IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 北越工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-エンジン駆動型発電機 図1
  • 特許-エンジン駆動型発電機 図2
  • 特許-エンジン駆動型発電機 図3
  • 特許-エンジン駆動型発電機 図4
  • 特許-エンジン駆動型発電機 図5
  • 特許-エンジン駆動型発電機 図6
  • 特許-エンジン駆動型発電機 図7
  • 特許-エンジン駆動型発電機 図8
  • 特許-エンジン駆動型発電機 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】エンジン駆動型発電機
(51)【国際特許分類】
   H02P 9/04 20060101AFI20240422BHJP
   F02B 63/04 20060101ALI20240422BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20240422BHJP
【FI】
H02P9/04 J
F02B63/04 Z
F02B63/04 F
H02M7/48 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020086197
(22)【出願日】2020-05-15
(65)【公開番号】P2021180600
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000241795
【氏名又は名称】北越工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002398
【氏名又は名称】弁理士法人小倉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古澤 孝志
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-172994(JP,A)
【文献】特開平11-027978(JP,A)
【文献】特開平11-341880(JP,A)
【文献】特開2014-180173(JP,A)
【文献】特開昭61-258941(JP,A)
【文献】特許第2889972(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 9/04
F02B 63/04
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機本体と,該発電機本体を駆動するエンジン,前記発電機本体で発生した電力を出力する三相出力端子台,前記発電機本体と前記三相出力端子台間に設けられ,前記発電機本体が出力した三相交流電力の周波数を変換して前記三相出力端子台に出力するインバータ,及び前記発電機本体の出力電圧を制御する自動電圧調整器を備えたエンジン駆動型発電機において,
前記インバータに,該インバータの基底周波数の設定を所定の第1基底周波数,又は,所定の第2基底周波数に設定する基底周波数設定手段を設けると共に,
前記自動電圧調整器に,該自動電圧調整器が制御する前記発電機本体の定格出力電圧の設定を所定の第1定格出力電圧,又は,所定の第2定格出力電圧に設定する定格出力電圧設定手段を設け,
前記基底周波数設定手段と,前記定格出力電圧設定手段を連動して動作させて,前記基底周波数の設定を前記第1基底周波数としたとき,同時に前記定格出力電圧の設定を前記第1定格出力電圧と成すと共に,前記基底周波数の設定を前記第2基底周波数としたときに,同時に前記定格出力電圧の設定を前記第2定格出力電圧とする,連動動作手段を,前記エンジン駆動型発電機の制御盤上に操作可能に設けたことを特徴とするエンジン駆動型発電機。
【請求項2】
前記インバータに,前記基底周波数設定手段として,所定の第1接続状態としたときに前記基底周波数を前記第1基底周波数と成すと共に,所定の第2接続状態としたときに前記基底周波数を前記第2基底周波数と成す,基底周波数設定用外部接続端子を設け,
前記自動電圧調整器に,前記定格出力電圧設定手段として,所定の第1接続状態としたときに前記定格出力電圧を前記第1定格出力電圧と成すと共に,所定の第2接続状態としたときに前記定格出力電圧を前記第2定格出力電圧と成す,定格出力電圧設定用外部接続端子を設け,
前記連動動作手段を,
前記基底周波数設定用外部接続端子と,前記定格出力電圧設定用外部接続端子のそれぞれに接続された接点を有し,
前記基底周波数設定用外部接続端子と前記定格出力電圧設定用外部接続端子を,いずれも前記第1接続状態と成すよう前記接点間を接続する第1切替位置と,
前記基底周波数設定用外部接続端子と前記定格出力電圧設定用外部接続端子を,いずれも前記第2接続状態と成すよう前記接点間を接続する第2切替位置を有する,切替スイッチとしたことを特徴とする請求項1記載のエンジン駆動型発電機。
【請求項3】
前記エンジン駆動型発電機の前記制御盤に,
前記エンジンの定格回転速度を,第1定格回転速度又は第2定格回転速度に変更する,定格回転速度変更手段の操作部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のエンジン駆動型発電機。
【請求項4】
前記エンジンを,エンジンコントロールモジュールを備えた電子制御式のエンジンとし,
該エンジンコントロールモジュールに,前記エンジンの定格回転速度の設定を,所定の第1定格回転速度,又は,所定の第2定格回転速度に切り替える,定格回転速度設定手段を設け,
前記連動動作手段が,前記基底周波数設定手段,及び,前記定格出力電圧設定手段と共に,前記定格回転速度設定手段を連動して動作させて,前記基底周波数を前記第1基底周波数,前記定格出力電圧を前記第1定格出力電圧に設定するとき,同時に前記定格回転速度を前記第1定格回転速度に設定すると共に,
前記基底周波数を前記第2基底周波数,前記定格出力電圧を前記第2定格出力電圧に設定するとき,同時に前記定格回転速度を前記第2定格回転速度に設定することを特徴とする請求項1記載のエンジン駆動型発電機。
【請求項5】
前記エンジンを,エンジンコントロールモジュールを備えた電子制御式のエンジンとし,
該エンジンコントロールモジュールに,所定の第1接続状態としたときに定格回転速度を所定の第1定格回転速度に設定し,所定の第2接続状態としたときに前記定格回転速度を所定の第2定格回転速度に設定する,定格回転速度設定用外部接続端子を設け,
前記切替スイッチに,前記定格回転速度設定用外部接続端子に接続された接点を更に設け,
前記切替スイッチを前記第1切替位置としたときに前記定格回転速度設定用外部接続端子を前記第1接続状態と成すと共に,前記切替スイッチを前記第2切替位置としたときに前記定格回転速度設定用外部接続端子を前記第2接続状態とするように前記接点間を接続するよう構成したことを特徴とする請求項2記載のエンジン駆動型発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエンジン駆動型発電機に関し,より詳細には,出力周波数を可変としたインバータ内蔵型のエンジン駆動型発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン303と,このエンジン303によって駆動される発電機本体304を例えば共通の防音箱308内に収容した可搬式のエンジン駆動型発電機300は,その可搬性により工事現場やイベント会場等,特に屋外において電源の確保が必要となる場合に広く使用されている。
【0003】
このようなエンジン駆動型発電機300では,図9に示すように,エンジン駆動型発電機300に接続して使用する図示せざる機器(負荷)が水中ポンプのように三相誘導電動機を備えた機器(以下,このような機器を「モータ機器」という。)である場合に,このモータ機器に対する出力周波数を可変とすべく,発電機本体304の出力を三相出力線351(図示の例では351a)を介してインバータ302に入力し,このインバータ302で周波数変換を行った後,三相出力端子台361に接続されたモータ機器に出力することができるようにしたものも提案されている(特許文献1の請求項3,図1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-110098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インバータ302を備えた前述のエンジン駆動型発電機300では,オペレータが制御盤307に設けたダイヤルスイッチなどの周波数設定手段321を操作して周波数を設定すると,インバータ302は発電機本体304の出力を,設定された周波数に変換して出力することで,設定された周波数に応じてモータ機器の回転速度を可変とすることができ,一例として前述のモータ機器が水中ポンプである場合,作業場所に浸入する水の量とバランスした排水量を発生させる回転速度で水中ポンプを駆動する等,状況に応じてモータ機器の運転を制御することが可能となる。
【0006】
しかし,インバータ302を内蔵した前述のエンジン駆動型発電機300によってモータ機器の回転速度を制御しようとした場合,以下のような問題が生じ得る。
【0007】
ここで,三相誘導電動機を運転する際の基準となるパラメータとして,「基底周波数」と「基底周波数電圧」がある。
【0008】
この「基底周波数」と「基底周波数電圧」は,三相誘導電動機を定格トルクで連続して運転させることができる最高の周波数と電圧であり,汎用の三相誘導電動機は,商用電源の周波数に対応して,基底周波数と基底周波数電圧が,50Hz/200V,又は60Hz/220Vとなるように設計されている。
【0009】
一方,インバータ302による制御では,三相誘導電動機の回転速度を変化させるために出力周波数を変化させるが,このときの周波数の変化によっても電圧(V)と周波数(f)の比を一定に保つ,「V/f一定制御」を行うことで,回転速度の変化によっても定トルクでモータ機器を運転できるようにしている。
【0010】
このような「V/f一定制御」では,基底周波数と基底周波数電圧が60Hz/220Vの三相誘導電動機に対するV/fパターンは,一例として図8中に実線で示したグラフとなるのに対し,基底周波数と基底周波数電圧を50Hz/200Vとする三相誘導電動機に対するV/fパターンは,一例として図8中に破線で示したグラフとなり,同じ三相誘導電動機の制御であっても,三相誘導電動機の基底周波数と基底周波数電圧の設計が異なると,適用すべきV/fパターンは違ったものとなる。
【0011】
そのため,商用電源から電力の供給を受けて駆動される,汎用の三相誘導電動機には,商用電源の周波数に対応して,基底周波数と基底周波数電圧を60Hz/220Vとするものと,50Hz/200Vとするものが存在しているが,インバータや,インバータによる制御を前提とした定トルク用三相誘導電動機では,基底周波数と基底周波数電圧を定格出力の高い60Hz/220Vとなるように設計するのが一般的である。
【0012】
このように,インバータによる制御は,基底周波数と基底周波数電圧を60Hz/220Vとして行うことが前提となっており,そのため,製造ライン等のように工場設備等として固定的に設置するモータ機器をインバータで駆動する場合,モータ機器としてインバータによる制御を前提とした60Hz/220Vの基底周波数及び基底周波数電圧を有するものが設計段階で選択され,50Hz/200Vの設計のモータ機器が接続されることはない。
【0013】
しかし,エンジン駆動型発電機では,土木,建築現場などで既に使用されている既存のモータ機器を接続して使用する場合もあり,インバータ内蔵型のエンジン駆動型発電機に接続して使用するモータ機器として60Hz/220V設計のものの使用が推奨されていたとしても,実際の使用現場において必ずしも60Hz/220V設計の三相誘導電動機が接続して使用される訳ではない。
【0014】
その結果,基底周波数と基底周波数電圧を60Hz/220VとするV/fパターン(一例として図8中の実線グラフ)に従った出力制御を行う一般的なインバータで,50Hz/200VのV/fパターン(一例として図8中の破線グラフ)に従って制御すべき50Hz/200V仕様の三相誘導電動機を駆動すると,50Hzを超える周波数の入力によって三相誘導電動機が定格回転速度を超える回転速度で駆動されるおそれがある。
【0015】
また,三相誘導電動機を基底周波数以下の周波数で駆動したとしても,60Hz/220VのV/fパターン(一例として図8中の実線グラフ参照)では,50Hz/200VのV/fパターン(一例として図8中の破線グラフ参照)に比較して同一周波数における電圧が低くなるため,50Hz/200V仕様の三相誘導電動機を60Hz/220VのV/fパターンで駆動すると,電圧不足によって三相誘導電動機の出力トルクが低下する。
【0016】
その結果,三相誘導電動機を定格出力未満で駆動していても,エンジン駆動型発電機300のインバータ302に過電流が生じ,インバータ302が持つ保護機能によって「過電流トリップ」と呼ばれる出力の遮断が行われる場合があり,これにより作業ができなくなる。
【0017】
特に,三相誘導電動機が低力率のものである場合,同じ出力であっても電流を多く消費することから過電流が生じ易く,前述した「過電流トリップ」による出力の遮断はより一層生じ易いものとなる。
【0018】
このような問題を解消するためには,エンジン駆動型発電機300の三相出力端子台361に接続するモータ機器が,50Hz/200V仕様のものであるのか,又は,60Hz/220V仕様のものであるのかによって,発電機本体304の出力電圧を変更すると共に,インバータ302のパラメータ設定を変更して,50Hz/200VのV/fパターン(一例として図8の破線グラフ),又は,60Hz/220VのV/fパターン(一例として図8の実線グラフ)とで制御パターンを切り替えることも考えられる。
【0019】
しかし,インバータ302の基底周波数や基底周波数電圧の設定を変更するためには,防音箱308のボンネットの一部を外す等してインバータ302を露出させ,このインバータ302に設けられている操作パネルを操作してパラメータの設定を変更する作業が必要となる。
【0020】
また,発電機本体304の定格出力電圧を変更する場合も同様で,防音箱308のボンネットの一部を外す等して発電機本体304の出力電圧を制御する自動電圧調整器(AVR)343を露出させて出力電圧の設定を変更する等の作業が必要であり,モータ機器を付け替える毎にこのような作業を行うのは極めて煩雑である。
【0021】
また,インバータ302の基底周波数の設定を変更する場合,基底周波数の設定変更のみで対応できる場合もあるが,このような基底周波数の設定変更に伴って,他のパラメータ(トルクブースト量,加速時間,減速時間等)についても設定の変更が必要となる場合もあり,パラメータの設定変更作業は煩雑なだけでなく,複雑で判り難くもある。
【0022】
このように,パラメータの変更作業が繁雑で,かつ複雑で判り難いことから,三相出力端子台361に接続するモータ機器を変更しても,エンジン駆動型発電機300側の設定を変更することなく運転が行われることも考えられる。
【0023】
また,オペレータが設定変更を試みたとしても,その複雑さゆえに変更が必要な全てのパラメータの設定変更が行われず,又は,不必要なパラメータまで設定変更してしまう等の設定ミスが行われる可能性もあり,その結果,適切な組み合わせとなるように設定の変更がなされずに,エンジン駆動型発電機300や接続されたモータ機器に動作異常や故障が生じるおそれもある。
【0024】
そこで,本発明は,上記従来技術における欠点を解消するためになされたものであり,インバータを内蔵したエンジン駆動型発電機において,接続するモータ機器(三相誘導電動機)の仕様に応じて,エンジン駆動型発電機側の設定についても,設定間違いなどを生じさせることなく,適切な組み合わせで,極めて簡単な作業によって容易に変更することができるエンジン駆動型発電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
以下に,課題を解決するための手段を,発明を実施するための形態で使用する符号と共に記載する。この符号は,特許請求の範囲の記載と,発明を実施するための形態の記載との対応を明らかにするためのものであり,言うまでもなく,本発明の技術的範囲の解釈に制限的に用いられるものではない。
【0026】
上記目的を達成するために,本発明のエンジン駆動型発電機1は,
発電機本体4と,該発電機本体4を駆動するエンジン3,前記発電機本体4で発生した電力を出力する三相出力端子台62,前記発電機本体4と前記三相出力端子台62間に設けられ,前記発電機本体4が出力した三相交流電力の周波数を変換して前記三相出力端子台62に出力するインバータ2,及び前記発電機本体4の出力電圧を制御する自動電圧調整器(AVR)43を備えたエンジン駆動型発電機1において,
前記インバータ2に,該インバータ2の基底周波数の設定を所定の第1基底周波数(60Hz),又は,所定の第2基底周波数(50Hz)に設定する基底周波数設定手段22(22a,22c)を設けると共に,
前記自動電圧調整器(AVR)43に,該自動電圧調整器(AVR)43が制御する前記発電機本体4の定格出力電圧の設定を所定の第1定格出力電圧(220V),又は,所定の第2定格出力電圧(200V)に設定する定格出力電圧設定手段44(44a~44c)を設け,
前記基底周波数設定手段22(22a,22c)と,前記定格出力電圧設定手段44(44a~44c)を連動して動作させて,前記基底周波数の設定を前記第1基底周波数(60Hz)としたとき,同時に前記定格出力電圧の設定を前記第1定格出力電圧(220V)と成すと共に,前記基底周波数の設定を前記第2基底周波数(50Hz)としたときに,同時に前記定格出力電圧の設定を前記第2定格出力電圧(200V)とする,連動動作手段5を,前記エンジン駆動型発電機1の制御盤7上に操作可能に設けたことを特徴とする(請求項1)。
【0027】
前記インバータ2に,前記基底周波数設定手段22として,所定の第1接続状態(一例としてコモン端子22cと入力端子22aを非接続とした状態)としたときに前記基底周波数を前記第1基底周波数(60Hz)と成すと共に,所定の第2接続状態(一例としてコモン端子22cと入力端子22aを接続した状態)としたときに前記基底周波数を前記第2基底周波数(50Hz)と成す,基底周波数設定用外部接続端子22(22a,22c)を設け,
前記自動電圧調整器(AVR)43に,前記定格出力電圧設定手段44として,所定の第1接続状態(一例としてコモン端子44cと第1入力端子44aを接続した状態)としたときに前記定格出力電圧を前記第1定格出力電圧(220V)と成すと共に,所定の第2接続状態(一例としてコモン端子44cと第2入力端子44bを接続した状態)としたときに前記定格出力電圧を前記第2定格出力電圧(200V)と成す,定格出力電圧設定用外部接続端子44(44a~44c)を設け,
前記連動動作手段5を,
前記基底周波数設定用外部接続端子22(22a,22c)と,前記定格出力電圧設定用外部接続端子44(44a~44c)のそれぞれに接続された接点(51a~51c,52a~52c)を有し,
前記基底周波数設定用外部接続端子22(22a,22c)と前記定格出力電圧設定用外部接続端子44(44a~44c)を,いずれも前記第1接続状態と成すよう前記接点(51a~51c,52a~52c)間を接続する第1切替位置〔図2(A)参照〕と,
前記基底周波数設定用外部接続端子22(22a,22c)と前記定格出力電圧設定用外部接続端子44(44a~44c)を,いずれも前記第2接続状態と成すよう前記接点(51a~51c,52a~52c)間を接続する第2切替位置〔図2(B)参照〕を有する,切替スイッチ5とするものとしてもよい(請求項2)。
【0028】
前記エンジン駆動型発電機1の前記制御盤7には,更に,前記エンジン3の定格回転速度を,第1定格回転速度(1800min-1)又は第2定格回転速度(1500min-1)に変更する,定格回転速度変更手段56の操作部57,57’を設けるものとしても良い(請求項3)。
【0029】
なお,前記エンジン3を,エンジンコントロールモジュール(ECM)31を備えた電子制御式のエンジンとした場合,
該エンジンコントロールモジュール(ECM)31に,前記エンジン3の定格回転速度の設定を,所定の第1定格回転速度(1800min-1),又は,所定の第2定格回転速度(1500min-1)に切り替える,定格回転速度設定手段32(32a~32c)を設け,
前記連動動作手段5が,前記基底周波数設定手段22(22a,22c),及び,前記定格出力電圧設定手段44(44a~44c)と共に,前記定格回転速度設定手段32(32a~32c)を連動して動作させて,前記基底周波数を前記第1基底周波数(60Hz),前記定格出力電圧を前記第1定格出力電圧(220V)に設定するとき,同時に前記定格回転速度を前記第1定格回転速度(1800min-1)に設定すると共に,
前記基底周波数を前記第2基底周波数(50Hz),前記定格出力電圧を前記第2定格出力電圧(200V)に設定するとき,同時に前記定格回転速度を前記第2定格回転速度(1500min-1)に設定するようにすることができる(請求項4)。
【0030】
同様に,前記エンジン3を,エンジンコントロールモジュール(ECM)31を備えた電子制御式のエンジンとする場合,
該エンジンコントロールモジュール(ECM)31に,所定の第1接続状態(一例としてコモン端子32cと第1入力端子32aを接続した状態)としたときに定格回転速度を所定の第1定格回転速度(1800min-1)に設定し,所定の第2接続状態(一例としてコモン端子32cと第2入力端子32bを接続した状態)としたときに前記定格回転速度を所定の第2定格回転速度(1500min-1)に設定する,定格回転速度設定用外部接続端子32(32a~32c)を設け,
前記切替スイッチ5に,前記定格回転速度設定用外部接続端子32(32a~32c)に接続された接点(53a~53c)を更に設け,
前記切替スイッチ5を前記第1切替位置としたときに前記定格回転速度設定用外部接続端子32(32a~32c)を前記第1接続状態と成すと共に,前記切替スイッチ5を前記第2切替位置としたときに前記定格回転速度設定用外部接続端子32(32a~32c)を前記第2接続状態とするように前記接点(53a~53c)間を接続するよう構成するものとしても良い(請求項5)。
【発明の効果】
【0031】
以上で説明した本発明の構成により,本発明のエンジン駆動型発電機1では以下の顕著な効果を得ることができた。
【0032】
インバータ2の基底周波数の設定変更と,自動電圧調整器(AVR)43の定格出力電圧の設定変更を同時に行う連動動作手段(切替スイッチ)5を,エンジン駆動型発電機1の制御盤7上に設けたことで,制御盤7に設けた連動動作手段(切替スイッチ)5の操作によって,インバータ2の基底周波数の設定と,発電機本体4の定格出力電圧の設定を同時に,かつ,適切な組み合わせとなるように変更することができた。
【0033】
その結果,第1基底周波数を例えば60Hz,第1定格出力電圧を例えば220Vとし,第2基底周波数を例えば50Hz,第2出力電圧を例えば200Vに設定しておくことで,三相出力端子台62に接続されたモータ機器Mの基底周波数と基底周波数電圧が,60Hz/220Vであるか,又は,50Hz/200Vであるかによって,防音箱8のボンネット等を外してインバータ2や自動電圧調整器(AVR)43を直接操作して設定変更を行うことなしに,制御盤7に設けた連動動作手段(切替スイッチ)5を操作するだけで,エンジン駆動型発電機1側の設定を60Hz/220V,又は50Hz/200Vに簡単に切り替えが可能である。
【0034】
また,前記エンジン駆動型発電機1の前記制御盤7に,更に前記エンジン3の定格回転速度を,第1定格回転速度(1800min-1),又は第2定格回転速度(1500min-1)に変更する,定格回転速度変更手段56の操作部57,57’を設けた構成では,基底周波数と定格出力電圧の設定変更のみならず,エンジン3の定格回転速度の設定変更についても制御盤7上に設けた操作部57,57’の操作によって簡単に行うことができた。
【0035】
更に,エンジン3がエンジンコントロールモジュール(ECM)31を備えた電子制御式のエンジンである場合には,このエンジンコントロールモジュール(ECM)31に定格回転速度設定手段32(32a~32c)を設け,この定格回転速度設定手段32(32a~32c)についても制御盤7に設けた連動動作手段(切替スイッチ)5により,基底周波数設定手段22(22a,22c)及び定格出力電圧設定手段44(44a~44c)と連動した操作を可能としたことで,インバータ2の基底周波数,発電機本体4の定格出力電圧のみならず,エンジン3の定格回転速度の設定についても,制御盤7に設けた連動動作手段(切替スイッチ)5を操作するだけで同時に変更することができた。
【0036】
また,これらの設定をいずれも連動動作手段(切替スイッチ)5の操作によって同時に行うことができるようにしたことで,基底周波数,定格出力電圧,及び定格回転速度が,誤った組み合わせで設定されることを確実に防止することができた。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明のエンジン駆動型発電機の外観斜視図。
図2】本発明のエンジン駆動型発電機の概略説明図であり,(A)は切替スイッチが第1切替位置(60Hz/220V設定)にある状態,(B)は切替スイッチが第2切替位置(50Hz/200V設定)にある状態。
図3】本発明のエンジン駆動型発電機の変更例を示す概略説明図。
図4】制御盤の構成例の説明図。
図5】定格回転速度変更手段の説明図。
図6】制御盤の変更例(図4中,破線で囲った部分の変更例)の説明図。
図7】制御盤の別の変更例(図4中,破線で囲った部分の変更例)の説明図。
図8】インバータで使用するV/fパターンの説明図。
図9】従来のエンジン駆動型発電機(特許文献1の図1に対応)。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に,添付図面を参照しながら本発明の構成につき説明する。
【0039】
〔エンジン駆動型発電機の全体構成〕
図1及び図2において,符号1は,本発明のエンジン駆動型発電機であり,このエンジン駆動型発電機1は,防音箱8内に,エンジン3,前記エンジン3によって駆動される発電機本体4,この発電機本体4によって発電された電力を取り出すための出力線61や,該電力の周波数を変更するインバータ2等の必要な機器を収容した構成を備えている。
【0040】
また,このエンジン駆動型発電機1には,エンジン3,発電機本体4,インバータ2等の動作を制御するためのスイッチ類や計器類を備えた制御盤7や,発電機本体4で発生した電力の供給を受けて駆動されるモータ機器Mが接続される三相出力端子台62が,前述の防音箱8の外側から操作可能な位置に設けられている。
【0041】
〔発電機本体〕
エンジン駆動型発電機1の主要な構成部材の一つである前述の発電機本体4は,既知の各種型式のものを使用可能であり,本実施形態にあっては一例として図2に示すように励磁機42を備えた自励式の三相交流発電機を発電機本体4として使用している。
【0042】
このような励磁機42を備えた発電機本体4には,自動電圧調整器(AVR)43が設けられており,この自動電圧調整器(AVR)43によって主発電機41の出力電圧が検出されると共に,この検出された主発電機41の出力電圧が予め設定された基準電圧と比較され,検出された主発電機41の出力電圧と基準電圧に誤差がある場合,主発電機41の出力電圧が基準電圧と一致するように,励磁機42へ供給する励磁電流を制御している。
【0043】
従って,自動電圧調整器(AVR)43で使用する前述の基準電圧の設定を変更することで,発電機本体4の定格出力電圧を変更することができるように構成されている。
【0044】
本発明のエンジン駆動型発電機1では,この自動電圧調整器(AVR)43に,前述した基準電圧の設定,従って,発電機本体4の定格出力電圧の設定を所定の第1定格出力電圧(220V),又は第2定格出力電圧(200V)に設定する,定格出力電圧設定手段44を設けている。
【0045】
本実施形態において,この定格出力電圧設定手段44として定格出力電圧設定用外部接続端子44(44a~44c)を設けており,この外部接続端子44(44a~44c)間の接続状態を変更することで定格出力電圧の設定を変更することができるようにした。
【0046】
図示の例では,コモン端子44cを第1入力端子44aに接続した第1接続状態として,コモン端子44cからの制御信号を第1入力端子44aに入力すると,発電機本体4の定格出力電圧が220Vに設定され,コモン端子44cを第2接続端子44bに接続した第2接続状態として,コモン端子44cからの制御信号を第2入力端子44bに入力すると,発電機本体4の定格出力電圧が200Vに設定されるように構成している。
【0047】
〔インバータ〕
以上のように構成されたエンジン駆動型発電機1には,発電機本体4で発生した電力を取り出すための出力線61が設けられており,この出力線61がインバータ2,及びブレーカ63を介して,モータ機器Mが接続される三相出力端子台62に接続されている。
【0048】
このインバータ2は,入力された電力を直流に変換するコンバータ部(図示せず)と,コンバータ部で得た直流を所定の周波数と電圧の交流に変換するインバータ部(図示せず)を有しており,既知のPWM(パルス幅変調)方式等により,制御盤7に設けたダイヤルスイッチなどの周波数設定手段21の操作によってオペレータが設定した任意周波数の交流出力を発生することができるように構成されていると共に,一例として図8を参照して説明したV/fパターンに従い,出力周波数の変化に対応して,出力周波数が低いときには出力電圧が低く,出力周波数が高いときには出力電圧が高くなるように,周波数の増減にあわせて出力電圧も変化するように構成されている。
【0049】
このV/fパターンは,図8中に実線で示したV/fパターン(60Hz/220VのV/fパターン)と,図8中に破線で示したV/fパターン(50Hz/200VのV/fパターン)の相違に見られるように,適用される基底周波数と基底周波数電圧の相違により変化する。
【0050】
そこで本発明のエンジン駆動型発電機1では,インバータ2に図2に示すように基底周波数設定手段22(22a,22c)を設け,この基底周波数設定手段22(22a,22c)の操作によって,基底周波数を第1基底周波数(60Hz)又は,第2基底周波数(50Hz)のいずれかを選択して設定して,インバータによる周波数変換の際に適用されるV/fパターンを変更することができるようにしている。
【0051】
本実施形態では,この基底周波数設定手段22(22a,22c)を,基底周波数設定用外部接続端子22(22a,22c)によって構成し,この外部接続端子22(22a,22c)の接続状態を変化させることにより,基底周波数の設定を,第1基底周波数(60Hz)と第2基底周波数(50Hz)間で切り替えることができるようにした。
【0052】
図示の実施形態では,この外部接続端子として,コモン端子22cと入力端子22aを設け,コモン端子22cと入力端子22aの接続が断たれた第1接続状態とすることで,基底周波数を第1基底周波数(60Hz)に設定することができ,また,コモン端子22cと入力端子22aが接続された第2接続状態として,コモン端子22cからの制御信号(接点信号)を入力端子22aに入力することで,基底周波数を第2基底周波数(50Hz)に変更することができるように構成している。
【0053】
従って,外部接続端子22を第1接続状態(22a-22c間を非接続)とする場合,インバータ2は,発電機本体4で発生した電力を,周波数設定手段21でオペレータが設定した任意の周波数で,かつ,一例として図8中に実線で示した第1基底周波数(60Hz)設定に対応したV/fパターンに従った電圧に変換して出力すると共に,外部接続端子22を第2接続状態(22a-22c間を接続)とした場合,発電機本体4が出力した電力を周波数設定手段21でオペレータが設定した任意の周波数で,かつ,一例として図8中に破線で示した第2基底周波数(50Hz)の設定に対応したV/fパターンに従った電圧に変換して出力する。
【0054】
なお,上記の説明では,前述した基底周波数設定用外部接続端子22(22a,22c)の接続状態の変更により,インバータ2の基底周波数の設定を変更するものとして説明したが,インバータ2の仕様によっては,基底周波数の設定変更に伴って他のパラメータ(トルクブースト量,加速時間,減速時間等)についても設定の変更が必要となる場合もある。
【0055】
この場合には,外部接続端子22(22a,22c)の接続状態の変更により,インバータ2の基底周波数の設定変更のみならず,この基底周波数の設定変更に伴い併せて変更する必要があるパラメータ(例えば,トルクブースト量や加速時間,減速時間など)についても同時に変更できるように構成する。
【0056】
この場合,例えば,外部接続端子22(22a,22c)が第1接続状態にあるときに適用される基底周波数(60Hz)と組み合わせて適用されるパラメータの組み合わせと,外部接続端子22(22a,22c)が第2接続状態にあるときに適用される基底周波数(50Hz)と組み合わせて適用されるパラメータの組み合わせを,予めインバータに設けた記憶領域に記憶させておき,外部接続端子の接続状態の変更に応じて,組み合わされた複数のパラメータ単位で同時に設定を変更することができるようにすることができる。
【0057】
〔エンジン〕
前述の発電機本体4を駆動するエンジン3は,発電機本体4において所定の周波数(50Hz又は60Hz)が得られるように所定の定格回転速度で運転できるように構成されており,一例として,本実施形態の構成において,エンジン3の定格回転速度を第1定格回転速度(1800min-1)とした場合には,発電機本体4からは第1基底周波数に対応した周波数(60Hz)の出力が得られるようになっていると共に,エンジン3の定格回転速度を第2定格回転速度(1500min-1)とした場合,発電機本体4からは第2基底周波数に対応した周波数(50Hz)の出力が得られるようになっている。
【0058】
従って,インバータ2の基底周波数の設定を第1基底周波数(60Hz)とする場合,エンジンの定格回転速度を第1定格回転速度(1800min-1)とし,また,インバータの基底周波数を第2基底周波数(50Hz)に設定する場合,エンジンの定格回転速度を第2定格回転速度(1500min-1)とする必要がある。
【0059】
このような定格回転速度の設定変更を可能とすべく,本発明のエンジン駆動型発電機1には,定格回転速度変更手段56が設けられていると共に,この定格回転速度変更手段56の操作部57,57’を制御盤7に設け,制御盤7上でこの定格回転速度変更手段56の操作部57,57’を操作することで,エンジン3の定格回転速度についても設定変更することができるように構成した。
【0060】
前述のエンジン3として,調速機構に機械式ガバナを採用した本実施形態の構成では,図5に示すようにこの定格回転速度変更手段56を,制御盤7に設けた操作部(操作ノブ)57と,この操作ノブ57とエンジン3のガバナレバー33とを連結する機械式リンク(図5の例においてリンクケーブル)58によって構成し,操作ノブ57によってエンジン3のガバナレバー33を操作できるように構成した。
【0061】
本実施形態においてこの操作ノブ57は,図5中に拡大図で示すように,制御盤7に向かって押し込んだ状態の位置(アイドリング位置)と,引き出した状態の位置(運転位置)で進退移動させることができるように構成されていると共に,引き出した状態の位置(運転位置)で操作ノブ57を反時計回り方向に回転させることでエンジンの回転速度が高速に,時計回り方向に回転させることでエンジンの回転速度が低速となるようガバナレバー33の傾動位置を調整できるように構成されている。
【0062】
従って,操作ノブ57を押し込んだ状態の位置(アイドリング位置)でエンジンを始動させた後,オペレータが操作ノブ57を引き出すことで,エンジンの回転速度を定格回転速度まで上昇させることができると共に,この状態で制御盤7に設けたエンジンの回転速度計等を見ながら操作ノブ57を操作して,インバータ2の基底周波数の設定を第1基底周波数(60Hz)とする場合には操作ノブ57を反時計回り方向に回転させてエンジンの定格回転速度が第1回転速度(高速:1800min-1)となる(近づく)ように変更し,インバータ2の基底周波数の設定を第2基底周波数(50Hz)とする場合には操作ノブ57を時計回り方向に回転させてエンジンの定格回転速度が第2回転速度(低速:1500min-1)となる(近づく)ように変更することができる。
【0063】
〔連動動作手段(切替スイッチ)〕
以上のように構成したエンジン駆動型発電機1の制御盤7には,前述した自動電圧調整器(AVR)43に設けた定格出力電圧設定手段44と,インバータ2に設けた基底周波数設定手段22を連動させて操作して,定格出力電圧を第1定格出力電圧(220V)に設定するとき,基底周波数を第1基底周波数(60Hz)に設定すると共に,定格出力電圧を第2定格出力電圧(200V)に設定するとき,基底周波数を第2基底周波数(50Hz)に設定する,連動動作手段5が設けられている。
【0064】
本実施形態では,図1~4,図6,7に示すようにこの連動動作手段を切替スイッチ5によって構成している。
【0065】
図2に示す例では,この切替スイッチとして,接点51cと接点51bの連通時,接点52cと接点52aを連通し,また,接点51cと接点51aの連通時,接点52cと接点52bを連通する,2極双投型のスイッチを使用している。
【0066】
そして,この切替スイッチ5の接点51aに,インバータ2に設けた基底周波数設定用外部接続端子22の入力端子22aを,接点51cに基底周波数設定用外部接続端子22のコモン端子22cをそれぞれ接続すると共に(接点51bには何も接続しない),接点52aに,自動電圧調整器(AVR)に設けた定格出力電圧設定用外部接続端子44の第1入力端子44aを,接点52bに定格出力電圧設定用外部接続端子44の第2入力端子44bを接続すると共に,接点52cに定格出力電圧設定用外部接続端子44のコモン端子44cをそれぞれ接続している。
【0067】
これにより,切替スイッチ5を第1切替位置〔図2(A)参照〕に切り替えると,インバータ2の基底周波数設定用外部接続端子22は,コモン端子22cと入力端子22a間の接続が絶たれた第1接続状態となり,第1基底周波数(60Hz)が基底周波数に設定されると共に,自動電圧調整器(AVR)43の定格出力電圧設定用外部接続端子44は,コモン端子44cと第1入力端子44aが接続された第1接続状態となり,第1定格出力電圧(220V)が定格出力電圧として設定される。
【0068】
一方,切替スイッチ5を第2切替位置〔図2(B)参照〕とすると,インバータ2の基底周波数設定用外部接続端子22は,コモン端子22cと入力端子22aが接続された第2接続状態となり,第2基底周波数(50Hz)が基底周波数に設定されると共に,自動電圧調整器(AVR)43の定格出力電圧設定用外部接続端子44は,コモン端子44cと第2入力端子44bが接続された第2接続状態となり,第2定格出力電圧(200V)が定格出力電圧に設定される。
【0069】
〔変更例〕
以上で説明した実施形態では,エンジン3を,調速機構として機械式ガバナを備えた構造のものとして説明したが,本発明のエンジン駆動型発電機1に搭載するエンジン3は,図3に示すように,これを,エンジンコントロールモジュール(ECM)31を備えた電子制御式のエンジンとしても良い。
【0070】
このような電子制御式のエンジン3を採用する場合,このエンジンコントロールモジュール(ECM)31に,エンジン3の定格回転速度の設定を,所定の第1回転速度(1800min-1),又は所定の第2回転速度(1500min-1)のいずれかに設定する定格回転速度設定手段32を設けるものとしても良い。
【0071】
この定格回転速度設定手段32は,これを独自に操作できるようにしても良いが,前述した連動動作手段(切替スイッチ)5によって,インバータ2に設けた基底周波数設定手段22,及び自動電圧調整器(AVR)に設けた定格出力電圧設定手段44と連動して操作できるようにすることが好ましい。
【0072】
本実施形態では,エンジンコントロールモジュール(ECM)31に設けた定格回転速度設定手段32を,定格回転速度設定用外部接続端子32(32a~32c)によって構成し,この外部接続端子32のコモン端子32cを,第1入力端子32aと接続した第1接続状態において第1定格回転速度(1800min-1)が定格回転速度として設定されると共に,コモン端子32cを,第2入力端子32bと接続した第2接続状態において第2定格回転速度(1500min-1)が定格回転速度として設定されるように構成した。
【0073】
このような定格回転速度設定用外部接続端子32(32a~32c)の接続状態の変更は,図6に示すように,前述した基底周波数の設定と定格出力電圧の設定を行うための切替スイッチ(連動動作手段)5とは別にスイッチ57’を設け,このスイッチ57’と定格回転速度設定用外部接続端子32(32a~32c)によって,定格回転速度変更手段56を構成すると共に,このスイッチ57’を,定格回転速度変更手段56の,制御盤7に設けた操作部として該スイッチ57’の操作によって基底周波数の設定や,定格出力電圧の設定とは独立して,エンジン3の定格回転速度の設定を変更することができるように構成するものとしても良い。
【0074】
好ましくは,図3に示すように,前述した基底周波数の設定と定格出力電圧の設定を行うための切替スイッチ5に,接点51a~51c,52a~52cの他に,更に接点53a~53cを備えた3極双投型のものとし,接点53aに,エンジンコントロールモジュール(ECM)31に設けた定格回転速度設定用外部接続端子32の第1入力端子32aを,接点53bに定格回転速度設定用外部接続端子32の第2入力端子32bを接続すると共に,接点53cに定格回転速度設定用外部接続端子32のコモン端子32cをそれぞれ接続している。
【0075】
これにより,切替スイッチ5を第1切替位置(図3参照)とすると,エンジンコントロールモジュール(ECM)31の定格回転速度設定用外部接続端子32は,コモン端子32cと第1接続端子32aが接続された第1接続状態となり,第1定格回転速度(高速:1800min-1)がエンジン3の定格回転速度として設定される。
【0076】
一方,切替スイッチ5を第2切替位置(図示せず)とすると,エンジンコントロールモジュール(ECM)31の定格回転速度設定用外部接続端子32は,コモン端子32cと第2入力端子32bが接続された第2接続状態となり,第2定格回転速度(1500min-1)がエンジンの定格回転速度として設定される。
【0077】
その結果,切替スイッチ5の操作によって,インバータ2の基底周波数の設定と,自動電圧調整器(AVR)43の定格出力電圧の設定,及び,エンジンコントロールモジュール(ECM)31の定格回転速度の設定を,同時に,かつ,正しい組み合わせで確実に変更することができる。
【0078】
このように,インバータ2の基底周波数の設定と自動電圧調整器(AVR)43の定格出力電圧の設定の他,エンジンコントロールモジュール(ECM)31の定格回転速度の設定についても単一の切替スイッチ5によって行うことができるようにした場合,図4及び図6に示した例とは異なり,制御盤7には図7に示すように切替スイッチ5の他に,エンジン3の回転速度を設定するためのスイッチ類を設ける必要がない。
【符号の説明】
【0079】
1 エンジン駆動型発電機
2 インバータ
21 周波数設定手段
22 基底周波数設定手段(基底周波数設定用外部接続端子)
22a 入力端子
22c コモン端子
3 エンジン
31 エンジンコントロールモジュール(ECM)
32 定格回転速度設定手段(定格回転速度設定用外部接続端子)
32a 第1入力端子
32b 第2入力端子
32c コモン端子
33 ガバナレバー
4 発電機本体
41 主発電機
42 励磁機
43 自動電圧調整器(AVR)
44 定格出力電圧設定手段(定格出力電圧設定用外部接続端子)
44a 第1入力端子
44b 第2入力端子
44c コモン端子
5 連動動作手段(切替スイッチ)
51a~51c,52a~52c,53a~53c 接点
56 定格回転速度変更手段
57 操作部(操作ノブ)
57’ 操作部(スイッチ)
58 リンク
61 出力線
62 三相出力端子台
63 ブレーカ
65 スタータスイッチ
7 制御盤
8 防音箱
300 エンジン駆動型発電機
302 インバータ
303 エンジン
304 発電機本体
307 制御盤
308 防音箱
321 周波数設定手段
343 自動電圧調整器(AVR)
351(351a,351b) 三相出力線
361 三相出力端子台

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9