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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】食器具回収ロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/52 20060101AFI20240422BHJP
   B65G 59/06 20060101ALI20240422BHJP
   A47G 23/08 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
B65G47/52 101A
B65G59/06 101
A47G23/08 Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020139476
(22)【出願日】2020-08-20
(65)【公開番号】P2021134082
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-04-03
(31)【優先権主張番号】P 2020030957
(32)【優先日】2020-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591186176
【氏名又は名称】株式会社 ゼンショーホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(72)【発明者】
【氏名】大貫 正文
(72)【発明者】
【氏名】宮野 和俊
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-006042(JP,A)
【文献】特開2009-050507(JP,A)
【文献】特開2001-245777(JP,A)
【文献】特開2019-191715(JP,A)
【文献】特開2001-145552(JP,A)
【文献】特開2011-172527(JP,A)
【文献】特開2019-201889(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/52
B65G 59/06
A47G 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーブルと座席とを含む複数の座席エリアに沿って形成されたロボット用通路と、
前記ロボット用通路に沿って走行するとともに、使用済食器具を回収する食器具回収ロボットと、
前記ロボット用通路の一端部に連結され、前記食器具回収ロボットからの前記使用済食器具が移載され、この使用済食器具が搬送される食器具搬送コンベアと、
前記食器具回収ロボットと前記食器具搬送コンベアを制御する制御部と、
を備えた食器具回収ロボットシステム。
【請求項2】
前記食器具回収ロボットは前記使用済食器具を回収する食器具回収部と、完成商品を提供する商品提供部とを有する、請求項1記載の食器具回収ロボットシステム。
【請求項3】
前記食器具回収ロボットはロボット本体を含み、
前記商品提供部は前記ロボット本体の上段に配置され、前記食器具回収部は前記ロボット本体の下段に配置される、請求項2記載の食器具回収ロボットシステム。
【請求項4】
前記食器具回収ロボットはロボット本体と、前記ロボット本体内に上下方向に移動可能に設けられた移動台とを有し、
前記移動台は前記食器具回収部および前記商品提供部としての機能をもつ、請求項2記載の食器具回収ロボットシステム。
【請求項5】
前記ロボット用通路の前記一端部に、前記完成商品が載置され、当該完成商品を前記食器具回収ロボットの前記商品提供部へ移載する商品載置台が設けられている、請求項2記載の食器具回収ロボットシステム。
【請求項6】
前記制御部は、前記食器具回収ロボットを前記ロボット用通路の前記一端部に待機させ、前記使用済食器具の回収タイミングに前記食器具回収ロボットを所定の座席エリアまで走行させた後、前記ロボット用通路の前記一端部へ戻す、請求項1乃至5のいずれか記載の食器具回収ロボットシステム。
【請求項7】
前記使用済食器具の回収タイミングは、所定の座席エリアに顧客が着席してからの一定時間経過後、所定の座席エリアから受けた注文商品の数が一定以上となった時、所定の座席エリアから最初の注文を受けた時から一定時間経過後、店舗のスタッフまたは顧客から入力された回収タイミングのいずれかである請求項6記載の食器具回収ロボットシステム。
【請求項8】
前記ロボット用通路の上方であって、前記食器具回収ロボットと干渉しない位置に完成商品を搬送する完成商品搬送コンベアが設置されている、請求項1記載の食器具回収ロボットシステム。
【請求項9】
前記ロボット用通路の他端部に、空のバスボックスを前記食器具回収ロボットに供給するバスボックス供給機構が連結されている、請求項1記載の食器具回収ロボットシステム。
【請求項10】
前記食器具回収ロボットはロボット本体を含み、
前記ロボット本体の上段に、完成商品を提供する商品提供部が上下方向に移動自在に配置され、
前記ロボット本体の下段に、前記バスボックスが裁置されるとともに前記バスボックス内に前記使用済食器具を回収する食器具回収部が上下方向に移動自在に配置される、請求項9記載の食器具回収ロボットシステム。
【請求項11】
前記バスボックス供給機構は前記バスボックスを搬送する一対のバスボックス搬送コンベアと、
一対のバスボックス搬送コンベア間に配置され、前記バスボックスを支持するとともに、上下方向に移動可能なバスボックスリフタと、
前記バスボックスリフタ近傍に配置され、複数段に積まれた前記バスボックスを保持するバスボックス保持装置とを備え、
前記バスボックス保持装置は保持装置本体と、前記保持装置本体の上部に設けられた切り欠き部を含む回転自在の一対の回転体とを有し、
各回転体は最下段のバスボックスを前記切り欠き部で保持する保持位置と、前記切り欠き部から最下段のバスボックスを解放して前記回転体の外面で下から2段目のバスボックスを係止する解放位置とをとる、請求項9または10記載の食器具回収ロボットシステム。
【請求項12】
前記制御部は前記バスボックス供給機構を制御して、前記バスボックスリフタを上昇させ、保持位置にある各回転体を回転させて解放位置まで持ってきて最下段のバスボックスを解放して前記バスボックスリフタに移載し、前記バスボックスリフタを降下させて、前記バスボックスを前記一対のバスボックス搬送コンベアを介して前記食器具回収ロボットへ供給する、請求項11記載の食器具回収ロボットシステム。
【請求項13】
前記制御部は前記食器具回収ロボットを前記ロボット用通路の前記一端部に待機させ、前記使用済食器具の回収タイミングに前記食器具回収ロボットを前記他端部まで走行させて前記バスボックス供給機構から前記バスボックスを受け取った後、前記食器具回収ロボットを所定の座席エリアまで走行させ、その後前記ロボット用通路の前記一端部へ戻す、請求項9乃至12のいずれか記載の食器具回収ロボットシステム。
【請求項14】
前記制御部は前記バスボックスを予め受け取った前記食器具回収ロボットを前記ロボット用通路の前記一端部に待機させ、前記使用済食器具の回収タイミングに前記食器具回収ロボットを所定の座席エリアまで走行させた後、前記ロボット用通路の前記一端部へ戻す、請求項9乃至12のいずれか記載の食器具回収ロボットシステム。
【請求項15】
前記ロボット用通路の一端部側近傍に、前記ロボット用通路の一端部に待機する食器具回収ロボットに対して空のバスボックスを供給するバスボックス供給機構が設置されている、請求項1記載の食器具回収ロボットシステム。
【請求項16】
前記バスボックス供給機構は前記ロボット用通路の一端部上方に配置されたバスボックス供給ラインと、前記バスボックス供給ラインの下方に位置するバスボックス搬送コンベアとを有する、請求項15記載の食器具回収ロボットシステム。
【請求項17】
前記食器具搬送コンベアには、前記使用済食器具を回収したバスボックスが搬送され、 前記食器具搬送コンベアのうち、前記ロボット用通路の前記一端部が連結される連結領域に、前記食器具搬送コンベアの上流側のバスボックスを停止させるストッパを設け、
前記食器具搬送コンベアのうち、前記連結領域の前記バスボックスの1ピッチ下流側および前記連結領域に、前記バスボックスを検知する第1検知センサおよび第2検知センサを各々設け、
前記制御部は前記第1検知センサがONとなるとき、前記ストッパを閉とし、その後前記ストッパが前記バスボックスを停止させ、かつ前記第1検知センサおよび第2検知センサがOFFとなった際、前記ストッパを開とする、請求項9乃至16のいずれか記載の食器具回収ロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、食器具等を回収する食器具回収ロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より座席エリアで使用された使用済食器具を座席エリアから回収する食器具回収装置が知られている。
【0003】
しかしながらこのような食器具回収装置は、座席エリアで使用された使用済食器具をまとめて回収するものであり、装置全体の構造が大がかりとなる。
【0004】
また各座席エリアから、食器具を顧客が食器具回収装置に直接投入し、投入された食器具が食器具回収装置により回収されるため、顧客が食器具回収装置に投入するまで、使用済食器が座席エリアに残ってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-6551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、このような点を考慮してなされたものであり、座席エリアに使用済食器具を長時間残すことなく回収することができ、かつ全体としてコンパクト化を図ることができる食器具回収ロボットシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、テーブルと座席とを含む複数の座席エリアに沿って形成されたロボット用通路と、前記ロボット用通路に沿って走行するとともに、使用済食器具を回収する食器具回収ロボットと、前記ロボット用通路の一端部に連結され、前記食器具回収ロボットからの前記使用済食器具が移載され、この使用済食器具が搬送される食器具搬送コンベアと、前記食器具回収ロボットと前記食器具搬送コンベアを制御する制御部と、を備えた食器具回収ロボットシステムである。
【0008】
本開示は、前記食器具回収ロボットは前記使用済食器具を回収する食器具回収部と、完成商品を提供する商品提供部とを有する、食器具回収ロボットシステムである。
【0009】
本開示は、前記食器具回収ロボットはロボット本体を含み、前記商品提供部は前記ロボット本体の上段に配置され、前記食器具回収部は前記ロボット本体の下段に配置される、食器具回収ロボットシステムである。
【0010】
本開示は、前記食器具回収ロボットはロボット本体と、前記ロボット本体内に上下方向に移動可能に設けられた移動台とを有し、前記移動台は前記食器具回収部および前記商品提供部としての機能をもつ、食器具回収ロボットシステムである。
【0011】
本開示は、前記ロボット用通路の前記一端部に、前記完成商品が載置され、当該完成商品を前記食器具回収ロボットの前記商品提供部へ移載する商品載置台が設けられている、食器具回収ロボットシステムである。
【0012】
本開示は、前記制御部は、前記食器具回収ロボットを前記ロボット用通路の前記一端部に待機させ、前記使用済食器具の回収タイミングに前記食器具回収ロボットを所定の座席エリアまで走行させた後、前記ロボット用通路の前記一端部へ戻す、食器具回収ロボットシステムである。
【0013】
本開示は、前記使用済食器具の回収タイミングは、所定の座席エリアに顧客が着席してからの一定時間経過後、所定の座席エリアから受けた注文商品の数が一定以上となった時、所定の座席エリアから最初の注文を受けた時から一定時間経過後、店舗のスタッフまたは顧客から入力された回収タイミングのいずれかである食器具回収ロボットシステムである。
【0014】
本開示は、前記ロボット用通路の上方であって、前記食器具回収ロボットと干渉しない位置に完成商品を搬送する完成商品搬送コンベアが設置されている、食器具回収ロボットシステムである。
【0015】
本開示は、前記ロボット用通路の他端部に、空のバスボックスを前記食器具回収ロボットに供給するバスボックス供給機構が連結されている、食器具回収ロボットシステムである。
【0016】
本開示は、前記食器具回収ロボットはロボット本体を含み、前記ロボット本体の上段に、完成商品を提供する商品提供部が上下方向に移動自在に配置され、前記ロボット本体の下段に、前記バスボックスが裁置されるとともに前記バスボックス内に前記使用済食器具を回収する食器具回収部が上下方向に移動自在に配置される、食器具回収ロボットシステムである。
【0017】
本開示は、前記バスボックス供給機構は前記バスボックスを搬送する一対のバスボックス搬送コンベアと、一対のバスボックス搬送コンベア間に配置され、前記バスボックスを支持するとともに、上下方向に移動可能なバスボックスリフタと、前記バスボックスリフタ近傍に配置され、複数段に積まれた前記バスボックスを保持するバスボックス保持装置とを備え、前記バスボックス保持装置は保持装置本体と、前記保持装置本体の上部に設けられた切り欠き部を含む回転自在の一対の回転体とを有し、各回転体は最下段のバスボックスを前記切り欠き部で保持する保持位置と、前記切り欠き部から最下段のバスボックスを解放して前記回転体の外面で下から2段目のバスボックスを係止する解放位置とをとる、食器具回収ロボットシステムである。
【0018】
本開示は、前記制御部は前記バスボックス供給機構を制御して、前記バスボックスリフタを上昇させ、保持位置にある各回転体を回転させて解放位置まで持ってきて最下段のバスボックスを解放して前記バスボックスリフタに移載し、前記バスボックスリフタを降下させて、前記バスボックスを前記一対のバスボックス搬送コンベアを介して前記食器具回収ロボットへ供給する、食器具回収ロボットシステムである。
【0019】
本開示は、前記制御部は前記食器具回収ロボットを前記ロボット用通路の前記一端部に待機させ、前記使用済食器具の回収タイミングに前記食器具回収ロボットを前記他端部まで走行させて前記バスボックス供給機構から前記バスボックスを受け取った後、前記食器具回収ロボットを所定の座席エリアまで走行させ、その後前記ロボット用通路の前記一端部へ戻す、食器具回収ロボットシステムである。
【0020】
本開示は、前記制御部は前記バスボックスを予め受け取った前記食器具回収ロボットを前記ロボット用通路の前記一端部に待機させ、前記使用済食器具の回収タイミングに前記食器具回収ロボットを所定の座席エリアまで走行させた後、前記ロボット用通路の前記一端部へ戻す、食器具回収ロボットシステムである。
【0021】
本開示は、前記ロボット用通路の一端部側近傍に、前記ロボット用通路の一端部に待機する食器具回収ロボットに対して空のバスボックスを供給するバスボックス供給機構が設置されている、食器具回収ロボットシステムである。
【0022】
本開示は、前記バスボックス供給機構は前記ロボット通路の一端部上方に配置されたバスボックス供給ラインと、前記バスボックス供給ラインの下方に位置するバスボックス搬送コンベアとを有する、食器具回収ロボットシステムである。
【0023】
本開示は、前記食器具搬送コンベアには、前記使用済食器具を回収したバスボックスが搬送され、前記食器具搬送コンベアのうち、前記ロボット用通路の前記一端部が連結される連結領域に、前記食器具搬送コンベアの上流側のバスボックスを停止させるストッパを設け、前記食器具搬送コンベアのうち、前記連結領域の前記バスボックスの1ピッチ下流側および前記連結領域に、前記バスボックスを検知する第1検知センサおよび第2検知センサを各々設け、前記制御部は前記第1検知センサがONとなるとき、前記ストッパを閉とし、その後前記ストッパが前記バスボックスを停止させ、かつ前記第1検知センサおよび第2検知センサがOFFとなった際、前記ストッパを開とする、食器具回収ロボットシステムである。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本開示によれば、座席エリアに使用済食器具を長時間放置することなく回収することができ、かつ装置全体をコンパクトに構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は第1の実施の形態による食器具回収ロボットシステムを示す平面図。
図2図2は座席エリアを示す側面図。
図3図3は座席エリアを図2と直交する方向からみた図。
図4図4は食器具回収ロボットを示す側面図。
図5図5は食器具回収ロボットを示す斜視図。
図6図6は食器具回収ロボットを用いて商品の提供を行なう様子を示す図。
図7図7は食器具回収ロボットを用いて食器具の回収を行なう様子を示す図。
図8図8は食器具回収ロボットを用いて食器具の回収を行なう様子を示す図。
図9図9は食器具回収ロボットの変形例を示す図。
図10図10は食器具回収ロボットの変形例を示す図。
図11図11は食器具回収ロボットシステムの作用を示すフローチャート。
図12図12は第2の実施の形態による食器具回収ロボットシステムを示す平面図。
図13図13は座席エリアを示す側面図。
図14図14は座席エリアを図13と直交する方向からみた図。
図15図15は完成商品搬送ラインを用いて商品の提供を行なう様子を示す図。
図16図16は第3の実施の形態による食器具回収ロボットシステムを示す平面図。
図17A図17Aは完成商品搬送コンベアを示す平面図。
図17B図17Bは食器具搬送コンベアを示す平面図。
図18図18は座席エリアを示す側面図。
図19図19は座席エリアを図18と直交する方向からみた図。
図20A図20Aは食器具回収ロボットを示す側面図であって、下方位置をとる食器具回収ロボットを示す図。
図20B図20B図20Aに示す食器具回収ロボットの正面図。
図21A図21Aは食器具回収ロボットを示す側面図であって、上方位置をとる食器具回収ロボットを示す図。
図21B図21B図21Aに示す食器具回収ロボットの正面図。
図22A図22Aはバスボックス供給機構を示す正面図。
図22B図22Bはバスボックス供給機構を示す側面図。
図23A図23Aはバスボックス供給機構の作用を示す図。
図23B図23Bはバスボックス供給機構の作用を示す図。
図23C図23Cはバスボックス供給機構の作用を示す図。
図24図24は食器具搬送コンベアの拡大図。
図25図25は食器具回収ロボットシステムの作用を示すフローチャート。
図26図26は第4の実施の形態による食器具回収ロボットシステムを示す平面図。
図27図27図26に示す食器具回収ロボットシステムの拡大図。
図28図28は食器具回収ロボットシステムのバスボックス供給機構を示す痩躯面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<第1の実施の形態>
以下、図面を参照して本開示による食器具回収ロボットシステムの第1の実施の形態について説明する。
【0027】
ここで図1乃至図8は本開示による食器具回収ロボットシステムの第1の実施の形態を示す図である。図1乃至図8に示すように、食器具回収ロボットシステム10は、各々がテーブル2と座席3とを含む複数の座席エリア1に沿って形成されたロボット用通路11と、このロボット用通路11に沿って走行するとともに使用済食器具5を回収する食器具回収ロボット20とを備えている。
【0028】
このうち各座席エリア1は上述のようにテーブル2と、このテーブル2を挟んで設置され、顧客が座る一対の座席3とを含んでおり、複数の座席エリア1は連続的に並んで配置されている。本実施の形態においては、6列の連続する座席エリア1が配置され、第1列目の座席エリア1と第2列目の座席エリア1との間、第3列目の座席エリア1と第4列目の座席エリア1との間、および第5列目の座席エリア1と第6列目の座席エリア1との間に、合計3本のロボット用通路11が形成されている。
【0029】
また食器具回収ロボット20は、商品(料理)を食べ終わった後の使用済皿、使用済グラス、使用済フォーク、使用済ナイフ等(これらを総称して「使用済食器具5」という)を回収するロボットであり、ロボット用通路11に沿って所定の座席エリア1まで走行し、これら使用済食器具5を回収するようになっている。
【0030】
また図1に示すように、ロボット用通路11の右端部(一端部)12は待機エリアとなっており、このロボット用通路11の右端部12に食器具搬送コンベア30が連結されている。食器具搬送コンベア30は、3本のロボット用通路11に対して直交して延び、食器具搬送コンベア30の一端部(図1に示す上方側端部)には、置台33を介して自動皿洗浄機35が接続されている。
【0031】
他方、図1において、ロボット用通路11の左端部(他端部)13は、ロボット充電エリアとなっており、このロボット充電エリア13において、食器具回収ロボット20に対して必要な充電を施すことができる。なお、ロボット用通路11の左端部(他端部)13ではなく、右端部(一端部)12をロボット充電エリアとしても良い。
【0032】
また食器具回収ロボット20と、食器具搬送コンベア30は、制御部15により駆動制御される。
【0033】
ところで、連続して配置された複数の座席エリア1のうち、同一列に(図1の左右方向に)並ぶ座席エリア1間は、パーティション4が配置されている(図2および図3参照)。パーティション4は隣接する2列の座席エリア1間に延び、パーティション4のうち、ロボット用通路11に対応する位置に、食器具回収ロボット20が通過する開口4aが形成されている。
【0034】
次に食器具回収ロボット20について、図4乃至図8により説明する。図4乃至図8に示すように食器具回収ロボット20は、車輪22を含むロボット本体21と、ロボット本体21に上下方向に移動可能に設けられた移動コンベア(移動台)23とを有している。このうち移動コンベア23は上下方向に移動して、食器具回収部としての機能と、商品提供部としての機能を併せもつ。また移動コンベア23はコンベア機能をもつ。
【0035】
またロボット用通路11の一端部12に接続された食器具搬送コンベア30上方に、ロボット用通路11の一端部12に向かうよう商品載置コンベア(商品載置台)17が配置されている。この商品載置コンベア17は食器具搬送コンベア30上方に位置するとともに、完成商品7を載置するものであり、食器具搬送コンベア30と直交する方向に完成商品7を搬送するコンベア機能をもつ。
【0036】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について図11に示すフローチャートにより説明する。
【0037】
まず図11に示すように、テーブル2と座席3とを含む所定の座席エリア1に顧客が着席する。
【0038】
次に顧客が端末タブレットを操作して、あるいは店舗のスタッフPが操作して所望の商品(料理)を注文する。この商品注文情報は制御部15に送られ、厨房内で商品が作製される。
【0039】
次に厨房内で作製された完成商品7は、スタッフPにより、食器具搬送コンベア30上方に配置された商品載置コンベア17上に載置される(図6参照)。
【0040】
この間、食器具回収ロボット20はロボット用通路11の一端部(待機エリア)12に待機している。
【0041】
また食器具回収ロボット20の移動コンベア23は上方位置にある。
【0042】
商品載置コンベア17上に完成商品7が載置されると、制御部15は商品載置コンベア17を駆動し、商品載置コンベア17上の完成商品7が食器具回収ロボット20の上方位置にある移動コンベア23上へ移載される。その後、食器具回収ロボット20は所定の座席エリア1まで走行する。次に所定の座席エリア1の顧客が移動コンベア23上の完成商品を受け取り、このようにして商品提供は終了する。
【0043】
その後食器具回収ロボット20は、ロボット用通路を走行し、待機エリア12まで戻って待機する。
【0044】
次に食器具回収ロボット20による食器具回収作用について説明する。
【0045】
制御部15は予めロボット用通路11の待機エリア12に待機していた食器具回収ロボット20を使用済食器具5の回収タイミングに合わせて作動させ、所定の座席エリア1まで走行させる。
【0046】
例えば所定の座席エリア1に顧客が着席してから一定時間経過後に、制御部15は使用済食器具5の回収タイミングと定めて食器具回収ロボット20を作動させることもできる。
【0047】
あるいは所定の座席エリア1から受けた注文商品の数が一定以上となった時、制御部15は使用済食器具5の回収タイミングと定めてもよい。また制御部15は、所定の座席エリア1から最初の注文を受けた時から一定時間経過後を使用済食器具5の回収タイミングとして定めてもよい。
【0048】
この場合、「最初の注文を受けた時」とは、一旦食器具回収ロボット20により使用済食器具5を回収した場合、回収後の「最初の注文を受けた時」を意味する。
【0049】
あるいは所定の座席からデザートの注文を受けた時に、制御部15は使用済食器具5の回収タイミングと定めてもよい。一般にデザートの注文を受けた時は、それまでに予めメイン商品の注文を受け、メイン商品を食べ終わっている場合が多い。このためデザートの注文を受けた時、制御部15は、メイン商品の使用済食器具5を回収するため食器具回収ロボット20を作動させる。
【0050】
あるいはまた、店舗のスタッフPあるいは顧客が入力部(図示せず)から制御部15に対して使用済食器具5の回収タイミングを入力し、制御部15はこの入力された回収タイミングに基づいて食器具回収ロボット20を作動させてもよい。
【0051】
このように制御部15は、使用済食器具5の回収タイミングに合わせて食器具回収ロボット20をロボット用通路11上で所定の座席エリア1まで走行させる。
【0052】
このとき食器具回収ロボット20の移動コンベア23は上方位置と下方位置との間の高さ方向中間位置にあり、中間位置にある移動コンベア23上には予め回収箱(バスボックス)5aが配置されている。
【0053】
食器具回収ロボット20が所定の座席エリア1まで達すると、食器具回収ロボット20は顧客に向けて「空いたお皿を回収します」と声を掛ける。
【0054】
このとき、座席エリア1の顧客は、この声掛けに応えて、移動コンベア23の回収箱5aの内に使用済食器具5、例えば使用済皿、使用済グラス、使用済フォーク、使用済ナイフを投入する(図7参照)。その後、顧客が「了解ボタン」(図示せず)を押す、又は一定時間経過後に移動コンベア23が降下する。
【0055】
その後食器具回収ロボット20の移動コンベア23は更に降下して、下方位置をとり、ロボット用通路11上を走行してロボット用通路11の一端部12までくる。その後、食器具回収ロボット20の下方位置にある移動コンベア23上の使用済食器具5は、回収箱5aとともに、ロボット用通路11と直交して延びる食器具搬送コンベア30により搬送される(図8参照)。
【0056】
次に食器具搬送コンベア30により搬送された回収箱5a内の使用済食器具5は、置台33を介して自動皿洗浄機35まで運ばれ、この自動皿洗浄機35により洗浄される。
【0057】
なお、上記実施の形態において、食器具回収ロボット20は、車輪有するロボット本体21と、ロボット本体21内に設けられ上下方向に移動する移動コンベア23とを有する例を示したが、これに限らず食器具回収ロボット20は車輪22を有するロボット本体21と、ロボット本体21の上段に設けられ商品提供給部として機能する上段コンベア24aと、ロボット本体21の下段に設けられ食器具回収部として機能する下段コンベア24bとを有していてもよい(図9参照)。
【0058】
あるいはまた、食器具回収ロボット20は車輪22を有するロボット本体21と、ロボット本体21の上段に設けられ商品提供部として機能する上部棚25aと、ロボット本体21の下段に設けられ食器具回収部として機能する下部棚25bとを有していてもよい(図10参照)。
【0059】
以上のように本実施の形態によれば、食器具回収ロボット20を用いて使用済食器具5を所望のタイミングで回収することができる。このため食器具回収ロボットシステム10を全体として大型化することなく、座席エリア1に長時間、使用済食器具5が残ってしまうことはない。
【0060】
<第2の実施の形態>
次に、図面を参照して本開示による食器具回収ロボットシステムの第2の実施の形態について説明する。
【0061】
ここで図12乃至図14は本開示による食器具回収ロボットシステムの第2の実施の形態を示す図である。なお、図12乃至図14に示す第2の実施の形態において、図1乃至図8および図11に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。図12乃至図14に示すように、食器具回収ロボットシステム10は、各々がテーブル2と座席3とを含む複数の座席エリア1に沿って形成されたロボット用通路11と、このロボット用通路11に沿って走行するとともに使用済食器具5を回収する食器具回収ロボット20とを備えている。
【0062】
このうち各座席エリア1は上述のようにテーブル2と、このテーブル2を挟んで設置され、顧客が座る一対の座席3とを含んでおり、複数の座席エリア1は連続的に並んで配置されている。本実施の形態においては、6列の連続する座席エリア1が配置され、第1列目の座席エリア1と第2列目の座席エリア1との間、第3列目の座席エリア1と第4列目の座席エリア1との間、および第5列目の座席エリア1と第6列目の座席エリア1との間に、合計3本のロボット用通路11が形成されている。
【0063】
また食器具回収ロボット20は、商品(料理)を食べ終わった後の使用済皿、使用済グラス、使用済フォーク、使用済ナイフ(これらを総称して「使用済食器具5」という)等を回収するロボットであり、ロボット用通路11に沿って所定の座席エリア1まで走行し、これら使用済食器具5を回収するようになっている。
【0064】
また図12に示すように、ロボット用通路11の右端部12は待機エリアとなっており、このロボット用通路11の右端部12に食器具搬送コンベア30が連結されている。食器具搬送コンベア30は、3本のロボット用通路11に対して直交して延び、食器具搬送コンベア30の一端部(図12に示す上方側端部)には、置台33を介して自動皿洗浄機35が接続されている。
【0065】
他方、図12において、ロボット用通路11の左端部13は、ロボット充電エリアとなっており、このロボット充電エリア13において、食器具回収ロボット20に対して必要な充電を施すことができる。なお、ロボット用通路11の左端部(他端部)13ではなく、右端部(一端部)12をロボット充電エリアとしても良い。
【0066】
さらにまたロボット用通路11の上方であって食器具回収ロボット20と干渉しない位置に、完成商品7を搬送する完成商品搬送コンベア40が設置されている(図12および図15参照)。
【0067】
また食器具回収ロボット20と、食器具搬送コンベア30は、制御部15により駆動制御される。
【0068】
ところで、連続して配置された複数の座席エリア1のうち、同一列に(図12の左右方向に)並ぶ座席エリア1間は、パーティション4が配置されている(図13および図14参照)。パーティション4は隣接する2列の座席エリア1間に延び、パーティション4のうち、ロボット用通路11に対応する位置に、食器具回収ロボット20が通過する開口4aが形成されている。また、パーティション4の開口4aのうち、食器具回収ロボット20の上方に位置する部分に、完成商品7を搬送する完成商品搬送コンベア40が配置されている。
【0069】
ところで食器具回収ロボット20は、図4および図5に示す第1の実施の形態における食器具回収ロボット20と同一の構造をもつ。すなわち、食器具回収ロボット20は、車輪22を含むロボット本体21と、ロボット本体21に上下方向に移動可能に設けられた移動コンベア(移動台)23とを有している(図15参照)。
【0070】
但し、第2の実施の形態における食器具回収ロボット20は、第1の実施の形態における食器具回収ロボット20より全高が小さくなっている。
【0071】
またロボット用通路11の一端部12に接続された食器具搬送コンベア30上方に、完成商品搬送コンベア40の一端部40aに向かうよう商品載置コンベア(商品載置台)17が配置されている。この商品載置コンベア17は食器具搬送コンベア30上方に位置するとともに、完成商品7を載置するものであり、食器具搬送コンベア30と直交する方向に完成商品7を搬送するコンベア機能をもつ。
【0072】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について図11に示すフローチャートにより説明する。
【0073】
まず図11に示すように、テーブル2と座席3とを含む所定の座席エリア1に顧客が着席する。
【0074】
次に顧客が端末タブレットを操作して、あるいは店舗のスタッフPが操作して所望の商品(料理)を注文する。この商品注文情報は制御部15に送られ、厨房内で商品を作製する。
【0075】
次に厨房内で作製された完成商品7は、スタッフPにより、食器具搬送コンベア30上方に配置された商品載置コンベア17上に載置される(図15参照)。
【0076】
この間、食器具回収ロボット20はロボット用通路11の一端部(待機エリア)12であって完成商品搬送コンベア40の下方に待機している。
【0077】
また食器具回収ロボット20の移動コンベア23は上方位置と下方位置との間の高さ方向中間位置にある。
【0078】
商品載置コンベア17上に完成商品7が載置されると、制御部15は商品載置コンベア17を駆動し、商品載置コンベア17上の完成商品7が完成商品搬送コンベア40の一端部40a上へ移載される。その後、完成商品7は、完成商品搬送コンベア40により、所定の座席エリア1まで搬送される。次に所定の座席エリア1の顧客が完成商品搬送コンベア40上の完成商品7を受け取り、このようにして商品提供は終了する。
【0079】
次に食器具回収ロボット20による食器具回収作用について説明する。
【0080】
制御部15は予めロボット用通路11の待機エリア12に待機していた食器具回収ロボット20を使用済食器具5の回収タイミングに合わせて作動させ、所定の座席エリア1まで走行させる。
【0081】
例えば所定座席エリア1に顧客が着席してから一定時間経過後に、制御部15は使用済食器具5の回収タイミングと定めて食器具回収ロボット20を作動させることもできる。
【0082】
あるいは所定の座席エリア1から受けた注文商品の数が一定以上となった時、制御部15は使用済食器具5の回収タイミングと定めてもよい。また所定の座席エリア1から最初の注文を受けた時から一定時間経過後を使用済食器具5の回収タイミングとして定めてもよい。
【0083】
この場合、「最初の注文を受けた時」とは、一旦食器具回収ロボット20により使用済食器具5を回収した場合、回収後の「最初の注文を受けた時」を意味する。
【0084】
あるいは所定の座席からデザートの注文を受けた時に制御部15は使用済食器具5の回収タイミングと定めてもよい。一般にデザートの注文を受けた時は、それまでに予めメイン商品の注文を受け、メイン商品を食べ終わっている場合が多い。このためデザートの注文を受けた時、制御部15は、メイン商品の使用済食器具5を回収するため食器具回収ロボット20を作動させる。
【0085】
あるいはまた店舗のスタッフPあるいは顧客が入力部(図示せず)から制御部15に対して使用済食器具5の回収タイミングを入力し、制御部15がこの入力された回収タイミングに基づいて食器具回収ロボット20を作動させてもよい。
【0086】
このように制御部15は、使用済食器具5の回収タイミングに合わせて食器具回収ロボット20をロボット用通路11上で所定の座席エリア1まで走行させる。
【0087】
このとき食器具回収ロボット20の移動コンベア23は上方位置と下方位置との間の高さ方向中間位置にあり、中間位置にある移動コンベア23上には予め回収箱5aが配置されている(図7参照)。
【0088】
食器具回収ロボット20が所定の座席エリア1まで達すると、食器具回収ロボット20は顧客に向けて「空いたお皿を回収します」と声を掛ける。
【0089】
このとき、座席エリア1の顧客は、移動コンベア23の回収箱5aの内に使用済食器具5、例えば使用済皿、使用済グラス、使用済フォーク、使用済ナイフを投入する。その後、顧客が「了解ボタン」を押す、又は一定時間経過後に移動コンベア23が降下する。
【0090】
その後、食器具回収ロボット20の移動コンベア23は更に降下して、下方位置をとり、ロボット用通路11上を走行してロボット用通路11の一端部12までくる。その後、食器具回収ロボット20の下方位置にある移動コンベア23上の使用済食器具5は、回収箱5aとともに、ロボット用通路11と直交して延びる食器具搬送コンベア30により搬送される(図8および図15参照)。
【0091】
次に食器具搬送コンベア30により搬送された回収箱5a内の使用済食器具5は、置台33を介して自動皿洗浄機35まで運ばれ、この自動皿洗浄機35により洗浄される。
【0092】
以上のように本実施の形態によれば、食器具回収ロボット20を用いて使用済食器具5を所望のタイミングで回収することができる。このため食器具回収ロボットシステム10を全体として大型化することなく、座席エリア1に長時間、使用済食器具5が残ってしまうことはない。
【0093】
<第3の実施の形態>
以下、図面を参照して本開示による食器具回収ロボットシステムの第3の実施の形態について説明する。
【0094】
ここで図16乃至図25は本開示による食器具回収ロボットシステムの第3の実施の形態を示す図である。図16乃至図25に示すように、食器具回収ロボットシステム10は、各々がテーブル2と座席3とを含む複数の座席エリア1に沿って形成されたロボット用通路11と、このロボット用通路11に沿って走行するとともに使用済食器具5を回収する食器具回収ロボット20とを備えている。
【0095】
このうち各座席エリア1は上述のようにテーブル2と、このテーブル2を挟んで設置され、顧客が座る一対の座席3とを含んでおり、複数の座席エリア1は連続的に並んで配置されている。本実施の形態においては、6列の連続する座席エリア1が配置され、第1列目の座席エリア1と第2列目の座席エリア1との間、第3列目の座席エリア1と第4列目の座席エリア1との間、および第5列目の座席エリア1と第6列目の座席エリア1との間に、合計3本のロボット用通路11が形成されている。
【0096】
また食器具回収ロボット20は、商品(料理)を食べ終わった後の使用済皿、使用済グラス、使用済フォーク、使用済ナイフ等(これらを総称して「使用済食器具5」という)を回収するロボットであり、ロボット用通路11に沿って所定の座席エリア1まで走行し、これら使用済食器具5を回収するようになっている。この場合、食器具回収ロボット20には、予めバスボックス(回収箱ともいう)8が載置され、使用済食器具5は、このバスボックス8内に回収される。
【0097】
また図16に示すように、ロボット用通路11の一端部12は待機エリアとなっており、このロボット用通路11の一端部12に食器具搬送コンベア30が連結されている(図17B参照)。食器具搬送コンベア30は、3本のロボット用通路11に対して直交して延び、食器具搬送コンベア30の一端部には、自動皿洗浄機35が接続されている。また、食器具搬送コンベア30の上方には、食器具搬送コンベア30と同様、3本のロボット用通路11に対して直交して延びる完成商品搬送コンベア40が配置され(図17A参照)、このことにより、下段に位置する食器具搬送コンベア30と、上段に位置する完成商品搬送コンベア40が2段に配置される。
【0098】
他方、図16において、ロボット用通路11の他端部13は、ロボット充電エリアとなっており、このロボット充電エリア13において、食器具回収ロボット20に対して必要な充電を施すことができる。またロボット用通路11の他端部13に空のバスボックス8を複数積み重ねて保持するとともに、一つずつバスボックス8を食器具回収ロボット20へ供給するバスボックス供給機構50が連結されている。なお、バスボックス供給機構50については、後で詳述する。なお、ロボット用通路11の他端部13ではなく、一端部12をロボット充電エリアとしても良い。
【0099】
また食器具回収ロボット20と、食器具搬送コンベア30と、完成商品搬送コンベア40と、バスボックス供給機構50は、制御部15により駆動制御される。
【0100】
ところで、連続して配置された複数の座席エリア1のうち、同一列に並ぶ座席エリア1間は、パーティション4が配置されている(図18および図19参照)。
【0101】
次に食器具回収ロボット20について、図20A図20B図21Aおよび図21Bにより説明する。
【0102】
図20A乃至図21Bに示すように食器具回収ロボット20は、車輪22を含むロボット本体21と、ロボット本体21の上段に設けられ完成商品を提供する商品提供部27と、ロボット本体21の下段に設けられ、バスボックス8が載置される食器具回収部26とを備えている。このうち食器具回収部26上にはバスボックス8が載置されるとともに、このバスボックス8内に使用済食器具5が回収される。
【0103】
またロボット本体21の下段に設けられた食器具回収部26と、ロボット本体21の上段に設けられた商品提供部27は、ロボット本体21に昇降機26aを介して一体に連結されている。そしてこの昇降機26aにより、食器具回収部26と商品提供部27は上下方向に一体に移動する。
【0104】
また商品提供部27と食器具回収部26は、いずれも搬送コンベアを含む。
【0105】
ところで図16において、座席エリア1が配置された側が客席側となり、ロボット用通路11の一端部12側に配置された食器具搬送コンベア30および完成商品搬送コンベア40側が厨房側となる。
【0106】
図17Aおよび図17Bに示すように、ロボット用通路11の一端部12には、ロボット用通路11に直交して、下段に位置する食器具搬送コンベア30と上段に位置する完成商品搬送コンベア40とが連結されている。
【0107】
上段に位置する完成商品搬送コンベア40には完成商品7が直接、または商品トレイ7aを介して裁置され、完成商品搬送コンベア40により搬送される。また完成商品搬送コンベア40は中間部で分離され、完成商品搬送コンベア40の分離された領域に、中央に延びるロボット用通路11を走行する食器具回収ロボット20の商品提供部27へ完成商品7を供給する商品供給コンベア40Bが設置されている。
【0108】
また完成商品搬送コンベア40の一端部(図16の右側端部)には、対応するロボット用通路11を走行する食器具回収ロボット20の商品提供部27へ完成商品7を供給する商品供給コンベア40Aが連結されている。この商品供給コンベア40Aは完成商品搬送コンベア40上の完成商品7を平面視で90°曲げながら食器具回収ロボット20の商品提供部27へ供給するため円弧状をなしている。
【0109】
さらに完成商品搬送コンベア40の他端部(図16の左側端部)には、対応するロボット用通路11を走行する食器具回収ロボット20の商品提供部27へ完成商品7を供給する商品供給コンベア40Cが連結されている。この商品供給コンベア40Cは完成商品搬送コンベア40上の完成商品7を平面視で90°曲げながら食器具回収ロボット20の商品提供給へ供給するため円弧状をなしている。
【0110】
また下段に位置する食器具搬送コンベア30は、使用済食器具5が回収されたバスボックス8を連続的に搬送するものであり、食器具回収ロボット20により搬送されたバスボックス8を食器具回収ロボット20から受け取り、自動皿洗浄機35側へ搬送するようになっている。
【0111】
ところで、食器具搬送コンベア30のうち、ロボット用通路11の一端部12が連結される領域は、連結領域65となっている(図17Bおよび図24参照)。
【0112】
図17Bおよび図24に示すように、食器具搬送コンベア30には、3列のロボット用通路11に対応して3箇所の連結領域65が設けられている。そして3箇所の連結領域65には、各々食器具搬送コンベア30上のバスボックス8と係止してこのバスボックス8を停止させるストッパ60が設けられている。
【0113】
図24に示すように、各ストッパ60は直動シリンダ60aに連結され、この直動シリンダ60aにより開閉動作を行なう。すなわち、各ストッパ60は直動シリンダ60aにより閉となってバスボックス8を停止させ、直動シリンダ60aにより開となってバスボックス8を通過させる。
【0114】
また各連結領域65において、連結領域65よりバスボックス8の1ピッチ下流側および連結領域65に、バスボックス8を検知する第1検知センサ61と第2検知センサ62とが各々設けられている。
【0115】
この場合、食器具搬送コンベア30上にバスボックス8が搬送されると、連結領域65においてバスボックス8は第2検知センサ62によりその存在が検知されて、第2検知センサ62から制御部15へON信号が出力される。また連結領域65からバスボックス8が1ピッチ下流側へ進むと、バスボックス8は第1検知センサ61によりその存在が検知され、第1検知センサ61から制御部15へON信号が出力される。
【0116】
さらに図17Bに示すように、食器具搬送コンベア30の上流側の連結領域65の更に上流側には、バスボックス8を検知する第3検知センサ63が設けられ、食器具搬送コンベア30の下流側の連結領域65の更に下流側には、自動皿洗浄機35へ送られるバスボックス8を検知する第4検知センサ64が設けられている。そして第3検知センサ63および第4検知センサ64からの信号は制御部15へ送られる。
【0117】
次にロボット用通路11の他端部13に連結されたバスボックス供給機構50について述べる。バスボックス供給機構50は上述のように、空のバスボックス8を複数積み重ねて保持するとともに、バスボックス8を一つずつ食器具回収ロボット20側へ供給するものである。
【0118】
このようなバスボックス供給機構50は、図22A図22B、および図23A図23Cに示すように、空のバスボックス8を搬送する一対のバスボックス搬送コンベア51、51と、一対のバスボックス搬送コンベア51、51間に配置され、バスボックス8を支持するとともに上下方向に移動可能なバスボックスリフタ52とを備えている。またバスボックスリフタ52近傍に、複数段に積まれたバスボックス8を保持するバスボックス保持装置53Aが設けられている。このバスボックス保持装置53Aは、保持装置本体53と、保持装置本体53の上部に設けられた一対の回転体55とを有する。このうち各回転体55は保持装置本体53の上部に回転自在に設けられ、その外周面に2つの切り欠き部55aが形成されている。
【0119】
各回転体55は保持装置本体53の上部に回転自在に設けられ、最下段のバスボックス8を切り欠き部55aで保持する保持位置と、最下段のバスボックス8を切り欠き部55aから最下段のバスボックス8を解放して回転体55の外面で下から2段目のバスボックスを係止する解放位置をとることができる。
【0120】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について図25に示すフローチャートにより説明する。
【0121】
まず図11に示すように、テーブル2と座席3とを含む所定の座席エリア1にお客様が着席する。
【0122】
次に顧客が端末タブレットを操作して、あるいは店舗のスタッフPが操作して所望の商品(料理)を注文する。この商品注文情報は制御部15に送られ、厨房内で商品が作製される。
【0123】
次に厨房内で作製された完成商品7は、スタッフPにより、食器具搬送コンベア30上方に配置された商品供給コンベア40B上に載置されるか、又は完成商品搬送コンベア40上に載置されて商品供給コンベア40Aあるいは商品供給コンベア40Cへ送られる。
【0124】
この間、食器具回収ロボット20は各ロボット用通路11の一端部(待機エリア)12に待機している。
【0125】
また食器具回収ロボット20の食器具回収部26と商品提供部27は、昇降機26aにより一体となって下方へ移動して下方位置をとっている(図20Aおよび図20B参照)。
【0126】
商品供給コンベア40B上に完成商品7が載置されたり、あるいは商品供給コンベア40Aおよび40C側に完成商品7が送られると、商品供給コンベア40A~40C上の完成商品7が食器具回収ロボット20の下方位置をとる商品提供部27上へ移載される。その後、食器具回収ロボット20は所定の座席エリア1まで走行する。次に所定の座席エリア1の顧客が商品提供部27上の完成商品7を受け取り、このようにして商品提供は終了する。
【0127】
その後食器具回収ロボット20は、ロボット用通路を走行し、待機エリア12まで戻って待機する。
【0128】
次に食器具回収ロボット20による食器具回収作用について説明する。
【0129】
制御部15は予めロボット用通路11の待機エリア12に待機していた食器具回収ロボット20を使用済食器具5の回収タイミングに合わせて作動させ、所定の座席エリア1まで走行させる。
【0130】
例えば所定座席エリア1に顧客が着席してから一定時間経過後に、制御部15は使用済食器具5の回収タイミングと定めて食器具回収ロボット20を作動させることもできる。
【0131】
あるいは所定の座席エリア1から受けた注文商品の数が一定以上となった時、制御部15は使用済食器具5の回収タイミングと定めてもよい。また制御部15は、所定の座席エリア1から最初の注文を受けた時から一定時間経過後を使用済食器具5の回収タイミングとして定めてもよい。
【0132】
この場合、「最初の注文を受けた時」とは、一旦食器具回収ロボット20により使用済食器具5を回収した場合、回収後の「最初の注文を受けた時」を意味する。
【0133】
あるいは所定の座席からデザートの注文を受けた時に、制御部15は使用済食器具5の回収タイミングと定めてもよい。一般にデザートの注文を受けた時は、それまでに予めメイン商品の注文を受け、メイン商品を食べ終わっている場合が多い。このためデザートの注文を受けた時、制御部15は、メイン商品の使用済食器具5を回収するため食器具回収ロボット20を作動させる。
【0134】
あるいはまた、店舗のスタッフPあるいは顧客が入力部(図示せず)から制御部15に対して使用済食器具5の回収タイミングを入力し、制御部15はこの入力された回収タイミングに基づいて食器具回収ロボット20を作動させてもよい。
【0135】
まず制御部15は使用済食器具5の回収タイミングに合わせて食器具回収ロボット20をロボット用通路11の他端部13まで走行させる。そしてロボット用通路11の他端部13に連結されているバスボックス供給機構50から空のバスボックス8が供給され、食器具回収ロボット20はこの空のバスボックス8を受け取る。
【0136】
次にバスボックス供給機構50から空のバスボックス8を食器具回収ロボット20へ供給する作用について、図23A図23Cにより詳しく説明する。
【0137】
まず図23Aに示すように、バスボックス供給機構50により空のバスボックス8が複数段に積み重ねて保持されている。このとき、最下段のバスボックス8は各回転体55の切り欠き部55aにより保持されて、回転体55は保持位置をとる。図23Aにおいて、バスボックスリフタ52は最下段のバスボックス8の直下に位置している。
【0138】
次に図23Bに示すように、各回転体55が矢印方向へ回転し、切り欠き部55aから最下段のバスボックス8が解放され、下から2段目のバスボックス8が回転体55の外面で係止される。このとき回転体55は解放位置をとり、切り欠き部55aから解放された最下段のバスボックス8はバスボックスリフタ52に受け渡される。
【0139】
その後、図23Cに示すように、バスボックスリフタ52が降下して、バスボックスリフタ52上のバスボックス8は一対のバスボックス搬送コンベア51へ移載される。次にバスボックス搬送コンベア51上のバスボックス8は、食器具回収ロボット20の食器具回収部26上へ送られる。
【0140】
図23Cにおいて、各回転体55は更に回転して、切り欠き部55aにより次に最下段のバスボックス8を保持することになる。
【0141】
バスボックス供給機構50からバスボックス8を受け取った食器具回収ロボット20は、その後、所定の座席エリア1まで走行する。次に、食器具回収ロボット20が所定の座席エリア1まで達すると、食器具回収部26と商品提供部27は、昇降機26aにより一体となって上方へ移動して上方位置をとる(図21Aおよび図21B参照)。このとき、食器具回収ロボット20は顧客に向けて「空いたお皿を回収します」と声を掛ける。
【0142】
また、座席エリア1の顧客は、上方位置をとる食器具回収部26上に裁置されたバスボックス8内に使用済食器具5、例えば使用済皿、使用済グラス、使用済フォーク、使用済ナイフを投入する。
【0143】
その後食器具回収ロボット20の食器具回収部26と商品提供部27は、昇降機26aにより一体となって下方へ移動して下方位置をとる(図20Aおよび図20B参照)。次に食器具回収ロボット20はロボット用通路11上を走行してロボット用通路11の一端部12までくる。その後、食器具回収ロボット20の食器具回収部26上にあり使用済食器具5が回収されたバスボックス8は、ロボット用通路11と直交して延びる食器具搬送コンベア30により搬送される。このとき食器具回収ロボット20の食器具回収部26は下方位置をとっている。
【0144】
次に、使用済食器具5が回収されたバスボックス8は、食器具搬送コンベア30により、自動皿洗浄機35まで運ばれ、この自動皿洗浄機35によりバスボックス8および使用済食器具5が洗浄される。
【0145】
次に使用済食器具5が回収されたバスボックス8を搬送する食器具搬送コンベア30の作用について、図17Bおよび図24により説明する。
【0146】
食器具搬送コンベア30の上流側には、第3検知センサ63が設けられ、第3検知センサ63がONになると、食器具搬送コンベア30が作動開始する。
【0147】
本実施の形態において、各ロボット用通路11に配置された食器具回収ロボット20からバスボックス8が食器具搬送コンベア30の連結領域65に移載される際、以下の様な作用が行われ、スムーズかつ確実にこのバスボックス8を連結領域6に移載することができる。すなわち、まず連結領域65よりバスボックス8の1ピッチ下流側にある第1検知センサ61によりバスボックス8の存在を確認する。そして第1検知センサ61がONとなってバスボックス8の存在が確認されると、直動シリンダ60aによりストッパ60が閉じて、連結領域65より上流側のバスボックス8が停止する。
【0148】
ストッパ60によりバスボックス8が停止した場合、直動シリンダ60aに取り付けられたストッパセンサ60bにより、ストッパ60によってバスボックスが停止したことが検知される。
【0149】
次にバスボックス8がストッパ60によって停止された状態で、第1検知センサ61および第2検知センサ62がOFFとなると、すなわち、連結領域65よりバスボックス8の1ピッチ下流側および連結領域65にバスボックス8が存在しなくなったところで、直動シリンダ60aによりストッパ60が開となる。このときバスボックス8はストッパ60との係止が外れて食器具搬送コンベア30により搬送される。そしてバスボックス8が連結領域65よりバスボックス8の1ピッチ下流側まで搬送されたところで、第1検知センサ61がONとなり、直動シリンダ60aによりストッパ60が再び閉となってバスボックス8が停止する。
【0150】
このように食器具搬送コンベア30上において、食器具回収ロボット20からバスボックス8が移載されてくる連結領域65にバスボックス8が滞留する状態をなくすことができる。このため食器具回収ロボット20からバスボックス8を食器具搬送コンベア30の連結領域65にスムーズにかつ確実に移載することができる。
【0151】
次に食器具搬送コンベア30の下流側に設けられた第4検知センサ64、および他の第1検知センサ61、第2検知センサ62および第3検知センサ63がONとなった場合は、食器具搬送コンベア30上にバスボックス8が滞留したものと考えて食器具搬送コンベア30全体が停止する。次に第4検知センサ64がOFFとなると、食器具搬送コンベア30上におけるバスボックス8の滞留は解消したと考えられて、食器具搬送コンベア30を再度作動させる。
【0152】
以上のように本実施の形態によれば、食器具回収ロボット20を用いて使用済食器具5を所望のタイミングで回収することができる。このため食器具回収ロボットシステム10を全体として大型化することはなく、座席エリア1に長時間、使用済食器具5が残ってしまうことはない。また食器具回収ロボット20はバスボックス供給機構50に積み重ねて保存された空のバスボックス8を、このバスボックス供給機構50から1つずつ受け取り、このバスボックス8内に使用済食器具5を回収する。このためバスボックス8を利用して使用済食器具5を迅速に回収することができる。
【0153】
さらにまたロボット用通路11の一端部12側に食器具搬送コンベア30を設置し、他端部13にバスボックス供給機構50を設置することで、ロボット用通路11上を食器具回収ロボット20が走行するだけで、食器具回収ロボット20によるバスボックス供給機構50からのバスボックス8の受け取り動作、および食器具搬送コンベア30へのバスボックス8の移載動作を容易かつ簡単に行うことができる。
【0154】
さらにまた食器具搬送コンベア30の連結領域65にストッパ60を設けることにより、この連結領域65を常に空けておくことができ、食器具回収ロボット20からバスボックス8を確実に食器具搬送コンベアの連結領域65へ送ることができる。
【0155】
なお上記実施の形態において、ロボット用通路11の一端部12に食器具回収ロボット20を待機させ、食器具の回収時に食器具回収ロボット20がロボット用通路11の他端部13まで走行し、バスボックス供給機構50から空のバスボックス8を受け取る例を示した。しかしながらこれに限らず食器具回収ロボット20は座席エリア1まで走行して完成商品7を提供し、その後ロボット用通路11の一端部12に直接戻ることなく、バスボックス供給機構50まで走行して空のバスボックス8を受け取っても良い(図25参照)。
【0156】
空のバスボックス8を受け取った食器具回収ロボット20は、その後ロボット用通路11を走行して一端部12まで戻り、この一端部12において予めバスボックス8をもった状態で待機する。
【0157】
<第4の実施の形態>
以下、図面を参照して本開示による食器具回収ロボットシステムの第4の実施の形態について説明する。
【0158】
ここで図26乃至図28は本開示による食器具回収ロボットシステムの第4の実施の形態を示す図である。図26乃至図28に示すように、食器具回収ロボットシステム10は、各々がテーブル2と座席3とを含む複数の座席エリア1に沿って形成されたロボット用通路11と、このロボット用通路11に沿って走行するとともに使用済食器具5を回収する食器具回収ロボット20とを備えている。
【0159】
このうち各座席エリア1は上述のようにテーブル2と、このテーブル2を挟んで設置され、顧客が座る一対の座席3とを含んでおり、複数の座席エリア1は連続的に並んで配置されている。本実施の形態においては、6列の連続する座席エリア1が配置され、第1列目の座席エリア1と第2列目の座席エリア1との間、第3列目の座席エリア1と第4列目の座席エリア1との間、および第5列目の座席エリア1と第6列目の座席エリア1との間に、合計3本のロボット用通路11が形成されている。3本のロボット用通路11は、図26の右側から左側に向かって、便宜上、ロボット用通路A、ロボット用通路B、ロボット用通路Cからなる。
【0160】
ところで、連続して配置された複数の座席エリア1のうち、同一列に並ぶ座席エリア1間は、パーティション4が配置されている。
【0161】
また食器具回収ロボット20は、商品(料理)を食べ終わった後の使用済皿、使用済グラス、使用済フォーク、使用済ナイフ等(これらを総称して「使用済食器具5」という)を回収するロボットであり、ロボット用通路11に沿って所定の座席エリア1まで走行し、これら使用済食器具5を回収するようになっている。この場合、食器具回収ロボット20には、予めバスボックス(回収箱ともいう)8が載置され、使用済食器具5は、このバスボックス8内に回収される。
【0162】
また図26に示すように、ロボット用通路11の一端部12は待機エリアとなっており、このロボット用通路11の一端部12に食器具搬送コンベア30が連結されている。食器具搬送コンベア30は、3本のロボット用通路11に対して直交して延び、食器具搬送コンベア30の一端部には、自動皿洗浄機35が接続されている(図12参照)。また、食器具搬送コンベア30の上方には、食器具搬送コンベア30と同様、3本のロボット用通路11に対して直交して延びる完成商品搬送コンベア40が配置され(図17A参照)、このことにより、下段に位置する食器具搬送コンベア30と、上段に位置する完成商品搬送コンベア40が2段に配置される。なお、図26乃至図28において、完成商品搬送コンベア40は便宜上、取り除かれている。
【0163】
他方、図26において、ロボット用通路11の他端部13は、ロボット充電エリアとなっており、このロボット充電エリア13において、食器具回収ロボット20に対して必要な充電を施すことができる。なお、ロボット用通路11の他端部13ではなく、一端部12をロボット充電エリアとしても良い。
【0164】
また、図26乃至図28に示すように、ロボット用通路11に一端部12の近傍には、ロボット用通路11の一端部12に待機する食器具回収ロボット20に対して空のバスボックス8を供給するバスボックス供給機構が設置されている。
【0165】
すなわち、3本のロボット用通路11の一端部12に沿う空間を利用してバスボックス供給機構が設置され、本実施の形態においては、ロボット用通路11の他端部13側にはバスボックス供給機構は設置されていない。
【0166】
具体的には、3本のロボット用通路11のうち、ロボット用通路Aにおいて、その一端部12に待機する食器具回収ロボット20の横方向(食器具搬送コンベア30の搬送方向)に、第3の実施の形態で説明したバスボックス供給機構50が設けられている。そして、バスボックス供給機構59から供給される空のバスボックス8はロボット用通路Aの一端部12に待機する食器具回収ロボット20に対して横方向から搬送され、移載される。
【0167】
本実施の形態におけるバスボックス供給機構50は、第3の実施の形態で説明したバスボックス供給機構50と同一構造をもつ(図22A乃至図22C)。
【0168】
また、ロボット用通路Aの一端部12に待機する食器具回収ロボット20を挟んでバスボックス供給機構50の反対側には、食器具回収ロボット20から使用済食器具5が収納されたバスボックス8を回収して排出するバスボックス排出コンベア72が設けられ、このバスボックス排出コンベア72はバスボックス転換コンベア75を介して食器具搬送コンベア30に接続されている。
【0169】
またロボット用通路Aの一端部12において、バスボックス転換コンベア75を挟んでバスボックス排出コンベア72の反対側には、スタッフにより投入された使用済食器具5を収納するバスボックス8を排出するためのバスボックス排出コンベア73が設けられ、このバスボックス排出コンベア73はバスボックス転換コンベア75を介して食器具搬送コンベア30に接続されている。
【0170】
また図28に示すように、ロボット用通路A,B,Cの一端部12の上方空間には、空のバスボックス8を搬送する2本のバスボックス供給ライン78a、78bが設けられている。このうち、一方のバスボックス供給ライン78aはロボット用通路Bの一端部12に待機する食器具回収ロボット20に対して空のバスボックス8を供給するものであり、他方のバスボックス供給ライン78bはロボット用通路Cの一端部12に待機する食器具回収ロボット20に対して空のバスボックス8を供給するものである。
【0171】
いずれのバスボックス供給ライン78a、78bも、搬送ベルトまたはローラーコンベアを含む。バスボックス供給ライン78a、78bがローラーコンベアからなる場合、バスボックス供給ライン78a、78bを対応する食器具回収ロボット20に向かって下方へ傾斜させることにより、特別な動力を必要としないで、空のバスボックス8を供給することができる。
【0172】
あるいは、バスボックス供給ライン78a、78bが長距離に渡って延びる場合、バスボックス供給ライン78a、78bは動力を必要としないローラーコンベアと、動力を必要とする搬送ベルトの双方を含んでいても良い。
【0173】
図28に示すように、ロボット用通路Bに対応するバスボックス供給ライン78aの一端(図28における右端)側で、空のバスボックス8がリフタ77により持ち上げられ、空のバスボックス8はこのバスボックス供給ライン78aの一端に供給される。続いて、図28において、バスボックス供給ライン78aの一端に供給された空のバスボックス8はバスボックス供給ライン78aの他端(図28における左端)まで搬送され、次にバスボックス供給ライン78aの他端からリフタ76により降下してバスボックス搬送コンベア71上に供給される。
【0174】
バスボックス搬送コンベア71上に供給された空のバスボックス8は、その後ロボット用通路Bの一端部12に待機する食器具回収ロボット20に供給される。
【0175】
また、ロボット用通路Bの一端部12に待機する食器具回収ロボット20を挟んでバスボックス搬送コンベア71の反対側には、食器具回収ロボット20から使用済食器具5が収納されたバスボックス8を回収して排出するバスボックス排出コンベア72が設けられ、このバスボックス排出コンベア72はバスボックス転換コンベア75を介して食器具搬送コンベア30に接続されている。
【0176】
またロボット用通路Bの一端部12において、バスボックス転換コンベア75を挟んでバスボックス排出コンベア72の反対側には、スタッフにより投入された使用済食器具5を収納するバスボックス8を排出するためのバスボックス排出コンベア73が設けられ、このバスボックス排出コンベア73はバスボックス転換コンベア75を介して食器具搬送コンベア30に接続されている。
【0177】
また、図28に示すように、ロボット用通路Cに対応するバスボックス供給ライン78bの一端(図28における右端)側で、空のバスボックス8がリフタ77により持ち上げられ、空のバスボックス8はこのバスボックス供給ライン78bの一端に供給される。続いて、図28において、バスボックス供給ライン78bの一端に供給された空のバスボックス8はバスボックス供給ライン78bの他端(図28における左端)まで搬送され、次にバスボックス供給ライン78bの他端からリフタ76により降下してバスボックス搬送コンベア71上に供給される。
【0178】
バスボックス搬送コンベア71上に供給された空のバスボックス8は、その後ロボット用通路Cの一端部12に待機する食器具回収ロボット20に供給される。
【0179】
また、ロボット用通路Cの一端部12に待機する食器具回収ロボット20を挟んでバスボックス搬送コンベア71の反対側には、食器具回収ロボット20から使用済食器具5が収納されたバスボックス8を回収して排出するバスボックス排出コンベア72が設けられ、このバスボックス排出コンベア72はバスボックス転換コンベア75を介して食器具搬送コンベア30に接続されている。
【0180】
本実施の形態において、ロボット用通路Bの一端部12に待機する食器具回収ロボット20に対してはその右側からバスボックス搬送コンベア71上の空のバスボックス8が供給され、ロボット用通路Cの一端部12に待機する食器具回収ロボット20に対してはその左側からバスボックス搬送コンベア71上の空のバスボックス8が供給される(図28参照)。
【0181】
なお、ロボット用通路Bの一端部12に待機する食器具回収ロボット20に対応するバスボックス搬送コンベア71、およびロボット用通路Cの一端部12に待機する食器具回収ロボット20に対応するバスボックス搬送コンベア71は、いずれも空のバスボックス8を2個以上載置できる長さをもつ。バスボックス搬送コンベア71は、上述のように2個以上の空のバスボックス8を載置できるようになっているため、食器具回収ロボット20に対してバスボックス8を休むことなく連続して供給することができる。この場合、バスボックス搬送コンベア71上に2個以上のバスボックス8を載置できればよく、3個以上載置できるようバスボックス搬送コンベア71を構成してもよい。
【0182】
本実施の形態において、ロボット用通路Aに対応してバスボックス供給機構50が設置され、ロボット用通路B、Cに対応して設置されたバスボックス搬送コンベア71,リフタ76,77,バスボックス供給ライン78a、78bにより、ロボット通路B、Cに対応するバスボックス供給機構50Aが構成されている。
【0183】
また食器具回収ロボット20と、食器具搬送コンベア30と、完成商品搬送コンベア40と、バスボックス供給機構50と、バスボックス搬送コンベア71と、バスボックス排出コンベア72,73と、バスボックス転換コンベア75と、リフタ76,77と、バスボックス供給ライン78a、78bは、制御部15により駆動制御される。
【0184】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0185】
まず、テーブル2と座席3とを含む所定の座席エリア1に顧客が着席する。
【0186】
次に顧客が端末タブレットを操作して、あるいは店舗のスタッフPが操作して所望の商品(料理)を注文する。この商品注文情報は制御部15に送られ、厨房内で商品が作製される。
【0187】
次に厨房内で作製された完成商品7は、スタッフPにより、食器具搬送コンベア30上方に配置された商品供給コンベア40B上に載置されるか、又は完成商品搬送コンベア40上に載置されて商品供給コンベア40Aあるいは商品供給コンベア40Cへ送られる(図16参照)。
【0188】
この間、食器具回収ロボット20は各ロボット用通路11の一端部(待機エリア)12に待機している。
【0189】
また食器具回収ロボット20の食器具回収部26と商品提供部27は、昇降機26aにより一体となって下方へ移動して下方位置をとっている(図20Aおよび図20B参照)。
【0190】
商品供給コンベア40B上に完成商品7が載置されたり、あるいは商品供給コンベア40Aおよび40C側に完成商品7が送られると、商品供給コンベア40A~40C上の完成商品7が食器具回収ロボット20の下方位置をとる商品提供部27上へ移載される。その後、食器具回収ロボット20は所定の座席エリア1まで走行する。次に所定の座席エリア1の顧客が商品提供部27上の完成商品7を受け取り、このようにして商品提供は終了する。
【0191】
その後食器具回収ロボット20は、ロボット用通路を走行し、待機エリア12まで戻って待機する。
【0192】
次に食器具回収ロボット20による食器具回収作用について説明する。
【0193】
制御部15は予めロボット用通路11の待機エリア12に待機していた食器具回収ロボット20を使用済食器具5の回収タイミングに合わせて作動させ、所定の座席エリア1まで走行させる。
【0194】
例えば所定座席エリア1に顧客が着席してから一定時間経過後に、制御部15は使用済食器具5の回収タイミングと定めて食器具回収ロボット20を作動させることもできる。
【0195】
あるいは所定の座席エリア1から受けた注文商品の数が一定以上となった時、制御部15は使用済食器具5の回収タイミングと定めてもよい。また制御部15は、所定の座席エリア1から最初の注文を受けた時から一定時間経過後を使用済食器具5の回収タイミングとして定めてもよい。
【0196】
この場合、「最初の注文を受けた時」とは、一旦食器具回収ロボット20により使用済食器具5を回収した場合、回収後の「最初の注文を受けた時」を意味する。
【0197】
あるいは所定の座席からデザートの注文を受けた時に、制御部15は使用済食器具5の回収タイミングと定めてもよい。一般にデザートの注文を受けた時は、それまでに予めメイン商品の注文を受け、メイン商品を食べ終わっている場合が多い。このためデザートの注文を受けた時、制御部15は、メイン商品の使用済食器具5を回収するため食器具回収ロボット20を作動させる。
【0198】
あるいはまた、店舗のスタッフPあるいは顧客が入力部(図示せず)から制御部15に対して使用済食器具5の回収タイミングを入力し、制御部15はこの入力された回収タイミングに基づいて食器具回収ロボット20を作動させてもよい。
【0199】
まず制御部15は、使用済食器具5の回収のタイミングに合わせて食器具回収ロボット20とバスボックス供給機構50,50Aを制御し、食器具回収ロボット20はバスボックス供給機構50,50Aから空のバスボックス8を受け取る。
【0200】
具体的にはロボット通路Aの一端部12に待機する食器具回収ロボット20に対してバスボックス供給機構50から空のバスボックス8が供給される。また、ロボット通路Bの一端部12に待機する食器具回収ロボット20に対しては、まずバスボックス供給機構50Aのバスボックス供給ライン78aの一端にリフタ77から空のバスボックス8が供給され、空のバスボックス8はバスボックス供給ライン78aの他端まで送られる。その後、バスボックス供給ライン78aの他端にある空のバスボックス8はリフタ76により降下した後、バスボックス搬送コンベア71を介して食器具回収ロボット20へ供給される。
【0201】
ロボット通路Cの一端部12に待機する食器具回収ロボット20に対しては、まずバスボックス供給機構50Aのバスボックス供給ライン78bの一端にリフタ77から空のバスボックス8が供給され、空のバスボックス8はバスボックス供給ライン78bの他端まで送られる。その後、バスボックス供給ライン78bの他端にある空のバスボックス8はリフタ76により降下した後、バスボックス搬送コンベア71を介して食器具回収ロボット20へ供給される。
【0202】
バスボックス供給機構50、50Aからバスボックス8を受け取った食器具回収ロボット20は、その後、所定の座席エリア1まで走行する。次に、食器具回収ロボット20が所定の座席エリア1まで達すると、食器具回収部26と商品提供部27は、昇降機26aにより一体となって上方へ移動して上方位置をとる(図21Aおよび図21B参照)。このとき、食器具回収ロボット20は顧客に向けて「空いたお皿を回収します」と声を掛ける。
【0203】
また、座席エリア1の顧客は、上方位置をとる食器具回収部26上に裁置されたバスボックス8内に使用済食器具5、例えば使用済皿、使用済グラス、使用済フォーク、使用済ナイフを投入する。
【0204】
その後食器具回収ロボット20の食器具回収部26と商品提供部27は、昇降機26aにより一体となって下方へ移動して下方位置をとる(図20Aおよび図20B参照)。次に食器具回収ロボット20はロボット用通路11上を走行してロボット用通路11の一端部12までくる。その後、食器具回収ロボット20の食器具回収部26上にあり使用済食器具5が回収されたバスボックス8は、ロボット用通路11と直交して延びる食器具搬送コンベア30により搬送される。このとき食器具回収ロボット20の食器具回収部26は下方位置をとっている。
【0205】
次に使用済食器具5が回収されたバスボックス8を食器具回収ロボット20から食器具搬送コンベア30まで移載する作用をロボット通路A,B,C毎に具体的に説明する。
【0206】
まず、食器具回収ロボット20がロボット通路Aの一端部12まで来ると、食器具回収ロボット20からバスボックス8がバスボックス排出コンベア72へ排出される。そして、バスボックス排出コンベア72上のバスボックス8はバスボックス転換コンベア75により90°向きが変えられて、食器具搬送コンベア30側へ移載される。
【0207】
同様に、食器具回収ロボット20がロボット通路B、Cの一端部12まで来ると、食器具回収ロボット20からバスボックス8がバスボックス排出コンベア72へ排出される。そして、バスボックス排出コンベア72上のバスボックス8はバスボックス転換コンベア75により90°向きが変えられて、食器具搬送コンベア30側へ移載される。
【0208】
以上のように本実施の形態によれば、ロボット用通路A,B,Cの一端部12側の空間を有効利用して、この上方空間に空のバスボックス8を食器具回収ロボット20側へ供給するバスボックス供給機構50、50Aを構成するバスボックス供給ライン78a、78bを設置することができ、食器具回収ロボットシステム全体の空間を有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0209】
1 座席エリア
2 テーブル
3 座席
5 使用済食器具
7 完成商品
8 バスボックス
10 食器具回収ロボットシステム
11 ロボット用通路
12 一端部
13 他端部
15 制御部
20 食器具回収ロボット
21 ロボット本体
23 移動コンベア
24a 上段コンベア
24b 下段コンベア
25a 上部棚
25b 下部棚
26 食器具回収部
27 商品提供部
30 食器具搬送コンベア
40 完成商品搬送コンベア
50 バスボックス供給機構
50A バスボックス供給機構
51 バスボックス搬送コンベア
52 バスボックスリフタ
53A バスボックス保持装置
53 保持装置本体
55 回転体
55a 切り欠き部
60 ストッパ
60a 直動シリンダ
60b ストッパセンサ
61 第1検知センサ
62 第2検知センサ
63 第3検知センサ
64 第4検知センサ
65 連結領域
71 バスボックス搬送コンベア
72 バスボックス排出コンベア
73 バスボックス排出コンベア
75 バスボックス転換コンベア
76 リフタ
77 リフタ
78a、78b バスボックス供給ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18
図19
図20A
図20B
図21A
図21B
図22A
図22B
図23A
図23B
図23C
図24
図25
図26
図27
図28