(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】電力供給システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240422BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20240422BHJP
H02J 9/06 20060101ALI20240422BHJP
B60L 50/61 20190101ALN20240422BHJP
【FI】
H02J7/00 302A
H02J3/32
H02J9/06 120
B60L50/61
(21)【出願番号】P 2020198985
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2023-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸野 裕司
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-178884(JP,A)
【文献】特開2015-136199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00-7/12
H02J 7/34-11/00
B60L 1/00-3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設けられると共に当該建物内の第1回路に直流電力を交流電力に変換可能な第1電力変換部を介して電力を供給可能とされた第1蓄電部と、
前記建物の外周に配置されると共に交流電力を直流電力に変換可能な第2電力変換部を介して前記第1蓄電部への電力の供給を可能とされた第1外側コンセントと、
前記建物の外周に配置されると共に当該建物内の第2回路に電力を供給可能とされた第2外側コンセントと、
前記建物の内周側に配置されると共に前記第1回路への接続と前記第2回路への接続とを切り替える回路切替部を介して前記第1回路又は前記第2回路から電力を供給可能とされた内側コンセントと、
車両に搭載された第2蓄電部と、
前記車両に設けられ、直流電力を交流電力に変換可能な第3電力変換部を介して前記第2蓄電部から電力を供給可能とされると共に、ケーブルを介して前記第1外側コンセント又は前記第2外側コンセントに接続可能とされた車両側コンセントと、
を有する電力供給システム。
【請求項2】
前記車両は、自動運転制御部を備えており、当該自動運転制御部による自動運転で前記第1外側コンセント又は前記第2外側コンセントに前記車両側コンセントから給電可能な位置まで移動可能とされている、
請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記自動運転制御部は、送電施設から前記建物への給電環境の悪化が予測されたときに入力される第1信号及び前記第1蓄電部の電力量が所定値以下になったときに入力される第2信号の少なくとも一方に基づいて前記車両の前記建物への走行を開始させる、
請求項2に記載の電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、建物の電源システムに関する発明が開示されている。この建物の電源システムでは、住宅用バッテリと車載バッテリとを接続し、車載バッテリからの電力を住宅用バッテリに蓄えることができる。また、建物内の回路と車載バッテリとを電気的に接続し、建物内の電気負荷に車載バッテリから電力を供給することができる。このため、災害時等の停電時においても建物内への給電を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の先行技術では、車載バッテリ側から供給される電力が直流電力であり、建物側で直流電力を交流電力に変換する必要があるため、建物内において、車載バッテリ側から電気負荷への電力の供給経路が複雑になることが考えられる。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、停電時においても建物内への給電を行うことができると共に、建物内において車両側から電気負荷への電力の供給回路の簡略化を図ることができる電力供給システムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る電力供給システムは、建物に設けられると共に当該建物内の第1回路に直流電力を交流電力に変換可能な第1電力変換部を介して電力を供給可能とされた第1蓄電部と、前記建物の外周に配置されると共に交流電力を直流電力に変換可能な電力変換部を介して前記第1蓄電部への電力の供給を可能とされた第1外側コンセントと、前記建物の外周に配置されると共に当該建物内の第2回路に電力を供給可能とされた第2外側コンセントと、前記建物の内周側に配置されると共に前記第1回路への接続と前記第2回路への接続とを切り替える回路切替部を介して前記第1回路又は前記第2回路から電力を供給可能とされた内側コンセントと、車両に搭載された第2蓄電部と、前記車両に設けられ、直流電力を交流電力に変換可能な第3電力変換部を介して前記第2蓄電部から電力を供給可能とされると共に、ケーブルを介して前記第1外側コンセント又は前記第2外側コンセントに接続可能とされた車両側コンセントと、を有している。
【0007】
第1の態様に係る電力供給システムでは、建物に第1蓄電部が設けられており、当該第1蓄電部は、当該建物内の第1回路に第1電力変換部を介して電力を供給することができる。また、第1電力変換部は、直流電力を交流電力に変換可能とされており、第1蓄電部からの直流電力は、第1電力変換部で交流電力に変換されて、第1回路に供給される。
【0008】
また、建物の外周には、第1外側コンセントが設けられており、当該第1外側コンセントからは、交流電力を直流電力に変換可能な第2電力変換部を介して第1蓄電部へ電力を供給することができる。さらに、建物の外周には、第2外側コンセントが配置されており、当該第2外側コンセントからは、当該建物内の第2回路に電力を供給することができる。
【0009】
また、建物の内周側には、内側コンセントが配置されており、当該内側コンセントは、第1回路への接続と第2回路への接続とを切り替える回路切替部を介して第1回路又は第2回路から電力を供給可能とされている。このため、本態様では、建物の第1蓄電部及び第2外側コンセントから供給された電力を内側コンセントに接続された種々の電気負荷に供給することができる。
【0010】
一方、車両には、第2蓄電部が搭載されており、当該第2蓄電部に蓄えられた電力を、当該車両に設けられた車両側コンセントからケーブルを介して建物の第1外側コンセント又は第2外側コンセントに供給することが可能となっている。このため、本態様では、停電時において、車両の第2蓄電部から建物の第1蓄電部又は当該建物内の第2回路に接続された電気負荷に電力を供給することができる。
【0011】
ところで、車両の第2蓄電部から建物側に供給される電力が直流電力である場合、第2回路に接続された電気負荷に電力を供給するには、建物側で第2蓄電部から供給される電力を交流電力に変換する必要がある。その結果、建物内において、第2蓄電部から電気負荷への電力の供給経路が複雑になることが考えられる。
【0012】
ここで、本態様では、車両に搭載された第2蓄電部の電力を、直流電力を交流電力に変換可能な第3電力変換部を介して当該車両に設けられた車両側コンセントに供給することができる。その結果、車両側コンセントには、車両の第2蓄電部側から交流電力を供給することができ、第2蓄電部から第2外側コンセントを介して供給された電力を交流電力に変換することなく、建物内の電気負荷に供給することができる。
【0013】
一方、第2蓄電部から第1外側コンセントを介して供給された電力は、第2電力変換部で直流電力に変換されて建物の第1蓄電部に蓄えられる。
【0014】
第2の態様に係る電力供給システムは、第1の態様に係る電力供給システムにおいて、前記車両は、自動運転制御部を備えており、当該自動運転制御部による自動運転で前記第1外側コンセント又は前記第2外側コンセントに前記車両側コンセントから給電可能な位置まで移動可能とされている。
【0015】
第2の態様に係る電力供給システムでは、車両が自動運転制御部を備えており、当該車両は、当該自動運転制御部による自動運転で建物の第1外側コンセント又は第2外側コンセントに車両側コンセントから給電可能な位置まで移動する。
【0016】
このため、本態様では、建物の近くに第2蓄電部を備えた車両が無い場合にも車両側から建物側への給電を行うことができる。
【0017】
第3の態様に係る電力供給システムは、第1の態様に係る電力供給システムにおいて、前記自動運転制御部は、送電施設から前記建物への給電環境の悪化が予測されたときに入力される第1信号及び前記第1蓄電部の電力量が所定値以下になったときに入力される第2信号の少なくとも一方に基づいて前記車両の前記建物への走行を開始させる。
【0018】
第3の態様に係る電力供給システムでは、自動運転制御部が、送電施設から建物への給電環境の悪化が予測されたときに入力される第1信号及び建物の第1蓄電部の電力量が所定値以下になったときに入力される第2信号の少なくとも一方に基づいて、車両の建物への走行を開始させる。
【0019】
このため、本態様では、建物の電力が不足する前に、第2蓄電部を備えた車両を当該建物の近傍に配置することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、第1の態様に係る電力供給システムでは、停電時においても建物内への給電を行うことができると共に、建物内において車両側から電気負荷への電力の供給回路の簡略化を図ることができるという優れた効果を有する。
【0021】
第2の態様に係る電力供給システムでは、停電時において建物への電力を安定して確保することができるという優れた効果を有する。
【0022】
第3の態様に係るガレージの電力供給システムでは、建物で使用する電力が不足する前に、建物に供給可能な電力を確保することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本実施形態に係る電力供給システムを備えた建物の構成を模式的に示す平面図である。
【
図2】本実施形態に係る電力供給システムを備えた建物において、建物の外周に設けられたコンセントと建物内に設置された電気負荷との関係を模式的に示す断面図である。
【
図3】本実施形態に係る電力供給システムを備えた建物において、建物の外周に設けられたコンセントと建物内に設置されたバッテリユニットとの関係を模式的に示す断面図である。
【
図4】本実施形態に係る電力供給システムにおいてバッテリ制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図5】本実施形態に係る電力供給システムにおいて車両に搭載された自動運転制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図6】本実施形態に係る電力供給システムにおいてサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図7】本実施形態に係る電力供給システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図8】本実施形態に係る電力供給システムにおいて車両に搭載された自動運転制御装置による車両の自動運転時の制御フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、
図1~
図8を用いて、本発明に係る電力供給システムの実施形態の一例について説明する。
図1~
図3に示されるように、本実施形態に係る「電力供給システム10」は、「建物12」に設けられた第1蓄電部としての「バッテリユニット14」と、それぞれ第2蓄電部としての「バッテリパック16」を備えた複数の「車両18」と、サーバ20とを備えている。
【0025】
建物12は、公民館等の共用施設とされており、大人数を収容可能なホール22を備えている。そして、建物12の外壁24におけるバッテリユニット14側の部分の外周面には、第1外側コンセントとしての複数の「外側コンセント26」が配置されている。そして、外側コンセント26からは、後述するように、バッテリユニット14に電力を供給可能とされている。
【0026】
また、外壁24におけるホール22側の部分の外周面には、第2外側コンセントとしての複数の「外側コンセント28」が配置されている。なお、外側コンセント26及び外側コンセント28は、防水仕様とされている。
【0027】
一方、ホール22の内壁30における内周面には、複数の「内側コンセント32」が配置されている。この内側コンセント32には、後述するように、バッテリユニット14及び外側コンセント28から電力を供給可能とされている。
【0028】
そして、建物12は、地下階34を備えており、この地下階34には、バッテリユニット14が設置されている。
【0029】
バッテリユニット14は、複数のバッテリモジュール36、バッテリ制御装置38、バッテリ残量計40及びこれらが格納されたケース42を含んで構成されている。そして、バッテリユニット14は、建物12内に設けられた第1回路としての「回路44」に第1電力変換部としての「電力変換装置46」を介してバッテリモジュール36に蓄えられた電力を供給可能とされている。この電力変換装置46は、直流電力を交流電力に変換可能な図示しないインバータを含んで構成されており、回路44には、交流電力が供給されるようになっている。なお、回路44は、後述する「回路切替部48」に接続されており、回路44は、回路切替部48を介して内側コンセント32に接続可能とされている。
【0030】
また、バッテリモジュール36は、外側コンセント26と接続された回路50に第2電力変換部としての「電力変換装置52」を介して接続されている。この電力変換装置52は、交流電力を直流電力に変換可能な図示しないコンバータを含んで構成されており、外側コンセント26に交流電力が供給されると、バッテリモジュール36には、直流電力が供給されるようになっている。なお、通常時において、バッテリモジュール36には、建物12に図示しない送電施設から供給される電力の一部が供給されるようになっている。
【0031】
バッテリ制御装置38は、
図4に示されるように、CPU(Central Processing Unit)54、ROM(Read Only Memory)56、RAM(Random Access Memory)58、ストレージ60、通信I/F(Inter Face)62及び入出力I/F64を含んで構成されている。そして、CPU54、ROM56、RAM58、ストレージ60、通信I/F62及び入出力I/F64は、バス66を介して相互に通信可能に接続されている。なお、バッテリ制御装置38は、後述する自動運転制御部としての「自動運転制御装置68」及びサーバ20とネットワークNを介して相互に通信可能に接続されている。
【0032】
CPU54は、中央演算処理ユニットとされており、各種プログラムの実行によってバッテリユニット14を構成する各種機器の制御が可能とされている。具体的には、CPU54は、ROM56からプログラムを読み出し、RAM58を作業領域としてプログラムを実行可能とされている。そして、ROM56に記憶された実行プログラムが、CPU54で読み出されて実行されることで、バッテリ制御装置38は、後述するように、種々の機能を発揮することが可能となっている。
【0033】
より詳しくは、ROM56には、各種プログラム及び各種データが記憶されている。一方、RAM58は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶することが可能となっている。
【0034】
ストレージ60は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)を含んで構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データが記憶されている。また、ストレージ60は、後述するように、バッテリモジュール36の電力残量を一時的に記憶可能とされている。
【0035】
通信I/F62は、バッテリ制御装置38とネットワークNとの接続に用いられるインターフェースとされており、自動運転制御装置68及びサーバ20等と通信することが可能とされている。このインターフェースには、例えば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格が用いられる。また、通信I/F62は、無線装置を備えていてもよい。
【0036】
この通信I/F62は、ネットワークNを介して、サーバ20へバッテリモジュール36の電力残量等の情報を送信可能可能とされている。
【0037】
入出力I/F64は、バッテリ制御装置38がバッテリユニット14に接続されたバッテリ残量計40と通信するためのインターフェースとされている。
【0038】
次に、
図7を用いて、バッテリ制御装置38の機能構成について説明する。バッテリ制御装置38は、CPU54がROM56に記憶された実行プログラムを読み出し、これを実行することによって、電力量取得部70、供給電力調整部72及び通信部74の集合体として機能する。
【0039】
電力量取得部70は、バッテリ残量計40から入力されるバッテリモジュール36の電力残量を示す信号に基づき、バッテリモジュール36の電力残量を取得する。そして、供給電力調整部72では、電力量取得部70で取得されたバッテリモジュール36の電力残量に基づき、外側コンセント26及び送電施設からバッテリモジュール36への電力の供給量が調節される。そして、通信部74は、電力量取得部70で取得されたバッテリモジュール36の電力残量に基づく信号をサーバ20に出力するようになっている。
【0040】
一方、車両18は、通常時において所定の駐車場に駐車されているシェアカーとされると共に、図示しないエンジンと図示しないモータとを含んで構成されたパワーユニットを備えたハイブリッドカーとされている。そして、車両18には、
図2に示されるように、バッテリパック16及び自動運転制御装置68が搭載されている。
【0041】
バッテリパック16は、その外殻を構成するバッテリケース76及びバッテリケース76の内側に配置された図示しない複数のバッテリモジュールを含んで構成されている。そして、このバッテリパック16は、車両18に設けられた「車両側コンセント78」に第3電力変換部としての「電力変換装置80」を介して接続されている。この電力変換装置80は、直流電力を交流電力に変換可能な図示しないインバータを含んで構成されており、車両側コンセント78には、交流電力が供給されるようになっている。
【0042】
また、車両側コンセント78は、「ケーブル82」を介して外側コンセント26又は外側コンセント28に接続可能とされている。そして、車両側コンセント78から外側コンセント28に供給された電力は、
図3にも示されるように、建物12内に設けられた第2回路としての「回路84」及び回路切替部48を介して内側コンセント32に供給されるようになっている。つまり、車両側コンセント78から供給された交流電力は、内側コンセント32に接続された電気負荷86(例えば、ヒータ等)に直接的に供給されるようになっている。なお、回路切替部48は、車両側コンセント78から電力が供給されている状態においては、回路84と内側コンセント32との接続を優先し、車両側コンセント78から電力が供給されていない状態においては、回路44と内側コンセント32との接続を優先するようになっている。
【0043】
一方、自動運転制御装置68は、
図5に示されるように、CPU88、ROM90、RAM92、ストレージ94、通信I/F96及び入出力I/F98を含んで構成されている。また、CPU88、ROM90、RAM92、ストレージ94、通信I/F96及び入出力I/F98は、バス100を介して相互に通信可能に接続されている。なお、CPU88、ROM90、RAM92、ストレージ94、通信I/F96及び入出力I/F98は、上述したバッテリ制御装置38を構成しているものと基本的に同様の機能を備えている。そして、ROM90に記憶された実行プログラムが、CPU88で読み出されて実行されることで、自動運転制御装置68は、種々の機能を発揮することが可能となっている。
【0044】
詳しくは、CPU88は、ROM90から車両18の自動運転に係る各種プログラムを読み出し、RAM92を作業領域として当該プログラムを実行可能とされている。また、ストレージ94には、後述するように、車両18の自動運転に必要な環境情報等を記憶可能とされている。
【0045】
また、通信I/F96は、自動運転制御装置68とネットワークNとの接続に用いられるインターフェースとされており、バッテリ制御装置38及びサーバ20等と通信することが可能とされている。
【0046】
この通信I/F96は、ネットワークNを介して、サーバ20との各種情報の送受信が可能とされている。詳しくは、通信I/F96は、ネットワークNを介して、サーバ20から後述する環境情報を受信可能とされている。そして、環境情報は、ストレージ94に記憶されるようになっている。
【0047】
入出力I/F98は、自動運転制御装置68が車両18に搭載された各装置と通信するためのインターフェースとされている。そして、自動運転制御装置68は、入出力I/F98を介して後述する各装置に相互に通信可能に接続されている。
【0048】
自動運転制御装置68に接続される装置には、GPS(Global Positioning System)装置102、外部センサ104、内部センサ106及び駆動アクチュエータ108が挙げられる。
【0049】
GPS装置102は、GPS衛星からの信号を受信する図示しないアンテナを備えており、車両18の現在位置を測定可能とされている。そして、GPS装置102で測定された車両18の位置情報は、ストレージ94で一時的に記憶されるようになっている。
【0050】
外部センサ104は車両18の周辺環境の検出に用いられるセンサ群とされている。この外部センサ104には、例えば、所定範囲を撮像するカメラ、所定範囲に探査波を送信するミリ波レーダ及び所定範囲をスキャンするライダ(Laser Imaging Detection and Ranging)等が含まれる。また、外部センサ104で取得されたデータは、ストレージ94に一時的に記憶されると共に、通信I/F96から発信されてサーバ20に送信されるようになっている。
【0051】
内部センサ106は、車両18の走行状態の検出に用いられるセンサ群とされており、例えば、車速センサ、加速度センサ及びヨーレートセンサが含まれる。そして、内部センサ106で取得されたデータは、ストレージ94に一時的に記憶されるようになっている。
【0052】
駆動アクチュエータ108は、図示しないスロットルアクチュエータ、ブレーキアクチュエータ及び操舵アクチュエータを含んで構成されており、駆動アクチュエータ108によって、図示しないアクセル装置、ブレーキ装置及び操舵装置を含む駆動装置110を制御可能とされている。
【0053】
次に、
図7を用いて自動運転制御装置68の機能構成について説明する。自動運転制御装置68は、CPU88がROM90に記憶された実行プログラムを読み出し、これを実行することによって、通信部112、自動運転情報取得部114及び自動運転制御部116の集合体として機能する。
【0054】
通信部112は、サーバ20から送信される後述する第1信号としての「第1警報信号W1」及び第2信号としての「第2警報信号W2」を受信可能とされている。また、通信部112は、後述するように、サーバ20から送信される環境情報を受信可能とされている。
【0055】
自動運転情報取得部114は、自動運転情報すなわち車両18の自動運転に必要なデータを取得する。この自動運転情報取得部114で取得される情報には、GPS装置102で測定された車両18の位置情報、外部センサ104で得られた車両18の周辺環境に関するデータ、内部センサ106で得られた車両18の走行状態に関するデータ及びサーバ20から得られた環境情報等が含まれる。そして、自動運転情報取得部114で取得された上記データは、自動運転制御部116に送信される。
【0056】
自動運転制御部116は、通信部112が第1警報信号W1又は第2警報信号W2を受信すると、自動運転情報取得部114で取得された情報に基づき、駆動アクチュエータ108を制御して、車両18を建物12の近傍の所定の位置まで走行させる。
【0057】
一方、サーバ20は、
図6に示されるように、CPU118、ROM120、RAM122、ストレージ124及び通信I/F126を含んで構成されている。そして、CPU118、ROM120、RAM122、ストレージ124及び通信I/F126は、バス128を介して相互に通信可能に接続されている。なお、CPU118、ROM120、RAM122、ストレージ124及び通信I/F126は、上述したバッテリ制御装置38を構成しているものと基本的に同様の機能を備えている。そして、ROM120に記憶された実行プログラムが、CPU118で読み出されて実行されることで、サーバ20は、種々の機能を発揮することが可能となっている。
【0058】
具体的には、サーバ20は、
図7に示されるように、環境情報取得部130、電力情報取得部132、電力供給指示部134及び通信部136の集合体として機能する。
【0059】
環境情報取得部130は、サーバ20の外部から通信部136を介して、建物12周辺の地域の気温、風速、降雨量等の気象情報、震度、津波等の地震情報、渋滞、事故、道路工事等の交通情報及び地図情報等を取得する。
【0060】
電力情報取得部132は、バッテリ制御装置38の電力量取得部70から通信部136を介してバッテリモジュール36の電力残量を取得する。
【0061】
電力供給指示部134は、環境情報取得部130で得られた情報に基づき、送電施設から建物12への給電環境を予測し、悪天候等による当該給電環境の悪化が予測された場合には、通信部136を介して自動運転制御装置68に第1警報信号W1を送信する。
【0062】
また、電力供給指示部134は、電力情報取得部132で得られた情報に基づき、バッテリユニット14の電力量が所定値以下であると判定した場合には、通信部136を介して自動運転制御装置68に第2警報信号W2を送信する。
【0063】
<本実施形態の作用及び効果>
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0064】
本実施形態では、
図3に示されるように、建物12にバッテリユニット14が設けられており、バッテリユニット14は、建物12内の回路44に電力変換装置46を介して電力を供給することができる。また、電力変換装置46は、直流電力を交流電力に変換可能とされており、バッテリユニット14からの直流電力は、電力変換装置46で交流電力に変換されて、回路44に供給される。
【0065】
また、建物12の外周には、外側コンセント26が設けられており、外側コンセント26からは、交流電力を直流電力に変換可能な電力変換装置52を介してバッテリユニット14へ電力を供給することができる。さらに、
図2にも示されるように、建物12の外周には、外側コンセント28が配置されており、外側コンセント28からは、建物12内の回路84に電力を供給することができる。
【0066】
また、建物12の内周側には、内側コンセント32が配置されており、内側コンセント32は、回路44への接続と回路84への接続とを切り替える回路切替部48を介して回路44又は回路84から電力を供給可能とされている。このため、本実施形態では、建物12のバッテリユニット14及び外側コンセント28から供給された電力を内側コンセント32に接続された種々の電気負荷に供給することができる。
【0067】
一方、車両18には、バッテリパック16が搭載されており、バッテリパック16に蓄えられた電力を、車両18に設けられた車両側コンセント78からケーブル82を介して建物12の外側コンセント26又は外側コンセント28に供給することが可能となっている。このため、本実施形態では、停電時において、車両18のバッテリパック16から建物12のバッテリユニット14又は建物12内の回路84に接続された電気負荷に電力を供給することができる。
【0068】
ところで、車両18のバッテリパック16から建物12側に供給される電力が直流電力である場合、回路84に接続された電気負荷に電力を供給するには、建物12側でバッテリパック16から供給される電力を交流電力に変換する必要がある。その結果、建物12内において、バッテリパック16から電気負荷への電力の供給経路が複雑になることが考えられる。
【0069】
ここで、本実施形態では、車両18に搭載されたバッテリパック16の電力を、直流電力を交流電力に変換可能な電力変換装置80を介して車両18に設けられた車両側コンセント78に供給することができる。その結果、車両側コンセント78には、車両18のバッテリパック16側から交流電力を供給することができ、バッテリパック16から外側コンセント28を介して供給された電力を交流電力に変換することなく、建物12内の電気負荷に供給することができる。
【0070】
一方、バッテリパック16から外側コンセント26を介して供給された電力は、電力変換装置52で直流電力に変換されて建物12のバッテリユニット14に蓄えられる。
【0071】
したがって、本実施形態では、停電時においても建物12内への給電を行うことができると共に、建物12内において車両18側から電気負荷への電力の供給回路の簡略化を図ることができる。
【0072】
車両18が自動運転制御装置68を備えており、車両18は、自動運転制御装置68による自動運転で建物12の外側コンセント26又は外側コンセント28に車両側コンセント78から給電可能な位置まで移動する。
【0073】
また、本実施形態では、自動運転制御装置68が、送電施設から建物12への給電環境の悪化が予測されたときに入力される第1警報信号W1及び建物12のバッテリユニット14の電力量が所定値以下になったときに入力される第2警報信号W2の少なくとも一方に基づいて、車両18の建物12への走行を開始させる。
【0074】
以下、
図8に示されるフローチャートを主に用いて、このときの自動運転制御装置68による車両18の制御フローについて説明することとする。この制御フローは、CPU88が所定の指示信号を受け付けることで開始される。
【0075】
この制御フローが開始されると、ステップS100では、CPU88は、第1警報信号W1及び第2警報信号W2の入力の有無を判定する。そして、CPU88は、第1警報信号W1及び第2警報信号W2の少なくとも一方が検出された場合(ステップS100:YES)、ステップS101に進み、第1警報信号W1及び第2警報信号W2の何れの入力も検出されなかった場合(ステップS100:NO)、ステップS100を繰り返す。
【0076】
ステップS101では、CPU88は、自動運転情報取得部114に自動運転情報を取得させ、ステップS102に進む。
【0077】
ステップS102では、CPU88は、ステップS101で取得された自動運転情報に基づき、自動運転制御部116で駆動アクチュエータ108を介して駆動装置110を制御することで、車両18を自動運転させ、ステップS103に進む。
【0078】
ステップS103では、CPU88は、ステップS101で取得された自動運転情報に基づき、車両18が目的地に到着したか否かを判定する。そして、CPU88によって車両18が目的地に到着したと判定された場合(ステップS103:YES)、この制御フローを終了する。一方、CPU88によって車両18が目的地に到着していないと判定された場合(ステップS103:NO)、ステップS101に戻る。
【0079】
このように、本実施形態では、建物12の近くに、バッテリパック16を備えた車両18が無い場合にも車両18側から建物側への給電を行うことができる。また、本実施形態では、建物12の電力が不足する前に、バッテリパック16を備えた車両18を建物12の近傍に配置することができる。
【0080】
<上記実施形態の補足説明>
(1) 上述した実施形態では、建物12が公民館等の共用施設とされていたが、建物12は、ホテル等の宿泊施設であってもよいし、住宅等であってもよい。
【0081】
(2) また、上述した実施形態では、ケーブル82によって車両18側と建物12側とを電気的に接続していたがこれに限らない。例えば、車両18側から建物12側に非接触充電によって電力を供給するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0082】
10 電力供給システム
12 建物
14 バッテリユニット(第1蓄電部)
16 バッテリパック(第2蓄電部)
18 車両
26 外側コンセント(第1外側コンセント)
28 外側コンセント(第2外側コンセント)
32 内側コンセント
44 回路(第1回路)
46 電力変換装置(第1電力変換部)
48 回路切替部
52 電力変換装置(第2電力変換部)
68 自動運転制御装置(自動運転制御部)
78 車両側コンセント
80 電力変換装置(第3電力変換部)
82 ケーブル
84 回路(第2回路)
W1 第1警報信号(第1信号)
W2 第2警報信号(第2信号)