(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】コンデンサデバイス、パワーユニット及びコンデンサデバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/38 20060101AFI20240422BHJP
H01G 2/10 20060101ALI20240422BHJP
H01G 4/228 20060101ALI20240422BHJP
H01G 13/00 20130101ALI20240422BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20240422BHJP
【FI】
H01G4/38 B
H01G2/10 K
H01G4/228 E
H01G4/228 S
H01G13/00 301E
H01G13/00 321E
H02M7/48 Z
(21)【出願番号】P 2020074211
(22)【出願日】2020-04-17
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000190091
【氏名又は名称】ルビコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100104709
【氏名又は名称】松尾 誠剛
(72)【発明者】
【氏名】堀越 勝
(72)【発明者】
【氏名】加古 智直
【審査官】木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0291602(US,A1)
【文献】国際公開第2015/041127(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0307467(US,A1)
【文献】特開2002-110889(JP,A)
【文献】特開平08-288174(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0147526(US,A1)
【文献】特開2010-245381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/38
H01G 2/02 - 2/06
H01G 2/10
H01G 4/228- 4/252
H01G 13/00
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の第1導電性部材と、
並列接続となるように配置された複数のチップ型コンデンサで構成されており、前記第1導電性部材の一方面側に導電性接合材を介して配置されたコンデンサユニットと、
前記コンデンサユニットを覆った状態となるように、前記コンデンサユニット上に導電性接合材を介して配置された板状の第2導電性部材とを備え、
前記第2導電性部材は、平面的に見て第1の方向の端部に形成された電源側入力電極、平面的に見て前記第1の方向とは反対側の第2の方向の端部に形成された第1の出力電極、平面的に見て前記第1の方向及び前記第2の方向と交差する第3の方向の端部に形成された第2の出力電極、及び、前記第3の方向とは反対側の第4の方向の端部に形成された第3の出力電極を有
し、
前記第1導電性部材は、平面的に見て前記第1の方向、前記第2の方向、前記第3の方向及び前記第4の方向のうちの少なくともいずれかの方向に向かって突出した凸部を有し、
前記第2導電性部材の前記電源側入力電極、前記第1の出力電極、前記第2の出力電極及び前記第3の出力電極はそれぞれ、前記凸部を避けた位置で外側に向かって突出し、
前記第1導電性部材の他方面は、前記凸部の底面、前記第2導電性部材の前記電源側入力電極、前記第1の出力電極、前記第2の出力電極及び前記第3の出力電極のそれぞれの底面と同一平面上にあり、
前記第1の方向から見て前記電源側入力電極の断面積は、前記第1導電性部材の前記凸部の断面積よりも広く、
前記第2の方向から見て前記第1の出力電極の断面積は、前記第1導電性部材の前記凸部の断面積よりも広く、
前記第3の方向から見て前記第2の出力電極の断面積は、前記第1導電性部材の前記凸部の断面積よりも広く、
前記第4の方向から見て前記第3の出力電極の断面積は、前記第1導電性部材の前記凸部の断面積よりも広いことを特徴とするコンデンサデバイス。
【請求項2】
板状の第1導電性部材と、
並列接続となるように配置された複数のチップ型コンデンサで構成されており、前記第1導電性部材の一方面側に導電性接合材を介して配置されたコンデンサユニットと、
前記コンデンサユニットを覆った状態となるように、前記コンデンサユニット上に導電性接合材を介して配置された板状の第2導電性部材とを備え
るコンデンサデバイスであって、
前記第2導電性部材は、平面的に見て第1の方向の端部に形成された電源側入力電極、平面的に見て前記第1の方向とは反対側の第2の方向の端部に形成された第1の出力電極、平面的に見て前記第1の方向及び前記第2の方向と交差する第3の方向の端部に形成された第2の出力電極、及び、前記第3の方向とは反対側の第4の方向の端部に形成された第3の出力電極を有し、
前記第1導電性部材は、平面的に見て前記第1の方向、前記第2の方向、前記第3の方向及び前記第4の方向のうちの少なくともいずれかの方向に向かって突出した凸部を有し、
前記第2導電性部材の前記電源側入力電極、前記第1の出力電極、前記第2の出力電極及び前記第3の出力電極はそれぞれ、前記凸部を避けた位置で外側に向かって突出し、
前記第1導電性部材の他方面は、前記凸部の底面、前記第2導電性部材の前記電源側入力電極、前記第1の出力電極、前記第2の出力電極及び前記第3の出力電極のそれぞれの底面と同一平面上にあり、
前記第1導電性部材、前記コンデンサユニット、及び、前記第2導電性部材は、樹脂封止され、
前記コンデンサデバイスの側面において、前記凸部の先端面、前記電源側入力電極、前記第1の出力電極、前記第2の出力電極及び前記第3の出力電極は、樹脂から露出しており、
前記第1の方向から見て前記樹脂から露出する前記電源側入力電極の断面積は、前記樹脂から露出する前記凸部の断面積よりも広く、
前記第2の方向から見て前記樹脂から露出する前記第1の出力電極の断面積は、前記樹脂から露出する前記凸部の断面積よりも広く、
前記第3の方向から見て前記樹脂から露出する前記第2の出力電極の断面積は、前記樹脂から露出する前記凸部の断面積よりも広く、
前記第4の方向から見て前記樹脂から露出する前記第3の出力電極の断面積は、前記樹脂から露出する前記凸部の断面積よりも広いことを特徴とするコンデンサデバイス。
【請求項3】
前記第3の方向は、前記第1の方向及び前記第2の方向と直交することを特徴とする請求項1
又は2に記載のコンデンサデバイス。
【請求項4】
前記第1導電性部材の前記一方面とは反対側の他方面は、樹脂から露出していることを特徴とする請求項
2に記載のコンデンサデバイス。
【請求項5】
前記コンデンサデバイスの他方面側において、前記第2導電性部材の前記電源側入力電極、前記第1の出力電極、前記第2の出力電極及び前記第3の出力電極は、樹脂から露出していることを特徴とする請求項
2に記載のコンデンサデバイス。
【請求項6】
前記第2導電性部材の前記電源側入力電極、前記第1の出力電極、前記第2の出力電極及び前記第3の出力電極は、2つに分かれた状態で形成されており、
側面から見て、前記凸部の先端部は、2つに分かれた状態の、前記電源側入力電極、前記第1の出力電極、前記第2の出力電極又は前記第3の出力電極に挟まれた位置に配置されていることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のコンデンサデバイス。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれかに記載のコンデンサデバイスと、前記コンデンサデバイスの第1の出力電極、第2の出力電極、及び第3の出力電極にそれぞれ対応した3つのドライブ部とを備え、三相インバータ回路が構成されていることを特徴とするパワーユニット。
【請求項8】
請求項1~
6のいずれかに記載のコンデンサデバイスを製造するためのコンデンサデバイスの製造方法であって、
板状の第1導電性部材が複数連結された第1リードフレームを準備する第1リードフレーム準備工程と、
複数のチップ型コンデンサで構成され、かつ、前記複数のチップ型コンデンサが並列接続となるように配置されたコンデンサユニットを複数の前記第1導電性部材それぞれの一方面上に導電性接合材を介して配置するコンデンサユニット配置工程と、
平面的に見て第1の方向の端部に形成された電源側入力電極、前記第1の方向とは反対側の第2の方向の端部に形成された第1の出力電極、前記第1の方向及び前記第2の方向と交差する第3の方向の端部に形成された第2の出力電極、及び、前記第3の方向とは反対側の第4の方向の端部に形成された第3の出力電極を有する板状の第2導電性部材が複数連結された第2リードフレームを、前記第2導電性部材が前記コンデンサユニットを覆った状態となるように前記コンデンサユニット上に配置する第2リードフレーム配置工程と、
前記第1リードフレーム、前記コンデンサユニット及び前記第2リードフレームをダイシングして個片化するダイシング工程とを含
み、
前記第2リードフレーム配置工程において、前記第2導電性部材の前記電源側入力電極、前記第1の出力電極、前記第2の出力電極及び前記第3の出力電極がそれぞれ、平面的に見て前記第1リードフレームの連結部分を避けた位置で外側に向かって突出した状態となり、かつ、前記第1導電性部材の他方面が、前記第1リードフレームの連結部分の底面、前記第2導電性部材の前記電源側入力電極、前記第1の出力電極、前記第2の出力電極及び前記第3の出力電極のそれぞれの底面と同一平面上になるように前記第2リードフレームを配置し、
前記ダイシング工程においては、前記第1リードフレームをダイシングすることで、平面的に見て前記第1の方向、前記第2の方向、前記第3の方向及び前記第4の方向のうちの少なくともいずれかの方向に向かって突出した凸部を形成し、
前記第1の方向から見て前記電源側入力電極の断面積は、前記第1導電性部材の前記凸部の断面積よりも広く、
前記第2の方向から見て前記第1の出力電極の断面積は、前記第1導電性部材の前記凸部の断面積よりも広く、
前記第3の方向から見て前記第2の出力電極の断面積は、前記第1導電性部材の前記凸部の断面積よりも広く、
前記第4の方向から見て前記第3の出力電極の断面積は、前記第1導電性部材の前記凸部の断面積よりも広いことを特徴とするコンデンサデバイスの製造方法。
【請求項9】
請求項1~
6のいずれかに記載のコンデンサデバイスを製造するためのコンデンサデバイスの製造方法であって、
板状の第1導電性部材が複数連結された第1リードフレームを準備する第1リードフレーム準備工程と、
複数のチップ型コンデンサで構成され、かつ、前記複数のチップ型コンデンサが並列接続となるように配置されたコンデンサユニットを複数の前記第1導電性部材それぞれの一方面上に導電性接合材を介して配置するコンデンサユニット配置工程と、
平面的に見て第1の方向の端部に形成された電源側入力電極、前記第1の方向とは反対側の第2の方向の端部に形成された第1の出力電極、前記第1の方向及び前記第2の方向と交差する第3の方向の端部に形成された第2の出力電極、及び、前記第3の方向とは反対側の第4の方向の端部に形成された第3の出力電極を有する板状の第2導電性部材が複数連結された第2リードフレームを、前記第2導電性部材が前記コンデンサユニットを覆った状態となるように前記コンデンサユニット上に配置する第2リードフレーム配置工程と、
前記第1リードフレーム、前記コンデンサユニット及び前記第2リードフレームを、前記第1リードフレームの他方面が露出した状態となるように樹脂で封止する樹脂封止工程と、
前記第1リードフレーム、前記コンデンサユニット及び前記第2リードフレームをダイシングして個片化するダイシング工程とを含み、
前記第2リードフレーム配置工程においては、前記第2導電性部材の前記電源側入力電極、前記第1の出力電極、前記第2の出力電極及び前記第3の出力電極はそれぞれ、平面的に見て前記第1リードフレームの連結部分を避けた位置で外側に向かって突出した状態となり、かつ、前記第1導電性部材の他方面が、前記第1リードフレームの連結部分の底面、前記第2導電性部材の前記電源側入力電極、前記第1の出力電極、前記第2の出力電極及び前記第3の出力電極のそれぞれの底面と同一平面上になるように前記第2リードフレームを配置し、
前記ダイシング工程においては、前記第1リードフレームをダイシングすることで、平面的に見て前記第1の方向、前記第2の方向、前記第3の方向及び前記第4の方向のうちの少なくともいずれかの方向に向かって突出した凸部が形成され、かつ、前記コンデンサデバイスの側面において、前記凸部の先端面、前記電源側入力電極、前記第1の出力電極、前記第2の出力電極及び前記第3の出力電極を前記樹脂から露出した状態とし、
前記第1の方向から見て前記樹脂から露出する前記電源側入力電極の断面積は、前記樹脂から露出する前記凸部の断面積よりも広く、
前記第2の方向から見て前記樹脂から露出する前記第1の出力電極の断面積は、前記樹脂から露出する前記凸部の断面積よりも広く、
前記第3の方向から見て前記樹脂から露出する前記第2の出力電極の断面積は、前記樹脂から露出する前記凸部の断面積よりも広く、
前記第4の方向から見て前記樹脂から露出する前記第3の出力電極の断面積は、前記樹脂から露出する前記凸部の断面積よりも広いことを特徴とするコンデンサデバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサデバイス、パワーユニット及びコンデンサデバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パターン化された金属薄膜層と、樹脂薄膜層とが交互に積層されたチップ型コンデンサ(積層フィルムコンデンサ)からなるコンデンサデバイスが知られている(例えば、特許文献1参照。従来のコンデンサデバイス)。
【0003】
図17は、従来のコンデンサデバイス900を説明するために示す図である。
図18は、3相インバータ回路を説明するために示す回路図である。
図18中、符号Vは直流電源を示し、符号RFは増幅回路を示し、符号Mはモータを示す。
従来のコンデンサデバイス900は、パターン化された金属薄膜層922と、樹脂薄膜層923とが交互に積層された積層体と、パターン化された金属薄膜層922のうちの一方の電極となる金属薄膜層に接続された外部電極924と、パターン化された金属薄膜層922のうち他方の電極となる金属薄膜層に接続された外部電極925とを備える(
図17参照)。
【0004】
従来のコンデンサデバイス900によれば、パターン化された金属薄膜層922と、樹脂薄膜層923とが交互に積層されているため、金属薄膜層922及び樹脂薄膜層923の枚数を増やすことにより大容量のコンデンサデバイスとすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-294449号公報
【文献】特許6603441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、技術の進歩に伴い、大容量、かつ、大容量でありながら歩留まりが高く、かつ、パワーユニットに使用したときに高周波特性に優れたパワーユニットとなるコンデンサデバイスが求められている。
従来のコンデンサデバイス900をより大容量化しようとすれば、金属薄膜層及び樹脂薄膜層の枚数をより増加させるか、対向する面積を大きくすることになる。しかしながら、金属薄膜層及び樹脂薄膜層の枚数を所定以上にしたり、対向する面積を大きくしたりしようとすると、1つのコンデンサデバイスに対して積層体を作り出す量が多くなり欠陥が発生する確率が上がり易くなることに起因して、バラツキが生じ易く歩留りが低くなるおそれがあることから大容量のコンデンサデバイスとすることが難しい、という事情がある。
【0007】
また、直流電源とモータ等の駆動電源との間で電力変換を行う三相インバータ回路(
図18参照。例えば、特許文献2参照)を構成するモジュール9においては、直流電源Vから供給される電力を平滑するために、各ドライブ部DR1,DR2,DR3と並列にコンデンサデバイス(
図18の符号C参照)を接続することが多い。しかしながら、三相インバータ回路に従来のコンデンサデバイス900を接続した場合には、コンデンサデバイスCから各ドライブ部DR1,DR2,DR3までの配線長に差が生じてしまう。特に、コンデンサデバイスCから配線長が最も長くなるドライブ部DR3までの区間の寄生インダクタンスが大きくなり、当該区間でリンギングノイズが発生するおそれがあるため、高周波特性に優れたパワーユニットとすることが難しい、という事情もある。
なお、大容量のコンデンサとして、電解コンデンサを用いることも考えられるが、電解コンデンサは構造的に高周波特性を良好なものにし難く、高周波特性に優れたパワーユニットとすることが難しい。
【0008】
さらにまた、コンデンサデバイス本体も高周波特性が良好であることが求められている、という事情がある。
【0009】
そこで、本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、従来よりも大容量、かつ、大容量でありながら歩留まりが高く、かつ、パワーユニットに使用したときに高周波特性に優れたパワーユニットとなり、さらには、コンデンサデバイス本体も高周波特性が良好なコンデンサデバイスを提供することを目的とする。また、このようなコンデンサデバイスを用いたパワーユニットを提供することを目的とする。さらにまた、このようなコンデンサデバイスを製造するコンデンサデバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のコンデンサデバイスは、板状の第1導電性部材と、並列接続となるように配置された複数のチップ型コンデンサで構成されており、前記第1導電性部材の一方面側に導電性接合材を介して配置されたコンデンサユニットと、平面的に見て前記コンデンサユニットを覆った状態となるように、前記コンデンサユニット上に導電性接合材を介して配置された板状の第2導電性部材とを備え、前記第2導電性部材は、平面的に見て第1の方向の端部に形成された電源側入力電極、平面的に見て前記第1の方向とは反対側の第2の方向の端部に形成された第1の出力電極、平面的に見て前記第1の方向及び前記第2の方向と交差する第3の方向の端部に形成された第2の出力電極、及び、前記第3の方向とは反対側の第4の方向の端部に形成された第3の出力電極を有することを特徴とする。
【0011】
本発明のパワーユニットは、本発明のコンデンサデバイスと、前記コンデンサデバイスの第1の出力電極、第2の出力電極、及び第3の出力電極にそれぞれ対応した3つのドライブ部とを備え、三相インバータ回路が構成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明のコンデンサデバイスの製造方法は、本発明のコンデンサデバイスを製造するためのコンデンサデバイスの製造方法であって、板状の第1導電性部材が複数連結された第1リードフレームを準備する第1リードフレーム準備工程と、複数のチップ型コンデンサで構成され、かつ、前記複数のチップ型コンデンサが並列接続となるように配置されたコンデンサユニットを複数の前記第1導電性部材それぞれの一方面上に導電性接合材を介して配置するコンデンサユニット配置工程と、平面的に見て第1の方向の端部に形成された電源側入力電極、前記第1の方向とは反対側の第2の方向の端部に形成された第1の出力電極、前記第1の方向及び前記第2の方向と交差する第3の方向の端部に形成された第2の出力電極、及び、前記第3の方向とは反対側の第4の方向の端部に形成された第3の出力電極を有する板状の第2導電性部材が複数連結された第2リードフレームを、前記第2導電性部材が前記コンデンサユニットを覆った状態となるように前記コンデンサユニット上に配置する第2リードフレーム配置工程と、前記第1リードフレーム、前記コンデンサユニット及び前記第2リードフレームをダイシングして個片化するダイシング工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のコンデンサデバイス、パワーユニット及びコンデンサデバイスの製造方法によれば、並列接続となるように配置された複数のチップ型コンデンサで構成されたコンデンサユニットを備えるため、大容量のコンデンサデバイスとなる。また、1つ1つのチップ型コンデンサの金属薄膜層及び樹脂薄膜層の枚数を所定以上にしたり、対向する面積を大きくしたりしなくてもよくなるため、個々のコンデンサデバイスは歩留まりが良い良品選別されたコンデンサで構成されるので、歩留りが低くなることを防ぐことができる。その結果、大容量でありながら歩留まりが高いコンデンサデバイスとなる。
【0014】
また、本発明のコンデンサデバイス、パワーユニット及びコンデンサデバイスの製造方法によれば、第2導電性部材は、平面的に見て第1の方向の端部に形成された電源側入力電極、平面的に見て第1の方向とは反対側の第2の方向の端部に形成された第1の出力電極、平面的に見て第1の方向及び第2の方向と交差する第3の方向の端部に形成された第2の出力電極、及び、第3の方向とは反対側の第4の方向の端部に形成された第3の出力電極を有するため、三相インバータ回路に本発明のコンデンサデバイスを適用した場合でも、コンデンサデバイスから各ドライブ部までの配線長を最も短い配線長で均等化することができる。従って、コンデンサデバイスから(従来においては最も配線長が長くなる)ドライブ部までの区間の寄生インダクタンスを小さくすることができ、当該区間でリンギングノイズが発生し難くなる。その結果、高周波特性に優れたパワーユニットとすることができる。
【0015】
また、本発明のコンデンサデバイス、パワーユニット及びコンデンサデバイスの製造方法によれば、板状の第1導電性部材と、コンデンサユニット上に導電性接合材を介して配置された板状の第2導電性部材とを備えるため、第1導電性部材とコンデンサユニットの電極との接合面積、及び、第2導電性部材とコンデンサユニットの電極との接合面積、さらには、第1導電性部材と接地配線(接地電極接続パッド)との接合面積、及び、第2導電性部材(電源側入力電極、第1の出力電極、第2の出力電極及び第3の出力電極)と電源配線との接合面積がそれぞれ大きくなる。従って、第1導電性部材及び第2導電性部材の寄生インダクタンスを低減することができ、コンデンサデバイス本体も高周波特性の良好なコンデンサデバイスとなる。
【0016】
また、本発明のコンデンサデバイス、パワーユニット及びコンデンサデバイスの製造方法によれば、並列接続となるように配置された複数のチップ型コンデンサで構成されたコンデンサユニットを備えるため、チップ型コンデンサの金属薄膜層及び樹脂薄膜層の枚数を所定以上にしなくてもよくなる。従って、1つ1つのチップ型コンデンサにおいて積層体の内部にバラツキが生じ難くなり、積層体の内部に欠陥等が発生し難くなることから、信頼性が高いコンデンサデバイスとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態1に係るコンデンサデバイス100を説明するために示す図である。
【
図2】実施形態1に係るコンデンサデバイス100の内部構造を説明するために示す図である。
【
図3】実施形態1に係るチップ型コンデンサ121を示す図である。
【
図4】実施形態1における3相インバータ回路を示す図である。
【
図5】実施形態1に係るパワーユニット1におけるコンデンサデバイスと、直流電源及び各ドライブ部との配置関係を示す模式図である。
【
図6】基板60にコンデンサデバイス100を実装した様子を示す断面図である。
【
図7】実施形態1に係るコンデンサデバイスの製造方法を示すフローチャートである。
【
図8】第1リードフレーム準備工程を示す図である。
【
図9】コンデンサユニット配置工程を示す図である。
【
図10】第2リードフレーム配置工程を示す図である。
【
図13】実施形態2に係るコンデンサデバイス102を説明するために示す図である。
【
図14】変形例2~5に係るコンデンサデバイスを説明するために示す図である。
【
図15】変形例6に係るコンデンサデバイス104を説明するために示す断面図である。
【
図16】変形例7に係るコンデンサデバイス106を説明するために示す図である。
【
図17】従来のコンデンサデバイス900を説明するために示す図である。
【
図18】3相インバータ回路を説明するために示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係るコンデンサデバイス、パワーユニット及びコンデンサデバイスの製造方法について、図に示す実施形態に基づいて説明する。なお、各図面は模式図であり、必ずしも実際の寸法を厳密に反映したものではない。また、各実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。各実施形態においては、基本的な構成、特徴、機能等が同じ構成、要素(形状等が完全に同一ではない構成要素を含む)については、実施形態をまたいで同じ符号を使用するとともに再度の説明を省略することがある。
【0019】
[実施形態1]
1.実施形態1に係るコンデンサデバイス100の構成
図1は、実施形態1に係るコンデンサデバイス100を示す図である。
図1(a)はコンデンサデバイス100の斜視図であり、
図1(b)は
図1(a)のA-A断面図であり、
図1(c)はコンデンサデバイス100の底面図である。
図2は、実施形態1に係るコンデンサデバイス100の内部構造を説明するために示す図である。
図2(a)はコンデンサデバイス100において樹脂を取り除いた斜視図であり、
図2(b)はコンデンサデバイス100の分解図である。
図3は、実施形態1に係るチップ型コンデンサ121を示す図である。
【0020】
実施形態1に係るコンデンサデバイス100は、
図1及び
図2に示すように、直方体(立方体の場合を含む)形状をしており、第1導電性部材110と、コンデンサユニット120と、第2導電性部材130とを備える。第1導電性部材110、コンデンサユニット120、及び、第2導電性部材130は、樹脂140で封止されている。
【0021】
コンデンサデバイス100の第1の方向(-x方向)の側面には、第1導電性部材110の後述する凸部114aの先端面、及び、後述する2つの電源側入力電極133aの先端面が樹脂140から露出している。
コンデンサデバイス100の第2の方向(+x方向)の側面には、第1導電性部材110の後述する凸部114cの先端面、及び、後述する2つの第1の出力電極133cの先端面が樹脂140から露出している。
コンデンサデバイス100の第3の方向(+y方向)の側面には、第1導電性部材110の後述する凸部114bの先端面、及び、後述する2つの第2の出力電極133bの先端面が樹脂140から露出している。
コンデンサデバイス100の第4の方向(-y方向)の側面には、第1導電性部材110の後述する凸部114dの先端面、及び、後述する2つの第3の出力電極133dの先端面が樹脂140から露出している。
なお、所定の断面における、第1の出力電極133c、第2の出力電極133b及び第3の出力電極133dの断面積の総和は、第1導電性部材110の凸部114の断面積よりも大きい。
なお、実施形態1において、第1の方向及び第2の方向と第3の方向(及び第4の方向)はそれぞれ直交しているが、厳密に直角で交わっていなくてもよく、後述するドライブ部の配置に不具合がない角度であれば第1の方向及び第2の方向と第3の方向(及び第4の方向)とのなす角度は適宜の角度とすることができる。
【0022】
実施形態1に係るコンデンサデバイス100の底面(コンデンサデバイス100の他方面)においては、
図1(c)に示すように、第1導電性部材110(コンデンサユニット配置面112及び凸部114を含む)の他方面全体が樹脂140から露出している。また、底面の縁部では、(2つの)電源側入力電極133a、(2つの)第1の出力電極133c、(2つの)第2の出力電極133b、及び、(2つの)第3の出力電極133dが樹脂140から露出している。
【0023】
第1導電性部材110は、板状の金属板(例えば、銅板)で構成されている。第1導電性部材110(後述するコンデンサユニット配置面112及び凸部114の両方)の他方面は樹脂140から露出しており、接地電極を構成する。第1導電性部材110は、
図1(c)及び
図2(b)に示すように、コンデンサユニット配置面112と、凸部114a、114b、114c、114d(以下、この4つの凸部をまとめて凸部114ということもある)とを有する。
【0024】
コンデンサユニット配置面112は、第1導電性部材110の中央部に配置され、矩形形状をしている。コンデンサユニット配置面112の一方面側には、コンデンサユニット120が配置されている。なお、コンデンサユニット配置面112の外形は、矩形形状に限られず、コーナー部に丸みを帯びている等の全体として矩形形状をしていてもよいし、円形、多角形、そのほか適宜の形状としてもよい。
【0025】
凸部114は、コンデンサユニット配置面112の矩形の外周の各辺(4辺)の所定の位置(実施形態1では各辺の中点付近)で外側(平面的に見て第1の方向、第2の方向、第3の方向及び第4の方向)に向かって突出している。凸部114の先端面もコンデンサデバイス100の側面において、樹脂140から露出している。
【0026】
コンデンサユニット120は、並列接続となるように配置された複数のチップ型コンデンサ121で構成されており、第1導電性部材110(コンデンサユニット配置面112)の一方面上に導電性接合材Sを介して配置されている。コンデンサユニット120は、チップ型コンデンサ121が3×5個配列され、隣接するチップ型コンデンサ121同士は接着剤で接合されている。なお、コンデンサユニット120内のチップ型コンデンサ121の個数は適宜の個数とすることができる。
【0027】
チップ型コンデンサ121としては、積層フィルムコンデンサ、積層セラミックコンデンサ等適宜のコンデンサを用いることができるが、実施形態1においては積層フィルムコンデンサを用いる。チップ型コンデンサ121は、
図3に示すように、パターン化された金属薄膜層122と、樹脂薄膜層123とが交互に積層された積層体と、パターン化された金属薄膜層122のうちの一方の電極となる金属薄膜層に接続された上部電極124と、パターン化された金属薄膜層122のうち他方の電極となる金属薄膜層に接続された下部電極125とを備える。積層フィルムコンデンサとしては、例えば、樹脂薄膜層の材料として、耐熱性の高い熱硬化性樹脂(例えばアクリル)を用いる薄膜高分子積層コンデンサを用いることが好ましい。
【0028】
チップ型コンデンサ121の上部電極124は、第2導電性部材130の電源側入力電極133aを介して直流電源に接続されるとともに、第1の出力電極133c、第2の出力電極133b、第3の出力電極133dを介してモータ等の駆動電源に接続されている。チップ型コンデンサ121の下部電極125は、第1導電性部材110を介して直流電源の接地電極や、モータ等の駆動電源の接地電極に接続されている。
【0029】
第2導電性部材130は、平面的に見てコンデンサユニット120を覆うように、コンデンサユニット120上に導電性接合材Sを介して配置されている板状の部材である。第2導電性部材130は、平板部131と、段差部132(132a~132d)と、電源側入力電極133aと、第1の出力電極133cと、第2の出力電極133bと、第3の出力電極133dとを有する。なお、「板状の部材」とは、幅や奥行きに対して厚み(高さ)が薄い(低い)部材のことをいう。「板状の部材」には、折り曲げられていない平板状の部材だけでなく、折り曲げ形状、切り欠き形状、打ち出し形状、孔形状等を有する部材も含む。
【0030】
平板部131は、コンデンサユニット120との接続領域であり、略矩形形状をしている。平板部131は、平板部131の各辺における、第1導電性部材110の凸部114を避けた位置でそれぞれ平面的に見て外側に向かって突出した部分を有しており、突出部分の先端部分には、電源側入力電極133aと、第1の出力電極133cと、第2の出力電極133bと、第3の出力電極133dとが形成されている。
【0031】
平板部131と、電源側入力電極133a、第1の出力電極133c、第2の出力電極133b、及び、第3の出力電極133dとの間にはそれぞれ段差部132が形成されている。電源側入力電極133a、第1の出力電極133c、第2の出力電極133b、及び、第3の出力電極133dの各底面は、第1導電性部材110の他方面とが同一平面上となっている。
【0032】
電源側入力電極133aは、平面的に見て平板部131から第1の方向(-x方向)に向かって突出した2つの突出部分の先端部分であり、実装したときに基板の配線や端子等を介して直流電源と接続される。電源側入力電極133aは、平板状形状をしている。電源側入力電極133aは、2つの突出部分(すなわち、並列接続されている2つの部分)から構成されているため、電流の導通面積が大きくなり、大電流を導通させることができる。
【0033】
第1の出力電極133cは、平面的に見て平板部131から第2の方向(+x方向)に向かって突出した2つの突出部分の先端部分であり、実装したときに基板の配線や端子等を介してドライブ部(第2ドライブ部DR2)と接続される。第1の出力電極133cは、平板状形状をしている。
第2の出力電極133bは、平面的に見て平板部131から第3の方向(+y方向)に向かって突出した2つの突出部分の先端部分であり、実装したときに基板の配線や端子等を介してドライブ部(第1ドライブ部DR1)と接続される。第2の出力電極133bは、平板状形状をしている。
第3の出力電極133dは、平面的に見て平板部131から第4の方向(-y方向)に向かって突出した2つの突出部分の先端部分であり、実装したときに基板の配線や端子等を介してドライブ部(第3ドライブ部DR3)と接続される。第3の出力電極133dは、平板状形状をしている。
第1の出力電極133c、第2の出力電極133b及び第3の出力電極133dは、2つの突出部分(すなわち、並列接続されている2つの部分)から構成されているため、電流の導通面積が大きくなり、大電流を導通させることができる。
【0034】
樹脂140は、適宜の樹脂を用いることができる。
【0035】
2.実施形態1に係るパワーユニット1の構成
図4は、実施形態1における三相インバータ回路を示す回路図である。
図5は、実施形態1に係るパワーユニット1における、コンデンサデバイス100と、直流電源V及び各ドライブ部DR1,DR2,DR3との配置関係を示す模式図である。
図6は、基板60にコンデンサデバイス100を実装した様子を示す断面図である。
【0036】
実施形態1に係るコンデンサデバイス100は、以下のようなパワーユニット(実施形態1に係るパワーユニット1)に好適に用いられる。実施形態1に係るパワーユニット1は、
図4に示すように、実施形態1に係るコンデンサデバイス100と、第1ドライブ部DR1、第2ドライブ部DR2、第3ドライブ部DR3とを備え、三相インバータ回路を構成している。コンデンサデバイス100、第1ドライブ部DR1、第2ドライブ部DR2、及び、第3ドライブ部DR3は、基板60上に配置されている(
図5参照)。
【0037】
基板60は、適宜の基板を用いることができる。実施形態1において、基板60は、表面に電源配線62及び接地電極接続パッド64が形成され、内部に接地配線66が形成された、いわゆる積層基板を用いる(
図6参照)。接地電極接続パッド64は、スルーホールTHを介して接地配線66と接続されている。
【0038】
コンデンサデバイス100は、接地電極接続パッド64上に配置され、第1導電性部材110(すなわち、コンデンサユニット配置面112及び凸部114a~114d)が接地電極接続パッド64と接続されている(いわゆる、ベタグランド)(
図6参照)。電源側入力電極133a及び第1~第3の出力電極133c、133b、133dは、それぞれ、基板60の電源配線62に接続されている。
【0039】
第1ドライブ部DR1は、
図4に示すように、直列に接続された2つのスイッチング素子SW1,SW2を有し、モータMのU相と接続されている。
第1ドライブ部DR1において、SW1におけるSW2と接続されていない電極は、基板60上の電源配線62を介してコンデンサデバイス100の第2の出力電極133bと接続されており、SW2におけるSW1と接続されていない電極は、基板60の接地配線66を介してコンデンサデバイス100の接地電極(第1導電性部材110)と接続されている。
【0040】
第2ドライブ部DR2は直列に接続された2つのスイッチング素子SW3,SW4を有し、SW3とSW4の接続点でモータMのV相と接続されている。
第2ドライブ部DR2において、SW3におけるSW4と接続されていない電極は、基板60上の電源配線62を介してコンデンサデバイス100の第1の出力電極133cと接続されており、SW4におけるSW3と接続されていない電極は、基板60の接地配線66を介してコンデンサデバイス100の接地電極(第1導電性部材110)と接続されている。
【0041】
第3ドライブ部DR3は直列に接続された2つのスイッチング素子SW5,SW6を有し、SW5とSW6の接続点でW相端子を介してモータのW相と接続されている。
第3ドライブ部DR3において、SW6におけるSW5と接続されていない電極は、基板60上の電源配線62を介してコンデンサデバイス100の第3の出力電極133dと接続されており、SW5におけるSW6と接続されていない電極は、基板60の接地配線66を介してコンデンサデバイス100の接地電極(第1導電性部材110)と接続されている。
【0042】
電源側入力電極133aは、直流電源と接続されている。直流電源の接地端子は、基板60の接地配線66を介してコンデンサデバイス100の接地電極(第1導電性部材110)と接続されている。
【0043】
図5に示すように、実施形態1に係るコンデンサデバイス100は互いに異なる方向(略90度ずれた方向)に向かって出力電極が形成されているため、コンデンサデバイス100から等距離の位置に第1~第3ドライブ部DR1,DR2,DR3を配置することができる。これにより、コンデンサデバイス100から第1ドライブ部DR1までの配線長、コンデンサデバイス100から第2ドライブ部DR2までの配線長、及び、コンデンサデバイス100から第3ドライブ部DR3までの配線長のうち最も短い配線長で等しくなるように配置することができる。これにより、コンデンサデバイス100から第1ドライブ部DR1、第2ドライブ部DR2及び第3ドライブ部DR3までの寄生インダクタンスを最小にし、かつ、均等化することができる。
【0044】
3.実施形態1に係るコンデンサデバイスの製造方法
図7は、実施形態1に係るコンデンサデバイスの製造方法を示すフローチャートである。
図8は、第1リードフレーム準備工程を示す図である。
図8(a)は第1リードフレーム準備工程を示す平面図であり、
図8(b)は
図8(a)のB-B断面図である。
図9は、コンデンサユニット配置工程を示す図である。
図9(a)はコンデンサユニット配置工程を示す平面図であり、
図9(b)は
図9(a)のB-B断面図である。
図10は、第2リードフレーム配置工程を示す図である。
図10(a)は第2リードフレーム配置工程を示す平面図であり、
図10(b)は
図10(a)のB-B断面図である。
図11は、樹脂封止工程を示す図である。
図11(a)は樹脂封止工程を示す平面図であり、
図11(b)は
図11(a)のB-B断面図である。
図12は、ダイシング工程を示す図である。
図12(a)はダイシング工程を示す平面図であり、
図12(b)は
図12(a)のB-B断面図である。
【0045】
実施形態1に係るコンデンサデバイスの製造方法は、
図7に示すように、第1リードフレーム準備工程と、コンデンサユニット配置工程と、第2リードフレーム配置工程と、リフロー工程と、樹脂封止工程と、ダイシング工程とをこの順序で含む。
【0046】
(1)第1リードフレーム準備工程
まず、板状の第1導電性部材110が複数連結された第1リードフレームLF1を準備する(
図8参照)。第1リードフレームLF1において、隣接する第1導電性部材110は、コンデンサユニット配置面112から突出した凸部114同士が連結して接続部114を構成していることから、作業性が向上する。
【0047】
(2)コンデンサユニット配置工程
次に、複数のチップ型コンデンサ121で構成され、かつ、複数のチップ型コンデンサ121が並列接続となるように配置されたコンデンサユニット120を、第1リードフレームLF1の複数の第1導電性部材110のそれぞれの一方面上に導電性接合材Sを介して配置する(
図9参照)。このとき、コンデンサユニット120(チップ型コンデンサ121)の下部電極125と第1導電性部材110とが対向するように配置する。導電性接合材Sとしては、適宜の接合材を用いることができ、例えば、はんだペーストを用いることができる。
【0048】
コンデンサユニット配置工程の前段に、複数のチップ型コンデンサ121で構成され、かつ、複数のチップ型コンデンサが並列接続となるように配置されたコンデンサユニット120を形成するコンデンサユニット形成工程を実施する。すなわち、複数のチップ型コンデンサ121同士を接合材(図示せず)で接合して束ねることでコンデンサユニット120を形成する。このとき、各チップ型コンデンサ121の上部電極124が同じ側になるとともに、各チップ型コンデンサ121の下部電極125も同じ側になるように構成されている。なお、接合材としては、例えば、接着剤を用いることができる。
【0049】
(3)第2リードフレーム配置工程
次に、平面的に見て第1の方向の端部に形成された電源側入力電極133a、第1の方向とは反対側の第2の方向の端部に形成された第1の出力電極133c、第1の方向及び第2の方向と交差(直交)する第3の方向の端部に形成された第2の出力電極133b、及び、第3の方向とは反対側の第4の方向の端部に形成された第3の出力電極133dを有する板状の第2導電性部材130が複数連結された第2リードフレームLF2を、第2導電性部材130がコンデンサユニット120を覆った状態となるようにコンデンサユニット120上に配置する(
図10参照)。
なお、第2リードフレームLF2において、隣接する第2導電性部材130同士の間は、一方の電源側入力電極133aと他方の第1の出力電極133c、一方の第2の出力電極133bと他方の第3の出力電極133dがそれぞれ連結して構成された接続部133で連結されている。また、第2リードフレームLF2においては、すでに段差部が形成されており、コンデンサユニット120上に第2リードフレームLF2を配置したときには電源側入力電極133a、第1の出力電極133c、第2の出力電極133b、及び、第3の出力電極133dの底面は、第1リードフレームLF1の底面(他方面)と同一平面上に配置される。さらにまた、導電性接合材Sとしては、適宜の接合材を用いることができ、例えば、はんだペーストを用いることができる。
【0050】
(4)リフロー工程
次に、第1リードフレームLF1、コンデンサユニット120、第2リードフレームLF2をリフローする(図示せず)。これにより、第1導電性部材110とコンデンサユニット120の下部電極125との間を導電性接合材(はんだ)で接合するとともに、第2導電性部材130とコンデンサユニット120の上部電極124との間を導電性接合材(はんだ)で接合する。
【0051】
(5)樹脂封止工程
次に、第1リードフレームLF1、コンデンサユニット120及び第2リードフレームLF2を、第1リードフレームLF1の一方面とは反対側の他方面が樹脂140から露出した状態となるように樹脂で封止する(
図11参照)。このとき、電源側入力電極133a、第1の出力電極133c、第2の出力電極133b、及び、第3の出力電極133dも樹脂140から露出した状態となる。
【0052】
(6)ダイシング工程
次に、樹脂封止された第1リードフレームLF1、コンデンサユニット120及び第2リードフレームLF2をダイシングして個片化する(
図12参照)。このとき、樹脂140とともに、第1リードフレームLF1の接続部114及び第2リードフレームLF2の接続部133を一括してダイシングするため、コンデンサデバイス100の側面には、凸部114a~114dの先端面、電源側入力電極133aの先端面、第1~第3の出力電極133b、133c、133dの各先端面が露出している。
【0053】
このようにして、実施形態1に係るコンデンサデバイス100を製造することができる。
【0054】
4.実施形態1に係るコンデンサデバイス100、パワーユニット1、及び、コンデンサデバイスの製造方法の効果
実施形態1に係るコンデンサデバイス100及びパワーユニット1によれば、並列接続となるように配置された複数のチップ型コンデンサ121で構成されたコンデンサユニット120を備えるため、大容量のコンデンサデバイスとなる。また、チップ型コンデンサ121の金属薄膜層122及び樹脂薄膜層123の枚数を所定以上にしたり、対向する面積を大きくしたりしなくてもよくなるため、1つ1つのコンデンサデバイスは歩留まりが良い良品選別されたコンデンサで構成されるので、積層体の内部に欠陥等は無く、歩留まりが低下することを防ぐことができる。その結果、大容量でありながら量産性に優れ、歩留まりが高いコンデンサデバイスとなる。
【0055】
また、実施形態1に係るコンデンサデバイス100及びパワーユニット1によれば、第2導電性部材130は、平面的に見て第1の方向(-x方向)の端部に形成された電源側入力電極133a、平面的に見て第1の方向とは反対側の第2の方向(+x方向)の端部に形成された第1の出力電極133c、平面的に見て第1の方向及び第2の方向と交差(直交)する第3の方向(+y方向)の端部に形成された第2の出力電極133b、及び、第3の方向とは反対側の第4の方向(-y方向)の端部に形成された第3の出力電極133dを有するため、三相インバータ回路に実施形態1のコンデンサデバイス100を適用した場合でも、コンデンサデバイス100から各ドライブ部DR1,DR2,DR3までの配線長を最も短い配線長で均等化することができる。従って、コンデンサデバイス100から(従来においては最も配線長が長くなる)ドライブ部までの区間の寄生インダクタンスを小さくすることができ、当該区間でリンギングノイズが発生し難くなる。その結果、高周波特性に優れたパワーユニットとすることができる。
【0056】
また、実施形態1に係るコンデンサデバイス100及びパワーユニット1によれば、板状の第1導電性部材110と、コンデンサユニット120上に導電性接合材Sを介して配置された板状の第2導電性部材130とを備えるため、第1導電性部材110とコンデンサユニット120の下部電極125との接合面積、及び、第2導電性部材130とコンデンサユニット120の上部電極124との接合面積、さらには、第1導電性部材110と接地配線66との接合面積、及び、第2導電性部材130(電源側入力電極133a、第1の出力電極133c、第2の出力電極133b及び第3の出力電極133d)と電源配線62との接合面積がそれぞれ大きくなる。従って、第1導電性部材110及び第2導電性部材130の寄生インダクタンスを低減することができ、コンデンサデバイス本体も高周波特性の良好なコンデンサデバイスとなる。
【0057】
また、実施形態1に係るコンデンサデバイス100及びパワーユニット1によれば、並列接続となるように配置された複数のチップ型コンデンサ121で構成されたコンデンサユニット120を備えるため、チップ型コンデンサ121の金属薄膜層122及び樹脂薄膜層123の枚数を所定以上にしなくてもよくなる。従って、1つ1つのコンデンサデバイスは歩留まりが良い良品選別されたコンデンサで構成されるので、積層体の内部に欠陥等は無く、信頼性が高いデバイスとなる。
【0058】
また、実施形態1に係るコンデンサデバイス100及びパワーユニット1によれば、第1導電性部材110の他方面は、樹脂140から露出しているため、コンデンサデバイス100を基板60の接地電極接続パッド64と広い面積で接合することができ、大電流を導通可能なコンデンサデバイスとなる。また、コンデンサユニット120の下部電極125と接地配線66までの配線長を短くすることができるため、寄生インダクタンスをより一層小さくすることができ、高周波特性がより一層良好なコンデンサデバイスとなる。さらにまた、コンデンサユニット120の下部電極125と接地配線66までの配線長を短くすることができるため、内部抵抗が少なくて済む。
【0059】
また、実施形態1に係るコンデンサデバイス100及びパワーユニット1によれば、コンデンサデバイスの他方面側において、第2導電性部材130の電源側入力電極133a、第1の出力電極133c、第2の出力電極133b及び第3の出力電極133dは、樹脂140から露出しているため、電源側入力電極133a及び各出力電極133b、133c、133dと電源配線62との接合面積が大きくなる。従って、この点でも大電流を導通可能なコンデンサデバイスとなる。また、電源側入力電極133a及び各出力電極133b、133c、133dと電源配線62との間の配線長を短くすることができるため、寄生インダクタンスをより一層小さくすることができ、高周波特性がより一層良好なコンデンサデバイスとなる。
【0060】
また、実施形態1に係るコンデンサデバイス100及びパワーユニット1によれば、コンデンサデバイス100の側面において、電源側入力電極133a、第1の出力電極133c、第2の出力電極133b、及び、第3の出力電極133dが、樹脂から露出しているため、コンデンサデバイス100を実装する際に、当該露出部分にも導電性接合材を配することができる(はんだの場合、はんだフィレットを形成することができる。
図6参照)。従って、コンデンサデバイス100を安定して回路上に実装することができる。
【0061】
また、実施形態1に係るコンデンサデバイス100及びパワーユニット1によれば、平面的に見て第1の方向、第2の方向、第3の方向及び第4の方向に向かって突出した凸部114を有するため、コンデンサデバイス100を製造する際に、隣接する第1導電性部材110同士を接続した第1リードフレームLF1とすることができ、取り扱いが容易となる。
【0062】
また、実施形態1に係るコンデンサデバイス100及びパワーユニット1によれば、コンデンサデバイス100の側面において、凸部114の先端面は、樹脂140から露出しているため、コンデンサデバイス100を実装する際に、凸部114の露出部分にも導電性接合材を配することができる(はんだの場合、はんだフィレットを形成することができる)。従って、コンデンサデバイス100をより一層安定して回路上に実装することができる。また、コンデンサデバイス100を製造する際に、樹脂140ごとダイシングすることとなるため、比較的容易に個片化することができる。さらにまた、基板に実装した場合に、試験用の端子として活用することもできる。
【0063】
また、実施形態1に係るコンデンサデバイス100及びパワーユニット1によれば、第1導電性部材110の他方面は、第2導電性部材130の電源側入力電極133a、第1の出力電極133c、第2の出力電極133b及び第3の出力電極133dの底面と同一平面上にあるため、実装する際に安定してコンデンサデバイス100を配置することができる。
【0064】
また、実施形態1に係るコンデンサデバイス100及びパワーユニット1によれば、チップ型コンデンサは、積層フィルムコンデンサであるため、電解液を用いる電解コンデンサと比較して安全性が高く、かつ、内部抵抗が低く、かつ、高周波特性の良い大容量のコンデンサデバイスとすることができる。
【0065】
また、実施形態1に係るコンデンサデバイス100及びパワーユニット1によれば、チップ型コンデンサ121は、薄膜高分子積層コンデンサであるため、樹脂薄膜層の材料として、耐熱性の高い熱硬化性樹脂(例えばアクリル)を用いることにより、温度変化による容量変化が小さく、高温度領域における漏れ電流が小さいコンデンサデバイスとなる。
【0066】
実施形態1に係るコンデンサデバイスの製造方法によれば、複数のチップ型コンデンサ121で構成され、かつ、複数のチップ型コンデンサ121が並列接続となるように配置されたコンデンサユニット120を複数の第1導電性部材110の一方面上に導電性接合材Sを介して配置するコンデンサユニット配置工程を含むため、複数のチップ型コンデンサを用いることによって容量を増加することができる。また、チップ型コンデンサ121の金属薄膜層122及び樹脂薄膜層123の枚数を所定以上にしたり、対向する面積を大きくしたりしなくてもよくなる。従って、1つ1つのコンデンサデバイスは歩留まりが良い良品選別されたコンデンサで構成されるので、積層体の内部に欠陥等は無く、歩留まりが低下することを防ぐ事ができる。その結果、大容量でありながら歩留まりが高いコンデンサデバイスを製造することができる。
【0067】
また、実施形態1に係るコンデンサデバイスの製造方法によれば、平面的に見て第1の方向の端部に形成された電源側入力電極133a、第1の方向とは反対側の第2の方向の端部に形成された第1の出力電極133c、第1の方向及び第2の方向と交差(直交)する第3の方向の端部に形成された第2の出力電極133b、及び、第3の方向とは反対側の第4の方向の端部に形成された第3の出力電極133dを有する板状の第2導電性部材130が複数連結された第2リードフレームLF2を、第2導電性部材130がコンデンサユニット120を覆った状態となるようにコンデンサユニット120上に配置する第2リードフレーム配置工程を含むため、製造されたコンデンサデバイスを三相インバータ回路に適用した場合でも、コンデンサデバイスから各ドライブ部までの配線長を最も短い配線長で均等化することができる。従って、コンデンサデバイスから(従来においては最も配線長が長くなる)ドライブ部までの区間の寄生インダクタンスを小さくすることができ、当該区間でリンギングノイズが発生し難くなる。その結果、高周波特性に優れたパワーユニットとすることができる。
【0068】
また、実施形態1に係るコンデンサデバイスの製造方法によれば、板状の第1導電性部材110が複数連結された第1リードフレームLF1を準備する第1リードフレーム準備工程と、板状の第2導電性部材130が複数連結された第2リードフレームLF2を、第2導電性部材130がコンデンサユニット120を覆った状態となるようにコンデンサユニット120上に配置する第2リードフレーム配置工程とを含むため、製造されたコンデンサデバイスは、第1導電性部材110とコンデンサユニット120の下部電極125との接合面積、及び、第2導電性部材130とコンデンサユニット120の上部電極124との接合面積、さらには、第1導電性部材110と接地電極接続パッド64との接合面積、及び、第2導電性部材130(電源側入力電極133a、第1の出力電極133c、第2の出力電極133b及び第3の出力電極133d)と電源配線62との接合面積がそれぞれ大きくなる。従って、第1導電性部材110及び第2導電性部材130の寄生インダクタンスを低減することができ、コンデンサデバイス本体も高周波特性が良好なコンデンサデバイスを製造することができる。
【0069】
また、実施形態1に係るコンデンサデバイスの製造方法によれば、複数のチップ型コンデンサ121で構成され、かつ、複数のチップ型コンデンサ12が並列接続となるように配置されたコンデンサユニット120を複数の第1導電性部材110の一方面上に導電性接合材Sを介して配置するコンデンサユニット配置工程を含むため、1つ1つのチップ型コンデンサ121の金属薄膜層122及び樹脂薄膜層123の枚数を所定以上にしなくてもよくなる。従って、1つ1つのチップ型コンデンサ121において積層体の内部にバラツキが生じ難くなり、積層体の内部に欠陥等が発生し難くなることから、信頼性が高いコンデンサデバイスを製造することができる。
【0070】
[実施形態2]
図13は、実施形態2に係るコンデンサデバイス102を説明するために示す図である。
図13(a)はコンデンサデバイス102の斜視図であり、
図13(b)は
図13(a)のA-A断面図であり、
図13(c)はコンデンサデバイス102の底面図である。
【0071】
実施形態2に係るコンデンサデバイス102は、基本的には実施形態1に係るコンデンサデバイス100と同様の構成を有するが、凸部、電源側入力電極及び出力電極の構成が実施形態1に係るコンデンサデバイス100とは異なる。すなわち、実施形態2に係るコンデンサデバイス102において、第1導電性部材110は、
図13に示すように、平面的に見て矩形のコンデンサユニット配置面112の各辺において、中心からずれた位置で外側に向かって突出した凸部115a~115dを有する。また、電源側入力電極134a及び第1~第3の出力電極134b~134dは、(実施形態1のような)2つの突出部分の先端部分で構成する代わりに、第1導電性部材110の凸部115a~115dを避けた位置でそれぞれ平面的に見て外側に向かって突出した幅広な1つの突出部分の先端部分から構成されている。
【0072】
このように、実施形態2に係るコンデンサデバイス102は、凸部、電源側入力電極及び出力電極の構成が実施形態1に係るコンデンサデバイス100の場合とは異なるが、実施形態1に係るコンデンサデバイス100の場合と同様に、並列接続となるように配置された複数のチップ型コンデンサで構成されたコンデンサユニット120を備えるため、大容量のコンデンサデバイスとすることができる。また、第2導電性部材130は、平面的に見て第1の方向の端部に形成された電源側入力電極134a、平面的に見て第1の方向とは反対側の第2の方向の端部に形成された第1の出力電極134c、平面的に見て第1の方向及び第2の方向と交差(直交)する第3の方向の端部に形成された第2の出力電極134b、及び、第3の方向とは反対側の第4の方向の端部に形成された第3の出力電極134dを有するため、高周波特性に優れたパワーユニットすることができる。さらにまた、板状の第1導電性部材110と、コンデンサユニット120上に導電性接合材Sを介して配置された板状の第2導電性部材130とを備えるため、コンデンサデバイス本体も高周波特性の良好なコンデンサデバイスとなる。
【0073】
また、実施形態2に係るコンデンサデバイス100及びパワーユニット2によれば、電源側入力電極134a、第1の出力電極134c、第2の出力電極134b及び第3の出力電極134dは、幅広な1つの部分から構成されているため、大電流を導通させることができるだけでなく、配線及び接地配線の回路設計が容易なコンデンサデバイスとなる。
【0074】
なお、実施形態2に係るコンデンサデバイス102は、凸部、電源側入力電極及び出力電極の構成以外の点においては実施形態1に係るコンデンサデバイス100と同様の構成を有するため、実施形態1に係るコンデンサデバイス100が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0075】
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0076】
上記実施形態において記載した構成要素の数、材質、形状、位置、大きさ等は例示であり、本発明の効果を損なわない範囲において変更することが可能である。
【0077】
上記各実施形態においては、コンデンサデバイス100を三相インバータ回路の平滑コンデンサとして使用したが、本発明はこれに限定されるものではない。スナバ回路に用いるコンデンサや出力コンデンサ等その他適宜の用途のコンデンサとして使用することもできる。
【0078】
上記各実施形態においては、チップ型コンデンサ121をあらかじめ複数個束ねた後に第1導電性部材110上に配置したが、本発明はこれに限定されるものではない。第1導電性部材上にチップ型コンデンサ121を配置した後で束ねてもよいし、第1導電性部材上にチップ型コンデンサ121を配置した状態のまま束ねなくてもよい。
【0079】
上記各実施形態においては、接着剤を用いてチップ型コンデンサ121を複数個束ねたが、本発明はこれに限定されるものではない。絶縁性のバンドでチップ型コンデンサを束ねてもよいし、そのほか適宜の方法でチップ型コンデンサを束ねてもよい。
【0080】
上記各実施形態においては、第1導電性部材とコンデンサユニットとの間、及び、コンデンサユニットと第2導電性部材との間を接合する導電性接合材として、はんだを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。当該導電性接合材として、銀ペースト等の導電性ペーストを用いてもよいし、高温はんだを用いてもよい。高温はんだ等を用いた場合には、コンデンサデバイスを実装する際に一般に用いられるはんだとは溶融温度が異なるため、実装時のはんだ付けによって、溶融することがなく、より一層信頼性が高いコンデンサデバイスとなる。
【0081】
上記各実施形態においては、第1導電性部材とコンデンサユニットとの間、及び、コンデンサユニットと第2導電性部材との間の導電性接合材を一括してリフローしてそれぞれ接合したが、本発明はこれに限定されるものではない。第1導電性部材とコンデンサユニットとの間、及び、コンデンサユニットと第2導電性部材との間の導電性接合材を別々にリフローして(コンデンサユニット配置工程実施後と、第2導電性部材配置工程実施後の2回リフローして)それぞれ接合してもよい。
【0082】
上記各実施形態においては、第1導電性部材と同じ高さ位置に電源側入力電極及び各出力電極を形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。段差部を設けず、平板部と同じ高さ位置に電源側入力電極及び各出力電極を形成してもよいし、第1導電性部材と異なる高さ位置に電源側入力電極及び各出力電極を形成してもよい。
【0083】
変形例1に係るコンデンサデバイスは、コンデンサユニット配置面112の外形の4辺のうち、1辺も凸部が形成されていない点を除いて、実施形態1に係るコンデンサデバイス100と同様の構成を有するコンデンサデバイスである。また、変形例2に係るコンデンサデバイスは、コンデンサユニット配置面112の外形の4辺のうち、1辺のみ凸部が形成されている点を除いて、実施形態1に係るコンデンサデバイス100と同様の構成を有するコンデンサデバイスである。変形例3に係るコンデンサデバイスは、コンデンサユニット配置面112の外形の4辺のうち2辺に凸部が形成されている点を除いて、実施形態1に係るコンデンサデバイス100と同様の構成を有するコンデンサデバイスである。変形例4に係るコンデンサデバイスは、コンデンサユニット配置面112の外形の4辺のうち、3辺に凸部が形成されている点を除いて、実施形態1に係るコンデンサデバイス100と同様の構成を有するコンデンサデバイスである。
図14は、変形例1~4に係るコンデンサデバイスを示す図である。
図14(a)~
図14(d)は変形例1~4に係るコンデンサデバイスの底面図を示し、
図14(e)は、変形例4における第1リードフレームLF1’を示す平面図である。
【0084】
上記各実施形態においては、第1導電性部材110のコンデンサユニット配置面112の外形の全ての辺で凸部を形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。コンデンサユニット配置面112の外形の4辺のうち、1辺も凸部が形成されていなくてもよいし(変形例1に係るコンデンサデバイス、
図14(a)参照)、1辺だけ凸部が形成されていてもよいし(変形例2に係るコンデンサデバイス、
図14(b)参照)、2辺、又は3辺だけ凸部が形成されていてもよい(変形例3に係るコンデンサデバイス及び変形例4に係るコンデンサデバイス、
図14(c)及び
図14(d)参照)。1辺以上凸部が形成されている場合、隣接する第1導電性部材110が接続して第1リードフレームLF1’を構成するため(例えば、3辺だけ凸部が形成されている場合、
図14(e)参照)、第1リードフレームLF1’の取り扱いが容易となる。
【0085】
上記各実施形態においては、第2導電性部材130の平板部131の各辺から外側に向かって突出させて電源側入力電極及び出力電極を形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。第2導電性部材130の平板部131の一辺から突出させ、そこから、3方向に分岐させて出力電極を形成してもよい(例えば、平板部131から第2の方向に突出させ、そこから、第2の方向、第3の方向及び第4の方向に突出させて出力電極を形成してもよい)。なお、本明細書において、「第1の方向の端部」とは、必ずしも第2導電性部材における最も第1の方向側に位置する端部を意味するものではない。第2の方向、第3の方向及び第4の方向についても同様である。従って、平板部131から第2の方向に突出させ、そこから、第2の方向、第3の方向及び第4の方向に突出させた場合に、当該突出させた部分がそれぞれ、第2導電性部材における最も第2の方向側、第3の方向側又は第4の方向側に位置する端部でなかったとしても、それぞれ「第2の方向の端部」、「第3の方向の端部」及び「第4の方向の端部」となり、各端部に形成した出力電極はそれぞれ、本発明の第1の出力電極、本発明の第2の出力電極、及び、本発明の第3の出力電極となる。
【0086】
変形例5に係るコンデンサデバイス104は、コンデンサデバイスの側面において、電源側入力電極及び出力電極の先端を上方に屈曲させた点を除いて、実施形態1に係るコンデンサデバイス100と同様の構成を有するコンデンサデバイスである。
図15は変形例5に係るコンデンサデバイス104を説明するために示す断面図である。
上記各実施形態においては、コンデンサデバイスの側面において、電源側入力電極及び出力電極の先端面のみを露出させたが、本発明はこれに限定されるものではない。コンデンサデバイスの側面において、電源側入力電極及び出力電極の先端を上方に屈曲させて側面に露出する面積を大きくしてもよい(変形例5に係るコンデンサデバイス104、
図15参照)。
【0087】
変形例6に係るコンデンサデバイス106は、樹脂封止しない点を除いて実施形態1に係るコンデンサデバイスと同様の構成を有するコンデンサデバイスである。
図16は、変形例7に係るコンデンサデバイス106を説明するために示す図である。
図16(a)はコンデンサデバイス106の斜視図を示し、
図16(b)はコンデンサデバイス106を実装した様子を示す断面図である。
上記各実施形態においては、コンデンサデバイスを樹脂封止したが、本発明はこれに限定されるものではない。コンデンサデバイスを樹脂封止しなくてもよい(変形例6に係るコンデンサデバイス106、
図16参照)。
【符号の説明】
【0088】
1,9…パワーユニット(モジュール)、100,102,104,106,900,C…コンデンサデバイス、110,110a…第1導電性部材、112…コンデンサユニット配置面、114…凸部(リードフレームの接続部)、114a,114b,114c,114d,115a,115b,115c,115d…接地電極(凸部)、120…コンデンサユニット、121…チップ型コンデンサ、130…第2導電性部材、133a、134a…電源側入力電極、133b,134b…第2の出力電極、133c,134c…第1の出力電極、133d,134d…第3の出力電極、DR1…第1ドライブ部、DR2…第2ドライブ部、DR3…第3ドライブ部、LF1…第1リードフレーム、LF2…第2リードフレーム、S…導電性接合材