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特許7476208異なる材料の部分から形成された外科用ステープラシャフト
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】異なる材料の部分から形成された外科用ステープラシャフト
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20240422BHJP
【FI】
A61B17/072
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021538245
(86)(22)【出願日】2019-12-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-21
(86)【国際出願番号】 IB2019061244
(87)【国際公開番号】W WO2020141398
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2022-11-22
(31)【優先権主張番号】16/236,696
(32)【優先日】2018-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・ザ・フォース・フレデリック・イー
(72)【発明者】
【氏名】バクスター・ザ・サード・チェスター・オー
(72)【発明者】
【氏名】バコス・グレゴリー・ジェイ
【審査官】神ノ田 奈央
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-233632(JP,A)
【文献】特表2020-525211(JP,A)
【文献】特表2014-515641(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0290583(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具であって、
(a)第1のジョーと第2のジョーとを含むエンドエフェクタであって、前記第1のジョーが前記第2のジョーに対して移動可能である、エンドエフェクタと、
(b)前記エンドエフェクタから近位に延在するシャフトであって、前記シャフトは、
(i)近位端及び遠位端を有する近位カプラーであって、前記遠位端に隣接する遠位連結機構を含む、近位カプラーと、
(ii)近位端及び遠位端を有する管であって、前記管は、
(A)前記管の前記近位端に隣接する近位連結機構であって、前記近位連結機構は、前記近位カプラーの前記遠位連結機構と係合して、前記管及び前記近位カプラーを共に固定可能にロックするように構成されている、近位連結機構と、
(B)前記管の前記遠位端に隣接する遠位連結機構と、を含む、管と、
(iii)近位端及び遠位端を有する遠位カプラーであって、前記遠位カプラーは、前記遠位カプラーの前記近位端に隣接する近位連結機構を含み、前記遠位カプラーの前記近位連結機構は、前記管の前記遠位連結機構と係合して前記遠位カプラー及び前記管を共に固定可能にロックするように構成されている、遠位カプラーと、含む、シャフトと、を備えており、
前記近位カプラーの前記遠位連結機構又は前記管の前記近位連結機構は、前記近位カプラーの前記遠位連結機構又は前記管の前記近位連結機構の他方のチャネルと係止係合するように構成されている外側表面に形成された突起部を含み、
前記チャネルは、ロック解除構成からロック構成へと前記突起部を移動させるように構成されている傾斜面と、前記突起部と係合して前記突起部をロック構成に保持するロック部分と、を含み、前記突起部は前記傾斜面と摺動可能に接触しており、前記突起部が前記傾斜面を越えて回転し、前記チャネルの前記ロック部分内に位置すると、前記傾斜面は、前記突起部が前記ロック解除構成に戻るのを防止するように構成されている、外科用器具。
【請求項2】
前記傾斜面が、前記チャネルの全幅にわたって広がる、請求項に記載の器具。
【請求項3】
前記近位カプラーの前記遠位連結機構又は前記管の前記近位連結機構は、前記近位カプラーの前記遠位連結機構又は前記管の前記近位連結機構の他方の第2のチャネルと係止係合するように構成されている前記外側表面に形成された第2の突起部を含む、請求項に記載の器具。
【請求項4】
前記近位カプラーの前記遠位連結機構又は前記管の前記近位連結機構は、前記近位カプラーの前記遠位連結機構又は前記管の前記近位連結機構の他方の第3のチャネルと係止係合するように構成されている前記外側表面に形成された第3の突起部を含み、前記突起部、前記第2の突起部、及び前記第3の突起部は、円周方向に離間配置されている、請求項に記載の器具。
【請求項5】
外科用器具であって、
(a)第1のジョーと第2のジョーとを含むエンドエフェクタであって、前記第1のジョーが前記第2のジョーに対して移動可能である、エンドエフェクタと、
(b)前記エンドエフェクタから近位に延在するシャフトであって、前記シャフトは、
(i)近位端及び遠位端を有する近位カプラーであって、前記遠位端に隣接する遠位連結機構を含む、近位カプラーと、
(ii)近位端及び遠位端を有する管であって、前記管は、
(A)前記管の前記近位端に隣接する近位連結機構であって、前記近位連結機構は、前記近位カプラーの前記遠位連結機構と係合して、前記管及び前記近位カプラーを共に固定可能にロックするように構成されている、近位連結機構と、
(B)前記管の前記遠位端に隣接する遠位連結機構と、を含む、管と、
(iii)近位端及び遠位端を有する遠位カプラーであって、前記遠位カプラーは、前記遠位カプラーの前記近位端に隣接する近位連結機構を含み、前記遠位カプラーの前記近位連結機構は、前記管の前記遠位連結機構と係合して前記遠位カプラー及び前記管を共に固定可能にロックするように構成されている、遠位カプラーと、含む、シャフトと、を備えており、
前記管の前記遠位連結機構又は前記遠位カプラーの前記近位連結機構は、前記管の前記遠位連結機構又は前記遠位カプラーの前記近位連結機構の他方のチャネルと係止係合するように構成されている内側表面に形成された突起部を含み、
前記チャネルは、ロック解除構成からロック構成へと前記突起部を移動させるように構成されている傾斜面と、前記突起部と係合して前記突起部をロック構成に保持するロック部分と、を含み、前記突起部は前記傾斜面と摺動可能に接触しており、前記突起部が前記傾斜面を越えて回転し、前記チャネルの前記ロック部分内に位置すると、前記傾斜面は、前記突起部が前記ロック解除構成に戻るのを防止するように構成されている、外科用器具。
【請求項6】
前記近位カプラー、前記管、及び前記遠位カプラーは、管状であり、中空の内部空洞を有する、請求項1に記載の器具。
【請求項7】
前記遠位カプラーの前記近位端は、前記管の前記遠位連結機構の少なくとも一部の上に円周方向に重なる、請求項1に記載の器具。
【請求項8】
前記近位カプラーは、ポリマー材料から形成され、前記管は、金属材料で形成され、前記遠位カプラーは、ポリマー材料又は金属材料から形成されている、請求項1に記載の器具。
【請求項9】
前記管は、圧延された金属シートから形成され、溶接されて管状形状を形成する、請求項1に記載の器具。
【請求項10】
前記遠位カプラーの外側表面は、滑らかで連続的である、請求項1に記載の器具。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
内視鏡外科用器具は、エンドエフェクタとハンドル部分との間に、臨床医によって操作されるシャフトを含み得る。このようなシャフトは、トロカールを通した所望の深さへの挿入及びシャフトの長手方向軸線を中心とした回転を可能にすることにより、患者の体内でエンドエフェクタを位置付けることを容易にする。エンドエフェクタの位置付けは、エンドエフェクタをシャフトの長手方向軸に対して選択的に関節運動させるか又は別様に偏向させることを可能にする、1つ以上の関節運動継手又は機構を含めることによって更に容易に行うことができる。
【0002】
内視鏡外科用器具の例として、外科用ステープラが挙げられる。このようなステープラのいくつかは、組織層をクランプし、クランプされた組織層を切断し、組織層を通してステープルを打ち込むことによって、組織層の切断された端部の近くで、切断された組織層同士を互いに実質的にシールするように動作可能である。単なる例示的な外科用ステープラが、2008年6月3日に発行された米国特許第7,380,696号、名称「Articulating Surgical Stapling Instrument Incorporating a Two-Piece E-Beam Firing Mechanism」、2013年4月2日に発行された、米国特許第8,408,439号、名称「Surgical Stapling Instrument with An Articulatable End Effector」、及び2013年6月4日に発行された、米国特許第8,453,914号、名称「Motor-Driven Surgical Cutting Instrument with Electric Actuator Directional Control Assembly」に開示されている。上に引用した米国特許及び米国特許出願公開のそれぞれの開示内容を参照により本明細書に援用するものとする。
【0003】
外科用ステープラはまた、開腹手術において及び/又は他の非内視鏡手術において用いられ得る。単に一例として、トロカールをステープラの導管として使用しない胸部外科手術では、外科用ステープラを開胸術によって患者の肋骨の間に挿入し、1つ又は2つ以上の臓器に到達させることもできる。例えば、臓器につながる血管を、胸腔から臓器を切除する前にステープラによって切断して閉鎖することができる。当然のことながら、外科用ステープラは、様々な他の状況及び処置において使用され得る。
【0004】
様々な種類の外科用ステープル留め器具及び関連構成要素が作製され使用されてきたが、本発明者ら以前には、添付の特許請求の範囲に記載されている発明を誰も作製又は使用したことがないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本明細書に組み込まれているとともにその一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を示すものであり、上記の本発明の一般的説明、及び以下の実施形態の詳細な説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
図1】例示的な関節運動する外科用ステープル留め器具の側面図を示す。
図2図1の器具のシャフト及びエンドエフェクタの側面図を示す。
図3A】閉鎖リンクを使用して図2の閉鎖リングと連結された閉鎖管の側面図を示す。
図3B図3Aの閉鎖リンクを使用した閉鎖管の閉鎖リングへの連結の分解側面図を示す。
図4A】2つの肋骨間に挿入された均一な断面を有するシャフトの概略図を示す。
図4B】2つの肋骨間で旋回された均一な断面を有する図4Aのシャフトの概略図を示す。
図5A】2つの肋骨間に挿入された図1の器具のシャフトの概略図を示す。
図5B】2つの肋骨間で旋回された図1の器具のシャフトの概略図を示す。
図6A】関節運動されていない形態の、図1の器具の関節運動継手の断面上面図を示す。
図6B】関節運動された形態の、図6Aの関節運動継手の断面上面図を示す。
図7図1の器具に組み込まれ得る例示的な閉鎖管の分解組立て図を示し、閉鎖管は、近位カプラー、管、及び遠位カプラーを含む。
図8図7の近位カプラーの遠位連結機構の外側表面の拡大部分を示す。
図9図7の近位カプラーの遠位連結機構の内側表面の拡大部分を示す。
図10A図7の近位カプラーの遠位連結機構に挿入されている図7の管の近位連結機構の断面図を示す。
図10B図7の近位カプラーの遠位連結機構の傾斜面と摺動可能に係合するように回転されている、図7の管の近位連結機構の断面図を示す。
図10C図7の近位カプラーの遠位連結機構に対して完全に回転された後の、図7の管の近位連結機構の断面図を示す。
図11】例示的な閉鎖リンクを使用して図3Aの閉鎖リングと連結されている図7の閉鎖管の分解斜視図を示す。
図12図11の閉鎖管に挿入されている図11の閉鎖リンクの拡大斜視図を示す。
図13A】製造プロセスを経る前の図11の閉鎖リンクを示す。
図13B】製造プロセスを経た後の図13Aの閉鎖リンクを示す。
図14図13Bの閉鎖リンクの側面図を示す。
図15図1の器具に組み込まれ得る図7の閉鎖管を製造する例示的な方法を示す。
【0006】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、その一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を図示したものであり、本説明文とともに本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながら、本発明が、示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本技術の特定の実施例の以下の説明は、その範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本技術の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、実例として、本技術を実施する上で想到される最良の態様の1つである以下の説明により、当業者には明らかとなるであろう。理解されるように、本明細書に記載される技術は、いずれもその技術から逸脱することなく、その他の異なる、かつ明らかな態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものと見なされるべきである。
【0008】
本明細書に記載される教示、表現、実施形態、実施例などの任意の1つ以上のものを、本明細書に記載される他の教示、表現、実施形態、実施例などの任意の1つ以上のものと組み合わせることができる点も、更に理解されよう。したがって、以下に記載される教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して切り離して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には容易に明らかとなろう。このような修正及び変形は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0009】
本開示の明瞭さのために、「近位」及び「遠位」という用語は、人間又はロボットである外科用器具の操作者に対して、本明細書で定義する。用語「近位」とは、人間又はロボットである外科用器具の操作者により近く、かつ、外科用器具の外科用エンドエフェクタから更に離れた要素の位置を意味する。用語「遠位」とは、外科用器具の外科用エンドエフェクタにより近く、かつ、人間又はロボットである外科用器具の操作者から更に離れた要素の位置を意味する。加えて、用語「第1の」及び「第2の」は、本明細書では、外科用器具の1つ以上の部分を区別するために使用される。例えば、第1の組立体及び第2の組立体は、代替的にかつそれぞれ、第2の組立体及び第1の組立体として記載されてもよい。用語「第1の」及び「第2の」、並びに他の数字表記は、そのような用語の単なる例示であり、本明細書に記載される発明を不必要に限定することを意図していない。
【0010】
I.多径シャフトを有する外科用器具
場合によっては、外科用器具の動きの範囲及び位置決め能力を増加させることが望ましい場合がある。例えば、外科用器具のシャフトが開胸術によって挿入されるとき、シャフトは患者の肋骨又は他の場所の間に位置付けられる。患者の肋骨又は開胸部のまわりの軟組織をこじあけることなく、つまり損傷させることなく、シャフトをある角度にする又は動かすことが望ましい場合がある。したがって、器具の動きの範囲及び位置決め能力を増大させることを可能にする、多径シャフト機構を有する外科用器具を提供することが望ましい。以下の例は、外科用器具に容易に導入することができる多径シャフト機構のいくつかの単なる例示的な変更例を含む。
【0011】
A.例示的なステープル留め器具
図1図3Bは、多径シャフト(22)を含む外科用ステープル留め及び切断器具(10)を示す。器具(10)は、外科的処置を行うために、トロカールカニューレ又は切開創(例えば、開胸術など)を通して患者内の手術部位へと挿入するようにサイズ決めされている。シャフト(22)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年10月24日に発行された米国特許第9,795,379号、名称「Surgical Instrument with Multi-Diameter Shaft」、の教示の少なくとも一部に従って構築されてもよい。シャフト(22)は、関節運動継手(11)内で遠位方向に終端し、関節運動継手(11)は、エンドエフェクタ(12)と更に連結されている。エンドエフェクタ(12)は、下側ジョー(16)及び枢動可能なアンビル(18)を含む。ハンドル部分(20)は、ピストルグリップ(24)及び閉鎖トリガ(26)を含む。閉鎖トリガ(26)は、ピストルグリップ(24)に向かって枢動可能であり、エンドエフェクタ(12)の下側ジョー(16)に向かってアンビル(18)のクランプ又は閉鎖を行うことができる。ハンドル部分(20)の発射トリガ(28)を始動して発射ビームが遠位に並進移動することができ、これにより、エンドエフェクタ(12)にクランプされている組織にステープルが打ち込まれ、組織が切断される。その後、トリガ(26、28)を解放し、エンドエフェクタ(12)から組織を解放することができる。
【0012】
ハンドル部分(20)は、回転ノブ(13)及び制御ノブ(39)を含む。エンドエフェクタ(12)を、患者体内のシャフト(22)の長手方向軸の周りの異なる回転位置で、位置決めすることができるように、回転ノブ(13)を回転させて、シャフト(22)及びエンドエフェクタ(12)をシャフト(22)の長手方向軸の周りで、ハンドル部分(20)に対して回すことができる。制御ノブ(39)は、ハンドル部分(20)から延在し、エンドエフェクタ(12)を関節運動継手(11)でシャフト(22)の長手方向軸から偏向させるように回転することができる。器具(10)は、人、ロボット制御装置、又は本明細書の教示を考慮して当業者には明らかである他の駆動方法とインターフェースで接続され得る。関節運動継手(11)及びエンドエフェクタ(12)が、トロカールのカニューレ通路を通って一旦挿入されると、関節運動継手(11)は、エンドエフェクタ(12)を、シャフト(22)の長手方向軸(LA)から所望の角度に偏向させることができるように、回転ノブ(13)によって遠隔的に関節運動させられてもよい。関節運動継手(11)及び/又は回転ノブ(13)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2015年11月17日に発行された米国特許第9,186,142号、名称「Surgical Instrument End Effector Articulation Drive with Pinion and Opposing Racks」、及び/又は、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第9,795,379号、の教示の少なくとも一部に従って構築され、動作可能であってもよい。
【0013】
下側ジョー(16)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2017年11月7日に発行された、米国特許第9,808,248号、名称「Installation Features for Surgical Instrument End Effector Cartridge」、の教示の少なくとも一部に従って構築されてもよい。アンビル(18)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2016年12月13日に発行された、米国特許第9,517,065号、名称「Integrated Tissue Positioning and Jaw Alignment Features for Surgical Stapler」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年12月12日に発行された、米国特許第9,839,421号、名称「Jaw Closure Feature for End Effector of Surgical Instrument」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年8月28日に公開された、米国特許出願公開第2014/0239037号、名称「Staple Forming Features for Surgical Stapling Instrument」の教示の少なくとも一部、に従って構築され得る。ステープルカートリッジ(30)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第9,517,065号、及び/又は、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第9,808,248号、の教示の少なくとも一部に従って構築され、動作可能であってもよい。あるいは、前述の構成要素は、任意の他の好適な方法で構築され、動作可能であってもよく、本明細書に引用される任意の他の特許参照の教示に従って構築され、動作可能であるものを含むがこれらに限定されない。
【0014】
B.例示的なシャフト
図2は、閉鎖トリガー(26)をピストルグリップ(24)に向かって旋回させることによって遠位に駆動させることができる閉鎖管(32)を含むシャフト(22)を示す。閉鎖管(32)が遠位に並進移動するとき、閉鎖リング(33)が遠位に並進移動するように、閉鎖管(32)は閉鎖リング(33)と連結される。次に、閉鎖リング(33)が遠位に並進移動するとき、閉鎖リング(33)はアンビル(18)を下側ジョー(16)に向かって旋回するように駆動させ、それによって、ジョー(16、18)間に位置する組織をクランプする。
【0015】
閉鎖管(32)は、様々な直径を有する部分(31、34、35、36、37)を有する。遠位部分(31)は、閉鎖管(32)の遠位に位置し、関節運動継手(11)に連結するような大きさである。勾配をなす遠位部分(34)は、遠位部分(31)と接続され、遠位部分(31)の近位にある。勾配をなす遠位部分(34)は、近位方向に徐々に減少する直径を有する。中央部分(35)は、勾配をなす遠位部分(34)と近位に接続される。閉鎖管(32)の中央部分(35)は、遠位部分(31)の直径よりも小さい実質的に一定の直径を有し、トロカール内などの開胸術(すなわち、一対の肋骨の間)内に配置されるように構成されている。閉鎖管(32)の中央部分(35)の直径の減少により、肋骨をこじあけることなく、又は他の方法で開胸部のまわりの軟組織を損傷させることなく、エンドエフェクタ(12)の移動及び位置決めの範囲を増大させることができる。勾配をなす遠位部分(34)によって提供される遠位部分(31)の直径と中央部分(35)の直径との間の移行は、患者の外傷を低減することができ、器具(10)がトロカールと一緒に用いられる場合、シールが反転することを防ぐことができる。
【0016】
勾配をなす近位部分(36)は、閉鎖管(32)の中央部分(35)と近位に接続され、近位方向に徐々に増大する直径を有する。閉鎖管(32)の近位部分(37)は、勾配をなす近位部分(36)と近位に接続され、ハンドル部分(20)の遠位部分(38)と連結するような大きさである。近位部分(37)は、中央部分(35)より大きな直径を有する。閉鎖管(32)の部分(31、34、35、36、37)は、単一の部品又は複数の部品のシャフト(22)で形成され得る。シャフト(22)は、手動膨張、ハイドロフォーミング、管溶接、又は本明細書の教示を考慮して当業者には明らかである他の好適なプロセスによって製造され得る。
【0017】
図3A図3Bは、明確にするために他の構成要素を省略した1つ以上の閉鎖リンク(50)を使用した閉鎖管(32)の閉鎖リング(33)及び遠位部分(31)の連結を示す。図示のように、各閉鎖リンク(50)は、閉鎖リンク(50)の本体(56)から延在する近位及び遠位ピン(52、54)を含む。本体(56)の近位端(58)は、近位ピン(52)の近位に延在する。同様に、本体(56)の遠位端(60)は、遠位ピン(54)の近位に延在する。換言すれば、近位及び遠位ピン(52、54)は、本体(56)の内側に配設され、本体(56)によって包囲される。閉鎖リンク(50)は、第1の対向する側部(62)及び第2の対向する側部(64)を含む。閉鎖管(32)の遠位部分(31)は、それぞれの閉鎖リンク(50)の近位ピン(52)を受容するように構成された第1の開口部及び第2の開口部(68)を含む第1のアーム及び第2のアーム(66)を含む。同様に、閉鎖用リング(33)は、閉鎖リンク(50)の遠位ピン(54)を受容するように構成された第1の開口部及び第2の開口部(72)をそれぞれ含む、第1のアーム及び第2のアーム(70)を含む。
【0018】
図4A図4Bは、その全長に沿って均一な断面積を有する閉鎖管(32a)を示す。閉鎖管(32a)は、閉鎖管(32a)がその全長に沿って均一な断面積を有することを除いて、図1図3Bを参照して上述した閉鎖管(32)と同様に機能する。図4Aに示されるように、閉鎖管(32a)は、一対の肋骨(102、104)の間に挿入される。閉鎖管(32a)は、挿入時に肋骨(102、104)と直角である長手方向軸(A)を画定する。次に閉鎖管(32a)は、患者内でエンドエフェクタ(図示せず)を位置決めするためにある角度に動かされる。図4Bに示されるように、閉鎖管(32)が各肋骨(102、104)と接触するまで、閉鎖管(32a)はある角度に動かされる。閉鎖管(32a)は、この位置で長手方向軸(B)を画定する。長手方向軸(A)と長手方向軸(B)との間の角度は、閉鎖管(32a)が肋骨(102、104)と接触するまで、閉鎖管(32a)が移動してエンドエフェクタ(12)を位置決めすることができる最大旋回角度(θ)である。
【0019】
図5A図5Bは、肋骨(102、104)間に位置するシャフト(22)の閉鎖管(32)の中央部分(35)を示す。図4A図4Bを参照して示され、説明されるように、シャフト(32a)がその全長に沿って均一な断面積を有することにより可能になる移動及び位置決めと比較して、エンドエフェクタ(12)の移動及び位置決めを増加させるために、シャフト(22)を、開胸部(すなわち、一対の肋骨間)、トロカールなどの内部に位置決めしてもよい。閉鎖管(32)は、閉鎖管(32a)と同じ長手方向軸(A)で、肋骨(102、104)間に直角に挿入される。次に、閉鎖管(32)が肋骨(102、104)と接触するまで、閉鎖管(32)は旋回してエンドエフェクタ(12)を位置決めする。閉鎖管(32)は、この位置で長手方向軸(C)を画定する。長手方向軸(A)と長手方向軸(C)との間の角度は、閉鎖管(32)が移動し得る最大旋回角度(φ)である。閉鎖管(32)の中央部分(35)は、その全長に沿って均一な断面積を有する閉鎖管(32a)より小さい直径を有するので、閉鎖管(32)は、閉鎖管(32a)の最大旋回角度(θ)より大きい最大旋回角度(φ)を有する。これは、閉鎖管(32)がエンドエフェクタ(12)の動き及び位置決めの範囲を拡大させることを有利に可能にする。
【0020】
C.例示的な関節運動継手
図1に関して上述し、図6A図6Bに関して後述するように、シャフト(22)は、関節運動継手(11)で遠位に終端し、関節運動継手は、更にエンドエフェクタ(12)と連結される。エンドエフェクタ(12)がシャフト(22)の長手方向軸(LA)から偏向することができるように、関節運動継手(11)は、制御ノブ(39)によって遠隔に関節運動することができる。エンドエフェクタ(12)は、所望の角度から又は他の理由のために、臓器の背後に到達するか又は組織に近付くことができる。関節運動継手(11)は、単一平面又は複数の平面に沿ってエンドエフェクタ(12)の偏向を可能にし得る。単なる実施例として、関節運動継手(11)及び制御ノブ(39)のいくつかの単なる例示的な代替実施例が、2015年11月17日に発行された米国特許第9,186,142号に開示される。この開示内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0021】
図6A図6Bは、本実施例の関節運動継手(11)をより詳細に示し、関節継手(11)のいくつかの構成要素は省略されている。そのような省略された構成要素は、2015年11月17日に発行された米国特許第9,186,142号の教示の少なくともいくつかによって構成され動作可能であってもよく、この開示内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。図6Aは、エンドエフェクタ(12)がシャフト(22)と長手方向に整合するような、関節運動していない位置にある関節運動継手(11)及びエンドエフェクタ(12)を示す。関節運動継手(11)は、関節運動歯車(40)及び関節運動バンド(42、44)を含む。歯車(40)は、シャフト(22)の閉鎖管(32)の遠位端と連結される。歯車(40)は、所望の関節運動角度でエンドエフェクタ(12)を位置決めするために、旋回軸(PA)の周りで回転するように構成されている。関節運動バンド(42、44)の近位端が制御ノブ(39)と連結するように、関節運動バンド(42、44)は、シャフト(22)の長さを移動する。バンド(42、44)の遠位端は、歯車(40)の両側の開口部(46、48)を通って歯車(40)と連結する。示されるように、バンド(42)は、開口部(46)と連結され、バンド(44)は開口部(48)と連結される。
【0022】
図6Bは、エンドエフェクタ(12)がシャフト(22)の長手方向軸に対して斜角で偏向されるような、関節運動している位置にある関節運動継手(11)及びエンドエフェクタ(12)を示す。エンドエフェクタ(12)を関節運動させるために、制御ノブ(39)を回転させる。示されるように、開口部(48)が近位に並進移動する一方で、開口部(46)が遠位に並進移動するように、歯車(40)は反時計回りに回転する。開口部(46、48)の並進移動は、バンド(42、44)を横方向に内方に張り出させる。歯車(40)の歯は、関節運動角度の選択的なロックを提供するために、ロック部材と選択的に係合され得る。単なる実施例として、ロック部材のいくつかの単なる例示的な代替例は、2015年11月17日に発行された米国特許第9,186,142号及び2018年1月16日に発行された米国特許第9,867,615号に開示されており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0023】
D.例示的な動作
使用実施例では、器具(10)は、エンドエフェクタ(12)のジョー(16、18)が閉じた位置で、関節運動されていない状態で、手術部位に挿入されることができる。関節運動されていない状態では、エンドエフェクタ(12)は、図6Aに示すように、シャフト(22)と長手方向に整列される。器具(10)が手術部位に挿入されるとき、関節運動継手(11)及びエンドエフェクタ(12)は、トロカールのカニューレ通路を通って、又は開胸部を通って挿入され、閉鎖管(32)の中央部分(35)を通路内、又は開胸部内に位置決めすることができる。閉鎖管(32)が位置付けされた後、閉鎖管(32)は旋回されて、エンドエフェクタ(12)を位置決めすることができる。例えば、閉鎖管(32)は、図5A図5Bに示されるように、所望の旋回角度(φ)へと旋回され得る。ジョー(16、18)がシャフト(22)の長手方向軸の周りで所望の角度の方向に配向されるように、回転ノブ(13)を始動させてエンドエフェクタ(12)をハンドル部分(20)に対して回転させることができる。
【0024】
関節運動継手(11)を始動させるために、制御ノブ(39)が始動されてもよい。制御ノブ(39)の回転は、バンド(42、44)の長手方向の並進移動と対向するように変換される。次に、図6Bに示されるように、バンド(42、44)は、関節運動継手(11)の歯車(40)を回転させて、エンドエフェクタ(12)を旋回させる。エンドエフェクタ(12)が所望の位置へと関節運動すると、次にアンビル(18)が下側ジョー(16)に向けて閉鎖を引き起こすように、閉鎖トリガー(26)がピストルグリップ(24)に向けて始動されることができる。アンビル(18)のそのような閉鎖は、閉鎖トリガー(26)がピストルグリップ(24)に対して旋回するのに応じてハンドル部分(20)に対して長手方向に並進移動する閉鎖管(32)及び閉鎖リング(33)を介して提供される。エンドエフェクタ(12)が閉鎖した後、アンビル(18)と下側ジョー(16)との間に捕捉された組織は、発射トリガー(28)を始動させることによって切断され、ステープル留めされることができる。
【0025】
エンドエフェクタ(12)を開くためには、閉鎖トリガー(26)がピストルグリップ(24)から離れて解放され、閉鎖管(32)及び閉鎖リング(33)が近位に並進移動し、アンビル(18)を下側ジョー(16)から離して旋回させることができる。次に、エンドエフェクタ(12)は、関節運動されていない位置に戻されることができる。図6Aに示すように、制御ノブ(39)を回転させて、エンドエフェクタ(12)をシャフト(22)と長手方向に整列させることができる。器具(10)が関節運動されていない位置にあり、エンドエフェクタのジョー(16、18)が開放位置にある状態で、器具(10)が更なる組織を切断する、及び/又はステープル留めすることができるように、ステープルカートリッジ(30)は、新しいステープルカートリッジと取り替えられることができる。あるいは、エンドエフェクタ(12)のジョー(16、18)を閉じるために、閉鎖トリガー(26)は再び始動されてもよい。
【0026】
そうでない場合は、器具(10)は、本明細書に引用されるいずれかの特許参考文献のうちのいずれかの教示に従って構成され、動作可能であってもよい。器具(10)に提供され得る更なる例示的な改変を、以下でより詳細に述べる。以下の教示は、本明細書に引用される特許で教示される器具(10)又はデバイスに限定されない。以下の教示は、外科用ステープラとして分類されない器具を含む他の様々な種類の器具にも容易に応用可能である。以下の教示を適用することができる他の様々な好適なデバイス及び状況は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0027】
II.例示的な閉鎖管及び製造方法
上述したように、器具(10)の閉鎖管(32)は、手動膨張、ハイドロフォーミング、管溶接、又は他の好適なプロセスを使用して、シャフトの1つ以上の部品を一緒に溶接することによって形成されてもよい。しかしながら、2つ以上の異なる材料から閉鎖管(32)を形成することが望ましい場合がある。例えば、近位部分及び遠位部分は、望ましくはポリマー材料から形成されてもよいが、中央部分は、望ましくは金属材料から形成されてもよい。あるいは、近位部分は、望ましくはポリマー材料から形成されてもよいが、中央部分及び遠位部分は、望ましくは金属材料から形成されてもよい。加えて、低コストの方法で閉鎖管(32)を製造することが望ましい場合がある。更に、閉鎖管(32)を含む部品間の連結を強化すること、及び/又は所望に応じて複数の部品を一緒に選択的に連結することが望ましい場合がある。
【0028】
したがって、閉鎖管(210)が、図1図3B及び図5A図6Bを参照して上述した上述した閉鎖管(32)と互換的に機能することも可能にしながら、これら及び他の欠点に対処する例示的な閉鎖管(210)を製造することが望ましい場合がある。より具体的には、閉鎖管(32)を遠位に駆動して、閉鎖リング(33)を遠位に並進させ、アンビル(18)を下側ジョー(16)に向かって旋回させる器具(10)の動作と同様に、閉鎖管(210)を遠位に駆動して、また閉鎖用リング(33)を遠位に並進させ、アンビル(18)を下側ジョー(16)に向かって旋回させる。閉鎖管(210)の更なる詳細は、以下の図を参照して以下に記載される。
【0029】
A.例示的な閉鎖管
図7は、近位カプラー(212)と、管(214)と、遠位カプラー(216)とを含む例示的な閉鎖管(210)の分解組立て図を示す。図示のように、近位カプラー(212)、管(214)、及び遠位カプラー(216)は、完全に別個の構成要素として形成されている。閉鎖管(210)は、エンドエフェクタ(12)の対向するジョー(16、18)から近位に延在することが意図される。近位カプラー(212)は、近位端及び遠位端(218、220)を有する。近位カプラー(212)は、ポリマー材料から形成されている。近位カプラー(212)は、遠位端(220)に隣接する遠位連結機構(222)を含み、バヨネット結合機構の受容部分の形態で示されている。同様に、管(214)は、近位端及び遠位端(224、226)を有し、金属材料で形成されている。図15の例示的な方法(410)を参照してより詳細に説明するように、管(214)は、圧延された金属シートから形成され、継ぎ目で溶接されて管状構造形状を形成してもよい。図示のように、管(214)は、バヨネット結合機構の対向する挿入部分及び受容部分の形態の近位連結機構及び遠位連結機構(228、230)を含む。近位連結機構(228)は、管(214)の近位端(224)に隣接して配設され、近位カプラー(212)の遠位連結機構(222)を係合して、管(214)及び近位カプラー(212)を共に固定可能にロックするように構成されている。管(214)の遠位連結機構(230)は、管(214)の遠位端(226)に隣接して配設され、遠位カプラー(216)と係合する。
【0030】
図7に示すように、管(214)の近位連結機構(228)は、近位カプラー(212)の遠位連結機構(222)のチャネル(236)に係止係合するように構成されている管(214)の外側表面(234)上に形成された突起部(232)を含む。図示のように、3つの突起部(232)は、管(214)の周辺部の周りに円周方向に離間しており、しかしながら、同じ又は様々な間隔を有する、より多くの又は少ない突起部(232)も想定される。同様に、3つのチャネル(236)は、近位カプラー(212)の周辺部の周りに円周方向に離間され、それに応じて突起部(232)を受容する。同じ又は様々な間隔を有する、より多い又はより少ないチャネル(236)も想定される。
【0031】
図7に示され、図8図10Cにより詳細に示されるように、チャネル(236)は、ロック解除構成からロック構成へと突起部(232)をガイドするように構成されている傾斜面(238)を含む。ひとたび図10Cに示すロック構成になると、傾斜面(238)は、突起部(232)が分離するのを防止し、管(214)及び近位カプラー(212)が共に固定可能にロックされたままになる。管(214)の近位連結機構(228)は、突起部(232)を含むように示されており、近位カプラー(212)の遠位連結機構(222)はチャネル(236)を含むように示されているが、この関係が逆転されてもよいことも想定される。その結果、管(214)の近位連結機構(228)は、少なくとも1つのチャネル(236)を含み、近位カプラー(212)の遠位連結機構(222)は、少なくとも1つの突起部(232)を含む。また、管(214)の近位連結機構(228)は、少なくとも1つの突起部(232)及び少なくとも1つのチャネル(236)を含んでもよく、近位カプラー(212)の遠位連結機構(222)は、少なくとも1つの対応するチャネル(236)及び少なくとも1つの少なくとも1つの対応する突起部(232)を含んでもよいことも想定される。近位カプラー(212)の遠位連結機構(222)及び/又は管(214)の近位連結機構(228)は、記載されたバヨネット機構に加えて、又はその代わりに、1つ以上のスナップフィット機構を含んでもよい。
【0032】
遠位カプラー(216)は、近位端及び遠位端(240、242)を有する。遠位カプラー(216)は、ポリマー材料又は金属材料から形成されている。遠位カプラー(216)は、遠位カプラー(216)の近位端(240)に隣接して配設された近位連結機構(244)を含む。遠位カプラー(216)の近位連結機構(244)は、図8図10Cに示される近位カプラー(212)の遠位連結機構(222)と管(214)の近位連結機構(228)との係合と同様に、管(214)の遠位連結機構(230)を係合して遠位カプラー(216)と管(214)とを固定可能にロックするように構成されている。遠位カプラー(216)は、アーム(246)を更に含み、アーム(246)はそれぞれの開口部(248)を含み、図11図12を参照して説明されるように、遠位カプラー(216)の遠位端(242)から突出している。
【0033】
管(214)と遠位カプラー(216)との連結に関して、管(214)の遠位連結機構(222)及び遠位カプラー(216)の近位連結機構(228)は、1つ以上のスナップフィット機構(図示せず)及び/又は1つ以上のバヨネット結合機構を含む。図示のように、近位連結機構(228)は、管(214)の遠位連結機構(230)のチャネル(254)に係止係合するように構成されている遠位カプラー(216)の内側表面(252)上に形成された突起部(250)を含む。図示のように、3つの突起部(250)は、遠位カプラー(216)の周辺部の周りに円周方向に離間している。しかしながら、様々な間隔を有する、より多くの又は少ない突起部(250)も想定される。同様に、3つのチャネル(254)は、管(214)の周辺部の周りに円周方向に離間している。図示のように、遠位カプラー(216)の近位端(240)は、管(214)の遠位連結機構(230)の少なくとも一部の上に円周方向に重なる。様々な間隔を有する、より多くの又は少ないチャネル(254)も想定される。チャネル(254)は、ロック解除構成からロック構成へと突起部(250)をガイドするように構成されている傾斜面(256)を含む。ロック構成になると、傾斜面(256)は、突起部(250)が傾斜面(256)を越えて回転すると連結解除するのを防止し、結果として、突起部(250)がひとたびチャネル(254)のロック部分(270)内に位置すると、管(214)及び遠位カプラー(216)は、共に固定可能にロックされたままになる。
【0034】
引き続き図7を参照すると、近位カプラー(212)、管(214)、及び遠位カプラー(216)は、中空の内部を有する管状形状を有する。丸い管状形状が示されているが、他の管状形状も想定される(例えば、正方形、矩形など)。加えて、図示のように、近位カプラー(212)は、遠位端(220)に隣接する、狭くなる領域(258)を含み、遠位カプラー(216)は、近位端(240)に隣接する、狭くなる領域(260)を含む。したがって、近位カプラー(212)の平均直径は、管(214)の平均直径よりも大きい。同様に、遠位カプラー(216)の平均直径は、管(214)の平均直径よりも大きい。結果として、近位カプラー(212)、管(214)、及び遠位カプラー(216)を含む閉鎖管(210)は、図5A図5Bを参照して示され、説明された閉鎖管(32)と同様に、増加した角度の範囲を有する。これは、肋骨(102、104)間に、より制限された範囲を有する図4A図4Bを参照して示され説明される均一な直径の閉鎖管(32a)と対照をなす。加えて、遠位カプラー(216)の外側表面(262)は、概ね滑らかかつ連続的であり、外側表面(262)が組織に引っ掛かる又はからみつくのを防ぐように構成されている。更に、近位カプラー(212)、管(214)、及び遠位カプラー(216)を含む閉鎖管(210)は、概ね滑らかかつ連続的な外部を有する。
【0035】
図8は、近位カプラー(212)の遠位連結機構(222)の外側表面(264)の拡大部分を示し、図9は、近位カプラー(212)の遠位連結機構(222)の内側表面(266)の拡大部分を示す。図8図9では、外側表面及び内側表面(264、266)は、より明確にするために平坦であるものとして示されているが、外側表面及び内側表面(264、266)は、図7に示されるように湾曲している。図8図9に示されるように、チャネル(236)のランプ(238)は、突起部(232)をロック解除構成からロック構成へと移動させるように構成されている。傾斜面(238)は、突起部が、ひとたび傾斜面(238)を越えて回転し、チャネル(236)のロック部分(270)内に位置すると、突起部がロック解除するのを防止する。傾斜面(238)は、チャネルの全幅(W)にわたって広がっている。近位カプラー(212)の遠位連結機構(222)に関する図8図9に記載された特徴はまた、管(214)の遠位連結機構(230)に等しく適用される。傾斜面(238、256)の代わりに、又はそれに加えて、チャネル(236、254)は、突起部(232、250)がロック解除するのを防止する蛇行経路を有してもよい。
【0036】
図10A図10Cは、近位カプラー(212)と管(214)との連結の断面図を示す。より具体的には、図10Aは、近位カプラー(212)のチャネル(236)に挿入されている管(214)の突起部(232)を示す。ひとたび突起部(232)がチャネル(236)内に挿入されると、管(214)は、図10Bに示されるように近位カプラー(212)に対して回転し、その結果、管(214)の突起部(232)が近位カプラー(212)の傾斜面(238)と摺動可能に係合する。傾斜面(238)は、湾曲外側表面(264)を有する直角三角形構造体として図10A図10Cの断面図に示されている。傾斜面(238)は平面として示されているが、所望により、傾斜面(238)も湾曲していてもよい。図10Cに示すように、管(214)は、突起部(232)がチャネル(236)のロック部分(270)と完全に係合するまで、更に回転される。管(214)が近位カプラー(212)に対して回転されているものとして説明されているが、近位カプラー(212)が管(214)に対して回転されることが想定される。図示のように、管(214)の厚さは、近位カプラー(212)の厚さよりも薄い。
【0037】
B.例示的な閉鎖リンク
図11図14に示されるように、器具は、遠位カプラー(216)及びエンドエフェクタ(12)を回転可能に連結するように構成された少なくとも1つの閉鎖リンク(310)を含む。図11に示されるように、各閉鎖リンク(310)は、最近位端(314)及び最遠位端(316)を有する本体部分(312)を含む。閉鎖リンク(310)は、近位ピン(318)と、遠位ピン(320)とを含む。近位及び遠位ピン(318、320)はそれぞれ、本体部分(312)の第2の表面(326)の反対側にある本体部分(312)の第1の表面(324)から延在する。近位ピン(318)は、本体部分(312)の最近位端(314a)に配設され、遠位カプラー(216)の開口部(248)内に受容されるように構成されている。遠位ピン(320)は、本体部分(312)の最遠位端(316)に配設され、連結リング(33)の開口部(72)内に受容されるように構成されている。近位及び遠位ピン(318、320)の外側表面(322)は、閉鎖リンク(310)の最近位端部(314)と最遠位端部(316)との間の本体部分(312)の長さを画定する。図7を参照して前述され、図11に示されるように、遠位カプラー(216)は、遠位カプラー(216)の遠位端(242)から突出するアーム(246)を含む。アーム(246)は、それぞれの切欠き部分(268)に隣接する開口部(248)を含む。
【0038】
図12は、閉鎖管(210)の遠位カプラー(216)の開口部(248)に挿入されている閉鎖リンク(310)の拡大斜視図を示す。例えば、示される例によると、本体部分(312)は、約0.020インチの厚さ(T1)を有し、この厚さ(T1)は、約0.020インチの切欠き部分(268)の厚さ(T3)と同じ又は同様であり得る。同様に、近位及び遠位ピン(318、320)は、約0.045インチの厚さ(T2)を有してもよく、この厚さ(T2)は、約0.045インチの切欠き部分(268)の残厚の、厚さ(T4)と同じ又は同様であり得る。これらの寸法は、例示の目的のために記載されており、限定することを意図するものではない。図示のように、切欠き部分(268)の切欠き壁(272)は、本体部分(312)の湾曲した近位側(328)と同様の湾曲形状を有する。これにより、閉鎖管(210)の遠位カプラー(216)に対する閉鎖リンク(310)のある程度の回転運動を妨げることがある。
【0039】
図13Aは、本体部分(312a)の近位端及び遠位端(314a、316a)のそれぞれにおいて材料を除去するために、少なくとも1つの製造プロセスに供される前の閉鎖リンク(310a)を示す。図13B及び図14は、少なくとも1つの製造プロセスに供された後の閉鎖リンク(310)を示し、閉鎖リンク(310a)の前の輪郭(PO)が仮想線で示されている。少なくとも1つの製造プロセスは、例えば、他のサブトラクティブ製造プロセスの中でスタンピング又は機械加工を含み得ることが想定される。図示のように、近位及び遠位ピン(318a、320a)から材料は除去されず、近位及び遠位ピン(318、320)を形成する。図13Aに示すように、閉鎖リンク(310a)は、0.475インチの長さ(L1)を有する。少なくとも1つの製造プロセスの後、閉鎖リンク(310)は、図13B及び図14に示されるように、約0.350インチの長さ(L2)を有する。これらの寸法は、例示の目的のために示され、記載されており、限定することを意図するものではない。
【0040】
C.例示的な製造方法
図15は、外科用器具(10)の閉鎖管(32)の代わりに使用されるように構成されている、図7の閉鎖管(210)を製造する例示的な方法(410)を示す。図示のように、方法(410)は、工程(412、414、416、418、420、422)を含む。図7図12に関連して前述したように、閉鎖管(210)は、近位カプラー(212)、管(214)、及び遠位カプラー(216)を含む。
【0041】
工程(412)において、方法(410)は、射出成形機(424)を使用して、ポリマー材料から近位カプラー(212)を形成することを含む。近位カプラー(212)は、連結機構(222)を含む。工程(414)において、方法(410)は、金属シートに少なくとも1つの連結機構(228、230)を形成することを含む。例えば、連結機構(228、230)は、プレス機(426)を使用して金属シートに打ち抜かれてもよい。しかしながら、連結機構(228、230)を付与するために、様々な他の製造プロセスもまた好適に使用されてもよい。
【0042】
工程(416)において、方法(410)は、ローラー(428)を使用して金属シートを圧延して、金属製管状構造体を形成することを含む。工程(418)において、方法(410)は、溶接装置(430)を使用して、金属製管状構造体を溶接して外科用器具(10)の管(214)を形成することを含む。例えば、管状構造体の端部は、突合せ継手又は重ね継手を使用して溶接されてもよい。工程(420)において、方法(410)は、金属射出成形機又はプラスチック射出成形機(432)を使用して、外科用器具(10)の遠位カプラー(216)を形成することを含む。遠位カプラー(216)は、少なくとも1つの連結機構(244)を含む。連結機構(244)は、成形プロセス中に付与されてもよく、又は成形プロセスの後に形成されてもよい。
【0043】
工程(422)において、方法(410)は、近位カプラー(212)、管(214)、及び遠位カプラー(216)の連結機構(222、228、230、244)を使用して、近位カプラー(212)を管(214)に、かつ遠位カプラー(216)を管(214)に連結することを含む。近位カプラー(212)は、管(214)が遠位カプラー(216)と連結される前、それと同時に、又はその後に、管(214)に連結されてもよい。前述したように、近位カプラー(212)、管(214)、及び遠位カプラー(216)の連結機構(222、228、230、244は、少なくとも1つのスナップフィット結合(図示せず)又はバヨネット結合を含んでもよい。
【0044】
III.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の書類提出におけるどの時点でも提示され得る、いずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではないと理解されよう。一切の否定要素を意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で与えられるものに過ぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用が可能であると考えられる。また、いくつかの変形では、以下の実施例において言及される特定の特徴部を省略してよいことも考えられる。したがって、本発明者又は本発明者の利益の承継者により、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴部のいずれも重要なものとして見なされるべきではない。以下に言及される特徴部以外の更なる特徴部を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の書類提出において示される場合、それらの更なる特徴部は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例1】
【0045】
外科用器具であって、(a)第1及び第2のジョーを備えるエンドエフェクタであって、第1のジョーが第2のジョーに対して移動可能である、エンドエフェクタと、(b)エンドエフェクタから近位に延在するシャフトであって、シャフトは、(i)近位端及び遠位端を有する近位カプラーであって、遠位端に隣接する遠位連結機構を含む近位カプラーと、(ii)近位端及び遠位端を有する管であって、管は、(A)管の近位端に隣接する近位連結機構であって、近位連結機構は、近位カプラーの遠位連結機構と係合して、管及び近位カプラーを共に固定可能にロックするように構成されている、近位連結機構と、(B)管の遠位端に隣接する遠位連結機構と、を含む、管と、(iii)近位端及び遠位端を有する遠位カプラーであって、遠位カプラーは、遠位カプラーの近位端に隣接する近位連結機構を含み、遠位カプラーの近位連結機構は、管の遠位連結機構と係合して遠位カプラー及び管を共に固定可能にロックするように構成されている、遠位カプラーと、含む、シャフトと、を備える、外科用器具。
【実施例2】
【0046】
近位カプラーの平均直径は管の平均直径よりも大きく、遠位カプラーの平均直径は管の平均直径よりも大きい、実施例1に記載の器具。
【実施例3】
【0047】
近位カプラーの遠位連結機構又は管の近位連結機構は、近位カプラーの遠位連結機構又は管の近位連結機構の他方のチャネルと係止係合するように構成されている外側表面に形成された突起部を含む、実施例1又は2に記載の器具。
【実施例4】
【0048】
チャネルは、ロック解除構成からロック構成へと突起部を移動させるように構成されている傾斜面を含み、傾斜面は、突起部がロック解除構成に戻るのを防止するように構成されている、実施例3に記載の器具。
【実施例5】
【0049】
傾斜面が、チャネルの全幅にわたって広がる、実施例4に記載の器具。
【実施例6】
【0050】
近位カプラーの遠位連結機構又は管の近位連結機構は、近位カプラーの遠位連結機構又は管の近位連結機構の他方の第2のチャネルと係止係合するように構成されている外側表面に形成された第2の突起部を含む、実施例3~5のいずれか1つ以上に記載の器具。
【実施例7】
【0051】
近位カプラーの遠位連結機構又は管の近位連結機構は、近位カプラーの遠位連結機構又は管の近位連結機構の他方の第3のチャネルと係止係合するように構成されている外側表面に形成された第3の突起部を含み、第1の突起部、第2の突起部、及び第3の突起部は、円周方向に離間配置されている、実施例6に記載の器具。
【実施例8】
【0052】
管の遠位連結機構又は遠位カプラーの近位連結機構は、管の遠位連結機構又は遠位カプラーの近位連結機構の他方のチャネルと係止係合するように構成されている内側表面に形成された突起部を含む、実施例1~7のいずれか1つ以上に記載の器具。
【実施例9】
【0053】
チャネルは、ロック解除構成からロック構成へと突起部を移動させるように構成されている傾斜面を含み、傾斜面は、突起部がロック解除構成に戻ることを更に防止する、実施例8に記載の器具。
【実施例10】
【0054】
近位カプラー、管、及び遠位カプラーは、管状であり、中空の内部空洞を有する、実施例1~9のいずれか1つ以上に記載の器具。
【実施例11】
【0055】
遠位カプラーの近位端は、管の遠位連結機構の少なくとも一部の上に円周方向に重なる、実施例1~10のいずれか1つ以上に記載の器具。
【実施例12】
【0056】
近位カプラーは、ポリマー材料から形成され、管は、金属材料で形成され、遠位カプラーは、ポリマー材料又は金属材料から形成されている、実施例1~11のいずれか1つ以上に記載の器具。
【実施例13】
【0057】
管は、圧延された金属シートから形成され、溶接されて管状形状を形成する、実施例1~12のいずれか1つ以上に記載の器具。
【実施例14】
【0058】
遠位カプラーの外側表面は、滑らかで連続的である、実施例1~13のいずれか1つ以上に記載の器具。
【実施例15】
【0059】
遠位カプラーは、遠位カプラーの遠位端から突出する第1のアーム及び第2のアームを更に備え、第1のアームは、第1の開口部を含み、第2のアームは、第2の開口部を含み、器具は、少なくとも1つの閉鎖リンクを含み、閉鎖リンクは、本体と、本体から延在する第1のピン及び第2のピンとを含み、第1のピン及び第2のピンの外側表面は、閉鎖リンクの本体の長さを画定し、閉鎖リンクの第1のピンは、遠位カプラーの第1の開口部内に受容されるように構成されている、実施例1~14のいずれか1つ以上に記載の器具。
【実施例16】
【0060】
外科用器具であって、(a)第1のジョーと第2のジョーとを含むエンドエフェクタであって、第1のジョーが第2のジョーに対して移動可能である、エンドエフェクタと、(b)エンドエフェクタから近位に延在するシャフトであって、遠位端に開口部を含む、シャフトと、(c)遠位カプラー及びエンドエフェクタを回転可能に連結するように構成された少なくとも1つの閉鎖リンクであって、閉鎖リンクは、(i)最近位端及び最遠位端を有する本体と、(ii)本体から延在し、本体の最近位端に配設された第1のピンであって、閉鎖リンクの第1のピンは、シャフトの開口部内に受容されるように構成されている、第1のピンと、(iii)本体から延在し、本体の最遠位端に配設された第2のピンと、含む、閉鎖リンクと、を備える、外科用器具。
【実施例17】
【0061】
第1のピン及び第2のピンの外側表面が、閉鎖リンクの最近位端と最遠位端との間の本体の長さを画定する、実施例16に記載の器具。
【実施例18】
【0062】
シャフトは、近位端及び遠位端を有する近位カプラーと、近位端及び遠位端を有する管であって、近位カプラーの遠位端が管の近位端と選択的に連結されている、管と、近位端及び遠位端を有する遠位カプラーであって、管の遠位端が遠位カプラーの近位端と選択的に連結されている、遠位カプラーと、を備え、遠位カプラーは、遠位カプラーの遠位端から突出する少なくとも1つのアームを備え、アームは開口部を含む、実施例16又は17に記載の器具。
【実施例19】
【0063】
外科用器具の閉鎖管を製造する方法であって、閉鎖管は、近位カプラーと、管と、遠位カプラーと、を備え、方法は、(a)外科用器具の近位カプラーをポリマー材料から形成することであって、近位カプラーは少なくとも1つの連結機構を含む、ことと、(b)少なくとも1つの連結機構を金属シートに形成することと、(c)金属シートを圧延して金属製管状構造体を形成することと、(d)金属製管状構造体を溶接して、外科用器具の管を形成することと、(e)金属射出成形又はプラスチック成形プロセスを使用して外科用器具の遠位カプラーを形成することであって、遠位カプラーは、少なくとも1つの連結機構を含む、ことと、(f)近位カプラー、管、及び遠位カプラーの連結機構を使用して、近位カプラーを管に連結し、遠位カプラーを管に連結することと、を含む、方法。
【実施例20】
【0064】
近位カプラー、管、及び遠位カプラーの連結機構は、少なくとも1つのスナップフィット結合又はバヨネット結合を含む、実施例19に記載の方法。
【0065】
IV.その他
本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる点が理解されるべきである。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には容易に明らかとなろう。このような修正及び変形は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0066】
本明細書に参照により組み込まれると言及されるあらゆる特許、公報、又はその他の開示内容は、全体的に又は部分的に、組み込まれる内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載されるその他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれると理解されるべきである。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0067】
上記のデバイスの変形形態は、医療専門家により行われる従来の医療処置及び手術における用途のみではなく、ロボット支援された医療処置及び手術における用途をも有することができる。単に一例として、本明細書の様々な教示は、ロボット外科用システム、例えばIntuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムなどに容易に組み込まれ得る。
【0068】
上述のデバイスの変形形態は、1回の使用後に処分するように設計することができ、又はそれらは、複数回使用するように設計することができる。変形形態は、いずれか又は両方の場合においても、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整は、デバイスの分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組み立て工程の、任意の組み合わせを含み得る。特に、デバイスのいくつかの変形形態は分解することができ、また、デバイスの任意の数の特定の部分若しくは部品を、任意の組み合わせで選択的に交換又は取り外してもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換後、デバイスのいくつかの変形形態を、再調整用の施設において、又は手技の直前にユーザによってのいずれかで、その後の使用のために再組み立てすることができる。当業者であれば、デバイスの再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用することができることを理解するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、全て本発明の範囲内にある。
【0069】
単に一例として、本明細書に記載される変形形態は、処置の前及び/又は後に滅菌されてもよい。1つの滅菌技術では、デバイスをプラスチック製又はTYVEK製のバックなど、閉鎖及び封止された容器に入れる。次いで、容器及びデバイスを、γ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を透過し得る放射線場に置いてもよい。放射線は、デバイス上及び容器内の細菌を死滅させ得る。次に、滅菌されたデバイスを、後の使用のために、滅菌容器内に保管してもよい。β線若しくはγ線、エチレンオキシド、又は水蒸気が挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野で既知のその他の任意の技術を用いて、デバイスを滅菌してもよい。
【0070】
以上、本発明の様々な実施形態を示し、記載したが、当業者による適切な改変により、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。そのような可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、他の改変も当業者には明らかになるであろう。例えば、上記の実施例、実施形態、形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面に示され記載された構造及び動作の細部に限定されないものとして理解される。
【0071】
〔実施の態様〕
(1) 外科用器具であって、
(a)第1のジョーと第2のジョーとを含むエンドエフェクタであって、前記第1のジョーが前記第2のジョーに対して移動可能である、エンドエフェクタと、
(b)前記エンドエフェクタから近位に延在するシャフトであって、前記シャフトは、
(i)近位端及び遠位端を有する近位カプラーであって、前記遠位端に隣接する遠位連結機構を含む、近位カプラーと、
(ii)近位端及び遠位端を有する管であって、前記管は、
(A)前記管の前記近位端に隣接する近位連結機構であって、前記近位連結機構は、前記近位カプラーの前記遠位連結機構と係合して、前記管及び前記近位カプラーを共に固定可能にロックするように構成されている、近位連結機構と、
(B)前記管の前記遠位端に隣接する遠位連結機構と、を含む、管と、
(iii)近位端及び遠位端を有する遠位カプラーであって、前記遠位カプラーは、前記遠位カプラーの前記近位端に隣接する近位連結機構を含み、前記遠位カプラーの前記近位連結機構は、前記管の前記遠位連結機構と係合して前記遠位カプラー及び前記管を共に固定可能にロックするように構成されている、遠位カプラーと、含む、シャフトと、を備える、外科用器具。
(2) 前記近位カプラーの平均直径は前記管の平均直径よりも大きく、前記遠位カプラーの平均直径は前記管の平均直径よりも大きい、実施態様1に記載の器具。
(3) 前記近位カプラーの前記遠位連結機構又は前記管の前記近位連結機構は、前記近位カプラーの前記遠位連結機構又は前記管の前記近位連結機構の他方のチャネルと係止係合するように構成されている外側表面に形成された突起部を含む、実施態様1に記載の器具。
(4) 前記チャネルは、ロック解除構成からロック構成へと前記突起部を移動させるように構成されている傾斜面を含み、前記傾斜面は、前記突起部が前記ロック解除構成に戻るのを防止するように構成されている、実施態様3に記載の器具。
(5) 前記傾斜面が、前記チャネルの全幅にわたって広がる、実施態様4に記載の器具。
【0072】
(6) 前記近位カプラーの前記遠位連結機構又は前記管の前記近位連結機構は、前記近位カプラーの前記遠位連結機構又は前記管の前記近位連結機構の他方の第2のチャネルと係止係合するように構成されている前記外側表面に形成された第2の突起部を含む、実施態様3に記載の器具。
(7) 前記近位カプラーの前記遠位連結機構又は前記管の前記近位連結機構は、前記近位カプラーの前記遠位連結機構又は前記管の前記近位連結機構の他方の第3のチャネルと係止係合するように構成されている前記外側表面に形成された第3の突起部を含み、前記第1の突起部、前記第2の突起部、及び前記第3の突起部は、円周方向に離間配置されている、実施態様6に記載の器具。
(8) 前記管の前記遠位連結機構又は前記遠位カプラーの前記近位連結機構は、前記管の前記遠位連結機構又は前記遠位カプラーの前記近位連結機構の他方のチャネルと係止係合するように構成されている内側表面に形成された突起部を含む、実施態様1に記載の器具。
(9) 前記チャネルは、ロック解除構成からロック構成へと前記突起部を移動させるように構成されている傾斜面を含み、前記傾斜面は、前記突起部が前記ロック解除構成に戻ることを更に防止する、実施態様8に記載の器具。
(10) 前記近位カプラー、前記管、及び前記遠位カプラーは、管状であり、中空の内部空洞を有する、実施態様1に記載の器具。
【0073】
(11) 前記遠位カプラーの前記近位端は、前記管の前記遠位連結機構の少なくとも一部の上に円周方向に重なる、実施態様1に記載の器具。
(12) 前記近位カプラーは、ポリマー材料から形成され、前記管は、金属材料で形成され、前記遠位カプラーは、ポリマー材料又は金属材料から形成されている、実施態様1に記載の器具。
(13) 前記管は、圧延された金属シートから形成され、溶接されて管状形状を形成する、実施態様1に記載の器具。
(14) 前記遠位カプラーの外側表面は、滑らかで連続的である、実施態様1に記載の器具。
(15) 前記遠位カプラーは、前記遠位カプラーの前記遠位端から突出する第1のアーム及び第2のアームを更に備え、前記第1のアームは、第1の開口部を含み、前記第2のアームは、第2の開口部を含み、前記器具は、少なくとも1つの閉鎖リンクを含み、前記閉鎖リンクは、本体と、前記本体から延在する第1のピン及び第2のピンとを含み、前記第1のピン及び前記第2のピンの外側表面は、前記閉鎖リンクの前記本体の長さを画定し、前記閉鎖リンクの前記第1のピンは、前記遠位カプラーの前記第1の開口部内に受容されるように構成されている、実施態様1に記載の器具。
【0074】
(16) 外科用器具であって、
(a)第1のジョーと第2のジョーとを含むエンドエフェクタであって、前記第1のジョーが前記第2のジョーに対して移動可能である、エンドエフェクタと、
(b)前記エンドエフェクタから近位に延在するシャフトであって、前記シャフトは、遠位端に開口部を含む、シャフトと、
(c)前記遠位カプラー及び前記エンドエフェクタを回転可能に連結するように構成された少なくとも1つの閉鎖リンクであって、前記閉鎖リンクは、
(i)最近位端及び最遠位端を有する本体と、
(ii)前記本体から延在し、前記本体の前記最近位端に配設された第1のピンであって、前記閉鎖リンクの前記第1のピンは、前記シャフトの前記開口部内に受容されるように構成されている、第1のピンと、
(iii)前記本体から延在し、前記本体の前記最遠位端に配設された第2のピンと、含む、閉鎖リンクと、を備える、外科用器具。
(17) 前記第1のピン及び前記第2のピンの外側表面が、前記閉鎖リンクの前記最近位端と前記最遠位端との間の前記本体の長さを画定する、実施態様16に記載の器具。
(18) 前記シャフトは、近位端及び遠位端を有する近位カプラーと、近位端及び遠位端を有する管であって、前記近位カプラーの前記遠位端が前記管の前記近位端と選択的に連結されている、管と、近位端及び遠位端を有する遠位カプラーであって、前記管の前記遠位端が前記遠位カプラーの前記近位端と選択的に連結されている、遠位カプラーと、を備え、前記遠位カプラーは、前記遠位カプラーの前記遠位端から突出する少なくとも1つのアームを備え、前記アームは開口部を含む、実施態様16に記載の器具。
(19) 外科用器具の閉鎖管を製造する方法であって、前記閉鎖管は、近位カプラーと、管と、遠位カプラーと、を備え、前記方法は、
(a)前記外科用器具の前記近位カプラーをポリマー材料から形成することであって、前記近位カプラーは少なくとも1つの連結機構を含む、ことと、
(b)少なくとも1つの連結機構を金属シートに形成することと、
(c)前記金属シートを圧延して金属製管状構造体を形成することと、
(d)前記金属製管状構造体を溶接して、前記外科用器具の前記管を形成することと、
(e)金属射出成形又はプラスチック成形プロセスを使用して前記外科用器具の遠位カプラーを形成することであって、前記遠位カプラーは、少なくとも1つの連結機構を含む、ことと、
(f)前記近位カプラー、前記管、及び前記遠位カプラーの前記連結機構を使用して、前記近位カプラーを前記管に連結し、前記遠位カプラーを前記管に連結することと、を含む、方法。
(20) 前記近位カプラー、前記管、及び前記遠位カプラーの前記連結機構は、少なくとも1つのスナップフィット結合又はバヨネット結合を含む、実施態様19に記載の方法。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15