(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】医用画像処理装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/46 20240101AFI20240422BHJP
A61B 5/055 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
A61B6/46 536Z
A61B5/055 380
(21)【出願番号】P 2020094447
(22)【出願日】2020-05-29
【審査請求日】2023-03-22
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリン ベヴァリッジ
(72)【発明者】
【氏名】ポール トムソン
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン モー
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルギアス ダイアキディス
(72)【発明者】
【氏名】坂下 尚孝
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0192089(US,A1)
【文献】国際公開第2019/138733(WO,A1)
【文献】特開2018-171443(JP,A)
【文献】特開2015-121900(JP,A)
【文献】奥村 知之 ,術後の脳内血行障害-診断のポイント ,臨床外科 2 ,金原 優 株式会社医学書院,2013年02月20日,第68巻、第2号,134-137
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/58、5/055、3/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の脳を表す画像データを取得することと、
前記被検体の臨床徴候又は症状を表すデータを取得することと、前記臨床徴候又は症状は、脳の状態に関連し、
前記被検体の前記脳における異常の推定を取得するために、前記画像データを処理することと、
前記異常の前記推定が前記臨床徴候又は症状を表す前記データと一致するかどうかを判定することと、
を行うように構成された処理回路を具備する、医用画像処理装置。
【請求項2】
前記脳の状態は、脳卒中であり、また前記臨床徴候又は症状は、前記脳卒中の側性を示す、請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記臨床徴候又は症状は、身体部分の挙動、身体部分の位置、身体部分の向き、身体部分の動き、のうちの少なくとも一つを具備する、請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記臨床徴候又は症状は、視線方向、視線の角度、非対称性筋緊張、体幹上の頭部の角度、顔面の非対称性、舌偏位、のうちの少なくとも一つを具備する、請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記臨床徴候又は症状は、持続する眼球偏位を具備する、請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記臨床徴候又は症状は、二回以上のスキャンにおいて及び/又は二回以上発生する眼球偏位を具備する、請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
前記画像データは、複数の回数及び/又は複数のスキャンとして収集されるデータを具備し、前記処理回路は、前記複数の回数のそれぞれ及び/又は前記複数のスキャンのそれぞれにおける前記臨床徴候又は症状を現すデータを取得するように構成された、請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項8】
前記処理回路は、前記臨床徴候又は症状を表す前記データを取得するために、前記画像データを処理するように更に構成され、及び/又は、前記処理回路は、前記臨床徴候又は症状を表す前記データを取得するために、更なる画像データを処理するように更に構成された、請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項9】
前記処理回路は、前記異常の前記推定が前記臨床徴候又は症状を表す前記データと一致しない場合に、参照情報を表示するように更に構成された、請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項10】
前記処理回路は、前記画像データの少なくとも一部からレンダリングされた画像を表示することと、前記異常の前記推定に依存する少なくとも一つの異常領域の示唆を前記レンダリングされた画像上に表示することと、を行うように更に構成された、請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項11】
前記処理回路は、前記脳の側の選択を受け取るように更に構成され、前記脳の前記側の前記選択は、前記異常の前記推定が前記臨床徴候又は症状を表す前記データと一致しないという判定に呼応して行われ、
前記処理回路は、前記脳の前記選択された側に制限された前記処理を用いて前記画像データを処理することと、それにより前記脳の前記選択された側における異常の推定を取得することと、を行うように更に構成された、請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項12】
前記処理回路は、前記臨床徴候又は症状の簡略化された描写を表示するように更に構成された、請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項13】
前記処理回路は、複数の回数のそれぞれ及び/又は複数のスキャンのそれぞれにおける前記被検体の前記臨床徴候又は症状を現す個別のデータを取得するように構成され、前記簡略化された描写は、前記複数の回数のそれぞれ及び/又は前記複数のスキャンのそれぞれにおける前記臨床徴候又は症状を現す、請求項12に記載の医用画像処理装置。
【請求項14】
前記処理回路は、前記臨床徴候又は症状に関連する前記画像データの一部を選択することと、前記画像データの前記選択された部分を表示することと、を行うように構成された、請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項15】
前記異常は、虚血の領域、高吸収血管の領域のうちの少なくとも一方を具備する、請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項16】
前記医用画像処理装置は、前記臨床徴候又は症状を表す前記データと、前記臨床徴候又は症状に関連する以前に取得されたデータとを比較することと、前記データと前記以前に取得されたデータとの間にミスマッチがあるかどうかを特定することと、を行うように構成された、請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項17】
前記画像データの前記処理は、前記臨床徴候又は症状を表す前記データに依存する、請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項18】
前記画像データの前記処理は、学習済みモデルを適用することを具備する、請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項19】
前記臨床徴候又は症状を表す前記データは、前記学習済みモデルに対する入力として使用される、請求項18に記載の医用画像処理装置。
【請求項20】
a)前記臨床徴候又は症状を表す前記データは、前記学習済みモデルの複数のネットワーク層に入力される、
b)前記臨床徴候又は症状を表す前記データは、前記学習済みモデルの活性化関数を修正するために使用される、
c)単一の学習済みモデルは、前記臨床徴候又は症状を表す前記データを取得することと、前記異常の前記推定を取得することとの両方のために、前記画像データを処理するのに使用される、
のa)からc)までのうちの少なくとも一つである、請求項19に記載の医用画像処理装置。
【請求項21】
前記被検体の臨床徴候又は症状を表すデータは、ユーザによって入力されたデータである、請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項22】
コンピュータが、
被検体の脳を表す画像データを取得することと、
前記被検体の臨床徴候又は症状を表すデータを取得することであって、前記臨床徴候又は症状は、脳の状態に関連する、取得することと、
前記被検体の前記脳における異常の推定を取得するために、前記画像データを処理することと、
前記異常の前記推定が前記臨床徴候又は症状を表す前記データと一致するかどうかを判定することと、
を具備する、医用画像処理方法。
【請求項23】
被検体の脳を表す画像データを取得することと、
前記被検体の臨床徴候又は症状を表すデータを取得することであって、前記臨床徴候又は症状は、脳の状態に関連する、取得することと、
前記被検体の前記脳における異常の推定を取得するために、前記画像データを処理することと、
前記異常の前記推定が前記臨床徴候又は症状を表す前記データと一致するかどうかを判定することと、
を行うように実行可能なコンピュータ読み取り可能命令を具備する、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用画像処理装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
臨床医は、例えば、虚血性脳卒中など、脳卒中が発生した徴候を探し出すために患者の脳のスキャンを見返すことで知られている。係るスキャンは、非造影コンピュータ断層撮影(NCCT)スキャンの場合がある。虚血性脳卒中の徴候を探し出すためにNCCTスキャンを読影することは、画像所見の微妙な特質に起因して、殊更困難となる可能性がある。例えば、虚血の領域を探すことは、画像コントラストにおける非常に微妙な差を見抜くことを伴う場合がある。
【0003】
撮像における所見についての臨床医による解釈は、状況によって、彼らが持つ患者の臨床像によって重み付けされる場合がある。例えば、臨床医が既に患者を診察していた場合に、係る臨床医は、症状が現れた患者の側(右又は左)を知っている場合がある。しかし、そのような臨床情報は、常に容易に利用できる訳ではないか、又は少なくとも、撮像を見返すときに臨床医に対して直ちに提示できない場合がある。
【0004】
脳卒中を起こしている患者には、過去に脳卒中歴があるか又は小血管疾患があることが多い。過去の脳卒中及び/又は小血管疾患に由来する撮像特徴は、現在の急性エピソードに特有の撮像特徴を識別するタスクを混乱させる場合がある。過去の脳卒中の徴候と最近の脳卒中の徴候とを見分けることは難しい場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、脳の異常を容易に把握することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る医用画像処理装置は、処理回路を備える。処理回路は、被検体の脳を表す画像データを取得することと、被検体の臨床徴候又は症状を表すデータを取得することと、臨床徴候又は症状は、脳の状態に関連し、被検体の脳における異常の推定を取得するために、画像データを処理することと、異常の推定が臨床徴候又は症状を表すデータと一致するかどうかを判定することと、を行うように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る装置の概略図である。
【
図2】
図2は、実施形態の方法の概観を例示するフローチャートである。
【
図3】
図3は、実施形態における表示画面を例示する図である。
【
図4】
図4は、実施形態における第1の具体例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態における第2の具体例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態における第3の具体例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、医用画像処理装置の実施形態について、非限定的な例として説明される。
【0009】
ある特定の実施形態は、被検体の脳を表す画像データを取得することと、前記被検体の臨床徴候又は症状を表すデータを取得することであって、前記臨床徴候又は症状は、脳の状態に関連する、取得することと、前記被検体の前記脳における異常の推定を取得するために、前記画像データを処理することと、前記異常の前記推定が前記臨床徴候又は症状を表す前記データと一致するかどうかを判定することと、を行うように構成された処理回路を具備する医用画像処理装置を提供する。
【0010】
ある特定の実施形態は、被検体の脳を表す画像データを取得することと、前記被検体の臨床徴候又は症状を表すデータを取得することであって、前記臨床徴候又は症状は、脳の状態に関連する、取得することと、前記被検体の前記脳における異常の推定を取得するために、前記画像データを処理することと、前記異常の前記推定が前記臨床徴候又は症状を表す前記データと一致するかどうかを判定することと、を具備する医用画像処理方法を提供する。
【0011】
実施形態に係る医用画像処理装置10が、
図1に概略的に例示されている。医用画像処理装置10は、患者又はその他の被検体の医用画像を処理し表示するように構成されている。
【0012】
医用画像処理装置10は、計算装置12を具備しており、それは、この場合、パーソナルコンピュータ(PC)又はワークステーションである。計算装置12は、例えば、スクリーンなどの表示デバイス16、そしてコンピュータキーボード及びマウスのような1つ又は複数の入力デバイス18に接続されている。いくつかの実施形態において、表示デバイス16は、タッチスクリーンであり、それは、入力デバイス18としての役割も務める。計算装置12は、データストア20に接続されている。
【0013】
医用画像処理装置10は、ボリューメトリック医用撮像データを取得するために、患者又はその他の被検体の非造影CT(NCCT)スキャンを実行するように構成されたCTスキャナ14に接続される。本実施形態において、係るスキャンとは、脳のスキャンである。その他の実施形態においては、任意の適切な身体部分をスキャンすることができる。
【0014】
代替的な実施形態において、データは、任意の適切なモダリティ及び/又は収集技法を使用して取得されることができる。CTスキャナ14は、例えば、CTスキャナ、コーンビームCTスキャナ、MRI(磁気共鳴撮像)スキャナ、X線スキャナ、超音波スキャナ、PET(陽電子放射断層撮影)スキャナ、又はSPECT(単光子放射コンピュータ断層撮影)スキャナなど、任意の適切な撮像モダリティにおいて二次元又は三次元撮像データを取得するように構成された一つ又は複数のスキャナによって置き換えられるか、又は補われる場合がある。
【0015】
CTスキャナ14を使用して取得されたデータは、データストア20に格納され、計算装置12に供給される。その他の実施形態において、計算装置12は、CTスキャナ14から直接データを取得する場合がある。代替的な実施形態において、医用画像処理装置10は、データストア20の代わりに又はそれに加えて、一つ又は複数の更なるデータストア(図示せず)から医用撮像データ及び/又は医用画像を受け取る。例えば、医用画像処理装置10は、画像保存通信システム(PACS)、又は、例えば、研究室データアーカイブ、電子医用記録(EMR)システム、又は入退転院(ADT)システムなど、その他の情報システムの一部を形成することができる一つ又は複数のリモートデータストアから医用撮像データを受け取ることができる。
【0016】
計算装置12は、自動的に又は半自動的に医用撮像データを処理するための処理リソースを提供する。計算装置12は、中央処理装置(CPU)22を具備する。
【0017】
計算装置12は、自動的に又は半自動的にデータセットを処理するための処理リソースを提供する。本実施形態において、データセットは、医用撮像データを具備する。分かりやすくするため、下記では医用画像の処理及び検索に言及するものとする。しかし、下記で医用画像に対して実行されるものとして説明される操作は、医用画像を表す撮像データの任意の適切なセットに対して実際には実行される場合がある。状況によって、撮像データは、いかなる対応する画像も表示されることなく、計算装置12によって内部で処理される場合がある。
【0018】
計算装置12は、視線の方向を決定するように構成された視線検出回路24と、撮像データから画像をレンダリングするように構成されたレンダリング回路26と、不一致を検出するために、例えば、撮像データから決定された視線と異なる方法で決定された視線との間の不一致を検出するためにデータを比較するように構成された比較回路28と、異常を特定するために、例えば、虚血及び/又は高吸収(hyperdense)血管の領域を検出するために撮像データを処理するように構成された異常検出回路29と、を含む。
【0019】
本実施形態において、回路24、26、28、29は、実施形態の方法を実行することが実行可能なコンピュータ読み取り可能命令を有するコンピュータプログラムを用いて、計算装置12中でそれぞれ実装される。しかし、その他の実施形態において、様々な回路が、一つ又は複数のASIC(特定用途向け集積回路)又はFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)として実装される場合がある。本実施形態において、回路24、26、28、29は、CPU22の一部としてそれぞれ実装される。代替的な実施形態において、回路24、26、28、29は、別々に実装されるか、又は二つ以上のCPUの一部を形成する場合がある。更なる実施形態において、方法のうちの少なくとも一部は、一つ又は複数のグラフィッカル処理ユニット(GPU)上で実行される場合がある。
【0020】
計算装置12は、ハードドライブ、及び、RAMと、ROMと、データバスと、様々なデバイスドライバを含むオペレーティングシステムと、グラフィックスカードを含むハードウェアデバイスとを含むPCのその他の構成要素を含む。そのような構成要素は、明確にするため
図1には図示されていない。
【0021】
図1のシステムは、
図2のフローチャートに概観を例示されているような一連のステージを実行するように構成されている。
【0022】
ステージ30で、CTスキャナは、脳卒中を起こしていることが疑われる患者の脳の非造影CTスキャンを収集する。NCCTスキャンからのボリューメトリックデータは、データストア20に渡され、そして係るデータストア20から視線検出回路24に渡される。その他の実施形態において、視線検出回路24は、任意の適切なデータストアからボリューメトリックNCCTデータのセットを取得することができる。係るNCCTデータは、NCCTスキャンが取得された後の任意の適切な時間に、視線検出回路24によって取得されることができる。
【0023】
ステージ32で、視線検出回路24は、患者の目の視線の方向の推定を取得するために、係るNCCTスキャンデータを処理する。下記での目への言及は、眼球(globes)を指し、それは、眼球(eyeballs)と呼ばれる場合もある。両方の目は、同じ方向を向いていると予期される。本実施形態において、視線検出回路24は、三つのクラスのうちの一つへの分類を出力する。第一のクラスにおいて、視線の方向は、右を向いている。第二のクラスにおいて、視線の方向は、左を向いている。第三のクラスにおいて、視線の方向は、左又は右のどちらでもないか、又は視線の方向は、不明であるかのいずれかである。係る分類は、下記で、「右」、「左」、「どちらでもない/不明」と呼ばれる。
【0024】
視線の角度は、患者の頭蓋骨の反対側の面に対して定義されることができる。視線の角度は、例えば、次に説明されている通りに定義されることができる。Kobayashi, M., Horizontal gaze deviation on computed tomography: the visual criterion and lesion characteristics in ischemic stroke. Acta Neurol Belg (2018) 118: 581. https://doi.org/10.1007/s13760-018-0949-1、又はSpokoyny, Ilana et al., Visual Determination of Conjugate Eye Deviation on Computed Tomography Scan Predicts Diagnosis of Stroke Code Patients, Journal of Stroke and Cerebrovascular Diseases, Volume 25, Issue 12, 2809 - 2813。
【0025】
いくつかの実施形態において、視線検出回路24は、例えば、数値として視線の角度を返す場合がある。視線の角度は、視線の方向が左、右、又はどちらでもない/不明であるという決定に加えて又はその代わりに返される場合がある。
【0026】
本実施形態においては、目が右に偏っているか、左に偏っているか、又はどちらでもない/不明であるかを決定するために、学習済みモデルを使用する。係る学習済みモデルは、深層学習分類子の場合がある。例えば、R-CNN(畳み込みニューラルネットワーク特徴がある領域)法を使用する場合があり、それは、次に説明されているものと類似している場合がある。R. Girshick, J. Donahue, T. Darrell, J. Malik, “Rich feature hierarchies for accurate object detection and semantic segmentation”, The IEEE Conference on Computer Vision and Pattern Recognition (CVPR), June 2014。
【0027】
その他の実施形態においては、視線の方向が左であるか、右であるか、又はどちらでもない/不明であるかを決定するために、任意の適切な方法を使用することができる。更なる実施形態においては、視線方向の任意の適切な分類を使用することができる。
【0028】
本実施形態において、学習済みモデルを学習させる目的は、学習済みモデルが100%固有となる、又は限りなく100%固有に近くなることである。右が予測される場合には、目は、常に右を向いていることになる。左が予測される場合には、目は、左を向いていることになる。視線の決定における任意の不確実性は、どちらでもない/不明の分類につながることになる。
【0029】
状況によって、脳のスキャンは、CTスキャナを使用してスキャンされた解剖学的領域から患者の目を除外するようにして取得されている場合がある。少なくともいくつかのそのような場合において、その他の生体構造に基づいて視線の方向を取得することが可能な場合がある。いくつかの実施形態において、学習済みモデルは、眼球以外の生体構造に基づいた分類を出力することができる。例えば、学習済みモデルは、外眼筋を考慮に入れるように学習されることができる。外眼筋の圧迫が、視線方向を示す場合がある。その他の実施形態において、視線の方向の決定は、NCCTスキャンにおいて外眼筋をセグメント化することに基づく場合がある。
【0030】
決定された視線の方向は、患者の頭蓋骨に対して、目が患者の右に向けられているのか、又は患者の左に向けられているのかを示す。視線検出回路24は、三つの分類である「右」、「左」、「どちらでもない/不明」のうちの一つとして視線の方向を出力する。
【0031】
いくつかの実施形態において、視線検出回路24は、視線の角度を出力することもできる。更なる実施形態において、個別の視線方向及び/又は視線角度が、患者の目のそれぞれに対して個別に決定されることができる。いくつかの実施形態において、視線角度は、しきい角度と比較され、視線方向は、視線角度がしきい角度を超えた場合にのみ右又は左であるとレポートされる。
【0032】
本実施形態において、視線検出回路24は、ボリューメトリックNCCTデータを処理することによって、自動的に視線方向を取得する。その他の実施形態において、視線の方向は、患者の臨床観察に基づいて、臨床医によって提供されることができる。更なる実施形態において、臨床医は、視線の方向を決定するために、ボリューメトリックNCCTデータを手動で分析することができる。臨床医は、入力デバイス18を使用して視線の方向を計算装置12へと入力することができる。
【0033】
臨床診療において、目の臨床的眼球偏位(clinical gaze deviation)は、脳卒中の症状として十分に裏付けられている。目の臨床的偏位は、プレボの徴候(Prevost’s sign)と呼ばれる。眼球偏位は、正中線の位置から同じ側へと向かう、両方の眼球の均等な持続する偏位として定義される。症状がある場合、目は、脳卒中によってダメージを受けた脳の半球側に偏位する。ダメージを受けた半球は、例えば、麻痺又は顔面下垂(facial dropping)などの症状が現れている身体の側とは反対である。
【0034】
CTスキャン上での共同偏視は、視線の臨床症状にとって高度に特異的な撮像特徴である。状況によって、CTスキャンから決定されるような視線は、患者の診察によって取得される臨床症状の代用として使用されることができる。
【0035】
脳卒中に起因する目の眼球偏位は一般的に、前頭眼野、正中線前頭回又はその皮質橋突起(corticopontine projections)の尾側部における皮質野へのダメージの結果である。
【0036】
眼球偏位は、大脳半球脳卒中を起こした患者の約20%~30%に発生することが判明している。眼球偏位は、低感受性を有するが、高特異性を有し、虚血半球に確実に側性化するための93%の陽性予測値を有することが示されている。
【0037】
特に臨床情報がない場合、臨床医は眼球偏位を確認することで早期虚血に伴う信号減衰の読影に鋭敏になることが分かっている。
【0038】
ステージ32の後、フローチャートは、同時に実行されることができるか、又は任意の順番で連続して実行されることができる、四つの可能なステージ34、38、46、52のうちのいずれか又は全てに進む。
【0039】
ステージ34で、レンダリング回路26は、ボリューメトリックNCCTデータ内の目領域の示唆を視線検出回路24から受け取る。例えば、目領域は、セグメンテーションから取得されたバウンディングボックス(bounding box)によって示めされることができる。レンダリング回路26は、目領域を示している画像をボリューメトリックNCCTデータからレンダリングする。レンダリング回路26は、表示デバイス16上に、目領域のレンダリングされた画像を表示する。レンダリングされた画像は、視線のクイックビュー(quick view)を提供することができる。レンダリングされた画像は、任意の適切なユーザインターフェース上に表示されることができる。例えば、レンダリングされた画像は、ユーザが画像及び/又はその他の医用データを見返すために使用することができる臨床ダッシュボード(clinical dashboard)上に表示されることができる。
【0040】
例えば、臨床医などのユーザが、目領域の表示された画像を眺める。画像を眺めることによって、ユーザは、視線の自動化された検出が正しいということを手動で検証することができる。
【0041】
本実施形態において、レンダリングされた画像は、体軸スライスの一部分を表す。体軸スライスは、目の水晶体を通って、頭部を通過するスライスである。ユーザは、表示された一部分上でクリックすることによって、体軸スライス全体を眺めることができる。その他の実施形態においては、目領域の任意の適切な画像を表示することができる。
【0042】
ステージ38で、レンダリング回路26は、視線の簡略化された描写40を表示デバイス16上に表示する。係る視線の簡略化された描写は、「絵(cartoon)」として説明される場合がある。簡略化された描写40は、レンダリングされた画像と同じユーザインターフェース上に表示されることができる。簡略化された描写40は、目の偏位が向かって左なのか又は右に向かってなのかについての基本的な示唆を提供することを意図されている。
【0043】
本実施形態において、描写40は、向かって左を向く一対の目の第一の線画42と、向かって右を向く一対の目の第二の線画44とを具備する。レンダリング回路26は、視線検出回路24から受け取った通り、左又は右であるという視線方向の決定に従って、第一の線画42(
図2に図示される通り)か又は第二の線画44かのどちらかをハイライトする。
【0044】
描写40は、ユーザが決定された視線方向を一目で眺めるための簡略な方法を提供することができる。
【0045】
いくつかの実施形態においては、レンダリングされた画像を表示することなく、描写40を表示することができる。例えば、描写40を、臨床概要の一部として表示することができる。
【0046】
ステージ46で、比較回路28は、ステージ32で決定された視線方向と、少なくとも一つのその他の結果とを比較する。その他の1つの結果又は複数の結果は、脳卒中の側性と関連する可能性がある更なるデータを具備する。その他の1つの結果又は複数の結果は、例えば、臨床医などのユーザによって手動で入力された、例えば、少なくとも一つの症状を含む場合がある。例えば、症状は、片側の顔面下垂又は片側の麻痺の場合がある。症状は、アメリカ国立衛生研究所の脳卒中重症度評価(National Institutes of Health Stroke Scale/Score:NIHSS)でリストに記載された、左側又は右側の指標うちの一つの場合がある。
【0047】
比較回路28は、ステージ32で決定された視線方向が、少なくとも一つのその他の結果と一致しているかどうかの決定を出力する。視線方向が少なくとも一つのその他の結果と一致していない場合に、フローチャートは、ステージ48に進む。ステージ48で、レンダリング回路26は、不一致をユーザに警告する参照情報をユーザに対して表示する。本実施形態において、参照情報は、例えば、描写40上など、表示デバイス16上のフラグ50を具備する。
図2の実施形態において、視線は、発見物として示され、ミスマッチが存在する場合にはフラグ50が含まれる。その他の実施形態においては、参照情報の任意の適切な表示を使用することができる。係る参照情報は、不一致が検出されたという警告をユーザに提供することができる。
【0048】
ステージ52で、視線検出回路24は、視線方向を異常検出回路29に渡す。異常検出回路29は、視線方向を異常検出手順に対する入力として使用する。更なる実施形態においては、異常検出手順に対する入力として、撮像から導出された任意の適切な情報及び/又は任意の適切な臨床症状に関する任意の情報を使用することができる。
【0049】
異常検出手順は、「自動化された脳卒中検出」として説明される場合もある。異常検出手順は、NCCTスキャンにおける異常の少なくとも1つのタイプを特定するために、ステージ30で受け取ったボリューメトリックNCCTデータを処理することを具備する。
【0050】
その他の実施形態において、視線方向及び/又は視線角度は、異常検出手順の一部として決定されることができる。
【0051】
図2の実施形態において、ステージ52の異常検出手順は、脳全体を表す撮像データに対して実行されることができる。異常検出回路29は、脳における虚血の領域と高吸収血管の領域とを検出するように構成される。異常検出回路29は、虚血の領域又は高吸収血管の領域として特定された一つ又は複数の領域を出力する。その他の実施形態において、異常検出回路29は、任意の適当な脳の異常を検出するように構成されることができる。
【0052】
ステージ54で、レンダリング回路26は、異常検出手順の結果を使用して少なくとも一つの画像をレンダリングし、且つ表示デバイス16上に係る少なくとも一つの画像(
図2に図示せず)を表示する。本実施形態において、係る少なくとも一つの画像は、目画像および描写40と同じユーザインターフェースの一部として表示される。虚血及び/又は高吸収血管の少なくとも一つの特定された領域は、少なくとも一つの画像においてハイライトされる。
【0053】
その他の実施形態において、レンダリング回路26は、任意の適切な表示方法を使用して、異常検出手順の結果を表示することができる。例えば、レンダリング回路26は、何か異常が検出されたか否かを示すテキストを表示することができる。レンダリング回路26は、表示された画像の領域をラベル付けることができる。
【0054】
本実施形態において、異常検出回路29は、全ての又は大半の異常領域が検出された脳の側の決定を出力する。レンダリング回路26は、全ての又は大半の異常領域が見つかった脳の側を示す示唆(例えば、テキスト表示又は視覚的な表示)を表示することができる。
【0055】
比較回路28は、ステージ52で異常検出回路29によって出力された脳の側と、ステージ32で決定された視線の方向とを比較する。異常検出回路29によって出力された脳の側がステージ32で決定された視線と一致しない場合に、レンダリング回路26は、不一致が存在することを示すために、フラグ50又は更なるフラグを表示する。
【0056】
その他の実施形態において、異常検出手順は、決定された視線方向に対応しない脳の側からの結果を除外することができる。
【0057】
ステージ56で、ユーザインターフェースのユーザ(例えば、臨床医)は、異常検出手順を実行する脳の側を指定する。
【0058】
ユーザは、ステージ32で決定された視線方向に基づいて、脳の側を指定することができる。例えば、視線が向かって左を向いている場合には、これは、脳の左側がダメージを受けていることを示している。これは、症状が発生しているのとは反対側である。例えば、脳の左側へのダメージは、身体の右側における下垂又は麻痺という結果をもたらす場合がある。
【0059】
視線が向かって左を向いている場合に、ユーザは、脳の左側にのみ異常検出を実行することを指定することができる。側を決めるとき、ユーザは、視線がその他の情報と不一致であることが判明したかどうかを考慮に入れることができる(例えば、フラグ50によって又は更なるフラグによってユーザに示されるような不一致)。
【0060】
ステージ58で、異常検出回路29は、ユーザによって指定された脳の側において脳卒中徴候を検出するために、異常検出手順を再び実行する。
【0061】
異常検出手順は、異常検出手順において判明した虚血又は高吸収血管の任意の領域の示唆を出力する。
【0062】
比較回路28は、脳の指定された側と、視線によって又は任意のその他のデータによって示される脳の側とを比較することができる。
【0063】
ステージ60で、レンダリング回路26は、ステージ58の再び実行された異常検出手順に従って、表示された少なくとも一つの画像をアップデートする。ステージ58で判明した任意の異常領域は、表示された少なくとも一つの画像においてハイライトされる。レンダリング回路26は、異常検出手順が実行された脳の側の示唆を表示する。レンダリング回路26は、脳の指定された側と視線によって又は任意のその他のデータによって示される脳の側との間の任意の不一致を示すために、フラグ50又は更なるフラグを付け足す又は除去する場合もある。
【0064】
本実施形態において、ステージ52の異常検出手順は、脳全体に対して実行される。ステージ56で、ユーザは、異常検出手順を実行する脳の側を指定する。ステージ58で、異常検出手順が、ユーザによって選択された脳の側に対して実行される。
【0065】
その他の実施形態において、ステージ52の異常検出手順は、脳の第一の側に対して実行される。いくつかの実施形態において、脳の第一の側は、ユーザによって選択される。いくつかの実施形態において、脳の第一の側は、ステージ32で決定された視線方向に基づいて、又は、例えば、その他の臨床症状など、その他のデータに基づいて、異常検出回路29によって自動的に選択される。ステージ56で、ユーザには、脳のもう一方の側へと切り替えるオプションが与えられる。係るユーザが脳のもう一方の側への切替を選択した場合に、ステージ58で、異常検出回路29は、脳のもう一方の側に対して異常検出手順を再び実行する。
【0066】
異常検出手順の二つの事例が、
図2に図示されている(ステージ52及びステージ58)。その他の実施形態においては、任意の適切な回数の異常検出手順の事例を実行することができる。例えば、臨床医は、脳の片側に対する異常検出手順の実行と、脳のもう一方の側に対する異常検出手順の実行とを交互に切り替えることができる。いくつかの実施形態において、ユーザには、自動的に検出された視線方向があるアルゴリズムを提供されることなく、及び/又は、その他の臨床情報があるアルゴリズムを提供されることなく、画像に対してアルゴリズムを実行するオプションが与えられる。
【0067】
臨床診療に基づいて、視線方向及び/又はその他の関連する臨床情報を、例えば、異常検出手順において使用されるアルゴリズムなど、自動的に脳卒中徴候を検出するように構成されたアルゴリズムに入力することは道理に適っている、と考えることができる。しかし、自動化された検出においてエラーが発生する可能性がある場面がいくつか存在する。状況によって、眼球偏位を検出するアルゴリズムにおいてエラーが発生する場合がある。例えば、検出においてエラーが起きる場合がある。状況によって、例えば、誤ったレポートを引き起こすヒューマンエラー又は機械エラーに起因するエラーが、臨床情報において発生する場合がある。臨床情報は、自動的なアルゴリズムに対して、一致しない場合があるか、又はそうでなければ誤った情報を提供する場合がある。従って、視線検出及び/又はその他の臨床情報が脳卒中徴候を検出するためのアルゴリズムへの入力として常に使用された場合に、場合によっては、自動的なアルゴリズムは、誤った情報又は想定に基づいて結果を計算する場合があり、それによりその結果において有意なエラーを招きかねない可能性がある。
【0068】
図2の方法のように不一致にフラグ立てすることによって、ユーザは、可能性のあるエラーの警告を提供されることができる。ユーザは、選択された側又は既に実行されたのとは反対側に、アルゴリズムを再び実行する選択をすることができる。
【0069】
図2の方法は、自動的な視線検出を特徴とする頭部スキャンからの脳卒中徴候検出に対して、臨床応用を提供することができる。臨床応用は、NCCTからの脳卒中虚血検出のためのものである場合がある。
【0070】
視線検出は、改善された検出のための脳卒中徴候アルゴリズムへと入力されることができる。視線検出は、ユーザに表示されることができる。目の水晶体を伴う撮像面の自動的な体軸アライメントは、素早いユーザ確認を提供するために実行されることができる。例えば、スキャンのアラインされたスライスは、ユーザが眼球偏位検出を確認することができるように表示されることができる。視線検出が、脳卒中徴候検出と一致しない、又は患者の症状の臨床的な側と一致しない場合に、フラグが立つ場合がある。例えば、視線検出が自動的な虚血検出とマッチしない場合に、フラグが表示される場合がある。視線検出が自動的な高吸収血管検出とマッチしない場合に、フラグが表示される場合がある。視線検出が一つ又は複数の臨床症状(症状がある場合)とマッチしない場合に、フラグが表示される場合がある。
【0071】
ユーザは、反対側又は特定の側を強制する自動的なアルゴリズムを返すことを可能にされる場合がある。自動的なアルゴリズムは、いくつか又は全ての臨床入力を無視する場合がある。
【0072】
図2の方法は、異常検出の結果を解釈する際に、ユーザに支援を提供することができる。
図2の方法は、直感的且つ解釈しやすい方法でユーザに情報を提供することができる。ユーザは、ユーザの臨床診療を知らせるのに適当なレベルの情報を提供される場合がある。ユーザには、自動化された異常検出の結果を受け入れるか、自動化された検出を再び実行するか、及び/又は、自動化された検出を検証するために手動で画像を見返すか、を決めるのに十分な情報が与えられる場合がある。
【0073】
脳卒中は、命にかかわる深刻な医学的状態の例となる場合があり、また緊急の医学的注意を必要とする場合がある。虚血性脳卒中は、臨床医が治療法の決定を行うべき限られた時間窓を有する状態の一例である。より早く患者が正しい治療を受けられれば、受ける可能性のあるダメージがより少なくなる。この限られた時間窓において、脳組織を保護すべきならば、素早く決断がなされる必要がある場合がある。
図2を参照して上記で説明された方法は、迅速且つ正確な診断を実行する際に臨床医を助けることができる。
【0074】
上記で説明された通り、異常検出手順は、例えば、脳卒中の一つ又は複数の徴候など、一つ又は複数の異常を検出するために、ボリューメトリックNCCTデータを処理することを具備する。
【0075】
いくつかの実施形態において、異常検出手順は、一つ又は複数の異常領域を特定するために、学習済みモデルをボリューメトリックNCCTデータに適用することを具備する。学習済みモデルは、深層学習アルゴリズムを具備する場合がある。学習済みモデルは、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)などのニューラルネットワークを具備する場合がある。学習済みモデルは、U-Netを具備する場合がある。その他の実施形態において、学習済みモデルは、例えば、サポートベクターマシン(SVM)又は回帰フォレスト(regression forest)など、任意の適切な形式の機械学習を具備する場合がある。学習済みモデルは、例えば、強度特徴、勾配特徴及び/又はガボールフィルタ(Gabor filters)のような特徴を利用する場合がある。
【0076】
学習済みモデルは、データストア20に、又はローカル或いはリモートの場合がある任意の適切なメモリに、格納されることができる。その他の実施形態において、学習済みモデルは、例えば、少なくとも一つのASIC又はFPGAを使用することによって、ハードウェアにおいて実装されることができる。
【0077】
学習済みモデルは、例えば、虚血及び/又は高吸収血管の領域をセグメント化するために、脳撮像データにおける異常領域を検出するように学習される。学習済みモデルは、ボリューメトリックNCCTデータの複数の学習セットで学習される。いくつかの実施形態において、ボリューメトリックNCCTデータの学習セットは、グラウンドトゥルースでラベル付けされている。
【0078】
異なる実施形態においては、学習済みモデルへと視線を入力する異なる方法を使用する場合がある。
【0079】
いくつかの実施形態において、共有された重みを伴う深層学習アルゴリズムは、多重タスクを実行するように学習される。深層学習アルゴリズムは、マルチタスク学習を使用して学習される。多重タスクは、異常領域検出と視線方向検出との両方を含むことができる。視線検出は、その他の結果を解釈するために使用されることができる。
【0080】
例えば、
図2の実施形態など、いくつかの実施形態において、視線は、前処理ステップとして検出される。決定された視線方向はその後、脳卒中徴候検出のための入力として使用される。
【0081】
その他の実施形態において、視線検出は、アルゴリズム結果の後処理の間に使用される。例えば、出力される画像は、脳の片側のみが表示されるようにマスクされる場合がある。
【0082】
いくつかの実施形態において、視線方向は、例えば、シグモイド又はReLU(正規化線形ユニット)活性化関数など、学習済みモデルの活性化関数を修正するために使用される。視線方向は、脳の各側についての一つ又は複数のしきい値を修正するために使用される場合がある。脳の片側(例えば、左側)への学習済みモデルの適用は、脳のもう一方の側(例えば、右側)への学習済みモデルの適用とは異なる場合がある。
【0083】
いくつかの実施形態において、学習済みモデルは、自己学習モデルを具備する。自己学習モデルは、使用されている間に学習し続ける。自己学習モデルは、時間を掛けて自動的に改良されることができる。自己学習モデルは、その出力に基づいてその内部アルゴリズムをアップデートすることができる。
【0084】
図2の実施形態において、視線が検出され、且つ脳卒中検出への入力として使用される。視線は、脳卒中に潜在的に関連する脳でない特徴(非脳特徴)であると考えることができる。視線は、臨床徴候又は症状であると考えることができる。
【0085】
その他の実施形態においては、その他の脳でない徴候(非脳徴候)又は症状を考えることができる。非脳徴候又は症状は、脳卒中が発生したことを示す場合があるその他の情報を具備する場合がある。非脳徴候又は症状は、脳卒中が発生した脳の側を示す場合がある情報を具備する場合がある。身体の片側(例えば、身体の左側)における非脳徴候又は症状は、脳の反対側(この例では、右半球)へのダメージを示す。
【0086】
いくつかの実施形態において、少なくとも一つの非脳徴候又は症状が、ボリューメトリックNCCTスキャンから決定される。いくつかの実施形態において、少なくとも一つの非脳徴候又は症状は、同じ患者の更なるスキャンから決定される。係る更なるスキャンは、任意の適切なモダリティ及びプロトコルを使用して取得されることができる。例えば、更なるスキャンは、造影が使用されるCTスキャンの場合がある。
【0087】
患者の身体領域のCTスキャンを実行するときには、三次元(3D)スキャノグラムをまず実行するのが一般的である。3Dスキャノグラムは、実行される予定である領域のローカルスキャンよりも大きな撮像領域(field of view)を有する場合がある。3Dスキャノグラムは、例えば、患者の身体全体など、患者の身体のより大きな領域の低解像度スキャンを具備する場合がある。いくつかの実施形態において、非脳特徴又は臨床情報の項目は、3Dスキャノグラムから決定される。
【0088】
状況によっては、患者の光学像(optical image)を、例えば、CT収集の間など、別の撮像モダリティの収集の間に取ることができる。例えば、患者の画像を、収集の間に取ることができ、且つ係る収集からの撮像データと共に格納することができる。いくつかの実施形態において、脳でない特徴又は臨床情報の項目は、収集の間の光学撮像から決定される。いくつかの実施形態において、非脳徴候又は症状は、その他の光学撮像から決定される。
【0089】
非脳特徴は、患者の体幹上の患者の頭部の相対角度(屈曲した頸部)の場合がある。体幹上の頭部の角度は、患者の頭部が右又は左に偏位する角度を具備する場合がある。体幹上の頭部の角度は、頭部の中心の、前向きの位置に対して測定される場合がある。体幹上の頭部の角度は、視線と同様の方法で脳卒中の側性を示すことができる。頭部が位置する角度は、脳卒中が発生した身体の側を示す場合がある。
【0090】
いくつかの実施形態において、体幹上の頭部の角度は、3Dスキャノグラムから推定される。いくつかの実施形態において、体幹上の頭部の角度は、CT血管造影(CTA)スキャンから推定される。CTAスキャンは、頸動脈を含む場合があり、従って体幹上の頭部の角度を推定するのに十分なだけの頸部を含む場合がある。いくつかの実施形態において、体幹上の頭部の角度は、光学撮像から推定される。体幹上の頭部の角度の推定は、患者がテーブルと正面からアラインされているという想定を使用する場合がある。
【0091】
非脳徴候又は症状は、顔面の非対称性又はその他の非対称性を具備する場合がある。いくつかの実施形態において、顔面の非対称性は、脳卒中が発生したことの示唆となる場合がある。顔面のどちら側が脳卒中によって影響を受けたのかを判定できた場合(例えば、どちら側が下垂及び/又は麻痺によって影響を受けているか)、顔面の非対称性は、脳卒中の側性の示唆を提供する場合がある。脳でない徴候又は症状は、舌偏位を具備する場合がある。
【0092】
いくつかの実施形態において、脳でない徴候又は症状は、喉頭筋の圧迫を具備する。喉頭筋の圧迫は、嚥下障害の徴候の場合がある。嚥下障害は、撮像上で見られる場合がある、脳卒中の臨床症状である。
【0093】
いくつかの実施形態において、ボリューメトリックNCCTデータを使用して及び/又はその他の撮像データを使用して、患者の表面が決定される。例えば、表面を決定するために、スライス対ボリューム再構成(slice to volume reconstructrion:SVR)を使用することができる。結果として生じる表面及び/又は撮像データは、顔面の非対称性又はその他の非対称性を決定するために、自動的に解析されることができる。いくつかの実施形態において、光学カメラからの画像が、顔面の非対称性又はその他の非対称性を決定するために使用される。
【0094】
いくつかの実施形態において、目自体に基づいた視線の決定の代わりに又はそれに加えて、眼筋の緊張が使用される。スキャンが目の水晶体を含まない場合に、眼筋の緊張を使用することができる。眼筋の緊張の決定は、外眼筋の検出及び/又はセグメント化と、視線方向を示す外眼筋の圧迫の特定とを具備する場合がある。係る圧迫は、筋密度がより高く見える原因となる場合がある。
【0095】
更なる実施形態において、非脳徴候又は症状は、例えば、任意の適切な脳疾患及び/又は脳損傷など、任意の形態の脳の状態を示す臨床徴候又は症状の場合がある。異常検出手順において検出される異常領域は、係る脳の状態と関連した任意のタイプの異常の場合がある。係る徴候又は症状は、例えば、係る身体部分の位置及び/又は向き及び/又は動きなど、任意の適当な身体部分の任意のタイプの挙動を含むことができる。
【0096】
上記で説明された実施形態において、視線方向は、単一のNCCTスキャンに対して決定される。その他の実施形態において、視線方向は、複数の収集にわたって比較されることができる。いくつかの実施形態において、NCCTスキャンに対して決定される視線方向は、後続のCTAスキャンに対して決定される視線方向と比較される。CTAスキャンに対して決定された視線方向がNCCTスキャンに対して決定された視線方向と同じでない場合に、フラグ又はその他の警告が生成される。その他の実施形態において、視線方向は、一貫性のある偏位をチェックするために、任意の適切なモダリティ及び/又はプロトコルの任意の回数のスキャンにわたって比較されることができる。更なる実施形態において、任意の非脳特徴又は臨床情報が、複数のスキャンにわたって比較されることができる。
【0097】
上記の実施形態は、虚血性脳卒中についての脳の異常領域の検出について説明した。その他の実施形態において、上記で説明された方法は、出血性脳卒中に対して使用されることができる。更なる実施形態において、上記で説明された方法は、例えば、脳内出血など、任意の適当な脳の状態を示す任意の適当な異常領域に関して使用されることができる。
【0098】
患者は、任意の適切なヒト又は動物被検体の場合がある。医学への言及は、獣医学を含むことができる。
【0099】
更なる実施形態において、検出される徴候又は症状は、脳の状態ではない可能性がある任意の疾患又は状態を示す臨床徴候又は症状の場合がある。任意の適切なタイプの異常を検出することができる。異常検出は、検出された徴候又は症状を利用することができる。代替的に、処理回路は、徴候又は症状が異常と一致するかどうかを決定することができる。
【0100】
いくつかの実施形態においては、例えば、外傷の徴候を示すために、腫れを検出し、且つ使用することができる。係る腫れは、頭蓋骨の外側、又は身体の別の部分の外側にある場合がある。頭部において、腫れの検出は、反衝損傷を探し出すために使用される場合がある。
【0101】
いくつかの実施形態においては、外傷を示すために、軟部組織浮腫の検出を使用することができる。
【0102】
いくつかの実施形態において、臨床像の一部が欠けている可能性がある場合に、徴候及び症状の検出が有用な場合がある。例えば、肺がんの高齢女性の場合について考えてみる。放射線科医は、完全な情報がない状態でスキャンを読影している。係る放射線科医は、係る患者が転倒したことがあるという情報を把握していない。状況によっては、肋骨骨折が、がんの転移のように見える場合がある。係る患者が転倒したことがあるという情報がない場合、肋骨骨折が正しく特定される機会が減る可能性がある。軟部組織浮腫が特定された場合に、係る軟部組織浮腫は、外傷の示唆となる場合がある。
【0103】
下肢浮腫は、特定の状態を示す場合がある。例えば、片側性浮腫は、深部静脈血栓症の探索を促すものとなる場合がある。両側性浮腫は、心不全の付随症状の場合がある。
【0104】
非脳徴候又は症状は、体温を具備する場合がある。カメラベースの撮像は、非脳徴候又は症状を取得するために使用されることができる。例えば、黄疸は、光学撮像に基づいて検出されることができる。
【0105】
上記の多くの実施形態は、医用撮像データの単一のセットに関して説明されており、それは、単回で取得され得る。視線方向の、又は別の臨床徴候又は症状の単一の判定が取得され得る。
【0106】
更なる実施形態において、例えば、被検体の複数のスキャンを取ることによって、時間を掛けて収集される長手方向の医用撮像データが取得される。係る長手方向の医用撮像データは、二回以上被検体を表し得る。視線方向、又は別の臨床徴候又は症状は、係る回ごとに取得され得る。
【0107】
上述されたように、いくつかの実施形態において、視線方向は、複数の収集にわたって比較され得る。NCCTスキャンに対して決定される視線方向は、後続のCTAスキャンに対して決定される視線方向と比較され得る。
【0108】
持続する眼球偏位は、時間を掛けて一貫性のある方向に偏位する眼球偏位であり得る。持続する眼球偏位は、複数のスキャンにわたって一貫性のある方向に偏位する眼球偏位であり得る。例えば、視線方向が二回以上のスキャンにわたって左である場合に、又は視線方向が二回以上のスキャンにわたって右である場合に、持続する眼球偏位が生じていると判定され得る。
【0109】
いくつかの実施形態において、視線検出回路24は、持続する眼球偏位が存在するかどうかを判定する。視線検出回路24は、視線方向が二回連続スキャンにわたって左である場合、又は視線方向が二回連続スキャンにわたって右である場合、持続する眼球偏位が存在すると判定する。二回連続スキャンは、NCCTスキャン及びCTAスキャンを具備し得る。
【0110】
その他の実施形態において、視線検出回路24は、視線の方向が、例えば、三回、四回、又はそれ以上のスキャンなど、任意の適切な回数のスキャンにわたって一貫して左又は右である場合に、持続する眼球偏位が存在すると判定する。視線検出回路24は、視線の方向が所定の時間期間にわたって一貫して左又は右である場合に、持続する眼球偏位が存在すると判定し得る。
【0111】
比較回路28は、異常検出回路29によって出力される脳の側と持続する眼球偏位の方向とを比較し得る。不一致が存在する場合には、フラグが表示され得る。
【0112】
レンダリング回路26は、持続する眼球偏位の方向の簡略化された描写を表示し得る。いくつかの実施形態において、簡略化された描写は、複数のスキャンにおける視線方向の個別の描写を具備する。例えば、一対の目の二つのマンガバージョンが表示され得、ここで、第一の一対の目は、NCCTスキャンにおける視線方向を表し、第二の一対の目は、CTAスキャンにおける視線方向を表す。
【0113】
持続する眼球偏位の任意の適切な視覚的な示唆が、ユーザに提示され得る。例えば、テキスト示唆及び/又は追加のグラフィカル要素が、ユーザに持続する眼球偏位を示すために使用され得る。
【0114】
ある特定の実施形態は、被検体の脳を含む画像データと前記被検体の脳疾患に関する臨床情報とを収集することと、前記画像データに基づいて前記脳疾患による異常な部分を推定することと、前記臨床情報と推定結果との間の一致を前記臨床情報と前記推定結果とを参照することによってチェックすることと、を行うように構成された処理回路を具備する医用画像処理装置を提供する。前記臨床情報は、前記被検体の身体部分の挙動に関する情報の場合がある。前記身体部分の前記挙動は、前記画像データに基づいて指定されることができる。前記処理回路は、前記臨床情報と前記推定結果とが不一致の場合に、参照情報を表示するように更に構成されることができる。前記処理回路は、前記臨床情報と前記推定結果とが不一致の場合に、前記処理の前記領域を前記被検体の前記脳のそれぞれ半分の領域に制限するように更に構成されることができる。
【0115】
ある特定の実施形態は、(MPRビューのような)脳卒中に対して収集された画像(CT)を表示する手段と、複数の非脳特徴(場合によっては臨床情報)を自動的に検出し且つ表示する手段と、前記非脳特徴と脳卒中の複数の自動的に検出された徴候とを比較する手段と、前記非脳特徴と前記自動的に検出された脳卒中徴候とが一致しないときを示す手段と、を具備する医用撮像装置を提供する。
【0116】
非脳特徴は、脳卒中の側性を示す場合がある。装置は、脳の反対側又は特定の側に対する検出を強制するアルゴリズムを再び実行する手段を更に具備する場合がある。脳卒中の徴候は、虚血性、高吸収血管のうちの一方を具備する場合がある。非脳特徴は、共同偏視の場合がある。
【0117】
臨床的に有意な情報は、簡略化された画像レンディション(目のマンガ)を介して示されることができる。適当な面での検出された目のバウンディングボックス内の画像データは、眼球偏位が直接的に解釈されることができるように表示されることができる。目の局所化及びアライメントは、自動的に実行されることができる。
【0118】
非脳特徴は、非対称的な筋緊張の場合がある。非脳特徴は、体幹上の頭部の偏位の場合がある。体幹上の頭部の偏位は、CTA、3Dスキャノグラム、光学的、のうちの少なくとも一つにおいて測定されたものの場合がある。非脳特徴は、顔面の非対称性の場合がある。顔面の非対称性は、光学的に測定されたものの場合がある。ミスマッチは、同じ患者の複数のスキャン間で特定される場合がある。
【0119】
自動的に検出された非脳特徴は、脳卒中徴候の自動的な検出に入力される場合がある。非脳特徴は、脳卒中の徴候の検出に対する直接入力として使用される場合がある(例えば、深層学習アルゴリズムに対する入力として)。非脳特徴は、複数のネットワーク層に入力される場合がある。非脳特徴は、何らかの方法で活性化関数(例えば、シグモイド、ReLUなど)を修正することができる。非脳特徴は、ユーザ解釈を支援するために後処理として使用されることができる。非脳特徴及び脳卒中徴候検出を組み合わせることができる。両方のタイプの検出は、例えば、マルチタスク学習など、単一の深層学習アルゴリズムによって実行されることができる。非脳特徴は、今度はCNNに入力される何らかの形式の学習に入力される場合がある。
【0120】
図3は、実施形態における表示画面を例示する図である。
図3の表示画面62は、表示デバイス16上に表示される。表示画面62には、例えば、描写40と、CT画像64と、オーバレイ画像66と、視線画像70とが含まれる。ユーザは、表示画面62によって、
図2の各ステージで実行される処理結果を俯瞰することができる。
【0121】
CT画像64は、例えば、レンダリング回路26によってレンダリングされた脳の断面である。具体的には、CT画像64は、例えば、異常領域を検出した脳の断面を示している。
【0122】
オーバレイ画像66は、CT画像64に対して、検出された異常領域68がオーバレイされている。具体的には、第2のCT画像66は、例えば、右脳側に異常領域68を示している。
【0123】
視線画像70は、例えば、レンダリング回路26によってレンダリングされた、目の水晶体を含む撮像面の一部である。具体的には、視線画像70には、目領域が示されている。ユーザは、視線画像70によって、直接目の偏位を確認することができる。
【0124】
描写40では、例えば、第一の線画42がハイライトされているため、目の偏位が向かって左を向いていることを示している。また、描画40では、例えば、フラグ50がハイライトされているため、ステージ32で決定された視線方向と、その他の結果とが一致していないことを示している。
【0125】
その他の結果は、例えば、CTスキャンにより検出された脳の異常領域の位置、ユーザにより入力された視線方向、およびCTAスキャンにより検出された頭部の角度などである。これらはいずれも、ステージ32で決定された視線方向と関連がある。
【0126】
前述の
図2のフローチャートは、例えば、以下の
図4から
図6までのフローチャートをそれぞれ内包している。
図4から
図6までのフローチャートは、視線方向と比較する対象とがそれぞれ異なる。
【0127】
図4は、実施形態における第1の具体例を示すフローチャートである。第1の具体例では、CT画像から特定された視線方向と、CT画像から検出された脳の異常領域とを比較する。
【0128】
図4のフローチャートが開始すると、視線検出回路24は、CTスキャナ14によって収集されたCT画像を取得する(ステップST110)。CT画像を取得した後、視線検出回路24は、取得したCT画像に基づいて視線方向を特定する(ステップST120)。また、異常検出回路29は、取得したCT画像に基づいて脳の異常領域を検出する(ステップST130)。
【0129】
視線方向が特定され、脳の異常領域が検出された後、比較回路28は、視線方向と脳の異常領域とを比較し、比較結果に一貫性があるか否かを判定する(ステップST140)。比較結果に一貫性が無い場合、処理はステップST150へ進み、比較結果に一貫性がある場合、処理はステップST160へと進む。
【0130】
ステップST150において、レンダリング回路26は、一貫性が無いことを示すフラグを表示する。フラグは、例えば、
図3の描写40に示される。ステップST160において、レンダリング回路26は、表示デバイス16に結果を表示する。ステップST160の後、
図4のフローチャートは終了する。
【0131】
図5は、実施形態における第2の具体例を示すフローチャートである。第2の具体例では、CT画像から特定された視線方向と、別の方法で特定された視線方向とを比較する。別の方法は、例えば、ユーザによって入力された視線方向である。
【0132】
図5のフローチャートが開始すると、視線検出回路24は、CTスキャナ14によって収集されたCT画像を取得する(ステップST210)。CT画像を取得した後、視線検出回路24は、取得したCT画像に基づいて第1の視線方向を特定する(ステップST220)。
【0133】
次に、計算装置12は、第2の視線方向を取得する(ステップST230)。具体的には、計算装置12は、ユーザによって、入力デバイス18を用いて入力された第2の視線方向を取得する。
【0134】
第1の視線方向が特定され、第2の視線方向が取得された後、比較回路28は、第1の視線方向と第2の視線方向とを比較し、比較結果に一貫性があるか否かを判定する(ステップST240)。比較結果に一貫性が無い場合、処理はステップST250へ進み、比較結果に一貫性がある場合、処理はステップST260へと進む。
【0135】
ステップST250において、レンダリング回路26は、一貫性が無いことを示すフラグを表示する。フラグは、例えば、
図3の描写40に示される。ステップST260において、レンダリング回路26は、表示デバイス16に結果を表示する。ステップST260の後、
図5のフローチャートは終了する。
【0136】
図6は、実施形態における第3の具体例を示すフローチャートである。第3の具体例では、CT画像から特定された視線方向と、CTAスキャンによって検出された脳の異常領域とを比較する。
【0137】
図6のフローチャートが開始すると、視線検出回路24は、CTスキャナ14によって収集されたCT画像を取得する(ステップST310)。CT画像を取得した後、視線検出回路24は、取得したCT画像に基づいて視線方向を特定する(ステップST320)。
【0138】
次に、計算装置12は、CTAスキャンに基づいて脳の異常領域を検出する(ステップST330)。具体的には、計算装置12は、CTスキャナ14によって取得されたCTAスキャンの画像から、脳の異常領域を検出する。
【0139】
視線方向が特定され、脳の異常領域が検出された後、比較回路28は、視線方向と脳の異常領域とを比較し、比較結果に一貫性があるか否かを判定する(ステップST340)。比較結果に一貫性が無い場合、処理はステップST350へ進み、比較結果に一貫性がある場合、処理はステップST360へと進む。
【0140】
ステップST350において、レンダリング回路26は、一貫性が無いことを示すフラグを表示する。ステップST360において、レンダリング回路26は、表示デバイス16に結果を表示する。ステップST360の後、
図6のフローチャートは終了する。
【0141】
本明細書では特定の回路が説明されたが、代替的な実施形態においては、これらの回路のうちの一つ又は複数の機能性は、単一の処理リソース又はその他の構成要素によって提供されることが可能である、或いは、単一の回路によって提供される機能性は、二つ以上の処理リソース又はその他の構成要素の組み合わせによって提供されることが可能である。単一の回路への言及は、係る単一の回路の機能性を提供する複数の構成要素を、そのような構成要素が互いに離れているか否かにかかわらず、包含し、複数の回路への言及は、係る複数の回路の機能性を提供する単一の構成要素を包含する。
【0142】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、脳の異常を容易に把握することができる。
【0143】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0144】
10 医用画像処理装置
30,32,34,38,46,48,52,54,56,58,60 ステージ
40 描写
42 第一の線画
44 第二の線画
50 フラグ
62 表示画面
64 CT画像
66 第2のCT画像
68 異常領域
70 視線画像