(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】気化器装置用のカートリッジ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/42 20200101AFI20240422BHJP
A24F 40/48 20200101ALI20240422BHJP
A24F 40/485 20200101ALI20240422BHJP
A24F 40/44 20200101ALI20240422BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/48
A24F40/485
A24F40/44
(21)【出願番号】P 2021520576
(86)(22)【出願日】2019-10-15
(86)【国際出願番号】 US2019056267
(87)【国際公開番号】W WO2020081527
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-10-14
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523071097
【氏名又は名称】ジュール・ラブズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】JUUL Labs, Inc.
【住所又は居所原語表記】1000 F Street NW, Washington DC, 20004, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ジェイ. ロッサー
(72)【発明者】
【氏名】シモン ジェイ. スミス
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムス ピー. ウェストリー
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0255876(US,A1)
【文献】特表2017-538399(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0177240(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/42
A24F 40/48
A24F 40/485
A24F 40/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気化器装置用のカートリッジであって、該カートリッジは、
気化可能材料を保持するように構成された少なくとも1つの内部容器を備えるリザーバハウジング、および
該リザーバハウジングと連通する気化室を有しており、該気化室は、前記気化可能材料を、少なくとも1つの前記内部容器から前記気化室に引き出して加熱要素により気化させるように構成された少なくとも1つのウィッキング要素を含み、
少なくとも1つの前記内部容器は、少なくとも1つの前記ウィッキング要素に対して実質的にシールされており、かつ少なくとも1つの前記内部容器は、前記気化可能材料が少なくとも1つの前記内部容器から引き出されると萎むように構成されて
おり、
前記カートリッジは、前記リザーバハウジングの壁を貫通する少なくとも1つのベントをさらに備え、少なくとも1つの該ベントは、前記気化可能材料が少なくとも1つの前記内部容器から引き出される際に前記リザーバハウジング内で圧力平衡が実質的に保たれるように、周囲空気が少なくとも1つの前記ベントを通って前記リザーバハウジング内へ流入すること許容する、気化器装置用のカートリッジ。
【請求項2】
少なくとも1つの前記内部容器が萎むことによって、前記気化可能材料が少なくとも1つの前記内部容器から引き出される際にヘッドスペース真空が形成されることを実質的に防止する、請求項1記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記気化室は、前記リザーバハウジングの少なくとも1つの側壁により画定されている、請求項1記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記気化室は、疎水性材料によりコーティングされた、または、疎水性材料から形成された少なくとも1つの壁により画定されている、請求項1記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記気化室は、空気流の少なくとも一部が流通して前記気化室内へ流入することを許容するように構成された少なくとも1つの壁により画定されている、請求項1記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記ウィッキング要素は、1つ以上の多孔質材料から形成されている、請求項1記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記リザーバハウジングは、第1のリザーバ室と第2のリザーバ室とを含んでおり、前記第1のリザーバ室および前記第2のリザーバ室はそれぞれ、内部に配置された少なくとも1つの前記内部容器のうちの少なくとも1つを有している、請求項1記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記気化室は、前記第1のリザーバ室と前記第2のリザーバ室との間に配置されている、請求項
7記載のカートリッジ。
【請求項9】
気化器装置であって、
気化器本体と、
該気化器本体に対して選択的に着脱可能なカートリッジと、を備え、前記カートリッジは、気化可能材料を保持するように構成された少なくとも1つの内部容器を有するリザーバハウジングと、該リザーバハウジングと連通する気化室とを含んでおり、該気化室は、前記気化可能材料を、少なくとも1つの前記内部容器から前記気化室に引き出して加熱要素により気化させるように構成された少なくとも1つのウィッキング要素を含んでおり、
少なくとも1つの前記内部容器は、少なくとも1つの前記ウィッキング要素に対して実質的にシールされており、かつ少なくとも1つの前記内部容器は、前記気化可能材料が少なくとも1つの前記内部容器から引き出されると萎むように構成されて
おり、
前記カートリッジは、前記リザーバハウジングの壁を貫通する少なくとも1つの孔をさらに備え、少なくとも1つの前記孔は、前記気化可能材料が少なくとも1つの前記内部容器から引き出される際に前記リザーバハウジング内で圧力平衡が実質的に保たれるように、周囲空気が少なくとも1つの前記孔を通って前記リザーバハウジング内へ流入することを許容する、気化器装置。
【請求項10】
前記気化器本体は電源を含む、請求項
9記載の装置。
【請求項11】
少なくとも1つの前記内部容器が萎んで、前記気化可能材料が少なくとも1つの前記内部容器から引き出される際にヘッドスペース真空が形成されることを実質的に防止する、請求項
9記載の装置。
【請求項12】
前記気化室は、前記リザーバハウジングの少なくとも1つの側壁により画定されている、請求項
9記載の装置。
【請求項13】
前記気化室は、疎水性材料によりコーティングされた、または、疎水性材料から形成された少なくとも1つの壁により画定されている、請求項
9記載の装置。
【請求項14】
前記気化室は、空気流の少なくとも一部が流通して前記気化室内へ流入することを許容するように構成された少なくとも1つの壁により画定されている、請求項
9記載の装置。
【請求項15】
前記ウィッキング要素は、1つ以上の多孔質材料から形成されている、請求項
9記載の装置。
【請求項16】
前記リザーバハウジングは、第1のリザーバ室と第2のリザーバ室とを含んでおり、前記第1のリザーバ室および前記第2のリザーバ室はそれぞれ、内部に配置された少なくとも1つの前記内部容器のうちの少なくとも1つを有している、請求項
9記載の装置。
【請求項17】
前記気化室は、前記第1のリザーバ室と前記第2のリザーバ室との間に配置されている、請求項
16記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年10月15日付けで出願された“Cartridges For Vaporizer Devices”と題する米国仮特許出願第62745745号の優先権を主張し、その開示内容全体を参照することにより、許可される範囲で本明細書に組み込むものである。
【0002】
技術分野
本明細書に記載した主題は、気化器カートリッジを含む気化器装置に関する。
【0003】
背景
気化器、電子気化器装置、またはe気化器装置とも呼ばれる気化器装置は、エアロゾル(例えば、空気またはその他のいくつかのガスキャリアの静止質量または移動質量内に懸濁した気相および/または凝縮相の材料)の放出のために用いられ得る。エアロゾルは、1つ以上の活性成分を含んでおり、気化装置のユーザによるエアロゾルの吸入によって移送される。例えば、電子ニコチン放出システム(ENDS)には、バッテリーによって稼働されてタバコやその他の物質を燃焼させずに喫煙を疑似体験することに使用され得るタイプの気化器装置が含まれる。気化器装置は、処方医療や薬剤投与、及び、タバコ、ニコチン、その他の植物を元にした材料の消費の双方の用途に、人気の高まりを得つつある。気化器装置は、携行可能であり得、自給式であり得、かつ/または、使用が便利であり得る。
【0004】
気化器装置を使用する際、ユーザは、俗に「蒸気」と呼ばれるエアロゾルを吸引し、エアロゾルは気化可能材料を気化させる(例えば、液体または固体を少なくとも部分的に気相に変化させる)加熱要素により発生し得、気化可能材料は、液体、溶液、固体、ペースト、ワックス、および/または特定の気化器装置での使用に適した別の任意の形態であり得る。気化器装置で使用される気化可能材料は、カートリッジ(例えば、気化器装置における分離可能な部分であって、気化可能材料を収容する部分)内に供給され得、このカートリッジは、ユーザがエアロゾルを吸引するための放出口(例えば、マウスピース)を含んでいる。
【0005】
気化器装置により生成された吸入可能なエアロゾルを吸入するために、ユーザは、特定の例では、パフをしたり、ボタンを押したり、かつ/または、その他のいくつかのアプローチにより、気化器装置を作動させてもよい。ここで用いられるパフとは、空気が気化器装置内に引き込まれて、気化された気化可能材料が当該空気に混入されることによって、吸入可能なエアロゾルが生成されるようにユーザが吸引することとして説明され得る。
【0006】
気化器装置が気化可能材料から吸入可能なエアロゾルを発生させるアプローチには、気化可能材料を気化室(例えば、ヒータ室)内で加熱し、気化可能材料を気相(または蒸気相)に変換させることが含まれる。気化室は気化器装置内の領域または容積であり得、この内部において、熱源(例えば、伝導式、対流式、および/または放射式の熱源)が気化可能材料を加熱し、気化装置のユーザによる気化可能材料の吸入のための蒸気が生成される。
【0007】
気化器装置は、気化器装置における1つ以上の制御装置や電子回路(例えば、センサ、加熱要素)等により制御され得る。気化器装置は、外部制御装置(例えば、スマートフォン等のコンピュータ装置)とワイヤレス通信することもできる。
【0008】
いくつかの実施形態では、気化可能材料は、ウィッキング要素(例えば、ウィック)を介して、リザーバから気化室内へ引き込まれ得る。気化可能材料の気化室内への引き込みは、ウィックが気化可能材料を気化室の方向に沿ってウィック沿いに引っ張る際にウィックによりもたらされる毛管作用に少なくとも部分的に起因し得る。しかしながら、気化可能材料がリザーバから引き出されると、リザーバ内の圧力が低下し、これにより真空が形成されて毛管作用に抗して作用する。このことは、気化可能材料を気化室内へ引き出すためのウィックの有効性を低下させ得、これにより、ユーザが気化器装置をパフした際などに所望量の気化可能材料を気化させるための気化装置の有効性が低下し得る。さらに、リザーバ内に形成される真空によって、最終的には、全ての気化可能材料が気化室内に引き込まれない結果になり得、これにより、気化可能材料を浪費し得る。よって、これらの問題を改善または克服するような改良された気化装置および/または気化カートリッジが求められている。
【0009】
概要
現行の主題の特定の態様において、リザーバ内のヘッドスペースの形成に関連する課題には、本明細書に記載した1つ以上の特徴または当業者に理解されるような類似/同等のアプローチを包含することにより対処することができる。現行の主題の態様は、気化器装置および気化器装置に用いるためのカートリッジに関する。
【0010】
いくつかの変化形では、以下の特徴のうちの1つ以上が、実行可能な任意の組合せに任意に含まれていてよい。
【0011】
1つの例示的な実施形態では、気化器装置用のカートリッジが提供されており、カートリッジは、気化可能材料を保持するように構成された少なくとも1つの内部容器を有するリザーバハウジングと、リザーバハウジングと連通する気化室とを有している。気化室は、気化可能材料を、少なくとも1つの内部容器から気化室に引き出して加熱要素により気化させるように構成された少なくとも1つのウィッキング要素を含んでおり、少なくとも1つの内部容器は、少なくとも1つのウィッキング要素に対して実質的にシールされており、かつ少なくとも1つの内部容器は、気化可能材料が少なくとも1つの内部容器から引き出されると萎むように構成されている。
【0012】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの内部容器が萎むことによって、気化可能材料が少なくとも1つの内部容器から引き出される際にヘッドスペース真空が形成されることを実質的に防止し得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、カートリッジは、リザーバハウジングの壁を貫通する少なくとも1つのベントを含み得、少なくとも1つのベントは、気化可能材料が少なくとも1つの内部容器から引き出される際にリザーバハウジング内で圧力平衡が実質的に保たれるように、周囲空気が少なくとも1つのベントを通ってリザーバハウジング内へ流入することを許容し得る。
【0014】
気化室は、様々な構成を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、気化室は、リザーバハウジングの少なくとも1つの側壁により画定され得る。別の実施形態では、気化室は、疎水性材料によりコーティングされた、または、疎水性材料から形成された少なくとも1つの壁により画定され得る。さらに別の実施形態では、気化室は、空気流の少なくとも一部が流通して気化室内へ流入することを許容するように構成され得る少なくとも1つの壁により画定され得る。
【0015】
ウィッキング要素は、様々な構成を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、ウィッキング要素は、1つ以上の多孔質材料から形成され得る。
【0016】
リザーバハウジングは、様々な構成を有し得る。いくつかの実施形態では、リザーバハウジングは、第1のリザーバ室と第2のリザーバ室とを含み得、各室は、内部に配置された少なくとも1つの内部容器のうちの少なくとも1つを有し得る。このような実施形態では、気化室は、第1のリザーバ室と第2のリザーバ室との間に配置され得る。
【0017】
別の例示的な実施形態では、気化器装置が提供され、気化器装置は、気化器本体と、気化器本体に対して選択的に着脱可能なカートリッジとを含んでいる。カートリッジは、気化可能材料を保持するように構成された少なくとも1つの内部容器を有するリザーバハウジングと、リザーバハウジングと連通する気化室とを含んでいる。気化室は、気化可能材料を、少なくとも1つの内部容器から気化室に引き出して加熱要素により気化させるように構成された少なくとも1つのウィッキング要素を含んでおり、少なくとも1つの内部容器は、少なくとも1つのウィッキング要素に対して実質的にシールされており、かつ少なくとも1つの内部容器は、気化可能材料が少なくとも1つの内部容器から引き出されると萎むように構成されている。
【0018】
気化器本体は、様々な構成を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、気化器本体は電源を含み得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの内部容器が萎んで、気化可能材料が少なくとも1つの内部容器から引き出される際にヘッドスペース真空が形成されることを実質的に防止し得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、カートリッジは、リザーバハウジングの壁を貫通する少なくとも1つのベントを含み得、少なくとも1つのベントは、気化可能材料が少なくとも1つの内部容器から引き出される際にリザーバハウジング内で圧力平衡が実質的に保たれるように、周囲空気が少なくとも1つのベントを通ってリザーバハウジング内へ流入することを許容し得る。
【0021】
気化室は、様々な構成を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、気化室は、リザーバハウジングの少なくとも1つの側壁により画定され得る。別の実施形態では、気化室は、疎水性材料によりコーティングされた、または、疎水性材料から形成された少なくとも1つの壁により画定され得る。さらに別の実施形態では、気化室は、空気流の少なくとも一部が流通して気化室内へ流入することを許容するように構成され得る少なくとも1つの壁により画定され得る。
【0022】
ウィッキング要素は、様々な構成を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、ウィッキング要素は、1つ以上の多孔質材料から形成され得る。
【0023】
リザーバハウジングは、様々な構成を有し得る。いくつかの実施形態では、リザーバハウジングは、第1のリザーバ室と第2のリザーバ室とを含み得、各室は、内部に配置された少なくとも1つの内部容器を有している。このような実施形態では、気化室は、第1のリザーバ室と第2のリザーバ室との間に配置され得る。
【0024】
本明細書に記載した主題の1つ以上の変化形の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。本明細書に記載した主題のその他の特徴および利点は、説明、図面および請求項から明らかになるであろう。本開示に続く請求項は、保護される主題の範囲を規定することを意図したものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
以下の図面は、この明細書の一部に組み入れられかつこの一部を構成し、ここに開示される主題の特定の態様を示す。また、以下の図面は、明細書とともに開示される実施形態に関連する原理のいくつかの説明を手助けするものである。
【
図1B】気化器装置の1つの実施形態の上面図であり、気化器装置本体から分離された気化器カートリッジが示されている。
【
図1C】
図1Bに示した気化器装置の上面図であり、気化器装置本体に結合された気化器カートリッジが示されている。
【
図1F】
図1Eに示した気化器カートリッジの別の斜視図である。
【
図2】気化器カートリッジの別の実施形態を示す概略図である。
【
図3】気化器カートリッジのさらに別の実施形態を示す概略図である。
【0026】
便宜上、類似の参照番号は、類似の構造、特徴、または部材を表す。
【0027】
詳細な説明
現行の主題の実施形態には、ユーザにより吸引される1つ以上の材料の気化に関連する方法、装置、製造品、およびシステムが含まれる。実施形態例には、気化器装置と、気化器装置を含むシステムとが含まれる。以下の説明および請求項で用いられるような「気化器装置」という用語は、自給式の装置、2つ以上の分離可能な部分(例えば、電池およびその他のハードウェアを含む気化器本体と、気化可能材料を含むカートリッジ)を含む装置、および/または類似物のうちのいずれかを指す。本明細書で用いられるような「気化器システム」は、気化器装置のような1つ以上のコンポーネントを含み得る。現行の主題の実施形態と一致する気化器装置の例には、電子気化器、電子ニコチン放出システム(ENDS)、および/または類似物が含まれる。一般に、このような気化器装置は、気化可能材料を(対流、伝導、放射、および/またはこれらのいくつかの組合せ等により)加熱して、吸入可能な用量の材料を供給する、手持ち式の装置である。
【0028】
気化器装置に用いられる気化可能材料は、カートリッジ(例えば、リザーバまたはその他の容器内に気化可能材料を収容している気化器装置の一部)内に供給され得、カートリッジは、空の際に補充可能であり得、あるいは、同一のまたは異なるタイプの追加的な気化可能材料を含む新規のカートリッジが使用され得るように使い捨て可能であり得る。気化器装置は、カートリッジ使用型の気化器装置、カートリッジ非使用型の気化器装置、またはカートリッジの有無にかかわらず使用可能な多用途の気化器装置であり得る。例えば、気化器装置は、気化可能材料を内部に直接に受け入れるように構成された加熱室(例えば、材料が加熱要素によって加熱される炉や他の領域)、および/または、気化可能材料を収容するためのリザーバなどを含み得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、気化器装置は、液体の気化可能材料(例えば、活性成分および/または不活性成分が溶液中に懸濁または保持されたキャリア溶液、または気化可能材料自体の液状形態)と共に使用するために構成され得る。液体の気化可能材料は完全に気化できるものであり得る。或いは、吸引に適した材料の全てが気化された後に液体の気化可能材料の少なくとも一部が残存する場合もある。
【0030】
図1Aのブロック図を参照すると、気化器装置100は、電源112(例えば、蓄電池であり得る電池)と、制御装置104(例えば、ロジックを実行可能なプロセッサや回路部品等)とを含み得る。この制御装置104は、熱が噴霧器141へ移送されることを制御して、気化可能材料102を(液体、溶液、懸濁液、少なくとも部分的に未処理の植物材料の一部等のような)凝縮形態から気相に変換させる。制御装置104は、現行の主題の特定の実施形態と一致する1つ以上のプリント回路基板(PCB)の一部であり得る。
【0031】
気化可能材料102が気相に変換された後、気相中の気化可能材料102の少なくとも一部は、凝縮し、少なくとも部分的に気相と局所平衡状態となる粒子状物質を形成してよい。この粒子状物質は、ユーザが気化器装置100でパフしたり又は吸い込んだりする間に気化器装置100により供給される吸入可能量の一部又は全てを形成し得るエアロゾルの一部とされる。気化器装置100により発生させられたエアロゾルにおける気相と凝縮相との間の相互作用は、周囲温度、相対湿度、化学的性質、空気流路内(気化器装置の内部と、人間または別の動物の気道内の両方)の流動条件、および/または、気相またはエアロゾル相における気化可能材料102とエアロゾルの1つ以上の物理パラメータに影響を及ぼし得る別の空気流との混合等の要因に起因して、複雑かつ動的であり得る点に留意されたい。いくつかの気化器装置、特に揮発性の気化可能材料を放出するように構成された気化器装置では、吸入可能な用量は主に気相中に存在し得る(例えば、凝縮相粒子の形成は極めて限定的であり得る)。
【0032】
気化器装置100内の噴霧器141は、気化可能材料102を気化するように構成され得る。気化可能材料102は液体であり得る。気化可能材料102の例には、純粋な液体、懸濁液、溶液、混合物、および/または類似物が含まれる。噴霧器141は、ウィッキング要素(すなわちウィック)を含み得、このウィッキング要素は、加熱要素(
図1Aには図示せず)を含む噴霧器141の一部にある量の気化可能材料102を移送するように構成される。
【0033】
例えば、ウィッキング要素は、気化可能材料102を収容するように構成されたリザーバ140から気化可能材料102を引き出すように構成され得、これにより、加熱要素から放出された熱によって気化可能材料102が気化され得る。また、オプションとして、ウィッキング要素は、空気がリザーバ140に流入して、除去された気化可能材料102と入れ替わることを許容し得る。現行の主題のいくつかの実施形態では、加熱要素による気化のために、毛管作用によって気化可能材料102がウィック内に引き込まれ得、また、空気がウィックを介してリザーバ140に戻って、リザーバ140内の圧力が少なくとも部分的に均一になり得る。リザーバ140内へ空気を戻して圧力を均一にし得る他の方法も、現行の主題の範囲内である。
【0034】
本明細書で用いられるような「ウィック」または「ウィッキング要素」という語は、毛管圧を介して流体移動を引き起こし得る任意の材料を含む。
【0035】
加熱要素は、伝導式ヒータ、放射式ヒータ、および/または対流式ヒータのうちの1つ以上を含み得る。加熱要素の1つの形式は抵抗加熱要素であり、この抵抗加熱要素は、電流が加熱要素の1つ以上の抵抗部位を通る際に電力を消費して熱を形成するように構成された材料(金属または合金、例えば、ニッケル-クロム合金、または非金属抵抗器等)を含み得る。現行の主題のいくつかの実施形態では、噴霧器141は加熱要素を含んでいてよく、この加熱要素は、抵抗コイル、または、ウィッキング要素の周りに巻き付けられるか、ウィッキング要素の内部に配置されるか、ウィッキング要素のバルク形状に統合されるか、ウィッキング要素に熱接触するようにプレスされるか、または、他の形式でウィッキング要素に熱を移送するように配置される、他の加熱要素を含んでおり、ユーザが後に気相および/または凝縮相(例えば、エアロゾルの粒子または小滴)の状態で吸引するために、ウィッキング要素によりリザーバ140から引き出された気化可能材料102を気化させる。別のウィッキング要素、加熱要素、および/または噴霧器アセンブリの構成もまた可能である。
【0036】
追加的または代替的に、特定の気化器装置は、気化可能材料102を加熱することによって気相および/またはエアロゾル相の気化可能材料102の吸入可能量を生成するように構成されてもよい。気化可能材料102は、固相材料(ワックスまたは類似物等)または植物材料(例えば、タバコの葉および/またはタバコの葉の一部)であり得る。このような気化器装置において、抵抗加熱要素は、内部に気化可能材料102が収容される炉またはその他の加熱室の壁部の一部であり得、あるいは、他の形式では、この壁部に組み込まれるかまたは熱接触し得る。代替的に、1つまたは複数の抵抗加熱要素は、気化可能材料102を通過するまたは通過した空気を加熱して気化可能材料102の対流加熱を引き起こすために使用され得る。さらに別の例では、1つまたは複数の抵抗加熱要素は植物材料に密着して配置され得、これにより、炉の壁部から内側に向かう伝導のみの場合と異なり、植物材料の直接的な熱伝導が植物材料の塊の内側から生じる。
【0037】
加熱要素は、気化器装置100のマウスピース130に対するユーザのパフ(すなわち吹込み、吸入等)に伴って作動され得、これにより、空気が、空気入口から、噴霧器141(すなわち、ウィッキング要素および加熱要素)を通る空気流路に沿って流れる。オプションとして、空気は、空気入口から1つ以上の凝縮領域または凝縮室を通ってマウスピース130の空気出口へと流通し得る。空気流路に沿って流通する流入空気は噴霧器141を越えてまたは通って流通し、その噴霧器141では、気相の気化可能材料102が空気に混入される。加熱要素は、制御装置104を介して作動され得る。この制御装置104は、本明細書で説明するように任意には気化器本体110の一部であり得、電流を、電源112から、本明細書で説明するように任意には気化器カートリッジ120の一部である抵抗加熱要素を含む回路に流通させる。本明細書に記載したように、混入された気相の気化可能材料102は、空気流路の残りの区間を通過する際に凝縮し得、これにより、エアロゾル形態の気化可能材料102の吸入可能量が、ユーザの吸入のために空気出口(例えば、マウスピース130)から放出され得る。
【0038】
加熱要素の作動は、1つ以上のセンサ113により生成される1つ以上の信号に基づくパフの自動検出によって始まり得る。センサ113およびセンサ113により生成される信号は、圧力センサまたは周囲圧力に関連する空気流路に沿った圧力を検出する(または、オプションとして絶対圧の変化を測定する)ように配置されたセンサ、モーションセンサまたは気化器装置100のセンサ(例えば、加速計)、流量センサまたは気化器装置100のセンサ、気化器装置100の容量式リップセンサ、1つ以上の入力装置116(例えば、気化器装置100のボタンまたはその他の触知式制御装置)、気化器装置100と通信するコンピュータ装置からの信号の受信、および/またはパフされていること又はされそうなことを確定する別のアプローチの経由、のうちの1つ以上を含み得る。
【0039】
本明細書で説明したように、現行の主題の実施形態に一致する気化器装置100は、気化器装置100と通信する1つのコンピュータ装置(または、オプションとして2つ以上の装置)に、(例えば、無線でまたは有線接続により)接続するように構成され得る。このために、制御装置104は、また、通信ハードウェア105を含み得る。また、制御装置104は、メモリ108を含み得る。通信ハードウェア105は、ファームウェアを含み得、および/または、通信用の1つ以上のクリプトグラフィックプロトコルを実行するためのソフトウェアによって制御され得る。
【0040】
コンピュータ装置は、気化器装置100を含む気化器システムのコンポーネントであり得、また、それ自体の通信用ハードウェアを含み得、この通信用ハードウェアは、気化器装置100の通信ハードウェア105とともに無線通信チャネルを確立することができる。例えば、気化器システムの一部として用いられるコンピュータ装置は、汎用コンピュータ装置(例えば、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ、スマートウォッチのようなその他の任意のポータブルデバイス等)を含み得る。この汎用コンピュータ装置は、ソフトウェアを実行して、ユーザと気化器装置100とのやり取りを可能にするためのユーザインタフェースを生成する。現行の主題の別の実施形態では、気化器システムの一部として用いられるこのような装置は、専用のハードウェア部品であり得る。この専用ハードウェア部品は、例えば、遠隔制御装置、あるいは、その他の無線装置または有線装置であり、このような装置は、1つ以上の物理的なまたはソフトによる(すなわち、スクリーンまたはその他のディスプレイ装置上に構成可能であり、また、ユーザと、タッチセンシティブスクリーンまたはマウス、ポインタ、トラックボール、カーソルボタン等のような他の任意の入力装置と、のやり取りを介して選択可能な)インタフェース制御手段を有する。また、気化器装置100は、ユーザに情報を提供するための1つ以上の出力部117または装置を有し得る。例えば、出力部117は、気化器装置100の動作状態および/または動作モードに基づいてユーザにフィードバックを提供するように構成された1つ以上の発光ダイオード(LED)を含み得る。
【0041】
コンピュータ装置が抵抗加熱要素の作動に関する信号を供給する例、または、様々な制御またはその他の機能を実行するためにコンピュータ装置と気化器装置100とを結び付ける別の例では、コンピュータ装置は、1つ以上のコンピュータ指令セットを実行して、ユーザインタフェース及び基礎になるデータ処理を提供する。一例では、1つ以上のユーザインタフェースエレメントとユーザとの対話処理がコンピュータ装置により検出されると、コンピュータ装置は気化器装置100に信号を送り、これにより、加熱要素が作動して、蒸気/エアロゾルの吸入可能量を生成するための動作温度に達する。気化器装置100の他の機能は、ユーザと、気化器装置100と通信するコンピュータ装置のユーザインタフェースとのやり取りによって制御され得る。
【0042】
気化器装置100の抵抗加熱要素の温度は、多数の要因に依存し得る。これら要因には、抵抗加熱要素に送られる電力の量および/または電力が送られるデューティサイクル、電子気化器装置100の別の部分および/または環境への伝導熱伝達、ウィッキング要素および/または噴霧器141全体からの気化可能材料102の気化に起因する潜熱損失、および空気流(すなわち、ユーザが気化器装置100で吸入した際における加熱要素または噴霧器141全体にわたる空気移動)に起因する対流熱損失が含まれる。本明細書に記載したように、加熱要素を確実に作動させるため、または加熱要素を所望の温度に加熱するために、気化器装置100は、現行の主題のいくつかの実施形態において、センサ113(例えば、圧力センサ)からの信号を用いて、ユーザが吸入しているときを確定してもよい。センサ113は、空気流路内に配置され得、かつ/または、空気が気化器装置100に流入するための入口と、その結果生じた蒸気および/またはエアロゾルをユーザが吸入する出口とを有する空気流路に(例えば、通路または別の経路を介して)接続され得、これにより、センサ113は、空気が気化器装置100を空気入口から空気出口へと通過するのに伴う変化(例えば、圧力変化)を認識する。現行の主題のいくつかの実施形態では、加熱要素は、ユーザのパフに伴って、例えばパフの自動検出により、または空気流路内の変化(圧力変化等)をセンサ113が検出することにより、作動され得る。
【0043】
センサ113は、制御装置104(例えば、プリント回路基板アセンブリまたはその他の形式の回路基板)に配置されるか、または、結び付けられ得る(すなわち、電気的または電子的であって、物理的または無線接続のいずれかによる接続)。測定を正確に行いかつ気化器装置100の耐久性を維持するために、空気流路を気化器装置100の別の部分から隔離するのに十分な弾性のあるシール127を設けることが有益であり得る。シール127は、パッキンであり得、センサ113を少なくとも部分的に包囲するように構成され得る。このシール127によって、センサ113における気化器装置100の内部回路部品に対する接続部が、センサ113における空気流路に晒される部位から隔離される。カートリッジ型の気化器装置の一例では、シール127は、また、気化器本体110と気化器カートリッジ120との間の1つ以上の電気接続部を隔離し得る。気化器装置100におけるシール127のこのような配置は、蒸気または液相中の水や気化可能材料102のような他の流体などの環境要因との相互作用に起因する、気化器コンポーネントに対する潜在的で破壊的な影響を軽減すること、および/または、気化器装置100内の所定の空気流路からの空気の漏洩を減少させること、に有用であり得る。気化器装置100の回路部品を通りかつ/またはこれに接触する望ましくない空気、液体またはその他の流体は、読取り圧力の変化のような様々な望ましくない影響を引き起こし得、かつ/または、湿気や過剰な気化可能材料102等のような望ましくない材料が気化器装置100の複数の部位に蓄積する結果を生じさせ得、これら部位によって、圧力信号の低下、センサ113または他のコンポーネントの劣化、および/または気化器装置100の寿命の低下が生じ得る。また、シール127における漏れは、気化器装置100のうち、吸入するのに望ましくないであろう材料を含むか、またはこれらの材料から構成された部分を通過した空気をユーザが吸入する結果をもたし得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、気化器本体110は、制御装置104と、電源112(例えば、電池)と、1つ以上のセンサ113と、充電コンタクト(例えば、電源112に充電するための充電コンタクト)と、シール127と、カートリッジ受容部118とを含む。カートリッジ受容部118は、気化器本体110に連結する気化器カートリッジ120を1つ以上の様々なアタッチメント構造を介して受容するように構成されている。いくつかの例では、気化器カートリッジ120は、気化可能材料102を収容するリザーバ140と、ユーザに吸入可能量を供給するためのエアロゾル出口を有するマウスピース130と、を含んでいる。気化器カートリッジ120は、ウィッキング要素と加熱要素と有する噴霧器141を含み得る。代替的に、ウィッキング要素および加熱要素の一方または両方が気化器本体110の一部であり得る。噴霧器141の任意の部分(すなわち、加熱要素および/またはウィッキング要素)が気化器本体110の一部である実施形態では、気化器装置100は、気化可能材料102を気化器カートリッジ120内のリザーバ140から気化器本体110に含まれる噴霧器141の一部へと供給するように構成され得る。
【0045】
電源112が気化器本体110の一部とされ、かつ、加熱要素が気化器カートリッジ120内に配置されかつ気化器本体110に連結するように構成される一実施形態では、気化器装置100は、回路を完成させるための電気的接続機能(例えば、回路を完成させるための手段)を含み得る。この電気的接続機能は、制御装置104(例えば、プリント回路基板やマイクロコントローラ等)と、電源112と、加熱要素(例えば、噴霧器141内の加熱要素)とを含む。これらの機能は、気化器カートリッジ120の底面に設けられた1つ以上のコンタクト(本明細書ではカートリッジコンタクト124aおよび124bと呼ばれる)と、気化器装置100のカートリッジ受容部118の基底部付近に配置された少なくとも2つのコンタクト(本明細書では受容部コンタクト125aおよび125bと呼ばれる)と、含み得る。気化器カートリッジ120がカートリッジ受容部118に挿入されて連結された場合、カートリッジコンタクト124a,124bと、受容部コンタクト125a,125bとが電気的に接続される。これらの電気的接続により完成された回路は、電流が加熱要素に流れることを許容し得るとともに、さらに、追加的な機能のために使用され得る。この追加的な機能として、加熱要素の固有抵抗の温度係数に基づいて加熱要素の温度を決定したり、および/または、制御したりすることに使用するための加熱要素の抵抗測定が挙げられる。
【0046】
現行の主題のいくつかの実施形態では、カートリッジコンタクト124a,124bと、受容部コンタクト125a,125bとは、少なくとも2つの方向の両方において電気的に接続するように構成され得る。換言すると、気化器装置100の動作に必要な1つ以上の回路は、気化器カートリッジ120が(気化器カートリッジ120が気化器本体110のカートリッジ受容部118に挿入される軸線を中心とした)第1の回転方向でカートリッジ受容部118に挿入されることにより完成され得、これにより、カートリッジコンタクト124aが受容部コンタクト125aに電気的に接続され、カートリッジコンタクト124bが受容部コンタクト125bに電気的に接続される。さらに、気化器装置100の動作に必要な1つ以上の回路は、気化器カートリッジ120が第2の回転方向でカートリッジ受容部118に挿入されることにより完成され得、これにより、カートリッジコンタクト124aが受容部コンタクト125bに電気的に接続され、カートリッジコンタクト124bが受容部コンタクト125aに電気的に接続される。
【0047】
例えば、気化器カートリッジ120または気化器カートリッジ120のうち少なくとも挿入可能な端部122は、気化器カートリッジ120がカートリッジ受容部118に挿入される軸線を中心とした180°の回動において対称であり得る。このような構成において、気化器装置100の電気回路構成は、気化器カートリッジ120の対称的な方向がいずれの向きであるかに関わらず、同様の動作を維持し得る。
【0048】
気化器カートリッジ120を気化器本体110に連結するためのアタッチメント構造の一例において、気化器本体110は、カートリッジ受容部118の内面から内側に突出する1つ以上の戻り止(例えば、凹部、突起等)、カートリッジ受容部118の内部に突出する部分を含むように形成された(金属、プラスチック等といった)追加的な材料、および/またはこれらの類似物を含む。気化器カートリッジ120の1つ以上の外面は、気化器カートリッジ120が気化器本体110のカートリッジ受容部118に挿入された場合に前記のような戻り止や突出部に対して嵌合、かつ/または、別の方法でかみ合うことが可能な対応凹部(
図1Aには図示せず)を含み得る。気化器カートリッジ120と気化器本体110とが(例えば、気化器カートリッジ120が気化器本体110のカートリッジ受容部118に挿入されることにより)連結されると、気化器本体110の戻り止または突起が気化器カートリッジ120の凹部に嵌合、かつ/または、他の態様で保持され、気化器カートリッジ120を組み立てた際の位置に保持し得る。このようなアセンブリは、カートリッジコンタクト124a,124bと受容部コンタクト125a,125bとの間の良好な接触が保証される位置に気化器カートリッジ120を保持する十分なサポートを提供することができ、その一方で、ユーザが気化器カートリッジ120に合理的な力をかけて引っ張って気化器カートリッジ120をカートリッジ受容部118から取り外す場合において、気化器カートリッジ120が気化器本体110から離脱することを許容する。
【0049】
いくつかの実施形態では、気化器カートリッジ120、または、気化器カートリッジ120のうち少なくともカートリッジ受容部118に挿入するために構成された挿入可能端部122は、気化器カートリッジ120がカートリッジ受容部118に挿入される軸線を横切る非円形の断面を有し得る。例えば、非円形の断面は、概ね矩形、概ね楕円形(すなわち、概ね長円形である)、平行にまたは概ね平行に対向する辺の組を2つ有する非矩形(すなわち、平行四辺形のような形状である)、または少なくとも2次の回転対称性を有するその他の形状であり得る。この明細書において、概ねの形状とは、記載した形状に基本的に類似していることは明らかであるが、問題となる形状の辺が完全に直線である必要がなく、また、頂点が完全に鋭角である必要がないことを示す。断面形状の縁部又は頂点のうちの両方又は一方における丸みは、本明細書に記載した任意の非円形断面についての記載において考慮される。
【0050】
カートリッジコンタクト124a,124b及び受容部コンタクト125a,125bは、様々な形態を取り得る。例えば、一方又は両方のコンタクトの組は、導電性ピン、タブ、支柱、ピンまたは支柱受け入れる孔などを含み得る。コンタクトのいくつかのタイプは、気化器カートリッジ120及び気化器本体110のコンタクト間におけるより良好な物理的かつ電気的な接触を促進するために、ばねやその他の特徴を含み得る。オプションとして、電気的コンタクトは、金メッキされ得、かつ/または、別の材料を含み得る。
【0051】
図1B~
図1Dは、気化器カートリッジ120が取外し可能に挿入され得るカートリッジ受容部118を有する気化器本体110の一実施形態を示している。
図1Bおよび
図1Cは、気化器本体110に挿入するために配置され、及び、気化器本体110に挿入されている、それぞれの状態における気化器カートリッジ120が表された気化器装置100の上面図を示す。
図1Dは、気化可能材料102の水位をウィンドウ132(例えば、半透明材料)から気化器カートリッジ120に沿って視認できるように、全体または一部が半透明材料で形成されている気化器カートリッジ120のリザーバ140を示す。気化器カートリッジ120は、気化器本体110の気化器カートリッジ受容部118に挿入可能に受容されたときに、ウィンドウ132が視認できるままになるように構成され得る。例えば、1つの例示的な構成では、気化器カートリッジ120がカートリッジ受容部118に連結されると、ウィンドウ132は、マウスピース130の下縁部と、気化器本体110の上縁部との間に配置され得る。
【0052】
図1Eは、ユーザが気化器装置100をパフする間に形成される空気流路134の一例を示す。空気流路134は、ウィックハウジング内に含まれる気化室150(
図1F参照)に空気を向け得る。気化室150において、空気は、吸入可能なエアロゾルと混ざり、マウスピース130を介してユーザに届けられる。マウスピース130もまた、気化器カートリッジ120の一部であり得る。例えば、ユーザが気化器装置100をパフすると、空気は、気化器カートリッジ120の外面(例えば、
図1Dに示すウィンドウ132)と気化器本体110のカートリッジ受容部118の内面との間を流通し得る。次いで、空気は、気化器カートリッジ120の挿入可能な端部122に引き込まれ、加熱要素およびウィックを含むか、または、これらからなる気化室150を通り、マウスピース130の出口136から排気されて、吸入可能なエアロゾルがユーザに届けられる。
【0053】
図1Eに示すように、この構成により、空気は、気化器カートリッジ120の挿入可能な端部122付近でカートリッジ受容部118に流れ落ち、次いで気化器カートリッジ120の挿入可能な端部122(例えば、マウスピース130を含む端部とは反対の側の端部)付近を通過した後において気化室150に向かってカートリッジ本体に流入するように反対方向に逆流する。それから、空気流路134は、気化器カートリッジ120の内部を通り、例えば、1つ以上の管または内部通路(
図1Fに示すカニューレ128等)を経て、マウスピース130内に形成された1つ以上の出口(出口136等)を通る。マウスピース130は、気化器カートリッジ120の分離可能なコンポーネントであり得、または気化器カートリッジ120の別のコンポーネントとともに一体的に形成され得る(例えば、リザーバ140および/または類似物と一体の構造体として形成されていてよい)。
【0054】
図1Fは、現行の主題の実施形態に一致する気化器カートリッジ120が含まれ得る追加的な特徴を示す。例えば、気化器カートリッジ120は、挿入可能な端部122に配置された複数のカートリッジコンタクト(カートリッジコンタクト124a,124b等)を含み得る。オプションとして、カートリッジコンタクト124a,124bのそれぞれは、抵抗加熱要素の2つの端部のうちの一方に接続された導電構造体(導電構造体126等)を形成する単一の金属片の一部であり得る。オプションとして、導電構造体は、加熱室における対向する側面を形成し得、また、気化器カートリッジ120の外壁に対する熱伝達を減少させる熱シールドおよび/またはヒートシンクとして作用し得る。また、
図1Fは、気化器カートリッジ120内のカニューレ128を示す。このカニューレ128は、空気流路134のうち、導電構造体126の間に形成された加熱室とマウスピースとの間の区間を画定する。
【0055】
上述したように、気化可能材料102がリザーバから引き出されると、リザーバ140内に真空が形成され得る。リザーバ140内の真空は、ウィックによりもたらされる毛管作用を減少させたり妨げたりし得る。これは、気化可能材料を気化室150内へ引き出してウィック効率を低下させ得、これにより、ユーザが気化器装置100をパフしたとき等において、所望量の気化可能材料102を気化する気化器装置100の有効性が低下し得る。さらに、リザーバ140内に形成された真空は、最終的に、全ての気化可能材料102を気化室150内に引き出すことが不可能になる結果を生じさせ得、これにより、気化可能材料が浪費する。これらの問題を改善または克服する様々な特徴および装置が以下に記載される。例えば、気化可能材料がリザーバハウジングから気化器装置の気化室に引き出される際にリザーバハウジング内に真空が形成されることを抑制するための様々な特徴が本明細書に記載されている。真空の形成を回避することは、既存のアプローチに関連する利点や改良をもたらし得るとともに、本明細書に記載するような追加的な利益をもたらし得る。本明細書で用いられるように、「リザーバハウジング」は「リザーバ」と同義的に使用される。
【0056】
本明細書に記載した気化器カートリッジは、少なくとも1つのウィッキング要素(例えば、ウィック)を使用して気化可能材料が気化装置のリザーバハウジングから引き出されることを許容しつつ、ウィッキング要素の毛管作用に抗して作用するヘッドスペースを減らす。一般に、気化器カートリッジは、少なくとも1つの内部容器を有するリザーバハウジングを含む。内部容器は、気化可能材料を保持するように構成される。以下でより詳細に説明するように、少なくとも1つの内部容器は、気化可能材料が少なくとも1つのウィック材料内に引き出されたときに萎むかまたは変形するように構成され、これにより、少なくとも1つの内部容器内の圧力が実質的に一定に保たれる。つまり、少なくとも1つのウィッキング要素が気化可能材料を少なくとも1つの内部容器から引き出すと、少なくとも1つの内部容器の体積が減少し、これにより、ヘッドスペース真空の形成が実質的に防止される。よって、少なくとも1つのウィッキング要素は、リザーバハウジングから気化可能材料をより効果的に引き出し得、結果的に、含浸量が増える。少なくとも1つのウィッキング要素への含浸量が増える程、所望量の気化可能材料を気化する点において気化器装置がより効率的になり得る。さらに、少なくとも1つの内部容器は、少なくとも1つのウィッキング要素に対してシールされており、これにより、気化可能材料の望ましくない漏れを防いでいる。このシールは、実質的に気化可能材料が少なくとも1つのウィッキング要素を通じてのみ分配されることを促進する。
【0057】
図2は、1つの例示的な気化器カートリッジ200を示す。この気化器カートリッジ200は、
図1A~
図1Dに示される気化器本体110のような気化器本体に対して選択的に結合可能かつ取外し可能であり得る。より具体的には、気化器カートリッジ200は内部容器202を含んでいる。この内部容器202は、気化可能材料206が内部容器202から引き出される際に、例えば、気化器カートリッジ200に連結されたマウスピース230をユーザがパフすると同時にかつ/またはパフした後に萎み、その結果として体積が減少するように構成されている。
【0058】
図示のように、気化器カートリッジ200は、リザーバハウジング204と、間に延在するウィッキング要素210を備えた気化室208とを有している。リザーバハウジング204の体積は、リザーバ壁204a,204b,204cおよび204dにより画定されている。リザーバハウジング204は内部容器202を含んでおり、この内部容器202は気化可能材料206を保持する。
【0059】
リザーバハウジング204は、内部容器202に比べてより剛性のある材料から形成され得るか、かつ/または、内部容器202に比べてより剛性のある構造形態であり得る。よって、リザーバハウジング204は、また、内部容器202を損傷から保護し得る。例えば、リザーバハウジング204および内部容器202は、環境および/またはマウスピース230におけるユーザが唇を当てる部位のような気化器カートリッジ200の他の部分への、気化可能材料206の望ましくない漏れに抗する2つのディフェンスラインとして作用し得る。
【0060】
リザーバハウジング204および内部容器202は様々な形状および構成を有することができる一方で、
図2に示すように、リザーバハウジング204および内部容器202は、それぞれ実質的に矩形であり得る。別の実施形態では、内部容器202は、リザーバハウジング204とは異なる形状であり得る。さらに、内部容器202の初期体積は、リザーバハウジング204の内部体積と実質的に同等であり得る。よって、内部容器202の寸法および形状ひいては内部容器202内に配置される気化可能材料206の量は、少なくとも部分的に、リザーバハウジング204の寸法および形状に依存する。
【0061】
一般的に、上述したように、内部容器202は、気化可能材料206が内部容器202から引き出されてウィッキング要素210に引き込まれると萎むように構成されている。その結果、気化可能材料206の体積が減少するにつれて、内部容器202の体積が減少する。この内部容器202の体積減少は、ヘッドスペース真空が内部容器202内に形成されることを実質的に防止し得る。これにより、ユーザがマウスピース230をパフする度にウィッキング要素210の毛管作用によって気化可能材料206がリザーバハウジング204から気化室208内へと効果的に引き出されることが許容される。
【0062】
図示のように、内部容器202は、インタフェース212において、ウィッキング要素210に対して実質的にシールされている。その結果、内部容器202からの気化可能材料206の流動が、完全ではないにしても、主にウィッキング要素210を介して起こり、これにより、内部容器202とウィッキング要素210との間での漏れに対する密封性が高められる。つまり、ウィッキング要素210に対して内部容器202を実質的にシールすることによって、環境および/またはマウスピース230におけるユーザが唇を当てる部位のような気化器カートリッジの他の部分への気化可能材料の漏れ防止を促進し得る。内部容器202をウィッキング要素210に対してシールするために、例えばヒートシール等による任意の適合する方法を用い得る。
【0063】
内部容器202は、様々な構成を有し得る。例えば、
図2に示すように、内部容器202はパウチ構造を有している。内部容器202は、可撓性材料から形成され得る。気化可能材料206が内部容器202から引き出された際に寸法が減少(リザーバハウジング204内の体積が減少)し得る任意の可撓性材料が使用され得る。例えば、可撓性材料は弾性材料であり得る。この弾性材料は、気化可能材料206が当該弾性材料の内部に配置されると伸長状態に拡張し、気化可能材料206が引き出されると萎んだ状態に戻る。適合する可撓性材料の非限定的な例には、エラストマ等が含まれる。可撓性材料は、単層または多層構造であり得る。また、可撓性材料は、空気に対して非透過性であり得、これにより、リザーバハウジング204内の空気が内部容器202に流入して、引き出される気化可能材料206と置き換わることを抑制する。代替的または追加的に、可撓性材料は、非透過性コーティングによりコーティングされ得る。本明細書では、その他適合する内部容器202の構造形態もまた考慮される。
【0064】
使用中、内部容器202の体積が減少すると、リザーバハウジング204内には負圧が形成され得る。この負圧は内部容器202に対して引張り力を及ぼし得る。この引張り力は、ウィッキング要素210に対して外側の方向に内部容器202を引き寄せる。そのため、内部容器202が萎む能力を阻害し得る。この負圧を取り除くまたは低減するために、内部容器202が萎んだときにリザーバハウジング204内の圧力を増加させ得る。例えば、気化器カートリッジ200は、少なくとも1つのベント214を含み得る。ベント214は、環境からリザーバハウジング204内への空気の流通を選択的に許容し、これにより、リザーバハウジング204の内部圧力(例えば、周囲圧力に実質的に等しい内部圧力)を実質的に維持するように構成される。この少なくとも1つのベント214は、パッシブバルブまたはアクティブバルブであり得る。
【0065】
少なくとも1つのベント214は、様々な構成を有し得る。例えば、
図2に示すように、少なくとも1つのベント214は、1つ以上の孔を含み得る。この孔は、リザーバハウジング204の側壁を貫通し、リザーバハウジング204内への(またはリザーバハウジング204からの)空気の流通を選択的に許容する。例えば、1つ以上の孔は、リザーバハウジング204内への空気の流通を許容して、リザーバハウジング204内の圧力を高め得る。この圧力の増加は、内部容器202の体積が減少する際にリザーバハウジング204自体内に形成される如何なる真空(負圧)をも効果的に解消する。つまり、使用中、内部容器202から気化可能材料206が引き出されると、流入空気が1つ以上の孔を通ってリザーバハウジング204に流入し、これにより、リザーバハウジング204自体内の圧力が均衡する。さらに、この流入空気は、内部容器202を萎めることにも役立ち得る。
【0066】
1つ以上の孔は、効果的な量の空気がリザーバハウジング204に流入することを許容するのに適合する任意の寸法を有し得る。つまり、1つ以上の孔は、実質的に空気流を制限しないような寸法とされる。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上の孔の寸法は、ウィッキング要素210の吸収速度に対応する空気の流入速度に影響を及ぼし得る。さらに、特定の実施形態では1つ以上の孔の寸法は同一であり得るが、別の実施形態では1つ以上の孔の寸法は異なり得る。
【0067】
少なくとも1つのベント214は、圧力の均衡を達成するように、リザーバハウジング204に沿って様々な位置に配置され得る。例えば、
図2に示すように、少なくとも1つのベント214は、リザーバハウジング204の上端部203の近位に配置される。よって、少なくとも1つのベント214の効果的な位置は、当該ベント214に対するウィッキング要素210の位置や、内部容器202内の気化可能材料の重力に起因する流れの方向に、少なくとも部分的に依存し得る。
【0068】
気化室208は様々な構成を有し得るが、
図2に示すように、気化室208は、2つの対向する側壁208a,208bと、これらの間に延在する底壁208cとにより画定されている。側壁208a,208bの一方は、リザーバハウジング204の側壁204bである。よって、この図示の実施形態では、気化室208は、リザーバハウジング204と同一平面上に延在している。図示のように、空気流路216は、気化室208を貫通する。空気流路216は、空気流218およびエアロゾルを、気化室208を通ってユーザにより吸入されるマウスピース230内へと導くように構成されている。
【0069】
空気流218は、ユーザがマウスピース230をパフすると、底壁208cを介して気化室208に流入する。よって、底壁208cは、空気流が底壁208cを容易に通過して気化室208に流入できるように構成されている。底壁208cは様々な構成を有し得る一方で、
図2に示すように、底壁208cは穿孔されている。穿孔は、空気が底壁208cを通過することを許容するのに適した任意の寸法であり得る。特定の実施形態では、穿孔は、気化可能材料206またはエアロゾルが底壁208cを通り抜けることを防ぎ、これにより装置の他の部位への望ましくない漏れを防ぎ得る寸法である。底壁208cは任意の適合する数の穿孔を含み得、それ故に、穿孔の数は
図2に示した数に限定はされない。代替的または追加的に、底壁208cは空気透過性材料から形成され得る。よって底壁208cは、気化室208の空気入口として機能する。
【0070】
また、底壁208cは、気化室208内の空気流218および/またはエアロゾルが、気化室208を通り抜けることを防ぐように構成され得る。つまり、底壁208cは、逆止弁として構成され得、それ故に、気化室208内へと通り抜ける空気流218のみを許容する。いくつかの実施形態では、空気が気化室208内に(または気化室208から)所望のように流通することを許容するように、気化室208の残りの壁のいずれかが穿孔され得、かつ/または、空気透過性材料から形成され得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、リザーバハウジング204の側壁204bでもある側壁208bのような気化室208の少なくとも1つの壁は、任意の凝縮物が気化室208内に蓄積すること防ぐために、疎水性材料から形成され得るか、或いは、疎水性材料によりコーティングされ得る。よって、エアロゾルおよび空気流218内に存在し得るであろう任意の水分は、ユーザがマウスピース230をパフした際に気化室208を通って外部に運ばれ得る。
【0072】
加熱要素またはヒータは、気化室208内に含まれ得、また、ウィッキング要素210に連結され得る。ウィッキング要素210は、気化可能材料206をリザーバハウジング204の内部容器202から気化室208に引き込んで、加熱要素により生じる熱によってエアロゾルに気化させる毛管作用をもたらすように構成される。こうして、エアロゾルは、空気流218に混合されて、ユーザに吸引されるために空気流路216に沿って流通する。
【0073】
ウィッキング要素210は、空気流路216に沿ったいずれの場所にも配置され得るが、
図2に示すように、ウィッキング要素210は、気化室208の底壁208cの近位に配置される。ウィッキング要素210は、気化可能材料206が毛管圧によってウィッキング要素210を通過することを許容するのに適した任意の多孔質材料であり得る。例えば、ウィッキング要素210は、シリカのような1つ以上のセラミック材料から形成され得る。代替的または追加的に、ウィッキング要素210は、外側材料(例えば、セラミック材料)により取り囲まれた内側材料(例えば、グラファイト)のような2つ以上の材料からなる複合材であり得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、ウィッキング要素210は、導電性材料を含む多孔質材料から形成され得る。例えば、ウィッキング要素210のセラミック材料は、ドープされて抵抗特性を包含し得る。ウィック材料(例えば、セラミック)のこのようなドーピングは、ウィッキング要素210の加熱速度ひいては気化可能材料206の気化速度を高め得る。
【0075】
いくつかの実施形態は、ウィッキング要素210の長手に沿って変化する断面を有するウィッキング要素210を含み得る。例えば、ウィッキング要素210のうち、当該ウィッキング要素210の他の部位に比べてより小さな断面を含む部位は、エネルギー流に対してより大きな抵抗を生じさせ得、これにより、ユーザが吸引するエアロゾル形成等のためのより迅速な気化可能材料206の蒸発および気化を可能にする。いくつかの実施形態では、様々な結果(例えば、気化速度、加熱速度等)を達成するように導電性材料の断面寸法と密度の少なくとも一方がウィッキング要素210の長手に沿って変化し得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、気化器カートリッジ200は、例えば、2つのカートリッジコンタクト232a,232bのような2つ以上のカートリッジコンタクトを含む。2つ以上のカートリッジコンタクトは、気化器装置100との1つ以上の電気的な接続部を形成するために、例えば、受容部コンタクト125a,125bと接続するように構成され得る。これらの電気的な接続部により完成する回路は、気化室208内でウィッキング要素210に連結された加熱要素またはヒータに電流を通電することを許容し得る。記載したように、ウィッキング要素210は、気化可能材料206をリザーバハウジング204の内部容器202から気化室208に引き出す毛管作用を提供する。気化室208では、加熱要素により生じた熱によって気化可能材料206がエアロゾルに気化される。こうして、エアロゾルは、空気流218に混合されて、ユーザに吸入されるために空気流路216に沿って流通する。また、回路は、例えば、加熱要素の固有抵抗の温度係数に基づく加熱要素の温度の確定および/または制御に使用するための、加熱要素の抵抗測定等の追加的な機能に用いられ得る。
【0077】
気化器カートリッジの実施形態が単一の内部容器および単一のウィックに関連して説明されたが、気化器カートリッジの代替的な実施形態では、複数の内部容器および/または複数のウィックを採用し得る。例えば、
図3に示すように、気化器カートリッジ300は、リザーバハウジング204(
図2)のようなリザーバハウジング304の2つのチャンバ304a,304bの間に延在する、ウィッキング要素210(
図2)のようなウィッキング要素310を含み得る。チャンバ304a,304bのそれぞれは、内部容器202(
図2)のような内部容器302a,302bを含んでいる。さらに、
図3に示すように、気化器カートリッジ300は、気化室208(
図2)のような気化室308を含んでいる。気化室308は、リザーバハウジング304の2つのチャンバ304a,304bの間に延在し、これにより中心の空気流路316を形成する。さらに、
図3は、マウスピース312と、例えば第1のカートリッジコンタクト314aおよび第2のカートリッジコンタクト314bのような1つ以上のカートリッジコンタクトとを含むような気化器カートリッジ300を示している。
【0078】
用語
本発明の教示を説明しかつ定義するために述べておくと、別記しない限り、「実質的に」という用語は、本明細書では、任意の定量的比較、値、測定またはその他の表現に起因し得る固有の不確実性の程度を表すために用いられる。「実質的に」という用語は、本明細書では、問題の主題の基本的な機能に変化を生じること無しに、定量的表現が記載された基準から変化し得る程度を表すためにも用いられる。
【0079】
本明細書において、ある特徴または部材が別の特徴または部材「上」にあると言うとき、これは別の特徴または部材の直上にあるか、または介在する特徴および/または部材が存在していてもよい。対照的に、ある特徴または部材が別の特徴または部材の「直上」にあると言うときには、介在する特徴または部材は存在しない。また、ある特徴または部材が、別の特徴または部材に「接続されている」、「取り付けられている」、または「結合されている」と言うとき、これは別の特徴または部材に直接に接続されているか、取り付けられているか、結合されているか、または介在する特徴または部材が存在していてよい、ということを意味する。対照的に、ある特徴または部材が別の特徴または部材に「直接に接続されている」、「直接に取り付けられている」、または「直接に結合されている」と言うときには、介在する特徴または部材は存在しない。
【0080】
1つの実施形態に関して説明または図示した特徴および部材でも、別の実施形態に適用され得る。別の特徴に「隣接して」配置された構造または特徴に関する参照箇所は、隣接する特徴とオーバラップする部分またはその下に位置する部分を含むことがある、ということも、当業者には認識されるであろう。
【0081】
本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態および手段を説明するためだけのものであり、限定することを意図したものではない。例えば、本明細書で用いられるような単数形「a」、「an」および「the」は、文脈中に明記しない限り、複数形も同様に含まれることを意図したものである。
【0082】
上記説明および請求項における「少なくとも1つの」または「1つ以上の」という句には、複数の部材または特徴の接続的な列挙が続く場合がある。「および/または」という用語も、2つ以上の部材または特徴の列挙に見られる場合がある。このような句は、用いられた文脈に暗黙的にまたは明示的に矛盾しない限り、列挙した個々の部材または特徴のうちのいずれか、または列挙した部材または特徴のうちのいずれかと、列挙した別の部材または特徴のうちのいずれかとの組合せを意味することを意図したものである。例えば、「AとBのうちの少なくとも1つ」、「AとBのうちの1つ以上」および「Aおよび/またはB」という句は、それぞれ「Aのみ、Bのみ、またはAとB」を意味することを意図したものである。3つ以上の項目を含む列挙も同様の解釈を意図したものである。例えば、「A、BおよびCのうちの少なくとも1つ」、「A、BおよびCのうちの1つ以上」および「A、Bおよび/またはC」という句は、それぞれ「Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとB、AとC、BとC、またはAとBとC」を意味することを意図したものである。上記および請求項における「に基づく」という用語の使用は、「少なくとも部分的に基づく」ということを意味することを意図したものであり、列挙されていない特徴または部材も許容可能である。
【0083】
「前方」、「後方」、「下方」、「下部」、「低下」、「上方」、「上部」等といった空間に関する用語は、本明細書では、図示したような1つの部材または特徴の、別の部材または特徴に対する関係を述べる説明を簡単にするために使用され得る。空間に関する用語は、図示の向きに加え、使用中または運転中の装置の様々な向きを含むことを意図したものであるということが理解されるであろう。例えば、図中の装置が逆さになった場合、別の部材または特徴の「下方」または「下部」と記載された部材は、別の部材または特徴の「上方」に向けられることになる。よって、「下方」という例示的な用語には、上下両方の方向が含まれていてよい。装置はそれ以外の方向に(90度または別の方向に回動されて)向いていてもよく、本明細書で用いられる空間に関する語句は、相応して解釈され得る。同様に、「上向き」、「下向き」、「鉛直」、「水平」等の用語も、本明細書では、特に記載しない限りは説明のためだけに用いられる。
【0084】
「第1」および「第2」という用語が、(ステップを含む)様々な特徴/部材を説明するために本明細書で用いられることがあるが、これらの特徴/部材は、文脈に記載しない限り、これらの用語に限定はされない。これらの用語は、1つの特徴/部材を別の特徴/部材と区別するために用いられることがある。よって、以下に説明する第1の特徴/部材は、第2の特徴/部材と呼ばれてもよく、同様に、以下に説明する第2の特徴/部材も、本明細書がもたらす教示から逸脱すること無しに、第1の特徴/部材と呼ばれてよい。
【0085】
例で使用される場合を含み、本明細書および請求項で用いられる場合、特に明記されていない限り、全ての数は、「約」または「ほぼ」という用語が明示されていなくても、この用語が前置されているものとして読み取ることができる。「およそ」または「ほぼ」という句は、説明する値および/または位置が値および/または位置の妥当な想定範囲内にあるということを示すために、大きさおよび/または位置を説明するときに用いられてよい。例えば、ある数値は、記載された値(または値の範囲)の+/-0.1%、記載された値(または値の範囲)の+/-1%、記載された値(または値の範囲)の+/-2%、記載された値(または値の範囲)の+/-5%、記載された値(または値の範囲)の+/-10%等の値を有していてよい。本明細書に記載のいずれの数値も、文脈において特に記載しない限りは、およそまたはほぼ、そのような値を含むということを理解されたい。例えば、「10」という値が開示されている場合には、「およそ10」も開示されていることになる。本明細書に列挙されたいずれの数的範囲も、本明細書に含まれる全ての副範囲を含むことを意図したものである。また当業者に適切に理解されるように、ある値がこの値「以下」、「以上」であると開示されている場合には、これらの値の間の可能な範囲も開示されている、ということも理解される。例えば、値「X」が開示されている場合には、(例えばXが数値の場合)「X以下」も「X以上」も開示されていることになる。また、本願全体にわたり、データはいくつかの異なる形式で提供され、このデータは終点および始点、およびデータポイントの任意の組合せの範囲を表している、ということも理解される。例えば、特定のデータポイント「10」および特定のデータポイント「15」が開示されている場合には、10~15ならびに10超、15超、10以上、15以上、10未満、15未満、10以下、15以下、および10と15とが考慮されて開示されている、ということが理解される。また、2つの特定のユニットの間の各ユニットも開示されていると理解される。例えば、10および15が開示されている場合には、11、12、13および14も開示されていることになる。
【0086】
様々な例示的な実施形態を上述したが、本明細書の教示から逸脱すること無しに、様々な実施形態に対していくつかの任意の変更が行われてもよい。例えば、説明した方法ステップを実施する順序は、代替的な実施形態に頻繁に変更され得、別の代替的な実施形態では、1つ以上の方法ステップが全て省かれてもよい。様々な装置およびシステムの実施形態の任意の特徴が、いくつかの実施形態には含まれており、別の実施形態には含まれていなくてもよい。よって、前記説明は主に、例示目的のために提供されるものであり、請求項の範囲を限定するものであると解釈されるべきではない。
【0087】
本明細書に記載した主題の1つ以上の態様または特徴は、デジタル電子回路、集積回路、特別に設計された特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、および/またはこれらの組合せにおいて実現され得る。これらの様々な態様または特徴には、少なくとも1つのプログラム可能なプロセッサを含むプログラム可能なシステムにおいて実行可能かつ/または解釈可能な1つ以上のコンピュータプログラムでの実行が含まれていてよく、このことは、ストレージシステム、少なくとも1つの入力装置、および少なくとも1つの出力装置からのデータおよび命令の受信およびストレージシステム、少なくとも1つの入力装置、および少なくとも1つの出力装置へのデータおよび命令の送信につながる、特別なまたは一般的な目的であってよい。プログラム可能なシステムまたはコンピュータシステムには、クライアントおよびサーバが含まれていてよい。クライアントとサーバとは、一般に互いに離れており、典型的には通信ネットワークを介して相互作用する。クライアントとサーバとの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行され、クライアントとサーバとの相互関係を有するコンピュータプログラムにより生じる。
【0088】
プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、アプリケーションコンポーネント、またはコードと呼ばれることもあるこれらのコンピュータプログラムには、プログラム可能なプロセッサに対する機械命令が含まれており、高度な手順向き言語、目的向きプログラミング言語、関数型プログラミング言語、論理プログラミング言語、および/またはアセンブリ/機械言語において実現され得る。本明細書で用いられるように、「機械可読媒体」という用語は、プログラム可能なプロセッサに機械命令および/またはデータを供給するために用いられる、例えば磁気ディスク、光学ディスク、メモリ、およびプログラマブルロジックデバイス(PLDs)等の、任意のプログラム製品、機器、および/または装置を指し、機械可読信号としての機械命令を受信する機械可読媒体を含む。「機械可読信号」という用語は、プログラム可能なプロセッサに機械命令および/またはデータを供給するために使用される任意の信号を指す。機械可読媒体はこのような機械命令を、例えば非一時的なソリッドステートメモリまたは磁気ハードドライブまたは任意の同等の記憶媒体のように、非一時的に記憶することができる。機械可読媒体は、択一的または追加的に、例えば1つ以上の物理プロセッサコアに関連付けられたプロセッサキャッシュまたは別のランダムアクセスメモリのように、このような機械命令を一時的に記憶することもできる。
【0089】
本明細書に含まれる例および図は、限定ではなく例示により、主題が実施され得る特定の実施形態を示すものである。記載したように、別の実施形態を使用し、そこから構造的かつ論理的な置換および変更を、本開示の範囲から逸脱すること無しに行うことができる、ということが導かれてよい。本発明の主題のこのような実施形態は、実際には2つ以上が開示されている場合にいずれかの単一の発明または発明の構想に本願の範囲を任意に限定することを意図せずに、単に便宜上、個別にまたはまとめて本発明では「発明」という用語で呼ばれてよい。よって、本明細書では特定の実施形態を図示して説明してきたが、同じ目的を達成するために計算された任意の配置が、図示の特定の実施形態と置き換えられてもよい。本開示は、様々な実施形態のありとあらゆる適合形または変化形を網羅することを意図したものである。前記実施形態と、本明細書に具体的には記載されていない別の実施形態との組合せは、前記説明を吟味することで当業者には明らかになるであろう。本明細書および請求項における「に基づく」という用語の使用は、「少なくとも部分的に基づく」ということを意味することを意図したものであり、列挙されていない特徴または部材も許容可能である。
【0090】
本明細書に記載の主題は、所望の構成に応じてシステム、機器、方法、および/または物品において体現され得る。前記説明に記載された各実施形態は、本明細書に記載した主題と一致する全ての実施形態を表してはいない。それよりも、それらは単に、記載の主題に関係する態様と一致する、いくつかの例であるに過ぎない。本明細書においていくつかの変化形を説明してきたが、その他の変更または追加も可能である。特に、別の特徴および/または変化形が、本明細書に記載の特徴および/または変化形に追加的にもたらされてもよい。例えば、本明細書に記載の実施形態は、開示された特徴の様々な組合せおよび副次的な組合せおよび/または本明細書に開示されたいくつかの別の特徴の組合せおよび副次的な組合せに導かれてよい。追加的に、添付の図面に描かれかつ/または本明細書で説明されたロジックフローは、望ましい結果を得るために、図示の特定の順序、または連続する順序を必ずしも必要とはしない。その他の実施形態も、以下の請求項の範囲内であり得る。