(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】監視情報処理装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20240422BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
H04N7/18 D
G08B25/00 510M
(21)【出願番号】P 2020135160
(22)【出願日】2020-08-07
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】岡本 昌也
(72)【発明者】
【氏名】松本 鮎美
(72)【発明者】
【氏名】柴田 哲希
(72)【発明者】
【氏名】宇田 育弘
(72)【発明者】
【氏名】根本 真一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 篤
(72)【発明者】
【氏名】児玉 知也
(72)【発明者】
【氏名】塩崎 貴司
【審査官】長谷川 素直
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-204102(JP,A)
【文献】特開2020-047082(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0044539(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
G08B 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散配置された複数のセンサデバイスの出力をもとに得られるセンシング情報に基づいて監視に係る情報処理を行う監視情報処理装置であって、
前記複数のセンサデバイスをその特性が所定の範囲で類似するもの同士で複数の特性グループに分けることにより生成される、前記複数の特性グループと前記複数のセンサデバイスとの対応関係を表す特性グループ情報を含むデバイス情報を第1の記憶部に記憶させる処理を行う第1の処理部と、
前記複数の特性グループの各々に対し設定されるパラメータ情報を第2の記憶部に記憶させる処理を行う第2の処理部と、
前記複数のセンサデバイスにより得られる前記センシング情報の各々について、当該センシング情報に対応する特性グループを前記第1の記憶部に記憶された前記デバイス情報をもとに特定し、特定された前記特性グループに対応する前記パラメータ情報を前記第2の記憶部から選択する処理を行う第3の処理部と、
選択された前記パラメータ情報を用いて、対応する前記センシング情報に基づく前記監視に係る情報処理を行う第4の処理部と
を具備する監視情報処理装置。
【請求項2】
前記第1の処理部は、前記特性グループ情報の入力を受け付け、入力された前記特性グループ情報を前記第1の記憶部に記憶させる、請求項1に記載の監視情報処理装置。
【請求項3】
前記第1の処理部は、前記複数のセンサデバイスの前記特性を表す情報を取得し、取得された前記特性を表す情報に基づいて前記特性が所定の範囲で類似するもの同士で前記複数の特性グループに分ける処理を行い、前記複数の特性グループと前記センサデバイスとの対応関係を表す前記特性グループ情報を含む前記デバイス情報を生成し、前記第1の記憶部に記憶させる、請求項1に記載の監視情報処理装置。
【請求項4】
前記第1の処理部は、前記複数のセンサデバイスの各々についてその性能情報および配置されたエリアの環境情報の少なくとも1つを前記特性を表す情報として取得する、請求項3に記載の監視情報処理装置。
【請求項5】
前記第2の処理部は、前記パラメータ情報として監視対象に係る情報の有無を判定するための閾値を前記第2の記憶部に記憶させ、
前記第3の処理部は、前記センシング情報を前記第2の記憶部に記憶された前記閾値と比較することにより前記監視対象に係る情報の有無を判定する
請求項1に記載の監視情報処理装置。
【請求項6】
前記複数の
特性グループのいずれにも含まれない前記センサデバイスに対し共通に設定される共通パラメータ情報を第3の記憶部に記憶させる処理を行う第5の処理部を、さらに具備し、
前記第3の処理部は、前記複数の
特性グループのいずれにも含まれない前記センサデバイスにより得られる前記センシング情報に対しては、前記第3の記憶部に記憶された前記共通パラメータ情報を選択する
請求項1に記載の監視情報処理装置。
【請求項7】
分散配置された複数のセンサデバイスの出力をもとに得られるセンシング情報に基づいて監視に係る情報処理を行う情報処理装置が実行する監視情報処理方法であって、
前記複数のセンサデバイスをその特性が所定の範囲で類似するもの同士で複数の特性グループに分けることにより生成される、前記複数の特性グループと前記センサデバイスとの対応関係を表す情報を含むデバイス情報を第1の記憶部に記憶させる過程と、
前記複数の特性グループの各々に対し設定されるパラメータ情報を第2の記憶部に記憶させる過程と、
前記複数のセンサデバイスにより得られる前記センシング情報の各々について、当該センシング情報に対応する特性グループを前記第1の記憶部に記憶された前記デバイス情報をもとに特定し、特定された前記特性グループに対応する前記パラメータ情報を前記第2の記憶部から選択する過程と、
選択された前記パラメータ情報を用いて、対応する前記センシング情報に基づく前記監視に係る情報処理を行う過程と
を具備する監視情報処理方法。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかに記載の監視情報処理装置が具備する前記各処理部による前記処理を、前記監視情報処理装置が備えるプロセッサに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、例えば監視エリアに複数台の監視カメラを分散配置したシステムで使用される監視情報処理装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ショッピングモール等の大規模店舗や、オフィスビル、駅の構内等のように多くの人が利用する施設において、監視エリアに複数台の監視カメラを分散配置し、これらの監視カメラにより得られる映像情報に基づいて不審者等の監視対象の検知または追跡を行うシステムが知られている。このシステムにおいては、監視カメラ毎に機種やその設置環境が異なる場合が想定されるが、このような条件で監視対象を検知または追跡を行おうとすると、監視カメラ間で同一の監視対象に対する検知結果のバラツキが発生し、これにより監視精度の低下を招くおそれがある。
【0003】
そこで、カメラの設置条件や環境要因による多様な環境変動に対し対応できるようにした映像解析技術が提案されている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開WO 2018/179151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載された技術はカメラ毎に対応を行うものとなっている。このため、監視エリアに複数台の監視カメラを分散配置するシステムでは、監視カメラの設置台数分の対応処理が必要となることから、システム管理者の負荷が大きくまたパラメータ等の設定誤り等を生じやすかった。
【0006】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、システム管理者の負荷の軽減および設定誤りによる監視精度の低下防止を図った技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためにこの発明の一態様は、分散配置された複数のセンサデバイスの出力をもとに得られるセンシング情報に基づいて監視に係る情報処理を行う装置または方法にあって、前記複数のセンサデバイスをその特性が所定の範囲で類似するもの同士で複数のグループに分けることにより生成される、前記グループ毎の前記センサデバイスの構成を表す特性グループ情報を第1の記憶部に記憶させ、前記複数のグループの各々に対し設定されるパラメータ情報を第2の記憶部に記憶させ、前記複数のセンサデバイスにより得られる前記センシング情報毎に、当該センシング情報に対応するグループを前記第1の記憶部に記憶された前記特性グループ情報をもとに特定し、特定された前記グループに対応する前記パラメータ情報を前記第2の記憶部から選択し、選択された前記パラメータ情報を用いて、対応する前記センシング情報に基づく前記監視に係る情報処理を行うようにしたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明の一態様によれば、複数台のセンサデバイスが、その性能や設置環境等の特性が類似するもの同士でグループ化され、グループごとにその特性に対応するパラメータ情報が設定される。このため、センサデバイスが複数台使用されるシステムにおいて、上記複数台のセンサデバイスに対するパラメータ情報の設定処理に対するシステム管理者の負荷を軽減することができ、また設定誤りの発生確率を下げて監視精度の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、この発明の一実施形態に係る監視情報処理装置を含む監視システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、この発明の一実施形態に係る監視情報処理装置として用いられるWebサーバ装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、この発明の一実施形態に係る監視情報処理装置として用いられるWebサーバ装置のソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、
図3に示したWebサーバ装置に設けられるカメラ情報テーブルに記憶される情報の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、
図3に示したWebサーバ装置に設けられるカメラ特性グループ情報テーブルに記憶される情報の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、
図3に示したWebサーバ装置に設けられる設定情報テーブルに記憶される情報の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、
図2および
図3に示したWebサーバ装置により実行されるパラメータ設定処理の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、
図2および
図3に示したWebサーバ装置により実行される、監視対象の検知/追跡処理の処理手順と処理内容の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、
図7に示したパラメータ設定処理において使用されるパラメータ設定画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
【0011】
[一実施形態]
この発明の一実施形態では、センサデバイスとして監視カメラを使用し、複数台の監視カメラの出力をもとに得られる映像解析情報を、パラメータ情報として設定した閾値と比較することにより、監視対象(クエリ)の監視業務に係る処理を行う場合を例にとって説明する。ここで、監視業務には、例えばクエリの検知と追跡に係る処理が含まれるものとする。
【0012】
(構成例)
(1)システム
図1は、この発明の一実施形態に係る監視情報処理装置を含むシステムの全体構成を示す図である。
例えば、ショッピングモールや百貨店などの大規模店舗の通路や売り場には、複数台の監視カメラC1~Cnが分散配置されている。監視カメラC1~Cnは、例えば天井または壁面に取着され、それぞれの監視エリアを撮像してその映像データを出力する。
【0013】
監視カメラC1~Cnには、それぞれ映像解析エンジンVE1~VEnが付設されている。映像解析エンジンVE1~VEnはそれぞれ、例えば事前に与えられたクエリの画像特徴量をもとに、対応する上記監視カメラC1~Cnから出力される映像データから、上記クエリの画像特徴量と類似する画像特徴量を有する人物画像を抽出する。そして、抽出された上記人物画像と、クエリ画像との類似度を表す情報と、対応する監視カメラC1~Cnの識別情報(カメラID)とを含む映像解析結果を生成する。上記人物画像には、顔(face)の画像と、全身(body)の画像が含まれ、類似度情報には上記顔画像および全身画像それぞれに対応する類似度が含まれる。
【0014】
なお、映像解析エンジンVE1~VEnは監視カメラC1~Cnに対し一対一に配置せず、複数台のカメラに対しそれより少数の映像解析エンジンを配置して、少数の映像解析エンジンにより複数台の監視カメラの映像データを一括処理するようにしてもよい。
【0015】
また、一実施形態のシステムは、監視情報処理装置として使用されるWebサーバ装置SVを備える。上記映像解析エンジンVE1~VEnは、ネットワークNWを介して上記Webサーバ装置SVとの間でデータ通信が可能となっており、生成された上記映像解析結果を上記ネットワークNWを介してWebサーバ装置SVへ送信する。ネットワークNWには、例えば有線LAN(Local Area Network)または無線LANが用いられるが、他のどのようなネットワークが使用されてもよい。
【0016】
(2)Webサーバ装置SV
図2および
図3は、それぞれWebサーバ装置SVのハードウェア構成およびソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
Webサーバ装置SVは、中央処理ユニット(Central Processing Unit:CPU)等のハードウェアプロセッサを有する制御部1を備え、この制御部1に対し、バス6を介して、プログラム記憶部2およびデータ記憶部3を有する記憶ユニットと、入出力インタフェース(入出力I/F)4と、通信インタフェース(通信I/F)5とを接続したものとなっている。
【0017】
入出力I/F4には、例えばモニタ装置MTおよび管理者端末OTが接続される。モニタ装置MTは、監視者が監視エリアを目視監視するために使用されるもので、監視カメラC1~Cnの映像や、監視対象となるクエリの検知結果または追跡結果を表す情報などを表示する。
【0018】
管理者端末OTは、システム管理者がシステム管理や保守等のために使用するもので、各種設定画面やシステム内の動作状態を表す情報を表示すると共に、システム管理者がシステムの管理・運用に必要な種々データを入力したときに当該データを受け付けてWebサーバ装置SVに設定する機能を有する。
【0019】
通信I/F5は、制御部1の制御の下、ネットワークNWにより定義される通信プロトコルを使用して、上記映像解析エンジンVE1~VEnとの間でデータ伝送を行うもので、例えば上記有線LANまたは無線LANに対応するインタフェースにより構成される。
【0020】
プログラム記憶部2は、例えば、記憶媒体としてHDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリとを組み合わせて構成したもので、OS(Operating System)等のミドルウェアに加えて、この発明の一実施形態に係る各種制御処理を実行するために必要なプログラムを格納する。
【0021】
データ記憶部3は、例えば、記憶媒体として、HDDまたはSSD等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリと組み合わせたもので、この発明の一実施形態を実施するために必要な主たる記憶部として、カメラ情報テーブル31と、カメラ特性グループ情報テーブル32と、設定情報テーブル33とを備えている。
【0022】
カメラ情報テーブル31は、監視カメラC1~Cn毎に、その識別情報(以後カメラIDと称する)に対応付けて、例えば監視カメラの名称、性能および設置位置を表す情報を記憶するもので、それに加え一実施形態では監視カメラC1~Cnが属するカメラ特性グループを示す情報も記憶する。
【0023】
上記性能を表す情報には、例えば解像度やアスペクト比が含まれる。また設置位置を示す情報には、例えば緯度経度、撮像方向および撮像角度が含まれる。
図4は、カメラ情報テーブル31に記憶されるカメラ情報の一例を示したものである。
【0024】
カメラ特性グループ情報テーブル32は、カメラ特性グループ毎に、その識別情報(以後グループIDと称する)GA,GB,…に対応付けて、当該カメラ特性グループに対し設定されたパラメータ情報を記憶する。パラメータ情報は、例えば、映像解析エンジンVE1~VEnから出力される人物画像とクエリ画像との類似度を判定するために使用される閾値であり、顔画像および全身画像のそれぞれについて設定される。
図5は、カメラ特性グループ情報テーブル32に記憶されるカメラ特性グループ情報の一例を示すものである。
【0025】
設定情報テーブル33は、監視カメラC1~Cn毎に、そのカメラIDに対応付けて事前に設定された種々のデフォルトデータを記憶するもので、監視カメラC1~Cnに対し共通に設定された共通パラメータ情報も記憶される。
図6は、設定情報テーブル33に記憶される共通パラメータ情報の一例を示す図である。なお、設定情報テーブル33には、いずれのカメラ特性グループにも属さない監視カメラ群に対し共通に設定された共通パラメータ情報が記憶されるようにしてもよい。
【0026】
制御部1は、この発明の一実施形態に係る処理機能として、カメラ特性グループ情報取得処理部11と、パラメータ情報取得処理部12と、映像解析結果取得処理部13と、検知/追跡結果判定処理部14と、検知アラート出力処理部15とを備えている。これらの処理部11~15は、何れもプログラム記憶部2に格納されたプログラムを制御部1のハードウェアプロセッサに実行させることにより実現される。
【0027】
カメラ特性グループ情報取得処理部11は、管理者端末OTにおいてシステム管理者により入力された、複数の監視カメラC1~Cnのグループ分けの結果を表す情報を、入出力I/F4を介して受け取り、受け取った上記情報をカメラ情報テーブル31に記憶させる処理を行う。
【0028】
パラメータ情報取得処理部12は、管理者端末OTにおいてシステム管理者により入力された、各カメラ特性グループに対するパラメータ情報を、入出力I/F4を介して受け取り、受け取った上記パラメータ情報をカメラ特性グループ情報テーブル32に記憶させる処理を行う。
【0029】
映像解析結果取得処理部13は、映像解析エンジンVE1~VEnからそれぞれ送信され、ネットワークNWを介して伝送された映像解析結果を、通信I/F5を介してそれぞれ受信する処理を行う。
【0030】
検知/追跡結果判定処理部14は、受信された上記映像解析結果毎に、当該映像解析結果に含まれるカメラIDをもとにカメラ情報テーブル31を参照し、対応する監視カメラが属するグループを判定する。そして、判定されたグループに対応付けて設定されているパラメータ情報をカメラ特性グループ情報テーブル32から読み出し、読み出されたパラメータ情報に基づいて、上記映像解析結果に含まれる類似度を判定する処理を行う。
【0031】
また検知/追跡結果判定処理部14は、上記カメラ情報テーブル31に、対応する監視カメラが属するグループが設定されていない場合には、設定情報テーブル33から対応する共通パラメータ情報を読み出し、読み出された共通パラメータ情報に基づいて、上記映像解析結果に含まれる類似度を判定する処理を行う。
【0032】
検知アラート出力処理部15は、上記検知/追跡結果判定処理部14による類似度の判定の結果、類似度がパラメータ情報により指定される閾値を超えていると判定された場合に、検知アラート情報を生成する。そして、生成された検知アラート情報を、入出力I/F4からモニタ装置MTへ出力し表示させる処理を行う。
【0033】
なお、以上の説明では、上記データ記憶部3に設けられた各テーブル31~33をWebサーバ装置SV内に設けた場合を例にとった。しかし、それに限らず、Webサーバ装置SV外に配置されたデータベースサーバまたはファイルサーバ内に設けるようにしてもよい。この場合、Webサーバ装置SVが上記データベースサーバまたはファイルサーバ内の各テーブル31~33に対しアクセスし、必要な情報を取得することにより上記各処理を行う。
【0034】
(動作例)
次に、以上のように構成されたWebサーバ装置SVの動作例を説明する。
(1)パラメータ情報の設定
システム管理者は、システムの運用開始に先立ち、先ず、監視カメラC1~Cnがそれぞれ有する性能に関する情報と、監視カメラC1~Cnによる各監視エリアの環境条件(照明の明るさや人数)とを考慮して、監視カメラC1~Cnを上記性能および環境条件が所定の範囲内で類似するもの同士で複数のカメラ特性グループGA,GB,…に分ける。次に、分けられたカメラ特性グループGA,GB,…毎に、対応する映像解析エンジンVE1~VEnにより得られる映像解析結果からクエリの検知/追跡判定を行う上で適切なパラメータ情報を決定する。
【0035】
一例としては、上記監視カメラC1~Cnの性能および環境条件が反映された結果である各監視エリアの映像を、システム管理者がモニタ装置MTまたは管理者端末OTで実際に視認することで、先ず監視カメラC1~Cnをグループ分けし、分けられたグループGA,GB,…毎に、人物画像とクエリ画像との類似度を判定するための適切な閾値を、顔画像および全身画像のそれぞれについて決定する。
【0036】
上記グループ分けおよびパラメータ情報の決定が終了すると、システム管理者は管理者端末OTからWebサーバ装置SVに対しパラメータ情報の設定を要求する。
【0037】
Webサーバ装置SVの制御部1は、管理者端末OTからパラメータ設定要求が送られると、以後次のようにパラメータ情報の設定処理を実行する。
【0038】
図7は、Webサーバ装置SVにより実行されるパラメータ情報の設定処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
すなわち、Webサーバ装置SVの制御部1は、ステップS10において、上記パラメータ設定要求に応じてパラメータ設定モードを起動する。そして、パラメータ設定モードが起動されると、先ずカメラ特性グループ情報取得処理部11の制御の下、ステップS11によりパラメータ設定画面の表示データを入出力I/F4から管理者端末OTへ送信し表示させる。
【0039】
図9は、管理者端末OTに表示されるパラメータ設定画面の一例を示すものである。パラメータ設定画面は、カメラ特性グループGA,GB,…毎のパラメータ設定ウィンドウ41A,41B,…と、監視カメラC1~Cn毎のグループ設定ウィンドウ42と、editボタン43と、updateボタン44と、closeボタン45とを有する。
【0040】
システム管理者は、上記パラメータ設定画面において、editボタン43を押下した後、先ず監視カメラC1~Cn毎にグループ分けの結果を表す情報GA,GB,…をグループ設定ウィンドウ42に入力する。次に、カメラ特性グループGA,GB,…毎に、そのパラメータ情報をパラメータ設定ウィンドウ41A,41B,…に入力する。そして、入力操作の終了後、updateボタン44を押下する。なお、
図9では図示の簡単のため、カメラ特性グループGA,GBに対応するパラメータ設定ウィンドウ41A,41Bと、監視カメラC1~C6に対応するグループ設定ウィンドウ42のみを示している。
【0041】
上記updateボタン44が押下されると、管理者端末OTは上記グループ分けの結果を表す情報GA,GB,…と、カメラ特性グループGA,GB,…毎のパラメータ情報を、Webサーバ装置SVへ送信する。
【0042】
これに対しWebサーバ装置SVの制御部1は、カメラ特性グループ情報取得処理部11およびパラメータ情報取得処理部12の制御の下、それぞれステップS12,S13において、管理者端末OTから送信された上記グループ分けの結果を表す情報GA,GB,…と、カメラ特性グループGA,GB,…毎のパラメータ情報を入出力I/F4を介して受信する。そして、受信された上記グループ分けの結果を表す情報GA,GB,…をカメラ特性グループ情報としてカメラ情報テーブル31に記憶させ、受信された上記カメラ特性グループGA,GB,…毎のパラメータ情報をカメラ特性グループ情報テーブル32に記憶させる。
【0043】
上記各情報の記憶処理、つまり設定登録処理が終了すると、Webサーバ装置SVの制御部1は、設定された上記グループ分けの結果を表す情報およびパラメータ情報を管理者端末OTへ送信し、上記パラメータ設定画面のパラメータ設定ウィンドウ41A,41Bおよびグループ設定ウィンドウ42にそれぞれ表示させる。かくして、システム管理者は上記各情報の設定結果を確認することができる。
【0044】
上記設定結果の確認後に、システム管理者が上記パラメータ設定画面のcloseボタン45を押下すると、Webサーバ装置SVの制御部1は、ステップS14において設定終了を認識し、待受状態に戻る。
【0045】
(2)監視対象の検知/追跡処理
システム管理者または監視者は、監視対象の検知/追跡を行う際に、例えばWebサーバ装置SV内のデータ記憶部3に保存されている過去の監視映像を検索し、監視対象となるクエリを指定する。なお、Webサーバ装置SVとは別にファイルサーバが配置され、このファイルサーバに監視映像が保存されている場合には、このファイルサーバから過去の監視映像を取得し、クエリを指定する。そして、管理者端末OTにおいて検知/追跡モードを設定する。そうすると、Webサーバ装置SVは次のように検知/追跡処理を実行する。
【0046】
図8は、Webサーバ装置SVにより実行される監視対象の検知/追跡処理の処理手順と処理内容の一例を示すフローチャートである。
すなわち、Webサーバ装置SVの制御部1は、検知/追跡モードの設定をステップS20で認識すると、映像解析結果取得処理部13の制御の下、先ずステップS21によりカメラ番号Ckを初期化する。そして、ステップS22によりカメラ番号Ckを例えばCk=1に設定することにより監視カメラC1を選択し、ステップS23により対応する映像解析エンジンVE1から映像解析結果を取得する。
【0047】
Webサーバ装置SVの制御部1は、続いて検知/追跡結果判定処理部14の制御の下、ステップS24によりカメラ情報テーブル31を検索し、カメラ情報テーブル31に記憶されたカメラ情報をもとに、選択された上記監視カメラC1がいずれかのカメラ特性グループに属しているか否かをステップS25により判定する。
【0048】
この判定の結果、上記選択された上記監視カメラC1がいずれかのカメラ特性グループに属していたとする。この場合、検知/追跡結果判定処理部14はステップS26に移行し、上記カメラ特性グループに対応するパラメータ情報をカメラ特性グループ情報テーブル32から読み出す。例えば、
図9に示したように監視カメラC1がカメラ特性グループGAに属していれば、このカメラ特性グループGAに対応して設定されたパラメータ情報をカメラ特性グループ情報テーブル32から読み出す。
【0049】
そして、検知/追跡結果判定処理部14は、ステップS28において、上記ステップS23により取得された映像解析結果に含まれる顔画像の類似度および身体画像の類似度を、それぞれ上記読み出されたパラメータ情報に含まれる顔画像の類似度判定用の閾値“face 800”および身体画像の類似度判定用の閾値“body -2.5”に基づいて判定する。
【0050】
これに対し、上記選択された上記監視カメラがいずれのカメラ特性グループにも属していなかったとする。この場合、検知/追跡結果判定処理部14はステップS27に移行し、設定情報テーブル33からいずれのカメラ特性グループにも属さない各監視カメラに対し共通に設定された共通パラメータ情報を読み出す。例えば、
図9に示したように監視カメラC6がいずれのカメラ特性グループにも属していなければ、設定情報テーブル33から上記共通パラメータ情報を読み出す。
【0051】
そして、検知/追跡結果判定処理部14は、ステップS28において、上記ステップS23により取得された映像解析結果に含まれる顔画像の類似度および身体画像の類似度を、それぞれ上記読み出された共通パラメータ情報に含まれる顔画像の類似度判定用の閾値(例えば“face 700”)および身体画像の類似度判定用の閾値(例えば“body -2.0”)に基づいて判定する。
【0052】
そして、上記判定の結果、上記映像解析結果に含まれる顔画像の類似度および身体画像の類似度の少なくとも一方が、上記パラメータ情報に含まれる顔画像の類似度判定用の閾値および身体画像の類似度判定用の閾値を超えていることがステップS29により確認されたとする。この場合、Webサーバ装置SVの制御部1は、検知アラート出力処理部15の制御の下、ステップS30により検知アラート情報を生成し、生成された検知アラート情報を入出力I/F4からモニタ装置MTへ出力し、表示させる。このときの検知アラートの表示形態としては、例えば、該当する人物の顔画像または身体の画像を黄色または赤色の枠で囲うものや、上記人物の顔画像または身体の画像に所定の要注意マークを付すもの等を使用することができる。
【0053】
上記したように一つの監視カメラCkにより得られる映像に対する一連の検知/追跡処理が終了すると、Webサーバ装置SVの制御部1は、映像解析結果取得処理部13の制御の下、ステップS31により、カメラ番号CkがCnに達したか否か、つまりすべての監視カメラC1~Cnの選択が終了したか否かを判定する。この判定の結果、未選択の監視カメラが残っている場合には、ステップS22に戻ってカメラ番号Ckをインクリメントして次の監視カメラCkを選択し、以後ステップS23~ステップS30による検知/追跡処理を繰り返し実行する。
【0054】
一方、すべての監視カメラC1~Cnについて上記検知/追跡処理が終了すると、Webサーバ装置SVの制御部1は、ステップS32において検知/追跡モードの終了操作が行われたか否かを監視する。そして、まだ検知/追跡モードが維持されていれば、ステップS21に戻って監視カメラC1~Cnの番号Ckを初期化し、以後ステップS22~ステップS31により検知/追跡処理を繰り返し実行する。
【0055】
上記監視カメラC1~Cnに対する検知/追跡処理は、例えば監視カメラC1~Cnにより得られる映像のフレーム周期(例えば1秒)で繰り返される。なお、この一連の処理の繰り返し周期は、フレーム周期に限らず、例えば2秒以上の周期に設定されてもよく、監視者の希望に応じて任意に設定変更可能である。
【0056】
(作用・効果)
以上述べたように一実施形態では、Webサーバ装置SVが、管理者端末OTにおいてシステム管理者により入力された、監視カメラC1~Cnのグループ分け結果を表す情報GA,GB,…と、カメラ特性グループGA,GB,…毎のパラメータ情報を受信し、受信された上記グループ分けの結果を表す情報GA,GB,…およびカメラ特性グループGA,GB,…毎のパラメータ情報をそれぞれテーブル31,32に記憶させる。そして、映像解析エンジンVE1~VEnにより得られる映像解析結果をもとに監視対象を検知/追跡する処理を行う際に、監視カメラC1~Cn毎に当該監視カメラC1~Cnが属するカメラ特性グループGA,GB,…を判定し、判定されたカメラ特性グループGA,GB,…に対応するパラメータ情報を用いて、上記映像解析結果に含まれる顔画像および身体画像とクエリ画像との類似度を判定し、顔画像および身体画像の類似度の少なくとも一方が閾値を超えている場合に検知アラートを出力するようにしている。
【0057】
従って、監視カメラC1~Cn毎に、その撮像性能や監視対象エリアの環境条件(照明の明るさや人数)が異なる場合でも、これらの性能および環境条件に応じたパラメータ情報に基づいて検出画像とクエリ画像との類似度判定を行うことができ、これにより精度の高い判定が可能になる。
【0058】
しかも、監視カメラC1~Cnが、その性能や監視対象エリアの環境条件が所定の範囲内で類似するもの同士でグループ分けされ、グループ毎にパラメータ情報が設定される。このため、システム管理者は監視カメラC1~Cnに対し個別にパラメータ情報を設定する必要がなくなり、これにより監視カメラの増設や交換、設置位置の変更等に伴うシステム管理者によるパラメータ情報の管理負担を大幅に軽減することが可能となり、また誤設定の発生も減らすことが可能となる。
【0059】
[その他の実施形態]
(1)一実施形態では、システム管理者が、監視カメラC1~Cnのグループ分けおよび各グループに対応するパラメータ情報を決定し、決定した各情報を管理者端末OTからWebサーバ装置SVに設定する場合を例にとって説明した。しかし、この発明はそれに限定されるものではなく、Webサーバ装置SVに監視カメラC1~Cnのグループ分けおよび各グループに対応するパラメータ情報を決めて設定する機能を設けてもよい。
【0060】
これは、例えばWebサーバ装置SVが以下のような処理を実行することにより実現される。すなわち、Webサーバ装置SVの制御部は、監視カメラC1~Cnの性能情報と、監視エリアの環境条件(照明や人数)を表す情報を事前に収集し、データ記憶部3に記憶する。上記各情報は、監視カメラが新設または交換される毎に、あるいは設置位置等の設置条件が変更される毎に、更新される。
【0061】
この状態でWebサーバの制御部1は、上記監視カメラC1~Cnの性能情報および監視エリアの環境条件を表す情報に基づいて、監視カメラC1~Cnを性能および環境条件がそれぞれ予め設定された範囲内に含まれるもの同士で、複数のグループGA,GB,…に分類する。
【0062】
そして、グループGA,GB,…毎に、当該グループGA,GB,…に属する監視カメラの性能および環境条件に対応するパラメータ情報を設定する。このパラメータ情報の設定は、例えば、監視カメラの性能および環境条件の平均値のすべての組合せに対応付けてそれぞれパラメータ情報が記憶されたテーブルを用意し、このテーブルから上記監視カメラの性能および環境条件の平均値に対応するパラメータ情報を読み出すことにより行われる。
【0063】
Webサーバの制御部1は、上記監視カメラC1~Cn毎に、当該監視カメラC1~Cnが属するグループGA,GB,…のグループIDをカメラ情報テーブル31に記憶させる。またそれと共に、各グループGA,GB,…に対し設定されたパラメータ情報をカメラ特性グループ情報テーブル32に記憶させる。
【0064】
このようにすると、システム管理者の経験や熟練度に頼ることなく、監視カメラC1~Cnのグループ分けと、各グループに対する適切なパラメータ情報の設定を行うことが可能となる。
【0065】
なお、上記変換テーブルに記憶されているパラメータ情報は、検知アラートの出力結果に基づいてシステム管理者または監視者が入力する修正要求により、自動的に修正されるようにしてもよい。
【0066】
(2)(1)では、Webサーバ装置SVにおいて監視カメラC1~Cnのグループ分けおよびパラメータ情報を決定する処理を行う場合を例にとって説明したが、これらの各処理を管理者端末OTが行い、決定された各情報を管理者端末OTがWebサーバSV1へ送信して設定するようにしてもよい。
【0067】
(3)一実施形態では、センサデバイスを、監視カメラC1~Cnと映像解析エンジンVE1~VEnにより構成し、映像解析エンジンVE1~VEnにより得られる映像解析結果をパラメータ情報をもとに判定する場合を例にとって説明した。しかし、それに限らず、センサデバイスを、加速度センサ等を用いた動きセンサや、騒音センサ、光センサ、赤外線センサ、振動センサ、歪みセンサ、生体センサ等とその計測データ処理部により構成し、これらによりおられる計測データの解析結果をパラメータ情報をもとに判定する場合にも、この発明は適用可能である。
【0068】
(4)その他、監視情報処理装置の構成やその処理手順および処理内容、グループ分けの条件となる特性の種類、パラメータ情報の内容についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0069】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0070】
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0071】
SV…Webサーバ装置
OT…管理者端末
MT…モニタ装置
NW…ネットワーク
C1~Cn…監視カメラ
VE1~VEn…映像解析エンジン
1…制御部
2…プログラム記憶部
3…データ記憶部
4…入出力I/F
5…通信I/F
6…バス
11…カメラ特性グループ情報取得処理部
12…パラメータ情報取得処理部
13…映像解析結果取得処理部
14…検知/追跡結果判定処理部
15…検知アラート出力処理部
31…カメラ情報テーブル
32…カメラ特性グループ情報テーブル
33…設定情報テーブル