(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】画像読取装置、画像読取装置の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/193 20060101AFI20240422BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20240422BHJP
H04N 1/409 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
H04N1/193
G06T1/00 460M
H04N1/409
(21)【出願番号】P 2020008775
(22)【出願日】2020-01-22
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】村石 雅明
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-204805(JP,A)
【文献】特開2010-148068(JP,A)
【文献】特開2005-332154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00-1/207
H04N 1/40-1/409
H04N 1/46-1/62
G06T 1/00
G06T 1/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
千鳥状に配置された第1の色の受光素子、第2の色の受光素子、及び第3の色の受光素子によって原稿の画像を読み取り、複数の色の画素データを生成する読取手段と、
前記画像に存在しない異常画素を色毎に検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された異常画素が
前記画像のエッジ部の画素であるか否かを判定する判定手段と、
前記検出手段によって検出された異常画素が
前記画像のエッジ部の画素でないと前記判定手段によって判定された場合、前記読取手段によって生成された画素データのうち前記検出手段によって異常画素が検出されていない色の画素データに対して補正を行わずに前記検出手段によって異常画素が検出された色の画素データに対して補正を行い、前記検出手段によって検出された異常画素が
前記画像のエッジ部の画素であると前記判定手段によって判定された場合、前記読取手段によって生成された画素データのうち前記検出手段によって異常画素が検出された位置の全ての色の画素データに対して補正を行う補正手段とを有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記補正手段は、前記検出手段によって異常画素が検出された色の画素データを、当該画素データの近傍の画素の画素データに基づいて補正することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記検出手段によって検出された異常画素が
前記画像のエッジ部の画素であるか否かを、前記異常画素の近傍の複数の画素の画素値の差分に基づいて判定することを特徴とする請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記異常画素の近傍の複数の画素の画素値の差分が所定の値より大きい場合に、前記検出手段によって検出された異常画素が
前記画像のエッジ部の画素であると判定し、前記異常画素の近傍の複数の画素の画素値の差分が所定の値以下である場合に、前記検出手段によって検出された異常画素が
前記画像のエッジ部の画素でないと判定することを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記第1の
色の受光素子はRセンサであり、前記第2の
色の受光素子はGセンサであり、前記第3の
色の受光素子はBセンサであることを特徴とする請求項
1乃至4のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記読取手段によって生成された画像データに基づいて印刷を実行する印刷手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記読取手段によって生成された画像データを送信する送信手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項8】
千鳥状に配置された第1の色の受光素子、第2の色の受光素子、及び第3の色の受光素子によって原稿の画像を読み取り、複数の色の画素データを生成する読取工程と、
前記画像に存在しない異常画素を色毎に検出する検出工程と、
前記検出工程で検出された異常画素が
前記画像のエッジ部の画素であるか否かを判定する判定工程と、
前記検出工程で検出された異常画素が
前記画像のエッジ部の画素でないと前記判定工程で判定された場合、前記読取工程で生成された画素データのうち前記検出工程で異常画素が検出されていない色の画素データに対して補正を行わずに前記検出工程で異常画素が検出された色の画素データに対して補正を行い、前記検出工程で検出された異常画素が
前記画像のエッジ部の画素であると前記判定工程で判定された場合、前記読取工程で生成された画素データのうち前記検出工程で異常画素が検出された位置の全ての色の画素データに対して補正を行う補正工程とを有することを特徴とする画像読取装置の制御方法。
【請求項9】
前記補正工程では、前記検出工程で異常画素が検出された色の画素データを、当該画素データの近傍の画素の画素データに基づいて補正することを特徴とする請求項
8に記載の画像読取装置の制御方法。
【請求項10】
前記判定工程では、前記検出工程で検出された異常画素が
前記画像のエッジ部の画素であるか否かが、前記異常画素の近傍の複数の画素の画素値の差分に基づいて判定されることを特徴とする請求項
8または
9に記載の画像読取装置の制御方法。
【請求項11】
前記異常画素の近傍の複数の画素の画素値の差分が所定の値より大きい場合に、前記検出工程で検出された異常画素が
前記画像のエッジ部の画素であると判定し、前記異常画素の近傍の複数の画素の画素値の差分が所定の値以下である場合に、前記検出工程で検出された異常画素が
前記画像のエッジ部の画素でないと判定することを特徴とする請求項
10に記載の画像読取装置の制御方法。
【請求項12】
前記第1の
色の受光素子はRセンサであり、前記第2の
色の受光素子はGセンサであり、前記第3の
色の受光素子はBセンサであることを特徴とする請求項
8乃至11のいずれか1項に記載の画像読取装置の制御方法。
【請求項13】
前記読取
工程で生成された画像データに基づいて印刷を実行する印刷手段をさらに有することを特徴とする請求項
8乃至
12のいずれか1項に記載の画像読取装置の制御方法。
【請求項14】
前記読取工程で生成された画像データを送信する送信工程をさらに有することを特徴とする請求項
8乃至
13のいずれか1項に記載の画像読取装置の制御方法。
【請求項15】
請求項
8乃至
14のいずれか1項に記載の画像読取装置の制御方法を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、画像読取装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やマルチファンクションプリンタは原稿から画像を読み取るための画像読取装置を備える。画像読取装置による読み取り方式は、原稿台上に原稿を載置し読取ユニットを移動させながら読み取る圧板読み取り方式と、自動原稿搬送機構(ADF:Auto Document Feeder)により原稿を搬送しながら読み取る流し読み方式が知られている。
【0003】
ADFを用いた流し読み方式の場合、画像を読み取る位置が変わらないため、読取位置上に原稿搬送によって運ばれた紙粉や塵、埃などのゴミが付着した際に、読取画像上にスジ状の異常画素が発生する。
【0004】
このような課題に対して、特許文献1では、読取位置にゴミが付着した際に、これらを自動的に検出し、画像処理による補正を行う技術が記載されている。
【0005】
この特許文献1では、異常画素の検出を行い、異常画素に隣接する画素の画素値から線形補間によって異常画素の補正を行っている。この際、異常画素の画素幅が所定サイズ以上の場合には、異常画素位置の全ての色に対し隣接画素からの補正処理を適用し、補正処理による色づきを低減している。また、異常画素の画素幅が所定サイズ未満の場合には、ゴミが検知された色毎に隣接画素からの補正処理を適用することで、補正痕が目立たないように補正処理を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の方法では所定サイズ未満の異常画素に対して、ゴミが検知された色毎に、異常画素に隣接する画素から補正処理を行っている。黒色のエッジ部に対し、例えばRed信号のみ線形補間による補正処理を行った場合、エッジ部でRed信号のみ信号値が変化するため、Red、Green、Blueの信号値差分が大きくなり、エッジ部が色づく。この偽色の発生により画像品位の劣化や自動カラー選択(ACS:Auto Color Select)の誤判定(モノクロ原稿をカラー原稿と判定する)が発生する。
【0008】
そこで、本発明は、千鳥状に配置された第1の色の受光素子、第2の色の受光素子、及び第3の色の受光素子によって読み取った画像のエッジ部にゴミ付着による異常画素が発生した場合であっても、不要な色づきの発生を抑制しつつ、補正痕を目立たせずに補正する仕組みを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
千鳥状に配置された第1の色の受光素子、第2の色の受光素子、及び第3の色の受光素子によって原稿の画像を読み取り、複数の色の画素データを生成する読取手段と、
前記画像に存在しない異常画素を色毎に検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された異常画素が前記画像のエッジ部の画素であるか否かを判定する判定手段と、
前記検出手段によって検出された異常画素が前記画像のエッジ部の画素でないと前記判定手段によって判定された場合、前記読取手段によって生成された画素データのうち前記検出手段によって異常画素が検出されていない色の画素データに対して補正を行わずに前記検出手段によって異常画素が検出された色の画素データに対して補正を行い、前記検出手段によって検出された異常画素が前記画像のエッジ部の画素であると前記判定手段によって判定された場合、前記読取手段によって生成された画素データのうち前記検出手段によって異常画素が検出された位置の全ての色の画素データに対して補正を行う補正手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、千鳥状に配置された第1の色の受光素子、第2の色の受光素子、及び第3の色の受光素子によって読み取った画像のエッジ部にゴミ付着による異常画素が発生した場合であっても、不要な色づきの発生を抑制しつつ、補正痕を目立たせずに補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態における自動原稿給紙装置および画像読取装置である。
【
図2】本実施形態におけるラインセンサの構成図である。
【
図4】本実施形態における異常画素検出部の構成図である。
【
図5】本実施形態における異常画素補正部の構成図である。
【
図6】本実施形態における異常画素検出処理の処理フローを示すフローチャートである。
【
図7】本実施形態における異常画素補正部の処理フローを示すフローチャートである。
【
図10】本実施形態における補正処理の一例である。
【
図11】本実施形態における差分検出処理の一例である。
【
図12】本実施形態における信号値差分を用いた場合の異常画素フラグ生成の一例である。
【
図13】本実施形態における信号値差分を用いた場合の補正処理の一例である。
【
図14】本実施形態における差分検出部における参照画素位置の一例である。
【
図15】実施例2における異常画素補正部の処理フローを示すフローチャートである。
【
図16】実施例2における異常画素フラグ生成の一例である。
【
図18】実施例2における判定処理部におけるマッチングパターンの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。尚、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0013】
(実施例1)
図1は本実施例を適用するのに好適な画像読取装置の一例を示す図である。
【0014】
画像読取装置は自動原稿給紙装置100を搭載しており、画像読取の対象物である原稿102を搬送しながら表面読取部121および裏面読取部122により原稿102の両面の画像を読み取ることができる。
【0015】
給紙ローラ103は、分離搬送ローラ104と同一駆動源(例えばモータ)に接続され、その回転につれて回転し、原稿を給紙する。給紙ローラ103は、通常時はホームポジションである
図1上方の位置に退避しており、原稿のセット作業を妨げないようになっている。給紙動作が開始されると、給紙ローラ103は下降して原稿102の上面に当接する。給紙ローラ103は、図示しないアームに軸支されており、アームが揺動することにより上下に移動する。
【0016】
分離搬送ローラ104の対向側には分離搬送従動ローラ105が分離搬送ローラ104側に押圧された状態で配置されている。分離搬送従動ローラ105は、分離搬送ローラ104より僅かに摩擦が少ないゴム材等から形成されており、分離搬送ローラ104と協働して、給紙ローラ103によって給紙される原稿トレイ101上の原稿102を1枚ずつ捌いて給紙する。
【0017】
更に、自動原稿給送装置100は、レジストローラ106、レジスト従動ローラ107、リードローラ108及びリード従動ローラ109を有する。レジストローラ106及びレジスト従動ローラ107は、分離部で給紙された原稿の先端を揃えるよう動作する。
【0018】
リードローラ108及びリード従動ローラ109は、原稿102を流し読みガラス116に向けて搬送する。原稿検知センサ128は、搬送される原稿の先端を検知するセンサである。流し読みガラス116の上方には白色のプラテンローラ110が配置されている。原稿102は、このプラテンローラ110により、第1読み取り部を構成する流し読みガラス116上を通過した後、リード排出ローラ111及びリード排出従動ローラ112へと搬送される。
【0019】
流し読みガラス116におけるリード排出ローラ111側の端部には、リード排出ローラ111への原稿の搬送を円滑なものとするために、原稿をすくい上げるためのジャンプ台117が設けられている。
【0020】
原稿102は、その表面が流し読みガラス116に接するように搬送され、この際、画像読取デバイス115内に配置された表面読取部121が流し読みガラス116を介して原稿の表面(第1面)の画像を読みとる。表面読取部121は、赤い光を検出し、デジタルデータを生成するRセンサと、緑の光を検出し、デジタルデータを生成するGセンサと、青い光を検出し、デジタルデータを生成するBセンサとからなるラインセンサによって構成される。詳細は後述する。
【0021】
リード排出ローラ111及びリード排出従動ローラ112は、流し読みガラス116上を通過した原稿を流し読みガラス120へと搬送する。流し読みガラス120の一方側には白色のプラテンローラ119が設けられており、他方側には裏面読取部122が設けられている。裏面読取部122は表面読取部121と同様、ラインセンサによって構成される。
【0022】
この構成により、流し読みガラス120とプラテンローラ119との間を通過する原稿102の裏面(第2面)の画像が裏面読取部122で読み取られる。その後、原稿102は、排紙ローラ113へと搬送され、排紙トレイ114に排出される。
【0023】
上記構成を有する原稿読取装置では、2つのモードで原稿を読み取ることができる。第1のモードは、原稿台ガラス118上に載置された原稿を、表面読取部121を副走査方向(図中矢印方向)に移動させながら原稿を読み取る原稿固定読取モードである。第2のモードは、表面読取部121を停止させた状態で、自動原稿給紙装置100によって原稿102を搬送させながら、流し読みガラス116位置で原稿を読み取る流し読みモードである。第2モードでは、表面読取部121に加えて裏面読取部122を使用することにより、原稿の表面の画像に加えて裏面の画像を読み取ることができる。なお、
図1は、第2のモードを説明するための図であるため、第1のモードで読み取られる原稿は図示していない。
【0024】
<読取部構成>
図2は表面読取部121におけるラインセンサの受光素子の配列構造を示す説明図である。なお、裏面読取部122も同様の構造であるため説明は省略する。
【0025】
ラインセンサ201は、例えばCCD(Charge-Coupled Device)リニアイメージセンサである。ラインセンサ201は、原稿102に照射した光の反射光を受光する受光素子を複数配列して設けられる。一つの受光素子が一つの画素に対応し、一つの受光素子の幅が1画素幅に対応する。例えば、3画素幅とは、3つの受光素子に対応する幅を示す。なお、原稿102の画像を説明する場合における画素とは、ラインセンサ201の1画素の受光素子で読み取られる画像を、1画素(1画素幅)の画像として説明する。受光素子は、赤い光(第1色:R)を検出する第1受光素子、緑の光(第2色:G)を検出する第2受光素子および青の光(第3色:B)を検出する第3受光素子を含む。R、G、Bの各受光素子は、1画素幅毎に所定方向に周期的に配列される。これにより当該方向においてR→G→Bが繰り返される受光素子列が形成される。ラインセンサ201は、このような受光素子列を複数列配置したものとなる。本明細書では、赤い光を受光する受光素子に対応する画素をR画素(赤に対応する画素データ)と呼ぶ。また、緑の光を受光する受光素子に対応する画素をG画素(緑に対応する画素データ)と呼ぶ。また、青の光を受光する受光素子に対応する画素をB画素(青に対応する画素データ)と呼ぶ。また、受光素子列で形成される第1の方向の列を「ライン」と呼ぶ。一つの受光素子列で一つのラインが形成される。ラインセンサ201は、一つのラインを形成する受光素子列が、それぞれ、第1の方向と直交する第2の方向に所定間隔で複数ライン分配列されている。
【0026】
ラインセンサ201は、第1方向である主走査方向で7500画素、該第1方向に対して直交する第2方向である副走査方向で3列のラインを読み取るように構成されている。ここでは主走査方向に600dpi(dots per inch)の解像度で画像を読み取るものとして説明するが、解像度は一例にすぎない。なお、主走査方向とは、複数の受光素子が1列に並べられる方向であり、原稿の読み取り時の原稿の幅方向(搬送方向と直交する方向)に対応する方向である。副走査方向とは、主走査方向と直交する方向であり、原稿の読み取り時の原稿の搬送方向に対応する方向である。
【0027】
3列のラインの受光素子列は、副走査方向に所定画素幅(所定間隔)ずつ離れ、かつ、R→G→Bの周期の始端画素の色が隣り合う列のものと異なるように配置される。
図2の例では、ライン間隔は1画素である。したがって、ライン1とライン2との間は2画素、ライン1とライン3との間は4画素、それぞれ副走査方向に離れた位置に受光素子列が配列されている。主走査方向では、画素の色がR→G→B→R→G→B→・・・の規則性を有している。副走査方向に見ると、ライン1とライン2では上記規則性を1画素主走査方向にずらした配列となる。ライン1とライン3では上記規則性を主走査方向に2画素分主走査方向にずらした配列となる。そのため、ラインセンサ201には、いわゆる千鳥状に、R、G、Bの各受光素子が配置されたものとなる。つまり、第1受光素子、第2受光素子および第3受光素子は、それぞれ同一色の光を受光する受光素子が隣り合わないように配列されている。原稿を読み取る場合、ラインセンサ201は、上記の画素数だけ離れた位置の信号の検出結果を出力することとなる。
【0028】
ライン1~ライン3の受光素子は、それぞれ当該波長(Rであれば赤い光の波長)の光をピーク透過波長とする透光部材202~204と、透光部材202~204を透過した光の強度に応じたレベルの信号を出力する光半導体素子とを含んで構成される。透光部材202~204は該当色(Rであれば赤い色)を透過させるフィルタであり、光半導体素子は、例えばフォトダイオードである。ピーク透過波長とは、フィルタの透過率が最大となる波長である。ただし、それ自体で該当色を受光できる素子の場合、透光部材202~204は不要である。
【0029】
<制御>
図3は本実施例における自動原稿給紙装置100および画像読取デバイス115を有する画像処理装置の構成を示す構成図である。
【0030】
制御部はCPU(Central Processing Unit)301、A/D変換部304、データソート部305、ラインメモリ306、シェーディング補正部307、異常画素検出部308、異常画素補正部309、色判定部310を備える。制御部には不揮発性メモリ302、操作部303、表面読取部121、裏面読取部122、記憶部311、印刷部312、ネットワークI/F(インタフェース)313が接続される。
【0031】
CPU301は不揮発性メモリ302に格納された制御プログラムを実行することで自動原稿給紙装置100および画像読取デバイス115の動作を制御する。不揮発性メモリ302は、例えば、ROM(Read Only Memory)である。
【0032】
操作部303は原稿102の両面読取モードの設定や読取解像度の設定、読み取った画像を表す画像データの送信先の設定等を行うためのユーザーインターフェースである。操作部303により入力された設定はCPU301に送信され、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶部311に記憶される。
【0033】
A/D変換部304は表面読取部121、裏面読取部122によって読み取られたアナログ電気信号をデジタル信号である画像データに変換する。
【0034】
データソート部305は、原稿を読み取ることによって生成された画像データを同一色の画素が隣り合うように並び替える。
【0035】
ラインメモリ306はA/D変換部304で変換され、データソート部305で並び変えられた画像データを格納するメモリである。
【0036】
シェーディング補正部307はラインメモリ306に格納されたR、G、Bの各色の読取データに対して、光量の不均一性や受光素子ごとの感度差の影響を補正するシェーディング補正処理を行なう。シェーディング補正処理では不図示の白色基準板を読み取ることによって得られたシェーディング係数を用いて補正処理を行なう。
【0037】
異常画素検出部308は異なるラインで同一色の光を受光する受光素子の検出結果に基づいて原稿画像に存在しない異常画素を検知する。本実施例では、データソート部305で並び替えられた画素の状態に基づいて異常画素を検出する。異常画素検出部308の詳細は後述する。
【0038】
異常画素補正部309は異常画素検出部308で検出された異常画素情報と画像データに基づいて異常画素補正処理を行う。異常画素補正部309の詳細は後述する。
【0039】
色判定部310は異常画素補正部309によって生成された画像データがカラー画像かモノクロ画像かの判定処理を行う。ここでは例えば入力されるRGB画像データを(L、a、b)色空間に変換し、閾値処理を行うことによってカラーかモノクロかを判定する。(L、a、b)色空間ではaおよびbが0に近いほどモノクロと知覚されるため、abs(a)またはabs(b)に対し閾値処理を行い、閾値未満の場合にはモノクロと判定されるものとする。ここでabs()は絶対値を表している。
【0040】
異常画素補正部309で異常画素補正処理が実行された画像データと、色判定部310による判定結果は、記憶部311に記憶される。
【0041】
記憶部311に記憶された画像データは、その後、色判定部310による判定結果に基づく画像処理が実行され、印刷部312によって印刷される。または、記憶部311に記憶された画像データは、その後、色判定部310による判定結果に基づく画像処理が実行され、操作部303によって指定された宛先にネットワークI/F313を介して送信される。
【0042】
<異常画素検知部>
図4は、本実施例における異常画素検知部308の構成図である。
【0043】
異常画素検知部308は、原稿検知センサ128、紙間異常画素検知部402、影検知部403、原稿先端異常画素検知部404を含む。
【0044】
紙間異常画素検知部402は原稿102が読取位置上に存在しない状態のときの画像データに基づいて異常画素候補を検知する。つまり、紙間異常画素検知部402は、白色のプラテンローラ110を読み取った紙間領域における読取結果(画像データ)から異常画素候補を検知する。異常画素候補は、所定の輝度値以下の輝度を有する画素(黒に近い画素)である。なお、紙間とは搬送経路上を搬送される原稿と、次に搬送される原稿との原稿間の隙間である。
【0045】
また、紙間異常画素検知部402によって検知される異常画素候補は、プラテンローラ110上に付着したゴミ、または、流し読みガラス116上に付着したゴミ等に起因するものであると考えられる。ゴミは、紙粉、ほこり、その他の異物である。
【0046】
影検知部403は、入力される画像データに基づいて原稿102の先端に生じた影を検知して、原稿102の先端(原稿の先端領域)を検知する。なお、影検知部403は、検知結果を原稿102の先端情報として出力する。
【0047】
原稿先端異常画素検知部404は、影検知部403から出力される原稿102の先端情報に基づいて異常画素候補を検知する。つまり、原稿先端異常画素検知部404は、原稿の先端が読取位置を通過した直後の原稿を読み取った読取結果、つまり当該原稿の先端領域の画像データから異常画素候補を検知する。例えば、一般的に原稿の中央部には文字や図などの画像情報が記載されていることが多い。そのため、原稿の中央部付近を読み取った画像データからゴミ等により生じた異常画素を検知することは難しい。そこで、本実施形態に係る画像読取装置100では、原稿上に画像情報があまり記載されていない原稿の先端領域において異常画素候補を検知する。また、原稿先端異常画素検知部404によって検知される異常画素候補は、流し読みガラス116上に付着したゴミに起因するものであると考えられる。
【0048】
図8は
図2に示すラインセンサに対し、流し読みガラス116上にゴミが付着した場合を示している。ここではラインセンサにおける主走査位置1~9の状態を示している。
【0049】
図8-(a)ではライン2のラインセンサ位置の主走査位置4および主走査位置5にゴミが付着している場合を示している。
図8-(a)の場合、B画素の位置およびR画素の位置にゴミが付着したこととなり、この状態で読み取られた画像データをデータソート部305で色毎のラインデータに並び替えを行った結果が
図8-(b)となる。ラインセンサで読み取った際は2画素幅の異常画素となるが、色毎のラインデータに並び替えを行った場合はそれぞれ1画素幅の異常画素となる。
【0050】
異常画素太さ比較部405は、紙間異常画素検知部402による異常画素候補の検知結果、原稿先端異常画素検知部404による異常画素候補の検知結果に基づいて異常画素位置を決定する。ここで、異常画素太さ比較部405の出力は異常画素位置を「1」、正常画素位置を「0」として出力する。
【0051】
異常画素太さ判定部406は、異常太さ比較部405から出力される異常画素検知結果に対し、色毎に異常画素の幅を検知し、検知した幅が所定の閾値を超えているか判定する。
【0052】
いずれかの色が1色でも閾値を超えている場合、色毎の異常画素検知結果の合成処理を行う。合成処理はいずれかの色で異常画素の検知結果が1の場合、全ての色に「1」を設定する。
【0053】
図8-(c)は
図8-(a)に示すゴミ付着が発生した場合の異常画素検出結果を示している。「1」はゴミ付着がある異常画素を示しており、「0」はゴミが付着していない正常画素を示している。
【0054】
異常画素検出部308で検出された異常画素情報と画像データに基づいて異常画素補正処理を行う。
【0055】
<異常画素の検知処理のフローチャート>
図6は、画像読取装置100が行う異常画素の検知処理の手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、CPU301が不揮発性メモリ302に格納されたプログラムを読み出して実行することによって実現される。
【0056】
S601でCPU301は、原稿検知センサ128からの信号に基づいて、原稿102が原稿検知センサ128の位置に到達したか否かを判定し、到達したと判定した場合、S602に処理を進める。まだ、原稿102が原稿検知センサ128の位置に到達していないと判定された場合、原稿先端が検知されていないと判定し、S601の処理を繰り返し実行する。
【0057】
S602でCPU301は、紙間異常画素検知部402を介して、画像データから異常画素候補の検知(紙間異常画素検知)を開始する。
【0058】
S603でCPU301は、紙間異常画素検知部402による異常画素候補の検知が終了したか否かを判定する。異常画素候補の検知が終了した場合、S604に進む。異常画素候補の検知が終了していない場合、S603の処理を繰り返し実行する。
【0059】
S604でCPU301は、影検知部403による影検知を開始する。
【0060】
S605でCPU301は、画像データから原稿102の先端に生じた影の有無を判定する。影が有ると判定した場合、S606に進む。影が無いと判定した場合、S605の処理を繰り返し実行する。
【0061】
S606でCPU301は、影が検出されたラインから所定ライン経過したか否かを判定する。所定ライン数経過したと判定された場合、S607に進む。所定ライン数経過していないと判定された場合、S606の処理を繰り返し実行する。
【0062】
S607でCPU301は、原稿先端異常画素検知部404を介して、原稿先端異常画素検知を開始する。影検知は主走査位置ごとに検出を行っており、原稿が斜行している場合は影が検出されるタイミングは異なり、原稿先端異常画素検知404の処理が開始されるタイミングは主走査位置ごとに異なる。
【0063】
S608でCPU301は、原稿先端異常画素検知404による原稿先端異常画素の検知が終了したか否かを判定する。原稿先端異常画素の検知が終了した場合、S609に進む。原稿先端異常画素の検知が終了していない場合、S608の処理を繰り返し実行する。
【0064】
S609でCPU301は、異常画素太さ比較部405を介して、紙間異常画素検知部402の出力結果と原稿先端異常画素検出部404の出力結果から、異常画素太さ比較を開始する。
【0065】
S610でCPU301は、異常画素太さ比較部405による異常画素太さ比較が終了したか否かを判定する。比較が終了した場合、S611に進む。比較が終了していない場合、S610の処理を繰り返し実行する。
【0066】
S611でCPU301は、異常画素太さ判定部406を介して、異常画素太さ比較部405の出力結果に対し、色毎に異常画素太さ判定を開始する。
【0067】
S612でCPU301は、異常画素太さ判定部406による異常画素太さ判定が終了したか否かを判定する。判定が終了した場合、S613に進む。比較が終了していない場合、S612の処理を繰り返し実行する。
【0068】
S613でCPU301は、異常画素検知結果を確定し、処理を終了する。
【0069】
次に、異常画素補正処理の説明を行う。
【0070】
図9は
図8-(a)に示すゴミが付着した状態で原稿102を読み取り、主走査位置1~9が全て黒色の原稿を読み取った場合の補間処理の一例を示している。この場合、主走査位置4のB画素、主走査位置5のR画素に異常画素フラグが生成されているため、
図9-(a)に示すように、その主走査位置の読取信号値の正常値が不定となる。不定とは、
図9-(a)の読取信号値がプロットされていない画素を示している。読取信号値が不定となる画素に対し、異常画素検知結果を基に近傍画素からの線形補間処理を行う。
【0071】
線形補間処理によって画素値を算出した結果を
図9-(b)に示しており、近傍画素の輝度値が0であるため、補間処理によって算出された画素値も0となっている。
【0072】
一方で、
図10は
図8-(a)に示すゴミが付着した状態で原稿102を読み取り、主走査位置4、5付近を境に画素値が白から黒へ変化している原稿を読み取った場合の補間処理の一例を示している。ここでは白から黒へ変化する境界付近をエッジ部と呼ぶ。この場合、主走査位置4のB、主走査位置5のRに異常画素フラグが生成されているため、
図10-(a)に示すように、その主走査位置の色の読取信号値の正常値が不定となる。このため、異常画素検知結果を基に近傍画素からの線形補間処理を行う。線形補間処理によって画素値を算出した結果を
図10-(b)に示す。この場合、主走査位置4ではB画素が異常画素と検知されているため、主走査位置3および主走査位置5のB画素から線形補間を行う。
【0073】
この場合、主走査位置3のB画素は255、主走査位置5のB画素は64であるため、線形補間処理を行うとB画素の補間処理結果は(255×1+64×1)/2=160となる。
【0074】
また、主走査位置5ではR画素が異常画素として検知されているため、主走査位置4および主走査位置6のR画素から線形補間を行う。
【0075】
この場合、主走査位置4のR画素は192、主走査位置6のR画素は0であるため、線形補間処理を行うとR画素の補間処理結果は(192×1+0×1)/2=96となる。
【0076】
補間処理の結果、主走査位置4のR,G,B画素の画素値は(192、192、160)となり、R,G,Bの画素値に信号値差による色づきが発生する。
【0077】
また、主走査位置5のR,G,B画素の画素値は(96、64、64)となり、主走査位置5でもR,G,Bの画素値に信号値差による色づきが発生する。
【0078】
この補間処理による色づきの発生により、原稿102がモノクロ原稿であるにもかかわらず、色判定部310で原稿がカラー原稿であると誤判定してしまう場合がある。
【0079】
本実施例では、黒色のエッジ部にゴミ付着による異常画素が発生した場合であっても、不要な色づきの発生を抑制する異常画素補正処理を行う。
【0080】
<異常画素補正部>
図5は、本実施例における異常画素補正部309の構成図である。
【0081】
差分検出部501は、入力される画像データの色毎に、注目画素位置の周辺画素で信号値差分があるか否かを検出する。
図14は差分検出部501で信号値差分があるか否かを検出するための参照画素位置の一例を示している。差分検出部501では、周辺画素を参照する際に所定サイズのウィンドウを設定する。本実施例では7×1サイズのウィンドウを設定して説明するが、これに限ったものではない。
図14における参照画素位置(1)は注目画素の両隣に設定される。ここでは注目画素位置の左側の画素Lと注目画素位置の右側の画素Rの信号値差分を算出する。具体的にはdiff=abs(画素L-画素R)を算出し、差分値diffが閾値を超えている場合は注目画素位置が信号値差分ありと判定する。差分値diffが閾値以下の場合は信号値差分なしと判定する。参照画素位置(2)および参照画素位置(3)はそれぞれ異なる画素位置を参照し、信号値差分の有無を判定する。本実施例では参照画素位置(1)、(2)、(3)の3つパターンで参照画素位置を設定しているがこれに限ったものではない。差分検出部501は設定された参照画素位置のパターン毎に信号値差分の有無を出力する。
【0082】
判定処理部502は差分検出部501で生成された差分検出結果と異常画素検知部308で生成された異常画素検知結果を基に、色毎に信号値差分フラグを生成する。
【0083】
図18は、異常画素検知部308で生成された各色の異常画素検知結果に対し、7×1サイズのウィンドウサイズでパターンマッチングを行うためのパターンを示している。
【0084】
ここで、異常画素検知結果が
図18のNo.1のパターンと一致する場合、差分検出部501で生成される
図14の参照画素位置(1)での信号値差分フラグを出力する。
【0085】
異常画素検知結果が
図18のNo.2のパターンと一致する場合、差分検出部501で生成される
図14の参照画素位置(2)での信号値差分フラグを出力する。
【0086】
異常画素検知結果が
図18のNo.3のパターンと一致する場合、差分検出部501で生成される
図14の参照画素位置(3)での信号値差分フラグを出力する。
【0087】
色間合成部503は判定処理部502で生成された色毎の信号値差分フラグを合成する。
【0088】
ここでは信号値差分フラグをdiff_R、diff_G、diff_Bとした場合、全ての色信号値差分フラグのOR処理を行う。
diff_R=OR(diff_R、diff_G、diff_B)
diff_G=OR(diff_R、diff_G、diff_B)
diff_B=OR(diff_R、diff_G、diff_B)
【0089】
これは1色でも信号値差分があると判定された場合、注目画素位置の全ての色に対し補間処理を行うためである。
【0090】
<異常画素補正フローチャート>
図7は、画像処理装置が行う異常画素補正の処理手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、CPU301が、不揮発性メモリ302に格納されたプログラムを読み出して実行することによって実現される。
【0091】
S701でCPU301は、差分検出部501を介して、画像データから各色の信号値差分の有無を検出する。
【0092】
図11は
図10に示す読取画像のB画素に対して
図14で示した参照画素位置(1)~(3)のパターンで差分検出を行った場合を示している。
【0093】
参照画素位置(1)のパターンの場合、差分値はabs(255-64)=191となる。
【0094】
参照画素位置(2)のパターンの場合、差分値はabs(255-0)=255となる。
【0095】
参照画素位置(3)のパターンの場合、差分値はabs(255-64)=191となる。
【0096】
ここで信号値差分ありと判定するための閾値は例えば64を設定すればよく、異常画素補正処理による色づきで、色判定部310でカラーと判定されてしまうレベルの信号値差が検出可能な閾値を設定すればよい。
図11では全てのパターンで差分値が64より大きいため、信号値差分あり(=1)と判定される。
【0097】
S702でCPU301は、判定処理部502を介して、異常画素検知部308から出力される異常画素検知結果を基に、注目画素位置が異常画素位置か否かを判定する。異常画素位置と判定された場合、S703に進む。異常画素位置ではないと判定された場合、補正処理を行わないため処理を終了する。
【0098】
S703でCPU301は、判定処理部502を介して、差分検出部501において信号値差分が検出されたか否かを判定する。言い換えると、注目画素位置が画像のエッジ部であるか否かを判定する。信号値差分あり(注目画素位置が画像のエッジ部である)と判定された場合、S704に進む。信号値差分なし(注目画素位置が画像のエッジ部ではない)と判定された場合、S706に進む。
【0099】
S704でCPU301は、色間合成部503を介して、注目画素位置の全ての色に差分フラグを設定する。ここでは注目画素位置において、異常画素位置かつ信号値差分ありと判定された色が1色でもあった場合、注目画素位置の全ての色(R、G、Bの全ての色)に差分フラグを設定する。
【0100】
S705でCPU301は、補間処理部504を介して、異常画素検出部308の出力結果と注目画素位置の差分フラグを合成し、最終異常画素フラグを生成する。
【0101】
S706でCPU301は、S706で生成された最終異常画素フラグを基に、補間処理を行う。
【0102】
S703で、信号値差分なし(注目画素位置が画像のエッジ部ではない)と判定された場合、S704及びS705をスキップするので、注目画素位置の全ての色に差分フラグを設定しない。それによって、
図8で示したように、注目画素位置の複数の色のうち、ゴミによって信号値が不定となった色の画素のみ異常画素フラグが立ち、それ以外の色の画素については異常画素フラグを立てない。それによって、S706では、注目画素位置の複数の色のうち、ゴミによって信号値が不定となった色の画素のみを補間処理によって補正し、それ以外の色の画素については補間処理が実行されない。
【0103】
図12は
図10に示す読取画像に対し、判定処理部502、色間合成部503で生成される差分フラグ、および、補間処理部504で生成する異常画素フラグを示している。
【0104】
図12-(a)は主走査画素位置4を注目画素位置とした場合であり、
図12-(b)は主走査画素位置5を注目画素位置とした場合を示している。
【0105】
図12-(a)では、判定処理部502の出力結果はB画素が異常画素位置かつ信号値差分ありを示す「1」が出力されている。
【0106】
色間合成部503では全ての色のOR処理を行うため、注目画素位置の全ての色で「1」が出力される。
【0107】
補間処理部504で異常画素検出部308の出力結果と注目画素位置の差分フラグが合成され、最終異常画素フラグが生成される。
【0108】
図13は最終異常画素フラグに基づいて補間処理部504で補間処理を行った場合の補正後信号値を示している。
図13-(a)は主走査画素値4が注目画素位置の場合の補間処理を示しており、R画素は主走査画素位置3と主走査画素位置6から補間処理を行う。
【0109】
この場合、主走査位置3のR画素は255、主走査位置6のR画素は0であるため、線形補間処理を行うとR画素の補間処理結果は(255×2+0×1)/3=170となる。
【0110】
G画素は主走査画素位置3と主走査画素位置5から補間処理を行う。
【0111】
この場合、主走査位置3のG画素は255、主走査位置5のG画素は64であるため、線形補間処理を行うとR画素の補間処理結果は(255×1+64×1)/2=160となる。
【0112】
B画素は主走査画素位置3と主走査画素位置5から補間処理を行う。
【0113】
この場合、主走査位置3のB画素は255、主走査位置5のB画素は64であるため、線形補間処理を行うとR画素の補間処理結果は(255×1+64×1)/2=160となる。
【0114】
図13-(b)は主走査画素値5が注目画素位置の場合の補間処理を示しており、R画素は主走査画素位置4と主走査画素位置6から補間処理を行う。
【0115】
この場合、主走査位置4のR画素は192、主走査位置6のR画素は0であるため、線形補間処理を行うとR画素の補間処理結果は(192×1+0×1)/2=96となる。
【0116】
G画素は主走査画素位置4と主走査画素位置6から補間処理を行う。
【0117】
この場合、主走査位置5のG画素は255、主走査位置6のG画素は64であるため、線形補間処理を行うとR画素の補間処理結果は(192×1+0×1)/2=96となる。
【0118】
B画素は主走査画素位置3と主走査画素位置6から補間処理を行う。
【0119】
この場合、主走査位置3のB画素は255、主走査位置6のB画素は0であるため、線形補間処理を行うとR画素の補間処理結果は(255×1+0×2)/3=85となる。
【0120】
補間処理の結果、主走査位置4のR、G、B画素の画素値は(170、160、160)となり、信号値差分の判定によって全ての色の補間処理をしない場合の画素値(192、192、160)に対し、R、G、Bの信号値差が小さくなる。これにより色づきを抑制することができる。
【0121】
また、主走査位置5のR、G、B画素の画素値は(96、96、85)となり、信号値差分の判定によって全ての色の補間処理をしない場合の画素値(96、64、64)に対し、R、G、Bの信号値差が小さくなる。これにより色づきを抑制することができる。
【0122】
以上のように、本実施例によれば、黒色のエッジ部にゴミ付着による異常画素が発生した場合であっても、不要な色づきの発生を抑制しつつ、補正痕を目立たせずに補正することが可能な画像読取装置を提供することが可能となる。
【0123】
(実施例2)
実施例1では注目画素位置が異常画素位置かつ近傍画素間に信号値差がある場合に、注目画素位置の全ての色に対して補正処理を行う方法について説明した。
【0124】
実施例1の方法では注目画素位置が異常画素位置かつ近傍画素間に信号値差があるか否かに従って補正処理を行っているため、補正処理で参照する近傍画素位置が色毎に異なる。
【0125】
本実施例では、注目画素位置が異常画素位置かつ近傍画素間に信号値差がある場合に、補正処理で参照する近傍画素位置を揃え、補正処理による色づきを抑制する方法について説明する。
【0126】
図15は、本実施例における画像読取装置100が行う異常画素補正の処理手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートを実行するプログラムは不揮発性メモリ302に格納され、CPU301によって実行されるものとする。
【0127】
S1501~S1505は
図7に示すS701~S705と同様であるため説明は省略する。
【0128】
S1506でCPU301は、S1505において生成された異常画素フラグ生成結果に対し、全ての色で合成処理を行う。
【0129】
図16-(a)は、主走査位置4を注目画素位置とした場合に、S1505で生成された異常画素フラグ生成結果に対し、全ての色で色間合成処理を行った結果を示している。色間合成処理の結果、主走査位置4、主走査位置5が全て「1」となる異常画素フラグが生成される。
【0130】
S1507でCPU301は、S1506で生成された異常画素フラグを用いて補間処理を行う。
【0131】
図17は最終異常画素フラグに基づいて補間処理部504で補間処理を行った場合の補正後信号値を示している。
図17-(a)は主走査画素値4が注目画素位置の場合の補間処理を示しており、R画素、G画素、B画素は全て主走査位置3と主走査画素位置6の画素から補間処理を行う。
【0132】
この場合、主走査位置3のR画素は255、主走査位置6のR画素は0であるため、線形補間処理を行うとR画素の補間処理結果は(255×2+0×1)/3=170となる。
【0133】
G画素、B画素も同様であり、補間処理結果は170となる。
【0134】
図17-(b)は主走査画素値5が注目画素位置の場合の補間処理を示しており、R画素、G画素、B画素は全て主走査画素位置3と主走査画素位置6から補間処理を行う。
【0135】
この場合、主走査位置3のR画素は255、主走査位置6のR画素は0であるため、線形補間処理を行うとR画素の補間処理結果は(255×1+0×2)/3=85となる。
【0136】
補間処理の結果、主走査位置4のR,G,B画素の画素値は(170、170、170)、主走査位置5のR、G、B画素の画素値は(85、85、85)となる。これにより補間処理によるR、G、Bの信号値差が0となり、色づきを抑制することができる。
【0137】
以上のように、本実施例によれば、黒色のエッジ部にゴミ付着による異常画素が発生した場合であっても、不要な色づきの発生を抑制しつつ、補正痕を目立たせずに補正することが可能な仕組みを提供することが可能となる。
【0138】
(その他の実施例)
上述した実施例では、表面読取部121と裏面読取部122が、それぞれCCDで構成されている例を説明した。しかしながら、本発明はこれに限られるものではなく、表面読取部121と裏面読取部122のいずれか一方がCIS(Contact Image Sensor)で構成されていてもよい。また、表面読取部121と裏面読取部122の両方がCISで構成されていてもよい。
【0139】
また、上述した実施例では、判定処理部502を介して、差分検出部501において信号値差分が検出されたか否かによって、注目画素位置が画像のエッジ部であるか否かを判定する例を説明した。しかしながら、本発明はこれに限られるものではなく、例えばエッジ検出フィルターを用いるような他の方法を用いて、注目画素位置が画像のエッジ部であるか否かを判定してもよい。
【0140】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0141】
121 表面読取部
122 裏面読取部
301 CPU
302 不揮発性メモリ