(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】撮像装置とその制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 5/76 20060101AFI20240422BHJP
G11B 20/10 20060101ALI20240422BHJP
G11B 27/00 20060101ALI20240422BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20240422BHJP
【FI】
H04N5/76
G11B20/10 301A
G11B27/00 D
H04N23/60 300
(21)【出願番号】P 2020063834
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】水谷 仁
【審査官】鈴木 隆夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-036402(JP,A)
【文献】特開2019-180054(JP,A)
【文献】特開2014-033354(JP,A)
【文献】特許第6671055(JP,B1)
【文献】特開2018-026745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
04N 5/76-5/775
G11B 20/10
G11B 27/00
H04N 23/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の記録媒体に画像を記録可能な撮像装置であって、
撮像部と、
前記撮像部により撮像して得られた画像を、第1の記録媒体、及び、第2の記録媒体に記録するように制御する記録制御手段と、
前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体に画像を画像ファイルとして記録する際のファイル名について、同じファイル名とするか、又は、異なるファイル名とするかをユーザの選択に応じて設定する設定手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
記録媒体ごとに識別情報が設定されており、
前記記録制御手段は、1つの記録媒体に画像を記録する際には、前記記録媒体の識別情報を用いてファイル名を生成することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記識別情報は、リール番号であることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記記録制御手段は、前記第1の記録媒体と第2の記録媒体とに画像ファイルをそれぞれ記録する際に、前記設定手段により同じファイル名が設定されている場合は、前記第1の記録媒体および第2の記録媒体に記録する画像ファイルのファイル名を前記第1の記録媒体の識別情報を用いて生成し、前記設定手段により異なるファイル名が設定されている場合は、前記第1の記録媒体に記録する画像ファイルのファイル名は前記第1の記録媒体の識別情報を用いて作成し、前記第2の記録媒体に記録する画像ファイルのファイル名は前記第2の記録媒体の識別情報を用いて作成することを特徴とする請求項2または3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記記録制御手段は、前記第1の記録媒体と第2の記録媒体とに画像ファイルをそれぞれ記録する際に、第1の記録モードのときは、前記設定手段により同じファイル名が設定されている場合は、前記第1の記録媒体および第2の記録媒体に記録する画像ファイルのファイル名を前記第1の記録媒体の識別情報を用いて生成し、前記設定手段により異なるファイル名が設定されている場合は、前記第1の記録媒体に記録する画像ファイルのファイル名は前記第1の記録媒体の識別情報を用いて作成し、前記第2の記録媒体に記録する画像ファイルのファイル名は前記第2の記録媒体の識別情報を用いて作成し、第2の記録モードの場合は、前記設定手段による設定に関わらず、前記第1の記録媒体および第2の記録媒体に記録する画像ファイルのファイル名を前記第1の記録媒体の識別情報を用いて生成することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記記録制御手段は、前記第1の記録媒体と第2の記録媒体とに画像ファイルをそれぞれ記録するときに、第1の記録モードの場合は、前記設定手段による設定に応じたファイル名で画像ファイルを記録し、第2の記録モードの場合は、前記設定手段による設定に関わらず、同じファイル名で画像ファイルを記録することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第1の記録モードは、前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体とに同一の画像を記録するモードであり、
前記第2の記録モードは、前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体とに異なる画像を記録するモードであることを特徴とする請求項5または6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第2の記録モードは、前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体とに、同じ画像に基づく異なる解像度の画像を記録するモードであることを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記記録制御手段は、前記第1の記録媒体と第2の記録媒体とに画像ファイルをそれぞれ記録するときに、第1の記録モードの場合は、前記設定手段による設定に応じたファイル名で画像ファイルを記録し、第3の記録モードの場合は、前記設定手段による設定に関わらず、異なるファイル名で画像ファイルを記録することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記第1の記録モードは、前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体とに同じ画像を同じファイル形式で記録するモードであり、
前記第3の記録モードは、前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体とに、同じ画像を異なる形式で記録するモードであることを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記画像は、動画であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項12】
複数の記録媒体に画像を記録可能な撮像装置の制御方法であって、
撮像部により撮像して得られた画像を、第1の記録媒体、及び、第2の記録媒体に記録するように制御する記録制御工程と、
前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体に画像を画像ファイルとして記録する際のファイル名について、同じファイル名とするか、又は、異なるファイル名とするかをユーザの選択に応じて設定する設定工程と、
を有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項13】
コンピュータを、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の撮像装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項14】
請求項12に記載の撮像装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
主にデジタルシネマカメラなどのビデオカメラでは、複数の記録媒体に対し、同一内容の画像ファイルを同時に記録するダブルスロット記録がある(特許文献1)。ダブルスロット記録により、片方の記録媒体で書き込みエラーなどが発生した場合に、もう一方の記録媒体への記録を継続すること可能となる。その結果、データの破損や記録媒体の紛失とったリスクを抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ダブルスロット記録では、記録媒体毎に異なるファイル名で画像ファイルが記録される。しかし、ダブルスロット記録で、同一ファイル名、別ファイル名のどちらが適切かは、ユーザのワークフローの運用方法に依存する。例えば、データマネジメントやポストプロダクションでのデータ管理を円滑に行うため、同一ファイル名から、画像ファイルが同一内容のダブルスロット記録であると明示的に判断したい場合がある。
【0005】
本発明はこのような状況を鑑みてなされたものであって、その目的は、複数の記録媒体に画像を記録する場合に、ファイル名を同じにするか否かをユーザが適切に選択できる撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、複数の記録媒体に画像を記録可能な撮像装置であって、撮像部と、撮像部により撮像して得られた画像を、第1の記録媒体、及び、第2の記録媒体に記録するように制御する記録制御手段と、第1の記録媒体と第2の記録媒体に画像を画像ファイルとして記録する際のファイル名について、同じファイル名とするか、又は、異なるファイル名とするかをユーザの選択に応じて設定する設定手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の記録媒体に画像を記録する場合に、ファイル名を同じにするか否かをユーザが適切に選択できる撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】動画ファイル名の生成方法を選択するメニュー画面。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
<撮像装置の構成>
図1は、本実施形態に係る撮像装置100の内部構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、撮像装置100は、バス101、CPU102、ROM103、RAM104、操作部105、表示部106、メニュー設定部107、ファイル名生成部108、撮像部109、第1の記録媒体110、第1の記録制御部111、第2の記録媒体112、第2の記録制御部113で構成される。
【0011】
バス101は、アドレスバス、データバス、制御バスで構成される。バス101は、撮像装置100の各構成部の間で命令やデータを通信する際に用いられる。
【0012】
CPU102は、ROM103に格納されたプログラムを読み出してプログラムを実行し、撮像装置100の各構成部を制御するためのプロセッサである。ROM103は、プログラムや各種設定情報等が格納されている不揮発性のメモリである。RAM104は、ワークメモリとして使用される揮発性のメモリである。
【0013】
操作部105は、電源ボタンや、シャッターボタン、動画記録ボタン、スロット選択ボタン、十字キーなどで構成される。物理ボタンではなく、タッチパネルにより操作部105を実現してもよい。スロット選択ボタンでは、カレントの記録媒体を切り替えることができる。
【0014】
操作部105は、ユーザからの操作を検出し、検出した操作をCPU102に対し通知する。CPU102は操作部105からの通知に応じて、ユーザ操作に対応する処理を実行する。
【0015】
表示部106は、TFT液晶などの表示器で構成される。表示部106は、CPU102の制御に基づいて、メニュ―設定画面や、撮像部109により撮影した画像、記録媒体から読み出した画像などを表示する。
【0016】
メニュー設定部107では、メニュー設定画面において選択された設定値をROM103に記憶したり、ROM103に記憶されている設定値をCPU102に対して通知する。例えば、メニュー設定画面では、動画フォーマットやダブルスロット記録などの記録設定情報、ファイル名生成に必要なリール番号などの記録媒体の識別情報を変更するなどの設定ができる。メニュー設定部107は、メニュー設定画面において、操作部105へのユーザの選択操作により、リール番号の設定値が変更される操作がなされると、ROM103に保持されているリール番号の設定値を変更する。つまり、ユーザは、メニュー設定画面において、リール番号の初期化や、次に記録媒体に記録する際のリール番号の値(例えば「007」等)を選択することにより、リール番号の設定値を変更することができる。
【0017】
ファイル名生成部108は、CPU102から通知されたメニュー設定部107の設定値(メニュー設定画面で設定され、メニュー設定部107がROM103に保持した設定値)をもとに、第1の記録媒体110、第2の記録媒体112に対し記録する画像ファイルのファイル名を生成する。続いて、ファイル名生成部108は、CPU102を介して、第1の記録制御部111、第2の記録制御部113に対し、生成したファイル名を通知する。
【0018】
撮像部109は、撮影レンズ、イメージセンサ、画像処理回路等から構成される。まず撮影レンズを介して入射される被写体像をイメージセンサ上で結像して光電変換し、画像信号を生成する。続いて、生成された画像信号に対して、撮像装置100において各種画像処理を施し、画像データを生成する。そして、静止画撮影の場合は、JPEG等の記録形式で符号化して静止画ファイルを生成する。動画撮影の場合は、H.264/AVCなどで符号化した映像データと、不図示のマイクから入力された音声データを多重化し、記録形式として設定された動画フォーマットに整形して動画ファイルを生成する。生成した静止画ファイル、動画ファイルは、第1の記録媒体110、第2の記録媒体112に書き込むため、CPU102が書き込み命令を発行する。
【0019】
第1の記録媒体110、第2の記録媒体112は、SDカードなどの着脱可能な記録媒体であり、画像データを記録するために撮像装置100に挿入される。本実施形態の撮像装置は、第1の記録媒体110と第2の記録媒体112の複数の記録媒体を装着可能であり、複数の記録媒体に、撮像部109により撮影した画像を画像ファイルとして記録可能である。
【0020】
第1の記録制御部111、第2の記録制御部113は、それぞれ第1の記録媒体110、第2の記録媒体112に対して、データの書き込み、読み込みを行うための制御部である。第1の記録制御部111、第2の記録制御部113は、CPU102から通知された読み込み命令を受け、それぞれ第1の記録媒体110、第2の記録媒体112の指定領域を一定サイズ毎に順次読み込み、RAM104に展開しバッファリングする。また第1の記録制御部111、第2の記録制御部113は、CPU102から通知された書き込み命令を受け、RAM104に展開された書き込み対象データ(画像データ、管理データなど)を受信し、それぞれ第1の記録媒体110、第2の記録媒体112に受信データを一定サイズ毎に順次書き込む。次に、第1の記録制御部111、第2の記録制御部113は、読み込みもしくは書き込みが完了すると、CPU102に対しその旨を通知する。
【0021】
なお、上述の説明において、CPU102、メニュー設定部107、ファイル名生成部108、第1の記録制御部111、第2の記録制御部113をそれぞれ別のブロックとして説明した。しかし、それぞれ別のプロセッサではなく、1つのプロセッサによりこれらの機能を実現させてもよいし、複数のプロセッサで複数のブロックの機能を実現させるようにしてもよい。
【0022】
<撮影動作>
動画の記録開始から記録停止までの処理の流れをブロック図の各構成部の動作と絡めて説明する。
【0023】
ユーザが、操作部105の動画記録ボタンを押下すると、動画記録処理を開始する。CPU102は、動画記録ボタンの押下の通知を受けると記録開始命令を発行する。記録開始命令に応じて、ファイル名生成部108は、メニュー設定部107の設定値をもとに、ファイル名を生成し、第1の記録制御部111、第2の記録制御部113に対して通知する。第1の記録制御部111、第2の記録制御部113は、通知されたファイル名で、第1の記録媒体110、第2の記録媒体112に動画ファイルを生成する。記録開始命令に応じて、撮像部109は、イメージセンサで撮像した映像データと、マイクから入力された音声データから、動画データを生成する。第1の記録制御部111、第2の記録制御部113は、撮像部109が生成した動画データを、第1の記録媒体110、第2の記録媒体112に生成した動画ファイルに順次書き込んでいく。ここで、撮像装置100の記録モードがシングルスロット記録の場合は、第1の記録媒体と第2の記録媒体のうち、カレントの記録媒体に、カレントの記録制御部がファイル名生成部108に通知されたファイル名で動画ファイルを生成し、撮像部109が生成した動画データを記録する。ここで、第1の記録媒体110、第2の記録媒体112の複数の記録媒体のうち、メインで記録するように設定されている記録媒体をカレント記録媒体と呼び、他の記録媒体を非カレントの記録媒体と呼ぶこととする。シングルスロット記録モードの場合は、カレントの記録媒体にのみ画像が記録されることとなる。撮像装置100の記録モードがダブルスロット記録の場合は、第1の記録制御部111、第2の記録制御部113は、ファイル名生成部108により通知されたファイル名で動画ファイルを第1の記録媒体110、第2の記録媒体112それぞれに生成する。そして、第1の記録制御部111、第2の記録制御部113は、撮像部109により生成された同じ動画データを、第1の記録媒体110、第2の記録媒体112に生成した動画ファイルに記録する。撮像装置100の記録モードがプロキシ記録の場合は、撮像部109は通常の動画データと共にプロキシ動画データを生成する。そして、第1の記録制御部111、第2の記録制御部113は、ファイル名生成部108により通知されたファイル名で動画ファイルを第1の記録媒体110、第2の記録媒体112それぞれに生成する。そして、第1の記録制御部111、第2の記録制御部113は、カレントの記録媒体に通常の動画データを記録し、非カレントの記録媒体にプロキシ動画データを記録する。
【0024】
ユーザが操作部105の動画記録ボタンを押下すると、動画記録停止する。具体的には、CPU102が操作部105から動画記録ボタンの押下の通知を受けると、記録停止命令を発行する。記録停止命令に応じて、撮像部109は動画データの生成を終了する。そして、CPU102は、第1の記録制御部111、第2の記録制御部113を介して、全ての動画データの書き込みを行い、動画ファイルのファイナライズを行って、動画記録処理を完了する。
【0025】
<ファイル名の生成方法>
図2は、本実施形態に係る動画ファイル名の構成要素の一例である。動画ファイル名は、カメラインデックス、リール番号、クリップ番号、日付、ランダム番号、ユーザ定義文字列で構成される。
【0026】
カメラインデックスは、カメラ(撮像装置)毎に一意割り振られる文字(例えば「A」など)であり、メニュー設定画面で設定できる。
【0027】
リール番号は、記録媒体毎に一意に割り当てられる番号(例えば「001」など)であり、メニュー設定画面で設定できる。メニュー設定画面で設定されたメニュー設定部107の設定値をもとに、記録媒体毎に初回記録時に確定後、2回目以降の記録では各記録媒体で同じリール番号を使用する。そのため、各記録媒体でリール番号が確定した後に、メニュー設定部107の設定値をインクリメントし更新する。
【0028】
クリップ番号は、動画記録毎に自動的に割り当てられる番号(例えば「C001」など)であり、メニュー設定画面でユーザが設定でき、メニュー設定部107は、設定されたクリップ番号の設定値をROM103に保持する。動画記録毎に、ROM103に保持されたメニュー設定部107の設定値を使用し、設定値を使用するとCPU102は、メニュー設定部107の設定値(ROM103に保持された設定値)をインクリメントし更新する。
【0029】
日付は、撮影した年月日であり、メニュー設定画面で設定された現在日時に基ついて、CPU102は撮影時に年月日を取得する。
【0030】
ランダム番号は、動画記録毎にランダムに付与される番号(例えば「A0」など)である。
【0031】
ユーザ定義文字列は、メニュー設定画面でユーザが自由に設定できる文字列(例えば「CANON」など)である。メニュー設定部107は、メニュー設定画面で設定されたユーザ定義文字列の設定値をROM103に保持する。
【0032】
カメラインデックスは、撮像装置毎に設けられる値のため、撮像装置100において複数の記録媒体に同時に動画を記録する場合は、同じ値となる。
【0033】
クリップ番号、ランダム番号は、動画記録毎に決定される値のため、複数の記録媒体に同時に動画を記録する場合には、同じ動画記録から得られた画像であるために同じ値となる。
【0034】
日付、ユーザ定義文字列についても、複数の記録媒体に動画を記録する場合には、同じ値となる。
【0035】
それに対して、リール番号は、記録媒体ごとに設定される値であるため、複数の記録媒体に同時に動画を記録する場合に、異なる値となってしまう。
【0036】
<ダブルスロット記録>
撮像装置100は、複数の記録媒体に画像を記録するモードとして、ダブルスロット記録モードがある。ダブルスロット記録モードでは、複数の記録媒体に対し、撮像部109により撮影して得られた同一内容の画像ファイル(動画ファイル)を同時に記録する。ダブルスロット記録により、片方の記録媒体で書き込みエラーなどが発生した場合に、もう一方の記録媒体への記録を継続すること可能となる。その結果、データの破損や記録媒体の紛失とったリスクを抑えることができる。
【0037】
上記で説明したファイル名の生成方法でファイル名を生成すると、ダブルスロット記録では、記録媒体毎に異なるファイル名となってしまう。具体的には、各記録媒体に対し一意に割り当てられるリール番号がファイル名に含まれているため、記録媒体毎に異なるファイル名となる。しかし、ダブルスロット記録で、同一ファイル名、別ファイル名のどちらが適切かは、ユーザのワークフローの運用方法に依存する。例えば、データマネジメントやポストプロダクションでのデータ管理を円滑に行うため、同一ファイル名から、画像ファイルが同一内容のダブルスロット記録であると明示的に判断したい場合がある。
【0038】
<プロキシ記録>
撮像装置100は、複数の記録媒体に画像を記録するモードとして、ダブルスロット記録モードのほかにプロキシ記録モードがある。プロキシ記録モードでは、一方の記録媒体(カレント側)と他方の記録媒体(非カレント側)に、撮像部109で撮影した同じ画像に基づいた画像ファイル(動画ファイル)を記録する。ただし、カレント側には、記録設定で設定された画質の画像ファイルを記録するのに対し、非カレント側には、解像度の小さいプロキシ画像ファイル(プロキシ動画ファイル)を記録する。
【0039】
<ダブルスロット記録のメニュー画面>
図3は、本実施形態に係るダブルスロット記録モードにおける画像ファイル名の生成方法を選択するメニュー画面300の一例である。メニュー画面300にて、ダブルスロット記録時に、第1の記録媒体110と第2の記録媒体112の複数の記録媒体に記録される動画ファイルのファイル名を同名ファイルにするか、又は、別名ファイルにするかを、ユーザは、操作部105を操作して選択することができる。メニュー設定部107は、メニュー画面300で選択された設定値をROM103に保持することで、ファイル名の生成方法をユーザの選択に応じて設定できる。
【0040】
<ファイル名の生成処理>
図4を用いて、動画記録開始時のファイル名の生成処理を説明する。
【0041】
この処理は、CPU102がROM103から読み出したプログラムに基づいて各部を制御することにより実現される。
【0042】
まずS200にて、ファイル名生成部108は、第1の記録媒体110、第2の記録媒体112とからリール番号を取得する。具体的には、ファイル名生成部108は、第1の記録制御部111、第2の記録制御部113に対し、第1の記録媒体110、第2の記録媒体112に対してディレクトリエントリ情報の取得命令を発行する。続いて、CPU102は、第1の記録媒体110、第2の記録媒体112のうちのカレント、非カレントの記録媒体それぞれについて、ディレクトリエントリ情報から、ディレクトリ名に含まれるリール番号を取得する。ディレクトリエントリ情報からではなく、動画ファイルの情報(ファイル名等)が記録された管理ファイルから、リール番号を取得してもよい。続いて、S201に遷移する。
【0043】
S201にて、ファイル名生成部108は、S200で取得したディレクトリエントリ情報に含まれるファイル数から、カレントの記録媒体への記録が初回記録か、2回目以降の記録かを判定する。初回記録と判定した場合、S202に遷移する。一方で、2回目以降の記録と判定した場合、S204に遷移する。
【0044】
初回記録と判定した場合、S202にて、ファイル名生成部108は、カレント記録媒体のリール番号rとして、メニュー設定部107の設定値(ユーザ選択によりROM103に記録したリール番号の設定値)を設定し、設定したリール番号rの値をRAM104に保持しておく。なお、メニュー設定部107は、メニュー設定部107のリール番号の設定値を、初回記録時にインクリメントして更新する。続いて、S203-1に遷移する。
【0045】
2回目以降の記録と判定した場合は、S204にて、ファイル名生成部108は、カレントの記録媒体のリール番号rとして、S200でカレントの記録媒体から取得したリール番号を設定し、設定したリール番号rの値をRAM104に保持しておく。続いて、S203-1に遷移する。
【0046】
S203-1では、ファイル名生成部108は、カメラインデックス、クリップ番号、日付、ランダム番号、ユーザ定義文字列を取得する。具体的には、ファイル名生成部108は、メニュー設定部107の設定値をROM103からカメラインデックス、クリップ番号、ユーザ定義文字列を読み出す。クリップ番号については、読み出した後、又は、動画の記録時に、値をインクリメントして更新する。そして、ランダム番号をランダム生成し、CPU102から日付(年月日)を取得する。取得したカメラインデックス、クリップ番号、日付、ランダム番号、ユーザ定義文字列は、ファイル名生成に用いるため、RAM104に保持しておく。
【0047】
次に、S203-2では、ファイル名生成部108は、次回記録時に割り当てるカレント側のファイル名を、RAMに保持したリール番号r(カレントの記録媒体のリール番号)を用いて生成する。具体的には、S202またはS204で設定しRAM104に保持したリール番号r(カレントの記録媒体のリール番号)と、S203-1で取得しRAM104に保持したカメラインデックス、クリップ番号、日付、ランダム番号、ユーザ定義文字列を用いて、
図2のような方法でカレント側のファイル名を生成する。そして、ファイル名生成部108は、カレントの記録制御部へ生成したファイル名を通知する。次回記録時には、カレントの記録制御部によりカレントの記録媒体に、通知したファイル名で動画ファイルが生成され、動画データが記録されることとなる。続いて、S205に遷移する。
【0048】
S205にて、ファイル名生成部108は、メニュー設定部107で設定された撮像装置100の記録モードの設定値をもとに、シングルスロット記録モードが設定されているか否かを判定する。シングルスロット記録の場合、カレントの記録媒体の記録のみであり、カレントの記録媒体のファイル名はS203-2で生成済みであるため、ファイル名生成部108は、ファイル名の生成処理を終了する。一方で、シングルスロット記録以外の場合、S206に遷移する。
【0049】
S206にて、ファイル名生成部108は、メニュー設定部107の記録モードの設定値をもとに、プロキシ記録モードが設定されているか否かを判定する。プロキシ記録の場合、S207に遷移する。一方で、プロキシ記録でない場合、S208に遷移する。
【0050】
プロキシ記録と判定された場合、S207にて、ファイル名生成部108は、次回記録時に、プロキシ側、つまり、非カレントの記録媒体に記録するプロキシ動画ファイルのファイル名を、リール番号rとS203-1で取得した情報を用いて生成する。つまり、プロキシ動画ファイルを記録する非カレントの記録媒体のリール番号ではなく、カレントの記録媒体のリール番号rを用いて非カレントの記録媒体のファイル名を生成することとなる。そして、カレントの記録媒体のファイル名を生成した時と同じ情報を用いてプロキシ側の非カレントの記録媒体のファイル名を生成することとなる。ただし、プロキシ動画ファイルのファイル名を生成する際には、プロキシ記録であることを明示するため、拡張子の手前でファイル名に「_P」を付与する。本実施形態では、プロキシ記録であることを示すためにファイル名に「_P」を付与するものとしたが、「_P」を付与せずに、カレント記録媒体に記録する動画ファイルと全く同じファイル名としてもよい。ファイル名生成部108は、生成したファイル名を、非カレントの記録制御部に通知する。非カレントの記録制御部は次回の記録時に通知されたファイル名のプロキシ動画ファイルを生成して、プロキシ動画データを記録することとなる。続いて、S207に遷移する。
【0051】
S208にて、ファイル名生成部108は、メニュー設定部107の記録モードの設定値をもとに、ダブルスロット記録モードであるか否かを判定する。ダブルスロット記録の場合、S209に遷移する。一方で、ダブルスロット記録以外の場合、S211に遷移する。具体的には、ダブルスロット記録以外とは、記録媒体間で動画ファイルのファイル形式などの記録設定情報が異なる場合や、記録媒体間で、ファイル管理方式が異なる場合などを指す。
【0052】
ダブルスロット記録の場合、S209にて、ファイル名生成部108は、メニュー設定部107の設定値をもとに、同名ファイルでの記録、又は、別名ファイルの記録のどちらが選択されているかを判定する。この設定値は前述したようにメニュー画面300におけるユーザ選択に応じてメニュー設定部107が設定する。同名ファイルでの記録が選択されている場合、S210に遷移する。一方で、別名ファイルでの記録が選択されている場合、S211に遷移する。
【0053】
S210にて、ファイル名生成部108は、次回記録時に割り当てる非カレント側のファイル名を、RAM104に保持したリール番号rを用いて生成する。具体的には、S202またはS204で設定しRAM104に保持したリール番号r(カレントの記録媒体のリール番号)と、S203-1で取得しRAM104に保持したカメラインデックス、クリップ番号、日付、ランダム番号、ユーザ定義文字列を用いて非カレント側のファイル名を生成する。つまり、S203-2でカレントの記録媒体のファイル名を生成する際に用いた情報と同じ情報に基づいて非カレントの記録媒体のファイル名を生成するため、同じファイル名となる。そして、ファイル名生成部108は、生成したファイル名を、非カレントの記録制御部に通知する。非カレントの記録制御部は次回の記録時に通知されたファイル名の動画ファイルを生成して、動画データを記録することとなる。S203-2で生成したカレント側のファイル名と同じファイル名となるため、カレント側のファイル名をRAM104等に記憶している場合は、新たに生成せずに、ファイル名生成部108は、記憶されているカレント側のファイル名を通知してもよい。これにて、ファイル名生成部108は、ファイル名の生成処理を終了する。
【0054】
S211にて、ファイル名生成部108は、S200で取得したディレクトリエントリ情報に含まれるファイル数から、非カレント側の記録媒体が初回記録か、2回目以降の記録かを判定する。初回記録と判定した場合、S212に遷移する。一方で、2回目以降の記録と判定した場合、S213に遷移する。
【0055】
S212にて、ファイル名生成部108は、非カレントの記録媒体のリール番号r‘として、メニュー設定部107のリール番号の設定値を設定し、設定したリール番号r‘の値をRAM104に保持しておく。なお、メニュー設定部107は、メニュー設定部107のリール番号の設定値を、初回記録時にインクリメントして更新する。続いて、S214に遷移する。
【0056】
S213にて、ファイル名生成部108は、非カレントの記録媒体のリール番号r‘として、S200で非カレントの記録媒体から取得したリール番号(非カレントの記録媒体のディレクトリエントリ情報のディレクトリ名に含まれるリール番号)を設定し、設定したリール番号r‘の値をRAM104に保持しておく。続いて、S214に遷移する。
【0057】
S214において、ファイル名生成部108は、次回記録時に割り当てる非カレント側のファイル名を、RAM104に保持した非カレント記録媒体のリール番号r‘を用いて生成する。具体的には、S212またはS213で設定しRAM104に保持した非カレントの記録媒体のリール番号r‘と、S203-1で取得しRAM104に保持したカメラインデックス、クリップ番号、日付、ランダム番号、ユーザ定義文字列を用いて、非カレント記録媒体のファイル名を生成する。S203-2でカレントの記録媒体のファイル名を生成する際に用いたリール番号rと異なるリール番号r‘を用いて非カレントの記録媒体のファイル名を生成するため、異なるファイル名となる。そして、ファイル名生成部108は、生成したファイル名を、非カレントの記録制御部に通知する。非カレントの記録制御部は次回の記録時に通知されたファイル名の動画ファイルを生成して、動画データを記録することとなる。これにて、ファイル名生成部108は、ファイル名の生成処理を終了する。
【0058】
以上述べてきたように、記録媒体ごとに設定されるリール番号を用いてファイル名を生成する撮像装置100において、ダブルスロット記録時に、メニュー設定で同名ファイル、又は、別名ファイルを選択し、ユーザのワークフローの運用方法に応じたファイル名を生成できる。
【0059】
本実施形態では、ダブルスロット記録の場合、つまり、カレント、非カレントの2つの記録媒体に同じ動画データ(同じ解像度、圧縮形式)を同じファイル形式(同じ画像フォーマット)で記録する場合には、メニュー設定部107での設定値に応じてファイル名を生成した。しかし、S208でNOと判断されるような、カレント、非カレント記録媒体間で、動画フォーマット(ファイル形式や圧縮形式など)が異なる場合には、ダブルスロット記録と区別するために、メニュー設定に関わらず、別名ファイル名で動画を記録している。
【0060】
また、上述の実施形態では動画ファイルの記録時について説明したが、動画ファイルの記録時だけでなく、静止画ファイルの記録時にも同様の処理を行うようにしてもよい。
【0061】
<その他の実施形態>
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。
【0062】
また、上述の実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、記録媒体から直接、或いは有線/無線通信を用いてプログラムを実行可能なコンピュータを有するシステム又は装置に供給し、そのプログラムを実行する場合も本発明に含む。
【0063】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータに供給、インストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も本発明に含まれる。
【0064】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータなど、プログラムの形態を問わない。
【0065】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、ハードディスク、磁気テープなどの磁気記録媒体、光/光磁気格納媒体、不揮発性の半導体メモリでもよい。
【0066】
また、プログラムの供給方法としては、コンピュータネットワーク上のサーバに本発明を形成するコンピュータプログラムを格納し、接続のあったクライアントコンピュータはがコンピュータプログラムをダウンロードしてプログラムするような方法も考えられる。