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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20240422BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20240422BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20240422BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B5/30
G02F1/13 505
H04N5/64 511A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020171843
(22)【出願日】2020-10-12
(65)【公開番号】P2022063532
(43)【公開日】2022-04-22
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小村 真一
(72)【発明者】
【氏名】奥田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】小野田 憲
(72)【発明者】
【氏名】雉嶋 裕明
【審査官】河村 麻梨子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0142254(US,A1)
【文献】国際公開第2020/026586(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/138442(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/194291(WO,A1)
【文献】特開2002-107655(JP,A)
【文献】特開2018-106160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30、27/01-27/02
G02F 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線偏光の表示光を出射する表示パネルと、
半透過層と、
前記表示パネルと前記半透過層との間に配置された第1位相差板と、
第1直線偏光を透過し、前記第1直線偏光と直交する第2直線偏光を反射する反射偏光板と、
前記半透過層と前記反射偏光板との間に配置された第2位相差板と、
前記反射偏光板から離間した素子と、
前記反射偏光板と前記素子との間に配置された第3位相差板と、を備え、
前記第1位相差板、前記第2位相差板、及び、前記第3位相差板は、1/4波長板であり、
前記素子は、第1円偏光を集光するレンズ作用を有している、表示装置。
【請求項2】
直線偏光の表示光を出射する表示パネルと、
半透過層と、
前記表示パネルと前記半透過層との間に配置された第1位相差板と、
前記半透過層から離間した素子と、
前記半透過層と前記素子との間に配置され、前記半透過層から離間し、第1コレステリック液晶を有し、第1円偏光を前記半透過層に向けて反射し、前記第1円偏光とは逆回りの第2円偏光を透過する第1光学素子と、を備え、
前記第1位相差板は、1/4波長板であり、
前記素子は、前記第2円偏光を集光するレンズ作用を有している、表示装置。
【請求項3】
前記素子は、第1液晶分子及び第2液晶分子を含む複数の液晶分子の配向方向が固定された状態で硬化した液晶層を有し、
前記液晶層は、平面視において、複数の前記第1液晶分子が同一方向に配向した第1環状領域と、前記第1環状領域の外側で複数の前記第2液晶分子が同一方向に配向した第2環状領域と、を有し、
前記第1液晶分子の配向方向は、前記第2液晶分子の配向方向とは異なる、請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
さらに、前記表示パネルの背面に配置された照明装置を備え、
前記照明装置は、第1波長の光を出射する第1発光素子と、前記第1波長よりも長波長の第2波長の光を出射する第2発光素子と、前記第2波長よりも長波長の第3波長の光を出射する第3発光素子と、を備えている、請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1発光素子、前記第2発光素子、及び、前記第3発光素子は、レーザー光源である、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1光学素子は、複数の液晶分子の配向方向が固定された状態で硬化した液晶層を有し、
前記液晶層は、前記第1コレステリック液晶を含み、第1波長の円偏光を反射する反射面を有している、請求項2に記載の表示装置。
【請求項7】
さらに、第2コレステリック液晶を有し、前記第1波長よりも長波長の第2波長の円偏光を反射する第2光学素子と、
第3コレステリック液晶を有し、前記第2波長よりも長波長の第3波長の円偏光を反射する第3光学素子と、を備え、
前記第1光学素子、前記第2光学素子、及び、前記第3光学素子は積層され、
前記第2コレステリック液晶の第2螺旋ピッチは、前記第1コレステリック液晶の第1螺旋ピッチより大きく、
前記第3コレステリック液晶の第3螺旋ピッチは、前記第2コレステリック液晶の第2螺旋ピッチより大きい、請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
さらに、前記表示パネルの背面に配置された照明装置を備え、
前記照明装置は、前記第1波長の光を出射する第1発光素子と、前記第2波長の光を出射する第2発光素子と、前記第3波長の光を出射する第3発光素子と、を備えている、請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1発光素子、前記第2発光素子、及び、前記第3発光素子は、レーザー光源である、請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
直線偏光の表示光を出射する表示パネルと、
半透過層と、
前記表示パネルと前記半透過層との間に配置された第1位相差板と、
前記半透過層から離間し、コレステリック液晶を有し、第1円偏光を前記半透過層に向けて反射し、前記第1円偏光とは逆回りの第2円偏光を透過する第1素子と、
コレステリック液晶を有し、前記第2円偏光を反射し、前記第1円偏光を透過する第2素子と、
前記半透過層から離間し、前記第1素子と前記第2素子との間に配置された素子と、を備え、
前記第1位相差板は、1/4波長板であり、
前記素子は、前記第2円偏光を集光するレンズ作用を有している、表示装置。
【請求項11】
前記第1素子及び前記第2素子の各々は、複数の液晶分子の配向方向が固定された状態で硬化した液晶層を有している、請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第1素子及び前記第2素子の各々は、
第1コレステリック液晶を有し、第1波長の円偏光を反射する第1光学素子と、
第2コレステリック液晶を有し、前記第1波長よりも長波長の第2波長の円偏光を反射する第2光学素子と、
第3コレステリック液晶を有し、前記第2波長よりも長波長の第3波長の円偏光を反射する第3光学素子と、を備え、
前記第1光学素子、前記第2光学素子、及び、前記第3光学素子は積層され、
前記第2コレステリック液晶の第2螺旋ピッチは、前記第1コレステリック液晶の第1螺旋ピッチより大きく、
前記第3コレステリック液晶の第3螺旋ピッチは、前記第2コレステリック液晶の第2螺旋ピッチより大きい、請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
直線偏光の表示光を出射する表示パネルと、
半透過層と、
前記表示パネルと前記半透過層との間に配置された第1位相差板と、
前記半透過層から離間した素子と、
前記半透過層と前記素子との間に配置され、第1コレステリック液晶を有し、第1円偏光を前記半透過層に向けて反射し、前記第1円偏光とは逆回りの第2円偏光を透過する第1光学素子と、
偏光板と、
前記素子と前記偏光板との間に配置された第4位相差板と、を備え、
前記第1位相差板及び前記第4位相差板は、1/4波長板であり、
前記素子は、前記第2円偏光を集光するレンズ作用を有している、表示装置。
【請求項14】
さらに、前記表示パネルの背面に配置された照明装置を備え、
前記照明装置は、第1波長の光を出射する第1発光素子と、前記第1波長よりも長波長の第2波長の光を出射する第2発光素子と、前記第2波長よりも長波長の第3波長の光を出射する第3発光素子と、を備え、
前記第4位相差板は、前記第1波長、前記第2波長、及び、前記第3波長の各々の光に対して1/4波長の位相差を付与する広帯域型位相差板である、請求項13に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、ユーザの頭部に装着されるヘッドマウントディスプレイを用いて、例えば仮想現実(VR:VirtualReality)を提供する技術が注目されている。ヘッドマウントディスプレイは、ユーザの眼前に設けられたディスプレイに画像が表示されるように構成されている。これにより、ヘッドマウントディスプレイを装着したユーザは、臨場感のある仮想現実空間を体験することができる。
このようなヘッドマウントディスプレイでは、薄型化及び軽量化の要望が高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2003-504663号公報
【文献】特表2003-529795号公報
【文献】特開2018-106160号公報
【文献】特開2019-53152号公報
【文献】特開2019-148626号公報
【文献】特開2019-148627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態の目的は、薄型化及び軽量化が可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態の表示装置は、
直線偏光の表示光を出射する表示パネルと、半透過層と、前記表示パネルと前記半透過層との間に配置された第1位相差板と、第1直線偏光を透過し、前記第1直線偏光と直交する第2直線偏光を反射する反射偏光板と、前記半透過層と前記反射偏光板との間に配置された第2位相差板と、前記反射偏光板から離間した素子と、前記反射偏光板と前記素子との間に配置された第3位相差板と、を備え、前記第1位相差板、前記第2位相差板、及び、前記第3位相差板は、1/4波長板であり、前記素子は、第1円偏光を集光するレンズ作用を有している。
【0006】
本実施形態の表示装置は、
直線偏光の表示光を出射する表示パネルと、半透過層と、前記表示パネルと前記半透過層との間に配置された第1位相差板と、前記半透過層から離間した素子と、前記半透過層と前記素子との間に配置され、前記半透過層から離間し、第1コレステリック液晶を有し、第1円偏光を前記半透過層に向けて反射し、前記第1円偏光とは逆回りの第2円偏光を透過する第1光学素子と、を備え、前記第1位相差板は、1/4波長板であり、前記素子は、前記第2円偏光を集光するレンズ作用を有している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本実施形態に係る表示装置を適用したヘッドマウントディスプレイ1の外観の一例を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示したヘッドマウントディスプレイ1の構成の概要を説明するための図である。
図3図3は、表示装置DSPの第1構成例を示す断面図である。
図4図4は、図3に示した液晶素子10の一例を示す断面図である。
図5図5は、図4に示した液晶層LC1における配向パターンの一例を示す平面図である。
図6図6は、表示装置DSPの光学作用を説明するための図である。
図7図7は、図3に示した表示装置DSPに適用可能な照明装置3の一構成例を示す平面図である。
図8図8は、ヘッドマウントディスプレイ1の第1構成例を示す断面図である。
図9図9は、表示装置DSPの第2構成例を示す断面図である。
図10図10は、図9に示した光学素子20の一例を示す断面図である。
図11図11は、表示装置DSPの光学作用を説明するための図である。
図12図12は、ヘッドマウントディスプレイ1の第2構成例を示す断面図である。
図13図13は、図12に示した第1光学素子20B、第2光学素子20G、及び、第3光学素子20Rを説明するための図である。
図14図14は、表示装置DSPの第3構成例を示す断面図である。
図15図15は、図14に示した第1光学素子201B及び202B、第2光学素子201G及び202G、及び、第3光学素子201R及び202Rを説明するための図である。
図16図16は、表示装置DSPの光学作用を説明するための図である。
図17図17は、表示装置DSPの第4構成例を示す断面図である。
図18図18は、表示装置DSPの光学作用を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸、及び、Z軸を記載する。X軸に沿った方向を第1方向Xと称し、Y軸に沿った方向を第2方向Yと称し、Z軸に沿った方向を第3方向Zと称する。X軸及びY軸によって規定される面をX-Y平面と称し、X-Y平面を見ることを平面視という。
【0010】
図1は、本実施形態に係る表示装置を適用したヘッドマウントディスプレイ1の外観の一例を示す斜視図である。ヘッドマウントディスプレイ1は、例えば、右眼用の表示装置DSPRと、左眼用の表示装置DSPLと、を備えている。ユーザがヘッドマウントディスプレイ1を頭部に装着した状態では、表示装置DSPRは当該ユーザの右眼の眼前に位置するように配置され、また、表示装置DSPLは当該ユーザの左眼の眼前に位置するように配置されている。
【0011】
図2は、図1に示したヘッドマウントディスプレイ1の構成の概要を説明するための図である。表示装置DSPRは、表示装置DSPLと実質的に同様に構成されている。
【0012】
表示装置DSPRは、表示パネル2Rと、照明装置3Rと、点線で示した光学システム4Rと、を備えている。照明装置3Rは、表示パネル2Rの背面に配置され、表示パネル2Rを照明するように構成されている。光学システム4Rは、表示パネル2Rの前面(あるいはユーザの右眼ERと表示パネル2Rとの間)に配置され、表示パネル2Rからの表示光を右眼ERに導くように構成されている。
【0013】
表示パネル2Rは、例えば、液晶パネルである。表示パネル2Rは、照明装置3Rと光学システム4Rとの間に配置されている。表示パネル2Rには、例えば、ドライバICチップ5R及びフレキシブルプリント回路基板6Rが接続されている。ドライバICチップ5Rは、表示パネル2Rの駆動を制御する(特に、表示パネル2Rの表示動作を制御する)。
【0014】
表示装置DSPLは、表示パネル2Lと、照明装置3Lと、点線で示した光学システム4Lと、を備えている。照明装置3Lは、表示パネル2Lの背面に配置され、表示パネル2Lを照明するように構成されている。光学システム4Lは、表示パネル2Lの前面(あるいはユーザの左眼ELと表示パネル2Lとの間)に配置され、表示パネル2Lからの表示光を左眼ELに導くように構成されている。
【0015】
表示パネル2Lは、例えば、液晶パネルである。表示パネル2Lは、照明装置3Lと光学システム4Lとの間に配置されている。表示パネル2Lには、例えば、ドライバICチップ5L及びフレキシブルプリント回路基板6Lが接続されている。ドライバICチップ5Lは、表示パネル2Lの駆動を制御する(特に、表示パネル2Lの表示動作を制御する)。
【0016】
表示装置DSPRを構成する表示パネル2R、照明装置3R、及び、光学システム4Rは、それぞれ表示装置DSPLを構成する表示パネル2L、照明装置3L、及び、光学システム4Lと同様に構成されている。
【0017】
本実施形態に係る表示装置DSPにおいては、表示パネル2R及び2Lは、液晶パネルに限らず、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子、マイクロLED、ミニLEDなどの自発光型の発光素子を備えた表示パネルであってもよい。表示パネルが発光素子を備えた表示パネルである場合、照明装置3R及び3Lは省略される。
【0018】
外部に設けられたホストコンピュータHは、表示パネル2L及び2Rとそれぞれ接続されている。ホストコンピュータHは、表示パネル2L及び2Rに表示される画像に対応した画像データを出力する。表示パネル2Lに表示される画像は、左眼用の画像(あるいはユーザの左眼ELで視認される画像)である。また、表示パネル2Rに表示される画像は、右眼用の画像(あるいはユーザの右眼ERで視認される画像)である。
【0019】
例えば、ヘッドマウントディスプレイ1がVR用として利用される場合、左眼用の画像及び右眼用の画像は、両目の視差を再現した互いに類似する画像である。表示パネル2Lに表示された左眼用の画像がユーザの左眼ELで視認され、また、表示パネル2Rに表示された右眼用の画像がユーザの右眼ERで視認された場合には、ユーザは仮想現実空間として立体的な空間(3次元空間)を把握することができる。
【0020】
次に、本実施形態に係る表示装置DSPの第1構成例について説明する。
【0021】
《第1構成例》
図3は、表示装置DSPの第1構成例を示す断面図である。
表示装置DSPは、表示パネル2と、光学システム4と、を備えている。なお、ここでは、表示パネル2の詳細の図示を省略するとともに、照明装置の図示を省略している。ここで説明する表示装置DSPは、上記の表示装置DSPR及びDSPLの各々に適用することができる。また、表示パネル2は、上記の表示パネル2R及び2Lの各々に適用することができる。また、光学システム4は、上記の光学システム4R及び4Lの各々に適用することができる。
【0022】
表示パネル2は、X-Y平面に亘って延在した平板状に形成されている。表示パネル2の詳細については後述するが、表示領域DAにおいて直線偏光の表示光DLを出射するように構成されている。例えば、表示パネル2は偏光板を備え、直線偏光の表示光DLは偏光板を介して出射される。
【0023】
ここで説明する第1構成例に限らず、他の構成例においても同様に、表示パネル2は、液晶パネルに限らない。表示パネル2が自発光型の発光素子を備えた表示パネルである場合、上記の通り照明装置3は省略される。また、この場合、発光素子から出射された表示光DLは、偏光板を透過して直線偏光の表示光DLに変換される。
【0024】
光学システム4は、第1構造体4A及び第2構造体4Bを備えている。第1構造体4Aは、第2構造体4Bから離間している。図3に示す例では、第1構造体4Aと第2構造体4Bとの間には、空気層4Cが設けられている。第1構造体4Aは、表示パネル2と第2構造体4Bとの間(あるいは表示パネル2と空気層4Cとの間)に配置されている。
【0025】
第1構造体4Aは、第1位相差板R1と、半透過層HMと、第2位相差板R2と、を備えている。第1位相差板R1及び第2位相差板R2は、1/4波長板であり、透過する光に対して1/4波長の位相差を付与するものである。半透過層HMは、入射光のうちの一部の光を透過し、その他の光を反射するものである。一例として、半透過層HMは、アルミニウムや銀などの金属材料で形成された薄膜である。また、半透過層HMの透過率は、約50%である。
【0026】
第1位相差板R1、半透過層HM、及び、第2位相差板R2は、X-Y平面において、表示領域DAよりも広い範囲に亘って延在している。また、第1位相差板R1、半透過層HM、及び、第2位相差板R2は、この順に、第3方向Zに沿って積層されている。第1位相差板R1は表示パネル2に接し、半透過層HMは第1位相差板R1に接し、第2位相差板R2は半透過層HMに接し、第1位相差板R1は表示パネル2と半透過層HMとの間に配置され、半透過層HMは第1位相差板R1と第2位相差板R2との間に配置されている。
【0027】
第2構造体4Bは、反射偏光板PRと、第3位相差板R3と、液晶素子10と、を備えている。反射偏光板PRは、入射光のうち、第1直線偏光を透過し、第1直線偏光と直交する第2直線偏光を反射するものである。一例として、反射偏光板PRは、多層薄膜型のものや、ワイヤグリッド型のものなどである。第3位相差板R3は、1/4波長板であり、透過する光に対して1/4波長の位相差を付与するものである。
【0028】
液晶素子10は、特定波長の光に対して1/2波長の位相差を付与するとともに、第1円偏光を集光するレンズ作用を有するものである。なお、ここでは、円偏光を集光するレンズ作用を有する素子の一例として、液晶素子10を挙げたが、同等のレンズ作用を有するものであれば、液晶を利用した素子に限定されるものではない。
【0029】
反射偏光板PR、第3位相差板R3、及び、液晶素子10は、X-Y平面において、表示領域DAよりも広い範囲に亘って延在している。また、反射偏光板PR、第3位相差板R3、及び、液晶素子10は、この順に、第3方向Zに沿って積層されている。第3位相差板R3は反射偏光板PRに接し、液晶素子10は第3位相差板R3に接し、第2位相差板R2は半透過層HMと反射偏光板PRとの間に配置され、第3位相差板R3は反射偏光板PRと液晶素子10との間に配置されている。反射偏光板PRは、第2位相差板R2から離間しており、第3方向Zにおいて、空気層4Cを介して第2位相差板R2と対向している。
【0030】
表示パネル2及び第1位相差板R1は、空気層を介することなく互いに密着していることが望ましい。また、第1構造体4Aを構成する第1位相差板R1、半透過層HM、及び、第2位相差板R2は、空気層を介することなく互いに密着していることが望ましい。さらに、第2構造体4Bを構成する反射偏光板PR、第3位相差板R3、及び、液晶素子10は、空気層を介することなく互いに密着していることが望ましい。これにより、部材間の界面での不所望な反射あるいは屈折を抑制することができる。
【0031】
第1位相差板R1、第2位相差板R2、及び、第3位相差板R3は、例えば、少なくとも緑波長の光に対して1/4波長の位相差を付与するものであるが、これに限らない。例えば、第1位相差板R1、第2位相差板R2、及び、第3位相差板R3としては、赤波長、緑波長、及び、青波長の各々の光に対しても略1/4波長の位相差を付与する広帯域型の位相差板を適用することができる。このような広帯域型の位相差板としては、例えば、1/4波長板の遅相軸と1/2波長板の遅相軸とが所定の角度をなす状態で、1/4波長板と1/2波長板とを貼り合わせたものなどを適用することができる。これにより、第1位相差板R1、第2位相差板R2、及び、第3位相差板R3における波長依存性を緩和することができる。
【0032】
図4は、図3に示した液晶素子10の一例を示す断面図である。液晶素子10は、基板11と、配向膜AL11と、液晶層(第1液晶層)LC1と、配向膜AL12と、基板12と、を備えている。
【0033】
基板11及び12は、光を透過する透明基板であり、例えば、透明なガラス板または透明な合成樹脂板によって構成されている。基板11は、例えば、図3に示した第3位相差板R3と接着されるが、第3位相差板R3と置換してもよい。
【0034】
配向膜AL11は、基板11の内面11Aに配置されている。図4に示す例では、配向膜AL11は、基板11に接しているが、配向膜AL11と基板11との間に他の薄膜が介在していてもよい。
配向膜AL12は、基板12の内面12Aに配置されている。図4に示す例では、配向膜AL12は、基板12に接しているが、配向膜AL12と基板12との間に他の薄膜が介在していてもよい。配向膜AL12は、第3方向Zにおいて、配向膜AL11と対向している。
配向膜AL11及びAL12は、例えば、ポリイミドによって形成され、いずれもX-Y平面に沿った配向規制力を有する水平配向膜である。
【0035】
液晶層LC1は、配向膜AL11及びAL12の間に配置され、配向膜AL11及びAL12に接している。液晶層LC1は、第3方向Zに沿った厚さd1を有している。液晶層LC1は、第3方向Zに沿った配向方向が揃ったネマティック液晶を有している。
【0036】
すなわち、液晶層LC1は、複数の液晶構造体LMS1を有している。1つの液晶構造体LMS1に着目すると、液晶構造体LMS1は、その一端側に位置する液晶分子LM11と、その他端側に位置する液晶分子LM12と、を有している。液晶分子LM11は配向膜AL11に近接し、液晶分子LM12は配向膜AL12に近接している。液晶分子LM11の配向方向、及び、液晶分子LM12の配向方向は、ほぼ一致している。また、液晶分子LM11と液晶分子LM12との間の他の液晶分子LM1の配向方向も、液晶分子LM11の配向方向とほぼ一致している。なお、ここでの液晶分子LM1の配向方向とは、X-Y平面における液晶分子の長軸の方向に相当する。
【0037】
また、液晶層LC1において、第1方向Xに沿って隣接する複数の液晶構造体LMS1は、互いに配向方向が異なっている。同様に、第2方向Yに沿って隣接する複数の液晶構造体LMS1についても、互いに配向方向が異なっている。配向膜AL11に沿って並んだ複数の液晶分子LM11の配向方向、及び、配向膜AL12に沿って並んだ複数の液晶分子LM12の配向方向は、連続的(あるいは線形)に変化している。
【0038】
このような液晶層LC1は、液晶分子LM11及び液晶分子LM12を含む液晶分子LM1の配向方向が固定された状態で硬化している。つまり、液晶分子LM1の配向方向は、電界に応じて制御されるものではない。このため、液晶素子10は、配向制御のための電極を備えていない。
【0039】
液晶層LC1の屈折率異方性あるいは複屈折性(液晶層LC1の異常光に対する屈折率neと常光に対する屈折率noとの差分)をΔnとしたとき、液晶層LC1のリタデーション(位相差)Δn・d1は、特定波長λの1/2に設定されている。
【0040】
図5は、図4に示した液晶層LC1における配向パターンの一例を示す平面図である。図5には、液晶層LC1のX-Y平面における空間位相の一例が示されている。ここに示す空間位相は、液晶構造体LMS1に含まれる液晶分子LM1のうち、配向膜AL11に近接する液晶分子LM11の配向方向として示している。
【0041】
図中の点線で示した同心円では、空間位相が揃っている。あるいは、隣接する2つの同心円で囲まれた環状領域では、液晶分子LM11の配向方向が揃っている。但し、隣接する環状領域の液晶分子LM11の配向方向は、互いに異なっている。
【0042】
例えば、液晶層LC1は、平面視において、第1環状領域C1と、第2環状領域C2と、を有している。第2環状領域C2は、第1環状領域C1の外側に位置している。第1環状領域C1は、同一方向に配向した複数の第1液晶分子LM111によって構成されている。また、第2環状領域C2は、同一方向に配向した複数の第2液晶分子LM112によって構成されている。第1液晶分子LM111の配向方向は、第2液晶分子LM112の配向方向とは異なっている。
【0043】
同様に、同心円の中心の領域から、径方向に沿って並んだ液晶分子LM11の配向方向は、互いに異なり、連続的に変化している。つまり、図示したX-Y平面内において、液晶層LC1の空間位相は、径方向に沿って異なり、連続的に変化している。
【0044】
このような構成の液晶素子10に第1円偏光が入射した場合、第1円偏光は、同心円の中心に向かって集光され、しかも、液晶素子10の透過光は、第1円偏光とは逆回りの第2円偏光に変換される。
【0045】
図6は、表示装置DSPの光学作用を説明するための図である。
【0046】
まず、表示パネル2は、第1直線偏光LP1の表示光DLを出射する。ここでの第1直線偏光LP1とは、例えば紙面に垂直な方向に振動する直線偏光である。また、ここでの表示光DLとは、特定波長λの光である。表示光DLは、第1位相差板R1を透過する際に、1/4波長の位相差が付与される。これにより、表示光DLは、第1位相差板R1を透過した後に、第1円偏光CP1に変換される。ここでの第1円偏光CP1とは、例えば左回りの円偏光である。
【0047】
第1位相差板R1を透過した第1円偏光CP1のうち、一部の第1円偏光CP1は半透過層HMを透過し、他の第1円偏光CP1は半透過層HMで反射される。半透過層HMを透過した第1円偏光CP1は、第2位相差板R2を透過する際に、1/4波長の位相差が付与され、第2直線偏光LP2に変換される。ここでの第2直線偏光LP2とは、第1直線偏光LP1とは直交する方向、つまり紙面に平行な方向に振動する直線偏光である。
【0048】
なお、第1円偏光CP1が半透過層HMで反射された際には、第1円偏光CP1とは逆回りの第2円偏光CP2に変換される。ここでの第2円偏光CP2とは、例えば右回りの円偏光である。半透過層HMで反射された第2円偏光CP2は、第1位相差板R1を透過して第2直線偏光LP2に変換され、表示パネル2において吸収される。
【0049】
第2位相差板R2を透過した第2直線偏光LP2は、反射偏光板PRで反射される。反射偏光板PRで反射された第2直線偏光LP2は、第2位相差板R2を透過して第1円偏光CP1に変換される。
【0050】
第2位相差板R2を透過した第1円偏光CP1のうち、一部の第1円偏光CP1は半透過層HMで反射され、他の第1円偏光CP1は半透過層HMを透過する。第1円偏光CP1が半透過層HMで反射された際には、第2円偏光CP2に変換される。半透過層HMで反射された第2円偏光CP2は、第2位相差板R2を透過して第1直線偏光LP1に変換される。
なお、半透過層HMを透過した第1円偏光CP1は、第1位相差板R1を透過して第1直線偏光LP1に変換される。
【0051】
第2位相差板R2を透過した第1直線偏光LP1は、反射偏光板PRを透過し、さらに、第3位相差板R3を透過して第1円偏光CP1に変換される。第3位相差板R3を透過した第1円偏光CP1は、液晶素子10において、第2円偏光CP2に変換されるとともにレンズ作用を受けてユーザの瞳Eに集光される。
【0052】
このような表示装置DSPによれば、光学システム4は、半透過層HMと反射偏光板PRとの間を3回通る光路を有している。つまり、光学システム4において、半透過層HMと反射偏光板PRとの間の光学的な距離は、実際の半透過層HMと反射偏光板PRとの間隔(あるいは空気層4Cの厚さ)の約3倍となる。表示パネル2は、レンズ作用を有する液晶素子10の焦点よりも内側に設置されている。これにより、ユーザは、拡大された虚像を観察することができる。
【0053】
このような第1構成例によれば、ガラスや樹脂などで形成された光学部品を備える光学システムと比較して、第3方向Zに沿った厚さを薄くすることができ、しかも、軽量化を実現することができる。
【0054】
なお、図6を参照して説明した第1直線偏光LP1を第2直線偏光LP2に置換してもよいし、第1円偏光CP1を第2円偏光CP2に置換してもよい。
【0055】
図7は、図3に示した表示装置DSPに適用可能な照明装置3の一構成例を示す平面図である。なお、図7では、照明装置3の主要部のみを示している。
【0056】
照明装置3は、導光板LGと、複数の発光素子LDと、を備えている。複数の発光素子LDは、それぞれ導光板LGの側面LGSと対向している。発光素子LDは、青波長(第1波長)の光を出射する第1発光素子LDBと、緑波長(第2波長)の光を出射する第2発光素子LDGと、赤波長(第3波長)の光を出射する第3発光素子LDRと、を含んでいる。第1発光素子LDB、第2発光素子LDG、及び、第3発光素子LDRは、間隔をおいて並んでいる。
【0057】
発光素子LDからの出射光は、スペクトル幅が狭い(あるいは、色純度が高い)ことが望ましい。このため、発光素子LDとしては、レーザー光源を適用することが望ましい。第1発光素子(第1レーザー素子)LDBから出射される青レーザー光の中心波長をλbとし、第2発光素子(第2レーザー素子)LDGから出射される緑レーザー光の中心波長をλgとし、第3発光素子(第3レーザー素子)LDRから出射される赤レーザー光の中心波長をλrとする。
【0058】
なお、照明装置3は、図7に示した構成に限らず、表示パネルの直下に発光素子LDが配置される直下型の照明装置であってもよい。
【0059】
図8は、ヘッドマウントディスプレイ1の第1構成例を示す断面図である。ヘッドマウントディスプレイ1は、右眼用の表示装置DSPRと、左眼用の表示装置DSPLと、表示装置DSPR及びDSLを保持するフレームFRと、を備えている。
【0060】
表示装置DSPLにおける照明装置3Lは、図7を参照して説明した照明装置3に相当し、中心波長λbの青レーザー光を出射する第1発光素子LDBと、中心波長λgの緑レーザー光を出射する第2発光素子LDGと、中心波長λrの赤レーザー光を出射する第3発光素子LDRと、を備えている。
【0061】
表示装置DSPLにおける表示パネル2Lは、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、液晶層LCと、第1偏光板PL1と、第2偏光板PL2と、を備えている。液晶層LCは、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に保持され、シールSEによって封止されている。第1偏光板PL1は、照明装置3Lと第1基板SUB1との間に配置されている。第2偏光板PL2は、第2基板SUB2と光学システム4Lの第1位相差板R1との間に配置されている。
【0062】
表示パネル2Lの表示領域DAは、照明装置3Lからの照明光を選択的に変調するように構成されている。照明光の一部は、第2偏光板PL2を透過し、左眼用の直線偏光の表示光DLLに変換される。
【0063】
表示装置DSPLにおける光学システム4Lは、第1位相差板R1と、半透過層HMと、第2位相差板R2と、反射偏光板PRと、第3位相差板R3と、液晶素子10と、を備えている。第1位相差板R1、半透過層HM、第2位相差板R2、反射偏光板PR、及び、第3位相差板R3に関しては、図3等を参照して説明した通りである。
【0064】
液晶素子10は、例えば、緑波長(第2波長)λgの光に対して1/2波長の位相差を付与するとともに、少なくとも緑波長λgの第1円偏光を集光するレンズ作用を有するものである。つまり、液晶素子10のリタデーションは、照明装置3Lの第2発光素子LDGから出射される緑レーザー光の中心波長λgに対応するように最適化されている。なお、本実施形態で適用される液晶素子10は、緑波長λgのみならず、青波長λb及び赤波長λrの第1円偏光を集光するレンズ作用も有している。
【0065】
表示装置DSPRにおける照明装置3Rは、図7を参照して説明した照明装置3に相当する。
【0066】
表示装置DSPRにおける表示パネル2Rは、表示パネル2Lと同様に構成され、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、液晶層LCと、第1偏光板PL1と、第2偏光板PL2と、を備えている。表示パネル2Rの表示領域DAは、照明装置3Rからの照明光を選択的に変調するように構成されている。照明光の一部は、第2偏光板PL2を透過し、右眼用の直線偏光の表示光DLRに変換される。
【0067】
表示装置DSPRにおける光学システム4Rは、光学システム4Lと同様に構成され、第1位相差板R1と、半透過層HMと、第2位相差板R2と、反射偏光板PRと、第3位相差板R3と、液晶素子10と、を備えている。
【0068】
このようなヘッドマウントディスプレイ1においては、表示装置DSPLの表示光DLLは、ユーザの左眼に集光され、表示装置DSPRの表示光DLRは、ユーザの右眼に集光される。
【0069】
このような第1構成例によれば、照明装置3はスペクトル幅が狭い光を出射するレーザー光源を備え、また、液晶素子10はレーザー光源から出射される光の中心波長に合わせて最適化されている。これにより、特定波長の光を効率よく集光することができ、また、色収差を低減することができ、鮮明な画像をユーザに視認させることができる。
【0070】
次に、本実施形態に係る表示装置DSPの他の構成例について説明する。なお、以下の説明では、第1構成例と同一の構成については同一の参照符号を付して説明を省略する場合がある。
【0071】
《第2構成例》
図9は、表示装置DSPの第2構成例を示す断面図である。図9に示す第2構成例は、図3に示した第1構成例と比較して、第2位相差板R2、反射偏光板PR、及び、第3位相差板R3を光学素子20に置換した点で相違している。
【0072】
すなわち、表示装置DSPは、表示パネル2と、光学システム4と、を備えている。表示パネル2の詳細については省略するが、表示パネル2は、表示領域DAにおいて直線偏光の表示光DLを出射するように構成されている。
【0073】
光学システム4の第1構造体4Aは、第1位相差板R1と、半透過層HMと、を備えている。第1位相差板R1は、1/4波長板である。半透過層HMは、入射光のうちの一部の光を透過し、その他の光を反射するものである。
第1位相差板R1及び半透過層HMは、この順に、第3方向Zに沿って積層されている。第1位相差板R1は表示パネル2に接し、半透過層HMは第1位相差板R1に接し、第1位相差板R1は表示パネル2と半透過層HMとの間に配置されている。
【0074】
光学システム4の第2構造体4Bは、光学素子(第1光学素子)20と、液晶素子10と、を備えている。光学素子20は、後に詳述するが、コレステリック液晶(第1コレステリック液晶)を有している。光学素子20は、第1波長の光のうち、第1円偏光を半透過層HMに向けて反射し、第2円偏光を透過するものである。液晶素子10は、特定波長の光に対して1/2波長の位相差を付与するとともに、第2円偏光を集光するレンズ作用を有するものである。
光学素子20及び液晶素子10は、この順に、第3方向Zに沿って積層されている。液晶素子10は、光学素子20に接している。光学素子20は、半透過層HMから離間しており、第3方向Zにおいて、空気層4Cを介して半透過層HMと対向している。また、光学素子20は、半透過層HMと液晶素子10との間に配置されている。
【0075】
図10は、図9に示した光学素子20の一例を示す断面図である。光学素子20は、基板21と、配向膜AL21と、液晶層(第2液晶層)LC2と、配向膜AL22と、基板22と、を備えている。
【0076】
基板21及び22は、光を透過する透明基板であり、例えば、透明なガラス板または透明な合成樹脂板によって構成されている。基板22は、例えば、図9に示した液晶素子10と接着されるが、液晶素子10の基板11と置換してもよい。
【0077】
配向膜AL21は、基板21の内面21Aに配置されている。図10に示す例では、配向膜AL21は、基板21に接しているが、配向膜AL21と基板21との間に他の薄膜が介在していてもよい。
配向膜AL22は、基板22の内面22Aに配置されている。図10に示す例では、配向膜AL22は、基板22に接しているが、配向膜AL22と基板22との間に他の薄膜が介在していてもよい。配向膜AL22は、第3方向Zにおいて、配向膜AL21と対向している。
配向膜AL21及びAL22は、例えば、ポリイミドによって形成され、いずれもX-Y平面に沿った配向規制力を有する水平配向膜である。
【0078】
液晶層LC2は、配向膜AL21及びAL22の間に配置され、配向膜AL21及びAL22に接している。液晶層LC2は、第3方向Zに沿った厚さd2を有している。液晶層LC2は、コレステリック液晶を有している。なお、図10では、図面の簡略化のため、1つの液晶分子LM2は、X-Y平面内に位置する複数の液晶分子のうち、平均的配向方向を向いている液晶分子を代表して示している。
【0079】
すなわち、液晶層LC2は、複数の液晶構造体LMS2を有している。1つの液晶構造体LMS2に着目すると、液晶構造体LMS2は、その一端側に位置する液晶分子LM21と、その他端側に位置する液晶分子LM22と、を有している。液晶分子LM21は配向膜AL21に近接し、液晶分子LM22は配向膜AL22に近接している。液晶分子LM21及び液晶分子LM22を含む複数の液晶分子LM2は、旋回しながら第3方向Zに沿って螺旋状に積み重ねられ、コレステリック液晶を構成している。液晶分子LM21の配向方向、及び、液晶分子LM22の配向方向は、ほぼ一致している。液晶構造体LMS2は、螺旋ピッチPを有している。螺旋ピッチPは、螺旋の1周期(360度)を示す。例えば、液晶層LC2の厚さd2は、螺旋ピッチPの数倍以上である。
【0080】
また、液晶層LC2において、第1方向Xに沿って隣接する複数の液晶構造体LMS2は、互いに配向方向が揃っている。同様に、第2方向Yに沿って隣接する複数の液晶構造体LMS2についても、互いに配向方向が揃っている。つまり、配向膜AL21に沿って並んだ複数の液晶分子LM21の配向方向は、ほぼ一致し、また、配向膜AL22に沿って並んだ複数の液晶分子LM22の配向方向は、ほぼ一致している。
【0081】
液晶層LC2は、配向膜AL21と配向膜AL22との間に、一点鎖線で示すような複数の反射面LMRを有している。複数の反射面LMRは、X-Y平面に沿って形成され、互いに略平行である。反射面LMRは、X-Y平面に沿って形成されている。反射面LMRは、ブラッグの法則に従って、入射光のうち、一部の円偏光を反射し、他の円偏光を透過する。ここでの反射面LMRは、液晶分子LM2の配向方向が揃った面、あるいは、空間位相が揃った面(等位相面)に相当する。
【0082】
液晶構造体LMS2は、第1波長λの光のうち、コレステリック液晶の旋回方向と同じ旋回方向の円偏光を反射する。例えば、コレステリック液晶の旋回方向が右回りの場合、第1波長λの光のうち、右回りの円偏光を反射し、左回りの円偏光を透過する。同様に、コレステリック液晶の旋回方向が左回りの場合、第1波長λの光のうち、左回りの円偏光を反射し、右回りの円偏光を透過する。
【0083】
このような液晶層LC2は、液晶分子LM21及び液晶分子LM22を含む液晶分子LM2の配向方向が固定された状態で硬化している。つまり、液晶分子LM2の配向方向は、電界に応じて制御されるものではない。このため、光学素子20は、配向制御のための電極を備えていない。
【0084】
コレステリック液晶の螺旋ピッチをP、液晶分子の異常光に対する屈折率をne、液晶分子の常光に対する屈折率をnoと記載すると、一般的に、垂直入射した光に対するコレステリック液晶の選択反射帯域Δλは、「no*P~ne*P」で示される。このため、反射面LMRにおいて第1波長λの円偏光を効率よく反射するためには、第1波長λが選択反射波長帯Δλに含まれるように、螺旋ピッチP、屈折率ne及びnoが設定される。
【0085】
図11は、表示装置DSPの光学作用を説明するための図である。
【0086】
まず、表示パネル2は、第1直線偏光LP1の表示光DLを出射する。ここでの表示光DLとは、第1波長λの光である。表示光DLは、第1位相差板R1を透過して第1円偏光CP1に変換される。
【0087】
第1位相差板R1を透過した第1円偏光CP1のうち、一部の第1円偏光CP1は半透過層HMを透過し、他の第1円偏光CP1は半透過層HMで反射される。半透過層HMを透過した第1円偏光CP1は、光学素子20において反射される。
【0088】
なお、第1円偏光CP1が半透過層HMで反射された際には、第2円偏光CP2に変換される。半透過層HMで反射された第2円偏光CP2は、第1位相差板R1を透過して第2直線偏光LP2に変換され、表示パネル2において吸収される。
【0089】
光学素子20で反射された第1円偏光CP1のうち、一部の第1円偏光CP1は半透過層HMを透過し、他の第1円偏光CP1は半透過層HMで反射される。第1円偏光CP1が半透過層HMで反射された際には、第2円偏光CP2に変換される。
なお、半透過層HMを透過した第1円偏光CP1は、第1位相差板R1を透過して第1直線偏光LP1に変換される。
【0090】
半透過層HMで反射された第2円偏光CP2は、光学素子20を透過する。光学素子20を透過した第2円偏光CP2は、液晶素子10において、第1円偏光CP1に変換されるとともにレンズ作用を受けてユーザの瞳Eに集光される。
【0091】
このような第2構成例においても、上記の第1構成例と同様の効果が得られる。加えて、光学システム4を構成する部品点数を削減することができる。
【0092】
なお、図11を参照して説明した第1直線偏光LP1を第2直線偏光LP2に置換してもよいし、第1円偏光CP1を第2円偏光CP2に置換してもよい。
【0093】
図12は、ヘッドマウントディスプレイ1の第2構成例を示す断面図である。ヘッドマウントディスプレイ1は、右眼用の表示装置DSPRと、左眼用の表示装置DSPLと、表示装置DSPR及びDSLを保持するフレームFRと、を備えている。図12に示す第2構成例は、図8に示した第1構成例と比較して、第2位相差板R2、反射偏光板PR、及び、第3位相差板R3を省略し、第1光学素子20B、第2光学素子20G、第3光学素子20Rを備えた点で相違している。
【0094】
表示装置DSPLにおける照明装置3L、及び、表示装置DSPRにおける照明装置3Rは、図7を参照して説明した照明装置3に相当する。
【0095】
表示装置DSPLにおける表示パネル2L、及び、表示装置DSPRにおける表示パネル2Rは、図8に示した第1構成例と同一であり、説明を省略する。
【0096】
表示装置DSPLにおける光学システム4L、及び、表示装置DSPRにおける光学システム4Rは、それぞれ、第1位相差板R1と、半透過層HMと、第1光学素子20Bと、第2光学素子20Gと、第3光学素子20Rと、液晶素子10と、を備えている。第1位相差板R1及び半透過層HMに関しては、図3等を参照して説明した通りである。液晶素子10に関しては、図8を参照して説明した通りである。
【0097】
表示装置DSPL及び表示装置DSPRの各々における第1光学素子20B、第2光学素子20G、及び、第3光学素子20Rは、第3方向Zに沿って積層されている。なお、第1光学素子20B、第2光学素子20G、及び、第3光学素子20Rの積層順に関しては、図示した例に限らない。第1光学素子20B、第2光学素子20G、及び、第3光学素子20Rは、図10を参照して説明した光学素子20と同等のものである。
【0098】
但し、第1光学素子20Bは、青波長(第1波長)λbの第1円偏光を反射し、青波長λbの第2円偏光を透過するように構成されている。つまり、第1光学素子20Bに含まれる液晶構造体(第1コレステリック液晶)LMS21の第1螺旋ピッチP1は、図13に示すように、照明装置3の第1発光素子LDBから出射される青レーザー光の中心波長λbに対応するように最適化されている。
【0099】
また、第2光学素子20Gは、緑波長(第2波長)λgの第1円偏光を反射し、緑波長λgの第2円偏光を透過するように構成されている。つまり、第2光学素子20Gに含まれる液晶構造体(第2コレステリック液晶)LMS22の第2螺旋ピッチP2は、図13に示すように、照明装置3の第2発光素子LDGから出射される緑レーザー光の中心波長λgに対応するように最適化されている。このため、第2光学素子20Gにおける第2螺旋ピッチP2は、第1光学素子20Bにおける第1螺旋ピッチP1より大きい。
【0100】
さらに、第3光学素子20Rは、赤波長(第3波長)λrの第1円偏光を反射し、赤波長λrの第2円偏光を透過するように構成されている。つまり、第3光学素子20Rに含まれる液晶構造体(第3コレステリック液晶)LMS23の第3螺旋ピッチP3は、図13に示すように、照明装置3の第3発光素子LDRから出射される赤レーザー光の中心波長λrに対応するように最適化されている。このため、第3光学素子20Rにおける第3螺旋ピッチP3は、第2光学素子20Gにおける第2螺旋ピッチP2より大きい。
【0101】
なお、図13では、第1旋回方向に旋回したコレステリック液晶を拡大して模式的に示している。第1コレステリック液晶LMS21、第2コレステリック液晶LMS22、及び、第3コレステリック液晶LMS23は、すべて同一方向に旋回し、いずれも左回りの第1円偏光を反射するように構成されている。
【0102】
このように、第1光学素子20Bが反射する円偏光の波長λbを第1波長とすると、第2光学素子20Gは第1波長λbよりも長波長の第2波長λgの円偏光を反射するように構成され、第3光学素子20Rは第2波長λgよりも長波長の第3波長λrの円偏光を反射するように構成されている。
【0103】
このようなヘッドマウントディスプレイ1においては、表示装置DSPLの表示光DLLは、ユーザの左眼に集光され、表示装置DSPRの表示光DLRは、ユーザの右眼に集光される。
【0104】
このような第2構成例においても、上記の第1構成例と同様の効果が得られる。
【0105】
《第3構成例》
図14は、表示装置DSPの第3構成例を示す断面図である。図14に示す第3構成例は、図9に示した第2構成例と比較して、液晶素子10を挟む一対の第1素子201及び第2素子202を備えた点で相違している。第1素子201及び第2素子202は、図10を参照して説明した光学素子20と同等のものである。
第1素子201は第1旋回方向に旋回した液晶構造体(コレステリック液晶)LMSを含む一方で、第2素子202は第1旋回方向とは逆回りの第2旋回方向に旋回した液晶構造体(コレステリック液晶)LMSを含んでいる。なお、第1素子201における螺旋ピッチPは、第2素子202における螺旋ピッチPと同一である。
これにより、第1素子201は、例えば第1円偏光を反射し、第2円偏光を透過する。また、第2素子202は、第2円偏光を反射し、第1円偏光を透過する。
【0106】
第1素子201、液晶素子10、及び、第2素子202は、この順に、第3方向Zに沿って積層されている。液晶素子10は第1素子201に接し、第2素子202は液晶素子10に接している。第1素子201は、半透過層HMから離間しており、第3方向Zにおいて、空気層4Cを介して半透過層HMと対向している。また、第1素子201は半透過層HMと液晶素子10との間に配置され、液晶素子10は第1素子201と第2素子202との間に配置されている。
【0107】
図14に示した表示装置DSPがヘッドマウントディスプレイ1に適用される場合、第1素子201及び第2素子202は、それぞれ青波長(第1波長)λb、緑波長(第2波長)λg、及び、赤波長(第3波長)λrに対応するように最適化される。
【0108】
例えば、図15に示すように、第1素子201においては、第1光学素子201B、第2光学素子201G、及び、第3光学素子201Rが積層されている。また、第2素子202においては、第1光学素子202B、第2光学素子202G、及び、第3光学素子202Rが積層されている。
【0109】
第1光学素子201B及び202Bは、青波長(第1波長)λbの一部の円偏光を反射し、青波長λbの他の円偏光を透過するように構成されている。つまり、第1光学素子201B及び202Bに含まれる液晶構造体(第1コレステリック液晶)LMS21の第1螺旋ピッチP1は、図15に示すように、照明装置3の第1発光素子LDBから出射される青レーザー光の中心波長λbに対応するように最適化されている。
【0110】
第2光学素子201G及び202Gは、緑波長(第2波長)λgの一部の円偏光を反射し、緑波長λgの他の円偏光を透過するように構成されている。つまり、第2光学素子201G及び202Gに含まれる液晶構造体(第2コレステリック液晶)LMS22の第2螺旋ピッチP2は、図15に示すように、照明装置3の第2発光素子LDGから出射される緑レーザー光の中心波長λgに対応するように最適化されている。このため、第2螺旋ピッチP2は、第1螺旋ピッチP1より大きい。
【0111】
第3光学素子201R及び202Rは、赤波長(第3波長)λrの一部の円偏光を反射し、赤波長λrの他の円偏光を透過するように構成されている。つまり、第3光学素子201R及び202Rに含まれる液晶構造体(第3コレステリック液晶)LMS23の第3螺旋ピッチP3は、図15に示すように、照明装置3の第3発光素子LDRから出射される赤レーザー光の中心波長λrに対応するように最適化されている。このため、第3螺旋ピッチP3は、第2螺旋ピッチP2より大きい。
【0112】
なお、図15では、第1光学素子201Bの第1コレステリック液晶LMS21、第2光学素子201Gの第2コレステリック液晶LMS22、及び、第3光学素子201Rの第3コレステリック液晶LMS23は、すべて同一方向である第1旋回方向に旋回し、いずれも左回りの第1円偏光を反射し、右回りの第2円偏光を透過するように構成されている。
【0113】
一方で、第1光学素子202Bの第1コレステリック液晶LMS21、第2光学素子202Gの第2コレステリック液晶LMS22、及び、第3光学素子202Rの第3コレステリック液晶LMS23は、すべて同一方向である第2旋回方向に旋回し、いずれも右回りの第2円偏光を反射し、左回りの第1円偏光を透過するように構成されている。
【0114】
図16は、表示装置DSPの光学作用を説明するための図である。図中の201(B、G、R)は、図15に示した第1光学素子201B、第2光学素子201G、及び、第3光学素子201Rの積層体を示し、図中の202(B、G、R)は図15に示した第1光学素子202B、第2光学素子202G、及び、第3光学素子202Rの積層体を示している。
【0115】
なお、図16において、光学素子201(B、G、R)を透過するまでの光学作用については、図11を参照して説明したのと同様であり、説明を省略する。また、液晶素子10は、例えば緑波長(第2波長)λgの光に対して最適化されているものとする。
【0116】
この場合、光学素子201(B、G、R)を透過した第2円偏光CP2のうち、第2波長の第2円偏光CP2は、液晶素子10において、第1円偏光CP1に変換されるとともにレンズ作用を受ける。液晶素子10を透過した第1円偏光CP1は、光学素子202(B、G、R)を透過した後、液晶素子10のレンズ作用により、ユーザの瞳Eに集光される。
【0117】
光学素子201(B、G、R)を透過した第2円偏光CP2のうち、第1波長の第2円偏光CP2、及び、第3波長の第2円偏光CP2は、いずれも、液晶素子10において、第1円偏光CP1に変換されるとともにレンズ作用を受けて集光されるが、それぞれの一部の第2円偏光CP2が第1円偏光に変換されることなく液晶素子10を透過する。このような第2円偏光CP2は、液晶素子10においてレンズ作用を受けず、不要光となる。
【0118】
不要光である第2円偏光CP2は、光学素子202(B、G、R)において反射され、液晶素子10を透過した際に第1円偏光CP1に変換される。この第1円偏光CP1は、光学素子201(B、G、R)において反射され、再び、液晶素子10を透過した際に第2円偏光CP2に変換されるが、微弱な第1円偏光CP1が第2円偏光に変換されることなく液晶素子10を透過する。
【0119】
液晶素子10を透過した第2円偏光CP2は、再び光学素子202(B、G、R)において反射される。また、液晶素子10を透過した微弱な第1円偏光CP1は、光学素子202(B、G、R)を透過するが、ユーザの瞳Eに到達する光のうちの不要光の割合は僅かであり、表示品位に与える影響は軽微である。
【0120】
このような第3構成例によれば、上記の第1構成例と同様に効果が得られる。加えて、液晶素子10においてレンズ作用を受けない不要光は、光学素子201(B、G、R)と光学素子202(B、G、R)との間で繰り返し反射されて減衰する。不要光は、多重画像(いわゆるゴースト)の原因となるが、上記の第3構成例によれば、ユーザの瞳Eに到達する不要光の割合が低減され、表示品位の低下を抑制することができる。
【0121】
《第4構成例》
図17は、表示装置DSPの第4構成例を示す断面図である。図17に示す第4構成例は、図9に示した第2構成例と比較して、広帯域型の第4位相差板R4及び偏光板PLを備えた点で相違している。
【0122】
第4位相差板R4は、赤波長、緑波長、及び、青波長の各々の光に対しても略1/4波長の位相差を付与する広帯域型の位相差板である。このような広帯域型の位相差板は、上記したように、例えば、1/4波長板と1/2波長板とを組み合わせることで実現される。偏光板PLは、第1直線偏光を透過し、第2直線偏光を吸収するものである。これらの第4位相差板R4及び偏光板PLは、広帯域型の円偏光板として機能する。
【0123】
光学素子20、液晶素子10、第4位相差板R4、及び、偏光板PLは、この順に、第3方向Zに沿って積層されている。液晶素子10は光学素子20に接し、第4位相差板R4は液晶素子10に接し、偏光板PLは第4位相差板R4に接している。光学素子20は、半透過層HMから離間しており、第3方向Zにおいて、空気層4Cを介して半透過層HMと対向している。また、光学素子20は半透過層HMと液晶素子10との間に配置され、液晶素子10は光学素子20と第4位相差板R4との間に配置され、第4位相差板R4は液晶素子10と偏光板PLとの間に配置されている。
【0124】
図17に示した表示装置DSPがヘッドマウントディスプレイ1に適用される場合、光学素子20は、第3構成例で説明したのと同様に、青波長(第1波長)λb、緑波長(第2波長)λg、及び、赤波長(第3波長)λrに対応するように最適化される。
【0125】
図18は、表示装置DSPの光学作用を説明するための図である。図中の20(B、G、R)は、第1光学素子20B、第2光学素子20G、及び、第3光学素子20Rの積層体を示している。
【0126】
第1光学素子20Bは、青波長(第1波長)λbの第1円偏光を反射し、第2円偏光を透過するように構成されている。第2光学素子20Gは、緑波長(第2波長)λgの第1円偏光を反射し、第2円偏光を透過するように構成されている。第3光学素子20Rは、赤波長(第3波長)λrの第1円偏光を反射し、第2円偏光を透過するように構成されている。
【0127】
なお、図18において、光学素子20(B、G、R)を透過するまでの光学作用については、図11を参照して説明したのと同様であり、説明を省略する。また、液晶素子10は、例えば緑波長(第2波長)λgの光に対して最適化されているものとする。
【0128】
この場合、光学素子20(B、G、R)を透過した第2円偏光CP2のうち、第2波長の第2円偏光CP2は、液晶素子10において、第1円偏光CP1に変換されるとともにレンズ作用を受ける。液晶素子10を透過した第1円偏光CP1は、第4位相差板R4を透過した際に第1直線偏光LP1に変換される。この第1直線偏光LP1は、偏光板PLを透過し、液晶素子10のレンズ作用により、ユーザの瞳Eに集光される。
【0129】
光学素子20(B、G、R)を透過した第2円偏光CP2のうち、第1波長の第2円偏光CP2、及び、第3波長の第2円偏光CP2は、いずれも、液晶素子10において、第1円偏光CP1に変換されるとともにレンズ作用を受けて集光されるが、それぞれの一部の第2円偏光CP2が第1円偏光に変換されることなく液晶素子10を透過する。このような第2円偏光CP2は、液晶素子10においてレンズ作用を受けず、不要光となる。
【0130】
不要光である第2円偏光CP2は、広帯域型の第4位相差板R4において、第2直線偏光LP2に変換され、偏光板PLにおいて吸収される。
【0131】
このような第4構成例によれば、上記の第1構成例と同様に効果が得られる。加えて、液晶素子10においてレンズ作用を受けない不要光は、第4位相差板R4及び偏光板PLによって構成された広帯域型の円偏光板によって吸収され、ユーザの瞳Eにほとんど到達しない。したがって、表示品位の低下を抑制することができる。
【0132】
以上説明したように、本実施形態によれば、薄型化及び軽量化が可能な表示装置を提供することができる。
【0133】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0134】
1…ヘッドマウントディスプレイ 2…表示パネル 3…照明装置 4…光学システム
DSP…表示装置
R1…第1位相差板 R2…第2位相差板 R3…第3位相差板
HM…半透過層 PR…反射偏光板
10…液晶素子 20…光学素子
LD…発光素子
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