(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】スプリングコンタクト及びスプリングコンタクト内蔵ソケット
(51)【国際特許分類】
H01R 33/76 20060101AFI20240422BHJP
H01R 13/24 20060101ALI20240422BHJP
G01R 1/073 20060101ALI20240422BHJP
G01R 1/067 20060101ALI20240422BHJP
G01R 31/26 20200101ALI20240422BHJP
【FI】
H01R33/76 505B
H01R33/76 505A
H01R13/24
G01R1/073 D
G01R1/067 C
G01R31/26 J
(21)【出願番号】P 2021564864
(86)(22)【出願日】2019-06-05
(86)【国際出願番号】 KR2019006771
(87)【国際公開番号】W WO2020230945
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2021-11-01
(31)【優先権主張番号】10-2019-0057029
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519408973
【氏名又は名称】ファン ドン ウォン
(73)【特許権者】
【識別番号】519409279
【氏名又は名称】ファン ローガン ジェ
(73)【特許権者】
【識別番号】515215025
【氏名又は名称】ファン ジェ ベク
【住所又は居所原語表記】83, Dumil-ro 123beon-gil, Bundang-gu, Seongnam-si, Gyeonggi-do 13544 Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】519408984
【氏名又は名称】ハイコン カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ドン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ローガン ジェ
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ジェ ベク
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-511039(JP,A)
【文献】特開2003-307542(JP,A)
【文献】特開2001-185259(JP,A)
【文献】特開2004-309490(JP,A)
【文献】特表2018-529932(JP,A)
【文献】特開2003-163047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 33/76
H01R 13/24
G01R 1/073
G01R 1/067
G01R 31/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部接触ピン、前記上部接触ピンと交差するように組み立てられ、相互線形操作が可能な下部接触ピン、及び、前記上部接触ピン及び前記下部接触ピンが挿入されて前記上部接触ピンと前記下部接触ピンを弾性支持するコイルスプリングを含む複数のスプリングコンタクトと、
前記スプリングコンタクトのそれぞれが貫通位置する複数の第1貫通ホールが設けられた下部フィルムプレートと、
前記下部フィルムプレートの上部に備えられ、前記第1貫通ホールと対応する位置に前記コイルスプリングの外径と同じ又は大きいサイズの第2貫通ホールが設けられた中間プレートと、
前記中間プレートの上部に備えられ、前記第2貫通ホールと対応する位置に第3貫通ホールが設けられた上部フィルムプレートと、を含み、
前記中間プレートの厚さは、前記下部フィルムプレート及び前記上部フィルムプレートの厚さより大きいことを特徴とする、ソケット。
【請求項2】
前記中間プレートは、伸縮性を有するエラストマーであることを特徴とする、請求項1に記載のソケット。
【請求項3】
前記スプリングコンタクトは、デバイスの端子と対応して互いに異なる高さを有することを特徴とする、請求項1に記載のソケット。
【請求項4】
前記下部フィルムプレートまたは前記上部フィルムプレートは、高さを調整するための調整プレートがさらに備えられることを特徴とする、請求項1に記載のソケット。
【請求項5】
前記下部フィルムプレートは、縁部の周りに補強用プレートがさらに備えられることを特徴とする、請求項1に記載のソケット。
【請求項6】
前記下部フィルムプレートと前記補強用プレートは、貫通形成されたソケット組立用ホールが設けられることを特徴とする、請求項5に記載のソケット。
【請求項7】
前記補強用プレートは、貫通形成されて組立位置をガイドするためのガイドホールが設けられることを特徴とする、請求項5に記載のソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプリングコンタクト及びスプリングコンタクト内蔵ソケットに係り、より詳細には、半導体デバイス(IC)のテストのために、ICに設けられた複数の端子(lead)とPCBのパッド(PAD)とを1対1で電気的に接続するか、或いはパソコン(PC)や携帯電話などの電子製品の内部にあるPCBにCPUなどのICの端子(lead)を電気的に接続するためのスプリングコンタクト及び該スプリングコンタクトが内蔵されるソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、スプリングコンタクトは、PCBとICの端子とを電気的に接続させる機能を果たし、ICをテストするソケットの核心部品である。
図1乃至
図3は従来技術のスプリングコンタクトを示しており、
図4及び
図5はスプリングコンタクトが内蔵されたソケットを示している。
【0003】
図1の(a)、(b)はそれぞれ従来技術のスプリングコンタクトの斜視構成図及び分解斜視構成図であって、スプリングコンタクトは、上部接触ピン10と、上部接触ピン10と長さ方向に交差して組み立てられる下部接触ピン20と、上部接触ピン10と下部接触ピン20との間に挿入され、上部接触ピン10と下部接触ピン20を弾性支持するスプリング30とで構成される。
【0004】
図2の(a)(b)はそれぞれ従来技術の上部接触ピンの平面構成図及びA-A線に沿った断面構成図であって、上部接触ピン10は、上端に突設された接触部11と、左右に突設される一対の固定突起12と、長さ方向に引き込まれて形成された遊動溝13aが設けられたボディ部13と、ボディ部13から左右対称に延設された一対の弾性部14と、各弾性部14の先端に設けられた係止突起15と、を含む。一方、下部接触ピンは、上部接触ピンと同一の形状を有する。
【0005】
図3の(a)(b)はそれぞれ従来技術のスプリングコンタクトの作動例を示す図であって、(a)の左側と右側はそれぞれスプリングの圧縮前と後を示しており、(b)の左側と右側はスプリングの圧縮前と後に対する上部接触ピンと下部接触ピンとの間の位置を平面的に示すものである。
図3を参照すると、上部接触ピン10と下部接触ピン20は、スプリング30が挿入されて長さ方向に弾性部14、24が互いに直交するように組み立てられる。具体的には、上部接触ピン10の係止突起15は、下部接触ピン20の遊動溝23aに挿入され、下部接触部20の係止突起24は、上部接触ピン10の遊動溝13aに挿入される。よって、スプリングコンタクトの長さ方向に外力が作用すると、各係止突起1525は遊動溝13a、23aに沿って移動しながら、上部接触ピン10と下部接触ピン20は一定の長さSだけ圧縮される。
図3の(b)を参照すると、このような上部接触ピン10と下部接触ピン20との間の最大変位Smaxはスプリングの圧縮前の状態で上部接触ピン10と下部接触ピン20の各係止突起15、25が対向する遊動溝13a、23aの先端に支持される位置(図の左側)と、スプリングの圧縮状態で上部接触ピン10と下部接触ピン20の各ボディ部13、23の端部13b、23bが互いに接する位置(図の右側)によって決定される。
【0006】
図4は従来技術によるソケットの平面構成図、
図5は
図4のB-B線に沿った断面構成図である。
図4及び
図5を参照すると、従来技術のソケットは、上側プレート40と、この上側プレート40に組み立てられる下側プレート50とから構成され、上側プレート40と下側プレート50との間にスプリングコンタクト1が固定される。
上側プレート40と下側プレート50は、それぞれスプリングコンタクト1が固定されて位置する収納ホール41、51が設けられ、スプリングコンタクト1は、上側プレート40と下側プレート50との間の収納ホール41、51に位置して上側先端部と下側先端部が各収納ホール41、51の外側に突出して位置することにより、ICの端子とPCBのパッドを電気的に接続する。
【0007】
このような従来技術のソケットは、上側プレートと下側プレートが合成樹脂で製作され、特に上側プレート40は、所定の高さのスプリングコンタクト1が収納位置するように上側プレート40から一定の高さだけ突出して第1収納ホール41付きのフランジ部42が設けられる。
したがって、このような第1収納ホール付きのフランジ部を有する薄板タイプのプレートは、合成樹脂で射出製作するが、加工費用が高く、プレートの厚さを1.0mm以下にするのに限界があって、40GHzまたはそれ以上の高速信号を処理するのための高速(high speed)用テストソケットを製作するのに困難がある。
【0008】
一方、他の従来技術として、ラバータイプ(rubber type)のソケットがあり、このようなラバーソケットは、絶縁性シリコーンパウダーが固形化されて伸縮性を有する絶縁ボディと、デバイスの端子と対応して絶縁ボディに垂直に貫通形成される導電性シリコーン部と、から構成される。
このようなラバータイプのソケットは、絶縁性シリコーンと導電性パウダーが所定の割合で混合されたシリコーン混合物を金型内に入れ、導電性シリコーン部が形成される位置に強い磁場を形成させると、シリコーン混合物の導電性パウダーが磁場形成位置に集まり、最終的に溶融されたシリコーン混合物を固形化させて絶縁ボディに一定配列の導電性シリコーン部が形成される。
このようなラバータイプのソケットは、弾性感応速度がピンタイプのコンタクト(スプリングコンタクト)に比べて遅れ、反復的なテスト過程で弾性力が失われて使用寿命が著しく低下するという欠点があり、よって、使用回数が短く、頻繁な交換による費用増加が発生する。また、弾性持続性が時間の経過に伴って減少する特性により、長時間(1週間以上)の連続圧縮テストの際に弾性反発力がゼロ(zero)となるか、或いは著しく低くなって短絡が発生して長時間のテストには使用が難しい。
また、ラバータイプのソケットは、弾性特性が温度による影響を多く受けるという問題点があり、個別導電性シリコーン部の抵抗特性の均一性が低下するという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】韓国公開特許第10-2011-0051668号公報(公開日:2011年5月18日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、かかる従来技術の問題点を改善するためのもので、その目的は、コンタクトの自体的な耐久性低下を改善することができ、高速信号の処理において電気的特性に優れるうえ、使用寿命を延長することができる薄型構造を有するソケット、及びこれに適したスプリングコンタクトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によるソケットは、上部接触ピン、前記上部接触ピンと交差するように組み立てられ、相互線形操作が可能な下部接触ピン、及び前記上部接触ピンと前記下部接触ピンを弾性支持するコイルスプリングを含む複数のスプリングコンタクトと、前記スプリングコンタクトのそれぞれが貫通位置する複数の第1貫通ホールが設けられた下部フィルムプレートと、前記下部フィルムプレートの上部に備えられ、前記第1貫通ホールと対応する位置に第2貫通ホールが設けられた中間プレートと、前記中間プレートの上部に備えられ、前記第2貫通ホールと対応する位置に第3貫通ホールが設けられた上部フィルムプレートと、を含む。
【0012】
次に、本発明の一態様によるスプリングコンタクトは、上部接触ピンと、前記上部接触ピンと交差するように組み立てられる下部接触ピンと、前記上部接触ピンと前記下部接触ピンを弾性支持するコイルスプリングと、を含むスプリングコンタクトにおいて、前記上部接触ピンと前記下部接触ピンは、同じ形状を有し、長さ(L1)>幅(w1)>厚さ(t1)を満足する板状の接触ピンであって、
前記接触ピンは、両面のそれぞれに長さ方向に引き込まれた凹溝が設けられるが、前記凹溝は、一側端部が開口形成され且つ他側端部が段差形成されたフック係止段を有するボディ部と、前記ボディ部の左右側端に突設されて前記コイルスプリングを支持する一対の肩突起部と、前記ボディ部の上端に延設された第1先端接触部と、前記ボディ部の長さ方向に左右対称に延設され、各端部から内側に突出して互いに対面するガイド面を有する一対の弾性部と、前記弾性部のそれぞれの先端に突設された第2先端接触部と、を含み、前記弾性部同士の間に隣接したボディ部の下端縁は、傾斜を有する面取り傾斜面が形成され、前記第1先端接触部と前記第2先端接触部のそれぞれは、互いに異なる2つの曲面又は傾斜を有する接触面が接して形成されたエッジ線分(edge line)を含み、前記凹溝が設けられた区間での前記ボディ部の厚さt2は前記ガイド面同士の間の幅w3よりも小さいか同じであり、前記ガイド面同士の間の幅w3は前記ボディ部の厚さt1よりは小さく、前記第1先端接触部から前記ボディ部の下端までの長さL2よりも第2先端接触部を含む前記弾性部の長さL3がさらに長く形成されることにより、前記上部接触ピンの2つの弾性部と前記下部接触ピンの2つの弾性部との間が交差するように組み立てられ、前記上部接触ピンのガイド面は前記下部接触ピンの凹溝に沿って接触がなされ、前記下部接触ピンのガイド面は前記上部接触ピンの凹溝に沿って接触がなされることにより、前記コイルスプリングの圧縮の際に、全体長さは単一接触ピンの高さL1と同じであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のソケットは、互いに交差するように組み立てられて相互に弾性支持されて線形操作が可能な上部接触ピンと下部接触ピンを含む複数のスプリングコンタクトと、スプリングコンタクトのそれぞれが貫通位置して挿入される複数のプレートユニットと、を含み、好ましくは、プレートユニットの一部は、エラストマーを素材にして厚さの薄い薄型構造に製作することが容易であるため、高速信号の処理において電気的特性に優れるうえ、使用寿命を延長することができるという効果がある。
【0014】
また、本発明のスプリングコンタクトは、同じ形状を有する一対の接触ピンを互いに交差するように組み立てて相互に弾性支持されて線形運動が可能であるので、全体長さを1.0mm以下にして製作が可能であるため、電気抵抗を最小限に抑えて高速信号のデバイス検査に適する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1の(a)(b)はそれぞれ従来技術のスプリングコンタクトの斜視構成図及び分解斜視構成図である。
【
図2】
図2の(a)(b)はそれぞれ従来技術の上部接触ピンの平面構成図及びA-A線に沿った断面構成図である。
【
図3】
図3の(a)(b)はそれぞれ従来技術のスプリングコンタクトの作動例を示す図である。
【
図4】従来技術によるソケットの平面構成図である。
【
図6】本発明の実施形態によるスプリングコンタクトの分解斜視構成図である。
【
図7】
図7の(a)(b)はそれぞれ本発明の実施形態による上部接触ピンの平面及び側面構成図である。
【
図8】
図8の(a)(b)(c)は本発明の実施形態によるスプリングコンタクトの伸張状態を示す図である。
【
図9】
図9の(a)(b)(c)は本発明の実施形態によるスプリングコンタクトの圧縮状態を示す図である。
【
図10】
図10の(a)(b)(c)は本発明の他の実施形態によるスプリングコンタクトを示す図である。
【
図11】
図11の(a)(b)はそれぞれBGAタイプのデバイス(IC)の側面図及び背面図である。
【
図12】本発明の実施形態によるソケットの平面構成図である。
【
図13】本発明の実施形態によるソケットの断面構成図である。
【
図14】本発明の実施形態によるソケットの断面構成図である。
【
図15】
図15の(a)(b)はそれぞれBGAタイプとLGAタイプとが混合された複合型デバイスICの側面図及び背面図である。
【
図16】本発明の他の実施形態によるソケットの平面構成図である。
【
図17】本発明の他の実施形態によるソケットの断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず、本明細書及び請求の範囲で使用された用語や単語は、通常的且つ辞典的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に即して、本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されるべきである。
したがって、本明細書に記載された実施形態と図面に示された構成は、本発明の好適な一実施形態に過ぎないもので、本発明の技術的思想をすべて代弁するものではないので、本出願時点においてこれらを代替することができる様々な均等物と変形例があり得ることを理解すべきである。
【0017】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
図6は本発明の実施形態によるスプリングコンタクトの分解斜視構成図であって、本実施形態のスプリングコンタクト100は、上部接触ピン110と、上部接触ピン110と交差するように組み立てられる下部接触ピン120と、上部接触ピン110及び下部接触ピン120を弾性支持するスプリング130と、を含む。
特に、本発明の上部接触ピン110と下部接触ピン120は、同じ大きさと形状を有する同一の接触ピンによって提供され、長さ方向に交差して組み立てられる二つの接触ピン110、120は、組立位置によって上部と下部に区分される。よって、以下の説明では、上部接触ピン110を中心に説明する。
スプリング130は、圧縮力に対して抵抗するコイル型の圧縮スプリングによって提供され、上部接触ピン110と下部接触ピン120との間に設けられ、上部接触ピン110と下部接触ピン120が長さ方向に圧縮される場合に元の位置に復帰するための復元力を提供する。
【0018】
図7の(a)(b)はそれぞれ本発明の実施形態による上部接触ピンの平面及び側面構成図である。
図7を参照すると、本実施形態の上部接触ピン110は、所定の長さL1、幅w1及び厚さt1を有する板状構造の接触ピンによって提供される。具体的には、上部接触ピン110は、両面にそれぞれ長さ方向に引き込まれた凹溝111が設けられたボディ部112と、ボディ部112の左右側端に垂直に突設された肩突起部113と、凹溝111を挟んで対称となるようにボディ部112の上端両側から一体に延設された一対の第1先端接触部114と、ボディ部112の長さ方向に左右対称となるように延設された一対の弾性部115と、弾性部115のそれぞれの先端に設けられた第2先端接触部116と、弾性部115の各端部から内側に突出して互いに対面するガイド面117と、を含む。
【0019】
ボディ部112は、長さ方向に中心軸に沿って一定の幅と深さを持って引き込まれて設けられた凹溝111が両面に備えられ、この凹溝111の上端はボディ部112の上端に開口し、 凹溝111の下端は段差付きフック係止段111aを有する。ボディ部112は、全体的に一定の厚さt1を有する一方、凹溝111区間でのボディ部112は、より薄い厚さt2を有する(t2<t1)。
ボディ部112は、左右側端から延びて突設された一対の肩突起部113が設けられ、この肩突起部113は、スプリングを支持する。一方、上部接触ピン110の最大幅は、2つの肩突起部113の間の幅w1によって決定される。
【0020】
第1先端接触部114は、ボディ部112の上端に左右対称となるように一体に延設され、好ましくは、第1先端接触部114は、互いに異なる2つの接触面が接して形成されたエッジ線分(edge line)を含む。本実施形態において、第1先端接触部114は、二つの曲面からなる第1接触面114a、114bが接して上端のエッジ線分を形成することを示しており、このときの接触面は、一定の曲率を有する曲面であってもよく、一定の角度の傾斜を有する傾斜面であってもよい。このような第1先端接触部114は、ICの端子と線接触がなされる。
【0021】
弾性部115は、ボディ部112の長さ方向に一定の幅w2だけ離隔して左右対称に設けられ、各弾性部115の端部は、内側に突出して互いに対面するガイド面117を有する。弾性部115の端部からガイド面117に延びる変曲端117aは、二つの接触ピンの間の上下移動を制限するフックとして作用する。
したがって、各弾性部115のガイド面117同士の間の幅w3は、二つの弾性部115同士の間の幅w2よりは短い(w3<w2)。好ましくは、2つのガイド面117同士の間の幅w3は、ボディ部112の凹溝111区間の厚さt2と同じかそれより大きい(t2≦w3)。また、二つの弾性部115同士の間の幅w2は、ボディ部112の厚さt1と同じかそれより大きい(t1≦w2)。
上部接触ピンと下部接触ピンとが組み立てられると、上部接触ピンのガイド面117は、下部接触ピンの凹溝内に挿入され、下部接触ピンのガイド面は、上部接触ピンの凹溝111内に挿入され、各ガイド面は、凹溝の底面に接触して上部接触ピンと下部接触ピンとを通電させる役割を果たす。
【0022】
二つの弾性部115同士の間に隣接したボディ部112の下端縁は、傾斜を有する面取り傾斜面112aが形成され、この面取り傾斜面112aは、二つの接触ピンの組立時に弾性部115間の組み立てが容易に行われることができる。
【0023】
第2先端接触部116は、弾性部115のそれぞれの先端に垂直に延設され、好ましくは、第2先端接触部116は、互いに異なる2つの接触面が接して形成されたエッジ線分(edge line)を含む。本実施形態において、第2先端接触部116は、二つの曲面からなる第2接触面116a、116bが接して上端のエッジ線分を形成することを示しており、このときの接触面は、一定の曲率を有する曲面であってもよく、一定の角度の傾斜を有する傾斜面であってもよい。このような第2先端接触部116は、ICの端子と線接触がなされる。
好ましくは、第1先端接触部114からボディ部112の下端までの長さL2よりも、第2先端接触部116を含む弾性部115の長さL3がさらに長い(L2<L3)。
【0024】
図8の(a)(b)(c)は本発明の実施形態によるスプリングコンタクトの伸張状態を示す図であって、(a)は斜視構成図、(b)(c)はそれぞれ互いに直角方向の断面構成図である。
図8を参照すると、上部接触ピン110と下部接触ピン120は、各弾性部115、125が互いに交差するように長さ方向に組み立てられ、スプリング130は、上部接触ピン110と下部接触ピン120の肩突起部113、123によって支持され、上部接触ピン110と下部接触ピン120を伸張状態に維持する。
このように、伸張状態でのスプリングコンタクト100は、上部接触ピン110の第1先端接触部114がスプリング130の上端に露出した状態であるのに対し、下部接触ピン120の第2先端接触部126は、スプリング130の内側に位置する。逆に、下部接触ピン120の第1先端接触部124は、スプリング130の下端に露出した状態であるのに対し、上部接触ピン110の第2先端接触部116は、スプリング130の内側に位置する。
【0025】
図9の(a)(b)(c)は本発明の実施形態によるスプリングコンタクトの圧縮状態を示す図であって、(a)は斜視構成図、(b)(c)はそれぞれ互いに直角方向の断面構成図である。
図9の(b)(c)において、スプリングコンタクトの上端は、ICのボール端子を平面的に示したもので、先端接触部とボール端子との接触部位を示している。
図9を参照すると、圧縮状態でのスプリングコンタクト100の全体高さL1は、単一接触ピンの高さL1(
図7参照)と同じであり、この時、スプリングコンタクト100の上端部である上部接触ピン110の第1先端接触部114と下部接触ピン120の第2先端接触部126は、ICのボール端子1と互いに直角方向に4箇所114A、126Aで同時に接触がなされる。
同様に、スプリングコンタクト100の下端部も、上部接触ピン110の第2先端接触部116と下部接触ピン120の第1先端接触部124は同時にPCBの端子(図示せず)と接触がなされる。
このように、本発明のスプリングコンタクト100は、圧縮状態でボール端子1と4つの複数の位置で先端接触部と電気的な接触がなされ、また、スプリングコンタクトの長さL1の縮小設計が可能であって電気的抵抗を最小限に抑えることができる。
【0026】
図10の(a)(b)(c)は本発明の他の実施形態によるスプリングコンタクトを示す図であって、(a)は断面構成図、(b)は上側接触ピンの平面構成図、(c)はD-D線に沿った断面構成図である。
図10の(a)において、スプリングコンタクトの上端は、ICのランドタイプ(land type)の端子2を平面的に示すものであり、先端接触部と端子との接触部位を示している。
図10を参照すると、本実施形態のスプリングコンタクト200は、上部接触ピン210と、上部接触ピン210と交差するように組み立てられる下部接触ピン220と、上部接触ピン210と下部接触ピン120を弾性支持するスプリング230と、を含み、上部接触ピン210と下部接触ピン220は、一つの共通した接触ピンによって提供されるのは先立っての実施形態と同一である。
【0027】
上部接触ピン210は、両面に凹溝211が設けられたボディ部212と、ボディ部212の左右側端から延びて突設された肩突起部213と、ボディ部212の長さ方向に左右対称に延設された一対の弾性部215と、弾性部215のそれぞれの端部に設けられる第2先端接触部216とガイド面217を含むのは、先立っての実施形態と同様であり、特に本実施形態において、第1先端接触部214は、中心軸上に延びた一つの第1先端接触部214を有する。
第1先端接触部214は、互いに異なる2つの傾斜を有する接触面同士が接して形成されたエッジ線分(edge line)を含み、このとき、接触面は、曲面によって提供できる。一方、肩突起部213からの第1先端接触部214の高さkは、ICの端子の高さを考慮して決定できる。
【0028】
このように構成された本実施形態のスプリングコンタクト200は、圧縮時の全体高さが単一接触ピンの高さと同一であり、この時、スプリングコンタクト200の上端部である上部接触ピン210の第1先端接触部214と下部接触ピン220の第2先端接触部226は、ICの端子2と3ヶ所214A、226Aで同時に接触がなされる。
このように上部接触ピン210の第1先端接触部は、ICの端子に応じて、単一のエッジ線分または2つ以上のエッジ線分を含むことができる。
【0029】
図11の(a)(b)はそれぞれBGAタイプのデバイスICの側面図及び背面図であり、
図12は本発明の実施形態によるBGAタイプのデバイステスト用ソケットの平面構成図であり、
図13は
図12のE-E線に沿った断面構成図である。
【0030】
図12及び
図13を参照すると、本実施形態のソケット300は、上部接触ピン、上部接触ピンと交差するように組み立てられる下部接触ピン、及び上部接触ピンと下部接触ピンを弾性支持するスプリングを含むスプリングコンタクト100と;スプリングコンタクト100が貫通位置する複数の第1貫通ホール311が設けられた下部フィルムプレート310と;下部フィルムプレート310の上部に備えられ、前記第1貫通ホール311と対応する位置に第2貫通ホールが設けられた中間プレート320と;中間プレート320の上部に備えられ、前記第2貫通ホールと対応する位置に第3貫通ホールが設けられた上部フィルムプレート330と;を含む。
本実施形態において、スプリングコンタクト100は、先立って例示したスプリングコンタクトによって提供されることができ、ICの端子に応じて二種以上のスプリングコンタクトが使用されることができる。
【0031】
下部フィルムプレート310、中間プレート320及び上部フィルムプレート330は、一体に構成されて一定の厚さを有し、一定のパターンで貫通したホールが設けられ、貫通ホール内にスプリングコンタクト100が挿入されてICの端子と接触がなされる。
下部フィルムプレート310は、上面に補強用プレート350をさらに含むことができ、補強プレート350は、ソケット組立用ホール351とソケットを定位置にガイドするためのガイドホール352が設けられることができる。補強用プレート350は、金属(SUS)または樹脂によって提供されることができる。
下部フィルムプレート310は、下面に第1調整プレート361が備えられて高さの調整が行われることができる。また、上部フィルムプレート330の上面にも、高さ調整のための第2調整プレート362が備えられることができる。
【0032】
好ましくは、中間プレート320は、シリコーンゴムなどのエラストマー(Elastomer)によって提供される。エラストマーを素材とする中間プレートは、別途のモールドに液状の樹脂を注入し、これを硬化させて製作が可能であり、よって、従来の合成樹脂を射出するのと比較して製作が容易である。
【0033】
図14は本発明の実施形態によるソケットの断面構成図であって、IC3がロードされた状態を示している。
図14を参照すると、ソケット300の上部にIC3が装着位置し、この時、ソケット300内の各スプリングコンタクト100は、ボール端子1と接触して圧縮がなされ、上部接触ピン110の第1先端接触部114と下部接触ピン120の第2先端接触部126は、ICのボール端子1と同時に接触がなされる。また、上部接触ピン110の第2先端接触部116と下部接触ピン120の第1先端接触部124も、PCBの端子(図示せず)と同時に接触し、この時、スプリングコンタクト100の高さL1は、単一接触ピンの高さと同一である(
図9参照)。
【0034】
図15の(a)(b)はそれぞれBGAタイプとLGAタイプとが混合された複合型デバイスICの側面図及び背面図であり、
図16は本発明の他の実施形態による複合型デバイスのテストに適したソケットの平面構成図であり、
図17は
図16のF-F線に沿った断面構成図である。
【0035】
図16及び
図17を参照すると、本実施形態のソケット400は、下部フィルムプレート410、中間プレート420及び上部フィルムプレート430を含み、下部フィルムプレート410が付加できる補強プレートと、高さ調整のための調整プレートの主要構成は、先立っての実施形態と実質的に同じなので、重複説明は省略する。
本実施形態のソケット400は、複合型デバイスの端子にタイプに応じて異種のスプリングコンタクト100、200を含むことを特徴とする。
【0036】
複合型デバイス4は、ボールタイプ(ball type)の端子4aとランドタイプ(land type)の端子4bが互いに異なる高さd1、d2を有し、これと対応してソケット400は各端子のタイプに応じて互いに異なる高さを有する第1スプリングコンタクト100と第2スプリングコンタクト200が備えられる。
本実施形態において、ボールタイプの端子4aの位置には、上部接触ピンが一対の第1先端接触部114を有する第1スプリングコンタクト100(
図6~
図9参照)が設けられ、ランドタイプ(land type)の端子4bの位置には、上部接触ピンが一つの第1先端接触部214を有する第2スプリングコンタクト200(
図10参照)が設けられることを例示している。
【0037】
前述したように、本発明のスプリングコンタクトは、接触ピンの上端の第1先端接触部の高さ又は形状に対する設計自由度が高く、よって、ソケット400は、ICのローディング時に端子のタイプによる高さ差(d1-d2)を補償することができるように、高さ差d3を有する異種の第1スプリングコンタクト100と第2スプリングコンタクト200を含むことができる。
【0038】
以上のように、本発明は、たとえ限定された実施形態と図面によって説明されたが、本発明は、これによって限定されず、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と下記の請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であるのはもちろんである。
【符号の説明】
【0039】
100、200 スプリングコンタクト
110、210 上部接触ピン
111、211 凹溝
112、212 ボディ部
113、213 肩突起部
114、214 第1先端接触部
115、215 弾性部
116、216 第2先端接触部
117、217 ガイド面
120、220 下部接触ピン
130、230 スプリング
300、400 ソケット
310、410 下部フィルムプレート
320、420 中間プレート
330、430 上部フィルムプレート