IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝電機サービス株式会社の特許一覧

特許7475958サーバ装置、管理システム及びプログラム
<>
  • 特許-サーバ装置、管理システム及びプログラム 図1
  • 特許-サーバ装置、管理システム及びプログラム 図2
  • 特許-サーバ装置、管理システム及びプログラム 図3
  • 特許-サーバ装置、管理システム及びプログラム 図4
  • 特許-サーバ装置、管理システム及びプログラム 図5
  • 特許-サーバ装置、管理システム及びプログラム 図6
  • 特許-サーバ装置、管理システム及びプログラム 図7
  • 特許-サーバ装置、管理システム及びプログラム 図8
  • 特許-サーバ装置、管理システム及びプログラム 図9
  • 特許-サーバ装置、管理システム及びプログラム 図10
  • 特許-サーバ装置、管理システム及びプログラム 図11
  • 特許-サーバ装置、管理システム及びプログラム 図12
  • 特許-サーバ装置、管理システム及びプログラム 図13
  • 特許-サーバ装置、管理システム及びプログラム 図14
  • 特許-サーバ装置、管理システム及びプログラム 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】サーバ装置、管理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/40 20240101AFI20240422BHJP
【FI】
G06Q50/40
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020087439
(22)【出願日】2020-05-19
(65)【公開番号】P2021182262
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敏宏
【審査官】石川 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-154676(JP,A)
【文献】特開2017-107481(JP,A)
【文献】特開2020-149115(JP,A)
【文献】特開2006-209661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G07B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の駅の各々に設置され、通過する利用者が所持する情報記録媒体に格納されている当該利用者に対して割り当てられた第1識別情報を取得可能に構成されている駅務機器及び前記利用者が使用する情報端末装置と通信可能に接続されるサーバ装置において、
前記駅務機器との間に通信障害が発生している間に当該駅務機器において取得された第1識別情報を、前記通信障害の復旧後に当該駅務機器から受信する受信手段と、
前記受信された第1識別情報に基づいて前記通信障害が発生している間に前記駅務機器を通過した利用者を特定する特定手段と、
前記特定された利用者によって使用される情報端末装置に、前記通信障害の発生に関する通知を送信する通知処理手段と
を具備するサーバ装置。
【請求項2】
前記特定手段は、前記受信された第1識別情報に基づいて、前記通信障害が発生している間に前記駅務機器を通過して出場した利用者を特定し、
前記通知処理手段は、前記特定された利用者によって使用される情報端末装置に、列車の利用に対する精算が必要であることを含む通知を送信する
請求項1記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記第1識別情報及び当該第1識別情報が割り当てられている利用者が事前に購入した乗車券に対して定められている列車の乗車駅及び降車駅を対応づけて含む乗車券情報を格納する乗車券情報格納手段を更に具備し、
前記通知処理手段は、前記第1識別情報を取得した駅務機器が設置されている駅と、当該第1識別情報に対応づけて前記乗車券情報に含まれている乗車駅及び降車駅とに基づいて当該第1識別情報が割り当てられている利用者に対して精算が必要であると判定される場合に、前記通知を送信する
請求項2記載のサーバ装置。
【請求項4】
利用者のクレジットカード番号を含む利用者情報を予め格納する利用者情報格納手段と、
精算処理手段と
を更に具備し、
前記通知処理手段は、前記特定された利用者のクレジットカード番号を含む利用者情報が前記利用者情報格納手段に格納されていない場合、前記通知を送信し、
前記精算処理手段は、前記特定された利用者のクレジットカード番号を含む利用者情報が前記利用者情報格納手段に格納されている場合、当該クレジットカード番号を用いて精算処理を実行する
請求項3記載のサーバ装置。
【請求項5】
前記精算処理手段は、前記特定された利用者が入場するために通過した第1駅務機器が設置されている第1駅から当該利用者が出場するために通過した前記第1駅務機器とは異なる第2駅務機器が設置されている第2駅までの区間で列車を利用した場合の金額と、前記利用者が事前に購入した乗車券の金額とに基づいて、前記特定された利用者が精算すべき金額を算出する請求項4記載のサーバ装置。
【請求項6】
前記特定手段は、前記受信された第1識別情報に基づいて、前記通信障害が発生している間に前記駅務機器を通過して入場し、かつ、前記通信障害の復旧時に前記駅務機器を通過して出場していない利用者を特定し、
前記通知処理手段は、前記特定された利用者によって使用される情報端末装置に、列車の利用に対する精算が発生する可能性があることを含む通知を送信する
請求項1記載のサーバ装置。
【請求項7】
前記第1識別情報及び当該第1識別情報が割り当てられている利用者が事前に購入した乗車券に対して定められている列車を識別するための第2識別情報を対応づけて含む乗車券情報を格納する乗車券情報格納手段を更に具備し、
前記通知処理手段は、前記通信障害が復旧した時刻が、前記特定された利用者を識別するための第1識別情報に対応づけて前記乗車券情報に含まれている第2識別情報によって識別される列車の到着時刻に基づく出場予定時刻よりも前であって、かつ、当該出場予定時刻から予め定められた時間内である場合に、前記通知を送信する
請求項6記載のサーバ装置。
【請求項8】
前記送信される通知の内容は、前記通信障害が復旧するタイミングによって異なる請求項1記載のサーバ装置。
【請求項9】
前記情報記録媒体は、ICカードを含み、
前記第1識別情報は、前記ICカードに割り当てられているICカード番号を含む
請求項1~8のいずれか一項に記載のサーバ装置。
【請求項10】
前記通知は、前記特定された利用者のメールアドレスを用いて送信される請求項1~9のいずれか一項に記載のサーバ装置。
【請求項11】
前記駅務機器との間に通信障害が発生している場合、当該駅務機器は、前記第1識別情報が取得された際に前記利用者を通過させるように動作する請求項1~10のいずれか一項に記載のサーバ装置。
【請求項12】
複数の駅の各々に設置され、通過する利用者が所持する情報記録媒体に格納されている当該利用者に対して割り当てられた第1識別情報を取得可能に構成されている駅務機器及び当該駅務機器と通信可能に接続されるサーバ装置を備える管理システムにおいて、
前記サーバ装置は、
前記駅務機器との間に通信障害が発生している間に当該駅務機器において取得された第1識別情報を前記通信障害の復旧後に当該駅務機器から受信する受信手段と、
前記受信された第1識別情報に基づいて前記通信障害が発生している間に前記駅務機器を通過した利用者を特定する特定手段と、
前記特定された利用者によって使用される情報端末装置に、前記通信障害の発生に関する通知を送信する通知処理手段と
含む
管理システム。
【請求項13】
複数の駅の各々に設置され、通過する利用者が所持する情報記録媒体に格納されている当該利用者に対して割り当てられた第1識別情報を取得可能に構成されている駅務機器及び前記利用者が使用する情報端末装置と通信可能に接続されるサーバ装置のコンピュータによって実行されるプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記駅務機器との間に通信障害が発生している間に当該駅務機器において取得された第1識別情報を、前記通信障害の復旧後に当該駅務機器から受信するステップと、
前記受信された第1識別情報に基づいて前記通信障害が発生している間に前記駅務機器を通過した利用者を特定するステップと、
前記特定された利用者によって使用される情報端末装置に、前記通信障害の発生に関する通知を送信するステップと
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、サーバ装置、管理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、各種端末(クライアント端末)に分散されている処理をサーバ装置側に集中させるように構成されたシンクライアントシステムが知られている。具体的には、シンクライアントシステムは、ユーザが実際に使用する端末で実行される処理を必要最小限に絞り、サーバ装置に大半の処理を実行させる中央集中型のシステム構造を有する。
【0003】
ここで、このようなシンクライアントシステムを鉄道事業(列車を運行する事業)に適用する場合を想定する。この場合、例えば駅に設置されている自動改札機は利用者が所持するICカードに保持されている情報を取得するが、当該取得された情報は自動改札機からサーバ装置に送信される。サーバ装置は、自動改札機から送信された情報に基づいて利用者を通過させる(つまり、利用者を駅に入場させるまたは駅から出場させる)か否かを判定し、当該判定結果を自動改札機に送信する。自動改札機は、サーバ装置から送信された判定結果に基づいて利用者を通過させる等の動作をする。
【0004】
このようにシンクライアントシステムを鉄道事業に適用した場合には、利用者を通過させるか否かを判定する仕組みを自動改札機側に設ける必要がないため、当該自動改札機のメンテナンスに関するコストを削減できる等のメリットを享受することができる。
【0005】
しかしながら、シンクライアントシステムにおいては、通信障害が発生した場合に課題がある。具体的には、上記したサーバ装置と自動改札機との間に通信障害が発生した場合には、当該サーバ装置側で利用者を通過させるか否かを判定することができないため、当該利用者の利便性を阻害する要因となる。
【0006】
一方、通信障害が発生した場合には自動改札機を無条件で通過させることが考えられるが、このような場合には鉄道事業者が収受すべき運賃を得ることができない事態が想定され、鉄道事業者に不利益が生じる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2017-107481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、通信障害の発生時であっても利用者の利便性を維持し、かつ、事業者の不利益の発生を防止することを可能とするサーバ装置、管理システム及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態によれば、複数の駅の各々に設置され、通過する利用者が所持する情報記録媒体に格納されている当該利用者に対して割り当てられた第1識別情報を取得可能に構成されている駅務機器及び前記利用者が使用する情報端末装置と通信可能に接続されるサーバ装置が提供される。前記サーバ装置は、受信手段と、特定手段と、通知処理手段とを具備する。前記受信手段は、前記駅務機器との間に通信障害が発生している間に当該駅務機器において取得された第1識別情報を、前記通信障害の復旧後に当該駅務機器から受信する。前記特定手段は、前記受信された第1識別情報に基づいて前記通信障害が発生している間に前記駅務機器を通過した利用者を特定する。前記通知処理手段は、前記特定された利用者によって使用される情報端末装置に、前記通信障害の発生に関する通知を送信する通知処理手段を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る管理システムのネットワーク構成を示す図。
図2】サーバ装置のハードウェア構成の一例を示す図。
図3】サーバ装置の機能構成の一例を示す図。
図4】利用者情報格納部に格納されている利用者情報のデータ構造の一例を示す図。
図5】乗車券情報格納部に格納されている乗車券情報のデータ構造の一例を示す図。
図6】サーバ装置と自動改札機との間に通信障害が発生していない場合に管理システムにおいて実行される処理手順の一例を示すシーケンスチャート。
図7】サーバ装置と自動改札機との間に通信障害が発生した場合に管理システムにおいて実行される処理手順の一例を示すシーケンスチャート。
図8】管理システムの動作について具体的に説明するための図。
図9】管理システムの動作について具体的に説明するための図。
図10】管理システムの動作について具体的に説明するための図。
図11】管理システムの動作について具体的に説明するための図。
図12】管理システムの動作について具体的に説明するための図。
図13】管理システムの動作について具体的に説明するための図。
図14】管理システムの動作について具体的に説明するための図。
図15】精算処理を実行する場合の管理システムの処理手順の一例を示すシーケンスチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る管理システムのネットワーク構成を示す。本実施形態に係る管理システムは、例えば列車(電車)を運行する鉄道事業者等によって用いられ、当該列車を利用する利用者による乗車券の購入及び当該利用者の駅に対する入場または出場等を管理する機能を有する。なお、本実施形態においては、例えば新幹線のような乗車区間(乗車駅及び降車駅)及び乗車時間が定められている列車の乗車券及び特急券を利用者が購入する場合を想定しているが、以下の説明においては単に利用者が乗車券を購入するものとして説明する。
【0012】
図1に示すように、管理システム1は、情報端末装置10、サーバ装置20及び自動改札機30を備える。なお、情報端末装置10、サーバ装置20及び自動改札機30は、ネットワーク40を介して通信可能に接続される。
【0013】
情報端末装置10は、予め登録された利用者によって使用される端末装置であって、例えばスマートフォン、タブレット端末及びパーソナルコンピュータ等を含む。利用者は、情報端末装置10を操作することによって、上記した乗車券の購入等を行うことが可能である。
【0014】
なお、図1においては便宜的に1つの情報端末装置10が示されているが、予め登録された利用者が複数存在する場合には、本実施形態に係る管理システム1は、当該複数の利用者の各々によって使用される複数の情報端末装置10を備えていてもよい。
【0015】
サーバ装置20は、利用者に関する情報(以下、利用者情報と表記)及び当該利用者が購入した乗車券に関する情報(以下、乗車券情報と表記)等の各種情報を管理する。なお、サーバ装置20は、例えば各種クラウドコンピューティングサービスを実行するサーバ装置として動作するものであってもよい。
【0016】
自動改札機30は、列車が停車する複数の駅の各々に設置されている駅務機器である。すなわち、図1においては便宜的に1つの自動改札機30のみが示されているが、管理システム1は、複数の自動改札機30を備える。
【0017】
また、自動改札機30は、開閉動作を行うゲート(機構)を備え、このゲートを開閉することにより、列車を利用可能な乗車券を購入済みの利用者のみを通過させるように動作する。自動改札機30は、このような動作を実現するために、当該自動改札機30を通過する利用者が所持するICカード31に保持されている識別情報(当該利用者に対して割り当てられた識別情報)を取得可能に構成されている。
【0018】
なお、本実施形態においては自動改札機30がICカード31から識別情報を取得するものとして説明するが、当該ICカード31は、識別情報を保持するスマートフォン等(情報端末装置10)であってもよいし、他の情報記録媒体であってもよい。
【0019】
また、本実施形態においてICカード31に保持されている識別情報は、例えば当該ICカード31を一意に識別することが可能な番号(以下、ICカード番号と表記)を含むが、当該ICカード31(を所持する利用者)を識別することが可能な情報であれば他の情報(例えば、利用者ID等)であってもよい。
【0020】
ここで、本実施形態に係る管理システム1は、中央集中型のシステム構造を有するシンクライアントシステムとして実現されている。この場合、上記したように自動改札機30において取得されたICカード番号は当該自動改札機30からサーバ装置20に送信され、当該自動改札機30において利用者を通過させるか否かの判定処理は当該サーバ装置20において実行される。
【0021】
図2は、図1に示すサーバ装置20のハードウェア構成の一例を示す。サーバ装置20は、CPU21、不揮発性メモリ22、RAM23及び通信デバイス24を備える。また、サーバ装置20において、CPU21、不揮発性メモリ22、RAM23及び通信デバイス24は、これらを相互に接続するバス25と接続されている。
【0022】
CPU21は、サーバ装置20内の各コンポーネントの動作を制御するためのプロセッサである。CPU21は、単一のプロセッサであってもよいし、複数のプロセッサで構成されていてもよい。CPU21は、不揮発性メモリ22からRAM23にロードされる様々なプログラムを実行する。本実施形態において、CPU21によって実行されるプログラムには、上記した列車を利用する利用者による乗車券の購入及び当該利用者の駅に対する入場または出場等を管理するための管理プログラム23aが含まれる。
【0023】
不揮発性メモリ22は、補助記憶装置として用いられる記憶媒体である。RAM23は、主記憶装置として用いられる記憶媒体である。図2においては、不揮発性メモリ22及びRAM23のみが示されているが、サーバ装置20は、例えばHDD(Hard Disk Drive)及びSSD(Solid State Drive)等の他の記憶装置を備えていてもよい。
【0024】
通信デバイス24は、外部装置(情報端末装置10及び自動改札機30等)との無線通信を実行するように構成されたデバイスである。
【0025】
図3は、サーバ装置20の機能構成の一例を示す。図3に示すように、サーバ装置20は、利用者情報格納部201、乗車券情報格納部202、情報管理部203、照合処理部204及び通知処理部205を含む。
【0026】
本実施形態において、利用者情報格納部201及び乗車券情報格納部202は、図2に示す不揮発性メモリ22または他の記憶装置によって実現される。
【0027】
また、本実施形態において、情報管理部203、照合処理部204及び通知処理部205の一部または全ては、例えばCPU21(つまり、サーバ装置20のコンピュータ)が管理プログラム23aを実行すること、すなわち、ソフトウェアによって実現されるものとする。この管理プログラム23aは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納して頒布されてもよいし、ネットワーク40を介してサーバ装置20にダウンロードされてもよい。
【0028】
なお、上記した各部203~205の一部または全ては、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェア及びハードウェアの組み合わせ構成によって実現されてもよい。
【0029】
情報管理部203は、上記した利用者情報及び乗車券情報を管理するための機能部である。
【0030】
具体的には、情報管理部203は、利用者が管理システム1に登録する際に当該利用者によって情報端末装置10に入力された情報を当該情報端末装置10から受信し、当該受信された情報に基づいて利用者情報を生成する。このように情報管理部203によって生成された利用者情報は、利用者情報格納部201に登録される。
【0031】
また、情報管理部203は、利用者が乗車券を購入する際に当該利用者によって情報端末装置10に入力された情報を当該情報端末装置10から受信し、当該受信された情報に基づいて乗車券情報を生成する。このように情報管理部203によって生成された乗車券情報は、乗車券情報格納部202に登録される。
【0032】
なお、利用者情報格納部201に格納されている利用者情報及び乗車券情報格納部202に格納されている乗車券情報に変更が生じた場合には、情報管理部203は、当該利用者情報及び当該乗車券情報を変更(更新)する処理を実行してもよい。
【0033】
ここで、利用者が列車を利用するためには、当該利用者は駅に設置されている自動改札機30を通過して駅に入場する必要があるが、この場合、自動改札機30は、当該利用者が所持するICカード31に保持されているICカード番号を当該ICカード31から取得する。このように自動改札機30によって取得されたICカード番号は、当該自動改札機30からサーバ装置20に送信される。
【0034】
照合処理部204は、自動改札機30から送信されたICカード番号を受信する。照合処理部204は、受信されたICカード番号を乗車券情報格納部202に格納されている乗車券情報と照合し、当該ICカード番号によって識別されるICカード31を所持する利用者を通過させるか否かを判定する。
【0035】
照合処理部204による判定結果は自動改札機30に送信され、当該自動改札機30は、当該判定結果に基づいてゲートの開閉を制御する。
【0036】
ここで、上記した管理システム1(シンクライアントシステム)においては、サーバ装置20側(照合処理部204)でICカード番号と乗車券情報との照合を行う構成であるが、当該サーバ装置20と自動改札機30との間に通信障害が発生した場合、当該自動改札機30において取得されたICカード番号をサーバ装置20において受信することができない。この場合、上記した照合処理部204における照合処理を実行することができず、自動改札機30(に備えられるゲート)を適切に制御することができない。
【0037】
このため、本実施形態においては、通信障害が発生している間は照合処理を実行することなく、無条件で利用者を通過させるものとする。
【0038】
しかしながら、この場合、利用者は事前に購入した乗車券において定められている乗車区間外での駅への入場または駅からの出場が可能となるため、鉄道事業者による運賃の収受が適切に行われない可能性がある。
【0039】
ここで、サーバ装置20と自動改札機30との間で通信障害が発生している場合には、自動改札機30からサーバ装置20にICカード番号を送信することができないのであって、当該自動改札機30におけるICカード番号の取得は可能である。
【0040】
このため、自動改札機30は、通信障害が発生している間、当該自動改札機30を通過した利用者が所持するICカード31から取得されたICカード番号を保持しておくものとする。これにより、自動改札機30は、通信障害の復旧後に、当該自動改札機30に保持されているICカード番号をサーバ装置20に送信することができる。
【0041】
この場合、照合処理部204は、通信障害の復旧後に自動改札機30から送信されたICカード番号を受信し、当該ICカード番号を用いて照合処理を実行する。これによれば、照合処理部204は、受信されたICカード番号に基づいて、通信障害が発生している間に自動改札機30を通過した利用者を特定することができる。
【0042】
通知処理部205は、照合処理部204によって特定された利用者によって使用される情報端末装置10に、通信障害の発生に関する通知を送信する。
【0043】
図4は、図3に示す利用者情報格納部201に格納されている利用者情報のデータ構造の一例を示す。
【0044】
図4に示すように、利用者情報には、利用者IDに対応づけて、氏名、性別、電話番号、メールアドレス、クレジットカード番号及びICカード番号等の情報が含まれている。
【0045】
上記したように利用者情報は利用者に関する情報であるが、利用者情報に含まれる利用者IDは、当該利用者を識別するための識別情報である。
【0046】
氏名は、利用者IDによって識別される利用者の氏名である。性別は、利用者IDによって識別される利用者の性別である。
【0047】
電話番号は、利用者IDによって識別される利用者の電話番号である。メールアドレスは、利用者IDによって識別される利用者のメールアドレスである。
【0048】
クレジットカード番号は、利用者IDによって識別される利用者が所持するクレジットカードの番号である。
【0049】
ICカード番号は、利用者IDによって識別される利用者が所持するICカード31を識別するための番号(当該ICカード31に割り当てられている識別情報)である。
【0050】
図4に示す例では、利用者情報格納部201には、利用者情報201a及び201bを含む複数の利用者情報が格納されている。
【0051】
利用者情報201aには、利用者ID「001」に対応づけて氏名「○○○○」、性別「男性」、電話番号「xxx-xxxx-xxxx」、メールアドレス「xx@xx.co.jp」、クレジットカード番号「クレジットカード番号1」及びICカード番号「ICカード番号1」が含まれている。
【0052】
この利用者情報201aによれば、利用者ID「001」によって識別される利用者の氏名が○○○○であり、性別が男性であり、電話番号がxxx-xxxx-xxxxであり、メールアドレスがxx@xx.co.jpであることが示されている。
【0053】
また、利用者情報201aによれば、利用者ID「001」によって識別される利用者が所持するクレジットカードの番号がクレジットカード番号1であり、当該利用者が所持するICカード31を識別するための番号がICカード番号1であることが示されている。
【0054】
一方、利用者情報201bには、利用者ID「002」に対応づけて氏名「××××」、性別「女性」、電話番号「yyy-yyyy-yyyy」、メールアドレス「yy@yy.co.jp」、クレジットカード番号「-」及びICカード番号「ICカード番号2」が含まれている。
【0055】
この利用者情報201bによれば、利用者ID「002」によって識別される利用者の氏名が××××であり、性別が女性であり、電話番号がyyy-yyy-yyyyであり、メールアドレスがyy@yy.co.jpであることが示されている。
【0056】
なお、利用者情報201bによれば、利用者ID「001」によって識別される利用者が所持するクレジットカードの番号が登録されていないことが示されている。このように本実施形態においては、クレジットカード番号は登録されていなくてもよい(つまり、利用者情報にはクレジットカード番号が含まれていなくてもよい)。
【0057】
更に、利用者情報201bによれば、利用者ID「002」によって識別される利用者が所持するICカード31を識別するための番号がICカード番号2であることが示されている。
【0058】
ここでは利用者情報201a及び201bについてのみ説明したが、利用者情報格納部201には、例えば情報端末装置10を用いて乗車券等を購入するために予め登録されている全ての利用者に関する利用者情報が格納されている。なお、利用者情報201a及び201b以外の利用者情報のデータ構造についても当該利用者情報201a及び201bと同様である。
【0059】
また、図4においては利用者ID、氏名、性別、電話番号、メールアドレス、クレジットカード番号及びICカード番号が利用者情報に含まれるものとして説明したが、利用者情報においては、これらのうちの一部の情報が省略されていてもよいし、これら以外の他の情報が更に含まれていてもよい。
【0060】
図5は、図3に示す乗車券情報格納部202に格納されている乗車券情報のデータ構造の一例を示す。
【0061】
図5に示すように、乗車券情報には、ICカード番号に対応づけて、日付、列車ID、乗車駅、降車駅、出発時刻及び到着時刻等の情報が含まれている。
【0062】
上記したように乗車券情報は利用者が事前に購入した乗車券に関する情報であるが、乗車券情報に含まれるICカード番号は、当該利用者が所持するICカード31を識別するための番号である。
【0063】
日付は、ICカード番号によって識別されるICカード31を所持する利用者が購入した乗車券において定められている列車(つまり、利用者が乗車券を購入した列車)が運行する日付である。
【0064】
列車IDは、ICカード番号によって識別されるICカード31を所持する利用者が購入した乗車券において定められている列車を識別するための識別情報である。
【0065】
乗車駅は、ICカード番号によって識別されるICカード31を所持する利用者が購入した乗車券において定められている乗車駅(つまり、利用者が列車IDによって識別される列車に乗車する駅)である。降車駅は、ICカード番号によって識別されるICカード31を所持する利用者が購入した乗車券において定められている降車駅(つまり、利用者が列車IDによって識別される列車から降車する駅)である。
【0066】
出発時刻は、列車IDによって識別される列車が乗車駅を出発する時刻である。到着時刻は、列車IDによって識別される列車が降車駅に到着する時刻である。
【0067】
図5に示す例では、乗車券情報格納部202には、乗車券情報202a及び202bを含む複数の乗車券情報が格納されている。
【0068】
乗車券情報202aには、ICカード番号「ICカード番号1」に対応づけて日付「2020/04/01」、列車ID「01」、乗車駅「A駅」、降車駅「B駅」、出発時刻「12:30」及び到着時刻「16:00」が含まれている。
【0069】
この乗車券情報202aによれば、ICカード番号1によって識別されるICカード31を所持する利用者が、2020年4月1日に運行する列車ID「01」によって識別される列車をA駅からB駅までの区間で利用するための乗車券を購入したことが示されている。
【0070】
また、乗車券情報202aによれば、ICカード番号1によって識別されるICカード31を所持する利用者が利用する列車(列車ID「01」によって識別される列車)がA駅を出発する時刻が12時30分であり、当該列車がB駅に到着する時刻が16時00分であることが示されている。
【0071】
一方、乗車券情報202bには、ICカード番号「ICカード番号3」に対応づけて日付「2020/04/02」、列車ID「02」、乗車駅「C駅」、降車駅「D駅」、出発時刻「10:00」及び到着時刻「11:30」が含まれている。
【0072】
この乗車券情報202bによれば、ICカード番号3によって識別されるICカード31を所持する利用者が、2020年4月2日に運行する列車ID「02」によって識別される列車をC駅からD駅までの区間で利用するための乗車券を購入したことが示されている。
【0073】
また、乗車券情報202bによれば、ICカード番号3によって識別されるICカード31を所持する利用者が利用する列車(列車ID「02」によって識別される列車)がC駅を出発する時刻が10時00分であり、当該列車がD駅に到着する時刻が11時30分であることが示されている。
【0074】
ここでは乗車券情報202a及び202bについてのみ説明したが、乗車券情報格納部202には、情報端末装置10を使用して購入された全ての乗車券に関する乗車券情報が格納されている。なお、乗車券情報202a及び202b以外の乗車券情報のデータ構造についても当該乗車券情報202a及び202bと同様である。
【0075】
また、図5においてはICカード番号、日付、列車ID、乗車駅、降車駅、出発時刻及び到着時刻が乗車券情報に含まれるものとして説明したが、乗車券情報においては、これらのうちの一部の情報が省略されていてもよいし、これら以外の他の情報が更に含まれていてもよい。
【0076】
次に、本実施形態に係る管理システム1の動作を説明する。ここでは、利用者(以下、対象利用者と表記)が列車の乗車券を購入し、当該列車を利用する際の管理システム1の動作を主に説明する。なお、列車の乗車券を購入する対象利用者に関する利用者情報は、予め利用者情報格納部201に格納(登録)されているものとする。
【0077】
まず、図6のシーケンスチャートを参照して、サーバ装置20と自動改札機30との間に通信障害が発生していない場合に管理システム1において実行される処理手順の一例について説明する。
【0078】
対象利用者が列車の乗車券を購入する場合、対象利用者は、当該対象利用者が使用する情報端末装置10を操作することによって、乗車券を購入する列車の情報を当該情報端末装置10に入力する(ステップS1)。ステップS1においては、例えば利用者ID、日付、列車ID(列車名)、乗車駅及び降車駅等が入力される。
【0079】
ステップS1の処理が実行されると、当該ステップS1において入力された列車の情報が情報端末装置10からサーバ装置20に送信される(ステップS2)。
【0080】
サーバ装置20に含まれる情報管理部203は、情報端末装置10から送信された列車の情報を受信する。情報管理部203は、受信された列車の情報に基づいて乗車券情報を生成し、当該生成された乗車券情報を乗車券情報格納部202に格納する(ステップS3)。
【0081】
なお、乗車券情報格納部202に格納される乗車券情報には、上記した図5において説明したようにICカード番号、日付、列車ID、乗車駅、降車駅、出発時刻及び到着時刻等が含まれる。乗車券情報に含まれるICカード番号は、情報端末装置10から送信された利用者IDに基づいて、利用者情報格納部201に格納されている利用者情報から取得可能である。また、出発時刻及び到着時刻は、情報端末装置10から送信された日付、列車ID、乗車駅、降車駅に基づいて、例えば時刻表情報等から取得可能である。なお、時刻表情報は、サーバ装置20において予め管理されていてもよいし、外部の他のサーバ装置等から取得されてもよい。更に、出発時刻及び到着時刻を外部のサーバ装置等から取得する構成であってもよい。
【0082】
ここで、列車を利用する際には、対象利用者は自動改札機30(以下、第1自動改札機30と表記)を通過して駅に入場する必要がある。この場合、第1自動改札機30は、対象利用者が所持するICカード31から当該ICカード31に保持されているICカード番号を取得する(ステップS4)。
【0083】
なお、本実施形態において、対象利用者が所持するICカード31は例えば非接触ICカードであり、第1自動改札機30(を含む複数の自動改札機30)は非接触ICカード技術における読み取り装置を備えているものとする。この場合、第1自動改札機30は、非接触ICカード技術に基づく通信により、当該第1自動改札機30が備える読み取り装置にかざされた(近接された)ICカード31からICカード番号を取得することができる。なお、ICカード番号は、他の近接無線通信または近距離無線通信を用いて取得される構成であってもよい。
【0084】
ステップS4において取得されたICカード番号は、例えば当該ICカード番号を取得した第1自動改札機30を識別するための識別情報(以下、改札機IDと表記)とともに、入場データとして当該第1自動改札機30からサーバ装置20に送信される(ステップS5)。
【0085】
なお、上記したように自動改札機30は複数の駅に設置されているところ、改札機IDは、当該改札機IDによって識別される自動改札機30が設置されている駅を特定するために用いられる。
【0086】
ここではICカード番号とともに改札機IDが送信されるものとして説明したが、当該ICカード番号を取得した自動改札機30が設置されている駅をサーバ装置20において特定可能であればよい。このため、自動改札機30は、改札機IDに代えて当該自動改札機30が設置されている駅を識別する駅ID等を送信するように構成されていてもよい。
【0087】
ステップS5の処理が実行されると、サーバ装置20に含まれる照合処理部204は、当該ステップS5において第1自動改札機30から送信された入場データ(ICカード番号及び改札機ID)を受信し、当該入場データを用いた照合処理を実行する(ステップS6)。
【0088】
ステップS6において、照合処理部204は、受信されたICカード番号と乗車券情報格納部202に格納されている乗車券情報とを照合し、対象利用者(当該ICカード番号によって識別されるICカード31を所持する利用者)を通過させるか否かを判定する。
【0089】
この場合、照合処理部204は、受信されたICカード番号を含む乗車券情報を乗車券情報格納部202から取得する。また、照合処理部204は、受信された改札機IDに基づいて第1自動改札機30(つまり、ICカード番号を取得した自動改札機30)が設置されている駅を特定する。この第1自動改札機30が設置されている駅は、例えば全ての駅の各々を識別するための駅IDと当該駅に設置されている自動改札機30を識別するための改札機IDとを対応づけて含む改札機設置情報等を用いて特定することができる。この改札機設置情報は、例えばサーバ装置20において予め管理されていればよい。
【0090】
次に、照合処理部204は、乗車券情報格納部202から取得された乗車券情報に含まれる乗車駅と上記したように改札機IDから特定された駅とを照合し、両者の駅が一致していれば対象利用者を通過させると判定する。
【0091】
一方、乗車券情報格納部202から取得された乗車券情報に含まれる乗車駅と改札機IDから特定された駅とが一致しない場合には、照合処理部204は、対象利用者を通過させないと判定する。サーバ装置20において受信されたICカード番号を含む乗車券情報が乗車券情報格納部202に存在しない場合も同様である。
【0092】
なお、乗車券情報格納部202から取得された乗車券情報に含まれる日付と本日の日付(つまり、自動改札機30においてICカード番号が取得された日付)とを更に照合し、両者の日付が一致している場合に対象利用者を通過させると判定してもよい。
【0093】
上記したステップS6における照合処理の結果(対象利用者を通過させるか否かの判定結果)は、サーバ装置20から第1自動改札機30(ステップS4においてICカード番号を取得した自動改札機30)に送信される(ステップS7)。
【0094】
第1自動改札機30は、ステップS7においてサーバ装置20から送信された照合処理の結果に基づいて、当該第1自動改札機30に備えられるゲートを制御する(ステップS8)。具体的には、照合処理において対象利用者を通過させると判定されている場合、第1自動改札機30は、ゲートを開状態にする制御を実行し、対象利用者を通過させる。
【0095】
一方、照合処理において対象利用者を通過させないと判定されている場合、第1自動改札機30は、ゲートを閉状態にする制御を実行し、対象利用者を通過させない。この場合、第1自動改札機30は、例えば対象利用者に対して適切な乗車券を購入するよう促すものとする。
【0096】
上記したステップS4~S8の処理によれば、事前に購入した乗車券に応じて対象利用者を適切に駅に入場させることができる。
【0097】
なお、ステップS6においては、対象利用者が事前に購入した乗車券において定められている乗車駅以外の駅に設置されている自動改札機30(つまり、乗車券情報格納部202から取得された乗車券情報に含まれる乗車駅と改札機IDから特定された駅とが一致しない場合)であっても、例えば乗車券において定められている乗車駅から降車駅までの区間(つまり、乗車区間)内に位置する駅に設置されている自動改札機30であれば通過(入場)することができるような照合処理が実行されてもよい。
【0098】
ここでは、対象利用者が駅に入場する場合について説明したが、対象利用者が駅から出場する場合にもステップS4~S8の処理と同様の処理が実行される。
【0099】
具体的には、列車から降車した対象利用者は自動改札機30(以下、第2自動改札機30と表記)を通過して駅から出場する必要があるが、この場合、第2自動改札機30は、対象利用者が所持するICカード31から当該ICカード31に保持されているICカード番号を取得する(ステップS9)。なお、このステップS9の処理は上記したステップS4の処理と同様の処理であるため、ここではその詳しい説明を省略する。
【0100】
ステップS9において取得されたICカード番号は、当該ICカード番号を取得した第2自動改札機30を識別するための改札機IDとともに、出場データとして当該第2自動改札機30からサーバ装置20に送信される(ステップS10)。
【0101】
ステップS10の処理が実行されると、サーバ装置20に含まれる照合処理部204は、当該ステップS10において第2自動改札機30から送信された出場データ(ICカード番号及び改札機ID)を受信し、当該出場データを用いた照合処理を実行する(ステップS11)。
【0102】
このステップS11において実行される照合処理はステップS6において実行される照合処理に相当する処理であり、照合処理部204は、受信されたICカード番号と乗車券情報格納部202に格納されている乗車券情報とを照合し、対象利用者(当該ICカード番号によって識別されるICカード31を所持する利用者)を通過させるか否かを判定する。
【0103】
この場合、照合処理部204は、受信されたICカード番号を含む乗車券情報を乗車券情報格納部202から取得する。また、照合処理部204は、受信された改札機IDに基づいて第2自動改札機30(つまり、ICカード番号を取得した自動改札機30)が設置されている駅を特定する。
【0104】
次に、照合処理部204は、乗車券情報格納部202から取得された乗車券情報に含まれる降車駅と上記した改札機IDから特定された駅とを照合し、両者の駅が一致していれば対象利用者を通過させると判定する。
【0105】
一方、乗車券情報格納部202から取得された乗車券情報に含まれる降車駅と改札機IDから特定された駅とが一致しない場合には、照合処理部204は、対象利用者を通過させないと判定する。
【0106】
上記したステップS11における照合処理の結果(対象利用者を通過させるか否かの判定結果)は、サーバ装置20から第2自動改札機30(ステップS9においてICカード番号を取得した自動改札機30)に送信される(ステップS12)。
【0107】
第2自動改札機30は、ステップS12においてサーバ装置20から送信された照合処理の結果に基づいて、当該第2自動改札機30に備えられるゲートを制御する(ステップS13)。なお、このステップS13の処理は上記したステップS8の処理と同様の処理であるため、ここではその詳しい説明を省略する。
【0108】
上記したステップS9~S13の処理によれば、事前に購入した乗車券に応じて対象利用者を適切に駅から出場させることができる。
【0109】
なお、例えば対象利用者が事前に購入した乗車券において定められている降車駅を乗り越して他の駅から出場しようとする場合には、当該出場しようとする駅は降車駅(乗車券情報に含まれる降車駅)とは一致せず、対象利用者は第2自動改札機30を通過することができない。この場合、第2自動改札機30は、上記したようにゲートを閉状態にする制御を実行するとともに、例えば対象利用者に対して乗り越したことによる精算を行うよう促すものとする。なお、精算とは、対象利用者が購入した乗車券において定められている乗車区間以外で列車を利用したことによる追加の運賃(料金)を支払うことをいう。
【0110】
また、ステップS13においては、対象利用者が事前に購入した乗車券において定められている降車駅以外の駅に設置されている自動改札機30(つまり、乗車券情報格納部202から取得された乗車券情報に含まれる降車駅と改札機IDから特定された駅とが一致しない場合)であっても、例えば乗車券おいて定められている乗車駅から降車駅までの区間(つまり、乗車区間)内に位置する駅に設置されている自動改札機30であれば通過(出場)することができるような照合処理が実行されてもよい。
【0111】
上記したようにサーバ装置20と自動改札機30(第1及び第2自動改札機30)との間に通信障害が発生していない場合においては、サーバ装置20と自動改札機30とが連携して動作することにより、対象利用者の入出場を適切に制御(管理)することが可能となる。
【0112】
次に、図7のシーケンスチャートを参照して、サーバ装置20と自動改札機30との間に通信障害が発生した場合に管理システム1において実行される処理手順の一例について説明する。
【0113】
まず、対象利用者が乗車券を購入する際には、図6に示すステップS1~S3の処理に相当するステップS21~S23の処理が実行される。
【0114】
ここで、列車を利用する際には対象利用者は第1自動改札機30を通過して駅に入場する必要があるが、この時点でサーバ装置20と第1自動改札機30との間に通信障害が発生している場合を想定する。
【0115】
なお、第1自動改札機30(を含む複数の自動改札機30)は定期的に問い合わせ等をサーバ装置20送信しており、当該問い合わせに対する応答が予め定められた期間内にサーバ装置20から受信されない場合に、第1自動改札機30はサーバ装置20との間に通信障害が発生していることを検知することができる。なお、通信障害は他の手法で検知されてもよい。
【0116】
対象利用者が第1自動改札機30を通過する時点で上記したように当該第1自動改札機30においてサーバ装置20との通信障害が検知されている場合、当該第1自動改札機30は、対象利用者が所持するICカード31に保持されているICカード番号を取得する(ステップS24)。
【0117】
ここで、第1自動改札機30は、上記した通信障害の発生により、ステップS24において取得されたICカード番号をサーバ装置20に送信することができない(つまり、サーバ装置20において照合処理を実行することができない)。この場合、第1自動改札機30は、ステップS24において取得されたICカード番号を例えば当該ICカード番号が取得された日時に対応づけて当該第1自動改札機30の内部に保持するとともに、ゲートを開状態にする制御を実行する(ステップS25)。
【0118】
すなわち、本実施形態においては、対象利用者が駅に入場する時点で通信障害が発生している場合、第1自動改札機30は無条件で対象利用者を通過させるように動作する。これによれば、対象利用者は、通信障害が発生している場合であっても円滑に第1自動改札機30を通過して駅に入場することが可能となる。
【0119】
ここでは対象利用者が駅に入場する場合について説明したが、通信障害が復旧していない状態であれば、対象利用者が駅から出場する場合もステップS24及びS25の処理と同様の処理が実行される。
【0120】
具体的には、対象利用者が第2自動改札機30を通過する時点で当該第2自動改札機30においてサーバ装置20との通信障害が検知されている場合、当該第2自動改札機30は、対象利用者が所持するICカード31に保持されているICカード番号を取得する(ステップS26)。
【0121】
ここで、第2自動改札機30は、通信障害の発生により、ステップS26において取得されたICカード番号を送信することができない。この場合、第2自動改札機30は、ステップS26において取得されたICカード番号を当該ICカード番号が取得された日時に対応づけて当該第2自動改札機30の内部に保持するとともに、ゲートを開状態にする制御を実行する(ステップS27)。
【0122】
すなわち、本実施形態においては、対象利用者が駅から出場する時点で通信障害が発生している場合、上記した対象利用者が駅に入場する場合(つまり、第1自動改札機30)と同様に、第2自動改札機30は無条件で対象利用者を通過させるように動作する。これによれば、対象利用者は、通信障害が発生している場合であっても円滑に第2自動改札機30を通過して出場することが可能となる。
【0123】
なお、図6においては説明を省略したが、第1及び第2自動改札機30を含む複数の自動改札機30の各々は、通信障害が発生していない場合であっても、利用者が駅に入場するまたは駅から出場する際に取得されたICカード番号を内部に保持するように構成されていてもよい。
【0124】
ここで、例えばステップS27の処理が実行された後(つまり、対象利用者が駅から出場した後)に通信障害が復旧した場合を想定する。
【0125】
この場合、複数の駅の各々に設置されている自動改札機30は、通信障害が発生していた時間帯に該当する日時に対応づけて内部に保持されているICカード番号(つまり、通信障害が発生している間に当該自動改札機30を通過した対象利用者を含む複数の利用者が所持するICカード31を識別するためのICカード番号)を、当該自動改札機30を識別するための改札機IDとともにサーバ装置20に送信する。
【0126】
具体的には、第1自動改札機30は、対象利用者が所持するICカード31を識別するためのICカード番号(ステップS24において取得されたICカード番号)及び当該第1自動改札機30を識別するための改札機IDを入場データとしてサーバ装置20に送信する(ステップS28)。
【0127】
また、第2自動改札機30は、対象利用者が所持するICカード31を識別するためのICカード番号(ステップS26において取得されたICカード番号)及び当該第2自動改札機30を識別するための改札機IDを出場データとしてサーバ装置20に送信する(ステップS29)。
【0128】
ステップS28及びS29の処理が実行されると、サーバ装置20に含まれる照合処理部204は、当該ステップS28において第1自動改札機30から送信された入場データ及びステップS29において第2自動改札機30から送信された出場データを受信し、当該入場データ及び出場データを用いた照合処理を実行する(ステップS30)。
【0129】
このステップS30において実行される照合処理においては、照合処理部204によって受信された入場データ及び出場データに含まれるICカード番号に基づいて、上記した通信障害が発生している間に自動改札機30を通過した利用者(を識別するための利用者ID)が特定される。
【0130】
次に、通知処理部205は、ステップS30の処理が実行されることによって特定された利用者が所持する情報端末装置10に対して、上記した通信障害の発生に関する通知を送信する(ステップS31)。
【0131】
この場合、通知処理部205は、ステップS30の処理が実行されることによって特定された利用者を識別するための利用者IDを含む利用者情報を利用者情報格納部201から取得し、当該取得された利用者情報に含まれるメールアドレス(または電話番号)を用いて通知を送信するものとする。
【0132】
なお、ステップS31において情報端末装置10に送信される通知は、例えば列車の利用に対する精算に関する通知を含む。なお、列車の利用に対する精算の要否(精算が必要であるか否か)は、ICカード番号とともに受信された改札機ID(つまり、対象利用者が通過した第1及び第2自動改札機30が設置されている駅)及び当該ICカード番号を含む乗車券情報(に含まれる乗車駅及び降車駅)に基づいて判定される。
【0133】
また、詳細については後述するが、通知の内容は、通信障害の発生または復旧のタイミングに応じて異なっていてもよい。
【0134】
ステップS31の処理が実行されると、情報端末装置10は、当該ステップS31において送信された通知を表示する(ステップS32)。
【0135】
上記した図7に示す処理によれば、通信障害が発生した場合であっても利用者は円滑に自動改札機30を通過することができるとともに、当該利用者に対して通信障害の発生に関する通知を送信することにより、必要に応じて列車の利用に対する精算(乗り越し精算)を当該利用者に促すことができる。
【0136】
以下、上記した通信障害が発生した際の管理システム1の動作について具体的に説明する。ここでは、通信障害の発生及び復旧のタイミングと当該タイミングに応じて情報端末装置10に送信される通知の概要とについて主に説明する。なお、以下の説明においては、列車を利用する際に対象利用者が実際に入場した(列車に乗車した)駅を入場駅、当該対象利用者が実際に出場した(列車から降車した)駅を出場駅と称する。
【0137】
まず、図8を参照して、上記した図7において説明したように対象利用者が入場する前に通信障害が発生し、当該対象利用者が出場した後で通信障害が復旧した場合について説明する。なお、図8において、「入」は対象利用者が入場駅に入場したタイミングを表しており、「出」は対象利用者が出場駅から出場したタイミングを表している。以下の同様の図についても同様である。
【0138】
通信障害が復旧すると、サーバ装置20に含まれる照合処理部204は、各自動改札機30から入場データ及び出場データを受信し、照合処理を実行する。この照合処理においては、例えば第1及び第2自動改札機30(入場駅及び出場駅に設置されている自動改札機30)から受信された入場データ及び出場データ(ICカード番号及び改札機ID)に基づいて、対象利用者の入場駅及び出場駅が特定される。具体的には、照合処理部204は、例えば対象利用者が所持するICカード31を識別するためのICカード番号を含む入場データ及び出場データを取得し、当該入場データ及び出場データに含まれる改札機IDに基づいて特定される駅を、対象利用者の入場駅及び出場駅として特定することができる。
【0139】
次に、照合処理部204は、対象利用者が所持するICカード31を識別するためのICカード番号を含む乗車券情報を乗車券情報格納部202から取得し、当該乗車券情報に含まれる乗車駅及び降車駅(以下、対象利用者の乗車駅及び降車駅と表記)を取得する。
【0140】
照合処理部204は、上記したように特定された対象利用者の入場駅及び出場駅と、乗車券情報から取得された対象利用者の乗車駅及び降車駅とに基づいて、当該対象利用者が使用する情報端末装置10に通知を送信する。
【0141】
ここで、対象利用者の入場駅が乗車駅と異なっているまたは対象利用者の出場駅が降車駅と異なっている場合には、対象利用者の乗車駅から降車駅までの区間(つまり、対象利用者が購入した乗車券において定められている乗車駅から降車駅までの区間)以外の区間で列車を利用しているため、当該列車の利用に対して精算が必要であると判定される。
【0142】
この場合、通知処理部205は、対象利用者が使用する情報端末装置10に対して、精算が必要であることを含む通知を送信する。この通知は、例えば「通信障害発生中に自動改札機のご利用がありました。自動券売機もしくは窓口にて精算をお願いします。精算いただけない場合、ICカードをご利用いただけません。」のような案内メッセージを含んでいてもよい。なお、ここで説明した案内メッセージは一例であり、通知に含まれる案内メッセージは、例えばクライアント端末(自動券売機等)による精算を催促するようなものであればよい。
【0143】
更に、上記した通知には、精算金額が含まれていてもよい。この精算金額は、対象利用者が入場駅から出場駅までの区間で列車を利用した場合の金額と、当該対象利用者が事前に購入した乗車券の金額(つまり、対象利用者が乗車駅から降車駅までの区間で列車を利用した場合の金額)とに基づいて算出可能である。なお、精算金額は、区間毎の金額が規定された料金情報等に基づいてサーバ装置20内で算出されてもよいし、外部のサーバ装置等から取得されてもよい。
【0144】
なお、ここでは対象利用者に通知が送信されるものとして説明したが、上記した対象利用者の入場駅が乗車駅と一致しており、当該対象利用者の出場駅が降車駅と一致している(つまり、対象利用者が列車を利用した区間が当該対象利用者の乗車駅から降車駅までの区間と一致している)場合には、精算は不要であるため、当該通知は送信されなくてもよい。また、対象利用者の入場駅から出場駅までの区間(つまり、対象利用者が列車を利用した区間)が、当該対象利用者の乗車駅から降車駅までの区間に包含される区間である等により、精算が必要でないと判定される場合には通知が送信されない構成としてもよい。
【0145】
また、対象利用者の入場駅から出場駅までの区間が当該対象利用者の乗車駅から降車駅までの区間と一致している場合(つまり、精算が不要である場合)であっても、対象利用者が自動改札機30を通過(つまり、入場及び出場)したときに通信障害が発生していたことを当該対象利用者(が所持する情報端末装置10)に通知するようにしてもよい。
【0146】
次に、図9を参照して、対象利用者が入場する前に通信障害が発生し、当該対象利用者が出場する前に通信障害が復旧した場合について説明する。
【0147】
上記したように通信障害が復旧すると、サーバ装置20において、各自動改札機30から受信された入場データ及び出場データに基づく照合処理が実行される。この照合処理においては、例えば第1自動改札機30から受信された入場データ(ICカード番号及び改札機ID)に基づいて、対象利用者の入場駅が特定される。具体的には、照合処理部204は、例えば対象利用者が所持するICカード31を識別するためのICカード番号を含む入場データを取得し、当該入場データに含まれる改札機IDに基づいて特定される駅を、対象利用者の入場駅として特定することができる。なお、対象利用者は駅から出場していないため、この時点で対象利用者の出場駅を特定することはできない。
【0148】
次に、照合処理部204は、対象利用者が所持するICカード31を識別するためのICカード番号を含む乗車券情報を乗車券情報格納部202から取得し、当該乗車券情報に含まれる乗車駅(対象利用者の乗車駅)を取得する。
【0149】
照合処理部204は、上記したように特定された対象利用者の入場駅と、乗車券情報から取得された対象利用者の乗車駅とに基づいて、当該対象利用者が使用する情報端末装置10に通知を送信する。
【0150】
ここで、対象利用者の入場駅が乗車駅と異なっている場合には、対象利用者の乗車駅から降車駅までの区間以外の区間で列車を利用しているため、当該列車の利用に対して精算が必要である。
【0151】
この場合、通知処理部205は、対象利用者が使用する情報端末装置10に対して、精算が必要であることを含む通知を送信する。
【0152】
一方、対象利用者の入場駅が乗車駅と一致している場合には、通知は送信されないものとする。また、対象利用者の入場駅が乗車駅と一致していない場合であっても、例えば当該入場駅が乗車駅から降車駅までの区間内に位置している場合等により、精算が必要でないと判定される場合には通知が送信されない構成としてもよい。
【0153】
なお、上記したように対象利用者の入場駅が乗車駅と一致していない場合には精算が必要であるが、当該精算が必要であることを当該対象利用者が出場する際に第2自動改札機30によって通知する構成とすることができる。このような構成を採用する場合においては、図9に示すように対象利用者が駅から出場する前に通信障害が復旧した場合には通知を送信しない構成としてもよい。
【0154】
また、対象利用者の乗車駅が入場駅と一致している場合(つまり、精算が不要である場合)であっても、対象利用者が自動改札機30を通過(つまり、入場)したときに通信障害が発生していたことを当該対象利用者(が所持する情報端末装置10)に通知するようにしてもよい。
【0155】
ここで、サーバ装置20においては、通信障害が発生している間に自動改札機30を通過した全ての利用者(入場データ及び出場データ)に対して照合処理を実行する必要があるため、通信障害が発生した期間によってはその処理量は膨大になり、例えば精算の要否を判定する処理に時間がかかることが想定される。
【0156】
このため、通信障害が復旧した際には、まず、通信障害の発生に関する通知を送信し、照合処理を後で実行するようにしてもよい。このような場合の通知には、例えば「通信障害が発生していたため、特急券(乗車券)の利用確認を行い、後日必要に応じて料金収受を致します。」のようなメッセージが含まれていてもよい。すなわち、本実施形態においては、列車の利用に対する精算が発生する可能性があることを含む通知が送信されてもよい。
【0157】
なお、対象利用者が出場するまでに十分な時間がある場合には、上記したように照合処理を実行した後に通知を行うことが好ましい。したがって、例えば図10に示すように対象利用者の出場予定時刻からM分前(Mは1以上の整数)よりも前に通信障害が復旧した場合には、サーバ装置20(照合処理部204及び通知処理部205)は上記した図9に示すように動作するものとする。なお、図10において「出-M」は出場予定時刻からM分前の時点を示している。他の図においても同様である。
【0158】
一方、図11に示すように対象利用者の出場予定時刻からM分前以降に通信障害が復旧した場合には、サーバ装置20は、上記したように照合処理を実行することなく通知を送信するように動作する。
【0159】
すなわち、本実施形態においては、出場予定時刻から予め定められた時間(出場予定時刻のM分前)より前に通信障害が復旧するか当該出場予定時刻から予め定められた時間以降に通信障害が復旧するか(つまり、通信障害が復旧するタイミング)に応じて内容が異なる通知を送信する構成としてもよい。
【0160】
なお、本実施形態において、出場予定時刻としては乗車券情報格納部202に格納されている乗車券情報に含まれる到着時刻を用いることができるが、例えば当該到着時刻に予め定められた時間(対象利用者が到着時刻に到着した列車から降車し、自動改札機30を通過して出場するまでにかかると想定される時間)を加算した時刻を出場予定時刻としてもよい。すなわち、本実施形態において、出場予定時刻は、到着時刻に基づいて算出される時刻であってもよい。
【0161】
また、図5においては乗車券情報に到着時刻(出発時刻)が含まれるものとして説明したが、当該乗車券情報に到着時刻が含まれていない場合には、出場予定時刻(到着時刻)は、例えば当該乗車券情報に含まれる列車IDに基づいて外部のサーバ装置等から取得される構成であってもよい。
【0162】
次に、対象利用者が入場した後に通信障害が発生した場合について説明する。まず、図12に示すように対象利用者が入場した後に通信障害が発生し、当該対象利用者が出場する前に通信障害が復旧した場合を想定する。
【0163】
上記したように通信障害が復旧すると、サーバ装置20において各自動改札機30から受信された入場データ及び出場データに基づく照合処理が実行されるが、対象利用者に関しては、入場駅に設置されている第1自動改札機30を通過する時点で通信障害が発生しておらず、入場駅において既に照合処理が実行されている。すなわち、図12に示すタイミングで通信障害が発生及び復旧した場合、対象利用者は通信障害が発生している間に第1自動改札機30を通過していないため、当該対象利用者(が使用する情報端末装置10)には通信障害の発生に関する通知は送信されない。
【0164】
なお、上記したように対象利用者が入場する前に通信障害が発生している場合には、当該通信障害が復旧するタイミングに応じて内容が異なる通知を送信する構成としてもよいことについて説明したが、通信障害が発生していない状態で対象利用者が入場している場合には、図13に示すように例えば対象利用者の出場予定時刻からM分前以降に通信障害が復旧した場合であっても通知の送信は不要である。
【0165】
一方、図14に示すように対象利用者が出場した後で通信障害が復旧した場合、当該対象利用者の出場駅によっては精算が必要な場合がある。
【0166】
上記したように通信障害が復旧すると、サーバ装置20において、各自動改札機30から受信された入場データ及び出場データに基づく照合処理が実行される。この照合処理においては、第2自動改札機30から受信された出場データ(ICカード番号及び改札機ID)に基づいて、対象利用者の出場駅が特定される。
【0167】
次に、照合処理部204は、対象利用者が所持するICカード31を識別するためのICカード番号を含む乗車券情報を乗車券情報格納部202から取得し、当該乗車券情報に含まれる降車駅(対象利用者の降車駅)を取得する。
【0168】
照合処理部204は、上記したように特定された対象利用者の出場駅と乗車券情報から取得された対象利用者の降車駅とに基づいて列車の利用に対して精算が必要であると判定される場合には、当該対象利用者が使用する情報端末装置10に通知を送信する。
【0169】
なお、ここで情報端末装置10に送信される通知については上記した図8等において説明した通知と同様であるため、ここではその詳しい説明を省略する。
【0170】
上記したように本実施形態においては、サーバ装置20と自動改札機30(駅務機器)との間に通信障害が発生している間に当該自動改札機30において取得されたICカード番号(第1識別情報)を、当該通信障害の復旧後に当該自動改札機30から受信し、当該受信されたICカード番号に基づいて通信障害が発生している間に自動改札機30を通過した利用者を特定し、当該特定された利用者によって使用される情報端末装置10に通信障害の発生に関する通知を送信する。
【0171】
なお、本実施形態において、サーバ装置20と自動改札機30との間に通信障害が発生している場合、当該自動改札機30は、ICカード番号が取得された際に利用者を通過させるように動作するものとする。
【0172】
本実施形態においては、上記した構成により、通信障害の発生時であっても利用者の利便性を維持し、かつ、列車を運行する事業者の不利益の発生を防止することが可能となる。
【0173】
具体的には、本実施形態においては、ICカード番号に基づいて通信障害が発生している間に自動改札機30を通過して出場した利用者を特定し、当該特定された利用者によって使用される情報端末装置10に、列車の利用に対する精算が必要であることを含む通知を送信する。
【0174】
なお、通知は、ICカード番号を取得した自動改札機30が設置されている駅(入場駅及び出場駅)と、当該ICカード番号に対応づけて乗車券情報に含まれている乗車駅及び降車駅とに基づいて利用者に対して精算が必要であると判定される場合に送信される。
【0175】
本実施形態においては、このような構成により、通信障害が発生している間に自動改札機30を通過して出場した利用者に対して精算が必要であることを通知することができるため、当該利用者に対して精算を促し、駅からの出場時に精算されるべきであった運賃を収受することができないという不利益の発生を防止することができる。
【0176】
更に、本実施形態においては、ICカード番号に基づいて通信障害が発生している間に自動改札機30を通過して入場しており、かつ、通信障害の復旧時に自動改札機30を通過して出場していない利用者を特定し、当該特定された利用者によって使用される情報端末装置10に、列車の利用に対する精算が発生する可能性があることを含む通知を送信する構成としてもよい。
【0177】
なお、このような通知は、通信障害が復旧した時刻が、ICカード番号に対応づけて乗車券情報に含まれている列車ID(第2識別情報)によって識別される列車の到着時刻に基づく出場予定時刻よりも前であって、かつ、当該出場予定時刻から予め定められた時間内である場合に送信される。
【0178】
本実施形態においては、このような構成により、精算の必要があるか否かが確定していない時点であっても通信障害が発生していたことにより精算が発生する可能性があることを事前に通知することが可能となる。
【0179】
なお、本実施形態においては、通信障害が復旧するタイミングによって異なる内容の通知が送信される構成であってもよい。このような構成によれば、利用者の入場及び出場に対して通信障害が復旧するタイミングに応じて適切な通知を行うことが可能となる。
【0180】
また、本実施形態における通知は予め登録された利用者のメールアドレス(利用者情報に含まれるメールアドレス)を用いて送信されるため、利用者は容易に通知の内容を確認することが可能である。なお、通知は、情報端末装置10上で動作するメッセージアプリケーションプログラム等を介して利用者が確認することができるようにしてもよい。
【0181】
ここで、列車の利用に対する精算は自動券売機または窓口等において行うことができるが、例えば利用者のクレジットカード番号が予め登録されている(つまり、利用者に関する利用者情報にクレジットカード番号が含まれている)ような場合には、当該クレジットカード番号を用いて精算処理(クレジットカード決済処理)を実行するようにしてもよい。この精算処理は、例えばクレジットカード会社のサーバ装置等と連携して、図15に示すステップS53において実行されればよい。なお、図15に示すステップS41~S52の処理は、図7に示すステップS21~S32の処理と同様の処理である。また、この精算処理において利用者が精算すべき金額については上記した通りであるため、ここではその説明を省略する。
【0182】
このような構成によれば、精算を行う利用者の手間を軽減することができるとともに、鉄道事業者は当該利用者が精算すべき運賃を確実に収受することが可能となる。
【0183】
なお、図15に示す処理においてサーバ装置20から情報端末装置10に対して送信される通知には例えば後日クレジットカード決済処理を行う旨のメッセージ等が含まれていればよい。
【0184】
また、上記したように利用者のクレジットカード番号が登録されている場合(つまり、当該利用者のクレジットカード番号を含む利用者情報が利用者情報格納部201に格納されている場合)には、通知の送信は省略されてもよい。すなわち、本実施形態においては、クレジットカード番号が登録されていない利用者に対しては通知を送信し、当該クレジットカード番号が登録されている利用者に対しては当該クレジットカード番号を用いた精算処理を自動的に実行するような構成としてもよい。
【0185】
図15に示す処理手順は一例であり、通信障害が発生及び復旧するタイミングが図15と異なる場合であっても、精算が必要である場合にはクレジットカード決済処理を実行することができる。また、精算処理は、クレジットカード決済処理に限られず、例えば電子マネーでの決済処理等であってもよい。
【0186】
上記したように本実施形態においては、列車を利用する利用者による乗車券の購入及び当該利用者の駅への入場または出場を管理する管理システム1がシンクライアントシステムとして構成されている場合であっても、通信障害の発生及び復旧のタイミングによらず、自動改札機30のスムーズな通過及び確実な運賃(料金)の収受を実現することが可能となる。
【0187】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0188】
1…管理システム、10…情報端末装置、20…サーバ装置、21…CPU、22…不揮発性メモリ、23…RAM、23a…管理プログラム、24…通信デバイス、30…自動改札機(駅務機器)、31…ICカード(情報記録媒体)、201…利用者情報格納部、202…乗車券情報格納部、203…情報管理部、204…照合処理部、205…通知処理部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15