(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】シート給送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 1/26 20060101AFI20240422BHJP
B65H 1/14 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
B65H1/26 330
B65H1/14 322A
(21)【出願番号】P 2019218302
(22)【出願日】2019-12-02
【審査請求日】2022-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西原 寛人
(72)【発明者】
【氏名】甲藤 洋平
(72)【発明者】
【氏名】安藤 裕
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 照人
(72)【発明者】
【氏名】川北 明広
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-048729(JP,A)
【文献】特開2006-044809(JP,A)
【文献】特開2017-024895(JP,A)
【文献】特開平04-133910(JP,A)
【文献】特開2019-123615(JP,A)
【文献】特開平05-116777(JP,A)
【文献】特開平10-120204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/14
B65H 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを給送するシート給送装置であって、
シートを収納
し、引き出された状態でシートを補給可能な収納庫と、
前記収納庫を
引き出せないように係止する係止位置と、前記収納庫の引き出しを許容する解除位置とに移動できるラッチと、
前記収納庫
が引き出せる状態とする
所定の指示をするため
の指示手段と、
前記収納庫に設けられ、シートを支持する昇降可能なリフト板と、
前記リフト板を昇降させる昇降手段と、
前記リフト板が前記収納庫における前記リフト板の下限位置にあることを検知する
第1検知手段と、
前記リフト板に積載されたシートの上面が前記下限位置よりも上方の所定位置にあることを検知する第2検知手段と、
前記指示手段に前記所定の指示がされた場合、第1モード及び第2モードを含む複数のモードのいずれかで前記ラッチ及び前記昇降手段を制御す
る制御手段と、を備え、
前記下限位置にある状態の前記リフト板は、前記収納庫の本体に支持されるように構成されており、
前記制御手段は、
前記第1モードでは、前記リフト板を下降させ、前記第2検知手段が前記リフト板に積載されたシートを検知しなくなるまで前記リフト板が下降した場合と、前記第2検知手段が前記リフト板に積載されたシートを検知しなくなる前に前記リフト板が前記下限位置にあることを前記第1検知手段が検知した場合に、前記リフト板の下降を停止させ、且つ、前記指示手段に前記所定の指示がされた後、前記リフト板が前記下限位置にあることを前記第1検知手段が検知する前に、前記ラッチを前記係止位置から前記解除位置に移動させることを許容し、
前記第2モードでは、前記第2検知手段の検知結果に関わらず、前記リフト板が前記下限位置にあることを前記第1検知手段が検知するまで前記リフト板を下降させ、且つ、前記指示手段に前記所定の指示がされた後、前記リフト板が前記下限位置にあることを前記第1検知手段が検知する前は、前記ラッチを前記係止位置に維持させ、前記リフト板が前記下限位置にあることを前記第1検知手段が検知した後に前記ラッチを前記係止位置から前記解除位置に移動させる、
ことを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
シートを給送するシート給送装置であって、
シートを収納し、引き出された状態でシートを補給可能な収納庫と、
前記収納庫を引き出せないように係止する係止位置と、前記収納庫の引き出しを許容する解除位置とに移動できるラッチと、
前記収納庫が引き出せる状態とする所定の指示をするための指示手段と、
前記収納庫に設けられ、シートを支持する昇降可能なリフト板と、
前記リフト板を昇降させる昇降手段と、
前記リフト板が第1位置にあることを検知する第1検知手段と、
前記リフト板に積載されたシートの上面が前記第1位置よりも上方の第2位置にあることを検知する第2検知手段と、
前記指示手段に前記所定の指示がされた場合、第1モード及び第2モードを含む複数のモードのいずれかで前記ラッチ及び前記昇降手段を制御する制御手段と、を備え、
前記収納庫における前記リフト板の下限位置にある状態の前記リフト板は、前記収納庫の本体に支持されるように構成されており、
前記制御手段は、
前記第1モードでは、前記リフト板を下降させ、前記第2検知手段が前記リフト板に積載されたシートを検知しなくなるまで前記リフト板が下降した場合と、前記第2検知手段が前記リフト板に積載されたシートを検知しなくなる前に前記リフト板が前記第1位置にあることを前記第1検知手段が検知した場合に、前記リフト板の下降を停止させ、且つ、前記指示手段に前記所定の指示がされた後、前記リフト板が前記第1位置にあることを前記第1検知手段が検知する前に、前記ラッチを前記係止位置から前記解除位置に移動させることを許容し、
前記第2モードでは、前記第2検知手段の検知結果に関わらず、前記リフト板が前記第1位置にあることを前記第1検知手段が検知するまで前記リフト板を下降させ、且つ、前記指示手段に前記所定の指示がされた後、前記リフト板が前記第1位置にあることを前記第1検知手段が検知する前は、前記ラッチを前記係止位置に維持させ、前記リフト板が前記第1位置にあることを前記第1検知手段が検知した後に前記ラッチを前記係止位置から前記解除位置に移動させる、
ことを特徴とするシート給送装置。
【請求項3】
前記制御手段に対して、前記
所定の指示を受けた場合に実行するモードの設定を前記複数のモードの間で変更する操作が可能な操作部を備える、
ことを特徴とする請求項1
又は2に記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記昇降手段に閾値以上の負荷が加わったことを検知する負荷検知手段を備え、
前記制御手段は、前記
所定の指示を受けた場合に実行するモードとして前記第1モードが設定されている状態で、前記昇降手段に前記閾値以上の負荷が加わったことを前記負荷検知手段が検知した場合に、前記第1モードに代えて前記第2モードを設定する、
ことを特徴とする請求項1
乃至3のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項5】
前記昇降手段は、前記リフト板に連結され、前記リフト板を昇降させる動力を供給するモータを含み、
前記負荷検知手段は、前記モータに基準値以上の電流が流れたことを検知する、
ことを特徴とする請求項
4に記載のシート給送装置。
【請求項6】
前記昇降手段は、
前記リフト板を吊り下げて支持するワイヤと、
前記ワイヤが掛け回されたプーリと、
前記シート給送装置の枠体に固定され、前記プーリを支持する支持部材と、
駆動源から供給される動力によって前記ワイヤの巻取り及び繰出しを行う巻取り軸と、を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至
5のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項7】
前
記指示手段は、押下されることで前記
所定の指示
を示す信号を発するボタンである、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシート給送装置と、
前記シート給送装置から給送されるシートに画像を形成する画像形成手段と、を備える、
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを給送するシート給送装置及びシートに画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複写機、複合機等の画像形成装置は、成果物出力の生産性向上が求められている。高い生産性を維持する方法の1つとして、画像形成用のシートを収容する収納庫の容量を大きくすることで、シートを補充するためのダウンタイムの発生頻度を抑制することが挙げられる。特許文献1には、大容量の収納庫を備えた給紙装置において、収納庫が引き出された場合に、リフタ板に積載されたシートの上面位置がリフタ板の上限位置と下限位置の間の所定位置に維持されるようにリフタ板の昇降を制御することが記載されている。この文献によれば、シートの上面位置が適度な高さで維持されることで、シートの補給や交換が容易になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、利便性の観点はユーザによって異なる場合がある。例えば、ユーザによっては、収納庫の容量上限に近い大量のシートを一度に補給することを望んでいる場合もある。そのような場合、上記文献のようなリフタ板の昇降制御を行う利点が薄い一方で、大量のシートから受ける負荷に対応して装置の耐久性を向上することが望ましい。
【0005】
そこで、本発明は、シート補給時の利便性の向上と、耐久性の向上との両立を図ることが可能なシート給送装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、シートを給送するシート給送装置であって、シートを収納し、引き出された状態でシートを補給可能な収納庫と、前記収納庫を引き出せないように係止する係止位置と、前記収納庫の引き出しを許容する解除位置とに移動できるラッチと、前記収納庫が引き出せる状態とする所定の指示をするための指示手段と、前記収納庫に設けられ、シートを支持する昇降可能なリフト板と、前記リフト板を昇降させる昇降手段と、前記リフト板が前記収納庫における前記リフト板の下限位置にあることを検知する第1検知手段と、前記リフト板に積載されたシートの上面が前記下限位置よりも上方の所定位置にあることを検知する第2検知手段と、前記指示手段に前記所定の指示がされた場合、第1モード及び第2モードを含む複数のモードのいずれかで前記ラッチ及び前記昇降手段を制御する制御手段と、を備え、前記下限位置にある状態の前記リフト板は、前記収納庫の本体に支持されるように構成されており、前記制御手段は、前記第1モードでは、前記リフト板を下降させ、前記第2検知手段が前記リフト板に積載されたシートを検知しなくなるまで前記リフト板が下降した場合と、前記第2検知手段が前記リフト板に積載されたシートを検知しなくなる前に前記リフト板が前記下限位置にあることを前記第1検知手段が検知した場合に、前記リフト板の下降を停止させ、且つ、前記指示手段に前記所定の指示がされた後、前記リフト板が前記下限位置にあることを前記第1検知手段が検知する前に、前記ラッチを前記係止位置から前記解除位置に移動させることを許容し、前記第2モードでは、前記第2検知手段の検知結果に関わらず、前記リフト板が前記下限位置にあることを前記第1検知手段が検知するまで前記リフト板を下降させ、且つ、前記指示手段に前記所定の指示がされた後、前記リフト板が前記下限位置にあることを前記第1検知手段が検知する前は、前記ラッチを前記係止位置に維持させ、前記リフト板が前記下限位置にあることを前記第1検知手段が検知した後に前記ラッチを前記係止位置から前記解除位置に移動させることを特徴とするシート給送装置である。
本発明の他の一態様は、シートを給送するシート給送装置であって、シートを収納し、引き出された状態でシートを補給可能な収納庫と、前記収納庫を引き出せないように係止する係止位置と、前記収納庫の引き出しを許容する解除位置とに移動できるラッチと、前記収納庫が引き出せる状態とする所定の指示をするための指示手段と、前記収納庫に設けられ、シートを支持する昇降可能なリフト板と、前記リフト板を昇降させる昇降手段と、前記リフト板が第1位置にあることを検知する第1検知手段と、前記リフト板に積載されたシートの上面が前記第1位置よりも上方の第2位置にあることを検知する第2検知手段と、前記指示手段に前記所定の指示がされた場合、第1モード及び第2モードを含む複数のモードのいずれかで前記ラッチ及び前記昇降手段を制御する制御手段と、を備え、前記収納庫における前記リフト板の下限位置にある状態の前記リフト板は、前記収納庫の本体に支持されるように構成されており、前記制御手段は、前記第1モードでは、前記リフト板を下降させ、前記第2検知手段が前記リフト板に積載されたシートを検知しなくなるまで前記リフト板が下降した場合と、前記第2検知手段が前記リフト板に積載されたシートを検知しなくなる前に前記リフト板が前記第1位置にあることを前記第1検知手段が検知した場合に、前記リフト板の下降を停止させ、且つ、前記指示手段に前記所定の指示がされた後、前記リフト板が前記第1位置にあることを前記第1検知手段が検知する前に、前記ラッチを前記係止位置から前記解除位置に移動させることを許容し、前記第2モードでは、前記第2検知手段の検知結果に関わらず、前記リフト板が前記第1位置にあることを前記第1検知手段が検知するまで前記リフト板を下降させ、且つ、前記指示手段に前記所定の指示がされた後、前記リフト板が前記第1位置にあることを前記第1検知手段が検知する前は、前記ラッチを前記係止位置に維持させ、前記リフト板が前記第1位置にあることを前記第1検知手段が検知した後に前記ラッチを前記係止位置から前記解除位置に移動させることを特徴とするシート給送装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シート補給時の利便性の向上と、耐久性の向上との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】実施例1に係るオプションフィーダの概略図(a)及びリフト機構の概略図(b)。
【
図3】実施例1に係る画像形成装置の制御構成を示すブロック図。
【
図4】実施例1に係るオプションフィーダの開閉について説明するための図(a、b)。
【
図5】実施例1に係るシート補給時にリフト機構に加わる負荷を表すイメージ図。
【
図6】実施例1に係るリフタ下降後オープン制御によるオプションフィーダの開放動作を説明するための図(a~c)。
【
図7】実施例1に係る収納庫開ボタンが押された際の処理を表すフローチャート。
【
図8】実施例1に係る通常オープン制御の処理を表すフローチャート。
【
図9】実施例1に係るリフタ下降後オープン制御の処理を表すフローチャート。
【
図10】実施例1に係る収納庫オープンモードの切り替え画面を表す画像図。
【
図11】実施例2に係る収納庫オープンモードの自動切り替えの時系列を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための例示的な形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0010】
(画像形成装置の概略)
図1は、画像形成装置100の概略構成を示す断面図である。
図1において、画像形成装置100は、画像形成装置の本体であるプリンタ本体100Aと、プリンタ本体100Aの上部に設けられた画像読取装置(以下、「イメージリーダ」という。)100Bとを備える。イメージリーダ100Bは、例えば、プラテンガラス上に載置された原稿画像を読み取り、読み取った画像データを、ビデオ信号としてプリンタ本体100Aのスキャナユニットに送信する。プリンタ本体100Aは、外部PCから入力された画像情報や原稿から読み取った画像データに基づいて、記録媒体として用いられるシートに画像を形成する。記録媒体として用いられるシートには、普通紙及び厚紙等の紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート等のプラスチックフィルム、封筒やインデックス紙等の特殊形状のシート、並びに布が含まれる。
【0011】
プリンタ本体100Aは、カラー画像を形成するプロセスユニット120と、記録材であるシートSを給送するカセット給送部150及び手差し給送部210と、シートSを搬送するシート搬送系と、を備えている。
【0012】
画像形成手段として設けられたプロセスユニット120は、水平方向に沿って並設された複数の画像形成ステーションY,M,C,Kを備えている。画像形成ステーションY~Kは、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像を形成する。画像形成ステーションY~Kは、現像に用いるトナーの色を除いて実質的に同じ構成である。即ち、各画像形成ステーションY~Kは、回転自在に軸支された感光体である感光ドラム121を備えた電子写真ユニットであり、感光ドラム121を像担持体としてドラム表面にトナー像を形成する。各画像形成ステーションY~Kには、電子写真プロセスの各工程を実行するため、感光ドラム121の外周面にそれぞれ対向するように一次帯電装置、現像装置及びクリーニング装置が配置されている。現像装置は、それぞれ対応する色のトナーを補給するトナー補給部に接続されている。
【0013】
プロセスユニット120の下方には、各画像形成ステーションY~Kの感光ドラム121と当接するように無端状の中間転写ベルト130が配置されている。また、中間転写ベルト130を挟んで4つの感光ドラム121とそれぞれ対向するように4つの一次転写ローラ123が配置され、各一次転写ローラ123と感光ドラム121とのニップ部として一次転写部T1が形成される。
【0014】
中間転写ベルト130は、感光ドラム121と同様にトナー像を担持する像担持体として機能する中間転写体である。中間転写ベルト130は、例えば、駆動ローラ、テンションローラ及び二次転写対向ローラ139によって回転可能に張架されている。二次転写対向ローラ139と対向するように二次転写ローラ140が配置され、二次転写ローラ140と二次転写対向ローラ139との間のニップ部として二次転写部T2が形成されている。
【0015】
中間転写ベルト130の下方に、シートSを二次転写部T2まで搬送するシート搬送部と、シートSを給送するカセット給送部150が配置されている。カセット給送部150は、それぞれシートSを収納する上カセット150a及び下カセット150bと、各カセットからシートSを給送する給送ユニット151と、を備えている。
【0016】
プリンタ本体100Aには、カセット給送部150の他に手差し給送部210が設けられている。手差し給送部210は、ユーザが手でシートをセットする手差しトレイ212と、手差しトレイ212からシートを給送する給送ユニット213と、を備える。手差しトレイ212にセットされたシートの位置はサイド規制板215によって規制される。また、手差しトレイ212には、シートがセットされたことを検知するためのセンサ211が設けられている。手差し給送部210は、例えば数十枚程度の比較的少ない枚数のシートを一時的に使用して画像を形成する際に使用される。
【0017】
シート搬送部は、主として供給パス131と排出パス231とによって構成されている。供給パス131は、カセット給送部150、手差し給送部210又はオプションフィーダ250から給送されたシートSを二次転写部T2まで搬送する搬送パスである。排出パス231は、画像形成後のシートSをプリンタ本体100Aの外部に搬送する搬送パスである。
【0018】
供給パス131には、搬送ローラ対153,154,155と、レジストレーションローラ161と、が設けられている。シートSの搬送方向におけるレジストレーションローラ161の上流側には、レジストレーションセンサ160が配置されている。レジストレーションセンサ160は、レジストレーションローラ161に当接して一旦停止したシートSの搬送を再開して中間転写ベルト130の画像をシートSに転写するタイミングを決定するために用いられる。
【0019】
さらに、プリンタ本体100Aの側方(図中右側)には、オプションフィーダ250が接続されている。オプションフィーダ250は、プリンタ本体100Aと共に本実施例の画像形成装置100(画像形成システム)を構成している。
【0020】
プリンタ本体100Aとオプションフィーダ250とは、デッキ供給パス132によって接続されている。デッキ供給パス132は、搬送ローラ対154の上流側で供給パス131と接続しており、オプションフィーダ250に収容されたシートSを供給パス131に搬入する。
【0021】
オプションフィーダ250は、例えば、A3、A4などの定型サイズのシートの他に定型サイズよりも給送方向のサイズが長い長尺シートを多数枚積載することができる。ユーザは、定型サイズ以外のシートに画像を形成する場合、もしくは上カセット150a及び下カセット150bに既に収容されたシートとは異なるサイズのシートに画像を形成する場合にオプションフィーダ250を使用する。また、オプションフィーダ250は、上カセット150a及び下カセット150bよりもシートSを積載可能な最大積載枚数が多いため、例えばシート補給の頻度を減らして業務効率を改善する目的にも使用可能である。オプションフィーダ250の詳細については、後述する。
【0022】
一方、排出パス231には定着装置170が設けられ、定着装置170の下流側で排出パス231に反転パス230が接続されている。また、反転パス230には、両面搬送パス235が接続されている。排出パス231と反転パス230との接続部には、反転フラップ172が配置されている。反転フラップ172は、定着装置170から排出されたシートSの搬送先を振り分ける。
【0023】
排出パス231は、反転パス230との接続部の下流側で上排出パス181と下排出パス180に分岐しており、分岐部には、反転フラップ190が配置されている。反転フラップ190は、シートSの搬送先を上排出パス181と下排出パス180に振り分ける。上排出パス181は、シートSを上排出トレイ196に排出する。また、下排出パス180は、シートSを下排出トレイ200に排出する。排出パス231、反転パス230、両面搬送パス235、上排出パス181及び下排出パス180には、それぞれ搬送ローラ対又は排出ローラ対が設けられている。
【0024】
(画像形成動作)
次に、画像形成装置100による画像形成動作について説明する。画像形成装置100に対して画像出力を要求するジョブ(プリントジョブ)が投入されると、カセット給送部150、手差し給送部210及びオプションフィーダ250のいずれかからシートSが1枚ずつ供給パス131に搬入される。このとき、給送センサ152,603によるシートSの検知タイミングに基づいて、シートSが正常に給送されているか否かが判断される。
【0025】
供給パス131に搬入されたシートSは、搬送ローラ対154,155等によってレジストレーションローラ161に向けて搬送される。搬送ローラ対155とレジストレーションローラ161との間で、シートSの先端及び後端がレジストレーションセンサ160によって検知される。レジストレーションセンサ160は、中間転写ベルト130に担持されたトナー像が二次転写部T2に到達するタイミングに合わせてレジストレーションローラ161によるシートSの搬送を制御するために用いられる。また、レジストレーションセンサ160は、シートSの搬送方向の長さを検知する手段としても用いられる。
【0026】
プロセスユニット120の各画像形成ステーションY~Kにおいては、感光ドラム121の表面が一様に帯電処理された後、スキャナユニット122から照射されるレーザ光によってドラム表面に静電潜像が形成される。感光ドラム121に担持された静電潜像は、現像装置から供給されるトナーによって現像されてトナー像となる。このトナー像は、一次転写部T1において順次中間転写ベルト130へ転写され、各色のトナー像が互いに重なり合うことでフルカラーのトナー像となる。中間転写ベルト130に形成されたトナー像は、中間転写ベルト130の回転によって二次転写部T2まで移動する。
【0027】
一方、レジストレーションセンサ160によって先端が検知されたシートSは、レジストレーションローラ161に当接して停止する。このときシートSは、レジストレーションローラ161に先端を突き当てた状態で所定量搬送されることによってループ形状(撓み)を形成して斜行が補正される。斜行補正されたシートSは、レジストレーションセンサ160に先端が到達した時刻とレジループ形成に要した時間を考慮して、シートSの有効印刷領域の先端と、中間転写ベルト130上のトナー像の先端とが二次転写部T2で一致するように搬送が再開される。
【0028】
二次転写部T2に到達したシートSと中間転写ベルト130上のトナー像に対し、二次転写ローラから転写電圧が印加される。これによって、トナー像がシートSに転写される。トナー像が転写されたシートSは、定着装置170へ搬送される。定着装置170に搬入されたシートSは、加熱ローラ及び加圧ローラによって加熱及び加圧されることによってトナー像がシートSに定着される。トナー像が定着されたシートSは、プリンタ本体100Aの出口に向けて搬送される。
【0029】
なお、トナー像が転写されたシートSの先端が定着装置170の上流側に配置された搬送センサ171に到達した際、プリントジョブの指示に従ってシートSの搬送先が反転パス230又は排出パス231との間で切り替えられる。シートSの両面に画像を形成する両面ジョブの場合、シートSは反転パス230に搬入され、表面と裏面とを入れ替えた状態で、再度、二次転写部T2へ向けて搬送され、裏面に画像を形成される。片面ジョブもしくは両面ジョブの裏面印刷の場合、シートSは排出パス231に搬入される。
【0030】
排出パス231へ搬入されたシートSは、搬送ローラ対232によって搬送され、プリントジョブの指示に従って位置決めされた反転フラップ190に案内されて下排出パス180又は上排出パス181へ搬入される。排出指定先が下排出トレイ200である場合、シートSは下排出パス180へ搬入され、排出指定先が上排出トレイ196である場合、シートSは上排出パス181へ搬入される。また、プリンタ本体100Aに、画像形成されたシートに綴じ処理等の処理を施すシート処理装置が連結されている場合、シートSは下排出パス180からシート処理装置に受け渡される。
【0031】
なお、上述のプロセスユニット120は画像形成手段の一例であり、モノクロ方式の電子写真ユニットであってもよく、またインクジェット方式など他のプリント方式であってもよい。
【0032】
(オプションフィーダ)
次に、本実施例におけるシート給送装置であるオプションフィーダ250の構成について説明する。
図2(a)は、
図1の画像形成装置100におけるオプションフィーダ250の拡大断面図である。オプションフィーダ250は、筐体であるケーシング250Aと、ケーシング250Aに対して開閉可能な収納庫ユニット508と、を備えている。収納庫ユニット508は、多数枚のシートSを収容する箱状の収納庫本体506と、収納庫本体506内に昇降可能に取り付けられたリフト板507と、リフト板507を昇降させるリフト機構530と、によって構成される。収納庫ユニット508は本実施例の収納庫であり、リフト機構530は本実施例の昇降手段である。
【0033】
オプションフィーダ250の上部には、デッキ供給パス132の上流部を構成するピックアップローラ501及び分離搬送ローラ502が設けられている。本実施例の給送手段であるピックアップローラ501は、リフト板507の上方に設けられ、リフト板507に積載されたシートSの最上位シートの上面に当接し、シートSを分離搬送ローラ502へ向けて給送する。分離搬送ローラ502は、ピックアップローラ501から受け取ったシートSをプリンタ本体100Aの搬送ローラ対504へ向けて搬送する。このとき、分離搬送ローラ502に対向する分離ローラが、分離搬送ローラ502との間のニップ部に進入するシートに摩擦力を作用させることで、分離搬送ローラ502に接しているシート以外のシートが重送されることを阻止する。分離ローラは、例えばシートSの搬送方向に逆らう方向の回転駆動を入力されるリタードローラであるが、他の分離部材(例えばパッド状の摩擦部材)を用いてもよい。
【0034】
図2(b)は、リフト板507及びリフト板507を昇降させるリフト機構530の構成を示す図である。
図2(a、b)に示すように、本実施例のリフト機構530は、2本のワイヤ530a,530eと、複数のプーリ530b,530c,530f,530gと、ワイヤ巻取り軸532と、リフタモータM500と、を含む。
【0035】
リフト板507は、一方の端部をワイヤ530aによって吊り下げられ、他方の端部をワイヤ530eによって吊り下げられることで略水平な姿勢で支持されている。ワイヤ530a,530eは、それぞれプーリ530b,530c,530f,530gに掛け回されて、リフト板507との接続部とは反対側の端部をワイヤ巻取り軸532に設けられたワイヤプーリ530d,530hに固定されている。ワイヤ巻取り軸532はリフタモータM500の出力軸と連結されている。従って、駆動源であるリフタモータM500の動力によってワイヤ巻取り軸532がワイヤ530a,530eの巻取り及び繰出しを行うことで、リフト板507が上昇及び下降する。
【0036】
リフタモータM500は収納庫ユニット508に設けられており、収納庫ユニット508を開閉する際は収納庫本体506と共にケーシング250Aに対して移動する。リフタモータM500は、収納庫ユニット508の移動に追従するフレキシブルなケーブルを介してケーシング250A側に設けられた電源と接続されており、該電源から供給される電力によって駆動される。なお、
図2(b)ではワイヤ巻取り軸532がリフタモータM500の出力軸に直結されているが、ギア列等の伝動機構を介してこれらを結合してもよい。また、リフタモータM500としては、例えばDCモータを使用することができる。リフタモータM500は本実施例のモータであり、ワイヤ巻取り軸532は本実施例の巻取り軸である。
【0037】
なお、プーリ530bは支持部材531bに、プーリ530cは支持部材531cに、プーリ530fは支持部材531fに、プーリ530gは支持部材531gに軸支されている。各支持部材531b,531c,531f,531gは、収納庫ユニット508の内壁に結合(固定)されている。支持部材531b,531c,531f,531gとしては、例えば収納庫ユニット508の内壁にネジ止めされた板金部材を用いることができる。
【0038】
ここでは2本のワイヤによってリフト板507を昇降させるリフト機構530を例示したが、ワイヤの本数を変更してもよく、或いはワイヤ方式以外の昇降手段を用いてもよい。例えば、収納庫ユニット508の枠体に支持されるプーリ間に上下にベルトを掛け渡して、リフト板507をこのベルトに固定すると共に、モータによってベルトを回転駆動することでリフト板507を昇降させてもよい。
【0039】
収納庫ユニット508において、リフト板507の上方で収納庫本体506の内壁に囲まれた空間がシート収容部となる。シート収容部の最上部には、シート有無センサ601及び給送位置センサ602が配置されている。シート有無センサ601は、リフト板507の上に少なくとも1枚のシートSがあるか否かを検知するためのセンサである。給送位置センサ602は、リフト板507の上に積載されたシートSの上面(シートが無い場合にはリフト板507の上面)が、ピックアップローラ501が最上位シートに当接して給送を行う位置(給送位置)にあることを検知するためのセンサである。
【0040】
シート有無センサ601及び給送位置センサ602としては、シートSに押圧されることで揺動するフラグ部材と、フラグ部材に設けられた遮光部により遮光されるフォトインタラプタと、によって構成される光学式センサを用いることができる。そして、例えば、リフト板507のシート有無センサ601のフラグ部材(A)に対応する位置に切り欠きを設けてリフト板507とフラグ部材(A)が干渉しないようにする。一方、給送位置センサ602のフラグ部材(B)に対応する位置には切り欠きを設けずにリフト板507がフラグ部材(B)と当接するように構成する。
【0041】
この場合、少なくとも1枚のシートがリフト板507に積載された状態でリフト板507を上昇させていくと、シート有無センサ601及び給送位置センサ602の両方が、フラグ部材がシートSに押圧されて揺動したことを検知した状態(ON状態)となる。リフト板507に1枚もシートが積載されていない状態でリフト板507を上昇させていくと、シート有無センサ601がOFF状態で、給送位置センサ602がON状態となる。リフト板507上のシートS及びリフト板507が給送位置に到達していない場合(リフト板507の上昇余地がある場合)、シート有無センサ601及び給送位置センサ602の両方がOFF状態となる。従って、後述のCPU301(
図3)は、これらのセンサの検知状態のパターンに基づいて、リフト板507上のシートの有無及びリフト板507に積載されたシートの上面位置を表す情報を取得することができる。
【0042】
画像形成装置100のプリンタ本体100Aにオプションフィーダ250からシートSを供給して画像形成を行うプリントジョブを実行する場合、リフト板507の上昇動作が行われる。つまり、リフタモータM500がワイヤ巻取り軸532を回転させることで、ワイヤプーリ530d,530hがワイヤ530a,530eを巻き取ってリフト板507が上昇する。給送位置センサ602がOFFからONに変化し、かつ、シート有無センサ601がONであるとき、CPU301はリフト板507上にシートSが存在し、シートの上面が給送位置に到達したと判断する。そして、ピックアップローラ501及び分離搬送ローラ502の駆動源となる給送モータが回転を開始する。これによって、ピックアップローラ501、分離搬送ローラ502、及び搬送ローラ対504を介してリフト板507に載置されたシートSが1枚ずつデッキ供給パス132を経て供給パス131に搬入される。
【0043】
プリントジョブの実行中、CPU301は、給送位置センサ602の検知結果に基づいてオプションフィーダ250におけるシートSの上面位置を監視している。そして、シートSの消費によって給送位置センサ602がONからOFFに変化すると、シートSの上面位置が給送位置より下方に下がったと判断し、CPU301はシートSの上面が給送位置に上昇するようにリフタモータM500を再び駆動させる。このように、プリントジョブの実行中はオプションフィーダ250におけるシートSの上面位置を略一定に保つ制御が行われる。
【0044】
また、収納庫本体506を含む収納庫ユニット508は、ケーシング250Aに対して開閉可能である。収納庫ユニット508が閉じている状態(収納庫ユニット508の閉状態)とは、シートSの給送を実行できるように収納庫ユニット508がケーシング250Aの所定の装着位置に挿入された状態を指す。また、収納庫ユニット508が開いている状態(収納庫ユニット508の開状態)とは、シートSの補充や交換ができるように、収納庫ユニット508がケーシング250Aから引き出された状態を指す。なお、収納庫ユニット508の開状態には、収納庫ユニット508を閉状態にロックするラッチ部材が解除されることで、ユーザがシート収容部にアクセスできる位置まで手動で引き出し可能となった状態が含まれる。以下、シート収容部の全体がケーシング250Aの外側に引き出されているか否かに関わらず、収納庫ユニット508を引き出した状態及び引き出し可能な状態を開状態とする。また、収納庫ユニット508がケーシング250Aの装着位置に係止された状態を閉状態とする。
【0045】
ケーシング250Aには収納庫開ボタン510が設けられており、ユーザが収納庫開ボタン510を押下することによって、ケーシング250Aに対する収納庫ユニット508の係止が解除されるように構成されている。具体的には、アクチュエータである収納庫開ソレノイド610(
図3)が作動することで、ケーシング250Aと収納庫ユニット508とを物理的に係止しているラッチ部材が移動し、収納庫ユニット508が図中手前に引き出し可能となる。収納庫開ソレノイド610は本実施例の収納庫ユニット508を開状態と閉状態とに切り替える開閉手段であり、収納庫開ボタン510は収納庫の開放を指示する信号(開放指示)を発する本実施例の開放指示手段である。なお、収納庫開ボタン510は開放指示手段の一例であり、表示操作部310のボタンを押下することで開放指示が発生するようにしてもよい。この場合は表示操作部310が開放指示手段として機能する。また、外部I/F309を介して接続された外部機器を介して収納庫の開放を指示できる構成としてもよい。
【0046】
なお、収納庫ユニット508及びケーシング250Aの接触部には、収納庫ユニット508を引き出し方向に向けて付勢するバネ部材等の付勢部を配置することが可能である。この場合、収納庫開ボタン510の押下によってラッチ部材が解除されると、自動的に収納庫ユニット508がケーシング250Aに対して引き出し方向に移動し始める。そのため、ユーザの操作負担が軽減されると共に、収納庫ユニット508が開いたことが一目瞭然となる。
【0047】
また、ケーシング250Aには収納庫開閉センサ608が設けられている。収納庫開閉センサ608は、収納庫ユニット508が引き出されている状態であるか否かを検知する。収納庫ユニット508が引き出されている場合、収納庫開閉センサ608がONになる。また、収納庫ユニット508が引き出されていない場合(収納庫ユニット508がケーシング250A内の装着位置に収容されている場合)、収納庫開閉センサ608はOFFになる。
【0048】
さらに、収納庫ユニット508には、補給位置センサ605、底面位置センサ604及び底面位置シート有無センサ606が配置されている。
【0049】
本実施例の中間検知手段である補給位置センサ605は、収納庫本体506の内壁(リフト板507側の側面)に配置されている。補給位置センサ605は、収納庫本体506内におけるリフト板507の上限位置と下限位置との間の検知範囲に、リフト板507に積載されたシートの上面又はリフト板507の上面があることを検知してON状態となる。リフト板507に積載されたシート及びリフト板507のいずれも補給位置(検知範囲の下限位置)にない場合、補給位置センサ605はOFF状態となる。即ち、リフト板507の下降動作の途中で補給位置センサ605がONからOFFになった時点で、リフト板507に積載されたシートの上面(シートが無い場合はリフト板507の上面)が補給位置まで下降したことが分かる。後述する通常オープン制御では、シートの上面又はリフト板507の上面が補給位置まで下降した時点でリフト板507の下降動作を停止することで、ユーザによるシートの補給を容易にして利便性を高めることができる。
【0050】
補給位置センサ605は、例えば、上下方向に一定の長さを有し収納庫本体506の内側に突出するフラグ部材と、このフラグ部材に設けられた遮光部に遮光されるフォトインタラプタと、を含む光学式センサを使用できる。この場合、フラグ部材の長さが検知範囲を規定し、フラグ部材の下端部が補給位置となる。補給位置以上の高さにリフト板507上のシート又はリフト板507が存在する場合、シート又はリフト板507にフラグ部材が押圧されて収納庫本体506の内部空間(シート収容部)から退避する。一方、シート及びリフト板507が補給位置より低い位置にあるときは、フラグ部材はシート及びリフト板507に妨げられずに収納庫本体506の内側に突出する。従って、シート及びリフト板507の少なくとも一方が補給位置以上の高さにあるか、シート及びリフト板507が補給位置より低い位置にあるかによって、フォトインタラプタの検知状態が変化する。なお、ここではフラグ部材を用いた光学式センサを例示したが、既知の他の検知機構により、積載されたシートの上面又はリフト板507が補給位置にあることを検知するようにしてもよい。
【0051】
底面位置センサ604は、収納庫本体506の底部に設けられている。底面位置センサ604は、リフト板507が収納庫本体506の底部に(つまり、収納庫本体506内におけるリフト板507の下限位置)にあればONとなり、リフト板507が収納庫本体506の底部になければOFFとなるように構成される。底面位置センサ604としては、リフト板507の下部に接触することで作動するスイッチや、リフト板507の下部に設けられた遮光部によって遮光されるフォトインタラプタを用いることができる。
【0052】
また、底面位置シート有無センサ606も、収納庫本体506の底部に設けられている。底面位置シート有無センサ606は、リフト板507が収納庫本体506の底部にある状態で、リフト板507の上にシートが積載されていればONとなり、1枚も積載されていなければOFFとなるように構成されている。底面位置シート有無センサ606としては、例えば、リフト板507が収納庫本体506の底部にある状態でシートの有無に応じて揺動するフラグ部材と、フラグ部材の遮光部によって遮光されるフォトインタラプタと、を有する光学式センサを使用可能である。このフラグ部材は、リフト板507が収納庫本体506の底部にある状態で、リフト板507に設けられた開口部を介してリフト板507の上面より上方に突出するように配置され、シートに押圧されることで下方に揺動する。
【0053】
(画像形成装置の制御構成)
次に、このような構成のオプションフィーダ250を備えた画像形成装置100の制御構成について説明する。
図3は、
図1の画像形成装置100の制御構成を示すブロック図である。
図3において、画像形成装置100は、CPU回路部300を備えている。CPU回路部300は、CPU301、ROM302、RAM303及びタイマ312を内蔵している。CPU301は、アドレスバス又はデータバスによってROM302及びRAM303に接続されている。
【0054】
CPU回路部300は、表示操作部310及びプリンタ制御部304と接続されており、プリンタ制御部304は、画像信号制御部308及び画像信号制御部308を介して外部インタフェース(I/F)309と接続されている。また、プリンタ制御部304は、シート搬送部305、画像形成部306及び収納庫制御部311とそれぞれ接続されている。なお、画像信号制御部308は、CPU回路部300と直接にも接続されている。
【0055】
収納庫制御部311は、リフタモータM500、収納庫開ボタン510、シート有無センサ601、給送位置センサ602、及び収納庫開閉センサ608とそれぞれ接続されている。また、収納庫制御部311は、底面位置センサ604、補給位置センサ605、底面位置シート有無センサ606、リフタモータ過電流検知センサ609、及び収納庫開ソレノイド610とそれぞれ接続されている。収納庫制御部311は、プロセッサーと揮発性及び不揮発性のメモリとを含む制御回路である。
【0056】
CPU301は、ROM302に格納されている制御プログラムを読み出して実行することにより、画像形成装置100全体を制御する。ROM302は、制御プログラムを格納する。ROM302は、シート給送装置及び画像形成装置を動作させるための制御プログラムを格納したコンピュータで読み取り可能な非一過性の記憶媒体の例である。RAM303には、制御に用いるデータが書き込まれる。なお、RAM303は書き換え可能メモリであり、EEPROMのような不揮発性の記憶領域を含む。プリンタ制御部304は、CPU301からの指示に基づいて画像形成部306に対して画像を形成するための指示を出す。画像形成部306は、プリンタ制御部304から入力されたビデオ信号に基づいて画像を形成する。また、プリンタ制御部304は、CPU301からの指示に基づいてシート搬送部305を制御してシートの給送、搬送等を行わせる。画像信号制御部308は、プリント動作時に、外部I/F309を介して入力されたデジタル画像信号に各種処理を施し、処理後のデジタル画像信号をビデオ信号に変換してRAM303に格納する。
【0057】
画像形成装置100のユーザインタフェースである表示操作部310は、本実施例の操作部である。表示操作部310は、画像を表示する液晶パネル等のディスプレイと、印刷開始ボタン及びテンキー等のボタン並びにタッチパネルとを有し、ユーザが画像形成装置100に情報を入力可能な入力手段及びユーザに情報を提示する表示手段として機能する。CPU301は、表示操作部310に表示する情報の内容を制御し、ユーザによって入力された情報を受信することで、画像形成装置100の機能や使用条件等に関する設定や、プリントジョブを実行する際の設定(印刷設定)を行う。例えば、表示操作部310は、画像形成を行う際のカラーモードの選択、シート情報の入力、コピースタート等のユーザからの指示を受け付ける。また、表示操作部310は、画像形成装置の状態、警告メッセージ等を表示する機能を有する。
【0058】
収納庫制御部311は、給送位置センサ602、収納庫開閉センサ608、補給位置センサ605、収納庫開ボタン510、底面位置センサ604、シート有無センサ601からの情報を受け付ける。そして、収納庫制御部311は、CPU301からの指示に基づいてリフタモータM500を制御することで、収納庫本体506内のシート位置を制御する。つまり、CPU回路部300及び収納庫制御部311は、協働してオプションフィーダ250の動作を制御する制御手段として機能する。
【0059】
(収納庫オープン制御のモード)
次に、収納庫ユニット508が閉じている状態で収納庫開ボタン510が押下されたときのオプションフィーダ250の動作のモードについて説明する。
【0060】
まず、本実施例の第1モードである通常オープンモードについて説明する。
図4(a、b)は、オプションフィーダ250を
図2の右側から見た断面図である。
図4(a)に示すように収納庫ユニット508が閉じている状態でユーザが収納庫開ボタン510を押下すると、通常オープンモードでは即座にケーシング250Aと収納庫ユニット508の係止が解除される。すると、
図4(b)に示すように、収納庫ユニット508はケーシング250Aから引き出される。
【0061】
通常オープンモードでは、収納庫ユニット508が閉状態から開状態に切り替わった後、リフト板507に積載されたシートの上面(シートが無い場合はリフト板507の上面)が補給位置に維持されるようにリフト板507が昇降制御される。このように、リフト板507が適度な高さを維持することで、ユーザはシートの補充や交換を容易に行うことができる。
【0062】
ところで、通常オープンモードにおいて収納庫ユニット508が開かれた後、リフト板507が適度な高さにある状態で、ユーザによって大量のシートが一度に積載されることも考えられる。大量のシートとは、例えば、補給位置にあるリフト板507の上面から収納庫本体506におけるシートの積載上限までの高さを超えるような量のシートである。
【0063】
通常オープンモードでは、典型的にはユーザがシートを1パッケージ分ずつ(例えば普通紙500枚)補給することが想定されている。これに対して、ユーザがシート補給の作業を短縮する等の目的で、例えばパッケージ数個分のシートをまとめて積載しようとすることが考えられる。このような場合、リフト板507を補給位置に維持したとしても、シート補給を容易にする利点は得られにくくなる。その一方で、大量のシートが一度に積載されることでリフト機構530に比較的大きな負荷が加わる。
【0064】
図5は、大量のシートが一度に積載された際にリフト板507が受ける力によってリフト機構530の構成部材に加わる負荷を表すイメージ図である。大量のシート束S1がリフト板507に一度に積載されると、シート束S1の重量と、下方に降ろされるシート束S1の慣性とによって、リフト板507に対して比較的大きな下向きの力N1が作用する。
【0065】
この力N1により、リフト機構530を構成する各部材に対して負荷が加わり、各部材に応力が作用する。例えば、プーリ530b、530c、530f、530gを介してワイヤ530a,530eを支持している支持部材531b、531c、531f、531gに対して下向きの力N2,N3,N4,N5が加わる。従って、支持部材531b、531c、531f、531gは、ユーザが通常行うシート補給を想定したときに、力N2,N3,N4,N5によって生じる応力によって変形や破損が生じない強度を有するものが使用される。同様に、力N1に起因する応力が作用するワイヤ530a,530e、プーリ530b、530c、530f、530g及びワイヤ巻取り軸532等についても、応力によって変形や破損が生じない強度を有するものが使用される。
【0066】
ところで、力N1の大きさは、シート束S1の重量や、ユーザがシート束S1を降ろす動作の勢いによって変動する。従って、支持部材531b等に対して過負荷が掛からないように、ユーザがどのようにシート補給を行っても過負荷とならないようにリフト機構530を構成しようとすると、各部材に必要以上の強度を持たせることになる。しかし、支持部材531b等に比較的まれなケースに対応するためだけに強度を持たせることになるから、結果としてオプションフィーダ250の大型化や重量増加、コスト増加につながる。
【0067】
そこで、本実施例では、収納庫開ボタン510が押下された際の制御(収納庫オープン制御)のモードとして、通常オープンモードとは別にリフタ下降後オープンモードを用意している。通常オープンモードを第1モードとするとき、リフタ下降後オープンモードは本実施例の第2モードである。
図6(a~c)は、リフタ下降後オープンモードの内容を説明するためにオプションフィーダ250を
図2の右側から見た断面図である。
【0068】
図6(a)は、収納庫ユニット508が閉じている状態を表している。この状態で収納庫開ボタン510をユーザが押下すると、リフタ下降後オープンモードでは、
図6(b)に示すように収納庫ユニット508の閉状態が維持されたままでリフト板507の下降動作が開始される。そして、リフト板507が下限位置(収納庫本体506の底部)に到達したことを底面位置センサ604が検知すると、ケーシング250Aと収納庫ユニット508の係止が解除され、
図6(c)に示すように収納庫ユニット508が引き出される。
【0069】
このように、収納庫開ボタン510が操作された際に、ケーシング250Aと収納庫ユニット508の係止を解除する前に、予めリフト板507を収納庫本体506内の下限位置まで移動させるのがリフタ下降後オープンモードである。
【0070】
このリフタ下降後オープンモードであれば、ユーザによるシート補給が行われる際に、リフト板507は下限位置にあって収納庫本体506の底面部に支持されている。そのため、仮にユーザが一度に大量のシート束をリフト板507に積載したとしても、リフト板507が受ける力N1(
図5)は収納庫本体506の底面部に分散される。そのため、主にリフト機構530が力N1を受け止める必要のあった通常オープンモードに比べて、支持部材531bをはじめとするリフト機構530の構成部材に過負荷が掛かりにくくなる。従って、支持部材531b等の強度を変更することなく、収納庫ユニット508全体としての耐久性を確保することができる。また、一度に大量のシートを補給する補給方法をとるユーザにとっては、通常オープンモードに比べても利便性は劣らないと考えられる。
【0071】
(オプションフィーダの制御方法)
以下、収納庫開ボタン510が操作された際の動作を規定するモードとして通常オープンモード(第1モード)及びリフタ下降後オープンモード(第2モード)を含む複数のモードを切り替え可能な本実施例のオプションフィーダ250の制御方法を説明する。なお、本実施例のオプションフィーダ250は、第1モードと第2モードの2つのモード間で切り替わるものとして説明するが、さらに他のモードに切り替え可能なものであってもよい。また、以下の処理は、プリンタ本体100Aに搭載されているCPU301により周期的に実行されている。
【0072】
図7は、収納庫開ボタン510の押下に応じて、予め設定されたモード設定に基づいて、通常オープンモード又はリフタ下降後オープンモードのいずれかによって収納庫ユニット508を開放する処理を表している。CPU301は、収納庫開閉センサ608を確認することにより収納庫ユニット508がケーシング250Aの所定の装着位置に収納されているか否かを確認する(S10)。収納庫ユニット508が収納されていない(閉状態でない)と判断された場合は、そのまま制御を終える。収納庫ユニット508が収納されている(閉状態)と判断された場合、収納庫開ボタン510の出力がON→OFF状態に遷移したか否かを確認する(S11)。
【0073】
収納庫開ボタン510がON→OFFに状態遷移していなければ、ユーザによる収納庫開ボタン510が押下されていないと判断することができ、そのまま制御を終える。一方で収納庫開ボタン510がON→OFFに状態遷移していれば、ユーザによる収納庫開ボタン510が押下されたと判断できる。この場合、RAM303に格納された収納庫オープン制御のモード設定が通常オープンモードか否かを確認する(S12)。なお、収納庫オープン制御のモード設定の方法については後述する。S12にて、通常オープンモードが設定されている場合、通常オープン制御を実施する(S13)。S12にて、リフタ下降後オープンモードが設定されている場合、リフタ下降後オープン制御を実施する(S14)。
【0074】
(通常オープン制御)
次に、
図8を用いて通常オープンモードによる収納庫オープン制御(通常オープン制御)の手順について説明する。通常オープン制御を開始すると、まず、CPU301は収納庫ユニット508を閉状態から開状態に切り替える処理を行う。具体的には、収納庫開ソレノイド610をON(通電)することで、収納庫ユニット508をケーシング250Aに係止しているラッチ部材を移動させて係止を解除する(S21)。次に、収納庫開ソレノイド610が十分に引けたことが確認できる時間t1だけ待つ(S22)。時間t1だけ待機した後に収納庫開ソレノイド610をOFF(通電停止)する(S23)。時間t1の間に、収納庫ユニット508は収納庫開ソレノイド610が元の位置に戻ってもラッチ部材によって係止されない位置まで引き出し方向に移動しているものとする。
【0075】
次に、収納庫本体506にシートが残っているか否かを確認する(S24)。シートが残っているか否かは、通常オープン制御を実施する前にシート有無センサ601の出力状態をRAM303に格納しておいたものを確認することで判断する。なお、リフト板507の収納庫本体506内における相対的な位置で残りシートの有無を判断してもよい。
【0076】
収納庫本体506にシートが残っていないと判断される場合は、本制御を終了する。収納庫本体506にシートが残っていると判断される場合は、リフト板507が下降する方向にリフタモータM500を駆動開始する(S25)。次に、S26,S27の停止条件を確認しながらリフト板507の下降動作を継続する。S26では,補給位置センサ605がON→OFFに遷移したか、つまり、リフト板507の下降により残りシートの上面が補給位置まで下降したか否かを確認する。S27では、底面位置センサ604がOFF→ONに遷移したか、つまり、リフト板507が収納庫本体506の下限位置に到達したか否かを確認する。S26とS27のいずれも成立していない間はリフト板507の下降を継続し、いずれか一方でも成立したときはリフタモータM500を駆動停止してリフト板507の下降を停止させる(S28)。以上により、通常オープン制御フローを終了する。
【0077】
なお、上記S26:Yで残りシートの上面又はリフト板507が補給位置まで下降した後、リフト板507にシート束がセットされると、補給位置センサ605がOFF→ONに遷移する。この場合、S25~S28と同じ内容の処理が実行されることで、補給後のシートの上面が補給位置まで低下するか、又はリフト板507が収納庫本体506の下限位置に到達するまでリフト板507が下降する。これにより、リフト板507上のシートの上面位置は、ユーザがシートを補給しやすい高さに維持される。また、本実施例では通常オープンモードにおいて収納庫ユニット508が開状態に切り替わった後にリフト板507の下降が開始しているが、リフト板507の下降に並行して開閉状態の切り替えを行うようにしてもよい。
【0078】
(リフタ下降後オープン制御)
次に、
図9を用いて、リフタ下降後オープンモードによる収納庫オープン制御(リフタ下降後オープン制御)の手順について説明する。リフタ下降後オープン制御を開始すると、まず、CPU301はリフト板507が下降する方向にリフタモータM500を駆動開始する(S31)。通常オープン制御と異なり、この時点では収納庫開ソレノイド610はONされておらず、収納庫ユニット508は閉状態のままである。
【0079】
次に底面位置センサ604がOFF→ONに遷移したか、つまりリフト板507が収納庫本体506の下限位置に到達したか否かを確認する(S32)。リフト板507が収納庫本体506の下限位置に到達していない間はリフト板507の下降を継続し、下限位置に到達した場合はリフタモータM500を駆動停止してリフト板507を停止させる(S33)。
【0080】
次に、収納庫ユニット508を閉状態から開状態に切り替える処理を行う。具体的には、収納庫開ソレノイド610をONすることで、収納庫ユニット508をケーシング250Aに係止しているラッチ部材を移動させて係止を解除する(S34)。次に、収納庫開ソレノイド610が十分に引けたことが確認できる時間t1だけ待つ(S35)。時間t1だけ待機した後に収納庫開ソレノイド610をOFFする(S36)。以上により、リフタ下降後オープン制御フローを終了する。
【0081】
このように、リフタ下降後オープン制御では、収納庫開ボタン510が押下された場合に、リフト板507を収納庫本体506内の下限位置まで下降させた後に収納庫ユニット508を閉状態から開状態に切り替えるように構成されている。
【0082】
なお、底面位置センサ604の検知範囲によっては、リフト板507が収納庫本体506の底面部に接触する前に底面位置センサ604がON状態となることが考えられる。この場合、底面位置センサ604がON状態となってから僅かな時間を空けてリフタモータM500を停止することで、リフト板507は収納庫本体506の底面部に支持された状態で停止する。一方、底面位置センサ604がON状態となってからリフタモータM500を停止するまでの期間は短いから、底面位置センサ604がON状態となった時点で収納庫ユニット508を開状態とする処理を開始してもよい。つまり、
図9においてS33とS34を入れ替えてもよい。このようにしても、収納庫ユニット508が引き出されるまでにはリフト板507が収納庫本体506の底面部に接触した状態となることが期待でき、オプションフィーダ250の耐久性向上という利点が得られる。
【0083】
(収納庫オープン制御のモード切り替え方法)
次に、収納庫オープン制御のモード設定を切り替える方法について説明する。本実施例では、表示操作部310を介してサービス担当者(又はユーザ自身)が収納庫オープン制御のモード設定を切り替えることが可能である。
【0084】
図10は、表示操作部310における収納庫オープン制御のモード設定を変更するためのモード切り替え画面を示す図である。モード切り替え画面には、通常オープンモードを示す通常モードボタン701と、リフタ下降後オープンモードを示す「リフタ下降後にオープン」ボタン702とが、選択可能なボタンとして表示されている。なお各モードを選択すると、
図10に示すように選択されたモードのボタン(ここでは「リフタ下降後にオープン」ボタン702)が反転表示される。いずれかのボタンを選択した状態で終了ボタン703を押下すると、モード設定の情報がRAM303に格納され、収納庫オープン制御のモード設定が完了する。
【0085】
なお、収納庫オープンモードの切り替え方法に関して、表示操作部310が(画像形成装置全体のユーザインタフェースとしてではなく)オプションフィーダ250に直接接続されたものであってもよい。また、外部I/F309を介してネットワーク上に接続されている情報処理端末(パソコンやスマートフォン等)からの入力により収納庫オープン制御のモード切り替えができる構成でも構わない。
【0086】
また、画面表示を介した切り替え方法に代えて、例えばオプションフィーダ250にトグルスイッチを配置し、このスイッチの位置によって通常オープンモードとリフタ下降後オープンモードが切り替わるようにしてもよい。
【実施例2】
【0087】
実施例2について説明する。本実施例は、オプションフィーダ250における収納庫オープン制御のモード切り替えを自動で行う点が実施例1と異なっている。以下、実施例1と共通の符号を付した要素は、実施例1で説明したものと実質的に同じ構成及び作用を有するものとする。
【0088】
本実施例において、デフォルトでは通常オープンモードが設定されているものとする。通常オープンモードが設定されている状態では、例えばユーザが一度に大量のシート束を勢いよくリフト板507に積載する等、想定以上の衝撃が加わると、支持部材531bをはじめとするリフト機構530の構成部材に過負荷が作用する可能性がある。そこで、本実施例では、通常オープンモードにおいてリフト機構530に加わる負荷の大きさを監視し、閾値以上の負荷(過負荷)が加わったと判断した場合に、自動的にリフタ下降後オープンモードを設定する構成としている。
【0089】
本実施例では、リフト機構530に加わる負荷の大きさを検知する負荷検知手段として、リフタモータM500の電流値を計測する電流計であるリフタモータ過電流検知センサ609(
図3参照)を使用する。リフタモータ過電流検知センサ609は、収納庫制御部311に接続されている。CPU301は、収納庫制御部311を介して、リフタモータ過電流検知センサ609が計測したリフタモータM500に流れる電流値を取得する。
【0090】
図11はリフタモータM500の駆動状態と、リフタモータ過電流検知センサ609により計測された電流値と、リフタモータM500の過電流判定と、収納庫オープンモード設定を並べた時系列図である。リフタモータM500が駆動状態になると、電流値は設定電流値を目指して上昇し始める。このとき、収納庫オープン制御のモード設定は通常オープンモードが設定されている。
【0091】
この状態でユーザが一度に大量のシートを補給すると、リフト機構530を介してリフタモータM500に比較的大きな負荷が掛かる。この負荷は、リフタモータM500の回転速度を目標値より早めようとする方向に働くため、リフタモータM500の電流値が一時的に上昇する。CPU301はこのリフタモータM500の電流値が一時的に上昇する現象を捉え、リフタモータM500の過電流判定を行う。即ち、リフタモータM500の電流値が予め設定された基準値(過電流リミット)を超えると、CPU301はリフタモータM500に過電流が流れたと判定する。すると、CPU301は収納庫オープン制御のモード設定を、通常オープンモード(第1モード)に代えてリフタ下降後オープンモード(第2モード)に自動で切り替えRAM303に格納する。
【0092】
これにより、次回以降の収納庫オープン制御では、リフタ下降後オープンモードが実行されることで、リフト板507が収納庫本体506の下限位置まで下降した状態で収納庫ユニット508が開くことになる。従って、ユーザが大量のシートを一度に補給したとしても、リフト機構530に対して大きな負荷が加わることが防がれ、オプションフィーダ250の耐久性向上が可能となる。一方、一度に大量のシートを補給する使い方をしないユーザの場合は通常オープンモードが継続するため、シート補給時の利便性が高い状態が維持される。従って、本実施例によっても、シート補給時の利便性の向上と耐久性の向上との両立を図ることができる。
【0093】
なお、収納庫オープンモードの自動切換えのタイミングに関しては、過電流を検出した累積回数をRAM303に格納し、この累積回数が所定の閾値を超えたときにリフタ下降後オープンモードに切り替えるような、ヒステリシスを持たせてもよい。
【0094】
また、本実施例ではリフト板507の下降中に過電流を検知することを想定しているが、リフト板507を補給位置等で停止させた後にリフタモータM500に基準値以上の電流が流れたことを検知するようにしてもよい。即ち、リフト板507が停止している状態でユーザが一度に大量のシートを補給すると、CPU301からの指示がないにも関わらずリフタモータM500が回転することが考えられる。この場合、リフタモータM500が発電機として機能して電流が流れることを利用して、リフタモータ過電流検知センサ609が計測した電流値に基づいてリフト機構530に高い負荷が加わったと判断し、CPU301はリフタ下降後オープンモードを設定する。
【0095】
また、支持部材531b等のリフト機構530の構成部材に過負荷が加わったことを検知する負荷検知手段はモータ電流を検知するものに限らない。例えば、支持部材531bに歪みゲージを取り付けて、歪みゲージの出力値を基準値と比較することで過負荷が加わったか否かを判定してもよい。
【0096】
また、本実施例では、過負荷を検知した際に自動的に収納庫オープン制御のモード切り替えを行うものとして説明したが、過負荷を検知した際に表示操作部310を介してユーザに対してモード切り替えを提案するようにしてもよい。また、過負荷を検知した際に自動的に収納庫オープン制御のモード切り替えを行った場合において、モード切り替えを行ったことを表示操作部310を介してユーザに対して知らせるようにしてもよい。
【0097】
(実施形態のまとめ)
以上説明した実施例1,2及びその変形例では、収納庫開ボタン510が押下された際に実行される収納庫オープン制御のモードとして、通常オープンモードとリフタ下降後オープンモードの2つを用意している。通常オープンモードでは、リフト板507が収納庫本体506内の下限位置にあるか否かに関わらず、収納庫開ソレノイド610により収納庫ユニット508を開状態とする処理を行う(
図8のS21~S23)。一方、リフタ下降後オープンモードでは、底面位置センサ604がリフト板507を検知するまでリフト板507を下降させた後に、収納庫開ソレノイド610により収納庫ユニット508を開状態とする処理を行う(
図9のS34~S36)。言い換えると、本実施例のシート給送装置は、第1モード及び第2モードを含む複数のモードのいずれかによって開閉手段及び昇降手段を制御する制御手段を備えている。第1モードでは、開放指示手段により開放指示を受けた場合に、リフト板が下限位置にあるか否かに関わらず開閉手段により収納庫を開状態とする。第2モードでは、開放指示を受けた場合に、下限検知手段がリフト板を検知するまでリフト板を下降させた後に、開閉手段により収納庫を開状態とする。
【0098】
この構成により、ユーザの使用方法に応じてモードを切り替えることで、シート補給時の利便性の向上と耐久性の向上との両立を図ることができる。即ち、一度に大量にシート束を補給することを望まないユーザの場合は、第1モードを設定することでシート補給を行いやすくする。一方、一度に大量のシート束を補給することを望むユーザの場合は、第2モードを設定することで、リフト板にシートを積載したときの負荷が収納庫に分散されるため、装置の耐久性を向上可能である。
【0099】
なお、以上の実施形態では、シート給送装置の一例として、画像形成装置においてプリンタ本体の側方に連結されるオプションフィーダ250を例示したが、本技術は他のシート給送装置にも適用可能である。例えば、プリンタ本体の下部に組み込まれたシート給送装置が挙げられる。
【0100】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0101】
100…画像形成装置/120…画像形成手段(プロセスユニット)/250…シート給送装置(オプションフィーダ)/310…操作部(表示操作部)/507…リフト板/508…収納庫(収納ユニット)/510…開放指示手段(収納庫開ボタン)/530…昇降手段(リフト機構)/530a,530e…ワイヤ/530b,530c,530f,530g…プーリ/531b,531c,531f,531g…支持部材/532…巻取り軸(ワイヤ巻取り軸)/605…中間検知手段(補給位置センサ)/609…負荷検知手段(リフタモータ過電流検知センサ)/610…開閉手段(収納庫開ソレノイド)/M500…モータ(リフタモータ)