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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】水栓
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/042 20060101AFI20240422BHJP
   E03C 1/044 20060101ALI20240422BHJP
   F16K 51/00 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
E03C1/042 B
E03C1/044
F16K51/00 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020203953
(22)【出願日】2020-12-09
(65)【公開番号】P2022091242
(43)【公開日】2022-06-21
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芝原 翔
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-218798(JP,A)
【文献】特開2019-218807(JP,A)
【文献】特開2010-209660(JP,A)
【文献】特開2003-336298(JP,A)
【文献】特開2004-84382(JP,A)
【文献】特開2019-173488(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0062088(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/042
E03C 1/044
F16K 51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓であって、
柱状の水栓本体は、円筒状の内筒部とそれを覆って外観意匠を構成する木質系素材製の外筒部とを有し、
該外筒部には前記内筒部を挿入可能な円柱状の貫通孔が設けられており、
前記内筒部の中には下方から供給された湯及び水を混合して調温した水を前記内筒部に径方向に貫通して設けられた内筒吐出孔から径方向外側に向かって吐水する湯水混合機構部が配設されており、
前記貫通孔の中に前記内筒部を挿入配置した時、前記内筒吐出孔の下方において前記貫通孔の内径壁面と前記内筒部の外径壁面との間には上下方向の水密状態を確保するオーリングが配設されており、
前記外筒部には該オーリングの配設位置の上方に前記内筒吐出孔から吐出される水を外部に吐出させる通水孔が設けられ、該通水孔と前記オーリングの配設位置の間の上下位置に前記内径壁面と外部とを連結する水抜き孔が設けられている水栓。
【請求項2】
請求項1において、前記通水孔は前記水栓の使用者から見て手前側に配置され、前記水抜き孔は前記使用者から見て奥側に配置されている水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装部材に木質系素材等を使用した水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、供給された湯及び水を混合して調温するとともに量を調整して吐水口から吐出するシングルレバー水栓がある。かかるシングルレバー水栓の外装には化粧カバーが取付けられて外観見栄えの向上が図られている。特許文献1には、円筒状の化粧カバーを備えたこのようなタイプの水栓が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-84797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された技術においては、通常化粧カバーは耐水性に優れた金属や樹脂で形成されていることが多い。このような水栓においては、何らかの原因によって化粧カバーの内側に水が付着することがあっても特に問題は生じない。一方、デザイン性等の観点から化粧カバーを木や竹などの木質系素材で形成したい場合がある。このような場合に、木質系素材は金属や樹脂に比べて耐水性が劣るので化粧カバーの内側に水が接触している時間をなるべく短くしたいという要請があった。
【0005】
このような要請に鑑み本発明の課題は、外装部材に木質系素材等を使用した水栓において、外装部材の内側に水が接触する時間を短くすることができる水栓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1発明は、水栓であって、柱状の水栓本体は、円筒状の内筒部とそれを覆って外観意匠を構成する木質系素材製の外筒部とを有し、該外筒部には前記内筒部を挿入可能な円柱状の貫通孔が設けられており、前記内筒部の中には下方から供給された湯及び水を混合して調温した水を前記内筒部に径方向に貫通して設けられた内筒吐出孔から径方向外側に向かって吐水する湯水混合機構部が配設されており、前記貫通孔の中に前記内筒部を挿入配置した時、前記内筒吐出孔の下方において前記貫通孔の内径壁面と前記内筒部の外径壁面との間には上下方向の水密状態を確保するオーリングが配設されており、前記外筒部には該オーリングの配設位置の上方に前記内筒吐出孔から吐出される水を外部に吐出させる通水孔が設けられ、該通水孔と前記オーリングの配設位置の間の上下位置に前記内径壁面と外部とを連結する水抜き孔が設けられていることを特徴とする。
【0007】
第1発明によれば、通水口が塞がれる等の何らかの事情により外筒部の貫通孔の内径壁面と内筒部の外径壁面との間の隙間に水が浸入することがあっても、その水はオーリングによって下方への移動を止められて水抜き孔から外筒部の外部に排出される。これによって、耐水性に劣る外筒部の内側に水が接触する時間を短くすることができ外筒部の水による劣化を抑制できる。
【0008】
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記通水孔は前記水栓の使用者から見て手前側に配置され、前記水抜き孔は前記使用者から見て奥側に配置されていることを特徴とする。
【0009】
第2発明によれば、使用者にとって水抜き孔は目につきにくいので水栓の外観意匠を損なうおそれを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態である水栓の斜視図である。
図2】上記実施形態の水栓の正面図である。
図3】上記実施形態の水栓の背面図である。
図4図2のIV-IV矢視線断面図である。
図5図4のV部分を拡大して示す断面図である。
図6】整流板を外側から見た斜視図である。
図7】整流板を内側から見た斜視図である。
図8】上記実施形態の水栓の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係る水栓1の構成について、図1図8を用いて説明する。以下の説明において、各図中に水栓1の使用者を基準とした手前奥上下左右等の各方向を示し、方向に関する説明についてはこれによるものとする。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る水栓1は、図示しない洗面器や手洗い器等の天板上に設置されるいわゆるシングルレバー水栓である。下方から供給される湯と水を内部で混合して幅広の膜状の状態で洗面器や手洗い器等に供給することができる機能を有する。
【0013】
図1図3及び図8に示すように、水栓1は、水栓本体2と、水栓本体2から吐出された水を幅広の膜状の状態にして洗面器や手洗い器等に供給する吐水板3と、を有する。水栓本体2は、外筒部10と、外筒部10の内部に同軸で配置される内筒部20と、内筒部20の内部に配置されるカートリッジ30及び連結部材40と、内筒部20の外部に配置される整流板50と、ハンドル部60と、を有する。ここで、カートリッジ30及び連結部材40が、特許請求の範囲の「湯水混合機構部」に相当する。
【0014】
図1図5図8に示すように、外筒部10は薄肉の竹を重ね合わせて樹脂で固めた竹集成材を切削加工して形成されている。かかる竹集成材は、木質系素材の一つであり金属や樹脂に比べて耐水性に劣る性質がある。外観は略四角柱形状をしており、上端部側が上方に向かうにつれて断面が水平方向に徐々に拡大していく拡大部11として形成されている。内部には、外観の略四角柱形状と同軸で円柱状の貫通孔Tが形成され、その内径壁面は内径壁面12とされている。内径壁面12の上端部側は、手前奥左右に拡げられた拡幅面13として形成され、内径壁面12と拡幅面13の境には水平方向に延びる段差部14が設けられている。手前側の拡大部11の下端部近傍には、斜め手前下方に向かって延びるスリット15が内径壁面12と外筒部10の外表面との間に設けられている。スリット15には、後述する吐水板3の上端部側が挿入されて固定される。スリット15の手前側における左右中央部は上下にその間隔が拡げられて手前側から見て長軸方向を左右方向とする略矩形状の通水孔16として形成されている。さらに、外筒部10の上下貫通孔の中に内筒部20が挿入されて位置決めされたとき、外筒部10の奥側における内筒部20のオーリング取付部21cの直上には、内径壁面12と外表面との間を貫通する円柱状の水抜き孔18が設けられている。
【0015】
内筒部20は、円筒状の金属製のパイプ材で、上内筒部21と、上内筒部21より大径の下内筒部22と、を有する。上内筒部21は外径壁面21Fを有し、下内筒部22は外径壁面22Fを有する。上内筒部21の下端部には雄ねじ部21aが設けられ、下内筒部22の上端部には雌ねじ部22aが設けられている。雄ねじ部21aと雌ねじ部22aを螺合することにより上内筒部21と、下内筒部22は一体化されるように構成されている。上内筒部21の上端部には、拡径された鍔部21bが設けられている。上内筒部21の外径壁面21Fの上下方向中央部より若干下側には、径方向に突出するオーリング取付部21cが円環状に設けられその上下方向中央部にオーリング21dが取付けられている。上内筒部21と下内筒部22が一体化された状態で、外筒部10の貫通孔Tの中に挿入されたとき、オーリング21dが外筒部10の内径壁面12に当接して水密状態とするとともに、鍔部21bの下側面が、外筒部10の段差部14に当接して外筒部10の内径壁面12に対して位置決めされる。上内筒部21の内部には、上下方向中央部の若干下方に隔壁部21eが設けられ、隔壁部21eから上に小径部21fと、小径部21fより内径が大きい大径部21gと、が下からこの順序で設けられている。隔壁部21eには上下方向に貫通する孔が設けられ、隔壁部21eの上方に配置される連結部材40に対して下方から湯及び水を供給できるようになっている。小径部21fと大径部21gの境には水平方向に延びる段差部21hが設けられている。大径部21gの上端部側部分には、雌ねじ部21kが設けられている。上内筒部21の手前側のオーリング取付部21cより上方には、手前から奥に向かって貫通する円柱状の内筒吐出孔21mが設けられている。内筒吐出孔21mの周縁部には、整流板50を上内筒部21に対して固定するためのねじ孔21nが4つ設けられている。ここで、外径壁面21Fが、特許請求の範囲の「外径壁面」に相当する。
【0016】
図4図5及び図8に示すように、カートリッジ30は、円柱状の本体部31と、本体部31の上面部から上方に向かって延びる角柱状の操作軸32と、を備えている。本体部31は、その直径が上内筒部21の大径部21gの内径より若干小さく設定されている。操作軸32は、本体部31に対して中心軸C周りに回転させたり、水平方向に延びる連結軸33の回りに揺動させたりすることにより、本体部31の中に下方から供給された湯及び水を混合する割合を調整して調温するとともに、調温した水を下方に向けて吐出する量を調節することができる。カートリッジ30は、特開2020-46067号公報等の文献に開示されたものと同一の構造となっているため、構造についての詳細な説明は省略する。操作軸32は、後述するハンドル部60に連結されてハンドル部60を介して操作される。
【0017】
図4図5及び図8に示すように、連結部材40は、略円柱状をした部材で、その直径が上内筒部21の小径部21fの内径より若干小さく、その高さが小径部21fの上下長さより若干小さく設定されている。連結部材40の上端部には、拡径された鍔部41が設けられている。鍔部41の外径は、上内筒部21の大径部21gの内径よりわずかに小さく設定されている。図8によく示されるように、連結部材40の手前側には、下方から供給された湯を通してカートリッジ30に供給する給湯路42と、下方から供給された水を通してカートリッジ30に供給する給水路43と、が上下に貫通して設けられている。また、図5及び図8によく示されるように、連結部材40の奥側には、カートリッジ30から下方に向かって吐出された調温された水を通す有底の調温水路44が上下方向中央部近傍まで設けられている。さらに、図5及び図8によく示されるように、連結部材40の外径部分には、上下方向中央部の若干上方に周方向に延びる断面が矩形状の溝状部45が形成されている。そして、連結部材40の奥側において、調温水路44の下端部側と溝状部45とは径方向に延びる円柱状の連通孔46によって連結されている。連通孔46の溝状部45に開口する部分が、連結部材吐出口46aである。連結部材40の外径部分には、溝状部45の上部に上オーリング47が配設され、溝状部45の下部に下オーリング48が配設されている。連結部材40を上内筒部21の内部に挿入すると、段差部21hに鍔部41の下面が当接した状態で位置決めされる。このとき、上内筒部21と連結部材40の溝状部45とで円筒状の空隙部H1が形成される。そして、連結部材40の手前側において、上内筒部21の内筒吐出孔21mと空隙部H1が連通状態となる。上内筒部21と連結部材40との間には、上オーリング47と下オーリング48が配置されているので、調温水路44、連通孔46、空隙部H1、内筒吐出孔21mは水密状態で連通した状態となる。
【0018】
図5図8に示すように、整流板50は手前から見て略矩形状をした板状部材である。手前側が平面状の平面部51で、奥側が上内筒部21の外径面に沿うような円柱の側面状の曲面部52に形成されている。平面部51の下側に長軸を左右方向とする長円状の開口部51aが設けられ、ここから同一断面で水平面に対して約30°程度の傾斜角で斜め上方に向かって延びるスリット孔51bが平面部51から曲面部52まで貫通して設けられている。曲面部52の側には、スリット孔51bの下面部を底辺とし上方に頂点をもつ二等辺三角形状の手前側に向かって凹む有底の窪み51cが形成されている。スリット孔51bと窪み51cとは一体化されて連通状態となっている。開口部51aの上側の左右端部側には、平面部51から曲面部52まで貫通するビス孔51dが4つ設けられている。4つのビス孔51dを上内筒部21の4つのねじ孔21nに一致させて整流板50を上内筒部21に対してビス固定した時、窪み51cの頂点側は上内筒部21の内筒吐出孔21mと一致する。これによって、内筒吐出孔21mから吐出された水は窪み51cと内筒吐出孔21mの外径面で構成される空隙部H2とスリット孔51bを通って開口部51aから斜め下方に向けて吐出される。
【0019】
図1図4及び図8に示すように、ハンドル部60は上下方向に円錐台状に延びる基部61と、基部61の頂部近傍から湾曲して延びる操作部62と、外筒部10に固定される化粧カバー63と、化粧カバー63に対して可動な化粧プレート64と、を有する。基部61は、カートリッジ30の操作軸32に対して被せつけることにより一体化できるようになっている。基部61をカートリッジ30の操作軸32に一体化した状態で操作部62を上下又は左右に動かすとカートリッジ30の操作軸32を操作できる。化粧カバー63は、上面視で略正方形状をしており、外筒部10の上端部を覆うように取付けられるようになっている。化粧カバー63の中央部にはハンドル部60の基部61を通して、操作部62を上下又は左右に動かしたとき基部61の動きを許容する大きさのカバー通し孔63aが設けられている。化粧プレート64は、化粧カバー63の上部に重ね合わせた状態で取り付けられ、化粧カバー63のカバー通し孔63aを上方から覆う円盤状の化粧部材として形成されている。化粧プレート64の中央部には、上下方向に貫通する円柱状のプレート通し孔64aが設けられている。プレート通し孔64aは、基部61の外径より若干大きな内径に形成されており、化粧プレート64は、プレート通し孔64aに通された基部61の動きに合わせて化粧カバー63の上を摺動できるようになっている。
【0020】
図1図5及び図8に示すように、吐水板3は、金属板を底の浅い樋状に形成したもので上方から見て長軸方向が手前奥方向に延びる略矩形状をしている。吐水板3の上面部3aは、その横断面が半径160mm程度の円弧状に形成されている。吐水板3の奥側端部における左右方向中央部には、吐水板3が外筒部10に取付けられたとき、上内筒部21の外径部分に沿う円弧状の切欠き3bが設けられている。また、吐水板3の切欠き3bの近傍には、吐水板3が外筒部10に取付けられたとき、外筒部10に対しビス(図示せず)で固定できるようになっている。図5によく示されるように、吐水板3が外筒部10に取付けられたとき、吐水板3の上面部3aは、その左右方向中心線が水平面と約10°程度の傾斜角をなして手前下方に向かって延びている。
【0021】
図4図5及び図8に基づいて、水栓1の組立て手順について説明する。まず、上内筒部21の中に連結部材40を挿入して位置決めするとともに、その上にカートリッジ30を挿入して位置決めし、円筒状の締付部材71を上内筒部21の雌ねじ部22aに螺合させる。これによって、上内筒部21の中に連結部材40とカートリッジ30が適正位置で固定される。次に、上内筒部21の外径面に対して整流板50を4本のビスで固定する。次に、上内筒部21の中に固定された連結部材40の給湯路42の下端部に給湯配管(図示せず)の一端部を水密状態で連結し、上内筒部21の中に固定された連結部材40の給水路43の下端部に給水配管(図示せず)の一端部を水密状態で連結する。そして、給湯配管と給水配管を内部に通した状態で、上内筒部21の雄ねじ部21aに下内筒部22の雌ねじ部22aを螺合させて上内筒部21と下内筒部22を一体化する。この状態で上内筒部21と下内筒部22を外筒部10の貫通孔Tの中に挿入し、外筒部10の段差部14に上内筒部21の鍔部21bの下側面を当接させて位置決めする。このとき、外筒部10の内径壁面12と上内筒部21の外径壁面との間に円筒状の空隙部H3が形成される。空隙部H3の下端部側は、オーリング21dで外筒部10の内径壁面12と上内筒部21の外径壁面との間が水密状態とされているので、何らかの事情で空隙部H3の中に水が入ったとしてもその水は外筒部10の水抜き孔18から外部に排出されるようになっている。次に、外筒部10のスリット15に吐水板3を奥側端部側から挿入して上内筒部21の外径面に切欠き3bを当接させた状態で、ビス(図示せず)で外筒部10に対し固定する。次に、カートリッジ30の操作軸32をカバー通し孔63aに通した状態で、外筒部10の上端部に対して化粧カバー63を取付ける。そして、最後に化粧プレート64のプレート通し孔64aに基部61を通した状態で、化粧プレート64と共に操作部62付きの基部61をカートリッジ30の操作軸32に上方から被せるように取付ける。
【0022】
上記のように組み立てられた水栓1は、化粧座金72を介して洗面器や手洗い器等の天板(図示せず、以下「天板」という。)の所定位置に載置されるとともに、下内筒部22の下端部側に固定された固定用部材73を介して固定される。具体的には、固定用部材73は円筒状をしており内部に給湯配管と給水配管を通した状態で天板に設けられた孔(図示せず)に挿入されて天板を挟んだ状態でナット(図示せず)を締付けることで固定される。給湯配管の他端部には、図示しない給湯装置から湯が供給されるようになっており、給水配管の他端部には、図示しない給水装置から水が供給されるようになっている。
【0023】
図4図5及び図8に基づいて、水栓1の作動について説明する。水栓1の下方から連結部材40を介してカートリッジ30に供給された湯と水は、カートリッジ30内で混合されて調温され吐出量を調整された水として調温水路44に吐出される。調温は、ハンドル部60の操作部62を中心軸Cの回りに左右に回動させることにより行う。吐出量の調整は、操作部62をカートリッジ30の連結軸33の回りに上下に回動させることにより行う。調温水路44に吐出された調温された水は、連通孔46、空隙部H1、内筒吐出孔21m、空隙部H2、スリット孔51bを通って開口部51aから斜め下方に向けて吐出される。このとき、連通孔46から奥方向に吐出された水が空隙部H1で向きを変えられて内筒吐出孔21mから手前方向に吐出されることと、内筒吐出孔21mから吐出された水が空隙部H2で下方向に向きを変えられスリット孔51bから手前下方向に向きを変えられて吐出されることと、により水勢が弱められる。そして、水勢が弱められ面状に拡がった状態で開口部51aから斜め下方の吐水板3の上面部3aに向けて外筒部10の通水孔16を通って吐出される。
【0024】
以上のように構成される本実施形態は、以下のような作用効果を奏する。水栓1の使用中に通水孔16が塞がれる等の何らかの事情により外筒部10の内径壁面12と上内筒部21の外径壁面21Fとの間の空隙部H3の中に水が浸入することがあっても、その水はオーリング21dによって下方への移動を止められて水抜き孔18から外筒部10の外部に排出される。これによって、耐水性に劣る外筒部10の内径壁面12に水が接触する時間を短くすることができ外筒部10の水による劣化を抑制できる。また、通水孔16は水栓1の使用者から見て手前側に配置され、水抜き孔18は使用者から見て奥側に配置されている。これによって、使用者にとって水抜き孔18は水栓本体2の反対側にあって目につきにくいので水栓1の外観意匠を損なうおそれを抑制できる。
【0025】
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、次のようなものが挙げられる。
【0026】
1.上記実施形態においては、水抜き孔18は水栓本体2の奥側に配置されているが、これに限らず、水栓本体2の前側、右側、左側等通水孔16と重ならない位置であれば配置することができる。
【0027】
2.上記実施形態においては、外筒部10を竹集成材で形成したが、これに限らず、木の集成材であってもよいし無垢の木材であってもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 水栓
2 水栓本体
10 外筒部
12 内径壁面
16 通水孔
18 水抜き孔
20 内筒部
21 上内筒部
21d オーリング
21F 外径壁面
21m 内筒吐出孔
30 カートリッジ(湯水混合機構部)
40 連結部材(湯水混合機構部)
50 整流板
60 ハンドル部
H3 空隙部
T 貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8