(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】婦人衛生用のタンポン
(51)【国際特許分類】
A61F 13/20 20060101AFI20240422BHJP
【FI】
A61F13/20 230
A61F13/20 211A
A61F13/20 221
A61F13/20 260B
A61F13/20 260C
A61F13/20 260Z
(21)【出願番号】P 2021576055
(86)(22)【出願日】2019-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2019066556
(87)【国際公開番号】W WO2020253971
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】597046982
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Gmbh
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ブシュハウス・ミルコ
(72)【発明者】
【氏名】ライエンデッカーズ・クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ロブ・ライオネル
(72)【発明者】
【氏名】スピカルツ・ドロテア
(72)【発明者】
【氏名】ウェインバーガー・マイク
(72)【発明者】
【氏名】ウィンクラー・ペトラ
【審査官】西尾 元宏
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-537018(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0049893(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1760825(KR,B1)
【文献】特開昭63-212358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/20-13/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
婦人衛生用の吸収タンポンであって、
a)半径方向に圧縮された細長いタンポンプレジットであって、
i)ドーム形挿入端部と、
ii)取り出し要素を備える取り出し端部と、
iii)前記細長いタンポンプレジットの長手方向表面に沿って配置された複数の長手方向に延びる溝であって、前記長手方向に延びる溝の少なくとも一部分が、前記ドーム形挿入端部内に延びる、複数の長手方向に延びる溝と、
を有する、
半径方向に圧縮された細長いタンポンプレジットと、
b)前記ドーム形挿入端部の上に配置され、前記細長いタンポンプレジットに、その前記長手方向表面に沿って延びる複数の取り付けゾーンを介して取り付けられた有孔ポリマーフィルムシートを備える流体移送要素であって、
i)前記細長いタンポンプレジットの前記長手方向表面から離れて延びることが可能な要素を提供するための複数の遠位ひだと、
ii)前記ドーム形挿入端部と前記有孔ポリマーフィルムシートとの間のヘッドスペースと、
を更に備える、
流体移送要素と、
を備え、
(A)前記細長いタンポンプレジットの外側表面に沿って、前記ドーム形挿入端部の長手方向軸上で、前記ドーム形挿入端部に最も近い第1の取り付けゾーンの端部から、反対側の表面上の前記ドーム形挿入端部に最も近い第2の取り付けゾーンの端部まで測定された距離が、プレジットドーム長さを画定し、(B)前記有孔ポリマーフィルムシートの内側表面に沿って、前記ドーム形挿入端部の前記長手方向軸上で、前記ドーム形挿入端部に最も近い前記第1の取り付けゾーンの前記端部から、前記反対側の表面上の前記ドーム形挿入端部に最も近い前記第2の取り付けゾーンの前記端部まで測定された距離が、フィルム長さを画定し、(C)前記フィルム長さが前記プレジットドーム長さよりも長い、
吸収タンポン。
【請求項2】
前記ドーム形挿入端部が内部に形成された空洞を有している、請求項1に記載の吸収タンポン。
【請求項3】
前記空洞が、前記細長いタンポンプレジットの最大対応直径の
20~
50%の直径を有する、請求項2に記載の吸収タンポン。
【請求項4】
前記空洞が、
2~
15mmの深さを有する、請求項2又は3に記載の吸収タンポン。
【請求項5】
前記有孔ポリマーフィルムシートの各前記遠位ひだが、前記ドーム形挿入端部の前記長手方向に延びる溝の間に配置されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の吸収タンポン。
【請求項6】
前記有孔ポリマーフィルムシートが、前記ドーム形挿入端部の4つの前記長手方向に延びる溝の間に配置された4つの前記遠位ひだを有する、請求項5に記載の吸収タンポン。
【請求項7】
前記細長いタンポンプレジットの前記長手方向に延びる溝が、その前記長手方向表面上に、視覚的に区別できる実質的に閉じたゾーンを画定する、交差する貫通溝セグメントを備え、前記複数の取り付けゾーンが、前記実質的に閉じたゾーン内に配置されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の吸収タンポン。
【請求項8】
婦人衛生用の吸収タンポンを形成するためのプロセスであって、
a)タンポンプレス内で、細長いタンポンブランクを半径方向に圧縮して、前記細長いタンポンブランクの取り出し端部及び挿入端部に対応する、取り出し端部及び挿入端部を有する細長いタンポンプレジットを形成するステップと、
b)前記細長いタンポンプレジットの前記挿入端部をドーム形に形成するステップと、
c)前記挿入端部の上に流体移送要素を配置し、前記流体移送要素を前記細長いタンポンプレジットに、その長手方向表面に沿って延びる複数の取り付けゾーンを介して、取り付けるステップであって、
i)前記流体移送要素が、前記挿入端部の上に配置され、前記細長いタンポンプレジットに、その前記長手方向表面に沿って延びる前記複数の取り付けゾーンを介して取り付けられた有孔ポリマーフィルムシートを備え、前記細長いタンポンプレジットの前記長手方向表面から離れて延びることが可能な要素を提供するための複数の遠位ひだと、ドーム形の前記挿入端部と前記有孔ポリマーフィルムシートとの間のヘッドスペースと、を更に備え、
ii)前記細長いタンポンプレジットの外側表面に沿って、ドーム形の前記挿入端部の長手方向軸上で、
a)ドーム形の前記挿入端部に最も近い第1の取り付けゾーンの端部から、
b)反対側の表面上の、ドーム形の前記挿入端部に最も近い第2の取り付けゾーンの端部まで、
測定された距離が、
プレジットドーム長さを画定し、
iii)前記有孔ポリマーフィルムシートの内側表面に沿って、ドーム形の前記挿入端部の前記長手方向軸上で、
a)ドーム形の前記挿入端部に最も近い前記第1の取り付けゾーンの前記端部から、
b)前記反対側の表面上の、ドーム形の前記挿入端部に最も近い前記第2の取り付けゾーンの前記端部まで、
測定された距離が、
フィルム長さを画定し、
iv)前記フィルム長さが、前記プレジットドーム長さよりも長い、
ステップと、
を含む、プロセス。
【請求項9】
前記プロセスは、前記
細長いタンポンプレジットを形成するステップ
と前記
挿入端部をドーム形に形成するステップ
との間に、d)前記細長いタンポンプレジットの対応する断面直径よりも実質的に小さい断面直径を有する押し棒を前記細長いタンポンプレジットの前記挿入端部に適用して、前記細長いタンポンプレジットを前記タンポンプレスから、更なる加工のための移送中に前記細長いタンポンプレジットを収容するように配置され構成されたキャリアに移動させ、それにより、前記細長いタンポンプレジットの前記挿入端部に空洞が形成される、ステップ、
を更に含み、前記
挿入端部をドーム形に形成するステップ
は、
e)前記細長いタンポンプレジットの前記挿入端部に前記空洞を維持しながら、前記細長いタンポンプレジットの前記挿入端部をドーム形に形成するステップ、
を含み、前記プロセスは、
前記流体移送要素を前記細長いタンポンプレジットに取り付ける前記ステップ
の後に、
f)前記細長いタンポンプレジットの前記挿入端部内の前記空洞内に前記有孔ポリマーフィルムシートの一部分を挿入するステップ、
を更に含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記空洞内に配置された前記有孔ポリマーフィルムシートの前記一部分に圧力を加えながら、前記流体移送要素の前記遠位ひだを前記細長いタンポンプレジットの周りに単一方向に渦巻き状に巻き付けるステップを更に含む、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記有孔ポリマーフィルムシートの各遠位ひだを、ドーム形の前記挿入端部の隣接する長手方向に延びる溝の間に配置するステップを更に含む、請求項8~10のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記細長いタンポンプレジットの長手方向に延びる溝が、その前記長手方向表面上に、視覚的に区別できる実質的に閉じたゾーンを画定する、交差する貫通溝セグメントを備え、前記流体移送要素を前記挿入端部の上に配置する前記ステップが、前記複数の取り付けゾーンを前記実質的に閉じたゾーンと整列させることを含む、請求項8~11のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記流体移送要素を前記細長いタンポンプレジットに取り付ける前記ステップ
は、前記細長いタンポンプレジットの前記挿入端部と前記挿入端部に対向する前記有孔ポリマーフィルムシートの前記内側表面とが離間して、前記細長いタンポンプレジットの前記挿入端部の周囲に前記ヘッドスペースが形成されるように、前記流体移送要素を前記細長いタンポンプレジットに取り付けることを含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項14】
前記フィルム長さから前記プレジットドーム長さを差し引いた長さが、ヘッドスペース長さであり、前記ヘッドスペース長さは、
10mm~
20mmの間である、請求項8に記載のプロセス。
【請求項15】
前記ヘッドスペース長さを前記吸収タンポンの直径で割った値が、ヘッドスペース比であり、前記ヘッドスペース比は
0.6~1の間である、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記ヘッドスペースは、前記ドーム形挿入端部を取り囲むように延在している、請求項1に記載の吸収タンポン。
【請求項17】
前記複数の取り付けゾーンは各々、前記取り出し端部に最も近い前記有孔ポリマーフィルムシートの端部に対向する位置から前記長手方向軸に沿って前記ヘッドスペースに至る位置まで延在している、請求項1に記載の吸収タンポン。
【請求項18】
前記フィルム長さから前記プレジットドーム長さを差し引いた長さが、ヘッドスペース長さであり、前記ヘッドスペース長さは、
10mm~
20mmの間である、請求項1に記載の吸収タンポン。
【請求項19】
前記ヘッドスペース長さを前記吸収タンポンの直径で割った値が、ヘッドスペース比であり、前記ヘッドスペース比は
0.6~1の間である、請求項
18に記載の吸収タンポン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、婦人衛生用の細長い吸収タンポンに関し、より具体的には、流体移送要素を有するタンポン及び当該タンポンを形成するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
体液を膣内に捕らえ、貯めておくデバイスが市販されており、文献で知られている。婦人衛生用の膣内タンポンは、そのようなデバイスの最も一般的な例である。市販のタンポンは概して、吸収性又は非吸収性カバー層によって収容され得る、圧縮された円筒形の吸収性繊維塊である。
【0003】
タンポンは、人間の膣内に挿入され、そこに、膣内の体液、最も一般的には月経液を捕らえ貯めておくために一時的に保持される。膣内の体液がタンポンに接触すると、体液はタンポンの吸水性材料によって吸収及び保持される必要がある。しばらくすると、タンポン及びその保持された流体は除去及び廃棄され、必要な場合は、別のタンポンが挿入される。
【0004】
市販のタンポンによって経験されることが多い欠点は、早期に不具合となる傾向であり、これは、タンポンが定位置にある状態でかつタンポンが体液で完全に飽和する前の、膣からの体液の漏れとして定義することができる。膨張していない圧縮タンポンが、すぐに体液を吸収できないという問題が発生すると考えられると、当該特許分野では説明している。したがって、その特許分野では、早期の漏れは、体液が圧縮タンポンの一部分と接触し、この流体が容易に吸収されない場合に生じ得ると推測している。体液はタンポンを迂回することがある。
【0005】
早期の漏れ発生を防ぐ1つの方法は、タンポンの外側表面に沿って移動する流体のために設計された経路を提供することである。この経路への増加は、流体の吸収を改善し得る一方で、製造プロセス中に溝を追加することが、プロセスの課題を提起する可能性がある。従来技術には、タンポンに溝を組み込もうとする試みの例が豊富にある。多くの場合、新しいステップが、既に複雑な製造プロセスに追加されるか、又はそのプロセスは十分に説明されていない。
【0006】
JOHNSON & JOHNSON GmbHによる欧州特許第2712594(B1)号は、婦人衛生用途に使用される、ヒトの膣から月経液を捕らえるための膣内タンポンを開示することを意図しており、膣内タンポンは、円筒形の吸収性プレジットの挿入端部及び取り出し端部に近接したターンユニットを備える溝形態を有する。
【0007】
JOHNSON & JOHNSON GmbHによる欧州特許第2712595(B1)号は、婦人衛生用の膣内タンポンを開示することを意図しており、吸収性プレジットは、挿入端部及び取り出し端部に交互に近接して配置されたターンを形成するために連結された長手方向の溝セグメントを備える連続的な溝形態を備える。
【0008】
JOHNSON & JOHNSON GmbHによる欧州特許第2712596(B1)号は、婦人衛生用の圧縮タンポンを形成するための方法を開示することを意図しており、この方法は、第1の貫通ダイの押圧面を第2のダイの押圧面を越えてプレジットの端部に向かって延ばすことを伴い、それにより、ダイが同じ空間を通過して溝形態を形成する。
【0009】
JOHNSON & JOHNSON GmbHによる国際公開第2018220587号は、プレス空洞を形成するために中心プレス軸の周りに配置された複数の細長いプレスダイを有するタンポンプレスと、膣内タンポンの所定の仕上がり直径よりも小さい直径を有する円筒形キャリアと、を備える膣内タンポンを製造するための装置を開示することを意図している。細長いプレスダイは、複数の長手方向貫通ダイを備え、これら貫通ダイの各々は、その第1の端部に近接して配置されたプレス面ノッチと、その反対側の第2の端部においてプレス面に垂直な縁部に配置された、隣接する貫通ダイ内の対応するノッチと協働する端部ノッチとを有する。
【0010】
早期漏れのこの問題を克服する別の方法は、基本的なタンポンに追加の要素を組み込み、流体の流れを吸収性コアに向け導き制御することであった。
【0011】
JOHNSON & JOHNSON CONSUMER INCによる欧州特許第1748750(B1)号は、ヒト膣内に位置付けられた流体貯蔵要素及び流体移送要素を備え、哺乳類の体内に体液を捕らえるための第1及び第2のプレートを備える、流体管理デバイスを開示することを意図している。
【0012】
JOHNSON & JOHNSON CONSUMER COMPANIES,INCによる欧州特許第1755514(B1)号は、2つのプレートを有する流体移送要素を有する膣内デバイスを開示することを意図しており、そのうちの少なくとも1つは有孔フィルムを有し、体液を捕らえ貯蔵するために流体貯蔵要素の長手方向軸に平行な軸を中心にして屈曲可能である。
【0013】
JOHNSON & JOHNSON CONSUMER INCによる欧州特許第1755515(B1)号は、流体貯蔵要素への途切れない流体路を提供する流体移送要素を備え、外側及び内側に配向された表面を有するシート状の第1のプレートを備える、哺乳類の体内で使用するための流体管理デバイスを開示することを意図している。
【0014】
JOHNSON & JOHNSON CONSUMER COMPANIES,INCによる欧州特許第1758537(B1)号は、流体貯蔵要素及び可撓性プレートを備える流体移送要素を備える膣内体液を捕らえるための膣内デバイスを開示することを意図している。
【0015】
JOHNSON & JOHNSON CONSUMER COMPANIES,INCによる欧州特許第1765243(B1)号は、2つのプレートを備える屈曲可能な流体移送要素と、長手方向の軸を有し流体移送要素と流体連通する流体貯蔵要素と、を有する、体液を捕らえ貯蔵するための膣内デバイス、例えばタンポンを開示することを意図している。
【0016】
早期漏れのこの問題を克服するための更に別の方法は、基本タンポンの挿入先端部にチャネルを設けて、体液の流れを吸収性コアに向け導き制御することであった。
【0017】
そのような先行技術の例は、DM(Germany)がJessaというブランドで販売しているタンポンに見出すことができ、供給業者によって「安全チャネリング」と呼ばれている。このチャネルは、タンポンの直径よりも狭く、典型的には10%以下である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
先行技術によって提供される全てのこれらの解決策は、早期漏れのリスクを低減することができるが、吸収タンポン構造を改善して漏れリスクを更に減少させる必要性が常に存在する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
驚くべきことに、本発明者らは、構造的に不適合と思われる2つの技術を組み合わせることにより、早期不具合の問題に対処する新規な方法を見出した。本発明による婦人衛生用のタンポンは、挿入端部に圧縮されたドームを有し、長手方向表面に取り付けられた流体移送要素で覆われていても膨張する。
【0020】
本発明では、大量の流体を迅速に吸収するためタンポンの挿入端部を膨張させ、流体移送要素を展開して流体を導き、細長いタンポンプレジットの局所的飽和を最小限に抑える。本発明では、タンポンプレジットの挿入端部は、整っており、審美的に魅力があり、消費者にとって快適である。本発明は、高粘性の月経液の処理にも有効である。
【0021】
本発明の一態様では、婦人衛生用の吸収タンポンは、半径方向に圧縮された細長いタンポンプレジット及び流体移送要素を備える。細長いタンポンプレジットは、ドーム形挿入端部と、取り出し要素を備える取り出し端部と、細長いタンポンプレジットの長手方向表面に沿って配置された複数の長手方向に延びる溝と、を備える。長手方向に延びる溝の少なくとも一部分は、そのドーム形挿入端部内に延びる。流体移送要素は、挿入端部の上に配置され、細長いタンポンプレジットに、その長手方向表面に沿って延びる複数の取り付けゾーンを介して取り付けられた有孔ポリマーフィルムシートを備える。流体移送要素は、細長いタンポンプレジットの長手方向表面から離れて延びることが可能な要素を提供するための複数の遠位ひだと、ドーム形挿入端部と有孔ポリマーフィルムシートとの間のヘッドスペースと、を更に有する。細長いタンポンプレジットの外側表面に沿って、ドーム形挿入端部の長手方向軸上で、ドーム形挿入端部に最も近い第1の取り付けゾーンの端部から、反対側の表面上のドーム形挿入端部に最も近い第2の取り付けゾーンの端部まで測定された距離は、プレジットドーム長さを画定し、有孔ポリマーフィルムシートの内側表面に沿って、ドーム形挿入端部の長手方向軸上で、ドーム形挿入端部に最も近い第1の取り付けゾーンの端部から、反対側の表面上のドーム形挿入端部に最も近い第2の取り付けゾーンの端部まで測定された距離は、フィルム長さを画定する。フィルム長さは、プレジットドーム長さよりも長い。
【0022】
本発明の別の態様では、婦人衛生用の吸収タンポンを形成するためのプロセスは、細長いタンポンブランクを半径方向に圧縮するステップと、細長いタンポンプレジットの挿入端部をドーム形に形成するステップと、流体移送要素を挿入端部の上に配置し、流体移送要素を細長いタンポンプレジットに取り付けるステップと、を含む。流体移送要素は、挿入端部の上に配置され、細長いタンポンプレジットに、その長手方向表面に沿って延びる複数の取り付けゾーンを介して取り付けられた有孔ポリマーフィルムシートを備え、細長いタンポンプレジットの長手方向表面から離れて延びることが可能な要素を提供するための複数の遠位ひだと、ドーム形挿入端部と有孔ポリマーフィルムシートとの間のヘッドスペースと、を更に備える。細長いタンポンプレジットの外側表面に沿って、ドーム形挿入端部の長手方向軸上で、ドーム形挿入端部に最も近い第1の取り付けゾーンの端部から、反対側の表面上の、ドーム形挿入端部に最も近い第2の取り付けゾーンの端部まで、測定された距離は、プレジットドーム長さを画定し、有孔ポリマーフィルムシートの内側表面に沿って、ドーム形挿入端部の長手方向軸上で、ドーム形挿入端部に最も近い 第1の取り付けゾーンの端部から、反対側の表面上の、ドーム形挿入端部に最も近い第2の取り付けゾーンの端部まで、測定された距離は、フィルム長さを画定する。フィルム長さは、プレジットドーム長さよりも長い。
【0023】
本発明の他の態様及び特徴は、付属の図面と併せて、以下の本発明の具体的な実施形態の説明を精査することによって、当業者には明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】外側に延びる流体移送要素及び可視ヘッドスペースを有する、本発明による婦人衛生用の吸収タンポンの側面図である。
【
図2】
図1の吸収タンポンの側面図であり、流体移送要素は細長いタンポンプレジットの周りに巻き付けられている。
【
図3】明確にするために流体移送要素の外側ラップが取り除かれた、線A-Aに沿った
図2の吸収タンポンの断面である。
【
図4】細長いタンポンプレジットの周りに巻き付けられた流体移送要素、及び細長いタンポンプレジットの挿入端部内に配置された空洞に押し込まれた有孔ポリマーフィルムシートの一部分を有する、本発明による婦人衛生用の吸収タンポンの側面図である。
【
図5】線B-Bに沿った
図4の吸収タンポンの断面図である。
【
図6】有孔ポリマーフィルムシートのひだ間の流体移送要素の2つのプレートの一部分の拡大図である。
【
図7】ヒトの膣内に配置された婦人衛生用の吸収タンポンの断面図である。
【
図8】本発明の実施において有用な細長いタンポンプレジットの側面図である。
【
図9】例示されるプレス要素の明確さを高めるためにいくつかの要素が取り除かれた、本発明の方法において有用なプレスの斜視図である。
【
図10】2つの貫通ダイ及び中間成形ダイを備える、本発明のタンポンプレスの、3つのプレスのダイの斜視図であり、それらは互いに、別個の表面ゾーンを画定する一対の貫通溝セグメントを形成する。
【
図11】中央プレス部分の明確さを高めるために外側部分が破断した、開放位置にあるプレスの中央部分の断面図である。
【
図12】隣接する凹部に交差する貫通ダイ先端部を示す、初期圧縮ステップ中のプレスの拡大断面図である。
【
図13】交差先端部を有する貫通ダイ及びそれらの間に配置された成形ダイを示す、
図12のプレスの断面図である。
【
図14】そのドーム形挿入端部の初期流体吸収及び膨張と共に使用中に現れるときの、吸収タンポンの上面図である。
【
図15】細長いタンポンプレジットのドーム形挿入端部の空洞に押し込まれた有孔ポリマーフィルムシートの一部分を示す、本発明の吸収タンポンの上面図である。
【
図16】細長いタンポンプレジットの挿入端部に空洞を形成し維持する、本発明によるプロセスにおけるいくつかのステップの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるとき、「プレジット」という用語及びその変化形は、体液を吸収するように設計された繊維などの吸収性材料のパッド又は圧定布に関する。
【0026】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるとき、用語「体液」及びその変化形は、身体の滲出物、具体的には、人体によって生成され、人体によって分泌され、人体から発せられ、及び/又は人体から排出される液体を意味する。具体的には、月経液である。
【0027】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるとき、用語「流体」及びその変化形は、液体、特に体液に関する。
【0028】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるとき、用語「シート」及びその変化形は、その長さ及び幅と比較して薄いものの一部分に関する。
【0029】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるとき、用語「平行プレート」及びその変化形は、プレート間の毛管現象によって流体を移動させることが可能な、少なくとも2つの比較的平行なシートのシステムに関する。システム内の個々の「プレート」は、それらの環境内で移動するために可撓性及び/又は弾力性であってもよい。しかしながら、それらは、(それらの相対的な長さ及び幅と比較して)少なくともそれらの構造の局所的な部分において、比較的一定の分離を伴う実質的に対向する関係に維持され得る。したがって、2枚のシートは、縦溝付きであってもよいが、縦溝が「入れ子」である場合、シートは概ね、任意の所与の局所化された部分において概ね平行なままである。
【0030】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるとき、用語「流体連通している」及びその変化形は、流体がそれらの間を移動することを可能にするように配置され構成された要素に関する。流体移動は、繊維間毛管運動、繊維内毛管運動、浸透圧、プレート間毛管作用、機械的チャネルなどによるものであってもよい。
【0031】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるとき、「自立形状」という用語及びその変化形は、圧縮されて及び/又は成形されて、寸法的に安定な概ねの形状及びサイズと見なされるタンポンプレジットに関する。例えば、自立形状を有するデジタルタンポンは、一次包装又はオーバーラップが取り除かれた後、その形状を概ね維持し、膣の挿入に対して、そのような形状を概ね維持する。タンポンは体液を吸収することが意図され、かかる流体を吸収するとき、使用時において実質的に形状を変え得るということが認識されている。
【0032】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるとき、「溝」という用語及びその変化形は、タンポンの表面の凹みに関する。明確化のために、溝は、タンポン内に少なくとも0.7mm(又は半径の10%、どちらか長い方)延びる「貫通溝」であり得る。溝間の領域は、リブの形態をとってもよい。
【0033】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるとき、「溝形態」という用語及びその変化形は、溝、あるいはタンポンプレジットの少なくとも表面で特有の離間した機構をもたらすように、視覚的に特定可能な方式で接続されている溝セグメントの組み合わせに関する。
【0034】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるとき、「ターン」という用語及びその変化形は、溝及び/又は溝要素が、実質的にU字形又は実質的にV字形の構成でそれ自体/それら自体の上で反転する、溝形態の一部分に関する。「ターン」はまた、実質的にY字形の構成など、交点から略線形の延長部を有し得る。
【0035】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるとき、溝形態に関する「主軸」という用語及びその変化形は、溝形態の最も遠い点をつなぐ最短の線によって画定される。概して、この主軸は、プレジットの一方の端部に近接する、少なくとも1つのターンを通過する。
【0036】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるとき、「長手方向軸」という用語及びその変化形は、実質的にタンポンの中央を通って挿入端部から、取り出し端部まで延びる軸に関する。
【0037】
図1~3を参照すると、本発明は、半径方向に圧縮された細長いタンポンプレジット12と、流体移送要素14とを有する婦人衛生用の吸収タンポン10を提供する。細長いタンポンプレジット12は、ドーム形挿入端部16と、取り出し要素20と、細長いタンポンプレジット12の長手方向表面24に沿って配置された複数の長手方向に延びる溝22とを備える、取り出し端部18を有する。長手方向に延びる溝22の少なくとも一部分22aは、ドーム形挿入端部16内に延びる。流体移送要素14は、挿入端部16の上に配置され、細長いタンポンプレジット12に、その長手方向表面24に沿って延びる複数の取り付けゾーン28を介して取り付けられた有孔ポリマーフィルムシート26から形成される。流体移送要素は折り畳まれて、細長いタンポンプレジット12に流体移送要素14を固定するための少なくとも部分的に取り付けゾーン28にある複数の近位ひだ30と、細長いタンポンプレジット12の長手方向表面24から離れて延びることが可能な要素を提供するための複数の遠位ひだ32と、を備え、第1及び第2のプレート34、36を形成し、これらが組み合わさって平行プレート38のセットを提供する(
図5参照)。
【0038】
更に、流体移送要素14と細長いタンポンプレジット12との間の取り付けにより、ドーム形挿入端部16と有孔ポリマーフィルムシート26との間にヘッドスペース40が提供される。ヘッドスペースは、過剰なフィルムシート42を、ドーム形挿入端部16を中心として維持することによって提供される。これは、(1)ドーム形挿入端部16の長手方向軸「x」上の細長いタンポンプレジット12の外側表面44上で、ドーム形挿入端部16に最も近い第1の取り付けゾーン28’の端部46から、反対側の表面にあるドーム形挿入端部16に最も近い第2の取り付けゾーン28”の端部48まで、測定された、プレジットドーム長さを画定する、距離LPDを測定し、(2)ドーム形挿入端部16の長手方向軸「x」上の有孔ポリマーフィルムシート26の内側表面50に沿って、ドーム形挿入端部16に最も近い第1の取り付けゾーン28’の端部46から反対側の表面のドーム形挿入端部16に最も近い第2の取り付けゾーン28”の端部48まで、フィルム長さを画定する、距離LFを測定し、(3)ヘッドスペース長さLH(=LF-LPD)の正の値をもたらすために、フィルム長さLFをプレジットドーム長さLPDよりも長く維持することにより、説明することができる。
【0039】
流体移送要素
流体移送要素は、近位ひだ30及び遠位ひだ32を形成するように折り畳まれた有孔ポリマーフィルムシートを備える。これらのひだにより、有孔ポリマーフィルムシートの2つの部分が対面関係になると、平行なプレート34、36が形成される。プレートを形成する有孔ポリマーフィルムシートは、ほぼ任意の疎水性又は親水性材料で作製することができ、好ましくはシート状であり得る。各プレートの厚さは重要ではない。しかしながら、その厚さは、好ましくは、約0.005~約0.050インチの範囲から選択することができる。構造体の材料及びプレートの厚さは、流体に曝されたときに十分な剛性及び/又は湿潤崩壊に対する抵抗性を有するように設計する必要がある。
【0040】
流体移送要素を形成するのに有用な材料は、吸収タンポンに組み込む手段を提供するために、熱接着性などの特性を有し得る。有用な材料の代表的な非限定的リストとしては、ポリプロピレン及びポリエチレンなどのポリオレフィン、エチレンビニルアセテート(「EVA」)、エチレン-プロピレン、エチレンアクリレート、及びエチレン-アクリル酸及びそれらの塩などのポリオレフィンコポリマー、ハロゲン化ポリマー、ポリエステル及びポリエステルコポリマー、ポリアミド及びポリアミドコポリマー、ポリウレタン及びポリウレタンコポリマー、ポリスチレン及びポリスチレンコポリマーなどが挙げられる。有孔フィルムの例としては、例えば、Thompson、米国特許第3,929,135号及びTuriら、米国特許第5,567,376,号に開示されているような3次元有孔フィルム、並びにKelly、米国特許第4,381,326号に記載されているような2次元網状フィルムが挙げられる。
【0041】
流体移送要素の露出面を可能な限り滑らかに維持することが有用であり得る。摩擦係数を低くすることも有用であり得る。これらの特性は、(1)吸収タンポンを挿入するために必要とされる力が低減される、(2)挿入、装着、及び取り外し中に柔らかく弱い膣組織が擦られることによって他の方法で引き起こされる損傷が低減される、という少なくとも2つの効果をもたらすことができる。
【0042】
平行プレートは、第1のプレートの内向きの表面及び第2のプレート」の第1の表面に平行な方向の流体流動ベクトルに対する抵抗が、プレートに垂直な方向の流体流動ベクトルに対する抵抗よりも小さくなるように、任意の物理的構造を有することができる。好ましくは、プレートは、有孔ポリマーフィルムなどの任意の比較的滑らかな材料から作製される。
【0043】
流体移送要素14は、処理、挿入、及び取り外し中の破裂を防止し、使用中の膣圧に耐えるのに十分な強さである必要がある。
【0044】
流体移送要素14のプレートの少なくとも1つの表面は、吸収タンポン10が回収することを意図している体液によって十分に濡れ性であることが好ましい(この結果は、主として、プレート表面及び体液の表面エネルギーの相関から生じる)。したがって、体液はプレートを容易に濡らし、プレート間の毛管現象は、これらの体液を、供給源から流体移送要素と流体連通する細長いタンポンプレジットに引き込む。
【0045】
表面処理を使用して、プレート34、36の表面エネルギーを修正することができる。好ましい実施形態では、界面活性剤は、平行プレートの外側表面又は内側表面の濡れ性を高めるために適用される。これにより、体液が一対のプレートに引き込まれ、一対のプレートの間に広がる速度を増加させる。界面活性剤は、内側表面若しくは外側表面のいずれかに均一に適用されてもよく、異なる領域において様々なコーティング重量で適用されてもよい。
【0046】
プレート表面の濡れ性を決定するための有用な尺度は、1.0%生理食塩水との接触角である。好ましくは、1.0%生理食塩水との接触角は、約90度未満である。
【0047】
これを達成するために、プレートの材料は、低エネルギー表面を有することが当該技術分野において既知である材料から選択することができる。体液による濡れ性を高めるために、非イオン性界面活性剤(例えば、エトキシレート)、ジオール、又はこれらの混合物などの表面添加剤で高エネルギー表面を有する材料をコーティングすることも可能であり、有用である。そのような添加剤は当該技術分野において周知であり、例としては、Yangら、米国特許出願公開第2002-0123731-A1号及び米国特許第6,570,055号に記載されているものが挙げられる。例えば、ポリエチレン若しくはポリプロピレンのコロナ放電処理、又は、例えばポリエステルの苛性エッチングなどによって、濡れ性を高める他の手段も使用することができる。
【0048】
流体移送要素を形成する平行プレートは、材料がデバイスの使用中に細長いタンポンプレジットに流体を移送可能である限り、任意の可撓性のものであり得る。流体移送要素は、デバイスを挿入、装着、及び取り外ししながらユーザに快適性を提供するために十分に可撓性であることが好ましい。
【0049】
好ましくは、各プレートは、全体にわたって分布した複数の開口部を有する。全体にわたって分布した開口部の例は、有孔フィルムである。分布は均一であってもよく、又はより高い開口面積の領域及びより低い開口面積の領域を提供するように配置され得る。例えば、複数の開口部又は開口52は、第1及び第2のプレート34、36の少なくとも1つを通って延びてもよい。これらの開口52は、プレートを完全に貫通して延びてもよく、プレートの両方に存在してもよい。開口52は、第1のプレート34の外向き表面又は第2のプレート36の反対側の表面に接触する流体が、可能な限りほとんど制限なくプレート間の毛管間隙54に流入することを可能にする。有孔フィルムの例では、開口部によって占められるプレートの総表面積は、約5%から好ましくは約50%までであることが好ましい。より好ましくは、その総表面積は約25%~約45%である。プレートにこれだけの開口面積が形成されていると、プレート上に付いた流体が、プレート間毛管間隙54に容易に流入することを可能にする。
【0050】
プレートは、体液を導入して、プレートを隣接するプレート(複数可)から分離することができるように構成及び配置されている。任意選択で、1つ以上のスペーサ要素を挿入して、隣接するプレート34、36間の空間を確立し維持することができる。スペーサ要素は、プレート材料の厚化部分、又はプレート材料の変形部であり得る。そのような一体型スペーサ要素の代表的なリストとしては、こぶ、エンボス、コルゲート、変形などが挙げられるが、これらに限定されない。この定義には、第1の表面に二次材料を恒久的に結合する表面処理が含まれる。変形の一例は、
図6の拡大図に示される「三次元」ポリマー孔形成フィルム材料の側壁58として提供される。第1のプレート34の内向き表面及び第2のプレート36の内向き表面として、側壁58が互いに対向する有孔フィルムから作製された第1及び第2のプレート34、36を使用して、移送される流体の粘度を散らすために、テクスチャを増大させるのに使用することができる。
【0051】
任意の個々の開口部は、月経液を含む任意の高粘性材料を容易に通過させるのに十分な大きさであることが好ましい。開口部の形状は重要ではないが、開口部52は、非吸収性材料の容易な通過を可能にするのに十分な大きさである必要がある。開口52が円形でない場合、測定は、開口部の最も狭い部分にわたって行われる必要があり、これは非吸収性材料の流れに最も制限される。
【0052】
第1及び第2のプレート34、36は、同じシート状の材料の延長であり、例えば、材料のシートの折り目によって形成される。そのような折り畳みの実施形態では、材料は、第1及び第2のプレートが互いに対向するひだを形成するように、折り畳まれる。
【0053】
流体移送要素14は、細長いタンポンプレジット12と流体連通し、膣から細長いタンポンプレジット12に流体を導く。概して、流体は、各流体移送要素14から、その流体移送要素に関連した細長いタンポンプレジットの特定の領域まで導かれる。
【0054】
上記の説明は、流体移送要素14と細長いタンポンプレジット12との間の直接流体連通を提供するが、直接的な流体接触は必須ではない。多孔質媒体(例えば、発泡体又は繊維構造体)、中空管などの中間要素を介した流体連通が存在し得る。
【0055】
流体移送要素14は、細長いタンポンプレジット12の表面から任意の向きに延びてもよい。流体移送要素が細長いタンポンプレジットの表面上にある必要はない。
【0056】
流体移送要素14は、
図1~
図7のように細長いタンポンプレジット12の表面から延びるように形成されてもよい。流体移送要素14は、半円形、三角形、正方形、砂時計などの任意の好都合の形状で作製することができる。更に、要素の2つのプレートは、少なくとも部分的に対面関係にある限り、完全に同一の広がりを持つ必要はない。代替的な実施形態では、取り出し紐20は、リボン状平行プレート(図示せず)の対又は別の組み合わせによって置き換えられてもよい。平行プレートは、直接的に又は細長いタンポンプレジットへの追加要素を介して間接的に備える様々な方法で、細長いタンポンプレジットに近接して保持することができる。熱、接着剤、超音波、縫い付け、及び細長いタンポンプレッド12に機械的に係合することを含むがこれらに限定されない、様々な方法を使用して流体移送要素14を取り付けることができる。
【0057】
使用中、流体移送要素14は、膣内で多くの構成をとることができる。例えば、
図7に示すように、遠位ひだ32流体移送要素14は、細長いタンポンプレジット12から離れて膣内に延びてもよい。あるいは、流体移送要素(複数可)14は、細長いタンポンプレジット12に巻かれたままで、外向きの表面を通してのみ膣壁「W」に接触してもよい。
【0058】
細長いタンポンプレジット
本発明のタンポンは、各々が概ね長手方向を有する少なくとも2つの離間した溝形態と、プレジットの長さの少なくとも150%である長さ(溝に沿って測定される)と、挿入端部及び取り出し端部の少なくとも1つに近接したターンと、により、体液がタンポンプレジットに吸収されることなく表面に沿って流れる機会が減少する。離間した溝形態は、体液を処理する様々な特性を備える、視覚的に区別できるゾーンを提供する。更に、タンポンの少なくとも一方の端部に近接するターンは、後に続く流体がタンポンプレジットの様々な部分に分布するよう、少なくとも2つの溝経路を提供する。したがって、本発明は、改善された流体処理特性を提供するとして、従来技術によって認識されている複数の溝を備えるタンポンを提供するだけではなく、また、タンポンに体液をより良く収容するための吸収性収容体を含め、ユーザに機能的効果を視覚的に伝える、完全に又は部分的にのいずれかで閉じた吸収ゾーンも提供する。
【0059】
細長いタンポンプレジット12の好ましい実施形態は、プレジット12の外側表面の周りに配置された複数の離間した溝形態62を備える。
図8の実施形態では、離間した溝形態62は各々、一対の溝セグメント64、68を備え、これらは交差して細長いタンポンプレジット12の挿入端部16及び取り出し端部18の両方に近接してターン68を作製して、包囲する溝形態62によって境界付けられた、別個の表面ゾーン70を提供する。更に、1つの離間した溝形態の連続部22aは、各ターン68を越えて延びる。
【0060】
細長い吸収性プレジットは、自立形状に圧縮された繊維塊を含む。プレジットは、発泡体、超吸収体、ヒドロゲルなどの追加の吸収性材料も備え得る。本発明に好ましい吸収材料としては、発泡体及び繊維が挙げられる。吸収性発泡体としては、親水性発泡体、水性流体で濡れやすい発泡体、並びに発泡体自体を形成する気泡壁が流体を吸収する発泡体を挙げることができる。
【0061】
好ましくは、本発明によるタンポンの形成に使用される材料としては、繊維、発泡体、ヒドロゲル、木材パルプ、超吸収体などが挙げられる。有用な吸収体繊維の有用な非限定的なリストとしては、綿、木材パルプ、黄麻などの天然繊維、及び再生セルロース、硝酸セルロース、酢酸セルロース、レーヨン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリアミン、ポリアミド、ポリアクリロニトリルなどの加工繊維が挙げられる。吸収体に所望の特性を追加するために、上記の繊維に加えて他の繊維を含めてよい。好ましくは、タンポン繊維は、レーヨン、綿、又はそれらのブレンドであり、より好ましくは、この繊維はレーヨンである。繊維は任意の有用な断面を有し得る。
【0062】
繊維の断面としては、多肢及び無肢(non-limbed)が挙げられる。多肢の再生セルロール繊維は、長年にわたって市販されてきた。これらの繊維は、無肢の繊維よりも増加した比吸収率を有することが知られている。これらの繊維の市販されている例は、Kelheim Fibres GmbH(Kelheim,Germany)から市販されているGalaxy(登録商標)多肢ビスコースレーヨン繊維である。これらの繊維は、Wilkesらの米国特許第5,458,835号に詳細に記載され、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。好ましくは、繊維は親水性繊維を含み、より好ましくは、繊維は吸収性繊維を含み、すなわち、個々の繊維はそれ自体が流体を吸収する。タンポン繊維の有用な非限定的なリストとしては、綿、木材パルプ、黄麻、麻などの天然繊維、及び再生セルロース、硝酸セルロース、酢酸セルロース、レーヨン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリアミン、ポリアミド、ポリアクリロニトリルなどの加工繊維が挙げられる。吸収体に所望の特性を追加するために、上記の繊維に加えて他の繊維を含めてよい。例えば、疎水性繊維は、表面湿潤性を低減させるためにタンポンの外側表面に使用されてもよく、親水性繊維は、吸収体内及び吸収体への、及び全体にわたっての流体移動速度を上昇させるために使用され得る。
【0063】
プレジットは、シート様のカバー材料である流体透過性カバーによって実質的に包囲される繊維塊を含む。したがって、カバーは、タンポンの外側表面の大部分を包囲する。これは、Frieseの米国特許第4,816,100号に開示されるように達成されてもよく、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。更に、タンポンの片方又は両方の端部がカバーによって包囲されてもよい。当然ながら、加工や他の理由のために、タンポンの表面のいくらかの部分にはカバーがなくてもよい。例えば、タンポンの挿入端部及びこの端部に隣接する円筒形表面の一部分は、タンポンが流体をより受け入れやすいようにカバーなしで露出されていてもよい。
【0064】
カバーは、体腔へのタンポンの挿入を容易にすることができ、また繊維がタンポンから分離する可能性を低くすることができる。有用なカバーは、当業者に既知のものであり、それらは概して、機械方向及び断面方向の両方において低伸長性を備え、寸法安定性である。カバーは、(熱接着などによって)融合された外側繊維層、不織布、有孔フィルムなどから選択されることができる。好ましくは、カバーは、疎水仕上げされる。
【0065】
液体透過性カバーが半径方向への圧縮タンポンに対して有益な追加である一方で、それらの寸法安定性は、いくつかの加工の課題を生み出す場合がある。例えば、円筒形の外側表面の周囲に配置された寸法安定性のカバーを有する円筒形のタンポンブランクを半径方向に圧縮することにより、圧縮タンポンプレジッドの外側表面から延びるカバーにしわが生じたり、又はカバーが緩んだりする可能性がある。したがって、タンポンブランクの半径方向の圧縮を伴う多くのプロセスは、吸収性構造体に比較的深く貫通する溝又は折り畳み部にカバー材料を折り込む又は押し込むことによって、これに対応している。
【0066】
溝の付いたゾーンを備える、本発明の婦人衛生用の膣内タンポンの形成に有用なプロセスは、開放繊維構造から始まる。開放構造は、不織布繊維ウェブ、不規則若しくは実質的に均一に配向された繊維の塊、及び、発泡体又は粒子などの任意の材料であってもよい。次いで、この塊はタンポンブランクを形成するように操作される。
【0067】
本発明に有用な不織布は、当業者が所望の任意の方法で形成されてもよい。例えば、繊維は、鋸歯状開綿機内に繊維を連続的に計り入れることによって開綿する及び/又はブレンドすることができる。ブレンドされた繊維は、繊維ウェブを形成するために、例えば導管を通る空気によって、カーディングステーションに移送することができる。あるいは、実質的に不規則に配向された繊維塊は、繊維を開綿しかつ/又はブレンドし、それらを例えばティーバッグ型タンポンブランクを形成するためのステーションに上記のように移送することによって、形成することができる。更なるプロセスは、繊維トウ内に配向された繊維を採用してもよい。
【0068】
タンポンブランクは、タンポンを形成するために更に加工されてもよい。タンポン形成プロセスにおいて、ウェブは薄い繊維スライバに形成され、タンポンブランクを形成するために渦巻き状に巻かれてもよい。更に、タンポンの繊維状吸収部分を実質的に収容するように、液体透過性カバー材料がタンポンブランクの周囲に巻かれてもよい。参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,845,055号(Kimballら)に開示されているように、スライバの選択的ニードルパンチを用いて繊維性スライバを加工することが望ましい場合がある。
【0069】
図9に示すように、所定の仕上がり直径を有する、
図8の婦人衛生用の細長いタンポンプレジットは、(1)中心プレス軸104及び実質的に円筒形の周を有する概ね円筒形のプレス空洞102と、(2)複数の細長いプレスダイと、を有するプレス100の内部で形成され得る。プレス100の部分切欠斜視図が
図10に示されている。この図は、16のプレスダイのうちの7つのみを含み、プレスカムの一部分は明確にするために取り除かれている。プレスダイは、仕上げたタンポンプレジット内に延びる1セットの貫通溝を画定するためのプレス面を有する貫通ダイ106と、得られる圧縮タンポンプレジットの外側表面上の浅い溝を含む表面形状を形成するための、又は得られる圧縮タンポンプレジットの外側表面を平滑にするための、又は得られる圧縮タンポンプレジットを、排出ステップ時にプレスから外に案内するための連続的な直径を形成するための、形成ダイ108と、を含んでもよい。貫通ダイ106及び形成ダイ108は、円筒形のプレス空洞の周に沿って交互である。
【0070】
好ましい実施形態のプレスジョーは、押圧面107を有し、溝セグメント64に対応する形状を有する第1の貫通ダイ106aと、溝セグメント68(
図8の)に対応する形状を有する第2の貫通ダイ106bとを有する。
図10に見られるように、第1の貫通ダイ106aの一方の端部150aは、第2の貫通ダイ106bの対応する端部150bを越えて延びる。実際、第2の貫通ダイ106bの端部150bは、挿入端部16に近接した(
図8に示すような)タンポンの細長いタンポンプレジット12の表面にターン68を形成するために、第1の貫通ダイ106aに向かって湾曲している。この実施形態では、第1の貫通ダイ106aの端部150aは、
図8のタンポンの細長いタンポンプレジット12の挿入端部16に対応する。
【0071】
離間した溝形態62のターン68は、溝セグメント64と66との間の交点で形成される(
図8参照)。溝形態62を形成するために、貫通ダイ106a、106bは、タンポンブランク200(
図5参照)の圧縮中に交差する経路上を移動して、細長いタンポンプレジット12を形成する。したがって、長い方の貫通ダイ106aは、貫通ダイ106bの端部150bが貫通ダイ106aの移動経路を横切って通過することを可能にするために、端部150aから間隔を空けているが、端部150aに近接して形成されたノッチ152(
図10参照)を有する。
【0072】
形成ダイ108は、それらの間に配置される貫通ダイ106の形状を収容するように成形される。したがって、成形ダイ108aは、溝セグメント64及び66、並びにターン68が収容する細長いタンポンプレジット12の表面に対応する。
【0073】
このプロセスでは、実質的に円筒形のタンポンブランク200は、
図11に示す開放位置でプレス空洞102に挿入され、その後、初期圧縮ステップが実行される。この初期圧縮ステップでは、少なくとも貫通ダイ106は、
図13に示すように、プレス軸104からの明確な距離「r」(
図12参照)が所定の仕上がり直径よりも小さい貫通ダイ閉塞位置まで、プレス空洞102内に移動する。これによって、ターンを形成する、隣接する貫通ダイの部分が、プレス内の同じ空間を通過する。
図10に示すように、これは、第1の貫通ダイ106aにノッチ152を形成して、第2の貫通ダイ106bが、貫通ダイの閉鎖位置において、それを通って横断できるようにすることによって達成され得る。この初期圧縮ステップは、タンポンの圧縮された繊維コアを形成し、ディジタル挿入として当該技術分野において既知のタンポンアプリケータを必要としない、容易な挿入のための柱状体強度をもたらす。
【0074】
タンポンは更に成形され、包装されてもよい。例えば、挿入端部は、半球形若しくは楕円形のドーム形状に形成されてもよく、タンポンは、タンポンの仕上げ形状を支持することもできる一次包装材料に封入されてもよい。
【0075】
前述の詳細な実施形態は、8つの交差する溝セグメントから得られる4つの溝形態を有するタンポンについて説明しているが、溝形態及び/又は溝セグメントの数は、所望のとおりに変化させてもよいことが認識される。偶数又は奇数の溝形態及び/又は溝セグメントが存在してもよい。
【0076】
使用後に取り外すために、タンポン10には、好ましくは、取り出し紐20などの取り出し機構が接合されること。取り出し機構は、好ましくは、少なくとも細長いタンポンプレジット12に接合され、少なくともその取り出し端部18を越えて延びる。好適な取り出し機構としては、当技術分野で現在知られている取り出し紐のいずれかを使用することができ、例としては、編組(又は撚り合わされた)コード、糸などが挙げられるが、これに限定されない。更に、取り出し機構は、リボン、ループ、タブなどの他の形態をとることができる(現在使用されている機構とこれらの他の形態の組み合わせを含む)。例えば、いくつかのリボンを撚り合わせるか、又は編組して、平行なプレート構造を提供することができる。
【0077】
上述のように、細長いタンポンプレジット12のドーム形挿入端部16と有孔ポリマーフィルムシート26との間の隙間である十分な「袋状部」又は「ヘッドスペース」を設けることにより、体液の吸収時にドーム形挿入端部16は細長いタンポンプレジット12の残りの部分と同様に膨張することができる。これは、例えば、流体移送要素が挿入端部の輪郭に密接に追従する、欧州特許第1755515(B1)号のタンポンと対照的である。
【0078】
図1~
図3に示す好ましい実施形態では、ヘッドスペース長さL
Hは、少なくとも約10mmである。ここでも、ヘッドスペースは、フィルム長さL
Fとプレジットドーム長さL
PDとの間の距離の差によって決定される。プレジットドーム長さL
PDは、ドーム形挿入端部16に最も近い第1の取り付けゾーン28’の端部46から、反対側の表面のドーム形挿入端部16に最も近い第2の取り付けゾーン28”の端部48までの、ドーム形挿入端部16の長手方向軸「x」上の細長いタンポンプレジット12の外側表面44に沿った距離を測定することによって決定することができ、プレジットドーム長さを画定する。測定値は、可撓性測定テープをミリメートル単位で使用して、ドーム形タンポン挿入端部の5つの測定値を平均することによって得られる。フィルム長さL
Fは、同じ2つの取り付けゾーン点(第1の取り付けゾーン28’の端部46と、それらの2つの取り付けゾーン点で有孔ポリマーフィルムシートを切断し、有孔ポリマーフィルムシートを3mmの透明アクリルプレートなどの薄い透明な保持プレートの下に平滑にして敷いた後、第1の取り付けゾーン28”の端部48)から有孔ポリマーフィルムシートの内側表面に沿った距離を測定することによって決定することができる。ここでも、5回の測定値を平均し、各測定値は、有孔ポリマーフィルムシートを薄い透明な保持プレートの下に再び平滑化して敷いた後に測定する。
【0079】
好ましい実施形態では、ヘッドスペース長さ(LH=LF-LPD)は少なくとも約10mmである。より好ましくは、ヘッドスペース長さLHは、約10mm~約20mmの間であり、最も好ましくは、ヘッドスペース長さLHは、約12mm~約15mmの間である。あるいは、ヘッドスペースは、次のヘッドスペース比で表されてもよい:
(LH/タンポンの直径)。
【0080】
好ましくは、ヘッドスペース比は約0.6~1であり、より好ましくはヘッドスペース比は約0.75~約0.95である。
【0081】
本発明の別の態様は、有孔フィルムシート26の遠位ひだ32をドーム形挿入端部16内の長手方向に延びる溝22aの間に配置することに関する。これにより、遠位ひだ32を溝22aの間のローブ72と整列させ、
図14に示すように、使用中の体液の吸収時にこれらのローブ72をより膨張させることができる。
【0082】
好ましい実施形態では、ドーム形挿入端部16の4つの長手方向に延びる溝22aの間に配置された4つのローブ72と整列した、4つの遠位ひだ32が存在する。
【0083】
上記の配置は、その長手方向の表面上に、視覚的に区別できる実質的に閉じたゾーン70を画定する、交差する貫通した溝セグメント64、66を形成し、これらの実質的に閉じたゾーン70内に複数の取り付けゾーン28を配置することによって達成することができる。
【0084】
図15に示す好ましい実施形態では、ドーム形挿入端部16は、内部に配置された空洞74を有し、有孔ポリマーフィルムシート26の一部分76は、空洞74がより滑らかな外観を呈するように配置される。有孔ポリマーフィルムシート26の部分76が空洞74内に配置されると、いくつかの偶発的折り重なり部78が有孔ポリマーフィルムシート26内に発生し得る。
【0085】
婦人衛生用の吸収タンポンを製造する方法は、全般的に、細長いタンポンブランクを半径方向に圧縮して、細長いタンポンプレジットを形成するステップ(タンポンブランク及びタンポンプレジットの各々は、対応する挿入端部及び取り出し端部を有する)と、細長いタンポンプレジットの挿入端部をドーム形に形成するステップと、細長いタンポンプレジットの挿入端部の上に流体移送要素を配置するステップと、を含む。流体移送要素は、挿入端部の上に配置され、細長いタンポンプレジットに、その長手方向の表面に沿って延びる複数の取り付けゾーンを介して取り付けられた有孔ポリマーフィルムシートを備え、細長いタンポンプレジットの長手方向の表面から離れて延びることが可能な要素を提供するための複数の遠位ひだを更に備える。ヘッドスペースは、細長いタンポンプレジットの長手方向の表面に沿った有孔ポリマーフィルムシートの所定の配置により、ドーム形の挿入端部と有孔ポリマーフィルムシートとの間に形成される。したがって、ドーム形挿入端部の長手方向軸上で細長いタンポンプレジットの外側表面に沿って、ドーム形挿入端部に最も近い第1の取り付けゾーンの端部から、反対側の表面上の、ドーム形挿入端部に最も近い第2の取り付けゾーンの端部まで測定された距離は、プレジットドーム長さを画定し、ドーム形挿入端部の長手方向軸上の有孔ポリマーフィルムシートの内側表面に沿って、ドーム形挿入端部に最も近い第1の取り付けゾーンの端部から、反対側の面上の、ドーム形挿入端部に最も近い第2の取り付けゾーンの端部まで測定された距離は、フィルム長さを画定する。フィルム長さはプレジットドーム長さよりも長く、これは上述のように、ゼロを超えるヘッドスペース長さを提供する。
【0086】
図16に概略的に示す方法の好ましい実施形態では、空洞74は、細長いタンポンプレジット12のドーム形挿入端部16に形成される。これは、吸収タンポン10の挿入端部16により滑らかな外観を呈するために、流体移送要素14の有孔ポリマーフィルムシート26の一部分76が収められ得る容積を提供する。ステップ(a)は、タンポンプレス内での半径方向の圧縮の準備において、その一端部に巻き取られた取り出し要素20を有するタンポンブランク200を示す。ステップ(b)は、タンポンプレス内で半径方向に圧縮し、押し棒202を挿入端部16’と係合させ、空洞74を初期形成した後の、細長いタンポンプレジット12を示す。押し棒202は、細長いタンポンプレジット12の対応する断面直径よりも実質的に小さい断面直径を有し、細長いタンポンプレジット12を、タンポンプレスから、更なる加工のための移送中に細長いタンポンプレジット12を収容するように配置され構成されたキャリア(図示せず)に、移送する。ステップ(c)は、その挿入端部をドーム形に形成してドーム形挿入端部16を形成した後の細長いタンポンプレジット12を示す。空洞74は、ドーム形に形成する操作からわずかに閉じている可能性があり、したがって、ステップ(d)に示すように、ツール204を使用して空洞74を再生又は再形成する。ステップ(e)は、取り付けゾーン28を介して細長いタンポンプレジット12に配置され取り付けられた流体移送要素14を示し、空洞74に近接して配置された有孔ポリマーフィルムシート26の一部分76を有するヘッドスペース40を残す。流体移送要素14が細長いタンポンプレジット12の周りに巻かれた後、仕上げ押し棒206は、有孔ポリマーフィルムシート26の一部分76を空洞74内に配置する。
【0087】
好ましくは、流体移送要素14のための取り付けゾーン28が実質的に閉じたゾーン70内に配置されるように、その長手方向の表面上に、視覚的に区別できる実質的に閉じたゾーン70を画定する、交差する貫通溝セグメント64、66を備える、細長いタンポンプレジット12の長手方向に延びる溝22を有する細長いタンポンプレジット12を方向付けることによって、流体移送要素14が細長いタンポンプレジット12の長手方向の表面に取り付けられた後、有孔ポリマーフィルムシート26の一部分76は、製品10のドーム形挿入端部16を滑らかにするために、包装前に空洞74に挿入される。
【0088】
空洞内に有孔ポリマーフィルムシート26の一部分76を挿入及び/又は維持することは、細長いタンポンプレジット12の周りに単一方向に流体移送要素12の遠位ひだ32を渦巻き状に巻き付ける更なるステップの前、最中、又は後に実施され得る。
【0089】
ドーム形挿入端部16がより完全に膨張するのを可能にすることを補助する本発明の別の態様は、
図14に示すように、ドーム形挿入端部16内の隣接する長手方向に延びる溝22aの間に配置されたローブ72で、遠位ひだ32を方向付けることである。
【0090】
形成される空洞74は、好ましくは、「過剰な」有孔ポリマーシート材料76を収容するのに十分な直径及び深さを有する。目安として、一実施形態では、空洞74は、タンポン10の最大直径の約20%~約50%、より好ましくはタンポン10の最大直径の約25%~約40%の最大直径と、約5mm~約10mmの最大深さとを有する。いずれの測定値も、各要素の5回の測定値の平均に基づく。空洞の最大直径及びタンポンの最大直径は、繊維構造体を実質的に変形させることなく、標準的なノギスで測定され、最大深さは、空洞の直径の約50%の直径を有するピンで測定される。
【0091】
タンポンは、概して、アプリケータタンポン及びデジタルタンポンの2つのクラスに分類され、特定量の寸法安定性が、各タイプのタンポンに有用である。アプリケータタンポンは、使用前にタンポンを収容及び保護するために、比較的剛性のデバイスを使用する。タンポンを体腔内に挿入するには、タンポンを収容したアプリケータを体腔内に部分的に挿入し、アプリケータから体腔内にタンポンを排出することができる。対照的に、デジタルタンポンは、体腔内への案内を助けるアプリケータを有しておらず、アプリケータを使用せずに挿入できるのに十分な柱状体強度が必要となる。
【0092】
アプリケータタンポンは、剛性の高いアプリケータデバイスによって保護され、アプリケータタンポンは、デジタルタンポンほど高度な柱状体強度を有する必要はないが、アプリケータタンポンは、使用を許容するために寸法安定性(特に半径方向)を必要とする。この寸法安定性は、例えば、タンポンが早期に大きくなってその包装材料を分割することがなく、又はタンポンアプリケータに挟まれることがないことを保証する。
【0093】
更に、吸収タンポンは、包装及び挿入のために折り畳むことができる。例えば、外向きの表面などの流体移送要素14の主表面の少なくとも一部分は、細長いタンポンプレジット12の外側表面の少なくとも一部分と接触してもよい。これは、(
図4bに示すように)細長いタンポンプレジット12の周りに流体移送要素を巻き付けることによって達成することができる。あるいは、流体移送要素14は、細長いタンポンプレジット12に対して折り畳まれるか、又はひだ付けされてもよい(例えば、アコーディオン様に)。
【0094】
上記の明細書及び実施形態は、本明細書で開示される本発明の完全かつ非限定的な理解を助けるために提示されるものである。本発明の多くの変形形態及び実施形態が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく可能となるため、本発明は、以下に添付する特許請求の範囲に含まれるものである。
【0095】
〔実施の態様〕
(1) 婦人衛生用の吸収タンポンであって、
a)半径方向に圧縮された細長いタンポンプレジットであって、
i)ドーム形挿入端部と、
ii)取り出し要素を備える取り出し端部と、
iii)前記細長いタンポンプレジットの長手方向表面に沿って配置された複数の長手方向に延びる溝であって、前記長手方向に延びる溝の少なくとも一部分が、前記ドーム形挿入端部内に延びる、複数の長手方向に延びる溝と、
を有する、
半径方向に圧縮された細長いタンポンプレジットと、
b)前記挿入端部の上に配置され、前記細長いタンポンプレジットに、その前記長手方向表面に沿って延びる複数の取り付けゾーンを介して取り付けられた有孔ポリマーフィルムシートを備える流体移送要素であって、
i)前記細長いタンポンプレジットの前記長手方向表面から離れて延びることが可能な要素を提供するための複数の遠位ひだと、
ii)前記ドーム形挿入端部と前記有孔ポリマーフィルムシートとの間のヘッドスペースと、
を更に備える、
流体移送要素と、
を備え、
(A)前記細長いタンポンプレジットの外側表面に沿って、前記ドーム形挿入端部の長手方向軸上で、前記ドーム形挿入端部に最も近い第1の取り付けゾーンの端部から、反対側の表面上の前記ドーム形挿入端部に最も近い第2の取り付けゾーンの端部まで測定された距離が、プレジットドーム長さを画定し、(B)前記有孔ポリマーフィルムシートの内側表面に沿って、前記ドーム形挿入端部の長手方向軸上で、前記ドーム形挿入端部に最も近い前記第1の取り付けゾーンの前記端部から、前記反対側の表面上の前記ドーム形挿入端部に最も近い第2の取り付けゾーンの前記端部まで測定された距離が、フィルム長さを画定し、(C)前記フィルム長さが前記プレジットドーム長さよりも長い、
吸収タンポン。
(2) ドーム形挿入端部が内部に形成された空洞を有し、前記有孔ポリマーフィルムシートの一部分が前記空洞内に配置されている、実施態様1に記載の吸収タンポン。
(3) 前記空洞が、前記細長いタンポンプレジットの最大対応直径の約20~約50%、好ましくは約25~約40%の直径を有する、実施態様2に記載の吸収タンポン。
(4) 前記空洞が、約2~約15mm、好ましくは約5~約10mmの深さを有する、実施態様2又は3に記載の吸収タンポン。
(5) 前記有孔ポリマーフィルムシートの各遠位ひだが、前記ドーム形挿入端部の長手方向に延びる溝の間に配置されている、実施態様1~4のいずれかに記載の吸収タンポン。
【0096】
(6) 前記有孔ポリマーフィルムシートが、前記ドーム形挿入端部の4つの長手方向に延びる溝の間に配置された4つの遠位ひだを有する、実施態様5に記載の吸収タンポン。
(7) 前記細長いタンポンプレジットの前記長手方向に延びる溝が、その前記長手方向表面上に、視覚的に区別できる実質的に閉じたゾーンを画定する、交差する貫通溝セグメントを備え、前記複数の取り付けゾーンが、前記実質的に閉じたゾーン内に配置されている、実施態様1~6のいずれかに記載の吸収タンポン。
(8) 婦人衛生用の吸収タンポンを形成するためのプロセスであって、
a)タンポンプレス内で、細長いタンポンブランクを半径方向に圧縮して、前記細長いタンポンブランクの取り出し端部及び挿入端部に対応する、取り出し端部及び挿入端部を有する細長いタンポンプレジットを形成するステップと、
b)前記細長いタンポンプレジットの前記挿入端部をドーム形に形成するステップと、
c)前記挿入端部の上に流体移送要素を配置し、前記流体移送要素を前記細長いタンポンプレジットに、その前記長手方向表面に沿って延びる複数の取り付けゾーンを介して、取り付けるステップと、を含み、
i)前記流体移送要素が、前記挿入端部の上に配置され、前記細長いタンポンプレジットに、その前記長手方向表面に沿って延びる複数の取り付けゾーンを介して取り付けられた有孔ポリマーフィルムシートを備え、前記細長いタンポンプレジットの前記長手方向表面から離れて延びることが可能な要素を提供するための複数の遠位ひだと、前記ドーム形挿入端部と前記有孔ポリマーフィルムシートとの間のヘッドスペースと、を更に備え、
ii)前記細長いタンポンプレジットの外側表面に沿って、前記ドーム形挿入端部の長手方向軸上で、
a)前記ドーム形挿入端部に最も近い第1の取り付けゾーンの端部から、
b)反対側の表面上の、前記ドーム形挿入端部に最も近い第2の取り付けゾーンの端部まで、
測定された距離が、
プレジットドーム長さを画定し、
iii)前記有孔ポリマーフィルムシートの内側表面に沿って、前記ドーム形挿入端部の長手方向軸上で、
a)前記ドーム形挿入端部に最も近い前記第1の取り付けゾーンの前記端部から、
b)前記反対側の表面上の、前記ドーム形挿入端部に最も近い第2の取り付けゾーンの前記端部まで、
測定された距離が、
フィルム長さを画定し、
iv)前記フィルム長さが、前記プレジットドーム長さよりも長い、
プロセス。
(9) d)前記細長いタンポンプレジットの対応する断面直径よりも実質的に小さい断面直径を有する押し棒を前記細長いタンポンプレジットの前記挿入端部に適用して、前記細長いタンポンプレジットを前記タンポンプレスから、更なる加工のための移送中に前記細長いタンポンプレジットを収容するように配置され構成されたキャリアに移動させ、それにより、前記細長いタンポンプレジットの前記挿入端部に空洞が形成される、ステップと、
e)前記細長いタンポンプレジットの前記挿入端部に前記空洞を維持しながら、前記細長いタンポンプレジットの前記挿入端部をドーム形に形成するステップと、
f)前記細長いタンポンプレジットの前記挿入端部内の前記空洞内に前記有孔ポリマーフィルムシートの一部分を挿入するステップと、
を更に含む、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記空洞内に配置された前記有孔ポリマーフィルムシートの前記一部分に圧力を加えながら、前記流体移送要素の前記遠位ひだを前記細長いタンポンプレジットの周りに単一方向に渦巻き状に巻き付けるステップを更に含む、実施態様9に記載の方法。
【0097】
(11) 前記有孔ポリマーフィルムシートの各遠位ひだを、前記ドーム形挿入端部の隣接する長手方向に延びる溝の間に配置するステップを更に含む、実施態様8~10のいずれかに記載の方法。
(12) 前記細長いタンポンプレジットの前記長手方向に延びる溝が、その前記長手方向表面上に、視覚的に区別できる実質的に閉じたゾーンを画定する、交差する貫通溝セグメントを備え、前記流体移送要素を前記挿入端部の上に配置する前記ステップが、前記複数の取り付けゾーンを前記実質的に閉じたゾーンと整列させることを含む、実施態様8~11のいずれかに記載の方法。