実施され得る。スキャンは、ツール128の表面に関するデータを生成する、レーザー、LIDAR、赤外線スキャナー、または他の適切な装置によって、ツール128をスキャンすることを含み得る。
【0030】
この例示的な実施例では、スマートグラス120及びスマートグラス122は、それぞれツール128に対して異なる視点を有している。その結果、これらの異なる視点からツール128をスキャンすることは、ツール128をより正確にスキャンする結果につながり得る。
【0031】
例えば、スマートグラス120は、ツール128上のある位置のビューは、有していなくてよい。スマートグラス122は、スマートグラス120が逃しているこれらの位置のビューを、有していてよい。同様に、スマートグラス122は、スマートグラス120のビュー内にあるいくつかの位置のビューを有していなくてよい。
【0032】
ツール128のスキャンの結果、スマートグラス120によって生成されたスキャンデータ136及びスマートグラス122によって生成されたスキャンデータ138は、サーバコンピュータ104で実行される可視化ツール(visualizer)140に送信される。スキャンデータ136及びスキャンデータ138は、スマートグラスによって生成された点群であり得る。他の例示的な実施例では、スキャンデータ136及びスキャンデータ138は、ツール128をマッピングするのに適切な、点群または他の情報を生成するのに使用され得る、他の情報であり得る。
【0033】
この例示的な実施例では、可視化ツール140は、スキャンデータ136とスキャンデータ138を使用して、ツール128の結合マップ142を生成する。結合マップ142は、複合材プライ130の配置を含む。
【0034】
結合マップ142を生成するためにスキャンデータ136及びスキャンデータ138を使用することによって、より完全であるかまたはより正確であるかの少なくとも1つである、ツールのマップが生成される。例えば、スキャンデータ136及びスキャンデータ138は、スキャンデータ136及びスキャンデータ138を生成する元となる異なる視点に関して、スキャンデータ136またはスキャンデータ138のどちらかだけを使用するよりも、ツール128上のより多くの位置をカバーすることができる。
【0035】
この例示的な実施例では、ツール128上のレイアップ位置に関するレイアップ情報144は、可視化ツール140がモデルのデータベース148内で複合材構造物モデル146にアクセスすることによって、得られる。この例示的な実施例では、可視化ツール140は、レイアップ情報144をスマートグラス120及びスマートグラス122に送信する。
【0036】
この例示的な実施例では、スマートグラス120及びスマートグラス122は、スマートグラス上で実行される「自己位置推定とマッピングの同時実行(SLAM)」プロセスを使用して、ツール128に対する自己位置推定を行う。スマートグラス120及びスマートグラス122を通じて見ることができるライブビューを拡張するために、スマートグラス120及びスマートグラス122のポジションと共に、レイアップ情報144が表示され得る。例えば、レイアップ情報144は、新たな複合材プライをツール128上のどこにレイアップすべきかを特定する外形であり得る。
【0037】
これらの例示的な実施例では、作業人員124及び作業人員126が、複合材部品用に複合材プライのレイアップ作業を実施するために動くのにつれて、スマートグラス120及びスマートグラス122が、ツール128のスキャンを継続し、スキャンデータ136及びスキャンデータ138を送信し得る。作業人員がツール128に対して動くのにつれて、ツール128に対するスマートグラスの視点は変化し得る。その結果、スマートグラスから送信されるさらなるスキャンデータは、さらなる情報を提供することができ、ツール128の結合マップ142の正確性が向上する。
【0038】
さらに、さらなるスキャンを行うことによって、ツール128上の複合材プライのレイアップの変化に関する情報更新も、また行われ得る。複合材プライが追加されるかまたは位置決めされる際に、結合マップ142をアップデートするために、これらの作業のスキャンデータが使用され得る。
【0039】
これらの例示的な実施例では、結合マップ142に対するアップデートの生成は、リアルタイムで実施される。言い換えれば、スキャンデータは、作業人員124及び作業人員126がツール128上への複合材プライのレイアップ作業を実施している間に、スマートグラス120及びスマートグラス122によって、連続的にまたは定期的に生成され得る。
【0040】
その結果、結合マップ142は、ツール128上にレイアップされるあらゆる複合材プライに沿った、ツール128の動的なマップであり得る。このようにして、結合マップ142の正確性を向上することができ、結合マップ142の正確性は、ツール128上への複合材プライの配置といった変化を包含したものであることができる。
【0041】
図1のこの実施例の図は、他の例示的な実施例が実装され得る態様を限定することを意図していない。例えば、ツール128のスキャンデータを生成する際に、スマートグラスを着用した1人以上の作業人員が存在していることができる。別の例示的な実施例では、ツール128以外の、異なるタイプの対象物が存在し得る。例えば、作業人員は、スカーフを形成し、複合材料の層からなるパッチを設置するための、リワーク作業を実施し得る。このタイプの作業では、レイアップ情報144は、パッチの配置を含み得る。さらに、スカーフ情報は、スカーフの形成に際して作業人員を補助するためにも、また存在し得る。
【0042】
図2を参照すると、拡張現実環境のブロック図が、例示的な一実施形態にしたがって示されている。
図1のネットワークデータ処理システム100内にある種々のハードウェア構成要素は、拡張現実環境200内において使用され得る構成要素の例である。
【0043】
示されるとおり、拡張現実環境200は、対象物206を見ている任意の数の作業人員204によって、タスク情報202が可視化され得る環境である。この実施例では、該任意の数の作業人員204が、対象物206に対する作業208を実施し得る。この例示的な実施例では、対象物206は、ツール、壁、ワークピース、翼、胴体部、エンジン、建造物、航空機、ビークル、または他の適切なタイプの対象物を含む群から選択され得る。
【0044】
この例示的な実施例では、情報の可視化202は、拡張現実システム210を使用して実施される。示されるように、拡張現実システム210によって、対象物206に関するタスク位置244のライブビュー212が拡張される。ライブビュー212は、携帯用コンピュータ装置214を通じて見ることができる、現実世界環境216のビューである。この例示的な実施例では、ライブビュー212は、携帯用コンピュータ装置内のカメラによって生成され、リアルタイムで携帯用コンピュータ装置内のディスプレイ装置に表示された、画像または映像であり得る。他の実施例では、ライブビュー212は、携帯用コンピュータ装置を通じて、作業人員が直接見ることができる。
【0045】
この実施例では、現実世界環境216のライブビュー212を拡張するため、ライブビュー212上にタスク情報202が表示され得る。タスク情報202は、対象物206のライブビュー212上に重ねて表示し得る、タスク位置、プライの外形、作業実施のための指示を含むテキスト、画像、グラフィック、映像、または他の適切なタイプの情報のうちの、少なくとも1つを含み得る。
【0046】
示されるように、拡張現実システムは、コンピュータシステム218及び携帯用コンピュータ装置214を備える。コンピュータシステム218は、物理的なハードウェアシステムであり、1つ以上のデータ処理システムを含む。コンピュータシステム218内に2つ以上のデータ処理システムが存在する場合、これらのデータ処理システムは、通信媒体を使用して互いに通信する。通信媒体は、ネットワークであり得る。データ処理システムは、コンピュータ、サーバコンピュータ、タブレットコンピュータ、または他の何らかの適切なデータ処理システムのうちの少なくとも1つから選択され得る。
【0047】
携帯用コンピュータ装置214は、対象物206に関するタスク情報202を可視化するために作業人員204によって使用される、物理的なハードウェア装置である。携帯用コンピュータ装置214は、携帯電話、タブレットコンピュータ、スマートグラス、ヘッドマウントディスプレイ、または他の適切なコンピュータ装置のうちの、少なくとも1つから選択され得る。この例示的な実施例では、携帯用コンピュータ装置214は、レーザースキャナー、構造化光三次元スキャナー、赤外線スキャナー、または、スキャンデータ228を作成し得る他の適切なタイプの装置のうちの少なくとも1つを使用して、対象物206をスキャンする。
【0048】
この例示的な実施例では、拡張現実システムによって、対象物206に対してタスク224を実施するためのタスク情報202によってライブビュー212を拡張することで、携帯用コンピュータ装置214を操作している作業人員204が、対象物206のライブビュー212を可視化することが可能になっている。
【0049】
これらの例示的な実施例では、タスク224は、任意の数の異なる形態をとり得る。タスク224は、複合材プライを配置すること、プラークを当てること、アップリケを当てること、タスク位置の検査を実施すること、穿孔すること、ファスナを設置すること、部品をアセンブリに接続すること、部品を取り外すこと、外科的処置、金属接合を形成すること、塗料を塗布すること、測定を行うこと、またはタスク224に関する他の何らかの作業のうちの、少なくとも1つから選択され得る。
【0050】
この例示的な実施例では、コンピュータシステム218内の可視化ツール226が、拡張現実デバイス214と通信を行う。これらの例示的な実施例では、これらの構成要素は、ワイヤレス通信リンクを使用して互いに通信を行う。
【0051】
この例示的な実施例では、スキャンデータ228は、対象物206に対する種々の視点230において、作業人員204が装着している携帯用コンピュータ214で、対象物206をスキャンすることによって生成される。この例示的な実施例では、スキャンデータ228は、リアルタイムで生成及び受信される。
【0052】
これらの例示的な実施例では、視点とは、携帯用コンピュータ装置のセンサからの見通しである。例えば、センサは、カメラまたはスキャナーであり得る。視点とは、携帯用コンピュータ装置の、三次元空間中の位置及び配向を含む、ポジションであり得る。
【0053】
可視化ツール226は、携帯用コンピュータ装置214からスキャンデータ228を受信するように動作する。示されているとおり、可視化ツール226は、携帯用コンピュータ装置214によって生成されたスキャンデータ228から、点群232を作成する。この例示的な実施例では、可視化ツール226は、リアルタイムでスキャンデータ228を受信し得る。可視化ツール226は、点群232を使用して、対象物206の結合マップ234を作成する。
【0054】
結合マップ234を作成する際には、可視化ツール226が、点群232のうちの各点群からマップを作成して複数のマップ236を形成し、この複数のマップ236を結合して結合マップ234を形成する。複数のマップ236の結合は、局所的な特徴の一致を使用して点群同士を結合する際に、点群間の共通の特徴を特定することによって、実施され得る。これらの共通の特徴は、対象物206に生じている特徴、対象物206に置かれた位置合わせ(fiducial)マーカー、または対象物206の付近に置かれた位置合わせマーカーのうちの、少なくとも1つであり得る。対象物206上にある特徴は、孔、ファスナ、シーム、長形の突起、角、端部、または対象物206上にある他の何らかの特徴のうちの、少なくとも1つを含み得る。別の例示的な実施例では、結合マップ234は、点群232を結合し、続いて結合マップ234を作成することによって、生成され得る。
【0055】
この例示的な実施例では、結合されたマップ234及びマップ236は、三次元のマップである。これらのマップは、対象物206の表面と共に、対象物206上にあり得るかまたは対象物206に接触していてよい、あらゆる他のアイテムまたは物を表している。
【0056】
この例示的な実施例では、複数の携帯用コンピュータ装置214のうちの1つの携帯用コンピュータ装置238の、対象物206に対する自己位置推定が行われる。自己位置推定によって、対象物206に対するコンピュータ装置238のポジションが特定される。携帯用コンピュータ装置238のポジションは、三次元空間における携帯用コンピュータ装置238の位置及び配向である。
【0057】
この自己位置推定は、携帯用コンピュータ装置238上で実行される自己位置推定とマッピングの同時実行(SLAM)240を使用して実施され得る。携帯用コンピュータ装置238は、対象物206のライブビュー212上に、タスク位置244に関するタスク情報202を表示する。この例示的な実施例では、タスク位置244の可視化242は、タスク情報202を使用して実施され得る。例えば、タスク情報202は、タスク位置244の座標を含み得る。可視化242は、対象物206のライブビュー212上のタスク位置244を視覚的に特定する、グラフィック表示であり得る。可視化242は、対象物206に対してタスク224を実施するのに使用するために、表示される。加えて、可視化242は、対象物206用の部品、アセンブリ、複合材プライ、または他の構成要素といった、構成要素の配置を補助するためのガイド243といった、他の情報もまた含み得る。
【0058】
例えば、ガイド243は、複合材プライの外形、複合材プライのパターン、孔の外形、または、作業人員204が対象物206及びタスク位置244に対してタスク224を実施するための作業208を実施するのをガイドするための他の適切なグラフィック情報の形態をとり得る。
【0059】
さらに、ガイド243は、タスク位置244の視覚的表示として使用され得る。例えば、ガイド243は、複合材プライが配置されるべきポジション内のタスク位置244に表示された、複合材プライの外形であり得る。言い換えれば、複合材プライは、対象物206のライブビュー212上に表示された外形内にフィットするようにして配置され得る。
【0060】
可視化は、対象物206のモデル246及び、携帯用コンピュータ装置214によって実施された対象物206のスキャンによって生成された結合マップ234を使用して、タスク位置244の位置を表示するために、対象物206のライブビュー212上で行われる。この例示的な実施例では、モデル246は、スキャンデータ228から生成された結合マップ234と比較され得る基準マップである。モデル246及び結合マップ234は、対象物206のライブビュー212上の所望の位置においてタスク情報202を表示するのに使用される、座標、プログラムコード、命令、またはその他の情報のうちの少なくとも1つを生成する際に使用するため、互いに位置合わせされ得る。例えば、タスク情報202が複合材プライの位置を含んでいる場合、対象物206のライブビュー内の正しいポジションにある対象物206のモデル242から複合材プライの外形を表示するために、これら2つのモデルが使用され得る。
【0061】
これらの例示的な実施例では、タスク位置244において実施されるタスク224は、任意の数の異なる形態をとり得る。例えば、タスク位置244は、複合材プライ、対象物がアセンブリである場合のアセンブリ中の一部品、プラーク、アップリケ、または他の適切なラインのうちの、少なくとも1つに関するものである。タスク224は、複合材プライを配置すること、プラークを当てること、アップリケを当てること、タスク位置の検査を実施すること、穿孔すること、ファスナを設置すること、部品をアセンブリに接続すること、部品を取り外すこと、またはタスク224に関する何らかの作業のうちの、少なくとも1つから選択され得る。
【0062】
例示的な実施例では、可視化ツール226は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって実装され得る。ソフトウェアが使用される場合、可視化ツール226によって実施される操作は、プロセッサユニットといったハードウェア上で実行されるように構成された、プログラムコードとして実装され得る。ファームウェアが使用される場合、可視化ツール226によって実施される作業は、プログラムコード及びデータによって実装されることができ、かつ永続性メモリに記憶されて、プロセッサユニット上で実行され得る。ハードウェアが採用される場合、ハードウェアは可視化ツール226内で作業を実施するために動作する、回路を含んでいてよい。
【0063】
この例示的な実施例において、ハードウェアは、回路システム、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理装置、または、任意の数の作業を実施するよう構成された他の何らかの適切なタイプのハードウェアのうちの、少なくとも1つから選択された形態を採り得る。プログラマブル論理装置を用いる場合、装置は、該任意の数の作業を実施するように構成され得る。装置は、後で再構成され得るか、または該任意の数の作業を実施するように恒久的に構成され得る。プログラマブル論理装置は、例えば、プログラマブル論理アレイ、プログラマブルアレイ論理、フィールドプログラマブル論理アレイ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、及び、他の適切なハードウェア装置を含む。加えて、これらのプロセスは、無機構成要素に組み込まれた有機構成要素内で実装することができ、全てが人間以外の有機構成要素からなっていることができる。例えば、これらのプロセスは、有機半導体内の回路として実装され得る。
【0064】
次に
図3を参照すると、例示的な実施形態による、ツール上のレイアップ位置に複合材プライを配置するためのタスク情報の可視化に使用される、拡張現実システムのブロック図が示されている。例示的な実施例では、複数の図中で同一の参照番号が使用され得る。異なる図中で参照番号が繰り返し使用される場合には、異なる図中の同一の要素を表している。
【0065】
この例示的な実施例では、拡張現実システム210が、ツール306上のレイアップ位置304に関するタスク情報302を可視化するために、拡張現実環境300内で使用される。この具体的な実施例では、ツール306は、複合材部品310の製造プロセスの一部として複合材プライ308が上にレイアップされ得る、構造物である。ツール306は、例えば、マンドレル、金型、複合材ツール、及び他の適切なタイプのツールを含む群から選択され得る。
【0066】
この実施例では、コンピュータシステム218内の可視化ツール226は、スキャンデータ314を生成するため、ツール306に対する種々の視点312における、作業人員204が装備する携帯用コンピュータ装置からのスキャンデータ314を、受信するように動作する。さらに、可視化ツール226は、ツール306に対する種々の視点312において携帯用コンピュータ装置214から得られたスキャンデータ314を使用して、ツール306の結合マップ314を作成する。
【0067】
例示的な一実施形態では、可視化ツール226は、スキャンデータ314から、ツール306の点群318を作成する。ツール306の点群318を作成する際、点群318は、任意の複合材プライ、離型フィルム、またはツール306上に配置されている他の構成要素もまた、含むことができる。複数の点群318内の各点群は、複数の携帯用コンピュータ装置214のうちの1つの携帯用コンピュータ装置から受信された、スキャンデータ314から生成される。可視化ツール226は、携帯用コンピュータ装置214によって生成されたスキャンデータ314を使用して、ツール306の複数のマップ320を作成し、ツール306の結合マップ316を形成するために、この複数のマップ320を結合する。
【0068】
この実施例では、可視化ツール226は、複数のマップ320内の共通基準点を特定し、共通基準点を使用して複数のマップ320を結合して、結合マップ316を形成する。これらの基準点は、ツール306上の特徴、またはツール306と共に使用される基準マーカーのうちの、少なくとも1つに関するものであってよい。
【0069】
この実施例では、結合マップ316は、種々の視点312において生成されたスキャンデータ314から作成された複数のマップによって、正確性が向上されている。例えば、単一のマップのみが使用されている場合、この単一のマップに関するスキャンデータは、携帯用コンピュータ装置の視点から実施されたスキャンでは欠けていた部分の、ツール306のデータであり得る。例えば、スキャンデータは、対象物206の、携帯用コンピュータ装置にとって不可視である部分に関しては、欠けている可能性がある。
【0070】
種々の視点からのスキャンデータを結合することによって、ツール306のマップを生成するためのより完全なデータセットが存在する。この結果、正確性の向上がみられる。
【0071】
別の例示的な実施例では、点群318を結合して、結合点群322を形成することができる。次に、可視化ツール206は、結合点群322から結合マップ316を生成し得る。
【0072】
示されるとおり、可視化ツール226は、複合材部品310用の複合材プライ308のプライモデル324内のレイアップ位置304に関するタスク情報302を特定する。タスク情報302は、ファイルの特定、プライの順序、プライの配向、配置情報、硬化温度、硬化時間、または、ツール306上で複合材部品310を製造するための適切な情報のうちの、少なくとも1つから選択された情報を含み得る。
【0073】
可視化ツール226は、ツール306上のレイアップ位置304に関するタスク情報302を、複数の携帯用コンピュータ装置214のうちの1つの携帯用コンピュータ装置238に送信する。この例示的な実施例では、携帯用コンピュータ装置238は、ツール306の結合マップ316及び複合材プライ308のプライモデル324を使用して自己位置推定が行われた携帯用コンピュータ装置238内の、ディスプレイ装置328を通じて見ることができるツール306のライブビュー326上に、ツール306上のレイアップ位置304に関するタスク情報302を表示する。表示されたタスク情報によって、ツール306のライブビュー326が拡張される。
【0074】
示されるとおり、携帯用コンピュータ装置238は、複合材部品310用の複合材プライ308のプライモデル324内のレイアップ位置304を特定する。この決定は、いくつかの異なる方法で実行され得る。例えば、携帯用コンピュータ装置238は、プライモデル324の局所的な複製を含み得る。別の例示的な実施例では、携帯用コンピュータ装置238は、可視化ツール226に対する要求を送信することによって、プライモデル324にアクセスし得る。
【0075】
示されるとおり、携帯用コンピュータ装置214は、プライモデル324及び結合マップ316を使用して、任意の数の複合材プライ308用の任意の数のガイド330に関する、ライブビュー326上の位置を決定する。携帯用コンピュータ装置214は、ツール306に対する自己位置推定が行われた携帯用コンピュータ装置238内の、ディスプレイ装置328を通じてみることができるツール306のライブビュー326上の位置において、任意の数の複合材プライ308用の該任意の数のガイド330を表示する。示されるように、該任意の数のガイド330が、ツール306上に該任意の数の複合材プライ308を配置することを補助する。このガイドは、ツール306上における、複合材部品の製造または複合材部品310のリワークのうちの少なくとも1つに際して、正しいポジションに複合材プライをレイアップするのに使用される、補助となり得る。この例示的な実施例では、該任意の数のガイド330は、ツール306に複合材プライを配置するのをガイドする、外形、パターンまたは他の適切な視覚的表示のうちの、少なくとも1つであり得る。
【0076】
別の例示的な実施例では、該任意の数のガイド330は、自己位置推定が行われた携帯用コンピュータ装置238内の、ディスプレイ装置328を通じて見ることができるツール306のライブビュー326上のレイアップ位置304における、任意の数の複合材プライ308に関する、任意の数のさらなる外形またはパターンを含み得る。
【0077】
該任意の数のさらなる外形またはパターンは、ツール306上の該任意の数の複合材プライ308に関する、任意の数の先行する配置を図示する。これらの先行する配置は、同一の複合材部品用の同一のツールまたは同じであるツールに対して、以前に行われた配置であり得る。こうして、複合材プライの配置に関する比較が行われ得る。
【0078】
加えて、携帯用コンピュータ装置238は、レイアップ位置304におけるガイド330に加えて、タスク情報302中の他のタスク情報を、拡張現実表示の一部として表示し得る。この拡張現実表示内では、ツール306のライブビュー326上に、他のタスク情報が表示されている。例えば、携帯用コンピュータ装置238は、該任意の数の複合材プライの配置に関する、プライ数、命令、画像、または映像のうちの、少なくとも1つを表示し得る。
【0079】
例示的な一実施例では、ツール上にプライを配置するためのガイドを提供することによって技術的な問題を克服する、1つ以上の技術的な解決策が存在する。例示的な実施例では、1つ以上の技術的解決策によって、オーバーヘッドレーザートラッカーの代わりに携帯用コンピュータ装置を使用して、タスク位置の可視化が提供される。例示的な実施例では、1つ以上の技術的解決策では、タスク位置の可視化の正確性を向上するために、
種々の視点における、複数の携帯用コンピュータ装置からのツールのスキャンが使用される。1つ以上の技術的解決法は、ツールといった対象物の結合マップを形成するために、携帯用コンピュータ装置から受信したスキャンデータを結合することを含み、それによって、ツールの一部分に関する欠けているスキャンデータである、1台の携帯用コンピュータ装置からのスキャンデータが、ツールのその一部分を含む、別の携帯用コンピュータ装置からのスキャンデータによって補完され得る。
【0080】
その結果、1つ以上の技術的解決策によって、複数の携帯用コンピュータ装置からのスキャンデータを使用することで、現行の技法よりも正確性が向上した、対象物上のタスク位置の可視化を提供する技術的効果が提供され得る。
【0081】
コンピュータシステム218は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせを使用して、種々の例示的な実施例に記載のステップ、工程、または動作のうちの、少なくとも1つを実施するように構成され得る。その結果、コンピュータシステム218は、特定用途コンピュータシステムの役割を果たす。この特定用途コンピュータシステム内では、コンピュータシステム218内の可視化ツール226によって、対象物206のライブビュー212上でタスク情報302を可視化することが可能になっており、それによって、対象物206のライブビュー212上にタスク情報202が重ねて表示される、仮想現実表示が提供される。具体的には、可視化ツール226は、コンピュータシステム216を、可視化ツール226を持たない現行の汎用コンピュータシステムではない、特定用途コンピュータシステムに変換するのである。
【0082】
図2及び
図3の拡張現実システム210の図は、例示的な実施形態が実装され得る方法に対して、物理的なまたは構造上の制限を課すことを意図するものではない。図示されている構成要素に加えて、またはその代わりに、他の構成要素が使用されてもよい。一部の構成要素は不要であり得る。また、ブロックは、いくつかの機能的構成要素を図示するためにも提示されている。例示的な実施形態で実装される場合、これらのブロックのうちの1つ以上が、結合、分割、または結合かつ分割されて、違うブロックになってもよい。
【0083】
例えば、自己位置推定とマッピングの同時実行プロセス240は、携帯用コンピュータ装置238上ではなく、コンピュータシステム218上で実行され得る。
【0084】
図4を見ると、例示的な一実施形態による、ツールに作業を実施している作業人員が示されている。この例示的な実施例では、作業人員400及び作業人員402が、複合材部品の製造プロセスの一部として、ツール404上に複合材プライをレイアップする作業を実施している。さらに別の例示的な実施例では、タスク224に加えて1つ以上のタスクが実施され得る。例えば、タスク224は、複合材プライの配置であり得る。後続のタスクは、この配置が正しいかどうかを判定するための、複合材プライの検査であり得る。
【0085】
示されるとおり、作業人員400がスマートグラス406を装着しており、作業人員402がスマートグラス408を装着している。スマートグラス406及びスマートグラス408は、
図2及び
図3にブロックの携帯で示す、携帯用コンピュータ装置214の例示的な実装である。
【0086】
言い換えれば、スマートグラス406及びスマートグラス408は、ツール404に対して異なる視点に存在している。この実施例では、スマートグラス406は視点410を有し、スマートグラス408は視点412を有する。これらの視点は、異なるポジションからツール404に向けて方向づけられている。言い換えれば、視点410と視点412とは、互いに異なる視点である。
【0087】
この例示的な実施例では、スマートグラス406は、視点414を通してツール404をスキャンする。この例示的な実施例では、スキャンは、レーザースキャナー、赤外線スキャナー、または他の適切なタイプのセンサのうちの少なくとも1つを使用して実施される。例えば、スマートグラス408がレーザースキャナーを使用し得る一方で、スマートグラス406は、赤外線スキャナーを使用してよい。別の例として、スマートグラス406とスマートグラス406が、それぞれレーザースキャナー及び赤外線スキャナーをどちらも有していてよい。
【0088】
ビュー414は、スマートグラス406によってスキャンされ得る三次元空間である。ビュー416は、スマートグラス408によってスキャンされ得る三次元空間である。これらのビューは、スマートグラスを通して作業人員が見るライブビューを規定することも、また可能である。例えば、ビュー414は、スマートグラス406を通じて作業人員400が見るライブビューであり得る。ビュー416は、スマートグラス408を通じて作業人員402が見るライブビューであり得る。他の例示的な実施例では、スキャン用のビューとライブビュー用のビューは異なっていてもよいが、これらは同じ観点からのものであってよい。ビューは、携帯用コンピュータ装置のセンサによってスキャンされ得るか、または見ることができる、拡張現実環境300の一部である。
【0089】
異なる視点からのこれらのビューをスキャンした結果、異なるスキャンデータを有する2組のスキャン結果が生じる。これらのスキャンデータは、2組のスキャン双方からのデータを結合する結合マップを生成するのに使用され得る。この結合マップは、スマートグラスのうちの1つのみからのスキャンを使用するよりも、より正確である。
【0090】
例えば、スマートグラス406及びスマートグラス408は、ツール404をスキャンし得る。ツール404においては、ある位置はスマートグラス406のビュー414のみによって視覚可能であり、またある位置は、スマートグラス408のビュー416のみによって視覚可能である。スキャンをする際、ある位置は、どちらのスマートグラスのビュー内でも視覚可能である。
【0091】
例えば、スマートグラス406用のビュー414では、位置420、位置422、位置424、位置426は、スマートグラス406によってスキャンされ得るのと共に、スマートグラス406のライブビュー内にも存在している。しかし、これらの位置は、スマートグラス408用のビュー416内には存在しない。
【0092】
示されるとおり、スマートグラス408用のビュー416では、位置430及び位置432は、スマートグラス408によってスキャンされ得るのと共に、スマートグラス408のライブビュー内にも存在している。これらの位置は、スマートグラス406用のビュー414内には存在しない。
【0093】
この例示的な実施例では、スマートグラス406のビュー414及びスマートグラス408のビュー416からスキャン可能な位置は、位置440、位置442、位置444、位置446、位置448、位置450、位置452、位置454、患部(patient)456、及び位置458である。
【0094】
その結果、各スマートグラスによって生成されたスキャンデータには、両方のスマートグラスによってスキャンされた共通の位置と、1つのスマートグラスのみによってスキャンされた位置とが含まれる。異なる視点からの、これら2つのスマートグラスによるスキャンデータを使用することによって、複合材部品用に複合材の層をレイアップする際に使用するための、ツール404のより正確なマップを生成することができる。
【0095】
この例示的な実施例では、スマートグラス406及びスマートグラス408は、これらのスマートグラス上で実行されているプロセスを用いて、自ら自己位置推定を行っている。これらのプロセスは、例えば、現在利用可能である、自己位置推定とマッピングの同時実行のプロセスを含み得る。言い換えれば、スマートグラス406及びスマートグラス408は、ツール404に対する自らのポジションを特定し得る。この例示的な実施例では、スマートグラス406及びスマートグラス408のポジションは、三次元空間内にあり、配向を含んでいる。
【0096】
さらに、スマートグラスは、複合材部品用のプライモデルに関する、対応位置を特定し得る。表示モデルは、複合材部品を形成する、ツール404及びツール404上のプライのレイアップのモデルもまた、含み得る。
【0097】
この例示的な実施例では、スマートグラス406とスマートグラス408の両方を通じて見ることができるライブビュー上に、ツール404上に複合材層用の配置を可視化するため、パターン460が表示されている。ツール404上のパターン460をより正確に表示または位置特定するため、両方のスマートグラスによって生成されたスキャンデータによって、基準(standard)が組み合わされ得る。
【0098】
さらに、作業人員400及び作業人員402が動くのにつれて、ツール404のさらなるスキャンが行われ得る。これらのさらなるスキャンは、ツール404用のマップの正確性を向上させるために、既に生成されたツール404のスキャンと共に使用され得る。さらに、これらのスキャンは、ツール404上に配置されているあらゆる複合材プライもまた含み得る。これらのスキャンは、ツール404上に既に置かれている複合材プライの最上部でこれからツール404上に配置されるさらなるプライに関するガイドを提供するのに加えて、ツール上に配置されているプライの正確性の検証も、また行い得る。
【0099】
ここで
図5を参照すると、例示的な一実施形態による、携帯用コンピュータ装置上のタスク位置のライブビューを拡張するためのプロセスのフロー図が示されている。
図5のプロセスは、ハードウェア、ソフトウェア、またはその両方において実装可能である。プロセスは、ソフトウェアで実装されると、1つ以上のコンピュータシステム内の1つ以上のハードウェア装置内に設置された1つ以上のプロセッサユニットによって実行される、プログラムコードの形態を採り得る。例えば、プロセスは、
図1のスマートグラス120、
図1のスマートグラス122、
図2の拡張現実システム210における携帯用コンピュータ装置238を含む複数の携帯用コンピュータ装置214、
図4のスマートグラス406、または
図4のスマートグラス408のうちの、少なくとも1つの中に実装され得る。
【0100】
プロセスは、携帯用コンピュータ装置の、対象物に対する自己位置推定を行うことによって開始される(工程500)。プロセスは、対象物のモデル及び対象物の結合マップを使用してタスクを実施するための、対象物のライブビュー上の可視化されたタスク位置を表示する(工程502)。結合マップは、対象物に対する種々の視点において、携帯用コンピュータ装置によって対象物をスキャンすることによって生成される。プロセスは、その後、終了する。
【0101】
工程502は、任意の数の異なる方法で実施され得る。例えば、対象物の結合マップ内にある対象物のモデルは、コンピュータシステムから携帯用コンピュータ装置へとダウンロードされ得る。次に、携帯用コンピュータ装置は、これらのモデルを使用して可視化されたタスク位置を表示し得る。この可視化されたものは、例えば、ツール上の適切な位置にあるプライの外形であり得る。別の例示的な実施例では、コンピュータシステムがこの外見を生成することができ、携帯用コンピュータ装置のライブビュー上の配置を特定することができる。コンピュータシステムは、次に、この外形と共に、携帯用コンピュータ装置を通じて見ることができるライブビュー上にこの外形を表示するのに必要な、プログラムコード、命令、または他の情報のうちの少なくとも1つを、携帯用コンピュータ装置に送信し得る。
【0102】
図6を参照すると、スキャンデータを処理するためのプロセスのフロー図が、例示的な実施形態に従って示されている。
図6のプロセスは、ハードウェア、ソフトウェア、またはその両方において実装され得る。プロセスは、ソフトウェアで実装されると、1つ以上のコンピュータシステム内の1つ以上のハードウェア装置内に設置された1つ以上のプロセッサユニットによって実行される、プログラムコードの形態を採り得る。例えば、プロセスは、
図1のサーバコンピュータ104上で実行される可視化ツール140、または
図2のコンピュータシステム218内の可視化ツール226のうちの少なくとも1つの中で、実装され得る。
【0103】
プロセスは、携帯用コンピュータ装置からスキャンデータを受信することによって開始される(工程600)。スキャンデータは、対象物に対する種々の視点において、作業人員が装着している携帯用コンピュータ装置で、対象物をスキャンすることによって生成される。
【0104】
プロセスは、スキャンデータを使用して、対象物の結合マップを作成する(工程602)。プロセスは、タスク位置においてタスクを実施するために、可視化されたタスク位置を携帯用コンピュータ装置に送信する(工程604)。プロセスは、その後終了する。
【0105】
次に
図7を参照すると、例示的な一実施形態による、結合マップを作成するためのプロセスのフロー図が示されている。
図7のプロセスは、ハードウェア、ソフトウェア、またはその両方で実装可能である。プロセスは、ソフトウェアで実装されると、1つ以上のコンピュータシステム内の1つ以上のハードウェア装置内に設置された1つ以上のプロセッサユニットによって実行される、プログラムコードの形態を採り得る。例えば、プロセスは、
図1のサーバコンピュータ104上で実行される可視化ツール140、または
図2のコンピュータシステム218内の可視化ツール226のうちの、少なくとも1つの中で実装され得る。
【0106】
プロセスは、複数のマップを形成するため、複数の点群のうちの各点群からマップを作成することによって開始される(工程700)。プロセスは、複数のマップ内の共通基準点を特定しながら、複数のマップを結合して、ツールの結合マップを形成する(工程702)。プロセスは、その後、終了する。
【0107】
工程702で、複数のマップは、共通基準点を使用して結合される。これらの共通基準点は、複数のマップのそれぞれの内に存在する特徴に関して、選択され得る。種々の視点において生成されたスキャンデータから作成されたマップによって、結合マップの正確性が向上した。
【0108】
次に
図8を参照すると、例示的な一実施形態による、結合マップを作成するためのプロセスのフロー図が示されている。
図8のプロセスは、ハードウェア、ソフトウェア、またはその両方において実装可能である。プロセスは、ソフトウェアで実装されると、1つ以上のコンピュータシステム内の1つ以上のハードウェア装置内に設置された1つ以上のプロセッサユニットによって実行される、プログラムコードの形態を採り得る。例えば、プロセスは、
図1のサーバコンピュータ104上で実行される可視化ツール140、または
図2のコンピュータシステム218内の可視化ツール226のうちの、少なくとも1つの中で実装され得る。
【0109】
プロセスは、対象物上の、同一の対応する特徴に関する点群内の対応点を特定することによって、開始する(工程800)。工程800では、同一の対応する特徴に関する対応点の数は、例えば、3点から4点であり得る。プロセスは、対応する点群を使用して点群を結合し、結合点群を形成する(工程802)。プロセスは、結合点群を使用して、結合マップを作成する(工程804)。処理はその後、終了する。
【0110】
図9では、例示的な一実施形態による、ツール上のレイアップ位置に関するタスク情報を可視化するプロセスのフロー図が示されている。
図9のプロセスは、ハードウェア、ソフトウェア、またはその両方において実装可能である。プロセスは、ソフトウェアで実装されると、1つ以上のコンピュータシステム内の1つ以上のハードウェア装置内に設置された1つ以上のプロセッサユニットによって実行される、プログラムコードの形態を採り得る。例えば、プロセスは、
図3の拡張現実システム210において実装され得る。これらの工程は、
図3のコンピュータシステム218または携帯用コンピュータ装置214のうちの、少なくとも1つの中に実装され得る。工程は、ツール306のライブビュー326上に、可視化されたタスク情報302を提供するために実装され得る。このタイプの表示によって、ライブビュー326が拡張され、作業人員に対して拡張現実表示が提供される。
【0111】
プロセスは、スキャンデータを生成するため、ツールに対する種々の視点において、作業人員が装備する携帯用コンピュータ装置を使用してツールをスキャンすることによって開始する(工程900)。プロセスは、携帯用コンピュータ装置によって生成されたスキャンデータから、点群を作成する(工程902)。プロセスは、点群を使用して、ツールの結合マップを作成する(工程904)。
【0112】
プロセスは、ツールの結合マップを使用して、複数の携帯用コンピュータ装置のうちの1つの、ツールに対する自己位置推定を行う(工程906)。プロセスは、携帯用コンピュータ装置は、ツールの結合マップ及び複合材プライのプライモデルを使用して自己位置推定が行われた、携帯用コンピュータ装置内の、ディスプレイ装置を通じて見ることができるライブビュー上に、ツール上のレイアップ位置に関するタスク情報を表示する(工程908)。プロセスは、その後、終了する。
【0113】
図10を次に参照すると、例示の一実施形態による、視覚化されたタスク情報を表示するためのプロセスのフロー図が示されている。
図10に示すプロセスは、
図5の工程502及び
図9の工程908の実装の一例である。
【0114】
プロセスは、携帯用コンピュータ装置を通じて見ることができるツールのライブビュー上に、プライ用のガイドを表示することによって開始する(工程1000)。工程1000で表示されるガイドは、ツール上に次のプライを配置するためのものである。
【0115】
プロセスは、携帯用コンピュータ装置を通じて見ることができるツールのライブビュー上に、任意の数のさらなるガイドを表示する(工程1002)。該任意の数のさらなるガイドの表示は、該任意の数のさらなるガイドを、プライ用のガイドとは区別する態様で、行われ得る。この実施例では、該任意の数のさらなるガイドは、ツール上に既に配置された複合材プライ用のものであり得る。こうして、既存の複合材プライが整列していることを確認することができ、ツールの拡張現実表示内で可視化することができる。この拡張現実表示は、ツール上への複合材プライのレイアップ中に、先行の複合材プライがシフトしたかどうかを判定するのに使用され得る。
【0116】
加えて、該任意の数のさらなるガイドによって、複合材部品を形成するための先行の工程において、同じプライが先立ってツール上にどのように配置されたかを可視化することも可能である。先行の複合材プライの配置は、複合材プライの配置履歴を含むデータベースから、得ることができる。複合材プライの配置履歴は、複合材プライの配置中に実施されたスキャンから特定され得る。こうして、現行の配置と先行の配置との間の変化の特定が、可視化され得る。これらの変化は、プライの寸法の変化、滑り、ツールに対する変化、または経時的に、同一のプライに対する位置合わせを変化させ得る可能性がある他の要因のうちの、少なくとも1つによって生じ得る。
【0117】
図示した種々の実施形態におけるフロー図及びブロック図は、例示的な実施形態における、機器及び方法のいくつかの可能な実装の、構造、機能、及び作業を示している。これに関して、フロー図またはブロック図内の各ブロックは、モジュール、セグメント、機能、または工程もしくはステップの一部のうちの、少なくとも1つを表わし得る。例えば、1つ以上のブロックが、プログラムコード、ハードウェアまたはプログラムコードとハードウェアの組合せとして実装され得る。ハードウェアに実装された場合、ハードウェアは、例えば、フロー図またはブロック図の1つ以上の作業を実施するように製造または構成された、集積回路の形態を採り得る。プログラムコードとハードウェアの組み合わせとして実装された場合、この実装は、ファームウェアの形態を採り得る。フロー図またはブロック図中の各ブロックは、種々の作業を実施する専用ハードウェアシステム、または専用ハードウェアと専用ハードウェアによって実行されるプログラムコードとの組み合わせを使用して、実装され得る。
【0118】
例示的な実施形態のいくつかの代替的な実装では、ブロックに記載された1つ以上の機能が、図面中に記載された順序を逸脱して起こることがある。例えば、場合によっては、連続して示されている2つのブロックがほぼ同時に実施されることや、また時には、含まれる機能に応じて、ブロックが逆順に実施されることもあり得る。また、フロー図またはブロック図に示されているブロックに加えて、他のブロックが追加されることもある。
【0119】
ここで
図11を参照すると、例示的な実施形態によるデータ処理システムのブロック図が示されている。データ処理システム1100を使用して、
図1のサーバコンピュータ104、サーバコンピュータ106、及びクライアント装置110を実装することができる。データ処理システム1100を使用して、
図2及び
図3のコンピュータシステム218を実装することも、また可能である。この例示的な実施例では、データ処理システム1100は、通信フレームワーク1102を含む。通信フレームワーク1102は、プロセッサユニット1104、メモリ1106、固定記憶装置1108、通信ユニット1110、入出力(I/O)ユニット1112、及びディスプレイ1114間の通信を提供する。この実施例では、通信フレームワーク1102は、バスシステムの形態を採っている。
【0120】
プロセッサユニット1104は、メモリ1106に読み込まれ得る、ソフトウェアに対する命令を、実行する役割を果たす。プロセッサユニット1104は、1つ以上のプロセッサを含む。例えば、プロセッサユニット1104は、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理装置(GPU)、物理処理装置(PPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサ、または他の適切なタイプのプロセッサのうちの、少なくとも1つの中から選択され得る。
【0121】
記憶装置1116の実施例は、メモリ1106及び固定記憶装置1108である。記憶デバイスは、例えば、限定するものではないが、データ、関数形式のプログラムコード、または他の適切な情報のうちの少なくとも1つを、一時的にもしくは永続的に、または一時的及び永続的の両方で記憶することが可能な、任意のハードウェアである。記憶装置1116は、これらの例示的な実施例では、コンピュータ可読記憶装置とも呼ばれてよい。これらの実施例では、メモリ1106は、例えば、ランダムアクセスメモリまたは任意の他の適切な揮発性もしくは不揮発性の記憶装置であり得る。固定記憶装置1108は、具体的な実装態様に応じて、様々な形態を採り得る。
【0122】
例えば、固定記憶装置1108は、1つ以上の構成要素または装置を含み得る。例えば、固定記憶装置1108は、ハードドライブ、ソリッドステートドライブ(SSD)、フラッシュメモリ、書換え型光学ディスク、書換え可能磁気テープ、または上記の何らかの組み合わせであり得る。固定記憶装置1108によって使用される媒体は、着脱式のものでもあり得る。例えば、固定記憶装置1108用に、着脱式ハードドライブを使用することができる。
【0123】
これらの例示的な実施例では、通信ユニット1110が、他のデータ処理システムまたは装置との通信を提供する。これらの例示的な実施例では、通信ユニット1110は、ネットワークインターフェースカードである。
【0124】
入出力ユニット1112は、データ処理システム1100に接続され得る他の装置との間のデータの入出力を可能にする。例えば、入出力ユニット1112は、キーボード、マウス、または他の何らかの適切な入力装置のうちの少なくとも1つを通じて、ユーザ入力のための接続を提供し得る。さらに、入出力ユニット1112は、プリンタに出力を送信し得る。ディスプレイ1114は、ユーザに対して情報を表示する機構を提供する。
【0125】
オペレーティングシステム、アプリケーション、またはプログラムのうちの少なくとも1つに対する命令が、通信フレームワーク1102を介してプロセッサユニット1104と通信する記憶装置1116内に存在していることもあり得る。種々の実施形態のプロセスは、メモリ1106といったメモリ内に存在していてよい、コンピュータによって実行される命令を使用して、プロセッサユニット1104によって実施され得る。
【0126】
これらの命令は、プロセッサユニット1104内のプロセッサによって読み取られ且つ実行され得る、プログラムコード、コンピュータ使用可能プログラムコード、またはコンピュータ可読プログラムコードと呼ばれる。種々の実施形態では、プログラムコードは、メモリ1106または固定記憶装置1108といった、種々の物理的なまたはコンピュータ可読の記憶媒体上に、具現化することができる。
【0127】
プログラムコード1118は、選択的に着脱可能であるコンピュータ可読媒体1120に関数形式で置かれ、プロセッサユニット1104によって実行するためにデータ処理システム1100に読み込ませ得るか、または転送され得る。これらの例示的な実施例では、プログラムコード1118とコンピュータ可読媒体1120が、コンピュータプログラム製品1122を形成する。この例示的な実施例では、コンピュータ可読媒体1120はコンピュータ可読記憶媒体1124である。
【0128】
これらの例示的な実施例では、コンピュータ可読記憶媒体1124は、プログラムコード1118を伝播または伝送する媒体というよりは、むしろプログラムコード1118を記憶するために使用される、物理的記憶装置または有形記憶装置である。
【0129】
代わりの態様では、プログラムコード1118は、コンピュータ可読信号媒体を使用して、データ処理システム1100に転送され得る。コンピュータ可読信号媒体は、例えば、プログラムコード1118を含む、伝播されるデータ信号であり得る。例えば、コンピュータ可読信号媒体は、電磁信号、光信号、または任意の他の適切なタイプの信号のうちの、少なくとも1つであり得る。これらの信号は、無線接続、光ファイバケーブル、同軸ケーブル、電線、または他の任意の適切なタイプの接続といった、接続を介して伝送され得る。
【0130】
データ処理システム1100に関して図示されている種々の構成要素が、種々の実施形態が実施され得る方法に対して構造的な制限を設けることは、意図されていない。ある例示的な実施例では、構成要素のうちの1つ以上が、別の構成要素に組み込まれているか、または別様に別の構成要素の一部を形成していてよい。例えば、ある例示的な実施例では、1106またはその一部が、プロセッサユニット1104内に一体化されていてよい。データ処理システム1100に関して図示されている構成要素に対する、追加のまたは代わりの構成要素が含まれているデータ処理システム内では、異なる例示的な実施形態が実装され得る。
図11に示す他の構成要素は、示されている例示的な実施例とは異なることがある。プログラムコード1118を実行することが可能な任意のハードウェア装置またはシステムを使用して、種々の実施形態を実装することができる。
【0131】
図12を参照すると、例示的な一実施携帯による、携帯用コンピュータ装置のブロック図が示されている。携帯用コンピュータ装置1200は、スマートグラス120、スマートグラス122、携帯用コンピュータ装置214、スマートグラス406、及びスマートグラス408が実装され得る、一態様の一実施例である。この例示的な実施例では、携帯用コンピュータ装置1200は、プロセッサユニット1202、通信フレームワーク1204、メモリ1206、データ記憶装置1208、通信ユニット1210、ディスプレイ1212、及びセンサシステム1214といった物理的なハードウェア構成要素を含む。
【0132】
通信フレームワーク1204は、携帯用コンピュータ装置1200の種々の構成要素が通信フレームワーク1204に接続されたときに、互いに通信するのを可能にしている。通信フレームワーク1204は、この例示的な実施例では、バスシステムである。
【0133】
プロセッサユニット1202は、メモリ1206に読み込まれたソフトウェアのプログラムコードを処理する。プロセッサユニット1202は、1つ以上のプロセッサを含む。例えば、プロセッサユニット1202は、マルチコアプロセッサ、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理装置(GPU)、物理処理装置(PPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサ、または他の適切なタイプのプロセッサのうちの、少なくとも1つから選択され得る。
【0134】
メモリ1206が、通信フレームワーク1204を通じてプロセッサユニット1202に接続されている。示されるように、メモリ1206は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、スタティックRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、または他の適切なタイプのメモリ装置もしくは回路のうちの、少なくとも1つを含み得る。
【0135】
示されるとおり、データ記憶装置1208は、通信フレームワーク1204に接続されており、データ、プログラムコード、または他の情報を記憶し得る。プログラムコード中の命令は、プロセッサユニット1202によって処理するため、データ記憶装置1208からメモリ1206へと読み込まれ得る。例えば、プログラムコード中の命令は、自己位置推定とマッピングの同時実行(SLAM)プロセス1203、及び対象物のライブビュー上にタスク情報を表示するための拡張現実アプリケーション1205を含み得る。
【0136】
データ記憶装置1208は、ハードディスクドライブ、フラッシュドライブ、ソリッドステートディスクドライブ、光学ドライブ、または他の適切なタイプのデータ記憶装置もしくはシステムのうちの、少なくとも1つを備え得る。データ記憶装置1208は、対象物のライブビューに重複して表示されるタスク情報の拡張現実表示内で使用するための、スキャンデータ、対象物のマップ、対象物のモデル、または他の適切な情報を記憶し得る。
【0137】
この例示的な実施例では、通信ユニット1210が、他のデータ処理システムまたはデータ処理装置との通信を提供する。これらの例示的な実施例では、通信ユニット1110は、ネットワークインターフェースカード、無線通信装置、ユニバーサルシリアルバスポート、または他の適切な装置のうちの、少なくとも1つを含む。
【0138】
ディスプレイ1212が、通信フレームワーク1204に接続されており、ユーザに対して情報を表示する機構を提供する。この実施例では、ディスプレイ1212は、このディスプレイを通じたユーザインプットの受信を可能にする、タッチスクリーンディスプレイであり得る。
【0139】
この例示的な実施例では、センサシステム1214が、通信フレームワーク1204に接続されている。示されるように、センサシステム1214は、ハードウェア、ソフトウェア、またはこの両方を含み得る。この例示的な実施例では、センサシステム1214は、レーザースキャナー、構造化光三次元スキャナー、カメラ、または赤外線スキャナーのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0140】
携帯用コンピュータ装置1200の図は、携帯用コンピュータ装置1200が実装され得る一態様の一実施例である。この例示は、他の例示的な実施例において携帯用コンピュータ装置1200が具現化され得る態様を、限定することを意味するものではない。例えば、携帯用コンピュータ装置1200は、音声出力装置が音を生成する、音声インターフェースもまた含み得る。
【0141】
本開示の例示的な実施形態は、
図13に示した航空機の製造及び保守方法1300と、
図14に示した航空機1400に関連して説明されてよい。まず
図13を参照すると、航空機の製造及び保守方法が、例示的な実施形態に従って図示されている。製造前段階では、航空機の製造及び保守方法1300は、
図14の航空機1400の仕様及び設計1302、並びに材料の調達1304を含み得る。
【0142】
製造段階では、
図14の航空機1400の、構成要素及びサブアセンブリの製造1306とシステムインテグレーション1308とが行われる。その後、
図14の航空機1400は、運航1312に供されるために、認可及び納品1310を経てよい。顧客による運航1312中、
図14の航空機1400には、定期的な整備及び保守1314(改造、再構成、改修、及びその他の整備または保守を含み得る)が予定される。
【0143】
航空機の製造及び保守方法1300の各プロセスは、システムインテグレータ、第三者、事業者、またはこれらのいくつかの組み合わせによって、実施または実行され得る。これらの実施例では、事業者は顧客であってよい。この明細書において、システムインテグレータは、任意の数の航空機製造業者及び主要システム下請業者を含み得るが、それらに限定される訳ではなく、第三者は、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含み得るが、それらに限定される訳ではなく、事業者は、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などであり得る。
【0144】
ここで
図14を参照すると、例示的な実施形態が実装され得る航空機の図が示されている。この例では、航空機1400は、
図13の航空機の製造及び保守方法1300によって製造され、複数のシステム1404及び内装1406を有する機体1402を含んでいてよい。システム1404の例は、推進システム1408、電気システム1410、油圧システム1412、及び環境システム1414のうちの1つ以上を含む。任意の数の他のシステムが含まれていてよい。航空宇宙産業の例が示されているが、種々の例示的な実施形態が、自動車産業といった他の産業に適用されてよい。
【0145】
本明細書で具現化される機器及び方法は、
図13の航空機の製造及び保守方法1300のうちの少なくとも1つの段階で採用され得る。
【0146】
例示的な一実施例では、
図13の構成要素及びサブアセンブリの製造1306で製造される構成要素またはサブアセンブリは、
図13で航空機1400の運航1312中に製造される構成要素またはサブアセンブリと同様の方法で、作製または製造され得る。さらに別の例では、1つ以上の機器の実施形態、方法の実施形態、またはこれらの組み合わせを、
図13の構成要素及びサブアセンブリの製造1306、並びにシステムインテグレーション1308といった製造段階で、利用することができる。1つ以上の装置の実施形態、方法の実施形態、またはこれらの組み合わせを、航空機1400が
図13の運航1312中、整備及び保守1314中、またはその両方の最中に利用することができる。
【0147】
例えば、拡張現実システム210は、タスク情報を可視化するために使用され得る。この可視化は、タスク位置において実施されるタスク情報を表示することを含み得る。拡張現実システム210は、構成要素及びサブアセンブリの製造1306、システムインテグレーション1308、認可及び納品1310、または整備及び保守1314のうちの、少なくとも1つにおいて、作業人員によって使用され得る。
【0148】
任意の数の異なる例示的な実施形態を使用することによって、航空機1400の組み立てを大幅に効率化すること、航空機1400のコストを削減すること、または航空機1400の組み立てを大幅に効率化することと航空機1400のコストを削減することの両方が、なされてよい。例えば、拡張現実システム210を使用することによって、構成要素及びサブアセンブリの製造1306、システムインテグレーション1308、または整備及び保守1314といった様々なステップ中に、作業人員が実施する作業における正確性が向上し得る。
【0149】
ここで
図15を参照すると、例示的な実施形態による製品管理システムのブロック図が示されている。製品管理システム1500は、物理的なハードウェアシステムである。この例示的な実施例では、製品管理システム1500は、製造システム1502または整備システム1504のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0150】
製造システム1502は、
図14の航空機1400といった、製品を製造するように構成される。図示したように、製造システム1502は、製造設備1506を含む。製造設備1506は、加工設備1508または組立設備1510のうちの少なくとも1つを含む。
【0151】
加工設備1508は、
図14の航空機1400の形成に使用される部品用の構成要素を加工するために、使用され得る設備である。例えば、加工設備1508は、機械及びツールを含み得る。これらの機械及びツールは、ドリル、油圧プレス、加熱炉、金型、複合材テープ載置機、真空システム、旋盤、または他の適切な種類の機器のうちの、少なくとも1つであってよい。加工設備1508を使用して、金属部品、複合材部品、半導体、回路、ファスナ、リブ、外板パネル、スパー、アンテナ、または他の適切なタイプの部品のうちの、少なくとも1つが加工され得る。
【0152】
組立設備1510は、
図14の航空機1400を形成する部品を組み立てるために使用される設備である。具体的には、
図14の航空機1400を形成する構成要素及び部品の組み立てに、組立設備1510が使用され得る。組立設備1510もまた、機械及びツールを含み得る。これらの機械及びツールは、ロボットアーム、クローラ、ファスナ設置システム、レールベースの穿孔システム、またはロボットのうちの、少なくとも1つであり得る。組立設備1510は、例えば、
図14の航空機1400用の座席、水平安定板、翼、エンジン、エンジンハウジング、着陸装置システム、及び他の部品などといった、部品の組み立てに使用され得る。
【0153】
この例示的な実施例では、整備システム1504は、整備設備1512を含み得る。整備設備1512は、
図14の航空機1400の整備を実施するのに必要なあらゆる設備を含み得る。整備設備1512は、
図14の航空機1400の部品に対して種々の作業を実施するためのツールを含み得る。これらの作業は、
図14の航空機1400の整備を実施するための、部品の分解、部品の改修、部品の検査、部品の再加工、交換部品の製造、または他の作業のうちの、少なくとも1つを含み得る。これらの作業は、定期的整備、検査、アップグレード、改修、または他の種類の整備作業であってよい。
【0154】
例示的な実施例では、整備設備1512は、超音波検査装置、X線撮像システム、視覚システム、ドリル、クローラ、及び他の適切な装置を含み得る。ある場合には、整備設備1512は、整備に必要となり得る部品を生産し組み立てるための、加工設備1508、組立設備1510、またはこれらの両方を含み得る。
【0155】
製品管理システム1500は、制御システム1514もまた含む。制御システム1514はハードウェアシステムであり、ソフトウェア、または他のタイプの構成要素もまた含み得る。制御システム1514は、製造システム1502または整備システム1504のうちの少なくとも1つの作業を、制御するように構成される。具体的には、制御システム1514は、加工設備1508、組立設備1510、または整備設備1512のうちの、少なくとも1つの作業を制御し得る。
【0156】
制御システム1514のハードウェアは、コンピュータ、回路、ネットワーク、及び他のタイプの設備を含み得る、ハードウェアを使用して実装され得る。制御は、製造設備1506の直接制御の形態をとり得る。例えば、ロボット、コンピュータ制御機械、及び他の設備は、制御システム1514によって制御され得る。他の例示的な実施例では、制御システム1514は、航空機1400の製造または保守において、作業員1516によって実施される作業を管理し得る。例えば、制御システム1514は、タスクを割り当てる、命令を与える、モデルを表示する、または作業員1516によって実施される作業を管理するための、他の作業を実施し得る。
【0157】
これらの例示的な実施例では、
図2及び
図3の拡張現実システム210は、
図14の航空機1400の製造または整備のうちの少なくとも1つを管理するため、制御システム1514と共に使用するように実装され得る。例えば、拡張現実システム210は、作業人員1516に対して、対象物への作業を実施する命令及びガイダンスを与えるように動作し得る。これらの作業は、対象物を製造する作業または対象物を整備する作業を含み得る。例えば、制御システム1514は、ツール上に複合材プライをレイアップするといったタスクを、作業人員1516のうちの1人以上に対して割り当て得る。制御システム1514は、ライブビューを拡張するためのタスク情報を、作業人員1516によって着用または携行されている拡張現実システム210の携帯用コンピュータ装置214に対して送信し得る。
【0158】
種々の例示的な実施例において、作業員1516は、製造設備1506、整備設備1512、または制御システム1514のうちの少なくとも1つを操作し得るか、または少なくとも1つと相互作用し得る。この相互作用は、
図14の航空機1400を製造するために実施され得る。
【0159】
当然ながら、製品管理システム1500は、
図14の航空機1400以外の他の製品を管理するようにも構成されていてよい。製品管理システム1500は、航空宇宙産業における製造に関連して記載されているが、製品管理システム1500は、他の産業の製品を管理するようにも構成され得る。例えば、製品管理システム1500は、自動車産業、及び任意の他の適切な産業の製品を製造するように構成され得る。
【0160】
こうして、この例示的な実施形態は、タスク位置を可視化するための方法、装置、及びシステムを提供する。タスク位置の可視化は、タスク位置を特定することに加えて、タスク位置において、作業を実施するために使用される情報を表示することを含む。1つの例示的な実施例では、ツール上にプライを配置するためのガイドを提供することによって技術的な問題を克服する、1つ以上の技術的な解決策が存在する。例示的な実施例では、1つ以上の技術的解決策によって、オーバーヘッドレーザートラッカーの代わりに携帯用コンピュータ装置を使用して、タスク位置の可視化が提供される。
【0161】
例示的な実施例では、1つ以上の技術的解決策において、タスク位置の可視化の正確性を向上するために、種々の視点において行われる、複数の携帯用コンピュータ装置からのツールのスキャンが使用される。こうして、例示的な実施例における1つ以上の技術的解決法は、ツールといった対象物の結合マップを形成するために、携帯用計算装置から受信したスキャンデータを結合することを含み、それによって、ツールの一部に関する欠けているスキャンデータである、1台の携帯用コンピュータ装置からのスキャンデータが、ツールのその部分を含む、別の携帯用コンピュータ装置からのスキャンデータによって補完され得る。
【0162】
その結果、1つ以上の技術的解決策によって、複数の携帯用コンピュータ装置からのスキャンデータを使用することで、現行の技法よりも正確性が向上した、対象物上のタスク位置の可視化を提供する、技術的効果が提供され得る。
【0163】
種々の例示的な実施形態の説明は、例示及び説明を目的として提示されており、網羅的であること、または開示された形態の実施形態に限定することは意図されていない。動作または作業を実施する構成要素は、種々の例示的な実施例によって説明される。例示的な一実施形態では、構成要素は、記載された動作や作業を実施するように構成されていてよい。例えば、この構成要素が持つ構造物の構成または設計は、例示的な実施例においてこの構成要素によって実施されると説明されている動作または作業の実施能力を、この構成要素に与えるものであってよい。
【0164】
さらに、本開示は、以下の条項による実施形態を含む。
【0165】
条項1.ツール(306)上のレイアップ位置(304)に関するタスク情報(302)を可視化するための方法であって、
スキャンデータ(314)を生成するために、ツール(306)に対する様々な視点(312)において、作業人員(204)が装着している携帯用コンピュータ装置(214)を使用して、ツール(306)をスキャンすることと、
携帯用コンピュータ装置(214)によって生成されたスキャンデータ(314)から、コンピュータシステム(218)によって、点群(318)を作成することと、
コンピュータシステム(218)によって、点群(318)を使用してツール(306)の結合マップ(316)を作成することと、
ツール(306)の結合マップ(316)を使用して、複数の携帯用コンピュータ装置(214)のうちの1つの携帯用コンピュータ装置(238)の、ツール(306)に対する自己位置推定を行うことと、
ツール(306)の結合マップ(316)と複合材プライ(308)のプライモデル(324)とを使用して自己位置推定された携帯用コンピュータ装置(238)内の、ディスプレイ装置(328)を通じて見ることができるライブビュー(326)上に、ツール(306)上のレイアップ位置(304)に関するタスク情報(302)を、携帯用コンピュータ装置(238)によって表示することであって、表示されたタスク情報(302)がツール(306)のライブビュー(326)を拡張する、タスク情報(302)を表示することと、を含む方法。
【0166】
条項2.ツール(306)上のレイアップ位置(304)のライブビュー(326)上に表示されたタスク情報(302)内のガイドを使用して、複合材プライを配置することをさらに含み、ガイドがツール(306)上に任意の数の複合材プライ(308)を配置することを補助する、
条項1に記載の方法。
【0167】
条項3.ツール(306)上のレイアップ位置(304)に関するタスク情報(302)を表示することが、
複合材プライ(308)のプライモデル(324)中のレイアップ情報(304)を特定することと、
プライモデル(324)及び結合マップ(316)を使用して、任意の数の複合材プライ(308)用の任意の数のガイド(330)に関するライブビュー(326)中のレイアップ位置(304)を決定することと、
自己位置推定が行われた携帯用コンピュータ装置(238)内の、ディスプレイ装置(328)を通じて見ることができるツール(306)のライブビュー(326)上のレイアップ位置(304)において、該任意の数の複合材プライ(308)用の該任意の数のガイド(330)を、携帯用コンピュータ装置(238)によって表示することであって、該任意の数のガイド(330)が、ツール(306)上に該任意の数の複合材プライ(308)を配置することを補助する、該任意の数のガイド(330)を表示することと、
を含む、条項1または2に記載の方法。
【0168】
条項4.自己位置推定が行われた携帯用コンピュータ装置(238)内の、ディスプレイ装置(328)を通じて見ることができるツール(306)のライブビュー(326)上のレイアップ位置(304)において、任意の数の複合材プライ(308)用の該任意の数のさらなるガイドを、携帯用コンピュータ装置(238)によって表示することであって、該任意の数のさらなるガイドが、ツール(306)上の任意の数の複合材プライ(308)の該任意の数の先行する配置を示している、該任意の数のさらなるガイドを表示すること
をさらに含む、条項3に記載の方法。
【0169】
条項5.ツール(306)上のレイアップ位置(304)に関するタスク情報(302)を表示することが、
任意数の複合材プライ(308)の配置に関するプライ数、命令、画像、または映像のうちの少なくとも1つを表示することをさらに含む、条項3に記載の方法。
【0170】
条項6.点群(318)からツール(306)の結合マップ(316)を作成することが、
任意の数のマップ(320)を形成するために、複数の点群(318)中の各点群からマップを作成することと、
ツール(306)の結合マップ(316)を形成するために複数のマップ(320)を結合することとを含む、条項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【0171】
条項7.結合マップ(316)を形成するために複数のマップ(320)を結合することが、
複数のマップ(320)中の共通基準点を特定することと、
共通基準点を使用して複数のマップ(320)を結合することであって、種々の視点(312)から生成されたスキャンデータ(314)から作成された複数のマップ(320)によって、結合マップ(316)の正確性が向上されている、複数のマップ(320)を結合することと
を含む、条項6に記載の方法。
【0172】
条項8.モデルを使用して、複数の携帯用コンピュータ装置(214)内の1つの携帯用コンピュータ装置(238)の、ツール(306)に対する自己位置推定を行うことが、
結合マップ(316)及び、自己位置推定とマッピングの同時実行プロセス(240)を使用して、複数の携帯用コンピュータ装置(214)内の1つの携帯用コンピュータ装置(238)の、ツール(306)に対する自己位置推定を行うことを含む、条項1に記載の方法。
【0173】
条項9.レイアップ位置(304)に関するタスク情報(302)が、複合材部品(310)の製造または複合材部品のリワーク(310)のうちの少なくとも1つに関して、複合材プライをレイアップするためのガイドである、条項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【0174】
条項10.ツール(306)が、マンドレル、金型、複合材ツール(306)を含む群から選択される、条項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【0175】
条項11.携帯用コンピュータ装置(214)が、スマートグラス(120、122、406、408)、携帯電話(118)、タブレットコンピュータ(116)、またはヘッドマウントディスプレイのうちの少なくとも1つから選択される、条項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【0176】
条項12.携帯用コンピュータ装置(214)が、レーザースキャナー、構造化光三次元スキャナー、または赤外線スキャナーのうちの少なくとも1つを使用してツール(306)をスキャンする、条項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【0177】
条項13.タスク位置(244)のライブビュー(212)を拡張するための方法であって、
携帯用コンピュータ装置(238)の、対象物(206)に対する自己位置推定を行うことと、
対象物(206)のモデルと対象物(206)の結合マップ(234)を使用して、タスクの実施のために、対象物(206)のライブビュー(212)上の可視化(242)されたタスク位置(244)を表示することであって、結合マップ(234)が、対象物(206)に対する種々の視点(230)における、携帯用コンピュータ装置(214)による対象物(206)のスキャンによって生成される、タスク位置(244)を表示することと、を含む、方法。
【0178】
条項14.1つの携帯用コンピュータ装置(238)を含む複数の携帯用コンピュータ装置(214)からからスキャンデータ(228)を受信することであって、スキャンデータ(228)が、対象物(206)に対する種々の視点(230)において、作業人員(204)に装着された、複数の携帯用コンピュータ装置(214)で対象物(206)をスキャンすることによって生成される、スキャンデータ(228)を受信すること
をさらに含む、条項13に記載の方法。
【0179】
条項15.スキャンデータ(228)が、リアルタイムで受信される、条項14に記載の方法。
【0180】
条項16.携帯用コンピュータ装置(214)によって生成されたスキャンデータ(228)から、コンピュータシステム(218)によって点群(232)を作成することと、
コンピュータシステム(218)によって、点群(232)を使用して対象物(206)の結合マップ(234)を作成することと
をさらに含む、条項14に記載の方法。
【0181】
条項17.コンピュータシステム(218)によって、点群(232)を使用して対象物(206)の結合マップ(234)を作成することが、
複数のマップ(236)を形成するため、複数の点群(232)中の各点群からマップを作成することと、
結合マップ(234)を形成するため、複数のマップ(236)を結合することと
を含む、条項16に記載の方法。
【0182】
条項18.タスク位置(244)が、複合材プライ、対象物(206)がアセンブリである場合にはアセンブリ中の一部品、プラーク、またはアップリケのうちの少なくとも1つに関するものである、条項13から17のうちのいずれか一項に記載の方法。
【0183】
条項19.タスクが、複合材プライを配置すること、プラークを当てること、アップリケを当てること、タスク位置(244)の検査を実施すること、穿孔すること、ファスナを設置すること、部品をアセンブリに接続すること、または部品を取り外すこと、のうちの少なくとも1つから選択される、条項13から18のいずれか一項に記載の方法。
【0184】
条項20.対象物(206)が、ツール(306)、壁、ワークピース、翼、胴体部、エンジン、建築物、航空機、及びビークルを含む群から選択される、条項13から19のいずれか一項に記載の方法。
【0185】
条項21.ツール(306)上のレイアップ位置(304)を可視化するための拡張現実システムであって、
スキャンデータ(314)を生成するため、ツール(306)に対する種々の視点(312)において、作業人員(204)が装着している携帯用コンピュータ装置(214)を使用して、スキャンデータ(314)を受信することと、
携帯用コンピュータ装置(214)によって生成されたスキャンデータ(314)を使用してツール(306)の複数のマップ(320)を作成することと、
ツール(306)の結合マップ(316)を形成するために複数のマップ(320)を結合することと、
プライモデル(324)内のレイアップ位置(304)に関するタスク情報(302)を特定することと、
ツール(306)上のレイアップ位置(304)のタスク情報(302)を、複数の携帯用コンピュータ装置(214)の中の1つの携帯用コンピュータ装置(238)に送信することとを行うように動作するコンピュータシステム(218)を備え、
携帯用コンピュータ装置(238)が、ツール(306)の結合マップ(316)及び複合材プライ(308)のプライモデル(324)を使用して自己位置推定が行われた携帯用コンピュータ装置(328)内の、ディスプレイ装置(328)を通じて見ることができるライブビュー(326)上に、レイアップ位置(304)に関するタスク情報(302)を表示する、拡張現実システム。
【0186】
条項22.携帯用コンピュータ装置(238)をさらに備える拡張現実システムであって、
携帯用コンピュータ装置(238)が、
複合材プライ(308)のプライモデル(324)中のレイアップ情報(304)を特定することと、
プライモデル(324)及び結合マップ(316)を使用して、任意の数の複合材プライ(308)用の該任意の数のガイド(330)に関するライブビュー(326)上の位置を決定することと、
自己位置推定が行われた携帯用コンピュータ装置(238)内の、ディスプレイ装置(328)を通じて見ることができるツール(306)のライブビュー(326)上の位置において、該任意の数の複合材プライ用の該任意の数のガイド(330)を表示することであって、該任意の数のガイド(330)が、ツール(306)上に該任意の数の複合材プライ(308)を配置することを補助する、任意の数のガイド(330)を表示することと、
を行う、条項21に記載の拡張現実システム。
【0187】
条項23.携帯用コンピュータ装置(238)が、任意の数の複合材プライ(308)の配置に関する、プライ数、命令、画像、または映像のうちの少なくとも1つを表示する、条項22に記載の拡張現実システム。
【0188】
条項24.スキャンデータ(314)が点群(318)を含み、結合マップ(316)を作成する際に、コンピュータシステム(218)が、
任意の数のマップ(320)を形成するために、該任意の数の点群(318)中の各点群からマップを作成することと、
結合マップ(316)を形成するために複数のマップ(320)を結合することと、
を行うために動作する、条項21から23のいずれか一項に記載の拡張現実システム。
【0189】
条項25.結合マップ(316)を形成するために複数のマップ(320)を結合する際に、
コンピュータシステム(218)が、複数のマップ(320)中の共通基準点を特定することと、
共通基準点を使用して複数のマップ(320)を結合することであって、種々の視点(312)から生成されたスキャンデータ(314)から作成された複数のマップ(320)によって結合マップ(316)の正確性が向上されている、複数のマップ(320)を結合することと
を行うように動作する、
条項21から24に記載の拡張現実システム。
【0190】
条項26.複数の携帯用コンピュータ装置(214)内の1つの携帯用コンピュータ装置(238)が、結合マップ(316)、及び自己位置推定とマッピングの同時実行プロセス(240)を使用して、ツール(306)に対して自己位置推定される、条項21から25のいずれか一項に記載の拡張現実システム。
【0191】
条項27.レイアップ位置(304)に関するタスク情報(302)が、ツール(306)上における複合材部品(310)の製造または複合材部品(310)のリワークのうちの少なくとも1つに関して、複合材プライをレイアップするためのガイドである、条項21から26のいずれか一項に記載の拡張現実システム。
【0192】
条項28.ツール(306)が、マンドレル、金型、複合材ツール(306)を含む群から選択される、条項21から27のいずれか一項に記載の拡張現実システム。
【0193】
条項29.タスク位置(244)のライブビュー(212)を拡張するための拡張現実システムであって、
携帯用コンピュータ装置(238)であって、対象物に対する自己位置推定が行われており、対象物のモデルと対象物の結合マップ(234)を使用して、タスクの実施のために、対象物のライブビュー(212)中の可視化(242)されたタスク位置(244)を表示し、結合マップ(234)が、対象物に対する種々の視点(230)における、携帯用コンピュータ装置(214)による対象物のスキャンによって生成される、携帯用コンピュータ装置(238)を備える、拡張現実システム。
【0194】
条項30.携帯用コンピュータ装置(238)と通信するコンピュータシステム(218)であって、
1つの携帯用コンピュータ装置(238)を含む複数の携帯用コンピュータ装置(214)からスキャンデータ(228)を受信することであって、スキャンデータ(228)が、対象物に対する種々の視点(230)において、作業人員(204)に装着された携帯用コンピュータ装置(214)で対象物をスキャンすることとによって生成される、スキャンデータ(228)を受信することと、
携帯用コンピュータ装置(214)によって生成されるスキャンデータ(228)から点群(232)を作成することと、
点群(232)を使用して対象物の結合マップ(234)を作成することと
を行うように動作する、コンピュータシステム(218)をさらに備える、条項29に記載の拡張現実システム。
【0195】
条項31.スキャンデータ(228)が、リアルタイムで受信される、条項30に記載の拡張現実システム。
【0196】
条項32.点群(232)を使用して対象物の結合マップ(234)を作成する際に、コンピュータシステム(218)が、複数のマップ(236)を形成するために、複数の点群(232)中の各点群からマップを作成し、結合マップ(234)を形成するために、複数のマップ(236)を結合する、条項30に記載の拡張現実システム。
【0197】
条項33.タスク位置(244)が、複合材プライ、対象物(206)がアセンブリである場合にはアセンブリ中の一部品、プラーク、またはアップリケのうちの少なくとも1つに関するものである、条項29に記載の拡張現実システム。
【0198】
条項34.タスクが、複合材プライを配置すること、プラークを当てること、アップリケを当てること、タスク位置(244)の検査を実施すること、穿孔すること、ファスナを設置すること、部品をアセンブリに接続すること、または部品を取り外すこと、のうちの少なくとも1つから選択される、条項29から33のいずれか一項に記載の拡張現実システム。
【0199】
条項35.対象物(206)が、ツール(306)、壁、ワークピース、翼、胴体部、エンジン、建築物、航空機、及びビークルを含む群から選択される、条項29から34のいずれか一項に記載の拡張現実システム。
【0200】
当業者には、多くの修正例及び変形例が自明となろう。さらに、種々の例示的な実施形態によって、他の好ましい実施形態と比較して異なる特徴が提供され得る。選択された1つ以上の実施形態は、実施形態の原理及び実際の用途を最もよく説明するため、並びに、様々な実施形態の開示内容及び考慮される特定の用途に適した様々な修正内容の理解を他の当業者に促すために、選択及び記載されている。