(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】水性バリアコーティングを有するコーティングされた板紙容器
(51)【国際特許分類】
B65D 3/28 20060101AFI20240422BHJP
D21H 19/44 20060101ALI20240422BHJP
D21H 21/14 20060101ALI20240422BHJP
B65D 3/06 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
B65D3/28 Z
D21H19/44
D21H21/14 Z
B65D3/06 B
B65D3/28 A
(21)【出願番号】P 2021541638
(86)(22)【出願日】2020-01-03
(86)【国際出願番号】 US2020012183
(87)【国際公開番号】W WO2020150012
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2022-12-28
(32)【優先日】2019-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504376810
【氏名又は名称】ウエストロック・エム・ダブリュー・ヴイ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・パーカー
(72)【発明者】
【氏名】ジエビン・パン
(72)【発明者】
【氏名】ナターシャ・ジー・メルトン
(72)【発明者】
【氏名】テレサ・クリュッグ
(72)【発明者】
【氏名】セルジオ・エー・ジュステ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイド・ハリス
(72)【発明者】
【氏名】テレル・ジェイ・グリーン
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/156685(WO,A1)
【文献】特開2015-006925(JP,A)
【文献】特開昭58-052032(JP,A)
【文献】特開2017-202866(JP,A)
【文献】実開昭52-008579(JP,U)
【文献】特表2018-505323(JP,A)
【文献】特開2014-151959(JP,A)
【文献】特開2017-190541(JP,A)
【文献】特開昭56-013351(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0058010(US,A1)
【文献】国際公開第2018/200783(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 3/28
D21H 19/44
D21H 21/14
B65D 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料混合物と、バインダと、を含む、熱融着可能な水性バリアコーティング
を板紙基材上にコーティングするステップであって、顔料混合物は、少なくとも40:1のアスペクト比を有する高いアスペクト比の板状粘土顔料と炭酸カルシウム顔料とを含み、前記バインダと前記顔料混合物との重量比が1:2から9:1の範囲である、板紙基材上にコーティングするステップと、
ヒートシール可能な水性バリアコーティングによる、前記板紙基材の第1の長手方向端部を前記板紙基材の第2の長手方向端部にヒートシールして、側壁継ぎ目を形成するステップと、
を
含んでなる、コーティングされた板紙容器
を製造する方法において、
1インチx1インチの正方形にカットされた110グラムのコーティングされた板紙
を2895グラムの水(6.5±0.5のpH、50°C)を含むリパルパーに加
え、15分間浸漬
し、次いで30分間再パルプ化
し;次に300mLの再パルプ化されたスラリーを振動フラットスクリーン(スロットサイズ0.006インチ)を通してスクリーニング
し、(前記振動フラットスクリーンにより捕捉された)リジェクトと繊維アクセプトと
を集
め、乾燥
し、重量
を測定
し;アクセプトのパーセンテージは、アクセプトおよびリジェクトの重量に基づいて計算される、100%が完全な再パルプ化性であ
る、AMCメイルストム(AMC Maelstom)リパルパーを用いて測定される方法で、前記コーティングされた板紙容器が75%以上のアクセプトの再パルプ化性歩留まりを有するように調整するステップと、
ペルセコ(Perseco)カップ剛性テスターを用い
て、前記コーティングされた板紙容器の乾燥剛性と前記コーティングされた板紙容器の湿潤剛性とを比較した剛性のパーセンテージ変化として測定される
方法で、前記コーティングされた板紙容器が50%以下の湿潤剛性損失を有するように調整するステップと、
前記コーティングされた板紙容器を、TAPPI T402に従って決定される1インチ当たり30ポンド以上の側壁継ぎ目接着強度を有するようにするステップと、
をさらに含む、コーティングされた板紙容器
を製造する方法。
【請求項2】
前記コーティングされた板紙容器は、
80%以上のアクセプトの再パルプ化性歩留まりを有する、
85%以上のアクセプトの再パルプ化性歩留まりを有する、または
90%以上のアクセプトの再パルプ化性歩留まりを有する、請求項1に記載のコーティングされた板紙容器
を製造する方法。
【請求項3】
前記コーティングされた板紙容器は
、
1インチ当たり40ポンド以上の側壁継ぎ目接着強度を有する、または
1インチ当たり50ポンド以上の側壁継ぎ目接着強度を有する、請求項1または2に記載のコーティングされた板紙容器
を製造する方法。
【請求項4】
前記コーティングされた板紙容器は、
40%以下の湿潤剛性損失を有する、
30%以下の湿潤剛性損失を有する、
20%以下の湿潤剛性損失を有する、または
10%以下の湿潤剛性損失を有する、
ならびに/あるいは前記コーティングされた板紙容器は、
20g/m
2以下の30分-水-コッブテストを有する、
10g/m
2以下の30分-水-コッブテストを有する、または
5g/m
2以下の30分-水-コッブテストを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のコーティングされた板紙容器
を製造する方法。
【請求項5】
前記コーティングされた板紙容器は、
20%以下の染色明度損失を有する、
10%以下の染色明度損失を有する、または
5%以下の染色明度損失を有する、
ならびに/あるいは前記コーティングされた板紙容器は、
3.5以下のブロッキング率を有する、
3.0以下のブロッキング率を有する、または
2.0以下のブロッキング率を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のコーティングされた板紙容器
を製造する方法。
【請求項6】
前記コーティングされた板紙容器は、前記板紙容器の継ぎ目が分離されたとき、80%以上の繊維引裂けを有する、または
前記板紙容器の継ぎ目が分離されたとき、90%以上の繊維引裂けを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のコーティングされた板紙容器
を製造する方法。
【請求項7】
板紙基材と、
前記板紙基材上の熱融着可能な水性バリアコーティングであって、顔料混合物と、バインダと、を含み、前記顔料混合物は、少なくとも40:1のアスペクト比を有する高いアスペクト比の板状粘土顔料と炭酸カルシウム顔料とを含み、前記バインダと前記顔料混合物との重量比が1:2から9:1の範囲である、熱融着可能な水性バリアコーティングと、
を備えている、熱い飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器において、
前記板紙基材は、前記板紙容器の側壁を形成する、前記板紙容器の内側を向いている内側面および前記板紙容器の外側を向いている外側面
、並びに、上端、下端、第1の長手方向端部
、第2の長手方向端部を有する側壁板紙基材を備え、
前記板紙基材上の熱融着可能な水性バリアコーティングは、前記側壁板紙基材の内側面上に第1の水性バリアコーティングを備え、
前記側壁板紙基材の前記第1の長手方向端部は、前記第1の水性バリアコーティングにより、前記側壁板紙基材の前記第2の長手方向端部に熱融着されて、側壁継ぎ目を形成し、
前記コーティングされた板紙容器は、
75%以上のアクセプトの再パルプ化性歩留まり、1インチ当たり30ポンド以上の側壁継ぎ目接着強度、および
、20%以下の湿潤剛性損失を有する、熱い飲料を保持するため
のコーティングされた板紙容器。
【請求項8】
前記板紙基材は、前記板紙容器の底部壁を提供する、前記板紙容器の内側を向いている内側面、および前記板紙容器の外側を向いている外側面を有する底ストック板紙基材をさらに備え、
前記板紙基材上の熱融着可能な水性バリアコーティングは、前記底ストック板紙基材の前記内側面上に水性バリアコーティングをさらに備え、
前記底ストック板紙基材の円周方向部分が、前記側壁の前記水性バリアコーティング、および前記底部壁の前記水性バリアコーティングの少なくとも一方により、前記側壁板紙基材の前記下端に熱融着される、請求項7に記載の熱い飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器。
【請求項9】
前記底ストック板紙基材の外側面上に非バリアコーティングをさらに備える、請求項8に記載の熱い飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器。
【請求項10】
前記底ストック板紙基材の外側面上に第2の水性バリアコーティングをさらに備える、請求項8に記載の熱い飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器。
【請求項11】
第2の水性バリアコーティング上に非バリアコーティングをさらに備える、請求項10に記載の熱い飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器。
【請求項12】
板紙基材と、
前記板紙基材上の熱融着可能な水性バリアコーティングであって、顔料混合物と、バインダと、を含み、前記顔料混合物は、少なくとも40:1のアスペクト比を有する高いアスペクト比の板状粘土顔料と炭酸カルシウム顔料とを含み、前記バインダと前記顔料混合物との重量比が1:2から9:1の範囲である、熱融着可能な水性バリアコーティングと、
を備えている、冷たい飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器において、
前記板紙基材は、前記板紙容器の側壁を形成する、前記板紙容器の内側を向いている内側面および前記板紙容器の外側を向いている外側面、
並びに、上端、下端、第1の長手方向端部
、第2の長手方向端部を有する側壁板紙基材を備え、
前記板紙基材上の熱融着可能な水性バリアコーティングは、
前記側壁板紙基材の内側面上に第1の水性バリアコーティングと、
前記側壁板紙基材の外側面上に第2の水性バリアコーティングと、
を備え、
前記側壁板紙基材の前記第1の長手方向端部は、前記第1の水性バリアコーティングおよび前記第2の水性バリアコーティングの少なくとも一方により、前記側壁板紙基材の前記第2の長手方向端部に熱融着されて、側壁継ぎ目を形成し、
前記コーティングされた板紙容器は、
75%以上のアクセプトの再パルプ化性歩留まり、1インチ当たり30ポンド以上の側壁継ぎ目接着強度
、および、20%以下の湿潤剛性損失を有する、冷たい飲料を保持するため
のコーティングされた板紙容器。
【請求項13】
前記側壁板紙基材の前記外側面の第2の水性バリアコーティング上に非バリアコーティングをさらに備える、請求項12に記載の冷たい飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器。
【請求項14】
前記板紙基材は、前記板紙容器の底部壁を形成する、前記板紙容器の内側を向いている内側面、および前記板紙容器の外側を向いている外側面を有する底ストック板紙基材をさらに備え、
前記板紙基材上の熱融着可能な水性バリアコーティングは、前記底ストック板紙基材の前記内側面上に第1の水性バリアコーティング、ならびに前記底ストック板紙基材の前記外側面上に第2の水性バリアコーティングをさらに備え、
前記底ストック板紙基材の円周方向部分が、前記側壁の前記第1の水性バリアコーティング、前記側壁の前記第2の水性バリアコーティング、前記底部壁の前記第1の水性バリアコーティング、および前記底部壁の前記第2の水性バリアコーティングのうちの少なくとも1つにより、前記側壁板紙基材の前記下端に熱融着される、請求項12または13に記載の冷たい飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器。
【請求項15】
前記側壁板紙基材の前記下端は、前記コーティングされた板紙容器の内側方向に折り畳まれて円周方向凹部を形成し、底ストック板紙基材の円周方向縁部は、前記外側面の方向に折り畳まれて円周方向リップ部を形成し、かつ底部壁の前記円周方向リップ部は、前記側壁の前記円周方向凹部の中に配置される、請求項8から11のいずれか一項に記載の熱い飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器、または請求項12から14のいずれか一項に記載の冷たい飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権]
本出願は、2019年1月17日に出願された米国特許出願第62/793,595号からの優先権を主張するものである。
【0002】
本出願は、コーティングされた板紙容器の分野に関し、より詳細には、水性バリアコーティングを有するコーティングされた板紙容器に関する。
【背景技術】
【0003】
板紙は、容器などの様々なパッケージング用途で使用される。例えば、板紙は、熱い、または冷たい飲料を保持するための板紙カップを形成するために使用される。
【0004】
熱い飲料を保持するための板紙カップは、通常、飲料から板紙の基材の中への液体の吸収を最小化するために、カップの内側面に、向上させた液体バリア特性を必要とする。冷たい飲料を保持するための板紙カップは、通常、飲料から板紙の基材の中への液体の吸収を最小化するようにカップの内側面に、かつ凝縮物から板紙の基材の中への液体の吸収を最小化するようにカップの外側面に、向上させた液体バリア特性を必要とする。
【0005】
板紙は、通常、熱融着可能であり、カップ機上で板紙カップを形成できるようにする。ポリエチレン(PE)押出しコーティングされた板紙は、良好なバリアと良好な熱融着特性の両方を提供することにより、このような用途において現在なお優位を占めている。しかし、ポリエチレン押出しコーティングを有するこのような板紙カップは、再パルプ化プロセス中に、ポリエチレンフィルムを分解することの困難さに起因して、再パルプ化が困難であり、したがって、容易に再生利用することができず、環境問題を生ずる。したがって、ポリエチレン押出しコーティングされた板紙カップを置き換える新しいコーティング技術を含む代替の解決策を求める要求が高まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、当業者は、コーティングされた板紙容器の分野において、研究および開発を続けている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態では、コーティングされた板紙容器は、板紙基材と、板紙基材上の水性バリアコーティングとを含む。コーティングされた板紙容器は、75%以上のアクセプト(accept)の再パルプ化性歩留まり(repulpability yield)、1インチ当たり30ポンド以上の側壁継ぎ目接着強度(sidewall seam bond strength)、および50%以下の湿潤剛性損失(wet rigidity loss)を有する。
【0008】
別の実施形態では、熱い飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、側壁板紙基材を有する側壁と、第1の水性バリアコーティングとを含む。側壁板紙基材は、前記容器の内側を向いている内側面および前記容器の外側を向いている外側面、上端、下端、第1の長手方向端部、ならびに第2の長手方向端部を有する。第1の水性バリアコーティングは、側壁板紙基材の内側面上にある。側壁板紙基材の第1の長手方向端部は、第1の水性バリアコーティングにより、側壁板紙基材の第2の長手方向端部に熱融着されて、側壁継ぎ目を形成する。コーティングされた板紙容器は、75%以上の再パルプ化性歩留まり、1インチ当たり30ポンド以上の側壁継ぎ目接着強度、および20%以下の湿潤剛性損失を有する。
【0009】
さらに別の実施形態では、冷たい飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、側壁板紙基材を有する側壁と、第1の水性バリアコーティングおよび第2の水性バリアコーティングとを有する。側壁板紙基材は、前記容器の内側に向いている内側面、および前記容器の外側を向いている外側面、上端、下端、第1の長手方向端部、および第2の長手方向端部を有する。第1の水性バリアコーティングは、側壁板紙基材の内側面上にある。第2の水性バリアコーティングは、側壁板紙基材の外側面上にある。側壁板紙基材の第1の長手方向端部は、第1の水性バリアコーティングおよび第2の水性バリアコーティングの少なくとも一方により、側壁板紙基材の第2の長手方向端部に熱融着されて、側壁継ぎ目を形成する。コーティングされた板紙容器は、75%以上の再パルプ化性歩留まり、1インチ当たり30ポンド以上の側壁継ぎ目接着強度、および50%以下の湿潤剛性損失を有する。
【0010】
開示されるコーティングされた板紙容器の他の実施形態は、以下の詳細な説明、添付図面、および添付の特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本明細書の第1の実施形態による熱い飲料を保持するためのコーティングされた板紙カップの斜視図である。
【
図2】
図1の平面2-2に沿った
図1のコーティングされた板紙カップの水平な横断面図である。
【
図3】
図1の平面3-3に沿った
図1のコーティングされた板紙カップの垂直な横断面図である。
【
図4A】
図3の部分「4」におけるコーティングされた板紙カップの拡大された横断面図である。
【
図4B】
図4Aで示されたコーティングされた板紙カップの例示的な変形形態の拡大された横断面図である。
【
図5A】
図3の部分「5」におけるコーティングされた板紙カップの拡大された横断面図である。
【
図5B】
図5Aで示されたコーティングされた板紙カップの例示的な変形形態の拡大された横断面図である。
【
図6】本明細書の第2の実施形態による冷たい飲料を保持するためのコーティングされた板紙カップの斜視図である。
【
図7A】
図6の平面7-7に沿った
図6のコーティングされた板紙カップの水平な横断面図である。
【
図7B】
図7Aで示されたコーティングされた板紙カップの例示的な変形形態の水平な横断面図である。
【
図8】
図6の平面8-8に沿った
図6のコーティングされた板紙カップの垂直な横断面図である。
【
図9A】
図8の部分「9」におけるコーティングされた板紙カップの拡大された横断面図である。
【
図9B】
図9Aで示されたコーティングされた板紙カップの例示的な変形形態の拡大された横断面図である。
【
図10A】
図8の部分「10」におけるコーティングされた板紙カップの拡大された横断面図である。
【
図10B】
図10Aで示されたコーティングされた板紙カップの例示的な変形形態の拡大された横断面図である。
【
図11】本出願の板紙カップの湿潤剛性および乾燥剛性を評価するために使用される「Perseco」カップ剛性テスターの図である。
【
図12】本出願の板紙カップのブロッキング特性を評価するためのブロッキングテストの図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書は、優れた性能および特性を備えた、側壁板紙基材および水性バリアコーティングを有するコーティングされた板紙容器に関する。水性バリアコーティングは、再パルプ化中に容易に分解し、したがって、ポリエチレン押出しコーティングを有する板紙カップよりもさらに容易に再パルプ化することができる。さらに本出願から分かるように、本明細書のコーティングされた板紙容器は、ポリエチレン押出しコーティングを有する従来の板紙カップと同等の性能および特性を示す。様々なコーティング構造を有するコーティングされた板紙カップが、広範囲な特性および性能に関してテストされ、かつ評価され、またポリエチレンコーティングを有する市販のカップが、比較用のコントロールとして使用された。テストまたは評価方法の詳細は、後で述べるものとする。
【0013】
態様では、コーティングされた板紙容器は、75%以上のアクセプト、好ましくは80%以上のアクセプト、より好ましくは85%以上のアクセプト、より好ましくは90%以上のアクセプトの再パルプ化性歩留まりを有する。
【0014】
別の態様では、コーティングされた板紙容器は、1インチ当たり30ポンド以上、好ましくは1インチ当たり40ポンド以上、より好ましくは1インチ当たり50ポンド以上の側壁継ぎ目接着強度を有する。
【0015】
さらに別の態様では、コーティングされた板紙容器は、50%以下、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、さらにより好ましくは10%以下の湿潤剛性損失を有する。
【0016】
さらに別の態様では、コーティングされた板紙容器は、20g/m2以下、好ましくは10g/m2以下、より好ましくは5g/m2以下の30分-水-コッブテスト(water Cobb test)を有する。
【0017】
さらに別の態様では、コーティングされた板紙容器は、20%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下の染色明度(staining brightness)損失を有する。
【0018】
さらに別の態様では、コーティングされた板紙容器は、3.5以下、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.0以下のブロッキング率を有する。
【0019】
さらに別の態様では、コーティングされた板紙容器は、容器の継ぎ目が分離されたとき、80%以上、好ましくは90%以上の繊維引裂け(fiber tear)を有する。
【0020】
本明細書はまた、側壁を有する熱い飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器に関し、側壁は、側壁板紙基材と、側壁板紙基材の内側面に水性バリアコーティングとを含み、側壁板紙基材の第1の長手方向端部は、水性バリアコーティングにより、側壁板紙基材の第2の長手方向端部に熱融着されて側壁継ぎ目を形成し、優れた性能および特性を備える。
【0021】
態様では、熱い飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、75%以上のアクセプト、好ましくは80%以上のアクセプト、より好ましくは85%以上のアクセプト、より好ましくは90%以上のアクセプトの再パルプ化性歩留まりを有する。
【0022】
別の態様では、熱い飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、1インチ当たり30ポンド以上、好ましくは1インチ当たり40ポンド以上、より好ましくは1インチ当たり50ポンド以上の側壁継ぎ目接着強度を有する。
【0023】
さらに別の態様では、熱い飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、50%以下、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、さらにより好ましくは10%以下の湿潤剛性損失を有する。
【0024】
さらに別の態様では、熱い飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、20g/m2以下、好ましくは10g/m2以下、より好ましくは5g/m2以下の30分-水-コッブテストを有する。
【0025】
さらに別の態様では、熱い飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、20%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下の染色明度損失を有する。
【0026】
さらに別の態様では、熱い飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、3.5以下、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.0以下のブロッキング率を有する。
【0027】
さらに別の態様では、熱い飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、容器の継ぎ目が分離されたとき、80%以上、好ましくは90%以上の繊維引裂けを有する。
【0028】
態様では、熱い飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、底ストック板紙基材と、底ストック板紙基材の内側面上の水性バリアコーティングとを含む底部壁をさらに含み、底ストック板紙基材の円周方向部分は、側壁の水性バリアコーティングおよび底部壁の水性バリアコーティングの少なくとも一方により、側壁板紙基材の下端に熱融着される。
【0029】
別の態様では、側壁板紙基材の下端は、コーティングされた板紙容器の内側方向に折り畳まれて、円周方向の凹部を形成する。底ストック板紙基材の円周方向縁部は、外側面の方向に折り畳まれて、円周方向リップ部を形成する。底部壁の円周方向リップ部は、側壁の円周方向凹部の中に配置される。
【0030】
さらに別の態様によれば、非バリアコーティングが、底ストック板紙基材の外側面上に存在する。
【0031】
さらに別の態様では、別の水性バリアコーティングが、底ストック板紙基材の外側面上に存在する。
【0032】
さらに別の態様では、非バリアコーティングが、別の水性バリアコーティング上に存在する。
【0033】
本明細書はまた、側壁板紙基材を含む側壁、側壁板紙基材の内側面上に第1の水性バリアコーティング、および側壁板紙基材の外側面上に第2の水性バリアコーティングを有する冷たい飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器に関し、側壁板紙基材の第1の長手方向端部は、第1の水性バリアコーティングおよび第2の水性バリアコーティングの少なくとも一方により、側壁板紙基材の第2の長手方向端部に熱融着されて、側壁継ぎ目を形成し、優れた性能および特性を備える。
【0034】
態様では、冷たい飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、75%以上のアクセプト、好ましくは80%以上のアクセプト、より好ましくは85%以上のアクセプト、より好ましくは90%以上のアクセプトの再パルプ化性歩留まりを有する。
【0035】
別の態様では、冷たい飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、1インチ当たり30ポンド以上、好ましくは1インチ当たり40ポンド以上、より好ましくは1インチ当たり50ポンド以上の側壁継ぎ目接着強度を有する。
【0036】
さらに別の態様では、冷たい飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、50%以下、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、さらにより好ましくは10%以下の湿潤剛性損失を有する。
【0037】
さらに別の態様では、冷たい飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、20g/m2以下、好ましくは10g/m2以下、より好ましくは5g/m2以下の30分-水-コッブテストを有する。
【0038】
さらに別の態様では、冷たい飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、20%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下の染色明度損失を有する。
【0039】
さらに別の態様では、冷たい飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、3.5以下、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.0以下のブロッキング率を有する。
【0040】
さらに別の態様では、冷たい飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、容器の継ぎ目が分離されたとき、80%以上、好ましくは90%以上の繊維引裂けを有する。
【0041】
態様では、冷たい飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、側壁板紙基材の外側面の第2の水性バリアコーティング上に非バリアコーティングを含む。
【0042】
態様では、冷たい飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、底ストック板紙基材と、底ストック板紙基材の内側面上に第1の水性バリアコーティングと、底ストック板紙基材の外側面上に第2の水性バリアコーティングとを含む底部壁を有する。底ストック板紙基材の円周方向部分は、側壁の第1の水性バリアコーティング、側壁の第2の水性バリアコーティング、底部壁の第1の水性バリアコーティング、および底部壁の第2の水性バリアコーティングのうちの少なくとも1つによって、側壁板紙基材の下端に熱融着される。
【0043】
別の態様では、側壁板紙基材の下端は、コーティングされた板紙容器の内側方向に折り畳まれて、円周方向凹部を形成し、底ストック板紙基材の円周方向縁部は、外側面の方向に折り畳まれて、円周方向リップ部を形成し、また底部壁の円周方向リップ部は、側壁の円周方向凹部の中に配置される。
【0044】
別の態様では、冷たい飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、底ストック板紙基材の外側面の第2の水性バリアコーティング上に非バリアコーティングを含む。
【0045】
本開示のさらなる態様を以下で述べる。
【0046】
板紙基材は、少なくとも1つの水性バリアコーティングをその上にコーティングできる繊維材料の任意の織物を含むことができる。板紙基材は、化学的な、または機械的なパルプを含むことができ、それは、漂白される、または漂白しないこともあり得る。例示的な板紙基材は、コーティングされた自然なクラフトボード、固体漂白硫酸塩ボード、固体の漂白されない硫酸塩ボード、コーティングされた再利用ボード、コーティングされた白ボール、または折り畳まれた厚紙を含むことができる。
【0047】
板紙基材の厚さは、板紙基材の密度などの様々な因子に依存し得る。例示的な板紙基材は、6ポイントから36ポイントの範囲のキャリパ厚さを有することができる。一表現では、板紙基材は、7ポイントから30ポイントの範囲のキャリパ厚さを有することができる。別の表現では、板紙基材は、14ポイントから20ポイントの範囲のキャリパ厚さを有することができる。さらに別の表現では、板紙基材は、16ポイントから18ポイントの範囲のキャリパ厚さを有することができる。本明細書で使用される場合、1ポイントは、0.001インチに等しく、それは、25.4マイクロメートル(μm)に等しい。
【0048】
板紙基材の重さは、様々な因子に依存し得る。例示的な板紙基材は、3000平方フィート当たり60から350ポンドの範囲の基本重量を有することができる。一表現では、板紙基材は、3000平方フィート当たり100から150ポンドの範囲の基本重量を有することができる。別の表現では、板紙基材は、3000平方フィート当たり150から180ポンドの範囲の基本重量を有することができる。さらに別の表現では、板紙基材は、3000平方フィート当たり180から220ポンドの範囲の基本重量を有することができる。
【0049】
水性バリアコーティングは、抄紙機上で、またはオフマシンのコーティングライン上で、1つまたは複数のコーターなど、任意の適切な方法を用いて塗布することができ、水性バリアコーティングが、板紙基材の露出された、最も外側の表面を形成するようにする。水性バリアコーティングは、加熱されたとき、水性バリアコーティングが、それが接触する製品の他の領域への接着を提供するように、熱融着可能である。
【0050】
水性バリアコーティングは、様々なコーティング重量で板紙基材に塗布することができる。一表現では、水性バリアコーティングは、3000平方フィート当たり約2から12ポンドのコーティング重量で塗布することができる。別の表現では、水性バリアコーティングは、3000平方フィート当たり約4から11ポンドのコーティング重量で塗布することができる。
【0051】
水性バリアコーティングは、バインダおよび顔料を含むことができる。一表現では、顔料に対するバインダの比は、重量で少なくとも約1:2とすることができる。別の表現では、顔料に対するバインダの比は、重量で約1:2から約9:1とすることができる。さらに別の表現では、顔料に対するバインダの比は、重量で約1:1から約4:1とすることができる。さらに別の表現では、顔料に対するバインダの比は、少なくとも重量で約1:1とすることができる。
【0052】
水性バリアコーティングのバインダは、水性バインダである。水性バインダは、スチレンアクリレート(SA)を含むことができる。例では、バインダは、スチレンアクリレート(SA)「から基本的に構成する」ことができる。別の例では、バインダは、スチレンアクリレート(SA)「からなる」。さらに別の例では、バインダは、スチレンアクリレート(SA)を含むバインダの混合物とすることができる。スチレンブタジエンゴム(SBR)、エチレンアクリル酸(EAA)、ポリビニルアセテート(PVAC)、ポリエステル分散体、およびそれらの組合せなど、他の水性バインダも企図される。
【0053】
非限定的な一態様では、水性バインダは、20℃以上のガラス転移温度(乾燥時)を有することができる。非限定的な別の態様では、水性バインダは、23℃以上のガラス転移温度(乾燥時)を有することができる。さらに非限定的な別の態様では、水性バインダは、25℃以上のガラス転移温度(乾燥時)を有することができる。さらに非限定的な別の態様では、水性バインダは、28℃以上のガラス転移温度(乾燥時)を有することができる。さらに非限定的な別の態様では、水性バインダは、30℃以上のガラス転移温度(乾燥時)を有することができる。さらに非限定的な別の態様では、水性バインダは、35℃以上のガラス転移温度(乾燥時)を有することができる。一表現では、水性バインダは、20℃から60℃の範囲のガラス転移温度(乾燥時)を有することができる。別の表現では、水性バインダは、25℃から45℃の範囲のガラス転移温度(乾燥時)を有することができる。
【0054】
適切なバインダの特定の非限定的な例は、ACRONAL(登録商標)S 728(23Tg、℃)、BASF Corporation、CARTASEAL(登録商標)SCR(30Tg、℃)(以下では、「SA-2」と称する)、Achroma、RHOPLEX(商標)C-360(32Tg、℃)、The Dow Chemical Corporation、およびACRONAL(登録商標)S 866(39Tg、℃)、BASF Corporationを含む。
【0055】
水性バリアコーティングの顔料は、制御された粒子サイズ分布を有することができる。一表現では、水性バリアコーティングの顔料は、顔料の少なくとも60パーセント(重量で)が、2ミクロン未満の粒子サイズを有する粒子からなるように、比較的細かい粉末からなる。別の表現では、顔料の少なくとも70パーセント(重量で)が、2ミクロン未満の粒子サイズを有する粒子からなる。さらに別の表現では、顔料の少なくとも80パーセント(重量で)が、2ミクロン未満の粒子サイズを有する粒子からなる。さらに別の表現では、顔料の少なくとも90パーセント(重量で)が、2ミクロン未満の粒子サイズを有する粒子からなる。さらに別の表現では、顔料の少なくとも95パーセント(重量で)が、2ミクロン未満の粒子サイズを有する粒子からなる。
【0056】
一態様では、水性バリアコーティングの顔料は、粘土顔料を含むことができる。例では、粘土顔料は、細かいカオリン粘土などのカオリン粘土を含むことができる。別の例では、粘土顔料は、高いアスペクト比の板状粘土(platy clay)(例えば、少なくとも40:1のアスペクト比)などの板状粘土を含むことができる。
【0057】
別の態様では、水性バリアコーティングの顔料は、炭酸カルシウム(CaCO3)顔料を含むことができる。例では、炭酸カルシウム顔料は、粗挽きの炭酸カルシウムとすることができ、粒子の約60パーセントが2ミクロン未満である粒子サイズ分布を有する。別の例では、炭酸カルシウム顔料は、細かく砕いた炭酸カルシウムとすることができ、粒子の約90パーセントが2ミクロン未満である粒子サイズ分布を有する。さらに別の例では、炭酸カルシウム顔料は、約0.4ミクロンの平均粒子サイズを有する細かく砕いた炭酸カルシウムとすることができる。
【0058】
顔料は、粘土顔料と炭酸カルシウム顔料の両方を含む顔料混合物とすることができる。一表現では、顔料混合物は、上記で述べた粘土顔料態様の1つまたは複数のものを含むことができる。別の表現では、炭酸カルシウム顔料は、上記で述べた炭酸カルシウム態様の1つまたは複数のものを含むことができる。
【0059】
水性バリアコーティングの顔料は、様々な他の材料とすることができる(または含むことができる)。プラスチック顔料、二酸化チタン顔料、タルク顔料、および同様のものなど、他の顔料を使用することができる。
【0060】
適切な顔料の特定の非限定的な例は、HYDRAFINE(登録商標)90W、No.1超微細なカオリン粘土、KaMin LLC、Macon、Georgia(以下では「CL-1」と称する)、BARRISURF(登録商標)HX、高いアスペクト比を有する板状粘土、IMERYS Kaolin、Georgia(以下では「CL-2」と称する)、XP6170(商標)、高いアスペクト比を有する板状粘土、IMERYS Kaolin、Georgia(以下では「CL-3」と称する)、HYDROCARB(登録商標)60、粗挽き炭酸カルシウム(60%が2ミクロン未満の粒子サイズ)、Omya AG、Oftringen、Switzerland(以下では「CC-1」と称する)、およびROPAQUE(商標)AF-1352、スチレンアクリルポリマー顔料(1.3ミクロン粒子サイズ、53%の気孔率)、The Dow Chemical Company(以下では「HSP-1」と称する)を含む。
【0061】
板紙基材をコーティングするために、様々な技法を使用することができる。一実装形態では、水性バリアコーティング組成物は、選択された水性バインダを顔料と混合することにより調製される。水性バリアコーティング組成物が、次いで、板紙基材の少なくとも一方の側に塗布される。
【0062】
任意選択で、水性バリアコーティング組成物が塗布される前に、ベースコーティングを塗布することができる、ベースコーティングは、抄紙機上で、またはオフマシンのコーターライン上で、1つまたは複数のコーターなど、適切な方法により、塗布することができる。ベースコーティングは、水性バリアコーティング層と同様の成分、すなわち、バインダおよび顔料を含むことができる。しかし、比率は、異なる可能性があり、すなわち、ベースコーティングにおける顔料に対するバインダの比は、重量で、約25:100から約45:100とすることができる。
【0063】
テキストまたはグラフィックスを印刷できるようにするためになど、さらに非バリアコーティングを板紙基材に行うこともできる。非バリアコーティングは、水性バリアコーティング層と同様の成分、すなわち、バインダおよび顔料を含むことのできる水性の非バリアコーティングとすることができる。適切なバインダの特定の非限定的な例は、ACRONAL(登録商標)S504(4Tg、℃)、BASF Corporation、RHOPLEX(登録商標)C-340(8Tg、℃)(以下では「SA-1」と称される)、The Dow Chemical Corporation、およびACRONAL(登録商標)4377X(11Tg、℃)、BASF Corporationを含む。適切な顔料の特定の非限定的な例は、HYDRAFINE(登録商標)90W、カオリン粘土No.1超微細な粘土、KaMin LLC、Macron、Georgia(以下では「CL-1」と称する)、HYDROCARB(登録商標)60、粗挽き炭酸カルシウム(60%が2ミクロン未満の粒子サイズ)、Omya AG、Oftringen、Switzerland(以下では「CC-1」と称する)、およびHYDROCARB(登録商標)90、細かく砕いた炭酸カルシウム(90%が2ミクロン未満の粒子サイズ)、Omya AG、Oftringen、Switzerland(以下では「CC-2」と称する)を含む。
【0064】
図1から
図3、
図4A、
図4B、
図5A、および
図5Bは、本明細書の第1の実施形態による、熱い飲料を保持するための例示的なコーティングされた板紙カップ100を示す。コーティングされた板紙カップ100は、側壁110および底部壁120を含む。側壁110は、側壁板紙基材130と、その上に配置された第1の水性バリアコーティング135とを含み、底部壁120は、底ストック板紙基材140と、その上に配置された第2の水性バリアコーティング145とを含む。
【0065】
側壁板紙基材130は、コーティングされた板紙カップ100の内側を向いている内側面131と、コーティングされた板紙カップ100の外側を向いている外側面132と、上端111と、下端112と、第1の長手方向端部114と、第2の長手方向端部115とを有し、ここで、側壁板紙基材110の下端112は、コーティングされた板紙カップ100の内側方向に折り畳まれて、円周方向凹部113を形成する。
【0066】
第1の水性バリアコーティング135は、側壁板紙基材130の内側面131上に配置される。側壁板紙基材110の第1の長手方向端部114において、第1の水性バリアコーティング135が、側壁板紙基材110の第2の長手方向端部115における第1の水性バリアコーティング135に熱融着されて、側壁継ぎ目116を形成する。
【0067】
底ストック板紙基材140は、コーティングされた板紙カップ100の内側を向いている内側面141と、コーティングされた板紙カップ100の外側を向いている外側面142とを有する。底ストック板紙基材110の円周方向縁部は、外側面142の方向に折り畳まれて円周方向リップ部121を形成する。
【0068】
第2の水性バリアコーティング145は、底ストック板紙基材140の内側面141上に配置される。円周方向リップ部121における第2の水性バリアコーティング145は、側壁板紙基材110の下端112において、第1の水性バリアコーティング135に熱融着される。
【0069】
態様では、本明細書の第1の実施形態による、熱い飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、75%以上のアクセプト、好ましくは80%以上のアクセプト、より好ましくは85%以上のアクセプト、より好ましくは90%以上のアクセプトの再パルプ化性歩留まりを有する。
【0070】
別の態様では、本明細書の第1の実施形態による熱い飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、1インチ当たり30ポンド以上、好ましくは1インチ当たり40ポンド以上、より好ましくは1インチ当たり50ポンド以上の側壁継ぎ目接着強度を有する。
【0071】
さらに別の態様では、本明細書の第1の実施形態による熱い飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、50%以下、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、さらにより好ましくは10%以下の湿潤剛性損失を有する。
【0072】
さらに別の態様では、本明細書の第1の実施形態による熱い飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、20g/m2以下、好ましくは10g/m2以下、より好ましくは5g/m2以下の30分-水-コッブテストを有する。
【0073】
さらに別の態様では、本明細書の第1の実施形態による熱い飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、20%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下の染色明度損失を有する。
【0074】
さらに別の態様では、本明細書の第1の実施形態による熱い飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、3.5以下、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.0以下のブロッキング率を有する。
【0075】
さらに別の態様では、本明細書の第1の実施形態による熱い飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、容器の継ぎ目が分離されたとき、80%以上、好ましくは90%以上の繊維引裂けを有する。
【0076】
図示されていないが、本明細書の第1の実施形態による熱い飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、底ストック板紙基材の外側面の第2の水性バリアコーティング上に、非バリアコーティング(図示せず)を含むことができる。
【0077】
図6、
図7A、
図7B、
図8、
図9A、
図9B、
図10A、および
図10Bは、本明細書の第2の実施形態による冷たい飲料を保持するための例示的なコーティングされた板紙カップ200を示す。コーティングされた板紙カップ200は、側壁210および底部壁220を含む。側壁210は、側壁板紙基材230、ならびにその上に配置される第1の水性バリアコーティング235および第2の水性バリアコーティング236を含み、底部壁220は、底ストック板紙基材240、ならびにその上に配置される第3の水性バリアコーティング245および第4の水性バリアコーティング246を含む。任意選択で、
図9Bおよび
図10Bで示されるように、第1の非バリアコーティング237が、第2の水性バリアコーティング236上に配置され、また第2の非バリアコーティング247が、第4の水性バリアコーティング246上に配置される。
【0078】
側壁板紙基材230は、コーティングされた板紙カップ200の内側を向いている内側面231、コーティングされた板紙カップ200の外側を向いている外側面232、上端211、下端212、第1の長手方向端部214、および第2の長手方向端部215を有し、側壁板紙基材210の下端212は、コーティングされた板紙カップ200の内側方向に折り畳まれて、円周方向凹部213を形成する。
【0079】
第1の水性バリアコーティング235は、側壁板紙基材230の内側面231上に配置され、また第2の水性バリアコーティング236は、側壁板紙基材230の外側面232上に配置される。
図7Aで示されるように、側壁板紙基材210の第1の長手方向端部214において、第1の水性バリアコーティング135は、側壁板紙基材210の第2の長手方向端部215における第1の水性バリアコーティング235に熱融着されて、側壁継ぎ目216を形成する。代替的に、
図7Bで示されるように、側壁板紙基材210の第1の長手方向端部214において、第1の水性バリアコーティング135は、側壁板紙基材210の第2の長手方向端部215における第2の水性バリアコーティング236に熱融着されて、側壁継ぎ目216を形成することができる。
【0080】
底ストック板紙基材240は、コーティングされた板紙カップ200の内側を向いている内側面241と、コーティングされた板紙カップ200の外側を向いている外側面242とを有する。底ストック板紙基材210の円周方向縁部は、外側面242の方向に折り畳まれて円周方向リップ部221を形成する。
【0081】
第3の水性バリアコーティング245は、底ストック板紙基材240の内側面241上に配置され、また第4の水性バリアコーティング246は、底ストック板紙基材240の外側面242上に配置される。
図8で示すように、円周方向リップ部221における第1の水性バリアコーティング245は、側壁板紙基材210の下端212において第3の水性バリアコーティング235に熱融着される。
【0082】
態様では、本明細書の第2の実施形態による冷たい飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、75%以上のアクセプト、好ましくは80%以上のアクセプト、より好ましくは85%以上のアクセプト、より好ましくは90%以上のアクセプトの再パルプ化性歩留まりを有する。
【0083】
別の態様では、本明細書の第2の実施形態による冷たい飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、1インチ当たり30ポンド以上、好ましくは1インチ当たり40ポンド以上、より好ましくは1インチ当たり50ポンド以上の側壁継ぎ目接着強度を有する。
【0084】
さらに別の態様では、本明細書の第2の実施形態による冷たい飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、50%以下、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、さらにより好ましくは10%以下の湿潤剛性損失を有する。
【0085】
さらに別の態様では、本明細書の第2の実施形態による冷たい飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、20g/m2以下、好ましくは10g/m2以下、より好ましくは5g/m2以下の30分-水-コッブテストを有する。
【0086】
さらに別の態様では、本明細書の第2の実施形態による冷たい飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、20%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下の染色明度損失を有する。
【0087】
さらに別の態様では、本明細書の第2の実施形態による冷たい飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、3.5以下、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.0以下のブロッキング率を有する。
【0088】
さらに別の態様では、本明細書の第2の実施形態による冷たい飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、容器の継ぎ目が分離されたとき、80%以上、好ましくは90%以上の繊維引裂けを有する。
【0089】
態様では、本明細書の第2の実施形態による冷たい飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、側壁板紙基材の外側面の第2の水性バリアコーティング上に、非バリアコーティングを含むことができる。
【0090】
別の態様では、本明細書の第2の実施形態による冷たい飲料を保持するためのコーティングされた板紙容器は、底ストック板紙基材の外側面の第2の水性バリアコーティング上に、非バリアコーティングを含むことができる。
【0091】
再パルプ化性歩留まりは、AMC Maelstomリパルパーを用いて測定された。1インチ×1インチの正方形にカットされ、コーティングされた板紙の110グラムが、2895グラムの水(6.5±0.5のpH、50℃)を含むリパルパーに加えられ、15分間浸漬され、次いで、30分間再パルプ化された。300mLの再パルプ化されたスラリーが、次いで振動するフラットスクリーン(0.006インチのスロットサイズ)を通してスクリーニングされた。リジェクト(スクリーンにより捕捉されたもの)、および繊維アクセプトが収集され、乾燥され、かつ重量が測定された。アクセプトのパーセンテージは、アクセプトおよびリジェクトの重量に基づいて計算されるが、100%が完全な再パルプ化性である。
【0092】
側壁継ぎ目接着強度は、TAPPI T402に従ってサンプルを条件付けることによって測定された。サンプルは、次いで、精密カッタを用いて、1インチ幅の帯片に(側壁の継ぎ目に対して直角に)カットされた。接着強度は、TAPPI規格T494に従って、5kNのロードセルを備えるInstron 5965を用いて測定された。サンプルは、2つのクランプと、操作者に面している印刷側との間に側壁継ぎ目がある状態で、4インチのゲージ長さに設定された鋸歯状のクランプを用いてInstronにクランプされた。クランプの分離の割合は、1分当たり1インチに設定され、最大荷重が、側壁継ぎ目接着強度として記録され、報告された。
【0093】
湿潤剛性および乾燥剛性は、
図11で示されるように、2つのTバーの接触取付けを用いた「Perseco」カップ剛性テスターを用いて測定された。
【0094】
乾燥剛性の場合、乾燥テストされるカップは、側壁継ぎ目が操作者の方向に向いた状態で、カップ剛性テスターの調整可能なステージ上に置かれた。ステージの高さは、2つのTバー接触取付けが、側壁継ぎ目に対して90度でカップ上に位置し、かつカール(リップ部)上部の下で全カップ高さの1/3に位置するように調整された。手回しハンドルを回転させて、カップを0.25インチ圧縮するようした。ピークの力が、キログラムで測定され記録された。各テスト条件の5サンプルがテストされ、0.25インチのたわみによる平均剛性が記録された。
【0095】
湿潤剛性に対しては、熱いカップテストが、12カップMR.COFFEEメーカーにおける蒸留された水1100mLを用いたSTARBUCKSのミディアムハウスブレンドコーヒー36gを入れることによって実施された。コーヒーは、次いで、磁気的なかき混ぜ棒を備えたビーカの中に注がれ、コーヒーは、90℃に加熱され、かつ55rpmでかき混ぜられた。コーヒーは、次いで、カップの縁の下5mmのレベルへとカップに注がれた。30分保持した後、コーヒーは、カップから除かれて、蒸留水で洗われた。空のカップは、次いで、乾燥剛性をテストしたのと同じ手順に従って、直ちに剛性がテストされた。
【0096】
湿潤剛性の場合、1Lの蒸留水と、チェリー風味のKOOL-AIDドリンクミックスの75gを、粉末が完全に溶けるまで混合することにより、冷たいカップのテストが実施された。KOOL-AIDドリンクは、次いで、7℃(±0.5℃)まで冷やされ、次いで、カップの縁の下の5mmのレベルまでカップの中に注がれた。カップは、次いで、30℃および75%の相対湿度の環境チャンバへと移された。30分保持した後、KOOL-AIDドリンクは、カップから除かれ、蒸留水で洗われ、かつ凝縮したものは、カップの外側から拭き取られた。空のカップは、次いで、直ちに、乾燥剛性をテストしたのと同じ手順に従って、剛性がテストされた。
【0097】
湿潤剛性損失は、カップの乾燥剛性をカップの湿潤剛性と比較して、剛性におけるパーセンテージ変化として測定された。
【0098】
水バリア特性は、23℃の水を用いて、30分-水-コッブテスト(TAPPI規格T441 om-04)により、30分当たりのg/m2で評価された。言い換えると、コッブテスト(Cobb test)は、30分後にどれだけ多くの水が吸収されたかを測定する。
【0099】
染色明度損失は、上記で述べられたように、コーヒーを用いる熱いカップのテスト、およびKOOL-AIDを用いる冷たいカップのテストの後に、乾燥カップの明度を測定し、次いで湿ったカップの明度を測定することにより得られた。サンプルの色は、TAPPI規格T524に従って、Technidyne Brightimeter Micro S-5機器を用いて、L-a-b色空間値として測定された。サンプルの明度は、TAPPI規格T452に従って、Technidyne Brightimeter Micro S-5で測定された。染色明度損失は、コーヒーまたはKOOL-AIDで処理した後、乾燥カップを湿ったカップと比較して明度のパーセンテージ変化として測定された。
【0100】
【0101】
上記のTable1(表1)は、ブロッキングテスト格付けシステムを定義する。サンプルのブロッキング挙動は、カップの内側と外側の間の接着を評価することによってテストされる。ブロッキングテストの簡単化した説明が
図12で示される。板紙は、2インチ×2インチの正方形サンプルへとカットされた。各条件に対していくつかの複製物がテストされており、各複製物は、1対のサンプル352、354の間のブロッキングを評価する(例えば、4つの複製物がテストされる場合、4対、すなわち、8個の切片が使用されることになる)。各対は、一方の切片352の内側を他方の切片354の外側に接触させた状態で配置される。対は、隣接する対の間にスペーサ356を備えたスタック350へと配置され、スペーサは、箔、剥離紙、またはさらにコピー紙である。サンプルスタック全体は、
図12で示されるテストデバイス300へと配置される。
【0102】
テストデバイス300は、フレーム310を含む。調整ノブ312が、フレーム上部316を通ってねじ込まれるねじ314に取り付けられる。ねじ314の下端は、重いコイルばね320上を圧迫するプレート318に取り付けられる。ばね320の下端は、下面324が1平方インチの面積を有するプレート322を圧迫する。スケール326は、加えられた力(それは、1平方インチの下面324により、サンプルのスタックに加えられた圧力に等しい)をユーザが読み取れるようにする。
【0103】
サンプルのスタック350が、下面324とフレーム底部328の間に配置される。ノブ312は、スケール326の読みが、60ポンド(60psiがサンプルに加えられる)の望ましい力になるまで締め付けられる。サンプルを含むデバイス300全体が、次いで50℃で24時間オーブン内に置かれる。デバイス300は、次いでテスト環境から除かれて、室温で冷却される。次いで、圧力が解放されて、サンプルがデバイスから外される。
【0104】
サンプルは、板紙シートの各対を分離することにより、粘着力およびブロッキングに対して評価された。ブロッキング損傷は、繊維の引裂けとして視認可能であり、もしあれば、それは通常、サンプル354の外側から繊維を引っ張り上げることにより生ずる。外側がコーティングされている場合は、ブロッキングはまた、外側上のコーティングに対する損傷によって分かることもあり得る。
【0105】
例えば、
図12において象徴的に示されているように、サンプル352(0)/354(0)は、「0」格付け(ブロッキングがない)を表すことができる。サンプルにおける円形は、圧力下にあった近似的な領域、例えば、サンプル全体の約1平方インチを示している。サンプル352(3)/354(3)は、特にサンプル354(3)のコーティングされていない表面における、圧力下にあった領域における最高で25%の繊維引裂けの状態にある「3」ブロッキング格付けを表すことができる。サンプル352(4)/354(4)は、特にサンプル354(4)のコーティングされていない表面における、25%を超える繊維引裂けの状態にある「4」ブロッキング格付けを表すことができる。
図12の図は、サンプルの実際的な外観を示すのではなく、このようなテストサンプルに対する概略的なパーセントダメージ(percent damage)を示唆することを意味するに過ぎない。
【0106】
本明細書のコーティングされた板紙容器に関して優れた性能および特性を示す以下のテストが行われた。
【0107】
Table2(表2)は、本明細書の例示的な水性コーティングにおいて使用される6つの顔料を示す。
【0108】
Table2(表2):
【0109】
【0110】
下記のTable3(表3)は、本明細書の例示的な水性コーティングで使用される2つのバインダを示す。
【0111】
Table3(表3):
【0112】
【0113】
以下のTable4(表4)は、本明細書の例示的な水性コーティングにおいて使用される配合(重量部(parts by weight))を示す。
【0114】
Table4(表4):
【0115】
【0116】
以下のTable5(表5)は、本明細書の例示的な板紙容器で使用される4つの例示的なコーティングされた側壁板紙基材、および2つの例示的な底ストック板紙基材に対する特徴および特性を示す。すべてのサンプルは、ブレードコーターを用いてコーティングされた。側壁板紙基材は、18ポイントキャリパ厚さ、および185ポンド/3000平方フィートの基本重量を有する固体漂白硫酸塩ボードであり、底ストック板紙基材は、13ポイントキャリパ厚さ、および150ポンド/3000平方フィートの基本重量を有する固体漂白硫酸塩ボードであった。側壁板紙基材および底ストック板紙基材のフェルト側は、カップの内側に対応し、また側壁板紙基材および底ストック板紙基材のワイヤ側は、カップの外側に対応する。コーティングされた板紙基材は、上記で述べた30分-水-コッブテストによるバリア特性に対して、上記で述べたブロッキング特性に対して、かつ上記で述べた再パルプ化性歩留まりに対して評価された。
【0117】
Table5(表5):
【0118】
【0119】
側壁板紙基材および底ストック板紙基材は、カップへと形成された。以下のTable6(表6)は、本明細書の例示的な板紙カップ、およびさらにポリエチレン押出しコーティングされた板紙で作られた比較例の特性を示す。CC-3カップ用の側壁ブランク(SW-2印刷される)は、Siegwerk pc 000200水性インク、およびSiegwerk OPV1V10167オーバープリントワニスを用いて、OMET530 Varyflex F1フレキソ印刷機上で印刷された。500LPI(1インチ当たりの線数)および5.0BCM(10億立方ミクロン)のアニロックスロールがオーバープリントワニスに対して使用された。これらのカップは、PMC(Paper Machinery Corporation)カップ機、モデルPMC-1250において、150カップ/分の速度で作られた。カップ継ぎ目の繊維引裂けは、手動により、側壁およびカップ底部の継ぎ目を引き離すことによって評価され、また繊維引裂け面積は、継ぎ目面積のパーセンテージとして推定され、100%の繊維引裂けは、優れた熱融着された継ぎ目であることを意味する。
【0120】
Table6(表6):
【0121】
【0122】
Table6(表6)に列挙された冷たいカップおよび熱いカップは、再パルプ化性歩留まり、側壁継ぎ目接着強度、湿潤剛性損失、および染色明度損失に対してテストされた。加えて、3つの商用に作られたカップが取得され、比較のためにテストされた。
【0123】
冷たいカップに対するすべての結果は、以下のTable7A(表7)からTable7C(表9)において列挙されている。テストに使用された市販の冷たいカップは、Graphic Packing InternationalからのPE押出しコーティングを有する16オンスの市販の冷たい飲料カップ(以下では「GPCCコントロール(PE)」として記載される)であった。
【0124】
Table7A(表7):
【0125】
【0126】
Table7B(表8):
【0127】
【0128】
Table7C(表9):
【0129】
【0130】
熱いカップに対するすべての結果は、以下のTable8A(表10)からTable8C(表12)において列挙される。テストに使用された第1の市販の熱いカップは、Clearwater PaperからのPE押出しコーティングを有する16オンスの市販の熱い飲料カップ(以下では「CW HC-コントロール」として記載される)であった。テストに使用された第2の市販の熱いカップは、Sustainable Packaging Coalition、Advance2018、Boston、2018年9月26日~28日から取得されたKotkamills水性コーティングされた板紙カップであり、それは、以下において「HC-コントロール」として記載される。
【0131】
Table8A(表10):
【0132】
【0133】
Table8B(表11):
【0134】
【0135】
Table8C(表12):
【0136】
【0137】
上記の実験結果は、本明細書のコーティングされた板紙容器が、ポリエチレン押出しコーティングを有する従来の板紙カップに対して、同等の性能および特性を有することを示している。したがって、本明細書のコーティングされた板紙容器は、水性バリアコーティングが、性能および特性を犠牲にすることなく、再パルプ化中に容易に分解することにより、向上した再パルプ化性を達成する。
【0138】
開示のコーティングされた板紙容器の様々な実施形態が示され、かつ述べられてきたが、本明細書を読めば、当業者であれば変形形態を想起することができよう。本出願は、このような変形形態を含むものであり、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0139】
100 コーティングされた板紙カップ
110 側壁
111 上端
112 下端
113 円周方向凹部
114 第1の長手方向端部
115 第2の長手方向端部
120 底部壁
121 円周方向リップ部
130 側壁板紙基材
131 内側面
132 外側面
135 第1の水性バリアコーティング
140 底ストック板紙基材
141 内側面
142 外側面
145 第2の水性バリアコーティング
200 コーティングされた板紙カップ
210 側壁
211 上端
212 下端
213 円周方向凹部
214 第1の長手方向端部
215 第2の長手方向端部
216 側壁継ぎ目
220 底部壁
221 円周方向リップ部
230 側壁板紙基材
231 内側面
232 外側面
235 第1の水性バリアコーティング
236 第2の水性バリアコーティング
237 第1の非バリアコーティング
240 底ストック板紙基材
241 内側面
242 外側面
245 第3の水性バリアコーティング
246 第4の水性バリアコーティング
247 第2の非バリアコーティング
300 テストデバイス
310 フレーム
312 調整ノブ
314 ねじ
316 フレーム上部
318 プレート
320 コイルばね
322 プレート
324 下面
326 スケール
328 フレーム底部
350 スタック
352 サンプル
354 サンプル
356 スペーサ