(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤の結晶多形
(51)【国際特許分類】
C07D 405/14 20060101AFI20240422BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240422BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240422BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240422BHJP
A61K 31/55 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
C07D405/14
A61P43/00 111
A61P37/06
A61P25/00
A61K31/55
(21)【出願番号】P 2021545281
(86)(22)【出願日】2019-10-15
(86)【国際出願番号】 US2019056242
(87)【国際公開番号】W WO2020081514
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-10-13
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】398050098
【氏名又は名称】バイオジェン・エムエイ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Biogen MA Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100187540
【氏名又は名称】國枝 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,フオンメイ
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン,アントン
(72)【発明者】
【氏名】バスデバン,カルヤン
(72)【発明者】
【氏名】リー,チャオミン
(72)【発明者】
【氏名】ペイシェンス,ダニエル・ビー
(72)【発明者】
【氏名】リン,イーチン
【審査官】高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】特許第7145874(JP,B2)
【文献】特表2021-523206(JP,A)
【文献】特表2016-539996(JP,A)
【文献】国際公開第2016/201280(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 405/14
A61P 43/00
A61P 37/06
A61P 25/00
A61K 31/55
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Bであって、4.1°、7.0°、8.1°、12.1°及び18.3°から選択される2θ角度における少なくとも3または少なくとも4の粉体X線回折(PXRD)ピークを特徴とする
、前記結晶形態B。
【請求項2】
請求項1に記載の結晶形態Bであって、
(i)4.1°、7.0°、8.1°、12.1°及び18.3°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする;
(ii)4.1°、7.0°、8.1°、12.1°、13.0°、14.7°、17.6°、18.3°及び20.7°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする;
(iii)示差走査熱量測定(DSC)分析によって求められる158.5℃±2℃の溶融温度を特徴とする;
(iv)吸湿性無水物である;または
(v)少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%純粋である、
前記結晶形態B。
【請求項3】
(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Cであって、3.4°、5.5°、6.9°、7.7°、8.8°及び12.5°から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4または少なくとも5のPXRDピークを特徴とする
、前記結晶形態C。
【請求項4】
請求項3に記載の結晶形態Cであって、
(i)3.4°、5.5°、6.9°、7.7°、8.8°及び12.5°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする;
(ii)3.4°、5.5°、6.9°、7.7°、8.8°、9.8°、12.5°、14.2°、15.6°、17.6°、18.6°、20.2°及び25.3°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする;
(iii)示差走査熱量測定(DSC)分析によって求められる164.3℃±2℃の溶融温度を有する;
(iv)水和物である;または
(v)少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%純粋である、
前記結晶形態C。
【請求項5】
(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Dであって、
5.4°、6.3°、8.3°、10.9°、12.5°及び19.1°から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4または少なくとも5のPXRDピークを特徴とする
、前記結晶形態D。
【請求項6】
請求項5に記載の結晶形態Dであって、
(i)5.4°、6.3°、8.3°、10.9°、12.5°及び19.1°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする;
(ii)5.4°、6.3°、8.3°、10.9°、12.5°、13.7°、14.4°、15.7°、16.3°、17.5°、18.9°、19.1°、19.6°、22.7°、23.8°、24.6°、25.0°、25.9°、28.4°、29.0°及び30.4°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする;
(iii)示差走査熱量測定(DSC)分析によって求められる173.2℃±2℃の溶融温度を有する;
(iv)酢酸溶媒和物である;または
(v)少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%純粋である、
前記結晶形態D。
【請求項7】
(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Eであって、4.2°、5.1°、5.9°、7.0°、12.0°及び16.9°から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4または少なくとも5のPXRDピークを特徴とする
、前記結晶形態E。
【請求項8】
請求項7に記載の結晶形態Eであって、
(i)4.2°、5.1°、5.9°、7.0°、12.0°及び16.9°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする;
(ii)4.2°、5.1°、5.9°、7.0°、8.5°、8.7°、9.8°、10.2°、12.0°、12.4°、13.7°、16.9°、18.1°、18.7°、20.7°及び26.6°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする;
(iii)示差走査熱量測定(DSC)分析によって求められる167.8℃±2℃の溶融温度を有する;
(iv)無水物である;または
(v)少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%純粋である、
前記結晶形態E。
【請求項9】
(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Fであって、3.6°、4.7°、5.7°、7.3°、8.9°、12.4°及び16.8°から選択される2θ角度における少なくとも3、4または5のPXRDピークを特徴とする
、前記結晶形態F。
【請求項10】
請求項9に記載の結晶形態Fであって、
(i)3.6°、4.7°、5.7°、7.3°、8.9°、12.4°及び16.8°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする;
(ii)3.6°、4.7°、5.7°、7.3°、8.9°、9.7°、12.4°、13.2°、14.2°、14.6°、16.8°、18.1°、19.1°、20.6°、22.5°、23.7°、24.3°、25.5°及び29.1°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする;
(iii)示差走査熱量測定(DSC)分析によって求められる174.7℃±2℃の溶融温度を有する;
(iv)無水物である;または
(v)少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%純粋である、
前記結晶形態F。
【請求項11】
(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Hであって、4.6°、6.3°、8.4°、13.4°及び18.7°から選択される2θ角度における少なくとも3または4のPXRDピークを特徴とする
、前記結晶形態H。
【請求項12】
請求項11に記載の結晶形態Hであって、
(i)4.6°、6.3°、8.4°、13.4°及び18.7°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする;
(ii)4.6°、6.3°、8.4°、8.8°、11.0°、13.4°、14.9°、15.6°、16.9°、18.7°、19.3°、22.6°、24.1°、25.3°及び26.8°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする;
(iii)示差走査熱量測定(DSC)分析によって求められる161.1℃±2℃の溶融温度を有する;
(iv)無水物である;または
(v)少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%純粋である、
前記結晶形態H。
【請求項13】
(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Jであって、4.0°、7.1°、7.3°、12.0°、12.5°から選択される2θ角度における少なくとも3または少なくとも4のPXRDピークを特徴とする
、前記結晶形態J。
【請求項14】
請求項13に記載の結晶形態Jであって、
(i)4.0°、7.1°、7.3°、12.0°、12.5°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする;
(ii)4.0°、6.0°、7.1°、7.3°、10.5°、12.0°、12.5°、15.1°及び18.1°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする;
(iii)示差走査熱量測定(DSC)分析によって求められる150.2℃±2℃の溶融温度を有する;
(iv)水和物または吸湿性無水物である;または
(v)少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%純粋である、
前記結晶形態J。
【請求項15】
(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Kであって、5.7°、8.0°、8.7°、9.7°、12.0°及び18.0°から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4または少なくとも5のPXRDピークを特徴とする
、前記結晶形態K。
【請求項16】
請求項15に記載の結晶形態Kであって、
(i)5.7°、8.0°、8.7°、9.7°、12.0°及び18.0°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする;
(ii)5.7°、8.0°、8.7°、9.7°、12.0°、12.8°、13.4°、14.8°、16.5°、17.1°、18.0°、18.9°、19.3°、20.2°、20.7°、21.1°、22.0°、22.7°及び23.4°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする;または
(iii)少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%純粋である、
前記結晶形態K。
【請求項17】
(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Lであって、7.1°、7.9°、9.1°、10.0°、10.4°、12.8°、16.1°、16.8°及び18.4°から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7または少なくとも8のPXRDピークを特徴とする
、前記結晶形態L。
【請求項18】
請求項17に記載の結晶形態Lであって、
(i)7.1°、7.9°、9.1°、10.0°、10.4°、12.8°、16.1°、16.8°及び18.4°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする;
(ii)7.1°、7.9°、9.1°、10.0°、10.4°、12.8°、14.6°、15.1°、16.1°、16.8°、18.4°、19.1°、20.2°、20.8°、21.5°、22.8°、23.8°、24.9°及び26.9°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする;または
(iii)少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%純粋である、前記結晶形態L。
【請求項19】
(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Mであって、3.5°、4.3°、8.0°、8.7°、12.9°及び17.4°から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4または少なくとも5のPXRDピークを特徴とする
、前記結晶形態M。
【請求項20】
請求項19に記載の結晶形態Mであって、
(i)3.5°、4.3°、8.0°、8.7°、12.9°及び17.4°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする;
(ii)3.5°、4.3°、6.0°、7.1°、8.0°、8.7°、10.5°、11.2°、12.9°、14.9°、16.3°、17.4°、20.1°、20.7°及び25.8°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする;または
(iii)少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%純粋である、前記結晶形態M。
【請求項21】
(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Nであって、4.8°、7.1°、10.4°、11.5°、15.2°、17.7°、19.8°及び22.8°から選択される2θ角度における少なくとも3、4、5、6または7のPXRDピークを特徴とする
、前記結晶形態N。
【請求項22】
請求項21に記載の結晶形態Nであって、
(i)4.8°、7.1°、10.4°、11.5°、15.2°、17.7°、19.8°及び22.8°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする;
(ii)4.8°、7.1°、9.5°、10.4°、10.9°、11.5°、14.2°、15.2°、16.3°、17.7°、18.3°、19.0°、19.8°、20.3°、21.2°、22.2°、22.8°、23.8°、24.5°、25.1°、25.8°、27.3°、28.5°及び29.8°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする;
(iii)示差走査熱量測定(DSC)分析によって求められる146.3℃±2℃の溶融温度を有する;
(iv)水和物である;または
(v)少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%純粋である、
前記結晶形態N。
【請求項23】
(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Pであって、5.3°、9.7°、14.2°、15.8°、17.5°及び24.2°から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4または少なくとも5のPXRDピークを特徴とする
、前記結晶形態P。
【請求項24】
請求項23に記載の結晶形態Pであって、
(i)5.3°、9.7°、14.2°、15.8°、17.5°及び24.2°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする;
(ii)5.3°、8.5°、9.7°、14.2°、15.8°、17.5°及び24.2°から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、または少なくとも6のPXRDピークを特徴とする;
(iii)5.3°、8.5°、9.7°、14.2°、15.8°、17.5°及び24.2°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする;
(iv)9.7°、14.2°、15.8°、17.5°及び24.2°から選択される2θ角度における少なくとも3または少なくとも4のPXRDピークを特徴とする;
(v)9.7°、14.2°、15.8°、17.5°及び24.2°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする;
(vi)5.3°、9.7°、10.6°、11.4°、14.2°、15.5°、15.8°、16.3°、17.1°、17.5°、17.8°、18.1°、19.5°、20.0°、20.5°、21.7°、22.6°、23.2°、24.2°、24.6°、25.4°、26.3°及び27.5°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする;
(vii)9.7°、10.6°、11.4°、14.2°、15.5°、15.8°、16.3°、17.1°、17.5°、17.8°、18.1°、19.5°、20.0°、20.5°、21.7°、22.6°、23.2°、24.2°、24.6°、25.4°、26.3°及び27.5°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする;
(viii)5.3°、8.5°、9.7°、10.6°、11.4°、14.2°、15.5°、15.8°、16.3°、17.1°、17.5°、17.8°、18.1°、19.5°、20.0°、20.5°、21.7°、22.6°、23.2°、24.2°、24.6°、25.4°、26.3°及び27.5°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする;
(ix)示差走査熱量測定(DSC)分析によって求められる201.3℃±2℃の溶融温度を有する;
(x)水和物である;
(xi)無水物である;または
(xii)少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%純粋である、
前記結晶形態P。
【請求項25】
(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Qであって、5.2°、8.5°、9.6°、10.5°、14.0°、15.7°及び17.3°から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6または少なくとも7のPXRDピークを特徴とする
、前記結晶形態Q。
【請求項26】
請求項25に記載の結晶形態Qであって、
(i)5.2°、8.5°、9.6°、10.5°、14.0°、15.7°及び17.3°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする;
(ii)5.2°、8.5°、9.6°、10.5°、11.3°、12.3°、14.0°、15.7°、17.3°、17.8°、17.9°、19.3°、19.9°、20.3°、21.5°、22.4°、23.0°、23.9°、24.4°、25.2°、26.1°及び27.5°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする;または
(iii)少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%純粋である、
前記結晶形態Q。
【請求項27】
薬学的に許容可能な賦形剤、及び(i)請求項1もしくは2に記載の結晶形態B、または(ii)請求項
3もしくは4に記載の結晶形態C、または(iii)請求項
5もしくは6に記載の結晶形態D、または(iv)請求項
7もしくは8に記載の結晶形態E、または(v)請求項
9もしくは10に記載の結晶形態F、または(vi)請求項
11もしくは12に記載の結晶形態H、または(vii)請求項
13もしくは14に記載の結晶形態J、または(viii)請求項
15もしくは16に記載の結晶形態K、または(ix)請求項
17もしくは18に記載の結晶形態L、または(x)請求項
19もしくは20に記載の結晶形態M、または(xi)請求項
21もしくは22に記載の結晶形態N、(xii)請求項
23もしくは24に記載の結晶形態P、または(xiii)請求項
25もしくは26に記載の結晶形態Qを含む医薬組成物。
【請求項28】
自己免疫障害を処置することにおける使用のための、請求項
1~26のいずれか一項に記載の(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態を含む医薬組成物または請求項
27に記載の医薬組成物であって、任意選択で、該自己免疫障害が多発性硬化症である、前記医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、2018年10月15日に出願された米国仮特許出願第62/745,741号の、米国特許法第119条(e)の下での優先権の利益を主張し、その内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの新規の結晶多形に関する。これらの多形は、ブルトン型チロシンキナーゼの阻害に応答する障害を処置するために使用され得る。別の態様において、本発明は、新規の多形の調製のためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
プロテインキナーゼは、腫瘍学、神経学及び免疫学において、多数のヒトの疾患の発症及び処置において重要な役割を果たす500超のタンパク質からなる大きな多重遺伝子族である。Tecキナーゼは、5つのメンバー(Tec(肝細胞癌において発現されるチロシンキナーゼ)、Btk(ブルトン型チロシンキナーゼ)、Itk(インターロイキン-2(IL-2)誘導性T細胞キナーゼ;EmtまたはTskとしても知られている)、Rlk(静止リンパ球キナーゼ;Txkとしても知られている)及びBmx(X染色体上の骨髄チロシンキナーゼ遺伝子;Etkとしても知られている))からなる非受容体チロシンキナーゼであり、造血細胞において主に発現されるが、Bmx及びTecの発現は、内皮細胞及び肝細胞において検出されている。Tecキナーゼ(Itk、Rlk及びTec)は、T細胞において発現され、全て、T細胞受容体(TCR)の下流で活性化される。Btkは、B細胞活性化、増殖、及び分化の調節に関与するB細胞受容体(BCR)シグナル伝達の下流メディエータである。より具体的には、Btkは、ホスファチジルイノシトール(3,4,5)-トリスリン酸(PIP3)に結合するPHドメインを含有する。PIP3結合は、Btkを誘導してホスホリパーゼC(PLCy)をリン酸化し、次いで、PIP2を加水分解して2つの二次メッセンジャー、イノシトール三リン酸(IP3)及びジアシルグリセロール(DAG)を生成し、これらがプロテインキナーゼPKCを活性化し、これが次いでさらなるB細胞シグナル伝達を誘導する。Btk酵素活性を無効にする変異は、一次免疫不全であるXLA症候群(X連鎖無ガンマグロブリン血症)を引き起こす。TecキナーゼがB細胞及びT細胞の両方のシグナル伝達において果たす重要な役割を考慮すると、Tecキナーゼは、自己免疫障害の対象となる標的である。
【0004】
結果として、当該分野においてBtkの有効な阻害剤の必要性が大きい。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態(または多形)B、C、D、E、F、H、J、K、L、M、N、P及びQに関する。ある特定の実施形態において、本出願の結晶形態は、薬学的用途のために改良された安定性及び適合性を有する。他の利点は、良好な薬物動態特性、単離容易性、プロセス再現性、大規模製造プロセスへの適合性などを含み得る。
【0006】
本発明はまた、本明細書に記載されている少なくとも1つの多形と、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物も提供する。
【0007】
本発明の一態様は、対象においてBtkの阻害に応答する障害を処置する方法であって、有効量の、本明細書に記載されている多形を含む組成物を、上記対象に投与することを含む、上記方法を開示する。
【0008】
本発明はまた、本明細書に記載されている多形を含む組成物の、Btkの阻害に応答する障害の処置のための薬剤の製造のための使用も含む。また、Btkの阻害に応答する障害を処置する際の使用のための、本明細書に記載されている多形も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Bの粉体X線回折(PXRD)パターンを示す。
【
図2A】(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Bの示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)プロファイルを示す。
【
図2B】結晶形態Bの種々の温度粉体X線回折(VT-PXRD)パターンを示す。
【
図3】(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Cの粉体X線回折(PXRD)パターンを示す。
【
図4A】(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Cの示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)プロファイルを示す。
【
図4B】結晶形態CのVT-PXRDパターンを示す。
【
図5】(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Dの粉体X線回折(PXRD)パターンを示す。
【
図6】(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Dの示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)プロファイルを示す。
【
図7】(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Dの
1H NMRスペクトルを示す。
【
図8】(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Eの粉体X線回折(PXRD)パターンを示す。
【
図9】(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Eの示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)プロファイルを示す。
【
図10】(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Fの粉体X線回折(PXRD)パターンを示す。
【
図11】(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Fの示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)プロファイルを示す。
【
図12】(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Hの粉体X線回折(PXRD)パターンを示す。
【
図13A】(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Hの示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)プロファイルを示す。
【
図13B】加熱前後の形態HのPXRDパターン比較を示す。
【
図14】(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Jの粉体X線回折(PXRD)パターンを示す。
【
図15】(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Jの示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)プロファイルを示す。
【
図16】(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Kの粉体X線回折(PXRD)パターンを示す。
【
図17】(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Lの粉体X線回折(PXRD)パターンを示す。
【
図18】(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Mの粉体X線回折(PXRD)パターンを示す。
【
図19】(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Nの粉体X線回折(PXRD)パターンを示す。
【
図20】(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Nの示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)プロファイルを示す。
【
図21】(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Pの粉体X線回折(PXRD)パターンを示す。
【
図22】(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Pの示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)プロファイルを示す。
【
図23】0.4重量%の水を含む、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Pの粉体X線回折(PXRD)パターンを示す。
【
図24】0.5重量%の水を含む、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Pの粉体X線回折(PXRD)パターンを示す。
【
図25】2.9重量%の水を含む、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Pの示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)プロファイルを示す。
【
図26】2.9重量%の水を含む、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Pと、水において粉砕された形態PとのPXRDパターンの重ね合わせを示す。
【
図27】(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態P無水物、結晶形態P半水化物及び結晶形態P一水和物のPXRDパターンの重ね合わせを示す。
【
図28】(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Qの粉体X線回折(PXRD)パターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において使用されているとき、用語「化合物」は、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドまたはその任意の固体形態を指す。化合物の構造を以下に示す:
【化1】
【0011】
本明細書において使用されているとき、用語「結晶性」、「結晶形態」または「多形」は、結晶形態を有する固体形態を指し、ここで、個々の分子は、高度に均質な規則的な閉じ込められた化学的配置を有する。結晶形態は、分析方法、例えば、粉体X線回折(PXRD)、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、NMRなどによって特徴付けられ得る。
【0012】
本明細書において使用されているとき、「抗溶媒結晶化」方法は、化合物を含む溶液への抗溶媒の添加を含み、これにより、化合物の溶解度を劇的に低減させ、結果として、化合物の析出または結晶化を生じさせる。化合物の析出は、直ちに生じても、経時的にゆっくり生じてもよい。いくつかの実施形態において、抗溶媒の添加後、得られた混合物は、結晶形態の析出を容易にするために低温(例えば、室温未満、0℃~10℃の間、または0℃~5℃の間)に冷却されてよい。その後、析出物(結晶)は、濾過、デカント、または遠心分離によって容易に分離され得る。
【0013】
用語「抗溶媒」は、本明細書において使用されているとき、化合物が不溶性であるまたは非常に低い溶解性を有する溶媒を指す。好適な抗溶媒として、限定されないが、水、石油エーテル、ペンタン、ヘキサン(複数可)、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンを含めた炭化水素、n-ブタノールが挙げられる。
【0014】
本明細書において使用されているとき、「逆抗溶媒結晶化」方法は、化合物の溶液(化合物を溶媒に溶解させて透明な溶液を形成することによって得られる)を析出物が現れるまで抗溶媒に添加することを含む。代替的に、溶液は、一定の体積の抗溶媒に添加される。所望の結晶形態が、経時的にゆっくり形成または析出されてよい。いくつかの実施形態において、溶媒の添加後、得られた混合物は、結晶形態の析出または結晶化を容易にするために低温(例えば、室温未満、0℃~10℃の間、または0℃~5℃の間)に冷却されてよい。その後、析出物(結晶)は、濾過、デカント、または遠心分離によって容易に分離され得る。
【0015】
本明細書において使用されているとき、「スラリー循環結晶化」方法は、溶媒への化合物の懸濁、続いての加熱及び徐冷を含み、ここで、当該加熱工程及び冷却工程は、任意選択的に1~10回繰り返されて、所望の結晶形態を生じさせることができる。化合物及び溶媒の混合物は、30℃~150℃の間、30℃~100℃の間、30℃~70℃の間、または40℃~60℃の間の温度に加熱され得る。一実施形態において、混合物は、50℃に加熱され得る。混合物は、所望の温度において、ある期間、例えば、10分~10時間の間、10分~5時間の間、10分~2時間の間、10分~1時間の間、20分~40分の間の間、または1時間~5時間の間加熱され得る。一実施形態において、混合物は、30分間加熱される。加熱された混合物は、次いで、室温、または、0℃~15℃、もしくは0℃~10℃の間もしくは0℃~5℃の間の低温にゆっくり冷却され得る。一実施形態において、混合物は、5℃に冷却され得る。冷却は、例えば、0.1~0.5℃/分(例えば、0.1℃/分)の速度で、ゆっくり実施される。
【0016】
本明細書において使用されているとき、「スラリー変換結晶化」方法は、1の固体形態から別の固体形態に化合物を変換するのに十分な期間にわたって溶媒中の化合物の懸濁液を撹拌することを含む。いくつかの実施形態において、化合物及び溶媒の混合物は、1~5時間、1~10時間、1時間~1日間、1日間~10日間、または1日間~5日間撹拌され得る。いくつかの実施形態において、混合物は、1日間、2日間、3日間、4日間または5日間撹拌される。
【0017】
本明細書において使用されているとき、「液体蒸気拡散結晶化」方法は、揮発性溶媒の蒸気の拡散を含み、ここで、化合物は、化合物を含有する溶液に可溶性でないかまたは低い溶解度を有する。揮発性溶媒の蒸気は、溶液中に拡散して、化合物の全体の溶解度を減少させ、結果として、溶液から化合物を析出させる。いくつかの実施形態において、上記方法は、揮発性溶媒を溶液に添加し、得られた混合物を密閉容器において維持することによって実施される。いくつかの実施形態において、溶液は、室温で蒸発乾固され得る。
【0018】
本明細書において使用されているとき、「イオン液体誘導結晶化」方法は、イオン液体の存在下で溶媒に化合物を溶解し、溶媒を低速蒸発させて所望の化合物固体形態を生じさせることを含む。例示的なイオン液体として、限定されないが、1,3-ジメチルイミダゾリウムトリフルオロ酢酸([dmin]CF3COOH)、1,3-ジメチルイミダゾリウム過塩素酸塩([dmin]ClO4)、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロリン酸塩([bmim]PF6)及び1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロアンチモン酸塩([emim]SbF6)が挙げられる。
【0019】
本明細書において使用されているとき、「ポリマー誘導結晶化」方法は、ポリマー混合物の存在下、溶媒中の化合物の溶液を撹拌して、所望の固体形態を生じさせることを含む。例示的なポリマー混合物として、限定されないが、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル(PVAC)、ヒプロメロース(HPMC)、及びメチルセルロース(MC)から選択されるポリマーの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態において、ポリマー混合物は、1:1:1:1:1:1の質量比の、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル(PVAC)、ヒプロメロース(HPMC)、及びメチルセルロース(MC)の混合物である。
【0020】
本明細書において使用されているとき、「高速蒸発結晶化」方法は、溶媒に化合物の固体形態を溶解し、続いての溶媒の高速蒸発により所望の結晶形態を生じさせることを含む。高速溶媒蒸発は、例えば、化合物の溶液を室温で空気に曝露して揮発性溶媒を蒸発させることによって達成され得る。代替的に、溶媒は、真空下及び/または高温(例えば、室温より高い)で蒸発され得る。
【0021】
用語「結晶形態B」、「結晶形態C」、「結晶形態D」、「結晶形態E」、「結晶形態F」、「結晶形態H」、「結晶形態J」、「結晶形態K」、「結晶形態L」、「結晶形態M」、「結晶形態N」、「結晶形態P」または「結晶形態Q」は、以下に定義されているように、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの具体的な結晶形態に関する。
【0022】
本発明は、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの種々の結晶多形、及びこれを調製するためのプロセスに関する。本明細書に記載されている化合物の結晶形態を調製するために、当該分野において公知の任意の好適な結晶化方法が使用されてもよい。例示的な結晶化方法として、限定されないが、抗溶媒結晶化方法、逆抗溶媒結晶化方法、スラリー循環結晶化方法、スラリー変換結晶化方法、液体蒸気拡散結晶化方法、ポリマー誘導結晶化方法、及び高速蒸発結晶化方法が挙げられる。
【0023】
一態様において、本発明は、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Bを提供する。
【0024】
一実施形態において、結晶形態Bは、4.1°、7.0°、8.1°、12.1°及び18.3°から選択される2θ角度における少なくとも3または少なくとも4の粉体X線回折(PXRD)ピークを特徴とする。別の実施形態において、結晶形態Bは、4.1°、7.0°、8.1°、12.1°及び18.3°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする。別の実施形態において、結晶形態Bは、4.1°、7.0°、8.1°、12.1°、13.0°、14.7°、17.6°、18.3°及び20.7°から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8または9のPXRDピークを特徴とする。いくつかの実施形態において、結晶形態Bに関して上記実施形態に記載されているピークは、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、または少なくとも15%の相対強度を有する。いくつかの実施形態において、結晶形態Bは、
図1に示されているPXRDパターンと実質的に同じであるPXRDパターンを有する。
【0025】
本明細書において使用されているとき、用語「相対強度」は、対象ピークのピーク強度対最大ピークのピーク強度の比を指す。
【0026】
いくつかの実施形態において、結晶形態Bは、
図2Aに示されているDSCプロファイルと実質的に同じであるDSCプロファイルを有する。特に、結晶形態Bは、上記DSCプロファイルにおいて151.0℃±2℃の開始温度を特徴とする。別の実施形態において、結晶形態Bは、158.5℃±2℃の溶融温度を有する。
【0027】
いくつかの実施形態において、結晶形態Bは、
図2Aに示されているTGAプロファイルと実質的に同じであるTGAプロファイルを有する。特に、上記TGAプロファイルは、結晶形態Bが吸湿性無水物であることを示唆する。
図2Bに示されているように、形態BのVT-PXRDパターンは、サンプルがN
2下で130℃まで加熱された後に形態変換を示さず、これは、形態Bが吸湿性無水物であることを示唆している。
【0028】
いくつかの実施形態において、結晶形態Bは、例えば、DSC、TGA及びPXRDによって特徴付けられる。一実施形態において、結晶形態Bは、PXRD単独で、または、上記に記載されているDSC及びTGAの1以上と組み合わせたPXRDによって特徴付けられる。
【0029】
「吸湿性」は、本明細書において使用されているとき、結晶形態が、その周囲から水を容易に吸収または吸着し得ることを意味する。
【0030】
「無水物」または「無水」は、本明細書において使用されているとき、結晶形態が、結晶格子において水を実質的に含まない、例えば、TGA分析または他の定量分析などによって求められるとき1重量%未満であることを意味する。
【0031】
いくつかの実施形態において、結晶形態Bは、少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%純粋である。形態Bの純度は、化合物(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドを含む組成物中の結晶形態Bの重量を、組成物中の化合物の合計重量で除算することによって求められる。一実施形態において、本発明は、化合物(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドを含む組成物であって、組成物中の化合物の重量基準で少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%が、化合物の結晶形態Bである、上記組成物を提供する。
【0032】
一態様において、本発明は、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Bを調製するための方法を提供する。一実施形態において、上記方法は、本明細書に記載されている抗溶媒または逆抗溶媒結晶化方法である。上記の開示されている方法の特定の実施形態において、結晶形態Bは、出発物質としての結晶形態A、溶媒としてのジクロロメタン(DCM)、及び抗溶媒としてのトルエンを使用して得られ得る。一実施形態において、結晶形態Bは、ジクロロメタンに形態Aを溶解し、続いて、抗溶媒、例えば、トルエンを添加することによって得られ得る。
【0033】
別の態様において、本発明は、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Cを提供する。
【0034】
一実施形態において、結晶形態Cは、3.4°、5.5°、6.9°、7.7°、8.8°及び12.5°から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4または少なくとも5のPXRDピークを特徴とする。別の実施形態において、結晶形態Cは、3.4°、5.5°、6.9°、7.7°、8.8°及び12.5°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする。いくつかの実施形態において、結晶形態Cは、3.4°、5.5°、6.9°、7.7°、8.8°、9.8°、12.5°、14.2°、15.6°、17.6°、18.6°、20.2°及び25.3°から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12または少なくとも13のPXRDピークを特徴とする。ある実施形態において、結晶形態Cに関して上記実施形態に記載されているピークは、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、または少なくとも15%の相対強度を有する。いくつかの実施形態において、結晶形態Cは、
図3に示されているPXRDパターンと実質的に同じであるPXRDパターンを有する。
【0035】
別の実施形態において、結晶形態Cは、
図4Aに示されているDSCプロファイルと実質的に同じであるDSCプロファイルを有する。特に、結晶形態Cは、上記DSCプロファイルにおいて153.3℃±2℃の開始温度を特徴とする。別の実施形態において、結晶形態Cは、164.3℃±2℃の溶融温度を有する。
【0036】
なお別の実施形態において、結晶形態Cは、
図4Aに示されているTGAプロファイルと実質的に同じであるTGAプロファイルを有する。特に、TGAプロファイルは、結晶形態Cが水和物であることを示唆している。また、
図4Bに示されているように、形態Cは、30℃で20分間N
2パージすることによる脱水後、新たな結晶形態、形態Lに変換する。形態Lは、空気への約2.5時間の曝露後、形態Cに戻り、水を再吸収する。VT-PXRDパターンは、形態Cが水和物であることを示唆している。
【0037】
いくつかの実施形態において、結晶形態Cは、例えば、DSC、TGA及びPXRDによって特徴付けられる。一実施形態において、結晶形態Cは、PXRD単独で、または、上記に記載されているDSC及びTGAの1以上と組み合わせたPXRDによって特徴付けられる。
【0038】
本明細書において使用されているとき、「水和物」は、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドと、結晶構造内に取り込まれた化学量論量または非化学量論量のいずれかの水とを含有する結晶性固体付加物を指す。存在する水の量を求めるための、当該分野において公知である技術として、例えば、TGA及びカールフィッシャー(KF)分析が挙げられる。ある特定の実施形態において、水和物は、一水和物(すなわち、化合物の分子毎に1分子の水)である。ある特定の実施形態において、水和物は、半水化物(すなわち、化合物の2分子毎に1分子の水)である。
【0039】
いくつかの実施形態において、結晶形態Cは、少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%純粋である。形態Cの純度は、化合物(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドを含む組成物中の結晶形態Cの重量を、組成物中の化合物の合計重量で除算することによって求められる。一実施形態において、本発明は、化合物(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドを含む組成物であって、組成物中の化合物の重量基準で少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%が、化合物の結晶形態Cである、上記組成物を提供する。
【0040】
ある態様において、本発明は、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Cを調製するための方法を提供する。一実施形態において、上記方法は、本明細書に記載されている抗溶媒または逆抗溶媒結晶化方法である。上記の開示されている方法の特定の実施形態において、結晶形態Cは、出発物質としての結晶形態A、溶媒としてのジメチルホルムアミド(DMF)、及び抗溶媒としてのトルエンを使用して得られ得る。一実施形態において、結晶形態Cは、化合物の結晶形態AをDMFに溶解し、続いてトルエンを添加することによって得られ得る。別の実施形態において、結晶形態Cは、トルエン及び結晶形態Aを混合し、続いて、DMFを添加することによって得られ得る。
【0041】
別の態様において、本発明は、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Dを提供する。
【0042】
一実施形態において、結晶形態Dは、5.4°、6.3°、8.3°、10.9°、12.5°及び19.1°から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4または少なくとも5のPXRDピークを特徴とする。別の実施形態において、結晶形態Dは、5.4°、6.3°、8.3°、10.9°、12.5°及び19.1°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする。いくつかの実施形態において、結晶形態Dは、5.4°、6.3°、8.3°、10.9°、12.5°、13.7°、14.4°、15.7°、16.3°、17.5°、18.9°、19.1°、19.6°、22.7°、23.8°、24.6°、25.0°、25.9°、28.4°、29.0°及び30.4°から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20または少なくとも21のPXRDピークを特徴とする。いくつかの実施形態において、結晶形態Dに関して上記実施形態に記載されているピークは、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、または少なくとも15%の相対強度を有する。いくつかの実施形態において、結晶形態Dは、
図5に示されているPXRDパターンと実質的に同じであるPXRDパターンを有する。
【0043】
いくつかの実施形態において、結晶形態Dは、
図6に示されているDSCプロファイルと実質的に同じであるDSCプロファイルを有する。特に、結晶形態Dは、上記DSCプロファイルにおいて153.7℃±2℃の開始温度を特徴とする。別の実施形態において、結晶形態Dは、173.2℃±2℃の溶融温度を有する。
【0044】
一実施形態において、結晶形態Dは、
図6に示されているTGAプロファイルと実質的に同じであるTGAプロファイルを有する。特に、TGAプロファイルは、結晶形態Dが酢酸溶媒和物であることを示唆している。
【0045】
別の実施形態において、結晶形態Dは、
図7に示されている
1H NMRを特徴とする。
【0046】
いくつかの実施形態において、結晶形態Dは、例えば、1H NMR、DSC、TGA及びPXRDによって特徴付けられる。一実施形態において、結晶形態Fは、PXRD単独で、または、上記に記載されているDSC、TGA及び1H NMRの1以上と組み合わせたPXRDによって特徴付けられる。
【0047】
いくつかの実施形態において、結晶形態Dは、少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%純粋である。形態Dの純度は、化合物(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドを含む組成物中の結晶形態Dの重量を、組成物中の化合物の合計重量で除算することによって求められる。一実施形態において、本発明は、化合物(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドを含む組成物であって、組成物中の化合物の重量基準で少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%が、化合物の結晶形態Dである、上記組成物を提供する。
【0048】
ある態様において、本発明は、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Dを調製するための方法を提供する。一実施形態において、上記方法は、高速蒸発結晶化方法である。特定の実施形態において、結晶形態Dは、出発物質としての結晶形態A及び溶媒としてのメチルエチルケトン(MEK)を使用して得られ得る。別の実施形態において、結晶形態Dは、結晶形態AをMEKに溶解し、続いて、MEKを室温で蒸発させて結晶形態Dを生じさせることによって得られ得る。
【0049】
なお別の態様において、本発明は、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Eを提供する。
【0050】
一実施形態において、結晶形態Eは、4.2°、5.1°、5.9°、7.0°、12.0°及び16.9°から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4または少なくとも5のPXRDピークを特徴とする。別の実施形態において、結晶形態Eは、4.2°、5.1°、5.9°、7.0°、12.0°及び16.9°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする。別の実施形態において、結晶形態Eは、4.2°、5.1°、5.9°、7.0°、8.5°、8.7°、9.8°、10.2°、12.0°、12.4°、13.7°、16.9°、18.1°、18.7°、20.7°及び26.6°から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15または少なくとも16のPXRDピークを特徴とする。いくつかの実施形態において、結晶形態Eに関して上記実施形態に記載されているピークは、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、または少なくとも15%の相対強度を有する。別の実施形態において、結晶形態Eは、
図8に示されているPXRDパターンと実質的に同じであるPXRDパターンを有する。
【0051】
なお別の実施形態において、結晶形態Eは、
図9に示されているDSCプロファイルと実質的に同じであるDSCプロファイルを有する。特に、結晶形態Eは、上記DSCプロファイルにおいて161.5℃±2℃の開始温度を特徴とする。別の実施形態において、結晶形態Eは、167.8℃±2℃の溶融温度を有する。
【0052】
なお別の実施形態において、結晶形態Eは、
図9に示されているTGAプロファイルと実質的に同じであるTGAプロファイルを有する。特に、TGAプロファイルは、結晶形態Eが無水物であることを示唆している。
【0053】
いくつかの実施形態において、結晶形態Eは、例えば、DSC、TGA及びPXRDによって特徴付けられる。一実施形態において、結晶形態Eは、PXRD単独で、または、上記に記載されているDSC及びTGAの1以上と組み合わせたPXRDによって特徴付けられる。
【0054】
いくつかの実施形態において、結晶形態Eは、少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%純粋である。形態Eの純度は、化合物(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドを含む組成物中の結晶形態Eの重量を、組成物中の化合物の合計重量で除算することによって求められる。ある実施形態において、本発明は、化合物(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドを含む組成物であって、組成物中の化合物の重量基準で少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%が、化合物の結晶形態Eである、上記組成物を提供する。
【0055】
ある態様において、本発明は、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Eを調製するための方法を提供する。一実施形態において、上記方法は、本明細書に記載されているスラリー循環方法、スラリー変換方法、液体蒸気拡散方法及びイオン液体誘導結晶化方法から選択される。具体的な実施形態において、結晶形態Eは、結晶形態Aを溶媒(例えば、メチルエチルケトン(MEK))に懸濁し、スラリーを高温に加熱し、徐冷し、加熱工程及び冷却工程を少なくとも1、2、3、4回以上繰り返して結晶形態Eを生じさせることによって得られ得る。特定の実施形態において、結晶形態Aを溶媒(例えば、アセトン/酢酸イソプロピル(IPAc)=1:9)に懸濁し、次いで、50℃に30分間加熱する。得られた混合物を次いで5℃に徐冷する。加熱及び冷却工程を3回以上繰り返して、結晶形態Eを生じさせる。別の実施形態において、結晶形態Eは、結晶形態Aを溶媒に懸濁し、スラリーを、ある期間、例えば、30分~1時間、1時間~5時間、1時間~1日間、1日間~5日間以上撹拌し、続いて、固体を単離することによって得られ得る。なお別の実施形態において、結晶形態Eは、結晶形態Aを溶媒(例えば、CHCl3)に溶解し、揮発性抗溶媒(例えば、n-ヘプタン)を溶液に添加し、抗溶媒を密閉容器において溶液と十分な時間相互作用させて結晶形態Eを析出物として生じさせることによって得られ得る。別の実施形態において、結晶形態Eは、溶媒(例えば、酢酸メチル(MeOAc)またはTHF)中に結晶形態A及びイオン液体(例えば、[bmim]PF6または[emim]SbF6)を含有する溶液の低速蒸発によって得られ得る。
【0056】
一態様において、本発明は、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Fを提供する。
【0057】
一実施形態において、結晶形態Fは、3.6°、4.7°、5.7°、7.3°、8.9°、12.4°及び16.8°から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、または少なくとも6のPXRDピークを特徴とする。別の実施形態において、結晶形態Fは、3.6°、4.7°、5.7°、7.3°、8.9°、12.4°及び16.8°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする。別の実施形態において、結晶形態Fは、3.6°、4.7°、5.7°、7.3°、8.9°、9.7°、12.4°、13.2°、14.2°、14.6°、16.8°、18.1°、19.1°、20.6°、22.5°、23.7°、24.3°、25.5°及び29.1°から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18または少なくとも19のPXRDピークを特徴とする。いくつかの実施形態において、結晶形態Fに関して上記実施形態に記載されているピークは、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、または少なくとも15%の相対強度を有する。一実施形態において、結晶形態Fは、
図10に示されているPXRDパターンと実質的に同じであるPXRDパターンを有する。
【0058】
一実施形態において、結晶形態Fは、
図11に示されているDSCプロファイルと実質的に同じであるDSCプロファイルを有する。特に、結晶形態Fは、上記DSCプロファイルにおいて169.4℃±2℃の開始温度を特徴とする。別の実施形態において、結晶形態Fは、174.7℃±2℃の溶融温度を有する。
【0059】
別の実施形態において、結晶形態Fは、
図11に示されているTGAプロファイルと実質的に同じであるTGAプロファイルを有する。特に、TGAプロファイルは、結晶形態Fが無水物であることを示唆している。
【0060】
いくつかの実施形態において、結晶形態Fは、例えば、DSC、TGA及びPXRDによって特徴付けられる。一実施形態において、結晶形態Fは、PXRD単独で、または、上記に記載されているDSC及びTGAの1以上と組み合わせたPXRDによって特徴付けられる。
【0061】
いくつかの実施形態において、結晶形態Fは、少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%純粋である。形態Fの純度は、化合物(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドを含む組成物中の結晶形態Eの重量を、組成物中の化合物の合計重量で除算することによって求められる。一実施形態において、本発明は、化合物(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドを含む組成物であって、組成物中の化合物の重量基準で少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%が、化合物の結晶形態Fである、上記組成物を提供する。
【0062】
ある態様において、本発明は、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Fを調製するための方法を提供する。一実施形態において、上記方法は、本明細書に記載されているスラリー循環方法、スラリー変換方法及びポリマー誘導結晶化方法から選択される。特定の実施形態において、結晶形態Fは、結晶形態Aを溶媒(例えば、メチルイソブチルケトン(MIBK))に懸濁し、続いて、ある期間(例えば、30分、1時間、2時間など)にわたって高温(例えば、50℃)に加熱し、低温(例えば、5℃)に徐冷することによって得られ得る。当該加熱及び冷却が少なくとも1、2、3、4回以上繰り返されて、結晶形態Fを生じさせることができる。別の実施形態において、結晶形態Fは、結晶形態Aを溶媒(例えば、MIBK)に懸濁してスラリーを形成し、スラリーをある期間(例えば、30分~1時間、1時間~5時間、1時間~1日間、1日間~5日間)にわたって撹拌して結晶形態Aを形態Fに変換させることによって得られ得る。なお別の実施形態において、結晶形態Fは、溶媒(例えば、MeOH)中の形態Aと、ポリマー混合物(例えば、1:1:1:1:1:1の質量比での、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル(PVAC)、ヒプロメロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)のポリマー混合物)との混合物をある期間にわたって撹拌して、結晶形態Aを形態Fに変換させることによって得られ得る。一実施形態において、混合物は、1~5日間撹拌されてよい。
【0063】
なお別の態様において、本発明は、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Hを提供する。
【0064】
一実施形態において、結晶形態Hは、4.6°、6.3°、8.4°、13.4°及び18.7°から選択される2θ角度における少なくとも3または少なくとも4のPXRDピークを特徴とする。別の実施形態において、結晶形態Hは、4.6°、6.3°、8.4°、13.4°及び18.7°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする。なお別の実施形態において、結晶形態Hは、4.6°、6.3°、8.4°、8.8°、11.0°、13.4°、14.9°、15.6°、16.9°、18.7°、19.3°、22.6°、24.1°、25.3°及び26.8°から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14または少なくとも15のPXRDピークを特徴とする。いくつかの実施形態において、結晶形態Hに関して上記実施形態に記載されているピークは、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、または少なくとも15%の相対強度を有する。いくつかの実施形態において、結晶形態Hは、
図12に示されているPXRDパターンと実質的に同じであるPXRDパターンを有する。
【0065】
別の実施形態において、結晶形態Hは、
図13Aに示されているDSCプロファイルと実質的に同じであるDSCプロファイルを有する。特に、結晶形態Hは、上記DSCプロファイルにおいて153.1℃±2℃の開始温度を特徴とする。別の実施形態において、結晶形態Hは、161.1℃±2℃の溶融温度を有する。
【0066】
なお別の実施形態において、結晶形態Hは、
図13Aに示されているTGAプロファイルと実質的に同じであるTGAプロファイルを有する。特に、TGAプロファイルは、吸収された水の損失に起因して少量の重量損失(最大140℃で1.1%)を示した。これは、結晶形態Hが無水物であることを示唆している。また、
図13Bに示されているように、形態Hのサンプルを125℃に加熱したとき、形態変換は観察されなかった。これは、形態Hが無水物であることと一致している。
【0067】
いくつかの実施形態において、結晶形態Hは、例えば、DSC、TGA及びPXRDによって特徴付けられる。一実施形態において、結晶形態Hは、PXRD単独で、または、上記に記載されているDSC及びTGAの1以上と組み合わせたPXRDによって特徴付けられる。
【0068】
いくつかの実施形態において、結晶形態Hは、少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%純粋である。形態Hの純度は、化合物(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドを含む組成物中の結晶形態Hの重量を、組成物中の化合物の合計重量で除算することによって求められる。一実施形態において、本発明は、化合物(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドを含む組成物であって、組成物中の化合物の重量基準で少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%が、化合物の結晶形態Hである、上記組成物を提供する。
【0069】
ある態様において、本発明は、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Hを調製するための方法を提供する。一実施形態において、上記方法は、本明細書に記載されているスラリー循環結晶化方法である。特定の実施形態において、結晶形態Hは、結晶形態Aを2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)に懸濁し、続いて加熱及び徐冷することによって得られ得る。当該加熱及び冷却は、少なくとも1、2、3、4、5回以上繰り返されて、結晶形態Hを生じさせることができる。具体的な実施形態において、懸濁液は、ある期間(例えば、30分~1時間または30分~5時間)にわたって50℃に加熱され、続いて5℃に徐冷される。より具体的な実施形態において、冷却は、0.1~0.5℃/分(例えば、0.1℃/分)の速度におけるものである。
【0070】
別の態様において、本発明は、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Jを提供する。
【0071】
一実施形態において、結晶形態Jは、4.0°、7.1°、7.3°、12.0°及び12.5°から選択される2θ角度における少なくとも3または少なくとも4のPXRDピークを特徴とする。別の実施形態において、結晶形態Jは、4.0°、7.1°、7.3°、12.0°及び12.5°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする。なお別の実施形態において、結晶形態Jは、4.0°、6.0°、7.1°、7.3°、10.5°、12.0°、12.5°、15.1°及び18.1°から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、または少なくとも9のPXRDピークを特徴とする。いくつかの実施形態において、結晶形態Jに関して上記実施形態に記載されているピークは、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、または少なくとも15%の相対強度を有する。一実施形態において、結晶形態Jは、
図14に示されているPXRDパターンと実質的に同じであるPXRDパターンを有する。
【0072】
別の実施形態において、結晶形態Jは、
図15に示されているDSCプロファイルと実質的に同じであるDSCプロファイルを有する。特に、結晶形態Jは、上記DSCプロファイルにおいて145.2℃±2℃の開始温度を特徴とする。別の実施形態において、結晶形態Jは、150.2℃±2℃の溶融温度を有する。
【0073】
別の実施形態において、結晶形態Jは、
図15に示されているTGAプロファイルと実質的に同じであるTGAプロファイルを有する。特に、TGAプロファイルは、結晶形態Jが水和物または吸湿性無水物であることを示唆している。
【0074】
いくつかの実施形態において、結晶形態Jは、例えば、DSC、TGA及びPXRDによって特徴付けられる。一実施形態において、結晶形態Jは、PXRD単独で、または、上記に記載されているDSC及びTGAの1以上と組み合わせたPXRDによって特徴付けられる。
【0075】
いくつかの実施形態において、結晶形態Jは、少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%純粋である。形態Jの純度は、化合物(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドを含む組成物中の結晶形態Jの重量を、組成物中の化合物の合計重量で除算することによって求められる。一実施形態において、本発明は、化合物(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドを含む組成物であって、組成物中の化合物の重量基準で少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%が、化合物の結晶形態Jである、上記組成物を提供する。
【0076】
一態様において、本発明は、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Jを調製するための方法を提供する。一実施形態において、上記方法は、本明細書に記載されている高速蒸発結晶化方法である。具体的な実施形態において、結晶形態Jは、結晶形態Aをアニソールに溶解し、続いて、室温で溶媒を蒸発させて結晶形態Jを生じさせることによって得られ得る。
【0077】
なお別の態様において、本発明は、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Kを提供する。
【0078】
一実施形態において、結晶形態Kは、5.7°、8.0°、8.7°、9.7°、12.0°及び18.0°から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4または少なくとも5のPXRDピークを特徴とする。別の実施形態において、結晶形態Kは、5.7°、8.0°、8.7°、9.7°、12.0°及び18.0°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする。なお別の実施形態において、結晶形態Kは、5.7°、8.0°、8.7°、9.7°、12.0°、12.8°、13.4°、14.8°、16.5°、17.1°、18.0°、18.9°、19.3°、20.2°、20.7°、21.1°、22.0°、22.7°及び23.4°から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18または少なくとも19のPXRDピークを特徴とする。いくつかの実施形態において、結晶形態Kに関して上記実施形態に記載されているピークは、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、または少なくとも15%の相対強度を有する。一実施形態において、結晶形態Kは、
図16に示されているPXRDパターンと実質的に同じであるPXRDパターンを有する。
【0079】
いくつかの実施形態において、結晶形態Kは、少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%純粋である。形態Kの純度は、化合物(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドを含む組成物中の結晶形態Kの重量を、組成物中の化合物の合計重量で除算することによって求められる。一実施形態において、本発明は、化合物(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドを含む組成物であって、組成物中の化合物の重量基準で少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%が、化合物の結晶形態Kである、上記組成物を提供する。
【0080】
一態様において、本発明は、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Kを調製するための方法を提供する。一実施形態において、上記方法は、結晶形態Aを不活性雰囲気(例えば、N2)下で130℃に加熱することを含む。
【0081】
なお別の態様において、本発明は、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Lを提供する。
【0082】
一実施形態において、結晶形態Lは、7.1°、7.9°、9.1°、10.0°、10.4°、12.8°、16.1°、16.8°及び18.4°から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7または少なくとも8のPXRDピークを特徴とする。別の実施形態において、結晶形態Lは、7.1°、7.9°、9.1°、10.0°、10.4°、12.8°、16.1°、16.8°及び18.4°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする。なお別の実施形態において、結晶形態Lは、7.1°、7.9°、9.1°、10.0°、10.4°、12.8°、14.6°、15.1°、16.1°、16.8°、18.4°、19.1°、20.2°、20.8°、21.5°、22.8°、23.8°、24.9°及び26.9から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18または少なくとも19のPXRDピークを特徴とする。いくつかの実施形態において、結晶形態Lに関して上記実施形態に記載されているピークは、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、または少なくとも15%の相対強度を有する。一実施形態において、結晶形態Lは、
図17に示されているPXRDパターンと実質的に同じであるPXRDパターンを有する。
【0083】
いくつかの実施形態において、結晶形態Lは、少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%純粋である。形態Lの純度は、化合物(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドを含む組成物中の結晶形態Lの重量を、組成物中の化合物の合計重量で除算することによって求められる。一実施形態において、本発明は、化合物(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドを含む組成物であって、組成物中の化合物の重量基準で少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%が、化合物の結晶形態Lである、上記組成物を提供する。
【0084】
ある態様において、本発明は、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Lを調製するための方法を提供する。一実施形態において、上記方法は、結晶形態Cを不活性雰囲気(例えば、N2)下で130℃に加熱することを含む。
【0085】
なお別の態様において、本発明は、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Mを提供する。
【0086】
一実施形態において、結晶形態Mは、3.5°、4.3°、8.0°、8.7°、12.9°及び17.4°から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4または少なくとも5のPXRDピークを特徴とする。別の実施形態において、結晶形態Mは、3.5°、4.3°、8.0°、8.7°、12.9°及び17.4°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする。なお別の実施形態において、結晶形態Mは、3.5°、4.3°、6.0°、7.1°、8.0°、8.7°、10.5°、11.2°、12.9°、14.9°、16.3°、17.4°、20.1°、20.7°及び25.8°から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14または少なくとも15のPXRDピークを特徴とする。いくつかの実施形態において、結晶形態Mに関して上記実施形態に記載されているピークは、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、または少なくとも15%の相対強度を有する。一実施形態において、結晶形態Mは、
図18に示されているPXRDパターンと実質的に同じであるPXRDパターンを有する。
【0087】
いくつかの実施形態において、結晶形態Mは、少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%純粋である。形態Mの純度は、化合物(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドを含む組成物中の結晶形態Mの重量を、組成物中の化合物の合計重量で除算することによって求められる。一実施形態において、本発明は、化合物(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドを含む組成物であって、組成物中の化合物の重量基準で少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%が、化合物の結晶形態Mである、上記組成物を提供する。
【0088】
一態様において、本発明は、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Mを調製するための方法を提供する。一実施形態において、上記方法は、スラリー変換結晶化方法である。特定の実施形態において、結晶形態Mは、トルエン中、結晶形態Fまたは形態Hのスラリーを、ある期間(例えば、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、1週間、2週間など)にわたって撹拌して結晶形態Mを生じさせることによって得られる。
【0089】
一態様において、本発明は、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Nを提供する。
【0090】
一実施形態において、結晶形態Nは、4.8°、7.1°、10.4°、11.5°、15.2°、17.7°、19.8°及び22.8°から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6または少なくとも7のPXRDピークを特徴とする。別の実施形態において、結晶形態Nは、4.8°、7.1°、10.4°、11.5°、15.2°、17.7°、19.8°及び22.8°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする。なお別の実施形態において、結晶形態Nは、4.8°、7.1°、9.5°、10.4°、10.9°、11.5°、14.2°、15.2°、16.3°、17.7°、18.3°、19.0°、19.8°、20.3°、21.2°、22.2°、22.8°、23.8°、24.5°、25.1°、25.8°、27.3°、28.5°及び29.8°から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23または少なくとも24のPXRDピークを特徴とする。いくつかの実施形態において、結晶形態Nに関して上記実施形態に記載されているピークは、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、または少なくとも15%の相対強度を有する。別の実施形態において、結晶形態Nは、
図19に示されているPXRDパターンと実質的に同じであるPXRDパターンを有する。
【0091】
一実施形態において、結晶形態Nは、
図20に示されているDSCプロファイルと実質的に同じであるDSCプロファイルを有する。特に、結晶形態Nは、上記DSCプロファイルにおいて140.8℃±2℃の開始温度を特徴とする。別の実施形態において、結晶形態Nは、148.4℃±2℃の溶融温度を特徴とする。
【0092】
いくつかの実施形態において、結晶形態Nは、例えば、DSC及びPXRDによって特徴付けられる。一実施形態において、結晶形態Nは、PXRD単独によって特徴付けられる。
【0093】
いくつかの実施形態において、結晶形態Nは、少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%純粋である。形態Nの純度は、化合物(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドを含む組成物中の結晶形態Nの重量を、組成物中の化合物の合計重量で除算することによって求められる。一実施形態において、本発明は、化合物(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドを含む組成物であって、組成物中の化合物の重量基準で少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%が、化合物の結晶形態Nである、上記組成物を提供する。
【0094】
ある態様において、本発明は、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Nを調製するための方法を提供する。一実施形態において、上記方法は、本明細書に記載されている抗溶媒結晶化方法である。特定の実施形態において、使用される抗溶媒は酢酸イソプロピルであり、溶媒はTHFである。
【0095】
なお別の態様において、本発明は、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Pを提供する。
【0096】
一実施形態において、結晶形態Pは、5.3°、8.5°、9.7°、14.2°、15.8°、17.5°及び24.2°から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5または少なくとも6のPXRDピークを特徴とする。一実施形態において、結晶形態Pは、5.3°、9.7°、14.2°、15.8°、17.5°及び24.2°から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4または少なくとも5のPXRDピークを特徴とする。別の実施形態において、結晶形態Pは、9.7°、14.2°、15.8°、17.5°及び24.2°から選択される2θ角度における少なくとも3または少なくとも4のPXRDピークを特徴とする。別の実施形態において、結晶形態Pは、5.3°、9.7°、14.2°、15.8°、17.5°及び24.2°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする。なお別の実施形態において、結晶形態Pは、9.7°、14.2°、15.8°、17.5°及び24.2°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする。なお別の実施形態において、結晶形態Pは、5.3°、8.5°、9.7°、14.2°、15.8°、17.5°及び24.2°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする。なお別の実施形態において、結晶形態Pは、5.3°、9.7°、10.6°、11.4°、14.2°、15.5°、15.8°、16.3°、17.1°、17.5°、17.8°、18.1°、19.5°、20.0°、20.5°、21.7°、22.6°、23.2°、24.2°、24.6°、25.4°、26.3°及び27.5から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、または少なくとも23のPXRDピークを特徴とする。具体的な実施形態において、結晶形態Pは、9.7°、10.6°、11.4°、14.2°、15.5°、15.8°、16.3°、17.1°、17.5°、17.8°、18.1°、19.5°、20.0°、20.5°、21.7°、22.6°、23.2°、24.2°、24.6°、25.4°、26.3°及び27.5から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、または少なくとも22のPXRDピークを特徴とする。なお別の具体的な実施形態において、結晶形態Pは、5.3°、8.5°、9.7°、10.6°、11.4°、14.2°、15.5°、15.8°、16.3°、17.1°、17.5°、17.8°、18.1°、19.5°、20.0°、20.5°、21.7°、22.6°、23.2°、24.2°、24.6°、25.4°、26.3°及び27.5から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、23または少なくとも24のPXRDピークを特徴とする。いくつかの実施形態において、結晶形態Pに関して上記実施形態に記載されているピークは、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、または少なくとも15%の相対強度を有する。上記に列挙したピークの相対強度は、結晶形態Pに存在する水の量を基準にして変動し得る。具体的な実施形態において、5.3°及び/または8.5°の2θ角度におけるPXRDピークは、含水率がより少ない形態P(例えば、無水物)において、含水率がより高いものよりも高い相対強度を有する。一実施形態において、上記ピークは、結晶形態Pの無水物に(例えば、8.5°において)特異的である。なお別の実施形態において、上記ピークは、結晶形態Pの水和物に特異的である。一実施形態において、結晶形態Pは、
図21に示されているPXRDパターンと実質的に同じであるPXRDパターンを有する。別の実施形態において、結晶形態Pは、
図23に示されているPXRDパターンと実質的に同じであるPXRDパターンを有する。別の実施形態において、結晶形態Pは、
図24に示されているPXRDパターンと実質的に同じであるPXRDパターンを有する。なお別の実施形態において、結晶形態Pは、
図26または
図27に示されているPXRDパターンと実質的に同じであるPXRDパターンを有する。
【0097】
一実施形態において、結晶形態Pは、
図22または
図25に示されているDSCプロファイルと実質的に同じであるDSCプロファイルを有する。特に、結晶形態Pは、上記DSCプロファイルにおいて196.9℃±2℃の開始温度を特徴とする。別の実施形態において、結晶形態Pは、201.3℃±2℃の溶融温度を有する。一実施形態において、結晶形態Pは、50℃~100℃の間、80℃~95℃の間または85℃~95℃の間の温度において、さらなる広いピークを有する。DSCプロファイルにおけるさらなる広いピークの存在は、結晶形態Pにおける少量の水の存在を示唆している。
【0098】
一実施形態において、結晶形態Pは、無水物、半水化物または一水和物であり得る。具体的な実施形態において、結晶形態Pは、無水物である。別の具体的な実施形態において、結晶形態Pは、半水化物である。なお別の具体的な実施形態において、結晶形態Pは、一水和物である。
【0099】
別の実施形態において、結晶形態Pは、少量の水を含有していてよい。具体的な実施形態において、結晶形態Pは、0.1重量%~3.3重量%の間、0.1重量%~1.5重量%の間、0.1重量%~1.0重量%の間、0.2重量%~0.6重量%の間、1.5重量%~3.3重量%の間、2.0重量%~3.3重量%の間、2.5重量%~3.3重量%の間、または2.5重量%~3.0重量%の間の水を有する。別の具体的な実施形態において、結晶形態Pは、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%の水を有する。なお別の具体的な実施形態において、結晶形態Pは、0.4重量%、0.5重量%、2.6重量%または2.9重量%の水を有する。
【0100】
本明細書において使用されているとき、「重量%」は、重量基準の百分率を意味する。
【0101】
別の実施形態において、結晶形態Pは、最大1モル当量の水を有する。具体的な実施形態において、結晶形態Pは、化合物(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドに対して0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9または1モル当量の水を有する。
【0102】
別の実施形態において、結晶形態Pは、
図22に示されているTGAプロファイルと実質的に同じであるTGAプロファイルを有する。特に、TGAプロファイルは、結晶形態Pが水和物であることを示唆している。
【0103】
なお別の実施形態において、結晶形態Pは、
図25に示されているTGAプロファイルと実質的に同じであるTGAプロファイルを有する。
【0104】
いくつかの実施形態において、結晶形態Pは、例えば、DSC、TGA及びPXRDによって特徴付けられる。一実施形態において、結晶形態Pは、PXRD単独で、または、上記に記載されているDSC及びTGAの1以上と組み合わせたPXRDによって特徴付けられる。
【0105】
いくつかの実施形態において、結晶形態Pは、少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%純粋である。形態Pの純度は、化合物(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドを含む組成物中の結晶形態Pの重量を、組成物中の化合物の合計重量で除算することによって求められる。一実施形態において、本発明は、化合物(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドを含む組成物であって、組成物中の化合物の重量基準で少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%が、化合物の結晶形態Pである、上記組成物を提供する。
【0106】
一態様において、本発明は、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Pを調製するための方法を提供する。一実施形態において、上記方法は、結晶形態Aまたは結晶形態Eを、DCM及び酢酸プロピルの混合物(またはDCM及び酢酸イソプロピル(IPAc)の混合物もしくはDCM及び酢酸エチル(EtOAc)の混合物)中、高温(例えば、50~95℃、55~90℃、60~90℃、85~90℃の範囲内または90℃の温度)で加熱及び撹拌して、結晶形態Pを生じさせることを含む。別の実施形態において、上記方法は、結晶形態Aまたは結晶形態Eを、DCM及びIPAcの混合物中、水(例えば、≧200ppm)の存在下、高温(例えば、65~90℃、80~95℃もしくは85~90℃、または85~88℃の範囲内)で加熱及び撹拌し、続いて、10~25℃または15~20℃の範囲内の温度に徐冷することを含む。具体的な実施形態において、上記方法は、混合物を60~80℃、60~75℃または65~70℃の範囲内の温度に冷却し、混合物をある期間(例えば、5~15時間、5~10時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間または15時間)にわたって撹拌した後、混合物を10~25℃または15~20℃の範囲内の温度に冷却することをさらに含む。
【0107】
なお別の態様において、本発明は、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Qを提供する。
【0108】
一実施形態において、結晶形態Qは、5.2°、8.5°、9.6°、10.5°、14.0°、15.7°及び17.3°から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6または少なくとも7のPXRDピークを特徴とする。別の実施形態において、結晶形態Qは、5.2°、8.5°、9.6°、10.5°、14.0°、15.7°及び17.3°から選択される2θ角度におけるPXRDピークを特徴とする。なお別の実施形態において、結晶形態Qは、5.2°、8.5°、9.6°、10.5°、11.3°、12.3°、14.0°、15.7°、17.3°、17.8°、17.9°、19.3°、19.9°、20.3°、21.5°、22.4°、23.0°、23.9°、24.4°、25.2°、26.1°及び27.5°から選択される2θ角度における少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21または少なくとも22のPXRDピークを特徴とする。いくつかの実施形態において、結晶形態Qに関して上記実施形態に記載されているピークは、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、または少なくとも15%の相対強度を有する。一実施形態において、結晶形態Qは、
図28に示されているPXRDパターンと実質的に同じであるPXRDパターンを有する。
【0109】
いくつかの実施形態において、結晶形態Qは、少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%純粋である。形態Qの純度は、化合物(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドを含む組成物中の結晶形態Qの重量を、組成物中の化合物の合計重量で除算することによって求められる。一実施形態において、本発明は、化合物(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドを含む組成物であって、組成物中の化合物の重量基準で少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.5%または99.9%が、化合物の結晶形態Qである、上記組成物を提供する。
【0110】
一態様において、本発明は、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの結晶形態Qを調製するための方法を提供する。一実施形態において、上記方法は、結晶形態Pを150℃に加熱することまたはサンプルを5%未満の相対湿度で数時間(例えば、1時間、2時間、5時間、10時間、15時間など)乾燥させることを含む。
【0111】
結晶形態B、C、D、E、F、H、J、K、L、M、N、PまたはQのPXRDパターンの2θ値は、機器によって僅かに変動し得ること、及びサンプル調製における変動に左右され得ることが理解されよう。そのため、これらの結晶形態のPXRDピーク位置は、絶対的であると解釈されるべきではなく、±0.2°変動し得る。
【0112】
本明細書において意図されているとき、「図xに示されているのと実質的に同じPXRDパターン」は、比較目的で、図xに示されているピークの少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%が存在することを意味する。図xは、
図1、
図3、
図5、
図8、
図10、
図12、
図14、
図16、
図17、
図18、
図19、
図21、
図23、
図24、
図26、
図27または
図28である。比較目的で、図xに示されているものからのピーク位置のいくらかの可変性、例えば、±0.2°が許容されることがさらに理解されるべきである。同様に、比較目的で、本明細書に記載されているDSC及びTGAプロファイルならびにNMRスペクトルに示されているものからのピーク位置のいくらかの可変性が許容される。例えば、ピーク位置は、
図7に示されているものから、例えば、±0.5ppm変動し得る。開始温度及び/または溶融温度は、
図2A、
図4A、
図6、
図9、
図11、
図13A、
図15、
図20、
図22、または
図25に示されているものから、例えば、±2℃変動し得る。
【0113】
一態様において、本発明は、本明細書に記載されている結晶形態、例えば、結晶形態B、C、D、E、F、H、J、K、L、M、N、PまたはQ、及び薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0114】
本発明の別の態様は、対象においてブルトン型チロシンキナーゼの阻害に応答する障害を処置する方法であって、上記対象に、有効量の結晶形態B、C、D、E、F、H、J、K、L、M、N、PもしくはQまたは結晶形態B、C、D、E、F、H、J、K、L、M、N、PもしくはQを含む組成物(例えば、医薬組成物)を投与することを含む、上記方法を提供する。
【0115】
上記の開示されている態様のいくつかの実施形態において、障害は、自己免疫障害である。上記の開示されている態様のいくつかのさらなる実施形態において、自己免疫障害は、多発性硬化症である。
【0116】
用語「自己免疫障害」には、天然抗原に対する不適切な免疫反応が関与する疾患または障害、例えば、急性播種性脳脊髄炎(ADEM)、アジソン病、円形脱毛症、抗リン脂質抗体症候群(APS)、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、水疱性類天疱瘡(BP)、セリアック病、皮膚筋炎、1型糖尿病、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギランバレー症候群(GBS)、橋本病、特発性血小板減少性紫斑病、エリテマトーデス、混合性結合組織疾患、多発性硬化症、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、シェーグレン症候群、側頭動脈炎、及びウェゲナー肉芽腫症が含まれる。用語「炎症性疾患」には、急性または慢性炎症が関与する疾患または障害、例えば、アレルギー、ぜんそく、前立腺炎、糸球体腎炎、骨盤内炎症性疾患(PID)、炎症性腸疾患(IBD、例えば、クローン病、潰瘍性結腸炎)、再かん流傷害、関節リウマチ、移植片拒絶反応、及び血管炎が含まれる。いくつかの実施形態において、本発明は、関節リウマチまたは紅斑性狼瘡を処置する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、多発性硬化症を処置する方法を提供する。
【0117】
用語「がん」には、異常な細胞成長及び/または増殖が関与する疾患または障害、例えば、神経膠腫、甲状腺癌、乳癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌)、胃癌、胃腸間質腫瘍、膵臓癌、胆管癌、卵巣癌、子宮内膜癌、前立腺癌、腎臓細胞癌、リンパ腫(例えば、未分化大細胞リンパ腫)、白血病(例えば、急性骨髄性白血病、T細胞白血病、慢性リンパ性白血病)、多発性骨髄腫、悪性中皮腫、悪性黒色腫、及び結腸癌(例えば、マイクロサテライト不安定性が高い大腸癌)が含まれる。いくつかの実施形態において、本発明は、白血病またはリンパ腫を処置する方法を提供する。
【0118】
本明細書において使用されているとき、用語「対象」及び「患者」は、互換可能に使用されてよく、処置を必要とする哺乳動物、例えば、コンパニオンアニマル(例えば、イヌ、ネコなど)、家畜(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギなど)及び実験動物(例えば、ラット、マウス、モルモットなど)を意味する。典型的には、対象は、処置を必要とするヒトである。
【0119】
本明細書において使用されているとき、用語「処置する」または「処置」は、所望の薬理学的及び/または生理学的効果を得ることを指す。当該効果は、治療的であってよく、以下の結果:疾患、障害もしくは症候群の程度を部分的もしくは全体に低減すること;障害に関連する臨床症状もしくは指標を改善もしくは改良すること;または疾患、障害もしくは症候群の進行を遅くする、阻害するもしくはその可能性を減少すること;の1以上を部分的または実質的に達成することを含む。
【0120】
対象に投与される、本明細書において提供される化合物またはその薬学的に許容可能な塩の有効用量は、10μg~500mgであり得る。
【0121】
本明細書に記載されている化合物を哺乳動物に投与することは、任意の好適な送達方法を含む。本明細書に記載されている化合物を哺乳動物に投与することは、哺乳動物に、本明細書に記載されている化合物を、局所的に、腸内に、非経口で、経皮的に、経粘膜的に、吸入を介して、嚢内に、硬膜外に、膣内に、静脈内に、筋肉内に、皮下に、皮内にまたは硝子体内に投与することを含む。本明細書に記載されている化合物を哺乳動物に投与することはまた、哺乳動物の体内でまたは体の表面において本明細書に記載されている化合物に代謝する化合物を、哺乳動物に、局所的に、腸内に、非経口で、経皮的に、経粘膜的に、吸入を介して、嚢内に、硬膜外に、膣内に、静脈内に、筋肉内に、皮下に、皮内にまたは硝子体内に投与することも含む。
【0122】
そのため、本明細書に記載されている化合物は、薬学的に許容可能なビヒクル、例えば、不活性希釈剤または同化可能な食用担体と組み合わせて、全身に、例えば、経口で投与されてよい。これらは、硬質もしくは軟質シェルゼラチンカプセルに封入されていてよく、錠剤に圧縮されてよく、または、患者の食餌の食物と共に直接取り込まれてよい。経口治療投与のために、本明細書に記載されている化合物は、1以上の賦形剤と組み合わされて、摂取可能な錠剤、口腔錠、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁剤、シロップ、またはオブラートなどの形態で使用されてよい。かかる組成物及び調製物は、少なくとも約0.1%の活性化合物を含有すべきである。組成物及び調製物の百分率は、当然ながら、変動してよく、好都合には、所与の単位剤形の重量の約2~約60%であってよい。かかる治療的に有用な組成物における活性化合物の量は、有効な投薬レベルが得られるようにすることができる。
【0123】
錠剤、トローチ、丸剤、カプセルなどは、以下:結合剤、例えば、トラガカントゴム、アカシア、コーンスターチもしくはゼラチン;賦形剤、例えば、リン酸二カルシウム;崩壊剤、例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸など;潤沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム;または甘味料、例えば、スクロース、フルクトース、ラクトースもしくはアスパルテームまたは香味料;を含み得る。
【0124】
活性化合物はまた、点滴または注射によって静脈内または腹腔内投与されてもよい。活性化合物またはその塩の溶液は、非毒性界面活性剤と任意選択的に混合されて、水中で調製されてよい。
【0125】
点滴または注射用の例示的な薬の剤形は、滅菌注射または点滴溶液または分散液の即時調製に適合される活性成分を含む滅菌水溶液または分散液または滅菌粉末を含み得る。全ての場合において、最終的な剤形は、製造及び保存条件下で無菌、流体状かつ安定であるべきである。
【0126】
滅菌注射溶液は、適切な溶媒中の所要量での活性化合物を上記に列挙されている種々の他の成分と組み合わせ、必要に応じて、続いて濾過滅菌することによって調製され得る。滅菌注射溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥及び凍結乾燥技術であり得、これらは、活性成分の粉末と、先に滅菌濾過された溶液に存在する任意のさらなる所望の成分とを生じさせることができる。
【0127】
例示的な固体担体として、微粉化した固体、例えば、タルク、クレイ、微結晶性セルロース、シリカ、アルミナなどを挙げることができる。有用な液体担体として、水、アルコールもしくばグリコールまたは水-アルコール/グリコールブレンドが挙げられ、本明細書に記載されている化合物は、任意選択的に非毒性界面活性剤の助けにより、有効なレベルで溶解または分散され得る。
【0128】
本明細書に記載されている化合物の有用な投薬量は、動物モデルにおけるこれらのin vitro活性及びin vivo活性を比較することによって決定され得る。マウス及び他の動物における有効投薬量をヒトに外挿するための方法が当該分野において公知であり;例えば、全体が参照により組み込まれる米国特許第4,938,949号を参照されたい。
【0129】
処置における使用に必要とされる、本明細書に記載されている化合物の量は、選択される具体的な塩によってだけでなく、投与経路、処置される状態の性質ならびに患者の年齢及び状態によっても変動し得、最終的には、主治医または臨床医の決定により得る。しかし、一般に、用量は、約0.1~約10mg/体重kg/日の範囲内であり得る。
【0130】
本明細書に記載されている化合物は、単位剤形で好都合に投与され得;例えば、単位剤形あたり0.01~10mgまたは0.05~1mgの活性成分を含有する。いくつかの実施形態において、5mg/kg以下の用量が好適であり得る。
【0131】
所望の用量は、好都合には、単回用量で、または、適切な間隔で投与される分割用量として提示されてよい。
【0132】
開示されている方法は、本明細書に記載されている化合物と、本明細書に記載されている化合物または本明細書に記載されている化合物を含む組成物を細胞または対象に投与することを説明し得る教材とを含むキットを含み得る。これは、当業者に公知である他の実施形態のキット、例えば、本明細書に記載されている化合物または組成物を細胞または対象に投与する前に本明細書に記載されている化合物または組成物を溶解または懸濁するための(例えば、滅菌)溶媒を含むキットを含むと解釈されるべきである。いくつかの実施形態において、対象はヒトであってよい。
【実施例】
【0133】
例証
粉末X線回折
化合物の結晶化度は、CuKa放射線(Bruker,Madison,WI)を用いるXRD-D8X線粉体回折計を用いて研究した。この機器は、長微細焦点X線管を備えている。管電圧及びアンペア数をそれぞれ40kV及び40mAに設定した。発散及び散乱スリットを1°に設定し、受け入れスリットを0.15mmに設定した。回折する放射線をLynxeye検出器によって検出した。3から42°の2θまで1.6°/分でθ~2θの連続走査を使用した。サンプルをゼロバックグラウンドプレートに置くことによって分析用に調製した。
【0134】
示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)
化合物の熱的特性をDiscovery Differential Scanning Calorimeter(DSC)(TA Instruments)及びDiscovery Thermogravimetric Analyzer(TGA)(TA Instruments)を使用して調査した。サンプルを、DSC分析用の密閉したアルミニウムDSCパン、及び、TGA分析用の開放したアルミニウムパンに入れた。熱分析をDSC及びTGAの両方の研究について10℃/分において25℃から300℃までの線形勾配で実施した。
【0135】
実施例1.結晶形態Aの調製
1.3-(3-ブロモ-ベンジルアミノ)-プロピオン酸エチルエステルの調製
【化2】
3-アミノプロピオン酸エチル(46.0g、0.3mol)及び3-ブロモベンスアルデヒド(55.5g、0.3mol)のMeOH(1.2L)中の溶液にトリエチルアミン(60.7g、0.6mol)及びNaCNBH
3(56.5g、0.9mol)を少しずつ添加した。得られた混合物を室温で4時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、残渣を水(600mL)で希釈した。混合物をEtOAc(3×500mL)で抽出した。合わせた有機層を塩水(100mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮して、3-(3-ブロモ-ベンジルアミノ)-プロピオン酸エチルエステル(46.5g、収率:54%)を淡黄色油として得た。
1H NMR (DMSO-d
6, 300 MHz): δ 7.52 (s, 1H), 7.40 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.31-7.25 (m, 2H), 4.04 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 3.67 (s, 2H), 2.69 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.42 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 1.17 (t, J = 6.9 Hz, 3H).
【0136】
2.3-[(3-ブロモ-ベンジル)-(トルエン-4-スルホニル)-アミノ]-プロピオン酸エチルエステルの調製
【化3】
3-(3-ブロモ-ベンジルアミノ)-プロピオン酸エチルエステル(45.6g、0.16mol)のピリジン(500mL)中の溶液に、TosCl(61.0g、0.32mol)を室温で添加した。反応混合物を120℃で16時間撹拌した。溶媒を真空中で除去して、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィによって精製して(石油エーテル:EtOAc=10:1~5:1)、3-[(3-ブロモ-ベンジル)-(トルエン-4-スルホニル)-アミノ]-プロピオン酸エチルエステル(61g、収率:88%)を淡黄色油として得た。
1H NMR (DMSO-d
6, 300 MHz): δ 7.74 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.49-7.41 (m, 4H), 7.31 (d, J = 5.1 Hz, 2H), 4.33 (s, 2H), 3.93 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 3.32 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.41 (s, 3H), 2.36 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 1.10 (t, J = 6.9 Hz, 3H).
【0137】
3.3-[(3-ブロモ-ベンジル)-(トルエン-4-スルホニル)-アミノ]-プロピオン酸の調製
【化4】
3-[(3-ブロモ-ベンジル)-(トルエン-4-スルホニル)-アミノ]-プロピオン酸エチルエステル(60.0g、0.14mol)のEtOH(600mL)及びH
2O(60mL)の混合溶媒中の溶液にNaOH(11.2g、0.28mol)を少しずつ添加し、反応溶液を60℃で4時間撹拌した。反応溶液を0℃に冷却し、濃HClによってpH=5まで酸性化した。溶媒を真空中で濃縮して残渣を得、これを、EtOAc(3×150mL)で抽出した。有機層をNa
2SO
4によって乾燥し、濾過し、真空中で濃縮して、3-[(3-ブロモ-ベンジル)-(トルエン-4-スルホニル)-アミノ]-プロピオン酸(45.2g、収率:78.6%)を白色固体として得た。
1H NMR (DMSO-d
6, 300 MHz): δ 12.28 (br, 1H), 7.74 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.49-7.41 (m, 4H), 7.32 (d, J = 5.1 Hz, 2H), 4.33 (s, 2H), 3.29 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 2.41 (s, 3H), 2.27 (t, J = 7.5 Hz, 2H).
【0138】
4.塩化3-[(3-ブロモ-ベンジル)-(トルエン-4-スルホニル)-アミノ]-プロピオニルの調製
【化5】
3-[(3-ブロモ-ベンジル)-(トルエン-4-スルホニル)-アミノ]-プロピオン酸(45.2g、0.11mol)のCH
2Cl
2(1000mL)中の溶液にDMF(1mL)及び塩化オキサリル(27.9g、0.22mol)を少しずつ滴加した。反応溶液を55℃で2時間撹拌した。混合物を真空中で濃縮して、粗製塩化3-[(3-ブロモ-ベンジル)-(トルエン-4-スルホニル)-アミノ]-プロピオニル(47.2g、収率:99%)を黒色油として得、これを、さらに精製することなく次の工程において用いた。
【0139】
5.8-ブロモ-2-(トルエン-4-スルホニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-ベンゾ[c]アゼピン-5-オンの調製
【化6】
塩化3-[(3-ブロモ-ベンジル)-(トルエン-4-スルホニル)-アミノ]-プロピオニル(47.0g、0.11mol)の無水CH
2Cl
2(1200mL)中の溶液にAlCl
3(29.3g、0.22mol)を室温で少しずつ添加した。反応混合物を55℃で2時間撹拌した。反応混合物を氷水(1.2L)に注入し、(500mL)で抽出した。有機層を真空中で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィによって精製して(石油エーテル:EtOAc=5:1~2:1)、8-ブロモ-2-(トルエン-4-スルホニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-ベンゾ[c]アゼピン-5-オン(35g、収率:81%)を白色固体として得た。
1H NMR (DMSO-d
6, 300 MHz): δ 7.65 (d, J = 8.4 Hz, 3H), 7.60-7.51 (m, 2H), 7.36 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 4.68 (s, 2H), 3.42 (t, J = 9.2 Hz, 2H), 2.96 (t, J = 6.3 Hz, 2H), 2.37 (s, 3H).
【0140】
6.[8-ブロモ-2-(トルエン-4-スルホニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル]-カルバミン酸tert-ブチルエステルの調製
【化7】
8-ブロモ-2-(トルエン-4-スルホニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-ベンゾ[c]アゼピン-5-オン(32.0g、0.08mol)のEtOH(600mL)中の溶液にNH
4OAc(18.5g、0.24mol)及びNaCNBH
3(14.9g、0.24mol)を室温で少しずつ添加した。次いで、反応混合物を95℃で16時間撹拌した。混合物を氷水(500mL)に注入し、次いで、EtOHを真空中で除去した。残渣をCH
2Cl
2(3×500mL)で抽出した。合わせた溶媒を濃縮した。残渣をCH
2Cl
2(300mL)に再溶解し、トリエチルアミン(12.2g、0.12mol)及び(Boc)
2O(34.6g、0.12mol)を室温で添加した。混合物を室温で4時間撹拌し、次いで、真空中で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィによって精製して(石油エーテル:EtOAc=8:1~2:1)、[8-ブロモ-2-(トルエン-4-スルホニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル(16.7g、収率:42%)を白色固体として得た。
1H NMR (DMSO d
6, 300 MHz): δ 7.62-7.51 (m, 2H), 7.47 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 7.41-7.34 (m, 3H), 7.10 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 4.81-4.74 (m, 1H), 4.53 (d, J = 15.0 Hz, 1H), 4.28 (d, J = 15.3 Hz, 1H), 3.64-3.57 (m, 1H), 3.41-3.30 (m, 1H), 2.35 (s, 3H), 1.85-1.77 (m, 1H), 1.69-1.63 (m, 1H), 1.36 (s, 9H).
【0141】
7.8-ブロモ-2-(トルエン-4-スルホニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イルアミンの調製
【化8】
[8-ブロモ-2-(トルエン-4-スルホニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル(14.8g、0.03mol)のHCl/EtOAc(150mL)中の溶液を25℃で4時間撹拌した。得られた固体を濾過し、MeOH及びEt
2Oで洗浄して、生成物8-ブロモ-2-(トルエン-4-スルホニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イルアミン(10.5g、収率:89%)を白色固体として得た。
1H NMR (DMSO-d
6, 300 MHz): δ 8.79 (br, 3H), 7.64-7.58 (m, 3H), 7.53 (s, 1H), 7.36 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.15 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 4.71-4.61 (m, 2H), 4.31 (d, J = 15.3 Hz, 1H), 3.82 (d, J = 18.3 Hz, 1H), 2.38 (s, 3H), 2.14-2.07 (m, 1H), 1.77-1.71 (m, 1H). LC-MS: m/z 395.0/397.0 [M+H]
+.
【0142】
8.8-ブロモ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-アミンの合成
【化9】
8-ブロモ-2-(トルエン-4-スルホニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イルアミン(2.00g、5.06mmol)のHBr(酢酸中33%溶液、20mL)中の溶液を50℃で12時間加熱した。室温に冷却後、混合物をEtOAc(50mL)で希釈した。白色固体を濾過によって収集し、真空中で乾燥して、粗生成物8-ブロモ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-アミン(1.66g、収率:82%)を得、これを次の工程において直接使用した。ESI-MS (M+H)
+ 241.1。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD) δ: 7.72-7.55 (m, 2H), 7.18 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 4.99-4.98 (m, 1H), 4.51 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 4.39 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 3.62-3.49 (m, 2H), 2.38-2.24 (m, 1H), 2.16-2.00 (m, 1H).
【0143】
9.5-アミノ-8-ブロモ-4,5-ジヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-2(3H)-カルボン酸tert-ブチルの合成
【化10】
8-ブロモ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-アミン(640mg、1.60mmol)及びトリエチルアミン(490mg、4.8mmol)のCH
2Cl
2(20mL)中の溶液に(Boc)
2O(314mg、1.44mmol)を添加した。混合物を室温で1時間撹拌した。CH
2Cl
2(100mL)で希釈した後、混合物を塩水(20mL×2)で洗浄した。有機相を真空中で濃縮し、残渣を分取HPLCによって精製して(移動相として0.05% NH
3.H
2Oを用いるCH
3CN/H
2O)、5-アミノ-8-ブロモ-4,5-ジヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-2(3H)-カルボン酸tert-ブチルを無色油として得た(364mg、収率:67%)。ESI-MS (M+H)
+:341.1。
【0144】
10.5-アミノ-8-ブロモ-4,5-ジヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-2(3H)-カルボン酸tert-ブチルのキラル分割により、(R)-5-アミノ-8-ブロモ-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[c]アゼピン-2-カルボン酸tert-ブチル化合物を(11bS)-4-ヒドロキシジナフト[2,1-d:1’,2’-f][1,3,2]ジオキサホスフェピン4-オキシド(1:1)と共に得た
【化11】
5-アミノ-8-ブロモ-4,5-ジヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-2(3H)-カルボン酸tert-ブチル(800g、2.34mol)にMeOH(4.8L)及びリン酸水素(S)-(-)-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイル(816.6g、2.34mol)を添加した。混合物を25℃で30分間撹拌し、黄色スラリーを形成した。スラリーを還流(70℃)にて撹拌して、黄色溶液を得た。混合物を濃縮乾固し、IPAc(3.44L)を添加した。混合物を70℃に加熱し、この温度で3時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、さらなる部のIPAc(3.44L)を添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌し続けた。スラリーを遠心分離機において濾過し、ケーキをそれぞれ7体積のIPAcで3回洗浄した。湿潤ケーキを簡単に乾燥して、(R)-5-アミノ-8-ブロモ-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[c]アゼピン-2-カルボン酸tert-ブチル化合物を白色固体としての(11bS)-4-ヒドロキシジナフト[2,1-d:1’,2’-f][1,3,2]ジオキサホスフェピン4-オキシドと共に得た(1:1)(515g。収率:64%([最大回収率50%とする]、91.3%ee)。再結晶プロセスを繰り返してeeを97.2%に増加することができる。
【0145】
11.(R)-8-ブロモ-5-(1-(tert-ブチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミド)-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[c]アゼピン-2-カルボン酸tert-ブチルの合成
【化12】
5-(tert-ブチル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-カルボキシレート(1.2当量)及びHATU(1.5当量)のDMF(20mL)中の溶液にトリエチルアミン(3.0当量)及び5-アミノ-8-ブロモ-4,5-ジヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-2(3H)-カルボン酸tert-ブチル(1当量)を添加した。混合物を室温で4時間撹拌した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製して(EtOAc/石油エーテル=1:2)、(R)-8-ブロモ-5-(1-(tert-ブチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミド)-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[c]アゼピン-2-カルボン酸tert-ブチルを黄色固体として得た(2.3g、収率:95%)。ESI-MS (M+H)
+:492.2。
【0146】
12.(R)-5-(1-(tert-ブチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミド)-8-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[c]アゼピン-2-カルボン酸tert-ブチルの合成
【化13】
(R)-8-ブロモ-5-(1-(tert-ブチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミド)-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[c]アゼピン-2-カルボン酸tert-ブチル(1当量)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ(1,3,2-ジオキサボロラン)(1.1当量)、KOAc(2.0当量)及びPd(dppf)Cl
2.DCM(0.05当量)の1,4-ジオキサン中の混合物を窒素下100℃で16時間撹拌した。室温に冷却後、混合物をEtOAcで希釈し、水で洗浄し、Na
2SO
4によって乾燥し、濃縮して、(R)-5-(1-(tert-ブチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミド)-8-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[c]アゼピン-2-カルボン酸tert-ブチルを得た。粗生成物を精製することなく次の工程に用いた。ESI-MS (M+H)
+:540.3。
【0147】
13.(R)-5-(1-(tert-ブチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミド)-8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[c]アゼピン-2-カルボン酸tert-ブチルの合成
【化14】
(R)-5-(1-(tert-ブチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミド)-8-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[c]アゼピン-2-カルボン酸tert-ブチル(5.4g、10.0mmol)のジオキサン/H
2O(100mL)中の溶液に4-クロロ-N-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-2-アミン(2.1g、10.0mmol)を添加し、K
2CO
3(2.8g、20.0mmol)及びPd(dppf)Cl
2(0.4g、0.5mmol)を添加した。混合物を窒素下100℃で16時間撹拌した。室温に冷却後、混合物を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製して(石油エーテル/EtOAc=1:3)、(R)-5-(1-(tert-ブチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミド)-8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[c]アゼピン-2-カルボン酸tert-ブチルを黄色固体として得た(3.2g、収率:55%)。ESI-MS (M+H)
+:586.7。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ: 8.42 (s, 1H), 8.19 (s, 1H), 8.02-7.87 (m, 3H), 7.68 (s, 1H), 7.54-7.49 (m, 2H), 7.06 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 5.63-5.58 (m, 1H), 4.83-4.67 (m, 1H), 4.51-4.47 (m, 1H), 4.02-4.00 (m, 1H), 3.93 (s, 3H), 3.65-3.62 (m, 1H), 2.14-2.12 (m, 2H), 1.72 (s, 9H), 1.41-1.38 (m, 9H).
【0148】
14.(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの合成
【化15】
(R)-5-(1-(tert-ブチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミド)-8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[c]アゼピン-2-カルボン酸tert-ブチル(3.2g、5.5mmol)のDCM(30mL)中の溶液にTFA(30mL)を添加した。混合物を室温で3時間撹拌した。溶媒を除去した。粗製物をMeOH(30mL)/水(20mL)に溶解した。混合物をNH
4OHによってpH=8~9に塩基性化し、DCM(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥し、濾過し、濃縮して、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドを灰色固体として得た(2.6g、収率:98%)。ESI-MS (M+H)
+:486.7。
【0149】
15.(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドの合成
【化16】
(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミド(500mg、1.0mmol)のMeOH(30mL)中の溶液にオキセタン-3-オン(216mg、3.0mmol)、ZnCl
2(682mg、5.0mmol)及びNaBH
3CN(189mg、3.0mmol)を添加した。混合物を50℃で3時間撹拌した。混合物を濃縮し、粗製材料をシリカゲルクロマトグラフィによって精製して(CH
2Cl
2:MeOHが20:1~15:1のグレード)、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミドを黄色固体として得た(307mg、収率:55%)。ESI-MS (M+H)
+:542.7。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD) δ: 8.54 (s, 1H), 8.42 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 8.04-7.98 (m, 3H), 7.71 (s, 1H), 7.49 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.24 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 5.59 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 4.79-4.75 (m, 1H), 4.71-4.69 (m, 3H), 4.00-3.83 (m, 6H), 3.09-3.05 (m, 1H), 3.94-2.88 (m, 1H), 2.29-2.21 (m, 1H), 2.07-2.04 (m, 1H), 1.75 (s, 9H).
【0150】
16.結晶形態Aの調製
化合物(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミド(1200g、2.47mol)を20Lの反応器に室温(25℃)で添加し、続いて24Lの1,2-ジクロロエタンを25℃で添加した。この溶液にオキセタン-3-オン(534g、24.7mol)、NaBH(OAc)3(523g、2.47mol)、及びAcOH(24mL、0.17当量)を添加した。さらなる量のNaBH(OAc)3(1046g、4.94mol)を反応器に室温で少しずつ添加した。混合物を25℃で16時間撹拌した。氷水(12kg)を室温で反応器にゆっくり添加した。有機層を分離し、水層をジクロロメタンで3回(3×12L)抽出した。合わせた有機層を塩水(20L)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮した。粗製材料をシリカゲルクロマトグラフィによって精製して(CH2Cl2:MeOH=20:1)、(R)-1-(tert-ブチル)-N-(8-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(オキセタン-3-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[c]アゼピン-5-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミド(化合物27)を得た。
【0151】
精製した化合物27(950g)及びEtOH(5L)を4時間激しく撹拌し、スラリーを濾過し、1LのEtOHで洗浄した。得られた湿潤ケーキを一定重量に達するまで真空下45℃で約24時間乾燥して、結晶形態Aを得た(960g、収率85.7%、純度99%)。
【0152】
実施例2.結晶形態Bの調製
約15mgの形態Aを0.2~1.2mLのジクロロメタン(DCM)溶媒に溶解して透明な溶液を得、溶液を磁気撹拌し(約800rpm)、続いて、析出物が現れるまたは抗溶媒の合計量が10.0mLに達するまで工程あたり0.1mLの抗溶媒トルエンを添加し、次いで、混合物を-20℃で6日間撹拌した。結晶形態Bを、PXRD、TGA及びDSCを使用して分析した。結晶形態BのPXRDパターンを
図1に示し、主要ピークを表1に列挙する。
図2Aに示されているように、140℃までで6.6%の重量損失がTGA曲線において観察された。87.1℃(ピーク温度)及び151.0℃(開始温度)において2つの吸熱を示すDSCプロファイルが
図2Aに示されており、87.1℃におけるピークは残存溶媒の存在に関連するものである。
1H NMRはDCMまたはトルエンを示さなかった。
【0153】
【0154】
形態Bの可変温度粉体X線回折(VT-PXRD)を、形態BのサンプルをN
2下130℃に加熱し、続いて30℃に冷却することによって実施した。
図2Bは、N
2あり及びなしでの30℃のサンプル、130℃のサンプル、ならびに30℃に冷却後のサンプルのPXRDパターンの重ね合わせを示す。形態BをN
2下130℃(この温度において全ての水を損失させる)に加熱した後、形態変換は観察されなかった。これは、形態Bが吸湿性無水物であることを示唆している。
【0155】
実施例3.結晶形態Cの調製
約15mgの形態Aを0.2~1.2mLのジメチルホルムアミド(DMF)溶媒に溶解して透明な溶液を得、溶液を磁気撹拌し(約800rpm)、続いて、析出物が現れるまたは抗溶媒の合計量が10.0mLに達するまで工程あたり0.1mLの抗溶媒トルエンを添加し、次いで、混合物を-20℃で2日間撹拌した。結晶形態CのPXRDパターンを
図3に示し、主要ピークを表2に列挙する。
図4Aに示されているように、100℃までで5.9%の重量損失がTGA曲線において観察された。鋭い溶融(153.3℃、開始温度)の前に102.5℃(ピーク温度)において吸熱を示すDSCプロファイルを
図4Aに示す。
【0156】
【0157】
形態Cの可変温度粉体X線回折(VT-PXRD)を実施した。形態Cのサンプルを、当該サンプルをN
2下30℃で20分間パージすることによって脱水し、次いでN
2下100℃に加熱し、続いて、30℃に冷却し、空気に20分間曝露した。
図4Bは、形態Cの参照サンプル、N
2なしでの30℃の初期サンプル、30℃にてN
2でパージしたサンプル、100℃に加熱したサンプル、30℃に冷却したサンプル、及び100℃から冷却後に空気に曝露したサンプルについてのPXRDパターンの重ね合わせを示す。
図4Bに示されているように、形態Cは、N
2によって30℃で20分間パージすることによる脱水の後に形態Lに変換される。形態Lは、約2.5時間の空気への曝露後に形態Cに変換して戻り、水を再吸収する。これは、形態Cが水和物であることを示唆している。
【0158】
実施例4.結晶形態Dの調製
約15mgの形態Aを、3/5mLのガラスバイアルにおいて0.6~4.0mLのメチルエチルケトン(MEK)溶媒に溶解した。溶液を、PTFE膜(細孔径0.45μm)を使用して濾過した。得られた視覚的に透明な溶液を、バイアルのキャップを開けた室温での蒸発に供した。固体を単離し、PXRDによって分析した(
図5及び表3)。形態Dは、
図7に示されている
1H NMRに基づいて、酢酸溶媒和物であるとされる。DSC分析は、形態Dが、153.7℃の開始温度及び173.2℃の溶融温度を有することを示す(
図6)。形態DのTGA分析は、10.1%の重量損失を示しており、形態Dが酢酸溶媒和物であることを示唆している(
図6)。
【0159】
【0160】
実施例5.結晶形態Eの調製
約15mgの形態Aを、1.5mLのガラスバイアルにおいて、0.3mLのアセトン/IPAc(1:9)に懸濁させた。懸濁液を次いで50℃に加熱し、30分間平衡にし、次いで、0.1℃/分の速度で5℃に徐冷した。得られた固体を3回循環させた後5℃で等温を維持した。
【0161】
代替的に、約15mgの形態Aを、1.5mLのガラスバイアルにおいて、0.3mLのMEK溶媒に懸濁させた。懸濁液を室温で5日間磁気撹拌した後、残存固体を単離した。
【0162】
別の実験において、約15mgの形態Aを、3mLのバイアルにおいて、0.5mLのCHCl3溶媒に溶解し、必要に応じて濾過して、透明な溶液を得た。この溶液を次いで4mLのn-ヘプタンを含む20mLのバイアルに入れた。20mLのバイアルをキャップで密閉し、室温で維持して、抗溶媒の蒸気を溶液と十分な時間相互作用させて形態Eを析出させた。
【0163】
別の実験において、約15mgの形態A及び2mgのイオン液体[bmim]PF6または[emim]SbF6を5mLのバイアルにおいて秤量し、固体を0.6~4.0mLのMeOAcまたはTHFに溶解した。バイアルを、低速蒸発のためのいくつかの小さい孔を有するパラフィルムを使用して密閉して、形態Eを得た。
【0164】
結晶形態EのPXRDパターンを
図8に示し、主要ピークを表4に列挙する。DSC分析は、形態Eが、161.5℃の開始温度及び167.8℃の溶融温度を有することを示す(
図9)。形態EのTGA分析は、1.6%の重量損失を示しており、形態Eが無水であることを示唆している(
図9)。
【0165】
【0166】
実施例6.結晶形態Fの調製
約15mgの形態Aを、1.5mLのガラスバイアルにおいて、0.3mLのMIBKに懸濁させた。懸濁液を次いで50℃に加熱し、30分間平衡にし、次いで、0.1℃/分の速度で5℃に徐冷した。得られた固体を3回循環させた後5℃で等温を維持した。
【0167】
代替的に、約15mgの形態Aを、1.5mLのガラスバイアルにおいて、0.3mLのMIBKに懸濁させた。懸濁液を室温で5日間磁気撹拌した後、残存固体を単離した。
【0168】
別の実験において、約15mgの形態Aを1.5mLのバイアルにおいて0.6~1.4mLのメタノールに懸濁させ、次いで濾過して、約2mgのポリマー混合物A(ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル(PVAC)、ヒプロメロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)の質量比1:1:1:1:1:1の混合物)を含有する新たな3mLのバイアルとした。溶液を室温で約3日間磁気撹拌して(約1000rpm)、形態Fを得た。
【0169】
結晶形態FのPXRDパターンを
図10に示し、主要ピークを表5に列挙する。DSC分析は、形態Fが、169.4℃の開始温度及び174.7℃の溶融温度を有することを示す(
図11)。形態FのTGA分析は、1.9%の重量損失を示しており、形態Fが無水であることを示唆している(
図11)。
【0170】
【0171】
実施例7.結晶形態Hの調製
約15mgの形態Aを、1.5mLのガラスバイアルにおいて、0.3mLの2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)に懸濁させた。懸濁液を次いで50℃に加熱し、30分間平衡にし、次いで、0.1℃/分の速度で5℃に徐冷した。得られた固体を3回循環させた後5℃で等温を維持した。
【0172】
結晶形態HのPXRDパターンを
図12に示し、主要ピークを表6に列挙する。結晶形態HについてのDSC分析は、形態Hが153.1℃の開始温度及び161.1℃の溶融温度を有することを示す(
図13A)。形態HのTGA分析は、8.9%の重量損失を示しており、形態Hが無水であることを示唆している(
図13A)。
【0173】
【0174】
形態Hのサンプルを125℃に加熱し、PXRDパターンを加熱前のサンプルのPXRDパターンと比較した。
図13Bは、形態Hのサンプルを125℃に加熱したとき形態の変換が観察されなかったことを示しており、形態Hが無水物であることを示唆している。
【0175】
実施例8.結晶形態Jの調製
約15mgの形態Aを、3/5mLのガラスバイアルにおいて、0.6~4.0mLのアニソールに溶解し、必要に応じてPTFE膜(0.45μmの細孔径)を使用して濾過して透明な溶液を得た。得られた溶液をバイアルのキャップをせず室温での蒸発に供し、形態Jを得た。
【0176】
形態Jは、
1H NMR、DSC、TGA及びPXRDに基づいて、水和物または吸湿性無水物であるとされる。結晶形態JのPXRDパターンを
図14に示し、主要ピークを表7に列挙する。
【0177】
【0178】
結晶形態JについてのDSC分析は、形態Jが145.2℃の開始温度及び150.2℃の溶融温度を有することを示す(
図15)。形態JのTGA分析は、4.6%の重量損失を示しており、形態Jが水和物または吸湿性無水物であることを示唆している(
図15)。
【0179】
実施例9.結晶形態Kの調製
結晶形態Kを、形態AをN
2保護下130℃に加熱することによって作製した。結晶形態KのPXRDパターンを
図16に示し、主要ピークを表8に列挙する。
【0180】
【0181】
実施例10.結晶形態Lの調製
結晶形態Lを、形態CをN
2保護下130℃に加熱することによって作製した。結晶形態LのPXRDパターンを
図17に示し、主要ピークを表9に列挙する。
【0182】
【0183】
実施例11.結晶形態Mの調製
結晶形態Mを、形態Fまたは形態Hをトルエン中、室温で2週間スラリー化することによって作製した。結晶形態MのPXRDパターンを
図18に示し、主要ピークを表10に列挙する。
【0184】
【0185】
実施例12.結晶形態Nの調製
2.0gの形態Aを、オーバーヘッド及びDean-Stark蒸留トラップを有する50mLのEasyMAx反応器を使用して、20体積のTHF中45℃で撹拌した。Tr-Tjを-20℃及びTj最大を110℃に設定して(Trは反応温度であり、Tjはジャケット温度である)、溶液を濃縮した。5Vの蒸留物を除去した後、反応器に5Vの酢酸イソプロピルを戻して仕込むと、析出物が形成し始めた。Tr-Tj=-20℃での蒸留を継続することで別の10Vの蒸留物を除去し、10Vの酢酸イソプロピルを戻して添加した。反応器の内容物をできるだけ速く20℃に冷却した。固体をブフナー漏斗において単離し、3時間吹き付けた。
【0186】
代替的に、1.0mLのTHF中の形態Aのスラリーを500rpmでマイクロ撹拌棒を使用して一晩撹拌した。スラリーを、次いで、マイクロ遠心分離機のエッペンドルフ管に移し、5000rpmで1分間回転させた。上清をデカントし、湿潤ケーキをPXRDによって分析して、形態Nであることが判った。
【0187】
結晶形態NのPXRDパターンを
図19に示し、主要ピークを表11に列挙する。結晶形態NについてのDSC分析は、形態Nが132.3℃の開始温度及び146.3℃の溶融温度を有することを示す(
図20)。
【0188】
【0189】
実施例13.結晶形態Pの調製
方法A:
フラスコ中およそ2gの形態Aを30mLのDCMに添加した。得られた混合物を撹拌して溶液とし、濾過した。フラスコを10mLのDCMで濯いだ。濾過の際、溶液が受け入れフラスコにおいてゲルになり、漏斗によりいくらかの目詰まりが観察された。ゲルに40mLの酢酸プロピルを添加し、スパチュラの助けにより混合して、酢酸プロピル中のゲル懸濁液を形成した。混合物を1大気圧でロータリーエバポレータ(真空でない)に置き、加熱浴温度を、200rpmで回転しながら、30分かけて25~90℃に増加させた。1時間後、ゲル混合物を、撹拌棒を付加することで混合を改良することによって280rpmで撹拌した。5時間後、スラリー全体を100mlのボトルに移し、250rpm(最小N2流)で90℃にて一晩撹拌し、形態Pを得た。
【0190】
結晶形態PのPXRDパターンを
図21に示し、主要ピークを表12に列挙する。結晶形態PについてのDSC分析は、形態Pが196.9℃の開始温度及び201.3℃の溶融温度を有することを示す(
図22)。形態PのTGA分析は、形態Pが2.2~2.6重量%の水を有する水和物であることを示唆している(
図22)。
【0191】
【0192】
2.9重量%の水を含む結晶形態Pを、方法Aに記載されているものと同様の手順を使用して調製した。ジクロロメタン(15V)及び酢酸n-プロピル(35V)を溶媒として使用した。DSC/TGAグラフを
図25に示す。2.9重量%の水を含む結晶形態Pを、すり鉢及びすりこぎを使用して水中で粉砕し、粘性スラリーを作製した。サンプルを迅速に調製し、Kaptonフィルムで覆い、PXRDによって分析した。形態Pを水中で粉砕した後のPXRDパターンにおいてピークシフトは観察されなかった。形態P及び水中で粉砕された形態PについてのPXRDパターンの重ね合わせを
図26に示す。
【0193】
方法B:
清浄な500Lのガラスライニング反応器に217kgのジクロロメタン及び22.0kgの化合物の形態Aを25~30℃で添加した。化合物が完全に溶解するまで混合物を30~35℃に加熱した。191kgの酢酸イソプロピルを反応器に45~50℃で投入した。ペリスタルティックポンプを使用して2L/分の流量に制御した。混合物を常圧蒸留によって約15.0V(体積)まで45~50℃で蒸留した。191kgの酢酸イソプロピルを反応器に60~82℃で投入した。ペリスタルティックポンプを使用して2L/分の流量に制御した。混合物を常圧蒸留によって約15Vまで60~82℃で蒸留した。191kgの酢酸イソプロピルを反応器に82~89℃で投入した。ペリスタルティックポンプを使用して2L/分の流量に制御した。混合物を常圧蒸留によって約15Vまで82~89℃で蒸留した。191kgの酢酸イソプロピルを反応器に85~89℃で投入した。ペリスタルティックポンプを使用して2L/分の流量に制御した。混合物を常圧蒸留によって約15Vまで85~89℃で蒸留した。150kgのH
2Oを反応器に85~88℃で投入した。ペリスタルティックポンプを使用して0.5L/分の流量に制御した。混合物を85~88℃で1時間撹拌した。混合物を65~70℃に冷却し、混合物を65~70℃で8時間撹拌した。次いで混合物を15℃/時間の速度で15~20℃まで3.0時間冷却した。遠心分離機を通して生成物を分離し、真空乾燥オーブンにおいて固体を65℃で24時間乾燥して、淡黄色固体(21.0kg)を形成した。含水率(0.40重量%)をカールフィッシャー(KF)分析によって求めた。結晶形態PのPXRDパターンを
図23に示す。
【0194】
方法C
1)清浄な100Lのジャケット付き反応器に、不活性条件下(窒素)で5.30kgのジクロロメタン、続いて2.623kgの形態Aを投入した。さらなる42.0kgのジクロロメタンを反応器に添加し、得られたスラリーをおよそ30~35℃に加熱し、化合物が完全に溶解するまで撹拌した。溶液を、不活性雰囲気下、予め清浄化されたドラム容器内に、5インチのTeflon膜カプセルフィルタ(0.22ミクロン)を通して濾過した。反応器をジクロロメタンで濯ぎ、濯ぎ溶液を、Teflonフィルタを通してドラムに移した。ドラムからの合わせたジクロロメタン溶液をジャケット付き反応器に戻して投入し、溶液を30~35℃に加熱した。
【0195】
2)ジャケット付き反応器における溶液が不透明であったとき、30~35℃の温度を維持しながら精製水(26kg)を反応器に添加した。得られた二相混合物を最低5分間撹拌し、次いで、相を沈降させた。底部の生成物含有有機層を容器にドレインし、頂部の水層を別の容器にドレインした。ジャケット付き反応器を精製水で濯ぎ、水層を含む容器にドレインした。有機層をジャケット付き反応器に戻して投入し、2)に記載されている工程を繰り返した。
【0196】
3)ジャケット付き反応器中の有機溶液を、不活性雰囲気下、予め清浄化されたドラム容器内に、5インチのTeflon膜カプセルフィルタ(0.22ミクロン)を通して濾過した。ジャケット付きを0.2μm濾過ジクロロメタン(4.2kg)で濯ぎ、濯ぎ溶液を、Teflonフィルタを通してドラムに移した。ドラム容器内の溶液をジャケット付き反応器に投入し、ドラム容器を0.2μm濾過ジクロロメタン(4.7kg)で濯いだ。最終体積がおよそ26Lとなるまでおよそ20~30℃のΔT(Tジャケット-Tバッチ)を維持しながら、ジャケット付き反応器における溶液を蒸留によって濃縮した。17.1kgの0.2μm濾過ジクロロメタンを反応器に添加し、溶液をおよそ30~35℃に冷却した。溶液の含水率を求め、≦300pmであった。
【0197】
4)68kgの0.2μm濾過酢酸イソプロピルを、不活性雰囲気下、別の容器に添加した。反応器における溶液を、ピストンポンプを使用して酢酸イソプロピルを反応器に同時に投入しながら、常圧蒸留によって濃縮した。濃縮の際、最終体積が約26Lに達するまでおよそ20~40℃のΔT(Tジャケット-Tバッチ)を維持した。
【0198】
5)33kgの0.2μm濾過酢酸イソプロピルを不活性雰囲気下で反応器に添加した。得られた溶液を、最終体積が40Lに達するまでおよそ20~30℃のΔT(Tジャケット-Tバッチ)を維持しながら、常圧蒸留によって濃縮した。
【0199】
6)溶液を65~90℃に冷却し、溶液を、不活性雰囲気下、最低12時間撹拌した。
【0200】
7)溶液をおよそ20~25℃に冷却し、反応器の内容物を、0.2μm濾過酢酸イソプロピルによって予め清浄化したフィルタ漏斗上に濾過した。フィルタ漏斗上の固体を窒素及び/または真空下で最低6時間乾燥し、0.5重量%の水を含む1960.9gの結晶形態Pを得た。PXRDパターンを
図24に示す。
【0201】
実施例14.結晶形態Qの調製
結晶形態Qを、形態Pを150℃に加熱すること、または、サンプルを5%未満の相対湿度で1時間を超えて乾燥することによって作製した。結晶形態QのPXRDパターンを
図28に示し、主要ピークを表13に列挙する。
【0202】