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特許7475861複合材部品用のツールとしての拡張可能なブラダー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】複合材部品用のツールとしての拡張可能なブラダー
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/44 20060101AFI20240422BHJP
   B29C 70/06 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
B29C70/44
B29C70/06
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020000053
(22)【出願日】2020-01-06
(65)【公開番号】P2020116945
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】16/237,912
(32)【優先日】2019-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ワン, シアオシー
(72)【発明者】
【氏名】ジョージソン, ゲイリー イー.
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-034297(JP,A)
【文献】国際公開第2014/064784(WO,A1)
【文献】特開2008-155383(JP,A)
【文献】特開昭58-056824(JP,A)
【文献】特開平11-348139(JP,A)
【文献】特開2016-010953(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102806668(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/274037(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/00 - 70/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材部品の製造方法であって、
繊維強化材料から作られ、空洞を含むプリフォームをレイアップすること(202)と、
前記空洞内に、拡張可能なペレットが充填された一又は複数のブラダーを挿入すること(204)と、
トリガー条件に反応して前記ブラダーを膨張させること(208)と、
前記ブラダーが膨張している間に前記プリフォームを圧密化すること(210)と、
前記ブラダーを収縮させること(214)と、
前記空洞から前記ブラダーを除去すること(216)と、
を含む製造方法。
【請求項2】
前記ブラダーが膨張している間に前記プリフォームを複合材部品へと硬化すること(212)をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ペレット内の発泡剤によって前記拡張可能なペレットの容積を増大させることをさらに含み、
前記ブラダーの膨張は、増大する前記ペレットの前記容積によって引き起こされる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記トリガー条件に反応して前記発泡剤からガスを放出することによって、前記ペレットの前記容積を増大させることをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ブラダーの外側にある前記空洞に充填材ペレットを挿入することをさらに含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
追加の拡張可能なペレットが充填された追加のブラダーを前記空洞に挿入することをさらに含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記空洞の断面形状に基づいて、前記空洞内に前記ブラダーを配置することをさらに含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ブラダーの膨張の前にマンドレルに対して前記プリフォームをレイアップすることをさらに含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記トリガー条件は、温度トリガー反応、減圧、紫外線トリガー化学反応、及び付加的な部品の混合からなる群から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
プログラミングされた命令を具現化する非一過性のコンピュータ可読媒体であって、前記命令は、プロセッサによって実行されると、複合材部品を製造するための方法を実施するように動作可能であり、前記方法は、
繊維強化材料から作られ、空洞を含むプリフォームをレイアップすること(202)と、
前記空洞内に、拡張可能なペレットが充填された一又は複数のブラダーを挿入すること(204)と、
トリガー条件に反応して前記ブラダーを膨張させること(208)と、
前記ブラダーが膨張している間に前記プリフォームを圧密化すること(210)と、
前記ブラダーを収縮させること(214)と、
前記空洞から前記ブラダーを除去すること(216)と、
を含む、非一過性のコンピュータ可読媒体。
【請求項11】
複合材部品を製造するためのコンピュータプログラムであって、
繊維強化材料から作られ、空洞を含むプリフォームをレイアップすること(202)と、
前記空洞内に、拡張可能なペレットが充填された一又は複数のブラダーを挿入すること(204)と、
トリガー条件に反応して前記ブラダーを膨張させること(208)と、
前記ブラダーが膨張している間に前記プリフォームを圧密化すること(210)と、
前記ブラダーを収縮させること(214)と、
前記空洞から前記ブラダーを除去すること(216)と
をプロセッサに実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項12】
複合材部品を製造するための装置であって、
膨張及び収縮可能なブラダー(100)と、
前記ブラダーの内部空間(140)内に配置され、発泡剤(722)を含む拡張可能なペレット(130)と、
を含む装置。
【請求項13】
前記発泡剤は、トリガー条件に反応して前記拡張可能なペレットのサイズを大きくする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記拡張可能なペレットはそれぞれ、発泡剤が充填される気密性のポケット(720)を有する柔軟性のある材料のマトリクス(710)を含む、請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
前記拡張可能なペレットはそれぞれ、
密閉空間(820)を画定する柔軟性のある膜(810)と、
前記発泡剤を含む、前記密閉空間内に配置された核(830)と、
を含むマイクロバルーン(800)を含む、請求項12から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記ブラダーの柔軟性のある外皮(910)は、前記ブラダーの拡張量を制御する繊維(920)で強化されている、請求項12から15のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、製造の分野に関し、具体的には、複合材部品の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
複合材部品は、構造体だけでなくビークルにも構造的な強度をもたらす。例えば、ストリンガ又は他の構造支持体は、所望の形状(例えば、C字型の断面、I字型の断面、ハット型の断面など)に配置された繊維強化材料を含むプリフォームをレイアップすることによって製造されうる。次いで、プリフォームは硬化されて複合材部品になる。
【0003】
プリフォームは、硬化(例えば、固化又は凝固)する前には構造的な強度が不足している。そのため、形成ツールは、プリフォームが硬化する前に、プリフォームを所望の形状に押圧し、保持する。しかしながら、その形状に空洞が含まれる場合には、プリフォームを所望の形状に押圧して保持することは困難になりうる。このような状況では、空洞内の鋭角な隅部は硬化して、形成ツールに結合し、プリフォームが硬化されて複合材部品になった後に形成ツールから取り外すことはより困難になる。しかも、プリフォームの空洞全体にわたって力を一様に加えることは困難になりうる。これは、内部に空洞を有するプリフォームを完全に圧密化させることは困難になりうることを意味する。
【0004】
したがって、上記の問題点のうちの少なくともいくつかと、起こりうる他の問題点を考慮した、方法及び装置を手に入れることが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0005】
本書に記載の実施形態は、拡張可能なペレットが充填され、プリフォームの空洞用の形成ツールとして使用されうる、柔軟性のあるブラダーを提供する。空洞内の他のブラダーに関して、各ブラダーのサイズ、形状、及び位置を調整することによって、力は空洞全体にわたって均一に印加されうる。さらに、ペレットは、プリフォームが硬化する間に加えられる熱に反応して拡張しうる。これにより、ブラダーは硬化する間に強制的に所望の形状になり、硬化が完了した(また、部品が冷えた)後に収縮する。ブラダーは収縮した後、出来上がった複合材部品から容易に取り外される。
【0006】
一実施形態は、複合材部品を製造するための方法である。方法は、繊維強化材料から作られ空洞を含むプリフォームをレイアップすることと、空洞内に拡張可能なペレットが充填された一又は複数のブラダーを挿入することと、トリガー条件に反応してブラダーを膨張させることと、ブラダーが膨張している間にプリフォームを圧密化することと、ブラダーを収縮させることと、空洞からブラダーを除去することと、を含む。
【0007】
さらなる実施形態は、プログラミングされた命令を具現化する非一過性のコンピュータ可読媒体であって、その命令は、プロセッサによって実行されると、複合材部品を製造するための方法を実施するように動作可能である。方法は、繊維強化材料から作られ、空洞を含むプリフォームをレイアップすることと、空洞内に拡張可能なペレットが充填された一又は複数のブラダーを挿入することと、トリガー条件に反応してブラダーを膨張させることと、ブラダーが膨張している間にプリフォームを圧密化することと、ブラダーを収縮させることと、空洞からブラダーを除去することと、を含む。
【0008】
さらに別の実施形態は、複合材部品を製造するための装置である。装置は、ブラダーと、ブラダーの内部空間内に配置され、発泡剤を含む拡張可能なペレットとを含む。
【0009】
本装置はまた、特許請求の範囲と混同すべきでない下記の条項においても言及される。
【0010】
条項1. 複合材部品の製造方法であって、
繊維強化材料から作られ、空洞を含むプリフォームをレイアップすること(202)と、
前記空洞内に、拡張可能なペレットが充填された一又は複数のブラダーを挿入すること(204)と、
トリガー条件に反応して前記ブラダーを膨張させること(208)と、
前記ブラダーが膨張している間に前記プリフォームを圧密化すること(210)と、
前記ブラダーを収縮させること(214)と、
前記空洞から前記ブラダーを除去すること(216)と、
を含む製造方法。
【0011】
条項2. 前記ブラダーが膨張している間に前記プリフォームを複合材部品へと硬化すること(212)をさらに含む、条項1に記載の方法
【0012】
条項3. 前記ペレット内の発泡剤によって前記拡張可能なペレットの容積を増大させることをさらに含み、
前記ブラダーの膨張は、増大する前記ペレットの前記容積によって引き起こされる、条項1又は2に記載の方法。
【0013】
条項4. 前記ブラダーの外側にある前記空洞に充填材ペレットを挿入することをさらに含む、条項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【0014】
条項5. 追加の拡張可能なペレットが充填された追加のブラダーを前記空洞に挿入することをさらに含む、条項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【0015】
条項6. 前記空洞の断面形状に基づいて、前記空洞内に前記ブラダーを配置することをさらに含む、条項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【0016】
条項7. 前記空洞の断面形状に基づいて前記ブラダーの形状を選択することをさらに含む、条項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【0017】
条項8. 前記ブラダーの膨張の前にマンドレルに対して前記プリフォームをレイアップすることをさらに含む、条項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【0018】
条項9. 前記発泡剤をトリガーしてガスを放出することによって、前記ペレットの前記容積を増大させることをさらに含む、条項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【0019】
条項10. 前記トリガー条件は、温度トリガー反応、減圧、紫外線トリガー化学反応、及び付加的な部品の混合からなる群から選択される、条項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【0020】
条項11. 条項1から10のいずれか一項に記載の方法により組み立てられた航空機の一部。
【0021】
本媒体のさらなる態様により、下記が提示される。
条項12. プログラミングされた命令を具現化する非一過性のコンピュータ可読媒体であって、前記命令は、プロセッサによって実行されると、複合材部品を製造するための方法を実施するように動作可能であり、前記方法は、
繊維強化材料から作られ、空洞を含むプリフォームをレイアップすること(202)と、
前記空洞内に、拡張可能なペレットが充填された一又は複数のブラダーを挿入すること(204)と、
トリガー条件に反応して前記ブラダーを膨張させること(208)と、
前記ブラダーが膨張している間に前記プリフォームを圧密化すること(210)と、
前記ブラダーを収縮させること(214)と、
前記空洞から前記ブラダーを除去すること(216)と、
を含む、非一過性のコンピュータ可読媒体。
【0022】
条項13. 前記方法は、前記ブラダーが膨張している間に前記プリフォームを複合材部品へと硬化すること(212)をさらに含む、条項12に記載の媒体。
【0023】
条項14. 前記方法はさらに、前記ペレット内の発泡剤によって前記拡張可能なペレットの容積を増大させることをさらに含み、
前記ブラダーの膨張は、増大する前記ペレットの前記容積によって引き起こされる、条項12又は13に記載の媒体。
【0024】
条項15. 前記方法は、前記ブラダーの外側にある前記空洞に充填材ペレットを挿入することをさらに含む、条項12から14のいずれか一項に記載の媒体。
【0025】
条項16. 前記方法は、追加の拡張可能なペレットが充填された追加のブラダーを前記空洞に挿入することをさらに含む、条項12から15のいずれか一項に記載の媒体。
【0026】
条項17. 前記方法は、前記空洞の断面形状に基づいて、前記空洞内に前記ブラダーを配置することをさらに含む、条項12から16のいずれか一項に記載の媒体。
【0027】
条項18. 前記空洞の断面形状に基づいて前記ブラダーの形状を選択することをさらに含む、条項12から17のいずれか一項に記載の媒体。
【0028】
条項19. 前記ブラダーの膨張の前にマンドレルに対して前記プリフォームをレイアップすることをさらに含む、条項12から18のいずれか一項に記載の媒体。
【0029】
条項20. 前記トリガー条件は、温度トリガー反応、減圧、紫外線トリガー化学反応、及び付加的な部品の混合からなる群から選択される、条項12から19のいずれか一項に記載の媒体。
【0030】
条項21. 前記発泡剤をトリガーしてガスを放出することによって、前記ペレットの容積を増大させることをさらに含む、条項12から20のいずれか一項に記載の媒体。
【0031】
条項22. 条項12から21のいずれか一項に記載のコンピュータ可読媒体に保存された命令によって画定された方法により組み立てられた航空機の一部。
【0032】
本装置のさらなる態様により、下記が提示される。
条項23. 複合材部品を製造するための装置であって、
ブラダー(100)と、
前記ブラダーの内部空間(140)内に配置され、発泡剤(722)を含む拡張可能なペレット(130)と、
を含む装置。
【0033】
条項24. 前記発泡剤は、トリガー条件に反応して前記拡張可能なペレットのサイズを大きくし、
前記拡張可能なペレットは、拡張すると、前記内部空間よりも大きな総容積を有し、前記ブラダーを膨張させる、条項23に記載の装置。
【0034】
条項25. 前記拡張可能なペレットはそれぞれ、発泡剤が充填される気密性のポケット(720)を有する柔軟性のある材料のマトリクス(710)を含む、条項23又は24に記載の装置。
【0035】
条項26. 前記拡張可能なペレットはそれぞれ、
密閉空間(820)を画定する柔軟性のある膜(810)と、
前記発泡剤を含む、前記密閉空間内に配置された核(830)と、
を含むマイクロバルーン(800)を含む、条項23から25のいずれか一項に記載の装置。
【0036】
条項27. 前記発泡剤は熱の印加に反応してガスを放出する、条項23から26のいずれか一項に記載の装置。
【0037】
条項28. 前記ブラダーの柔軟性のある外皮(910)は、前記ブラダーの拡張量を制御する繊維(920)で強化されている、条項23から27のいずれか一項に記載の装置。
【0038】
条項29. 条項23から28のいずれか一項に記載の装置を使用して、航空機の一部を製造すること。
【0039】
他の例示的な実施形態(例えば上述の実施形態に関する方法及びコンピュータ可読媒体)については、以下で説明される。上述の特徴、機能、及び利点は、様々な実施形態において単独で実現することが可能であり、或いは、さらに別の実施形態において組み合わせることが可能である。これらの実施形態は、以下の説明及び図面を参照することによってさらに詳細に理解することができる。
【0040】
ここで、本開示のいくつかの実施形態を、例示としてのみ、添付図面を参照して説明する。すべての図面で、同じ参照番号は、同じ要素又は同じタイプの要素を表わす。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】例示的な実施形態における、切り取られた部分と拡張可能なペレットを含むブラダーの斜視図である。
図2】例示的な実施形態における、複合材部品を製造するための方法を示す、フロー図である。
図3】様々な例示的な実施形態における、プリフォームの空洞に挿入されたブラダーの側面図である。
図4】様々な例示的な実施形態における、プリフォームの空洞に挿入されたブラダーの側面図である。
図5】様々な例示的な実施形態における、プリフォームの空洞に挿入されたブラダーの側面図である。
図6】様々な例示的な実施形態における、プリフォームの空洞に挿入されたブラダーの側面図である。
図7】例示的な実施形態における、拡張可能なペレットを示している。
図8】例示的な実施形態における、拡張可能なペレットを示している。
図9】例示的な実施形態における、繊維強化されたブラダーを示している。
図10】例示的な実施形態における、硬化システムのブロック図である。
図11】例示的な実施形態における、航空機の製造及び保守方法を示すフロー図である。
図12】例示的な実施形態における、航空機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
これらの図面及び以下の説明により、本開示の特定の例示的な実施形態を提示する。したがって、当業者は、本書に明示的に記載または図示されていない様々な装置を考案して本開示の原理を具体的に実現することができるが、それらは本開示の範囲に含まれることを理解されたい。さらに、本書に記載のいかなる実施例も、本開示の原理の理解を助けることを意図したものであり、具体的に記載された実施例や諸条件に限定されないと理解されたい。この結果、本開示を限定するものは、下記の具体的な実施形態または実施例ではなく、特許請求項の範囲及びその均等物である。
【0043】
炭素繊維強化ポリマー(CFRP)部品などの複合材部品は最初に、プリフォームと総称されている多重層にレイアップされる。プリフォームの各層内の個々の繊維は、互いに平行に揃えられているが、様々な寸法に沿って得られる複合材の強度を高めるため、様々な繊維配向を示す。プリフォームは、プリフォームを硬化して(例えば、航空機に使用される)複合材部品にするため、凝固する粘着性の樹脂を含みうる。未固化の熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂が含侵されている炭素繊維は「プリプレグ」と称される。他の種類の炭素繊維は、熱硬化性樹脂に含侵されていない「ドライファイバー」を含むが、粘着付与剤又は結合剤を含みうる。ドライファイバーは固化前に樹脂が注入される。熱硬化性樹脂に関しては、硬化することは固化と称される一方向の処理であるが、一方、熱可塑性樹脂に関しては、樹脂は再加熱されると粘性のある形態になりうる。以下の図及び記述は、複合材部品の成形を促進するブラダー及び他のコンポーネントについて説明したものである。
【0044】
図1は、例示的な実施形態で、ペレット130が見えるように切り取られた部分を含むブラダー100の斜視図である。ブラダー100は、ペレット130が充填された柔軟性のある拡張可能な空間(内部空間140など)を有する、任意のシステム、装置又はコンポーネントを備える。ペレット130は、プリフォームが硬化して複合材部品になる間に加えられる熱などのトリガー条件に反応して拡張する。トリガー条件はペレット130のコンポーネントの相転移を引き起こす。これにより、ブラダー100は拡張する。ブラダー100の拡張は圧力を加え、プリフォームを圧密化して圧縮し、所望の形状にする。この実施形態では、ブラダー100は、ペレット130の拡張に反応して変形するように構成された柔軟性のある外皮110を含む。例えば、柔軟性のある外皮110は、華氏350度の硬化温度で溶融しない、可塑的に又は弾性的に変形可能な材料を含みうる。したがって、外皮110は柔軟性があるため、ペレット130がブラダー100の容積を増大させることもできるが、ペレット130がすべての方向に無制限に拡張するのを防止することもできる。これは、ペレット130が拡張する方法を抑制すること、また、プリフォームが硬化して複合材部品になった後、ペレット130の除去を容易することによって、技術的な利点を提供する。この実施形態では、ブラダー100は球形に描かれているが、ブラダー100は、管状の形状又は他の所望の形状を想定しうる。
【0045】
ペレット130は、ブラダー100の切り欠き120を通して見ることができる。切り欠き120は、純粋にペレット130の説明を容易にするために設けられている。しかしながら、さらなる実施形態では、切り欠き120又はポート(図示せず)は、ブラダー100へのペレット130の充填、或いはブラダー100からのペレット130の取出しを容易にするため、ブラダー100に含まれていてもよい。ペレット130は、熱可塑性物質などの県警可能な物質から作られた、小さな粒状のコンポーネントである。ペレット130は内部の発泡剤(図7図8を参照して以下で説明される)を含む。ペレット130がトリガー(例えば、加熱)されると、発泡剤は容積が増大し、これによりペレット130の容積を増大させる。冷却すると、発泡剤は容積が減少し、これによりペレット130はつぶれる。使用後、ペレット130はリサイクルされ、別のペレットになる。
【0046】
ブラダー100の動作の例示的な詳細は、図2を参照して説明される。この実施形態では、一又は複数のブラダー100(例えば、ブラダー及び追加のブラダー)にはペレット130が充填され、複合材部品の製造で使用されるのを待つことになる。
【0047】
図2は、例示的な実施形態における、複合材部品を製造するための方法200を示したフロー図である。方法200のステップは、図1のブラダー100を参照して説明されるが、当業者であれば、方法200が他のデバイスで実施されうることを理解するであろう。本書に記載のフロー図のステップは、網羅的なものではなく、図示していない他のステップを含みうる。本書に記載のステップは、代替的な順序でも実施されうる。
【0048】
ステップ202では、固まっていない繊維強化材料から作られたプリフォームがレイアップされる。プリフォームは熱硬化性材料又は熱可塑性材料を含み、炭素繊維、ガラスファイバーなどで強化されうる。例えば、一実施形態では、プリフォームはCFRPの複数のプライを含み、各プライは、異なる方向に配置された繊維を有する。例えば、図3の製造システム300に示したように、表面332を含むプリフォーム330の上方部分は、マンドレル310の表面312の上にレイアップされ、表面334を含むプリフォーム330の下方部分は、マンドレル320の表面322の上にレイアップされうる。マンドレル310とマンドレル320は次に、硬化中にプリフォーム330のアウタモールドライン(OML)上に所望の形状を実現するため、接合されうる。
【0049】
プリフォームはまた、空洞を含む。例えば、図3に示したように、空洞340は、(プリフォーム330のインナモールドライン(IML)を形成する)内面336の境界によって画定される。空洞340は開口部342を経由してアクセス可能である。開口部342は、ページの内外への移動によって、空洞340へのアクセスを可能にする。空洞340内の内側の隅338は、プリフォーム330の硬化中に所望の形状を実現するのが特に困難になりうる。
【0050】
ステップ204では、ブラダー100が空洞340内に挿入される。例えば、図3に示したように、様々なサイズ及び/又は形状を有する5個のブラダー100は、開口部342を介して空洞340に挿入される。ブラダー100は、まだ拡張していないペレット130を含む。したがって、拡張前のブラダー100内のペレット130の総容積は、内部空間140の容積以下である。しかも、ブラダー100の容積の合計は、空洞340の容積を下回る。これは、ブラダー100が開口部342を経由して、空洞340内に容易に挿入可能になりうることを意味する。さらなる実施形態では、空洞340内の一又は複数のブラダー100のサイズ、形状、及び/又は配置は、空洞340の断面形状に応じて変動しうる。これは、形状及びサイズが変化する空洞を有するプリフォームの圧縮を可能にすることによって、技術的な利点をもたらす。
【0051】
ステップ206では、ペレット130の容積は、トリガー条件に応じたペレット130内の発泡剤によって増大する。例えば、製造システム300の全体は硬化温度まで加熱されうる。加熱に反応して、或いは他のトリガー条件に反応して、発泡剤は活性化し、容積が増大し、その結果、ペレット130の容積が増大する。例えば、発泡剤は加熱されるにつれて、固相又は超臨界状態からガス状態に遷移し、その結果、ペレット130の圧力と容積を高める。トリガー条件のさらなる例には、温度によってトリガーされる化学/物理反応、環境圧力の減圧(ペレットを圧力容器から取り出すことによって起こる減圧で、これによりペレットは大気圧で時間の経過とともに発泡する)、紫外線によってトリガーされる化学反応、及び付加的な部品の混合(例えば、接着剤とペレットの2成分の混合)が含まれる。
【0052】
ステップ208では、ブラダー100は、ペレット130の容積の増大を引き起こすトリガー条件に反応して膨張する。例えば、トリガー条件は、ブラダー100内のペレット130の総容積を、内部空間140の容積よりも大きくすることがありうる。これにより、ペレット130は、ブラダー100の柔軟性のある外皮110に力を加え、ブラダー100の柔軟性のある外皮110を外向きに押しやる。この柔軟性のある外皮110の変形は、ブラダー100の材料に応じて弾性的に、又は可塑的になりうる。ブラダー100が膨張している間に、ブラダーはプリフォーム330の内面336の上方部分に接触し、この部分をマンドレル310に押圧する力を加える。ブラダー100はまた、プリフォーム330の内面336の下方部分に接触し、この部分をマンドレル320に押圧する力を加える。これは、プリフォーム330を圧縮し、プリフォーム330に所望の形状を強制的に実現する。つまり、プリフォーム330は、マンドレル310及び/又はマンドレル320に対してレイアップされ、次に他のマンドレルに接触するに至る。ブラダー100を膨張させることにより、プリフォーム330をマンドレル310とマンドレル320に対して押圧する。ペレット130がブラダー100内で自由に移動可能であるため、また、ブラダー100が柔軟性のある外皮を有するため、ペレット130の拡張によってブラダー100は複雑な表面形状(例えば、プリフォーム330の内側の隅)に適合し、押圧する。したがって、ステップ210では、プリフォーム330はブラダー100が膨張している間に圧密化される。すなわち、ブラダー100によって印加される圧力は、マンドレル310とマンドレル320に対してプリフォーム330を圧密化させる役割を果たす。
【0053】
ステップ212では、プリフォーム330は、一又は複数のブラダー100が膨張している間に、硬化して複合材部品になる。したがって、一又は複数のブラダー100は、硬化処理中にプリフォーム330に所望の形状を与え続け、硬化中にプリフォーム330が変形したり、つぶれるのを防止する。次に、プリフォーム330は硬化が完了して複合材部品になる。いくつかの実施形態では、プリフォーム330は(熱硬化性材料の場合には)固化によって硬くなり、一方、他の実施形態では、プリフォーム330は(熱可塑性材料の場合には)溶融温度未満に冷却することにより硬化しうる。
【0054】
ステップ214では、一又は複数のブラダー100は収縮される。これは、発泡剤の容積を減少させるようにペレット130を発泡温度未満に冷却すること、或いは他の適切な手段によって、ペレット130の容積を減少させることによって実施されうる。さらなる実施形態では、これは、生成されたガスの一部を(例えば、ポートの操作又はブラダー100の穿刺によって)ブラダー100の外に放出することによって実施されうる。一又は複数のブラダー100は次に、収縮した状態にある間に、ステップ214で空洞340から除去される。収縮状態には、除去を容易にするという技術的なメリットがある。
【0055】
ペレット130を使用することにより、ブラダー100が空洞340内にある隅に適合する能力が高まるため、方法200は従来の技術よりも有利である。空洞の特徴的な部分(内域など)の近傍にペレット130を配置することによって、製造中に架橋及びその他の問題を回避しうる。しかも、ペレット130はブラダー100内に封入されているため、ペレット130はプリフォーム330が硬化した後に除去可能であり、ペレット130が拡張する方向は、ブラダー100の柔軟性のある外皮110のサイズ(並びに、柔軟性のある外皮110が作られる材料)に基づいて制御されうる。しかもさらに、ブラダー100は膨張の促進に使用されるコンポーネントを既に含んでいるため、ブラダー100を別々の膨張システムに連結する必要はない。これにより、ホースを各ブラダーに接続することが不要になり、ブラダー100の取付及び除去時の作業が減るという技術的なメリットをもたらす。
【0056】
図4図6は、様々な例示的な実施形態で、プリフォームの空洞に挿入されたブラダーの側面図を示している。図4では、完全に拡張したときにブラダー100が届かない間隙を埋めるため、一又は複数のブラダー100と共に、充填材ペレット400が含まれている。空洞340内に挿入された充填材ペレット400は、一又は複数のブラダー100の外側にある。充填材ペレット400は、必要であれば、付加的な拡張可能なペレット、或いは、拡張可能でないペレットを含みうる。
【0057】
さらなる実施形態では、ブラダー100に加えて、棒状の材料が空洞340内に挿入されうる。図5に示した一実施形態では、硬質材料510から作られたバー500(例えば、中空ロッド)がブラダー100と共に空洞340に挿入されている。硬質材料は、アルミニウムなどの硬化温度で溶けない任意の好適な材料、プリフォーム330の硬化温度よりも高い溶融温度を有する熱可塑性材料などを含みうる。バー500は、硬化処理中に用いられる温度よりも高い溶融温度を有する。したがって、ペレット130と異なり、バー500はリサイクルする必要はなく、再使用されうる。そのため、バー500の使用により、硬化処理時の多数のブラダーやペレットのニーズは減少する。硬化処理中に力がプリフォーム330に均等に印加されるように保証するため、バー500は、拡張後にプリフォーム330に接触しない場所に配置されうる。バー500はまた、要望に応じて中実又は中空であってよく、プリフォーム330の硬化処理中に、限られた範囲内の拡張と収縮をもたらす熱膨張係数(CTE)を有しうる。
【0058】
図6に示された一実施形態では、硬質材料610のバー600は、ブラダー100内に配置される。図5のバー500のように、バー600は、プリフォーム330の硬化中に使用されるペレット130の量を低減し、次に、プリフォーム330が硬化されるたびにリサイクルが必要になる材料の量を低減する。
【0059】
図7は、例示的な実施形態で拡張可能なペレット700を示している。この実施形態では、ペレット700は、熱可塑性のポリウレタン、ポリプロピレン、ナイロンなどの拡張可能で柔軟性のある材料のマトリクス710を含む。マトリクス710は、硬化処理中に溶融しない材料から作られる。マトリクス710は、発泡剤722が充填される複数の気密性ポケット720を画定する。発泡剤722は、ガス、粉末、超臨界ガス、又は他のコンポーネントを含む。発泡剤722が加熱されると、ガスを放出し、そのガスは気密性ポケット720の各々に負荷を加える。例えば、発泡剤722は気相に移行し、加熱中は理想気体の法則に従って体積が増大する。発泡剤722の拡張は、気密性ポケット720の各々のサイズを増大させ、次にペレット700の容積全体を増大させる。発泡剤722は冷却されると、元の容積に戻ることがあり、或いは、大幅に収縮することなく、拡張した形状を保持することもありうる。マトリクス710は次に、可塑的に変形又は拡張した状態に留まること、つぶれること、或いは弾性的に元のサイズ及び形状に戻ることがありうる。ペレット700は、溶融温度までペレット700を加熱すること、及び、作られたペレット700の元の材料を再利用することによってリサイクルされうる。これは、使用済みのペレット700から回収されたリサイクル材料を用いて、新しいペレットが製造されうることを意味する。この実施形態では、ペレット700は、ペレット形状、円筒形、球形、米粒に似た形状を含み、未拡張状態にあるときには、1マイクロメートルから100ミリメートルの範囲内にサイズになる。
【0060】
図8は、さらなる例示的な実施形態で、拡張可能なペレット800を示している。図7とは異なるこの実施形態では、ペレット800は、密閉空間820内に一群の核830を封じ込めた柔軟性のある膜810を有する「マイクロバルーン」を含む。柔軟性のある膜810は、硬化処理中に溶融しない材料から作られる。密閉空間820内に配置された核830は発泡剤を含む。あるトリガー条件(例えば、プリフォーム330の硬化温度未満の活性化温度)で、核830内の発泡剤はガスを放出する。このガスは核830に圧力を加え、その直径を(例えば、10%から100%、或いはそれ以上)増大させる。核830の容積の増大は次にペレット800の容積を増大させる。この実施形態では、ペレット800は、未拡張状態にあるとき、直径が1マイクロメートルから10ミリメートルの範囲内にある。
【0061】
図9は、例示的な実施形態で、繊維強化されたブラダー900を示している。この実施形態では、ブラダー900の柔軟性のある外皮910は、所定のサイズ及び形状を超えて拡張するブラダー900の抵抗を高める繊維920によって強化されている。したがって、繊維920は、ブラダー900の拡張の大きさを制御する。繊維920は、適切な配向、又は配向の組み合わせを想定しうる。ブラダー900が所望のサイズと形状を超えて膨張するとき、繊維920は緊張状態にあり、さらなる拡張に抵抗するブラダー900の能力を大幅に高めている。ブラダー900にペレットが過剰に充填されているとき、ブラダー900が破裂又は過大に拡張しないように防止することによって、ブラダー900は技術的なメリットをもたらしうる。ブラダー900はまた、ブラダー900の拡張方法に影響を与えることを目的とした繊維を含みうる。例えば、様々なパターン、配向又は方向で繊維を配置することにより、ブラダー900を様々な方向に拡張することを可能にしうる。
【0062】
さらなる実施形態では、ブラダーの拡張は、ブラダー内のペレットの数及び/又は種類を調整すること、柔軟性のある外皮110の厚み又は柔軟性のある外皮110が作られる材料を調整すること、ブラダーの形状を調整すること、各ペレット内の発泡剤の量又は各ペレット内の発泡剤の種類を調整すること、ブラダー内の各ペレットのサイズを調整すること、などによって制御されうる。ブラダーでの遷移の配向及び配置はまた、充填される空洞の形状に適合するように、ブラダーの成形に役割を果たす。
【0063】
なおさらなる実施形態では、空洞340の形状の中空シェル(図示せず)には、上述のブラダー100が充填されうる。また、中空シェルはプリフォーム330の空洞340内に挿入されうる。中空シェルは除去されて、プリフォーム330の硬化中に機械的な支持を提供するため、代わりにブラダー100が残されることもありうる。
【0064】
実施例
以下の実施例において、追加の処理、システム、及び方法が、複合材プリフォームの硬化システムに関連して説明される。
【0065】
図10は、例示的な実施形態での硬化システム1000のブロック図である。図10によれば、硬化システム1000は、マンドレル1010とマンドレル1020を含む。プライ1032がマンドレル1010に接触し、プライ1032がマンドレル1020に接触するように、プリフォーム1030はこれらのマンドレルに対してレイアップされる。各プライは繊維1034、並びに樹脂1036を含む。複数のプライ1032は共に、ブラダー1050によって充填される空洞1040を形成する。ブラダー1050には、拡張可能なペレット1060、並びに、空洞1040内で自由に動けるペレット1070が充填される。ペレット1060は、温度上昇に反応して拡張する発泡剤1062を含み、ペレット1070は、発泡剤1062と同様な方法で作動する発泡剤1072を含む。
【0066】
図面をより具体的に参照すると、本開示の実施形態は、図11に示す航空機の製造及び保守方法1100、及び図12に示す航空機1102に照らして記載されうる。製造前の段階では、方法1100は、航空機1102の仕様及び設計1104と、材料の調達1106とを含むことができる。製造段階では、航空機1102のコンポーネント及びサブアセンブリの製造1108と、システムインテグレーション1110とが行われる。その後、航空機1102は、認可及び納品1112を経て、運航1114に供されうる。顧客によって運航されている期間中、航空機1102には、定期的な整備及び保守1116(改変、再構成、改修なども含みうる)が予定される。本書で具現化される装置及び方法は、方法1100に記載されている製造及び保守の一又は複数の任意の適切な段階(例えば、仕様及び設計1104、材料の調達1106、コンポーネント及びサブアセンブリの製造1108、システムインテグレーション1110、認可及び納品1112、運航1114、整備及び保守1116)及び/又は航空機1102の任意の適切なコンポーネント(例えば、機体1118、システム1120、内装1122、推進システム1124、電気システム1126、油圧システム1128、環境システム1130)で採用されうる。
【0067】
方法1100の各処理は、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータ(例えば、顧客)によって実施又は実行されうる。本書の目的では、システムインテグレータは、任意の数の航空機製造業者及び主要システム下請業者を含みうるがそれらに限定されず、第三者は、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含みうるがそれらに限定されず、かつ、オペレータとは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などでありうる。
【0068】
図12に示すように、方法1100によって製造された航空機1102は、複数のシステム1120及び内装1122を備えた機体1118を含みうる。システム1120の例は、推進システム1124、電気システム1126、油圧システム1128、及び環境システム1130のうち一又は複数を含む。任意の数の他のシステムも含まれうる。航空宇宙の例が示されているが、本発明の原理は、自動車産業などの他の産業にも適用されうる。
【0069】
上述のように、ここで具現化される装置及び方法は、製造及び保守方法1100の一又は複数の任意の段階で採用されうる。例えば、コンポーネント及びサブアセンブリの製造1108に対応するコンポーネント又はサブアセンブリは、航空機1102の運航中に製造されるコンポーネント又はサブアセンブリと同様の方法で製作又は製造されうる。また、一又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、又はこれらの組み合わせは、例えば、航空機1102の組立てを実質的に効率化するか、又は航空機1102のコストを削減することにより、サブアセンブリの製造1108及びシステムインテグレーション1110の段階で利用することができる。同様に、装置の実施形態、方法の実施形態、又はこれらの組み合わせのうちの1つ以上を、航空機1102の運航中に、例えば限定しないが、保守及び整備1116に利用することができる。例えば、本書に記載の技法及びシステムは、材料の調達1106、コンポーネント及びサブアセンブリの製造1108、システムインテグレーション1110、サービス1114、及び/又は整備及び保守1116に、及び/又は、機体1118及び/又は内装1122に、使用されうる。これらの技法及びシステムは、例えば、推進システム1124、電気システム1126、油圧システム1128、及び/又は環境システム1130を含むシステム1120にも、利用されうる。
【0070】
一実施形態では、部品は、機体1118の一部を備え、コンポーネント及びサブアセンブリの製造1108中に製造される。この部品は、次に、システムインテグレーション1110において航空機に組み込まれ、その後、摩耗により部品が使用不能となるまで運航1114において利用されうる。その後、整備及び保守1116において、部品は廃棄され、新たに製造された部品と交換されうる。本発明のコンポーネント及び方法は、新しい部品を製造するため、コンポーネント及びサブアセンブリの製造1108の期間中にわたって利用されうる。
【0071】
本書中で図示又は記載された種々の制御要素(例えば電気又は電子コンポーネント)のいずれもが、ハードウェア、プロセッサ実装ソフトウェア、プロセッサ実装ファームウェア、又はこれらの何らかの組み合わせとして実装されうる。例えば、ある要素は、専用ハードウェアとして実装されうる。専用ハードウェア要素は、「プロセッサ」、「コントローラ」、又は同様の何らかの専門用語で称されることがある。プロセッサによって提供される場合、機能は、単一の専用プロセッサによって、単一の共有プロセッサによって、又はいくつかが共有されうる複数の個別のプロセッサによって提供されうる。さらに、「プロセッサ」又は「コントローラ」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することができるハードウェアのみを表わすと解釈されるべきでなく、限定するものではないが、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)又はその他の回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェア格納用の読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、不揮発性記憶装置、論理若しくは何らかの他の物理ハードウェアコンポーネント又はモジュールが黙示的に含まれてもよい。
【0072】
また、制御要素は、プロセッサ又はコンピュータによって実行可能な命令として実装されて、その要素の機能を実行することができる。命令のいくつかの例は、ソフトウェア、プログラムコード、及びファームウェアである。命令は、プロセッサによって実行されると動作可能になって、その要素の機能を実行するようにプロセッサへ指示する。命令は、プロセッサが読むことができる記憶デバイスに格納されうる。記憶デバイスのいくつかの例は、デジタル若しくはソリッドステートメモリ、磁気ディスク及び磁気テープなどの磁気記憶媒体、ハードドライブ又は光学的に読み取り可能なデジタルデータ記憶媒体である。
【0073】
特定の実施形態が本明細書に記載されているが、本開示の範囲は、これらの特定の実施形態に限定されない。本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲及びその均等物によって定められる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12