(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】光検出装置
(51)【国際特許分類】
G02B 26/00 20060101AFI20240422BHJP
G01J 3/26 20060101ALI20240422BHJP
G01J 3/02 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
G02B26/00
G01J3/26
G01J3/02 C
(21)【出願番号】P 2021052850
(22)【出願日】2021-03-26
(62)【分割の表示】P 2021503185の分割
【原出願日】2020-10-06
【審査請求日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】P 2019186080
(32)【優先日】2019-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】笠原 隆
(72)【発明者】
【氏名】柴山 勝己
(72)【発明者】
【氏名】田畑 桂
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 真樹
(72)【発明者】
【氏名】大山 泰生
(72)【発明者】
【氏名】蔵本 有未
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/064758(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/064749(WO,A1)
【文献】特開2015-087318(JP,A)
【文献】国際公開第2015/197920(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/00
G01J 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1配線を有する配線基板と、
前記配線基板の実装面に配置された第1支持部と、
互いの距離が可変とされた第1ミラー部及び第2ミラー部を有し、前記第1支持部に配置されたファブリペロー干渉フィルタと、
前記第1支持部の一方の側において前記第1ミラー部及び前記第2ミラー部と向かい合うように前記実装面に配置された光検出器と、を備え、
前記第1配線は、
前記実装面に設けられ、前記光検出器と電気的に接続された第1実装部と、
前記実装面に設けられた第1電極パッドと、
前記実装面に設けられ、前記第1実装部と前記第1電極パッドとを接続する第1接続部と、を含み、
前記第1配線のうち少なくとも前記第1電極パッド側の部分は、前記実装面に垂直な第1方向から見た場合に前記ファブリペロー干渉フィルタの外側に配置されている、光検出装置。
【請求項2】
前記第1支持部と前記光検出器とが並ぶ第2方向における前記第1支持部と前記光検出器との間の距離よりも、前記第1方向及び前記第2方向の両方向に垂直な第3方向における前記第1電極パッドと前記光検出器との間の距離が大きい、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記ファブリペロー干渉フィルタの外縁部は、前記第1支持部の支持領域に配置されており、
前記第1支持部と前記光検出器とが並ぶ第2方向における前記第1支持部と前記光検出器との間の距離は、前記第2方向における前記支持領域の幅よりも小さい、請求項1又は2に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記配線基板が配置された載置部と、
前記載置部に設けられた第1端子と、
前記第1電極パッドと前記第1端子とを電気的に接続するワイヤと、を更に備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記実装面に配置された温度検出器を更に備え、
前記温度検出器は、前記第1方向から見た場合に前記温度検出器の少なくとも一部が前記ファブリペロー干渉フィルタの一部と重なるように、且つ前記第1支持部と前記光検出器とが並ぶ第2方向から見た場合に前記温度検出器の少なくとも一部が前記第1支持部の一部と重なるように、前記実装面に配置されており、
前記配線基板は、第2配線を更に有し、
前記第2配線は、
前記実装面に設けられ、前記温度検出器と電気的に接続された第2実装部と、
前記実装面に設けられた第2電極パッドと、
前記実装面に設けられ、前記第2実装部と前記第2電極パッドとを接続する第2接続部と、を含み、
前記第2配線のうち少なくとも前記第2電極パッド側の部分は、前記第1方向から見た場合に前記ファブリペロー干渉フィルタの外側に配置されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記第1支持部と前記光検出器とが並ぶ第2方向において前記光検出器を挟んで前記第1支持部と向かい合うように前記実装面に配置された第2支持部を更に備え、
前記ファブリペロー干渉フィルタは、前記第2支持部に配置されており、
前記第1方向において前記配線基板と前記ファブリペロー干渉フィルタとの間に位置し、且つ前記第2方向において前記第1支持部と前記第2支持部との間に位置する空間については、前記第1方向及び前記第2方向の両方向に垂直な第3方向における前記空間の幅を前記第2方向における前記空間の幅で除した値が1.5以上となっている、請求項1~5のいずれか一項に記載の光検出装置。
【請求項7】
前記ファブリペロー干渉フィルタは、第2端子を有し、
前記第2端子は、前記第1方向から見た場合に前記第1支持部のうち前記光検出器側の領域に位置している、請求項1~6のいずれか一項に記載の光検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
互いの距離が可変とされた第1ミラー部及び第2ミラー部を有するファブリペロー干渉フィルタと、ファブリペロー干渉フィルタを透過した光を検出する光検出器と、ファブリペロー干渉フィルタが配置された空間の温度を検出する温度検出器と、を備える光検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような光検出装置では、第1ミラー部と第2ミラー部との間の電位差に応じて、第1ミラー部と第2ミラー部との間の距離が制御され、第1ミラー部と第2ミラー部との間の距離に応じて、第1ミラー部及び第2ミラー部を透過する光の波長が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような光検出装置では、第1ミラー部と第2ミラー部との間の電位差が一定であったとしても、ファブリペロー干渉フィルタの温度が変化すると、第1ミラー部と第2ミラー部との間の距離が変化し、その結果、第1ミラー部及び第2ミラー部を透過する光の波長が狙いの波長からずれるおそれがある(以下、このようなファブリペロー干渉フィルタの性質を「ファブリペロー干渉フィルタの温度特性」という)。そこで、上述したような光検出装置では、ファブリペロー干渉フィルタの温度特性を補正するために、ファブリペロー干渉フィルタが配置された空間の温度が温度検出器によって検出される。
【0005】
本開示は、ファブリペロー干渉フィルタの温度特性の高精度な補正が可能となる光検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面の光検出装置は、配線基板と、配線基板の実装面に配置された第1支持部と、互いの距離が可変とされた第1ミラー部及び第2ミラー部を有し、第1支持部の第1支持領域に外縁部が配置されたファブリペロー干渉フィルタと、第1支持部の一方の側において第1ミラー部及び第2ミラー部と向かい合うように実装面に配置された光検出器と、実装面に配置された温度検出器と、を備え、温度検出器は、実装面に垂直な第1方向から見た場合に温度検出器の少なくとも一部がファブリペロー干渉フィルタの一部と重なるように、且つ第1支持部と光検出器とが並ぶ第2方向から見た場合に温度検出器の少なくとも一部が第1支持部の一部と重なるように、実装面に配置されており、第2方向における温度検出器と第1支持部との間の第1距離は、第2方向における第1支持領域の第1幅よりも小さい。
【0007】
この光検出装置では、第2方向における温度検出器と第1支持部との間の第1距離が、第2方向における第1支持領域の第1幅よりも小さい。これにより、ファブリペロー干渉フィルタと第1支持部との熱的な接続領域となる第1支持領域の面積を十分に確保しつつ、温度検出器を第1支持部に近づけることができる。したがって、ファブリペロー干渉フィルタの温度が正確に反映された温度を取得することができる。よって、この光検出装置によれば、ファブリペロー干渉フィルタの温度特性の高精度な補正が可能となる。
【0008】
本開示の一側面の光検出装置は、第2方向において光検出器を挟んで第1支持部と向かい合うように実装面に配置された第2支持部を更に備え、ファブリペロー干渉フィルタの外縁部は、第2支持部の第2支持領域に配置されており、温度検出器は、第2方向から見た場合に温度検出器の少なくとも一部が第2支持部の一部と重なるように、実装面に配置されており、第2方向における温度検出器と第2支持部との間の第2距離は、第2方向における第2支持領域の第2幅よりも小さくてもよい。これによれば、ファブリペロー干渉フィルタと第2支持部との熱的な接続領域となる第2支持領域の面積を十分に確保しつつ、温度検出器を第2支持部に近づけることができる。したがって、ファブリペロー干渉フィルタの温度がより正確に反映された温度を取得することができる。
【0009】
本開示の一側面の光検出装置では、ファブリペロー干渉フィルタの外縁部は、第1幅と第2幅とが等しくなるように第1支持領域及び第2支持領域に配置されており、温度検出器は、第1距離と第2距離とが等しくなるように実装面に配置されていてもよい。これによれば、ファブリペロー干渉フィルタの温度が第1支持部及び第2支持部のそれぞれを介して均等に反映された温度を取得することができる。
【0010】
本開示の一側面の光検出装置では、第1方向において配線基板とファブリペロー干渉フィルタとの間に位置し、且つ第2方向において第1支持部と第2支持部との間に位置する空間については、第1方向及び第2方向の両方向に垂直な第3方向における空間の幅を第2方向における空間の幅で除した値が1.5以上となっていてもよい。これによれば、第2方向において温度検出器を第1支持部及び第2支持部のそれぞれに近づけつつも、第3方向における第1支持領域の長さ及び第3方向における第2支持領域の長さを確保して、第1支持領域の面積及び第2支持領域の面積を十分に確保することができる。
【0011】
本開示の一側面の光検出装置では、配線基板は、第1方向及び第2方向の両方向に垂直な第3方向を長手方向とする長尺状を呈しており、第1支持部及び第2支持部のそれぞれは、第2方向における配線基板の両縁部のそれぞれに沿って延在するように実装面に配置されていてもよい。これによれば、第3方向における幅が第2方向における幅よりも大きい空間を容易に形成することができる。
【0012】
本開示の一側面の光検出装置は、配線基板が配置された載置部と、載置部に設けられた第1端子及び第2端子と、光検出器の一方の電極と第1端子とを電気的に接続する第1ワイヤと、光検出器の他方の電極と第2端子とを電気的に接続する第2ワイヤ及び第3ワイヤと、を更に備え、配線基板は、実装面において光検出器の一方の電極と電気的に接続され、実装面に設けられた第1電極パッドを有する配線と、実装面に設けられた第2電極パッドと、を有し、第1ワイヤは、第1電極パッドと第1端子とを電気的に接続しており、第2ワイヤは、光検出器の他方の電極と第2電極パッドとを電気的に接続しており、第3ワイヤは、第2電極パッドと第2端子とを電気的に接続しており、第1電極パッド及び第2電極パッドは、第1方向から見た場合にファブリペロー干渉フィルタの外側に位置していてもよい。これによれば、第2ワイヤ及び第3ワイヤが周辺の部材(ファブリペロー干渉フィルタ、第1支持部、第2支持部等)と接触するのを防止することができる。
【0013】
本開示の一側面の光検出装置は、配線基板が配置された載置部と、載置部に設けられた第1端子及び第2端子と、光検出器の一方の電極と第1端子とを電気的に接続する第1ワイヤと、光検出器の他方の電極と第2端子とを電気的に接続する第2ワイヤと、を更に備え、配線基板は、実装面において光検出器の一方の電極と電気的に接続され、実装面に設けられた第1電極パッドを有する配線を有し、第1ワイヤは、第1電極パッドと第1端子とを電気的に接続しており、第2ワイヤは、光検出器の他方の電極と第2端子とを電気的に接続しており、第1電極パッドは、第1方向から見た場合にファブリペロー干渉フィルタの外側に位置していてもよい。これによれば、ファブリペロー干渉フィルタに印加される電圧信号に起因して、光検出器から出力される検出信号にノイズが生じるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、ファブリペロー干渉フィルタの温度特性の高精度な補正が可能となる光検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、第1実施形態の光検出装置の断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示される光検出装置の一部の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示されるファブリペロー干渉フィルタの断面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示される光検出装置の内部構造の平面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示される光検出装置の内部構造の一部の平面図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態の光検出装置の内部構造の平面図である。
【
図7】
図7は、
図6に示される光検出装置の内部構造の一部の平面図である。
【
図8】
図8は、光検出器から出力される検出信号の時間変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
[第1実施形態]
[光検出装置]
図1及び
図2に示されるように、第1実施形態の光検出装置1Aは、筐体2と、配線基板7と、第1支持部91と、第2支持部92と、ファブリペロー干渉フィルタ10と、光検出器61と、温度検出器62と、を備えている。筐体2は、配線基板7、第1支持部91、第2支持部92、ファブリペロー干渉フィルタ10、光検出器61及び温度検出器62を収容している。本実施形態では、筐体2は、ステム(載置部)3及びキャップ4を有するCANパッケージである。キャップ4は、一体で形成された側壁5及び天壁6を有している。ステム3及びキャップ4の材料は、例えば金属である。キャップ4は、ラインLを中心線とする円筒状を呈している。配線基板7は、ステム3の内面3aに配置されている。配線基板7は、例えば接着部材によって、ステム3の内面3aに固定されている。配線基板7の基板材料は、例えば、シリコン、セラミック、石英、ガラス又はプラスチック等である。
【0018】
第1支持部91及び第2支持部92は、配線基板7の実装面7aに配置されている。第1支持部91及び第2支持部92は、例えば接着部材によって、配線基板7の実装面7aに固定されている。本実施形態では、第1支持部91及び第2支持部92は、配線基板7と別体で形成されている。配線基板7の実装面7aに垂直なZ軸方向(第1方向)から見た場合に、第1支持部91及び第2支持部92は、X軸方向(第2方向)において互いに向かい合っている。Z軸方向は、ラインLと平行な方向である。第1支持部91及び第2支持部92の材料は、例えば、シリコン、セラミック、石英、ガラス、プラスチック又はガラスエポキシ等である。
【0019】
ファブリペロー干渉フィルタ10は、第1支持部91及び第2支持部92に配置されている。ファブリペロー干渉フィルタ10は、例えば接着部材によって、第1支持部91及び第2支持部92に固定されている。ファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域10aの中心線は、ラインLと一致している。本実施形態では、ファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域10aは、Z軸方向から見た場合に、円形状を呈している。
【0020】
光検出器61は、配線基板7の実装面7aに実装されている。つまり、光検出器61は、配線基板7の実装面7aに配置されている。光検出器61の受光部の中心線は、ラインLと一致している。光検出器61は、ファブリペロー干渉フィルタ10を透過した光を検出する。本実施形態では、光検出器61は、赤外線検出器であり、例えば、InGaAsフォトダイオード、サーモパイル又はボロメータ等の受光素子によって構成されている。なお、光検出器61は、紫外、可視、近赤外の光を検出する場合には、例えばSiフォトダイオード等の受光素子によって構成されていてもよい。また、光検出器61は、1つの受光素子によって構成されていてもよいし、或いは、複数の受光素子によって構成されていてもよい。光検出器61には、1つの受光部が設けられていてもよいし、光検出器61は、複数の受光部がアレイ状に設けられたフォトダイオードアレイや、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等であってもよい。
【0021】
温度検出器62は、配線基板7の実装面7aに実装されている。つまり、温度検出器62は、配線基板7の実装面7aに配置されている。温度検出器62によって検出された検出信号は、ファブリペロー干渉フィルタ10の温度特性を補正するために用いられる。本実施形態では、温度検出器62は、例えば、サーミスタ、測温抵抗体、熱電対、リニア抵抗器又は半導体温度センサ等である。
【0022】
筐体2には、開口2aが形成されている。開口2aは、その中心線がラインLに一致するようにキャップ4の天壁6に形成されている。開口2aは、Z軸方向においてファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域10aと向かい合っている。本実施形態では、開口2aは、Z軸方向から見た場合に、円形状を呈している。天壁6の内面6aには、開口2aを塞ぐように光透過部材13が接合されている。光透過部材13の材料は、例えばガラス等である。光透過部材13は、Z軸方向において互いに対向する光入射面13a及び光出射面13b、並びに側面13cを有している。光入射面13aは、開口2aにおいてキャップ4の天壁6の外面6bと略面一となっている。側面13cは、キャップ4の側壁5の内面5aに接触している。このような光透過部材13は、開口2aを下側にした状態でキャップ4の内側に配置されたガラスペレットを溶融させることで、形成される。
【0023】
光透過部材13の光出射面13bには、光透過性材料からなる接着部材15によって、バンドパスフィルタ14が固定されている。バンドパスフィルタ14は、光透過部材13を透過した光のうち、光検出装置1Aの測定波長範囲の光(所定の波長範囲の光であって、ファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域10aに入射させるべき光)を選択的に透過させる。本実施形態では、バンドパスフィルタ14は、例えば四角形板状を呈している。バンドパスフィルタ14は、Z軸方向において互いに対向する光入射面14a及び光出射面14b、並びに4つの側面14cを有している。バンドパスフィルタ14は、例えばシリコン又はガラス等からなる光透過部材、及び光透過部材の表面に形成された誘電体多層膜によって、構成されている。誘電体多層膜は、高屈折材料(例えばTiO2又はTa2O5等)からなる膜、及び低屈折材料(例えばSiO2又はMgF2等)からなる膜によって、構成されている。
【0024】
[ファブリペロー干渉フィルタ]
図2及び
図3に示されるように、ファブリペロー干渉フィルタ10には、第1ミラー部35と第2ミラー部36との間の距離に応じた波長の光を透過させる光透過領域10aが設けられている。光透過領域10aは、例えば、ラインLを中心線とする円柱状の領域である。
【0025】
ファブリペロー干渉フィルタ10は、基板21を備えている。基板21は、例えば矩形板状を呈している。基板21の材料は、例えば、シリコン、石英又はガラス等である。基板21は、ラインLに平行な方向において互いに対向する第1表面21a及び第2表面21bを有している。第1表面21aは、光入射側(バンドパスフィルタ14側)の表面である。第2表面21bは、光出射側(光検出器61側)の表面である。
【0026】
基板21の第1表面21aには、第1層構造体30が配置されている。第1層構造体30は、第1反射防止層31、第1積層体32、第1中間層33及び第2積層体34がこの順序で第1表面21aに積層されることで、構成されている。第1積層体32と第2積層体34との間には、枠状の第1中間層33によって空隙(エアギャップ)Sが形成されている。基板21の材料がシリコンである場合には、第1反射防止層31及び第1中間層33の材料は、例えば、酸化シリコンである。第1中間層33の厚さは、例えば数十nm~数十μmである。
【0027】
第1積層体32のうち光透過領域10aに対応する部分は、第1ミラー部35として機能する。第1積層体32は、誘電体多層膜によって構成されている。一例として、第1積層体32は、複数のポリシリコン層と複数の窒化シリコン層とが一層ずつ交互に積層されることで、構成されている。第1ミラー部35を構成するポリシリコン層及び窒化シリコン層のそれぞれの光学厚さは、光透過領域10aを透過する光の中心透過波長の1/4の整数倍であることが好ましい。なお、第1ミラー部35は、第1反射防止層31を介することなく、基板21の第1表面21aに配置されていてもよい。
【0028】
第2積層体34のうち光透過領域10aに対応する部分は、第2ミラー部36として機能する。第2ミラー部36は、ラインLに平行な方向において、空隙Sを介して第1ミラー部35と対向している。第2積層体34は、誘電体多層膜によって構成されている。一例として、第2積層体34は、複数のポリシリコン層と複数の窒化シリコン層とが一層ずつ交互に積層されることで、構成されている。第2ミラー部36を構成するポリシリコン層及び窒化シリコン層のそれぞれの光学厚さは、光透過領域10aを透過する光の中心透過波長の1/4の整数倍であることが好ましい。
【0029】
なお、第1積層体32及び第2積層体34においては、窒化シリコン層の代わりに酸化シリコン層が配置されていてもよい。また、第1積層体32及び第2積層体34を構成する各層の材料は、上述した材料に限定されず、例えば、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、フッ化マグネシウム、酸化アルミニウム、フッ化カルシウム、シリコン、ゲルマニウム又は硫化亜鉛等であってもよい。
【0030】
第2積層体34において空隙Sに対応する部分には、複数の貫通孔34bが形成されている。各貫通孔34bは、第2積層体34における第1積層体32とは反対側の表面34aから空隙Sに至っている。複数の貫通孔34bは、第2ミラー部36の機能に実質的に影響を与えない程度に形成されている。複数の貫通孔34bは、エッチングによって第1中間層33の一部を除去することで空隙Sを形成するために用いられたものである。
【0031】
第1積層体32には、光透過領域10aを囲むように第1電極22が形成されている。第1積層体32には、光透過領域10aを含むように第2電極23が形成されている。第1電極22及び第2電極23は、第1積層体32のうち空隙Sに最も近いポリシリコン層に不純物をドープして低抵抗化することで、形成されている。第2積層体34には、空隙Sを介して第1電極22及び第2電極23と対向するように第3電極24が形成されている。第3電極24は、第2積層体34のうち空隙Sに最も近いポリシリコン層に不純物をドープして低抵抗化することで、形成されている。なお、第2電極23は、光透過領域10aと略同一又は光透過領域10a以上の大きさを有していればよい。
【0032】
第1層構造体30には、1対の端子25及び1対の端子26が設けられている。1対の端子25は、光透過領域10aを挟んで互いに対向している。各端子25は、第2積層体34の表面34aから第1積層体32に至る貫通孔内に配置されている。各端子25は、第1積層体32に形成された配線22aを介して第1電極22と電気的に接続されている。1対の端子26は、1対の端子25が互いに対向する方向に垂直な方向において、光透過領域10aを挟んで互いに対向している。各端子26は、第2積層体34の表面34aから第1中間層33の内部に至る貫通孔内に配置されている。各端子26は、第1積層体32に形成された配線23aを介して第2電極23と電気的に接続されていると共に、第2積層体34に形成された配線24aを介して第3電極24と電気的に接続されている。
【0033】
第1積層体32における第2積層体34側の表面32aには、トレンチ27,28が設けられている。トレンチ27は、配線23aにおける端子26との接続部分を囲むように環状に延在している。トレンチ27は、第1電極22と配線23aとを電気的に絶縁している。トレンチ28は、第1電極22の内縁に沿って環状に延在している。トレンチ28は、第1電極22と第1電極22の内側の領域(すなわち、第2電極23が存在する領域)とを電気的に絶縁している。第2積層体34の表面34aには、トレンチ29が設けられている。トレンチ29は、端子25を囲むように環状に延在している。トレンチ29は、端子25と第3電極24とを電気的に絶縁している。各トレンチ27,28,29内の領域は、絶縁材料であってもよいし、或いは、空隙であってもよい。
【0034】
基板21の第2表面21bには、第2層構造体40が配置されている。第2層構造体40は、第2反射防止層41、第3積層体42、第2中間層43及び第4積層体44がこの順序で第2表面21bに積層されることで、構成されている。第2反射防止層41、第3積層体42、第2中間層43及び第4積層体44は、それぞれ、第1反射防止層31、第1積層体32、第1中間層33及び第2積層体34と同様の構成を有している。つまり、第2層構造体40は、基板21を基準として第1層構造体30と対称の積層構造を有している。第2層構造体40は、第1層構造体30と対応するように構成されることで、ファブリペロー干渉フィルタ10が反るのを抑制している。
【0035】
第3積層体42、第2中間層43及び第4積層体44には、光透過領域10aを含むように開口40aが形成されている。開口40aは、例えば、ラインLを中心線とする円柱状を呈しており、光透過領域10aと略同一の径を有している。開口40aは、光出射側に開口しており、開口40aの底面は、第2反射防止層41に至っている。開口40aは、第1ミラー部35及び第2ミラー部36を透過した光を通過させる。
【0036】
第4積層体44の光出射側の表面には、遮光層45が形成されている。遮光層45の材料は、例えばアルミニウム等である。遮光層45の表面及び開口40aの内面には、保護層46が形成されている。保護層46の材料は、例えば酸化アルミニウムである。なお、保護層46の厚さを1~100nm(好ましくは、30nm程度)にすることで、保護層46による光学的な影響を無視することができる。
【0037】
以上のように構成されたファブリペロー干渉フィルタ10においては、端子25と端子26との間に電圧が印加されると、第1電極22と第3電極24との間に電位差が生じ、当該電位差に応じた静電気力が第1電極22と第3電極24との間に発生する。これにより、基板21に固定された第1ミラー部35側に第2ミラー部36が引き付けられ、第1ミラー部35と第2ミラー部36との間の距離が変化する。このとき、第2電極23と第3電極24との間には電位差が生じないため、光透過領域10aにおける第2ミラー部36の平坦性が確保される。このように、ファブリペロー干渉フィルタ10では、第1ミラー部35及び第2ミラー部36の互いの距離が可変とされている。ここで、光透過領域10aを透過する光の波長は、第1ミラー部35と第2ミラー部36との間の距離に依存する。したがって、端子25と端子26との間に印加する電圧を調整することで、光透過領域10aを透過する光の波長を調整することができる。
【0038】
[光検出装置の内部構造]
図2及び
図4に示されるように、配線基板7は、Y軸方向(第1方向及び第2方向の両方向に垂直な第3方向)を長手方向とする長尺状を呈している。一例として、配線基板7は、Z軸方向を厚さ方向とし且つX軸方向を短辺方向とし且つY軸方向を長辺方向とする長方形板状を呈している。
【0039】
第1支持部91及び第2支持部92のそれぞれは、X軸方向における配線基板7の両縁部のそれぞれに沿って延在するように実装面7aに配置されている。第1支持部91は、実装面7aのうちX軸方向における他方側(図示左側)の部分に配置されている。第2支持部92は、実装面7aのうちX軸方向における一方側(図示右側)の部分に配置されている。一例として、第1支持部91及び第2支持部92のそれぞれは、Y軸方向を長手方向とする直方体状を呈している。第1支持部91及び第2支持部92は、X軸方向において光検出器61及び温度検出器62を挟んでいる。第1支持部91及び第2支持部92は、それぞれの底面91b及び底面92bが配線基板7と完全に重なるように実装面7aに配置されている。ファブリペロー干渉フィルタ10は、第1支持部91の上面91a及び第2支持部92の上面92aに配置され、第1支持部91及び第2支持部92によって支持されている。
【0040】
図5に示されるように、第1支持部91及び第2支持部92の各側面は、Z軸方向から見た場合に、配線基板7の各側面7cよりも内側に位置している。具体的には、第1支持部91における第2支持部92とは反対側の外側面91cは、Z軸方向から見た場合に、配線基板7の側面7cよりも内側に位置している。Y軸方向における第1支持部91の両側の側面91e,91fは、Z軸方向から見た場合に、それぞれ配線基板7の側面7cよりも内側に位置している。第2支持部92における第1支持部91とは反対側の外側面92cは、Z軸方向から見た場合に、配線基板7の側面7cよりも内側に位置している。Y軸方向における第2支持部92の両側の側面92e,92fは、Z軸方向から見た場合に、それぞれ配線基板7の側面7cよりも内側に位置している。第1支持部91における第2支持部92側の内側面91dと、第2支持部92における第1支持部91側の内側面92dとは、X軸方向において互いに向かい合っている。なお、第1支持部91の外側面91cは、Z軸方向から見た場合に、配線基板7の側面7cと重なっていてもよい。第2支持部92の外側面92cは、Z軸方向から見た場合に、配線基板7の側面7cと重なっていてもよい。
【0041】
ファブリペロー干渉フィルタ10の各側面10cは、Z軸方向から見た場合に、第1支持部91及び第2支持部92の各側面よりも内側に位置している。具体的には、X軸方向におけるファブリペロー干渉フィルタ10の両側の側面10cは、それぞれ、第1支持部91の外側面91c及び第2支持部92の外側面92cよりも内側に位置している。Y軸方向におけるファブリペロー干渉フィルタ10の一方側の側面10cは、Y軸方向における第1支持部91の一方側の側面91e及びY軸方向における第2支持部92の一方側の側面92eのそれぞれよりも内側に位置している。Y軸方向におけるファブリペロー干渉フィルタ10の他方側の側面10cは、Y軸方向における第1支持部91の他方側の側面91f及びY軸方向における第2支持部92の他方側の側面92fのそれぞれよりも内側に位置している。なお、ファブリペロー干渉フィルタ10の各側面10cは、Z軸方向から見た場合に、それぞれ、第1支持部91の外側面91c、第1支持部91の側面91e,91f、第2支持部92の外側面92c及び第2支持部92の側面92e,92fと重なっていてもよい。
【0042】
本実施形態では、ファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域10aの外側の外縁部(光透過領域10aを含まない領域であって、光透過領域10aを囲む領域)10bが、第1支持部91の第1支持領域91g及び第2支持部92の第2支持領域92gに配置されている。
【0043】
第1支持領域91gは、第1支持部91の上面91aのうち、Z軸方向から見た場合にファブリペロー干渉フィルタ10と重なる領域である。本実施形態では、第1支持領域91gは、Y軸方向を長手方向とする長尺状を呈している。具体的には、第1支持領域91gは、Z軸方から見た場合に、第1支持部91の内側面91d、Y軸方向におけるファブリペロー干渉フィルタ10の両側の側面10c、及びX軸方向におけるファブリペロー干渉フィルタ10の第1支持部91側の側面10cによって画定された領域である。一例として、第1支持領域91gは、X軸方向を短辺方向とし且つY軸方向を長辺方向とする長方形状を呈している。
【0044】
第2支持領域92gは、第2支持部92の上面92aのうち、Z軸方向から見た場合にファブリペロー干渉フィルタ10と重なる領域である。本実施形態では、第2支持領域92gは、Y軸方向を長手方向とする長尺状を呈している。具体的には、第2支持領域92gは、Z軸方から見た場合に、第2支持部92の内側面92d、Y軸方向におけるファブリペロー干渉フィルタ10の両側の側面10c、及びX軸方向におけるファブリペロー干渉フィルタ10の第2支持部92側の側面10cによって画定された領域である。一例として、第2支持領域92gは、X軸方向を短辺方向とし且つY軸方向を長辺方向とする長方形状を呈している。
【0045】
X軸方向における第1支持領域91gの第1幅W1とX軸方向における第2支持領域92gの第2幅W2とは、等しい。すなわち、ファブリペロー干渉フィルタ10の外縁部10bは、第1幅W1と第2幅W2とが等しくなるように第1支持領域91g及び第2支持領域92gに配置されている。X軸方向における第1支持領域91gの第1幅とは、X軸方向における第1支持領域91gの長さの最大値をいう。X軸方向における第2支持領域92gの第2幅とは、X軸方向における第2支持領域92gの長さの最大値をいう。
【0046】
配線基板7、第1支持部91、第2支持部92及びファブリペロー干渉フィルタ10は、空間Aを画定している。空間Aは、Z軸方向において配線基板7とファブリペロー干渉フィルタ10との間に位置し、且つX軸方向において第1支持部91と第2支持部92との間に位置する空間である。具体的には、空間Aは、配線基板7の実装面7aとファブリペロー干渉フィルタ10の底面10dとの間に位置し、且つ第1支持部91の内側面91dと第2支持部92の内側面92dとの間に位置する空間である。つまり、空間Aは、Z軸方向から見た場合に、第1支持部91の内側面91d、第2支持部92の内側面92d及びY軸方向におけるファブリペロー干渉フィルタ10の両側の側面10cによって画定された空間である。
【0047】
空間Aは、Y軸方向を長手方向とする長尺状を呈している。空間Aは、例えばY軸方向における幅がX軸方向における幅よりも大きい直方体状を呈している。空間Aについては、Y軸方向における空間Aの幅(長辺)をX軸方向における空間Aの幅(短辺)で除した値(以下、「空間Aのアスペクト比」という)が1.5以上となっている。なお、Z軸方向における空間Aの幅は、Y軸方向における空間Aの幅及びX軸方向における空間Aの幅よりも小さい。Y軸方向における空間Aの幅とは、Y軸方向における空間Aの長さの最大値である。X軸方向における空間Aの幅とは、X軸方向における空間Aの長さの最小値である。Z軸方向における空間Aの幅とは、Z軸方向における空間Aの長さの最小値である。
【0048】
配線基板7は、配線70,79と、電極パッド74,77と、を備えている。配線70,79及び電極パッド74,77は、配線基板7の実装面7aに設けられている。配線70は、実装部71、電極パッド73及び接続部75を有している。実装部71は、Z軸方向から見た場合に、ファブリペロー干渉フィルタ10と重なっている。実装部71は、空間Aの内部に配置されている。実装部71は、Z軸方向において、ファブリペロー干渉フィルタ10の第1ミラー部35及び第2ミラー部36と向かい合っている。電極パッド(第1電極パッド)73は、Z軸方向から見た場合に、Y軸方向における実装部71の一方の側に設けられている。接続部75は、実装部71と電極パッド73との間に配置されており、Y軸方向に延びている。実装部71と電極パッド73とは、接続部75によって電気的に接続されている。電極パッド(第2電極パッド)74は、Z軸方向から見た場合に、Y軸方向における実装部71の一方の側に設けられている。電極パッド73及び電極パッド74は、X軸方向において互いに並んでいる。
【0049】
電極パッド73及び電極パッド74は、Z軸方向から見た場合に、ファブリペロー干渉フィルタ10の外側に配置されている。電極パッド73及び電極パッド74は、空間Aの外部に配置されている。電極パッド73及び電極パッド74は、Z軸方向から見た場合に、第1支持部91の側面91e及び第2支持部92の側面92eに対して、ファブリペロー干渉フィルタ10とは反対側に配置されている。
【0050】
配線79は、実装部72、電極パッド76及び接続部78を有している。実装部72は、Z軸方向から見た場合に、ファブリペロー干渉フィルタ10と重なっている。実装部72は、空間Aの内部に配置されている。実装部72は、Y軸方向において実装部71の他方の側に配置されている。電極パッド76は、Z軸方向から見た場合に、Y軸方向における実装部72の他方の側に設けられている。接続部78は、実装部72と電極パッド76との間に配置されており、Y軸方向に延びている。実装部72と電極パッド76とは、接続部78によって電気的に接続されている。電極パッド77は、Z軸方向から見た場合に、Y軸方向における実装部72の他方の側に設けられている。電極パッド76及び電極パッド77は、X軸方向において互いに並んでいる。
【0051】
電極パッド76及び電極パッド77は、Z軸方向から見た場合に、ファブリペロー干渉フィルタ10の外側に配置されている。電極パッド76及び電極パッド77は、空間Aの外部に配置されている。電極パッド76及び電極パッド77は、Z軸方向から見た場合に、第1支持部91の側面91f及び第2支持部92の側面92fに対して、ファブリペロー干渉フィルタ10とは反対側に配置されている。
【0052】
実装部71には、光検出器61が実装されている。光検出器61の一方の電極(陽極又は陰極の一方)は、実装部71と電気的に接続されている。これにより、光検出器61の一方の電極は、配線基板7の実装面7aにおいて電極パッド73と電気的に接続されている。光検出器61は、X軸方向における第1支持部91の一方の側(空間A側)、且つX軸方向における第2支持部92の他方の側(空間A側)において、ファブリペロー干渉フィルタ10の第1ミラー部35及び第2ミラー部36と向かい合っている。光検出器61、第1支持部91及び第2支持部92は、X軸方向において並んでいる。光検出器61は、Z軸方向から見た場合に、ファブリペロー干渉フィルタ10と完全に重なっている。光検出器61は、X軸方向から見た場合に、第1支持部91及び第2支持部92と完全に重なっている。光検出器61は、空間Aの内部に配置されている。
【0053】
X軸方向における光検出器61と第1支持部91との間の距離D1と、X軸方向における光検出器61と第2支持部92との間の距離D2とは、等しい。すなわち、光検出器61は、距離D1と距離D2とが等しくなるように実装面7aに配置されている。X軸方向における光検出器61と第1支持部91との間の距離とは、X軸方向における光検出器61と第1支持部91との間の最短距離をいう。距離D1は、光検出器61における第1支持部91側の他端と第1支持部91の内側面91dとの間の距離である。同様に、X軸方向における光検出器61と第2支持部92との間の距離とは、X軸方向における光検出器61と第2支持部92との間の最短距離をいう。距離D2は、光検出器61における第2支持部92側の一端と第2支持部92の内側面92dとの間の距離である。距離D1は、第1幅W1よりも小さい。距離D2は、第2幅W2よりも小さい。
【0054】
実装部72には、温度検出器62が実装されている。温度検出器62の一方の電極(陽極又は陰極の一方)は、実装部72と電気的に接続されている。これにより、温度検出器62の一方の電極は、配線基板7の実装面7aにおいて電極パッド76と電気的に接続されている。温度検出器62は、Z軸方向から見た場合に、ファブリペロー干渉フィルタ10と完全に重なっている。温度検出器62は、X軸方向から見た場合に、第1支持部91及び第2支持部92と完全に重なっている。温度検出器62は、空間Aの内部に配置されている。
【0055】
X軸方向における温度検出器62と第1支持部91との間の距離(第1距離)D3と、X軸方向における温度検出器62と第2支持部92との間の距離(第2距離)D4とは、等しい。すなわち、温度検出器62は、距離D3と距離D4とが等しくなるように実装面7aに配置されている。X軸方向における温度検出器62と第1支持部91との間の距離とは、X軸方向における温度検出器62と第1支持部91との間の最短距離をいう。距離D3は、温度検出器62における第1支持部91側の他端と第1支持部91の内側面91dとの間の距離である。同様に、X軸方向における温度検出器62と第2支持部92との間の距離とは、X軸方向における温度検出器62と第2支持部92との間の最短距離をいう。距離D4は、温度検出器62における第2支持部92側の一端と第2支持部92の内側面92dとの間の距離である。距離D3は、第1幅W1よりも小さい。距離D4は、第2幅W2よりも小さい。
【0056】
光検出装置1Aは、ステム3に設けられた複数のリードピン11、及び複数のワイヤ12,81,82,83,84,85,86を備えている。各リードピン11は、Z軸方向から見た場合に、配線基板7の外側に配置されている。各リードピン11は、ステム3との間で電気絶縁性及び気密性が維持された状態で、ステム3を貫通している(
図1参照)。各リードピン11の端部(筐体2内における端部)は、Z軸方向において、ステム3の内面3aに対してファブリペロー干渉フィルタ10側に位置している。各リードピン11の端部は、Z軸方向において、ファブリペロー干渉フィルタ10に対してステム3側に位置している。各リードピン11は、ステム3に固定されている。ファブリペロー干渉フィルタ10の1つの端子25及び1つの端子26のそれぞれと、対応するそれぞれのリードピン11の端部とは、ワイヤ12によって電気的に接続されている。なお、ファブリペロー干渉フィルタ10の1対の端子25及び1対の端子26のそれぞれと、対応するそれぞれのリードピン11の端部とが、ワイヤ12によって電気的に接続されていてもよい。また、本実施形態では一例として、グランド電位に接続された2本のリードピン11の端部が、ワイヤ12によってステム3に接続されている。これにより、ステム3は、グランド電位に接続されている。また、各リードピン11の端部は、ステム3の内面3aを含む面上に位置していてもよい。
【0057】
電極パッド73と、対応するリードピン(第1端子)11の端部とは、ワイヤ(第1ワイヤ)81によって電気的に接続されている。つまり、ワイヤ81は、光検出器61の一方の電極とリードピン11の端部とを電気的に接続している。光検出器61の他方の電極(陽極又は陰極の他方)と電極パッド74とは、ワイヤ(第2ワイヤ)82によって電気的に接続されている。電極パッド74と、対応するリードピン(第2端子)11の端部とは、ワイヤ(第3ワイヤ)83によって電気的に接続されている。つまり、ワイヤ82及びワイヤ83は、光検出器61の他方の電極とリードピン11の端部とを電気的に接続している。ワイヤ82及びワイヤ83は、電極パッド74において互いに離間していてもよいし、互いに重なっていてもよい。つまり、ワイヤ82及びワイヤ83は、それぞれ、電極パッド74における相違する位置において電極パッド74に接続されていてもよいし、電極パッド74における同一の位置において電極パッド74に接続されていてもよい。
【0058】
電極パッド76と、対応するリードピン11の端部とは、ワイヤ84によって電気的に接続されている。つまり、ワイヤ84は、温度検出器62の一方の電極とリードピン11の端部とを電気的に接続している。温度検出器62の他方の電極(陽極又は陰極の他方)と電極パッド77とは、ワイヤ85によって電気的に接続されている。電極パッド77と、対応するリードピン11の端部とは、ワイヤ86によって電気的に接続されている。つまり、ワイヤ85及びワイヤ86は、温度検出器62の他方の電極とリードピン11の端部とを電気的に接続している。ワイヤ85及びワイヤ86は、電極パッド77において互いに離間していてもよいし、互いに重なっていてもよい。つまり、ワイヤ85及びワイヤ86は、それぞれ、電極パッド77における相違する位置において電極パッド77に接続されていてもよいし、電極パッド77における同一の位置において電極パッド77に接続されていてもよい。
【0059】
以上により、ファブリペロー干渉フィルタ10、光検出器61及び温度検出器62のそれぞれに対する電気信号の入出力等が可能となっている。なお、各ワイヤ12,81,82,83,84,85,86と各リードピン11又は各電極パッド73,74,76,77との接続は、例えばワイヤボンディングによって行われている。
【0060】
以上のように構成された光検出装置1Aにおいては、筐体2の外部から、開口2a、光透過部材13及び接着部材15を介して、バンドパスフィルタ14に光が入射すると、所定の波長範囲の光のみがバンドパスフィルタ14を透過する。バンドパスフィルタ14を透過した光は、ファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域10aに入射して、第1ミラー部35と第2ミラー部36との間の距離に応じた波長の光が光透過領域10aを透過する。光透過領域10aを透過した光は、光検出器61の受光部に入射して、光検出器61によって検出される。したがって、ファブリペロー干渉フィルタ10において第1ミラー部35と第2ミラー部36との間の距離を変化させながら、光透過領域10aを透過した光の強度を光検出器61において検出することで、分光スペクトルを得ることができる。
【0061】
光検出装置1Aにおいては、第1ミラー部35と第2ミラー部36との間の電位差に応じて、第1ミラー部35と第2ミラー部36との間の距離が制御され、第1ミラー部35と第2ミラー部36との間の距離に応じて、第1ミラー部35及び第2ミラー部36を透過する光の波長が制御される。また、ファブリペロー干渉フィルタ10の温度特性を補正するために、ファブリペロー干渉フィルタ10が配置された空間Aの温度が温度検出器62によって検出される。
【0062】
[作用及び効果]
光検出装置1Aでは、X軸方向における温度検出器62と第1支持部91との間の距離D3が、X軸方向における第1支持領域91gの第1幅W1よりも小さい。これにより、ファブリペロー干渉フィルタ10と第1支持部91との熱的な接続領域となる第1支持領域91gの面積を十分に確保しつつ、温度検出器62を第1支持部91に近づけることができる。したがって、ファブリペロー干渉フィルタ10の温度が正確に反映された温度を取得することができる。よって、光検出装置1Aによれば、ファブリペロー干渉フィルタ10の温度特性の高精度な補正が可能となる。
【0063】
また、光検出装置1Aは、X軸方向において光検出器61を挟んで第1支持部91と向かい合うように実装面7aに配置された第2支持部92を備えている。ファブリペロー干渉フィルタ10の外縁部10bは、第2支持部92の第2支持領域92gに配置されている。温度検出器62は、X軸方向から見た場合に第2支持部92と重なるように、実装面7aに配置されている。X軸方向における温度検出器62と第2支持部92との間の距離D4は、X軸方向における第2支持領域92gの第2幅W2よりも小さい。これによれば、ファブリペロー干渉フィルタ10と第2支持部92との熱的な接続領域となる第2支持領域92gの面積を十分に確保しつつ、温度検出器62を第2支持部92に近づけることができる。したがって、ファブリペロー干渉フィルタ10の温度がより正確に反映された温度を取得することができる。
【0064】
また、光検出装置1Aでは、ファブリペロー干渉フィルタ10の外縁部10bは、第1幅W1と第2幅W2とが等しくなるように第1支持領域91g及び第2支持領域92gに配置されている。温度検出器62は、距離D3と距離D4とが等しくなるように実装面7aに配置されている。これによれば、ファブリペロー干渉フィルタ10の温度が第1支持部91及び第2支持部92のそれぞれを介して均等に反映された温度を取得することができる。
【0065】
また、光検出装置1Aでは、Z軸方向において配線基板7とファブリペロー干渉フィルタ10との間に位置し、且つX軸方向において第1支持部91と第2支持部92との間に位置する空間Aについては、Y軸方向における空間Aの幅をX軸方向における空間Aの幅で除した値が1.5以上となっている。これによれば、X軸方向において温度検出器62を第1支持部91及び第2支持部92のそれぞれに近づけつつも、Y軸方向における第1支持領域91gの長さ及びY軸方向における第2支持領域92gの長さを確保して、第1支持領域91gの面積及び第2支持領域92gの面積を十分に確保することができる。温度検出器62を第1支持部91及び第2支持部92のそれぞれに近づけつつ、Y軸方向における第1支持領域91gの長さ及びY軸方向における第2支持領域92gの長さを確保する観点では、空間Aのアスペクト比は、1.8以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましい。
【0066】
また、光検出装置1Aでは、配線基板7が、Y軸方向を長手方向とする長尺状を呈しており、第1支持部91及び第2支持部92のそれぞれが、X軸方向における配線基板7の両縁部のそれぞれに沿って延在するように実装面7aに配置されている。これによれば、Y軸方向における幅がX軸方向における幅よりも大きい空間Aを容易に形成することができる。
【0067】
また、光検出装置1Aは、配線基板7が配置されたステム3と、ステム3に設けられた複数のリードピン11と、光検出器61の一方の電極とリードピン11の端部とを電気的に接続するワイヤ81と、光検出器61の他方の電極とリードピン11の端部とを電気的に接続するワイヤ82及びワイヤ83と、を備えている。配線基板7は、実装面7aにおいて光検出器61の一方の電極と電気的に接続され、実装面7aに設けられた電極パッド73を有する配線70と、実装面7aに設けられた電極パッド74と、を有している。ワイヤ81は、電極パッド73とリードピン11の端部とを電気的に接続しており、ワイヤ82は、光検出器61の他方の電極と電極パッド74とを電気的に接続しており、ワイヤ83は、電極パッド74とリードピン11の端部とを電気的に接続している。電極パッド73及び電極パッド74は、Z軸方向から見た場合にファブリペロー干渉フィルタ10の外側に位置している。これによれば、ワイヤ82及びワイヤ83が周辺の部材(ファブリペロー干渉フィルタ10、第1支持部91、第2支持部92等)と接触するのを防止することができる。
【0068】
[第2実施形態]
図6及び
図7に示されるように、第2実施形態の光検出装置1Bは、電極パッド74、電極パッド77、ワイヤ83及びワイヤ86を備えていない点において、第1実施形態の光検出装置1Aと主に相違している。
【0069】
光検出装置1Bは、上述したように、電極パッド74、電極パッド77、ワイヤ83及びワイヤ86を備えていない。光検出器61の他方の電極は、ワイヤ82によって直接リードピン11の端部に電気的に接続されている。温度検出器62の他方の電極は、ワイヤ85によって直接リードピン11の端部に電気的に接続されている。
【0070】
ワイヤ82及びワイヤ85は、曲がっている。具体的には、ワイヤ82及びワイヤ85は、周辺の部材と接触しないように、周辺の部材とは離れる方向に向かって曲がっている。より具体的には、ワイヤ82及びワイヤ85は、Z軸方向から見た場合に、第2支持部92とは離れる方向に向かって曲がっている。ワイヤ82及びワイヤ85は、Z軸方向から見た場合に、第2支持部92を避けるように曲がっている。これにより、ワイヤ82及びワイヤ85が第2支持部92と接触するのを防止することができる。また、ワイヤ82及びワイヤ85は、X軸方向から見た場合に、ファブリペロー干渉フィルタ10の側面10cの近傍において、ファブリペロー干渉フィルタ10とは離れる方向に向かって曲がっている。ワイヤ82及びワイヤ85は、X軸方向から見た場合に、ファブリペロー干渉フィルタ10の側面10cの近傍において、ファブリペロー干渉フィルタ10を避けるように曲がっている。これにより、ワイヤ82及びワイヤ85がファブリペロー干渉フィルタ10と接触するのを防止することができる。上述したように、各リードピン11の端部が、Z軸方向において、ファブリペロー干渉フィルタ10に対してステム3側に位置しているため、ワイヤ82及びワイヤ85は、ファブリペロー干渉フィルタ10を避けるように曲がりやすくなる。
【0071】
以上説明したように、第2実施形態の光検出装置1Bによれば、上述した第1実施形態の光検出装置1Aと同様に、ファブリペロー干渉フィルタ10の温度特性の高精度な補正が可能となる。また、光検出装置1Bによれば、ファブリペロー干渉フィルタ10に印加される電圧信号に起因して、光検出器61から出力される検出信号にノイズが生じるのを抑制することができる。
【0072】
以下、光検出装置1Aを用いて行われた実験(実施例1)の結果及び光検出装置1Bを用いて行われた実験(実施例2)の結果に基づいて、上記ノイズの抑制効果について説明する。
図8は、実施例1及び実施例2のそれぞれにおいて、ファブリペロー干渉フィルタ10の端子25と端子26との間に電圧を印加した場合に、光検出器61から出力される検出信号の時間変化を示すグラフである。
【0073】
ファブリペロー干渉フィルタ10の端子25と端子26との間に電圧を印加した場合、第1ミラー部35と第2ミラー部36との間の距離が、狙いの波長の光に応じた距離に達するまでの期間には、光検出器61からの検出信号が約零の状態を維持する。しかし、
図8に示されるように、上記期間のうちの一部の期間(例えば、0~0.0006s)において、光検出器61から出力される検出信号に急激に立ち上がるようなノイズ(クロストーク信号)が生じる場合がある。これは、ファブリペロー干渉フィルタ10に印加される電圧信号に起因していると考えられる。
図8に示される結果から、実施例2では、実施例1に比べ、ノイズが抑制されていることが分かる。
【0074】
[変形例]
本開示は、上記第1実施形態及び第2実施形態に限定されない。例えば、第1実施形態及び第2実施形態において、光検出器61が、Z軸方向から見た場合に、ファブリペロー干渉フィルタ10と完全に重なっている例を示したが、光検出器61は、少なくとも一部がファブリペロー干渉フィルタ10の一部と重なっていればよい。光検出器61は、Z軸方向から見た場合に、一部がファブリペロー干渉フィルタ10の外側に位置していてもよい。
【0075】
また、第1実施形態及び第2実施形態において、光検出器61が、X軸方向から見た場合に、第1支持部91及び第2支持部92と完全に重なっている例を示したが、光検出器61は、X軸方向から見た場合に、少なくとも一部が第1支持部91及び第2支持部92と重なっていてもよい。光検出器61は、X軸方向から見た場合に、一部が第1支持部91又は第2支持部92の外側に位置していてもよい。光検出器61は、X軸方向から見た場合に、少なくとも一部が第1支持部91の一部と重なっていればよい。
【0076】
また、第1実施形態及び第2実施形態において、温度検出器62が、Z軸方向から見た場合に、ファブリペロー干渉フィルタ10と完全に重なっている例を示したが、温度検出器62は、少なくとも一部がファブリペロー干渉フィルタ10の一部と重なっていればよい。温度検出器62は、Z軸方向から見た場合に、一部がファブリペロー干渉フィルタ10の外側に位置していてもよい。
【0077】
また、第1実施形態及び第2実施形態において、温度検出器62が、X軸方向から見た場合に、第1支持部91及び第2支持部92と完全に重なっている例を示したが、温度検出器62は、X軸方向から見た場合に、少なくとも一部が第1支持部91及び第2支持部92と重なっていてもよい。温度検出器62は、X軸方向から見た場合に、一部が第1支持部91又は第2支持部92の外側に位置していてもよい。温度検出器62は、X軸方向から見た場合に、少なくとも一部が第1支持部91の一部と重なっていればよい。
【0078】
また、第1実施形態及び第2実施形態において、ファブリペロー干渉フィルタ10の外縁部10bが、第1幅W1と第2幅W2とが等しくなるように第1支持領域91g及び第2支持領域92gに配置されている例を示したが、ファブリペロー干渉フィルタ10の外縁部10bは、第1幅W1と第2幅W2とが相違するように第1支持領域91g及び第2支持領域92gに配置されていてもよい。第1幅W1は、第2幅W2よりも大きくてもよいし、第2幅W2よりも小さくてもよい。
【0079】
また、第1実施形態及び第2実施形態において、光検出器61が、距離D1と距離D2とが等しくなるように実装面7aに配置されている例を示したが、光検出器61は、距離D1と距離D2とが相違するように実装面7aに配置されていてもよい。距離D1は、距離D2よりも大きくてもよいし、距離D2よりも小さくてもよい。
【0080】
また、第1実施形態及び第2実施形態において、距離D1が第1幅W1よりも小さく、且つ、距離D2が第2幅W2よりも小さい例を示したが、距離D1は、第1幅W1以上であってもよく、距離D2は、第2幅W2以上であってもよい。
【0081】
また、第1実施形態及び第2実施形態において、温度検出器62が、距離D3と距離D4とが等しくなるように実装面7aに配置されている例を示したが、温度検出器62は、距離D3と距離D4とが相違するように実装面7aに配置されていてもよい。距離D3は、距離D4よりも大きくてもよいし、距離D4よりも小さくてもよい。
【0082】
また、第1実施形態及び第2実施形態において、距離D4が第2幅W2よりも小さい例を示したが、距離D4は、第2幅W2以上であってもよい。少なくとも距離D3が第1幅W1よりも小さければよい。
【0083】
また、第1実施形態及び第2実施形態において、第1支持部91が、実装面7aのうちX軸方向における他方側(図示左側)の部分に配置され、第2支持部92が、実装面7aのうちX軸方向における一方側(図示右側)に配置されている例を示したが、第1支持部91は、実装面7aのうちX軸方向における一方側(図示右側)の部分に配置され、第2支持部92は、実装面7aのうちX軸方向における他方側(図示左側)の部分に配置されていてもよい。つまり、第1実施形態及び第2実施形態に対して、第1支持部91及び第2支持部92は、Z軸方向から見た場合に、ラインLを中心として180°回転していてもよい。
【0084】
また、第1実施形態及び第2実施形態において、第1端子及び第2端子がステム3を貫通するリードピン11である例を示したが、第1端子及び第2端子は、リードピンではなくてもよい。第1端子及び第2端子は、例えば、配線基板7の実装面7aに設けられた電極パッド等であってもよい。この場合、光検出装置1A又は光検出装置1Bは、例えばSMD(Surface Mount Device)として構成されていてもよい。
【0085】
また、第1実施形態及び第2実施形態において、第1支持部91及び第2支持部92が、配線基板7と別体で形成されている例を示したが、第1支持部91及び第2支持部92は、配線基板7と一体で形成されていてもよい。また、第1支持部91及び第2支持部92は、ファブリペロー干渉フィルタ10の基板21と一体で形成されていてもよい。
【0086】
なお、光検出装置は、配線基板と、互いに向かい合うように配線基板の実装面に配置された第1支持部及び第2支持部と、互いの距離が可変とされた第1ミラー部及び第2ミラー部を有し、第1支持部の第1支持領域及び第2支持部の第2支持領域に外縁部が配置されたファブリペロー干渉フィルタと、第1支持部と第2支持部との間において第1ミラー部及び第2ミラー部と向かい合うように実装面に配置された光検出器と、実装面に配置された温度検出器と、を備え、温度検出器は、実装面に垂直な第1方向から見た場合に温度検出器の少なくとも一部がファブリペロー干渉フィルタの一部と重なるように、且つ第1支持部と第2支持部とが向かい合う第2方向から見た場合に温度検出器の少なくとも一部が第1支持部及び第2支持部のそれぞれの一部と重なるように、実装面に配置されており、第1方向において配線基板とファブリペロー干渉フィルタとの間に位置し、且つ第2方向において第1支持部と第2支持部との間に位置する空間については、第1方向及び第2方向の両方向に垂直な第3方向における空間の幅を第2方向における空間の幅で除した値が1.5以上となっていてもよい。この光検出装置では、第2方向において温度検出器を第1支持部及び第2支持部のそれぞれに近づけつつも、第3方向における第1支持領域の長さ及び第3方向における第2支持領域の長さを確保して、第1支持領域の面積及び第2支持領域の面積を十分に確保することができる。したがって、ファブリペロー干渉フィルタの温度が正確に反映された温度を取得することができる。よって、この光検出装置によれば、ファブリペロー干渉フィルタの温度特性の高精度な補正が可能となる。
【符号の説明】
【0087】
1A,1B…光検出装置、3…ステム(載置部)、7…配線基板、7a…実装面、10…ファブリペロー干渉フィルタ、10b…外縁部、61…光検出器、62…温度検出器、11…リードピン(第1端子、第2端子)、35…第1ミラー部、36…第2ミラー部、73…電極パッド(第1電極パッド)、74…電極パッド(第2電極パッド)、81…ワイヤ(第1ワイヤ)、82…ワイヤ(第2ワイヤ)、83…ワイヤ(第3ワイヤ)、91…第1支持部、91g…第1支持領域、92…第2支持部、92g…第2支持領域、A…空間。