(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】アイソレータ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/768 20060101AFI20240422BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20240422BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20240422BHJP
H01L 23/532 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
H01L21/90 J
H01L21/90 A
H01L21/88 M
(21)【出願番号】P 2020041055
(22)【出願日】2020-03-10
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】織田 達広
(72)【発明者】
【氏名】大黒 達也
【審査官】桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-212729(JP,A)
【文献】特開2012-033761(JP,A)
【文献】特開2004-158832(JP,A)
【文献】特開2006-165291(JP,A)
【文献】国際公開第2012/046361(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0163641(US,A1)
【文献】特開2010-080774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/768
H01L 21/3205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部分領域、第2部分領域及び第3部分領域を含む第1導電部材であって、前記第1部分領域から前記第2部分領域への方向は、第1方向に沿い、前記第3部分領域は、前記第1部分領域と前記第2部分領域との間にある、前記第1導電部材と、
第4部分領域及び第5部分領域を含み、前記第1導電部材と電気的に接続された第2導電部材であって、前記第4部分領域は、前記第1方向と交差する第2方向において、前記第3部分領域と前記第5部分領域との間にある、前記第2導電部材と、
第1絶縁領域及び第2絶縁領域を含む第1絶縁部材であって、前記第5部分領域は、前記第1方向において、前記第1絶縁領域と前記第2絶縁領域との間にある、前記第1絶縁部材と、
第3絶縁領域及び第4絶縁領域を含む第2絶縁部材であって、前記第4部分領域は、前記第1方向において、前記第3絶縁領域と前記第4絶縁領域との間にあり、前記第3絶縁領域は、前記第2方向において前記第1部分領域と前記第1絶縁領域との間にあり、前記第4絶縁領域は、前記第2方向において前記第2部分領域と前記第2絶縁領域との間にある、シリコン及び窒素を含む前記第2絶縁部材と、
第1部分及び第2部分を含む第3絶縁部材であって、前記第1部分は、前記第1方向において、前記第3絶縁領域と前記第4部分領域との間にあり、前記第2部分は、前記第1方向において、前記第4部分領域と前記第4絶縁領域との間にあり、シリコン及び酸素を含む前記第3絶縁部材と、
を備え
、
前記第3絶縁部材は、窒素及び炭素よりなる群から選択された少なくとも1つをさらに含む、アイソレータ。
【請求項2】
前記第2絶縁部材は酸素を含まない、または、前記第2絶縁部材おける酸素の濃度は、前記第3絶縁部材における酸素の濃度よりも低い、請求項
1に記載のアイソレータ。
【請求項3】
第1導電領域及び第2導電領域を含む第3導電部材をさらに備え、
前記第1導電領域は、前記第1方向において、前記第1部分と前記第4部分領域との間にあり、
前記第2導電領域は、前記第1方向において、前記第4部分領域と前記第2部分との間にあり、
前記第3導電部材は、Ti、Ta、TiN及びTaNよりなる群から選択された少なくとも1つを含む請求項
1または2に記載のアイソレータ。
【請求項4】
前記第1絶縁部材の前記第2方向に沿う長さは、5μm以上である、請求項1~
3のいずれか1つに記載のアイソレータ。
【請求項5】
第1導電部及び第2導電部をさらに備え、
前記第1絶縁部材の一部は、前記第2方向において、前記第1導電部及び前記第2導電部との間にあり、
前記第1導電部及び前記第2導電部の一方は、前記第1導電部材及び前記第2導電部材の一方と電気的に接続された、請求項1~
4のいずれか1つに記載のアイソレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、アイソレータに関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置などにアイソレータが用いられる。アイソレータにおいて、より安定した特性が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、安定な特性が得られるアイソレータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、アイソレータは、第1導電部材、第2導電部材、第1絶縁部材、第2絶縁部材及び第3絶縁部材を含む。前記第1導電部材は、第1部分領域、第2部分領域及び第3部分領域を含む。前記第1部分領域から前記第2部分領域への方向は、第1方向に沿う。前記第3部分領域は、前記第1部分領域と前記第2部分領域との間にある。前記第2導電部材は、第4部分領域及び第5部分領域を含む。前記第2導電部材は、前記第1導電部材と電気的に接続される。前記第4部分領域は、前記第1方向と交差する第2方向において、前記第3部分領域と前記第5部分領域との間にある。前記第1絶縁部材は、第1絶縁領域及び第2絶縁領域を含む。前記第5部分領域は、前記第1方向において、前記第1絶縁領域と前記第2絶縁領域との間にある。前記第2絶縁部材は、第3絶縁領域及び第4絶縁領域を含む。前記第4部分領域は、前記第1方向において、前記第3絶縁領域と前記第4絶縁領域との間にある。前記第3絶縁領域は、前記第2方向において前記第1部分領域と前記第1絶縁領域との間にある。前記第4絶縁領域は、前記第2方向において前記第2部分領域と前記第2絶縁領域との間にある。前記第3絶縁部材は、第1部分及び第2部分を含む。前記第1部分は、前記第1方向において、前記第3絶縁領域と前記第4部分領域との間にある。前記第2部分は、前記第1方向において、前記第4部分領域と前記第4絶縁領域との間にある。前記第3絶縁部材のヤング率は、前記第2絶縁部材のヤング率よりも低い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るアイソレータを例示する模式的断面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るアイソレータを例示する模式的断面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係るアイソレータを例示する模式的断面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係るアイソレータを例示する模式的断面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係るアイソレータを例示する模式的断面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係るアイソレータの特性を例示するグラフ図である。
【
図7】
図7(a)~
図7(c)は、第1実施形態に係るアイソレータの製造方法を例示する模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1及び
図2は、第1実施形態に係るアイソレータを例示する模式的断面図である。
図1は、
図2の一部を例示している。
【0009】
図1に示すように、実施形態に係るアイソレータ110は、第1導電部材11、第2導電部材12、第1絶縁部材31、第2絶縁部材32及び第3絶縁部材33を含む。
【0010】
第1導電部材11は、第1部分領域r1、第2部分領域r2及び第3部分領域r3を含む。第1部分領域r1から第2部分領域r2への方向は、第1方向に沿う。
【0011】
第1方向をX軸方向とする。X軸方向に対して垂直な1つの方向をZ軸方向とする。X軸方向及びZ軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0012】
第3部分領域r3は、第1方向(X軸方向)において、第1部分領域r1と第2部分領域r2との間にある。
【0013】
第2導電部材12は、第4部分領域r4及び第5部分領域r5を含む。第2導電部材12は、第1導電部材11と電気的に接続される。第4部分領域r4は、第2方向において、第3部分領域r3と第5部分領域r5との間にある。第2方向は、第1方向と交差する。第2方向は、例えば、Z軸方向である。
【0014】
第1絶縁部材31は、第1絶縁領域i1及び第2絶縁領域i2を含む。第5部分領域r5は、第1方向(X軸方向)において、第1絶縁領域i1と第2絶縁領域i2との間にある。
【0015】
第2絶縁部材32は、第3絶縁領域i3及び第4絶縁領域i4を含む。第4部分領域r4は、第1方向(X軸方向)において、第3絶縁領域i3と第4絶縁領域i4との間にある。第3絶縁領域i3は、第2方向(例えばZ軸方向)において、第1部分領域r1と第1絶縁領域i1との間にある。第4絶縁領域i4は、第2方向(Z軸方向)において、第2部分領域r2と第2絶縁領域i2との間にある。
【0016】
第3絶縁部材33は、第1部分p1及び第2部分p2を含む。第1部分p1は、第1方向(X軸方向)において、第3絶縁領域i3と第4部分領域r4との間にある。第2部分p2は、第1方向において、第4部分領域r4と第4絶縁領域i4との間にある。例えば、第1部分p1は、第3絶縁領域i3と接する。第2部分p2は、第4絶縁領域i4と接する。
【0017】
図2に示すように、アイソレータ110は、第1導電部51及び第2導電部52をさらに含んでも良い。これらの導電部は、例えばアンテナとして機能する。
図2に示すように、第1絶縁部材31の一部は、第2方向(Z軸方向)において、第1導電部51及び第2導電部52との間にある。第1導電部51及び第2導電部52の一方は、第1導電部材11及び第2導電部材12の一方と電気的に接続される。この例では、第1導電部51は、第1導電部材11と電気的に接続される。
【0018】
この例では、アイソレータ110は、接続部材55を含む。接続部材55は、第1導電部51及び第2導電部52の一方と、第1導電部材11及び第2導電部材12の一方と、を電気的に接続する。この例では、接続部材55は、第1導電部51と第1導電部材11とを電気的に接続する。
【0019】
第1導電部材11及び第2導電部材12は、第1絶縁部材31の1つの面(例えば下面)に設けられた導電部と、別の面(例えば、上面)に設けられた別の導電部と、の一方と接続される接続部として機能する。アイソレータ110は、例えば、デジタルアイソレータである。
【0020】
実施形態において、第3絶縁部材33のヤング率は、第2絶縁部材32のヤング率よりも低い。第2絶縁部材32のヤング率は、例えば、200GPa以上400Pa以下である。第3絶縁部材33のヤング率は、例えば、50GPa以上100Pa以下である。第3絶縁部材33のヤング率は、例えば、第2絶縁部材32のヤング率の1/2以下である。
【0021】
このような第3絶縁部材33を設けることで、第2絶縁部材32に生じる応力が緩和される。例えば、はがれが抑制される。例えばクラックが抑制される。例えば、良好な電気的な接続が安定して得られる。例えば、高い信頼性が得られる。
【0022】
第3絶縁部材33が設けられない参考例において、第2絶縁部材32の端部32e(第1導電部材11の側及び第2導電部材12の側のコーナ部:
図1参照)において、大きな応力が生じることが分かった。これにより、第2絶縁部材32の端部32eにおいて、はがれまたはクラックが生じやすいことが分かった。
【0023】
実施形態においては、ヤング率が低い第3絶縁部材33が設けられることで、応力が緩和される。これにより、例えば、良好な電気的な接続が得られる。例えば、高い信頼性が得られる。実施形態によれば、安定な特性が得られるアイソレータが提供できる。
【0024】
例えば、第3絶縁部材33が設けられない参考例において、第2絶縁部材32の端部32eに生じる応力は、4GPaである。これに対して、ヤング率が低い第3絶縁部材33が設けられる実施形態においては、第2絶縁部材32の端部32eに生じる応力は、2.6GPaである。このように、実施形態によれば、応力を抑制できる。
【0025】
第2絶縁部材32は、例えば、シリコン及び窒素を含む。第2絶縁部材32は、例えばSiNを含む。第2絶縁部材32は、例えばSi3N4などを含む。これにより、第2絶縁部材32において、化学的に安定な特性が得られる。例えば、第2絶縁部材32は、加工時のエッチングストッパなどとして機能できる。第2絶縁部材32は、例えば、保護膜として機能しても良い。
【0026】
第2絶縁部材32として用いられるこのような材料においては、ヤング率が高い。このため、応力が集中し易い。例えば、第1導電部材11及び第2導電部材12と、第2絶縁部材32と、の間の熱膨張係数の差などにより、第2絶縁部材32と第1導電部材11との間、及び/または、第2絶縁部材32と第2導電部材12との間において、はがれやクラックが生じる場合がある。
【0027】
一方、例えば、第3絶縁部材33は、シリコン及び酸素を含む。このような材料の第3絶縁部材33によれば、低いヤング率が得られる。このような材料を第3絶縁部材33に適用することで、応力が緩和される。安定な特性が得られるアイソレータが提供できる。
【0028】
実施形態において、第3絶縁部材33は、窒素及び炭素よりなる群から選択された少なくとも1つをさらに含んでも良い。第3絶縁部材33がこれらの元素を含むことで、第3絶縁部材33の特性が調整できる。
【0029】
例えば、第2絶縁部材32は酸素を含まなくて良い。または、第2絶縁部材32おける酸素の濃度は、第3絶縁部材33における酸素の濃度よりも低い。このような第2絶縁部材32により、例えば、第2絶縁部材32において、より高い化学的耐性が得られる。
【0030】
1つの例において、第3絶縁部材33のヤング率は、例えば、第2導電部材12のヤング率よりも低い。はがれまたはクラックがより効果的に抑制できる。
【0031】
1つの例において、第1絶縁部材31のヤング率は、第2絶縁部材32のヤング率よりも低い。これにより、局所的な応力がより抑制できる。
【0032】
第1絶縁部材31は、例えば、TEOS(tetraethoxysilane)による酸化シリコンを含む。これにより、低いヤング率が得られる。
【0033】
図1に示すように、この例では、アイソレータ110は、第3導電部材13をさらに含む。第3導電部材13は、第1導電領域c1及び第2導電領域c2を含む。第1導電領域c1は、第1方向(X軸方向)において、第1部分p1と第4部分領域r4との間にある。第2導電領域c2は、第1方向において、第4部分領域r4と第2部分p2との間にある。
【0034】
第3導電部材13は、例えば、バリアメタルである。第3導電部材13が設けられることで、例えば、高い密着力が得られる。例えば、はがれなどが抑制できる。
【0035】
例えば、第3絶縁部材33のヤング率は、第3導電部材13のヤング率よりも低い。これにより、応力がより緩和される。より安定な特性が得られるアイソレータが提供できる。
【0036】
例えば、第3導電部材は、Ti、Ta、TiN及びTaNよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。例えば、高い密着力が得易い。
【0037】
実施形態において、第1導電部材11及び第2導電部材12の少なくともいずれかは、銅、アルミニウム及びタングステンよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。例えば、低い抵抗が得やすい。
【0038】
図1に示すように、第3絶縁部材33は、第3部分p3及び第4部分p4を含んでも良い。第3部分p3は、第1方向(X軸方向)において、第1絶縁領域i1と第5部分領域r5との間にある。第4部分p4は、第1方向において、第5部分領域r5と第2絶縁領域i2との間にある。
【0039】
図1に示すように、第3導電部材13は、第3導電領域c3及び第4導電領域c4を含んでも良い。第3導電領域c3は、第1方向(X軸方向)において、第3部分p3と第5部分領域r5との間にあり。第4導電領域c4は、第1方向において、第5部分領域r5と第4部分p4との間にある。
【0040】
図1に示すように、第3導電部材13は、第5導電領域c5を含んでも良い。第5導電領域c5は、第3部分領域r3と第4部分領域r4との間にある。第5導電領域c5が設けられる場合、第2導電部材12は、第5導電領域c5を介して、第1導電部材11と電気的に接続される。
【0041】
例えば、第1導電領域c1は、第1部分p1及び第4部分領域r4と接する。第2導電領域c2は、第4部分領域r4及び第2部分p2と接する。
【0042】
例えば、X-Y平面内で、第4部分領域r4の周りに、第2絶縁部材32が設けられる。例えば、X-Y平面内で、第5部分領域r5の周りに、第1絶縁部材31が設けられる。例えば、第3絶縁部材33は、第4部分領域r4と第2絶縁部材32との間に設けられる。第3絶縁部材33は、第5部分領域r5と第1絶縁部材31との間に設けられる。第3絶縁部材33は、例えば、環状である。
【0043】
例えば、X-Y平面において、第3導電部材13の少なくとも一部は、第2導電部材12と第3絶縁部材33との間に設けられる。第3導電部材13は、例えば、環状である。第3絶縁部材33は、例えば、スペーサ層である。
【0044】
図2に示すように、電極53が設けられても良い。例えば、Z軸方向において、第2導電部材12は、第1導電部材11と電極53との間にある。例えば、第2導電部材12は、第1導電部材11と電極53とを電気的に接続する。
図2に示すように、電極53及び第2導電部52の周りに絶縁部材36が設けられても良い。第1導電部材11及び第1導電部51の周りに絶縁部材35が設けられても良い。
【0045】
図3は、第1実施形態に係るアイソレータを例示する模式的断面図である。
図3に示すように、実施形態に係るアイソレータ111においては、接続部材55は、第2導電部52と第2導電部材12とを電気的に接続する。アイソレータ111におけるこれ以外の構成は、アイソレータ110の構成と同様で良い。アイソレータ111においても、安定な特性が得られるアイソレータが提供できる。
【0046】
以下、アイソレータ110の例についてさらに説明する。以下の説明は、アイソレータ111にも適用できる。
【0047】
図4は、第1実施形態に係るアイソレータを例示する模式的断面図である。
図4に示すように、アイソレータ110において、第1絶縁部材31の第2方向(Z軸方向)に沿う長さを厚さt31とする。厚さt31は、例えば、5μm以上である。厚さt31は、例えば、8μm以上でも良い。厚さt31は、例えば、10μm以上でも良い。厚い第1絶縁部材31が設けられることで、第1導電部51及び第2導電部52との間において、電気的な絶縁が安定して得られる。厚さt31は、例えば、第1絶縁領域i1の厚さ、または、第2絶縁領域i2の厚さである。
【0048】
第2絶縁部材32の第2方向(Z軸方向)に沿う長さを厚さt32とする。厚さt32は、例えば、5nm以上20nm以下である。これにより、第2絶縁部材32において、安定したエッチングストップ機能が得られる。厚さt32は、例えば、第3絶縁領域i3の厚さ、または、第4絶縁領域i4の厚さである。
【0049】
第3絶縁部材33の第1方向(X軸方向)に沿う長さを厚さt33とする。厚さt33は、例えば、20nm以上100nm以下である。これにより、例えば、第2絶縁部材32に生じる応力が緩和できる。厚さt33は、例えば、第1部分p1の第1方向に沿う長さ、または、第2部分p2の第1方向に沿う長さである。
【0050】
第3導電部材13の第1方向(X軸方向)に沿う長さを厚さt13とする。厚さt13は、例えば、10nm以上100nm以下である。これにより、例えば、第2導電部材12に含まれる元素などの拡散を抑制できる。厚さt13は、例えば、第1導電領域c1の第1方向に沿う長さ、または、第2導電領域c2の第1方向に沿う長さで良い。
【0051】
図4に示すように、第2導電部材12の第2方向(Z軸方向)に沿う長さを長さL12とする。長さL12は、例えば、5μm以上である。長さL12は、例えば、8μm以上でも良い。長さL12は、例えば、10μm以上でも良い。
【0052】
第4部分領域r4の第1方向(X軸方向)に沿う長さを長さd4とする。長さd4は、例えば、長さL12の0.5倍以上1倍以下である。長さd4は、例えば、5μm以上である。長さd4は、例えば、8μm以上でも良い。長さd4は、例えば、10μm以上でも良い。第2導電部材12の体積は大きい。
【0053】
第5部分領域r5の第1方向(X軸方向)に沿う長さを長さd5とする。
図4に示す例では、第4部分領域r4の長さd4は、第5部分領域r5の長さd5よりも短い。第2導電部材12は例えば、テーパ状である。後述するように第2導電部材12の側面は、X-Y平面に対して実質的に垂直でも良い。
【0054】
図5は、第1実施形態に係るアイソレータを例示する模式的断面図である。
図5に示すように、実施形態に係るアイソレータ112も、第1導電部材11、第2導電部材12、第1絶縁部材31、第2絶縁部材32及び第3絶縁部材33を含む。アイソレータ112においては、第2導電部材12の側面は、X-Y平面に対して実質的に垂直である。例えば、アイソレータ112において、第3導電部材13の側面は、X-Y平面に対して実質的に垂直である。例えば、アイソレータ112においては、第3絶縁部材33の側面は、X-Y平面に対して実質的に垂直である。上記を除くアイソレータ112の構成は、アイソレータ110の構成と同じでよい。アイソレータ112においても応力が緩和される。安定な特性が得られるアイソレータが提供できる。
【0055】
図6は、第1実施形態に係るアイソレータの特性を例示するグラフ図である。
図6は、第3絶縁部材33の厚さt33と、第2絶縁部材32の端部32eに生じる応力P1と、の関係のシミュレーション結果を例示している。
図6の横軸は、厚さt33である。
図6の縦軸は、応力P1である。
図6には、第3導電部材13(例えばバリアメタル)の厚さt13が30nmのときと、60nmの時と、の結果が示されている。既に説明したように、厚さt33は、第3絶縁部材33の第1方向(X軸方向)に沿う長さ)に対応する。厚さt13は、第3導電部材13の第1方向(X軸方向)に沿う長さに対応する。シミュレーションにおいて、第1絶縁部材31のヤング率は、70GPaであり、第2絶縁部材32のヤング率は、230GPaであり、第3絶縁部材33のヤング率は、70GPaである。第1導電部材11及び第2導電部材12には、銅の物性値が適用される。第3導電部材13には、タンタルの物性値が適用される。
【0056】
図6に示すように、厚さt33が大きくなると、応力P1が減少する。厚さt33が60nm以上において、小さい応力P1が安定して得られる。
【0057】
図7(a)~
図7(c)は、第1実施形態に係るアイソレータの製造方法を例示する模式的断面図である。
図7(a)に示すように、第1導電部材11の上に第2絶縁部材32となる第1層が設けられ、その層の上に、第1絶縁部材31となる第2層が設けられる。これらの層の一部を除去して、孔h1を形成する。これにより、第2絶縁部材32及び第1絶縁部材31が得られる。上記の除去(孔h1の形成)は、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)などにより行われる。
【0058】
図7(b)に示すように、孔h1の側壁に、第3絶縁部材33となる膜33Fを形成する。膜33Fの形成は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)などにより行われる。
【0059】
図7(c)に示すように、不要な膜33Fを除去することで、第3絶縁部材33が得られる。不要な膜33Fの除去は、例えば、異方性エッチングにより行われる。
【0060】
この後、第3導電部材13を形成し、孔h1の残余の空間に導電部材を埋め込むことで、第2導電部材12が得られる。必要に応じて、CMP(chemical mechanical polishing)などにより、表面を平坦化する。これにより、実施形態に係るアイソレータ(例えばアイソレータ110など)が得られる。
【0061】
実施形態によれば、安定な特性が得られるアイソレータが提供できる。
【0062】
本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0063】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、アイソレータに含まれる導電部材、絶縁部材、導電部及び接続部材などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0064】
各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0065】
その他、本発明の実施の形態として上述したアイソレータを基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全てのアイソレータも、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0066】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
11~13…第1~第3導電部材、 31~33…第1~第3絶縁部材、 32e…端部、 33F…膜、 35、36…絶縁部材、 51、52…第1、第2導電部、 53…電極、 55…接続部材、 110、111、112…アイソレータ、 L12…長さ、 P1…応力、 c1~c5…第1~第5導電領域、 d4、d5…長さ、 h1…孔、 i1~i4…第1~第4絶縁領域、 p1~p4…第1~第4部分、 r1~r5…第1~第5部分領域、 t13、t31、t32、t33…厚さ