IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-画像形成装置及びシート給送装置 図1
  • 特許-画像形成装置及びシート給送装置 図2
  • 特許-画像形成装置及びシート給送装置 図3
  • 特許-画像形成装置及びシート給送装置 図4
  • 特許-画像形成装置及びシート給送装置 図5
  • 特許-画像形成装置及びシート給送装置 図6
  • 特許-画像形成装置及びシート給送装置 図7
  • 特許-画像形成装置及びシート給送装置 図8
  • 特許-画像形成装置及びシート給送装置 図9
  • 特許-画像形成装置及びシート給送装置 図10
  • 特許-画像形成装置及びシート給送装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】画像形成装置及びシート給送装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20240422BHJP
   G03G 21/12 20060101ALI20240422BHJP
   B65H 3/46 20060101ALI20240422BHJP
   B65H 3/52 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
G03G21/16 161
G03G21/12
G03G21/16 147
G03G21/16 195
B65H3/46 D
B65H3/52 330Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020131919
(22)【出願日】2020-08-03
(65)【公開番号】P2022028486
(43)【公開日】2022-02-16
【審査請求日】2023-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 雅俊
【審査官】梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-083441(JP,A)
【文献】特開2003-345221(JP,A)
【文献】特開2006-003590(JP,A)
【文献】特開2015-138224(JP,A)
【文献】特開2002-244531(JP,A)
【文献】特開2006-133497(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 21/12
G03G 21/16 - 21/18
B65H 3/46
B65H 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成手段を備えた装置本体と、前記装置本体に対して着脱可能なユニットと、を有する画像形成装置であって、
前記ユニットに設けられた第1回転部材と、
前記装置本体に設けられ、前記第1回転部材の回転軸線方向に移動されることで前記第1回転部材と連結及び連結解除される第2回転部材と、
前記装置本体に設けられ、前記装置本体に装着されている前記ユニットが前記回転軸線方向に交差する取り外し方向に取り外されることを規制する第1位置と、前記装置本体に装着されている前記ユニットが前記取り外し方向に取り外されることを許容する第2位置と、に移動可能な規制部材と、
を有し、
前記規制部材は、前記第2回転部材と係合する係合部を有し、前記第1位置から前記第2位置への移動に伴って前記第2回転部材を移動させて前記第1回転部材から連結解除させる、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記装置本体に設けられ、前記規制部材を前記第1位置へ向けて付勢する付勢手段と、
前記ユニットに設けられ、前記ユニットを取り外し方向とは反対の装着方向に移動させる動作に伴って、前記付勢手段の付勢力に抗して前記規制部材が前記第1位置から前記第2位置に移動するように前記規制部材を押圧する押圧部と、
をさらに有し、
前記ユニットが所定の装着位置まで前記装着方向に移動すると、前記付勢手段の付勢力により前記規制部材が前記第2位置から前記第1位置へ移動し、前記規制部材の前記第1位置から前記第2位置への移動に伴って前記第2回転部材が前記第1回転部材と連結される、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記規制部材は、前記押圧部により前記装着方向に押圧されている状態で前記回転軸線方向において前記第1位置から前記第2位置に向かう方向の分力が生じるように、前記装着方向に対して傾斜した傾斜部を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記押圧部は、前記規制部材を前記装着方向に押圧している状態で前記回転軸線方向において前記第1位置から前記第2位置に向かう方向の分力を前記規制部材に作用させるように、前記装着方向に対して傾斜した傾斜部を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記付勢手段は、前記装置本体と前記規制部材との間に配置された弾性体である、
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記規制部材は、オペレータが前記規制部材を前記第1位置から前記第2位置へ移動させる操作を行うための操作部を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1回転部材は、シートに当接するローラ部材である、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
シートが積載される積載部と、
前記積載部に積載されたシートを給送する給送ローラと、
をさらに有し、
前記ローラ部材は、前記給送ローラに当接して前記給送ローラとの間にニップ部を形成し、前記ニップ部においてシートに摩擦力を作用させることで、前記給送ローラに接触しているシートを前記給送ローラに接触しているシート以外のシートから分離する、
ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第2回転部材の回転を検知する検知手段をさらに有する、
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記装置本体に設けられ、前記第1回転部材を回転させる駆動源をさらに有し、
前記第1回転部材及び前記第2回転部材が連結された状態で、前記第1回転部材及び前記第2回転部材を介して伝達される駆動力によって前記ローラ部材が回転する、
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記装置本体に設けられ、前記第1回転部材を回転させる駆動源をさらに有し、
前記ユニットは、トナーを収容する容器と、前記容器の内部に配置され、前記第2回転部材と連結され、回転することで前記トナーを搬送するスクリューと、を備え、
前記第1回転部材及び前記第2回転部材が連結された状態で、前記第1回転部材及び前記第2回転部材を介して伝達される駆動力によって前記スクリューが回転する、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
シートを給送する給送ローラと、前記給送ローラを支持する装置本体と、前記装置本体に対して着脱可能なユニットと、を有するシート給送装置であって、
前記ユニットに設けられ、前記給送ローラに当接して前記給送ローラとの間にニップ部を形成し、前記ニップ部においてシートに摩擦力を作用させることで、前記給送ローラに接触しているシートを前記給送ローラに接触しているシート以外のシートから分離する分離ローラと、
前記装置本体に設けられ、前記分離ローラの回転軸線方向に移動されることで前記分離ローラと連結及び連結解除されるローラ軸と、
前記装置本体に設けられ、前記装置本体に装着されている前記ユニットが前記回転軸線方向に交差する取り外し方向に取り外されることを規制する第1位置と、前記装置本体に装着されている前記ユニットが前記取り外し方向に取り外されることを許容する第2位置と、に移動可能な規制部材と、
を有し、
前記規制部材は、前記ローラ軸と係合する係合部を有し、前記第1位置から前記第2位置への移動に伴って前記ローラ軸を移動させて前記分離ローラから連結解除させる、
ことを特徴とするシート給送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成装置及びシートを給送するシート給送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等の画像形成装置は、記録媒体であるシートを給送するシート給送装置を備えている。シート給送装置は、複数枚のシートが重なり合った状態で搬送されること(重送)を防ぐためにシートを分離する分離機構を有している。この種の分離機構は、シートを給送する給送ローラに当接してニップ部を形成し、ニップ部においてシートに摩擦力を作用させることでシートの分離を行うパッド状又はローラ状の分離部材を含む。
【0003】
シートの給送が繰り返されることで分離部材の表面が摩耗すると分離性能が低下するため、通常、ユーザ又はサービス担当者に対して定期的に分離部材の交換を行うことが推奨される。特許文献1には、分離ローラを保持しているホルダ部材を着脱可能な給紙装置において、さらにストッパ部材を上下のスライド動作により着脱することで、ホルダ部材の位置決めと脱落の規制を行う構成が記載されている。特許文献2には、給紙ローラを分離パッドの抜け止めとして利用し、給紙ローラを取り外すことで分離パッドが搬送ガイドのガイド面から突出して着脱が容易になることが記載されている。
【0004】
また、シートを分離する分離機構に限らず、画像形成装置は、部材の交換やメンテナンスを行うために着脱可能なユニットを有している場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-204150号公報
【文献】特開2011-132035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
着脱可能なユニットの着脱手順が少なくなれば、ユーザ又はサービス担当者等が行う着脱作業が容易になる。その場合、作業時間が短縮されてダウンタイムが短くなる等の利点が得られる。
【0007】
そこで、本発明は、ユニットの着脱をより容易なものとすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る画像形成装置は、シートに画像を形成する画像形成手段を備えた装置本体と、前記装置本体に対して着脱可能なユニットと、を有する画像形成装置であって、前記ユニットに設けられた第1回転部材と、前記装置本体に設けられ、前記第1回転部材の回転軸線方向に移動されることで前記第1回転部材と連結及び連結解除される第2回転部材と、前記装置本体に設けられ、前記装置本体に装着されている前記ユニットが前記回転軸線方向に交差する取り外し方向に取り外されることを規制する第1位置と、前記装置本体に装着されている前記ユニットが前記取り外し方向に取り外されることを許容する第2位置と、に移動可能な規制部材と、を有し、前記規制部材は、前記第2回転部材と係合する係合部を有し、前記第1位置から前記第2位置への移動に伴って前記第2回転部材を移動させて前記第1回転部材から連結解除させる、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様に係るシート給送装置は、シートを給送する給送ローラと、前記給送ローラを支持する装置本体と、前記装置本体に対して着脱可能なユニットと、を有するシート給送装置であって、前記ユニットに設けられ、前記給送ローラに当接して前記給送ローラとの間にニップ部を形成し、前記ニップ部においてシートに摩擦力を作用させることで、前記給送ローラに接触しているシートを前記給送ローラに接触しているシート以外のシートから分離する分離ローラと、前記装置本体に設けられ、前記分離ローラの回転軸線方向に移動されることで前記分離ローラと連結及び連結解除されるローラ軸と、前記装置本体に設けられ、前記装置本体に装着されている前記ユニットが前記回転軸線方向に交差する取り外し方向に取り外されることを規制する第1位置と、前記装置本体に装着されている前記ユニットが前記取り外し方向に取り外されることを許容する第2位置と、に移動可能な規制部材と、を有し、前記規制部材は、前記ローラ軸と係合する係合部を有し、前記第1位置から前記第2位置への移動に伴って前記ローラ軸を移動させて前記分離ローラから連結解除させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユニットの装着がより容易なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る画像形成装置の概略図。
図2】実施例1に係る廃トナー回収装置の概略図。
図3】実施例1に係る回収ユニットの着脱について説明するための図(a~f)。
図4】実施例2に係るシート給送装置の概略図。
図5】実施例2に係る分離ユニットの斜視図(a、b)。
図6】実施例2に係る分離ユニットとシャッタ部材の位置関係について説明するための図(a~c)。
図7】実施例2に係る分離ユニットとシャッタ部材の位置関係について説明するための断面図。
図8】実施例2に係る分離ユニットの内部を示す斜視図。
図9】実施例2に係るロータリーエンコーダを示す斜視図。
図10】実施例2に係る分離ユニットの着脱について説明するための図(a~f)。
図11】実施例3に係る分離ローラの駆動構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、本開示の実施形態に係る画像形成装置としてのカラーレーザープリンタ(以下、プリンタ1とする)の概略図である。プリンタ1は、画像形成部100Aと、シート給送装置30と、を有する。画像形成部100Aは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー像を担持する4つの感光ドラム101Y、101M、101C、101Kを備える。また、画像形成部100Aは、これら4つの感光ドラムと接触する無端状の中間転写ベルト102と、中間転写ベルト102の内周側に配置された一次転写ローラ106Y、106M、106C、106Kと、を備える。さらに、画像形成部100Aは、中間転写ベルト102に転写された画像をシートSに二次転写する二次転写ローラ105と、中間転写ベルト102を挟んで二次転写ローラ105に対向する対向ローラ105aと、を備える。
【0014】
感光ドラム101Y、101M、101C、101Kは、電子写真プロセスにおいて静電潜像及びトナー像を担持する像担持体として機能する。中間転写ベルト102、一次転写ローラ106Y、106M、106C、106K及び二次転写ローラ105からなる転写機構は、像担持体に形成されたトナー像をシートSに転写する転写手段として機能する。なお、記録媒体であるシートSとしては、普通紙及び厚紙等の紙、プラスチックフィルム、布、コート紙のような表面処理が施されたシート材、封筒やインデックス紙等の特殊形状のシート材等、サイズ及び材質の異なる多様なシート材を使用可能である。
【0015】
画像形成部100Aにおいて画像形成動作が開始されると、感光ドラム101Y、101M、101C、101Kが回転し、帯電器は感光ドラム101Y、101M、101C、101Kの表面が一様に帯電させる。そして、レーザースキャナ103により画像信号に応じた光が感光ドラム101Y、101M、101C、101Kに照射される結果、感光ドラム101Y、101M、101C、101Kの上に静電潜像が形成される。これらの静電潜像は、印刷すべき画像情報をイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色の単色画像に分解したものに対応する。
【0016】
次に、現像カートリッジ104Y、104M、104C、104Kに収納された現像剤としてのトナーを用いて静電潜像の現像が行われることにより、感光ドラム101Y、101M、101C、101K上にトナー像(可視像)が形成される。感光ドラム101Y、101M、101C、101K上に形成されたトナー像は、一次転写ローラ106Y、106M、106C、106Kにより、中間転写ベルト102に一次転写される。このとき、各色のトナー像が互いに重なり合うように重畳されることで、中間転写ベルト102上にフルカラーのトナー像が形成される。中間転写ベルト102上のトナー像は、中間転写ベルト102の回転により、二次転写ローラ105と対向ローラ105aとの間に形成されたニップ部である二次転写部へ搬送される。
【0017】
このようなトナー像形成動作に並行して、シート給送装置30からシートSが1枚ずつ給送される。シート給送装置30は、シートSが積載された状態で収納される積載部としてのカセット35と、カセット35の最上位のシートSを繰り出すピックアップローラ25と、を有する。シート給送装置30は、さらにピックアップローラ25からシートSを受け取って搬送する給送ローラ26と、給送ローラ26に当接してニップ部(分離ニップ)を形成する分離ローラ11と、を有する。分離ローラ11は、分離ニップにおいてシートに摩擦力を作用させることで、給送ローラ26に接触しているシートを給送ローラ26に接触しているシート以外のシートから分離する分離部材として機能する。
【0018】
シート給送装置30から給送されるシートSは、レジストレーションローラ対110によって斜行補正された後、二次転写部に向けて搬送される。ここで、シートSと中間転写ベルト102上に形成されたトナー像との位置合わせを行うために、レジストレーションローラ対110の搬送速度制御が行われる。二次転写部に到達したシートSに対して、二次転写ローラ105に転写電圧を印加することで中間転写ベルト102に担持されているトナー像が二次転写される。
【0019】
トナー像が転写されたシートSは、熱定着方式の定着装置111へ搬送される。定着装置111は、シートSを挟持して搬送しながらシートS上のトナー像を加熱及び加圧することで、トナー像をシートSに定着させる。定着装置111を通過したシートSは、排出ローラ112によって装置上部の排出部113へ排出される。
【0020】
ところで、画像形成部100Aの下方には廃トナー回収装置50が配置されている。上述の画像形成動作の過程において、トナー像が中間転写ベルト102に一次転写された残留トナーは不図示のクリーニングブレードにより掻き落とされて中間転写ベルト102がクリーニングされる。これにより、残留トナーが二次転写ローラ105に付着した後にさらにシートSに付着してシートSが汚染されること(裏汚れ)が低減される。
【0021】
中間転写ベルト102から掻き落とされた残留トナーは搬送スクリューによって回収ユニット51まで搬送され、廃トナーとして回収ユニット内に回収される。回収ユニットは、回収ユニット内が満杯になった際にオペレータが取り外して廃トナーを破棄できるように、装置本体100に対して着脱可能なユニットとして構成されている。プリンタ1は装置本体100に対して開閉可能なカバーを有し、カバーを開放することで回収ユニットが露出する。なお、「装置本体」とは、回収ユニットや下記の分離ユニット10等、プリンタ1から着脱可能な部分を除いた部分(枠体及び枠体に固定された部分)を指す。また、「オペレータ」とは例えばプリンタ1のユーザ及びサービス担当者である。
【0022】
また、プリンタ1は装置本体100に対して開閉可能なドア115を有し、このドア115を開放することで、分離ローラ11を含む分離ユニット10が露出する。図中Vd方向に着脱される分離ユニット10は、オペレータが装置本体100に対して着脱可能な他のユニットである。
【実施例1】
【0023】
実施例1として、廃トナー回収装置50における回収ユニット51の着脱構成について、図2及び図3(a~f)を用いて詳細を説明する。なお、図2及び図3(a~f)において、装置内部の機構を図示するために一部の部材(回収ユニット51の側面等)の図示を省略している。
【0024】
図2は廃トナー回収装置50の概略図である。廃トナー回収装置50は、装置本体100に設けられた第1ギア57、第2ギア56、駆動伝達軸52、スライド部材53及び付勢部材54と、装置本体100に対して着脱される回収ユニット51と、を含む。回収ユニット51は、廃トナーを収容する容器51bと、容器51b内に配置されたスクリュー55と、スクリュー55のスクリュー軸上に設けられた駆動入力部55aと、を有する。駆動入力部55aは本実施例の第1回転部材であり、駆動伝達軸52は本実施例の第2回転部材である。スライド部材53は、回収ユニット51の取り外しを規制可能(係止可能)な本実施例の規制部材(係止部材)である。
【0025】
以下、駆動伝達軸52の回転軸線方向を「X方向」とする。X方向に交差する方向であって、装置本体100に対して回収ユニット51を装着するときの装着方向を「Y方向」とする。Y方向は、好ましくはX方向に対して垂直な方向である。また、X方向及びY方向に対して垂直な方向を「Z方向」とする。
【0026】
第1ギア57及び第2ギア56は、装置本体100の一部である本体フレーム58によって回転可能に支持され、互いに噛み合っている。第1ギア57は、装置本体に設けられた駆動源であるモータM1から伝達される駆動力によって回転する。第2ギア56は、駆動伝達軸52に取り付けられており、駆動伝達軸52と一体に回転する。
【0027】
駆動伝達軸52にはキー52bが形成されている。キー52bが回収ユニット51の駆動入力部55aに設けられたキー溝55bに嵌合すると、駆動伝達軸52と駆動入力部55aが相対回転不能に連結され、駆動源から供給される駆動力がスクリュー55に伝達される。スクリュー55は、中間転写ベルト102等から容器51bに回収された廃トナーを容器51b内で搬送し、廃トナーを均して容器51b内の充填効率を高める作用がある。
【0028】
駆動伝達軸52は、キー52bがキー溝55bに対して嵌合及び離脱するように、本体フレーム58に対してX方向にスライド可能である。以下、キー52bがキー溝55bと嵌合することが可能な駆動伝達軸52の位置を「連結位置」とし、キー52bがキー溝55bから離脱する駆動伝達軸52の位置を「離脱位置」とする。
【0029】
また、駆動伝達軸52には、本実施例における被係合部である円環リブ52aが設けられている。円環リブ52aは、駆動伝達軸52から径方向に突出する突起であり、本実施例では放射状に広がる円盤状に形成されている。スライド部材53には、円環リブ52aと係合する係合部53bが設けられている。係合部53bは、X方向における両側から円環リブ52aを挟むU字溝を有している。従って、係合部53bが円環リブ52aに係合した状態では、駆動伝達軸52はスライド部材53に対するX方向の移動を規制される。
【0030】
スライド部材53は、装置本体100に装着された回収ユニット51の取り外しを規制する規制位置(第1位置、係止位置)と、回収ユニット51の取り外しを許容する解除位置(第2位置、退避位置)との間で、本体フレーム58に対して移動可能である。上記の係合部53bと円環リブ52aの係合により、スライド部材53が規制位置にあるとき、駆動伝達軸52は連結位置に保持される。また、スライド部材53が解除位置にあるとき、駆動伝達軸52は離脱位置に保持される。
【0031】
スライド部材53には、回収ユニット51の装着時にスライド部材53を移動させるためのテーパ面53aが設けられている。テーパ面53aは、回収ユニット51の容器51bに設けられた押圧部としてのボス51aに押圧される被押圧部である。さらに、スライド部材53には、オペレータが手で操作するための操作部53cが設けられている。操作部53cは、装置本体100の前述のカバーを開いたときに露出する位置に設けられている。回収ユニット51の装着動作又はオペレータによる操作によるスライド部材53の移動については、後述する。
【0032】
本実施例の付勢手段である付勢部材54は、スライド部材53を第1位置へ向けてX方向とは反対向きに付勢している。付勢部材54としては、本体フレーム58とスライド部材53との間に設けられた弾性体(ねじりコイルばねやゴム等)を用いることができる。本体フレーム38には、スライド部材53に対してX方向の反対側から対向する突き当てリブ58aが設けられている。突き当てリブ58aは、付勢部材54の付勢力によりスライド部材53が突き当たることでスライド部材53が位置決めされるように配置されている。
【0033】
(回収ユニットの装着)
次に図3(a~f)を用いて、回収ユニット51が装置本体100に装着される際の動作について説明する。図3(a、b)は回収ユニット51の装着前の様子、図3(c、d)は回収ユニット51の装着途中の様子、図3(e、f)は回収ユニット51の装着が完了した状態を表す。なお、図3(a、c、e)は廃トナー回収装置50の一部をY方向に見た概略図であり、図3(b、d、f)は廃トナー回収装置50の一部の斜視図である。
【0034】
図3(a、b)に示すように、回収ユニット51が装置本体100に装着される前の状態では、スライド部材53は付勢部材54に付勢されて本体フレーム58の突き当てリブ58aに突き当てられて規制位置(第1位置)にある。駆動伝達軸52は、スライド部材53により連結位置に保持されている。
【0035】
オペレータが回収ユニット51の装着動作を行う場合、図3(a、b)の位置及び向きで回収ユニット51を保持して、装着方向であるY方向に挿入していく。このとき、駆動伝達軸52の先端部と回収ユニット51の駆動入力部55aとは、Y方向に見た場合にオーバーラップした位置関係にある。また、回収ユニット51に設けられたボス51aは、Y方向に見てスライド部材53のテーパ面53aにオーバーラップした位置にある。
【0036】
回収ユニット51の挿入に伴い、図3(c、d)に示すように回収ユニット51のボス51aがスライド部材53のテーパ面53aに当接する。テーパ面53aは、Y方向の上流側に向かってX方向に延びるように、Y方向に対して傾斜した傾斜部である。そのため、回収ユニット51の装着動作に応じて、テーパ面53aが押圧部であるボス51aに押圧されることで、スライド部材53は付勢部材54の付勢力に抗してX方向にスライドする。これにより、スライド部材53は規制位置(第1位置)から解除位置(第2位置)に移動する(矢印X1)。つまり、テーパ面53aは、回収ユニット51のY方向への移動に応じて、回収ユニット51とスライド部材53との当接部においてX方向の分力をスライド部材53に作用させる機能を有する。スライド部材53に係合されている駆動伝達軸52は、スライド部材53の規制位置から解除位置への移動に伴って図3(a、b)の連結位置から図3(c、d)の離脱位置へ移動する(矢印X2)。
【0037】
なお、テーパ面53a及びボス51aの形状は、テーパ面53aの押圧によりスライド部材53が最も遠く移動した状態(図3(c))において、駆動伝達軸52の先端と駆動入力部55aとの間にX方向のクリアランスX0が確保されるように設定されている。クリアランスX0は、関係する部材の製造公差等を考慮して、離脱位置にある駆動伝達軸52の先端と駆動入力部55aが接触しないように設定される。このため、駆動伝達軸52が離脱位置にある状態では、駆動伝達軸52の先端部と回収ユニット51の駆動入力部55aとの上述のオーバーラップが解消される。また、図3(c)の状態では、テーパ面53aとボス51aのオーバーラップも解消されている。そのため、回収ユニット51の駆動入力部55aが駆動伝達軸52に干渉することなく、オペレータは回収ユニット51を所定の装着位置まで挿入することができる。所定の装着位置とは、駆動入力部55aの回転軸線が駆動伝達軸52の回転軸線と略一致する位置である。
【0038】
また、本実施例では回収ユニット51の押圧部を円柱状のボス51aで構成し、スライド部材53の被押圧部を装着方向に対して傾斜したテーパ面53aで構成したが、押圧部を装着方向に対して傾斜した形状としてもよい。即ち、回収ユニット51の押圧部とスライド部材53の被押圧部の少なくとも一方を装着方向に対して傾斜させて、装着方向へのユニットの移動に応じてスライド部材53にX方向の力が作用するように構成されていればよい。
【0039】
回収ユニット51の装着位置への挿入が完了すると、図3(e、f)に示すように、ボス51aがテーパ面53aの端部を通過したことで、テーパ面53aとボス51aの当接部で生じていたX方向の力がスライド部材53に作用しなくなる。そのため、スライド部材53は付勢部材54の付勢力によってX方向の反対方向に向かって解除位置(第2位置)から規制位置(第1位置)へ移動する(矢印X3)。スライド部材53は、突き当てリブ58aに突き当たることで規制位置で停止する。
【0040】
なお、スライド部材53のテーパ面53aの裏側には、ボス51a(図3(e)の点線)を収容する空間が設けられている。回収ユニット51が装着位置に装着された後は、上記空間に収容されたボス51aをスライド部材53が押さえることで、回収ユニット51の取り外し方向(Y方向の反対方向)への移動が規制される。つまり、スライド部材53は、回収ユニット51の移動を規制してY方向の位置決めを行う部材を兼ねている。
【0041】
スライド部材53の移動に伴って、駆動伝達軸52もX方向の反対方向に向かって離脱位置から連結位置へ移動する(矢印X4)。これにより、駆動伝達軸52のキー52bが駆動入力部55aのキー溝55bに嵌合し、駆動伝達軸52と駆動入力部55aとが連結され、スクリュー55への駆動伝達が可能となる。
【0042】
(回収ユニットの取り外し)
一方、回収ユニット51を装置本体100から取り外す際には、オペレータはスライド部材53に設けられた操作部53cを操作する。具体的には、図3(e、f)の状態でオペレータは操作部53cを指で摘み、付勢部材54の付勢力に抗してスライド部材53をX方向にスライドさせる。スライド部材53が規制位置から解除位置に移動すると、駆動伝達軸52の先端部が駆動入力部55aからクリアランスX0を空けて離脱すると共に、テーパ面53aの先端はボス51aの先端が通過可能な位置まで退避する(図3(c、d)参照)。
【0043】
言い換えると、駆動伝達軸52と駆動入力部55aの連結が解除されると共に、装着状態におけるスライド部材53と回収ユニット51のボス51aとのオーバーラップが解消される。この状態では、回収ユニット51の取り外し方向(Y方向とは反対方向)への移動が妨げられない。従って、オペレータは、例えば一方の手で操作部53cを操作した状態で他方の手で回収ユニット51をY方向とは反対方向に引き出すことで、回収ユニット51を装置本体100から取り外すことができる。その後、回収ユニット51の容器51bのカバー又は栓を開いて廃トナーを排出するか、新しい回収ユニット51を用意して、再び回収ユニット51を装置本体100に装着することで作業が完了する。
【0044】
上記のように操作部53cが付勢部材54の付勢力に抗う方向に操作されない限り、駆動伝達軸52と駆動入力部55aの連結、及び、スライド部材53と回収ユニット51の一部(ボス51a)のオーバーラップが維持される。そのため、装置本体100に設けられている駆動伝達軸52と、回収ユニット51に設けられている駆動入力部55aとが連結している状態では、回収ユニット51の取り外しは規制される。つまり、本実施例によれば、回収ユニット51の着脱作業を煩雑にすることなく、回収ユニット51の無理な取り外しに起因する駆動伝達軸52又は駆動入力部55aの破損を防ぐことができる。
【0045】
以上述べたように、本実施例では、駆動伝達軸52が回転軸線方向の移動によって回収ユニット51の駆動入力部55aと連結及び離脱される構成において、回収ユニット51の着脱を規制するスライド部材53に連動して駆動伝達軸52が移動する。これにより、スライド部材53が規制位置から解除位置に移動する動作に伴って駆動伝達軸52が駆動入力部55aから離脱するため、スライド部材53及び駆動伝達軸52を独立に動かす必要がある構成に比べて、回収ユニット51の着脱が容易になる。
【0046】
回収ユニット51の装着時には、回収ユニット51に設けられたボス51a(押圧部)が付勢部材54の付勢力に抗してスライド部材53を押圧して規制位置から解除位置へ移動させる。このため、回収ユニット51を装着方向であるY方向に移動させる一動作により、回収ユニット51の装着が完了する。
【0047】
回収ユニット51の取り外し時には、オペレータが操作部53cを把持してスライド部材53を移動させる操作により駆動伝達軸52が駆動入力部55aから離脱するため、容易に回収ユニット51を取り外すことができる。
【実施例2】
【0048】
実施例2として、図1のシート給送装置30における分離ユニット10の着脱構成に本技術を適用した構成例について説明する。図4は、シート給送装置30を分離ローラ11の回転軸線方向に見た概略図である。シート給送装置30は、給送手段としての給送ユニット20、分離手段としての分離ユニット10、収納手段としてのカセット35、及び不図示の駆動ユニットを含む。
【0049】
カセット35は、シート給送装置30の装置本体(本実施例では、プリンタ1の装置本体100と同一)に対して着脱可能に装着されている。カセット35は、収容部であるカセット本体36と、カセット本体36内に収容されシートSが積載される積載部である積載板37を備え、積載板37がカセット本体36の底面に対して昇降可能である。
【0050】
給送ユニット20は、本実施例では装置本体100に設けられており、給送ユニット20の枠体に対して着脱可能なローラユニット21と、加圧バネ28及び加圧アーム27と、を含む。ローラユニット21は、装置本体100に支持されるローラホルダ22と、ローラホルダ22によりそれぞれ回転可能に保持されるピックアップローラ25及び給送ローラ26と、を有する。ローラユニット21は、給送ユニット20に装着されている状態において、給送ローラ26の回転軸を中心に回動可能に給送ユニット20に支持されている。さらに、ローラユニット21は、加圧アーム27を介して加圧バネ28の付勢力を受けることで(矢印P)、ピックアップローラ25が積載板37上のシートSの上面に所定の付勢力で圧接されるようになっている。
【0051】
給送ユニット20に対向する位置に、分離ユニット10が設けられている。分離ユニット10は、シート給送装置30の装置本体100に対して着脱可能である。分離ユニット10の着脱に関する構成及び着脱動作については、後述する。分離ユニット10は、分離回転体である分離ローラ11と、第1の保持部材であるローラホルダ12と、第2の保持部材であるベース部材13と、を備えている。さらに分離ユニット10は、付勢部材であるバネ部材15と、ニップガイド61と、カバー部材14と、を備えている。
【0052】
分離ローラ11の内部には小型のトルクリミッタ11aが内蔵されており、分離ローラ11はトルクリミッタ11aを介して、装置本体100に回転不能に固定された軸である後述のローラ軸60(図9)に支持されている。従って、分離ローラ11にはトルクリミッタ11aのトルク値でブレーキが掛けられており、トルク値以下のトルクが作用しても回転せず、トルク値より大きなトルクが作用すると回転することが可能である。
【0053】
ローラホルダ12は、分離ローラ11を回転可能に保持し、ベース部材13に対して揺動中心12aを中心に揺動可能に保持されている。即ち、ベース部材13は、ローラホルダ12を保持する保持部材である。ローラホルダ12の揺動により、分離ローラ11は給送ローラ26に対して当接及び離間する方向に移動可能である。バネ部材15は、ベース部材13に固定され、ローラホルダ12に付勢力を作用させている。分離ユニット10は、分離ローラ11が給送ローラ26の対向位置に来るようにシート給送装置30に装着されており、バネ部材15の付勢力により、分離ローラ11は給送ローラ26に対して押圧される。
【0054】
以下、ローラ軸60の回転軸線方向を「U方向」とする。X方向に交差する方向であって、装置本体100に対して分離ユニット10を装着するときの装着方向を「V方向」とする。V方向は、好ましくはU方向に対して垂直な方向である。また、U方向及びV方向に対して垂直な方向を「W方向」とする。
【0055】
図5(a)は、分離ユニット10をV方向における分離ローラ11側(装着方向における下流側)から見た斜視図である。図5(b)は、分離ユニット10をV方向におけるベース部材13側(装着方向における上流側)から見た斜視図である。分離ユニット10は、ベース部材13とカバー部材14とで内部部品が覆われる形でユニット化されている。このような形態でユニット化することで、オペレータが分離ユニット10の内部部品に触れにくくなり、ハンドリングしやすくしている。
【0056】
また、カバー部材14に設けられた凹形状とニップガイド61とによって、分離ローラ11の外周面の一部が露出する開口部が形成されている(図5(a))。ニップガイド61は、ピックアップローラ25によってカセット35から送り出されるシートSを、給送ローラ26と分離ローラ11のニップ部である分離ニップへ向けて案内するガイド部として機能する。
【0057】
次にシート給送装置30の給送動作について説明する。カセット35がシート給送装置30に挿入されると、積載板37が上昇し、最上位のシートSとピックアップローラ25が当接する(図4)。このとき、前述の加圧バネ28の付勢力により、ピックアップローラ25は最上位のシートSに所定の当接圧で当接する。その後、ピックアップローラ25と給送ローラ26は駆動ユニットからの駆動を受け、共に図4における反時計周り方向に回転する。
【0058】
ピックアップローラ25が回転を始めると、ピックアップローラ25とシートSとの間の摩擦により、シートSは図4における右方向に移動を始め、給送ローラ26と分離ローラ11との間の分離ニップに到達する。分離ニップは、ピックアップローラ25によって2枚以上のシートSが分離ニップに送られてきたときに、シートSを分離し、1枚だけ下流に送る機能を持っている。
【0059】
前述のように分離ローラ11にはトルクリミッタ11aが内蔵されており、シートSの搬送方向とは逆方向に抵抗力としてのトルクが与えられている。このトルクリミッタ11aのトルク値は、分離ニップをシートSが1枚だけ通過しているときは分離ローラ11が給送ローラ26に従動して回転することを許容するように設定されている。また、トルクリミッタ11aのトルク値は、分離ニップにシートSが2枚以上入ると、シートS間の摩擦に打ち克って分離ローラ11が停止するように設定されている。よって、2枚以上のシートSが分離ニップに進入しても、給送ローラ26に接している最上位のシートSのみが搬送され、最上位のシートS以外のシートの搬送が阻止されるため、分離ニップでシートSを1枚ずつ分離して下流に搬送することができる。分離ニップを通過したシートは、ピックアップローラ25及び給送ローラ26により、レジストレーションローラ対110(図1)へと搬送される。
【0060】
(分離ユニット)
分離ユニット10の構成と保持方法について、図5(a、b)~図7を用いて詳細に説明する。図6(a~c)は、本実施例の規制部材であるシャッタ部材31の動きと分離ユニット10の着脱動作を示す概略図である。図6(a)は、分離ユニット10の装着状態を表し、図6(b)はシャッタ部材31が第2位置(解除位置、退避位置)へ移動した状態を表し、図6(c)は分離ユニット10がシート給送装置30から取り外された状態を表している。図7はシャッタ部材31と分離ユニット10の突部13a、13bとの係合状態を示す断面図(U方向に垂直な仮想平面における断面図)であり、図6(a)におけるA-A断面図である。
【0061】
ベース部材13にはシート給送装置30に対して位置決めするための第1の位置決め部である突部13a、13bが両側に1対ずつ設けられている。また、カバー部材14には後述するシート給送装置30に設けられたシャッタ部材31に当接し、分離ユニット10の装着時にシャッタ部材31を移動させるための押圧部であるカム部14aが設けられている。即ち、カバー部材14は、ローラホルダ12をカバーするカバー部材であると共に、分離ユニット10の装着動作に伴ってシャッタ部材31を移動させる部材を兼ねている。
【0062】
装置本体100には、図6(a)及び図7に示すように、規制部材としてのシャッタ部材31が設けられている。本実施例では、U方向における分離ユニット10の両側に一対のシャッタ部材31が設けられている。一方、分離ユニット10には、図5(a、b)に示すように、シャッタ部材31に当接される被当接部(位置決め部)としての突部13a,13bが設けられている。本実施例の突部13a,13bは、分離ユニット10のベース部材13の一部として形成され、分離ユニット10のU方向の両側面からU方向の一方側及び他方側に突出している。
【0063】
シャッタ部材31は、図7に示すように装置本体100に設けられたレール部30a~30dと係合し、V方向及びW方向(図7における左右方向及び上下方向)の移動を規制された状態で、装置本体100に対してU方向にスライド可能に保持されている。シャッタ部材31のスライド方向は、分離ユニット10の装着方向であるV方向と交差する方向であって、好ましくはU方向に沿った方向である。
【0064】
シャッタ部材31の各々は、シャッタバネ32によって図6(a)における矢印方向に付勢されている。給送フレーム69とシャッタ部材31との間に配置された弾性体であるシャッタバネ32は、本実施例の付勢手段として機能する。
【0065】
図6(a)におけるシャッタ部材31の位置を規制位置(第1位置、係止位置)とする。分離ユニット10がシート給送装置30の所定の装着位置に装着され、シャッタ部材31が規制位置にあるとき、図7に示すようにベース部材13の突部13a、13bが装置本体100に設けられた第2の位置決め部である凹部30f,30gに嵌合する。また、シャッタ部材31の押さえ部31dはベース部材13の突部13aと13bに係合し、分離ユニット10の取り外し方向であるVd方向(V方向の反対方向)への移動を規制する。この状態が分離ユニット10のシート給送装置30への装着状態である。
【0066】
また、シャッタ部材31は、規制位置から図6(b)にU方向とその反対方向に移動可能であおり、オペレータが操作部31c(把持部)を持って図6(b)における矢印方向に移動させることができる。オペレータがシャッタ部材31を図5(b)における矢印方向に移動させていくと、やがてシャッタ部材31とベース部材の突部13a、13bの係合が解除され、分離ユニット10がVd方向に移動可能になる。このときのシャッタ部材31の位置を解除位置とする。
【0067】
本実施例では、カセット35がシート給送装置30から引き出されると、分離ニップが解除され、分離ローラ11と給送ローラ26が離間する構成になっている。これはカセット35をシート給送装置30から引き出す際に分離ニップにシートSが残留するのを防ぐためである。即ち、ニップ解除機構によって分離ローラ11は給送ローラ26に対して当接離間可能に構成されている。
【0068】
(ローラ軸の連結構成)
図8及び図9を用いて分離ユニット10の構成についてさらに説明する。図8はカバー部材14及びニップガイド61を取り外した状態の分離ユニット10の斜視図である。図9は分離ローラ11の回転を検知するための構成を表す斜視図である。
【0069】
本実施例の第1回転部材であるローラ軸60は、自身の回転軸線方向であるU方向にスライドすることで、本実施例の第2回転部材である分離ローラ11に対して連結及び離脱されるように構成されている。図8に示すように、ローラ軸60の先端には十字型の凸形状(リブ)であるキー60bが設けられ、分離ローラ11には、キー60bに嵌合される十字型の凹形状のキー溝が形成された連結部11bが設けられている。以下、キー60bがキー溝と嵌合することが可能なローラ軸60の位置を「連結位置」とし、キー60bがキー溝から離脱するローラ軸60の位置を「離脱位置」とする。
【0070】
また、ローラ軸60には、本実施例における被係合部である円環リブ60aが設けられている。円環リブ60aは、ローラ軸60から径方向に突出する突起であり、本実施例では放射状に広がる円盤状に形成されている。シャッタ部材31には、円環リブ60aと係合する係合部31aが設けられている。係合部31aは、U方向における両側から円環リブ60aを挟むU字溝を有している。従って、係合部31aが円環リブ60aに係合した状態では、ローラ軸60はシャッタ部材31に対するU方向の移動を規制される。上記の係合部31aと円環リブ60aの係合により、シャッタ部材31が規制位置(第1位置)にあるとき、ローラ軸60は連結位置に保持される。また、シャッタ部材31が解除位置(第2位置)にあるとき、ローラ軸60は離脱位置に保持される。
【0071】
シャッタ部材31には、分離ユニット10に設けられた押圧部としてのカム部14aに押圧される被押圧部が設けられている。さらに、シャッタ部材31には、オペレータが手で操作するための操作部31c(図6(b))が設けられている。操作部31cは、装置本体100の前述のドア115(図1)を開いたときに露出する位置に設けられている。分離ユニット10の装着動作又はオペレータによる操作によるスライド部材53の移動については、後述する。
【0072】
図9に示すように、ローラ軸60は装置本体100に固定された支持板65に回転可能に支持されている。また、ローラ軸60のキー60bとは反対側の端部には、エンコーダ部材である回転ディスク62が取り付けられている。回転ディスク62には光を透過するスリットのパターンが形成されており、検知手段としての光電センサ63によってローラ軸60の回転量を読み取ることができる。つまり、回転ディスク62及び光電センサ63は、分離ローラ11の回転量を検知するロータリーエンコーダを構成する。光電センサ63によって読み取った回転量のデータは、分離ローラ11の寿命報知や給送ローラ26の回転制御等に利用される。
【0073】
(分離ユニットの装着)
次に図6(a~c)及び図10(a~f)を用いて分離ユニット10が装着される際のローラ軸60とシャッタ部材31の動きについて説明する。図10(a、b)は分離ユニット10の装着前の様子、図10(c、d)は分離ユニット10の装着途中の様子、図3(e、f)は分離ユニット10の装着が完了した状態を表す。なお、図10(a、c、e)は、分離ユニット10及び装置本体100の一部である給送フレーム69を装着方向であるV方向の下流側から見た斜視図である。図10(b、d、f)は、分離ユニット10及び給送フレーム69をV方向の上流側から見た斜視図である。また、分離ユニット10とシャッタ部材31の位置関係に関して、図10(a、b)は図6(c)と概ね同じであり、図10(c、d)は図6(b)と概ね同じであり、図10(e、f)は図6(a)と概ね同じである。
【0074】
図6(c)及び図10(a、b)に示すように、分離ユニット10が装置本体100に装着される前の状態では、シャッタ部材31はシャッタバネ32に付勢されて給送フレーム69に設けられた突き当て部に突き当てられている。この場合、シャッタ部材31は規制位置(第1位置)に位置決めされている。また、ローラ軸60は、シャッタ部材31により連結位置に保持されている。
【0075】
オペレータが分離ユニット10の装着動作を行う場合、図10(a、b)の位置及び向きで分離ユニット10を保持して、装着方向であるV方向に挿入していく。このとき、ローラ軸60の先端部と分離ユニット10とは、V方向に見た場合にオーバーラップした位置関係にある。また、分離ユニット10に設けられたカム部14aは、V方向に見てシャッタ部材31の被押圧部にオーバーラップした位置にある。さらに、分離ユニット10に設けられた突部13a,13bは、V方向に見てシャッタ部材31の押さえ部31dにオーバーラップした位置にある。
【0076】
分離ユニット10の挿入に伴い、図6(b)及び図10(c、d)に示すように分離ユニット10のカム部14aがシャッタ部材31の被押圧部に当接する。カム部14aは、V方向の上流側に向かってU方向の一方側と他方側に延びるように、装着方向であるV方向に対して傾斜している。そのため、分離ユニット10の装着動作に応じて、シャッタバネ32の付勢力に抗して、カム部14aが一対のシャッタ部材31をU方向の一方側と他方側に押し広げるようにスライドさせる。これにより、シャッタ部材31は規制位置(第1位置)から解除位置(第2位置)へ移動する(矢印U1,U2)。つまり、カム部14aは、分離ユニット10のV方向への移動に応じて、分離ユニット10とシャッタ部材31との当接部においてU方向の分力をシャッタ部材31に作用させる機能を有する。そして、一方のシャッタ部材31に係合されているローラ軸60は、シャッタ部材31の規制位置から解除位置への移動に伴って図10(a)の連結位置から図10(c)の離脱位置へ移動する(矢印U3)。
【0077】
なお、カム部14a及びシャッタ部材31の被押圧部の形状は、シャッタ部材31が最も押し広げられた状態(図10(c、d))において、ローラ軸60の先端と分離ローラ11との間にU方向に所定のクリアランスが確保されるように設定されている。このクリアランスは、関係する部材の製造公差等を考慮して、離脱位置にあるローラ軸60の先端と分離ローラ11が接触しないように設定される。このため、ローラ軸60が離脱位置にある状態では、ローラ軸60の先端部と分離ローラ11との上述のオーバーラップが解消される。また、図10(c、d)の状態では、分離ユニット10のカム部14aとシャッタ部材31の被押圧部のオーバーラップ、及び、分離ユニット10の突部13a,13bとシャッタ部材31の押さえ部31dのオーバーラップも解消されている。そのため、分離ローラ11がローラ軸60に干渉することなく、オペレータは分離ユニット10を所定の装着位置まで挿入することができる。所定の装着位置とは、分離ローラ11の回転軸線がローラ軸60の回転軸線と略一致する位置である。
【0078】
また、本実施例では分離ユニット10のカム部14aがシャッタ部材31をスライドさせるための分力を生じさせる傾斜部として機能するが、シャッタ部材31に実施例1のテーパ面53aのような傾斜部を設けてもよい。
【0079】
分離ユニット10が装着位置に到達すると、図6(a)及び図10(e、f)に示すように、カム部14aがシャッタ部材31の被押圧部を通過したことで、カム部14aとシャッタ部材31の当接部で生じていた力がシャッタ部材31に作用しなくなる。そのため、シャッタ部材31はシャッタバネ32の付勢力によって解除位置(第2位置)から規制位置(第1位置)へ移動する(矢印U4,U5)。シャッタ部材31は、給送フレーム69に設けられた突き当て部に突き当たることで規制位置で停止する。なお、シャッタ部材31の被押圧部の裏側(V方向の奥側)には、カム部14aを収容する空間が設けられている。
【0080】
シャッタ部材31の移動に伴って、ローラ軸60もU方向の反対方向に向かって離脱位置から連結位置に移動する(矢印U6)。これにより、ローラ軸60のキー60bが分離ローラ11の連結部11bのキー溝に嵌合し、ローラ軸60と分離ローラ11とが連結されるため、ロータリーエンコーダの回転ディスク62(図9)が分離ローラ11に連動して回転する状態となる。
【0081】
また、シャッタ部材31が図6(a)及び図10(e、f)に示す規制位置をとることで、シャッタ部材31の押さえ部31dが分離ユニット10の突部13a,13bを係止して、分離ユニット10の取り外し方向(Vd方向)への移動を規制する。つまり、シャッタ部材31は、分離ユニット10の移動を規制してV方向の位置決めを行う部材を兼ねている。
【0082】
(分離ユニットの取り外し)
一方、分離ユニット10を装置本体100から取り外す際には、オペレータはシャッタ部材31に設けられた操作部31cを操作する。具体的には、図6(a)及び図10(e、f)の状態でオペレータは操作部53cを指で摘み、シャッタバネ32の付勢力に抗してシャッタ部材31をU方向の一方側と他方側にスライドさせる。両側のシャッタ部材31が規制位置から解除位置に移動すると、ローラ軸60の先端部が分離ローラ11の連結部11bから所定のクリアランスを空けて離脱する。これと同時に、シャッタ部材31は、V方向に見て分離ユニット10のカム部14a及び突部13a,13bと重ならない位置まで退避する(図6(b)及び図10(c、d)。
【0083】
言い換えると、ローラ軸60と分離ローラ11の連結が解除されると共に、装着状態におけるシャッタ部材31と分離ユニット10のカム部14a及び突部13a,13bとのオーバーラップが解消される。この状態では、分離ユニット10の取り外し方向(Vd方向)への移動が妨げられない。従って、オペレータは、操作部31cを操作してシャッタ部材31を解除位置に移動させた状態で分離ユニット10をVd方向に引き出すことで、分離ユニット10を装置本体100から取り外すことができる。その後、ローラホルダ12から分離ローラ11を取り外し、新しい分離ローラ11を装着して再び分離ユニット10を装置本体100に装着することでローラ交換作業が完了する。
【0084】
上記のように操作部31cがシャッタバネ32の付勢力に抗う方向に操作されない限り、ローラ軸60と分離ローラ11の連結並びにシャッタ部材31と分離ユニット10の一部のオーバーラップが維持される。そのため、装置本体100に設けられているローラ軸60と、分離ユニット10に設けられている分離ローラ11とが連結している状態では、分離ユニット10の取り外しは規制される。つまり、本実施例によれば、分離ユニット10の着脱作業を煩雑にすることなく、分離ユニット10の無理な取り外しに起因するローラ軸60又は分離ローラ11の破損を防ぐことができる。
【0085】
(変形例)
なお、本実施例ではシート給送装置30の装置本体100に対して着脱されるユニットの例として分離ローラ11を有する分離ユニット10を説明したが、給送ローラ26を有するローラユニット21の着脱構成に本技術を適用してもよい。その場合、例えば給送ローラ26のローラ軸を回転軸線方向のスライドによって給送ローラ26に連結及び連結解除可能な構成とする。そして、装着位置にあるローラユニット21の取り外しを規制する規制位置と取り外しを許容する解除位置とに移動可能な規制部材を設けて、規制部材に連動して給送ローラ26のローラ軸がスライドするように構成すればよい。
【0086】
また、ローラ軸60と分離ローラ11との連結構成は、伝達誤差を最小にするためにキーとキー溝の形状を用いたが、この限りではなく、例えば平行ピンやマグネット等を用いてもよい。
【0087】
また、本実施例では、規制部材であるシャッタ部材31はU方向における分離ユニット10の両側に設けたが、例えばローラ軸60の円環リブ60aと係合するシャッタ部材31のみを配置してもよい。
【実施例3】
【0088】
実施例3として、リタード駆動方式のローラ部材を備えた分離ユニットに本技術を適用した場合について説明する。以下、実施例2と共通の参照符号を付した要素は実施例2と実質的に同一の構成及び作用を有するものとし、実施例2と異なる部分を中心に説明する。
【0089】
図11は、本実施例に係る分離ユニット10及びローラ軸60等を示す斜視図である。本実施例のローラ軸60には、ギア66が取り付けられており、ギア66とローラ軸60は一体に回転する。ギア66は、駆動源であるモータM2に接続されたギア67と噛み合っている。ギア67は、装置本体100の板金フレームに取り付けられたギア軸68により回転可能に支持されている。従って、モータM2から供給される駆動力は、ギア66,67を介してローラ軸60に伝達され、さらにローラ軸60のキー60bと分離ローラ11のキー溝との連結を介して分離ローラ11に伝達される。
【0090】
分離ローラ11にはトルクリミッタが内蔵されている。そのため、分離ローラ11は、給送ローラ26の回転に逆らう回転方向(リタード方向、図4で反時計回り方向)にトルクリミッタのトルク値で駆動される。トルクリミッタのトルク値は、分離ニップをシートSが1枚だけ通過しているときは分離ローラ11が給送ローラ26に従動して回転することを許容するように設定されている。また、トルクリミッタのトルク値は、分離ニップにシートSが2枚以上入ると、シートS間の摩擦に打ち克って分離ローラ11がリタード方向に回転し、シートをカセット35に押し戻すように設定されている。従って、本実施例の分離ローラ11も、分離ニップにおいてシートに摩擦力を作用させることで、給送ローラ26に接触しているシートを給送ローラ26に接触しているシート以外のシートから分離する分離部材として機能する。
【0091】
ここで、本実施例においても、規制部材としてのシャッタ部材31に連動してローラ軸60が連結位置と離脱位置とに移動する。そのため、ローラ軸60が分離ローラ11に駆動力を伝達する役割を有する場合であっても、分離ユニット10の着脱作業を煩雑にすることなく、分離ユニット10の無理な取り外しに起因するローラ軸60又は分離ローラ11の破損を防ぐことができる。
【0092】
(その他の実施形態)
実施例1~3で説明したプリンタ1は電子写真方式の画像形成装置であるが、インクジェット方式等、他の画像形成方式を用いる画像形成装置に本開示の技術を適用してもよい。また、「画像形成装置」は、記録媒体に画像を形成する装置一般を指し、外部から入力された画像情報に基づいて印刷を行うプリンタに限らず、複写機や複合機等を含むものとする。また、「シート給送装置」は、画像形成装置の一部であるものに限らず、画像形成装置に連結して使用される装置(所謂オプションフィーダ)や、原稿シートをイメージセンサに向けて給送する自動原稿給送装置を含む。
【符号の説明】
【0093】
1…画像形成装置(プリンタ)/51,10…ユニット(回収ユニット、分離ユニット)/26…給送ローラ/30…シート給送装置/54,32…付勢手段(付勢部材、シャッタバネ)/52,60…第1回転部材(駆動伝達軸、ローラ軸)/53,32…規制部材(スライド部材、シャッタ部材)/55a,11…第2回転部材(駆動入力部、分離ローラ)/100…装置本体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11