(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】嵌合検知構造
(51)【国際特許分類】
H02G 3/14 20060101AFI20240422BHJP
H02G 3/16 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
H02G3/14
H02G3/16
(21)【出願番号】P 2020096697
(22)【出願日】2020-06-03
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】牧野 匡宏
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-346314(JP,A)
【文献】特開2012-182965(JP,A)
【文献】特開平5-49138(JP,A)
【文献】特開2000-32628(JP,A)
【文献】特開2008-281173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/14
H02G 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠状に形成された周壁を有するフレーム、および該フレームに組み付けられて前記周壁の開口を覆うカバー、を備えた箱部材の嵌合検知構造であって、
前記フレームは、前記周壁に設けられて、前記カバーに係合するロック部を含むロックアームを備え、
前記カバーには、前記ロック部が係合する被ロック部が設けられ、
前記ロックアームは、前記カバーに近付いて前記被ロック部に係合する係合位置と、前記カバーから離隔して前記被ロック部に係合しない非係合位置と、に弾性変形可能に設けられ、
前記被ロック部には、前記カバーの前記フレームへの組付け方向に沿って延びる溝部が設けられ、
前記ロックアームが前記係合位置にある際に、
前記フレームおよび前記カバーは嵌合状態であって、前記ロック部が前記溝部の延長方向に位置し
て、光が前記ロック部により遮られて前記光が通過不可能であり、
前記ロックアームが前記非係合位置にある際に、
前記フレームおよび前記カバーは非嵌合状態であって、前記ロック部が前記溝部の前記延長方向から外れた位置に設けられ
て、光が前記溝部内の空間を通過可能であることを特徴とする嵌合検知構造。
【請求項2】
前記箱部材を収容可能な枠状の嵌合検知部材を備え、
前記嵌合検知部材は、前記溝部の延長方向に連続して光を通過させる貫通部を有していることを特徴とする請求項1に記載の嵌合検知構造。
【請求項3】
前記箱部材を収容可能な枠状の嵌合検知部材を備え、
前記箱部材および前記嵌合検知部材は、互いに異なる色に着色されていることを特徴とする請求項1に記載の嵌合検知構造。
【請求項4】
前記箱部材は、内部に電気部品を収容して電気接続箱を構成することを特徴とする請求項1~3のうち何れか一項に記載の嵌合検知構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嵌合検知構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電気自動車(ハイブリッド車を含む)には、バッテリとインバータなどを相互に電気的に接続するために、従来から種々の電気接続箱が搭載されている(例えば、特許文献1参照)。前述した電気接続箱は、ヒューズ、リレー、バスバなどを有して、ジャンクションブロック、ヒューズブロック、リレーボックスとも呼ばれる。本明細書では、これらを総称して、電気接続箱と記す。
【0003】
特許文献1に記載された電気接続箱は、リレー、ヒューズ、バスバ等を含む配索材と、これら配索材が収容される箱部材と、を備える。箱部材は、開口を有するケース本体と、ケース本体に挿入されて該ケース本体の開口を覆うロアカバーと、を備える。ケース本体とロアカバーは、ロック機構を介して相互に組み付けられる。ロック機構は、ケース本体の周壁の外面に突設されたコ字型のロック枠と、ロアカバーの周壁から延出されて、ロック枠に差し込まれて係止される差込み片と、を備える。差込み片には、ロック枠の差込み方向側の端面に係止するロック突起が設けられている。
【0004】
このような本体ケースにロアカバーを組み付ける際には、ロアカバーの各差込み片を、本体ケースの対応するロック枠に挿入する。これにより、各差込み片のロック突起が、ロック枠に当接する。さらに挿入が進んで、各差込み片が撓んで、ロック突起がロック枠を乗り越えて、ロック突起がロック枠の差込み方向側の端面に係止する。こうして、本体ケースにロアカバーが組み付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の電気接続箱を組立てる際、ロアカバーにおける各差込み片のロック突起がロック枠に係止されているか否かを作業者が目視で確認していた。このため、各差込み片のロック突起がロック枠に係止されていない状態(箱部材が半嵌合状態)のまま、次の作業工程に進んでしまう場合があった。
【0007】
本発明は、箱部材が半嵌合状態であることを組立て過程で検知する嵌合検知構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、枠状に形成された周壁を有するフレーム、および該フレームに組み付けられて前記周壁の開口を覆うカバー、を備えた箱部材の嵌合検知構造であって、前記フレームは、前記周壁に設けられて、前記カバーに係合するロック部を含むロックアームを備え、前記カバーには、前記ロック部が係合する被ロック部が設けられ、前記ロックアームは、前記カバーに近付いて前記被ロック部に係合する係合位置と、前記カバーから離隔して前記被ロック部に係合しない非係合位置と、に弾性変形可能に設けられ、前記被ロック部には、前記カバーの前記フレームへの組付け方向に沿って延びる溝部が設けられ、前記ロックアームが前記係合位置にある際に、前記フレームおよび前記カバーは嵌合状態であって、前記ロック部が前記溝部の延長方向に位置して、光が前記ロック部により遮られて前記光が通過不可能であり、前記ロックアームが前記非係合位置にある際に、前記フレームおよび前記カバーは非嵌合状態であって、前記ロック部が前記溝部の前記延長方向から外れた位置に設けられて、光が前記溝部内の空間を通過可能であることを特徴とする嵌合検知構造である。
【0009】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、前記箱部材を収容可能な枠状の嵌合検知部材を備え、前記嵌合検知部材は、前記溝部の延長方向に連続して光を通過させる貫通部を有していることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、前記箱部材を収容可能な枠状の嵌合検知部材を備え、前記箱部材および前記嵌合検知部材は、互いに異なる色に着色されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4に記載された発明は、請求項1~3のうち何れか一項に記載の発明において、前記箱部材は、内部に電気部品を収容して電気接続箱を構成することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、ロックアームが係合位置にある際に、ロック部が溝部の延長方向に位置し、ロックアームが非係合位置にある際に、ロック部が溝部の前記延長方向から外れた位置に設けられる。これによれば、フレームおよびカバーを含む箱部材の組立て過程において、ロックアームが非係合位置にある際に、被ロック部の溝部内の空間が作業者により視認されることで、作業者はロックアームが非係合位置にあることを検知することができる。これにより、作業者は、箱部材が半嵌合状態であることを検知でき、箱部材が半嵌合状態のまま、次の作業工程に進んでしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る嵌合検知構造が適用されて組み立てられた箱部材を示す斜視図である。
【
図2】前記箱部材を構成するカバーの被係合部を示す斜視図である。
【
図3】前記箱部材を構成するフレームのロックアームが係合位置にある状態を示す斜視図である。
【
図5】前記箱部材を構成するフレームのロックアームが非係合位置にある状態を示す斜視図である。
【
図7】前記箱部材の組立て過程を説明する斜視図である。
【
図8】前記ロックアームが係合位置にある状態を一部断面で示す斜視図である。
【
図9】前記ロックアームが非係合位置にある状態を一部断面で示す斜視図である。
【
図10】前記ロックアームの係合を解除する様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態を
図1~10に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る嵌合検知構造1が適用されて組み立てられた箱部材2を示す斜視図である。
【0015】
嵌合検知構造1は、
図1、7に示すように、フレーム3及びロアカバー4(カバー)等を含む箱部材2と、該箱部材2を収容可能な収容部10(
図7に示す)を有して、箱部材2が半嵌合状態であることを検知する嵌合検知部材11(
図7に示す)と、を備える。なお、本実施形態において、半嵌合状態とは、フレーム3に設けられて、ロアカバー4の被ロック部40(後述する)に係合するロックアーム5(後述する)が、ロアカバー4に係合しない位置(非係合位置)にある状態のことを意味する。
【0016】
箱部材2は、ヒューズやリレー等の電気部品(不図示)、および配線盤(不図示)、を備えて電気接続箱を構成する。電気接続箱は、電動機の駆動力により走行する電気自動車(ハイブリッド車を含む)等の自動車に搭載されて電源から負荷に電源分配を行うものである。
【0017】
箱部材2は、
図1に示すように、枠状に形成されたフレーム本体30(周壁)を有するフレーム3と、該フレーム3に組み付けられてフレーム本体30の一方(
図1における上方)の開口を覆うロアカバー4と、該フレーム3に組み付けられてフレーム本体30の他方(
図1における下方)の開口を覆うアッパカバー(不図示)と、を備える。
【0018】
本実施形態では、フレーム本体30の軸方向(上下方向Y1、Y2と記す場合がある)であって、ロアカバー4がフレーム3に組み付けられる組付け方向を矢印Y1で示し、矢印Y1とは反対方向を矢印Y2で示す。なお、
図1において、箱部材2は、ロアカバー4がフレーム3の上方に描かれている。
【0019】
フレーム本体30には、
図3に示すように、ロアカバー4が組み付けられるカバー組付け部31が設けられている。カバー組付け部31は、フレーム本体30において、矢印Y2方向の端部を含む一部から構成されている。
【0020】
カバー組付け部31は、
図8に示すように、第1壁32と、該第1壁32の内側(フレーム本体30の内方)に対向する第2壁33と、第1壁32の外面(第2壁33と反対側の面)から突出して設けられて、ロアカバー4の被ロック部40に係合するロックアーム5と、を備えて構成されている。第1壁32と第2壁33との間には、ロアカバー4の(後述する)挿入壁部43が挿入される。
【0021】
ロックアーム5は、
図1に示すように、フレーム本体30の周方向Rに間隔をあけて複数設けられている。ロックアーム5は、
図3、8に示すように、ロアカバー4の被ロック部40を嵌合案内するとともに弾性アーム6を含む案内壁部51と、弾性アーム6から突出して設けられて被ロック部40に係合するアーム側係合突起52(
図8に示す)と、を備えて構成されている。
【0022】
案内壁部51は、
図3に示すように、周方向Rに間隔をあけて立設される一対の立設壁部54、54と、該一対の立設壁部54、54の立設方向側の端部同士を連結するとともに第1壁32に対向する対向壁55と、該対向壁55の一部を含んで構成された弾性アーム6と、を有してコ字状に形成されている。
【0023】
対向壁55には、
図3に示すように、一対のスリット55a、55aが形成されている。一対のスリット55a、55aは、対向壁55の周方向Rに間隔をあけて設けられ、組付け方向(矢印Y1)の端部を切り欠いて、上下方向Y1、Y2に連続形成されている。対向壁55において、一対のスリット55a、55a間の一部(以下では、アーム本体61と記す)が、後述する弾性アーム6の一部を構成する。
【0024】
弾性アーム6は、
図3に示すように、対向壁55の一部から成るアーム本体61と、該アーム本体61から組付け方向(矢印Y1)に延出された延出片62と、を有して構成されている。このような弾性アーム6は、第1壁32に接離する方向に弾性変形可能に構成されているとともに、第1壁32に近付いて、ロアカバー4の被ロック部40に係合する係合位置と、第1壁32から離隔して被ロック部40に係合しない非係合位置と、に変位可能に構成されている。
【0025】
弾性アーム6は、係合位置にある際に、
図3、4に示すように、対向壁55の他の部分と同一平面上にあり、非係合位置にある際に、
図5、6に示すように、第1壁32に向かう付勢力を有しつつ、被ロック部40から離隔して設けられる。このような弾性アーム6が係合位置にある際に、
図8に示すように、後述するアーム側係合突起52が、被ロック部40の溝部45d(後述する)の延長方向(Y2方向)に位置し、
図9に示すように、弾性アーム6が非係合位置にある際に、アーム側係合突起52が溝部45dの延長方向から外れた位置に設けられるようになっている。
【0026】
アーム側係合突起52は、
図8に示すように、弾性アーム6の第1壁32側の内面から突出して設けられているとともに、アーム側傾斜面52aと、アーム側直交面52bと、を有して構成されている。アーム側傾斜面52aは、組付け方向(矢印Y1)に進むにしたがって、弾性アーム6から離れる方向に傾斜する傾斜面から構成されている。アーム側直交面52bは、アーム側傾斜面52aの組付け方向(矢印Y1)の端部に連続するとともに弾性アーム6の面に対して直交する直交面から構成されている。
【0027】
本実施形態では、
図8に示すように、アーム側係合突起52のアーム側直交面52b、およりカバー側係合突起45のカバー側直交面45bのうち、アーム側直交面52bがカバー側直交面45bの矢印Y2方向側に位置し、これらアーム側直交面52bとカバー側直交面45bとが対向配置された状態を、ロック嵌合状態と記す。ロック嵌合状態では、アーム側係合突起52が、溝部45dの延長方向(Y2方向)に位置にしている。
【0028】
ロアカバー4は、
図2に示すように、フレーム本体30の一方(
図1における上方)の開口を覆うカバー本体41と、カバー本体41から立設されて、フレーム本体30のカバー組付け部31に組み付けられる側壁部42と、を備える。
【0029】
側壁部42は、
図2に示すように、カバー本体41から板状に立設されて、フレーム3の第1壁32と第2壁33との間に挿入される挿入壁部43と、被ロック部40と、を備える。被ロック部40は、差込み片44と、差込み片44に設けられてカバー組付け部31のアーム側係合突起52に係合するカバー側係合突起45と、ガイド突条部46と、を備える。被ロック部40は、フレーム3のロックアーム5に対応する位置に設けられている。
【0030】
差込み片44は、
図2に示すように、カバー本体41の周縁から組付け方向(矢印Y1)に板状に立設して設けられ、フレーム3の案内壁部51に挿入可能に構成されている。差込み片44の先端は、挿入壁部43の先端より、組付け方向(矢印Y1)側に位置している。また、差込み片44は、挿入壁部43の外方に対向して設けられ、フレーム3にロアカバー4が組み付けられた際に、挿入壁部43と差込み片44との間に、フレーム3の第1壁32が進入されるようになっている。
【0031】
カバー側係合突起45は、
図2に示すように、差込み片44の弾性アーム6に対向する外面から突出して設けられているとともに、カバー側傾斜面45aと、カバー側直交面45bと、頂面45cと、溝部45dと、を有して構成されている。
【0032】
カバー側傾斜面45aは、組付け方向(矢印Y1)に進むにしたがって、差込み片44に近付く方向に傾斜する傾斜面から構成されている。このカバー側傾斜面45aの組付け方向(矢印Y1)側の端部は、差込み片44の組付け方向(矢印Y1)側の端部から矢印Y2方向に離間した位置に設けられている。カバー側直交面45bは、差込み片44の面に対して直交する直交面から構成されている。頂面45cは、カバー側傾斜面45aとカバー側直交面45bとの間に設けられているとともに、カバー側傾斜面45aは、頂面45cの組付け方向(Y1方向)側に連続して設けられ、カバー側直交面45bは、頂面45cの組付け方向の反対側(Y2方向)に連続して設けられている。
【0033】
溝部45dは、
図2、8、9に示すように、差込み片44の幅方向(R方向)の中間部に設けられているとともに、カバー側傾斜面45a、カバー側直交面45b、および頂面45cを切り欠いて、組付け方向(矢印Y1)に沿って延びて形成されている。この溝部45dの底面45e(
図8、9に示す)は、頂面45cより低く、差込み片44の表面44aより僅かに高い位置となるように形成されている。
【0034】
ガイド突条部46は、
図2に示すように、差込み片44の外方(対向壁55側)に向けて突出して一対設けられている。一対のガイド突条部46、46は、差込み片44の幅方向(R方向)の両端部に設けられているとともに、組付け方向(矢印Y1)の全長に突条に連続して設けられている。各ガイド突条部46の頂面は、カバー側係合突起45の頂面45cと同じ高さ位置になるように構成されている。一対のガイド突条部46、46は、差込み片44がロックアーム5の案内壁部51に挿入された際に、カバー側係合突起45が、ロックアーム5のアーム側係合突起52の上方(矢印Y2)に位置するように、差込み片44を挿入ガイドする。
【0035】
嵌合検知部材11は、
図7に示すように、フレーム3を収容可能な収容部10を有して直方体状に形成されている。嵌合検知部材11は、フレーム3が収容部10に収容された状態で、フレーム3を支持し、開口部10Aからフレーム3内に、ヒューズやリレー等の電気部品や配線盤の設置を可能とするように構成されている。
【0036】
収容部10は、開口部10Aに連続する貫通部11Aを有して構成されている。貫通部11Aは、溝部45dの延長方向(矢印Y1、Y2)に連続して設けられて、溝部45d内の空間Sを介して光を通過させるように構成されている。
【0037】
次に、嵌合検知部材11を用いて、フレーム3にロアカバー4を組み付ける手順について、
図7~9を参照して説明する。
【0038】
まず、予め、不図示の作業台に、嵌合検知部材11を設置する。次に、フレーム3を、カバー組付け部31が鉛直方向の上方に位置する格好で、嵌合検知部材11の収容部10に収容する。そして、フレーム3の内部の適宜の位置に、ヒューズやリレー等の電気部品、配線盤を設置して配索しておく。
【0039】
次に、フレーム3のカバー組付け部31に、ロアカバー4の側壁部42を近付ける。差込み片44がロックアーム5の案内壁部51に挿入される。挿入が進んで、差込み片44の先端が、ロックアーム5のアーム側傾斜面52aに当接する。さらに挿入が進んで、差込み片44によってアーム側傾斜面52aが押されて、弾性アーム6が撓む。さらに挿入が進んで、アーム側傾斜面52aにカバー側傾斜面45aが当接し、カバー側傾斜面45aがアーム側傾斜面52aに摺動する。さらに挿入が進んで、さらに挿入が進んで、頂面45cがアーム側傾斜面52aに当接し摺動して、アーム側係合突起52を乗り越えて、カバー側直交面45bがアーム側直交面52bの組付け方向(矢印Y1)側に位置し、これらアーム側直交面52bとカバー側直交面45bとが対向配置される。弾性アーム6が弾性復帰する。こうして、フレーム3のロックアーム5が、ロアカバー4の被ロック部40に係合してロック嵌合状態となる。このようにして、フレーム3のカバー組付け部31にロアカバー4を組み付ける。
【0040】
ここで、作業者は、フレーム3とロアカバー4がロック嵌合状態であることを確認するために、
図7に示すように、収容部10の貫通部11Aから光Lを照射する。なお、光Lは、室内灯や自然光であってもよく、作業台や収容部10に予め備えられた光源であってもよい。ロックアーム5の弾性片6が係合位置にある際には、照射された光Lは、
図8に示すように、アーム側係合突起52により遮られて作業者に視認されないが、仮に、ロックアーム5の弾性片6が撓んだままの非係合位置にある際には、照射された光Lは、
図9に示すように、溝部45d内の空間Sを通過して、貫通部11Aおよび開口部10Aから作業者に視認される。このように、作業者は、収容部10の開口部10Aから内部を目視した際に、溝部45d内の空間Sから漏れた光を視認することで、フレーム3とロアカバー4が半嵌合状態であることを検知し、空間Sから漏れた光が視認されない場合に、フレーム3とロアカバー4がロック嵌合状態であることを認識できる。
【0041】
なお、上述した実施形態では、収容部10は、溝部45d内の空間Sを通過する光を視認させる貫通部11Aを有し、作業者は、溝部45d内の空間Sから漏れた光を、貫通部11Aを介して視認することで、フレーム3とロアカバー4が半嵌合状態であることを検知しているが、本発明はこれに限定されるものではない。ここで、一般的に、フレーム3およびロアカバー4は、黒色に着色されているため、収容部10(嵌合検知部材)は、白色となるように着色されていてもよい。即ち、収容部10は、フレーム3およびロアカバー4と異なる色に着色されていてもよい。これによれば、作業者は、溝部45d内の空間Sが白色であることを視認することで、フレーム3とロアカバー4が半嵌合状態であることを検知してもよい。なお、本実施形態では、収容部10は、白色となるように着色されているが、例えば黄色に着色されていてもよい。或いは、嵌合検知部材11は、光を反射させる色に着色されていてもよい。これによれば、より一層、溝部45d内の空間Sに対する視認性の向上が図られる。
【0042】
次に、フレーム3のロックアーム5のロアカバー4の被ロック部40に対する係合を解除する手順について、
図10を参照して説明する。ロックアーム5が被ロック部40に係合した状態で、
図10に示すように、マイナスドライバー等の治具Bの先端を、溝部45dに近付けて、差込み片44とアーム側係合突起52との間に差し込んで、矢印Y2方向に挿入する。さらに挿入が進んで、マイナスドライバーBの先端によって、アーム側傾斜面52aとアーム側直交面52bの頂部が押され、弾性片6が撓んで、アーム側係合突起52がカバー側係合突起45に対する対向位置から退避する。この状態のまま、差込み片44を引抜き方向(矢印Y2)に移動させる。これにより、フレーム3のロックアーム5のロアカバー4の被ロック部40に対する係合が解除される。これによれば、溝部45d内の空間Sに、マイナスドライバー等の治具Bの先端を差し込むことで、ロックアーム5の被ロック部40に対する係合が解除されるから、ロックアーム5の被ロック部40に対する係合を解除するための作業時間を短縮することができる。
【0043】
上述した実施形態によれば、ロックアーム5が係合位置にある際に、アーム側係合突起52(ロック部)が溝部45dの延長方向(Y2方向)に位置し、ロックアーム5が非係合位置にある際に、アーム側係合突起52が溝部45dの延長方向から外れた位置に設けられる。これによれば、フレーム3およびロアカバー4(カバー)を含む箱部材2の組立て過程において、ロックアーム5が非係合位置にある際に、被ロック部40の溝部45d内の空間Sが作業者により視認されることで、作業者はロックアーム5が非係合位置にあることを検知することができる。これにより、作業者は、箱部材2が半嵌合状態であることを検知でき、箱部材2が半嵌合状態のまま、次の作業工程に進んでしまうことを抑制することができる。
【0044】
また、箱部材2を収容可能な枠状の嵌合検知部材11を備え、嵌合検知部材11は、溝部45d内の空間Sの延長方向(矢印Y1、Y2)に連続して、光を通過させる貫通部11Aを有している。これによれば、収容部10に照射された光Lが、貫通部11Aから、溝部45d内の空間Sを介して作業者に視認される。即ち、収容部10に照射された光Lにより、溝部45d内の空間Sに対する視認性の向上が図られる。
【0045】
また、箱部材2を収容可能な枠状の嵌合検知部材11を備え、箱部材2および嵌合検知部材11は、互いに異なる色に着色されている。これによれば、溝部45d内の空間Sに対する視認性の向上が図られる。
【0046】
また、箱部材2は、内部に電気部品を収容して電気接続箱を構成する。これによれば、電気接続箱を組み立てる組立て過程において、箱部材2が半嵌合状態であることを検知できる。
【0047】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0048】
1 嵌合検知構造
2 箱部材
3 フレーム
4 ロアカバー(カバー)
5 ロックアーム
10 収容部
11A 貫通部
11 嵌合検知部材
30 フレーム本体(周壁)
40 被ロック部
45d 溝部
52 アーム側係合突起(ロック部)
Y1 組付け方向