特許 7475889 画像形成装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-04-19

(45)【発行日】2024-04-30

(54)【発明の名称】画像形成装置

(51)【国際特許分類】

   G03G 21/16 20060101AFI20240422BHJP

   G03G 15/08 20060101ALI20240422BHJP

【ＦＩ】

G03G21/16 176

G03G15/08 343

【請求項の数】 12

(21)【出願番号】P 2020026328

(22)【出願日】2020-02-19

(65)【公開番号】P2021131451

(43)【公開日】2021-09-09

【審査請求日】2023-01-17

(73)【特許権者】

【識別番号】000001007

【氏名又は名称】キヤノン株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110003133

【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】片山 弘雅

【審査官】早川 貴之

(56)【参考文献】

【文献】特開２０１９－０４０１８９（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開平０６－２５８８８４（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１８－０４４６４２（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開平０３－０２０１５３（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１２－０４１８８１（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開平１１－０２４４３４（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｆ１６Ｈ ５１／００－５５／３０

Ｇ０３Ｇ １３／００

１３／０８

１３／０９５

１５／００

１５／０８

１５／０９５

２１／１６－２１／１８

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

現像剤を収容する回転可能な収容容器と、
前記収容容器の外周面に設けられ、回転駆動力を受ける複数のギア歯を有する駆動受けギアと、
前記駆動受けギアに回転駆動力を伝達する駆動入力ギアと、
前記駆動入力ギアを駆動する駆動源と、
前記収容容器の回転軸線に沿って挿入された前記収容容器を、前記収容容器が所定の装着位置にあるときに前記駆動入力ギアによる回転を可能に受け入れる受け入れ装置と、を備え、
前記駆動入力ギアは、前記収容容器が前記装着位置にあるときに前記ギア歯と噛み合って回転駆動力を伝達する複数の駆動伝達歯と、前記収容容器が挿入される挿入方向において前記駆動伝達歯の上流側に設けられ、前記収容容器の前記受け入れ装置への挿入動作中に前記ギア歯に当接し、前記駆動受けギアと当該駆動入力ギアとを相対回転させて、前記ギア歯と前記駆動伝達歯との位相を合わせる複数の位相合わせ歯とを有し、
前記複数のギア歯は、前記収容容器が前記装着位置にあるときに、前記挿入方向に交差する方向から見て、前記挿入方向の下流側先端が前記複数の駆動伝達歯と重なり合っていない、
ことを特徴とする画像形成装置。

【請求項2】

前記位相合わせ歯は、前記ギア歯の前記挿入方向の先端面と当接する第一面と、前記ギア歯の側面に当接して前記駆動入力ギアを相対回転させる第二面とを有し、
前記第一面は、前記挿入方向の上流端が下流端よりも回転中心寄りとなるように傾斜状に形成され、
前記第二面は、前記位相合わせ歯と前記位相合わせ歯との間において、回転方向に関し前記挿入方向の上流端の間隔が下流端の間隔よりも広くなるように形成されている、
ことを特徴とする請求項１に記載の画像形成装置。

【請求項3】

前記駆動入力ギアは、前記位相合わせ歯と前記位相合わせ歯との間に、前記挿入方向の上流端が下流端よりも回転中心寄りとなるように傾斜状に形成された歯底を有する、
ことを特徴とする請求項１又は２に記載の画像形成装置。

【請求項4】

前記受け入れ装置は、前記収容容器の前記受け入れ装置への挿入動作中に前記収容容器の一部と係合し、前記収容容器を前記装着位置に引き込む引き込み部を有し、
前記引き込み部は、前記挿入方向に交差する方向から見て、前記複数のギア歯の前記挿入方向の下流側先端が前記複数の位相合わせ歯と重なる状態で前記収容容器の引き込みを開始する、
ことを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１項に記載の画像形成装置。

【請求項5】

前記複数の位相合わせ歯は、前記複数の駆動伝達歯に対して飛び飛びに設けられている、
ことを特徴とする請求項１乃至４のいずれか１項に記載の画像形成装置。

【請求項6】

画像形成装置であって、
前記画像形成装置に装着可能に設けられ、回転駆動力を受ける複数のギア歯が形成された駆動受けギアを有する所定のユニットと、
前記駆動受けギアに回転駆動力を伝達する駆動入力ギアと、
前記駆動入力ギアを駆動する駆動源と、
前記所定のユニットが所定の装着位置にあるときに前記駆動入力ギアによる回転を可能に受け入れる受け入れ装置と、を備え、
前記駆動入力ギアは、前記所定のユニットが前記装着位置にあるときに前記ギア歯と噛み合って回転駆動力を伝達する複数の駆動伝達歯と、前記所定のユニットが装着される装着方向において前記駆動伝達歯の上流側に設けられ、前記所定のユニットの前記受け入れ装置への装着動作中に前記ギア歯に当接し、前記駆動受けギアと当該駆動入力ギアとを相対回転させて、前記ギア歯と前記駆動伝達歯との位相を合わせる複数の位相合わせ歯とを有し、
前記複数のギア歯は、前記所定のユニットが前記装着位置にあるときに、前記装着方向に交差する方向から見て、前記装着方向の下流側先端が前記複数の駆動伝達歯と重なり合っていない、
ことを特徴とする画像形成装置。

【請求項7】

前記位相合わせ歯は、前記ギア歯の前記装着方向の先端面と当接する第一面と、前記ギア歯の側面に当接して前記駆動入力ギアを相対回転させる第二面とを有し、
前記第一面は、前記装着方向の上流端が下流端よりも回転中心寄りとなるように傾斜状に形成され、
前記第二面は、前記位相合わせ歯と前記位相合わせ歯との間において、回転方向に関し前記装着方向の上流端の間隔が下流端の間隔よりも広くなるように形成されている、
ことを特徴とする請求項６に記載の画像形成装置。

【請求項8】

前記駆動入力ギアは、前記位相合わせ歯と前記位相合わせ歯との間に、前記装着方向の上流端が下流端よりも回転中心寄りとなるように傾斜状に形成された歯底を有する、
ことを特徴とする請求項６又は７に記載の画像形成装置。

【請求項9】

前記受け入れ装置は、前記所定のユニットの前記受け入れ装置への装着動作中に前記所定のユニットの一部と係合し、前記所定のユニットを前記装着位置に引き込む引き込み部を有し、
前記引き込み部は、前記装着方向に交差する方向から見て、前記複数のギア歯の前記装着方向の下流側先端が前記複数の位相合わせ歯と重なる状態で前記所定のユニットの引き込みを開始する、
ことを特徴とする請求項６乃至８のいずれか１項に記載の画像形成装置。

【請求項10】

前記複数の位相合わせ歯は、前記複数の駆動伝達歯に対して飛び飛びに設けられている、
ことを特徴とする請求項６乃至９のいずれか１項に記載の画像形成装置。

【請求項11】

前記所定のユニットは、像担持体に形成された静電潜像を現像剤を用いて現像するための現像ユニットである、
ことを特徴とする請求項６乃至１０のいずれか１項に記載の画像形成装置。

【請求項12】

前記所定のユニットは、記録材に形成された画像を加熱・加圧することにより定着するための定着ユニットである、
ことを特徴とする請求項６乃至１０のいずれか１項に記載の画像形成装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複数の機能を有する複合機などの画像形成装置に関する。

【背景技術】

【0002】

画像形成装置では、画像形成に伴い現像剤（主にトナー）が消費されるために、補給用の現像剤を収容した収容容器（トナーボトルなどと呼ばれる）を装置本体に着脱自在とし、装着した収容容器から装置本体内の現像装置へ現像剤を補給可能な構成としている。装置本体に装着された収容容器が回転されることで、収容容器内に収容している現像剤は容器外へ排出され得る。収容容器を回転させるため、収容容器は筒状に形成されており、その外周の一周に亘って容器ギア（駆動受けギア）が設けられている。他方、装置本体にはモータなどの駆動力を生じる駆動源と、収容容器の容器ギアに噛み合うことで駆動源の駆動力を伝達する容器駆動ギア（駆動入力ギア）が設けられている。

【0003】

ただし、収容容器を装置本体に装着する際に、容器駆動ギアの歯と容器ギアの歯との位相が合わないと、収容容器の装着が阻害され得、また場合によっては容器駆動ギア又は容器ギアが破損して、その後の収容容器の回転時に動作不良が引き起こされ得る。そこで、収容容器の装着の際に容器駆動ギアの歯と容器ギアの歯との位相が合わなければ、案内手段により容器駆動ギアと容器ギアとを相対回転させ、容器駆動ギアと容器ギアとの噛み合わせを円滑に行うようにしたものが従来から提案されている（特許文献１）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【文献】特開２０１８－１１９５９２号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

しかし、上記した特許文献１に記載の装置のように、容器駆動ギアや容器ギアとは別に案内手段を設けておき、この案内手段により容器駆動ギアと容器ギアとを噛み合わせる構成は複雑な構成であるが故に、部品点数が多くなり、高いコストがかかっていた。

【0006】

本発明は上記点に鑑み、装置本体に設けられた駆動源により回転駆動される収容容器を装置本体に装着する際に、装置本体に設けられた容器駆動ギアと収容容器の容器ギアとを円滑に噛み合わせることが容易な構成でできる画像形成装置の提供を目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0007】

本発明の一実施形態に係る画像形成装置は、現像剤を収容する回転可能な収容容器と、前記収容容器の外周面に設けられ、回転駆動力を受ける複数のギア歯を有する駆動受けギアと、前記駆動受けギアに回転駆動力を伝達する駆動入力ギアと、前記駆動入力ギアを駆動する駆動源と、前記収容容器の回転軸線に沿って挿入された前記収容容器を、前記収容容器が所定の装着位置にあるときに前記駆動入力ギアによる回転を可能に受け入れる受け入れ装置と、を備え、前記駆動入力ギアは、前記収容容器が前記装着位置にあるときに前記ギア歯と噛み合って回転駆動力を伝達する複数の駆動伝達歯と、前記収容容器が挿入される挿入方向において前記駆動伝達歯の上流側に設けられ、前記収容容器の前記受け入れ装置への挿入動作中に前記ギア歯に当接し、前記駆動受けギアと当該駆動入力ギアとを相対回転させて、前記ギア歯と前記駆動伝達歯との位相を合わせる複数の位相合わせ歯とを有し、前記複数のギア歯は、前記収容容器が前記装着位置にあるときに、前記挿入方向に交差する方向から見て、前記挿入方向の下流側先端が前記複数の駆動伝達歯と重なり合っていない、ことを特徴とする。

【0009】

本発明の一実施形態に係る画像形成装置は、画像形成装置であって、前記画像形成装置に装着可能に設けられ、回転駆動力を受ける複数のギア歯が形成された駆動受けギアを有する所定のユニットと、前記駆動受けギアに回転駆動力を伝達する駆動入力ギアと、前記駆動入力ギアを駆動する駆動源と、前記所定のユニットが所定の装着位置にあるときに前記駆動入力ギアによる回転を可能に受け入れる受け入れ装置と、を備え、前記駆動入力ギアは、前記所定のユニットが前記装着位置にあるときに前記ギア歯と噛み合って回転駆動力を伝達する複数の駆動伝達歯と、前記所定のユニットが装着される装着方向において前記駆動伝達歯の上流側に設けられ、前記所定のユニットの前記受け入れ装置への装着動作中に前記ギア歯に当接し、前記駆動受けギアと当該駆動入力ギアとを相対回転させて、前記ギア歯と前記駆動伝達歯との位相を合わせる複数の位相合わせ歯とを有し、前記複数のギア歯は、前記所定のユニットが前記装着位置にあるときに、前記装着方向に交差する方向から見て、前記装着方向の下流側先端が前記複数の駆動伝達歯と重なり合っていない、ことを特徴とする。

【発明の効果】

【0011】

本発明によれば、収容容器が装置本体に設けられた駆動源により回転駆動される構成の場合に、収容容器を装置本体に装着する際に、装置本体に設けられた駆動入力ギアと収容容器の駆動受けギアとを円滑に噛み合わせることが容易な構成で実現できる。

【図面の簡単な説明】

【0012】

【図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。

【図2】収容容器を示す断面図であり、（ａ）ポンプ部の容積を大きくした場合、（ｂ）ポンプ部の容積を小さくした場合。

【図3】ポンプ部の動作を行う機構の説明図。

【図4】トナー補給部の構成を示す斜視図。

【図5】収容容器の駆動構成を示す斜視図。

【図6】収容容器の回転を検知する回転検知機構を示す側面図であり、（ａ）フラグがセンサを遮光した状態、（ｂ）フラグがセンサを遮光していない状態。

【図7】収容容器の着脱機構について説明するための図であり、（ａ）第１の状態を示す側面図、（ｂ）第２の状態を示す側面図、（ｃ）第３の状態を示す側面図、（ｄ）第４の状態を示す側面図。

【図8】本実施形態の容器駆動ギアを示す側面図。

【図9】（ａ）本実施形態の容器駆動ギアを示す斜視図、（ｂ）位相合わせ歯を示す拡大斜視図。

【図10】引き込み開始時における位相合わせ歯とギア歯とを示す側面図。

【図11】収容容器の挿入状態を示す側面図であり、（ａ）ギア歯と位相合わせ歯とが当接する前、（ｂ）容器引き込みレバーにより引き込み開始される位置、（ｃ）ギア歯と位相合わせ歯とが当接する位置、（ｄ）ギア歯と駆動伝達歯とが噛み合う位置。

【図12】容器駆動ギアの他の実施形態を示す斜視図。

【図13】位相合わせ歯を形成した収容容器を示す側面図。

【発明を実施するための形態】

【0013】

［画像形成装置］
まず、本実施形態の画像形成装置の概略構成について、図１を用いて説明する。画像形成装置２００は、電子写真方式を用いたカラー画像形成装置であり、４色の画像形成部Ｐａ～Ｐｄを中間転写ベルト７上に並べて配置した、所謂中間転写タンデム方式の画像形成装置である。本実施形態の場合、画像形成装置２００は、イエロー（Ｙ）、マゼンタ（Ｍ）、シアン（Ｃ）及びブラック（Ｂｋ）の４色により画像を形成する。勿論、色数は４色に限定されるものではなく、また色の並び順もこの限りではない。

【0014】

画像形成装置２００は、装置本体２００Ａに接続された原稿読取装置（図示せず）又は装置本体２００Ａに対し通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト機器からの画像信号に応じてトナー像（画像）を記録材Ｓに形成する。記録材Ｓとしては、用紙、プラスチックフィルム、布などのシート材が挙げられる。

【0015】

記録材Ｓは、収納庫１０内に積載されるように収納されており、摩擦分離方式を採用した給送ローラ６１により画像形成タイミングに合わせて給送される。給送ローラ６１により送り出された記録材Ｓは、搬送パスを通過し、レジストレーションローラ６２へと搬送される。そして、レジストレーションローラ６２において記録材Ｓの斜行補正やタイミング補正を行った後、記録材Ｓは、２次転写部Ｔ２へと送られる。２次転写部Ｔ２は、対向する２次転写内ローラ８及び２次転写外ローラ９により形成される転写ニップ部であり、所定の加圧力と静電的負荷バイアスを与えることで中間転写ベルト７上のトナー像を記録材Ｓ上に２次転写させる。

【0016】

次に、以上に説明した２次転写部Ｔ２までの記録材Ｓの搬送プロセスに対して、同様のタイミングで２次転写部Ｔ２まで送られて来るトナー像の画像形成プロセスについて説明する。画像形成部Ｐａ～Ｐｄは、主に、像担持体としての円筒状の感光体である感光ドラム１ａ～１ｄ、帯電装置２ａ～２ｄ、露光装置３ａ～３ｄ、現像装置１００ａ～１００ｄ、１次転写ローラ５ａ～５ｄ、及びドラムクリーナ６ａ～６ｄ等から構成される。

【0017】

まず、図示しない駆動装置によって矢印方向に回転駆動される感光ドラム１ａ～１ｄは、予め帯電装置２ａ～２ｄにより表面を一様に帯電される。そして、原稿読取装置などから送られてきた画像情報の信号（画像信号）に基づいて露光装置３ａ～３ｄが駆動され、レーザ光をミラーなどの回折部材を適宜経由して感光ドラム１ａ～１ｄに照射する。これにより、感光ドラム１ａ～１ｄ上にそれぞれの色に応じた静電潜像が形成される。次に、感光ドラム１ａ～１ｄ上に形成された静電潜像は、現像装置１００ａ～１００ｄによるトナー現像を経て、トナー像として顕在化する。

【0018】

現像ユニットとしての現像装置１００ａ～１００ｄは、それぞれ、現像剤を収容する現像容器１０１ａ～１０１ｄ、現像剤担持体としての現像スリーブ１０２ａ～１０２ｄ、撹拌スクリュー７００ａ～７００ｄ、現像スクリュー８００ａ～８００ｄなどを有する。現像スリーブ１０２ａ～１０２ｄは、現像容器１０１ａ～１０１ｄ内の現像剤を担持して、感光ドラム１ａ～１ｄと対向する現像用領域に搬送し、所定の現像バイアスが印加されることで感光ドラム１ａ～１ｄ上にトナーを供給して、静電潜像を現像する。本実施形態では、現像剤は、非磁性のトナーと、磁性を有するキャリアを含む２成分現像剤である。ただし、現像剤は、トナーを有する１成分現像剤であってもよい。

【0019】

感光ドラム１ａ～１ｄ上にトナー像が形成された後、１次転写部Ｔ１ａ～Ｔ１ｄにて、１次転写ローラ５ａ～５ｄにより所定の加圧力及び静電的負荷バイアスが与えられ、感光ドラム１ａ～１ｄ上のトナー像が中間転写ベルト７上に１次転写される。感光ドラム１ａ～１ｄ上に僅かに残った転写残トナーは、ドラムクリーナ６ａ～６ｄにより回収され、再び次の画像形成プロセスに備える。

【0020】

なお、上述のように画像形成を行うことで、現像装置１００ａ～１００ｄの現像容器１０１ａ～１０１ｄ内のトナーが消費される。このため、現像容器１０１ａ～１０１ｄ内のトナー量が低下した際には、対応する収容容器Ｔａ～Ｔｄからトナーが現像容器１０１ａ～１０１ｄに補給される。このために、収容容器Ｔａ～Ｔｄと現像容器１０１ａ～１０１ｄとの間には、それぞれトナーを供給するための搬送パイプ７０が設けられている。このようなトナー補給動作についての詳細については、後述する。

【0021】

中間転写ベルト７は、無端状のベルトで、図示しない中間転写ベルトフレームに設置され、中間転写ベルト７の回転駆動を兼ねる２次転写内ローラ８、テンションローラ１７、２次転写上流ローラ１８によって張架される。２次転写内ローラ８が矢印Ｒ１方向に回転駆動すると、中間転写ベルト７が矢印Ｒ２方向へと回転駆動される。

【0022】

上述の画像形成プロセスは、Ｙ、Ｍ、Ｃ及びＢｋの画像形成部Ｐａ～Ｐｄにより並列処理され、中間転写ベルト７上に１次転写されたトナー像上に下流側のトナー像が順次重ね合わせるタイミングで行われる。その結果、フルカラーのトナー像が中間転写ベルト７上に形成され、２次転写部Ｔ２へと搬送される。なお、２次転写部Ｔ２を通過した後に中間転写ベルト７上に残った転写残トナーは、ベルトクリーナ装置１１によって回収される。

【0023】

以上、それぞれ説明した搬送プロセス及び画像形成プロセスによって、２次転写部Ｔ２において記録材Ｓとフルカラートナー像の搬送タイミングを一致させて２次転写が行われる。その後、記録材Ｓは、定着装置１３へと搬送される。定着ユニットとしての定着装置１３は、内部にヒータを有する定着ローラ１４と、定着ローラ１４と対向して定着ニップ部を形成する対向ローラ１５とを有する。定着装置１３に搬送された記録材Ｓは、定着ニップ部内を通過し、定着ニップ部内で所定の圧力と熱量が加えられて、記録材Ｓに形成されたトナー像が加熱・加圧される。これにより、記録材Ｓ上にトナー像が溶融固着（定着）される。トナー像が定着された記録材Ｓは、排出トレイ６３に排出される。

【0024】

上述のような各プロセスは、制御部５０により制御される。制御部５０は、ＣＰＵ（Ｃｅｎｔｒａｌ Ｐｒｏｃｅｓｓｉｎｇ Ｕｎｉｔ）、ＲＯＭ（Ｒｅａｄ Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ）、ＲＡＭ（Ｒａｎｄｏｍ Ａｃｃｅｓｓ Ｍｅｍｏｒｙ）を有している。ＣＰＵは、ＲＯＭに格納された制御手順に対応するプログラム読み出しながら各部の制御を行う。また、ＲＡＭには、作業用データや入力データが格納されており、ＣＰＵは、前述のプログラム等に基づいてＲＡＭに収納されたデータを参照して制御を行う。また、画像形成装置２００は、操作パネルなどの操作部６０を有し、ユーザは、操作部６０により画像形成装置２００の各種設定が可能である。

【0025】

［収容容器］
次に、図２（ａ）乃至図３を用いて、トナーを収容した収容容器Ｔａ～Ｔｄについて説明する。なお、収容容器Ｔａ～Ｔｄは各容器とも共通の構成を有するため、以下では、代表して収容容器Ｔａについて説明する。

【0026】

収容容器Ｔａは、図２（ａ）、（ｂ）に示すように、中空円筒状に形成され内部にトナーを収容する内部空間を備えたトナー収容部２０を有する。更に、収容容器Ｔａは、トナー収容部２０の長手方向（トナー搬送方向）一端側にフランジ部２１を有する。トナー収容部２０は、フランジ部２１に対して相対回転可能に構成されている。フランジ部２１には、トナー収容部２０内から搬送されてきたトナーを一時的に貯留するための中空形状を備えた排出部２１ｈが設けられている。排出部２１ｈの底部には、収容容器Ｔａの外部へトナーを排出する、即ち、現像装置１００ａ～１００ｄへトナーを補給するための排出口２１ａが形成されている。また、フランジ部２１の内部には、排出口２１ａを開閉するためのシャッタ４が設けられている。シャッタ４は、収容容器Ｔａの内部で、フランジ部２１に対して相対的に移動可能に設けられている。

【0027】

トナー収容部２０には、容器ギア２０ａ、ポンプ部２０ｂ、突起部２０ｄなどが形成されている。駆動受けギアとしての容器ギア２０ａは平歯ギアであり、装置本体２００Ａ側の容器駆動ギア３０２（後述する図５参照）と噛み合うことで、装置本体２００Ａ側からの回転駆動力をトナー収容部２０に伝達する働きをする。ポンプ部２０ｂは、往復動に伴いその容積が可変な樹脂製の容積可変型ポンプとなっている。なお、図２（ａ）、（ｂ）の矢印ωと矢印γは、ポンプ部２０ｂの移動方向を示す。

【0028】

具体的には、図２（ａ）、（ｂ）に示すように、ポンプ部２０ｂは、長手方向に「山折り」部と「谷折り」部が外周部に周期的に交互に複数形成されている蛇腹状のポンプとなっている。ポンプ部２０ｂは、往復動することで伸縮し、排出口２１ａを介して吸気動作と排気動作を交互に行わせる吸排気機構として機能する。フランジ部２１の内周面には、カム形状の溝部２１ｂが形成されており、トナー収容部２０に備えられた突起部２０ｄと係合する構成となっている。

【0029】

突起部２０ｄと溝部２１ｂの関係について、図３を用いて説明する。図３は、溝部２１ｂが形成された部分を展開して示した模式図である。図３において、矢印Ａはトナー収容部２０の回転方向（突起部２０ｄの移動方向）、矢印Ｂ、Ｃはポンプ部２０ｂの伸縮方向を示している。溝部２１ｂは、図３に示すように、互いに傾斜方向が異なる第１溝２１ｃと第２溝２１ｄとが、交互に連結された構造となっている。トナー収容部２０は、回転駆動されることで、突起部２０ｄと溝部２１ｂとの係合によりフランジ部２１に対して回転軸線方向に相対移動する。これにより、ポンプ部２０ｂが伸縮動作を行う。即ち、トナー収容部２０が回転されると、ポンプ部２０ｂは伸縮動作を行い、これにより吸排気機構を利用して排出口２１ａからトナーの排出が行われる。

【0030】

［トナー補給部の駆動構成］
次に、図４乃至図６（ｂ）を用いて、収容容器Ｔａから現像装置１００ａに補給用トナーを供給する構成について説明する。装置本体２００Ａは、収容容器Ｔａを受け入れる受け入れ装置４００を有する。受け入れ装置は、収容容器Ｔａから現像装置１００ａにトナーを補給するトナー補給部を備えている。収容容器Ｔｂ～Ｔｄから現像装置１００ｂ～１００ｄに補給用トナーを供給するトナー補給部、及び、収容容器Ｔｂ～Ｔｄを受け入れる受け入れ装置の構成についても、収容容器Ｔａからトナーを供給するトナー補給部、及び、受け入れ装置４００と同じである。そのため、それらについては説明を省略する。

【0031】

図４に示すように、装置本体２００Ａの受け入れ装置４００には、枠体を形成する前側板２０１、後側板２０２、前側板２０１と後側板２０２とに保持された容器上保持ガイド４０１、容器下保持ガイド４０２が備えられている。収容容器Ｔａは、装置本体２００Ａの受け入れ装置４００に対して着脱自在であり、受け入れ装置４００に装着されている時には、容器上保持ガイド４０１と容器下保持ガイド４０２に回転可能に収容保持されている。

【0032】

本実施形態では、収容容器Ｔａは、装置本体２００Ａの前側から奥側（後側）に向かって、略水平方向に挿入されることで装置本体２００Ａの受け入れ装置４００内に装着される。また、収容容器Ｔａは、逆方向に引き抜くことで装置本体２００Ａの受け入れ装置４００から抜き出される。このような収容容器Ｔａの挿入方向及び抜き出し方向は、収容容器Ｔａの長手方向及びポンプ部２０ｂの伸縮方向と同じである。また、収容容器Ｔａの回転軸線方向と同じである。なお、装置本体２００Ａの前側は、ユーザが画像形成装置２００を操作する側で、図１の紙面手前側であり、奥側は図１の紙面奥側である。

【0033】

後側板２０２には、容器駆動装置３００、搬送パイプ７０が取り付けられている。容器駆動装置３００は、図５に示すように、駆動源としての駆動モータ３０１、駆動入力ギアとしての容器駆動ギア３０２、ピニオンギア３１１、アイドラギア３１２、アイドラ段ギア３０８、駆動伝達ギア３０６、容器駆動軸３０７で構成される。容器駆動装置３００では、駆動モータ３０１から生じる回転駆動力がピニオンギア３１１、アイドラギア３１２、アイドラ段ギア３０８、駆動伝達ギア３０６、容器駆動軸３０７を通して容器駆動ギア３０２に伝達される。そして、この回転駆動力が容器駆動ギア３０２から収容容器Ｔａの容器ギア２０ａに伝達されることで、収容容器Ｔａが回転駆動し、上述のように収容容器Ｔａからトナーを排出させる。

【0034】

容器駆動装置３００には、回動可能に支持された位相検知フラグ３０９が設けられ、収容容器Ｔａのトナー収容部２０、容器ギア２０ａと一体的に回転するカム部２４に接触している。カム部２４には、図６（ａ）、（ｂ）に示すように、大径部２４ａと小径部２４ｂがカム部２４の１周で各々２ヶ所ずつ交互に設けられている。

【0035】

図６（ａ）に示すように、位相検知フラグ３０９が大径部２４ａに接触しているとき、位相検知フラグ３０９は、容器駆動装置３００に配置されたフォトセンサ３１０を遮光する。一方、図６（ｂ）に示すように、位相検知フラグ３０９が小径部２４ｂに接触しているとき、位相検知フラグ３０９はフォトセンサ３１０の透過範囲から外れて、フォトセンサ３１０は透過される。制御部５０（図１参照）は、フォトセンサ３１０の変化（遮光→透過→遮光）を検知することで、収容容器Ｔａの半回転を検知することができる。また、駆動モータ３０１の回転は、フォトセンサ３１０が遮光→透過→遮光を検知した後、所定時間後に停止されるように制御部５０で制御されている。ポンプ部２０ｂは、収容容器Ｔａが半回転する毎に１往復する。

【0036】

このように制御部５０は、収容容器Ｔａを半回転毎に１往復させ、回転停止させることで、収容容器Ｔａからのトナーの排出をコントロールしている。収容容器Ｔａから排出されたトナーは、搬送パイプ７０の中を通り下流側にある現像装置１００ａ（図１参照）へと受け渡される。

【0037】

［収容容器の着脱について］
次に、図７（ａ）乃至図７（ｄ）を用いて、収容容器Ｔａの装置本体２００Ａに対する着脱機構について説明する。上述したように、装置本体２００Ａの受け入れ装置４００（図４参照）は、収容容器Ｔａの回転軸線方向に沿って挿入された収容容器Ｔａを受け入れるものである。図７（ａ）乃至図７（ｄ）に示すように、収容容器Ｔａの挿入方向（図中矢印Ｄ方向）に関し、容器下保持ガイド４０２の片側端部（下流側端部）には、引き込み部としての容器引き込み装置４１０が設けられている。容器引き込み装置４１０は、容器引き込みレバー４０３、引き込みばね４０４を有する。容器引き込みレバー４０３は、容器下保持ガイド４０２に対して回動可能に保持されている。引き込みばね４０４は、容器引き込みレバー４０３と容器下保持ガイド４０２とに張架されている。

【0038】

装置本体２００Ａの受け入れ装置４００に収容容器Ｔａを装着する際は、まず、図７（ａ）に示すように、収容容器Ｔａの先端（挿入方向下流端）と容器引き込みレバー４０３が接触し、容器引き込みレバー４０３が押し込まれる形で矢印Ｅ方向に回動を始める。このとき、引き込みばね４０４による力は、容器引き込みレバー４０３を矢印Ｆ１方向に回転させる力として働く。

【0039】

更に、収容容器Ｔａを受け入れ装置４００に押し込むと、図７（ｂ）に示すように、容器引き込みレバー４０３が更に回動し、引き込みばね４０４の位置が死点（ばね掛け部同士を結ぶ直線上に容器引き込みレバー４０３の回転中心が乗る点）を超える。すると、図７（ｃ）に示すように、引き込みばね４０４によって容器引き込みレバー４０３を回転させようとする力の方向がＦ２方向に切り替わる。そして、容器引き込みレバー４０３が収容容器Ｔａに設けられたボス２１ｋと係合し、収容容器Ｔには装置本体２００Ａの受け入れ装置４００の奥側に引き込む力が働く。

【0040】

この結果、図７（ｄ）に示すように、収容容器Ｔａは、引き込みばね４０４の付勢力により容器引き込みレバー４０３が更に回動することで、自動で、容器下保持ガイド４０２に備えられた突き当て部４０２ａまで引き込まれる。収容容器Ｔａの先端が突き当て部４０２ａに突き当たると、収容容器Ｔａの装置本体２００Ａの受け入れ装置４００に対する装着動作が完了し、収容容器Ｔａからトナーを排出可能とする所定の装着位置（第１位置）に収容容器Ｔａが装着される。即ち、容器引き込みレバー４０３は、収容容器Ｔａの装置本体２００Ａの受け入れ装置４００への装着動作中（挿入動作中）に収容容器Ｔａの一部であるボス２１ｋと係合し、引き込みばね４０４の付勢力により収容容器Ｔａを第１位置に引き込む。

【0041】

ここで、収容容器Ｔａの先端には、第１接点としての容器側接点２３が、装置本体２００Ａの受け入れ装置４００の収容容器Ｔａの先端と対向する位置には、第２接点としての本体側接点４０５がそれぞれ設けられている。本体側接点４０５は、容器側接点２３と接触することで収容容器Ｔａと装置本体２００Ａとの間で通信が可能となる。容器側接点２３は、収容容器Ｔａに関する情報が記憶されたメモリに接続されている。収容容器Ｔａが第１位置に装着されると、容器側接点２３が本体側接点４０５と接触して、この情報が装置本体２００Ａの制御部５０に送られる。

【0042】

そして、収容容器Ｔａが装置本体２００Ａの受け入れ装置４００の第１位置（装着位置）に装着された状態では、図５に示したように、装置本体２００Ａ側に設けられた容器駆動ギア３０２と、収容容器Ｔａ側に設けられた容器ギア２０ａとが適切に噛み合う。つまり、容器駆動ギア３０２から容器ギア２０ａへと駆動力の伝達が可能となる。

【0043】

［容器駆動ギア］
次に、本実施形態の容器駆動ギア３０２について、図８乃至図１０を用いて説明する。図８に示すように、本実施形態の容器駆動ギア３０２は、収容容器Ｔａの挿入方向（装着方向：図中矢印Ｄ方向）に関し、下流側に駆動伝達部３０２ａを有し、駆動伝達部３０２ａの上流側に位相合わせ部３０２ｂを有している。駆動伝達部３０２ａは複数の駆動伝達歯３０３が形成された平歯ギアであり、収容容器Ｔａが上述した第１位置にあるときに容器ギア２０ａのギア歯２０ａ１と噛み合って回転駆動力を伝達し得る。

【0044】

位相合わせ部３０２ｂには、複数の位相合わせ歯３０４が形成されている。本実施形態では、１つの駆動伝達歯３０３に対し１つの位相合わせ歯３０４が割り当てられ、それら駆動伝達歯３０３と位相合わせ歯３０４とが挿入方向に関し間隔を空けずに連続的に一体形成されている。図９（ａ）に示すように、駆動伝達歯３０３の高さは一定であるが、位相合わせ歯３０４の高さは挿入方向の上流側の方が下流側よりも低くなっている。即ち、位相合わせ歯３０４は挿入方向に沿って上流側が低くなるように傾斜状に形成されている。

【0045】

図９（ｂ）に示すように、位相合わせ歯３０４は、ギア歯２０ａ１（図８参照）の挿入方向の先端面と当接するガイド面３０４ａ（第一面）と、ギア歯２０ａ１の側面に摺動されることで位相合わせ歯３０４を退避させる被摺擦面３０４ｂ（第二面）とを有する。後述するように、本実施形態では、収容容器Ｔａの挿入時、ギア歯２０ａ１によって位相合わせ歯３０４が回転方向に退避され、容器駆動ギア３０２が容器ギア２０ａに対し相対回転される。ガイド面３０４ａは、位相合わせ部３０２ｂの挿入方向の上流端３０５から各々に割り当てられた駆動伝達歯３０３に向かって伸びている。ガイド面３０４ａの挿入方向の上流端が下流端よりも容器駆動ギア３０２の回転中心寄りとなるように、位相合わせ歯３０４は上記したように挿入方向に沿って上流側が低くなるように傾斜状に形成されている。

【0046】

また、被摺擦面３０４ｂは、位相合わせ歯３０４と位相合わせ歯３０４との間において、回転方向に関し挿入方向の上流側の間隔が下流側の間隔よりも広くなるように形成されている。そして、上記したガイド面３０４ａと被摺擦面３０４ｂとで形成される位相合わせ歯３０４の外周面は、面取りされた滑らかな曲線に形成されている。言い換えるなら、位相合わせ歯３０４は略半円錐状に形成されている。

【0047】

さらに、位相合わせ部３０２ｂでは、挿入方向の上流端が下流端よりも回転中心寄りとなるように、歯底３０４ｄが傾斜状に形成されている。このように、位相合わせ部３０２ｂには、上流端３０５から駆動伝達部３０２ａに設けられた駆動伝達歯３０３の１歯１歯に向かって伸びるように、略半円錐形状に形成された位相合わせ歯３０４が複数設けられている。

【0048】

また、本実施形態の場合、図１０に示すように、容器引き込みレバー４０３は、挿入方向に交差する方向から見て、複数のギア歯２０ａ１の挿入方向の下流側先端２０ａ２が複数の位相合わせ歯３０４と重なる状態で収容容器Ｔａの引き込みを開始する。そうできるようにすべく、本実施形態では、引き込みレバー４０３の反転が始まるより先に（図７（ａ）、（ｂ）参照）、ギア歯２０ａ１とオーバーラップするように、位相合わせ歯３０４が設けられている。

【0049】

［容器駆動ギアと容器ギアとの噛み合わせについて］
次に、本実施形態の容器駆動ギア３０２を用いた場合における、装置本体２００Ａの容器駆動ギア３０２と、収容容器Ｔａの容器ギア２０ａとの噛み合わせについて、図９（ａ）乃至図１０を参照しながら図１１（ａ）乃至図１１（ｄ）を用いて説明する。なお、図１１（ａ）乃至図１１（ｄ）において、右図は左図において１点鎖線で示す位置での断面図である。

【0050】

図１１（ａ）は、ギア歯２０ａ１と位相合わせ歯３０４とが当接する前まで収容容器Ｔａを挿入した状態を示す。上述のように、位相合わせ歯３０４は、被摺擦面３０４ｂ（図９（ｂ）参照）が位相合わせ歯３０４と位相合わせ歯３０４との間において、回転方向に関し挿入方向（図中矢印Ｄ方向）の上流側の間隔が下流側の間隔よりも広くなるように形成されている。こうすると、容器駆動ギア３０２と容器ギア２０ａとの間に、クリアランスが確保される。そのため、容器駆動ギア３０２と容器ギア２０ａとが挿入方向において重なり始めたときに、ギア歯２０ａ１は位相合わせ歯３０４（具体的にはガイド面３０４ａ）に当接することなく、位相合わせ歯３０４と位相合わせ歯３０４との間に侵入しやすくなる。

【0051】

図１１（ｂ）は、容器引き込みレバー４０３（図１０参照）により引き込み開始される位置まで収容容器Ｔａを挿入した状態を示す。本実施形態の場合、容器駆動ギア３０２と容器ギア２０ａとが挿入方向において重なり始めてからさらに収容容器Ｔａが押し込まれることで、ギア歯２０ａ１は位相合わせ歯３０４（具体的にはガイド面３０４ａ）に当接し得る。本実施形態の場合、上述したように、容器駆動ギア３０２は位相合わせ部３０２ｂを有し、位相合わせ部３０２ｂには外周面が面取りされ滑らかな曲線に形成された略半円錐形状の位相合わせ歯３０４が形成されている。そして、位相合わせ歯３０４は挿入方向に沿って上流側が低くなるように傾斜状に形成されている。それ故、図１１（ｂ）右図に示すように、容器駆動ギア３０２と容器ギア２０ａとが挿入方向において重なり始めたとき（図１１（ａ）参照）に比べて、位相合わせ歯３０４の歯先が容器ギア２０ａに近づく。

【0052】

なお、図１１（ｂ）の位置では、収容容器Ｔａが容器引き込みレバー４０３によって引き込まれ始める。本実施形態の場合、上述したように、容器駆動ギア３０２は位相合わせ部３０２ｂを有し、位相合わせ部３０２ｂには外周面が面取りされ滑らかな曲線に形成された略半円錐形状の位相合わせ歯３０４が形成されている。ただし、容器駆動ギア３０２と容器ギア２０ａとが挿入方向において重なり始める前に収容容器Ｔａの引き込みが開始されると、引き込み不良を生じさせる虞がある。そこで、本実施形態では、上述したように、引き込みレバー４０３の反転が始まるより先に（図７（ａ）、（ｂ）参照）、ギア歯２０ａ１とオーバーラップするように位相合わせ歯３０４を設けている。これにより、ギア歯２０ａ１と位相合わせ歯３０４が挿入方向においてオーバーラップしてから、容器引き込みレバー４０３によって収容容器Ｔａが引き込まれ始める。

【0053】

図１１（ｃ）は、ギア歯２０ａ１と位相合わせ歯３０４とが当接する位置まで収容容器Ｔａを挿入した状態を示す。ここでは、引き込みレバー４０３の引き込みによって引き込まれた収容容器Ｔａが図１１（ｃ）に示す位置に到達すると、ギア歯２０ａ１の上流端面が位相合わせ歯３０４のガイド面３０４ａに当接する。ギア歯２０ａ１の上流端面が位相合わせ歯３０４のガイド面３０４ａに当接した状態で、収容容器Ｔａは引き込みレバー４０３によってさらに下流側に引き込まれる。収容容器Ｔａがより下流側に引き込まれることに応じて、位相合わせ歯３０４はギア歯２０ａ１によって挿入方向により強く押圧される。そうすると、押圧された位相合わせ歯３０４はギア歯２０ａ１の挿入方向に沿う進行経路から外れるように、ギア歯２０ａ１によって回転方向に退避される。これに応じて、容器駆動ギア３０２が容器ギア２０ａに対して相対回転する。このように、本実施形態の場合、収容容器Ｔａの挿入に伴いギア歯２０ａ１と位相合わせ歯３０４とが衝突したとしても、容器駆動ギア３０２が容器ギア２０ａに対して相対回転するので、収容容器Ｔａの装着の阻害が抑制される。また、容器駆動ギア３０２の位相合わせ歯３０４ひいては駆動伝達歯３０３と、容器ギア２０ａのギア歯２０ａ１との位相が合わせられる。

【0054】

図１１（ｄ）は、ギア歯２０ａ１と駆動伝達歯３０３とが噛み合う位置まで収容容器Ｔａを挿入した状態を示す。引き込みレバー４０３による収容容器Ｔａの引き込みは、最終的に図１１（ｄ）に示す所定の装着位置（第１位置）まで行われる。収容容器Ｔａが第１位置に装着されることで、容器ギア２０ａのギア歯２０ａ１と容器駆動ギア３０２の駆動伝達歯３０３とが適切に噛み合って、容器駆動ギア３０２から容器ギア２０ａへと駆動力の伝達が可能な状態となる。

【0055】

ここで、図１１（ｄ）に示すように、本実施形態の場合、駆動伝達歯３０３の各々は、収容容器Ｔａが第１位置にあるときに、ギア歯２０ａ１の挿入方向（図中矢印Ｄ方向）の下流側先端２０ａ２とは噛み合わない挿入方向長さに設定されている。こうすると、例えギア歯２０ａ１の下流側先端２０ａ２が何らかの原因によって傷ついたり欠けたりしていたとしても、収容容器Ｔａの回転時に異音や振動などの不具合を発生させ難いので好ましい。

【0056】

以上のように、本実施形態の容器駆動ギア３０２は、容器ギア２０ａのギア歯２０ａ１と噛み合って回転駆動力を伝達する複数の駆動伝達歯３０３の他に、ギア歯２０ａ１と駆動伝達歯３０３の位相を合わせるための複数の位相合わせ歯３０４を有する。位相合わせ歯３０４は、挿入方向に沿って上流側が低くなるように傾斜した略半円錐状に形成されている。収容容器Ｔａの装着の際に、ギア歯２０ａ１によって挿入方向に押圧された位相合わせ歯３０４はギア歯２０ａ１の進行経路から外れる。即ち、容器駆動ギア３０２が容器ギア２０ａに対して相対回転し、位相合わせ歯３０４ひいては駆動伝達歯３０３と、容器ギア２０ａのギア歯２０ａ１との位相が合わせられる。このように、本実施形態では、収容容器Ｔａを装置本体２００Ａに装着する際に、装置本体２００Ａに設けられた容器駆動ギア３０２と収容容器Ｔａの容器ギア２０ａとを円滑に噛み合わせることが容易な構成でできる。

【0057】

＜他の実施形態＞
なお、上述の実施形態では、１つの駆動伝達歯３０３に対し１つの位相合わせ歯３０４が割り当てられ、それら駆動伝達歯３０３と位相合わせ歯３０４とが連続的に一体形成されているものを例に示したが（図９（ａ）参照）、これに限らない。例えば、図１２に示すように、複数の位相合わせ歯３０４は、１乃至複数個の駆動伝達歯３０３を飛ばした駆動伝達歯３０３毎に飛び飛びに設けられていてもよい。

【0058】

なお、上述の実施形態では、容器駆動ギア３０２に位相合わせ歯３０４を形成した場合を例に説明したが（図９（ａ）参照）、これに限らない。例えば、図１３に示すように、収容容器Ｔａに位相合わせ歯３０４を形成してもよい。この場合、複数の位相合わせ歯３０４は、収容容器Ｔａの挿入方向（図中矢印Ｄ方向）に関し、容器ギア２０ａの下流側に形成される。位相合わせ歯３０４は、収容容器Ｔａの受け入れ装置４００（図４参照）への挿入動作中に容器駆動ギア（不図示）に当接し、容器ギア２０ａと容器駆動ギアとを相対回転させて、容器ギア２０ａのギア歯２０ａ１と容器駆動ギアの駆動伝達歯との位相を合わせる。位相合わせ歯３０４の構成については、上述の容器駆動ギア３０２に形成した場合と同じであってよいことから、ここでは説明を省略する。また、容器駆動ギア３０２と収容容器Ｔａのいずれか一方のみに位相合わせ歯３０４を形成することに限らず、それらの両方ともに位相合わせ歯３０４を形成してもよい。

【0059】

なお、上述した実施形態では、着脱可能なユニットとしてトナーを収容する収容容器Ｔａの例を示したが、これに限られない。駆動源を持った装置本体に対し、着脱可能な被駆動側となる所定のユニットであっても、本発明を同様に実施可能である。例えば、像担持体に形成された静電潜像を現像剤を用いて現像するための現像ユニット（現像装置１００ａ～１００ｄ）や、記録材に形成された画像を加熱・加圧することにより定着するための定着ユニット（定着装置１３）にも適用可能である。現像装置１００ａ～１００ｄを装置本体２００Ａに装着可能とし、現像スリーブ１０２ａ～１０２ｄ、撹拌スクリュー７００ａ～７００ｄ、現像スクリュー８００ａ～８００ｄなどを、装置本体２００Ａ側からの回転駆動力により駆動させる構成に適用できる。また、定着装置１３を装置本体２００Ａに装着可能とし、定着ローラ１４や対向ローラ１５などを、装置本体２００Ａ側からの回転駆動力により駆動させる構成に適用できる。

【符号の説明】

【0060】

１３…定着ユニット（定着装置）、２０ａ…駆動受けギア（容器ギア）、２０ａ１…ギア歯、１００ａ～１００ｄ…現像ユニット（現像装置）、３０１…駆動源（駆動モータ）、３０２…駆動入力ギア（容器駆動ギア）、３０３…駆動伝達歯、３０４…位相合わせ歯、３０４ａ…第一面（ガイド面）、３０４ｂ…第二面（被摺擦面）、３０４ｄ…歯底、４００…受け入れ装置、４１０…引き込み部（容器引き込み装置）、Ｔａ（Ｔｂ～Ｔｄ）…収容容器

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】