(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6471 20110101AFI20240422BHJP
H01R 12/71 20110101ALN20240422BHJP
【FI】
H01R13/6471
H01R12/71
(21)【出願番号】P 2020184224
(22)【出願日】2020-11-04
【審査請求日】2023-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【氏名又は名称】伊東 秀明
(72)【発明者】
【氏名】大坂 純士
(72)【発明者】
【氏名】横山 陽平
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/080453(WO,A1)
【文献】特開2021-111596(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0335893(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00-12/91
H01R13/56-13/72
H01R24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームを備え、前記フレームの内側に相手側コネクタを嵌合させることが可能なコネクタであって、
前記フレームに設けられ、前記コネクタと嵌合した状態の前記相手側コネクタを取り囲む側壁と、
前記フレームの内側において異なる位置に配置された第一端子及び第二端子と、
前記フレームの内側において前記第一端子と前記第二端子との間に配置された遮断部と、
前記第一端子及び前記第二端子を保持するハウジングと、を備え、
前記ハウジングは、前記遮断部に取り付けられて前記フレームの内側に配置されており、
前記コネクタに前記相手側コネクタが嵌合した状態では、前記遮断部が、前記相手側コネクタが有する相手側遮断部と嵌合して電磁シールドを構成し、
前記遮断部は、前記相手側遮断部と嵌合する嵌合部分と、前記ハウジングが取り付けられる取り付け部分と、を有し、
前記嵌合部分は、前記相手側遮断部に設けられた凹部に入り込むことで前記相手側遮断部と嵌合し、
前記取り付け部分は、前記ハウジングの一部分が挿し込まれる挿し込み凹部と、前記挿し込み凹部の内側面から突出した圧入部と、を有し、
前記圧入部は、前記挿し込み凹部に挿し込まれた前記ハウジングの一部分に圧入され、
前記側壁が、前記フレームの全周に亘ってシームレスに連続しており、
前記側壁及び前記遮断部が、同一の部材によって構成されて一体化している、コネクタ。
【請求項2】
前記フレームが、前記コネクタと前記相手側コネクタとの嵌合方向における一端に開口を有し、
前記相手側コネクタは、前記開口から前記フレームの内側に入り込んで前記コネクタと嵌合し、
前記遮断部が、前記嵌合方向における前記フレームの前記開口とは反対側の端から前記嵌合方向に沿って突出している、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記フレームが、前記側壁のうち、前記嵌合方向における前記開口とは反対側の端部から前記フレームの内側に向かって延出した底壁を有し、
前記側壁、前記底壁、及び前記遮断部が同一の部材によって構成されており、且つ、シームレスに繋がっている、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記側壁、前記底壁、及び前記遮断部が同一の金属板によって構成されており、
前記遮断部が、前記金属板における前記底壁と前記遮断部との境界部分にて前記金属板を曲げることで形成された、請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記側壁のうち、前記嵌合方向において前記開口が位置する側の端部には、前記フレームの外側に向かって延出したフランジ部分が設けられており、
前記フランジ部分は、前記側壁において前記嵌合方向に延出した部分とシームレスに繋がっている、請求項2乃至4のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記コネクタと前記相手側コネクタとの嵌合方向と交差する交差方向において、前記第一端子と前記第二端子の間に前記遮断部が配置されており、
前記交差方向において、前記嵌合部分の端面と前記取り付け部分の端面とが同一平面上にある、請求項
1乃至5のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記フレームは、導電性を有し、
前記第一端子及び前記第二端子は、高周波信号伝送用の端子であり、
前記フレームの内側には、前記第一端子と前記第二端子の間に低周波信号伝送用の第三端子がさらに配置されており、
前記第一端子と前記第三端子との間、及び、前記第二端子と前記第三端子との間には、それぞれ前記遮断部が配置されている、請求項1乃至
6のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記遮断部が接地電位に接続されている、請求項1乃至
7のいずれか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに係り、特に、フレームを備え、フレームの内側に相手側コネクタを嵌合させることが可能なコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
フレームを備える従来のコネクタとしては、特許文献1に記載のコネクタ(以下、コネクタ1という)が挙げられる。コネクタ1は、
図17に示すレセプタクルコネクタであり、開口2を有するフレーム3の内側に、プラグコネクタである相手側コネクタ(不図示)を嵌合させることができる。フレーム3は、角筒形状をなしており、相手側コネクタがコネクタ1に嵌合した状態では相手側コネクタを取り囲む。
【0003】
フレーム3の内側には、
図17に示す信号伝送用の端子4が配置されており、端子4に対する外部からの電磁的干渉がフレーム3によって遮断されている。フレーム3は、例えば、金属板を加工して成形される。この場合、例えば、金属板に対して絞り加工を施すことにより、
図18に示すような周方向においてシームレスに連続したフレーム3が得られる。こうしたシームレスなフレーム3は、強度及び遮断性の面でより優れたものとなる。
【0004】
また、フレーム3の内側に複数の端子4が配置されている場合には、
図18に示すように、端子4同士の間に遮断部5が配置される。遮断部5は、電磁シールドであり、端子4同士の間の干渉、具体的にはクロストークを抑える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】中国実用新案第2211126218号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コネクタは、より簡単に組み立てることができるものが望ましく、コネクタを構成する部品の数が少なくなるほど、より簡単且つ安価にコネクタを組み立てることができる。そのため、
図17及び18に示すコネクタ1のようにシームレスなフレーム3を備える一方で、部品点数がより少ないコネクタの開発が期待されている。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、以下に示す目的を解決することを課題とする。本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、フレームの強度及び遮断性を確保しつつ、部品点数がより少ないコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明のコネクタは、フレームを備え、フレームの内側に相手側コネクタを嵌合させることが可能なコネクタであって、フレームに設けられ、コネクタと嵌合した状態の相手側コネクタを取り囲む側壁と、フレームの内側において異なる位置に配置された第一端子及び第二端子と、フレームの内側において第一端子と第二端子との間に配置された遮断部と、を備え、側壁が、フレームの全周に亘ってシームレスに連続しており、側壁及び遮断部が、同一の部材によって構成されて一体化していることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、フレームの側壁がフレームの全周に亘ってシームレスに連続しているため、フレームの強度及び遮断性(シールド性)が確保される。また、フレームの側壁と遮断部とが同一部材によって構成されて一体化しているので、部品点数がより少なくなる。この結果、コネクタの組み立て作業がより簡単になり、コネクタの製造コストを下げることができる。
【0010】
また、本発明のコネクタにおいて、フレームが、コネクタと相手側コネクタとの嵌合方向における一端に開口を有し、相手側コネクタは、開口からフレームの内側に入り込んでコネクタと嵌合し、遮断部が、嵌合方向におけるフレームの開口とは反対側の端から嵌合方向に沿って突出してもよい。
上記の構成によれば、フレームの開口を広く確保しつつ、フレームの開口とは反対側の端を利用して遮断部を適切に設けることができる。
【0011】
また、本発明のコネクタにおいて、フレームが、側壁のうち、嵌合方向における開口とは反対側の端部からフレームの内側に向かって延出した底壁を有し、側壁、底壁、及び遮断部が同一の部材によって構成されており、且つ、シームレスに繋がっていてもよい。
上記の構成によれば、フレームの側壁及び底壁を構成する部材の一部分を利用して遮断部を形成することが、より容易になる。
【0012】
また、本発明のコネクタにおいて、側壁、底壁、及び遮断部が同一の金属板によって構成されており、遮断部が、金属板における底壁と遮断部との境界部分にて金属板を曲げることで形成されてもよい。
上記の構成によれば、フレームの側壁及び底壁を構成する部材の一部分を利用して遮断部を形成することが、より一層容易になる。
【0013】
また、本発明のコネクタにおいて、側壁のうち、嵌合方向において開口が位置する側の端部には、フレームの外側に向かって延出したフランジ部分が設けられており、フランジ部分は、側壁において嵌合方向に延出した部分とシームレスに繋がっていてもよい。
換言すると、フレームの側壁を成形する際に、フレームの側壁にフランジ部分が設けられるような加工方法、例えば、絞り加工方法を用いてもよい。これにより、シームレスなフレームを製造することが、より容易になる。
【0014】
また、本発明のコネクタは、第一端子及び第二端子を保持するハウジングをさらに備えてもよい。この場合、ハウジングは、遮断部に取り付けられてフレームの内側に配置されており、コネクタに相手側コネクタが嵌合した状態では、遮断部が、相手側コネクタが有する相手側遮断部と嵌合して電磁シールドを構成し、遮断部は、相手側遮断部と嵌合する嵌合部分と、ハウジングが取り付けられる取り付け部分と、を有してもよい。
上記の構成によれば、フレームの側壁と同一の部材によって構成された遮断部の一部分を利用して、ハウジングをフレームの内側に保持することができる。
【0015】
また、本発明のコネクタにおいて、コネクタと相手側コネクタとの嵌合方向と交差する交差方向において、第一端子と第二端子の間に遮断部が配置されており、交差方向において、嵌合部分の端面と取り付け部分の端面とが同一平面上にあってもよい。
上記の構成によれば、遮断部において嵌合部分及び取り付け部分が同一平面上に並んで配置されるため、遮断部をよりコンパクト化することができる。
【0016】
また、本発明のコネクタにおいて、嵌合部分は、相手側遮断部に設けられた凹部に入り込むことで相手側遮断部と嵌合し、取り付け部分は、ハウジングの一部分が挿し込まれる挿し込み凹部と、挿し込み凹部の内側面から突出した圧入部と、を有し、圧入部は、挿し込み凹部に挿し込まれたハウジングの一部分に圧入されてもよい。
上記の構成によれば、適切に遮断部を相手側遮断部に嵌合させることができ、また、適切にハウジングを遮断部に取り付けることができる。
【0017】
また、本発明のコネクタにおいて、フレームは、導電性を有し、第一端子及び第二端子は、高周波信号伝送用の端子であり、フレームの内側には、第一端子と第二端子の間に低周波信号伝送用の第三端子がさらに配置されており、第一端子と第三端子との間、及び、第二端子と第三端子との間には、それぞれ遮断部が配置されていてもよい。
上記の構成によれば、第一端子と第二端子との間のクロストークを複数の遮断部によって効果的に抑えることができる。
【0018】
また、本発明のコネクタにおいて、遮断部が接地電位に接続されていてもよい。
上記の構成によれば、遮断部が端子間のクロストークを適切に抑えることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、フレームの強度及び遮断性が確保され、且つ、部品点数がより少ないコネクタが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一つの実施形態に係るコネクタの斜視図である。
【
図2】本発明の一つの実施形態に係るコネクタの平面図である。
【
図3】本発明の一つの実施形態に係るコネクタの底面図である。
【
図4】本発明の一つの実施形態に係るコネクタの前面図である。
【
図5】本発明の一つの実施形態に係るコネクタの側面図である。
【
図7】相手側コネクタと嵌合したコネクタの斜視図である。
【
図8】相手側コネクタと嵌合したコネクタの平面図である。
【
図9】相手側コネクタと嵌合したコネクタの側面図である。
【
図10】本発明の一つの実施形態に係るコネクタの分解図である。
【
図15】嵌合途中段階でのコネクタ及び相手側コネクタを示す図であり、コネクタ及び相手側コネクタの各々の前面図である。
【
図16】嵌合途中段階でのコネクタ及び相手側コネクタを示す図であり、
図9のJ-J断面に相当する断面を示す図である。
【
図17】一つの従来例に係るコネクタの斜視図である。
【
図18】一つの従来例に係るコネクタが備えるフレーム及び遮断部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明のコネクタについて、添付の図面に示した具体例を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の理解を容易にするために挙げた一例にすぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、以下の実施形態から変更又は改良され得る。また、本発明のコネクタ各部の材質、形状及び設計寸法等は、本発明の用途及び本発明の実施時点での技術水準等に応じて設定することができる。また、本発明には、その等価物が含まれる。
【0022】
また、以下では、互いに直交する3つの方向をX,Y,Z方向とし、コネクタと相手側コネクタとの嵌合方向がZ方向と対応する。ここで、Z方向は、コネクタの上下方向であり、X方向がコネクタの横幅方向であり、Y方向がコネクタの前後方向であることとする。
【0023】
なお、以下に説明するコネクタ各部の形状及び位置等は、+Z側をコネクタの上側とし、-Z側をコネクタの下側としてコネクタを見た場合の形状及び位置等であることとする。+Z側(上側)は、Z方向においてコネクタから見て相手側コネクタが位置する側であり、-Z側(下側)は、Z方向において相手側コネクタから見てコネクタが位置する側である。
【0024】
また、本明細書において、「直交」及び「平行」は、コネクタの分野において一般的に許容される誤差の範囲を含み、厳密な直交及び平行に対して数度(例えば2~3°)未満の範囲内でずれている状態も含むものとする。
【0025】
また、説明上の便宜のため、以下では、コネクタが相手側コネクタと嵌合することを、「コネクタ嵌合」と呼び、コネクタが相手側コネクタと嵌合している状態を、「コネクタ嵌合状態」と呼ぶこととする。
【0026】
<<コネクタの構成例について>>
本発明の一つの実施形態に係るコネクタ(以下、コネクタ10)の構成について、
図1~16を参照しながら説明する。
図12、13及び16に示す断面は、後述する遮断部40を通過する断面(XZ面)である。
【0027】
コネクタ10は、
図1~5に示すリセプタクルコネクタであり、コネクタ10の下端にて不図示の基板に実装されている。コネクタ10は、上下方向(Z方向)において、
図6に示すプラグコネクタである相手側コネクタ100と嵌合可能である。
【0028】
コネクタ10は、
図1~3に示すように、フレーム11と、ハウジング20と、複数のコンタクト31,32,33を有する。相手側コネクタ100は、
図6及び7に示すように、相手側フレーム102と、底壁104と、コンタクト保持部106,108と、相手側コンタクト111,112,113とを有する。
【0029】
フレーム11は、コネクタ10の外周壁をなしており、相手側フレーム102は、相手側コネクタ100の外周壁をなしている。フレーム11及び相手側フレーム102は、いずれも、平面視で略矩形状をなす中空枠であり、例えば、金属板等の導電性材料によって構成されている。フレーム11は、
図1及び2に示すように、その内側にある凹部空間を取り囲んでいる。フレーム11の上端(Z方向における一端)には、開口10Aが設けられている。
【0030】
コネクタ嵌合時には、
図7及び16に示すように、相手側コネクタ100が開口10Aからフレーム11の内側にある凹部空間に嵌り込む。コネクタ嵌合状態では、フレーム11が相手側コネクタ100の全周に亘って相手側コネクタ100を取り囲み、詳しくは、フレーム11の内周面に相手側フレーム102の外周面が接している。
【0031】
コネクタ10において、フレーム11の内側には、
図1及び2に示すように、ハウジング20とコンタクト31,32,33が配置されている。一方、相手側コネクタ100では、
図6に示すように、相手側フレーム102の内側において、コンタクト31,32,33と対応する位置に相手側コンタクト111,112,113が配置されている。相手側コンタクト111,112,113は、底壁104から突出した凸状のコンタクト保持部106,108によって保持されている。
【0032】
コンタクト31,32,33は、信号伝送用又は給電用の端子であり、
図1及び2に示すようにフレーム11の内側に配置されている。このうちの二つのコンタクト31,32は、高周波信号伝送用の端子であり、つまりRF(Radio Frequency)用の端子である。高周波とは、例えば6GHz以上の周波数帯域であり、5G(5th Generation)等に利用される周波数帯域を含む。
【0033】
コンタクト31,32は、対をなしており、Y方向において、互いに異なる位置に配置され、詳しくは、コネクタ10の中央を境にして対称に配置されている。+Y側に配置されたコンタクト31は、第一端子に相当し、-Y側に配置されたコンタクト32は、第二端子に相当する。一対のコンタクト31,32の各々は、X方向において、同じ位置に配置されてもよく、あるいは互いに異なる位置に配置されてもよい。
【0034】
コンタクト33は、
図1及び2に示すようにフレーム11の内側に複数(図示の形態では6個)配置されている。複数のコンタクト33は、低周波信号伝送用の端子を少なくとも含み、給電用の端子をさらに含んでもよい。複数のコンタクト33の各々は、第三端子に相当し、Y方向において、第一端子であるコンタクト31と、第二端子であるコンタクト32の間に配置されている。複数のコンタクト33は、X及びY方向の各方向において規則的に、例えば、コネクタ10の中央を境にして対称的に配置されてもよく、あるいは、ランダムに配置されてもよい。
【0035】
コネクタ嵌合状態では、コンタクト31,32,33が、相手側コンタクト111,112,113のうち、対応するコンタクトと接触して電気的に接続される。例えば、コンタクト31は、相手側コンタクト111と対応し、コンタクト32は、相手側コンタクト112と対応する。また、各コンタクト31,32,33は、例えば、+Z側が開いたアーチ形状の部分を備え、各相手側コンタクト111,112,113は、棒形状をなしている。そして、各コンタクトのアーチ形状部分の内側に、対応する相手側コンタクトが挿し込まれることで、両者が接触して電気的に接続される。
【0036】
ハウジング20は、コンタクト31,32,33を保持する絶縁性の部品であり、フレーム11の内側、すなわち凹部空間に配置される。ハウジング20は、
図1及び2に示すように、平面視で略長方形状をなしており、複数のパーツに分かれている。
【0037】
具体的に説明すると、ハウジング20は、ハウジング20のY方向中央部をなす部分(以下、ハウジング中央部21)と、ハウジング20のY方向両端部をなす(以下、ハウジング端部22)とを有する。ハウジング中央部21は、
図1及び2に示すように、X方向において中央部に位置する凸部(以下、中央凸部23)と、X方向において中央凸部23の両脇に位置する凸部(以下、側方凸部24)とを備える。中央凸部23及び二つの側方凸部24は、それぞれ、Y方向に延びており、中央凸部23と側方凸部24の間には凹型の嵌め込み溝25が設けられている。それぞれの嵌め込み溝25には、コンタクト33が嵌め込まれている(
図10参照)。
【0038】
+Y側のハウジング端部22と、-Y側のハウジング端部22とは、Y方向においてコネクタ10の中央を境にして対称な形状である。各ハウジング端部22は、
図1に示すように、X方向に延びた凸部である。ハウジング端部22のうち、Y方向における外側の端部には、
図2に示すように、Y方向内側に凹んで形成された凹部(以下、嵌め込み凹部26)が設けられている。+Y側のハウジング端部22に設けられた嵌め込み凹部26にはコンタクト31が、-Y側のハウジング端部22に設けられた嵌め込み凹部26にはコンタクト32が、それぞれ、Y方向内側に圧入されて嵌め込まれている。
【0039】
ハウジング中央部21とハウジング端部22とは、それらの間に設けられた部分、詳しくは後述の被挿し込み部分27により連結されて一体化している(
図10参照)。ハウジング20は、例えば、樹脂成型品であり、一回の樹脂成型加工において、互いに連結されたハウジング中央部21及びハウジング22端部を有するハウジング20が成形される。
【0040】
また、コネクタ10は、
図1、2及び10に示すように、フレーム11の内側に遮断部40を備えている。遮断部40は、
図2に示すように、Y方向(つまり、Z方向と交差する交差方向)において、一対のコンタクト31、32の間に配置されている。
【0041】
より詳しくは、Y方向において、+Y側のコンタクト31と複数のコンタクト33との間、及び、-Y側のコンタクト32と複数のコンタクト33との間に、それぞれ、遮断部40が一つずつ配置されている。つまり、
図1等に図示のケースでは、フレームの内側に2つの遮断部40が一対のコンタクト31、32の間に配置されている。ただし、遮断部40の個数は、特に限定されず、少なくとも一つの遮断部40が一対のコンタクト31、32の間に配置されていればよい。
【0042】
遮断部40は、接地電位(グランド電位)に接続されている。具体的には、コネクタ10が実装された基板には不図示の接地用の導電パターンが形成されており、遮断部40は、その下端が接地用の導電パターンに接することで設置されている。また、コネクタ嵌合状態では、遮断部40が、
図13に示すように、相手側コネクタ100が有する相手側遮断部114と嵌合して電磁シールドを構成する。この電磁シールドは、一対のコンタクト31,32の間における信号(特に、高周波信号)のクロストークを抑える。
【0043】
次に、フレーム11の構成について詳しく説明する。フレーム11は、導電性を有し、フレーム11の内側にはコンタクト31,32,33が配置されている。つまり、コンタクト31,32,33は、導電性を有するフレーム11によって取り囲まれている。また、フレーム11は、コネクタ10が実装された基板のうち、不図示の接地用の導電パターンに接し、接地電位に接続されている。これにより、フレーム11は、シールド性を発揮し、コンタクト31,32,33に対する外界からの影響(電磁的干渉)を遮断する。
【0044】
フレーム11は、
図10~12に示すように、側壁12と底壁17とを有する。側壁12は、
図11に示すように平面視で矩形状をなし、ハウジング20の外側面を取り囲む。また、コネクタ嵌合状態では、側壁12の内周面が相手側コネクタ100の外周面(詳しくは、相手側フレーム102の外周面)に接する。
【0045】
側壁12は、
図10及び11に示すように、一対の長辺部分13,14と一対の短辺部分15,16とを有する。一対の長辺部分13,14は、X方向において互いに平行に並び間隔を空けて配置されており、Y方向に長く延びている。一対の短辺部分15,16の各々は、X方向に延びて一対の長辺部分13,14の長手方向端部同士を連結している。各短辺部分15,16の長さは、各長辺部分13,14の長さよりも短い。
【0046】
側壁12の各部分(すなわち、一対の長辺部分13,14及び一対の短辺部分15,16)は、
図10~12に示すように、継ぎ目なく且つ切れ目なく繋がっている。つまり、側壁12は、フレーム11の全周に亘ってシームレスに連続している。フレーム11の全周とは、フレーム11の周方向における全範囲であり、フレーム11の周方向は、フレーム11が凹部空間を取り囲む方向であり、換言すると凹部空間の外縁に沿う方向である。
【0047】
一対の長辺部分13,14及び一対の短辺部分15,16は、それぞれ、
図12に示すように、底壁17から立ち上がって+Z側に延出した立ち上がり部分51を有する。また、
図10及び12に示すように、一対の長辺部分13,14、及び一対の短辺部分15,16は、それぞれの上端部(すなわち、Z方向において開口10Aが位置する側の端部)に、屈曲部分52とフランジ部分53とを有する。
【0048】
屈曲部分52は、立ち上がり部分51と連続しており、フレーム11の外側に向かって屈曲した部分である。フランジ部分53は、屈曲部分52と連続しており、屈曲部分52からフレーム11の外側に延出した鍔状の部分である。
【0049】
屈曲部分52及びフランジ部分53は、フレーム11において開口10Aを取り囲むように設けられており、また、案内部54を構成する。案内部54は、側壁12のうち、Z方向において開口10A側にある端部(つまり、上端部)に設けられ、開口10Aからフレーム11の内側へ相手側コネクタ100を案内する部分である。案内部54が設けられていることで、コネクタ嵌合時には、相手側コネクタ100がフレーム11の内側で正しく位置決めされるように、相手側コネクタ100をフレーム11の内側に適切に案内することができる。
【0050】
また、案内部54は、
図10及び11に示すように、フレーム11の全周に亘って、側壁12の上端部(開口10Aがある側の端部)に設けられている。これにより、コネクタ嵌合時に、相手側コネクタ100をフレーム11の内側に支障なく案内することができる。詳しくは、例えば、案内部54がフレーム11の周方向において途切れている構成では、案内部54が途切れた箇所に相手側コネクタ100が引っ掛かってしまう虞がある。これに対して、案内部54がフレーム11の全周に亘って設けられているので、コネクタ嵌合時に上記の不具合が生じるのを回避することができる。
【0051】
フレーム11は、コネクタ嵌合状態において相手側コネクタ100の外周面と接し、その状態を良好に維持することができる。詳しく説明すると、一対の長辺部分13,14のそれぞれのY方向中央部、及び、一対の短辺部分15,16のそれぞれのX方向中央部には、
図11に示すように、突出部分55が設けられている。突出部分55は、
図12に示すように、側壁12の中の他の部分(突出部分55以外の部分)よりもフレーム11の内側に突出した部分である。また、突出部分55は、Z方向において側壁12の上端部、より詳しくは、立ち上がり部分51と屈曲部分52との境界周辺に設けられている。
【0052】
コネクタ嵌合状態では、
図8に示すように、側壁12の内周面のうち、突出部分55が備えられた領域が相手側コネクタ100の外周面、詳しくは相手側フレーム102の外周面に接する。このように側壁12に突出部分55が設けられていることで、側壁12が相手側コネクタ100と接し易くなり、この結果、コネクタ嵌合状態を安定させて良好に維持することができる。
【0053】
突出部分55は、例えば、
図12に示すように、側壁12を構成する部材(具体的には、後述の金属板M)のうち、突出部分55が形成される部分をフレーム11の内側に押し込んでアーチ状に湾曲させることで形成される。また、各長辺部分13,14に設けられた突出部分55は、Y方向において、各長辺部分13,14の長さの1/3以上の長さ、好ましくは1/2以上の長さを有するとよい。各短辺部分15,16に設けられた突出部分55は、X方向において、各短辺部分15,16の長さの1/3以上の長さ、好ましくは1/2以上の長さを有するとよい。
【0054】
フレーム11の底壁17は、側壁12の下端(Z方向における開口10Aとは反対側の端部)からフレーム11の内側に向かって延出している。底壁17は、XY平面に沿った平板からなり、
図10及び11に示すように、その大部分が打ち抜かれている。底壁17は、フレーム11の内側において凹部空間の外縁を縁取るように設けられた細幅な縁部18と、凹部空間の四隅において略矩形の断片状に存在する角部19とを有する。
【0055】
また、
図11に示すように、X方向において隣り合う二つの角部19の間には、遮断部40が配置されている。隣り合う二つの角部19は、Y方向において互いに離れた位置に二組設けられており、+Y側で隣り合う二つの角部19の間、及び-Y側で隣り合う二つの角部19の間に、それぞれ遮断部40が配置されている。
【0056】
それぞれの遮断部40は、底壁17の一部、具体的には隣り合う二つの角部19の各々と連続している。また、遮断部40は、
図12に示すように、底壁17、すなわちフレーム11のZ方向における開口10Aとは反対側の端から+Z側に突出している。また、遮断部40は、X方向におけるフレーム11の中央を境にして線対称な形状をなしている。具体的に説明すると、
図12に示すように、X方向において、遮断部40の中央部には嵌合部分41が設けられ、遮断部40の両端部の各々には取り付け部分44が設けられている。
【0057】
取り付け部分44は、
図12に示すように、Y方向から見たときに逆U字形状をなしており、取り付け部分44の-Z側の端から+Z側に向かって形成された挿し込み凹部45を有する。挿し込み凹部45には、
図12に示すように、ハウジング20の一部分である被挿し込み部分27が挿し込まれる。
【0058】
被挿し込み部分27は、Y方向においてハウジング中央部21とハウジング端部22との間に位置し、X方向におけるハウジング20の中心を境にして線対称の位置に2箇所設けられている。それぞれの被挿し込み部分27は、Z方向においてハウジング中央部21及びハウジング端部22よりも高さが低く、X方向に若干の幅を有する柱状凸部である。
【0059】
挿し込み凹部45は、被挿し込み部分27の高さに応じた深さを有し、被挿し込み部分27の幅より僅かに広い幅を有する。挿し込み凹部45の内側には、X方向において並ぶ一対の内側面が設けられている。また、
図12に示すように、一対の内側面のうち、遮断部40のY方向中央により近い側の内側面からは圧入部46が突出している。圧入部46は、被挿し込み部分27が挿し込み凹部45に挿し込まれた際に、被挿し込み部分27に圧入され、詳しくは被挿し込み部分27に食い込む。
【0060】
以上のように、被挿し込み部分27は、挿し込み凹部45に挿し込まれることにより、取り付け部分44に取り付けられる。この結果、ハウジング20は、フレーム11の内側で遮断部40を介してフレーム11に支持される。
【0061】
嵌合部分41は、
図12に示すように、X方向において二つの取り付け部分44の間に位置し、遮断部40の-Z側の端部に設けられた連結部分42と、連結部分42のX方向中央部から+Z側に突出した一対の突出片43とを有する。
【0062】
連結部分42は、X方向に直線状に延びており、二つの取り付け部分44同士を連結している。一対の突出片43は、Y方向から見たときに略V字状に並んで配置されている。各突出片43は、それぞれ、例えば板バネによって構成されて弾性を有し、突出片43の間隔が狭まるように弾性変形することができる。また、各突出片43の先端は、
図12に示すように、X方向の外側に向けて山状に突出した接触凸部47を有する。
【0063】
コネクタ嵌合状態では、
図13に示すように、嵌合部分41が、相手側コネクタに設けられた相手側遮断部114と嵌合する。詳しく説明すると、相手側遮断部114のX方向中央部には、嵌合部分41と対応する位置に形成された凹部(以下、嵌合凹部116)が設けられている。嵌合凹部116は、一対の突出片43の両方の先端部(すなわち、接触凸部47)を収容するのに十分な深さを有する。また、嵌合凹部116の幅(X方向の長さ)は、突出片43同士の間隔、厳密には、各突出片43が弾性変形する前の時点での間隔より若干狭い。
【0064】
コネクタ嵌合時、嵌合部分41が有する一対の突出片43は、
図13に示すように、弾性変形して突出片43同士の間隔を狭めながら、嵌合凹部116の奥側に入り込む。これにより、嵌合部分41が嵌合凹部116と嵌合する。嵌合部分41が嵌合凹部116の奥部まで入り込んだ状態では、一対の突出片43の各々の先端、すなわち接触凸部47が嵌合凹部116の内側面に接触する。なお、嵌合凹部116の内側面には、接触凸部47とフィットするように接触凸部47の湾曲形状と対応させて形成された窪みが設けられていると好ましい。
【0065】
嵌合部分41が相手側遮断部114と嵌合した状態、すなわち、コネクタ嵌合状態では、遮断部40が相手側遮断部114とともに電磁シールドを構成する。この電磁シールドは、前述したように、高周波信号伝送用の二つのコンタクト31,32の間における信号のクロストークを抑える。
【0066】
+Y側の遮断部40及び-Y側の遮断部40のそれぞれにおいて、嵌合部分41及び二つの取り付け部分44の各々は、
図10及び11に示すように、Y方向において同一の位置に配置されているとよい。また、嵌合部分41及び取り付け部分44のそれぞれの厚み(Y方向における長さ)が略均一であると、より好適である。換言すると、Y方向において、嵌合部分41の端面と取り付け部分44の端面とが同一平面上にあるとよい。この場合には、遮断部40をコンパクト化することができ、フレーム11内における遮断部40の配置スペースをより小さくすることができる。
【0067】
本発明のコネクタ10では、部品点数を少なくする目的から、フレーム11の側壁12、底壁17及び遮断部40が同一の部材によって構成されて一体化している。詳しく説明すると、フレーム11の側壁12及び底壁17とが同一の部材、具体的には一枚の金属板Mによって構成されており、同一の金属板Mの一部を利用して遮断部40が形成されている。金属板Mの材質は、特に限定されないが、例えば、黄銅及び青銅等の銅合金、又はステンレス等が挙げられる。また、金属板Mの板厚は、特に限定されないが、例えば0.06mm~0.15mmに設定される。
【0068】
本発明のコネクタ10が有するフレーム11は、例えば、
図14に示すように金属板Mに対して絞り加工(厳密には角筒絞り加工)を適用することで製造することができる。具体的には、金属板Mの外縁部分をダイス等によって挟んで保持しながら、金属板Mのうち、外縁部分よりも内側に位置する部分にパンチ等の押し付け器具Pを押し当てる。これにより、
図14に示すように、絞り底部を有する角筒型の金属成型品(以下、フレーム基材F)が得られる。絞り底部は、絞り加工時に金属板Mを押し込んで形成される部分のうち、最奥部(底部)に位置する部分である。
【0069】
フレーム基材Fのうち、押し付け器具Pが押し当たった面側(以下、上面側)には、開口が形成され、この開口は、フレーム11の完成時点で開口10Aとなる。また、フレーム基材F中の角筒部分は、フレーム11の完成時点で側壁12となる。また、金属板Mのうち、絞り加工の実施中に挟まれていた外縁部分は、フレーム基材Fの上面側において鍔状の縁部として残り、フレーム11の完成時点ではフランジ部分53となる。
【0070】
絞り加工の実施後、フレーム基材Fの底部が所定の形状に打ち抜かれる。これにより、フレーム基材Fのうち、絞り底部には、フレーム11の底壁17(詳しくは、縁部18及び角部19)に相当する部分と、遮断部40に相当する部分とが残る。この段階において、底壁17に相当する部分(詳しくは、角部19に相当する部分)と、遮断部40に相当する部分とは、連続して繋がっている。
【0071】
その後、底壁17に相当する部分と遮断部40に相当する部分との境界にて、絞り底部を折り曲げる。より詳しくは、絞り底部のうち、遮断部40に相当する部分を、底壁17に相当する部分に対して略90度折り曲げて起立させる。
【0072】
以上の手順を経て、一枚の金属板Mからフレーム11が製造される。上記の手順によって製造されたフレーム11では、側壁12が、フレーム11の全周に亘ってシームレスに連続している。これにより、フレーム11の強度及び遮断性(シールド性)が確保される。
【0073】
また、側壁12の各部では、立ち上がり部分51とフランジ部分53とがシームレスに繋がっている。立ち上がり部分51とフランジ部分53との間には屈曲部分52が設けられ、屈曲部分52及びフランジ部分53が案内部54を構成する。このように一枚の金属板Mに対して絞り加工を施してフレーム11を製造する過程において、案内部54を付随的に形成することができる。
【0074】
さらに、フレーム11の側壁12と底壁17とがシームレスに繋がっており、遮断部40が底壁17とシームレスに繋がっている。特に、遮断部40は、金属板Mにおける底壁17と遮断部40との境界部分にて金属板Mを曲げることで形成されている。これにより、フレーム11と遮断部40とを別々に設けることが必要な従来のコネクタ(例えば、特許文献1に記載のコネクタ1)と比較して、コネクタ構成部品の数を少なくすることができる。
【0075】
より詳しく説明すると、特許文献1に記載されたコネクタ1のフレーム3を絞り加工によって製造する場合、加工時に押し付け器具Pが押し当たった面(換言すると、フランジ部分が形成される側の面)が不図示の基板に固定される。他方、押し付け器具Pを押し付けて形成される絞り底部は、打ち抜かれ、その打ち抜き孔が、相手側コネクタをフレーム3の内側に嵌め入れるための開口2となる。こうした手順により製造されたフレーム3の内側に遮断部5を設ける場合には、遮断部5を構成する部品をフレーム3とは別に用意し、当該部品をフレーム3の下端部(基板側の端部)に組み付けることになる。
【0076】
これに対して、本発明のコネクタ10に備えられたフレーム11は、絞り加工によって製造されるものではあるが、加工時に押し付け器具Pが押し当たった面を上面(+Z側の面)とする。つまり、押し付け器具Pを押し付けて形成される絞り底部が、フレーム11の下端部に相当する。このような構成では、絞り底部の一部を利用して遮断部40を形成することができる。そのため、遮断部40を別部品とする必要がなくなり、部品点数が削減される。また、部品点数の減少により、コネクタ製造コストを下げることができる。
【0077】
また、特許文献1に記載のコネクタ1に備えられたフレーム3を絞り加工によって製造する場合には、前述したように、絞り底部を打ち抜く等して、相手側コネクタを嵌め込むための開口2を形成する。この際、相手側コネクタの寸法に応じて比較的大きいサイズの孔を打ち抜く必要がある。
【0078】
これに対して、本発明のコネクタ10に備えられたフレーム11では、前述のように、絞り加工時に押し付け器具Pが押し当たって形成された開口が、相手側コネクタ100を嵌め込むための開口10Aとして、そのまま利用される。つまり、本発明によれば、開口10Aを確保するために絞り底部を大きく打ち抜く必要がなく、必要なサイズの開口10Aを有するフレーム11を絞り加工によって容易に製造することができる。
【0079】
以上のように本発明では、一枚の金属板Mに対して絞り加工及び曲げ加工を施すことにより、遮断部40とシームレスに一体化されたフレーム11を容易に製造することができる。これにより、製造コストがより安価なコネクタを提供することができる。
【0080】
<<その他の実施形態>>
以上までに本発明のコネクタの構成について、具体例を挙げて説明してきたが、上述の実施形態は、本発明の理解を容易にするために挙げた一例に過ぎず、上記以外の実施形態も考えられ得る。
【0081】
上述の実施形態では、フレーム11の側壁12、底壁17及び遮断部40が同一の部材によって構成されて一体化しており、遮断部40が底壁17から+Z側に突出している。つまり、上述の実施形態では、遮断部40が底壁17と連続しているが、これに限定されるものではない。例えば、遮断部40が側壁12と連続しており、具体的には、側壁12が有する一対の長辺部分13,14の一方又は両方から遮断部40がX方向に延びてもよい。
【0082】
また、上述の実施形態では、シームレス構造のフレーム11を絞り加工によって製造する例を説明したが、これに限定されず、シームレス構造のフレーム11を製造することができる限り、他の加工方法を用いてもよい。例えば、削り出し及び引き抜き加工等を用いてもよい。
【0083】
また、上述の実施形態では、フレーム11の側壁12の上端部(+Z側の端部)に屈曲部分52及びフランジ部分53が設けられていることとした。ただし、これに限定されず、屈曲部分52及びフランジ部分53が設けられていない構成、すなわち、側壁12の上端部が折り曲げられずに+Z側に真っ直ぐ延びた構成でもよい。
【0084】
また、上述の実施形態では、フレーム11の側壁12が平面視で矩形形状であることとした。ただし、側壁12の形状は、平面視で矩形以外の形状でもよく、例えば、円形、楕円形、菱形、台形又は平行四辺形、あるいは四角形以外の多角形等であってもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 コネクタ
2 開口
3 フレーム
4 端子
5 遮断部
10 コネクタ
10A 開口
11 フレーム
12 側壁
13,14 長辺部分
15,16 短辺部分
17 底壁
18 縁部
19 角部
20 ハウジング
21 ハウジング中央部
22 ハウジング端部
23 中央凸部
24 側方凸部
25 嵌め込み溝
26 嵌め込み凹部
27 被挿し込み部分
31 コンタクト(第一端子)
32 コンタクト(第二端子)
33 コンタクト(第三端子)
40 遮断部
41 嵌合部分
42 連結部分
43 突出片
44 取り付け部分
45 挿し込み凹部
46 圧入部
47 接触凸部
51 立ち上がり部分
52 屈曲部分
53 フランジ部分
54 案内部
55 突出部分
100 相手側コネクタ
102 相手側フレーム
104 底壁
106,108 コンタクト保持部
111,112,113 相手側コンタクト
114 相手側遮断部
116 嵌合凹部
F フレーム基材
M 金属板
P 押し付け器具