(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】シート処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B26D 5/34 20060101AFI20240422BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20240422BHJP
B26F 1/08 20060101ALI20240422BHJP
B26D 5/06 20060101ALI20240422BHJP
B26D 7/06 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
B26D5/34 A
B65H37/04 Z
B26F1/08 A
B26D5/06 Z
B26D7/06 Z
(21)【出願番号】P 2020041338
(22)【出願日】2020-03-10
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 隆洋
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-274772(JP,A)
【文献】特開平10-279170(JP,A)
【文献】特開2013-237546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 5/34
B65H 37/04
B26F 1/08
B26D 5/06
B26D 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送方向に搬送する搬送部と、
回転可能に支持され、前記搬送部によって搬送されているシートに
前記搬送方向における所定位置において穿孔する穿孔処理を行うパンチ部材と、
前記パンチ部材を前記搬送方向と直交するシートの幅方向に移動させるパンチ移動手段と、
前記所定位置よりも前記搬送方向上流に配置され、前記幅方向に関してシートの端部位置を検知可能な位置検知手段と、
前記パンチ移動手段を制御する制御手段と、を備え、
前記パンチ部材により最初に前記穿孔処理が行われるべきシートの部位を最初の穿孔位置とした場合、
前記制御手段は、前記所定位置に連続して搬送される先行シートと後続シートに前記穿孔処理を行う場合において、
前記後続シートの前記最初の穿孔位置における前記幅方向の端部が前記位置検知手段に到達した時の前記位置検知手段の検知結果に基づいて、前記最初の穿孔位置に前記穿孔処理を行うための前記パンチ部材の目標位置を決定し、前記後続シートの前記最初の穿孔位置が前記所定位置に到達するまでに前記パンチ部材を前記目標位置に移動させるように構成されており、
前記制御手段は、前記後続シートの前記最初の穿孔位置よりも先端側の所定部位における前記幅方向の端部が前記位置検知手段に到達した時の前記位置検知手段の検知結果に基づいて前記後続シートの前記最初の穿孔位置を予測し、前記先行シートに対する
前記穿孔処理の終了後、且つ、前記後続シートの
前記最初
の穿孔位置における前記幅方向の端
部が前記位置検知手段に到達する前に、
前記予測した最初の穿孔位置に向けて前記パンチ部材の前記幅方向の移動を開始する予備移動を実行可能である、
ことを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
前記所定部位は、前記後続シートの先端である、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記先行シートの前記幅方向の長さと前記後続シートの前記幅方向の長さとが異なる場合には
、前記後続シート
の先端における前記幅方向の端
部が前記位置検知手段に到達する前に
、前記先行シートの前記幅方向の長さと前記後続シートの前記幅方向の長さとの関係に基づいて予測した最初の穿孔位置に向けて前記パンチ部材の移動を開始する、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記先行シートに対する
前記穿孔処理の終了時における前記パンチ部材の位置から前記予測した
最初の穿孔位置までの移動量である予測移動量が、所定の閾値を超える場合に前記予備移動を実行し、
前記予測移動量が前記所定の閾値以下である場合には前記予備移動を実行しない、
ことを特徴とする、請求項
1から3の何れか1項に記載のシート処理装置。
【請求項5】
前記所定の閾値は、前記後続シートの前記
最初の穿孔位置における前記幅方向の端部位置を前記位置検知手段により検知した時点から前記後続シートの前記
最初の穿孔位置に前記穿孔処理を開始するまでの時間内において、前記パンチ移動手段により前記パンチ部材を移動可能な最大移動量以上の値である、
ことを特徴とする、請求項
4に記載のシート処理装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記予備移動を開始してから
前記パンチ部材の前記目標位置が決定される前に、前記予備移動中の
前記パンチ部材の移動量が所定の上限値に達した場合には、前記予備移動を停止する、
ことを特徴とする、請求項
1から3の何れか1項に記載のシート処理装置。
【請求項7】
前記所定の上限値は、前記先行シートに対する前記穿孔処理の終了時
における前記パンチ部材の位置から
、前記予測した
最初の穿孔位置までの予測移動量である、
ことを特徴とする、請求項
6に記載のシート処理装置。
【請求項8】
前記所定の上限値は、
前記先行シートに対する前記穿孔処理の終了時における前記パンチ部材の位置から、前記予測した最初の穿孔位置までの予測移動量よりも少ない所定量
である、
ことを特徴とする、請求項
6に記載のシート処理装置。
【請求項9】
前記所定の上限値は、前記先行シートに対する前記穿孔処理の終了時における前記パンチ部材の位置から、前記予測した最初の穿孔位置までの予測移動量よりも多い所定量である、
ことを特徴とする、請求項6に記載のシート処理装置。
【請求項10】
シートを搬送方向に搬送する搬送部と、
回転可能に支持され、前記搬送部によって搬送されているシートに前記搬送方向における所定位置において穿孔する穿孔処理を行うパンチ部材と、
前記パンチ部材を前記搬送方向と直交するシートの幅方向に移動させるパンチ移動手段と、
前記所定位置よりも前記搬送方向上流に配置され、前記幅方向に関してシートの端部位置を検知可能な位置検知手段と、
前記パンチ移動手段を制御する制御手段と、を備え、
前記パンチ部材により最初に前記穿孔処理が行われるべきシートの部位を最初の穿孔位置とした場合、
前記制御手段は、
前記所定位置に連続して搬送される先行シートと後続シートに前記穿孔処理を行う場合において、
前記後続シートの先端における前記幅方向の端部が前記位置検知手段の位置に到達することを条件として、前記位置検知手段で前記後続シートの端部位置を測定し、測定結果から前記後続シートの前記最初の穿孔位置を予測して前記パンチ部材の予測移動量を算出し、
前記先行シートに対する前記穿孔処理の終了後、且つ、前記後続シートの前記最初の穿孔位置における前記幅方向の端部が前記位置検知手段に到達する前に、前記予測移動量に基づいて前記パンチ部材の前記幅方向の移動を開始し、
前記後続シートの前記最初の穿孔位置における前記幅方向の端部が前記位置検知手段の位置に到達することを条件として、前記位置検知手段で前記後続シートの端部位置を測定し、測定結果から前記最初の穿孔位置に対応する前記パンチ部材の目標位置を算出し、
前記後続シートの前記最初の穿孔位置が前記所定位置に到達するまでに、前記パンチ部材を前記目標位置に移動させる、
ことを特徴とするシート処理装置。
【請求項11】
前記パンチ移動手段は、前記制御手段により制御される駆動源と、前記駆動源の駆動により前記パンチ部材を前記幅方向に移動させる移動機構と、有し、
前記駆動源は、ステッピングモータである、
ことを特徴とする、請求項1
から10の何れか1項に記載のシート処理装置。
【請求項12】
前記位置検知手段は
、前記幅方向に並
んで配置された複数の画像素子を有するラインセンサである、
ことを特徴とする、請求項1
から11の何れか1項に記載のシート処理装置。
【請求項13】
シートに画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置からシートを受け取ってシートに穿孔処理を行う、請求項1
から12の何れか1項に記載のシート処理装置と、を備えた、
ことを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを処理するシート処理装置及びこれを備える画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ等の画像形成装置に接続され、画像形成装置から排出されたシートに穿孔処理を施すフィニッシャが提案されている(特許文献1参照)。このフィニッシャは、シートを検知するシート検知センサと、シートを搬送する搬送ローラ対と、搬送ローラ対によって搬送されるシートに穿孔する穿孔装置と、を有している。穿孔装置は、ケーシングにそれぞれ軸支されるパンチ及びダイスと、パンチ及びダイスを同期させて駆動させるパンチ駆動モータと、を有している。
【0003】
また、特許文献1では、シート検知センサによりシートの先端を検知した後、所定タイミングでシート搬送方向と直交するシートの幅方向の端部位置をシート側端検知センサによって検知し、検知した情報に基づいて穿孔装置を幅方向に移動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、画像形成装置では、先行シートの後端と後続シートの先端との間隔(以下、紙間とする)を短くし、生産性を向上することが求められている。ここで、特許文献1には、紙間を跨いだ場合の穿孔装置の制御については記載されていない。一方、先行シートの穿孔位置に対して後続シートの穿孔位置が幅方向に大きくずれていた場合や、シートが斜行して搬送された場合などには、先行シートに対する穿孔処理が終了した後に後続シートに穿孔処理を行うための穿孔装置の幅方向の移動量が多くなる。したがって、このような場合には、短い紙間で連続してシートに穿孔処理を施すことは難しい。
【0006】
本発明は、シートに連続して穿孔処理を行う場合に、生産性の向上を図れる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るシート処理装置は、シートを搬送方向に搬送する搬送部と、回転可能に支持され、前記搬送部によって搬送されているシートに前記搬送方向における所定位置において穿孔する穿孔処理を行うパンチ部材と、前記パンチ部材を前記搬送方向と直交するシートの幅方向に移動させるパンチ移動手段と、前記所定位置よりも前記搬送方向上流に配置され、前記幅方向に関してシートの端部位置を検知可能な位置検知手段と、前記パンチ移動手段を制御する制御手段と、を備え、前記パンチ部材により最初に前記穿孔処理が行われるべきシートの部位を最初の穿孔位置とした場合、前記制御手段は、前記所定位置に連続して搬送される先行シートと後続シートに前記穿孔処理を行う場合において、前記後続シートの前記最初の穿孔位置における前記幅方向の端部が前記位置検知手段に到達した時の前記位置検知手段の検知結果に基づいて、前記最初の穿孔位置に前記穿孔処理を行うための前記パンチ部材の目標位置を決定し、前記後続シートの前記最初の穿孔位置が前記所定位置に到達するまでに、前記パンチ部材を前記目標位置に移動させるように構成されており、前記制御手段は、前記後続シートの前記最初の穿孔位置よりも先端側の所定部位における前記幅方向の端部が前記位置検知手段に到達した時の前記位置検知手段の検知結果に基づいて前記後続シートの前記最初の穿孔位置を予測し、前記先行シートに対する前記穿孔処理の終了後、且つ、前記後続シートの前記最初の穿孔位置における前記幅方向の端部が前記位置検知手段に到達する前に、前記予測した最初の穿孔位置に向けて前記パンチ部材の前記幅方向の移動を開始する予備移動を実行可能である、ことを特徴とする。
本発明の他の一態様に係るシート処理装置は、シートを搬送方向に搬送する搬送部と、回転可能に支持され、前記搬送部によって搬送されているシートに前記搬送方向における所定位置において穿孔する穿孔処理を行うパンチ部材と、前記パンチ部材を前記搬送方向と直交するシートの幅方向に移動させるパンチ移動手段と、前記所定位置よりも前記搬送方向上流に配置され、前記幅方向に関してシートの端部位置を検知可能な位置検知手段と、前記パンチ移動手段を制御する制御手段と、を備え、前記パンチ部材により最初に前記穿孔処理が行われるべきシートの部位を最初の穿孔位置とした場合、前記制御手段は、前記所定位置に連続して搬送される先行シートと後続シートに前記穿孔処理を行う場合において、前記後続シートの先端における前記幅方向の端部が前記位置検知手段の位置に到達することを条件として、前記位置検知手段で前記後続シートの端部位置を測定し、測定結果から前記後続シートの前記最初の穿孔位置を予測して前記パンチ部材の予測移動量を算出し、前記先行シートに対する前記穿孔処理の終了後、且つ、前記後続シートの前記最初の穿孔位置における前記幅方向の端部が前記位置検知手段に到達する前に、前記予測移動量に基づいて前記パンチ部材の前記幅方向の移動を開始し、前記後続シートの前記最初の穿孔位置における前記幅方向の端部が前記位置検知手段の位置に到達することを条件として、前記位置検知手段で前記後続シートの端部位置を測定し、測定結果から前記最初の穿孔位置に対応する前記パンチ部材の目標位置を算出し、前記後続シートの前記最初の穿孔位置が前記所定位置に到達するまでに、前記パンチ部材を前記目標位置に移動させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シートに連続して穿孔処理を行う場合に、生産性の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施の形態に係る画像形成装置を示す全体概略図。
【
図2】(a)ホームポジションに位置するパンチ及びダイスの模式図、(b)穿孔開始位置に位置するパンチ及びダイスの模式図、(c)噛合位置に位置するパンチ及びダイスの模式図、(d)穿孔終了位置に位置するパンチ及びダイスの模式図。
【
図3】第1の実施形態に係る穿孔装置の横移動の構成を示す概略図。
【
図4】第1の実施の形態に係る画像形成システムのハードウェア構成を示すブロック図。
【
図5】第1の実施の形態に係る画像形成システムの機能構成を示すブロック図。
【
図6】先行シートと後続シートが横方向にずれた位置で搬送される状態を示す模式図。
【
図7】(a)ないし(e)第1の実施形態において、先行シートと後続シートの穿孔位置の横方向の距離が短い場合の穿孔装置の動作を順に示す模式図。
【
図8】第1の実施形態に係る穿孔処理の制御を示すフローチャート。
【
図9】(a)ないし(e)第1の実施形態において、先行シートと後続シートの穿孔位置の横方向の距離が長い場合の穿孔装置の動作を順に示す模式図。
【
図10】第2の実施の形態に係る画像形成システムの機能構成を示すブロック図。
【
図11】先行シートと後続シートが斜行した状態で搬送される状態を示す模式図。
【
図12】第3の実施の形態に係る画像形成システムの機能構成を示すブロック図。
【
図13】先行シートの幅と異なる幅の後続シートが搬送される状態を示す模式図で、(a)後続シートの先端がラインセンサに到達していない状態を、(b)後続シートの先端がラインセンサに到達した状態を、それぞれ示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施の形態>
第1の実施形態について
図1ないし
図9を用いて説明する。まず、本実施形態の画像形成システムについて、
図1を用いて説明する。
【0011】
〔画像形成システム〕
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成システム1Sは、画像形成装置1、画像読取装置2、原稿送り装置3及びシート処理装置4によって構成される。画像形成システム1Sは、記録材であるシートに画像を形成し、必要に応じてシート処理装置4によってシートに処理を施して出力する。なお、シートとしては、用紙、プラスティックシートなどが挙げられる。以下、各装置の簡単な動作を説明した後、シート処理装置4について詳細な説明を行う。
【0012】
原稿送り装置3は、原稿トレイ18に載置された原稿を画像読取部16,19に搬送する。画像読取部16,19はそれぞれ原稿面から画像情報を読み取るイメージセンサであり、1度の原稿搬送で原稿の両面の読み取りが行われる。画像情報を読み取られた原稿は原稿排出部20に排出される。また、画像読取装置2は駆動装置17により画像読取部16を往復移動させることで、原稿台ガラスにセットされた静止原稿(ブックレット原稿などの原稿送り装置3が使用できない原稿を含む)から画像情報を読み取ることができる。
【0013】
画像形成装置1は、直接転写方式の画像形成部1Bを備えた電子写真装置である。画像形成部1Bは、感光ドラム9を備えたカートリッジ8と、カートリッジ8の上方に配置されたレーザスキャナユニット15と、を備えている。画像形成動作を行う場合、回転する感光ドラム9の表面が帯電させられ、レーザスキャナユニット15が画像情報に基づいて感光ドラム9を露光することでドラム表面に静電潜像を書き込む。感光ドラム9に担持された静電潜像は帯電したトナー粒子によってトナー像に現像され、感光ドラム9と転写ローラ10とが対向する転写部にトナー像が搬送される。画像形成装置1のコントローラは、画像読取部16,19によって読み取られた画像情報又は外部のコンピュータからネットワークを介して受信した画像情報に基づいて画像形成部1Bによる画像形成動作を実施する。
【0014】
画像形成装置1は、記録材としてのシートを1枚ずつ所定の間隔で給送する給送装置6を複数備えている。給送装置6から給送されたシートはレジストレーションローラ7にて斜行を補正された後に転写部に搬送され、転写部において、感光ドラム9に担持されたトナー像を転写される。シート搬送方向における転写部の下流には定着ユニット11が配置されている。定着ユニット11は、シートを挟持して搬送する回転体対と、トナー像を加熱するためのハロゲンランプ等の発熱体とを有し、シート上のトナー像を加熱及び加圧することで画像の定着処理を行う。
【0015】
画像形成されたシートを画像形成装置1の外部に排出する場合、定着ユニット11を通過したシートは水平搬送部14を介してシート処理装置4に搬送される。両面印刷において第1面の画像形成が終了したシートの場合、定着ユニット11を通過したシートは反転ローラ12に受け渡され、反転ローラ12によってスイッチバック搬送され、再搬送部13を介して再びレジストレーションローラ7に搬送される。そして、シートは、再び転写部及び定着ユニット11を通過することで第2面に画像を形成された後、水平搬送部14を介してシート処理装置4に搬送される。
【0016】
上記の画像形成部1Bはシートに画像を形成する画像形成部の一例であり、感光体に形成したトナー像を中間転写体を介してシートに転写する中間転写方式の電子写真ユニットを用いてもよい。また、インクジェット方式やオフセット印刷方式の印刷ユニットを画像形成部として用いてもよい。
【0017】
[シート処理装置]
シート処理装置4は、シートに穿孔処理を施す穿孔装置60を有し、画像形成装置1から受け取ったシートに穿孔処理を施してシート束として排出する。また、シート処理装置4は、画像形成装置1から受け取ったシートに穿孔処理を施さずに単に排出することもできる。
【0018】
シート処理装置4には、シートを搬送する搬送路として受入パス81、内排出パス82、第1排出パス83及び第2排出パス84が設けられており、シートを排出する排出先として上排出トレイ25及び下排出トレイ37が設けられている。第1搬送路としての受入パス81は、画像形成装置1からシートを受け取って案内する搬送路であり、第2搬送路としての内排出パス82は、受入パス81の下方に延び、整合部4Aへ向けてシートを案内する搬送路である。第1排出パス83は、シートを上排出トレイ25に排出する搬送路であり、第3搬送路としての第2排出パス84は、中間積載部39から束排出ローラ36に向けて延び、シートを束排出ローラ36に案内する搬送路である。
【0019】
画像形成装置1の水平搬送部14から排出されるシートは、受入パス81に配置された搬送部としての入口ローラ21によって受け取られ、受入パス81を通って反転前ローラ22へ向けてシートの搬送方向Xに沿って搬送される。シートの搬送方向Xにおいて入口ローラ21と反転前ローラ22との間には、穿孔装置60が配置されており、受入パス81を搬送されるシートは、後述する穿孔装置60によって穿孔処理が施される。また、入口センサ27は、入口ローラ21と反転前ローラ22との間の第2検知位置でのシートの有無に基づいて出力値(例えば電圧値や出力信号)を変化させる。第2センサとしての入口センサ27は、後述する搬送方向Xにおけるラインセンサ68、パンチ前センサ63の上流に位置している。反転前ローラ22は、入口ローラ21から受け取ったシートを第1排出パス83へ向けて搬送する。
【0020】
なお、入口ローラ21によるシートの搬送速度を水平搬送部14よりも大きく設定し、入口ローラ21がシートを受け取った後にシートの搬送速度を加速してもよい。この場合、水平搬送部14の搬送ローラとこれを駆動するモータとの間にワンウェイクラッチを設置し、入口ローラ21によってシートが引っ張られたとしても搬送ローラが空転するように構成すると好適である。
【0021】
シートの排出先が上排出トレイ25の場合、反転ローラ24は反転前ローラ22から受け取ったシートを上排出トレイ25に排出する。シートの排出先が下排出トレイ37の場合、反転部としての反転ローラ24は反転前ローラ22から受け取ったシートを反転させるスイッチバック搬送を行って、シートを内排出パス82に搬送する。反転ローラ24によるシートの排出方向において反転ローラ24よりも上流側で受入パス81及び内排出パス82が第1排出パス83から分岐する分岐部には、逆流防止弁23が配置されている。逆流防止弁23は、反転ローラ24によってスイッチバックされたシートが受入パス81に逆流することを規制する機能を有する。
【0022】
内排出パス82に配置された回転体対としての内排出ローラ26、中間搬送ローラ28及び蹴り出しローラ29は、反転ローラ24から受け取ったシートを順に受け渡しながら整合部4Aへ向けて搬送する。中間積載前センサ38は、中間搬送ローラ28と蹴り出しローラ29との間でシートを検知する。入口センサ27、パンチ前センサ63及び中間積載前センサ38としては、例えば光を用いて検知位置におけるシートの有無を検出する光学センサや、シートに押圧されるフラグを用いたフラグセンサが用いられる。
【0023】
整合部4Aは、束押さえフラグ30と、積載部としての中間積載部39と、束排出ガイド34と、駆動ベルト35と、を有している。中間積載部39は、中間上ガイド31及び中間下ガイド32から構成され、複数枚のシートがシート束として積載される。ローラ対からなる蹴り出しローラ29によって中間積載部39に向けて排出されたシート束は、束押さえフラグ30によって中間下ガイド32に押し付けられる。
【0024】
そして、中間積載部39に排出されたシート束は、中間下ガイド32に沿って下方に案内され、中間積載部39のシート搬送方向における下流端部に設けられる縦整合板によって整合される。また、縦整合板によってシート搬送方向に整合されたシート束は、不図示の横整合板によってシート搬送方向に直交する幅方向に整合される。このような整合処理が行われた後、シート束は、駆動ベルト35に固定された束排出ガイド34によって押し出され、第2排出パス84を介して束排出ローラ36に受け渡される。シート束は、排出部としての束排出ローラ36によって機外へ排出されて下排出トレイ37に積載される。
【0025】
上排出トレイ25及び下排出トレイ37は、いずれもシート処理装置4の筐体に対して上下に移動可能である。シート処理装置4は、上排出トレイ25及び下排出トレイ37におけるシートの上面位置(シートの積載高さ)を検知するシート面検知センサを備えており、いずれかのセンサがシートを検知すると、対応するトレイをA2,B2方向に下降させる。また、上排出トレイ25又は下排出トレイ37のシートが取り除かれたことをシート面検知センサによって検知すると、そのトレイをA1,B1方向に上昇させる。従って、上排出トレイ25及び下排出トレイ37は、積載されたシートの上面を一定に保つように昇降制御される。
【0026】
[穿孔装置]
次に、穿孔装置60、ラインセンサ68、パンチ前センサ63について説明する。穿孔装置60は、回転するパンチ部材であるパンチによってシートに穿孔するロータリー方式の穿孔装置である。穿孔装置60は、
図2(a)に示すように、パンチ軸65を中心に回転可能に支持されるパンチ61と、ダイス軸66を中心に回転するダイス62を有している。パンチ61は、ダイス62と共に回転しながら入口ローラ21(
図1)によって搬送されるシートに所定位置において穿孔する穿孔処理を行う。
【0027】
穿孔装置60よりも搬送路上流側(シートの搬送方向Xに関して上流側)には、パンチ前センサ63、ラインセンサ68と、が配置される。ダイス62は、パンチ61に噛合可能なダイス穴64を有しており、パンチ軸65及びダイス軸66は、パンチ駆動モータ102(
図4参照)によって駆動される不図示のギヤに噛合している。駆動源としてのパンチ駆動モータ102が駆動することで、
図2(a)において、パンチ61は、時計回り方向に回転し、ダイス62は、反時計回り方向に回転する。
【0028】
第1センサとしてのパンチ前センサ63は、搬送方向Xにおいてパンチ61及びダイス62よりも上流に位置する第1検知位置にてシートを検知する。より具体的には、パンチ前センサ63は、第1検知位置におけるシートの有無に基づいて出力値(例えば電圧値や出力信号)を変化させるため、シートの先端や後端が検知位置を通過する際に、出力値が変化する。
【0029】
位置検知手段としてのラインセンサ68は、CCDセンサ、或いはCMOSセンサといった複数の画像素子を、搬送方向Xと直交するシートの幅方向(横方向)Yに一列に並べたものである。このようなラインセンサ68は、穿孔処理を行う穿孔装置60の所定位置よりも搬送方向上流に配置され、幅方向Yに関してシートの端部位置を検知可能である。即ち、ラインセンサ68は、シートの有る場所と紙の無い場所でセンサの検知結果が変化することを利用し、シートの端部位置を検出するためのものである。
【0030】
図2(a)は、ホームポジションに位置するパンチ61及びダイス62を示す模式図である。パンチ61及びダイス62は、シートに画像を形成する画像形成ジョブの開始時及び終了時にはホームポジションに位置し、ジョブが入力されていない間もホームポジションで停止している。パンチ61及びダイス62は、ホームポジションにおいて、シートの搬送を妨げることが無いように配置されている。また、パンチ61のホームポジションは、回転方向においてパンチ61及びダイス62が噛合する噛合位置よりも角度θだけ上流に回転した位置である。
【0031】
図2(b)は、パンチ61がホームポジションから回転してシートに接する位置におけるパンチ61及びダイス62の模式図であり、この位置からシートの穿孔が始まる。即ち、
図2(b)は、パンチ61及びダイス62の穿孔開始位置を示している。この時のパンチ61の回転位置は、回転方向において噛合位置よりも角度θ1だけ上流に回転した位置である。
【0032】
図2(c)は、噛合位置に位置するパンチ61及びダイス62を示す模式図である。パンチ61及びダイス62が噛合位置に位置すると、パンチ61がダイス62のダイス穴64に噛み合い、シートが穿孔される。
【0033】
図2(d)は、穿孔終了位置に位置するパンチ61及びダイス62を示す模式図である。この位置でパンチ61はシートから離れる。この時のパンチ61の回転位置は、回転方向において噛合位置よりも角度θ2だけ下流に回転した位置である。
【0034】
このように、パンチ61及びダイス62は、ホームポジションで待機し、パンチ前センサ63がシートの先端を検知したことに基づいて、パンチ駆動モータ102によって所定のタイミングで駆動開始される。この時、パンチ61及びダイス62の周速度とシートの搬送速度が一致するようにパンチ駆動モータ102は制御され、穿孔時にシートが皺になったり破れたりすることを防止している。パンチ61及びダイス62は、穿孔終了位置にて穿孔されたシートから離間する。
【0035】
図3は、穿孔装置60、ラインセンサ68、パンチ前センサ63の配置を上方から見た図である。シート78は、穿孔装置60に向けて入口ローラ21によって搬送方向X(図中の矢印の方向)に沿って搬送される。入口ローラ21は、回転駆動することによりシートを搬送方向Xに沿って搬送するローラである。パンチ前センサ63は、シートの搬送路の幅方向Yの中心にあり、シートの幅方向Yの中央部における搬送方向Xの先端および後端が通過することを検知する。ラインセンサ68は、シートが通過するとシート有無で各画像センサの検知結果が変化し、シートの左端位置(
図3の下端位置)を検知できるようになっている。なお、幅方向Yは、入口ローラ21の回転軸線方向と略平行な方向である。
【0036】
穿孔装置60は、ラックギア70と結合している。ピニオンギア75は、パンチ横移動モータ74の回転駆動をラックギア70に伝達する。パンチ移動手段としてのパンチ移動装置70Aは、駆動源としてのパンチ横移動モータ74と、移動機構70Bとを有する。本実施形態では、パンチ横移動モータ74をステッピングモータとしている。移動機構70Bは、上述のようにピニオンギア75と、ラックギア70とを有するラック・アンド・ピニオンの構成となっている。そして、移動機構70Bがパンチ横移動モータ74の回転により駆動され、穿孔装置60を幅方向Yに沿ってガイド軸77にガイドされた状態で移動(横移動)させる。
【0037】
パンチ横移動ホームポジション(HP)センサ71は、発光部と受光部から構成されるフォトインタラプタである。センサフラグ72は、穿孔装置60に一体化して取り付けられており、穿孔装置60の横移動と共に移動する。穿孔装置60が、シート左端側に横移動していくとセンサフラグ72がパンチ横移動ホームポジションセンサ71の発光部と受光部の間に入り込む。一方、穿孔装置60が、シート左端側から中央側に横移動していくとセンサフラグ72は、パンチ横移動ホームポジションセンサ71の発光部と受光部の間から抜ける。これによって、パンチ横移動ホームポジションセンサ71の出力が変化し、穿孔装置60の横移動位置が特定できる。
【0038】
穿孔装置60のホームポジションは、パンチ横移動ホームポジションセンサ71が遮光されてから所定量だけ外側(シート左端側)に進んだ位置としている。このホームポジション位置にあれば、装置で処理可能な最大幅のシートを搬送した場合であっても、パンチ61がシートに当たることがなく、パンチ61を退避できていることになる。
【0039】
シートに穿孔する際は、穿孔装置60をホームポジションから穿孔位置まで横移動させる。シートの左端位置から穿孔位置までの幅方向Yの長さは、予め定められている。したがって、シートの幅(幅方向の長さ)やシートの端部位置に基づいて、穿孔装置60を所望の穿孔位置まで移動させることができる。
【0040】
即ち、穿孔装置60がホームポジションにあるときに、パンチ横移動モータ74を穿孔装置60がシート中心方向に移動する方向に駆動を開始する。すると、穿孔装置60が移動してセンサフラグ72がパンチ横移動ホームポジションセンサ71の発光部と受光部の間から外れる。これにより、パンチ横移動ホームポジションセンサ71の信号が変化し、この変化タイミングを起点として所定量、パンチ横移動モータ74を駆動することによって、穿孔装置60をシート幅に応じた所望の穿孔位置へ移動させることができる。シートの穿孔処理が終了すると、穿孔装置60を再びホームポジションへ移動させる。
【0041】
[ハードウェア構成]
図4は、画像形成システム1Sのハードウェア構成を示すブロック図である。なお、
図4では、主に本実施形態の制御に関係するシート処理装置4の構成を示し、他の構成は省略している。
【0042】
画像形成システム1Sは、
図4に示すように、主制御部101と、ビデオコントローラ119と、エンジン制御部301と、を有しており、ビデオコントローラ119は、画像形成装置1とシート処理装置4とを統括する。エンジン制御部301は、画像形成装置1を制御し、主制御部101は、シート処理装置4を制御する。
【0043】
ビデオコントローラ119は、エンジン制御部301及び主制御部101にそれぞれシリアルコマンド送信信号線302,304を介して接続されており、これらエンジン制御部301及び主制御部101へ命令をシリアル通信で送信する。エンジン制御部301は、ビデオコントローラ119にシリアルステータス送信信号線303を介して接続されており、ビデオコントローラ119にステータスデータをシリアル通信で送信する。制御手段としての主制御部101は、ビデオコントローラ119にシリアルステータス送信信号線305を介して接続されており、ビデオコントローラ119にステータスデータをシリアル通信で送信する。
【0044】
画像形成動作を行うに当たり、ビデオコントローラ119は、エンジン制御部301及び主制御部101に対し、シリアルコマンドを送信すると共に、エンジン制御部301及び主制御部101からのステータスデータを受信することで制御を行っている。このように、複数の装置が接続され動作する場合は、ビデオコントローラ119が各装置の制御や状態を一元管理し、各装置間の動作の整合性を保っている。
【0045】
主制御部101は、CPU306、RAM307、ROM308、システムタイマ111、通信部315、I/Oポート310等を有している。CPU306は、シート処理装置4の各種動作を制御する中央演算装置である。RAM307は、シート処理装置4の動作に必要となる制御データを一時的に記憶する揮発性メモリである。ROM308は、プログラムやシート処理装置4の動作に必要となる制御テーブルを記憶する不揮発性メモリである。
【0046】
システムタイマ111は、各種制御に必要なタイミングを生成し、通信部315は、ビデオコントローラ119との交信処理を行う。これらCPU306、RAM307、ROM308、システムタイマ111及び通信部315は、バス309を介してI/Oポート310に接続されており、I/Oポート310は、シート処理装置4の各種ユニットへ制御信号を出入力する。より具体的には、I/Oポート310は、横移動ホームポジション(HP)センサ入力回路318を介して横移動ホームポジション(HP)センサ71に接続されている。また、I/Oポート310は、ラインセンサ入力回路316及びパンチ前センサ入力回路312をそれぞれ介して、横移動ホームポジション(HP)センサ71、ラインセンサ68及びパンチ前センサ63に接続されている。更に、I/Oポート310は、パンチ駆動モータ駆動回路313及びパンチ横移動モータ駆動回路317をそれぞれ介して、パンチ駆動モータ102及びパンチ横移動モータ74に接続されている。
【0047】
[機能構成]
図5は、画像形成システム1Sの機能構成を示すブロック図である。なお、
図5では、主に本実施の形態のシートへの穿孔制御に関係する部分のみを抜き出して示し、他の部分は省略している。
【0048】
主制御部101は、
図5に示すように、システムタイマ111、穿孔制御部112、センサ制御部116及びモータ制御部117を有しており、画像形成システム1Sにおけるシートの搬送及び穿孔の制御を行う。センサ制御部116には、ラインセンサ68、パンチ前センサ63、パンチ横移動ホームポジション(HP)センサ71からの信号が入力される。そして、センサ制御部116は、各センサでのシートの有無に関する情報、シート端部位置に関する情報を穿孔制御部112に出力する。穿孔制御部112は、モータ制御部117を制御することで、パンチ61及びダイス62を駆動するパンチ駆動モータ102と、穿孔装置60を駆動するパンチ横移動モータ74と、を駆動させる。
【0049】
穿孔制御部112は、予測移動量算出部113と、予備移動実行判断部121と、横移動確定位置算出部115と、横移動制御部114を有している。穿孔制御部112は、センサ制御部116を介してパンチ前センサ63の信号変化によってシートの先端位置がパンチ前センサ位置を通過することを検知する。この検知タイミングに基づいて、ラインセンサ68によって後続の穿孔位置よりもシートの搬送方向Xの先端における幅方向Yの端部位置(本実施形態ではシートの左端位置)を検知する。
【0050】
予測移動量算出部113は、ラインセンサ68の検知結果から、先行シートの最終穿孔位置と後続シートの最初の穿孔位置との幅方向Yにおける間隔である横移動量を予測し算出する。先行シートの最終穿孔位置は、現在のパンチの横移動位置であり、後続の穿孔開始までに、予測した横移動量だけパンチを横移動させる。予備移動実行判断部121は、予測移動量算出部113によって算出された横移動量の予測値から、パンチの横移動を実行するか否かを判断する。
【0051】
横移動確定位置算出部115は、穿孔位置のシート左端位置がラインセンサ68の位置に到達したタイミングを、パンチ前センサ63でシート先端が通過したタイミングを基に判断する。そして、そのタイミングでラインセンサ68によってシート左端位置を検知することで最終的なパンチの横移動確定位置を算出する。
【0052】
横移動制御部114は、予測移動量算出部113または、横移動確定位置算出部115で横移動量が算出された後、パンチ横移動を開始するタイミングを制御し、モータ制御部117を介してパンチ横移動モータ74に駆動指示する
【0053】
[先行シートと後続シートの幅方向のずれについて]
次に、
図6を用いて、連続して搬送されるシートのうち、先行するシートを先行シート200、先行シート200に続いて搬送されるシートを後続シート201とし、これらのシートが幅方向Yにずれて搬送された場合の穿孔処理について説明する。
【0054】
シート処理装置の搬送路の構成や、シートの状態、搬送ローラの新品、使用後など様々な要因で、シートの搬送がばらつき、このように連続するシートが横方向にシフトして搬送されることがある。これら条件がすべて揃った場合に、最大でシートのずれ量がどの程度になるのかは、装置ごとに決まる。本実施形態ではそのずれ量を、
図6に示すように、最大のずれ量205とする。
【0055】
先行シート200及び後続シート201、図中の矢印で示すように、搬送方向Xに沿って図の右から左の方向に連続して搬送される。点線202は、理想的なずれの無い状態でシートが搬送された場合の幅方向Yにおける穿孔位置(理想位置)である。
図6では、先行シート200は理想位置よりも幅方向Yに関して最も左側(
図6の下側)にずれて搬送された場合を示している。一方、後続シート201は理想位置よりも幅方向Yに関して最も右側(
図6の上側)にずれて搬送された場合を示している。このため、先行シート200の穿孔位置203と、後続シート201の穿孔位置204の幅方向Yに関する距離は、最大のずれ量205となる。なお、以下の説明で、幅方向Yに関して「左側」及び「右側」は、シートを上方から、且つ、搬送方向Xから見た場合の方向を指す。
【0056】
穿孔装置60のパンチ61(
図2(a)など参照)は、先行シート200の穿孔位置203を穿孔した後、最大ずれ量205分、横移動(幅方向Yに関して右側に移動)し、後続シート201の最初の穿孔位置204において穿孔をする必要がある。最初の穿孔位置とは、後続シートに複数ある穿孔位置のうち、搬送方向Xの最下流にある穿孔位置である。ここで、後続シートの穿孔位置204を確定できるのは、穿孔位置204のシート左端をラインセンサ68で検知した時である。即ち、後続シート201の穿孔位置204における幅方向Yの端部位置をラインセンサ68により検知した時点で、穿孔位置204の位置が確定する。
【0057】
したがって、ラインセンサ68の位置から、後続シート201の穿孔位置204が穿孔装置60のパンチ61により穿孔する所定位置207までの距離だけ、シートが搬送される間にパンチ61の横移動を完了している必要がある。ラインセンサ68から所定位置207までの距離は、
図2に示したLだけである。この距離Lを長くとると、装置が大型化しコストアップになってしまう。また、ラインセンサ68で検知したシート左端位置が、所定位置207まで搬送されるまでの間にずれた場合、穿孔位置の誤差が大きくなってしまうという問題がある。このため、所定位置207の近くにラインセンサ68を配置することで、距離Lは短くすることが好ましい。
【0058】
穿孔装置60の横移動の駆動源であるパンチ横移動モータ74は、位置制御に適したステッピングモータが望ましい。このため、本実施形態では、パンチ横移動モータ74としてステッピングモータを使用している。ステッピングモータには、出力可能なトルクや、出力可能な回転数など制限がある。穿孔装置60は重量部品で構成されたユニットであり、この重いユニットを移動させるとなると、決められた速度以上でモータを駆動することはできない。そのため、穿孔装置60の横移動は決められた速度で移動するようになっている。この速度を横移動速度とする。
【0059】
最大のずれ量205を穿孔装置60が横移動するのに必要な時間は、最大ずれ量と横移動速度によって、予め決ってしまう。ロータリー方式のパンチ61は、
図2(b)に示したように、噛合位置から角度にしてθ1の回転方向上流の位置から穿孔を開始する。このためパンチ61が噛合位置よりもθ1の角度だけ回転方向上流の位置にある時に、穿孔装置60の横移動が完了している必要がある。
【0060】
以上より、穿孔装置60が横移動に利用できる時間は、シートが距離Lだけ搬送される時間から、パンチ61がθ1の角度を回転する時間を引いた時間となる。この時間をT1とする。即ち、時間Tは、後続シート201の穿孔位置204における幅方向Yの端部位置(左端位置)をラインセンサ68により検知した時点から後続シート201の穿孔位置204に穿孔処理を開始するまでの時間である。時間T1の間に穿孔装置60が横移動できる距離を、穿孔装置60の最大移動量とする。最大移動量が最大ずれ量205よりも少ない場合、後続シート201の穿孔位置204のシート左端をラインセンサ68で検知してから、パンチ横移動を開始していたのでは、穿孔タイミングまでに穿孔装置60の横移動が間に合わないことになる。
【0061】
そこで、本実施形態では、主制御部101が後続シート201に穿孔処理を行うために予備移動を実行可能としている。予備移動は、先行シート200に対する穿孔処理の終了後、且つ、後続シート201の最初の穿孔位置における幅方向Yの端部位置(シート左端位置)がラインセンサ68に到達する前に、穿孔装置60のパンチ61の幅方向Yの移動を開始する動作である。具体的には、後続シート201の穿孔位置204のシート左端位置をラインセンサ68により検知する前、即ち、後続シート201の最初の穿孔位置204の位置を確定するよりも前に、後続シート201の最初の穿孔位置204を予測する。そして、その予測した穿孔位置に向けてパンチ横移動を開始するようにしている。
【0062】
このために、予備移動において、後続シート201の搬送方向Xの先端から最初の穿孔位置よりも搬送方向下流の範囲の何れかの位置における幅方向Yの端部位置がラインセンサ68に到達したタイミングで穿孔装置60の移動を開始する。本実施形態では、後続シート201の搬送方向Xの先端における幅方向Yの端部位置をラインセンサ68で測定することによって、後続シート201の最初の穿孔位置204を予測する。言い換えれば、ラインセンサ68により検知した後続シート201の搬送方向の先端における幅方向Yの端部位置から、後続シート201の前記穿孔位置を予測する。そして、後続シート201の搬送方向Xの先端における幅方向Yの端部位置がラインセンサ68に到達したタイミングとほぼ同じタイミングで、穿孔装置60の移動を開始する。
【0063】
[穿孔装置の予備移動]
以下、後続シート201の最初の穿孔位置204を予測し、その予測位置に基づいてパンチ横移動を開始する予備移動について、
図7(a)~(e)を用いて説明する。
図7(a)~(e)は、先行シート200と後続シート201が最大ずれ量205だけ、横方向にシフトして搬送された場合の、先行シート200の穿孔から後続シート201の穿孔までの動きを順に時系列で示した図である。なお、以下の説明でシートの先端は、シートの搬送方向に関して先端(即ち、下流端)を指す。
【0064】
図7(a)は、後続シート201の先端がパンチ前センサ63で検知された瞬間を示している。このタイミングを起点とし、後続シート201の先端位置や穿孔位置204がラインセンサ68に到達するタイミングを検知する。
【0065】
図7(b)は、後続シート201の先端のシート左端位置がラインセンサ68で検知された瞬間を示している。この時、穿孔装置60は先行シート200の左端から距離L1だけシート中心側に移動した位置にある。これは、ラインセンサ68によって先行シート200の穿孔位置203のシート左端位置を測定し、穿孔装置60とシート左端までの距離がL1となるようにしているためである。L1の距離は規格として決めている距離である。
【0066】
また、この時、後続シート201の先端部の左端位置をラインセンサ68で検知し、この結果に基づいて後続シート201の穿孔位置204の位置を予測する。その予測位置は、後続シート201の先端の左端位置から距離L2だけシート中心側の位置である。L2の距離はL1と同じ値である。この予測値に基づいて穿孔装置60の予測横移動量の算出を行う。この算出は
図4に示した予測移動量算出部113によって行う。
図7(a)~(e)の例では、予測移動量を最大ずれ量205としている。
【0067】
図7(c)は、後続シート201の穿孔予側位置に向けて、穿孔装置60が予備移動を開始した様子を示している。予備移動の実行判断は、
図4に示した予備移動実行判断部121によって行う。予備移動実行判断部121は、予測移動量が、予備移動の実行判断閾値(所定の閾値)を超えている場合に予備移動の実行を判断する。
【0068】
所定の閾値としての実行判断閾値は、時間T1内において、パンチ移動装置70A(
図3)により穿孔装置60のパンチ61を移動可能な最大移動量以上の値である。なお、実行判断閾値は、シートの幅方向の長さの半分以下、或いは、1/3以下とする。時間T1は、上述したように、後続シート201の穿孔位置204における幅方向Yの端部位置(左端位置)をラインセンサ68により検知した時点から後続シート201の穿孔位置204に穿孔処理を開始するまでの時間である。本実施形態では、予備移動の実行判断閾値として、穿孔装置60の最大移動量よりもマージン分を引いた量を採用する。即ち、穿孔装置60の最大移動量よりも大きい値を実行判断閾値としている。
【0069】
本実施形態では、上述のように予測移動量が実行判断閾値を超えている場合に予備移動を行うようにしている。しかしながら、このような閾値を設定しなくてもよい。例えば、予測移動量が少ない移動量であっても予備移動は必ず実行するようにしてもよい。
【0070】
また、予備移動時には、予備移動量の上限(所定の上限値)を予め決めておく。予備移動量とは、予備移動の実行時に、実際に穿孔装置60が幅方向に移動する量である。本実施形態では、予備移動量の上限として、予測移動量と同じ値を設定する。即ち、予備移動を開始してから後続シート201の穿孔位置が確定される前に、予備移動中の移動量が所定の上限値に達した場合には、予備移動を停止する。また、予備移動の動作中、移動量が上限に到達する前に、後続シート201の穿孔位置が確定した場合は、上限まで予備移動をすることなく、確定移動を行う。この所定の上限値は、先行シート200に対する穿孔処理の終了時の穿孔装置60のパンチ61の位置から予測した穿孔位置までの予測移動量としている。なお、所定の上限値は、予測移動量に関らず、一定の値としても良い。
【0071】
図7(d)は、後続シート201の穿孔位置204のシート左端位置がラインセンサ68で検知されたタイミングを示している。これにより、穿孔位置204の最終的な位置が確定する。このタイミングにおいては、穿孔装置60はすでに予備移動の途中である。横移動の目標位置を、予測位置から、確定した位置に更新する。
【0072】
即ち、主制御部101は、予備移動中に後続シート201の穿孔位置における幅方向Yの端部位置がラインセンサ68により検知した場合には、後続シート201の穿孔位置を確定させる。そして、予測した穿孔位置に関らず、穿孔装置60を確定した穿孔位置に移動させる。この確定位置は、予測位置に対して微修正した位置となる。穿孔装置60は現在の位置から、確定した穿孔位置204までの距離206だけ移動できれば、後続シート201の穿孔処理のタイミングまでに横移動が間に合う。
【0073】
図7(e)は、穿孔装置60の横移動が、後続の確定した穿孔位置204まで到達し、後続シート201の穿孔を待っている状態を示している。
【0074】
本実施形態では、このように後続シート201の先端の左端位置をラインセンサ68で測定し、穿孔装置60の予備移動を開始するようにしている。このため、後続シート201が距離Lだけ搬送するまでの間に必要となる穿孔装置60の横移動量を、最大のずれ量205よりも、予備移動していた分だけ短い距離206にすることができた。距離206の横移動量であれば、穿孔装置60が後続シート201の穿孔位置まで横移動を完了することができる。
【0075】
[穿孔処理の制御]
以上、先行シートと後続シートの穿孔時の動作を
図7(a)~(e)を用いて時系列に説明した。次に、この動作の制御方法について
図8のフローチャートを用いて説明する。
図8は、
図5における主制御部101の制御を示したフローチャートである。
図8において、主制御部101は後続シート201の穿孔処理の有無の情報を待つ(S1)。これは、主制御部101が通信部315を介してビデオコントローラ119(
図4)と通信した結果に基づいて行う。即ち、パソコンなどの外部機器からのプリントジョブの指示や、不図示の操作パネルへのユーザー操作によるプリントやコピーなどの指示を、通信部315を介して主制御部101が受信しているかどうかを検知することによって判断する。
【0076】
そして、後続シート201の穿孔がある場合、主制御部101内の予測移動量算出部113が、センサ制御部116を介してパンチ前センサ63の信号をモニタし、後続シート201の先端がパンチ前センサ63で検知されるのを待つ(S2)。後続シート201の先端がパンチ前センサ63で検知されたタイミングを起点に、後続シート201の先端部の左端がラインセンサ68に到達するのを待つ(S3)。そして、後続シート201の先端部の左端位置をラインセンサで測定する(S4)。ラインセンサ68の測定結果から、後続シート201の予測穿孔位置を算出する(S5)。現在の穿孔装置60の位置から、後続シート201の予測穿孔位置までの横移動量である、予測移動量を算出する(S6)。
【0077】
算出された予測横移動量が予備移動の実行判断閾値より大きいか判断する(S7)。本実施形態では、予測横移動量が予備移動の実行判断閾値以下の場合は(S7のNo)、予備移動を行わないようにしている。実行判断閾値は、後続シート201の穿孔位置のシート左端位置をラインセンサ68で検知した後に、後続シート201の穿孔位置が穿孔処理が行われる所定位置まで搬送されるまでの時間内で、穿孔装置60が横移動可能な移動量よりも少ない値としている。
【0078】
予測移動量が実行判断閾値よりも少なければ、後続シート201の穿孔位置のシート左端位置をラインセンサ68で検知した後に、穿孔装置60の横移動を開始しても、後続シート201の穿孔処理までの横移動は間に合う。このようにすることで、予備移動と、後続シート201の穿孔確定位置への確定移動の2回の横移動を実行しなくて済む。横移動の回数が増えることで、モータの騒音が気になる場合には本実施形態のようにするとよい。しかしながら、騒音などの問題がないのであれば、実行判断の閾値など設けず、予測移動量がどのような値であっても、必ず予備移動を行うようにしてもよい。
【0079】
予測移動量が実行判断閾値よりも大きい場合は(S7のYes)、穿孔装置60の予備移動を開始する(S8)。予備移動の開始後は、後続シート201の穿孔位置を確定し、確定移動の移動量算出の処理を行う。主制御部101内の横移動確定位置算出部115が、後続シート201の先端がパンチ前センサ63で検知されたタイミングを起点に、後続シート201の穿孔位置204のシート左端位置がラインセンサ68に到達するのを待つ(S9)。そして、後続シート201の穿孔位置204のシート左端位置がラインセンサ68に到達したら、ラインセンサ68でシート左端位置を測定する(S10)。
【0080】
ラインセンサ68の測定結果から、最終的な後続シート201穿孔の確定位置を算出する(S11)。現在の穿孔装置60の位置から、後続シート201の穿孔の確定位置までの横移動量である確定移動量を算出する(S12)。そして、確定位置までの移動(確定移動)を開始する(S13)。確定移動が完了するのを待ち(S14)、完了した時点で確定移動を停止する(S15)。
【0081】
[予備移動の上限について]
本実施形態では、上述のように予備移動における移動量に上限を設けて、その上限は、予測移動量と同じ量にしている。予備移動の動作中、移動量が上限に到達する前に、後続シート201の穿孔位置が確定した場合は、上限まで予備移動をすることなく、確定移動を行う。
図7(a)~(e)では、この例、即ち、先行シート200と後続シート201の穿孔位置の横方向の距離が短い場合の穿孔装置60の動作を示した。
【0082】
一方、予備移動の移動量が上限に到達しても後続シート201の穿孔位置が確定しない場合は、予備移動を停止し、後続シート201の穿孔位置が確定するのを待ち、確定移動を開始する。即ち、主制御部101は、予備移動を開始してから後続シート201の穿孔位置が確定される前に、予備移動中の移動量が所定の上限値に達した場合には、予備移動を停止する。この例について、即ち、先行シート200と後続シート201の穿孔位置の横方向の距離が長い場合の穿孔装置60の動作について、
図9(a)~(e)で説明する。
図9(a)~(e)において、
図7(a)~(e)と同じものには同じ番号を付し説明を省略する。
【0083】
図9(a)は、後続シート201の先端がパンチ前センサ63で検知された瞬間を示している。
図9(b)は、後続シート201の先端の左端位置がラインセンサ68で検知された瞬間を示している。
図9(c)は、穿孔装置60の予備移動の途中の状態を示している。
【0084】
図9(d)は、穿孔装置60の予備移動量が上限(所定の上限値)まで到達し、穿孔装置60の横移動が停止している様子を示している。上限は予測移動量と同じである。このとき、後続シート201の穿孔位置204のシート左端位置はラインセンサ68でまだ検知されていない。穿孔装置60の横位置はこの位置を維持する。
【0085】
図9(e)は、後続シート201の穿孔位置204のシート左端位置をラインセンサ68で検知した瞬間を示している。このタイミングで後続シート201の穿孔位置204の位置が確定し、穿孔装置60は確定移動を開始する。予測穿孔位置と、確定穿孔位置の差は、シートが距離Lだけ搬送される時間内で穿孔装置60が横移動できる距離に比べ、十分に少ない距離であるため、確定移動は問題なく完了する。
【0086】
以上、説明したように、本実施形態では、後続シート201の先端部の左端位置をラインセンサ68で検知することで、後続シート201の穿孔位置を予測し、その予測値に基づいて穿孔装置60の予備移動を開始している。これにより、最大ずれ量で搬送された連続シートであっても、シート間で穿孔装置60の横移動を完了させることができ、精度良く穿孔を行うことが可能となる。したがって、後続シートの穿孔位置における端部位置をラインセンサで検知してから穿孔装置の移動を開始する場合よりも、ラインセンサから穿孔装置により穿孔を行う所定位置までの距離Lが短くても、穿孔装置の移動を完了させることができる。このように距離Lを短くできれば、生産性の向上を図れる。
【0087】
また、ラインセンサ68と穿孔位置までの距離Lを短くすることができるため、装置の大型化を避けることができる。さらに、穿孔装置60の駆動源としてのパンチ横移動モータ74を高速駆動する必要がないので、このモータとして安価なモータを利用することができ、コストダウンを図ることが可能となる。
【0088】
<第2の実施形態>
第2の実施形態について、
図10及び
図11を用いて説明する。上述の第1の実施形態では、予備移動量の上限として予測移動量と同じ量を設定していた。そのため、予備移動量の上限として特別な値を算出する必要はなかった。これに対して本実施形態では、予備移動量の上限(所定の上限値)を、所定量に設定可能である。所定量は予測移動量と必ずしも同じではない量であり、装置ごとに適切な量を算出するようにしている。その他の構成及び作用は上述の第1の実施形態と同様であるため、同様の構成には同じ符号を付して図示及び説明を省略又は簡略にし、以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0089】
図10は、本実施形態の画像形成システムの機能構成を示すブロック図である。
図5に示した第1の実施形態のブロック図に対し、予備移動量算出部120が追加されているところが異なる。
【0090】
まず、第1の実施形態で予備移動量の上限と予測移動量を同じ量にしていた場合の問題点を述べる。
図11は、シートが斜行して搬送された場合を示している。装置のメカ構成、ローラの使用状態、シートの状態など、様々の要因でシートが斜行した状態で搬送されることは有りうる。その場合、連続搬送されるシートは同じような斜行角度で搬送される。
図11において、先行シート210の穿孔位置213に対し、ラインセンサ68で、斜行せずに搬送された場合の後続シート212の先端の左端位置を測定し、予測移動量を算出した値は、距離216である。ここでは、後続シートの穿孔位置の予測は、後続シートが斜行していないことを前提とするため、
図11の点線で示した状態で後続シート212が搬送されているものとして算出する。したがって、後続シート212の穿孔位置215の位置と予測される。
【0091】
しかしながら、実際には、後続シート211は実線で示すように斜行して搬送されている。この実際の後続シート211の穿孔位置のシート左端をラインセンサ68で測定し、穿孔位置を確定するとその位置は、穿孔位置214で示す位置となる。予備移動量として、予測移動量と同じ量を設定していると、穿孔間距離が長い場合、予備移動で距離216だけ移動し、その位置で横移動が停止する。その後、ラインセンサ68で穿孔位置のシート左端を測定することにより、後続シート211の穿孔位置を確定するとその位置は、穿孔位置214となり、先行シート210の穿孔位置213からの移動量は距離217となる。これは、予測移動量で算出した距離216よりも少ない量である。
【0092】
穿孔装置60は予備移動で距離216だけ移動したものの、その後、確定移動において予備移動とは逆方向に横移動することになる。このようにシートが斜行搬送される場合は、同じような斜行角度で連続して搬送されることが多いため、上記動作が繰り返されることになる。結果として穿孔装置60の横移動量が多くなってしまう。これは穿孔装置60の横移動に伴う騒音が大きくなること、また横移動の駆動源であるパンチ横移動モータ74の消費電力増加となってしまう。また、横移動距離に応じた寿命のある構成部品がある場合、その構成部品の寿命を短縮させてしまう。
【0093】
本実施形態は、上記で説明したように、連続搬送されるシートの斜行角度が、予測移動量の距離216よりも確定移動量の距離217が少なくなることが予めわかっている装置において、好ましく適用できる。このために本実施形態では、予備移動量算出部120が予備移動量の上限を後続シートが斜行していない状態の予測移動量よりも少ない量に設定する。この際、予備移動量の上限が次を満たすようにする。即ち、予測移動量までの残りの移動量が、後続シートの穿孔位置のシート左端をラインセンサ68で測定後に穿孔装置60の横移動を開始しても後続シートの穿孔開始までに穿孔装置60の横移動が完了できる量以上となるように、予備移動量の上限を設定する。
【0094】
このようにすることで、シートが斜行しても余分な横移動を避けることができる。また、シートが斜行しない場合、即ち、確定移動量の距離217が予想移動量の距離216と同じ場合においても、予備移動では距離216まで移動しないものの、距離216までの残りの移動量は、上記で説明した量に設定されている。このため、後続シートの穿孔のための穿孔装置60の横移動は問題なく完了させることができる。
【0095】
なお、本実施形態では、同じような斜行角度でシートが連続搬送される場合、即ち、予測移動量よりも確定移動量が少なくなる場合において、予備移動量の上限を予測移動量よりも少ない所定量にする例を示した。
【0096】
しかしながら、装置構成によっては連続搬送されるシートの斜行角度が同じような角度とならない場合も有りうる。この場合、予測移動量よりも、確定移動量の方が多くなることもある。このような装置構成においては、予備移動量の上限は、想定される確定移動量を基に、確定移動時の穿孔装置60の横移動が、後続の穿孔開始までに完了すように設定すればよい。以上説明したように、搬送するシートの斜行がどのようになるのかは装置ごとに異なるので、装置ごとに最適な予備移動量の上限を決めればよい。
【0097】
<第3の実施の形態>
第3の実施形態について、
図12及び
図13(a)、(b)を用いて説明する。上述の各実施形態では、ラインセンサ68により検知した後続シートの先端の幅方向の端部位置から、後続シートの穿孔位置を予測した。これに対して本実施形態では、先行シート及び後続シートの幅方向の長さの情報(シート幅情報)に基づいて、後続シートの穿孔位置を予測する。その他の構成及び作用は上述の第1の実施形態と同様であるため、同様の構成には同じ符号を付して図示及び説明を省略又は簡略にし、以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0098】
図12は、本実施形態の画像形成システムの機能構成を示すブロック図である。
図5に示した第1の実施形態のブロック図に対し、予測移動量算出部113が通信部315からのシート幅情報を受信し、このシート幅情報に基づいて予測移動量を算出可能になっている。なお、本実施形態の予測移動量算出部113は、第1、第2の実施形態と同様に、後続シートの先端の左端位置をラインセンサ68で測定することで予測移動量を算出する機能もあわせ持つ。
【0099】
図13(a)、(b)は、先行シート200に対して後続シート220の方が、シート幅(シートの幅方向の長さ)が狭く、このシート幅違いの組み合わせで、シートが連続搬送される様子を示している。
【0100】
従来、定着ユニットの端部昇温などを避けるために、シート幅違いの連続プリント時に、スループットダウンをして連続搬送されるシートの間隔(所謂、紙間)をあけたり、サイクルダウンしてシート搬送を一時的に停止したりする装置が多かった。しかしながら、昨今の定着ユニット及び定着制御の技術的進歩により、このようなシート幅違いの連続プリントにおいても、紙間をあけることなく連続搬送させる装置も見られるようになってきた。
【0101】
本実施例では、シートは中央基準で搬送されるため、シートの穿孔位置は、概ねシート幅に応じて決まる。なお、「中央基準」とは、連続搬送されるシートの幅方向中央位置が同じとなるように搬送する搬送方法である。
【0102】
図13(a)において、先行シート200の穿孔位置203に対し、後続シート220の穿孔位置221の位置は横方向に距離222離れている。この距離222は、先行シート200と後続シート220のシート幅に基づいて算出されたものである。この距離222が、ラインセンサ68から穿孔位置までの距離Lの間をシートが搬送されるまでの時間内に、穿孔装置60が横移動可能な最大移動量よりも多い場合、後続シートの穿孔処理が間に合わない。
【0103】
そこで、本実施形態では、外部機器あるいはユーザーの指定によるシート幅情報を通信部315によって予測移動量算出部113が入手し、このシート幅情報に基づいて予測穿孔位置を決めるようにした。即ち、主制御部101は、先行シート200の幅方向の長さ(シート幅)と、後続シート220の幅方向の長さの関係から、後続シート220の穿孔位置を予測する。
【0104】
このように先行シート200の幅方向の長さと後続シート220の幅方向の長さとが異なる場合には、以下のタイミングで穿孔装置60の予備移動を開始することが可能である。即ち、前述の第1、第2の実施形態のように、後続シート220の先端における幅方向の端部位置がラインセンサ68に到達する前に、シート幅の情報に基づいて、穿孔装置60の移動を開始できる。これにより、シート幅が異なるシートの連続搬送においても、予備移動を行うことで、大きな紙間を確保することなく穿孔装置の横移動を完了することができる。
【0105】
なお、予測移動量算出部113は、シート幅情報に基づく予測移動量を算出した後、第1、第2の実施形態と同様に、後続シート220の先端のシート左端位置をラインセンサ68で測定し、予測移動量を更新するようにしてもよい。
【0106】
即ち、主制御部101は、先行シート200の幅方向の長さと、後続シート220の幅方向の長さの関係から、後続シート220の穿孔位置を予測する。そして、先行シート200に対する穿孔処理の終了時における穿孔装置60の位置から予測した後続シート220の穿孔位置までの移動量である第1の予測移動量を算出する。また、主制御部101は、ラインセンサ68により検知した後続シート220の搬送方向の先端における幅方向Yの端部位置から、後続シート220の穿孔位置を予測する。そして、先行シート200に対する穿孔処理の終了時における穿孔装置60の位置から予測した後続シート220の穿孔位置までの移動量である第2の予測移動量を算出する。主制御部101は、第1の予測移動量に基づいて予備移動を実行する第1予備移動と、第2の予測移動量に基づいて予備移動を実行する第2予備移動のうちの、少なくとも1つ以上の予備移動を行う。
【0107】
例えば、主制御部101は、先行シート200に対する穿孔処理の終了後、且つ、後続シート220の搬送方向Xの先端における幅方向Yの端部位置がラインセンサ68に到達する前に第1予備移動を開始する。そして、後続シート220の搬送方向Xの先端における幅方向Yの端部位置がラインセンサ68に到達した後は第2予備移動を行う。
【0108】
この様子を
図13(b)に示す。距離222はシート幅情報に基づく予想移動量(第1の予測移動量)である。実際には後続シート220の搬送位置は横方向にずれる可能性があるため、後続シート220の先端部の左端位置をラインセンサ68で測定することによって穿孔位置223を予測する。距離225は、ラインセンサ68の測定による予想移動量(第2の予測移動量)である。
【0109】
シート幅そのものに起因する穿孔位置のずれはシート幅情報で予測し、シート搬送に起因する穿孔位置のずれは、ラインセンサによる測定値で予測する。それぞれの予測に基づいて予備移動を順次行うことにより、シート幅違いの連続搬送時においても、紙間を広くすることなく、精度良く穿孔することが可能となる。
【0110】
<他の実施形態>
上述の第1、第2の実施形態では、後続シートの先端がラインセンサに到達したタイミングで予備移動を開始しているが、後続シートの先端から穿孔位置の手前までの何れかの位置がラインセンサに到達したタイミングで予備移動を開始しても良い。要は、後続シートの穿孔位置における幅方向の端部位置がラインセンサに到達する前に穿孔装置の予備移動を開始できれば良い。こうすることで、後続シートの穿孔位置における端部位置をラインセンサで検知してから穿孔装置の移動を開始する場合よりも、ラインセンサから穿孔装置により穿孔を行う所定位置までの距離Lが短くても、穿孔装置の移動を完了させることができる。
【0111】
上述の各実施形態では、制御手段としての主制御部101がシート処理装置に搭載されている場合について説明したが、制御手段は、シート処理装置に搭載されたものではなく、画像形成装置に搭載されたものであっても良い。
【0112】
本発明は上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0113】
1:画像形成装置/1S:画像形成システム/4:シート処理装置/61:パンチ(パンチ部材)/63:パンチ前センサ/68:ラインセンサ(位置検知手段)/70A:パンチ移動機構(パンチ移動手段)/70B・・・移動機構/74:パンチ横移動モータ(駆動源)101:主制御部(制御手段)