(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】温熱療法又は熱モニタと共に行われる電気刺激
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20240422BHJP
A61N 1/32 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
A61N1/36
A61N1/32
(21)【出願番号】P 2021562972
(86)(22)【出願日】2020-04-22
(86)【国際出願番号】 US2020029277
(87)【国際公開番号】W WO2020219521
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-11-25
(32)【優先日】2019-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、ブライアン エル.
(72)【発明者】
【氏名】スタイン、ベンジャミン キース
(72)【発明者】
【氏名】マイレ、キース アール.
(72)【発明者】
【氏名】リンダー、ウィリアム ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】カラム、アレクサンドラ
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/084021(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0096584(US,A1)
【文献】特開2011-078804(JP,A)
【文献】米国特許第04016886(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0004507(US,A1)
【文献】特表2013-544133(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0217356(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0261994(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0224665(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0350541(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0231694(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0061385(US,A1)
【文献】特表2016-523135(JP,A)
【文献】特表2017-518805(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/36
A61N 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数の電界を発生させるように構成される電界発生回路と、
前記電界発生回路と通信する制御回路であって、前記電界発生回路からの前記1つ又は複数の電界の送達を制御するように構成される制御回路と、
前記電界を患者の体内のがん性腫瘍の部位に送達するため
に少なくとも1つの電極対を形成する2つ以上の植込み型電極と、
前記がん性腫瘍の前記部位における組織の温度を測定するための植込み型温度センサであって、前記制御回路と電気的に通信する植込み型温度センサと、
前記制御回路と少なくとも1つの植込み型電極との間の電気的通信を提供する第一の植込み型リードであって、前記植込み型温度センサが当該第一の植込み型リード上に配置される第一の植込み型リードと、
を含み、
前記制御回路は、前記電界発生回路に10kHz~1MHzの範囲から選択される周波数で
、がん性細胞内の細胞有糸分裂を中断させるのに有効な1つ又は複数の電界を発生させ、
前記制御回路は、がん性腫瘍の部位における組織の温度をモニタするように構成されるとともに、
前記がん性腫瘍の部位における組織の熱破壊を防止するために前記1つ又は複数の電界を調整するように構成され
、
前記制御回路は前記1つ又は複数の電界の電力出力を演算し、当該電力出力及び前記少なくとも1つの電極対の前記2つ以上の植込み型電極間の距離に基づいて、前記1つ以上の電界内の組織の温度を推定する
植込み型医療機器システム。
【請求項2】
前記電界は
前記少なくとも1つの電極対の中の前記植込み型電極間に延び
る1つのベクトルに沿って送達される、請求項
1に記載の植込み型医療機器システム。
【請求項3】
前記植込み型温度センサは前記
少なくとも1つの電極対の中の前記植込み型電極間に位置付けられる、請求項
2に記載の植込み型医療機器システム。
【請求項4】
前記電界は少なくとも第一のベクトルと第二のベクトルとを横断して送達され、前記第一のベクトルは第一の電極対によって画定され、前記第二のベクトルは第二の電極対によって画定される、請求項1~
3の何れか一項に記載の植込み型医療機器システム。
【請求項5】
前記第一のベクトルに沿った電界と前記第二のベクトルに沿った電界は相互に空間的及び/又は方向的に離れている、請求項
4に記載の植込み型医療機器システム。
【請求項6】
少なくとも2つの電界発生回路を含み、第一の電界発生回路は植え込まれ、第二の電界発生回路は体外に設置される、請求項1~
5の何れか1項に記載の植込み型医療機器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の実施形態は、医療機器、及び体内組織内のがん性腫瘍を治療するための、その使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国がん協会によれば、がんは毎年、米国の死亡原因の約25%を占めるとされている。がん性腫瘍の現時点での標準ケアには、外科手術、放射線療法、及び化学療法等の一次治療が含まれ得る。追加的な二次治療には、放射性シード療法、寒冷療法、ホルモン又は生物製剤療法、焼灼等を含めることができる。一次治療と二次治療の組合せもまた、一方の特定の治療がそれ自体では奏功しない場合に、患者の利益となり得る。
【0003】
がん性腫瘍は、体の何れかの部分における1個の正常細胞が突然変異して成長を始め、その増殖の量が多すぎ、及び速度が速すぎると、形成される可能性がある。がん性腫瘍は、細胞分裂中に生じる細胞DNA又はRNAの遺伝子突然変異、電離放射線若しくは非電離放射線等の外的刺激、発がん性物質への暴露、又は遺伝子突然変異の結果であり得る。病因学にかかわらず、多くの癌性腫瘍は急速な細胞分裂を放置した結果である。
【発明の概要】
【0004】
第一の態様において、医療機器システムが含まれ、これは1つ又は複数の電界を発生させるように構成される電界発生回路と、電界発生回路と通信する制御回路と、を有する。制御回路は、電界発生回路からの1つ又は複数の電界の送達を制御するように構成されることができる。システムは、電界を患者の体内のがん性腫瘍の部位に送達するための2つ以上の電極と、がん性腫瘍の部位における組織の温度を測定するための温度センサであって、制御回路と電気的に通信する温度センサと、を含むことができる。制御回路は、電界発生装置に10kHz~1MHzの範囲から選択された周波数で1つ又は複数の電界を発生させることができる。
【0005】
第二の態様において、前述又は後述の態様の1つ又は複数に加えて、又は幾つかの態様の代わりに、システムは、制御回路と少なくとも1つの電極との間の電気的通信を提供する第一のリードを含むことができ、温度センサは第一のリード上に配置される。
【0006】
第三の態様において、前述又は後述の態様の1つ又は複数に加えて、又は幾つかの態様の代わりに、第一のリードは経皮的リードと完全植込みリードの少なくとも一方を含むことができる。
【0007】
第四の態様において、前述又は後述の態様の1つ又は複数に加えて、又は幾つかの態様の代わりに、少なくとも2つの電極は植込み型として構成される。
第五の態様において、前述又は後述の態様の1つ又は複数に加えて、又は幾つかの態様の代わりに、電界は電極対によって画定される少なくとも1つのベクトルを横断して送達される。
【0008】
第六の態様において、前述又は後述の態様の1つ又は複数に加えて、又は幾つかの態様の代わりに、温度センサは電極対間に位置付けられる。
第七の態様において、前述又は後述の態様の1つ又は複数に加えて、又は幾つかの態様の代わりに、温度センサはがん性腫瘍の中に挿入されるようになされる。
【0009】
第八の態様において、前述又は後述の態様の1つ又は複数に加えて、又は幾つかの態様の代わりに、電界は少なくとも2つのベクトルを横断して送達され、第一のベクトルは第一の電極対によって画定され、第二のベクトルは第二の電極対によって画定される。
【0010】
第九の態様において、前述又は後述の態様の1つ又は複数に加えて、又は幾つかの態様の代わりに、少なくとも2つのベクトルに沿った電界は相互に空間的及び/又は方向的に分離される。
【0011】
第十の態様において、前述又は後述の態様の1つ又は複数に加えて、又は幾つかの態様の代わりに、システムは少なくとも2つの電界発生回路を含むことができ、第一の電界発生回路は植え込まれ、第二の電界発生回路は体外に設置される。
【0012】
第十一の態様において、前述又は後述の態様の1つ又は複数に加えて、又は幾つかの態様の代わりに、システムは植込みハウジングをさらに含むことができ、植込みハウジングは内部空間を画定し、その中に電界発生回路及び制御回路が配置される。
【0013】
第十二の態様において、前述又は後述の態様の1つ又は複数に加えて、又は幾つかの態様の代わりに、温度センサはサーミスタ、抵抗温度計、サーモカップル、及び半導体系センサからなる群より選択される。
【0014】
第十三の態様において、医療機器システムが含まれ、これは、1つ又は複数の電界を発生させるように構成される電界発生回路と、電界発生回路と通信する制御回路であって、電界発生回路からの1つ又は複数の電界の送達を制御するように構成される制御回路と、を有する。システムは、少なくとも1つの電極対を形成して電界を患者の体内のがん性腫瘍の部位へと送達する2つ以上の電極を含むことができる。制御回路は、電界発生回路に10kHz~1MHzの範囲から選択される周波数で1つ又は複数の電界を発生させることができる。制御回路は電界の電力出力を計算して、電力出力及び電極対の電極間の距離に基づいて電界内の組織の温度を推定することができる。
【0015】
第十四の態様において、前述又は後述の態様の1つ又は複数に加えて、又は幾つかの態様の代わりに、医療機器システムは、電極対の電極間の距離に関するデータを受信するように構成される。
【0016】
第十五の態様において、前述又は後述の態様の1つ又は複数に加えて、又は幾つかの態様の代わりに、医療機器システムは、インピーダンスデータに基づいて電極対の電極間の距離を推定するように構成される。
【0017】
第十六の態様において、医療機器システムが含まれ、これは、1つ又は複数の電界を発生させるように構成される電界発生回路と、電界発生回路と通信する制御回路と、を有し、制御回路は、電界発生回路からの1つ又は複数の電界の送達を制御するように構成される。システムは、少なくとも1つの電極対を形成し、電界を患者の体内のがん性腫瘍の部位に送達する2つ以上の電極をさらに含むことができ、制御回路は、電界発生装置に10kHz~1MHzの範囲から選択される周波数で1つ又は複数の電界を発生させる。制御回路は、インピーダンス測定に基づいて電界内の組織の温度を推定できる。
【0018】
第十七の態様において、前述又は後述の態様の1つ又は複数に加えて、又は幾つかの態様の代わりに、制御回路はインピーダンス測定及び電極対の電極間の距離に基づいて電界内の組織の温度を推定する。
【0019】
第十八の態様において、前述又は後述の態様の1つ又は複数に加えて、又は幾つかの態様の代わりに、医療機器システムは、電極対の電極間の距離に関するデータを受信するように構成される。
【0020】
第十九の態様において、前述又は後述の態様の1つ又は複数に加えて、又は幾つかの態様の代わりに、制御回路は、測定されたインピーダンスの変化に基づいて電界内の組織の温度変化を推定する。
【0021】
第二十の態様において、前述又は後述の態様の1つ又は複数に加えて、又は幾つかの態様の代わりに、システムは加熱素子をさらに含むことができ、制御回路は加熱素子に熱を発生させる。
【0022】
この概要は、本明細書の教示の幾つかの大要であり、本明細書の主題を排他的又は網羅的に扱うものではない。さらに詳細な事柄は、詳しい説明及び付属の特許請求の範囲に記載されている。その他の態様は、当業者にとって、以下の詳しい説明を読んで理解し、また本明細書の一部を形成し、各々が限定的な意味に解釈されるべきではない図面を参照すれば明らかとなるであろう。本明細書の範囲は、付属の特許請求項及びその合法的均等物によって定義される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本明細書の各種の実施形態による医療システムの概略図。
【
図2】本明細書の各種の実施形態による医療システムの概略図。
【
図3】本明細書の各種の実施形態による例示的な治療パラメータのプロット。
【
図4】本明細書の各種の実施形態による例示的な治療パラメータのプロット。
【
図5】本明細書の各種の実施形態による医療機器の概略図。
【
図6】本明細書の各種の実施形態による医療機器の概略図。
【
図7】本明細書の各種の実施形態による医療機器の概略図。
【
図8】本明細書の各種の実施形態による医療機器の概略図。
【
図9】本明細書の各種の実施形態による医療機器の概略図。
【
図10】本明細書の各種の実施形態による医療機器の概略図。
【
図11】本明細書の各種の実施形態による医療機器の断面略図。
【
図12】本明細書の各種の実施形態による医療機器の構成要素の回路図。
【
図13】本明細書の各種の実施形態による方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0024】
実施形態には様々な改良や代替的な形態をとることができるが、その詳細事項を例及び図として示し、詳しく説明する。しかしながら、本明細書の範囲は説明されている特定の態様に限定されないと理解すべきである。反対に、本明細書の主旨と範囲に含まれる改良、均等物、及び代替物をカバーすることが意図される。
【0025】
前述のように、多くのがん性腫瘍は、放置された急速な細胞分裂の結果である可能性がある。がん性腫瘍を治療するための幾つかの従来の一次治療には、外科手術、放射線療法、及び化学療法を含めることができる。しかしながら、多くの一次治療には望ましくない副作用が付随し、その数例を挙げれば、疲労、脱毛、免疫抑制、及び術後回復の長期化である。
【0026】
理論に縛られることは意図されないが、電界はがん性腫瘍内の有糸分裂を中断させることができると考えられており、これは例えば、細胞分裂に関わる主要たんぱく質、特にチューブリン及びセプチンの双極配列を妨害することによる。微小管紡錘糸を形成するたんぱく質であるチューブリンの重合反応を中断させることができ、それゆえ、染色体分離に必要な紡錘糸の形成が阻止される。これは、有糸分裂の中期段階で細胞分裂を停止できる。幾つかの例において、電界はすでに成長している紡錘糸の重合反応を停止させることができ、これは、細胞がそこまで生き延びた場合に、後期における不完全な紡錘体及び不均等な染色体分離につながる。何れの場合も、微小管紡錘体形成の停止と、微小管の不完全な重合に起因する後期における不均等な染色体分離の結果、アポトーシス(すなわち、プログラム細胞死)がもたらされる可能性がある。また、交流電界は分裂終期において分裂細胞の分裂溝付近の電界密度を増大させることにつながると考えられている。分裂溝の領域における電界密度の増大は、たんぱく質及び核酸等の帯電巨大分子の分裂溝における高い電界密度に向かう誘電泳動を引き起こす可能性がある。分裂溝の部位において細胞分裂に必要な主要巨大分子の濃度が不均一になると、分裂終期の姉妹細胞の最後の分離を停止させ、最終的にアポトーシスにつながる可能性がある。
【0027】
温度は、電界の付与中に測定すべき重要なパラメータであり得る。幾つかの場合に、組織の熱破壊を制限及び/又は防止することが望ましい場合がある。そのため、組織の温度を(直接又は間接に)モニタすることにより、組織の熱破壊が発生し得るレベルまで温度が上昇するのを防止することができる。しかしながら、幾つかの実施形態において、加熱の程度と電界の印加との組合せが、治療効果を有し得る。それゆえ、幾つかの実施形態において、組織に熱を加えることが望ましい場合がある。
【0028】
そこで、本明細書で開示される各種の実施形態は、がん治療のための電界を発生させることのできる医療機器システムを含み、これは少なくとも1つの電極、及び/又は少なくとも1つの温度センサ若しくは少なくとも1つの加熱素子を含むことができ、又はそれを制御することができる。各種の実施形態において、腫瘍を治療するために、電界を発生させることができ、例えば加熱素子を介して熱を加えることができる。各種の実施形態において、温度センサを使って、電界又は加熱素子の付近の、若しくはその周囲の組織の温度をモニタして、例えば加熱中又は電界発生中の組織の変化を観察することができる。各種の実施形態において、医療機器は、組織の温度が閾値を超えたらオフになるか、又は治療を停止するように構成されることができる。
【0029】
ここで、
図1を参照すると、本明細書の各種の実施形態による医療機器100の概略図が示されている。医療機器100は、患者101の体内で、体内組織内にあるがん性腫瘍110の部位に、又はその付近に、完全に植え込むことができる。様々な植込み部位を使用でき、これには四肢、上半身、腹部、頭部等の領域が含まれる。
【0030】
次に
図2を参照すると、本明細書の各種の実施形態による医療機器200の別の概略図が示されている。医療機器200は体外型とすることができるが、少なくとも部分的に患者101の体内に植え込まれた、リード等の構成要素に接続できる。幾つかの実施形態において、医療機器200は、一部を植込み用、一部を患者の体外用とすることができる。幾つかの実施形態において、医療機器200は、体内及び体外に設置される構成要素間の経皮的接続を含むことができる。各種の実施形態において、本明細書に記載の医療機器システムは、植込み型医療機器100と体外用医療機器200を含むことができる。他の実施形態において、本明細書に記載の医療機器システムは、一部が植え込まれる医療機器を含むことができる。
【0031】
医療機器システムの植込み部分、例えば植込み型医療機器100又はその一部は医療機器200の完全又は部分的体外部分と、患者識別データ、診断情報、電界データ、生理学的パラメータ、ソフトウェアのアップデート等を無線接続上で無線通信することができる。植込み型医療機器100もまた、インダクタンス、無線周波数、及び音響エネルギ伝達方式等を利用して、医療機器を無線で変更するように構成された体外機器と無線通信することができる。
【0032】
幾つかの実施形態において、医療機器又はシステムの一部を完全に植え込むことができ、その医療機器の一部を完全に体外に設置することができる。例えば、幾つかの実施形態において、1つ又は複数の電極又はリードを完全に体内に植え込むことができ、他方で、医療機器のうち電界を発生させる部分、例えば電界発生器を完全に体外に設置することができる。本明細書に記載の幾つかの実施形態において、記載されている電界発生器はパルス発生器と同じ構成要素の多くを含むことができ、また、それと同じ機能の多くを実行するように構成されることができる。医療機器の一部が完全に植え込まれ、その医療機器の一部が完全に体外に設置される実施形態において、医療機器のうち完全に体外に設置される部分は、その医療機器のうち完全に体内に設置される部分と無線通信できる。しかしながら、他の実施形態では、植込み部分が体外部分と通信するために無線接続を使用できる。
【0033】
植込み型医療機器100及び/又は医療機器200は、ハウジング102と、ハウジング102に連結されたヘッダ104を含むことができる。ハウジング102の形成には様々な材料を使用できる。幾つかの実施形態において、ハウジング102は金属、セラミック、ポリマ、複合材料等の材料で形成できる。幾つかの実施形態において、ハウジング102又はその1つ若しくは複数の部分は、チタンで形成できる。ヘッダ104は各種の材料で形成できるが、幾つかの実施形態において、ヘッダ104はエポキシ材料等の半透明のポリマで形成できる。幾つかの実施形態において、ヘッダ104は中空とすることができる。他の実施形態では、ヘッダ104はエポキシ又は他の材料等の構成要素及び/又は構造材料で満たされ、中空でなくすることもできる。
【0034】
医療機器100又は200の一部が部分的に体外に設置される幾つかの実施形態において、ヘッダ104とハウジング102は、耐久性ポリマ材料で製作される保護ケーシングで取り囲むことができる。機器の一部が部分的に体外に設置される他の実施形態では、ヘッダ104とハウジング102は、ポリマ材料、金属材料、及び/又はガラス材料のうちの1つ又は複数で製作される保護ケーシングで取り囲むことができる。
【0035】
ヘッダ104は、1つ又は複数のリード106に連結できる。ヘッダ104は、1つ又は複数のリード106の基端部の固定を提供し、1つ又は複数のリード106をハウジング102内の1つ又は複数の構成要素に電気的に連結する役割を果たすことができる。1つ又は複数のリード106は、電気リード106の長さに沿って配置される1つ又は複数の電極108を含むことができる。幾つかの実施形態において、電極108は電界発生電極を含むことができ、他の実施形態において、電極108は電界検出電極を含むことができる。幾つかの実施形態において、リード106は電界発生及び電界検出の両電極を含むことができる。他の実施形態では、リード106は、電界検出及び電界発生の両方である、任意の数の電極を含むこともできる。リード106は、その中に1つ又は複数の導電体、例えば金属ワイヤを含み、電極とリードの基端部(又はプラグ)との間の電気通信を提供することができる。ワイヤは単線ストランド若しくは繊維を含むことができるか、又はケーブル等の多線型とすることができる。リード106はシャフトを含むことができ、これは典型的にポリマ材料又はその他の非導電性材料で形成され、その中で導電体がそこを通過することができる。リード106の基端部は、ヘッダ104に挿入でき、それによって電極108とハウジング102内の構成要素との間の電気通信が提供される。本明細書の医療機器の多くの実施形態はリードを使って機能するように設計されているが、本明細書では、電界を発生する、リードを持たない医療機器も想定されると理解されたい。
【0036】
各種の実施形態において、電極108は、がん性腫瘍等の腫瘍110の周囲又はそれに隣接して位置付けることができる。腫瘍110は、電極108により発生される電界の内に位置付けることができる。
【0037】
植込み型医療機器100及び/又は医療機器200により発生される電界は異なるものとすることができる。幾つかの実施形態において、植込み型医療機器100及び/又は医療機器200は、10kHz~1MHzの範囲から選択された周波数で1つ又は複数の電界を発生させることができる。
【0038】
幾つかの実施形態において、電界はがん性腫瘍の部位に特定の周波数又は一定の周波数範囲で印加することができる。しかしながら、幾つかの実施形態において、電界はある周波数範囲にわたり掃引することによってがん性腫瘍の部位に印加することができる。一例として、ここで
図3を参照すると、例示的プロット312は電極108により送達される交流電界を示しており、周波数は時間と共に増大する。同様に、
図4は、プログラムされた治療パラメータ中の例示的プロット414において、時間の関数としての周波数の変化を示している。幾つかの実施形態において、周波数掃引は最小周波数から最大周波数への掃引を含むことができる。幾つかの実施形態において、周波数掃引は最大周波数から低い方の最小周波数への掃引を含むことができる。他の実施形態において、最小周波数から高い方の最大周波数への掃引と、最大周波数から低い方の最小周波数への掃引は、電界発生回路からの電界送達の持続時間中に、希望に応じた回数だけ繰り返すことができる。
【0039】
周波数掃引中に治療が進むと、周波数範囲を交互にして、ある集団内の細胞が治療に応答して大きさと数を変化させたときに、より多くの細胞を標的にできるようにすることが望ましい場合がある。例えば、幾つかの実施形態において、周波数掃引は、約100kHz~300kHzの範囲をカバーする第一の周波数掃引と、約200kHz~500kHzの範囲をカバーする第二の周波数掃引との間で交代させることを含むことができる。前述の第一及び第二の周波数範囲を通じた掃引は、治療の過程を通じて無制限に実行できると理解されたい。幾つかの実施形態において、第二の周波数掃引(範囲)は第一の周波数掃引(範囲)より高い周波数とすることができる。幾つかの実施形態において、第一の周波数掃引(範囲)は、第二の周波数掃引(範囲)より高い周波数とすることかできる。
【0040】
第一及び第二の周波数範囲の周波数範囲は、上述又は後述の特定の周波数を含む何れの範囲とすることもできるが、ただし、各範囲の下端は各範囲の上端より小さい値であることが条件である。時々、第一及び第二の周波数掃引の周波数範囲内に、ある程度の重複があることが有利であり得る。
【0041】
医療機器及びシステム
次に
図5を参照すると、本明細書の各種の実施形態による医療機器500の概略図が示されている。各種の実施形態において、医療機器500は、1つ又は複数の電界を発生させるように構成された少なくとも1つの電界発生回路を含むことができる。電界発生回路は、ハウジング102内に配置できる。医療機器500は、電界発生回路と通信可能な制御回路構成をさらに含むことができる。制御回路構成は、電界発生回路からの1つ又は複数の電界の送達を制御するように構成されることができる。各種の実施形態において、制御回路構成は、電界発生回路に10kHz~1MHzの範囲から選択された周波数で1つ又は複数の電界を発生させる。各種の実施形態において、医療機器500は植込みハウジング102を含むことができる。植込みハウジング102は内部空間を画定でき、その中に電界発生回路と第一の制御回路が配置される。
【0042】
幾つかの実施形態において、医療機器500は1つ又は複数のリード106、例えば2つのリード106を含むことができる(ただし、本明細書では3、4、5、6、又はそれ以上のリードを有する実施形態も直接想定される)。幾つかの実施形態において、リード106の少なくとも1つは、
図5に示されるように、完全に植え込み、すなわち完全に患者の皮膚516の下に設置できる。幾つかの実施形態において、複数のリード106、例えば2つのリード106、3つのリード106、4つのリード106、5つのリード106、又は6つのリード106が完全に植え込まれる。幾つかの実施形態において、少なくとも2つの電極108は植え込まれて、完全に植え込まれているリード106上に配置される。各種の実施形態において、リード106は
図8に示されるように、患者の皮膚516を横断して延びる経皮的リードとすることができる。
【0043】
各種の実施形態において、医療機器500は2つ以上の電極108を含むことができる。電極108は、電界をがん性腫瘍110の部位に送達するように構成されることができる。各種の実施形態において、リード106は制御回路構成と少なくとも1つの電極108との間の電気通信を提供できる。各種の実施形態において、電界は、2つ以上の電極108により形成される電極対108により画定される少なくとも1つのベクトル520を横断して送達できる。幾つかの実施形態において、電界は少なくとも2つのベクトルを横断して送達できる。幾つかの実施形態において、第一のベクトルは第一の電極対により画定でき、第二のベクトルは第二の電極対により画定できる。
【0044】
温度センサ
幾つかの実施形態において、医療機器は少なくとも1つの温度センサ518を含むことができる。温度センサ518は、腫瘍110の部位における組織の温度を測定し、例えば電界発生の結果であり得る温度変化又は加熱素子による加熱の結果であり得る変化をモニタするように構成されることができる。温度センサ518は、制御回路構成と電気的に通信できる。幾つかの実施形態において、医療機器は少なくとも1つの温度センサ519を含むことができ、これは、例えば健康な組織内等、治療対象領域の中にない組織内に配置される。治療領域から離れた温度センサ519は、治療の結果である温度変化を特定するために温度センサ518と共に使用できる。
【0045】
本明細書では、様々な種類のセンサを温度センサとして使用できる。幾つかの実施形態において、温度センサ518は、サーミスタ、抵抗温度計、サーモカップル、半導体系センサ、バイメタリックデバイス、温度計、状態変化センサ、光学温度センサ(赤外線センサ等)及びその他からなる群より選択できる。
【0046】
幾つかの実施形態において、温度センサ518はリード106上に配置できる。幾つかの実施形態において、複数の温度センサ518を1つのリード106上に配置できる。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの温度センサ518がリード106の各々の上に配置される。複数のリード106を有する幾つかの実施形態において、リード106の少なくとも2つは、リード106上に配置された温度センサ518を有することができる。
【0047】
本明細書の幾つかの実施形態において、温度センサは長期的に植え込むことができる。幾つかの実施形態において、温度センサは1、2、4、8、12、24、52週間、若しくはそれ以上、又はこれらの何れかの値の間の範囲内に含まれる量より長い期間にわたり植え込むことができる。しかし、幾つかの実施形態において、温度センサは一時的に植え込むことができる。幾つかの実施形態において、温度センサは2日、1日、12時間、4時間、2時間、若しくは1時間、又はこれらの何れかの値の間の範囲内に含まれる量より短い期間にわたり植え込むことができる。幾つかの実施形態において、温度センサ518は着脱式とすることができ、その場合、これは医療機器が安全又は予想通りの方法で治療を送達していることが確認されたところで取り外すことができる。各種の実施形態において、電極108の植込み中、着脱式の温度センサを植え込むことができる。着脱式の温度センサは例えば電極の植え込み中に、1つ又は複数の電極の付近の組織の温度を測定するように構成されることができる。着脱式の温度センサは、一時的に挿入されたリード、イントロデューサシース、ガイドワイヤ、デリバリカテーテル、その他の種類のカテーテル、又はその他の種類の外科的若しくは植込み器具に装着できる。
【0048】
幾つかの実施形態において、患者には、例えば医療機器が植え込まれた後等に温度スキャンを行うことができる。温度スキャンは、体外機器又はコンポーネントにより実行できる。温度スキャンは、患者の体内の組織、例えば電極付近の組織の温度を特定できる。温度スキャンにより、例えば医療機器による治療中等に、より侵襲性の低い方法で患者の体内の様々な組織の温度をモニタできるようにすることが可能となる。
【0049】
温度スキャンは様々な方法で実行できると理解されたい。例えば、温度スキャンは、赤外線サーモグラフィ(IRT)、赤外線温度計、サーマルイメージング、サーマルビデオ、アンチモン化インジウム(InSb)デバイス、テルル化カドミウム水銀(MCT)デバイス、その他を使って実行できる。
【0050】
電力出力に基づく温度推定
幾つかの実施形態において、制御回路構成は電界の電力出力を計算するように構成されることができる。制御回路はまた、例えば電力出力及び電極対の電極108間距離に基づいて、電界内の組織の温度を推定するように構成されることもできる。電力(ワット)は、以下のように電流と抵抗/インピーダンスに関係付けられる:Pavg=I2
rms
*R。1ワットは1ジュール/秒と等しい。伝達される熱はq=mCpΔT又はΔT=q/mCpとして特定でき、式中、qはエネルギ(キロジュール)、mは質量、Cpは組織の比熱容量、ΔTは温度変化である。それゆえ、ΔTはI2
rms
*R/mCpとして概算できる。幾つかの実施形態において、電極間の距離(D)は質量の代わりとして使用できる。それゆえ、幾つかの実施形態において、ΔTはI2
rms
*R/DCpとして概算できる。組織の比熱容量は、約3.6~3.9kJkg-1K-1とすることができる。
【0051】
幾つかの実施形態において、制御回路は温度変化に基づいて電力出力を推定するように構成されることができる。具体的には、上述の等式を再構成してΔTに基づいてPavgを解くことができる。
【0052】
幾つかの実施形態において、医療機器500は、電極対の2つの電極108間の距離に関するデータを受信して、例えば電界内の組織の温度を推定するように構成されることができる。幾つかの実施形態において、医療機器500は2つの電極間の距離に関するデータを使用者から受信できる。ある例として、使用者はプログラミング段階中に距離を入力できる。幾つかの実施形態において、使用者、例えば医師は蛍光鏡又は超音波画像機器等の画像機器を使って2つの電極108間の距離を特定できる。すると、このデータを医療機器500に入力できる。別の実施形態において、医療機器500は、例えば2つの電極108間のインピーダンスデータに基づいて、電極対の電極108間の距離を推定するように構成されることができる。
【0053】
インピーダンスの関数としての温度
幾つかの実施形態において、制御回路構成は、例えばインピーダンス測定に基づいて電界内の組織の温度を推定するように構成されることができる。幾つかの実施形態において、制御回路構成は、例えばインピーダンス測定と電極対の電極108間距離に基づいて電界内の組織の温度を推定するように構成されることができる。医療機器500は、電極対の電極108間の距離に関するデータを受信するように構成されることができる。別の実施形態において、制御回路構成は、例えば測定されたインピーダンスの変化に基づいて電界内の組織の温度変化を推定するように構成されることができる。
【0054】
各種の実施形態において、組織のインピーダンスは組織の温度の変化に伴って変化する可能性がある。これらのインピーダンスの変化は、特徴付けて、治療機器に関する既知のデータと比較できる。その後、インピーダンス測定を組織の推定温度と相関させることができる。
【0055】
次に
図6を参照すると、本明細書の各種の実施形態による医療機器500の概略図が示されている。幾つかの実施形態において、医療機器500は電極対108間に位置付けられた温度センサ518を含むことができる。幾つかの実施形態において、温度センサ518は腫瘍110に挿入されるようになすことができる。
【0056】
幾つかの実施形態において、温度センサ518がその上に配置されるリード106は電極を含まない。幾つかの実施形態において、リード106は複数の温度センサ518を含むことができる。
【0057】
温熱療法
幾つかの実施形態において、医療機器500により送達される療法は、電界を発生させることと、腫瘍110で熱を発生させることとを含むことができる。
図7は、本明細書の各種の実施形態による医療機器500の概略図である。幾つかの実施形態において、医療機器500は加熱素子722を含むことができる。加熱素子722は、熱を発生させるように構成されることができる。各種の実施形態において、加熱素子722は電極が電界を発生させるのと同時に熱を発生できる。
【0058】
加熱素子722は、熱を発生させ、様々な手段を通じて組織が加熱されるようにすることができる。幾つかの実施形態において、加熱素子722は伝導を通じて組織を加熱するように動作してもよい。例えば、加熱素子722はそれ自体の温度がジュール熱を通じて上昇してよく(オーム又は抵抗加熱として知られる)、これは電気抵抗を有するコンポーネントに電流を流すことによって行うことができる。例えば、直接露出した、又は他の材料中に埋め込まれたニクロム(ニッケル/クロムが80/20)ワイヤ、リボン、又はストリップを加熱素子722として使用でき、その温度が上がると、それは熱伝導を通じて周囲の組織を加熱できる。他の様々な材料も加熱素子として使用できる。幾つかの実施形態において、加熱素子722は電磁放射を発してよく、するとこれは周囲の組織により吸収されて、その温度が上昇する。例えば、加熱素子722は赤外線発光器を含むことができ、これは電磁放射を発生させ、それを周囲の組織が吸収し、その温度が上昇し、これを放射加熱の例とすることができる。幾つかの実施形態において、加熱素子722は伝導と放射の両方を通じて組織に熱を提供できる。
【0059】
幾つかの実施形態において、制御回路構成は、加熱素子722に熱を発生させる。幾つかの実施形態において、制御回路構成は、インピーダンス測定に基づいて電界内の組織の温度を推定する。幾つかの実施形態において、制御回路構成は電力測定に基づいて電界内の組織の温度を推定する。
【0060】
各種の実施形態において、1つ又は複数の加熱素子722はリード106上に配置できる。幾つかの実施形態において、加熱素子722を含むリード106は電極108を含まない。
【0061】
幾つかの実施形態において、
図8に示されるように、リード106は少なくとも1つの加熱素子722と少なくとも1つの電極108を含むことができる。
図8は、本明細書の各種の実施形態による医療機器500の概略図を示す。医療機器500はハウジング102(これはこの例においては体外ハウジングとすることができる)と1つ又は複数のリード106を含むことができる。
【0062】
医療機器500は、1つ又は複数の経皮的リード106、例えば患者の皮膚516を貫通する、又は通過するリード106を含むことができる。各種の実施形態において、少なくとも2つの電極108が植え込まれ、経皮的リード106上に配置される。各種の実施形態において、少なくとも2つの電極108が植え込まれて、経皮的リード106上に配置され、例えば少なくとも1つの電極108が2つの異なる経皮的リード106上にある。
【0063】
体外電源
幾つかの場合に、本明細書において機器はかなりの量の電力を消費し得る。例えば、ジュール加熱はかなりの量の電力を消費し得る。完全に植え込まれたコンポーネントの電力容量は、幾分限定され得る(例えば、植え込まれたバッテリにより提供される総電力容量には限界がある)。そのため、幾つかの実施形態において、システムは体外電源から体内(植え込まれた)コンポーネントに電力を送達するように構成されてよい。
【0064】
図9は、本明細書の各種の実施形態による医療機器500の概略図を示す。医療機器500は植込みハウジング902と1つ又は複数の完全植込みリード906を含むことができる。植込みリード906は電極108を含むことができる。医療機器500は、体外ハウジング924を含むことができる。幾つかの実施形態において、体外電源を体外ハウジング924の中に配置できる。各種の実施形態において、植込みハウジング902は、体外ハウジング924と無線通信し、例えば治療の送達に関するデータ又は情報を交換できる。
【0065】
幾つかの実施形態において、制御回路構成は植込みハウジング902又は体外ハウジング924の一方の中に配置できる。幾つかの実施形態において、制御回路構成は少なくとも部分的に植込みハウジング902及び体外ハウジング924の中に配置できる。
【0066】
幾つかの実施形態において、経皮的リード106は無線電力伝送接続940を含むことができる。無線電力伝送接続940は、体外ハウジング924、例えば体外ハウジング924内の電源と植込みリード106との間に経皮的に確立できる。幾つかの実施形態において、医療機器500は誘導電力伝送リンクを含むことができ、これは体の外部からシステムの植え込まれたコンポーネントへと電力を伝送する体内インダクタ942と体外インダクタ944のペアを含む。誘導電力伝送リンクにより、体外電源から体内コンポーネントへの電力の伝送を可能にすることができ、それによって今度は、皮膚516を穿刺せずに、又はそれ以外に患者の皮膚516を通じた開口若しくはトンネルの保持を必要とせずに、電界が発生されるようにし、又は熱が発生されるようにすることができる。
【0067】
各種の実施形態において、完全植込みリード906は電極108を含むことができ、加熱素子722無しでもよく、経皮的リード106は、1つ又は複数の加熱素子722を含むことができる。幾つかの実施形態において、体外ハウジング924は電源を含み、例えば加熱素子722に電源供給することができる。
【0068】
次に
図10を参照すると、本明細書の各種の実施形態による医療機器500の概略図が示されている。幾つかの実施形態において、電界は少なくとも2つのベクトル520、920を横断して送達できる。第一のベクトル520は第一の電極対108により画定でき、第二のベクトル920は第二の電極対108により画定できる。各種の実施形態において、第一のベクトル520と第二のベクトル920は実質的に相互に直交することができる。
【0069】
幾つかの実施形態において、医療機器500は少なくとも2つの電界発生回路を含むことができる。各種の実施形態において、第一の電界発生回路は、例えばハウジング902内で植え込むことができ、第二の電界発生回路は、例えばハウジング924内で体外型とすることができる。
【0070】
次に
図11を参照すると、本明細書の各種の実施形態による医療機器1100の概略断面図が示されている。ハウジング102は内部空間1102を画定することができ、これは中空とすることができ、幾つかの実施形態において、医療機器1100の外部領域1104から密閉される。他の実施形態では、ハウジング102には構成要素及び/又は構造的材料を満たすことができ、それによって中空ではなくなる。医療機器1100は、制御回路構成1106を含むことができ、これはハウジング102内に配置された各種の構成要素1108、1110、1112、1114、1116、及び1118を含むことができる。幾つかの実施形態において、これらの構成要素は統合することができ、他の実施形態ではこれの構成要素は別々とすることができる。また別の実施形態では、これらは統合された構成要素と別々の構成要素の組合せとすることができる。医療機器1100はまた、アンテナ1124も含むことができ、それによって例えば体外機器又は体外電源との一方向又は両方向無線データ通信が可能となる。幾つかの実施形態において、医療機器1100の構成要素は、そこに通信可能に連結されるか、又は取り付けられて、再充電回路構成を介した医療機器の経皮的再充電を容易にする誘導エネルギレシーバコイル(図示せず)を含むことができる。
【0071】
制御回路構成1106の各種の構成要素1108、1110、1112、1114、1116、及び1118は、マイクロプロセッサ、メモリ回路(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び/又はリードオンリメモリ(ROM)等)、レコーダ回路構成、コントローラ回路、テレメトリ回路、電源回路(バッテリ等)、タイミング回路、及び特定用途集積回路(ASIC)、再充電回路、その他を含むことができるが、これらに限定されない。制御回路構成1106は電界発生回路1120と通信でき、これは1つ又は複数の電界を作るための電流を発生させるように構成されることができる。電界発生回路1120は、制御回路構成1106と統合することができるか、又は制御回路構成1106とは別の構成要素とすることができる。制御回路構成1106は、電界発生回路1120からの電流の送達を制御するように構成されることができる。幾つかの実施形態において、電界発生回路1120は、医療機器のうち体外にある部分の中にあるようにすることができる。
【0072】
幾つかの実施形態において、制御回路構成1106は、電界発生回路1120に対し、リード106を介して電界を体内組織の中にあるがん性腫瘍の部位へと送達することを指示するように構成されることができる。他の実施形態において、制御回路構成1106は、電界発生回路1120に対し、電界を医療機器1100のハウジング102を介して体内組織内にあるがん性腫瘍の部位へと送達することを指示するように構成されることができる。他の実施形態では、制御回路構成1106は、電界発生回路1120に対し、電界をリード106と医療機器1100のハウジング102との間に送達することを指示するように構成されることができる。幾つかの実施形態において、1つ又は複数のリード106は電界発生回路1120と電気的に通信できる。
【0073】
幾つかの実施形態において、医療機器1100内の各種の構成要素は、電界検出回路1122を含むことができ、これは検出した電界に対応する信号を発生するように構成される。電界検出回路1122は、制御回路構成1106に統合することができるか、又はそれは制御回路構成1106とは別とすることもできる。
【0074】
検出電極は、医療機器のハウジング上に、若しくはそれに隣接して、ハウジングに接続された1つ若しくは複数のリード上に、腫瘍の付近若しくはその中に植え込まれた別の機器に、又はこれらの場所の何れの組合せにも配置できる。幾つかの実施形態において、電界検出回路1122は、第一の検出電極1132と第二の検出電極1134を含むことができる。その他の実施形態では、ハウジング102自体が電界検出回路1122のための検出電極の役割を果たすことができる。電極1132及び1134は、電界検出回路1122と通信することができる。電界検出回路1122は、第一の電極1132と第二の電極1134との間の電位差(電圧)を測定できる。幾つかの実施形態において、電界検出回路1122は、第一の電極1132又は第二の電極1134と1つ又は複数のリード106に沿って配置された電極との間の電位差(電圧)を測定できる。幾つかの実施形態において、電界検出回路は、検出された電界を測定し、電界強度をV/cmの単位で記録するように構成されることができる。
【0075】
電界検出回路1122はそれに加えて、第一の電極1132又は第二の電極1134とハウジング102自体との間の電位差を測定することもできると理解されたい。他の実施形態では、医療機器は第三の電極1136を含むことができ、これは電界検出電極とすることも、電界発生電極とすることもできる。幾つかの実施形態において1つ又は複数の検出電極は、リード106に沿って配置でき、電界を検出するための追加の場所としての役割を果たすことができる。本明細書の実施形態によれば、1つ又は複数のリード106の長さに沿って配置された電極とハウジング102との間の電位差を測定するための多くの組合せを想像できる。
【0076】
幾つかの実施形態において、1つ又は複数のリード106は、電界発生回路1120と電気的に通信できる。1つ又は複数のリード106は、
図1及び2に示されるように、1つ又は複数の電極108を含むことができる。幾つかの実施形態において、各種の導電体、例えば導電体1126及び1128がヘッダ104からフィードスルー構造1130を通って医療機器1100の内部空間1102へと通過できる。そのため、導電体1126及び1128は、1つ又は複数のリード106とハウジング102の内部空間1102内に配置された制御回路構成1106との間の電気通信を提供する役割を果たすことができる。
【0077】
幾つかの実施形態において、レコーダ回路構成は、電界検出回路1122により生成されたデータを記録し、それに関するタイムスタンプを記録するように構成されることができる。幾つかの実施形態において、制御回路構成1106は各種の機能を実行するために結線接続することができ、他の実施形態では、制御回路構成1106に、マイクロプロセッサ又はその他の外部演算装置で実行される命令を実装するように命令することができる。テレメトリ回路もまた、プログラマ、家庭用ユニット、及び/又は移動ユニット(例えば、携帯電話、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータ、その他)等の外部演算装置との通信のために提供できる。
【0078】
本明細書に記載の医療機器の各種の実施形態の要素は、
図12に示されている。しかしながら、幾つかの実施形態は
図12に示されるもの以外の追加の要素を含むこともできると理解されたい。それに加えて、幾つかの実施形態には
図12に示される幾つかの要素がなくてもよい。本明細書で具現化される医療機器は、1つ又は複数の検出チャネルを通じて情報を収集でき、1つ又は複数の電界発生チャネルを通じて情報を出力できる。マイクロプロセッサ1202は、双方向データバスを介してメモリ1204と通信できる。メモリ1204は、プログラムを記憶するためのリードオンリメモリ(ROM)又はランダムアクセスメモリ(RAM)及びデータを記憶するためのRAMを含むことができる。マイクロプロセッサ1202は、プログラマ、家庭用ユニット、及び/又は移動ユニット(例えば、携帯電話、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータ、その他)等の外部機器と通信するためにテレメトリインタフェース1218に接続するか、又はセルラ若しくは他のデータ通信ネットー枠により容易にされるクラウド若しくはその他の通信ネットワークに直接接続することができる。医療機器は、電源回路1220を含むことができる。幾つかの実施形態において、医療機器は、そこに通信可能に連結されるか、又は取り付けられて、医療機器の経皮的再充電を容易にする誘導エネルギレシーバコイルインタフェース(図示せず)を含むことができる。
【0079】
医療機器は、1つ又は複数の電界検出電極1208と1つ又は複数の電界センサチャネルインタフェース1206を含むことができ、これらはマイクロプロセッサ1202のポートと通信可能である。医療機器はまた、1つ又は複数の電界発生回路1222、1つ又は複数の電界発生電極1212、及び1つ又は複数の電界発生チャネルインタフェース1210も含むことができ、これらはマイクロプロセッサ1202のポートと通信可能である。医療機器はまた、1つ又は複数の温度センサ1216及び1つ若しくは複数の温度センサチャネルインタフェース1214も含むことができ、これらはマイクロプロセッサ1202のポートと通信可能である。チャネルインタフェース1206、1210、及び1214は様々な構成要素を含むことができ、これは例えば、信号入力をデジタル化するためのアナログ-デジタル変換器、検出増幅器、電源ドライバ、変調器、復調器、マルチプレクサ等に関するゲイン及び閾値を調整するために、制御回路構成により書き込み可能なレジスタを含むことができる。
【0080】
温度センサ1216は
図12では医療機器の一部として示されているが、幾つかの実施形態において、温度センサの1つ又は複数を医療機器から物理的に分離できることがわかる。各種の実施形態において、温度センサの1つ又は複数は、テレメトリインタフェース1218を介して医療機器に通信可能に連結される他の植込み型医療機器の中に含めることができる。また別の実施形態において、温度センサのうちの1つ又は複数は体外に設置し、テレメトリインタフェース1218を介して医療機器に連結できる。
【0081】
方法
本明細書では様々な方法が想定されており、これには製造方法、使用方法等が含まれるがこれらに限定されない。本明細書の他の箇所に記載のシステム/機器の動作の様々な面は、本明細書の各種の実施形態による1つ又は複数の方法の動作として実行できる。
【0082】
ある実施形態において、がん性腫瘍の治療方法が含められる。方法は、少なくとも2つの電極を、がん性腫瘍を有する患者の体内に植え込むステップと、温度センサを患者の体内に植え込むステップと、少なくとも1つの電極対間に、10kHz~1MHzの範囲内の周波数を有する電界を発生させるステップと、温度センサで温度を検知するステップと、を含むことができる。
【0083】
図13は、本明細書の各種の実施形態による方法1300を描いたフローチャートを示す。方法1300は、がん性腫瘍の治療方法とすることができる。方法1300は、少なくとも2つの電極をがん性腫瘍を有する患者の体内に植え込むステップ、ステップ1330を含むことができる。方法1300は、温度センサを患者の体内の、例えばがん性腫瘍の付近又はその中に植え込むステップ、ステップ1332をさらに含むことができる。方法1300はまた、少なくとも1つの電極対間に電界を発生させるステップ、ステップ1334も含むことができる。各種の実施形態において、電界は10kHz~1MHzの範囲内の周波数を有することができる。
【0084】
幾つかの実施形態において、方法1300は、温度センサで温度、例えば腫瘍の付近の組織の温度又は腫瘍の温度を検知するステップ、ステップ1336を含むことができる。幾つかの実施形態において、方法1300は、例えば電力出力及び電極間の距離に基づいて、電界内の組織の温度を推定するステップを含むことができる。幾つかの実施形態において、方法1300は、例えばインピーダンスデータに基づいて、電極対の電極間の距離を推定するステップを含むことができる。
【0085】
電気刺激パラメータ
各種の実施形態において、本明細書のシステム又は装置(又は制御回路構成等のその構成要素)は、電界発生回路に対し、電界を10kHz~1MHzの範囲から選択された1つ又は複数の周波数を使って電界を送達することを指示するように構成されることができる。幾つかの実施形態において、制御回路構成は、電界発生回路に対し、100kHz~500kHzの範囲から選択された1つ又は複数の周波数で電界を送達することを指示するように構成されることができる。幾つかの実施形態において、制御回路構成は、電界発生回路に対し、100kHz~300kHzの範囲から選択された1つ又は複数の周波数で電界を送達することを指示するように構成されることができる。幾つかの実施形態において、制御回路構成は、電界発生回路に対し、1MHzを超える1つ又は複数の周波数で電界を周期的に送達することを指示するように構成されることができる。
【0086】
幾つかの実施形態において、電界はがん性細胞内の細胞有糸分裂を中断させるのに有効である可能性がある。電界は、複数のベクトルに沿ってがん性腫瘍の部位へと送達できる。幾つかの例において、電界は少なくとも1つのベクトルに沿って送達でき、これはリード電極の少なくとも1つを含む。幾つかの実施形態において、少なくとも2つのベクトルであって、これらの間に様々な空間のある少なくとも2つのベクトルを使用できる。ベクトルは、空間的に及び/又は方向的に少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、又は90度だけ空間的に分離できる(例えば、ベクトルは相互に関して斜めに配置できる)。
【0087】
所望の電界強度は、2つの電極間に電流を送達することによって実現できる。電界が送達されるときの特定の電流及び電圧は様々とすることができ、治療対象の組織の部位において所望の電界強度を実現するために調整できる。幾つかの実施形態において、制御回路構成は、電界発生回路に対し、1mAmp~1000mAmpの範囲の電流を使って電界をがん性腫瘍の部位へと送達することを指示するように構成されることができる。幾つかの実施形態において、制御回路構成は、電界発生回路に対し、20mAmp~500mAmpの範囲の電流を使って電界をがん性腫瘍の部位へと送達することを指示するように構成されることができる。幾つかの実施形態において、制御回路構成は、電界発生回路に対し、30mAmp~300mAmpの範囲の電流を使って電界をがん性腫瘍の部位へと送達することを指示するように構成されることができる。
【0088】
幾つかの実施形態において、制御回路構成は、電界発生回路に対し、1mAmp、2mAmp、3mAmp、4mAmp、5mAmp、6mAmp、7mAmp、8mAmp、9mAmp、10mAmp、15mAmp、20mAmp、25mAmp、30mAmp、35mAmp、40mAmp、45mAmp、50mAmp、60mAmp、70mAmp、80mAmp、90mAmp、100mAmp、125mAmp、150mAmp、175mAmp、200mAmp、225mAmp、250mAmp、275mAmp、300mAmp、325mAmp、350mAmp、375mAmp、400mAmp、425mAmp、450mAmp、475mAmp、500mAmp、525mAmp、550mAmp、575mAmp、600mAmp、625mAmp、650mAmp、675mAmp、700mAmp、725mAmp、750mAmp、775mAmp、800mAmp、825mAmp、850mAmp、875mAmp、900mAmp、925mAmp、950mAmp、975mAmp、又は1000mAmpを含む電流を使って電界を送達することを指示するように構成されることができる。制御回路構成は、電界発生回路に対し、ある範囲内に含まれる電流で電界を送達することを指示するように構成でき、上述の電流の何れも、その範囲の下限又は上限としての役割を果たすことができ、ただし、範囲の下限は範囲の上限より小さい値であることが条件であると理解されたい。
【0089】
幾つかの実施形態において、制御回路構成は、電界発生回路に対し、1Vrms~50Vrmsの範囲の電圧を使って電界をがん性腫瘍の部位に送達することを指示するように構成されることができる。幾つかの実施形態において、制御回路構成は、電界発生回路に対し、5Vrms~30Vrmsの範囲の電圧を使って電界をがん性腫瘍の部位に送達することを指示するように構成されることができる。幾つかの実施形態において、制御回路構成は、電界発生回路に対し、10Vrms~20Vrmsの範囲の電圧を使って電界をがん性腫瘍の部位に送達することを指示するように構成されることができる。
【0090】
幾つかの実施形態において、制御回路構成は、電界発生装置に対し、1Vrms、2Vrms、3Vrms、4Vrms、5Vrms、6Vrms、7Vrms、8Vrms、9Vrms、10Vrms、15Vrms、20Vrms、25Vrms、30Vrms、35Vrms、40Vrms、45Vrms、又は50Vrmsを含む1つ又は複数の電圧を使って電界を送達することを指示するように構成されることができる。制御回路構成は、電界発生回路に対し、ある範囲内に含まれる電圧を使って電界を送達することを指示するように構成でき、上述の電圧の何れも、その範囲の下限又は上限としての役割を果たすことができ、ただし、範囲の下限は範囲の上限より小さい値であることが条件であると理解されたい。
【0091】
幾つかの実施形態において、制御回路構成は、10kHz、20kHz、30kHz、40kHz、50kHz、60kHz、70kHz、80kHz、90kHz、100kHz、125kHz、150kHz、175kHz、200kHz、225kHz、250kHz、275kHz、300kHz、325kHz、350kHz、375kHz、400kHz、425kHz、450kHz、475kHz、500kHz、525kHz、550kHz、575kHz、600kHz、625kHz、650kHz、675kHz、700kHz、725kHz、750kHz、775kHz、800kHz、825kHz、850kHz、875kHz、900kHz、925kHz、950kHz、975kHz、1MHzを含む1つ又は複数の周波数を使って電界を送達することを指示するように構成されることができる。電界発生回路は、ある範囲内に含まれる周波数を使って電界を送達でき、上述の周波数の何れも、その範囲の上限又は下限としての役割を果たすことができ、ただし、上限は下限より大きいことが条件であると理解されたい。
【0092】
幾つかの実施形態において、制御回路構成は、電界発生回路に対し、0.25V/cm~1000V/cmの範囲から選択される1つ又は複数の印加電界強度を発生させることを指示するように構成されることができる。幾つかの実施形態において、制御回路構成は、電界発生回路に対し、3V/cmより大きい1つ又は複数の印加電界強度を発生させることを指示するように構成されることができる。幾つかの実施形態において、制御回路構成は、電界発生回路に対し、1V/cm~10V/cmの範囲から選択される1つ又は複数の印加電界強度を発生させることを指示するように構成されることができる。幾つかの実施形態において、制御回路構成は、電界発生回路に対し、3V/cm~5V/cmの範囲から選択される1つ又は複数の印加電界強度を発生させることを指示するように構成されることができる。
【0093】
他の実施形態において、制御回路構成は、0.25V/cm、0.5V/cm、0.75V/cm、1.0V/cm、2.0V/cm、3.0V/cm、5.0V/cm、6.0V/cm、7.0V/cm、8.0V/cm、9.0V/cm、10.0V/cm、20.0V/cm、30.0V/cm、40.0V/cm、50.0V/cm、60.0V/cm、70.0V/cm、80.0V/cm、90.0V/cm、100.0V/cm、125.0V/cm、150.0V/cm、175.0V/cm、200.0V/cm、225.0V/cm、250.0V/cm、275.0V/cm、300.0V/cm、325.0V/cm、350.0V/cm、375.0V/cm、400.0V/cm、425.0V/cm、450.0V/cm、475.0V/cm、500.0V/cm、600.0V/cm、700.0V/cm、800.0V/cm、900.0V/cm、1000.0V/cmを含む1つ又は複数の印加電界強度を生成することを指示するように構成されることができる。電界発生回路は、ある範囲内に含まれる電界強度を有する電界を治療部位で発生させることができ、上述の電界強度の何れも、その範囲の上限又は下限としての役割を果たすことができ、ただし、上限は下限より大きいことが条件であると理解されたい。
【0094】
留意すべき点として、本明細書及び付属の特許請求の範囲で使用されるかぎり、単数形の冠詞(a、an、the)は、内容から明らかに他の解釈が必要な場合を除き、複数形も含む。同じく留意すべき点として、「又は」という用語は一般に、内容から明らかに別の解釈が必要な場合を除き、「及び/又は」を含む意味で使用されている。
【0095】
同じく留意すべき点として、本明細書及び付属の特許請求の範囲で使用されるかぎり、「~のように構成される」という語句は、特定のタスクを実行するか、特定の構成をとるように構築又は構成されるシステム、装置、又はその他の構造を説明している。「~のように構成される」という語句は、配置され構成される、構築され配置される、構築される、製造され配置される等、他の同様の語句と互換的に使用できる。
【0096】
本明細書中の文献及び特許出願はすべて、本発明が関係する分野の当業者の水準を示している。個々の文献又は特許出願はすべて、個々の文献又は特許出願の各々が参照によって具体的且つ個別に表示されているかのように、参照によって本明細書に援用される。
【0097】
本明細書で使用されるかぎり、エンドポイントによる数値範囲への言及は、その範囲内に含まれるすべての数を含むものとする(例えば、2~8は2.1、2.8、5.3、7等を含む)。
【0098】
本明細書で使用される見出しは米国特許法1.77項に基づく推奨に即して提供されるか、又はそうでなければ構成上の手がかりを提供するためのものである。これらの見出しは、本開示から発行され得る何れかの特許請求項に記される本発明を限定する、又は特徴付けるものとみなされるべきではない。例えば、見出しが「分野」とされていても、かかる請求項はこの見出しの下でいわゆる技術分野を説明するために選択された文言により限定されるべきではない。さらに、「背景」における技術の説明は、その技術が本開示における何れかの発明の先行技術であることを認めるものではない。また、「概要」も、発行される特許請求項に記される発明の特徴とみなされるものではない。
【0099】
本明細書に記載の実施形態は、網羅的であることを意図されておらず、また、本発明を以下の詳細な説明において開示される正確な形態に限定しようとも意図されていない。むしろ、実施形態は、他の当業者がその原理と実践を解釈し、理解できるように選択されるか又は説明されている。そのため、態様は様々な具体的な好ましい実施形態及び技術に関して説明されている。しかしながら、本明細書の主旨と範囲内にとどまりながら、多くの変更や改良を加えてよいと理解されるべきである。