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  • 特許-間仕切りカーテン 図1
  • 特許-間仕切りカーテン 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】間仕切りカーテン
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20240422BHJP
   A47H 23/04 20060101ALN20240422BHJP
【FI】
E04B2/74 561Z
A47H23/04
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020168070
(22)【出願日】2020-09-14
(65)【公開番号】P2022048054
(43)【公開日】2022-03-25
【審査請求日】2023-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】514104830
【氏名又は名称】株式会社スミノエ
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】河村 和幸
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-234564(JP,A)
【文献】実開昭62-2693(JP,U)
【文献】特開2016-195725(JP,A)
【文献】登録実用新案第3208746(JP,U)
【文献】登録実用新案第3169846(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/74
A47H 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部用のネット部と下部用の遮蔽部とを分離することができる間仕切りカーテンにおいて、
前記ネット部の裏面側の下端に沿って幅方向に芯地が縫着され、
前記遮蔽部の裏面側の上端に沿って幅方向に所定の間隔をおいて複数のフックが取りつけられており、
前記フックが前記ネット部の表面側の下端に引っ掛けられていることを特徴とする間仕切りカーテン。
【請求項2】
前記遮蔽部の上端と前記芯地の上端とが、同じ高さになるように取り付けられている請求項1に記載の間仕切りカーテン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネット部と遮蔽部とを簡単に分離したり、簡単に取り付けたりすることができる間仕切りカーテンに関する。
【背景技術】
【0002】
病院用の間仕切りカーテンは、通気性及び採光性を確保するために、上部には目の粗い網状のネット部で構成され、それより下方にはプレーンな生地部分による目隠し用の遮蔽部が構成されているのが一般的である。
【0003】
また、ネット部と遮蔽部とが一体に形成された間仕切りカーテンが主流であったが、ネット部と遮蔽部とを分離することができる間仕切りカーテンが開発されている。
【0004】
例えば、特許文献1においては、上部用のネット状布帛と下部用の目隠し用布帛とがスライドファスナーにて係合されていることを特徴とする室内仕切りカーテンが開示されている。
【0005】
【文献】特開平10-234564号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のカーテンでは、スライドファスナーを介して下部用の目隠し用布帛を分離することができる。しかしながら、下部用の目隠し用布帛を分離した後、上部用のネット部にスライドファスナーを介して、新しい下部用の目隠し用布帛を取り付けにくい恐れがある。スライドファスナーより簡単に分離することができると共に、上部用のネット状布帛に下部用の目隠し用布帛をより簡単に取り付けることができる間仕切りカーテンの開発が求められている。
【0007】
本発明は、かかる技術的背景を鑑みてなされたものであって、上部用のネット部と下部用の遮蔽部とを簡単に分離することができると共に、分離した後、上部用のネット部に下部用の遮蔽部を簡単に取り付けることができる間仕切りカーテンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0009】
[1]上部用のネット部と下部用の遮蔽部とを分離することができる間仕切りカーテンにおいて、
前記ネット部の裏面側の下端に沿って幅方向に芯地が縫着され、
前記遮蔽部の裏面側の上端に沿って幅方向に所定の間隔をおいて複数のフックが取りつけられており、
前記フックが前記ネット部の表面側の下端に引っ掛けられていることを特徴とする間仕切りカーテン。
【0010】
[2]前記遮蔽部の上端と前記芯地の上端とが、同じ高さになるように取り付けられている前項1に記載の間仕切りカーテン。
【発明の効果】
【0011】
[1]の発明では、上部用のネット部と下部用の遮蔽部とを分離することができる間仕切りカーテンにおいて、ネット部の裏面側の下端に沿って幅方向に芯地が縫着され、遮蔽部の裏面側の上端に沿って幅方向に所定の間隔をおいて複数のフックが取りつけられており、フックがネット部の表面側の下端に引っ掛けられているだけであるから、上部用のネット部と下部用の遮蔽部とを簡単に分離することができると共に、分離した後、上部用のネット部に下部用の遮蔽部を簡単に取り付けることができる間仕切りカーテンを提供することができる。また、ネット部の裏面側の下端に沿って幅方向に芯地が縫着されているから、間仕切りカーテンを閉じた際に、折り重なったネット部の網目形状にフックが絡み合うのを防止することができる。また、フックをネット部の網目形状に引っ掛けて、下部用の遮蔽部を吊るしたとしても、ネット部の裏面側の下端に沿って幅方向に縫着された芯地があるため、ネット部の網目形状が歪まずに、ネット部の網目形状を保持することができる。
【0012】
[2]の発明では、遮蔽部の上端と芯地の上端とが、同じ高さになるように取り付けられているから、意匠性に優れると共に、下部用の遮蔽部を平行に吊るすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る間仕切りカーテンの一実施形態を示す右側面図である。
図2】本発明に係る間仕切りカーテンの一実施形態を示す正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係る間仕切りカーテンの一実施形態を説明する。図1に示すように、本発明の間仕切りカーテン1は、上部用のネット部2と下部用の遮蔽部3とを分離することができる間仕切りカーテン1において、前記ネット部2の裏面側の下端4に沿って幅方向Wに芯地5が縫着され、前記遮蔽部3の裏面側の上端6に沿って幅方向Wに所定の間隔をおいて複数のフック7が取りつけられており、前記フック7が前記ネット部2の表面側の下端4に引っ掛けられていることを特徴とする。図1では、間仕切りカーテン1のネット部2にフックが引っ掛かっている様子が分かりやすくするために隙間をあけて図示しているが、実際にはネット部2と遮蔽部3との隙間はほとんどがない。
【0015】
前記間仕切りカーテン1は、上部用のネット部2と、該ネット部2の下に下部用の遮蔽部3とで構成されており、上部用のネット部2と下部用の遮蔽部3とは分離することができる。上部用のネット部2と下部用の遮蔽部3とを分離することができるため、上部用のネット部2を天井に設置されたカーテンレールに付けておき、下部用の遮蔽部3だけ取り外して、遮蔽部3を洗濯したり、廃棄したりすることができる。天井の高さで間仕切りカーテン1を交換する必要がなくなるので、天井より低い位置で遮蔽部3だけ簡単に交換することができる。
【0016】
図1で示すように、前記ネット部2の裏面側とは、間仕切りカーテン1のネット部2を正面側から見た場合に見えない反対面側を意味している。前記遮蔽部3の裏面側とは、間仕切りカーテン1の遮蔽部3を正面側から見た場合に見えない反対面側を意味している。すなわち、図2で間仕切りカーテン1を正面から見た正面図を示しているが、正面図で見えている面とは反対側の面が、ネット部2の裏面側及び遮蔽部3の裏面側である。
【0017】
図2では、間仕切りカーテン1を正面側から見た図を示している。そのため、正面図では、ネット部2の下端4は遮蔽部3と重なって見えず、フック7は遮蔽部3の裏面側に取り付けられているため、図2では図示していない。また、芯地5も正面側から見えないように遮蔽部3を取り付けることが好ましいため、図2では芯地5も図示していない。正面図から見て、遮蔽部3より上側に芯地5が見えると、意匠性が損なわれるため、好ましくない。
【0018】
前記ネット部2の裏面側の下端4に沿って幅方向Wに芯地5が縫着されている必要がある。芯地5がネット部2の裏面側の下端4に沿って幅方向Wに縫着されていることで、間仕切りカーテン1を閉じた際に、いくつも折り重なったネット部2の網目形状にフック7が絡み合みやすくなるのを防止することができる。芯地5は間仕切りカーテン1を閉じた際に、フック7のネット部2への絡み合いを防止する役目をしている。さらに、フック7をネット部2の網目形状に引っ掛けると、遮蔽部3の重さにより、ネット部2の網目形状が歪みやすくなるが、ネット部2の裏面側の下端4に沿って幅方向Wに芯地5が縫着されているので、ネット部2の網目形状の歪みを防止することができる。芯地5は、ネット部2の裏面側の下端4に沿って幅方向Wに縫着することで、ネット部2の網目形状を補強する役目も兼ね備えている。前記ネット部2に芯地5を取り付ける方法としては、ミシン糸などで縫製することが好ましい。
【0019】
前記芯地5の高さXは20mm~50mmであることが好ましい。20mm以上であることで、ネット部2の幅なり全体の網目形状を補強することができ、50mm以下であることで、ネット部2と遮蔽部3との重なり部分を小さくすることができ、間仕切りカーテン1の意匠性を向上させることができる。
【0020】
前記芯地5を構成している素材としては、特に限定されるものではないが、例えば、綿、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、アクリル等が挙げられ、中でも、ポリエステルであることが好ましい。
【0021】
前記遮蔽部3の裏面側の上端6に沿って幅方向Wに所定の間隔をおいて複数のフック7が取り付けられている必要がある。遮蔽部3の裏面側にフック7を取り付ける方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、遮蔽部3の裏面側の上端6に沿って幅方向Wに芯地やテープなどを取り付け、遮蔽部3と芯地やテープの隙間に、所定の間隔をおいて複数のフック7を取り付けることができる構成等が挙げられる。
【0022】
前記フック7が前記ネット部2の表面側の下端4に引っ掛けられて、ネット部2と遮蔽部3とを接合している。フック7がネット部2の表面側の下端4の網目形状に引っ掛けられているだけであるから、上部用のネット部2と下部用の遮蔽部3とを簡単に分離することができると共に、分離した後、上部用のネット部2に下部用の遮蔽部3を取り付けやすい。
【0023】
前記遮蔽部3の上端6と前記芯地5の上端8とが、同じ高さになるように取り付けられていることが好ましい。前記遮蔽部3の上端6と前記芯地5の上端8とが、同じ高さになるように取り付けられていると、正面側から芯地5が見えず、意匠性に優れた間仕切りカーテン1を得ることができる。また、前記遮蔽部3の上端6と前記芯地5の上端8とが、同じ高さになるように取り付けられていると、フック7が、ネット部2の下端4に沿って幅方向Wに芯地5が縫着されている箇所に取り付けることができるようになり、ネット部2の網目形状が歪むことなく、下部用の遮蔽部3を平行に吊るすことができるようになる。
【0024】
前記上部用のネット部2の網目形状の大きさは、病院用の間仕切りカーテンとして、通気性及び採光性を確保しつつ、消防法上の問題をクリアできるものであれば、特に制限されるものではない。ネット部2は、格子状の網目組織で構成された網目形状をしている。
【0025】
前記上部用のネット部2の上部には、天井のカーテンレールに取り付けられるように、フックを配置していることが好ましい。
【0026】
前記下部用の遮蔽部3とは、開口部がなく、プレーンな生地部分による目隠し用の布帛であれば、特に制限されるものではないが、中でも、フラット形状からなる目隠し用のカーテンであることが好ましい。なお、フラット形状とは、カーテンの上部にヒダ山をとらない形状であることを意味する。遮蔽部3を構成する生地は、例えば、織物であっても、編物であっても構わない。
【0027】
前記フック7としては、ネット部2の網目形状に引っ掛けることができるカーテンフックでさえすれば、特に限定されるものではなく、例えば、Aフック、Bフック、アジャスターフック等が挙げられる。
【0028】
前記ネット部2及び前記遮蔽部3の幅方向Wとは、カーテンの横方向を意味する。前記ネット部2及び前記遮蔽部3の丈方向Lとは、カーテンの縦方向を意味する。
【実施例
【0029】
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0030】
<使用材料>
(上部用のネット部2)ネットの網目形状の大きさとしては、縦が1.2cm、横が1.7cm、目付110g/m、組成ポリエステル100%
(フック7付き下部用の遮蔽部3)遮蔽部3はプレーンなカーテン生地(カーテン生地を構成する糸はポリエステル100%)、遮蔽部3の裏面側の上端6に沿って幅方向Wに所定の間隔をおいて複数のフック(ホワイティフック、材質はポリアセタール)が取り付けている
(芯地5)ポケット芯地(ポリエステル100%、高さが50mm幅、ポケットピッチ20mm)
【実施例1】
【0031】
ネット部2の裏面側の下端4に沿って幅方向Wに芯地をミシン糸で縫製した。次に、遮蔽部3の裏面側に取り付けている複数のフックを、ネット部の表面側の下端の網目形状部分に引っ掛けて、図1に示す間仕切りカーテン1を得た。
【0032】
本発明の実施例1の間仕切りカーテンは、ネット部2と遮蔽部3とをフック7で簡単に分離することができると共に、ネット部2に遮蔽部3を簡単に取り付けることができた。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係る間仕切りカーテンは、例えば、病院用の間仕切りカーテン、介護施設用の間仕切りカーテンとして好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0034】
1・・・間仕切りカーテン
2・・・上部用のネット部
3・・・下部用の遮蔽部
4・・・ネット部の下端
5・・・芯地
6・・・遮蔽部の上端
7・・・フック
8・・・芯地の上端
W・・・ネット部及び遮蔽部の幅方向
L・・・ネット部及び遮蔽部の丈方向
X・・・芯地の高さ
図1
図2