(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/338 20060101AFI20240422BHJP
H01L 29/778 20060101ALI20240422BHJP
H01L 29/812 20060101ALI20240422BHJP
H01L 21/76 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
H01L29/80 H
H01L29/80 F
H01L21/76 L
H01L29/80 L
(21)【出願番号】P 2020155011
(22)【出願日】2020-09-15
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 啓
(72)【発明者】
【氏名】磯部 康裕
(72)【発明者】
【氏名】洪 洪
(72)【発明者】
【氏名】小林 仁
(72)【発明者】
【氏名】大野 哲也
(72)【発明者】
【氏名】杉山 亨
【審査官】恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-028441(JP,A)
【文献】特開2005-303137(JP,A)
【文献】特開2016-063167(JP,A)
【文献】国際公開第2017/098603(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/053905(WO,A1)
【文献】特開2012-099542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/338
H01L 21/76
H01L 29/778
H01L 29/812
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられた第1窒化物半導体層と、
前記第1窒化物半導体層の上に設けられ、前記第1窒化物半導体層よりバンドギャップの大きな第2窒化物半導体層と、
前記第2窒化物半導体層の上に設けられ、前記基板の基板面に平行な第1方向に延伸する第1ソース電極と、
前記第2窒化物半導体層の上に設けられ、前記第1方向に延伸する第2ソース電極と、
前記第1ソース電極と前記第2ソース電極の間の、前記第2窒化物半導体層の上に設けられ、前記第1方向に延伸する第1ゲート電極と、
前記第2ソース電極と前記第1ゲート電極の間の、前記第2窒化物半導体層の上に設けられ、前記第1方向に延伸する第2ゲート電極と、
前記第1ゲート電極と前記第2ゲート電極の間の、前記第2窒化物半導体層の上に設けられ、
前記第1方向に延伸する第1配線と、
前記第2ゲート電極と前記第1配線の間に設けられ、前記第1方向に延伸する第2配線と、
前記第1配線と前記第2配線の間の下の前記第2窒化物半導体層に、前記第1方向にそれぞれ離間して設けられた複数の素子分離領域と、
前記複数の素子分離領域の間の前記第2窒化物半導体層の上に設けられ、前記第1配線と前記第2配線を電気的に接続する複数の第3配線と、
前記第1配線、前記第2配線、前記複数の素子分離領域及び前記複数の第3配線の上に設けられた第4配線と、
を有するドレイン電極と、
前記複数の素子分離領域と前記第4配線の間に設けられた絶縁膜と、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記複数の第3配線の高さは、前記第1配線の高さ及び前記第2配線の高さより高く、前記複数の第3配線は前記第4配線に電気的に接続されている請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記基板は、Si(シリコン)基板である請求項1
又は請求項
2記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代のパワー半導体デバイス用の材料としてIII族窒化物、例えば、GaN(窒化ガリウム)系半導体が期待されている。GaN系半導体はSi(シリコン)と比較して大きなバンドギャップを備える。このため、GaN系半導体デバイスはSi(シリコン)半導体デバイスと比較して、小型で高耐圧のパワー半導体デバイスを実現出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、出力容量の小さい半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、基板と、基板上に設けられた第1窒化物半導体層と、第1窒化物半導体層の上に設けられ、第1窒化物半導体層よりバンドギャップの大きな第2窒化物半導体層と、第2窒化物半導体層の上に設けられ、基板の基板面に平行な第1方向に延伸する第1ソース電極と、第2窒化物半導体層の上に設けられ、第1方向に延伸する第2ソース電極と、第1ソース電極と第2ソース電極の間の、第2窒化物半導体層の上に設けられ、第1方向に延伸する第1ゲート電極と、第2ソース電極と第1ゲート電極の間の、第2窒化物半導体層の上に設けられ、第1方向に延伸する第2ゲート電極と、第1ゲート電極と第2ゲート電極の間の、第2窒化物半導体層の上に設けられ、第1方向に延伸する第1配線と、第2ゲート電極と第1配線の間に設けられ、第1方向に延伸する第2配線と、第1配線と第2配線の間の下の第2窒化物半導体層に、第1方向にそれぞれ離間して設けられた複数の素子分離領域と、複数の素子分離領域の間の第2窒化物半導体層の上に設けられ、第1配線と第2配線を電気的に接続する複数の第3配線と、第1配線、第2配線、複数の素子分離領域及び複数の第3配線の上に設けられた第4配線と、を有するドレイン電極と、複数の素子分離領域と第4配線の間に設けられた絶縁膜と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態の半導体装置の模式上面図である。
【
図3】第1実施形態の半導体装置の模式上面図である。
【
図5】第1実施形態の他の態様の半導体装置の模式断面図である。
【
図6】第1実施形態の半導体装置の比較形態となる半導体装置の模式断面図である。
【
図7】第2実施形態の半導体装置の模式上面図である。
【
図8】第2実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【
図9】第3実施形態の半導体装置の模式上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の部材には同一の符号を付す場合がある。また、一度説明した部材等については適宜その説明を省略する場合がある。
【0008】
本明細書中、部品等の位置関係を示すために、図面の上方向を「上」、図面の下方向を「下」と記述する。本明細書中、「上」、「下」の概念は、必ずしも重力の向きとの関係を示す用語ではない。
【0009】
(第1実施形態)
本実施形態の半導体装置は、基板と、基板上に設けられた第1窒化物半導体層と、第1窒化物半導体層の上に設けられ、第1窒化物半導体層よりバンドギャップの大きな第2窒化物半導体層と、第2窒化物半導体層の上に設けられた第1ソース電極と、第2窒化物半導体層の上に設けられた第2ソース電極と、第1ソース電極と第2ソース電極の間の、第2窒化物半導体層の上に設けられた第1ゲート電極と、第2ソース電極と第1ゲート電極の間の、第2窒化物半導体層の上に設けられた第2ゲート電極と、第1ゲート電極と第2ゲート電極の間の、第2窒化物半導体層の上に設けられ、第1配線と、第2ゲート電極と第1配線の間に設けられた第2配線と、第1配線と第2配線の間の下の第2窒化物半導体層に設けられた素子分離領域と、第1配線、第2配線及び素子分離領域の上に設けられ、第1配線及び第2配線と電気的に接続された第4配線と、を有するドレイン電極と、素子分離領域と第4配線の間に設けられた絶縁膜と、を備える。
【0010】
図1は、本実施形態の半導体装置100の模式上面図である。
図2は、本実施形態の半導体装置100の模式図である。
図2(a)は、本実施形態の半導体装置100の要部の、模式上面図である。
図2(b)は、
図2(a)に示した本実施形態の半導体装置100の、平面Pでの模式断面図である。なお、
図2(a)においては、
図1において図示されているソース配線50の図示を省略している。
【0011】
本実施形態の半導体装置100は、たとえばGaN(窒化ガリウム)、AlGaN(窒化アルミニウムガリウム)、InGaN(窒化インジウムガリウム)といった窒化物半導体を用いた、HEMT(High Electron Mobility Transistor)である。また、本実施形態の半導体装置100の電極構造は、例えば、マルチフィンガー構造である。
【0012】
基板2としては、例えば、Si(シリコン)基板又はサファイヤ基板が用いられる。基板2としては、特にSi(シリコン)基板が好ましく用いられる。基板2は、基板面2aを有する。
【0013】
第1窒化物半導体層6は、例えば、アンドープのAlXGa1-XN(0≦X<1)である。第1窒化物半導体層6は、より具体的には、例えば、アンドープのGaNである。第1窒化物半導体層6は、チャネル層として機能する。第1窒化物半導体層6の膜厚は、例えば、0.2μm以上3μm以下である。
【0014】
第2窒化物半導体層8は、第1窒化物半導体層6の上に設けられている。第2窒化物半導体層8のバンドギャップは、第1窒化物半導体層6のバンドギャップより大きい。第2窒化物半導体層8は、例えば、アンドープのAlYGa1-YN(0<Y≦1、X<Y)である。第2窒化物半導体層8は、より具体的には、例えば、アンドープのAl0.2Ga0.8Nである。第2窒化物半導体層8は、バリア層として機能する。第2窒化物半導体層8の膜厚は、例えば、15nm以上50nm以下である。
【0015】
第3窒化物半導体層4は、基板2と第1窒化物半導体層6の間に設けられている。第3窒化物半導体層4は、基板2との間の格子不整合を緩和する、バッファ層として機能する。第3窒化物半導体層4は、例えば、窒化アルミニウムガリウム(AlWGa1-WN(0<W<1))の多層構造で形成される。
【0016】
本実施形態においては、X方向と、X方向に対して垂直に交差するY方向と、X方向及びY方向に垂直に交差するZ方向を定義する。Z方向は、基板2、第3窒化物半導体層4、第1窒化物半導体層6及び第2窒化物半導体層8が積層されている方向である。基板2、基板面2a、第3窒化物半導体層4、第1窒化物半導体層6及び第2窒化物半導体層8は、X方向に平行なX軸及びY方向に平行なY軸を含む面、すなわちXY平面に対して、平行に設けられている。また、基板2と第3窒化物半導体層4の界面、第3窒化物半導体層4と第1窒化物半導体層6の界面及び第1窒化物半導体層6と第2窒化物半導体層8の界面は、XY平面に対して、平行に設けられている。なおX方向は第1方向の一例であり、Y方向は第2方向の一例である。
図2(a)に示した平面Pは、YZ平面に平行な平面である。
【0017】
第1窒化物半導体層6と第2窒化物半導体層8の間には、ヘテロ接合界面が設けられている。半導体装置100のオン動作時は、ヘテロ接合界面に2次元電子ガス(2DEG)が形成され、キャリアとなる。
【0018】
複数のソース電極10は、第2窒化物半導体層8の上に、それぞれ離間して設けられている。
図1には、複数のソース電極10としての、ソース電極10a、10b、10c及び10dが図示されている。
図2には、複数のソース電極としての、ソース電極10a(第1ソース電極の一例)及び10b(第2ソース電極の一例)が図示されている。複数のソース電極10は、X方向に延伸している。複数のソース電極10は、例えば、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造又はニッケル(Ni)と金(Au)の積層構造を有する。
【0019】
複数のゲート電極12は、それぞれのソース電極10の間の、第2窒化物半導体層8の上に設けられている。
図1には、複数のゲート電極12としての、ゲート電極12a、12b、12c、12d、12e及び12fが図示されている。
図2には、複数のゲート電極12としての、ゲート電極12a(第1ゲート電極の一例)及び12b(第2ゲート電極の一例)が図示されている。そして、ゲート電極12aは、ソース電極10aとソース電極10bの間に設けられている。ゲート電極12bは、ゲート電極12aとソース電極10bの間に設けられている。複数のゲート電極12は、例えば、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造又はニッケル(Ni)と金(Au)の積層構造を有する。
【0020】
ドレイン電極20は、それぞれのゲート電極12の間の、第2窒化物半導体層8の上に設けられている。
図2には、ドレイン電極20が図示されている。
図1には、複数のドレイン電極20がそれぞれ有する第4配線28としての、第4配線28a、28b及び28cが図示されている。
【0021】
それぞれのドレイン電極20は、第1配線22aと、第2配線22bと、第5配線24aと、第6配線24bと、第4配線28aと、絶縁膜26と、素子分離領域40と、を有する。
【0022】
第1配線22aは、X方向に延伸している。
【0023】
第2配線22bは、ゲート電極12bと第1配線22aの間に設けられている。第2配線22bは、X方向に延伸している。
【0024】
素子分離領域40は、第1配線22aと第2配線22bの間の下の第2窒化物半導体層8に設けられている。
図2(b)においては、素子分離領域40は、ソース電極10a及びゲート電極12aの下の第2窒化物半導体層8aと、ソース電極10b及びゲート電極12bの下の第2窒化物半導体層8bの間に設けられている。そして、素子分離領域40の下部は、第1窒化物半導体層6の上部に食い込み、第1窒化物半導体層6に設けられている。素子分離領域40は、例えば、第1窒化物半導体層6又は第2窒化物半導体層8へのAr(アルゴン)イオン注入により形成される。なお、素子分離領域40は、比誘電率の低いポリイミド膜やBCB(ベンゾシクロブテン)膜などの絶縁体材料を、第1窒化物半導体層6又は第2窒化物半導体層8に埋め込むことにより形成されてもよい。
【0025】
第5配線24aは、第1配線22aの上に設けられ、第1配線22aと電気的に接続されている。
【0026】
第6配線24bは、第2配線22bの上に設けられ、第2配線22bと電気的に接続されている。
【0027】
第4配線28aは、第5配線24a及び第6配線24bの上に設けられ、第5配線24a及び第6配線24bと電気的に接続されている。言い換えると、第4配線28aは、第1配線22aと第4配線28aの間に設けられている。また、第6配線24bは、第2配線22bと第4配線28aの間に設けられている。
【0028】
絶縁膜26aは、
図2(b)に示した半導体装置100の断面において、素子分離領域40、第1配線22a、第5配線24a、第4配線28a、第6配線24bで囲まれた部分に設けられている。例えば、絶縁膜26aは、素子分離領域40と第4配線28aの間に設けられている。
【0029】
複数のソース配線50は、それぞれのソース電極10の上に設けられ、それぞれのソース電極と電気的に接続されている。
図1においては、複数のソース配線50としての、ソース配線50a、50b、50c及び50dが、ソース電極10a、10b、10c及び10dの上に設けられている。ソース配線50a、50b、50c及び50dは、配線54に接続されている。第4配線28a、28b及び28cは、配線56と電気的に接続されている。ゲート電極12a、12b、12c、12d、12e及び12fは、配線52と電気的に接続されている。配線54、配線56及び配線52は、例えば、図示しない外部電気回路と電気的に接続されている。
【0030】
なお、第2窒化物半導体層8の上、複数のソース電極10の上、複数のゲート電極12の上、複数のドレイン電極20の上、複数のソース配線50の上、配線52の周囲、配線54の周囲及び配線56の周囲には、例えば、図示しない層間絶縁膜が設けられている。
【0031】
また、半導体装置100の基板2は、例えば金属製のパッケージ150(
図2(b))の上に搭載されている。
【0032】
第1配線22a、第2配線22b、第5配線24a、第6配線24b、第4配線28a、ソース配線50、配線52、配線54及び配線56は、例えば、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造又はニッケル(Ni)と金(Au)の積層構造を有する。絶縁膜26aは、例えば、比誘電率の低いポリイミド膜やBCB(ベンゾシクロブテン)膜などの絶縁体材料を含む。
【0033】
図3は、本実施形態の半導体装置100の模式上面図である。
図1と
図3の違いは、
図3には第1領域61、第2領域62、第3領域63、第4領域64、第5領域65,第6領域66及び第7領域67が図示されている点である。第3領域63は、第1領域61と第2領域62の間に設けられている。第2領域62は、第3領域63と第5領域65の間に設けられている。第5領域65は、第2領域62と第4領域64の間に設けられている。第4領域64は、第5領域65と第7領域67の間に設けられている。第7領域67は、第4領域64と第6領域66の間に設けられている。
【0034】
図4は、本実施形態の半導体装置100の模式図である。
図2と
図4の違いは、
図4には第1領域61、第2領域62及び第3領域63が図示されている点である。第3領域63には、素子分離領域40a内の絶縁膜26aが配置されている。
【0035】
本実施形態の半導体装置は、基板と、基板上に設けられた第1窒化物半導体層と、第1領域、第2領域、及び第1領域と第2領域の間の第3領域とを有し、第1窒化物半導体層の上に設けられ、第1窒化物半導体層よりバンドギャップの大きな第2窒化物半導体層と、第1領域内に設けられ、基板の基板面に平行な第1方向に延伸する第1のゲート電極と、第1領域上に設けられ、第1方向に延伸する第1のソース電極と、第2領域上に設けられ、第1方向に延伸する第2のゲート電極と、第2領域上に設けられ、第1方向に延伸する第2のソース電極と、第1の領域上に設けられた第1配線及び第2の領域上に設けられた第2配線に接続されたドレイン電極と、第3領域内に設けられた絶縁膜と、を備える。
【0036】
図4に示すように、第1領域61内における第1配線22aはソース電極10a、ゲート電極12aよりも第3領域63の絶縁膜26aに近い位置に設けられ、第2領域62内における第2配線22bはソース電極10b、ゲート電極12bよりも第3領域における絶縁膜26aに近い位置に設けられる。つまり、第1配線22a及び第2配線22bは他の層よりも絶縁膜26aに最も近い位置に設けられる。第1配線22aは第1領域61の端部に設けられ、第2配線22bは第2領域62の端部に設けられる。第1配線22a、第2配線22b、第5配線24a及び第6配線24bは、絶縁膜26aと接している。本実施形態では、例えば、絶縁膜26aの底部は第2窒化物半導体層8よりも深く、第1窒化物半導体層6上に設けられている。
【0037】
なお、ここでは第1領域61、第2領域62及び第3領域63についての記載をおこなったが、第4領域64、第5領域65、第6領域66及び第7領域67についても同様である。
【0038】
図5は、本実施形態の他の態様の半導体装置100の模式断面図である。
【0039】
素子分離領域40は、
図5(a)のように、第1窒化物半導体層6に食い込まずに、第2窒化物半導体層8に設けられていてもかまわない。素子分離領域40は、
図5(b)、
図5(c)及び
図5(d)に示すように、ポリイミド膜やBCB(ベンゾシクロブテン)膜などの絶縁体材料を含む絶縁膜26aと、一体として形成されていてもかまわない。また、素子分離領域40は、
図5(b)に示すように、第1窒化物半導体層6に食い込まずに、第2窒化物半導体層に設けられ、素子分離領域40と第1窒化物半導体層6の間に第2窒化物半導体層8の一部が設けられていてもかまわない。また、素子分離領域40は、
図5(c)に示すように、第1窒化物半導体層6の上面に接していてもかまわない。また、素子分離領域40は、
図5(d)に示すように、素子分離領域40の下部が第1窒化物半導体層6の上部に食い込み、第1窒化物半導体層6に設けられていてもかまわない。
【0040】
次に、本実施形態の半導体装置100の作用効果を記載する。
【0041】
図6は、本実施形態の比較形態となる半導体装置800の模式断面図である。素子分離領域40、絶縁膜26aは設けられていない。また、第1配線22a及び第2配線22bが一体となった配線22が設けられている。また、第5配線24a及び第6配線24bが一体となった配線24が設けられている。
【0042】
本実施形態の半導体装置は、高周波パワー半導体装置などへの応用が期待されている。しかし、半導体装置は、一般に大きな出力容量Cossを有している。出力容量Cossは、ドレイン-ソース間容量Cdsとゲート-ドレイン間容量Cgdの和である。ここで、ドレイン-ソース間容量Cdsには、基板2とドレイン電極20の間の容量成分、又は基板2の下に設けられたパッケージ150とドレイン電極20の間の容量成分が、大きな寄与をしている。高周波動作においては、かかる出力容量Cossへの充放電によるスイッチング損失が大きくなり、高い破壊電界強度と高い電子移動度を生かした半導体装置を提供することができないという問題があった。
【0043】
また、ドレイン電極20の下のヘテロ接合界面に2次元電子ガスが形成されている場合、ドレイン電極20とかかる2次元電子ガスは電気的に接続されている。そのため、基板2とかかる2次元電子ガスの間の容量成分、又は基板2の下に設けられたパッケージ150とかかる2次元電子ガスの間の容量成分が、出力容量Cossに寄与し、スイッチング損失が大きくなるという問題があった。
【0044】
基板面2aに平行な面内におけるドレイン電極20の面積を小さくすることにより、Cossを減少させることは可能である。しかし、半導体装置のオン抵抗が高くなってしまうという問題があった。
【0045】
本実施形態の半導体装置100においては、配線22(
図6)の代わりに、互いに離間した第1配線22a及び第2配線22bが設けられている。これにより、基板2とドレイン電極20の間の容量成分、又はパッケージ150とドレイン電極20の間の容量成分を小さくすることが出来る。
【0046】
また、素子分離領域40を設けることにより、第1配線22aと第2配線22bの間の下のヘテロ接合界面に形成される2次元電子ガスの濃度を減少させることが出来る。これにより、基板2とかかる2次元電子ガスの間の容量成分、又はパッケージ150とかかる2次元電子ガスの間の容量成分を小さくすることが出来る。なお、第1配線22aと第2配線22bの間の下のヘテロ接合界面に形成される2次元電子ガスの濃度は、ゼロであることがより好ましい。
【0047】
以上により、出力容量の小さい半導体装置の提供が可能となる。なお、第4配線28aが設けられているために、オン抵抗の増加は抑制されている。
【0048】
また、第5配線24aと第6配線24bが設けられているために、基板2又はパッケージ150と第4配線28aの距離をより長くすることが出来る。これにより、基板2又はパッケージ150と第4配線28aの間の容量成分を小さくすることが出来る。
【0049】
本実施形態の半導体装置100は、基板2がSi(シリコン)基板である場合に、特に好ましく適用される。Si(シリコン)基板は、サファイヤ基板に比較すると電気伝導率が高いため、基板2とドレイン電極20の間に起因する出力容量Cossが生じやすく、スイッチング損失が高くなりやすいためである。
【0050】
絶縁膜26aが、比誘電率の低いポリイミド膜、ベンゾシクロブテン膜、又はカーボン含有シリコン酸化膜(SiOC膜)であることにより、第4配線28aと基板2の間の容量成分をさらに小さくすることが出来る。
【0051】
本実施形態の半導体装置によれば、出力容量の小さい半導体装置の提供が可能となる。
【0052】
(第2実施形態)
【0053】
本実施形態の半導体装置は、基板と、基板上に設けられた第1窒化物半導体層と、第1窒化物半導体層の上に設けられ、第1窒化物半導体層よりバンドギャップの大きな第2窒化物半導体層と、第2窒化物半導体層の上に設けられ、基板の基板面に平行な第1方向に延伸する第1ソース電極と、第2窒化物半導体層の上に設けられ、第1方向に延伸する第2ソース電極と、第1ソース電極と第2ソース電極の間の、第2窒化物半導体層の上に設けられ、第1方向に延伸する第1ゲート電極と、第2ソース電極と第1ゲート電極の間の、第2窒化物半導体層の上に設けられ、第1方向に延伸する第2ゲート電極と、第1ゲート電極と第2ゲート電極の間の、第2窒化物半導体層の上に設けられ、第1方向に延伸する第1配線と、第2ゲート電極と第1配線の間に設けられ、第1方向に延伸する第2配線と、第1配線と第2配線の間の下の第2窒化物半導体層に、第1方向にそれぞれ離間して設けられた複数の素子分離領域と、複数の素子分離領域の間の第2窒化物半導体層の上に設けられ、第1配線と第2配線を電気的に接続する複数の第3配線と、第1配線、第2配線、複数の素子分離領域及び複数の第3配線の上に設けられた第4配線と、を有するドレイン電極と、複数の素子分離領域と第4配線の間に設けられた絶縁膜と、を備える。
【0054】
ここで、第1実施形態と重複する内容の記載は省略する。
【0055】
図7は、本実施形態の半導体装置110の模式上面図である。
図8は、本実施形態の半導体装置110の、YZ平面に平行な平面P
1における模式断面図(
図8(a))及びYZ平面に平行な平面P
2における模式断面図(
図8(b))における模式断面図である。
【0056】
半導体装置110においては、
図7及び
図8(a)に示すように、第1配線22aと第2配線22bの間の第2窒化物半導体層8に、複数の素子分離領域40がX方向にそれぞれ離間して設けられている点で、第1実施形態の半導体装置100と異なっている。
図7には、複数の素子分離領域40としての、素子分離領域40a、40b及び40cが図示されている。
【0057】
また、
図8(b)に示すように、複数の素子分離領域40の間の第2窒化物半導体層8の上に、第1配線22aと第2配線22bを電気的に接続する複数の第3配線30が設けられている点で、第1実施形態の半導体装置100と異なっている。
図7には、複数の第3配線30としての、第3配線30a、30b及び30cが図示されている。
【0058】
また、第5配線24a及び第6配線24bが設けられずに、複数の第3配線30と第4配線28aが電気的に接続されている点で、第1実施形態の半導体装置100と異なっている。
【0059】
なお、
図8において、絶縁膜26aの図示は省略している。
【0060】
複数の第3配線30の高さh2は、第1配線22aの高さh1及び第2配線22bの高さh1より高いことが好ましい。これは、第4配線28aと基板2又はパッケージ150の距離を長くして、出力容量Cossを小さくするためである。なお、第1配線22aの高さと第2配線22bの高さは、異なっていてもかまわない。
【0061】
本実施形態の半導体装置においても、出力容量の小さい半導体装置の提供が可能となる。
【0062】
(第3実施形態)
本実施形態の半導体装置は、基板と、基板上に設けられた第1窒化物半導体層と、第1窒化物半導体層の上に設けられ、第1窒化物半導体層よりバンドギャップの大きな第2窒化物半導体層と、第2窒化物半導体層の上に設けられ、基板の基板面に平行な第1方向に延伸し、第1方向に延伸するに従い、第1方向に交差する第2方向における幅が増加する第1ソース電極と、第2窒化物半導体層の上に設けられ、第1方向に延伸し、第1方向に延伸するに従い、第2方向における幅が増加する第2ソース電極と、第1ソース電極と第2ソース電極の間の、第2窒化物半導体層の上に、第1ソース電極及び第2ソース電極と離間して設けられた第1ゲート電極と、第2ソース電極と第1ゲート電極の間の、第2窒化物半導体層の上に、第2ソース電極及び第1ゲート電極と離間して設けられた第2ゲート電極と、第1ゲート電極と第2ゲート電極の間の第2窒化物半導体層の上に設けられ、第1方向に延伸し、第1方向に延伸するに従い、第2方向における幅が減少する第4配線と、第2窒化物半導体層と第4配線の間に設けられ、第1ゲート電極に対向する第1ソース電極の側面に実質的に平行に延伸する第1配線と、第1配線と第2ゲート電極の間の、第2窒化物半導体層と第4配線の間に設けられ、第2ゲート電極に対向する第2ソース電極の側面に実質的に平行に延伸する第2配線と、第1配線と第2配線の間の下の、第2窒化物半導体層に設けられた素子分離領域と、を有するドレイン電極と、素子分離領域と第4配線の間に設けられた絶縁膜と、を備える。
【0063】
ここで、第1実施形態及び第2実施形態と重複する内容の記載は省略する。
【0064】
図9は、本実施形態の半導体装置120の模式上面図である。
【0065】
ソース電極10a及びソース電極10bは、X方向に延伸するに従い、Y方向における幅が増加している。これは、配線54(
図1)から離れるほど、ソース電極10a及びソース電極10bを流れるキャリアの量が少なくなると考えられるため、配線54から離れた部分における複数のソース電極10の幅を狭くしたものである。
【0066】
第4配線28は、X方向に延伸するに従い、Y方向における幅が減少している。これは、配線56(
図1)から離れるほど、ドレイン電極20を流れるキャリアの量が少なくなると考えられるため、配線56から離れた部分における第4配線28の幅を狭くしたものである。
【0067】
ここで、ソース電極10aは、ゲート電極12aに対向する側面10a2と、側面10a1と、を有する。ソース電極10bは、ゲート電極12bに対向する側面10b1と、側面10b2と、を有する。第4配線28は、ゲート電極12bとの距離よりもゲート電極12aとの距離の方が短い側面281と、ゲート電極12aとの距離よりもゲート電極12bとの距離の方が短い側面282と、を有する。
【0068】
例えば、側面10a2と側面281は互いに平行である。そして、ゲート電極12aは、例えば、側面10a2及び側面281に実質的に平行に延伸する。なお、ゲート電極12aは、側面10a2及び側面281に完全に平行に延伸していなくても良い。
【0069】
例えば、側面10b1と側面282は互いに平行である。そして、ゲート電極12bは、例えば、側面10b1及び側面282に実質的に平行に延伸する。なお、ゲート電極12bは、側面10b1及び側面282に完全に平行に延伸していなくても良い。
【0070】
第1配線22aは、第2窒化物半導体層8と第4配線28の間に設けられている。そして、第1配線22aは、側面10a2及び側面281に実質的に平行に延伸する。なお、第1配線22aは、側面10a2及び側面281に完全に平行に延伸していなくても良い。
【0071】
第2配線22bは、第1配線22aとゲート電極12bの間の、第2窒化物半導体層8と第4配線28の間に設けられている。そして、第2配線22bは、側面10b1及び側面282に実質的に平行に延伸する。なお、第2配線22bは、側面10b1及び側面282に完全に平行に延伸していなくても良い。
【0072】
第1配線22aと第2配線22bは、例えば、結合部23において、互いに結合される。
【0073】
第5配線24aは、第1配線22aと第4配線28の間に設けられ、第1配線22a及び第4配線28を電気的に接続している。第5配線24aは、例えば、側面10a2及び側面281に実質的に平行に延伸する。
【0074】
第6配線24bは、第2配線22bと第4配線28の間に設けられ、第2配線22bと第4配線28を電気的に接続している。第6配線24bは、例えば、側面10b1及び側面282に実質的に平行に延伸する。
【0075】
第5配線24aと第6配線24bは、例えば、結合部25において、互いに結合される。
【0076】
素子分離領域40は、第1配線22aと第2配線22bの間の下の、第2窒化物半導体層8に設けられている。
【0077】
本実施形態のような、ソース電極10a及びソース電極10bが、X方向に延伸するに従いY方向における幅が増加し、第4配線28が、X方向に延伸するに従いY方向における幅が減少するような半導体装置120においても、出力容量の小さい半導体装置の提供が可能となる。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態及び実施例を説明したが、これらの実施形態及び実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
2 :基板
2a :基板面
6 :第1窒化物半導体層
8 :第2窒化物半導体層
10 :ソース電極
10a :ソース電極(第1ソース電極)
10b :ソース電極(第2ソース電極)
12 :ゲート電極
12a :ゲート電極(第1ゲート電極)
12b :ゲート電極(第2ゲート電極)
20 :ドレイン電極
22a :第1配線
22b :第2配線
24a :第5配線
24b :第6配線
26a :絶縁膜
28a :第4配線
281 :側面
282 :側面
30 :第3配線
40 :素子分離領域
61 :第1領域
62 :第2領域
63 :第3領域
64 :第4領域
65 :第5領域
66 :第6領域
67 :第7領域
100 :半導体装置
110 :半導体装置
120 :半導体装置
h1 :高さ
h2 :高さ