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特許7475936システム、車両、放電方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】システム、車両、放電方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20240422BHJP
   B60L 1/00 20060101ALI20240422BHJP
   B60L 9/18 20060101ALI20240422BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240422BHJP
   B60L 58/10 20190101ALI20240422BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
H02J1/00 306L
B60L1/00 L
B60L9/18 J
B60L50/60
B60L58/10
H02J7/00 P
H02J7/00 S
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020067615
(22)【出願日】2020-04-03
(65)【公開番号】P2021164388
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 将人
(72)【発明者】
【氏名】大久保 翔太
(72)【発明者】
【氏名】樋口 博人
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 剛毅
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-178595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00 - 1/16
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される高電圧から第1低電圧を生成する電源と、
前記高電圧の変動を抑制するコンデンサと、
前記第1低電圧を電力源として動作する第1装置であって、前記電源への前記高電圧の供給が停止した場合に、自身の消費電流を増加させる第1装置と、
を備えるシステム。
【請求項2】
第2低電圧を電力源として動作する第2装置、
を備え、
前記電源は、
前記高電圧から前記第2低電圧を生成し、
前記第1装置は、
前記電源への前記高電圧の供給が停止した場合に、前記第2装置の消費電流を増加させる電圧を前記第2装置に出力し、
前記第2装置は、
前記第1装置が出力した前記電圧に基づいて、前記第2装置の消費電流を増加させる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
モータと、
前記第2装置から受ける電圧に基づいて前記モータを制御するインバータと、
を備える、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2装置は、
前記電源への前記高電圧の供給が停止した場合に、前記インバータを構成するスイッチング素子のうち高電圧側のスイッチング素子をオフ状態にして低電圧側のスイッチング素子のみをスイッチング動作させる、または、前記インバータを構成するスイッチング素子のうち低電圧側のスイッチング素子をオフ状態にして高電圧側のスイッチング素子のみをスイッチング動作させる、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか一項に記載のシステムと、
前記高電圧を出力するバッテリと、
前記電源への前記高電圧の供給が停止したか否かを判定する判定装置と、
を備え、
前記第1装置は、
前記判定装置が前記電源への前記高電圧の供給が停止したと判定した場合、前記第1装置の消費電流を増加させる、
車両。
【請求項6】
電源は、供給される高電圧から第1低電圧を生成し、
コンデンサは、前記高電圧の変動を抑制し、
第1装置は、前記第1低電圧を電力源として動作し、前記電源への前記高電圧の供給が停止した場合に、自身の消費電流を増加させる、
放電方法。
【請求項7】
供給される高電圧から第1低電圧を生成する電源と、前記高電圧の変動を抑制するコンデンサと、前記第1低電圧を電力源として動作する第1装置とを備えるシステムのコンピュータに、
前記電源への前記高電圧の供給が停止した場合に、前記第1装置の消費電流を増加させること、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、システム、車両、放電方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド電気自動車などの車両は、車両を走行させる電力源として、高電圧を出力するバッテリを備えている。このような車両では、車両内で使用される低電圧を、DC-DCコンバータ電源を用いてバッテリが出力する高電圧から生成する場合がある。
特許文献1には、関連する技術として、異常事態が生じたときには、平滑コンデンサから電荷を放電させる車載用電気システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-100241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、平滑コンデンサに高電圧の電荷が蓄積され、かつ、その電荷の放電経路がなくなった場合、その平滑コンデンサに触れることは好ましくない。そのため、平滑コンデンサに高電圧の電荷が蓄積され、かつ、その電荷の放電経路がなくなった場合、特許文献1に記載の発明と同様に、その電荷を速やかに放電することのできる技術が求められている。
【0005】
本開示は、上記の課題を解決することのできるシステム、車両、放電方法及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係るシステムは、供給される高電圧から第1低電圧を生成する電源と、前記高電圧の変動を抑制するコンデンサと、前記第1低電圧を電力源として動作する第1装置であって、前記電源への前記高電圧の供給が停止した場合に、自身の消費電流を増加させる第1装置と、を備える。
【0007】
本開示に係る車両は、上記のシステムと、前記高電圧を出力するバッテリと、前記電源への前記高電圧の供給が停止したか否かを判定する判定装置と、を備え、前記第1装置は、前記判定装置が前記電源への前記高電圧の供給が停止したと判定した場合、前記第1装置の消費電流を増加させる。
【0008】
本開示に係る放電方法は、電源は、供給される高電圧から第1低電圧を生成し、コンデンサは、前記高電圧の変動を抑制し、第1装置は、前記第1低電圧を電力源として動作し、前記電源への前記高電圧の供給が停止した場合に、自身の消費電流を増加させる。
【0009】
本開示に係るプログラムは、供給される高電圧から第1低電圧を生成する電源と、前記高電圧の変動を抑制するコンデンサと、前記第1低電圧を電力源として動作する第1装置とを備えるシステムのコンピュータに、前記電源への前記高電圧の供給が停止した場合に、前記第1装置の消費電流を増加させること、を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示の実施形態によるシステム、車両、放電方法及びプログラムによれば、コンデンサに高電圧の電荷が蓄積され、かつ、その電荷の放電経路がなくなった場合に、その電荷を速やかに放電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の一実施形態による車両の構成の一例を示す図である。
図2】本開示の一実施形態によるインバータの構成の一例を示す図である。
図3】本開示の一実施形態による車両の処理フローを示す図である。
図4】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
(車両の構成)
本開示の一実施形態による車両1について説明する。
車両1は、ハイブリッド電気自動車などである。車両1は、図1に示すように、バッテリ10、放電判定装置20、車載空調システム30を備える。
【0013】
バッテリ10は、車両1を走行させるために使用される高電圧を出力するバッテリである。バッテリ10の出力電圧は、車載空調システム30に供給される。バッテリ10の出力電圧は、例えば、300ボルトである。
【0014】
放電判定装置20は、車両1の状態に基づいて、車載空調システム30に放電指令を出力するか否かを判定する装置である。
例えば、放電判定装置20は、車両1が物体に衝突したと判定した場合、放電指令を出力すると判定する。また、放電判定装置20は、車両1が物体に衝突していないと判定した場合、放電指令を出力しないと判定する。
また、例えば、放電判定装置20は、バッテリ10と車載空調システム30との間の配線が断線していると判定した場合、放電指令を出力すると判定する。また、放電判定装置20は、車両1が物体に衝突していないと判定した場合、放電指令を出力しないと判定する。
そして、放電判定装置20は、放電指令を出力すると判定した場合、車載空調システム30に放電指令を出力する。また、放電判定装置20は、放電指令を出力しないと判定した場合、車載空調システム30に放電指令を出力しない。
【0015】
車載空調システム30は、バッテリ10が出力する高電圧から低電圧を生成するシステムである。車載空調システム30は、図1に示すように、平滑コンデンサ301、モータ302、インバータ303、駆動装置304、制御装置305、DC-DC電源306を備える。
【0016】
平滑コンデンサ301は、バッテリ10の出力電圧の変動を抑制させるためにバッテリ10の低電圧側の端子と高電圧側の端子との間に設けられるコンデンサである。平滑コンデンサ301にバッテリ10が接続されている場合、平滑コンデンサ301は、バッテリ10によって充電される。
【0017】
モータ302は、車両1における空気調和機に使用されるモータである。モータ302は、インバータ303から受ける電圧に応じて動作する。モータ302は、例えば、コンプレッサモータである。
【0018】
インバータ303は、バッテリ10が出力する高電圧で動作するインバータである。インバータ303は、駆動装置304から受ける電圧に応じてモータ302を駆動する。
【0019】
駆動装置304は、DC-DC電源306が生成する第1出力電圧で動作する装置である。駆動装置304は、制御装置305から受ける電圧に基づいて電圧を生成する。そして、駆動装置304は、生成した電圧をインバータ303に出力する。駆動装置304は、例えば、ドライバIC(Integrated Circuit)である。
【0020】
制御装置305は、DC-DC電源306が生成する第2出力電圧で動作する装置である。
制御装置305は、放電判定装置20から放電指令を受ける前には、モータ302を動作させるための電圧を生成する。そして、制御装置305は、生成した電圧を駆動装置304に出力する。
また、制御装置305は、放電判定装置20から放電指令を受けた場合、制御装置305自身の消費電流を大きくするとともに、駆動装置304の消費電流を大きくする電圧を駆動装置304に出力する。
【0021】
なお、制御装置305自身の消費電流を大きくする方法としては、例えば、制御装置305がCPU(Central Processing Unit)である場合、クロック周波数を高くすること、繰り返し演算を行うプログラムを予め用意しておき、放電指令を受けた場合にその繰り返し演算を実行することなどが挙げられる。
【0022】
また、駆動装置304の消費電流を大きくする方法としては、例えば、駆動装置304がIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)で構成されたドライバICである場合、制御装置305は、IGBTを高速にスイッチングさせる電圧を駆動装置304に出力することなどが挙げられる。
例えば、インバータ303が、図2に示すように、スイッチング素子303a、303b、303c、303d、303e、303fを備える場合、制御装置305は、スイッチング素子303a~303fのうち低電圧側に設けられたスイッチング素子303a、303b、303cの制御に関連するIGBTのみを高速にスイッチングさせ、スイッチング素子303d、303e、303fの制御に関連するIGBTについてはスイッチング素子303d、303e、303fをオフ状態に固定すればよい。または、制御装置305は、スイッチング素子303a~303fのうち高電圧側に設けられたスイッチング素子303d、303e、303fの制御に関連するIGBTのみを高速にスイッチングさせ、スイッチング素子303a、303b、303cの制御に関連するIGBTについてはスイッチング素子303a、303b、303cをオフ状態に固定すればよい。
このように、制御装置305の消費電流や駆動装置304の消費電流が大きくなると、DC-DC電源306の出力電流が大きくなる。よって、平滑コンデンサ301からDC-DC電源306に流れる電流が大きくなる。つまり、車載空調システム30は、放電判定装置20から放電指令を受けた場合に、制御装置305の消費電流や駆動装置304の消費電流を大きくすることにより、平滑コンデンサ301に充電されている電荷を高速に放電させることができる。
【0023】
DC-DC電源306は、バッテリ10が出力する高電圧から第1出力電圧と第2出力電圧とを生成する電源である。例えば、第1出力電圧は、15ボルトである。また、第2出力電圧は、5ボルトである。
【0024】
次に、本開示の一実施形態による車両1の処理について説明する。
ここでは、図3に示す車両1の処理フローについて説明する。
【0025】
放電判定装置20は、車両1の状態に基づいて、車載空調システム30に放電指令を出力するか否かを判定する(ステップS1)。
放電判定装置20は、放電指令を出力しないと判定した場合(ステップS1においてNO)、放電指令を出力せずにステップS1の処理に戻す。
また、放電判定装置20は、放電指令を出力すると判定した場合(ステップS1においてYES)、放電指令を車載空調システム30に出力する(ステップS2)。
【0026】
制御装置305は、放電判定装置20から放電指令を受ける(ステップS3)。制御装置305は、放電指令を受けると、制御装置305自身の消費電流を大きくするとともに、駆動装置304の消費電流を大きくする電圧を駆動装置304に出力する(ステップS4)。
なお、制御装置305の消費電流が大きくなることにより、DC-DC電源306から制御装置305へ流れる電流が増加する。
【0027】
駆動装置304は、制御装置305から消費電流を大きくする電圧を受ける(ステップS5)。駆動装置304は、消費電流を大きくする電圧を受けると、その電圧に応じて消費電流を大きくする(ステップS6)。
なお、駆動装置304の消費電流が大きくなることにより、DC-DC電源306から駆動装置304へ流れる電流が増加する。
【0028】
なお、上記の処理は電気信号に基づく処理であり高速に処理が行われる。そのため、ステップS4の処理とステップS6の処理は、ほぼ同時に処理される。つまり、制御装置305の消費電流と駆動装置304の消費電流は、ほぼ同時に増加する。
【0029】
以上、本開示の一実施形態による車両1について説明した。
本開示の一実施形態による車両1の車載空調システム30において、DC-DC電源306(電源の一例)は、供給される高電圧から第2出力電圧(第1低電圧の一例)を生成する。平滑コンデンサ301(コンデンサの一例)は、前記高電圧の変動を抑制する。制御装置305(第1装置の一例)は、第2出力電圧を電力源として動作する装置であって、前記DC-DC電源306への前記高電圧の供給が停止した場合に、制御装置305自身の消費電流を増加させる。
こうすることで、制御装置305の消費電流が増加し、それに伴って、DC-DC電源306の消費電流も増加する。DC-DC電源306への高電圧の供給が停止した場合、DC-DC電源306の消費電流は、平滑コンデンサ301に蓄えられている電荷によって生成される。そのため、DC-DC電源306への高電圧の供給が停止した場合に、制御装置305の消費電流を増加させることによって、平滑コンデンサ301に蓄えられている電荷を高速に放電することができる。つまり、コンデンサに高電圧の電荷が蓄積され、かつ、その電荷の放電経路がなくなった場合に、その電荷を速やかに放電することができる。
【0030】
なお、本開示の実施形態における処理は、適切な処理が行われる範囲において、処理の順番が入れ替わってもよい。
【0031】
本開示の実施形態における記憶部、記憶装置(レジスタ、ラッチを含む)のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲においてどこに備えられていてもよい。また、記憶部、記憶装置のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲において複数存在しデータを分散して記憶していてもよい。
【0032】
本開示の実施形態について説明したが、上述の車両1、放電判定装置20、車載空調システム30、制御装置305、その他の制御装置は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。コンピュータの具体例を以下に示す。
図4は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ5は、図4に示すように、CPU6、メインメモリ7、ストレージ8、インターフェース9を備える。
例えば、上述の車両1、放電判定装置20、車載空調システム30、制御装置305、その他の制御装置のそれぞれは、コンピュータ5に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ8に記憶されている。CPU6は、プログラムをストレージ8から読み出してメインメモリ7に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU6は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ7に確保する。
【0033】
ストレージ8の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ8は、コンピュータ5のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース9または通信回線を介してコンピュータ5に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ5に配信される場合、配信を受けたコンピュータ5が当該プログラムをメインメモリ7に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ8は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0034】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるファイル、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0035】
本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例であり、発明の範囲を限定しない。これらの実施形態は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、種々の省略、種々の置き換え、種々の変更を行ってよい。
【0036】
<付記>
本開示の各実施形態に記載のシステム(30)、車両(1)、放電方法及びプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0037】
(1)第1の態様に係るシステム(30)は、供給される高電圧から第1低電圧を生成する電源(306)と、前記高電圧の変動を抑制するコンデンサ(301)と、前記第1低電圧を電力源として動作する第1装置(305)であって、前記電源(306)への前記高電圧の供給が停止した場合に、自身の消費電流を増加させる第1装置(305)と、を備える。
【0038】
第1装置(305)の消費電流が増加し、それに伴って、電源(306)の消費電流も増加する。電源(306)への高電圧の供給が停止した場合、電源(306)の消費電流は、コンデンサ(301)に蓄えられている電荷によって生成される。そのため、電源(306)への高電圧の供給が停止した場合に、第1装置(305)の消費電流を増加させることによって、コンデンサ(301)に蓄えられている電荷を高速に放電することができる。つまり、このシステム(30)により、コンデンサ(301)に高電圧の電荷が蓄積され、かつ、その電荷の放電経路がなくなった場合に、その電荷を速やかに放電することができる。
【0039】
(2)第2の態様に係るシステム(30)は、(1)のシステム(30)であって、第2低電圧を電力源として動作する第2装置(304)、を備え、前記電源(306)は、前記高電圧から前記第2低電圧を生成し、前記第1装置(305)は、前記電源(306)への前記高電圧の供給が停止した場合に、前記第2装置(304)の消費電流を増加させる電圧を前記第2装置(304)に出力し、前記第2装置(304)は、前記第1装置(305)が出力した前記電圧に基づいて、前記第2装置(304)の消費電流を増加させるものであってもよい。
【0040】
このシステム(30)により、第1装置(305)に加えて第2装置(304)も消費電流を増加させることができる。そのため、第2の態様に係るシステム(30)は、第1の態様に係るシステム(30)よりも、より高速にコンデンサ(301)の電荷を放電させることができる。
【0041】
(3)第3の態様に係るシステム(30)は、(2)のシステム(30)であって、モータ(302)と、前記第2装置(304)から受ける電圧に基づいて前記モータ(302)を制御するインバータ(303)と、を備えるものであってもよい。
【0042】
このシステム(30)により、モータを駆動するシステム(30)でも、コンデンサ(301)に高電圧の電荷が蓄積され、かつ、その電荷の放電経路がなくなった場合に、その電荷を速やかに放電することができる。
【0043】
(4)第4の態様に係るシステム(30)は、(3)のシステム(30)であって、前記第2装置(304)は、前記電源(306)への前記高電圧の供給が停止した場合に、前記インバータ(303)を構成するスイッチング素子(303a、303b、303c、303d、303e、303f)のうち高電圧側のスイッチング素子(303d、303e、303f)をオフ状態にして低電圧側のスイッチング素子(303a、303b、303c)のみをスイッチング動作させる、または、前記インバータ(303)を構成するスイッチング素子(303a、303b、303c、303d、303e、303f)のうち低電圧側のスイッチング素子(303a、303b、303c)をオフ状態にして高電圧側のスイッチング素子(303d、303e、303f)のみをスイッチング動作させるものであってもよい。
【0044】
このシステム(30)により、第2装置(304)の消費電流を増加させる場合であっても、モータ(302)を回転させない。そのため、モータ(302)の回転に伴う悪影響(例えば、異音など)が生じない。
【0045】
(5)第5の態様に係る車両(1)は、(1)から(4)の何れかのシステム(30)と、前記高電圧を出力するバッテリ(10)と、前記電源(306)への前記高電圧の供給が停止したか否かを判定する判定装置(20)と、を備え、前記第1装置(305)は、前記判定装置(20)が前記電源(306)への前記高電圧の供給が停止したと判定した場合、前記第1装置(305)の消費電流を増加させる。
【0046】
この車両(1)により、車両(1)が備えるシステム(30)でも、コンデンサ(301)に高電圧の電荷が蓄積され、かつ、その電荷の放電経路がなくなった場合に、その電荷を速やかに放電することができる。
【0047】
(6)第6の態様に係る放電方法は、電源(306)は、供給される高電圧から第1低電圧を生成し、コンデンサ(301)は、前記高電圧の変動を抑制し、第1装置(305)は、前記第1低電圧を電力源として動作し、前記電源(306)への前記高電圧の供給が停止した場合に、第1装置(305)自身の消費電流を増加させる。
【0048】
この放電方法により、コンデンサ(301)に高電圧の電荷が蓄積され、かつ、その電荷の放電経路がなくなった場合に、その電荷を速やかに放電することができる。
【0049】
(7)第7の態様に係るプログラムは、供給される高電圧から第1低電圧を生成する電源(306)と、前記高電圧の変動を抑制するコンデンサ(301)と、前記第1低電圧を電力源として動作する第1装置(305)とを備えるシステム(30)のコンピュータ(5)に、前記電源(306)への前記高電圧の供給が停止した場合に、前記第1装置(305)の消費電流を増加させること、を実行させる。
【0050】
このプログラムにより、コンデンサ(301)に高電圧の電荷が蓄積され、かつ、その電荷の放電経路がなくなった場合に、その電荷を速やかに放電することができる。
【符号の説明】
【0051】
1・・・車両
5・・・コンピュータ
6・・・CPU
7・・・メインメモリ
8・・・ストレージ
9・・・インターフェース
10・・・バッテリ
20・・・放電判定装置
30・・・車載空調システム
301・・・平滑コンデンサ
302・・・モータ
303・・・インバータ
304・・・駆動装置
305・・・制御装置
306・・・DC-DC電源
図1
図2
図3
図4