(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 17/06 20060101AFI20240422BHJP
F25D 17/08 20060101ALI20240422BHJP
F25D 11/02 20060101ALI20240422BHJP
F25D 23/00 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
F25D17/06 314
F25D17/08 309
F25D11/02 K
F25D23/00 302H
F25D11/02 D
(21)【出願番号】P 2020008699
(22)【出願日】2020-01-22
【審査請求日】2022-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】元井 啓順
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-117882(JP,A)
【文献】特開平10-300311(JP,A)
【文献】特開平10-332244(JP,A)
【文献】特許第6578051(JP,B1)
【文献】特開平10-089829(JP,A)
【文献】特開2018-109491(JP,A)
【文献】特開2003-322454(JP,A)
【文献】特開2012-057888(JP,A)
【文献】特開2010-060263(JP,A)
【文献】特開2014-005953(JP,A)
【文献】特開2011-058689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/00 - 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却器と、
冷蔵温度帯室と冷凍温度帯室とに用途が切り替え可能な第1切り替え室と、冷蔵温度帯室と冷凍温度帯室とに用途が切り替え可能な第2切り替え室と、前記冷却器が収容された冷却室とを含む筐体と、
前記冷却室から前記第1切り替え室への冷気の供給を制御する第1ダンパと、
前記冷却室から前記第2切り替え室への冷気の供給を制御する第2ダンパと、
前記冷却室に設けられた送風機と、
前記第1ダンパ、前記第2ダンパ、および前記送風機を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1切り替え室が前記冷蔵温度帯室として使用される状態で、
前記冷却器への液冷媒の供給が止められたことを含む第1所定条件が満たされた状態で、前記第1切り替え室の温度と前記第1切り替え室の前回の冷却終了からの経過時間とのうち少なくとも一方に関する第2所定条件が満たされる前に、前記第1切り替え室の温度が上昇する範囲で、前記第1ダンパを開き、前記送風機を駆動し、
その後、前記第1所定条件が満たされた状態で前記第2所定条件が満たされた場合、前記冷却器への液冷媒の供給が止められた状態でも前記第1切り替え室の温度を低下させるように、前記第1ダンパの開き量と前記送風機の制御量とのうち少なくとも一方を増加させる、
冷蔵庫。
【請求項2】
冷却器と、
冷蔵温度帯室と冷凍温度帯室とに用途が切り替え可能な第1切り替え室と、冷蔵温度帯室と冷凍温度帯室とに用途が切り替え可能な第2切り替え室と、前記冷却器が収容された冷却室とを含む筐体と、
前記冷却室から前記第1切り替え室への冷気の供給を制御する第1ダンパと、
前記冷却室から前記第2切り替え室への冷気の供給を制御する第2ダンパと、
前記冷却室に設けられた送風機と、
前記第1ダンパ、前記第2ダンパ、および前記送風機を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記第1切り替え室が前記冷蔵温度帯室として使用される状態で、
前記第1切り替え室の温度を設定温度帯の上限値から前記設定温度帯の下限値に向けて冷却する1回の冷却期間において、
前記冷却器への液冷媒の供給が止められたことを含む第1所定条件が満たされた状態で実行される制御であって、前記冷却器への液冷媒の供給が止められた状態で、前記第1ダンパを開き、前記送風機を駆動し、霜による冷気を前記第1切り替え室に導入して前記第1切り替え室を冷却する特別冷却制御と、
前記特別冷却制御と比べて前記第1ダンパが閉じられ、前記特別冷却制御と比べて前記第1切り替え室に冷気を導入することが抑制された状態で、前記冷却器に前記液冷媒が供給されて前記冷却器の冷熱による熱伝導によって前記第1切り替え室が冷却される通常冷却制御と、
を
、前記特別冷却制御、前記通常冷却制御の順に実行可能であり、
前記制御部は、前記特別冷却制御が実行される場合、前記通常冷却制御を実行する場合と比べて前記第1切り替え室の冷却速度が大きくなるように、前記第1ダンパと前記送風機とのうち少なくとも一方を制御する、
冷蔵庫。
【請求項3】
前記第1所定条件は、前記第1切り替え室が前記冷蔵温度帯室として使用され、前記第2切り替え室が前記冷凍温度帯室として使用される状態で、前記第2切り替え室の温度を低下させる冷却が停止されることを含む、
請求項1
または請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記第1所定条件は、前記第1切り替え室が前記冷蔵温度帯室として使用され、前記第2切り替え室が前記冷凍温度帯室として使用される状態で、前記第2切り替え室の温度と前記第2切り替え室の目標冷却温度との差が第1閾値以下になることと、前記第2切り替え室の冷却の残り時間が第2閾値以下になることとのうち少なくとも一方を含む、
請求項1から請求項
3のうちいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1切り替え室が前記冷蔵温度帯室として使用され、前記第2切り替え室が前記冷凍温度帯室として使用される状態で、前記第1所定条件が満たされた場合、前記第2ダンパを閉じ、前記第1ダンパを開く、
請求項1から請求項
4のうちいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記冷却器は、前記冷蔵庫を正面から見た場合、前記第1切り替え室と重なる第1部分と、前記第2切り替え室と重なる第2部分とを有し、
前記制御部は、前記第1切り替え室が前記冷蔵温度帯室として使用され、前記第2切り替え室が前記冷凍温度帯室として使用される状態で、前記第2切り替え室の温度を低下させるために前記冷却器に液冷媒が供給される場合、前記第1ダンパを閉じる、または前記冷却器に液冷媒が供給されない場合と比べて前記第1ダンパの開き量を小さくする、
請求項1から請求項
5のうちいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1切り替え室が前記冷凍温度帯室として使用され、前記第2切り替え室が前記冷蔵温度帯室として使用される状態で、前記第1所定条件が満たされた場合、前記第2ダンパを開く、
請求項1から請求項
6のうちいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1切り替え室が前記冷蔵温度帯室として使用される状態で、前記第1所定条件が満たされ、且つ、前記第1切り替え室の温度と前記第1切り替え室の前回の冷却終了からの経過時間とのうち少なくとも一方に関する第2所定条件が満たされた場合、前記冷却器に液冷媒が供給されない状態で、前記第1ダンパを開き、前記送風機を駆動する、
請求項
2に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記制御部は、前記第2所定条件が満たされた後に、前記第2切り替え室の温度と前記第2切り替え室の前回の冷却終了からの経過時間とのうち少なくとも一方に関する第3所定条件が満たされた場合、前記第1切り替え室の温度が前記第1切り替え室の目標冷却温度に達していない場合であっても、前記第1ダンパを閉じるまたは前記第1ダンパの開き量を小さくし、前記第2ダンパを開き、前記冷却器に液冷媒を供給させる、
請求項
1または請求項
8に記載の冷蔵庫。
【請求項10】
前記制御部は、
前記第1切り替え室が前記冷凍温度帯室として使用される場合、第1制御量で前記送風機を駆動し、
前記第1切り替え室が前記冷蔵温度帯室として使用される状態で、前記第1所定条件が満たされた場合、前記第1制御量と同じ以上の第2制御量で前記送風機を駆動する、
請求項1から請求項
9のうちいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項11】
前記制御部は、前記第1所定条件が満たされて前記第1ダンパを開く場合、前記第1ダンパの開き量を全開と全閉との間の開き量に制御する、
請求項1から請求項
10のうちいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項12】
除霜時に前記冷却器を加熱する除霜ヒータをさらに備え、
前記制御部は、前記第1所定条件が満たされた状態で、前記第1ダンパを開いて前記送風機を駆動する第1制御を行い、前記第1制御の後に、前記除霜ヒータを通電させるまたは前記第1制御と比べて前記除霜ヒータの通電量を増加させる第2制御を行う、
請求項1から請求項
11のうちいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項13】
前記第1切り替え室の設定温度帯は、少なくとも、第1冷蔵温度帯と、前記第1冷蔵温度帯よりも温度が高い第2冷蔵温度帯とで切り替え可能であり、
前記制御部は、
前記第1切り替え室の設定温度帯が前記第2冷蔵温度帯に設定された状態で、前記第1所定条件が満たされた場合、第1開き量で第1時間に亘り前記第1ダンパを開き、前記送風機を駆動し、
前記第1切り替え室の設定温度帯が前記第1冷蔵温度帯に設定された状態で、前記第1所定条件が満たされた場合、前記第1ダンパを開かない、または前記第1開き量よりも小さな第2開き量で前記第1ダンパを開くことと、前記第1時間よりも短い第2時間に亘り前記第1ダンパを開くこととのうち少なくとも一方を行うとともに前記送風機を駆動する、
請求項1から請求項
12のうちいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項14】
前記第1切り替え室の設定温度帯は、少なくとも、第1冷蔵温度帯と、前記第1冷蔵温度帯よりも温度が高い第2冷蔵温度帯とで切り替え可能であり、
前記制御部は、
前記第1切り替え室の設定温度帯が前記第1冷蔵温度帯に設定された状態で、前記第1所定条件が満たされ、且つ、前記第2所定条件が満たされた場合に、前記第1ダンパを開き、前記送風機を駆動し、
前記第1切り替え室の設定温度帯が前記第2冷蔵温度帯に設定された状態で、前記第1所定条件が満たされた場合、前記第2所定条件が満たされることを待たずに、前記第1ダンパを開き、前記送風機を駆動する、
請求項
1または請求項
8に記載の冷蔵庫。
【請求項15】
前記冷却器は、前記冷蔵庫を正面から見た場合、前記第1切り替え室と重なる第1部分と、前記第2切り替え室と重なるとともに前記第1部分よりも小さな第2部分とを有するか、前記第2切り替え室と重なる部分を有さず、
前記制御部は、
前記第2切り替え室が前記冷蔵温度帯室として使用される状態で、前記第1所定条件が満たされた場合、第1開き量で第1時間に亘り前記第2ダンパを開き、
前記第1切り替え室が前記冷蔵温度帯室として使用される状態で、前記第1所定条件が満たされた場合、前記第1開き量よりも小さな第2開き量で前記第1ダンパを開くことと、前記第1時間よりも短い第2時間に亘り前記第1ダンパを開くこととのうち少なくとも一方を行う、
請求項1から請求項
14のうちいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
それぞれ冷蔵温度帯室と冷凍温度帯室とに用途が切り替え可能な複数の切り替え室を備えた冷蔵庫が提案されている。このような冷蔵庫では、切り替え室が冷蔵温度帯室として使用される場合、その切り替え室に対応するダンパが閉じられた状態で冷却器に液冷媒が供給され、冷却器の冷熱により切り替え室の冷却が行われる。
【0003】
ところで、上記のような冷蔵庫では、冷蔵温度帯室として使用される切り替え室の冷却に関して、例えば十分な冷却速度を実現することが難しいなど、冷却制御の観点で改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、より適切な冷却制御を行うことができる冷蔵庫を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の冷蔵庫は、冷却器と、筐体と、第1ダンパと、第2ダンパと、送風機と、制御部とを持つ。前記筐体は、冷蔵温度帯室と冷凍温度帯室とに用途が切り替え可能な第1切り替え室と、冷蔵温度帯室と冷凍温度帯室とに用途が切り替え可能な第2切り替え室と、前記冷却器が収容された冷却室とを含む。前記第1ダンパは、前記冷却室から前記第1切り替え室への冷気の供給を制御する。前記第2ダンパは、前記冷却室から前記第2切り替え室への冷気の供給を制御する。前記送風機は、前記冷却室に設けられている。前記制御部は、前記第1ダンパ、前記第2ダンパ、および前記送風機を制御する。前記制御部は、前記第1切り替え室が前記冷蔵温度帯室として使用される状態で、前記冷却器への液冷媒の供給が止められたことを含む第1所定条件が満たされた状態で、前記第1切り替え室の温度と前記第1切り替え室の前回の冷却終了からの経過時間とのうち少なくとも一方に関する第2所定条件が満たされる前に、前記第1切り替え室の温度が上昇する範囲で、前記第1ダンパを開き、前記送風機を駆動し、その後、前記第1所定条件が満たされた状態で前記第2所定条件が満たされた場合、前記冷却器への液冷媒の供給が止められた状態でも前記第1切り替え室の温度を低下させるように、前記第1ダンパの開き量と前記送風機の制御量とのうち少なくとも一方を増加させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】
図1中に示された冷蔵庫のF2-F2線に沿う断面図。
【
図3】第1の実施形態の第1切り替え室および第2切り替え室を示す正面図。
【
図4】第1の実施形態の冷凍サイクル装置の構成を示す図。
【
図5】第1の実施形態の冷蔵庫の機能構成の一部を示すブロック図。
【
図6】第1の実施形態の通常冷却制御のタイムチャートの一例を示す図。
【
図7】第1の実施形態の特別冷却制御のタイムチャートの一例を示す図。
【
図8】第2の実施形態の特別冷却制御のタイムチャートの一例を示す図。
【
図9】第3の実施形態の冷蔵庫の機能構成の一部を示すブロック図。
【
図10】第3の実施形態の特別冷却制御のタイムチャートの一例を示す図。
【
図11】第3の実施形態の特別冷却制御のタイムチャートの別の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の冷蔵庫を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。本明細書では、冷蔵庫の正面に立つユーザから冷蔵庫を見た方向を基準に、左右を定義している。また、冷蔵庫から見て冷蔵庫の正面に立つユーザに近い側を「前」、遠い側を「後ろ」と定義している。
【0009】
本明細書で「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば任意の情報)である。
【0010】
本明細書で「所定条件が満たされた場合、ダンパを開く(または閉じる)」とは、所定条件が成立した瞬間にダンパを開く(または閉じる)場合に限定されず、所定条件が成立している間の任意のタイミングでダンパを開く(または閉じる)場合も含む。
【0011】
また本明細書で「ダンパAを閉じ、ダンパBを開く」とは、ダンパAを閉じるタイミングとダンパBを開くタイミングとが同じである場合に限定されず、ダンパAを閉じた後にダンパBを開く場合や、ダンパBを開いた後にダンパAを閉じる場合なども含む。「ダンパA」および「ダンパB」は、例えば、後述する第1ダンパ71および第2ダンパ72のうち任意のダンパである。
【0012】
(第1の実施形態)
[1.冷蔵庫の全体構成]
図1から
図7を参照し、第1の実施形態の冷蔵庫1について説明する。まず、冷蔵庫1の全体構成について説明する。
【0013】
図1は、冷蔵庫1を示す正面図である。
図2は、
図1中に示された冷蔵庫1のF2-F2線に沿う断面図である。
図1および
図2に示すように、冷蔵庫1は、例えば、筐体10、複数の扉20、複数の棚30、複数の容器40、流路形成部品50、冷却ユニット60、および制御基板100を備えている。
【0014】
筐体10は、上壁11、下壁12、左右の側壁13,14、および後壁15を有する。上壁11および下壁12は、略水平に広がっている。左右の側壁13,14は、下壁12の左右の端部から上方に起立し、上壁11の左右の端部に繋がっている。後壁15は、下壁12の後端部から上方に起立し、上壁11の後端部に繋がっている。
【0015】
筐体10は、例えば、内箱10a、外箱10b、および断熱部10cを有する(
図2参照)。内箱10aは、筐体10の内面を形成する部材である。外箱10bは、筐体10の外面を形成する部材である。外箱10bは、内箱10aよりも一回り大きく形成されており、内箱10aの外側に配置されている。内箱10aと外箱10bとの間には、発泡ウレタンのような発泡断熱材を含む断熱部10cが設けられている。
【0016】
筐体10の内部には、複数の貯蔵室17と、第1および第2の冷却室18A,18Bが設けられている。複数の貯蔵室17は、例えば、冷蔵室17A、製氷室17B、小冷凍室17C、第1切り替え室17D、および第2切り替え室17Eを含む。本実施形態では、最上部に冷蔵室17Aが配置され、冷蔵室17Aの下方に製氷室17Bおよび小冷凍室17Cが配置され、製氷室17Bおよび小冷凍室17Cの下方に第1切り替え室17Dが配置され、第1切り替え室17Dの下方に第2切り替え室17Eが配置されている。ただし、貯蔵室17の配置は、上記例に限定されない。筐体10は、各貯蔵室17の前面側に、各貯蔵室17に対して食材の出し入れを可能にする開口を有する。
【0017】
第1切り替え室17Dと第2切り替え室17Eとは、例えばそれぞれ互いに独立して、冷蔵温度帯室と、冷凍温度帯室とに用途が切り替え可能である。冷蔵温度帯室とは、例えば、後述する設定温度帯の中心温度が-3℃から+7℃の間にある貯蔵室である。冷蔵温度帯室は、いわゆる冷蔵室、チルド室、または野菜室などである。さらに本実施形態では、第1切り替え室17Dおよび第2切り替え室17Eの各々は、冷蔵温度帯室として使用される場合、設定温度帯が切り替えられることで、冷蔵室、チルド室、および野菜室の間で用途が切り替え可能である。これについては詳しく後述する。一方で、冷凍温度帯室は、例えば、設定温度帯の中心温度が-10℃以下(例えば-18℃以下)である貯蔵室である。冷凍温度帯室は、いわゆる冷凍室である。
【0018】
第1冷却室18Aは、冷蔵室17Aの背後に設けられた空間である。第1冷却室18Aは、後述する第1冷却器81および第1送風機82を収容している。一方で、第2冷却室18Bは、製氷室17B、小冷凍室17C、第1および第2の切り替え室17D,17Eの背後に設けられた空間である。第2冷却室18Bは、後述する第2冷却器83および第2送風機84を収容している。なお、第1および第2の冷却室18A,18Bについては詳しく後述する。
【0019】
筐体10は、第1から第3の仕切部19A,19B,19Cを有する。第1から第3の仕切部19A,19B,19Cは、例えば、それぞれ略水平方向に沿う仕切壁である。第1仕切部19Aは、冷蔵室17Aと、製氷室17Bおよび小冷凍室17Cとの間に位置し、冷蔵室17Aと、製氷室17Bおよび小冷凍室17Cとの間を仕切っている。第2仕切部19Bは、製氷室17Bおよび小冷凍室17Cと、第1切り替え室17Dとの間に位置し、製氷室17Bおよび小冷凍室17Cと、第1切り替え室17Dとの間を仕切っている。第3仕切部19Cは、第1切り替え室17Dと第2切り替え室17Eとの間に位置し、第1切り替え室17Dと第2切り替え室17Eとの間を仕切っている。第1から第3の仕切り部19A,19B,19Cの各々は、例えば発泡断熱材を含み、断熱性を有する。
【0020】
複数の貯蔵室17の開口は、複数の扉20によって開閉可能に閉じられる。複数の扉20は、例えば、冷蔵室17Aの開口を閉じる左右の冷蔵室扉20Aa,20Ab、製氷室17Bの開口を閉じる製氷室扉20B、小冷凍室17Cの開口を閉じる小冷凍室扉20C、第1切り替え室17Dの開口を閉じる第1切り替え室扉20D、および第2切り替え室17Eの開口を閉じる第2切り替え室扉20Eを含む。
【0021】
複数の棚30は、冷蔵室17Aに設けられている。
複数の容器40、冷蔵室17Aに設けられたチルド室容器40A、製氷室17Bに設けられた製氷室容器(不図示)、小冷凍室17Cに設けられた小冷凍室容器40C、第1切り替え室17Dに設けられた第1および第2の切り替え室容器40Da,40Db、および第2切り替え室17Eに設けられた第3および第4の切り替え室容器40Ea,40Ebを含む。
【0022】
流路形成部品50は、筐体10内に配置されている。流路形成部品50は、第1ダクト部品(第1冷却器カバー)51と、第2ダクト部品(第2冷却器カバー)52とを含む。
【0023】
第1ダクト部品51は、筐体10の後壁15に沿って設けられ、鉛直方向に延びている。第1ダクト部品51は、例えば、冷蔵室17Aの下端部の後方から冷蔵室17Aの上端部の後方まで延びている。第1ダクト部品51と筐体10の後壁15との間には、第1冷却室18Aが形成されている。第1ダクト部品51は、冷気吹出口51aと、冷気戻り口51bとを有する。冷気吹出口51aは、冷蔵室17Aに開口している。第1冷却室18Aを流れる冷気(空気)は、冷気吹出口51aから冷蔵室17Aに吹き出される。冷気戻り口51bは、例えば冷蔵室17Aの下端部に開口している。冷蔵室17Aを通った冷気は、冷気戻り口51bから第1冷却室18Aに戻る。
【0024】
第2ダクト部品52は、筐体10の後壁15に沿って設けられ、鉛直方向に延びている。第2ダクト部品52は、例えば、第2切り替え室17Eの後方から製氷室17Bおよび小冷凍室17Cの後方まで延びている。第2ダクト部品52と筐体10の後壁15との間には、第2冷却室18Bが形成されている。第2ダクト部品52は、複数の冷気吹出口52aと、複数の冷気戻り口52b(
図3参照)とを有する。複数の冷気吹出口52aは、第1切り替え室17Dに開口した第1冷気吹出口52aa、第2切り替え室17Eに開口した第2冷気吹出口52ab、および製氷室17Bまたは小冷凍室17Cに開口した第3冷気吹出口52acを含む。複数の冷気戻り口52bは、第1切り替え室17Dに開口した第1冷気戻り口52ba(
図3参照)、第2切り替え室17Eに開口した第2冷気戻り口52bb(
図3参照)、および製氷室17Bまたは小冷凍室17Cに開口した第3冷気戻り口(不図示)を含む。
【0025】
第2冷却室18Bを流れる冷気(空気)は、後述する第1ダンパ71が開かれた場合、第1冷気吹出口52aaから第1切り替え室17Dに吹き出される。第1切り替え室17Dに吹き出された冷気は、第1冷気戻り口52baを通じて第2冷却室18Bに戻る。第2冷却室18Bを流れる冷気は、例えば、後述する第2ダンパ72が開かれた場合、第2冷気吹出口52abから第2切り替え室17Eに吹き出される。第2切り替え室17Eに吹き出された冷気は、第2冷気戻り口52bbを通じて第2冷却室18Bに戻る。第2冷却室18Bを流れる冷気は、後述する第3ダンパ73が開かれた場合、第3冷気吹出口52acから製氷室17Bおよび小冷凍室17Cに吹き出される。製氷室17Bおよび小冷凍室17Cに吹き出された冷気は、第3冷気戻り口および不図示の冷気流路を通じて第2冷却室18Bに戻る。
【0026】
冷却ユニット60は、複数の貯蔵室17(冷蔵室17A、製氷室17B、小冷凍室17C、第1切り替え室17D、および第2切り替え室17E)を冷却する。冷却ユニット60は、例えば、第1冷却モジュール61、第2冷却モジュール62、第1から第3のダンパ71,72,73、圧縮器75、および冷凍サイクル装置76(
図4参照)を含む。
【0027】
第1冷却モジュール61は、例えば、第1冷却器(第1蒸発器)81と、第1送風機82とを含む。第1冷却器81および第1送風機82は、第1冷却室18Aに配置されている。第1冷却器81は、後述する冷凍サイクル装置76により液冷媒が供給され、液冷媒の気化熱により第1冷却室18Aを流れる冷気を冷却する。第1送風機82が駆動されると、冷蔵室17Aの冷気が冷気戻り口51bから第1冷却室18Aに流入する。第1冷却室18Aに流入した冷気は、第1冷却器81によって冷却される。第1冷却器81によって冷却された冷気は、冷気吹出口51aから冷蔵室17Aに吹き出される。これにより、冷蔵室17Aを流れる冷気が冷蔵庫1内で循環され、冷蔵室17Aの冷却が行われる。
【0028】
第2冷却モジュール62は、例えば、第2冷却器(第2蒸発器)83と、第2送風機84とを含む。第2冷却器83および第2送風機84は、第2冷却室18Bに配置されている。第2冷却器83は、後述する冷凍サイクル装置76により液冷媒が供給され、液冷媒の気化熱により第2冷却室18Bを流れる冷気を冷却する。第2送風機84が駆動されると、製氷室17B、小冷凍室17C、第1切り替え室17D、または第2切り替え室17Eの冷気が対応する第1から第3の冷気戻り口52ba,52bbから第2冷却室18Bに流入する。第2冷却室18Bに流入した空気は、第2冷却器83によって冷却される。第2冷却器83によって冷却された冷気は、第1から第3の冷気吹出口52aa,52aab,52acから製氷室17B、小冷凍室17C、第1切り替え室17D、および第2切り替え室17Eに流入する。これにより、製氷室17B、小冷凍室17C、第1切り替え室17D、および第2切り替え室17Eを流れる冷気が冷蔵庫1内で循環され、製氷室17B、小冷凍室17C、第1切り替え室17D、および第2切り替え室17Eの冷却が行われる。
【0029】
第1ダンパ71は、第1切り替え室17Dと第2冷却室18Bとの間に設けられている。第1ダンパ71は、例えば第1冷気吹出口52aaを開閉することで、第2冷却室18Bから第1切り替え室17Dへの冷気の供給を制御する。例えば、第1ダンパ71が開かれると、第1切り替え室17Dと第2冷却室18Bとが連通し、第2冷却室18Bから第1切り替え室17Dへ冷気が供給可能になる。一方で、第1ダンパ71が閉じられると、第1切り替え室17Dと第2冷却室18Bとの間が遮断され、第2冷却室18Bから第1切り替え室17Dへ冷気が供給されなくなる。
【0030】
第2ダンパ72は、第2切り替え室17Eと第2冷却室18Bとの間に設けられている。第2ダンパ72は、例えば第2冷気吹出口52abを開閉することで、第2冷却室18Bから第2切り替え室17Eへの冷気の供給を制御する。例えば、第2ダンパ72が開かれると、第2切り替え室17Eと第2冷却室18Bとが連通し、第2冷却室18Bから第2切り替え室17Eへ冷気が供給可能になる。一方で、第2ダンパ72が閉じられると、第2切り替え室17Eと第2冷却室18Bとの間が遮断され、第2冷却室18Bから第2切り替え室17Eへ冷気が供給されなくなる。
【0031】
第3ダンパ73は、製氷室17Bまたは小冷凍室17Cと、第2冷却室18Bとの間に設けられている。第3ダンパ73は、例えば第3冷気吹出口52acを開閉することで、第2冷却室18Bから製氷室17Bおよび小冷凍室17Cへの冷気の供給を制御する。例えば、第3ダンパ73が開かれると、製氷室17Bまたは小冷凍室17Cと第2冷却室18Bとが連通し、第2冷却室18Bから製氷室17Bまたは小冷凍室17Cへの冷気が供給可能になる。一方で、第3ダンパ73が閉じられると、製氷室17Bまたは小冷凍室17Cと、第2冷却室18Bとの間が遮断され、第2冷却室18Bから製氷室17Bまたは小冷凍室17Cへ冷気が供給されなくなる。
【0032】
図3は、第1切り替え室17Dおよび第2切り替え室17Eを示す正面図である。第2冷却器83は、冷蔵庫1を正面から見た場合、第1切り替え室17Dと重なる第1部分83aと、第2切り替え室17Eと重なる第2部分83bとを有する。本実施形態では、冷蔵庫1を正面から見た場合、第2部分83bの大きさは、第1部分83aの大きさよりも小さい。なお、第2冷却器83は、第2部分83bを有しなくてもよい。例えば、第2冷却器83の全体が第1切り替え室17Dと重なっていてもよい。本実施形態では、第2冷却器83は、冷蔵庫1の左右方向の中心に対して、右側に偏心して配置されている。第2送風機84は、例えば、比較的大型の遠心ファンである。第2送風機84は、第2冷却器83の上方に配置されている。
【0033】
第1冷気吹出口52aaは、第1切り替え室17Dの上端部に設けられている。第1冷気吹出口52aaは、例えば冷蔵庫1の左右方向の中心に対して、左側に偏心して配置されている。一方で、第1冷気戻り口52baは、第1切り替え室17Dの下端部に設けられている。第1冷気戻り口52baは、例えば冷蔵庫1の左右方向の中心に対して、右側に偏心して配置されている。
【0034】
第1ダンパ71は、例えば、第1冷気吹出口52aaを覆う第1フラップ71aと、第1フラップ71aを駆動する第1駆動機構71bとを有する。第1駆動機構71bは、例えばモータまたはソレノイドのような駆動源を含む。第1駆動機構71bは、例えば第1フラップ71aを回動またはスライド移動させることで第1冷気吹出口52aaを開放する。ここで、「第1ダンパ71の開き量」とは、第1ダンパ71の開き度合(第1冷気吹出口52aaに対する冷気の流れやすさ度合)を意味する。例えば、第1フラップ71aにより第1冷気吹出口52aaが閉じられた状態を基準とすると、第1駆動機構71bによる第1フラップ71aの駆動量(回動量またはスライド移動量など)が大きくなるほど、第1ダンパ71の開き量は大きくなる。
【0035】
第2冷気吹出口52abは、第2切り替え室17Eの上端部に設けられている。第2冷気吹出口52abは、例えば冷蔵庫1の左右方向の中心に対して、左側に偏心して配置されている。一方で、第2冷気戻り口52bbは、第2切り替え室17Eの上端部に設けられている。第2冷気戻り口52bbは、例えば冷蔵庫1の左右方向の中心に対して、右側に偏心して配置されている。
【0036】
第2ダンパ72は、例えば、第2冷気吹出口52abを覆う第2フラップ72aと、第2フラップ72aを駆動する第2駆動機構72bとを有する。第2駆動機構72bは、例えばモータまたはソレノイドのような駆動源を含む。第2駆動機構72bは、例えば第2フラップ72aを回動またはスライド移動させることで第2冷気吹出口52abを開放する。ここで、「第2ダンパ72の開き量」とは、第2ダンパ72の開き度合(第2冷気吹出口52abに対する冷気の流れやすさ度合)を意味する。例えば、第2フラップ72aにより第2冷気吹出口52abが閉じられた状態を基準とすると、第2駆動機構72bによる第2フラップ72aの駆動量(回動量またはスライド移動量など)が大きくなるほど、第2ダンパ72の開き量は大きくなる。
【0037】
圧縮器75(
図1参照)は、例えば、冷蔵庫1の底部の機械室に設けられている。圧縮器75は、貯蔵室17の冷却に用いられるガス冷媒を圧縮し、圧縮した冷媒を後述する凝縮器91などを介して第1冷却器81および第2冷却器83に供給する。
【0038】
制御基板100(
図1参照)は、例えば、筐体10の上壁11に設けられている。本実施形態では、筐体10の上壁11の上面は、下方に向けて窪んだ凹部を有する。制御基板100は、凹部に配置されている。制御基板100は、例えばマイクロコンピュータやタイマなどにより構成される制御部100a(
図5参照)を有する。制御部100aは、冷蔵庫1の全体を制御する。制御部100aについては詳しく後述する。
【0039】
[2.冷凍サイクル装置]
図4は、冷凍サイクル装置76の構成を示す図である。冷凍サイクル装置76は、凝縮器91、ドライヤ92、三方弁93、キャピラリーチューブ94A,94B、サクションパイプ95A,95B、および逆止弁96を含む。これら構成要素は、冷媒の流れ順に、圧縮器75、凝縮器91、ドライヤ92、三方弁93、キャピラリーチューブ94A,94B、冷却器81,83、およびサクションパイプ95A,95Bの順に環状に接続されている。詳しく述べると、圧縮器75の高圧吐出口には、凝縮器91とドライヤ92とが順に接続されている。ドライヤ92の吐出側には、三方弁93が接続されている。三方弁93は、ドライヤ92が接続される1つの入口と、2つの出口とを有している。
【0040】
三方弁93の2つの出口のうち、一方の出口には第1キャピラリーチューブ94Aと第1冷却器81とが順に接続されている。第1冷却器81は、接続配管である第1サクションパイプ95Aを介して圧縮器75に接続されている。三方弁93の2つの出口のうち、他方の出口には、第2キャピラリーチューブ94Bと第2冷却器83とが順に接続されている。第2冷却器83は、接続配管である第2サクションパイプ95Bを介して圧縮器75に接続されている。第2冷却器83と圧縮器75との間には、第1冷却器81からの冷媒が第2冷却器83側に逆流しないための逆止弁96が設けられている。
【0041】
次に、冷凍サイクル装置76の冷媒の流れを説明する。まず、冷凍サイクル装置76を循環する冷媒は、圧縮器75により圧縮されて、高温、高圧のガス冷媒となり、流路Aを流れる。このガス冷媒は、凝縮器91により放熱されて、中温、高圧の液冷媒となる。その後、ドライヤ92を通ることで汚れや水分などの不純物が取り除かれた液冷媒は、三方弁93により絞り制御されながら、第1キャピラリーチューブ94A(または第2キャピラリーチューブ94B)に入る。このとき、第1キャピラリーチューブ94A(または第2キャピラリーチューブ94B)内の中温、高圧の液冷媒は、第1サクションパイプ95A(または第2サクションパイプ95B)内の冷媒と熱交換されながら減圧される。そして、減圧された液冷媒は、第1冷却器81(または第2冷却器83)を通過しながら蒸発することで、第1冷却器81(または第2冷却器83)が冷却される。
【0042】
その後、低温、低圧のガス冷媒は、第1サクションパイプ95A(または第2サクションパイプ95B)に流入する。第1サクションパイプ95A(または第2サクションパイプ95B)に流入した直後のガス冷媒の温度は、-10℃前後と低温である。このガス冷媒は、第1サクションパイプ95A(または第2サクションパイプ95B)を通る間に、第1キャピラリーチューブ94A(または第2キャピラリーチューブ94B)内の冷媒と熱交換されて、最終的には室温程度にまで昇温される。そして、このガス冷媒が、圧縮器75に再び吸入されて、冷媒の循環が完了する。
【0043】
上記の冷凍サイクル装置76において、三方弁93は、制御部100aによって制御され、流路Bおよび流路Cのうち例えば一方または両方を選択する。流路Bは、冷媒を第1冷却器81に供給する流路である。流路Cは、冷媒を第2冷却器83に供給する流路である。これら2つの流路B,Cは、合流点Dにおいて合流する。冷媒は、合流点Dから矢印Eの方向に流れて圧縮器75へと戻る。本実施形態では、第1切り替え室17Dと第2切り替え室17Eとのうち少なくとも一方が冷凍温度帯室として使用される場合、第2冷却器83には、冷凍温度帯室の冷却に適した量および温度の液冷媒が供給される。
【0044】
[3.制御]
[3.1 制御に関する機能構成]
図5は、冷蔵庫1の機能構成の一部を示すブロック図である。制御部100aには、操作パネル部111、記憶部112、冷蔵室温度センサ113、第1切り替え室温度センサ114、第2切り替え室温度センサ115、第1ダンパ71、第2ダンパ72、第1送風機82、第2送風機84、圧縮器75、および三方弁93が電気的に接続されている。
【0045】
操作パネル部111は、例えばボタンやダイヤル、または静電容量式のタッチセンサなどにより実現され、冷蔵庫1の動作に関するユーザの操作を受け付ける。例えば、操作パネル部111は、第1切り替え室17Dおよび第2切り替え室17Eのそれぞれを冷蔵温度帯室と冷凍温度帯室との間で切り替えるユーザの操作を受け付ける。
【0046】
例えば、ユーザは、操作パネル部111を操作し、第1切り替え室17Dの動作モードを「冷蔵運転モード」に設定することで、第1切り替え室17Dを冷蔵温度帯室として使用することができる。本実施形態では、第1切り替え室17Dが冷蔵温度帯室として使用される場合、操作パネル部111は、冷蔵温度室帯の動作モードとして「強冷蔵設定」、「中冷蔵設定」、および「弱冷蔵設定」の選択を受け付け可能である。「強冷蔵設定」の設定温度帯の中心温度は、「中冷蔵設定」の設定温度帯の中心温度よりも低い。「中冷蔵設定」の設定温度帯の中心温度は、「弱冷蔵設定」の設定温度帯の中心温度よりも低い。
【0047】
例えば、ユーザは、操作パネル部111を操作し、第1切り替え室17Dの動作モードを「中冷蔵設定」または「強冷蔵設定」に設定することで、第1切り替え室17Dをいわゆる「冷蔵室」として使用することができる。一方で、ユーザは、操作パネル部111を操作し、第1切り替え室17Dの動作モードを「弱冷蔵設定」に設定することで、第1切り替え室17Dをいわゆる「野菜室」として使用することができる。この内容は詳しく後述する。なお、第1切り替え室17Dの動作モードが「強冷蔵設定」に設定されることで、第1切り替え室17Dはいわゆる「チルド室」として使用可能であってもよい。
【0048】
一方で、ユーザは、操作パネル部111を操作し、第1切り替え室17Dの動作モードを「冷凍運転モード」に設定することで、第1切り替え室17Dを冷凍温度帯室(いわゆる「冷凍室」)として使用することができる。本実施形態では、第1切り替え室17Dが冷凍温度帯室として使用される場合、操作パネル部111は、冷凍温度室帯の動作モードとして「強冷凍設定」、「中冷凍設定」、および「弱冷凍設定」の選択を受け付け可能である。「強冷凍設定」の設定温度帯の中心温度は、「中冷凍設定」の設定温度帯の中心温度よりも低い。「中冷凍モード」の設定温度帯の中心温度は、「弱冷凍設定」の設定温度帯の中心温度よりも低い。
【0049】
同様に、操作パネル部111は、第2切り替え室17Eを冷蔵温度帯室と冷凍温度帯室との間で切り替えるユーザの操作を受け付ける。なお、第2切り替え室17Eの動作モードの切り替えに関する内容は、第1切り替え室17Dの動作モードの切り替えに関する内容と同様である。このため、第2切り替え室17Eに関する説明は、上述した第1切り替え室17Dに関する説明において「第1切り替え室17D」を「第2切り替え室17E」と読み替えればよい。本実施形態の冷蔵庫1は、第1切り替え室17Dおよび第2切り替え室17Eの各々が、ユーザの好みによって冷蔵室、冷凍室、または野菜室などから選択された任意の貯蔵室に設定可能である。
【0050】
記憶部112は、例えば不揮発性の半導体メモリなどで実現され、冷蔵庫1の運転に必要な情報を記憶する。記憶部112には、例えば、各種動作モードにおける第1ダンパ71、第2ダンパ72、第1送風機82、第2送風機84、および圧縮器75の制御量および駆動タイミングなどが記憶されている。
【0051】
冷蔵室温度センサ113は、冷蔵室17Aに設けられ、冷蔵室17Aの空気温度を検出する。第1切り替え室温度センサ114は、第1切り替え室17Dに設けられ、第1切り替え室17Dの空気温度を検出する。第2切り替え室温度センサ115は、第2切り替え室17Eに設けられ、第2切り替え室17Eの空気温度を検出する。
【0052】
[3.2 冷蔵庫の温度管理]
次に、冷蔵庫1の温度管理について説明する。ここでは、第1切り替え室17Dに関する温度管理を代表として説明する。
【0053】
制御部100aは、第1切り替え室17Dの温度(例えば、第1切り替え室温度センサ114により検出された温度)を監視し、第1切り替え室17Dの温度に基づいて、第1切り替え室17Dの冷却制御を行う。詳しく述べると、第1切り替え室17Dには、各動作モードに応じた設定温度帯が設定されている。制御部100aは、例えば、第1切り替え室17Dの温度が設定温度帯の上限値まで上昇した場合、第1切り替え室17Dの冷却を開始する。
【0054】
一方で、制御部100aは、例えば、第1切り替え室17Dの温度が設定温度帯の下限値(冷却目標温度)まで低下した場合、第1切り替え室17Dの冷却を終了する(停止する)。制御部100aは、上記動作を繰り返すことで、第1切り替え室17Dの温度を設定温度帯内に維持する。なお、制御部100aは、上記制御に代えて/加えて、第1切り替え室17Dの前回の冷却終了時からの経過時間が予め設定された時間を超えた場合、第1切り替え室17Dの温度が設定温度帯の上限値に達することを待たずに第1切り替え室17Dの冷却を再開してもよい。
【0055】
第2切り替え室17Eに関する基本運転は、第1切り替え室17Dに関する基本運転と同様である。このため、第2切り替え室17Eの基本運転に関する説明は、上述した第1切り替え室17Dの基本運転に関する説明において「第1切り替え室17D」を「第2切り替え室17E」と読み替え、「第1切り替え室17Dの温度(例えば、第1切り替え室温度センサ114により検出された温度)」を「第2切り替え室17Eの温度(例えば、第2切り替え室温度センサ115により検出された温度)」と読み替えればよい。
【0056】
[3.3 設定温度帯]
次に、「設定温度帯」について説明する。「設定温度帯」は、冷蔵運転モードおよび冷凍運転モードのそれぞれにおいて、温度管理の対象となる貯蔵室17の空気温度が維持される温度範囲を意味する。「設定温度帯」とは、上限値と下限値とにより規定される温度範囲を意味する。
【0057】
本実施形態では、上述したように、冷蔵温度室帯の動作モードとして「強冷蔵設定」、「中冷蔵設定」、および「弱冷蔵設定」が設けられている。「強冷蔵設定」の設定温度帯の上限値および下限値は、「中冷蔵設定」の設定温度帯の上限値および下限値よりもそれぞれ低い。「弱冷蔵設定」の設定温度帯の上限値および下限値は、「中冷蔵設定」の設定温度帯の上限値および下限値よりもそれぞれ低い。
【0058】
本実施形態では、制御部100aは、「強冷蔵設定」が選択されると、「中冷蔵設定」が選択される場合と比べて、圧縮器75の制御量(例えば運転周波数)を高く設定することと、第2送風機84の制御量(例えば回転数)を高く設定することとのうち少なくとも一方を行う。一方で、制御部100aは、「弱冷蔵設定」が選択されると、「中冷蔵設定」が選択される場合と比べて、圧縮器75の制御量(例えば運転周波数)を低く設定することと、第2送風機84の制御量(例えば回転数)を低く設定することとのうち少なくとも一方を行う。
【0059】
これらは、冷凍温度室帯の動作モードである「強冷凍設定」、「中冷凍設定」、および「弱冷凍設定」についても同様である。なお、第1切り替え室17Dが「弱冷蔵設定」に設定され、第2切り替え室17Eが「強冷凍設定」に設定されるなど、圧縮器75の制御量および第2送風機84の制御量について相反する設定がされる場合は、予め設定されるルール(「冷蔵運転モード」を優先する、または「冷凍運転モード」を優先するなど)に従い、圧縮器75の制御量および第2送風機84の制御量が決定されてよい。
【0060】
なお、冷蔵温度室帯の動作モードである「強冷蔵設定」、「中冷蔵設定」、および「弱冷蔵設定」における圧縮器75の制御量および第2送風機84の制御量は、互いに同じでもよい。また、冷凍温度室帯の動作モードである「強冷凍設定」、「中冷凍設定」、および「弱冷凍設定」における圧縮器75の制御量および第2送風機84の制御量は、互いに同じでもよい。また、冷蔵温度室帯の動作モードと、冷凍温度室帯の動作モードとにおいて、圧縮器75の制御量および第2送風機84の制御量は、互いに同じでもよい。
【0061】
[3.4 制御モード]
次に、制御部100aが実行可能ないくつかの制御モードについて説明する。ここでは、「通常冷却制御」と、第2冷却器83の霜による冷却を伴う特別冷却制御(以下、単に「特別冷却制御」と称する)について説明する。以下では、第1切り替え室17Dが冷蔵温度帯室として使用され、第2切り替え室17Eが冷凍温度帯室として使用される例について説明する。ただし、第1切り替え室17Dと第2切り替え室17Eとは互いに逆であってもよい。この場合は、以下の説明において、「第1切り替え室17D」と「第2切り替え室17E」とを互いに読み替え、「第1ダンパ71」と「第2ダンパ72」とを互いに読み替えればよい。これは第2、第3の実施形態および変形例についても同様である。
【0062】
通常冷却制御と特別冷却制御とは、例えば操作パネル部111に対するユーザの操作により任意に切り替え可能であってよい。なお冷蔵庫1は、通常冷却制御を行う機能を有さず、冷蔵運転モードに関して以下に述べる特別冷却制御のみを行ってもよい。
【0063】
[3.4.1 通常冷却制御]
まず、通常冷却制御について説明する。
図6は、通常冷却制御のタイムチャートの一例を示す図である。通常冷却制御では、第1ダンパ71が常に閉じられており、第1切り替え室17Dは、第2冷却器83の冷熱により冷却される。すなわち、通常冷却制御では、第1切り替え室17Dと第2冷却器83との間の熱伝導により第1切り替え室17Dが冷却される。
【0064】
詳しく述べると、時刻t0では、第1切り替え室17Dの温度が冷蔵運転モードの設定温度帯(例えば「中冷蔵設定」の設定温度帯)の下限値L1の近傍にあり、第1切り替え室17Dに関する冷却が必要ない状態である。一方で、時刻t0では、第2切り替え室17Eの冷却中であり、第2ダンパ72が開かれ、圧縮器75および第2送風機84が駆動されている。これにより、第2冷却器83には液冷媒が供給され、第2冷却器83により冷却された冷気が第2送風機84によって送風されて第2冷気吹出口52abから第2切り替え室17Eの内部に流入する。これにより、第2切り替え室17Eの冷却が行われる。
【0065】
時刻t1では、第2切り替え室17Eの温度が冷凍運転モードの設定温度帯(例えば「中冷凍設定」の設定温度帯)の下限値L2に達する。一方で、時刻t1では、第1切り替え室17Dの温度が冷蔵運転モードの設定温度帯(例えば「中冷蔵設定」の設定温度帯)の上限値H1に達しておらず、第1切り替え室17Dに関する冷却が必要ない状態である。このため、制御部100aは、時刻t1において、圧縮器75および第2送風機84の駆動を停止するとともに、第2ダンパ72を閉じる。
【0066】
時刻t2では、第1切り替え室17Dの温度が冷蔵運転モードの設定温度帯の上限値H1に達する。通常冷却制御では、制御部100aは、時刻t2において、第1ダンパ71を開かずに、圧縮器75および第2送風機84を駆動させる。これにより、第2冷却器83には液冷媒が供給され、第2冷却器83の冷熱により第1切り替え室17Dが直接に冷却される。なお、制御部100a、上記制御に代えて、第1ダンパ71を開かずに、第2送風機84を停止させた状態で、圧縮器75を駆動させてもよい。この場合であっても第2冷却器83には液冷媒が供給され、第2冷却器83の冷熱により第1切り替え室17Dが直接に冷却される。
【0067】
時刻t3では、第2切り替え室17Eの温度が冷凍運転モードの設定温度帯(例えば「中冷凍設定」の設定温度帯)の上限値H2に達する。このため、制御部100aは、時刻t3において、第2ダンパ72を開き、圧縮器75および第2送風機84の駆動を続ける。これにより、第2冷却器83には液冷媒が供給され、第2冷却器83により冷却された冷気が第2送風機84によって送風されて第2冷気吹出口52abから第2切り替え室17Eの内部に流入する。これにより、第2切り替え室17Eの冷却が行われる。
【0068】
時刻t4では、第1切り替え室17Dの温度が冷蔵運転モードの設定温度帯の下限値L1に達し、第1切り替え室17Dに関する冷却が必要なくなる。一方で、時刻t4では、第2切り替え室17Eの冷却中であり、第2ダンパ72が開かれ、圧縮器75および第2送風機84が駆動されている。なお
図6では、説明の便宜上、時刻t4において第1切り替え室17Dの温度低下が止まるように図示されているが、実際には、時刻t4の後も圧縮器75に液冷媒が供給されるので、第1切り替え室17Dの温度は、冷蔵運転モードの設定温度帯の下限値L1よりも低い温度に下がり得る。
【0069】
時刻t5において、第2切り替え室17Eの温度が冷凍運転モードの設定温度帯の下限値L2に達する。一方で、時刻t5では、第1切り替え室17Dの温度が冷蔵運転モードの設定温度帯の上限値H1に達しておらず、第1切り替え室17Dに関する冷却が必要ない状態である。このため、制御部100aは、時刻t5において、圧縮器75および第2送風機84の駆動を停止するとともに、第2ダンパ72を閉じる。以降の時刻t6から時刻t9については、時刻t2から時刻t5とそれぞれ同じ処理が行われる。
【0070】
[3.4.2 特別冷却制御]
次に、第2冷却器83の霜による冷却を伴う特別冷却制御について説明する。
図7は、特別冷却制御のタイムチャートの一例を示す図である。特別冷却制御では、通常冷却制御をベースにしつつ、所定のタイミングで第1ダンパ71が開かれ、第2冷却器83の霜を利用した冷却が行われる。なお、特別冷却制御に関する説明は、通常冷却制御と異なる部分を中心に説明する。特別冷却制御に関して以下に説明する以外の制御は、通常冷却制御と同じである。
【0071】
詳しく述べると、時刻t1では、第2切り替え室17Eの温度が冷凍運転モードの設定温度帯(例えば「中冷凍設定」の設定温度帯)の下限値L2に達する。一方で、時刻t1では、第1切り替え室17Dの温度が冷蔵運転モードの設定温度帯(例えば「中冷蔵設定」の設定温度帯)の上限値H1に達しておらず、第1切り替え室17Dに関する冷却が必要ない状態である。このため、制御部100aは、時刻t1において、圧縮器75および第2送風機84の駆動を停止する。これにより、第2冷却器83には液冷媒が供給されなくなる。また、制御部100aは、時刻t1において、第2ダンパ72を閉じる。本実施形態では、第2冷却器83に液冷媒が供給されないことは、「第1所定条件」の一例である。第1所定条件は、例えば、第1ダンパ71を開いても第1切り替え室17Dが過度に冷却されない状態が成立する条件である。
【0072】
時刻t2では、第1切り替え室17Dの温度が冷蔵運転モードの設定温度帯(例えば「中冷蔵設定」の設定温度帯)の上限値H1に達する。特別冷却制御では、制御部100aは、時刻t2において、圧縮器75を停止させたまま、第1ダンパ71を開き、第2送風機84を駆動する。これにより、第2冷却器83に液冷媒が供給されない状態で、第2冷却器83に付着した霜により冷やされた湿潤な冷気が第1冷気吹出口52aaから第1切り替え室17Dに供給される。これにより、第1切り替え室17Dが冷却されるとともに、第1切り替え室17D内の空気が流動する。また、第1切り替え室17D内の湿度を適度に高めることができる。本実施形態では、第1切り替え室17Dの温度が冷蔵運転モードの設定温度帯の上限値H1に達することは、「第2所定条件」の一例である。第2所定条件は、例えば、所定の温度管理などに基づき、第1切り替え室17Dの冷却を開始(再開)すべき状態が成立する条件である。
【0073】
制御部100aは、例えば、第1ダンパ71が閉じられた状態で第2冷却器83に液冷媒が供給されて(例えば時刻t3から時刻t4の間と同じ供給量で液冷媒が供給されて)第2冷却器83の冷熱により第1切り替え室17Dが冷却される場合と比べて、第1切り替え室17Dの冷却速度が大きくなるように第1ダンパ71の開き量と第2送風機84の制御量(例えば回転数)とのうち少なくとも一方を制御する。すなわち、そのような条件を満たす第1ダンパ71の開き量と第2送風機84の制御量(例えば回転数)が予め設定されている。
【0074】
本実施形態では、制御部100aは、例えば、第1ダンパ71が閉じられた状態で、第2送風機84が駆動される(例えば時刻t3から時刻t4の間と同じ制御量で第2送風機84が駆動される)とともに、第2冷却器83に液冷媒が供給されて(例えば時刻t3から時刻t4の間と同じ供給量で液冷媒が供給されて)第2冷却器83の冷熱により第1切り替え室17Dが冷却される場合(すなわち通常冷却制御の場合)と比べて、第1切り替え室17Dの冷却速度が大きくなるように第1ダンパ71の開き量と第2送風機84の制御量(例えば回転数)とのうち少なくとも一方を制御する。言い換えると、
図7において、時刻t2と時刻t3との間である期間S1の冷却速度(第1切り替え室17Dの温度低下の速度)は、時刻t3と時刻t4との間である期間S2の冷却速度よりも大きい。
【0075】
また本実施形態では、時刻t2と時刻t3との間で、第1ダンパ71が開けられ、第2送風機84が駆動されるため、時刻t2と時刻t3との間における第2切り替え室17Eの温度上昇率は、時刻t1と時刻t2との間における第2切り替え室17Eの温度上昇率と比べて大きくなる。
【0076】
また本実施形態では、制御部100aは、第1切り替え室17Dが冷凍温度帯室として使用される場合(例えば「弱冷凍設定」または「中冷凍設定」で使用される場合)、第1制御量(例えば第1回転数)で第2送風機84を駆動する。一方で、制御部100aは、第1切り替え室17Dが冷蔵温度帯室(例えば「弱冷蔵設定」または「中冷蔵設定」)として使用される状態で、第1所定条件が満たされた場合、上記第1制御量と同じ以上の第2制御量(例えば第2回転数)で第2送風機84を駆動する。これにより、第1切り替え室17Dの冷却をより効率的に促進することができる。なお、上記第1制御量および上記第2制御量は、例えば、第1切り替え室17Dの温度と第1切り替え室17Dの冷却目標温度との差が互いに同じ場合における制御量で比較される。
【0077】
制御部100aは、第1所定条件が満たされて第1ダンパ71を開く場合、第1ダンパ71の開き量を全開と全閉との間の開き量に制御する。このような構成によれば、第1切り替え室17Dが過度に冷却されることを抑制することができる。
【0078】
時刻t3では、第2切り替え室17Eの温度が冷凍運転モードの設定温度帯(例えば「中冷凍設定」の設定温度帯)の上限値H2に達する。このため、制御部100aは、時刻t3において、第1ダンパ71を閉じ、第2ダンパ72を開き、圧縮器75および第2送風機84を駆動させる。これにより、第2冷却器83には液冷媒が供給され、第2冷却器83により冷却された冷気が第2送風機84によって送風されて第2冷気吹出口52abから第2切り替え室17Eの内部に流入する。これにより、第2切り替え室17Eの冷却が行われる。本実施形態では、第2切り替え室17Eの温度が冷凍運転モードの設定温度帯の上限値H2に達することは、「第3所定条件」の一例である。第3所定条件は、例えば、第2切り替え室17Eの冷却を開始(再開)すべき状態が成立する条件である。
【0079】
時刻t4では、第1切り替え室17Dの温度が冷蔵運転モードの設定温度帯(例えば「中冷蔵設定」の設定温度帯)の下限値L1に達し、第1切り替え室17Dに関する冷却が必要なくなる。一方で、時刻t4では、第2切り替え室17Eの冷却中であり、第2ダンパ72が開かれ、圧縮器75および第2送風機84が駆動されている。
図7では、説明の便宜上、時刻t4において第1切り替え室17Dの温度低下が止まるように図示されているが、実際には、時刻t4の後も圧縮器75に液冷媒が供給されるので、第1切り替え室17Dの温度は、冷蔵運転モードの設定温度帯の下限値L1よりも低い温度に下がり得る。これは以降の図についても同様である。
【0080】
時刻t5では、第2切り替え室17Eの温度が冷凍運転モードの設定温度帯の下限値L2に達する。時刻t5では、第1切り替え室17Dの温度が冷蔵運転モードの設定温度帯の上限値H1に達しておらず、第1切り替え室17Dに関する冷却が必要ない状態である。このため、制御部100aは、時刻t5において、圧縮器75および第2送風機84の駆動を停止するとともに、第2ダンパ72を閉じる。以降の時刻t6から時刻t9については、時刻t2から時刻t5とそれぞれ同じ処理が行われる。
【0081】
(4.利点)
本実施形態では、制御部100aは、第1切り替え室17Dが冷蔵温度帯室として使用される状態で、第1所定条件が満たされた場合、第1ダンパ71を開く。このような構成によれば、第1ダンパ71が開かれることで、第1切り替え室17Dと第2冷却室18Bとが連通し、第2冷却室18Bの冷気によって第1切り替え室17Dの冷却を促進することができる。これにより、例えば第1ダンパ71が開かれず第2冷却器83の冷熱だけで第1切り替え室17Dが冷却される場合と比べて、第1切り替え室17Dの冷却速度の向上を図ることができるなど、より適切な冷却制御を行うことができる。
【0082】
本実施形態では、制御部100aは、第1所定条件が満たされた場合、第1ダンパ71を開き、第2送風機84を駆動する。このような構成によれば、第1切り替え室17Dの冷却速度のさらなる向上を図ることができる。また第1ダンパ71が開かれ、第2送風機84が駆動されると、第1切り替え室17Dの内部で冷気が流動し、冷気が滞留することに起因する結露の発生をより抑制することができる。ただし、第2送風機84の駆動は必須ではなく、制御部100aは、第1所定条件が満たされた場合、第2送風機84を停止させたまま、第1ダンパ71を開いてもよい。
【0083】
本実施形態では、第1所定条件は、第2冷却器83に液冷媒が供給されないことを含む。このような構成によれば、第2冷却器83の温度が上がることで、第2冷却器83で溶ける霜を利用して第1切り替え室17Dの冷却を促進することができ、より湿潤な冷気を第1切り替え室17Dに供給することができる。なお、「第2冷却器83に液冷媒が供給されないこと」とは、例えば圧縮器75が停止されることであるが、これに限定されない。「第2冷却器83に液冷媒が供給されないこと」とは、例えば、圧縮器75で圧縮されて凝縮器91により凝縮された液冷媒が三方弁93によって第1冷却器81のみに供給される場合なども含む。
【0084】
また、第1所定条件は、第2冷却器83に液冷媒が供給されないことに限定されない。第1所定条件は、例えば、第1切り替え室17Dが冷蔵温度帯室として使用され、第2切り替え室17Eが冷凍温度帯室として使用される状態で、第2切り替え室17Eの温度を低下させる冷却が停止されることでもよい。言い換えると、第1所定条件下では、冷蔵温度帯室の冷却に適した量および温度の液冷媒が第2冷却器83に供給されてもよい。
【0085】
また、第1所定条件は、第1切り替え室17Dが冷蔵温度帯室として使用され、第2切り替え室17Eが冷凍温度帯室として使用される状態で、第2切り替え室17Eの温度と第2切り替え室17Eの目標冷却温度(例えば、設定温度帯の下限値L2)との差が第1閾値以下になることと、第2切り替え室17Eの冷却の残り時間(1回当たりの最大冷却時間が設定されている場合など)が第2閾値以下になることとのうち少なくとも一方を含んでもよい。言い換えると、第1所定条件は、第2切り替え室17Eの冷却が終了する前に成立する条件でもよい。
【0086】
本実施形態では、第2冷却器83は、冷蔵庫1を正面から見た場合、第1切り替え室17Dと重なる第1部分83aと、第2切り替え室17Eと重なる第2部分83bとを有する。制御部100aは、第1切り替え室17Dが冷蔵温度帯室として使用され、第2切り替え室17Eが冷凍温度帯室として使用される状態で、第2切り替え室17Eの温度を低下させるために第2冷却器83に液冷媒が供給される場合、第1ダンパ71を閉じる。これにより、冷凍温度帯室である第2切り替え室17Eの冷却に適した量および温度の液冷媒が第2冷却器83に供給されても、第1切り替え室17Dが過度に冷却されることを抑制することができる。なお、制御部100aは、第2冷却器83に液冷媒が供給される場合、第1ダンパ71を閉じることに代えて、第2冷却器83に液冷媒が供給されない場合と比べて第1ダンパ71の開き量を小さくしてもよい。
【0087】
本実施形態では、制御部100aは、第1所定条件が満たされただけでは、第1ダンパ71を開かない。制御部100aは、第1所定条件が満たされ、且つ、第1切り替え室17Dの温度に関する第2所定条件が満たされた場合(例えば、第1切り替え室17Dの温度が冷蔵運転モードの設定温度帯の上限値H1に達した場合)、第2冷却器83に液冷媒が供給されない状態で、第1ダンパ71を開き、第2送風機84を駆動する。このような構成によれば、第1切り替え室17Dの冷却を本来開始するタイミングで、第2冷却器83の霜を利用して第1切り替え室17Dを冷却することができる。これにより、冷蔵庫1の省エネルギー化を図ることができる。なお、第2所定条件が満たされることとは、第1切り替え室17Dの温度と第1切り替え室17Dの前回の冷却終了からの経過時間とのうち少なくとも一方が予め設定された基準に達することでもよい。
【0088】
制御部100aは、第2所定条件が満たされた後に、第2切り替え室17Eの温度に関する第3所定条件が満たされた場合(例えば、第2切り替え室17Eの温度が冷凍運転モードの設定温度帯の上限値H2に達した場合)、第1切り替え室17Dの温度が目標冷却温度(例えば、冷蔵運転モードの設定温度帯の下限値L1)に達していない場合であっても、第1ダンパ71を閉じ、第2冷却器83に液冷媒を供給させる。これにより、第2切り替え室17Eの冷却効率を高めることができる。なお、第3所定条件が満たされることとは、第2切り替え室17Eの温度と第2切り替え室17Eの前回の冷却終了からの経過時間とのうち少なくとも一方が予め設定された基準に達することでもよい。また、制御部100aは、第2冷却器83に液冷媒を供給させる場合、第1ダンパ71を閉じることに代えて、第2冷却器83に液冷媒が供給されない場合と比べて第1ダンパ71の開き量を小さくしてもよい。
【0089】
本実施形態では、第2冷却器83は、冷蔵庫1を正面から見た場合、第1切り替え室17Dと重なる第1部分83aと、第2切り替え室17Eと重なるとともに第1部分83aよりも小さな第2部分83bとを有するか、第2切り替え室17Eと重なる部分を有さない。そして、制御部100aは、第2切り替え室17Eが冷蔵温度帯室として使用される状態で、第1所定条件が満たされた場合、第1開き量で第1時間に亘り第2ダンパ72を開く。一方で、制御部100aは、第1切り替え室17Dが冷蔵温度帯室として使用される状態で、第1所定条件が満たされた場合、第1開き量よりも小さな第2開き量で第1ダンパ71を開くことと、第1時間よりも短い第2時間に亘り第1ダンパ71を開くこととのうち少なくとも一方を行う。これにより、第2切り替え室17Eよりも冷えやすい第1切り替え室17Dの冷却において、第1切り替え室17Dが過度に冷却されることを避けることができる。別の観点で見ると、第1切り替え室17Dよりも冷えにくい第2切り替え室17Eの冷却において、第2切り替え室17Eの冷却をより適切に促進することができる。
【0090】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、上記第2所定条件が満たされる前に第1ダンパ71が開かれる点で、第1の実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0091】
図8は、第2の実施形態の特別冷却制御のタイムチャートの一例を示す図である。詳しく述べると、時刻t1では、第2切り替え室17Eの温度が冷凍運転モードの設定温度帯の下限値L2に達する。このため、制御部100aは、圧縮器75の駆動を停止する。また、制御部100aは、第2ダンパ72を閉じる。
【0092】
本実施形態では、制御部100aは、時刻t1において、圧縮器75を停止させた状態で、第1ダンパ71を開き、第2送風機84を駆動する。これにより、第2冷却器83に液冷媒が供給されない状態で、第2冷却器83に付着した霜により冷やされた湿潤な冷気が第1冷気吹出口52aaから第1切り替え室17Dに供給される。これにより、第1切り替え室17Dが冷却されるとともに、第1切り替え室17D内の空気が流動する。また、第1切り替え室17D内の湿度を適度に高めることができる。なお、制御部100aは、時刻t1に限らず、時刻t1と時刻t2との間の任意のタイミングで、第1ダンパ71を開き、第2送風機84を駆動してもよい。
【0093】
ここで一例では、時刻t1と時刻t2との間の第2送風機84の制御量(例えば回転数)は、他のタイミング(例えば、時刻t3と時刻t4との間)と比べて例えば小さく設定される。これにより、圧縮器75の停止直後の冷たい第2冷却器83によって第1切り替え室17Dが冷えすぎてしまうことを抑制することができる。なお時刻t1と時刻t2との間の第2送風機84の制御量(例えば回転数)は、他のタイミング(例えば、時刻t3と時刻t4との間)と比べて同じでもよい。
【0094】
時刻t2では、第1切り替え室17Dの温度が冷蔵運転モードの設定温度帯の上限値H1に達する。この場合、制御部100aは、例えば、圧縮器75を停止させたまま、第2送風機84の制御量(例えば回転数)を増加させる。これにより、第2冷却器83に液冷媒が供給されない状態で、第1切り替え室17Dの冷却が促進される。なお、制御部100aは、時刻t2において、第2送風機84の制御量(例えば回転数)を増加させることに代えて/加えて、第1ダンパ71の開き量を増加させてもよい。
【0095】
時刻t3では、第2切り替え室17Eの温度が冷凍運転モードの設定温度帯の上限値H2に達する。このため、制御部100aは、時刻t3において、第1ダンパ71を閉じ、第2ダンパ72を開き、圧縮器75および第2送風機84を駆動させる。これにより、第2冷却器83には液冷媒が供給され、第2冷却器83により冷却された冷気が第2送風機84によって送風されて第2冷気吹出口52abから第2切り替え室17Eの内部に流入する。これにより、第2切り替え室17Eの冷却が行われる。
【0096】
時刻t4では、第1切り替え室17Dの温度が冷蔵運転モードの設定温度帯の下限値L1に達し、第1切り替え室17Dに関する冷却が必要なくなる。一方で、時刻t4では、第2切り替え室17Eの冷却中であり、第2ダンパ72が開かれ、圧縮器75および第2送風機84が駆動されている。
【0097】
時刻t5では、第2切り替え室17Eの温度が冷凍運転モードの設定温度帯の下限値L2に達する。時刻t5では、第1切り替え室17Dの温度が冷蔵運転モードの設定温度帯の上限値H1に達しておらず、第1切り替え室17Dに関する冷却が必要ない状態である。このため、制御部100aは、時刻t5において、圧縮器75および第2送風機84の駆動を停止する。また制御部100aは、第2ダンパ72を閉じる。以降の時刻t6から時刻t9については、時刻t2から時刻t5とそれぞれ同じ処理が行われる。
【0098】
以上説明した第2の実施形態では、制御部100aは、第1切り替え室17Dが冷蔵温度帯室として使用される状態で、第1所定条件が満たされた場合、第1切り替え室17Dの温度に関する第2所定条件(例えば、第1切り替え室17Dの温度が冷蔵運転モードの設定温度帯の上限値H1に達すること)が満たされる前に、第1ダンパ71を開き、第2送風機84を駆動する。これにより、より早いタイミングで第2冷却器83に付着した霜を利用して第1切り替え室17Dの冷却を開始することができる。なお、第2所定条件は、第1切り替え室17Dの温度と第1切り替え室17Dの前回の冷却終了からの経過時間とのうち少なくとも一方が予め設定された基準に達することでもよい。
【0099】
また本実施形態では、第2所定条件が満たされた場合、第2冷却器83に液冷媒が供給されない状態を維持しつつ、第1ダンパ71の開き量と第2送風機84の制御量とのうち少なくとも一方を増加させる。このような構成によれば、第1切り替え室17Dの過度な冷却を抑制することや、乾いた空気が第1切り替え室17Dに流入することを抑制することができる。これにより、第1切り替え室17Dの食材の鮮度保持をより向上させることができる。また第1切り替え室17Dの冷却が必須でない時間帯での第2送風機84などの制御量を小さくすることで、さらなる省エネルギー化を図ることができる。なお本明細書において「制御量を増加させる」とは、停止中(制御量ゼロ)の状態から制御量を増加させる場合も含む。
【0100】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、除霜ヒータ122の制御が加わる点で、第1の実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0101】
図9は、第3の実施形態の冷蔵庫1の機能構成の一部を示すブロック図である。本実施形態では、制御部100aには、冷却器温度センサ121と、除霜ヒータ122とが電気的に接続されている。冷却器温度センサ121は、第2冷却器83に設けられ、第2冷却器83の温度を検出する。除霜ヒータ122は、第2冷却器83に取り付けられる、または第2冷却器83の近傍に設けられ、除霜時に第2冷却器83を加熱する。
【0102】
図10は、第3の実施形態の特別冷却制御のタイムチャートの一例を示す図である。本実施形態では、制御部100aは、第1所定条件が満たされ、且つ、第2所定条件が満たされた場合、第1ダンパ71を開いて第2送風機84を駆動する第1制御を行う。本実施形態では、第1制御では、除霜ヒータ122は通電されない。そして、制御部100aは、第1制御の後(例えば時刻t2’)から、第1ダンパ71を開いて第2送風機84を駆動しつつ、除霜ヒータ122を通電させる第2制御を行う。このような構成によれば、除霜ヒータ122が通電される前の冷たい第2冷却器83を利用して、第1切り替え室17Dを効率的に冷却することができる。なお、第1制御では、第1通電量で除霜ヒータ122が加熱され、第2制御では、第1通電量よりも大きな第2通電量で除霜ヒータ122が加熱されてもよい。
【0103】
本実施形態では、制御部100aは、例えば時刻t2’(または時刻t2)において、冷却器温度センサ121により検出された第2冷却器83の温度が冷蔵運転モードの設定温度帯の設定温度帯)の下限値L1よりも高い場合、除霜ヒータ122の加熱は行わない。このような構成によれば、第1切り替え室17Dの温度が過度に上昇することを避けることができる。この制御は、
図11で示される例にも適用可能である。
【0104】
図11は、第3の実施形態の特別冷却制御のタイムチャートの別の一例を示す図である。
図11は、第2実施形態と同様に、時刻t1から第1ダンパ71が開かれる例である。
図11に示す例に関して、以下に説明する以外の構成は、第2の実施形態と同様である。
【0105】
図11に示す例では、制御部100aは、第1所定条件が満たされた場合、第2所定条件が満たされる前に、第1ダンパ71を開いて第2送風機84を駆動する第1制御を行う。本例では、第1制御では、除霜ヒータ122は通電されない。そして、制御部100aは、第1制御の後(例えば時刻t1’)から、第1ダンパ71を開いて第2送風機84を駆動しつつ、除霜ヒータ122を通電させる第2制御を行う。このような構成によれば、除霜ヒータ122が通電される前の冷たい第2冷却器83を利用して、第1切り替え室17Dを効率的に冷却することができる。なお、第1制御では、第1通電量で除霜ヒータ122が加熱され、第2制御では、第1通電量よりも大きな第2通電量で除霜ヒータ122が加熱されてもよい。また、第1制御から第2制御に切り替えられるタイミングは、時刻t1’に限定されず、時刻t2と時刻t3との間の時刻でもよい。
【0106】
以下、第1から第3の実施形態に関して、いくつかの変形例について説明する。
(第1変形例)
まず、第1変形例について説明する。第1変形例では、第1切り替え室17Dは、少なくとも、「中冷蔵設定」(いわゆる冷蔵室)と、「弱冷蔵設定」(いわゆる野菜室)とで切り替え可能である。「中冷蔵設定」は、「第1冷蔵温度帯」の一例である。「弱冷蔵設定」は、「第2冷蔵温度帯」の一例であり、第1冷蔵温度帯よりも高い温度帯である。
【0107】
第1変形例では、制御部100aは、第1切り替え室17Dが「弱冷蔵設定」に設定された場合、第1から第3の実施形態のいずれか1つの特別冷却制御で第1切り替え室17Dを冷却する。一方で、制御部100aは、第1切り替え室17Dが「中冷蔵設定」(または「強冷蔵設定」)に設定された場合、第1の実施形態の通常冷却制御で第1切り替え室17Dを冷却する。
【0108】
言い換えると、制御部100aは、第1切り替え室17Dが「弱冷蔵設定」に設定された状態で、第1所定条件が満たされた場合、第1開き量で第1時間に亘り第1ダンパ71を開く。一方で、制御部100aは、第1切り替え室17Dが「中冷蔵設定」(または「強冷蔵設定」)に設定された状態で、第1所定条件が満たされた場合、第1ダンパ71を開かない。このような構成によれば、第1切り替え室17Dが冷蔵室として使用される場合は、通常冷却制御により冷却が行われ、第1切り替え室17Dが野菜室として使用され、より湿潤な冷気が必要となる場合は、特別冷却制御により冷却を行うことができる。
【0109】
なお、制御部100aは、第1切り替え室17Dが「中冷蔵設定」(または「強冷蔵設定」)に設定された状態で、第1所定条件が満たされた場合、第1ダンパ71を開かないことに代えて、上記第1開き量よりも小さな第2開き量で第1ダンパ71を開くことと、上記第1時間よりも短い第2時間に亘り第1ダンパ71を開くこととのうち少なくとも一方を行ってもよい。
【0110】
(第2変形例)
第2変形例では、第1切り替え室17Dは、少なくとも、「中冷蔵設定」(いわゆる冷蔵室)と、「弱冷蔵設定」(いわゆる野菜室)とで切り替え可能である。制御部100aは、第1切り替え室17Dが「弱冷蔵設定」に設定された場合、第2の実施形態の特別冷却制御で第1切り替え室17Dを冷却する。一方で、制御部100aは、第1切り替え室17Dが「中冷蔵設定」(または「強冷蔵設定」)に設定された場合、第1または第3の実施形態の通常冷却制御で第1切り替え室17Dを冷却する。
【0111】
言い換えると、制御部100aは、第1切り替え室17Dが「中冷蔵設定」(または「強冷蔵設定」)に設定された状態で、第1所定条件が満たされ、且つ、第1切り替え室17Dの温度と第1切り替え室17Dの前回の冷却終了からの経過時間とのうち少なくとも一方に関する第2所定条件が満たされた場合に、第1ダンパ71を開く。一方で、制御部100aは、第1切り替え室17Dが「弱冷蔵設定」に設定された状態で、第1所定条件が満たされた場合、第2所定条件が満たされることを待たずに、第1ダンパ71を開く。
【0112】
ここで、第1切り替え室17Dが「弱冷蔵設定」に設定された場合、設定温度帯の上限値が高いため、第1切り替え室17Dが「中冷蔵設定」に設定された場合と比べて、第2所定条件が満たされる頻度が減少する。このため、第2変形例では、第1切り替え室17Dが「弱冷蔵設定」に設定された場合、第2所定条件が満たされるか否に関わらず、第1ダンパ71が開かれる。これにより、より適切な冷却制御を行うことができる場合がある。
【0113】
以上、いくつかの実施形態について説明したが、実施形態は、上記例に限定されない。例えば、第2冷却器83は、冷蔵庫1を正面から見た場合、第1切り替え室17Dおよび第2切り替え室17Eの両方と重ならない位置に配置されてもよい。また、制御部100aにより用いられる第1切り替え室17Dの温度は、第1切り替え室温度センサ114により検出された温度に限定されず、別の場所に設けられたセンサの検出結果に基づいて推定された第1切り替え室17Dの温度でもよい。これは第2切り替え室17Eの温度についても同様である。
【0114】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、冷蔵庫は、第1切り替え室が冷蔵温度帯室として使用される状態で、第1所定条件が満たされた場合、第1ダンパを開く制御部を有することで、より適切な冷却制御を行うことができる。
【0115】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0116】
1…冷蔵庫、10…筐体、60…冷却ユニット、17A…冷蔵室、17B…製氷室、17C…小冷凍室、17D…第1切り替え室、17E…第2切り替え室、18A…第1冷却室、18B…第2冷却室、71…第1ダンパ、72…第2ダンパ、81…第1冷却器、82…第1送風機、83…第2冷却器、84…第2送風機、100a…制御部、122…除霜ヒータ。