(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】自動分析システム
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20240422BHJP
G01N 35/02 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
G01N35/00 F
G01N35/00 E
G01N35/02 G
(21)【出願番号】P 2020136467
(22)【出願日】2020-08-12
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000004271
【氏名又は名称】日本電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 功
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-064588(JP,A)
【文献】特開2009-229430(JP,A)
【文献】特開2010-139501(JP,A)
【文献】特開2001-255272(JP,A)
【文献】国際公開第2009/066510(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00 - 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を搬送する搬送装置と、前記搬送装置によって搬送される
前記検体を自動的に分析する自動分析装置
と、を備えた自動分析システムにおいて、
前記自動分析
システムは、
前記搬送装置の分注位置に到着した前記検体を分析する分析ユニットと、
前記分析ユニットにより分析される前記検体ごとに検体情報を記憶する検体情報記憶部と、
前記搬送装置が前記検体を搬入予定である搬入予定通知を受信し、前記搬入予定通知で通知された前記検体の前記検体情報を前記検体情報記憶部に書き込む通知受信部と、
前記検体情報記憶部に書き込まれた前記検体情報により特定する前記検体の分析を分析ユニットに指示する動作指示部と、
前記検体の分注を完了したことを表す分注完了通知を前記搬送装置に通知する通知送信部と、を備え、
前記動作指示部は、前記搬送装置に異常が発生した場合には、前記分注位置に未到着である前記検体の検体情報を前記検体情報記憶部から削除
し、前記分析ユニットに対して分注が完了した前記検体の分析を継続させ、
前記搬送装置は、再起動する
自動分析
システム。
【請求項2】
前記通知受信部は、前記搬送装置に異常が発生したことを示す異常発生通知を受信し、
前記動作指示部は、前記通知受信部が前記搬送装置から前記異常発生通知を受信した場合に、前記分析ユニットによる分析が行われていない前記検体の検体情報を前記検体情報記憶部から削除する
請求項1に記載の自動分析
システム。
【請求項3】
前記通知受信部は、
前記搬入予定通知で通知された前記検体が前記分注位置に到着する前の所定のタイミングで前記搬送装置によって送信される到着確定通知であって、前記検体が前記分注位置への到着が確定したことを示す
前記到着確定通知を受信し、
前記動作指示部は、前記通知受信部が前記搬送装置から前記到着確定通知を受信したにも関わらず、前記到着確定通知で予定されるタイミングまでに前記検体が前記分注位置に到着していない場合に、前記搬送装置の搬送が遅延したと判断し、前記分析ユニットによる分析が行われていない前記検体の検体情報を前記検体情報記憶部から削除する
請求項1に記載の自動分析
システム。
【請求項4】
前記動作指示部は、前記搬送装置の搬送が遅延したと判断した場合に、前記通知受信部が受信した前記到着確定通知により特定される前記検体を分注するために前記分析ユニットに開始させた動作をキャンセルする
請求項3に記載の自動分析
システム。
【請求項5】
前記動作指示部は、前記搬送装置にリセットを要求し、前記搬送装置がリセットされた後に再搬入される前記検体に対して、前記分析ユニットに分析を行わせる
請求項4に記載の自動分析
システム。
【請求項6】
さらに前記検体の特定項目を分析する特定項目分析ユニットを有し、
前記動作指示部は、前記搬送装置の搬送が遅延したと判断した場合に、前記特定項目分析ユニットによる処理を継続させ、前記特定項目分析ユニットによる分析結果に対して、エラー情報を追加する
請求項5に記載の自動分析
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、患者の血液、尿等に含まれる各種の成分を分析する自動分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、患者の血液、尿等に含まれる各種の成分を自動的に分析することが可能な自動分析装置が知られている。このような自動分析装置は、多数の患者検体を各種の検査項目により検査することが可能である。
【0003】
自動分析装置には、シングルタイプ、マルチタイプがある。シングルタイプの自動分析装置では、分析モジュールを1台しか備えておらず、分析項目数に制限がある一方で、マルチタイプの自動分析装置では、複数の分析モジュールにより患者検体を多くの分析項目で分析することが可能である。また、マルチタイプの自動分析装置では、複数の分析モジュールが同じ分析項目による分析を担当することにより、多数の患者検体を同時に分析することも可能である。
【0004】
近年では、多数の検体を搬送する搬送装置が自動分析装置に併設されることが多い。しかし、搬送装置と自動分析装置とは異なる装置であるため、自動分析装置は、搬送装置の状態を正しく把握することが必要である。
【0005】
特許文献1には、異常が検出された動作部に到達していない検体の処理を中断し、異常が検出された動作を再度実行させ、該再度の動作の実行によって異常が検出された動作部に動作の異常が検出されなければ、中断した検体の処理を再開するよう、複数の動作部を制御する検体処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来は、搬送装置の異常発生を搬送装置から通知されると、自動分析装置は動作を停止していた。このため、搬送装置に異常が発生した時点で、自動分析装置が未分析である検体の処理は、自動分析装置が分析中の他の検体の分析結果を得た後でなければ行えなかった。この場合、自動分析装置が分析中の他の検体の分析結果を得た後、自動分析装置及び搬送装置が共に再起動を伴う初期化処理を行う必要があり、初期化処理後でなければ、検体の搬送処理、及び、自動分析装置への検体の再搬入を行うことができなかった。このように搬送装置に異常が発生すると、搬送装置及び自動分析装置で行われる分析処理を再開するまでに要する中断時間が長くなるという問題があった。
【0008】
また、搬送装置に異常が生じたことで、分注できなくなった検体の検体情報を自動分析装置が持ち続けると、検体が再搬入された時に、自動分析装置が同じ検体情報を持ってしまう。このため、異常が発生する前に搬送装置に搬入された検体と、異常発生後に搬入されて分析処理が行われる検体とで不整合が生じるおそれがあった。
【0009】
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、搬送装置に異常が発生したことで検体が搬送装置に再搬入されるまでの時間を削減し、自動分析装置が持つ検体情報の不整合を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、検体を搬送する搬送装置と、搬送装置によって搬送される検体を自動的に分析する自動分析装置と、を備えた自動分析システムシステムである。
この自動分析システムは、搬送装置の分注位置に到着した検体を分析する分析ユニットと、分析ユニットにより分析される検体ごとに検体情報を記憶する検体情報記憶部と、搬送装置が検体を搬入予定である搬入予定通知を受信し、搬入予定通知で通知された検体の検体情報を検体情報記憶部に書き込む通知受信部と、検体情報記憶部に書き込まれた検体情報により特定する検体の分析を分析ユニットに指示する動作指示部と、検体の分注を完了したことを表す分注完了通知を搬送装置に通知する通知送信部と、を備え、動作指示部は、搬送装置に異常が発生した場合には、分注位置に未到着である検体の検体情報を検体情報記憶部から削除し、分析ユニットに対して分注が完了した検体の分析を継続させ、搬送装置は、再起動する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、搬送装置に異常が発生した場合には、分注位置に未到着である検体の検体情報が削除された後、搬送装置に検体が再搬入される。ここで、自動分析装置は、再起動又は初期化処理は行われないので、搬送装置から再搬入された検体の分析処理を直ちに再開でき、検体が搬送装置に再搬入されるまでの時間を削減することができる。また、検体情報の不整合を防ぐことができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る自動分析システムの全体構成例を示す上面図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態に係る自動分析装置の内部構成例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第2の実施の形態に係る自動分析システムの全体構成例を示す上面図である。
【
図4】本発明の第2の実施の形態に係る自動分析装置の内部構成例を示すブロック図である。
【
図5】本発明の第1及び第2の実施の形態に係る自動分析装置制御部の第1の内部構成例を示すブロック図である。
【
図6】従来の自動分析システムの処理(1)を示すシーケンス図である。
【
図7】本発明の第1及び第2の実施の形態に係る自動分析システムの処理(1)を示すシーケンス図である。
【
図8】本発明の第1及び第2の実施の形態に係る自動分析装置制御部の第2の内部構成例を示すブロック図である。
【
図9】従来の自動分析システムの処理(2)を示すシーケンス図である。
【
図10】本発明の第1及び第2の実施の形態に係る自動分析システムの処理(2)を示すシーケンス図である。
【
図11】従来の自動分析システムの処理(3)を示すシーケンス図である。
【
図12】本発明の第1及び第2の実施の形態に係る自動分析システムの処理(3)を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0014】
[第1の実施の形態]
始めに、本発明の第1の実施の形態に係る自動分析システム1の構成例について説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る自動分析システム1の全体構成例を示す上面図である。
【0015】
自動分析システム1は、搬送装置2、自動分析装置3及びPC4を備える。PC4(情報処理装置の一例)は、自動分析装置3と相互に通信可能に接続されている。自動分析装置3は、搬送装置2と相互に通信可能に接続されている。
【0016】
<搬送装置2の構成例>
始めに、搬送装置2の構成例について説明する。
搬送装置2は、搬送装置制御部11、搬送レーン12、バーコードリーダー13を備える。搬送レーン12では、複数の検体容器16が収容された検体ラック15が搬送される。ここでは、1つの検体ラック15に最大5個の検体容器16が収容されているものとする。検体容器16が収容された検体ラック15が搬入位置10から搬送レーン12に搬入されることを「搬入」と呼び、検体ラック15が搬送レーン12を移送されることを「搬送」と呼ぶ。また、検体容器16が収容された検体ラック15が搬送レーン12の搬出位置17から取り出されることを「搬出」と呼ぶ。
【0017】
搬送装置制御部11は、搬送レーン12に搬入された検体ラック15を、搬送レーン12の所定位置に移動させる制御を行う。搬送レーン12の途中には、一点鎖線で示す分注位置14が設けられている。そして、搬送装置制御部11は、分注位置14に検体容器16が停止するように検体ラック15を移動させ、及び停止させる。検体容器16に収容される検体が、自動分析装置3の検体分注ピペット31により分注されると、次の検体容器16に収容された検体が分注可能な位置まで検体ラック15が移動する。検体ラック15に収容された全ての検体容器16から検体が分注されると、この検体ラック15は搬出位置まで移動される。以下の説明では、検体容器16を検体と言い換えて、検体容器16が搬送される様子を表現する場合がある。
【0018】
搬送装置2は、自動分析装置3の分注位置14まで検体を搬送し、分注位置14に到着した検体を自動分析装置3が分注すると、搬送装置2は検体を搬出する。搬送装置2は分注位置14に搬送する検体について、到着以前に自動分析装置3へ情報を通知する。
【0019】
<自動分析装置3の構成例>
次に、自動分析装置3の構成例について説明する。
自動分析装置3は、搬送装置2によって搬送される検体を自動的に分析するシングルタイプの自動分析装置の一例である。この自動分析装置3は、検体が分注位置14に到着する以前に搬送装置2から通知を受信するため、検体が分注位置14に到着した後、遅滞なく分注動作を行うことができる。ただし、搬送装置2は、検体が分注位置14に予定通り到着しない場合、異常停止する。また、自動分析装置3は、搬送装置2に異常が発生すると、異常発生を検知し、異常停止する。
【0020】
自動分析装置3は、生化学分析ユニット20と、自動分析装置制御部21と、特定項目分析ユニット22とを備える。
生化学分析ユニット20は、搬送装置2の分注位置に到着した検体を分注し、検体を分析する。この生化学分析ユニット20は、サンプルターンテーブル23と、希釈ターンテーブル24と、第1試薬ターンテーブル25と、第2試薬ターンテーブル26と、反応ターンテーブル27と、計測部28とを備える。また、生化学分析ユニット20は、検体分注ピペット31と、希釈検体分注ピペット32と、第1試薬ピペット33と、第2試薬ピペット34とを備えている。
【0021】
自動分析装置制御部21は、生化学分析ユニット20及び特定項目分析ユニット22の動作を制御する。自動分析装置3が分析する項目には、生化学項目と特定項目がある。生化学分析ユニット20は、反応容器への検体分注、試薬分注、測光等を行って検体の生化学項目を分析する。また、自動分析装置制御部21が分析を依頼した特定項目分析ユニット22は、検体の特定項目を分析する。特定項目として、例えば、電解質項目がある。自動分析装置制御部21の具体的な動作については、
図5以降で詳細を説明する。
【0022】
特定項目分析ユニット22は、自動分析装置制御部21からの依頼に応じて、検体の特定項目を分析する。このため、特定項目分析ユニット22は、特定項目専用のユニットである。そして、特定項目分析ユニット22は、特定項目の分析結果を自動分析装置制御部21に出力する。
【0023】
サンプルターンテーブル23の周方向には、複数の検体容器が並べて収容されている。検体容器には、例えば、検体(患者検体又はコントロール検体)が収容されている。希釈ターンテーブル24の周方向には、複数の希釈容器が並べて収容されている。希釈液によって希釈された検体を収容する希釈容器を保持する希釈ターンテーブル24が、希釈検体搬送部として用いられる。第1試薬ターンテーブル25の周方向には、複数の第1試薬容器が並べて収容されている。また、第2試薬ターンテーブル26の周方向には、複数の第2試薬容器が並べて収容されている。
【0024】
反応ターンテーブル27は、希釈ターンテーブル24と、第1試薬ターンテーブル25及び第2試薬ターンテーブル26の間に配置される。反応ターンテーブル27の周方向には、複数の反応容器が並べて収容されている。
【0025】
検体分注ピペット31は、サンプルターンテーブル23と希釈ターンテーブル24の周囲に配置され、サンプルターンテーブル23及び希釈ターンテーブル24の軸方向(例えば、上下方向)に移動可能に支持されている。検体分注ピペット31は、検体容器内に収容された検体を所定量吸引し、吸引した検体と、所定量の希釈液(例えば、生理食塩水)を希釈容器内に吐出する。これにより、希釈容器内で、検体が所定倍数の濃度に希釈される。
【0026】
希釈検体分注ピペット32は、希釈ターンテーブル24と反応ターンテーブル27の間に配置され、不図示の駆動機構により、希釈ターンテーブル24の軸方向(上下方向)と水平方向に移動及び回動可能に支持されている。希釈検体分注ピペット32は、希釈ターンテーブル24の希釈容器から所定量の希釈検体を吸引し、吸引した希釈検体を反応ターンテーブル27の反応容器内に吐出する。
【0027】
第1試薬ピペット33は、反応ターンテーブル27と第1試薬ターンテーブル25の間に配置され、不図示の駆動機構により、反応ターンテーブル27の軸方向(上下方向)と水平方向に移動及び回動可能に支持されている。第1試薬ピペット33は、第1試薬ターンテーブル25の第1試薬容器内に先端を挿入して、所定量の第1試薬を吸引し、吸引した第1試薬を反応ターンテーブル27の反応容器内に吐出する。
【0028】
第2試薬ピペット34は、反応ターンテーブル27と第2試薬ターンテーブル26の間に配置され、不図示の駆動機構により、反応ターンテーブル27の軸方向(上下方向)と水平方向に移動及び回動可能に支持されている。第2試薬ピペット34は、第2試薬ターンテーブル26の第2試薬容器内に先端を挿入して、所定量の第2試薬を吸引し、吸引した第2試薬を反応ターンテーブル27の反応容器内に吐出する。
【0029】
反応容器では、希釈検体と、第1試薬と、第2試薬とが攪拌され、計測部28により光学的測定が行われる。計測部28は、検体中の様々な成分の量を「吸光度」という数値データとして出力し、希釈検体の反応状態を検出する。
【0030】
<PC4の構成例>
PC4は、ディスプレイ装置を通じて、搬送装置2及び自動分析装置3の動作状況を表示する。また、PC4は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス等を通じて、ユーザからの入力操作を受け付け、自動分析装置制御部21に指示を行う。
【0031】
<自動分析装置3の内部構成例>
図2は、自動分析装置3の内部構成例を示すブロック図である。
【0032】
自動分析装置3は、
図1に示した各部の他に、ユーザがPC4を通じて指示した動作を制御する自動分析装置制御部21を備える。自動分析装置制御部21は、搬送装置2との間で、各種の通知を含む情報を送受信することが可能である。
【0033】
自動分析装置制御部21は、PC4からの指示に従い、自動分析装置3内の各部(特定項目分析ユニット22、サンプルターンテーブル23、希釈ターンテーブル24、第1試薬ターンテーブル25、第2試薬ターンテーブル26、反応ターンテーブル27、検体分注ピペット31、希釈検体分注ピペット32、第1試薬ピペット33及び第2試薬ピペット34)の動作を制御する。
【0034】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る自動分析システムの構成例及び処理例について、
図3と
図4を参照して説明する。
図3は、第2の実施の形態に係る自動分析システム1Aの全体構成例を示す上面図である。
【0035】
自動分析システム1Aは、PC4、搬送装置5及び自動分析装置6を備える。PC4は、自動分析装置6と相互に通信可能に接続されている。自動分析装置6は、搬送装置5と相互に通信可能に接続されている。この自動分析システム1Aは、搬送装置5、自動分析装置6、希釈検体搬送ユニット9を備える。自動分析装置6には、検体希釈ユニット7、生化学分析ユニット8A,8Bが含まれる。
【0036】
<搬送装置5の構成例>
始めに、搬送装置5の構成例について説明する。
搬送装置5は、搬送装置制御部61、搬送レーン62、バーコードリーダー63を備える。搬送レーン62には、複数の検体容器66が収容された検体ラック65が搬送される。ここでは、1つの検体ラック65に最大5個の検体容器66が収容されているものとする。搬送レーン62の途中には、一点鎖線で示す分注位置64a,64b,64cが設けられている。
【0037】
搬送装置制御部61は、搬送レーン62の搬入位置60から搬入された検体ラック65を、搬送レーン62に沿って移動する。バーコードリーダー63は、検体ラック65に収容される検体容器66に付されたバーコードを読み取り、検体情報を搬送装置制御部61に出力する。
【0038】
搬送装置制御部61は、分注位置64a,64b,64cのいずれかに、所望の検体容器66が停止するように検体ラック65を移動させる。検体容器66に収容される検体が、自動分析装置6の検体分注ピペット74により分注されると、次の検体容器66から検体が分注可能な位置まで検体ラック65が移動する。検体ラック65に収容された全ての検体容器66から検体が分注されると、搬送レーン62の搬出位置67から検体ラック65が搬出される。
【0039】
搬送装置5は、自動分析装置6の分注位置64a,64b,64cまで検体を搬送し、到着した検体を自動分析装置6が分注すると、搬送装置5は検体を搬出する。搬送装置5は、分注位置64a,64b,64cに搬送する検体について、各分注位置に到着するより前に自動分析装置6へ情報を通知する。
【0040】
<自動分析装置の構成例>
次に、自動分析装置6の構成例について説明する。
自動分析装置6は、生化学、免疫、尿等の様々な分析を行うためのマルチタイプの自動分析装置の一例として示したものである。この自動分析装置6は、搬送装置5によって搬送される検体を自動的に分析する。自動分析装置6は、検体希釈ユニット7と、生化学分析ユニット8A,8Bと、希釈検体搬送ユニット9(搬送装置の一例)とを備える。以下の説明において、自動分析装置6が2台の生化学分析ユニット8A,8Bを備えた実施の形態例を示すが、生化学分析ユニットの数を1台又は3台以上に増減させてもよい。
【0041】
この自動分析装置6は、検体希釈ユニット7に特定項目分析ユニット72a~72cを有する。搬送装置5において、検体の分注位置は、特定項目分注用と生化学項目用とで複数存在する。また、搬送装置5と自動分析装置6は分注位置毎に通信経路を有する。そして、搬送装置5と自動分析装置6は、生化学項目用の通信路でのみ搬入予定通知を送受信すると共に、搬送される検体を停止すべき分注位置の通信を行う。なお、後述する分注位置到着通知及び次検体到着確定通知は全通信経路で必要に応じて通信が行われる。
【0042】
(生化学分析ユニットの構成例)
検体希釈ユニット7は、自動分析装置制御部71と、特定項目分析ユニット72a~72cと、検体分注ピペット73,74と、サンプルターンテーブル75とを備える。
特定項目分析ユニット72a~72cは、検体の異なる特定項目を分析する機能を有する。例えば、特定項目分析ユニット72aは、検体中の電解質を測定することが可能である。
【0043】
検体分注ピペット73は、分注位置64a又は64bに搬送された検体容器66から検体を吸引する。検体分注ピペット73が吸引した検体は、サンプルターンテーブル75に配置された検体容器、又は特定項目分析ユニット72a~72cのいずれかに吐出される。
【0044】
検体分注ピペット74は、分注位置64cに搬送された検体容器66から検体を吸引する。検体分注ピペット74が吸引した検体は、希釈検体搬送ユニット9にて搬送される希釈容器92に吐出される。また、検体分注ピペット73によりサンプルターンテーブル75の検体容器に吐出された検体は、検体分注ピペット74により吸引され、希釈液と共に希釈容器92に吐出される。
【0045】
希釈検体搬送ユニット9は、希釈検体搬送レーン91と、希釈容器92を備える。
希釈検体搬送レーン91は、生化学分析ユニット8A,8Bに希釈容器92を搬送可能に構成されている。
【0046】
希釈容器92は、自動分析装置6の検体分注ピペット74により分注された希釈検体を収容する。希釈容器92は、希釈検体搬送レーン91を通じて、生化学分析ユニット8A,8Bのいずれかの分注位置に搬送される。希釈容器92に収容された希釈検体は、生化学分析ユニット8A,8Bにより、生化学分析が行われるために用いられる。
【0047】
(生化学分析ユニットの構成例)
生化学分析ユニット8Aは、希釈検体搬送ユニット9の分注位置に到着した検体を分析する。この生化学分析ユニット8Aは、第1試薬ピペット81と、第2試薬ピペット82と、第1試薬ターンテーブル83と、第2試薬ターンテーブル84と、反応ターンテーブル85と、希釈検体分注ピペット86とを備える。
【0048】
希釈検体分注ピペット86は、反応ターンテーブル85と、希釈検体搬送ユニット9との間に配置される。希釈検体分注ピペット86は、希釈検体の分注位置に搬送された希釈容器92から希釈検体を吸引し、吸引した希釈検体を反応ターンテーブル85の反応容器内に吐出する。
【0049】
第1試薬ピペット81は、反応ターンテーブル85と第1試薬ターンテーブル83の間に配置され、不図示の駆動機構により、反応ターンテーブル85の軸方向(上下方向)と水平方向に移動及び回動可能に支持されている。第1試薬ピペット81は、第1試薬ターンテーブル83の第1試薬容器内に先端を挿入して、所定量の第1試薬を吸引し、吸引した第1試薬を反応ターンテーブル85の反応容器内に吐出する。
【0050】
第2試薬ピペット82は、反応ターンテーブル85と第2試薬ターンテーブル84の間に配置され、不図示の駆動機構により、反応ターンテーブル85の軸方向(上下方向)と水平方向に移動及び回動可能に支持されている。第2試薬ピペット82は、第2試薬ターンテーブル84の第2試薬容器内に先端を挿入して、所定量の第2試薬を吸引し、吸引した第2試薬を反応ターンテーブル85の反応容器内に吐出する。
反応容器では、希釈検体と、第1試薬と、第2試薬とが攪拌され、不図示の計測部により光学的測定が行われる。
【0051】
なお、生化学分析ユニット8Bについても、生化学分析ユニット8Aと同様の構成であるので、生化学分析ユニット8Bの詳細な説明は省略する。
【0052】
第2の実施の形態に係る自動分析システム1Aは、第1の実施の形態に係る自動分析システム1と同様の動作を行う。さらに自動分析システム1Aは、いずれかの通信経路又は分注位置で異常を検知した時、他の分注位置の分注動作も同様に中止する。この自動分析システム1Aでは、自動分析装置6側は再起動やリセット等の操作が不要であり、搬送装置5側に対するリセット等の操作のみで自動分析装置6が検体の分析を再開できる。
【0053】
<自動分析装置6の内部構成例>
次に、自動分析装置6の内部構成例について説明する。
図4は、自動分析装置6の内部構成例を示すブロック図である。
【0054】
自動分析装置制御部71は、PC4からの指示に従い、自動分析装置6内の各部(検体希釈ユニット7、生化学分析ユニット8A,8B、希釈検体搬送ユニット9及び特定項目分析ユニット72a~72c)の動作を制御する。
【0055】
<自動分析装置制御部の第1の内部構成例>
図5は、自動分析装置制御部21,71の第1の内部構成例を示すブロック図である。
自動分析装置制御部21,71は、通知受信部41、動作指示部42、通知送信部43及び検体情報記憶部44を備える。ここでは、自動分析装置制御部21が備える各部の機能について説明する。自動分析装置制御部71が備える各部の機能についても、自動分析装置制御部21が備える各部の機能と同様である。
【0056】
通知受信部41は、搬送装置2が検体を搬入予定である搬入予定通知を受信し、搬入予定通知で通知された検体の検体情報を検体情報記憶部44に書き込む。
【0057】
動作指示部42は、検体情報記憶部44に書き込まれた検体情報により特定する検体の分析を生化学分析ユニット20に指示する。例えば、動作指示部42は、通知受信部41が受信した各種の通知に基づいて、自動分析装置3の各部における動作指示を行う。また、動作指示部42は、搬送装置2に異常が発生した場合には、分注位置に未到着である検体の検体情報を検体情報記憶部44から削除する。
【0058】
通知送信部43は、検体の分注を完了したことを表す分注完了通知を搬送装置2に通知する。また、通知送信部43は、PC4に対して動作結果を送信する。
【0059】
検体情報記憶部44は、生化学分析ユニット20により分析される検体ごとに検体情報を記憶する。
【0060】
ここで、自動分析装置制御部21,71のハードウェア構成例について説明する。自動分析装置制御部21,71は、通信インターフェイス(I/F)50と、CPU51と、ROM52と、HDD53とを有する計算機によって構成される。
【0061】
通信インターフェイス50には、例えば、NIC(Network Interface Card)等が用いられ、NICの端子に接続されたLAN(Local Area Network)、専用線等を介して各種のデータを、搬送装置2又はPC4との間で送受信することが可能である。通信インターフェイス50が搬送装置2又はPC4から受信した情報が、通知受信部41に出力される。また、通信インターフェイス50は、通知送信部43が出力する情報を、搬送装置2又はPC4に送信する。
【0062】
CPU51は、本実施の形態に係る各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROM52から読み出してRAMにロードし、実行する。CPU51は、プログラムコードを実行することで、通知受信部41、動作指示部42、通知送信部43の機能を実現する。不図示のRAMには、CPU51の演算処理の途中で発生した変数やパラメーター等が一時的に書き込まれ、これらの変数やパラメーター等がCPU51によって適宜読み出される。
【0063】
HDD53には、OS(Operating System)、各種のパラメーターの他に、計算機を機能させるためのプログラムが記録されている。また、ROM52及びHDD53は、CPU51が動作するために必要なプログラムやデータ等を記録しており、計算機によって実行されるプログラムを格納したコンピュータ読取可能な非一過性の記憶媒体の一例として用いられる。HDD53により検体情報記憶部44の機能が実現される。検体情報記憶部44の機能は、RAMにより実現されてもよい。また、HDD53の代わりに、SSD(Solid State Drive)、不揮発性のメモリ等が用いられてもよい。
【0064】
<搬送装置自身が搬送異常の発生通知を自動分析装置に送信する処理の例>
次に、従来の自動分析システムと、本発明の第1及び第2の実施の形態に係る自動分析システムで行われる搬送装置と自動分析装置の情報授受と挙動、異常発生から再開までの流れについて、
図6と
図7に示す処理(1)を比較して説明する。
図6と
図7に示す処理(1)は、いずれも搬送装置に異常が発生した場合、搬送装置自身が搬送異常の発生通知を自動分析装置に通知する処理を行うものである。以下の図中では、自動分析装置を「分析装置」と略記する。また、自動分析装置によって所定項目の分析が行われる検体に対して、例えば、検体の搬送順に検体A、検体Bのように符号を付して識別する。
【0065】
<従来の自動分析システムの処理(1)>
図6は、従来の自動分析システムの処理(1)を示すシーケンス図である。以下に説明する従来の自動分析システムについても、搬送装置と、自動分析装置を備える構成とする。
【0066】
始めに、搬送装置は、自動分析装置に対して、検体Aの搬入予定を通知するための搬入予定通知を送信する(S101)。次に、搬送装置は、自動分析装置に対して、検体Bの搬入予定通知を送信する(S102)。
【0067】
次に、搬送装置は、自動分析装置に対して、検体Aが分注位置14に到着することを通知するための分注位置到着通知を送信する(S103)。自動分析装置は、検体Aの分注位置到着通知を受信すると、検体Aの分注動作を開始する(S104)。そして、自動分析装置は、検体Aの分注動作が完了すると、搬送装置に対して、検体Aの分注が完了したことを通知するための分注完了通知を送信する(S105)。
【0068】
次に、搬送装置は、自動分析装置に対して、検体Cの搬入予定通知を送信する(S106)。次に、搬送装置は、自動分析装置に対して、検体Bの分注位置到着通知を送信する(S107)。
【0069】
自動分析装置は、検体Bの分注位置到着通知を受信すると、検体Bの分注動作を開始する(S108)。そして、自動分析装置は、検体Bの分注動作が完了すると、搬送装置に対して、検体Bの分注完了通知を送信する(S109)。
【0070】
ここで、搬送装置にて、検体の搬送異常が発生したと想定する(S110)。搬送装置は、自動分析装置に対して、検体Cの搬送異常が発生したことを通知するための搬送異常発生通知を送信する(S111)。ただし、搬送異常が発生した検体は、検体Cに限らず、他の検体も想定される。
【0071】
搬送装置では検体の搬送異常が発生しているので、搬送装置から自動分析装置に対して、検体Cの分注位置到着通知が送信されない。そして、搬送異常発生通知を受信した自動分析装置は、検体Cの分注を停止する(S112)。
【0072】
自動分析装置は、分注停止の直前に分注した検体の結果が出るまで待機する(S113)。通常は、10数分程度の待機時間を要する。また、搬送装置は、自動分析装置の待機時間と同じ時間だけ待機する。
【0073】
待機時間の経過後、自動分析装置が再起動する(S114)。同じく、待機時間の経過後、搬送装置が再起動する(S115)。搬送装置の再起動が完了した後、搬送装置への検体搬入が再開される(S116)。
【0074】
このように従来は、搬送装置及び自動分析装置が再起動されるため、自動分析装置が分析処理を再開するまでに時間がかかっていた。また、自動分析装置は、分注停止前に搬送装置から受信した検体の検体情報を持っている。このため、自動分析装置は、搬送装置の再起動後に再搬入された検体の検体情報を受信すると、同じ検体情報を持ってしまうので、不整合が生じる可能性がある。
【0075】
<第1及び第2の実施の形態に係る自動分析システムの処理(1)>
図7は、第1及び第2の実施の形態に係る自動分析システムの処理(1)を示すシーケンス図である。処理(1)は、搬送装置2に異常が発生した時に自動分析装置3が対応する分析処理の一例である。ここでは、第1の実施の形態に係る自動分析システム1の処理(1)について説明するが、第2の実施の形態に係る自動分析システム1Aについても同様の処理(1)が行われるものとする。
【0076】
始めに、搬送装置2が、搬送レーン12に搬入された検体を搬送すると、分注位置14より手前に設置されたバーコードリーダー13が、搬送される検体容器や検体搬送容器の情報を読み取る。そして、搬送装置2は、搬送装置2は、バーコードリーダー13が読み取った情報に基づいて、自動分析装置3に対して、検体毎に搬入予定通知と検体情報を順次送信する。
【0077】
ここでは、搬送装置2が、自動分析装置3に対して、検体Aの搬入予定を通知するための搬入予定通知(検体A搬入予定通知)と検体情報を送信する(S1)。搬送装置2から自動分析装置3に搬入予定通知が送信されるタイミングは、検体ラック15に収容された検体容器16のバーコードをバーコードリーダー13が読み取った時である。自動分析装置3の通知受信部41は、検体Aの搬入予定通知と検体情報を受信すると、検体情報記憶部44に検体Aの未分注搬送検体情報を書き込む。
【0078】
次に、ステップS1と同様の処理を経て、搬送装置2は、自動分析装置3に対して検体Bの搬入予定通知(検体B搬入予定通知)を送信する(S2)。自動分析装置3の通知受信部41は、検体Bの搬入予定通知と検体情報を受信すると、検体情報記憶部44に検体Bの未分注搬送検体情報を書き込む。
【0079】
自動分析装置3は、搬送装置2から搬入予定通知と共に取得した検体情報に基づいて、自動分析装置3自身の設定やPC4への問い合わせを元に分析内容を取得する。そして、自動分析装置3は、搬送装置2に対して、自動分析装置3が検体を分注することが必要か否かを通知する。以下に説明する各検体は、自動分析装置3が分注を必要と判断した検体である。
【0080】
搬送装置2は、分注位置14に検体Aを搬送すると、検体Aが分注位置14に到着することを通知するための検体Aの分注位置到着通知を送信する(S3)。分注位置到着通知が送信されるタイミングは、検体ラック15に収容された検体容器16が分注位置14に到着した時である。
【0081】
その後、自動分析装置3の動作指示部42は、検体Aの分注動作の開始を指示する(S4)。動作指示部42は、検体分注ピペットによる検体Aの分注後、検体Aの未分注搬送検体情報に分注済みの情報を書き込む。また、動作指示部42は、検体Aの分析が完了すると、検体情報記憶部44に設けられた検体Aの記憶領域に分析結果を書き込む。
【0082】
自動分析装置3による検体Aの分注動作(検体の吸引及び吐出)が完了すると、通知送信部43は、搬送装置2に対して、検体Aの分注が完了したことを通知するための分注完了通知を送信する(S5)。分注完了通知を受信した搬送装置2は、分注の完了した検体(例えば、検体A)を分注位置14から搬出し、次の検体(例えば、検体B)を分注位置14に搬送すべく動作する。
【0083】
次に、搬送装置2は、自動分析装置3に対して、検体Cの搬入予定通知と検体情報を送信する(S6)。自動分析装置3の通知受信部41は、検体Cの搬入予定通知と検体情報を受信すると、検体情報記憶部44に検体Cの未分注搬送検体情報を書き込む。
【0084】
次に、搬送装置2は、自動分析装置3に対して、検体Bの分注位置到着通知を送信する(S7)。自動分析装置3の通知受信部41が検体Bの分注位置到着通知を受信すると、動作指示部42は、検体Bの分注動作の開始を指示する(S8)。動作指示部42は、検体分注ピペットによる検体Bの分注後、検体Bの未分注搬送検体情報に分注済みの情報を書き込む。また、動作指示部42は、検体Bの分析が完了すると、検体情報記憶部44に設けられた検体Bの記憶領域に分析結果を書き込む。通知送信部43は、検体Bの分注動作が完了すると、搬送装置2に対して、検体Bの分注完了通知を送信する(S9)。
【0085】
ここで、搬送装置2にて、検体の搬送異常が発生したと想定する(S10)。搬送装置2は、自動分析装置3に対して、検体Cの搬送異常が発生したことを示す搬送異常発生通知を送信する(S11)。ただし、搬送異常が発生した検体は、検体Cに限らず、他の検体も想定される。
【0086】
動作指示部42は、通知受信部41が搬送装置2から異常発生通知を受信した場合に、生化学分析ユニット20による分析が行われていない検体の検体情報を検体情報記憶部44から削除する。例えば、動作指示部42は、検体情報記憶部44に記憶されている検体Cの未分注搬送検体情報を削除する(S12)。ステップS12の処理により、通知受信部41が搬送装置2から受信した、分注位置に到着予定の検体情報が削除されるので、検体Cの分注に伴う制御についてもキャンセルされる。このため、検体Cの分注は行われない。また、自動分析装置3の再起動は行われない。
【0087】
一方、動作指示部42は、既に分注された検体A,Bについては、生化学分析ユニット20による分析動作を引き続き行わせる。また、動作指示部42は、既に分析動作を行っている特定項目分析ユニット22に対し、搬送装置2の異常発生を通知したり、分析動作を中断させたりせず、正常に完了するまで分析動作を継続させる。
【0088】
また、ステップS10にて検体の搬送異常が発生すると、搬送装置2は、ステップS11にて搬送異常発生通知を送信した後、直ちに再起動を開始する(S13)。搬送装置2の再起動が完了した後、搬送装置2への検体搬入が再開(「検体再搬入」と呼ぶ)される(S14)。ここで、搬送装置2は、自動分析装置3に対して搬入予定通知及び分注位置到着通知を送信したものの、自動分析装置3で分注されなかった検体を再搬送できるように制御される。この際、搬送装置2は、例えば、自身で初期化処理を行う。また、搬送装置2は、自身で自動的に検体の搬出及び搬入を行うこともできる。なお、オペレーターが手動で、搬送装置2から分注が停止した時点で搬送レーン12に滞留している検体を搬出したり、再び分注位置14まで搬送させる検体を搬入したりしてもよい。
【0089】
その後、搬送装置2は、自動分析装置3に対して、検体Cの搬入予定通知と検体情報を送信する(S15)。自動分析装置3の通知受信部41は、検体Cの搬入予定通知と検体情報を受信すると、検体情報記憶部44に検体Cの未分注搬送検体情報を書き込む。
【0090】
次に、搬送装置2は、分注位置14に検体Cを搬送すると、自動分析装置3に対して、検体Cの分注位置到着通知を送信する(S16)。自動分析装置3の通知受信部41が検体Cの分注位置到着通知を受信すると、動作指示部42は、検体Cの分注動作の開始を指示する(S17)。動作指示部42は、検体Cの分注後、検体Cの未分注搬送検体情報に分注済みの情報を書き込み、検体Cの分析が完了すると、検体情報記憶部44に設けられた検体Cの記憶領域に分析結果を書き込む。
【0091】
通知送信部43は、検体Cの分注動作が完了すると、搬送装置2に対して、検体Cの分注完了通知を送信する(S18)。分注完了通知を受信した搬送装置2は、分注の完了した検体Cを分注位置14から搬出し、次の検体Dを分注位置14に搬送すべく動作する。検体Dについても、検体A,B,Cと同様に処理される。
【0092】
搬送装置2は、自動分析装置3に対して、検体Dの搬入予定通知と検体情報を送信する(S19)。自動分析装置3の通知受信部41は、検体Dの搬入予定通知と検体情報を受信すると、検体情報記憶部44に検体Dの未分注搬送検体情報を書き込む。
【0093】
次に、搬送装置2は、分注位置14に検体Dを搬送すると、自動分析装置3に対して、検体Dの分注位置到着通知を送信する(S20)。自動分析装置3の通知受信部41が検体Dの分注位置到着通知を受信すると、動作指示部42は、検体Dの分注動作の開始を指示する(S21)。自動分析装置3は、検体Dの分注動作が完了すると、搬送装置2に対して、検体Dの分注完了通知を送信する(S22)。また、動作指示部42は、検体Dの分注後、検体Dの未分注搬送検体情報に分注済みの情報を書き込み、検体Dの分析が完了すると、検体情報記憶部44に設けられた検体Dの記憶領域に分析結果を書き込む。
【0094】
以上説明した第1及び第2の実施の形態に係る自動分析システムで行われる処理(1)では、搬送装置に異常が発生すると、搬送異常発生通知が自動分析装置に送信される。また、搬送装置は、直ちに再起動される。一方で自動分析装置は、搬送装置のステータスに異常が発生してもエラーとして停止しない。
【0095】
そこで、自動分析装置は、搬送装置から搬送異常発生通知を受信すると、未分注搬送検体情報を削除する。このため、自動分析装置は、未分注の検体のために分注動作を行う処理をキャンセルできる。また、自動分析装置は、従来のように直前に分注した検体の結果が出るまで待機する必要がなく、自動分析装置自身が再起動しなくてよい。そして、搬送装置が再起動後に検体が再搬入されると、この再搬入された検体に対する分注動作に必要な処理を直ちに再開することができる。このように自動分析装置は、搬送装置に異常が発生した際の復旧作業を、搬送装置のみを再起動後、搬送装置を初期化するだけとしたので、速やかに分析を再開することができる。
【0096】
<次検体到着確定通知が送信される自動分析システムの構成例>
次に、次検体到着確定通知が送信される場合の自動分析システムの構成例について、
図8を参照して説明する。次検体到着確定通知は、この通知を受信した自動分析装置が、検体が分注位置に到着する前に、検体分注ピペットの動作を開始するための制御に用いられる。
【0097】
<自動分析装置制御部の第2の内部構成例>
図8は、自動分析装置制御部21,71の第2の内部構成例を示すブロック図である。
【0098】
自動分析装置制御部21,71は、通知受信部41、動作指示部42、通知送信部43及び検体情報記憶部44を備える。通知受信部41、動作指示部42、通知送信部43及び検体情報記憶部44の機能は、
図5に示した自動分析装置制御部21,71と同様である。ただし、第1の実施の形態に係る動作指示部42が、生化学分析ユニット20、特定項目分析ユニット22に対して動作指示を行う点と、第2の実施の形態に係る動作指示部42が、生化学分析ユニット8A,8B、特定項目分析ユニット72a~72cに対して動作指示を行う点が異なる。
【0099】
ここで、搬送装置2,5は、それぞれ自動分析装置3,6に対して、次検体の分注位置への到着が確定したことを示す次検体到着確定通知を送信する。ここで、第1及び第2の実施の形態では、次検体到着確定通知の後に分注位置に到着する検体を次検体と呼ぶ。
【0100】
自動分析装置3,6の通知受信部41は、次検体到着確定通知を受信すると、検体分注ピペットに対して分注動作の開始を指示する。このため、搬送装置2,5から次検体の分注位置到着通知が送信される前に、検体分注ピペットが動き出す。そして、搬送装置2,5から次検体の分注位置到着通知が送信されると、検体分注ピペットは、ほぼ分注位置の付近まで動いている。このため、検体分注ピペットは、検体が分注位置に到着すると、直ちに検体を分注することが可能である。このように次検体の分注位置到着通知を用いた検体分注ピペットの制御が行われるのは、検体分注に要する時間を削減するためである。
【0101】
自動分析装置制御部21,71のハードウェア構成例は、
図5を参照して説明済みであるため、詳細な説明を省略する。
【0102】
<搬送装置が次検体到着確定通知を自動分析装置に送信する処理の例>
次に、従来の自動分析システムと、本発明の第1及び第2の実施の形態に係る自動分析システムで行われる搬送装置と自動分析装置の情報授受と挙動、異常発生から再開までの流れについて、
図9と
図10を比較して説明する。
図9と
図10に示す処理例は、いずれも搬送装置から次検体到着確定通知が送信される状況における、自動分析システムの異常発生時の挙動を表す。
【0103】
<従来の自動分析システムの処理(2)>
図9は、従来の自動分析システムの処理(2)を示すシーケンス図である。
図9のステップS101~S109の処理は、
図6と同様であるので、ステップS121以降の処理について説明する。
【0104】
ステップS108にて、検体Bの分注動作が行われている途中で、搬送装置から自動分析装置に対して、次検体到着確定通知が送信される(S121)。自動分析装置は、次検体到着確定通知を受信すると、検体Bの次検体である検体Cの分注動作を開始する(S122)。この際、検体Cを分注するために検体分注ピペットの動作が開始される。
【0105】
ここで、搬送装置にて、ステップS109の検体Bの分注完了通知が行われた後、検体の搬送遅延が発生したとする(S123)。この場合、搬送装置自体は異常発生とは認識していない。しかし、検体Cは、自動分析装置が定める規定の時間内に分注位置14に到着しない。このため、自動分析装置は、検体が未到着であることを検出する(S124)。
【0106】
そこで、自動分析装置は、直前に分注した検体の分析結果が出るまで待機する(S125)通常は10数分程度の待機時間を要する。ただし、測定中の検体が無くても、例えば、自動分析装置が電解質項目の分注動作中であれば、特定項目分析ユニットの一つである電解質分析ユニットが測定異常になる。そこで、電解質分析ユニットの初期化が必要となる。
【0107】
このため、待機時間の経過後、自動分析装置が再起動する(S126)。また、搬送装置は、自動分析装置の待機時間と同じ時間だけ待機し、待機時間の経過後、再起動する(S127)。搬送装置の再起動が完了した後、搬送装置への検体搬入が再開される(S128)。
【0108】
自動分析システムの処理(1)について説明したように、従来の自動分析装置は搬送装置に異常が発生すると異常停止する。また、自動分析装置は、搬送装置から受信する情報に基づいて検体分析のための準備動作を行うため、予定通りに検体が到着しなければ異常停止する。さらに自動分析装置が内包する電解質分析装置等の特定項目分析ユニットでも準備動作を行っていることがあり、予定通りに検体が到着しないとエラーが発生し、この分析ユニットが異常停止する。
【0109】
自動分析装置及び特定項目分析ユニットを復旧するには、自動分析装置が分析中の検体の分析結果を得てから、自動分析装置及び搬送装置が共に初期化処理を行い、未分析の検体を搬送から再搬入することになる。この復旧作業には、例えば15分程度は要していたので、分析を再開するまでに時間がかかっていた。そこで、以下に、自動分析装置が、一旦中断した分析を再開するまでの時間を短縮することを目的とした処理(2)について説明する。
【0110】
<第1及び第2の実施の形態に係る自動分析システムの処理(2)>
図10は、第1及び第2の実施の形態に係る自動分析システムの処理(2)を示すシーケンス図である。ここでは、第1の実施の形態に係る自動分析システム1の処理(2)について説明するが、第2の実施の形態に係る自動分析システム1Aについても同様の処理である。また、処理(2)では、処理(1)と同様の箇所について詳細な説明を省略する場合がある。
【0111】
図10のステップS1~S9の処理は、
図7と同様であるので、ステップS31以降の処理について説明する。
処理(2)では、搬送装置2が、ステップS7にて検体Bの分注位置到着通知を送信した後、次検体である検体Cの次検体到着確定通知を送信する(S31)。自動分析装置3の通知受信部41が次検体到着確定通知を受信すると、動作指示部42が、検体Cの分注動作を開始する(S32)。ここで、動作指示部42は、特定項目分析ユニットの一つである電解質分析ユニットに対して、分析動作を指示する。
【0112】
ここで、搬送装置2にて、検体の搬送遅延が発生したと想定する(S33)。搬送遅延であるので、搬送装置2から自動分析装置3に対して、搬送遅延に関する情報は送信されない。しかし、自動分析装置3は、既に検体Cの次検体到着確定通知を受信している。このため、自動分析装置3の動作指示部42は、規定の時間内に検体Cが分注位置14に到着していなければ、検体分注ピペットに検体Cの分注を指示できない。
【0113】
そこで、動作指示部42は、通知受信部41が搬送装置2から到着確定通知を受信したにも関わらず、到着確定通知で予定されるタイミングまでに検体が分注位置に到着していない場合に、搬送装置2の搬送が遅延したと判断する。そして、動作指示部42は、生化学分析ユニット20による分析が行われていない検体の検体情報を検体情報記憶部44から削除する。
【0114】
動作指示部42は、搬送装置2の搬送が遅延したと判断した場合に、通知受信部41が受信した到着確定通知により特定される検体を分注するために生化学分析ユニット20に開始させた動作をキャンセルする。例えば、動作指示部42は、検体Cの分注動作をキャンセルする(S34)。このため、自動分析装置3が検体分注ピペットを動作させ、分注動作を開始している場合、分注動作を中止する。検体Cの分注動作がキャンセルされると、分注ピペットは、分注位置に一旦振り出すが、検体へ降下せず、分注動作の開始時の位置に戻る動きをする。そして、動作指示部42は、ステップS34以降に搬送される検体が分注位置に到着する際には、生化学分析ユニット20が正常に分注動作を再開できる状態を維持する。
【0115】
そして、動作指示部42は、検体情報記憶部44に記憶されている検体Cの未分注搬送検体情報を削除する(S35)。なお、動作指示部42は、既に分析動作を行っている生化学分析ユニット20に対して、搬送装置2の異常発生を通知したり、分析動作を中断させたりせず、正常に完了するまで分析動作を継続させる。
【0116】
このため、動作指示部42は、既に検体分注ピペットに分注させた検体について、例えば、特定項目分析ユニット22の一つである電解質分析ユニットに対して正常に分析させる(S36)。このように動作指示部42は、搬送装置2の搬送が遅延したと判断した場合に、電解質分析ユニットによる処理を継続させる。ただし、動作指示部42は、電解質分析ユニットによる分析結果に対して、エラー情報を追加する。このように動作指示部42は、特定項目分析ユニット22から取得した特定項目の分析結果を加工することで、分析結果が異常データであることを明確にしておく。
【0117】
また、動作指示部42は、搬送装置2にリセットを要求し、搬送装置2がリセットされた後に再搬入される検体に対して、生化学分析ユニット20に分析を行わせる。例えば、動作指示部42は、ステップS35にて検体Cの未分注搬送検体情報を削除した後、通知送信部43を通じて、搬送装置2に対して搬送リセット要求を送信させる(S37)。搬送リセット要求は、動作指示部42が、搬送装置5に対して検体の搬送をやり直す旨を指示するメッセージである。
【0118】
搬送装置2は、搬送リセット要求を受信すると、直ちに再起動を開始する(S38)。搬送装置2の再起動が完了した後、検体再搬入が開始される(S39)。
【0119】
その後、搬送装置2は、自動分析装置3に対して、検体Cの搬入予定通知と検体情報を送信する(S40)。自動分析装置3の通知受信部41は、検体Cの搬入予定通知と検体情報を受信すると、検体情報記憶部44に検体Cの未分注搬送検体情報を書き込む。
【0120】
次に、搬送装置2は、分注位置14に検体Cを搬送すると、自動分析装置3に対して、検体Cの分注位置到着通知を送信する(S41)。自動分析装置3の通知受信部41が検体Cの分注位置到着通知を受信すると、動作指示部42は、検体分注ピペットに検体Cの分注動作の開始を指示する(S42)。動作指示部42は、検体Cの分注後、検体Cの未分注搬送検体情報に分注済みの情報を書き込む。また、動作指示部42は、検体Cの分析が完了すると、検体情報記憶部44に設けられた検体Cの記憶領域に分析結果を書き込む。
【0121】
通知送信部43は、検体Cの分注動作が完了すると、搬送装置2に対して、検体Cの分注完了通知を送信する(S43)。分注完了通知を受信した搬送装置2は、分注の完了した検体Cを分注位置14から搬出し、次の検体Dを分注位置14に搬送すべく動作する。検体Dについても、検体Cと同様に処理される。
【0122】
このため、搬送装置2は、自動分析装置3に対して、検体Dの搬入予定通知と検体情報を送信する(S44)。自動分析装置3の通知受信部41は、検体Dの搬入予定通知と検体情報を受信すると、検体情報記憶部44に検体Dの未分注搬送検体情報を書き込む。
【0123】
次に、搬送装置2は、分注位置14に検体Dを搬送すると、自動分析装置3に対して、検体Dの分注位置到着通知を送信する(S45)。自動分析装置3の通知受信部41は、検体Dの分注位置到着通知を受信すると、動作指示部42は、検体分注ピペットに検体Dの分注動作の開始を指示する(S46)。動作指示部42は、検体Dの分注後、検体Dの未分注搬送検体情報に分注済みの情報を書き込む。また、動作指示部42は、検体Dの分析が完了すると、検体情報記憶部44に設けられた検体Dの記憶領域に分析結果を書き込む。通知送信部43は、検体Dの分注動作が完了すると、搬送装置2に対して、検体Dの分注完了通知を送信する(S47)。
【0124】
以上説明した第1及び第2の実施の形態に係る自動分析システムで行われる処理(2)では、搬送装置に搬送遅延が発生すると、搬送装置から異常発生の通知が送信されなくても、自動分析装置が開始していた分注動作をキャンセルする。このため、搬送装置に異常が発生した後であっても、自動分析装置側は再起動やリセット等の操作が不要で、搬送装置側のリセット等の操作のみで分析を再開できる。
【0125】
また、検体未到着時は自動分析装置から搬送装置にリセット要求の通信を送る。このため、検体の搬送遅延が発生した搬送装置は、直ちに再起動される。一方で自動分析装置は、搬送装置のステータスに異常が発生してもエラーとして停止しない。自動分析装置は、従来のように直前に分注した検体の結果が出るまで待機する必要がなく、自動分析装置は、再起動をしなくてよい。そして、搬送装置が再起動後に検体が再搬入されると、この再搬入された検体に対する分注動作に必要な処理を直ちに再開することができる。このように自動分析装置は、搬送装置に異常が発生した際の復旧作業を、搬送装置のみを再起動後、初期化するだけとしたので、速やかに分析を再開することができる。
【0126】
また、自動分析装置は、既に分析が行われている電解質分析ユニットをそのまま正常に分析させるが、その分析結果にはエラー情報を追加する。そして、自動分析装置が有する電解質分析ユニットは正常に分析動作するよう仕向ける。得られた分析結果に対して、分注動作が途中でキャンセルされたことを表すエラー情報を付加することで、電解質分析ユニットを初期化することなく、継続使用する。このため、分析結果を見れば、搬送遅延が発生した時に分析された電解質項目であることが明らかとなる。
【0127】
<次検体到着確定通知が送信される場合の自動分析システムの処理の変形例>
次に、従来の自動分析システムと、本発明の第1及び第2の実施の形態に係る自動分析システムで行われる搬送装置と自動分析装置の情報授受と挙動、異常発生から再開までの流れについて、
図11と
図12を比較して説明する。
図11と
図12に示す処理例は、いずれも搬送装置から次検体到着確定通知が送信される状況における、自動分析システムの異常発生時の挙動を表す。ただし、処理(3)では、処理(2)に示した電解質分析ユニットに検体を分析させる処理を除いている。なお、
図11に示す処理(3)は、
図9に示した処理(2)とほぼ同様であり、
図12に示す処理(3)は、
図10に示した処理(2)とほぼ同様であるため、異なる点だけを説明する。
【0128】
<従来の自動分析システムの処理(3)>
図11は、従来の自動分析システムの処理(3)を示すシーケンス図である。
図9では、ステップS125にて、電解質分析ユニットの初期化が必要であることを説明したが、
図11に示すステップS125の処理では、電解質分析ユニットの初期化が不要である。このため、自動分析装置は、直前に分注した検体の分析結果が出るまで待機した後、自動分析装置が再起動する。このように従来の自動分析システムでは、搬送装置の搬送遅延が発生した際に自動分析装置の再起動が必要であった。
【0129】
<第1及び第2の実施の形態に係る自動分析システムの処理(3)>
図12は、第1及び第2の実施の形態に係る自動分析システムの処理(3)を示すシーケンス図である。
図10では、ステップS36にて動作指示部42が、既に検体分注ピペットに分注させた検体について、例えば、特定項目分析ユニットの一つである電解質分析ユニットに対して正常に分析させる処理を行った。しかし、
図12に示す処理(3)では、このステップS36の処理を不要としている。
【0130】
このため、ステップS37にて動作指示部42が通知送信部43を通じて、搬送装置2に対して搬送リセット要求を送信させた後、搬送装置2の再起動及び検体の再搬入を待つだけでよく、電解質分析ユニットの処理を待たなくてよい。このため、自動分析装置3は、
図10に示した処理にて、電解質分析ユニットの処理が行われていた場合と比べて、より短時間で分析動作を復旧することができる。
【0131】
なお、本発明は上述した各実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
例えば、上述した各実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、ここで説明した実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることは可能であり、さらにはある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0132】
1,1A…自動分析システム、2,5…搬送装置、3,6…自動分析装置、7,8A,8B…生化学分析ユニット、9…希釈検体搬送ユニット、11…搬送装置制御部、21…自動分析装置制御部、22…特定項目分析ユニット、41…通知受信部、42…動作指示部、43…通知送信部、44…検体情報記憶部、61…搬送装置制御部、71…自動分析装置制御部、72a~72c…特定項目分析ユニット