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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】電気集塵装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B03C 3/00 20060101AFI20240422BHJP
【FI】
B03C3/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020049214
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021146288
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】315016723
【氏名又は名称】三菱重工パワー環境ソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】奥野 泰幸
(72)【発明者】
【氏名】三輪 守
(72)【発明者】
【氏名】相馬 岳史
【審査官】伊藤 真明
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-008754(JP,A)
【文献】中国実用新案第202113941(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B03C 3/00-11/00
E04B 7/00- 9/36
E04H 5/00- 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面が円形状を有する棒状の第1柱部材を、板状である天井ケーシングの外面に対して垂直方向となるように溶接にて複数本固定する工程と、
長尺状の桁部材を水平方向に配置し、前記桁部材と、固定された複数本の前記第1柱部材の先端部とを溶接にて連結する工程と、
前記第1柱部材と連結された前記桁部材の上面に対して、板状である外装板を載置し固定する工程と、
を備える電気集塵装置の製造方法。
【請求項2】
断面が円形状を有する棒状の第1柱部材を、板状である天井ケーシングの外面に対して垂直方向となるように溶接にて複数本固定する工程と、
長尺状の桁部材を水平方向に配置し、前記桁部材と、固定された複数本の前記第1柱部材の先端部とを溶接にて連結する工程と、
前記第1柱部材と連結された前記桁部材の上面に対して、板状である外装板を載置し固定する工程と、
を備え、
前記桁部材と連結される複数本の前記第1柱部材は、全て断面が円形状を有している電気集塵装置の製造方法。
【請求項3】
前記桁部材の長手方向に対して平行な直線上に沿って複数本の前記桁部材を配置し、互いに隣り合う前記桁部材の端部同士は離隔している請求項1又は2に記載の電気集塵装置の製造方法。
【請求項4】
断面が円形状を有する棒状の第1柱部材を、板状である天井ケーシングの外面に対して垂直方向となるように溶接にて複数本固定する工程と、
長尺状の桁部材を水平方向に配置し、前記桁部材と、固定された複数本の前記第1柱部材の先端部とを溶接にて連結する工程と、
前記第1柱部材と連結された前記桁部材の上面に対して、板状である外装板を載置し固定する工程と、
前記外装板に対して貫通孔を形成する工程と、
断面が円形状を有する棒状の第2柱部材を、前記貫通孔に通して、前記第2柱部材を前記天井ケーシングの外面に対して垂直方向となるように設置する工程と、
前記外装板と前記第2柱部材の先端部とを溶接にて連結する工程と、
を備える電気集塵装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気集塵装置の新設又は改修に適用可能な電気集塵装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気集塵装置(EP:Electrostatic Precipitator)は、排ガスや空気に含まれる煤塵粒子(ダスト、粒子状物質などとも呼ばれる。)を煙突等から大気に放出する前に除去する。電気集塵装置は、粒子を帯電させる放電電極と、放電電極に対向して配置される集塵電極などを備える。放電電極でコロナ放電が生じることによって、ガス分子がイオン化し、排ガス等に含まれる粒子は、電極間の電界中を通過すると荷電される。そして、帯電した粒子は、集塵電極に捕集される。
【0003】
下記の特許文献1には、電気集塵装置屋根の構築方法に関する開示であって、高所作業をなくして作業能率を高めるため、地上においてフレームと屋根板材とを一体化した屋根ユニットを形成した後、屋根ユニットをクレーンによって吊り上げて建屋の上に搬入することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-8754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気集塵装置の天井部は、屋外に露出した電気集塵装置の屋根の役割を果たす。天井部51は、例えば、図7に示すように、梁57に支持され、高温排ガスが流通する内部に面した天井ケーシング(ヘッダプレートとも呼ばれる。)56と、天井ケーシング56の上面に敷設される保温材58と、支持構造53を介して保温材58よりも上方に配設される外装板(チェッカープレートとも呼ばれる。)52とを備える。天井部51には、図面では省略されているが、外装板52上に露出するように荷電装置、槌打装置などが設置されている。
【0006】
支持構造53は、外装板52上を作業者が歩行できるような強度を有して、外装板52を支持している。支持構造53は、柱部材54と桁部材55とを有する。柱部材54は、天井ケーシング56の外面に対して垂直方向となるように固定されており、桁部材55は、複数本の柱部材54の先端部に対して固定され、水平方向に配置されている。
【0007】
電気集塵装置内部の温度は、排ガス温度の影響によって100℃から400℃の高温になる。これにより、天井ケーシング56には、熱による伸縮が生じる。しかし、天井ケーシング56の伸び方向は予測が困難である。従来、支持構造53の柱部材54は、断面形状がL字状を有するアングル材が用いられていた。アングル材は、剛性に方向性があるため、熱伸び方向によっては熱伸び差を吸収できないという問題があった。また、従来、外装板52が天井部51の全面で溶接によって1枚に一体化されており、熱伸び差を吸収できなかった。
【0008】
上述した構成では、高温の排ガスが流れる内部に面する天井ケーシング56と、外気に面する外装板52とでは、温度差が生じ、両者の熱伸び差によって、種々の不具合が発生するおそれがある。例えば、外装板52の溶接部の亀裂や破損、外装板52の曲がりや歪み、天井部51に設置された機器類の損傷や破損、溶接部の亀裂や破損から浸入した雨水による天井ケーシング56の腐食や穴あきが生じる。
【0009】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、外装板と天井ケーシングの熱伸び差を吸収することができ、熱伸び差による亀裂や破損の発生を低減又は防止することが可能な電気集塵装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本開示の電気集塵装置の製造方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本開示に係る電気集塵装置の製造方法は、断面が円形状を有する棒状の第1柱部材を、板状である天井ケーシングの外面に対して垂直方向となるように溶接にて複数本固定する工程と、長尺状の桁部材を水平方向に配置し、前記桁部材と、固定された複数本の前記第1柱部材の先端部とを溶接にて連結する工程と、前記第1柱部材と連結された前記桁部材の上面に対して、板状である外装板を載置し固定する工程とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、外装板と天井ケーシングの熱伸び差を吸収することができ、熱伸び差による亀裂や破損の発生を低減又は防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の一実施形態に係る電気集塵装置を示す斜視図である。
図2】本開示の一実施形態に係る電気集塵装置の天井部を示す斜視図であり、部分的に内部を示している。
図3】本開示の一実施形態に係る電気集塵装置の天井部の外装板を示す拡大縦断面図である。
図4】本開示の一実施形態に係る電気集塵装置の天井部を示す縦断面図である。
図5】本開示の一実施形態に係る電気集塵装置の天井部を示す縦断面図であり、図4の切断方向に対して直交する方向に切断した図である。
図6】本開示の一実施形態に係る電気集塵装置の天井部を示す縦断面図である。
図7】従来の電気集塵装置の天井部を示す斜視図であり、部分的に内部を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本開示の一実施形態に係る電気集塵装置1について、図面を参照して説明する。
本開示の一実施形態に係る電気集塵装置1は、例えば、石炭焚きや重油焚きの発電プラントや焼却炉等の産業用燃焼設備の下流側の煙道内に設けられる排ガス処理設備に設置される。
【0014】
電気集塵装置1は、ダストやミスト等の粒子を除去するため、粒子を帯電させる放電電極と、放電電極に対向して配置される集塵電極と、集塵電極に付着した粒子を下部のホッパーに落下させる槌打装置などを内部に備える。
【0015】
図1に示すように、電気集塵装置1の構造体は、通常、鉄骨構造であり、本体部を構成する上部構造2と、本体部を下方で支持する下部構造3に大きく分けることができる。上部構造2の構造材は、柱材、梁材及び壁材などから構成される。また、下部構造3の構造材は、基礎及び架台などから構成される。
【0016】
以下、本実施形態に係る電気集塵装置1の天井部4の構成について説明する。
天井部4は、屋外に露出した電気集塵装置1の屋根の役割を果たす。天井部4は、例えば、図2に示すように、梁11に支持され、高温排ガスが流通する内部に面した天井ケーシング(ヘッダプレートとも呼ばれる。)10と、天井ケーシング10の上面に敷設される保温材12と、支持構造7を介して保温材12よりも上方に配設される外装板(チェッカープレートとも呼ばれる。)5とを備える。天井部4には、図面では省略されているが、外装板5よりも上に露出するように荷電装置や槌打装置の上部が天井ケーシング10に設置されている。
【0017】
支持構造7は、外装板5上を作業者が歩行できるような強度を有しており、外装板5を支持する。図2図4及び図5に示すように、支持構造7は、柱部材8と桁部材9とを有する。柱部材8は、天井ケーシング10の外面に対して垂直方向となるように溶接にて天井ケーシング10に固定されており、桁部材9は、複数本の柱部材8の先端部に対して溶接にて固定され、水平方向に配置されている。柱部材8は、第1柱部材の一例である。外装板5は、桁部材9に対して溶接にて固定される(図4では溶接個所を符号Mで示している)。
【0018】
柱部材8は、断面が円形状を有する棒状部材、例えば、丸鋼である。桁部材9は、根太とも呼ばれ、長尺状部材であって、例えば、図4に示すように、断面形状がL字状を有する形鋼(アングル材)である。柱部材8は、断面が円形状を有することから、剛性に方向性がない。したがって、支持構造7は、柱部材にアングル材が用いられる場合と異なり、天井ケーシング10の伸び方向に関わらず、天井ケーシング10と外装板5の熱伸び差を吸収できる。
【0019】
支持構造7において、桁部材9と連結される複数本の柱部材8は、全て断面が円形状を有している。したがって、例えば特許文献1の図4に図示されているように、横ビーム(桁部材9に相当)の両端部で連結された支柱(柱部材8に相当)の断面が円形状でない場合(例えば平板状である場合)と異なる。よって、本実施形態では、外装板5は天井ケーシング10に対して拘束されることがない。
【0020】
また、図2に示すように、桁部材9は、天井部4の一端から他端にかけて1本のみで構成されず、複数本で構成される。すなわち、複数本の桁部材9が、桁部材9の長手方向に対して平行な直線上に沿って配置されており、互いに隣り合う桁部材9の端部同士は離隔している。これにより、図7に示す従来例のように1本の桁部材55で構成される場合と異なり、外装板5は天井ケーシング10に対して拘束されることがない。
【0021】
外装板5は、従来と異なり、天井部4の全面にわたって溶接で1枚に一体化されず、複数枚に分割されて構成される。例えば、図3に示すように、外装板5の端部5aが上方に折り曲げられて、2枚の外装板5の端部5a間に隙間が設けられて、外装板5が配置される。外装板5の端部5a上部には、形鋼6が端部5aに沿って設置される。形鋼6の一端は、外装板5に固定された押え金具13によって形鋼6の上方への移動が抑制される。他方、形鋼6の他端は、外装板5に対して溶接にて固定される。これにより、形鋼6は、外装板5の伸縮に追従して、外装板5上でスライド可能である。このように複数枚の外装板5で構成され、かつ、外装板5間に隙間が形成されることによって、熱伸び差を吸収できる。また、形鋼6によって外装板5の下方への雨水の浸入を防止できる。
【0022】
次に、本実施形態に係る天井部4の施工方法について説明する。
【0023】
まず、棒状の柱部材8を、板状である天井ケーシング10の外面に対して垂直方向となるように溶接にて複数本固定する。複数本の柱部材8は、適切な間隔をあけて、一直線上に配列される。次に、長尺状の桁部材9を水平方向に配置し、桁部材9と、固定された複数本の柱部材8の先端部とを溶接にて連結していく。1本の桁部材9と複数本の柱部材8の組み合わせによって、1組の構造体が形成される。この構造体を複数列に複数組形成することによって、支持構造7が天井ケーシング10上に設けられる。
【0024】
その後、支持構造7を構成する柱部材8と連結された桁部材9の上面に対して、板状である外装板5を載置し溶接にて固定する。外装板5は、天井部4の全面にわたって溶接で1枚に一体化するのではなく、熱伸び差を吸収できるように、複数枚に分割して、それぞれ間隔をあけて設置するのが望ましい。その際、雨水の浸入を防止するため、外装板5の端部5aが上方に折り曲げた外装板5を配置し、外装板5の端部5a上部に、形鋼6を端部5aに沿って設置する。そして、形鋼6の上方への移動を抑制するため、形鋼6の一端側において、押え金具13を外装板5に固定する。また、形鋼6の他端を、外装板5に対して溶接にて固定する。
【0025】
以上により、本実施形態に係る天井部4が形成される。なお、本実施形態に係る天井部4の施工方法は、電気集塵装置1を新設する場合にも適用できるし、既存の電気集塵装置1を改修する場合にも適用できる。電気集塵装置1を改修する場合、上記施工方法を開始する前に、天井ケーシング10の亀裂や破損を確認して、全体に対する亀裂箇所や破損箇所の数、亀裂や破損の進行程度に基づいて、天井部4の全面を改修するのか、一部を改修するのかを判断する。また、一部を改修する場合、亀裂位置や破損位置に基づいて、改修を実施する領域を決定する。
【0026】
電気集塵装置1を改修する場合、まず、既存の天井部を撤去する。具体的には、既設の荷電装置や追槌装置を取り外し、その後、既設の外装板、外装板を支持する支持構造、保温材を撤去する。これにより、天井ケーシング10が露出し、天井ケーシング10に生じている亀裂や破損を修理することが可能になる。
【0027】
次に、図6を参照して、本実施形態に係る天井部4の別の支持方法について説明する。
【0028】
支持構造7による外装板5の支持のみでは、外装板5の凹みを防止できない場合がある。例えば、外装板5上を作業者が歩行する等によって、外装板5に荷重がかかったとき、凹みが生じ、荷重が解除されると、再度凹みが解消されるため、歩行時に外装板5が上下に変形したり、音を発生させたりする現象が生じる。このような外装板5の変形や音の発生を抑制するため、支持構造7とは別に柱部材15が設置される。柱部材15は、第2柱部材の一例である。
【0029】
図6に示すように、柱部材15は、天井ケーシング10の外面に対して垂直方向となるように設置される。また、柱部材15は、外装板5と溶接にて連結される。外装板5の変形や音が発生しやすい位置に後施工で柱部材15が設置されることによって、外装板5に荷重がかかったとき、外装板5が凹みにくくなり、外装板5の変形や音の発生を抑制できる。柱部材15は、例えば、断面が円形状を有する棒状部材である。
【0030】
以下、柱部材15の施工方法について説明する。
まず、外装板5に対して貫通孔16を形成する。貫通孔16は、柱部材15の直径よりもわずかに大きい直径であればよい。次に、柱部材15を、貫通孔16に通して、柱部材15を天井ケーシング10の外面に対して垂直方向となるように設置する。このとき、柱部材15は、天井ケーシング10に接触していればよく、溶接にて固定されない。また、柱部材15の上端は、外装板5よりも上方に突出するように設置される。その後、外装板5と柱部材15の上端部とを溶接にて連結する。そして、必要に応じて、外装板5の上方に突出した柱部材15の上端や溶接部を切断又は研磨し、平滑にする。図6では、切断又は研磨された後の溶接個所を符号Mで示している。
【0031】
これにより、外装板5が支持構造7だけでなく、柱部材15によっても天井ケーシング10に対して支持される。
【0032】
なお、上記特許文献1(特開平10-8754号公報)に記載された開示では、ヘッダプレート(天井ケーシング)上に屋根ユニットが設置されており、本実施形態に係る天井部4とは構造が異なる。特許文献1では、支柱(柱部材8に相当)がヘッダプレート(天井ケーシング10に相当)に設置されておらず、屋根ユニットを構成する下面側の根太材に溶接されている。また、上述したとおり、特許文献1では、横ビーム(桁部材9に相当)の両端部で連結された支柱(柱部材8に相当)の断面が円形状でなく、平板状である。
【0033】
以上、本実施形態によれば、桁部材9と連結される複数本の柱部材8は、全て断面が円形状を有していることから、例えば桁部材9の両端部で連結される柱部材の断面が、円形状でない場合と異なり、外装板5は天井ケーシング10に対して拘束されることがない。また、複数本の桁部材9が、桁部材9の長手方向に対して平行な直線上に沿って配置されており、互いに隣り合う桁部材9の端部同士は離隔していることから、1本の桁部材9である場合と異なり、外装板5は天井ケーシング10に対して拘束されることがない。さらに、外装板5が桁部材9を支持する柱部材8だけでなく、柱部材15によっても天井ケーシング10に対して支持される。これにより、外装板5に荷重がかかったとき、外装板5が凹みにくくなる。また、外装板5と天井ケーシング10の熱伸び差を吸収することができ、熱伸び差による亀裂や破損の発生を低減又は防止することができる。
【0034】
以上説明した各実施形態に記載の電気集塵装置の製造方法は例えば以下のように把握される。
本開示に係る電気集塵装置の製造方法は、断面が円形状を有する棒状の第1柱部材を、板状である天井ケーシングの外面に対して垂直方向となるように溶接にて複数本固定する工程と、長尺状の桁部材を水平方向に配置し、前記桁部材と、固定された複数本の前記第1柱部材の先端部とを溶接にて連結する工程と、前記第1柱部材と連結された前記桁部材の上面に対して、板状である外装板を載置し固定する工程とを備える。
【0035】
この構成によれば、面が円形状を有する棒状の第1柱部材は、第1柱部材の長手方向が板状である天井ケーシングの外面に対して垂直方向となるように溶接にて複数本固定され、水平方向に配置された長尺状の桁部材は、固定された複数本の第1柱部材の先端部と溶接にて連結される。また、板状である外装板が、桁部材の上面に対して載置され固定される。
【0036】
上記開示に係る電気集塵装置の製造方法において、前記桁部材と連結される複数本の前記第1柱部材は、全て断面が円形状を有してもよい。
【0037】
この構成によれば、桁部材と連結される複数本の第1柱部材は、全て断面が円形状を有していることから、例えば桁部材の両端部で連結される第1柱部材の断面が、円形状でない場合と異なり、外装板は天井ケーシングに対して拘束されることがない。
【0038】
上記開示に係る電気集塵装置の製造方法において、前記桁部材の長手方向に対して平行な直線上に沿って複数本の前記桁部材を配置し、互いに隣り合う前記桁部材の端部同士は離隔していてもよい。
【0039】
この構成によれば、複数本の桁部材が、桁部材の長手方向に対して平行な直線上に沿って配置されており、互いに隣り合う桁部材の端部同士は離隔していることから、1本の桁部材である場合と異なり、外装板は天井ケーシングに対して拘束されることがない。
【0040】
上記開示に係る電気集塵装置の製造方法において、前記外装板に対して貫通孔を形成する工程と、断面が円形状を有する棒状の第2柱部材を、前記貫通孔に通して、前記第2柱部材を前記天井ケーシングの外面に対して垂直方向となるように設置する工程と、前記外装板と前記第2柱部材の先端部とを溶接にて連結する工程とを備えてもよい。
【0041】
この構成によれば、外装板に対して貫通孔が形成され、その後、断面が円形状を有する第2柱部材が貫通孔に通されて、第2柱部材が天井ケーシングの外面に対して垂直方向となるように設置される。そして、第2柱部材は、外装板と溶接にて連結される。これにより、外装板が桁部材を支持する第1柱部材だけでなく、第2柱部材によっても天井ケーシングに対して支持される。これにより、外装板に荷重がかかったとき、外装板が凹みにくくなる。
【符号の説明】
【0042】
1 :電気集塵装置
2 :上部構造
3 :下部構造
4 :天井部
5 :外装板
5a :端部
6 :形鋼
7 :支持構造
8 :柱部材(第1柱部材)
9 :桁部材
10 :天井ケーシング
11 :梁
12 :保温材
13 :押え金具
15 :柱部材(第2柱部材)
16 :貫通孔
51 :天井部
52 :外装板
53 :支持構造
54 :柱部材
55 :桁部材
56 :天井ケーシング
57 :梁
58 :保温材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7