(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】変色装置
(51)【国際特許分類】
B43L 19/00 20060101AFI20240422BHJP
【FI】
B43L19/00 Z
(21)【出願番号】P 2020149667
(22)【出願日】2020-09-07
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】石川 大介
(72)【発明者】
【氏名】平 和樹
(72)【発明者】
【氏名】北脇 崇也
(72)【発明者】
【氏名】原山 大輔
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3161302(JP,U)
【文献】特表2020-523145(JP,A)
【文献】特表2017-513542(JP,A)
【文献】特開2017-177804(JP,A)
【文献】国際公開第2016/143109(WO,A1)
【文献】特開2014-177053(JP,A)
【文献】特開2020-038154(JP,A)
【文献】特開平04-212189(JP,A)
【文献】特開2013-248775(JP,A)
【文献】特開2000-203191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43L 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源を備える筐体と、
前記筐体に取り付けられ、印加される電圧によって熱が発生する透明膜と前記透明膜に発生する熱で加熱される透明基板とを有する透明ヒータと、
前記透明基板を熱変色性色剤が変色する温度に加熱することを指示する加熱ボタンと、 前記加熱ボタンが押された状態において前記電源からの電圧を前記透明膜に印加するコントローラと、
前記透明ヒータを収納位置と変色位置との間で移動可能に前記筐体に支持する支持機構と、
を有する変色装置。
【請求項2】
電源を備える筐体と、
前記筐体に取り付けられ、印加される電圧によって熱が発生する透明膜と前記透明膜に発生する熱で加熱される透明基板とを有する透明ヒータと、
前記透明基板を熱変色性色剤が変色する温度に加熱することを指示する加熱ボタンと、
前記加熱ボタンが押された状態において前記電源からの電圧を前記透明膜に印加するコントローラと、
温度を指定する温度切替ボタン
と、を有し、
前記コントローラは、前記温度切替ボタンの状態で指定される温度に応じて前記透明膜に印加する電圧の値を制御する
、
変色装置。
【請求項3】
電源を備える筐体と、
前記筐体に取り付けられ、印加される電圧によって熱が発生する透明膜と前記透明膜に発生する熱で加熱される透明基板とを有する透明ヒータと、
前記透明基板を熱変色性色剤が変色する温度に加熱することを指示する加熱ボタンと、
前記加熱ボタンが押された状態において前記電源からの電圧を前記透明膜に印加するコントローラと、を有し、
前記透明ヒータは、前記透明基板の表面を複数のエリアに分割した各エリアに対応する位置に複数の透明膜を有し、
前記コントローラは、指定されたエリアに対応する位置に配置した透明膜に対して電圧を印加する
、
変色装置。
【請求項4】
前記複数のエリアは、前記透明基板の表面における角を基準に分割された第1領域と前記第1領域よりも大きい第2領域とを含む、
請求項
3に記載の変色装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、変色装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱変色性色剤は、所定の消色温度以上に加熱されることで消色する。例えば、消色装置としては、記録媒体全体を加熱することで記録媒体上の熱変色性色剤を消色するものがある。しかしながら、記録媒体全体を加熱する消色装置は、記録媒体上における一部を選択的に消色することができない。
【0003】
また、消色器具としては、ペンの後端又はペン用のキャップ端部などに設けたラバー等の専用部材で記録媒体上の熱変色性色剤を消色するものもある。専用部材は、記録媒体上を擦ることで生じる摩擦熱で熱変色性色剤を消色させる。専用部材は、記録媒体上を擦る必要があるため、ピンポイントで熱を加えることが難しく、位置を確認しながら消色する操作を行うことが簡単ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した課題を解決するために、変色させる箇所をユーザが確認し易い変色装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、変色装置は、筐体と透明ヒータと加熱ボタンとコントローラと支持機構とを有する。筐体は、電源を備える。透明ヒータは、筐体に取り付けられ、印加される電圧によって熱が発生する透明膜と透明膜に発生する熱で加熱される透明基板とを有する。加熱ボタンは、透明基板を熱変色性色剤が変色する温度に加熱することを指示する。コントローラは、加熱ボタンが押された状態において電源からの電圧を透明膜に印加する。支持機構は、透明ヒータを収納位置と変色位置との間で移動可能に筐体に支持する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る変色装置としての消色装置の構成例を示す外観図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る変色装置としての消色装置の構成例を示す外観図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る消色装置における透明ヒータの構造を示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る消色装置における透明ヒータを構成する部品の例を示す図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る消色装置における制御系の構成例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る消色装置の透明ヒータに電圧を印加した場合の温度変化の例を示す図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る消色装置の動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る変色装置としての消色装置の構成例を概略的に示す外観図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る消色装置における透明ヒータの第1の構成例を示す図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係る消色装置における透明ヒータの第2の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
第1および第2実施形態に係る変色装置は、記録媒体上の熱変色性色剤を変色させるものである。第1および第2実施形態では、変色装置の一例として、記録媒体上の熱変色性色剤を消色させる消色装置について説明する。また、第1および第2実施形態において、消色とは、熱変色性色剤に熱を与えて人が視認できる色から人が視認できない透明な色に変化させることであるものとする。
【0009】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係る変色装置としての消色装置1の構成について説明する。
図1および
図2は、第1実施形態に係わる消色装置1の構成を示す外観図である。
図1および
図2に示す構成例において、消色装置1は、透明ヒータ11、支柱12、電源ボタン13、温度切替ボタン14、および、加熱ボタン15などを有する。
【0010】
透明ヒータ11は、熱変色性色剤を消色させる透明のデバイスである。透明ヒータ11は、記録媒体に押し当てた場合に記録媒体上が透けて見えるように構成される。つまり、透明ヒータ11は、熱変色性色剤を消色させる記録媒体に押し当てた部分をユーザが直接的に視認できるように構成される。例えば、透明ヒータ11は、熱源からの熱で加熱される透明基板21(
図3および
図4参照)を有する。透明ヒータ11の透明基板21は、熱源からの熱によって熱変色性色剤が消色する温度(消色温度)になる。透明ヒータ11の透明基板21が消色温度となった透明基板21が接触した記録媒体上の領域にある熱変色性色剤は消色する。
【0011】
支柱12は、透明ヒータ11、電源ボタン13、温度切替ボタン14、および、加熱ボタン15などの各部を取り付ける筐体である。また、支柱12は、コントローラ30(
図5参照)およびバッテリ40(
図5参照)が内蔵される。支柱12は、ユーザが把持するハンドルである。例えば、支柱12は、ユーザが把持しやすいように、ペンのような棒状の形状で構成される。
図1に示す構成例において、支柱12は、長辺が15cm程度である直方体の形状で形成される。ただし、支柱12の形状は、直方体に限定されるものではない。支柱12の形状は、ユーザが把持できる形状であれば良い。
【0012】
支柱12には、透明ヒータ11を支持する支持機構121を設ける。支持機構121は、透明ヒータ11を消色位置(変色位置)と収納位置との間で移動可能に支持する。
図1は、透明ヒータ11の消色位置の例を示す。
図2は、透明ヒータ11の収納位置の例を示す。
図1および
図2に示す構成例において、透明ヒータ11は、
図1中の矢印aで示すように、支持機構121の支点を中心に支柱12に対して回動する。また、支持機構121は、透明ヒータ11を消色位置又は収納位置でロックするロック機構を有する。ロック機構は、ユーザ操作によってロックとロックの解除とができるものであれば良い。ロックが解除された状態において、透明ヒータ11は、支持機構121の支点を中心に回動可能となる。
【0013】
なお、支持機構121は、透明ヒータ11を消色位置と収納位置とで保持できるものであれば良い。例えば、支持機構121は、透明ヒータ11をスライドさせて支柱12内の収納位置に収納するものであっても良い。また、支持機構121は、透明ヒータ11を取外し可能な機構としても良い。
【0014】
透明ヒータ11は、消色位置で保持された状態において、透明基板21の表面が記録媒体上に接触するように構成される。
図1に示す例では、透明ヒータ11は、支柱12の長辺に対して透明基板21の表面(消色面)が垂直となる位置(消色位置)で保持される。例えば、消色位置でロックされた透明ヒータ11は、消色温度に加熱する透明基板21の表面が接触する領域にある熱変色性色剤を消色する。
【0015】
また、
図2に示す例において、透明ヒータ11は、透明基板21の表面(消色面)が支柱12の長辺と平行になる位置(収納位置)で保持される。例えば、ユーザが消色位置にある透明ヒータ11を支柱12に向けて折りたたむように動かすと、透明ヒータ11は、支持機構121の支点を中心に回動して収納位置で保持される。消色装置1は、透明ヒータ11を収納位置で保持することにより、透明ヒータ11が嵩張らないようにでき、ケースなどに入れて持ち歩きしやすいようにできる。
【0016】
また、消色装置1は、消色位置にある透明ヒータ11には電力が供給でき、収納位置にある透明ヒータ11には電力が供給できないように構成する。すなわち、透明ヒータ11は、
図1に示すような消色位置において、支柱12内にあるコントローラ30(
図5参照)などと電気的に接続する。透明ヒータ11は、
図2に示すような収納位置において、支柱12内にあるコントローラ30(
図5参照)などとの電気的な接続が切り離される。これにより、消色装置1は、収納位置にある透明ヒータ11には電力が供給されることがなく、安全に持ち運んだり保管したりできる。
【0017】
電源ボタン13、温度切替ボタン14、および、加熱ボタン15は、支柱12の表面に並べて配置される。各ボタン13~15は、ユーザが操作可能な位置であればどこに設けても良い。
電源ボタン13は、電源のオンオフを切り替えるためのボタンである。例えば、消色装置1は、電源ボタン13の状態で電源のオンオフを切り替える。例えば、電源ボタン13が押されるごとに、消色装置1は、電源のオンオフを切り替える。また、消色装置1は、電源ボタン13が所定時間以上押し込まれた場合に電源のオンオフを切り替えるようにしても良い。また、電源ボタン13は、押し込まれた状態を保持する機構を有するものとしても良い。この場合、消色装置1は、電源ボタン13が押し込まれた状態で電源をオンし、電源ボタン13が押し込まれていない状態で電源をオフするようにしても良い。
【0018】
温度切替ボタン14は、透明ヒータ11における消色面の温度を指定するためのボタンである。例えば、温度切替ボタンの状態で、透明ヒータ11の温度設定が指定される。例えば、温度切替ボタン14が押し込まれた状態では、透明ヒータ11は、第1の温度に設定される。また、温度切替ボタンが押し込まれていない状態では、透明ヒータ11は、第2の温度に設定される。
【0019】
加熱ボタン15は、透明ヒータ11のオンオフを切り替えるボタンである。例えば、加熱ボタン15が押されている間、透明ヒータ11は、オンとなって透明基板21を設定温度に加熱する。また、加熱ボタン15が押されていない場合、透明ヒータ11は、オフとなる。また、加熱ボタン15は、押された状態で保持する機構を有するものであっても良い。
【0020】
次に、第1実施形態に係わる消色装置1が備える透明ヒータ11の構成例について説明する。
図3は、第1実施形態に係わる消色装置1が備える透明ヒータ11の構成例を示す図である。また、
図4は、
図3に示す透明ヒータ11を構成する部品を示す図である。
図3および
図4に示すように、透明ヒータ11は、透明基板21、透明膜22、電極23(第1電極231、第2電極232)、および、絶縁層(絶縁膜)24を有する。
【0021】
透明基板21は、ガラス基板又はPETフィルムなどの透明な基板である。透明膜22は、ITO(Indium Tin Oxide)膜などの導電性を持つ透明な膜である。透明膜22は、電気抵抗(シート抵抗)を有する。透明膜22は、例えば、蒸着などで透明基板21上に形成される。
【0022】
電極23は、第1電極231と第2電極232とを有する。電極23は、透明膜22に接続される。電極23が接続された透明膜22の上にはガラスカバーなどの透明な絶縁層24が形成される。なお、電極23は、複数の対であっても良い。例えば、1つの第1電極に対して、複数の第2電極232を設けても良い。
【0023】
第1電極231と第2電極232とは、センサ回路34(
図5参照)に接続される。例えば、第1電極231は、接地される。第2電極232は、センサ回路34から電位が与えられる。第1電極231と第2電極232との間の電位差によって、導電性の透明膜22には電流が流れる。
【0024】
第1電極231と第2電極232との間に電流が流れると、第1電極231と第2電極232との間にある透明膜22は、シート抵抗によりジュール熱が発生する。透明膜22に生じたジュール熱は、透明基板21を加熱する。透明基板21の表面からは、遠赤外線が輻射される。加熱された透明基板21は表面に接触する対象物を加温する。
【0025】
次に、第1実施形態に係わる消色装置1における制御系の構成について説明する。
図5は、消色装置1における制御系の構成例を示すブロック図である。
図5に示すように、消色装置1は、透明ヒータ11、コントローラ30およびバッテリ40を有する。コントローラ30およびバッテリ40は、筐体としての支柱12に内蔵される。コントローラ30は、透明ヒータ11、電源ボタン13、温度切替ボタン14、加熱ボタン15に接続される。
【0026】
コントローラ30は、電源ボタン13、温度切替ボタン14および加熱ボタン15の状態に応じて透明ヒータ11の駆動を制御する。バッテリ40は、透明ヒータ11の熱源を発熱させるためのエネルギーを与える。バッテリ40は、支柱12に内蔵される充電可能な二次電池である。また、支柱12は、バッテリ40とする電池を着脱できる電池ボックスを具備するようにしても良い。
【0027】
コントローラ30は、プロセッサ31、ROM32、RAM33、センサ回路34およびインターフェース35を有する。コントローラ30には、透明ヒータ11およびバッテリ40が接続される。コントローラ30は、バッテリ40から供給される電力によって動作する。
【0028】
プロセッサ31は、コントローラ30において、バスを介して、ROM32、RAM33、センサ回路34およびインターフェース35に接続する。プロセッサ31は、各部の制御などを行う。プロセッサ31は、例えば、CPUである。プロセッサ31は、各部を制御するためのプログラムを実行する。ROM32は、プログラムを記憶する不揮発性のメモリである。RAM21は、データを一時的に記憶するワーキングメモリである。
【0029】
センサ回路34は、透明ヒータ11を駆動させる回路を含む。センサ回路34は、プロセッサ31からの制御信号に応じて透明ヒータ11の駆動を制御する。
インターフェース35は、各ボタン13~15を接続する。プロセッサ31は、インターフェース35を介して各ボタン13~15の状態を示す信号を取得する。
また、コントローラ30は、外部装置からの信号を入力するインターフェースを具備しても良い。また、バッテリ40には、外部電源から充電用の電力を取得するためのインターフェースを設けても良い。
【0030】
次に、透明ヒータ11に印加する電圧と透明ヒータ11の透明基板21の表面に生じる温度との関係について説明する。
図6は、透明ヒータ11の電極23(231、232)に2種類の電圧を与えた場合に生じる温度と時間との関係を示す図である。
図6は、透明ヒータ11の電極231、232に電圧Aを印加した場合の温度変化と電極231、232に電圧Aよりも大きい電圧Bを印加した場合の温度変化とを示す。
図6に示すように、透明ヒータ11の電極231、232に電圧を印加すると、透明膜22にはジュール熱が発生し、透明膜22が発する熱によって透明基板21の温度が上昇する。透明基板21の温度は、電圧を印加してから数秒後に所定の温度になる。
図6に示す例では、電圧Aを印加した場合、透明基板21は、6~7秒後に70℃程度となる。また、電圧Bを印加した場合、透明基板21は、5~6秒後に90℃程度となる。
【0031】
第1実施形態に係わる消色装置1は、透明基板21の温度として2種類の温度が設定可能であるものとする。コントローラ30のプロセッサ31は、温度切替ボタン14の状態に応じて透明基板21の温度を設定する。
図6に示すように、透明基板21の温度は、透明ヒータ11の電極23に印加する電圧値によって決まる。このため、コントローラ30のプロセッサ31は、温度切替ボタン14の状態に応じてセンサ回路34が透明ヒータ11に印加する電圧値を設定する。
【0032】
例えば、温度切替ボタン14で設定する温度は、消色する対象に応じて切り替える。熱変色性色剤は、消色(変色)する消色温度が異なるものがある。具体例として、第1の色剤が第1の消色温度以上で消色し、第2の色剤が第1の消色温度よりも高い第2の消色温度で消色するものとする。この場合、第1の消色温度以上かつ第2の消色温度よりも低い温度では、第2の色剤が消色せずに第1の色剤が消色する。また、第2の消色温度以上の温度では、第2の色剤および第1の色剤の両方が消色する。ユーザは、第2の色剤を消色せずに第1の色剤を消色する設定と第1の色剤および第2の色剤の両方を消色する設定との何れかを温度切替ボタン14で指定できる。
【0033】
また、透明基板21の表面から記録媒体に与えられる熱で記録媒体上の熱変色性色剤が消色する。このため、ユーザは、使用する状況に応じて温度切替ボタン14による温度の設定を切り替えるようにしても良い。例えば、透明ヒータ11を早く動かして記録媒体上の熱変色性色剤を消色したい場合、ユーザは、温度切替ボタン14で温度設定を高くするようにしても良い。また、記録媒体にできるだけ高い温度を与えたくない場合、ユーザは、温度切替ボタン14で温度設定を低くして透明ヒータ11をゆっくり動かすようにしても良い。
【0034】
次に、第1実施形態に係わる消色装置1の動作について説明する。
図7は、第1実施形態に係わる消色装置1の動作例を説明するためのフローチャートである。
コントローラ30のプロセッサ31は、電源ボタン13の状態を検知する。例えば、プロセッサ31は、電源オフの状態おいて電源ボタン13が押されると、電源ボタン13から供給される信号に応じて電源をオンする。電源ボタン13が押されなければ(ACT11、NO)、プロセッサ31は、電源オフの状態を保持する。
【0035】
プロセッサ31は、電源オンの状態において電源ボタン13が押されたことを示す信号を受けた場合(ACT11、YES)、透明ヒータ11が使用可能な状態であるかを判定する(ACT12)。例えば、プロセッサ31は、透明ヒータ11が
図1に示すような消色位置にある場合、透明ヒータ11が使用可能な状態であると判定する。また、プロセッサ31は、透明ヒータ11が
図2に示すような収納位置にある場合、透明ヒータ11が使用不可の状態であると判定する。また、プロセッサ31は、透明ヒータ11がコントローラ30に電気的に接続されているか否かにより透明ヒータ11が使用可能な状態であるか否かを判定しても良い。
【0036】
透明ヒータ11が使用不可な状態である場合(ACT12、NO)、プロセッサ31は、透明ヒータ11が使用可能な状態になるのを待つ。なお、消色装置1は、透明ヒータ11が使用可能な状態であるか使用不可の状態であるかを報知するためのLEDなどの表示器を支柱12に設けても良い。プロセッサ31は、透明ヒータ11が使用不可な状態であると判定した場合、透明ヒータ11が使用不可の状態であることを表示器に表示させるようにしても良い。
【0037】
透明ヒータ11が使用可能な状態である場合(ACT12、YES)、プロセッサ31は、温度切替ボタン14の状態に応じて透明基板21の温度を設定する(ACT13)。例えば、プロセッサ31は、温度切替ボタン14の状態を検出する。プロセッサ31は、温度切替ボタン14が第1の温度を指定する状態である場合、第1の温度に対応する電圧値を透明ヒータ11に印加する電圧値としてセンサ回路34に設定する。プロセッサ31は、温度切替ボタン14が第2の温度を指定する状態である場合、第2の温度に対応する電圧値を透明ヒータ11に印加する電圧値としてセンサ回路34に設定する。
【0038】
温度切替ボタン14の状態に応じた温度を設定した後、プロセッサ31は、透明ヒータ11の透明基板21を加熱するか否かを判定する(ACT13)。例えば、プロセッサ31は、加熱ボタン15が押された状態であれば加熱すると判定し、加熱ボタン15が押されていない状態であれば加熱しないと判定する。この場合、プロセッサ31は、加熱ボタン15の状態を検出し、加熱ボタン15の状態に応じて透明基板21を加熱するか否かを判定する。
【0039】
透明基板21を加熱すると判定した場合(ACT14、YES)、プロセッサ31は、温度切替ボタン14の状態に応じて設定した値の電圧を透明ヒータ11の電極23に印加する(ACT15)。例えば、プロセッサ31は、温度切替ボタン14の状態に応じて印加する電圧値を設定したセンサ回路34から電極231、232に電圧を印加させる。
【0040】
また、透明基板21を加熱しないと判定した場合(ACT14、NO)、プロセッサ31は、透明ヒータ11の電極23に対して印加する電圧を遮断する(ACT15)。例えば、プロセッサ31は、透明ヒータ11の電極23に対するセンサ回路34からの電圧の印加を停止させる。
【0041】
プロセッサ31は、電源をオンした後、常時、電源ボタン13の状態を検出する。プロセッサ31は、電源ボタン13がオフの状態になるまで(ACT17、NO)、ACT12~16の処理を繰り返し実行する。また、プロセッサ31は、電源ボタン13がオフの状態になると(ACT17、YES)、一連の処理を終了する。
【0042】
上述したように、第1実施形態に係る消色装置は、押し当てた部分が透けてみえるような透明な部材で構成される透明ヒータおよびコントローラを有する。透明ヒータは、透明基板および導電性の透明膜を有する。コントローラは透明ヒータの透明膜に設定温度に応じた電圧値の電圧を印加する。透明ヒータは、印加される電圧によって透明膜に発生する熱で透明基板が加熱される。加熱された透明基板は、記録媒体上に形成された熱変色性色剤を消色可能となる。
【0043】
上記のような第1実施形態に係る消色装置によれば、透明ヒータが透明であるため、消色するために押し当てた部分をユーザが直接的に視認できる。つまり、第1実施形態に係る消色装置は、ユーザが消色するために押し当てる部分を直接的に確認しながら操作できる。この結果、消色したい箇所に確実に消色面を押し当てることができ、ピンポイントで記録媒体上の熱変色性色剤を消色させることができる消色装置を提供できる。
【0044】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
図8は、第2実施形態に係る消色装置に用いる透明ヒータ211の第1の構成例を示す図である。
第2実施形態に係わる透明ヒータ211は、
図3に示す透明ヒータ11の構造と同様に、透明基板、透明膜、電極および絶縁層を積み重ねた構造を有する。ただし、透明ヒータ211は、透明膜および電極の構成が
図3に示す透明ヒータ11とは異なる。
【0045】
図8に示す構成例において、透明ヒータ211は、熱源となる透明膜が形状の異なる3つの透明膜221、222、223で形成される。3つの透明膜221、222、223は、
図3で示す透明ヒータ11と同様な透明基板21上に配置される。透明膜221は、透明基板21上における第1領域に配置される。透明膜222は、透明膜221に合わせて透明基板21上に配置される。透明膜221と透明膜222とは、透明基板21上における第2領域に配置される。透明膜223は、透明膜221と222とに合わせて透明基板21上に配置される。透明膜221と透明膜222と透明膜223とは、透明基板21上の消色面全体をカバーするように配置される。
【0046】
各透明膜221、222、223は、それぞれに対となる電極が接続された状態で透明な絶縁層24で覆われる。透明膜221は、電極231と電極2321とが接続される。透明膜222は、電極231と電極2322とが接続される。透明膜223は、電極231と電極2323とが接続される。
【0047】
各透明膜221、222、223に接続される各電極231、2321、2322、2323は、支柱12に内蔵されるコントローラ30に接続される。コントローラ30は、
図5に示すような消色装置1と同様な構成を有する。各電極231、2321、2322、2323は、コントローラ30内のセンサ回路34に接続される。ここで、電極231は、接地するものとする。
【0048】
透明膜221は、電極231と電極2321とが接続される。電極2321に電位を与えると(電極231と電極2321とに電圧を印加すると)、透明膜221には電流が流れ、シート抵抗による熱が発生する。コントローラ30のセンサ回路34は、電極231と電極2321とに電圧を印加(透明膜221に電圧を印加)することで透明膜221を発熱させる。従って、センサ回路34が透明膜221に電圧を印加すると、透明基板21は、透明膜221に対応する領域(第1領域)が透明膜221からの熱で加熱される。透明基板21の第1領域は、透明膜221からの熱で消色温度に達すると、熱変色性色剤を消色可能な領域となる。
【0049】
透明膜222は、電極231と電極2322とが接続される。電極2322に電位を与えると(電極231と電極2322とに電圧を印加すると)、透明膜222には電流が流れ、シート抵抗による熱が発生する。センサ回路34は、電極231と電極2322とに電圧を印加(透明膜222に電圧を印加)することで透明膜222を発熱させる。
【0050】
透明膜222と透明膜221とは、透明膜221よりも大きな矩形の領域(第2領域)を形成する。従って、センサ回路34が透明膜222と透明膜221とに電圧を印加すると、透明基板21は、透明膜221および透明膜222に対応する第2領域が加熱される。透明基板21の第2領域は、透明膜221および透明膜222からの熱で消色温度に達すると、熱変色性色剤を消色可能な領域となる。
【0051】
透明膜223は、電極231と電極2323とが接続される。電極2323に電位を与えると(電極231と電極2323とに電圧を印加すると)、透明膜223には電流が流れ、シート抵抗による熱が発生する。センサ回路34は、電極231と電極2323とに電圧を印加(透明膜223に電圧を印加)することで透明膜223を発熱させる。
【0052】
透明膜223と透明膜222と透明膜221とは、透明基板21の消色面全体をカバーする矩形の領域を形成する。従って、センサ回路34が透明膜223と透明膜222と透明膜221とに電圧を印加すると、透明基板21は、消色面全体(第3領域)が加熱される。透明基板21の第3領域は、透明膜221、透明膜222および透明膜223からの熱で消色温度に達すると、熱変色性色剤を消色可能な領域となる。
【0053】
また、透明ヒータ211は、透明膜221に対応する領域(第1領域)を示すマーク251と透明膜221および透明膜222に対応する領域(第2領域)を示すマーク252が表示される。マーク251、252は、加熱される領域(消色可能な領域)をユーザが確認できるものであれば良い。例えば、マーク251、252は、透明基板21上に印字しても良いし、絶縁層24の上に印字しても良い。
【0054】
図9は、第2実施形態に係る消色装置201の構成例を示す外観図である。
図9に示す消色装置201は、
図1に示す消色装置1における透明ヒータ11が
図8に示す透明ヒータ211に置き換わった点が異なる。また、
図9に示す消色装置201は、
図1に示す消色装置1における加熱ボタン15が3つの加熱ボタン151、152、153に置き換わった点も異なる。なお、
図9に示す消色装置201において
図1に示す消色装置1と同様な構成については、同一箇所に同一符号を付して詳細な説明を省略するものとする。
【0055】
透明ヒータ211は、
図1および
図2に示す消色装置1の透明ヒータ11と同様に、支持機構121で支柱12に支持される。透明ヒータ211は、支持機構121の支点を中心に支柱12に対して回動することにより消色位置と収納位置との間を移動するように構成される。透明ヒータ211は、
図9に示すような消色位置でロックされた状態で記録媒体上の熱変色性色剤を消色する。また、透明ヒータ211は、透明ヒータ11と同様に、収納位置においてコントローラ30と電気的に切断された状態で支柱12に保持される。
【0056】
図9に示す透明ヒータ211は、上述したように、第1領域(透明膜221に対応する領域)、第2領域(透明膜221および透明膜222に対応する領域)、又は、第3領域(透明膜221、222および223に対応する領域)の何れかを加熱する。透明ヒータ211には、第1領域を示すマーク251と第2領域を示すマーク252とが形成される。
【0057】
3つの加熱ボタン151、152、153は、消色温度に加熱する領域を選択するボタンである。
加熱ボタン151は、第1領域を消色温度に加熱することを指示するボタンである。加熱ボタン151が押されると、透明ヒータ211は、透明基板21における第1領域が加熱されて消色可能な領域となる。
【0058】
加熱ボタン152は、第2領域を消色温度に加熱することを指示するボタンである。加熱ボタン152が押されると、透明ヒータ211は、透明基板21における第2領域が加熱されて消色可能な領域となる。
【0059】
加熱ボタン153は、第3領域(透明基板21の消色面全体)を消色温度に加熱することを指示するボタンである。加熱ボタン153が押されると、透明基板21は、第3領域が加熱されて消色可能な領域となる。
【0060】
図9に示す消色装置201は、第1実施形態で説明した
図7に示すフローチャートと同様な流れで動作する。ただし、消色装置201は、3つの加熱ボタン151、152、153のうち押された加熱ボタンに応じた領域を加熱する点が消色装置1と異なる。消色装置201において、コントローラ30のプロセッサ31は、各加熱ボタン151、152、153の状態を検出する。プロセッサ31は、押された加熱ボタンに応じた領域を加熱するようにセンサ回路34を制御する。
【0061】
例えば、コントローラ30のプロセッサ31は、加熱ボタン151が押された場合、センサ回路34により透明膜221に設定された消色温度に応じた電圧を印加する。透明膜221に電圧が印加されると、透明基板21は、第1領域が透明膜221からの熱で加熱される。透明基板21の第1領域は、透明膜221からの熱で消色温度に達すると、消色可能な領域となる。
【0062】
また、加熱ボタン152が押された場合、コントローラ30のプロセッサ31は、センサ回路34により透明膜221および222に設定温度に応じた電圧を印加する。透明膜221および222に電圧が印加されると、透明基板21は、第2領域が加熱される。透明基板21の第2領域は、透明膜221および222からの熱で消色温度に達すると、消色可能な領域となる。
【0063】
また、加熱ボタン153が押された場合、コントローラ30のプロセッサ31は、センサ回路34により透明膜221、222および223に設定温度に応じた電圧を印加する。透明膜221、222および223に電圧が印加されると、透明基板21は、第3領域が加熱される。透明基板21の第3領域(消色面全体)は、透明膜221、222および223からの熱で消色温度に達すると、消色可能な領域となる。
【0064】
次に、第2実施形態に係わる消色装置201に搭載される透明ヒータの第2の構成例について説明する。
図10は、第2実施形態に係わる消色装置201に搭載される透明ヒータ311の第2の構成例を示す図である。
透明ヒータ311は、透明ヒータ11と同様に、透明基板、透明膜、電極および絶縁層を積み重ねた構造を有する。ただし、透明ヒータ311は、透明膜および電極の構成が
図3に示す透明ヒータ11と異なる。また、透明ヒータ311の透明基板21は、
図3に示す透明基板21と同様にガラス基板又はPETフィルムなどの透明な部材で構成されるもので良い。ただし、透明ヒータ311の透明基板21は、
図3に示す透明基板21とは形状が異なる。
【0065】
図10に示す構成例において、透明ヒータ311は、熱源となる透明膜が形状の異なる3つの透明膜321、322、323で形成される。3つの透明膜321、322、323は、透明基板21上に配置した状態において鋭角な角を有する形状とする。透明ヒータ311の透明基板21は、3つの透明膜321、322、323を組み合わせて配置した形状に合わせた形状とする。
【0066】
透明膜321は、鋭角な角を有する形状を構成する。透明膜321は、透明基板21上における第1領域に配置される。透明膜322は、透明膜321の鋭角な角を残した状態で透明膜321に組み合わせて透明基板21上に配置される。透明膜321と透明膜322とは、透明基板21上における第2領域に配置される。透明膜323は、透明膜321の鋭角な角を残した状態で、透明膜321および透明膜322と組み合わせて透明基板21上に配置される。透明膜321と透明膜322と透明膜323とは、透明基板21上における消色面全体(第3領域)をカバーするように配置される。
【0067】
各透明膜321、322、323は、それぞれに対となる電極が接続された状態で透明な絶縁層24で覆われる。透明膜321は、電極231と電極2321とが接続される。透明膜322は、電極231と電極2322とが接続される。透明膜323は、電極231と電極2323とが接続される。
【0068】
各透明膜321、322、323に接続される各電極231、2321、2322、2323は、支柱12に内蔵されるコントローラ30に接続される。コントローラ30は、
図5に示すような消色装置1と同様な構成を有するもので良い。各電極231、2321、2322、2323は、コントローラ30内のセンサ回路34に接続される。ここで、電極231は、接地するものとする。
【0069】
なお、電極2321は、透明膜322および透明膜323と絶縁された状態でコントローラ30に接続する。例えば、電極2321とコントローラ30とを接続する配線は絶縁層で透明膜322および透明膜323と絶縁される。また、電極2322は、透明膜323と絶縁された状態でコントローラ30に接続する。例えば、電極2322とコントローラ30とを接続する配線は絶縁層で透明膜323と絶縁される。
【0070】
透明ヒータ311において、電極2321に電位を与えると(電極231と電極2321とに電圧を印加すると)、透明膜321には電流が流れ、シート抵抗による熱が発生する。コントローラ30のセンサ回路34は、電極231と電極2321とに電圧を印加(透明膜321に電圧を印加)することで透明膜321を発熱させる。従って、センサ回路34が透明膜321に電圧を印加すると、透明基板21は、透明膜321に対応する領域(第1領域)が透明膜321からの熱で加熱される。透明基板21の第1領域は、透明膜321からの熱で消色温度に達すると、熱変色性色剤を消色可能な領域となる。
【0071】
透明ヒータ311において、電極2322に電位を与えると(電極231と電極2322とに電圧を印加すると)、透明膜322には電流が流れ、シート抵抗による熱が発生する。センサ回路34は、電極231と電極2322とに電圧を印加(透明膜322に電圧を印加)することで透明膜322を発熱させる。
【0072】
透明膜322と透明膜321とは、第1領域よりも大きな矩形の領域(第2領域)を形成する。センサ回路34が透明膜322と透明膜321とに電圧を印加すると、透明基板21は、透明膜321および透明膜322に対応する第2領域が加熱される。透明基板21の第2領域は、透明膜321および透明膜322からの熱で消色温度に達すると、熱変色性色剤を消色可能な領域となる。
【0073】
透明ヒータ311において、電極2323に電位を与えると(電極231と電極2323とに電圧を印加すると)、透明膜323には電流が流れ、シート抵抗による熱が発生する。センサ回路34は、電極231と電極2323とに電圧を印加(透明膜323に電圧を印加)することで透明膜323を発熱させる。
【0074】
透明膜323と透明膜322と透明膜321とは、透明基板21の消色面全体をカバーする矩形の領域(第3領域)を形成する。従って、センサ回路34が透明膜323と透明膜322と透明膜321とに電圧を印加すると、透明基板21は、消色面全体(第3領域)が加熱される。透明基板21の第3領域は、透明膜321、透明膜322および透明膜323からの熱で消色温度に達すると、熱変色性色剤を消色可能な領域となる。
【0075】
また、透明ヒータ311は、透明膜321に対応する領域(第1領域)を示すマーク351と透明膜321および透明膜322に対応する領域(第2領域)を示すマーク352が表示される。マーク351、352は、加熱される領域(消色可能な領域)をユーザが確認できるものであれば良い。例えば、マーク351、352は、透明基板21上に印字しても良いし、絶縁層24の上に印字しても良い。
【0076】
なお、第2構成例としての透明ヒータ311は、第1構成例としての透明ヒータ211と同様に、第2実施形態に係る消色装置201に搭載される。例えば、透明ヒータ311は、
図9に示す消色装置201において透明ヒータ211に置き換えて搭載されるものして良い。また、透明ヒータ311を搭載する消色装置201は、上述した透明ヒータ211を搭載する消色装置201と同様な動作が可能である。
【0077】
上述したように、第2実施形態に係る消色装置は、透明な部材で構成される透明ヒータとコントローラとを有する。透明ヒータは、透明基板と複数の導電性の透明膜とを有する。コントローラは指定された領域に対応する透明膜に電圧を印加する。透明ヒータの透明基板は、電圧が印加された透明膜に対応する領域が加熱され、加熱された領域が熱変色性色剤を消色可能となる。
【0078】
上記のような第2実施形態に係る消色装置は、透明ヒータによって押し当てた部分をユーザが直接的に視認できだけでなく、消色可能となる領域をユーザが指定できる。第2実施形態に係る消色装置は、ユーザが消色可能となる領域のサイズを指定でき、指定した領域が当たる部分を直接的に確認しながら操作できる。この結果、ユーザが消色したい部分に応じて消色可能となる領域のサイズを指定でき、指定した領域が当たる部分を確認しながら操作できる消色装置を提供できる。
【0079】
また、第2実施形態に係る消色装置は、複数の透明膜の組み合わせで形成される各領域に、ピンポイントで記録媒体に押し当てることが可能な角を含むように構成する。これにより、ユーザが消色可能となる領域としてどの領域を指定した場合であっても記録媒体上の熱変色性色剤をピンポイントの消色させやすい消色装置を提供できる。
また、第2実施形態に係る消色装置は、透明ヒータにおいて複数の透明膜の組み合わせで形成される各領域を示すマークを設ける。これにより、ユーザが消色可能となる領域として指定する領域を簡単に視認できる消色装置を提供できる。
【0080】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載した内容を付記する。
[1]
電源を備える筐体と、
前記筐体に取り付けられ、印加される電圧によって熱が発生する透明膜と前記透明膜に発生する熱で加熱される透明基板とを有する透明ヒータと、
前記透明基板を熱変色性色剤が変色する温度に加熱することを指示する加熱ボタンと、 前記加熱ボタンが押された状態において前記電源からの電圧を前記透明膜に印加するコントローラと、
を有する変色装置。
[2]
さらに、前記透明ヒータを収納位置と変色位置との間で移動可能に前記筐体に支持する支持機構を有する、
[1]に記載の変色装置。
[3]
温度を指定する温度切替ボタンを有し、
前記コントローラは、前記温度切替ボタンの状態で指定される温度に応じて前記透明膜に印加する電圧の値を制御する、
[1]又は[2]の何れか1つに記載の変色装置。
[4]
前記透明ヒータは、前記透明基板の表面を複数のエリアに分割した各エリアに対応する位置に複数の透明膜を有し、
前記コントローラは、指定されたエリアに対応する位置に配置した透明膜に対して電圧を印加する、
[1]又は[3]の何れか1つに記載の変色装置。
[5]
前記複数のエリアは、前記透明基板の表面における角を基準に分割された第1領域と前記第1領域よりも大きい第2領域とを含む、
[4]に記載の変色装置。
【符号の説明】
【0081】
1、201…消色装置(変色装置)、11、211、311…透明ヒータ、12…支柱(筐体)、13…電源ボタン、14…温度切替ボタン、15、151、152、153…加熱ボタン、21…透明基板、22…透明膜、30…コントローラ、31…プロセッサ、34…センサ回路、35…インターフェース、40…バッテリ、121…支持機構、221、222、223、321、322、323…透明膜、251、252、351、352…マーク。