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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】再処理ケース
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/18 20060101AFI20240422BHJP
   A61B 1/12 20060101ALI20240422BHJP
   A61L 2/24 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
A61L2/18
A61B1/12 510
A61L2/24
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021535113
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(86)【国際出願番号】 IB2019061009
(87)【国際公開番号】W WO2020128889
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-12-13
(31)【優先権主張番号】62/781,479
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520395938
【氏名又は名称】エイエスピー・グローバル・マニュファクチャリング・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】クラメール・ケネス・エス
(72)【発明者】
【氏名】ローズ・サミュエル・ジェイ
【審査官】松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-047450(JP,U)
【文献】実開昭57-048930(JP,U)
【文献】特開平11-267190(JP,A)
【文献】特開昭57-086355(JP,A)
【文献】米国特許第04748003(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0221518(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0240979(US,A1)
【文献】特開2004-267755(JP,A)
【文献】米国特許第04948566(US,A)
【文献】特表2003-521345(JP,A)
【文献】国際公開第2018/090133(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00-2/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再処理ケースであって、
第1のセグメントであって、
第1のバレルを有する第1のシェル、および、
前記第1のバレル内に少なくとも部分的に配置された第1のピストンに接続された第1のフェースプレート、
を含む、第1のセグメントと、
第2のシェルおよび第2のフェースプレートを含む第2のセグメントと、
前記第1のシェルを前記第2のシェルに接続するヒンジと、
を含み、
前記第1のフェースプレートは、
前記第1のフェースプレートを貫通して配置された第1のポートと、
前記第1のポート内に配置された第1の弁と、
を含む、再処理ケース。
【請求項2】
前記第1のフェースプレートは、前記第1のシェルに接触する、請求項に記載の再処理ケース。
【請求項3】
前記第1のフェースプレートは、前記第1のシェルから転置され、前記第1のシェルに接触しない、請求項に記載の再処理ケース。
【請求項4】
前記第1のフェースプレートは、前記第1のシェルから外向きに傾斜している、請求項に記載の再処理ケース。
【請求項5】
前記第1の弁に接続された第1のチューブをさらに含む、請求項に記載の再処理ケース。
【請求項6】
前記第2のシェルは、第2のバレルをさらに含み、前記第2のフェースプレートは、前記第2のバレル内に少なくとも部分的に配置された第2のピストンへの接続部を含む、請求項に記載の再処理ケース。
【請求項7】
前記第2のフェースプレートは、
前記第2のフェースプレートを貫通して配置された第2のポートと、
前記第2ポート内に配置された第2の弁と、
を含む、請求項に記載の再処理ケース。
【請求項8】
前記第2のフェースプレートは、前記第2のシェルに接触する、請求項に記載の再処理ケース。
【請求項9】
前記第2のフェースプレートは、前記第2のシェルから転置され、前記第2のシェルに接触しない、請求項に記載の再処理ケース。
【請求項10】
前記第2のフェースプレートは、前記第2のシェルから外向きに傾斜している、請求項に記載の再処理ケース。
【請求項11】
前記第2の弁に接続された第2のチューブをさらに含む、請求項に記載の再処理ケース。
【請求項12】
マニホールドをさらに含む、請求項に記載の再処理ケース。
【請求項13】
前記マニホールドは、前記第1のフェースプレート上に少なくとも部分的に配置されている、請求項12に記載の再処理ケース。
【請求項14】
前記マニホールドは、前記再処理ケースの前記第1のセグメントに一体化されている、請求項12に記載の再処理ケース。
【請求項15】
前記マニホールドは、少なくとも1つの入口ポートと、少なくとも4つの出口ポートと、を含む、請求項12に記載の再処理ケース。
【請求項16】
前記マニホールドは、1つの入口ポートと、8つの出口ポートと、を含む、請求項15に記載の再処理ケース。
【請求項17】
排水路をさらに含む、請求項15に記載の再処理ケース。
【請求項18】
前記出ポートのうちの少なくとも1つに取り付けられたスプレーノズルをさらに含む、請求項15に記載の再処理ケース。
【請求項19】
前記スプレーノズルは、回転スプレーノズルを含む、請求項18に記載の再処理ケース。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔分野〕
本明細書に開示される主題は、医療装置の再処理、特に内視鏡の自動再処理のためのシステムに関する。
【0002】
〔背景〕
内視鏡は再利用可能な医療装置である。内視鏡は、対象に感染または疾患を引き起こすのを回避するために、それが使用される医療処置と医療処置との間に、再処理、すなわち、除染されるべきである。内視鏡は、様々なニュース記事に記載されているように、除染するのが難しい。例えば、Chad Terhune,「Superbug outbreak: UCLA will test new scope-cleaning machine」ロサンゼルス・タイムズ、2015年7月22日、http://www.latimes.com/business/la-fi-ucla-superbug-scope-testing-20l50722-story.html(最後の訪問は2017年10月30日)参照。典型的には、内視鏡の再処理は、内視鏡から異物を除去するステップと、内視鏡を洗浄するステップと、特に、内視鏡上の微生物、例えば感染を引き起こす細菌を実質的に殺すことができる消毒剤に内視鏡を浸すことにより内視鏡を消毒するステップと、を少なくとも含む消毒処置によって行われる。例示的な消毒剤の1つは、Johnson & Johnson companyのEthicon US, LLCの1部門である、出願人のAdvanced Sterilization Products(「ASP」)によって製造および供給されているCIDEX(登録商標)OPA Solutionである。
【0003】
内視鏡の再処理は、医療従事者によって、または自動内視鏡再処理装置(「AER」)、例えばASPのEVOTECH(登録商標)内視鏡洗浄装置および再処理装置のような機械を用いて、行われ得る。再処理の初期ステップは、バイオバーデンが内視鏡上で乾燥し得る前に内視鏡からバイオバーデンを除去するために、治療現場で、内視鏡が処置に使用された直後またはすぐ後に、実施されるべきである。初期ステップは、典型的には看護師によって行われ、とりわけ、内視鏡をしっかりと拭くこと、それを洗剤溶液に浸すこと、内視鏡を通して洗剤を吸引すること、内視鏡を通して空気を吸引すること、およびチャネルを洗い流すこと、を含む。初期ステップが実施された後、内視鏡は、AER内での消毒のようなさらなる再処理のために、再処理領域に輸送され得る。消毒後、内視鏡は次の使用まで保管され得る。
【0004】
〔開示の概要〕
本明細書に開示されているのは、自動内視鏡再処理装置のような自動再処理装置内での器具の再処理を補助するために使用され得る、医療装置、特に内視鏡のような器具用の再処理ケースである。再処理ケースは、第1のバレルを有する第1のシェルと、第1のバレル内に少なくとも部分的に配置された第1のピストンに接続された第1のフェースプレートと、を有する第1のセグメントを含むことができる。第1のフェースプレートは、第1のフェースプレートを貫通して配置された第1のポートと、第1のポート内に配置された第1の弁と、を含むことができる。第1のチューブを第1の弁に接続することができる。
【0005】
再処理ケースはまた、第2のシェルと、第2のフェースプレートと、を有する第2のセグメントを含み得る。ヒンジが、第1のシェルを第2のシェルに接続することができる。第2のシェルは、第2のバレルも含み得る。したがって、第2のフェースプレートは、第2のバレル内に少なくとも部分的に配置された第2のピストンへの接続部を含むことができる。第2のフェースプレートはまた、第2のフェースプレートを貫通して配置された第2のポートと、第2のポート内に配置された第2の弁と、を含むことができる。第2のチューブを第2の弁に接続することができる。
【0006】
閉鎖構成では、第1のフェースプレートが第1のシェルに接触することができ、第1のシェルが第2のシェルに接触することができる。さらなる閉鎖構成では、第2のフェースプレートが第2のシェルに接触することができる。消毒構成では、第1のフェースプレートは、第1のフェースプレートが第1のシェルに接触しないように、第1のシェルから転置され得る。さらなる消毒構成では、第2のフェースプレートは、第2のフェースプレートが第2のシェルに接触しないように、第2のシェルから転置され得る。少なくとも1つの消毒構成において、第1のフェースプレートは、第1のシェルから外向きに傾斜していてもよい。さらなるまたは代替的な消毒構成では、第2のフェースプレートは、第2のシェルから外向きに傾斜していてもよい。
【0007】
さらに、再処理ケースは、マニホールドを含むことができる。マニホールドは、第1のフェースプレート上に少なくとも部分的に配置され得る。代替的または追加的に、マニホールドは、ケースの第1のセグメントまたは第2のセグメントに一体化されてもよい。マニホールドは、少なくとも1つの入口ポートおよび少なくとも4つの出口ポート、例えば8つの出口ポートを含むことができる。
【0008】
ケースは、排水路をさらに含むことができる。また、出力ポートのうちの少なくとも1つに取り付けられたスプレーノズルを含んでもよい。スプレーノズルは、回転スプレーノズルを含むことができる。
【0009】
ケースは、以下の方法および変形例に従って、医療装置の再処理を補助するために使用され得る。第一に、再処理ケースを開いて開放構成にすることができる。第二に、内視鏡などの医療装置を再処理ケースに入れることができる。第三に、再処理ケースを閉じて閉鎖構成にすることができる。第四に、再処理ケースを再処理装置に入れることができる。第五に、再処理ケースを消毒構成へと構成することができる。第六に、医療装置は、例えば、消毒剤を内視鏡に噴霧することによって消毒され得る。さらに、消毒剤を内視鏡に噴霧する前に、洗剤を内視鏡に噴霧してもよい。第七に、再処理ケースを閉鎖構成に戻すことができる。
【0010】
この方法の特定の変形例では、流体送達組立体を再処理ケースのポートに嵌合させることができる。ポートは、マニホールドの入口ポートを含むことができる。ポートは、追加的にまたは代替的に、再処理ケースの表面を貫通して配置されてもよい。医療装置の内腔も、ポートに接続され得る。したがって、消毒ステップは、医療装置の内腔を消毒することを含むことができる。
【0011】
本明細書は、本明細書に記載された主題を具体的に指摘し、明確に主張する特許請求の範囲で締めくくられるが、その主題は、特定の実施例の以下の説明を、添付図面と併せ読むことで、よりよく理解されると考えられる。添付図面では、同様の参照符号は同じ要素を特定している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】閉鎖構成にある再処理ケースを描く。
図2】第1の消毒構成にある図1の再処理ケースを描く。
図3】開放構成にある図1の再処理ケースを描く。
図4図1の再処理ケースと嵌合するように構成された第1の流体送達組立体を描く。
図5】第2の消毒構成にある図1の再処理ケースを描く。
図6図1の再処理ケースと共に使用され得る第2の流体送達組立体を描く。
図7】閉鎖構成にあるマニホールドを含む再処理ケースを描く。
図8】開放構成にある図7の再処理ケースを描く。
図9】一体化されたマニホールドを含む再処理ケースの断面図を描く。
【0013】
〔発明を実施するための形態〕
以下の詳細な説明は、異なる図面における同様の要素に同一の番号が付されている図面を参照して読むべきである。必ずしも縮尺どおりではない図面は、選択された実施形態を描いており、本発明の範囲を限定することを意図しない。詳細な説明は、限定としてではなく、例として、本発明の原理を示している。この説明は、当業者が本発明を製造および使用することを明らかに可能にし、本発明を実施するための最良の形態であると現在考えられているものを含む、本発明のいくつかの実施形態、適応形、変形例、代替物および使用を説明する。
【0014】
本明細書で使用される場合、任意の数値または範囲に対する「約」または「およそ」という用語は、部品または構成要素の集合が、本明細書に記載されるような、その意図された目的のために機能することを可能にする、適切な寸法公差を示す。より具体的には、「約」または「およそ」は、列挙された値の±10%の値の範囲を指すことができ、例えば、「約90%」は、81%~99%の値の範囲を指すことができる。さらに、本明細書で使用される場合、用語「患者」、「ホスト」、「ユーザー」、および「対象」は、任意のヒトまたは動物の対象を指し、システムまたは方法をヒト使用に限定することを意図していないが、ヒト患者における本発明の使用が、好ましい実施形態を表す。
【0015】
本明細書では、AERによる医療装置の消毒およびその後の医療装置の保管を容易にするために使用することができる再処理ケースについて説明する。再処理ケース100は、図1では閉鎖構成で、図2では消毒構成で、図3では開放構成で示されている。ケース100は、第1のセグメント102および第2のセグメント104を含む。第1のセグメント102は、第1のフェースプレート108を有する第1のシェル106を含む。第2のセグメント104は、第2のフェースプレート112を有する第2のシェル110を含む。第1のシェル106および第2のシェル110はヒンジによって接続され得、第1のセグメント102および第2のセグメント104は、互いに対して回転して、ケースの構成を図1の閉鎖構成から図3の開放構成に変更することができる。セグメント102および104は、金属およびプラスチック、またはそれらの組み合わせを含む任意の堅牢な材料から作製され得る。例えば、ケース100の全体は、一方の材料、または他方の材料、またはそれらの組み合わせから作製され得る。ステンレス鋼が示的な金属であり、ポリカーボネートが例示的なプラスチックである。したがって、ケースの少なくとも一部は、透明、半透明、または不透明であってよい。
【0016】
少なくとも1つのクラスプ、例えば2つのクラスプ114が、シェル106またはシェル110のいずれかに取り付けられて他方のシェルに固定可能とすることができ、これら2つのシェルは、ブリーフケースと同様に互いに固定され得る。ハンドルが、さらに、2つのシェル構成要素のうちの一方におけるクラスプに近接して配置されてもよい。したがって、ケース100の特定の特徴は、従来のブリーフケースに類似していると記述することができる。
【0017】
ケース100は、シェル106および110を貫通して配置された種々のポートをさらに含むことができる。例えば、図面に示すように、ポート116、118、120、および122が、フェースプレート108を貫通して配置される。ポートは、それぞれ、弁124、126、128、および130を収容することができ、これらは、逆止弁、ダックビル弁、アンブレラ弁、またはオハイオ州クリーブランドのMinivalve, Inc.によって製造されたもののようなX-fragm弁とすることができる。4つのポートおよび弁が示されているが、例えば、1つのポートから10個のポート、および1つの弁から10個の弁など、適切となり得る任意の数の弁およびポートがあってもよい。これらのポートおよび弁は、消毒処置中に、ケース100の内側への、AERの流体送達組立体132(図4)のアクセスを提供するが、処置後の保管中に汚染物質がケースに入るのを制限することができる。
【0018】
流体送達組立体132は、再処理チャンバ内に配置された、AERのサブ組立体として含まれてもよい。液体をケース100内に送達することに加えて、組立体132は、ケースの構成を図1の閉鎖構成から図2の消毒構成に変更するように機能することもできる。例えば、組立体132は、線形アクチュエータを介して再処理チャンバの壁に接続され得、組立体132の線形作動により、組立体132が壁から離れてケース100に向かって移動し、最終的にケース100に接触する。
【0019】
いったん、そのホームポジションからケース上に延出すると、組立体132は、機械的操作の目的で、例えば、シェル106から離してフェースプレート108を移動させる目的で、ケース100の接続特徴部と嵌合するために捕捉特徴部の使用を採用する。捕捉特徴部は、ばね仕掛けのカム、または、圧入、摩擦嵌め、もしくはスナップ嵌めで接続特徴部に嵌合する機械的フィンガーであってよい。接続特徴部は、スロット134および136を含むことができる。カバー140、例えばシリコーンなどの材料の可撓性シートが、スリット134および136を覆ってフェースプレート108の内側表面に固定されて、組立体132の嵌合を可能にすると共に、処置後の保管中に汚染物質がスロット134および136を通ってケースに入るのを制限するために、フェースプレート108の外部に対するバリアを提供することができる。あるいは、第2のカバー142が含まれ得、カバー140はスロット134を覆い、カバー142はスロット136を覆う。
【0020】
組立体132の捕捉特徴部がケース100の接続特徴部に嵌合されると、組立体132は、並進運動して、壁に向かって、すなわち、シェル106からフェース108を引き離すそのホームポジションに向かって戻り、ケース100を閉鎖構成から消毒構成に移行させる。サイクルが完了した後、ケース壁は閉鎖構成に戻され、捕捉特徴部は弛緩されて、組立体132をケース100の接続特徴部から切り離す。捕捉特徴部の弛緩は、ホームポジションからの逆の移動(negative travel)のような組立体132の別の動きに関連付けられ得る。
【0021】
図2は、フェースプレート108がシェル106から転置し、フェースプレート112がシェル110から転置する、消毒構成にあるケース100を表している。上述のように、スロット134および136は、組立体132上の特徴部と嵌合することができ、組立体132は、フェースプレート108をシェル106から引き離すか、またはフェースプレート108を押し戻してシェル106と接触させることができる。シリンダーまたはピストン(例えば、170、174、178)が、シェル106のバレル(例えば、172、176、180(隠れている))内に配置され得、フェースプレート108を、閉鎖構成および消毒構成に対応するその2つの位置の間で案内するのを助けることができる。代替的または追加的に、フェースプレート106は、組立体132からの支援なしに、その2つの位置の間を移動することができる。例えば、ステッパモータなどのモータを、バレルのうちの少なくとも1つに含めて、その対応するピストンをバレルの内外に並進運動させることができる。モータは、バッテリ電力によって電力供給され得る。代替的または追加的に、ばね(例えば、ばね144)が、ケース100をその閉鎖構成に戻すのを補助するために、バレルのうちのいずれかの内部またはピストンのうちのいずれかの周囲に含まれてもよい。ガスケットまたはガスケット材料が、シェル106、フェースプレート108、またはその両方の周囲に接着され得、その結果、シェル106およびフェースプレート108は、ケース100が閉鎖構成にあるときにシールを形成する。同様に、ガスケットまたはガスケット材料は、シェル110、フェースプレート112、またはその両方の周囲に接着され得、その結果、シェル110およびフェースプレート112は、ケース100が閉鎖構成にあるときにシールを形成する。
【0022】
代替的な消毒構成を図5に表す。この消毒構成では、フェースプレート108および112は、対応するシェル106および110から外向きに傾斜している。これは、いくつかのピストンがその他のピストンのうちのいくつかよりも長いストロークを有することによって達成され得る。例えば、図5において、ピストン170は、ピストン174がバレル176の外側に延びるよりも、バレル172の外側にさらに延びる。
【0023】
図3は、従来のブリーフケースの開放構成と類似の構成において、セグメント102および104が互いに対して90°または約90°で配置された、開放構成にあるケース100を表している。開放構成では、内視鏡10のような医療装置は、消毒処置の前にケースに入れられるか、または、消毒処置の後にケースから取り外され得る。追加的にまたは代替的に、ケース100は、1つ以上のチューブ、例えば、図3に示されるように、4つのチューブ151、153、155、および157、を含み得る。各チューブの一端部は、それぞれ、弁124、126、128または130、例えば弁128に接続され得る。これらのチューブの他端部は、例えば、制御本体12上のポート、光コネクタ13上のポートを介して、または挿入チューブ16の遠位端部を介して、それぞれ、内視鏡の内腔に接続され得る。このような接続は、内視鏡の内腔を通して消毒剤、洗剤、水、または空気を供給するのに役立つ。
【0024】
ケース100は、排水スロット149をさらに含み得、排水スロットは、少なくとも1つのヒンジ161の周りにヒンジ結合されたドアまたはカバー147によって覆われ得る。したがって、排水スロットは、液体(例えば、消毒剤、洗剤、水)をケース100から排出することができるように、消毒処置の間は開いていてよいが、保管中は処置後の汚染を避けるために閉じることができる。
【0025】
AERの流体送達組立体132を図4に示す。組立体132は、マニホールドと考えられてよく、流体、例えば消毒剤、洗剤、または水チューブを、対応する供給部からケース100に送るための少なくとも1つのチューブを含む。例えば、図4に見られるように、組立体132は、チューブ152、154、156および158を含む。これらのチューブのそれぞれの近位部分は、組織化のため、また消毒処置中の組立体132の操作の間にチューブ接続にストレスを与えることを避けるため、チューブ152、154、156、および158のそれぞれを中に収容したままにする、より大きなチューブ160を介して、AER内の流体供給部に接続され得る。各チューブ152、154、156、および158の遠位端部は、支持固定具によって支持され、対応するニップル162、164(図4では隠れている)、166、および168に嵌合され得る。これらのニップルは、ポート116、118、120、および122に挿入され、弁124、126、128、および130を開くように構成されている。したがって、流体(例えば、消毒剤、洗剤、水または空気)は、チューブ、ニップル、および弁を介してケース100内に送達され得る。
【0026】
図6は、第2の流体送達組立体146を示し、これは、組立体132に加えて、または代替的に使用され得る。組立体146は、2つの支持バー148および150によって支持され、例えば、空気、水、消毒剤および洗剤のAERの供給部に接続された供給チューブ186に接続されたマニホールド184を含む。マニホールド184はまた、流体を排出することができるニップル188、190および192を含む。マニホールド184は、ケース100が消毒構成にあるときに、フェースプレート108とシェル106またはフェースプレート112とシェル110との間の空間を通して、ケース100内に挿入され得る。したがって、組立体132および146の両方を含む実施形態では、組立体132は、内視鏡内腔を通して流体を流すために使用されるか、または少なくとも主として使用され得るが、組立体146は、内視鏡の外部に流体を噴霧するために使用されるか、または少なくとも主として使用され得る。
【0027】
図7および図8は、それぞれ、閉鎖構成および開放構成における再処理ケース200の代替的な実施形態を表す。ケース200は、第1のフェースプレート208を有する第1のセグメント202と、第2のフェースプレート212を有する第2のセグメント204と、を含む。第1のマニホールド260は、フェースプレート208を含むセグメント202上に配置することができる。第2のマニホールド261は、フェースプレート212を含むセグメント204上に配置することができる。マニホールド260は入口ポート262を含むことができ、マニホールド261は入口ポート263を含むことができる。マニホールド260および261はまた、種々の出口ポートを含むことができる。例えば、図8で分かるように、マニホールド261は、8つの出口ポート265を含む。少なくとも1つのチューブ251が、出口ポート265のうちの1つを内視鏡10の内腔に接続するために含まれてもよい。したがって、入口262および263の一方または両方に導入された流体(例えば、空気、消毒剤、水、または洗剤)は、内視鏡を消毒するためにケース200および内視鏡内腔に導入され得る。さらなる実施形態では、出口ポート265のうちの1つ以上に、回転スプレーノズルなどのスプレーノズル266を装備することができる。
【0028】
ケース100およびケース200を含め、再処理ケースに、さらなる流れ機構を与えることができる。1つのそのような流れ機構は、図9に示すように、一体化されたマニホールドである。図9は、ケース300の1つのセグメント302を示し、このセグメント302は、ケース100のセグメント102もしくは104、またはケース200のセグメント202もしくは204に類似している。マニホールドは、セグメント302の本体内にチューブ352を含み、セグメントがマニホールドを含むように第1の入口または入口ポート324から本体のほぼ全体の輪郭を包む。チューブ352への追加の入口、例えば第2の入口326を設けることができる。1つ以上の出力ポート362は、チューブ352をセグメント302の内側に接続することができ、少なくとも第1の入口324を通して入力された流体(例えば、消毒剤、水、洗剤、または空気)を、好ましくは強いジェットとして、ポート362からケースの内側に排出することができる。理想的には、入口よりも多数の出力ポートがある。したがって、例えば、1つの入口ポートまたは2つの入口ポート、および4~12個の出力ポートが存在し得る。図7および図8に示すように、マニホールドは、1つの入口ポートおよび8つの出口ポートを含む。最後に、排水路349を含むことができる。
【0029】
本明細書に図示および記載された実施形態により、出願人は、AERを用いて医療装置、特に内視鏡を消毒するための方法およびその変形例を考案した。例えば、ケース100のような再処理ケースは、図1に表すような、閉鎖構成で受け取ることができる。ケースは、図3に表すような開放構成へと開かれ得る。医療装置、例えば内視鏡は、セグメント102のような、ケースの一部に入れられ得る。医療装置の内腔は、チューブ(例えば、チューブ151、153)を介して、流体がケースおよび医療装置に導入され得るポートおよび弁(例えば、ポート116、118および弁124、126)に接続され得る。ケースは次に閉鎖構成に戻され得る。次いで、ケースをAERの消毒チャンバに入れ、その中に固定することができる。あるいは、上記のステップのうちのいずれかの前に、ケースをAERの消毒チャンバに入れることができる。
【0030】
ケースの内側に内視鏡を収納した閉鎖構成でAERの消毒チャンバにケースを配置した後、消毒処置を開始することができる。次いで、ケースを、図2または図5に示すような消毒構成にすることができる。すなわち、ケースの構成要素(例えば、102または104)の少なくとも1つのフェースプレート(例えば、108または112)は、その構成要素のシェル(例えば、106または110)に接触する位置から、シェルに接触しない位置まで転置され得る。このようなことは、フェースプレートをシェルから引き離すことによって、例えば、シェルから離してフェースプレートを引っ張るか、または押すことによって達成することができる。フェースプレートは、最初に流体送達組立体(例えば、132)をフェースプレートの嵌合特徴部(例えば、スロット134および136)に嵌合させることによって、シェルから引き離され得る。次いで、流体送達組立体をシェルから離し、それと共にフェースプレートを引っ張ることができる。フェースプレートに接続され、シェルに接続されるかまたはシェルと一体のバレル(例えば、172、180)内に配置されたピストン(例えば、172、178)は、フェースプレートを案内するのを助けることができる。フェースプレートは、流体送達組立体によって押されることによって、または転置によって伸張されたピストンのうちの1つ以上の周囲に配置された1つもしくは複数のばね(例えば、178)によって生成された力の下で、シェルに接触するように戻され得る。さらに、ステッパモータなどを、バレルのうちの1つ以上の内部に含めて、閉鎖構成と消毒構成との間でフェースプレートを押し、かつ引っ張ることができる。ケースが消毒構成にある間、様々な流体(例えば、洗剤、消毒剤、水、および空気)をケースおよび医療装置に導入して、それらを洗浄、消毒および乾燥させることができる。このような流体は、流体送達組立体146などによってフェースプレートとシェルとの間の空間を介して、または流体送達組立体132などによってフェースプレートを貫通して配置されたポートを通して、ケース内に導入することができる。その後、ケース100を閉鎖構成に戻すことができる。再処理処置を終了し、ケースをAERから取り外すことができる。次いで、ケースは、消毒された医療装置を内部に備えた状態で保管することができる。
【0031】
〔実施の態様〕
(1) 再処理ケースであって、
第1のセグメントであって、
第1のバレルを有する第1のシェル、および、
前記第1のバレル内に少なくとも部分的に配置された第1のピストンに接続された第1のフェースプレート、
を含む、第1のセグメントと、
第2のシェルおよび第2のフェースプレートを含む第2のセグメントと、
前記第1のシェルを前記第2のシェルに接続するヒンジと、
を含む、再処理ケース。
(2) 前記第1のフェースプレートは、
前記第1のフェースプレートを貫通して配置された第1のポートと、
前記第1のポート内に配置された第1の弁と、
を含む、実施態様1に記載の再処理ケース。
(3) 前記第1のフェースプレートは、前記第1のシェルに接触する、実施態様2に記載の再処理ケース。
(4) 前記第1のフェースプレートは、前記第1のシェルから転置され、前記第1のシェルに接触しない、実施態様2に記載の再処理ケース。
(5) 前記第1のフェースプレートは、前記第1のシェルから外向きに傾斜している、実施態様4に記載の再処理ケース。
【0032】
(6) 前記第1の弁に接続された第1のチューブをさらに含む、実施態様2に記載の再処理ケース。
(7) 前記第2のシェルは、第2のバレルをさらに含み、前記第2のフェースプレートは、前記第2のバレル内に少なくとも部分的に配置された第2のピストンへの接続部を含む、実施態様6に記載の再処理ケース。
(8) 前記第2のフェースプレートは、
前記第2のフェースプレートを貫通して配置された第2のポートと、
前記第2ポート内に配置された第2の弁と、
を含む、実施態様7に記載の再処理ケース。
(9) 前記第2のフェースプレートは、前記第2のシェルに接触する、実施態様8に記載の再処理ケース。
(10) 前記第2のフェースプレートは、前記第2のシェルから転置され、前記第2のシェルに接触しない、実施態様8に記載の再処理ケース。
【0033】
(11) 前記第2のフェースプレートは、前記第2のシェルから外向きに傾斜している、実施態様10に記載の再処理ケース。
(12) 前記第2の弁に接続された第2のチューブをさらに含む、実施態様8に記載の再処理ケース。
(13) マニホールドをさらに含む、実施態様2に記載の再処理ケース。
(14) 前記マニホールドは、前記第1のフェースプレート上に少なくとも部分的に配置されている、実施態様13に記載の再処理ケース。
(15) 前記マニホールドは、前記ケースの前記第1のセグメントに一体化されている、実施態様13に記載の再処理ケース。
【0034】
(16) 前記マニホールドは、少なくとも1つの入口ポートと、少なくとも4つの出口ポートと、を含む、実施態様13に記載の再処理ケース。
(17) 前記マニホールドは、1つの入口ポートと、8つの出口ポートと、を含む、実施態様16に記載の再処理ケース。
(18) 排水路をさらに含む、実施態様16に記載の再処理ケース。
(19) 前記出力ポートのうちの少なくとも1つに取り付けられたスプレーノズルをさらに含む、実施態様16に記載の再処理ケース。
(20) 前記スプレーノズルは、回転スプレーノズルを含む、実施態様19に記載の再処理ケース。
【0035】
(21) 医療装置を再処理する方法であって、
再処理ケースを開いて開放構成にするステップと、
前記医療装置を前記再処理ケースに入れるステップと、
前記再処理ケースを閉じて閉鎖構成にするステップと、
前記再処理ケースを再処理装置に入れるステップと、
前記再処理ケースを消毒構成へと構成するステップと、
前記医療装置を消毒するステップと、
前記再処理ケースを閉鎖構成に戻すステップと、
を含む、方法。
(22) 流体送達組立体を前記再処理ケースのポートに嵌合させるステップをさらに含む、実施態様21に記載の方法。
(23) 前記ポートは、マニホールドの入口ポートを含む、実施態様22に記載の方法。
(24) 前記ポートは、前記再処理ケースの表面を貫通して配置される、実施態様22に記載の方法。
(25) 前記医療装置は、内視鏡を含む、実施態様22に記載の方法。
【0036】
(26) 前記消毒するステップは、前記内視鏡に消毒剤を噴霧するステップを含む、実施態様25に記載の方法。
(27) 前記消毒するステップは、前記内視鏡に前記消毒剤を噴霧する前に、前記内視鏡に洗剤を噴霧するステップを含む、実施態様26に記載の方法。
(28) 前記内視鏡の内腔を前記ポートに接続するステップをさらに含む、実施態様25に記載の方法。
(29) 前記消毒するステップは、前記医療装置の前記内腔を消毒するステップを含む、実施態様28に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9