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7475865画像処理装置、画像処理装置の制御方法、並びにプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理装置の制御方法、並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240422BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240422BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
H04N1/00 567K
H04N1/00 127B
G03G21/00 386
G03G21/00 376
G03G15/00 107
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020001599
(22)【出願日】2020-01-08
(65)【公開番号】P2021111850
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2023-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 恵理
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-021715(JP,A)
【文献】特開2002-199182(JP,A)
【文献】特開2016-020279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G03G 21/00
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送された前記原稿を読み取る読取手段と、
作手段と、
前記操作手段によって設定された前記原稿の厚さの設定に基づいて前記原稿搬送するよう前記搬送手段を制御する搬送制御手段とを有し
前記原稿の厚さとして第1の厚さが前記操作手段によって設定されている状態で外部装置からネットワークを介して前記原稿の厚さとして第2の厚さを指定した読取ジョブを受け付けた場合、前記操作手段による前記読取ジョブの実行指示を受け付けずに、前記搬送制御手段は、前記第2の厚さの設定に基づいて前記原稿を搬送するよう前記搬送手段を制御することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記第1の厚さと前記第2の厚さは異なる厚さであることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記搬送制御手段は、前記原稿の厚さの設定に基づいて前記搬送手段による前記原稿の搬送速度を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記外部装置から前記ネットワークを介して前記原稿の厚さとして前記操作手段によって設定されている厚さを使用するよう指定した他の読取ジョブを受け付けた場合、前記操作手段による前記他の読取ジョブの実行指示を受け付けずに、前記搬送制御手段は、前記第1の厚さの設定に基づいて前記原稿を搬送するよう前記搬送手段を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記外部装置によって指定された枚数の情報を受信する受信手段をさらに有し、
前記搬送手段は原稿トレイから原稿を搬送し、
前記原稿トレイに置かれた複数枚の原稿のうち、前記受信手段によって受信した情報で示される枚数の原稿の読み取りが完了したら、前記搬送手段は、前記原稿トレイに原稿が残っていても次の原稿を搬送しないことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記原稿の厚さの設定は、厚紙の設定を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記原稿の厚さの設定は、薄紙の設定を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
原稿を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送された前記原稿を読み取る読取手段と、
作手段と、
を備える画像処理装置の制御方法であって、
前記操作手段によって設定された原稿の厚さの設定に基づいて前記原稿搬送するよう前記搬送手段を制御する搬送制御ステップとを有し
前記原稿の厚さとして第1の厚さが前記操作手段によって設定されている状態で外部装置からネットワークを介して前記原稿の厚さとして第2の厚さを指定した読取ジョブを受け付けた場合、前記操作手段による前記読取ジョブの実行指示を受け付けずに、前記搬送制御ステップでは、前記原稿の厚さの設定に基づいて前記原稿を搬送するよう前記搬送手段が制御されることを特徴とする制御方法。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1乃至7のいずれか1項に記載された画像処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理装置の制御方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動原稿搬送装置(ADF)を用いたスキャン(ADFスキャン)を実行する画像形成装置が知られている。
【0003】
一方、ADFスキャンを実行する場合、原稿の紙厚がジャム等の不具合を発生させる原因となっている。具体的には、原稿が厚紙の場合は、搬送パスの湾曲箇所で搬送ローラの負荷が高くなるためジャムが発生しやすい。また、原稿が薄紙の場合は、原稿自体の重量が軽くなるため排紙部に排紙された原稿が落ち切るまでに時間が掛かり、原稿の後端と後続の原稿の先端がぶつかりジャムや積載不良の原因となる。
【0004】
かかる不具合に対して従来、原稿が薄紙であるか、厚紙であるか、普通であるかをユーザに選択させる技術や、紙厚を検知し、その紙厚に従って原稿の搬送速度を変える技術が知られている(特許文献1参照)。
【0005】
後者の技術を用いる場合、紙厚を自動検知するためにはADFにセンサの追加が必要になり、その分コストアップとなってしまうため、コストを抑える場合は前者の技術を用いることが好ましい。
【0006】
一方、前者の技術を用いる場合、原稿の紙厚が厚紙や薄紙である場合にユーザが紙厚の選択を忘れると、上述のジャム等の不具合が生じる可能性があるため、確実にユーザに原稿の紙厚を選択させるユーザインタフェース(UI)が必要となる。このUIの最も単純な例として、原稿がADFに置かれたら、そのタイミングで紙厚の選択画面を自動表示させるという方法が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平6-24604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、画像形成装置と通信可能な外部クライアント(例えばPC)からの指示に応じてADFスキャンを実行するリモートスキャンの場合は、上記最も単純な例として示した方法でのみ紙厚の設定を受け付けると、新たな不具合が生じてしまう。具体的には、ユーザがADFに原稿を置いてからリモートスキャンの指示を行うためPCに移動した後、UIで選択した紙厚の設定の間違いに気づくなどして紙厚の再設定が必要な場合がある。この場合、再び画像形成装置まで移動してUIにおける紙厚の再選択をしなければならず、ユーザにとって手間である。
【0009】
本発明の目的は、原稿の厚さとして第1の厚さが画像処理装置の操作手段によって設定されている状態で外部装置からネットワークを介して原稿の厚さとして第2の厚さを指定した読取ジョブを受け付けた場合に画像処理装置の操作手段による読取ジョブの実行指示を受け付けずに第2の厚さの設定に基づいて原稿を搬送するよう制御することができる仕組みを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に係る画像処理装置は、原稿を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送された前記原稿を読み取る読取手段と、操作手段と、前記操作手段によって設定された前記原稿の厚さの設定に基づいて前記原稿搬送するよう前記搬送手段を制御する搬送制御手段とを有し、前記原稿の厚さとして第1の厚さが前記操作手段によって設定されている状態で外部装置からネットワークを介して前記原稿の厚さとして第2の厚さを指定した読取ジョブを受け付けた場合、前記操作手段による前記読取ジョブの実行指示を受け付けずに、前記搬送制御手段は、前記第2の厚さの設定に基づいて前記原稿を搬送するよう前記搬送手段を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、原稿の厚さとして第1の厚さが画像処理装置の操作手段によって設定されている状態で外部装置からネットワークを介して原稿の厚さとして第2の厚さを指定した読取ジョブを受け付けた場合に画像処理装置の操作手段による読取ジョブの実行指示を受け付けずに第2の厚さの設定に基づいて原稿を搬送するよう制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る画像形成装置の外観を示す図である。
図2図1におけるADFの構成を示す断面図である。
図3】画像形成装置の全体構成を示すブロック図である。
図4図3におけるコントローラ部の詳細構成を示すブロック図である。
図5】画像形成装置を含む画像形成システムを示す図である。
図6図4における操作部に表示される原稿の厚さ設定画面の例を示す図である。
図7】ローカルADFスキャン処理のフローチャートである。
図8】リモートADFスキャン処理のフローチャートである。
図9】画像形成装置をリモートスキャナとして使用する際に、操作部に表示されるリモートスキャナモード切り替え画面の例を示す図である。
図10図5における外部クライアント上のアプリケーションでADFリモートスキャンジョブのジョブ設定及び実行を行うためのジョブ設定画面の例を示す図である。
図11図7のステップS701及び図8のステップS801において実行される原稿厚さ設定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1000の外観を示す図である。
【0016】
画像形成装置1000は、自動原稿給紙部(以下、ADF)100(搬送部)、画像読取部200、及び画像形成部400を備える。また、図1においては不図示であるが、画像形成装置1000は、コントローラ部300(図3)をさらに備える。
【0017】
画像読取部200は、流し読みガラス201(図2)や原稿台ガラス202(図2)等の原稿読取位置において原稿の読み取りを行う画像読取手段である。具体的には画像読取部200は、照明ランプの発光によって、上記原稿読取位置上にある原稿上の画像を露光走査して得られた反射光をリニアイメージセンサ(CCDセンサ)に入力することで画像の情報を電気信号に変換する。画像読取部200はさらに電気信号をR、G、B各色からなる輝度信号に変換し、当該輝度信号を画像データとしてコントローラ部300に出力する。
【0018】
ADF100は、画像読取部200による原稿読み取りが可能な位置である、後述する図2の流し読みガラス201上にまで原稿を自動で給紙する。具体的には、原稿がADF100の原稿トレイ101(図2:載置部)にセットされた状態でユーザが後述する操作部308(図4)から読み取り開始を指示すると、コントローラ部300は、画像読取部200に対して原稿読み取り(スキャン)指示を送る。画像読取部200は、この指示を受けとるとADF100に対して原稿トレイ101から原稿を1枚ずつ給紙する旨の搬送指示を送る共に、ADF100が流し読みガラス201上に原稿を給紙したタイミングで原稿読み取り動作を行う。また、画像形成装置1000が図5の画像形成システムに含まれる場合、ユーザは上記読み取り開始指示を、図5のネットワーク3000を介して外部クライアント2000のアプリケーションの画面(図10)を用いて行ってもよい。ここで、外部クライアント2000は、例えば、PCやスマートフォン等の情報処理装置により構成される。尚、原稿読み取り動作は、ユーザが後述する図2の原稿台ガラス202上に原稿を置き、操作部308から読み取り開始指示をした時も実行される。また、ネットワーク3000は、有線であっても無線であってもよい。
【0019】
画像形成部400は、コントローラ部300から受取った画像データを用紙上に形成する画像形成デバイスである。
【0020】
ADF100の動作について、図2を参照しながらより詳細に説明する。
【0021】
図2に示すADF100は、原稿トレイ101と、原稿検知センサ102と、給紙ローラ103と、搬送ローラ104と、排紙ローラ105と、原稿排紙トレイ106とを備える。
【0022】
原稿トレイ101は、1枚以上の原稿で構成される原稿束Sを積載する。
【0023】
原稿検知センサ102は、原稿トレイ上に原稿束Sが載置されていることを検知する。
【0024】
搬送ローラ104は、原稿がADF100内の所定の経路を通過するように搬送する。
【0025】
排紙ローラ105は、ADF100内の所定の経路を通過し終えた原稿を排出する。
【0026】
原稿排紙トレイ106は、排出された原稿を積載する。
【0027】
給紙ローラ103は、原稿トレイ101に積載された原稿束Sの原稿面に落下し、回転する。これにより、原稿束Sの最上面の原稿がADF100の内部に給紙される。給紙された原稿は、搬送ローラ104により流し読みガラス201上を通過した後、排紙ローラ105を介して原稿排紙トレイ106へ排出される。
【0028】
図3は、画像形成装置1000の全体構成を示すブロック図である。
【0029】
ADF100は、データバスを介して画像読取部200との間で制御信号の送受信を行う。例えば、ADF100は、画像読取部200からの搬送指示の制御信号を受信して原稿の搬送を開始し、また、画像読取部200に対して原稿検知センサ102を含む各種センサによる検出結果の通知の制御信号を送信する。
【0030】
画像読取部200は、データバスを介してコントローラ部300からスキャン指示を受け取ると、ADF100と協調動作し、原稿トレイ101上に載置された原稿束Sから1枚ずつADF100内に搬送された原稿の読み取りを行う。以下このような原稿の読み取りをADFスキャンという。
【0031】
コントローラ部300は、データバスを介してADF100、画像読取部200、画像形成部400を含む画像形成装置1000の全体を制御する。また、コントローラ部300は、画像読取部200から入力された画像データに適宜画像処理を施し、画像形成部400に出力する画像データを生成する。
【0032】
画像形成部400は、記録紙を搬送し、その上にコントローラ部300からデータバスを介して取得した画像データを可視画像として印刷し、画像形成装置1000外へと印刷後の記録紙を排紙する。
【0033】
また、以下に図4を参照してコントローラ部300の詳細構成を説明する。
【0034】
コントローラ部300は、CPU301、eMMC302、記憶部303、プリンタI/F304、スキャナI/F305、画像メモリ306、画像処理部307、操作部308、および通信部309を備える。
【0035】
CPU301は、画像形成装置全体の制御を行う。
【0036】
eMMC302は、CPU301の制御プログラムを格納したフラッシュメモリで構成される。
【0037】
記憶部303は、各種制御に必要な情報を保持するための不揮発性メモリである。
【0038】
プリンタI/F304は、画像形成部400とのデータの送受信を行う。
【0039】
スキャナI/F305は、画像読取部200とのデータの送受信を行う。
【0040】
画像メモリ306は、スキャナI/F305を通じて取得した画像データを保存する。
【0041】
画像処理部307は、画像メモリ306上の画像に変倍や色空間変換といった画像変換処理を行う。
【0042】
操作部308は、ユーザからのジョブ投入や設定変更などの操作を受け付けるタッチパネルやハードキーを備える。
【0043】
通信部309は、図5に示すネットワーク3000に接続可能であり、画像形成装置1000と外部クライアント2000の間でのデータの送受信を行う。外部クライアント2000には、画像形成装置1000にリモートジョブの投入が可能なアプリケーションが備えられている。このアプリケーションは、外部クライアント2000がPCである場合は、画像形成装置1000のドライバアプリケーションであってもよい。また、外部クライアント2000がスマートフォンである場合は、画像形成装置1000に対応したモバイルアプリケーションであってもよい。
【0044】
ここで、一般的にADFスキャンでは、読み取る原稿の厚さに応じて、原稿の搬送速度を変更することで原稿のジャムや積載不良を防いでいる。つまり、原稿が画像形成装置1000の想定する普通紙と比較して厚紙ないし薄紙であれば、給紙ローラ103、搬送ローラ104、及び排紙ローラ105による原稿の搬送速度の設定を低速に変更してから原稿給紙を開始する。この低速設定時の搬送速度は、薄紙であれば排紙された原稿が十分落ち切ること、厚紙であれば搬送経路の湾曲部でトルク不足を解消することを考慮した、通常の搬送速度よりも遅い搬送速度である。
【0045】
このとき、ADF100は、紙厚を自動検知する紙厚検知センサを備えている場合、原稿給紙前に紙厚検知センサによって原稿トレイ101上の原稿束Sの最上面にある原稿の厚さを計測して結果をコントローラ部300に通知する。コントローラ部300は通知された結果に基づいて搬送速度を変更し、原稿の搬送を開始する。
【0046】
一方、ADF100は、紙厚知センサを備えておらず原稿の厚さを計測することができない場合、上記通知を行うことができない。よって、コントローラ部300は原稿給紙前に操作部308からユーザによって読み取る原稿の厚さの入力を受け取り、これに基づき搬送速度の設定を記憶部303に保存する。コントローラ部300は、記憶部303に保存された搬送速度の設定に従って搬送速度を変更し、原稿の搬送を開始する。また、紙厚検知センサによって原稿の厚さを計測できない場合については、ユーザから原稿の厚さの入力を受け取るタイミングは、ADF100が原稿給紙を開始する前であればいつでもよい。例えば、ADFスキャンのジョブ設定のタイミングでジョブ設定値の一つとして受け取ってもよいし、ジョブ投入の前に本体設定値として予め受け取っておいてもよい。
【0047】
図6は、操作部308に表示される原稿の厚さ設定画面600の例を示す図である。
【0048】
原稿の厚さ設定画面600は、ADFスキャンにおいて読み取る原稿の厚さをユーザ操作に基づき設定するための画面である。
【0049】
ユーザは、原稿の厚さ設定画面600において、厚紙601、普通602、薄紙603のいずれかを選択することができ、OK605を入力することで選択した原稿の厚さを設定することができる。また、キャンセル604を入力することで、現在の原稿厚さを変更せずに設定を終えることができる。図6に例示する原稿の厚さ設定画面600では、普通602が、現在の原稿厚さとして設定されているため、設定されていない厚紙601と薄紙603と区別がつくように異なる色で強調表示されている。ユーザが厚紙601もしくは薄紙603を選択すると、普通602の強調表示が解除され、ユーザが選択した厚紙601もしくは薄紙603が強調表示される。
【0050】
次に、図7のフローチャートを用いて、ローカルADFスキャン処理について説明する。本処理は、CPU301がeMMC302に保持されるプログラムを読み出すことにより実行される。
【0051】
尚、ローカルADFスキャンとは、画像形成装置1000の操作部308に対するユーザの設定やジョブの実行指示に従って生成されたローカルジョブに応じて実行されるADFスキャンを意味する。
【0052】
コントローラ部300は、まず、原稿検知センサ102による原稿トレイ101への原稿束Sの載置の検知があった場合、操作部308からユーザからのADFスキャンのジョブ設定を受け付ける。その後、コントローラ部300は、その受け付けたジョブ設定に基づきコントローラ部300がローカルADFスキャンのローカルジョブを生成する。
【0053】
さらに、コントローラ部300は、ADF100が紙厚検知センサを備えている場合は紙厚検知センサによる検出結果に基づき普通、厚紙、薄紙のいずれか一つを原稿厚さ設定(本体設定値)とする。一方、紙厚検知センサを備えていない場合は、コントローラ部300は、操作部308に原稿の厚さ設定画面600(図6)を表示し、その画面においてユーザ入力された原稿厚さ設定を操作部308から受け取り、これを本体設定値とする。その後、後述する図11の原稿厚さ設定処理を実行した後、コントローラ部300は、受け付けたジョブ設定、及び原稿厚さ設定処理により設定された原稿の厚さ設定を記憶部303に保存する(ステップS701)。
【0054】
その後、コントローラ部300は、記憶部303に保存された原稿厚さ設定を確認する(ステップS702)。確認の結果、原稿厚さ設定が厚紙ないし薄紙であれば原稿の搬送速度を低速に設定し(ステップS703)、原稿厚さ設定が普通であれば原稿の搬送速度を通常どおりのまま設定変更することなく、ステップS704に進む。
【0055】
原稿の搬送速度の設定を終えると、コントローラ部300は、生成したローカルADFスキャンのローカルジョブを実行し、画像読取部200を介してADF100に原稿給紙を開始させる(ステップS704)。原稿が給紙されると、画像読取部200は原稿の画像データを読み取り、読み取った画像データをコントローラ部300に送信する。コントローラ部300は画像読取部200から送信された画像データを画像メモリ306に保存する(ステップS705)。
【0056】
画像処理部307は、保存された画像データを画像メモリ306から読み出し、記憶部303に保存されたジョブ設定に従い適宜画像処理を実行し、画像処理後の画像データを再び画像メモリ306に書き戻す(ステップS706)。ADF100は原稿トレイ101に原稿が積載されているかを原稿検知センサ102によって確認する(ステップS707)。
【0057】
原稿トレイ101に原稿が積載されていれば(ステップS707でYES)、ステップS704に戻り、再びADF100による原稿給紙を実行するところから、一連の処理を繰り返す。一方、原稿トレイ101に原稿がなければ(ステップS707でNO)、本処理を終了する。
【0058】
次に、図8のフローチャートを用いて、リモートADFスキャン処理(リモートスキャン処理ともいう。)について説明する。本処理も図7と同様、CPU301がeMMC302に保持されるプログラムを読み出すことにより実行される。
【0059】
尚、リモートADFスキャンとは、リモートジョブに応じて実行されるADFスキャンを意味する。ここでは、図5を用いて上述した通り、外部クライアント2000(図5)からネットワーク3000を介してリモートADFスキャンのリモートジョブが画像形成装置1000(リモートスキャナ)に投入される。
【0060】
また、リモートADFスキャン処理の流れは、図7に示したローカルADFスキャン処理の流れとほとんど違いはない。しかし、ローカルADFスキャン処理では原稿トレイ101に積載される原稿がなくなるまでその一連の処理を繰り返すのに対し、リモートADFスキャン処理では、ユーザによる指定枚数分の原稿の読み取りが終わるまでその一連の処理を繰り返す点が異なる。
【0061】
コントローラ部300は、リモートスキャナモードにおいて、原稿検知センサ102により原稿トレイ101への原稿束Sの載置の検知があった場合、ネットワーク3000を介してリモートADFスキャンのリモートジョブを受信する。尚、リモートスキャナモードについては図9を用いて後述する。
【0062】
さらに、コントローラ部300は、図7のローカルADFスキャン処理と同様の方法で本体設定値を取得する。また、受信したリモートADFスキャンのリモートジョブに原稿厚さ設定が含まれている場合、これを外部クライアント設定値とする。その後、後述する図11の原稿厚さ設定処理を実行した後、コントローラ部300は、受け付けたジョブ設定、及び原稿厚さ設定処理により設定された原稿の厚さ設定を記憶部303に保存する(ステップS801)。
【0063】
その後、コントローラ部300は、記憶部303に保存された原稿厚さ設定を確認する(ステップS802)。確認の結果、原稿厚さ設定が厚紙ないし薄紙であれば原稿の搬送速度を低速に設定し(ステップS803)、原稿厚さ設定が普通であれば原稿の搬送速度を通常どおりのまま設定変更することなく、ステップS804に進む。
【0064】
原稿の搬送速度の設定を終えると、コントローラ部300は、受信したリモートADFスキャンのリモートジョブを実行し、画像読取部200を介してADF100に原稿給紙を開始させる(ステップS804)。原稿が給紙されると、画像読取部200は原稿の画像データを読み取り、読み取った画像データをコントローラ部300に送信する。コントローラ部300は画像読取部200から送信された画像データを画像メモリ306に保存する(ステップS805)。
【0065】
画像処理部307は、保存された画像データを画像メモリ306から読み出し、記憶部303に保存されたジョブ設定に従い適宜画像処理を実行し、画像処理後の画像データを再び画像メモリ306に書き戻す(ステップS806)。
【0066】
コントローラ部300は、受信したリモートADFスキャンのリモートジョブにおける指定枚数の原稿の読み込みが終了したかを確認する(ステップS807)。尚、リモートジョブにおいて指定枚数の設定がなされていない場合は、ADF100は原稿トレイ101に原稿が積載されているかを原稿検知センサ102によって確認し、図7のステップS707以降の処理を行うようにしてもよい。また、指定枚数の原稿の読み取りが終了していない段階で原稿トレイ101に原稿がなくなった場合は、「読み込む原稿がありません」等の警告画面を操作部308や外部クライアント2000の操作部に表示するようにしてもよい。
【0067】
指定枚数の原稿の読み込みがまだ終了していなければ(ステップS807でNO)、ステップS804に戻り、再びADF100による原稿給紙を実行するところから、一連の処理を繰り返す。一方、指定枚数の原稿の読み込みが終了していれば(ステップS807でYES)、本処理を終了する。
【0068】
図9は、画像形成装置1000をリモートスキャナとして使用する際に、操作部308に表示されるリモートスキャナモード切り替え画面の例を示す図である。
【0069】
図9(a)に示すリモートスキャナモード切り替え画面900は、ユーザがメインメニューなどからリモートスキャナモードを立ち上げようとする際に操作部308に表示される。
【0070】
リモートスキャナモード切り替え画面900が表示された直後は、オフライン設定902が選択されて強調表示されており、画像形成装置1000はリモートスキャナモードではない。その後、ユーザがオンライン設定901を選択すると、操作部308は図9(b)のリモートスキャナモード切り替え画面903に表示を切り替える。このとき、強調表示はオフライン設定902からオンライン設定901に変更され、画像形成装置1000がリモートスキャナモードになり、外部クライアント2000からのリモートADFスキャンのリモートジョブを受付可能になる。リモートスキャナモードの最中は画像形成装置1000のコピーやファックスなどの他の機能をユーザは使用することができない。また、操作部308におけるリモートスキャナモード切り替え画面903の表示中にオフライン設定902が選択された場合、実行中のリモートADFスキャンのリモートジョブがなければ画像形成装置1000におけるリモートスキャナモードが解除される。その後、操作部308は、その表示をリモートスキャナモード切り替え画面900に切り替える。尚、実行中のリモートADFスキャンのリモートジョブが存在する場合は、操作部308からユーザに現在実行中のリモートADFスキャンのリモートジョブを中止するか否かの問合せ画面を表示する。この問合せ画面においてユーザにより中止が指示されれば実行中のリモートADFスキャンのリモートジョブを中止した上でリモートスキャナモードを解除し、操作部308の表示をリモートスキャナモード切り替え画面900に切り替える。一方、この問合せ画面のキャンセルがユーザにより選択された場合は操作部308の表示はリモートスキャナモード切り替え画面903に戻り、リモートスキャナモードのままとなる。
【0071】
図10は、外部クライアント2000上のアプリケーションでリモートADFスキャンのリモートジョブのジョブ設定及び実行を行うためのジョブ設定画面2001の例を示す図である。
【0072】
ジョブ設定画面2001は、外部クライアント2000のアプリケーションによって外部クライアント2000の不図示の操作部に表示される。
【0073】
ジョブ設定画面2001では、ユーザ操作に基づき、スキャン方法、原稿サイズ、原稿の厚さ、原稿の向き、読み込むページ、原稿の種類といった入力設定と、解像度、カラーモード、濃度調整、背景濃度といった画質設定とが設定される。
【0074】
読み込むページの入力設定としては、「すべて」と「指定」の一方が選択できる。「指定」が選択された場合は、現在グレーアウトされ、ユーザ入力できないページ数の入力部が、ユーザ入力可能な状態となり、ユーザによるページ数(リモートADFスキャンのリモートジョブにおける指定枚数)を受け付ける。図8を用いて上述した通り、画像形成装置1000では、リモートADFスキャン処理は、その開始後、原稿トレイ101に原稿が残っていても指定枚数の原稿を読み込んだ時点で(ステップS807でYES)終了する。
【0075】
また、スキャン方法の入力設定としては、「原稿台」、「フィーダー(片面)」、「フィーダー(両面)」のうちの一つが選択できる。
【0076】
スキャン方法として「原稿台」が選択されたときのみ、現在ユーザ選択できないことを示すグレーアウトされている「プレビュー」ボタンがユーザ選択可能な状態となる。この状態でユーザにより「プレビュー」ボタンが選択されると、ADF100の原稿台ガラス202に置かれた原稿のプレビューをジョブ設定画面の現在グレーアウトされている左側の領域に表示する。これにより、ユーザは現在の設定値での読取画像を確認することができる。尚、スキャン方法として「原稿台」以外の入力設定が選択されている場合は、「プレビュー」はグレーアウトされて選択できない。
【0077】
「スキャン」が選択されると、ジョブ設定画面2001における現在の設定値で外部クライアント2000から画像形成装置1000にリモートADFスキャンのリモートジョブが投入される。
【0078】
スキャン方法として、「フィーダー(片面)」及び「フィーダー(両面)」の一方が選択された場合、原稿厚さの入力設定として、「デバイスの設定を使用」、「普通」、「厚め」、「薄め」のうちの一つが選択できる。原稿厚さとして「デバイスの設定を使用」が選択された場合のみ、外部クライアント2000からの原稿の厚さを指定せず、画像形成装置1000の記憶部303に保存された原稿の厚さ設定をリモートADFスキャンのリモートジョブを実行する際に使用する。一方、原稿厚さとしてそれ以外、すなわち、「普通」、「厚め」、「薄め」のうちの一つが選択されている場合、コントローラ部300は外部クライアント2000からの原稿の厚さの指定があると判断する。かかる場合、コントローラ部300は、画像形成装置1000の記憶部303に保存された原稿の厚さ設定と、外部クライアント2000で指定された原稿の厚さ設定を比較する。比較した2つの原稿の厚さ設定が異なっている場合は外部クライアント2000の原稿厚さ設定を優先し、コントローラ部300は、画像形成装置1000の記憶部303に保存された原稿の厚さ設定を変更する。
【0079】
次に図11のフローチャートを用いて、上述した図7のローカルADFスキャン処理におけるステップS701、及び図8のリモートADFスキャン処理におけるステップS801において実行される原稿厚さ設定処理の詳細を説明する。
【0080】
画像形成装置1000にADFスキャンのジョブが投入されると、コントローラ部300はそのジョブがリモートジョブかローカルジョブかを判別する(ステップS1101)。投入されたジョブがローカルジョブである場合(ステップS1101でNO)、コントローラ部300は原稿の厚さ設定は記憶部303に現在保存されている本体設定値のままにして(ステップS1104)、本処理を終了する。
【0081】
一方、投入されたジョブがリモートジョブである場合(ステップS1101でYES)、コントローラ部300は外部クライアント2000からの原稿の厚さ指定があるかどうかを確認する(ステップS1102)。すなわち、ユーザがこのリモートジョブのジョブ設定を図10のジョブ設定画面2001で行った際に原稿厚さとして「デバイスの設定値を使用」を選択していた場合、原稿の厚さ指定がないと判断する。一方、ユーザがこのリモートジョブのジョブ設定を図10のジョブ設定画面2001で行った際に原稿厚さとして「デバイスの設定値を使用」以外の入力設定(「普通」、「厚め」、「薄め」のうちの一つ)を選択していた場合、原稿の厚さ指定があると判断する。
【0082】
ステップS1102での確認の結果、原稿の厚さ指定がない場合(ステップS1102でNO)、コントローラ部300は原稿の厚さ設定は記憶部303に現在保存されている本体設定値のままとし(ステップS1104)、本処理を終了する。一方、原稿の厚さ指定がある場合(ステップS1102でYES)、コントローラ部300はこの指定された原稿の厚さと記憶部303に保存されている原稿の厚さ設定とを比較する(ステップS1103)。
【0083】
ステップS1103で比較した2つの原稿の厚さ設定が一致した場合(ステップS1103でNO)、コントローラ部300は原稿の厚さ設定は記憶部303に現在保存されている本体設定値のままとし(ステップS1104)、本処理を終了する。一方、異なっている場合(ステップS1103でYES)、コントローラ部300は原稿の厚さ設定を外部クライアント2000が指定した値(外部クライアント設定値)に設定し、これを記憶部303に保存して(ステップS1105)、本処理を終了する。
【0084】
以上、画像形成装置1000に紙厚検知センサがない場合、ユーザはリモートADFスキャンを行うために、まず画像形成装置1000側で、原稿トレイ101への原稿束Sの載置や原稿の厚さ設定画面600での原稿厚さ設定をする必要がある。次に、ユーザは、外部クライアント2000側へ移動し、ジョブ設定画面2001でリモートADFスキャンのリモートジョブのジョブ設定及び実行を行う必要がある。しかし、この移動後に、ユーザが原稿の厚さ設定画面600での原稿の厚さ設定が間違っており、再設定する必要があることに気づく場合がある。このような場合に本実施形態によれば、ユーザは、ジョブ設定画面2001で原稿の厚さ設定を再設定することができる。このため、再度画像形成装置1000まで移動して原稿の厚さ設定画面600の原稿の厚さ設定の入力を修正するといったユーザの手間を無くすことができる。
【0085】
また、従来の紙厚検知センサがない画像形成装置では、紙厚の異なる複数の原稿束を読み込みたい場合、原稿束の紙厚が変わるごとに、原稿束の載置や原稿厚さ設定を行わなければならない。これに対し本実施形態によれば、紙厚の異なる原稿束が原稿トレイ101に混載されている場合、外部クライアント2000側で紙厚が同じ原稿束ごとに読み込むページ数と原稿の厚さを指定することができる。このため、ユーザは原稿束の紙厚が変わるごとに画像形成装置1000側に移動し、原稿束の載置や原稿の厚さ設定画面600への原稿の厚さ設定の入力を行う必要がなくなり、従来と比べてユーザの手間を減らすことができる。
【0086】
尚、図10のジョブ設定画面2001において、1回のリモートADFスキャンのリモートジョブのジョブ設定において、ページ毎に異なる原稿厚さ設定を行うことができるようにしてもよい。この場合、画像形成装置1000で紙厚の異なる複数の原稿束を読み込む際、原稿束の紙厚が変わるごとにユーザがジョブ設定画面2001でリモートジョブのジョブ設定を行う手間を無くすことができる。
【0087】
[その他の実施形態]
本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、装置に供給することによっても、達成されることは言うまでもない。このとき、供給された装置の制御部を含むコンピュータ(またはCPUやMPU)は、記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行する。
【0088】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、プログラムコード自体及びそのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0089】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0090】
また、上述のプログラムコードの指示に基づき、装置上で稼動しているOS(基本システムやオペレーティングシステム)などが処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0091】
更に、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、装置に挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれ、前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。このとき、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行う。
【符号の説明】
【0092】
100 ADF
200 画像読取部
300 コントローラ部
308 操作部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11