(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】自動従属監視放送を使用した自律的遭難追跡
(51)【国際特許分類】
B64D 25/20 20060101AFI20240422BHJP
G01S 19/17 20100101ALI20240422BHJP
G01S 1/68 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
B64D25/20
G01S19/17
G01S1/68
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020045061
(22)【出願日】2020-03-16
【審査請求日】2023-03-15
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー, ティモシー エー.
(72)【発明者】
【氏名】アードラー, チャールズ オーティス
(72)【発明者】
【氏名】ターナー, ジェシー
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-095079(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0299530(US,A1)
【文献】特開2017-095083(JP,A)
【文献】特開2003-309511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 25/20
G01S 19/17
G01S 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機(202)向けの自律的遭難追跡システム(200)であって、
自動遭難通信(236)を送信するように構成された自動従属監視放送トランシーバ(212)、
前記航空機(202)が遭難状態(230)にあるときを特定するように構成された遭難認識装置(228)を備え、前記航空機(202)が前記遭難状態(230)にあるとの判定に応答して前記自動遭難通信(236)を送信するために、前記自動従属監視放送トランシーバ(212)を制御するように構成されたシステムコントローラ(208)、及び
前記航空機(202)の外側(204)で前記航空機(202)に取り付けられたハウジング(206)であって、前記自動従属監視放送トランシーバ(212)及び前記システムコントローラ(208)を収容するハウジング(206)を備え
、
前記自動遭難通信(236)が、前記航空機(202)の位置(234)を示す位置情報(240)を含み、
前記システムコントローラ(208)が、前記ハウジング(206)内に収容された第1の衛星航法システム受信器(210)から、前記航空機(202)の前記位置(234)を示す第1の位置情報(240)を受信し、前記自動遭難通信(236)内の前記位置情報(240)向けに前記第1の位置情報(240)を使用するように構成され、
前記第1の衛星航法システム受信器(210)からの前記第1の位置情報(240)が利用可能でないときに、前記システムコントローラ(208)が、前記ハウジング(206)内に収容されていない前記航空機(202)上の第2の衛星航法システム受信器(211)から、前記航空機(202)の前記位置(234)を示す第2の位置情報(240)を受信し、前記自動遭難通信(236)内の前記位置情報(240)向けに、前記第1の位置情報(240)の代わりに前記第2の位置情報(240)を使用するように構成され、
前記遭難認識装置(228)が、前記第1の位置情報と前記第2の位置情報の何れも利用可能でないこと(306)に応答して、前記航空機が前記遭難状態(230)にあると判定するように構成されている、自律的遭難追跡システム(200)。
【請求項2】
前記ハウジング(206)内に収容され、緊急位置発信器ビーコン(252)を送信するように構成されたビーコン送信機(214)を更に備え、
前記システムコントローラ(208)が、前記航空機(202)が前記遭難状態(230)にあるとの前記判定に応答して前記緊急位置発信器ビーコン(252)を送信するために、前記ビーコン送信機(214)を制御するように構成されている、請求項1に記載の自律的遭難追跡システム(200)。
【請求項3】
前記自動遭難通信(236)が、前記航空機(202)の位置(234)を示す
前記位置情報(240)、及び前記遭難状態(230)の原因を特定する情報を含む遭難ステータス情報(242)を含む、請求項1に記載の自律的遭難追跡システム(200)。
【請求項4】
前記自動従属監視放送トランシーバ(212)が、前記航空機(202)から自動従属監視放送通信(246)を受信するように構成され、
前記遭難認識装置(228)が、前記航空機(202)からの前記自動従属監視放送通信(246)が、選択された期間より長く停止していること(304)に応答して、前記航空機(202)が前記遭難状態(230)にあると判定するように構成されている、請求項1に記載の自律的遭難追跡システム(200)。
【請求項5】
前記遭難認識装置(228)が、
前記航空機(202)からの緊急モードコード(248)の送信を検出したこと(308)、又は
前記自動遭難通信(236)を起動するための遠隔起動信号を、前記航空機(202)以外の場所から受信したこと(310)に応答して、
前記航空機(202)が前記遭難状態(230)にあると判定するように構成されている、請求項1に記載の自律的遭難追跡システム(200)。
【請求項6】
前記ハウジング(206)内に収容されたバッテリ(218)、並びに
電力管理器(220)であって、
前記航空機(202)の内側(226)の電源(258)からの電力が利用可能なときに、前記航空機(202)の前記内側(226)の前記電源(258)から、前記自動従属監視放送トランシーバ(212)及び前記システムコントローラ(208)に前記電力を供給し、且つ前記バッテリ(218)を充電するために前記電力を供給し、
前記航空機(202)の前記内側(226)の前記電源(258)からの前記電力が利用可能でないときに、前記バッテリ(218)からの前記電力を、前記自動従属監視放送トランシーバ(212)及び前記システムコントローラ(208)に供給するように構成された、電力管理器(220)を更に備え、
前記遭難認識装置(228)が、前記航空機(202)の飛行中に、前記電力が前記航空機(202)の前記内側の前記電源(258)から利用可能でないこと(302)に応答して、前記航空機(202)が前記遭難状態(230)にあると判定するように構成されている、請求項1に記載の自律的遭難追跡システム(200)。
【請求項7】
前記ハウジング(206)が、前記航空機(202)から緊急位置発信器(410)用のアンテナ(411)が取り除かれた、前記航空機(202)上の場所(414)において、前記航空機(202)の前記外側(204)に取り付けられている、請求項1に記載の自律的遭難追跡システム(200)。
【請求項8】
航空機(202)向けの自律的遭難追跡システム(200)であって、
衛星航法システム(114)から受信した航法信号(110)を使用して前記航空機(202)の位置(234)を特定し、前記航空機(202)の前記位置(234)を示す位置情報(240)を提供するように構成された、衛星航法システム受信
器(210)、
前記衛星航法システム受信器(210)用の前記航法信号(110)を受信するための衛星航法システムアンテナ(1506)、自動従属監視放送トランシーバ(212)用の自動従属監視放送アンテナ(1504)、ビーコン送信機(214)用の緊急位置発信器ビーコンアンテナ(1502)、衛星通信トランシーバ用の衛星通信アンテナ(1508)、及び無線ネットワークトランシーバによる無線ネットワークへの接続性のための無線ネットワークアンテナ(1510)を含む、複数のアンテナ(216)、
前記自動従属監視放送トランシーバ(212)、前記ビーコン送信機(214)、前記衛星通信トランシーバ、及び無線ネットワークトランシーバを実装し、前記自動従属監視放送アンテナ(1504)、前記緊急位置発信器ビーコンアンテナ(1502)、前記衛星通信アンテナ(1508)、及び前記無線ネットワークアンテナ(1510)のうちの1以上を介して、遭難通信(236)を送信するように構成可能な、ソフトウェア無線機(1512)、
前記航空機(202)が遭難状態(230)にあるときを特定するように構成された遭難認識装置(228)を備え、前記航空機(202)が前記遭難状態(230)にあるとの判定に応答して前記遭難通信(236)を送信するために、前記ソフトウェア無線機(1512)を制御するように構成されたシステムコントローラ(208)、並びに
前記航空機(202)の外側(204)で前記航空機(202)に取り付けられたハウジング(206)であって、前記衛星航法システム受信器(210)、前記ソフトウェア無線機(1512)、及び前記システムコントローラ(208)を収容するハウジング(206)を備え
、
前記遭難通信(236)が、前記航空機(202)の前記位置(234)を示す前記位置情報(240)を含み、
前記システムコントローラ(208)が、前記ハウジング内に収容された前記衛星航法システム受信器(210)から、前記航空機(202)の前記位置(234)を示す第1の位置情報(240)を受信し、前記遭難通信(236)内の前記位置情報(240)向けに前記第1の位置情報(240)を使用するように構成され、
前記衛星航法システム受信器(210)からの前記第1の位置情報(240)が利用可能でないときに、前記システムコントローラ(208)が、前記ハウジング(206)内に収容されていない前記航空機(202)上の第2の衛星航法システム受信器(211)から、前記航空機(202)の前記位置(234)を示す第2の位置情報(240)を受信し、前記遭難通信(236)内の前記位置情報(240)向けに、前記第1の位置情報(240)の代わりに前記第2の位置情報(240)を使用するように構成され、
前記遭難認識装置(228)が、前記第1の位置情報と前記第2の位置情報の何れも利用可能でないこと(306)に応答して、前記航空機が前記遭難状態(230)にあると判定するように構成されている、自律的遭難追跡システム(200)。
【請求項9】
前記衛星航法システム受信器(210)が、前記ソフトウェア無線機(1512)を使用して実装される、請求項
8に記載の自律的遭難追跡システム(200)。
【請求項10】
前記無線ネットワークが、Wi-Fiネットワーク、携帯電話のネットワーク、及びパーソナルエリアネットワークから成る無線ネットワークの群から選択される、請求項
8に記載の自律的遭難追跡システム(200)。
【請求項11】
航空機(202)の自律的遭難追跡の方法であって、
システムコントローラ(208)内に実装された遭難認識装置(228)によって、前記航空機(202)が遭難状態(230)にあるときを特定すること、並びに
自動従属監視放送トランシーバ(212)によって、前記航空機(202)が前記遭難状態(230)にあるとの前記遭難認識装置(228)による判定に応答して、前記航空機(202)の位置(234)を特定する位置情報(240)及び前記遭難状態(230)の原因を特定する遭難ステータス情報(242)を含む、自動遭難通信(236)を送信することを含
み、
前記システムコントローラ(208)及び前記自動従属監視放送トランシーバ(212)が、前記航空機(202)の外側(204)で前記航空機(202)に取り付けられたハウジング(206)内に収容され、
更に、前記自動遭難通信(236)が、前記航空機(202)の位置(234)を特定する位置情報(240)を含み、
前記システムコントローラ(208)が、前記ハウジング(206)内に収容された第1の衛星航法システム受信器(210)から、前記航空機(202)の前記位置(234)を示す第1の位置情報(240)を受信し、前記自動遭難通信(236)内の前記位置情報(240)向けに前記第1の位置情報(240)を使用し、
前記システムコントローラ(208)が、前記ハウジング(206)内に収容されていない前記航空機(202)上の第2の衛星航法システム受信器(211)から、前記航空機(202)の前記位置(234)を示す第2の位置情報(240)を受信し、
前記遭難認識装置(228)が、前記第1の位置情報と前記第2の位置情報の何れも利用可能でないこと(306)に応答して、前記航空機(202)が前記遭難状態(230)にあると判定する、方法。
【請求項12】
ビーコン送信機(214)によって、前記航空機(202)が前記遭難状態(230)にあるとの前記遭難認識装置(228)による前記判定に応答して、緊急位置発信器ビーコン(252)を送信すること、
前記航空機(202)から自動従属監視放送通信(246)を受信すること、及び
前記遭難認識装置(228)によって、前記航空機(202)からの前記自動従属監視放送通信(246)が、選択された期間より長く停止していること(304)に応答して、前記航空機(202)が前記遭難状態(230)にあると判定することを更に含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記航空機(202)が前記遭難状態(230)にあると判定することが、
前記航空機(202)からの緊急モードコード(248)の送信を検出すること(308)、又は
前記自動遭難通信(236)を起動するための遠隔起動信号を、前記航空機(202)以外の場所から受信すること(310)を含む、請求項
11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広くは、航空機の位置の追跡に関する。特に、本開示は、遭難した航空機の位置を追跡するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
1.
多くの航空機が、遭難ラジオビーコンを担持している。遭難ラジオビーコンはまた、緊急ビーコンとして又は他の名称により知られていることもある。例えば、限定されないが、多くの民間航空機及び他の航空機は、緊急位置発信器、即ち、ELTとして知られている遭難ラジオビーコンを担持していることがある。
【0003】
航空機上の緊急位置発信器は、衝突後の航空機の位置特定における支援を目的としている。航空機上の緊急位置発信器又は他の遭難ラジオビーコンは、遭難信号を送信するために手動で又は自動で起動され得る。例えば、限定されないが、緊急位置発信器は、浸水すると自動で起動され得る。
【0004】
航空機上の緊急位置発信器又は他の遭難ラジオビーコンによって生成された遭難信号は、世界規模の衛星のネットワークによってモニタ及び検出され得る。遭難信号を発する緊急位置発信器又は他のラジオ遭難ビーコンの地理的位置は、衛星航法システム、三角測量を使用して、又は別の方法若しくは方法の適切な組み合わせを使用して特定され得る。
【0005】
現在の緊急位置発信器は、幾つかの制限を有し得る。例えば、現在の緊急位置発信器によって提供された位置情報は、十分に正確でないことがあり、又は遭難時に有効に航空機の位置を突き止めるのに十分信頼できる方法で提供されないことがある。現在普及している緊急位置発信器の大部分は、位置情報を直接提供しない。緊急位置発信器の場所は、ラジオ周波数方向探知又は衛星リンクを介したマルチラテレーションによって特定される。このプロセスは、望ましくないほど長い時間を要することがあり、十分に信頼できないこともある
【0006】
現在の緊急位置発信器の重量は、比較的重いことがある。現在の緊急位置発信器向けの保守要求はまた、比較的高いことがある。例えば、今日航空機に適合するほとんどの緊急位置発信器は、比較的重い再充電不可能なバッテリにより電力供給され、信頼できる動作を確実にし、任意の望ましくない状態が生じるのを防止するために適切に整備されなければならない。また、現在の緊急位置発信器の望ましくないタンパリングを低減又は除去することが比較的難しいこともある。
【0007】
海洋エリアを含む遠隔エリアで起きた航空機の衝突は、時機を得たやり方で衝突現場を位置特定することが難しいので、捜索及び救急隊員並びに事故調査員に大きな課題を提示し得る。この状況を改善する試みとして、遭難した航空機の追跡の新しい航空要件が、国際レベルで採用された。それらの要件は、性能に基づいており、遭難した航空機の位置を1分毎に少なくとも1回は自動的に放送することを基本的に要求する。更に、位置報告を放送するシステムは、航空機が遭難している間中ずっと報告が継続されることを確実にするために、航空機システムの故障や航空機の電源喪失に対してロバストでなければならない。
【0008】
したがって、1以上の上述の問題と、起こり得る他の問題とを考慮する方法及び装置を有することが有利であろう。
【発明の概要】
【0009】
本開示の例示的な実施形態は、自動従属監視放送トランシーバ、システムコントローラ、及びハウジングを備える、航空機向けの自律的遭難追跡システムを提供する。自動従属監視放送トランシーバは、自動遭難通信を送信するように構成されている。システムコントローラは、航空機が遭難状態にあるときを特定するように構成された、遭難認識装置を備える。システムコントローラは、航空機が遭難状態にあるとの判定に応答して自動遭難通信を送信するために、自動従属監視放送トランシーバを制御するように構成されている。ハウジングは、航空機の外側で航空機に取り付けられている。自動従属監視放送トランシーバ及びシステムコントローラは、ハウジング内に収容されている。
【0010】
本開示の例示的な実施形態は、衛星航法システム受信器、複数のアンテナ、ソフトウェア無線機、システムコントローラ、及びハウジングを備える、航空機向けの自律的遭難追跡システムも提供する。衛星航法システム受信器は、衛星航法システムから受信した航法信号を使用して航空機の位置を特定し、航空機の位置を示す位置情報を提供するように構成されている。複数のアンテナは、衛星航法システム受信器向けの航法信号を受信するための衛星航法システムアンテナ、自動従属監視放送トランシーバ用の自動従属監視放送アンテナ、ビーコン送信機用の緊急位置発信器ビーコンアンテナ、衛星通信トランシーバ用の衛星通信アンテナ、及び無線ネットワークトランシーバによる無線ネットワークへの接続性のための無線ネットワークアンテナを含む。ソフトウェア無線機は、自動従属監視放送トランシーバ、ビーコン送信機、衛星通信トランシーバ、及び無線ネットワークトランシーバを実装し、自動従属監視放送アンテナ、緊急位置発信器ビーコンアンテナ、衛星通信アンテナ、及び無線ネットワークアンテナのうちの1以上を介して遭難通信を送信するように構成可能である。システムコントローラは、航空機が遭難状態にあるときを特定するように構成された遭難認識装置を備え、航空機が遭難状態にあるとの判定に応答して遭難通信を送信するために、ソフトウェア無線機を制御するように構成されている。ハウジングは、航空機の外側で航空機に取り付けられている。衛星航法システム受信器、ソフトウェア無線機、及びシステムコントローラは、ハウジング内に収容されている。
【0011】
本開示の例示的な実施形態はまた、航空機の自律的遭難追跡の方法も提供する。システムコントローラ内に実装された遭難認識装置は、航空機が遭難状態にあるときを特定する。自動従属監視放送トランシーバは、航空機が遭難状態にあるとの遭難認識装置による判定に応答して、自動遭難通信を送信する。
【0012】
特徴、機能、及び利点は、本開示の様々な実施形態で個々に実現することが可能であるか、後述の説明及び添付図面を参照して更に詳細が理解できる更に別の実施形態で組み合わせることが可能である。
【0013】
例示的な実施形態の特性と考えられる新規な特徴は、付随する特許請求の範囲に明記される。しかしながら、実施形態と、好ましい使用モード、更にはその目的と利益は、添付図面を参照しながら本開示の実施形態の以下の詳細な説明を参照することにより、最もよく理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】例示的な一実施形態による、航空機動作環境の例示である。
【
図2】例示的な一実施形態による、航空機上の自律的遭難追跡システムのブロック図の例示である。
【
図3】例示的な一実施形態による、遭難認識装置のブロック図の例示である。
【
図4】例示的な一実施形態による、航空機上の緊急位置発信器に取って代わる、航空機に取り付けられた自律的遭難追跡システムのブロック図の例示である。
【
図5】例示的な一実施形態による、緊急位置発信器アンテナ及び自律的遭難追跡システム用のハウジングの側面図の例示である。
【
図6】
図5の6‐6線に沿って切り取られた
図5の例示的な実施形態による、緊急位置発信器アンテナ及び自律的遭難追跡システム用のハウジングの前面図の例示である。
【
図7】
図5の7‐7線に沿って切り取られた
図5の例示的な実施形態による、緊急位置発信器アンテナ及び自律的遭難追跡システム用のハウジングの底面図の例示である。
【
図8】例示的な一実施形態による、自律的遭難追跡システムの一実施形態向けのハウジング内の構成要素の概念的な配置の側面図の例示である。
【
図9】
図8の9‐9線に沿って切り取られた
図8の例示的な実施形態による、自律的遭難追跡システムの一実施形態向けのハウジング内の構成要素の概念的な配置の前面図の例示である。
【
図10】
図8の10‐10線に沿って切り取られた
図8の例示的な実施形態による、緊急位置発信器の一実施形態向けのハウジング内の構成要素の概念的な配置の底面図の例示である。
【
図11】例示的な一実施形態による、自律的遭難追跡システムの一実施形態の機能ブロック図の例示である。
【
図12】例示的な一実施形態による、自律的遭難追跡システムの別の一実施形態向けのハウジング内の構成要素の概念的な配置の側面図の例示である。
【
図13】
図12の13‐13線に沿って切り取られた
図12の例示的な実施形態による、自律的遭難追跡システムの一実施形態向けのハウジング内の構成要素の概念的な配置の前面図の例示である。
【
図14】
図12の14‐14線に沿って切り取られた
図12の例示的な実施形態による、緊急位置発信器の一実施形態向けのハウジング内の構成要素の概念的な配置の底面図の例示である。
【
図15】例示的な別の一実施形態による、自律的遭難追跡システムの一実施形態の機能ブロック図である。
【
図16】例示的な一実施形態による、航空機に自律的遭難追跡システムを取り付けるためのプロセスのフローチャートの例示である。
【
図17】例示的な一実施形態による、自律的遭難追跡システムの動作向けのプロセスのフローチャートの例示である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
種々の例示的な実施形態は、幾つかの異なる検討事項を認識し考慮している。本明細書でアイテムを参照する際に使用される「幾つかの」は、1以上のアイテムを意味する。例えば、「幾つかの異なる検討事項」とは、1以上の異なる検討事項である。
【0016】
種々の例示的な実施形態は、遭難した航空機の位置を自動的に放送するための遭難追跡要件が、様々な技術によって満たされ得ることを認識し考慮する。これらの要件を満たすシステムは、概して、自律的遭難追跡(ADT)システムと称され得る。自律的遭難追跡向けの1つのそのような候補技術は、宇宙ベースの自動従属監視‐放送、すなわち、ADS-Bである。
【0017】
ADS-B技術は、定期的に航空機上の全地球測位システム(GPS)受信器を使用して導出される、航空機の位置を放送するために、航空機上の航空交通制御(ATC)トランスポンダを使用する。今や、ADS-Bは、広く配備された技術であり、ADS-Bの能力は、近い将来に世界の多くの部分で航空宇宙にアクセスするために必要とされるであろう。宇宙ベースのADS-Bシステム内では、航空機からのADS-B送信が、衛星によって受信され、監視用の航空交通制御システムによって又は航空機の位置を追跡することにおいて関心がある他のエンティティによって使用されるために、地上に中継される。宇宙ベースのADS-B技術及び全地球空間ベースADS-B能力を導入することに向けて、複数の組織が活動している。
【0018】
種々の例示的な実施形態は、自律的遭難追跡向けの従来の宇宙ベースのADS-B技術の使用が、望ましくない制限を有し得ることを認識し考慮する。従来のADS-B送信向けに使用される典型的な航空機のトランスポンダは、比較的大量の電力を必要とするデバイスであり、航空機が遭難したときに航空機が電源を失った後で、確実に動作を継続することが困難である。更に、従来のADS-Bシステムは、航空機の位置を特定するために、航空機上のGPS受信器に依存する。航空機上の従来のGPS受信器も、遭難状態の最中に機能を失う可能性がある。更に、ADS-B向けに使用される従来のトランスポンダは、航空機上の乗務員によって制御され得る。このことは、従来のADS-Bシステムを、自律的遭難追跡にとって不適切なものとしている。というのも、追跡は、航空機内から望ましくないやり方で影響を受け得るからである。
【0019】
例示的な実施形態は、幾つかの要素及びそれらの要素のパッケージングの新規な組み合わせを介して、現在の遭難追跡システム及び方法の欠点に対処する技術的な解決策を提供する。例示的な実施形態によれば、航空機の自律的遭難追跡は、航空機上の航空交通制御トランスポンダから独立した、航空機上のADS-B送信機を使用して提供される。例示的な一実施形態による自律的遭難追跡向けのADS-B送信機は、従来のADS-B送信システムより少ない電力を必要とするように設計され、航空機が遭難したときだけ起動される。例示的な一実施形態による自律的遭難追跡システムは、航空機の電源が失われた後で送信が継続するための電力を供給するバッテリを含む。該システムは、GPSで特定された航空機の位置が、航空機の遭難状態に関連付けられ得る故障に対してもロバストであることを確実にするためのGPS受信器も含む。該システムは、航空機が遭難したときに自動的に起動され得る121MHzのビーコンであって、衝突した後に機能するように設計されたビーコンも含み得る。
【0020】
例示的な一実施形態による自律的遭難追跡システムは、航空機の外側で航空機に取り付けられ得る単一のライン交換可能ユニットとして設けられ得る。例えば、例示的な一実施形態による自律的遭難追跡システムは、従来の緊急位置発信器用のアンテナが通常の場合に取り付けられ得る、航空機の外側に取り付けられてよい。例示的な一実施形態によれば、自律的遭難追跡システムのライン交換可能ユニットは、緊急位置発信器用の従来のブレードアンテナに類似しているように見えるハウジング内で、バッテリ、ADS-B送信機、121MHzのビーコン送信機、及びGPS受信器と共に完全に一体化され自己完結し得る。
【0021】
図1を参照すると、例示的な一実施形態による航空機動作環境の例示が描かれている。航空機動作環境100は、航空機102が任意の適切な方法で動作され得る任意の適切な環境を含んでよい。例えば、限定されないが、航空機102は、航空機動作環境100内で飛行中であり得る。
【0022】
航空機102は、航空機動作環境100内で任意の適切な運航又は任務を実行するように構成され得る。例えば、限定されないが、航空機102は、民間旅客機、貨物航空機、軍用機、又は任意の他の適切な種類の航空機であってよい。更に、航空機102は、固定翼航空機、回転翼航空機、又は軽航空機であってよい。また更に、航空機102は、有人航空機又は無人航空機であってよい。
【0023】
航空機102は、従来のADS-Bシステム104を含み得る。従来のADS-Bシステム104は、既知のやり方で衛星航法システム114内の幾つかの航法システム衛星112から受信された航法信号110を使用して、航空機102の位置を特定するように構成され得る。従来のADS-Bシステム104は、航空交通制御システム116によって使用されるための従来のADS-B送信108内で、航空機102の位置及び他の情報を送信するように構成されてよい。この場合、従来のADS-B送信108は、航空交通制御送信向けのADS-Bと称され得る。従来のADS-B送信108は、直接的にか又は衛星120を介しての何れかで、航空交通制御システム116用の受信ステーション118によって受信されてよい。
【0024】
例示的な一実施形態によれば、航空機102は、自律的遭難追跡システム122を含み得る。例えば、限定されないが、自律的遭難追跡システム122は、航空機102の外側で航空機102の外板に取り付けられてよい。例示的な一実施形態によれば、自律的遭難追跡システム122は、航空機102が航空機動作環境100内で飛行中に、航空機102の位置を自動的に特定し、航空機102が遭難状態にあるとの判定に応答して、航空機102の位置を特定する位置情報を含む遭難通信124を自動的に送信するように構成されてよい。
【0025】
自律的遭難追跡システム122は、既知のやり方で衛星航法システム114内の幾つかの航法システム衛星112から受信された航法信号110を使用して、航空機102の位置を特定するように構成されてよい。自律的遭難追跡システム122は、航空機102の位置を特定するために、衛星航法システム114の内の4つ以上の航法システム衛星112から受信された航法信号110を使用してよい。例えば、限定されないが、航法システム衛星112は、全地球測位システム(GPS)、全地球測位航法衛星システム(GLONASS)、他の適切な衛星航法システム、又は航空機102の位置を特定するために自律的遭難追跡システム122によって使用され得る衛星航法システムの様々な組み合わせなどの、衛星航法システム114内の衛星を含んでよい。
【0026】
遭難通信124は、自律的遭難追跡システム122内のADS-BトランシーバからのADS-B送信を含んでよい。更に、遭難通信124は、緊急位置発信器ビーコン送信を含んでよい。遭難通信124は、衛星120を介して捜索及び救急システム126に送信されるように構成されている。遭難通信124は、衛星120を介して航空機のオペレータ128又は任意の別の適切なエンティティにも送信されてよい。例えば、非限定的に、航空機のオペレータ128は、航空機102の航空会社又は任意の他の公的若しくは私的オペレータであってよい。
【0027】
衛星120は、捜索及び救急システム126並びに航空機のオペレータ128に遭難通信124を送信するために、航空機102上の自律的遭難追跡システム122と、捜索及び救急システム126用の受信ステーション130と、航空機のオペレータ128又は航空機のオペレータの代わりに作業する第三者のサービスプロバイダー用の受信ステーション132と、の間の通信リンクを確立するための、任意の適切な衛星又は複数の衛星を含んでよい。
【0028】
図2を参照すると、例示的な一実施形態による、航空機上の自律的遭難追跡システムのブロック図の例示が描かれている。航空機202に取り付けられた自律的遭難追跡システム200は、
図1の航空機102に取り付けられた自律的遭難追跡システム122の例示的な一実施態様である。例えば、限定されないが、自律的遭難追跡システム200は、航空機202の外側204で航空機202に取り付けられてよい。
【0029】
自律的遭難追跡システム200は、ハウジング206内に収容された様々な電子要素を備える。ハウジング206は、自律的遭難追跡システム200が航空機202の外側204で航空機202に取り付けられたときに、ハウジング206の内側に収容された電子機器が、自律的遭難追跡システム200の適切な動作を維持するように保護されるような、任意の適切なやり方で任意の適切な材料から作製されてよい。
【0030】
ハウジング206は、任意の適切な形状を有してよい。例えば、ハウジング206は、適切な空力形状を有してよい。例えば、非限定的に、ハウジング206は、航空機上の緊急位置発信器用のブレードアンテナに類似した形状を有してよい。
【0031】
自律的遭難追跡システム200用の電子要素は、システムコントローラ208、衛星航法システム受信器210、ADS-Bトランシーバ212、ビーコン送信機214、アンテナ216、バッテリ218、及び電力管理器220を含んでよい。
【0032】
システムコントローラ208は、適切なプロセッサを使用して又は任意の他の適切なやり方で実装されてよい。システムコントローラ208は、本明細書で説明されるように、自律的遭難追跡システム200の動作全体を制御するように構成されてよい。例えば、システムコントローラ208は、航空機202の内側226の警告システム224に、自律的遭難追跡システム200のステータス222を報告するように構成されてよい。例えば、警告システム224は、エンジン指示乗員警告システム(EICAS)であってよい。この場合に、システムコントローラ208は、自律的遭難追跡システムの現在のステータス222を、継続的に航空機202上の429バスに報告してよい。それによって、適切なEICASメッセージ又は保守コンピュータ作業がサポートされてよい。
【0033】
遭難認識装置228は、システムコントローラ208の部分として又はシステムコントローラ208から分離して実装されてよい。遭難認識装置228は、航空機202が遭難状態230にあるときを特定するように構成されている。遭難認識装置228は、本明細書で説明される様々なソースからの情報を使用して、航空機202が遭難状態230にあるときを特定するための適切な内部論理処理能力を含む。システムコントローラ208は、航空機202が遭難状態230にあるとの遭難認識装置228による判定に応答して自動的に遭難通信232を送信することを、自律的遭難追跡システム200に実行させるように構成されている。
【0034】
衛星航法システム受信器210は、衛星航法システム内の衛星から航法信号を受信するように構成されてよい。例えば、限定されないが、衛星航法システム受信器210は、全地球測位システム(GPS)、全地球測位航法衛星システム(GLONASS)、別の適切な衛星航法システム、又は衛星航法システムの様々な組み合わせなどの、全地球測位航法衛星システム内の衛星から、航法信号を受信するように構成されてよい。例示的な一実施形態によれば、衛星航法システム受信器210によって受信された航法信号は、航空機202の位置234を特定するために使用されてよい。航空機202の位置234は、好適には航空機202の三次元位置であってよい。
【0035】
航空機202の位置234は、航空機202の内側226に位置付けられた航空機航行用の衛星航法受信器211によって特定されてもよい。航空機航行用の衛星航法受信器211は、自律的遭難追跡システム200内の衛星航法システム受信器210と同じやり方で、航空機202の位置234を特定してよい。
【0036】
ADS-Bトランシーバ212は、自動遭難通信236を送信するように構成されている。自動遭難通信236は、航空機202が遭難状態230にあるとの判定に応答して、自動的に自律的遭難追跡システム200によって送信される遭難通信232の部分である。自動遭難通信236は、航空機202を特定する識別情報238、衛星航法システム受信器210によって特定されるような航空機202の位置234を特定する位置情報240、及び航空機202の遭難状態230の原因を特定する遭難ステータス情報242を含んでよい。自動遭難通信236は、任意の適切なレート244で送信されてよい。例えば、非限定的に、レート244は、近似的に1秒当たり1回の送信であってよい。
【0037】
ADS-Bトランシーバ212は、航空機202の内側226に位置付けられた航空交通制御トランスポンダ250から送信され得る、ADS-B送信246及び緊急モードコード248を受信するように構成されてもよい。以下でより詳細に説明されることとなるように、ADS-B送信246及び緊急モードコード248は、航空機202が遭難状態230にあるかどうかを判定するために、遭難認識装置228によってモニタ及び使用されてよい。
【0038】
ビーコン送信機214は、航空機202が遭難状態230にあると判定されたときに、遭難通信232の部分として緊急位置発信器ビーコン252を送信するように構成されている。緊急位置発信器ビーコン252は、121MHzで、406MHzで、又は121MHzと406MHzの両方で送信されてよい。本明細書で説明されるように、例えば、
図4を参照すると、例示的な一実施形態による自律的遭難追跡システム200は、航空機202上の従来の緊急位置発信器に取って代わることができる。ビーコン送信機214は、自律的遭難追跡システム200が、かかる従来の緊急位置発信器からの送信の代わりに、緊急位置発信器ビーコン252を送信することを可能にする。自律的遭難追跡システム200から送信された緊急位置発信器ビーコン252は、従来の緊急位置発信器からの送信と同じやり方で受信され、取り扱われてよい。
【0039】
アンテナ216は、衛星航法システム受信器210、ADS-Bトランシーバ212、及びビーコン送信機214によって、信号を受信又は送信するための任意の適切なアンテナを含む。アンテナ216は、自律的遭難追跡システム200内の他の通信システム用の他のアンテナを含んでよい。アンテナ216は、ハウジング206内に収容されてよい。代替的に又は更に、アンテナ216又はアンテナ216の適切な部分は、ハウジング206内の電子機器との適切な接続を保ったままで、ハウジング206の外側表面上にあってもよい。
【0040】
バッテリ218は、任意の適切な数の再充電可能なバッテリを含む。電力管理器220は、自律的遭難追跡システム200の電子部品への電力の供給を制御するように構成されている。例えば、電力が、航空機202の内側226に位置付けられた電源258から利用可能なときに、電力管理器220は、電源258から自律的遭難追跡システム200の電子部品に電力を供給し、バッテリ218を充電された状態に維持するために、電源258からの電力を使用する。電力が、電源258から利用可能でないときに、電力管理器220は、バッテリ218から、自律的遭難追跡システム200の電子部品に電力を供給する。
【0041】
自律的遭難追跡システム200に関して例示されている種々の構成要素は、種々の実施形態が実施され得るやり方に構造的な限定をもたらすことを意図するものではない。種々の例示的な実施形態は、これらの図示されている自律的遭難追跡システム200に追加された又はそれに取って代わる構成要素を含むシステム内に実装されてよい。
図2で示されている他の構成要素は、図示されている例示的な実施例とは異なることがある。
【0042】
図3を参照すると、例示的な一実施形態による、遭難認識装置のブロック図の例示が描かれている。遭難認識装置300は、
図2の遭難認識装置228の例示的な一実施態様である。
【0043】
遭難認識装置300は、航空機が遭難状態にあるときを特定するように構成されている。例えば、遭難認識装置300は、航空機の飛行中に航空機の内側の電源からの電力が利用可能でないとき302に、航空機が遭難状態にあると判定するように構成されてよい。遭難認識装置300は、航空機からの航空交通制御送信向けのADS-Bが、選択された期間より長く停止しているとき304に、航空機が遭難状態にあると判定するように構成されてよい。遭難認識装置300は、航空機の位置情報が、自律的遭難追跡システム内の又は航空機の内側の何れかの衛星航法システム受信器から利用可能でないとき306に、航空機が遭難状態にあると判定するように構成されてよい。遭難認識装置300は、緊急モードコードの送信が検出されたとき308に、航空機が遭難状態にあると判定するように構成されてよい。遭難認識装置300は、遠隔起動信号が受信されたとき310に、航空機が遭難状態にあると判定するように構成されてよい。代替的に又は追加的に、遭難認識装置300は、他の状態が存在すると判定されたとき312に、航空機が遭難状態にあると判定するように構成されてよい。
【0044】
図4を参照すると、例示的な一実施態様による、航空機上の緊急位置発信器に取って代わる、航空機に取り付けられた自律的遭難追跡システムのブロック図の例示が描かれている。航空機401上の自律的遭難追跡システム400は、
図1の航空機102上の自律的遭難追跡システム122又は
図2の航空機202の自律的遭難追跡システム200の例示的な一実施態様であり得る。
【0045】
自律的遭難追跡システム400は、航空機401の外側406で航空機401の外板402に取り付けられている。外板402は、航空機401の外側406を航空機401の内側404から分離する任意の適切な構造を備える。
【0046】
自律的遭難追跡システム400は、ハウジング409内に収容された電子機器408を備える。自律的遭難追跡システム400によって提供される機能性は、航空機401の緊急位置発信器410によって提供される機能性に取って代わり、それを改善し得る。例えば、限定されないが、緊急位置発信器410は、自律的遭難追跡システム400が航空機401に取り付けられる前に、航空機401から取り外されてよい。緊急位置発信器410を航空機401から取り外すことは、緊急位置発信器410用のアンテナ411を航空機401の外側406で航空機401の外板402から取り外すこと、及び緊急位置発信器410用の電子機器412を航空機401の内側404から取り外すことを含み得る。
【0047】
アンテナ411の設置面積414は、そこから緊急位置発信器410用のアンテナ411が取り外されたところの航空機401の外板402の面積である。設置面積414は、緊急位置発信器410用のアンテナ411を航空機401の外板402上に配置するための、緊急位置発信器410用のアンテナ411を航空機401の外板402に取り付けるための、又は他の適切な目的若しくは目的の様々な組み合わせのための様々な構造を含んでよい。例えば、限定されないが、設置面積414は、装着孔416及び貫通孔418を含み得る。装着孔416は、設置面積414内の航空機401の外板402内に任意の適切な数の孔を含み得る。装着孔416は、緊急位置発信器410用のアンテナ411を航空機401の外板402に取り付けるために使用されたかもしれない。貫通孔418は、航空機401の内側404から、設置面積414内で航空機401の外板402を通って、航空機401の外側406に延在する孔を含み得る。貫通孔418は、緊急位置発信器410用のアンテナ411を緊急位置発信器410用の電子機器412に接続するために、配線を航空機401の外板402を貫通して延在させるために使用されたかもしれない。
【0048】
自律的遭難追跡システム400は、そこから緊急位置発信器410用のアンテナ411が取り外されたところの航空機401の外板402上の場所において、設置面積414内で航空機401の外板402に取り付けられてよい。自律的遭難追跡システム400は、適切なファスナ422を使用して、航空機401の外板402に取り付けられてよい。例えば、限定されないが、ファスナ422は、ハウジング409を航空機401の外板402に取り付けるために、自律的遭難追跡システム400のハウジング409から、航空機401の外板402内の装着孔416の中に延在してよい。ファスナ422は、ハウジング409を航空機401の外板402に取り付けるための任意の適切な構造を含んでよい。例えば、限定されないが、ファスナ422は、ねじ、ボルト、クリップ、リベット、接着剤、任意の他の適切な締結構造若しくは材料、又は適切なファスナの様々な組み合わせを含んでよい。
【0049】
線437は、航空機401の外側406で航空機401の外板402に取り付けられたハウジング409内の電子機器408から、航空機401の内側404の航空機システム438に延在し得る。例えば、線437は、航空機システム438を電子機器408に接続するために、ハウジング409内の貫通孔426及び航空機401の外板402内の貫通孔418を通って延在し得る。
【0050】
図5~
図7を参照すると、
図5は、例示的な一実施形態による、緊急位置発信器アンテナ及び自律的遭難追跡システム用のハウジングの側面図の例示である。
図6は、
図5の6‐6線に沿って切り取られた
図5の例示的な実施形態による、緊急位置発信器アンテナ及び自律的遭難追跡システム用のハウジングの前面図の例示である。そして、
図7は、
図5の7‐7線に沿って切り取られた
図5の例示的な実施形態による、緊急位置発信器アンテナ及び自律的遭難追跡システム用のハウジングの底面図の例示である。
【0051】
緊急位置発信器アンテナ500は、
図5~
図7において実線で示されている。例示的な一実施形態による、自律的遭難追跡システム向けのハウジング502は、
図5~
図7において破線で示されている。ハウジング502は、航空機上でハウジング502が取って代わり得る緊急位置発信器アンテナ500と類似した概略形状を有し得ることに留意されたい。ハウジング502は、ハウジング502内に自律的遭難追跡システムの構成要素を受け入れるため、ハウジング502が取って代わるアンテナ500より幾らか大きくてよい。しかし、アンテナ500を航空機に取り付けるためのアンテナ500上の様々な取り付け構造504は、好適にはハウジング502のものと同じである。それによって、ハウジング502は、航空機の最小の又は皆無の修正を伴って、そこからアンテナ500が取り除かれたところの航空機上の場所に容易に取り付けられ得る。
【0052】
次に
図8~
図10を参照すると、
図8は、例示的な一実施形態による、自律的遭難追跡システムの一実施形態向けのハウジング内の構成要素の概念的な配置の側面図の例示である。
図9は、
図8の9‐9線に沿って切り取られた
図8の例示的な実施形態による、自律的遭難追跡システムの一実施形態向けのハウジング内の構成要素の概念的な配置の前面図の例示である。そして、
図10は、
図8の10‐10線に沿って切り取られた
図8の例示的な実施形態による、自律的遭難追跡システムの一実施形態向けのハウジング内の構成要素の概念的な配置の底面図の例示である。
【0053】
図8~
図10は、ブレードアンテナの形状を有するハウジング800内の例示的な一実施形態による、自律的遭難追跡システムの構成要素の1つの可能な配置を示している。図示されている構成要素は、ビーコン送信用の121MHzのアンテナ802、ADS-Bトランシーバ用の1090MHzのアンテナ804、衛星航法システム受信器用のパッチアンテナ806、自律的遭難追跡システム用の電子機器808、及び再充電可能なバッテリ810を含む。ハウジング800が、航空機の外側で航空機に取り付けられたときに、航空機の内側の航空機システムに電子機器808を接続するために、コネクタ812が設けられてよい。
【0054】
図11を参照すると、例示的な一実施形態による、自律的遭難追跡システムの一実施形態の機能ブロック図が描かれている。自律的遭難追跡システム1100は、
図8~
図10のハウジング800内の自律的遭難追跡システムの一実施例であってよい。
【0055】
自律的遭難追跡システム1100は、ビーコン送信用のアンテナ1102、ADS-Bトランシーバ用のアンテナ1104、及び衛星航法システム受信器用のアンテナ1106を含む。この例示的な実施形態によれば、ビーコン送信機、ADS-Bトランシーバ、及び衛星航法受信器は、ソフトウェア無線機1108内に実装されてよい。適切なフィルタリング及び調整回路1110並びにデジタルアナログ及びアナログデジタル変換器1112が、アンテナ1102、1104、及び1106と、ソフトウェア無線機1108との間に設けられてよい。
【0056】
システムコントローラ1114は、自律的遭難追跡システム1100の動作の一般的な制御を提供する。電源管理器1116は、再充電可能なバッテリ1118の充電を含む、システムの他の電子部品への電力の供給を制御する。
【0057】
次に
図12~
図14を参照すると、
図12は、例示的な一実施形態による、自律的遭難追跡システムの一実施形態向けのハウジング内の構成要素の概念的な配置の側面図の例示である。
図13は、
図12の13‐13線に沿って切り取られた
図12の例示的な実施形態による、自律的遭難追跡システムの一実施形態向けのハウジング内の構成要素の概念的な配置の前面図の例示である。そして、
図14は、
図12の14‐14線に沿って切り取られた
図12の例示的な実施形態による、自律的遭難追跡システムの一実施形態向けのハウジング内の構成要素の概念的な配置の底面図の例示である。
【0058】
図12~
図14は、ブレードアンテナの形状を有するハウジング1200内の例示的な一実施形態による、自律的遭難追跡システムの構成要素のもう1つの可能な配置を示している。図示されている構成要素は、ビーコン送信用の121MHzのアンテナ1202、ADS-Bトランシーバ用の1090MHzのアンテナ1204、衛星航法システム受信器用のパッチアンテナ1206、衛星通信用のパッチアンテナ1208、無線ネットワークに接続するためのアンテナ1210、自律的遭難追跡システム用の電子機器1212、及び再充電可能なバッテリ1214を含む。ハウジング1200が、航空機の外側で航空機に取り付けられたときに、航空機の内側の航空機システムに電子機器1212を接続するために、コネクタ1216が設けられてよい。
【0059】
図15を参照すると、例示的な別の一実施形態による、自律的遭難追跡システムの一実施形態の機能ブロック図が描かれている。自律的遭難追跡システム1500は、
図12~
図14のハウジング1200内の自律的遭難追跡システムの一実施例であってよい。
【0060】
自律的遭難追跡システム1500は、ビーコン送信用のアンテナ1502、ADS-Bトランシーバ用のアンテナ1504、衛星航法システム受信器用のアンテナ1506、衛星通信用のアンテナ1508、及び無線ネットワークへの接続性のためのアンテナ1510を含む。例えば、アンテナ1510は、Wi-Fiネットワーク、携帯電話のネットワーク、又はパーソナルエリアネットワークなどの、無線ネットワークへのアクセスを提供することができる。衛星通信用のアンテナ1508は、Lバンド衛星通信用のアンテナであってよい。
【0061】
この例示的な実施形態によれば、アンテナ1502、1504、1506、1508、及び1510によって提供される様々な通信チャネルを介した通信は、ソフトウェア無線機1512内に実装され得る。適切なフィルタリング及び調整回路1514並びにデジタルアナログ及びアナログデジタル変換器1516が、アンテナ1502、1504、1506、1508、及び1510と、ソフトウェア無線機1512との間に設けられてよい。
【0062】
システムコントローラ1518は、自律的遭難追跡システム1500の動作の一般的な制御を提供する。電源管理器1520は、再充電可能なバッテリ1522の充電を含む、システムの他の電子部品への電力の供給を制御する。
【0063】
自律的遭難追跡システム1500は、例示的な一実施形態による、マルチサービス統合自律的遭難追跡システムの一実施例である。自律的遭難追跡システム1500は、特定の航空会社又は他の航空機のオペレータが利用したい、サービスの提供又は遭難追跡運用アプローチをサポートするための、様々な通信リンクを当該分野でサポートするように構成されてよい。例えば、航空会社は、従来の緊急位置発信器と同様にCOSPAS SARSATサービスのみを使用するか、又はイリジウム若しくはインマルサットのSATCOMベースの遭難追跡サービスを使用して地上での検証を行うか、若しくは例えば潜在的な遭難状態向けのSATCOMベースの遭難追跡サービスを使用し、検証される遭難イベントにエスカレートした場合にCOSPAS-SARSATの遭難通信を追加して、ハイブリッド若しくは複合サービスを求めることを選択できる。マルチサービスのサービスアプローチは、例えば航空機が予定された位置報告時間を徒過したときに、遭難追跡器の遠隔地上起動用のチャネルを提供するためにも使用され得る。
【0064】
図16を参照すると、例示的な一実施形態による、自律的遭難追跡システムを航空機に取り付けるためのプロセスのフローチャートの例示が描かれている。プロセス1600は、
図4の自律的遭難追跡システム400を航空機401に取り付けるためのプロセスの例示的な一実施態様であり得る。
【0065】
プロセス1600は、緊急位置発信器を航空機から取り外すこと(動作1602)によって開始し得る。動作1602は、緊急位置発信器用のアンテナが航空機の外側で航空機の外板に取り付けられていた場所から、そのアンテナを取り外すことを含み得る。
【0066】
次いで、例示的な一実施形態による緊急位置発信器が、航空機から取り外された緊急位置発信器用のアンテナの設置面積内で、航空機の外側の航空機の外板に取り付けられ(動作1604)てよく、その後、該プロセスは終了する。
【0067】
図17を参照すると、例示的な一実施形態による、自律的遭難追跡システムの動作向けのプロセスのフローチャートの例示が描かれている。例えば、プロセス1700は、
図2の自律的遭難追跡システム200内に実装され得る。
【0068】
プロセス1700は、様々な航空機の状態及び信号をモニタリングすること(動作1702)によって開始し得る。モニタされた状態及び信号は、航空機が遭難したかどうかを判定するために使用される(動作1704)。航空機が遭難したとの動作1706での判定に応答して、ADS-B遭難通信及び緊急位置ビーコン送信が開始され(動作1708)てよく、その後、該プロセスは終了する。航空機が遭難していないとの動作1706での判定に応答して、プロセス1700は、動作1702に戻ることによって、航空機が遭難したがどうかを判定するために、航空機の状態及び信号のモニタを継続してよい。
【0069】
種々の例示的実施形態の説明は、例示及び説明を目的として提示されたものであり、網羅的であること、又はこれらの実施形態を開示された形態に限定することを意図していない。当業者には、多くの修正例及び変形例が明らかであろう。更に、種々の例示的実施形態は、他の例示的実施形態と比較して別の利点を提供しうる。選択された1以上の実施形態は、実施形態の原理と実際の応用を最もよく説明するため、及び、他の当業者が、様々な改変例を伴う様々な実施形態の開示内容は想定される特定の用途に適すると理解することを可能にするために、選ばれ、且つ説明されている。